JP2004185914A - 透明導電膜、透明導電膜形成用複合シート及び表面に透明導電膜を有する透明プラスチック部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンボス加工キャリアテープに必要な透明性、導電性及び伸びを備え、かつエンボス加工をしない用途においても低い表面抵抗を実現することができ、摩擦や水分等の影響により表面抵抗が経時的に変化しにくい透明導電膜、透明導電膜形成用複合シート及び透明プラスチック部材を提供すること。
【解決手段】微細導電性微粒子と粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、透明導電層上に形成された透明被覆層とからなり、透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が透明被覆層を貫通して表面に露出している。
この透明導電膜は、透明性を維持したまま帯電防止に必要な表面抵抗値を有し、さらに可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能と防眩性を有するので透明表示装置の前面板、電子部品の帯電防止等としても利用可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】微細導電性微粒子と粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、透明導電層上に形成された透明被覆層とからなり、透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が透明被覆層を貫通して表面に露出している。
この透明導電膜は、透明性を維持したまま帯電防止に必要な表面抵抗値を有し、さらに可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能と防眩性を有するので透明表示装置の前面板、電子部品の帯電防止等としても利用可能である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明で可撓性に優れた透明導電膜、この透明導電膜を形成することのできる透明導電膜形成用複合シート及び表面に透明導電膜を有する透明プラスチック部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICをはじめとするトランジスター、ダイオード、コンデンサー、圧電素子レジスターなどの小型電子部品は、これらを熱可塑性樹脂テープにエンボス加工で形成したポケットに収容しその上をカバーテープで被覆したキャリアテープやトレーで保管、輸送、装着等が行われている。
【0003】
キャリアテープは、振動や摩擦により静電気が発生して帯電し、カバーテープを剥がすときに帯電した静電気が放電して収容した電子部品を静電破壊するため帯電防止の方策が講じられている。電子部品収納トレーも同様な帯電防止策が講じられている。また、キャリアテープのポケットに電子部品等が収納されているか否かの確認を、キャリアテープを透過した光を読取りセンサーで読取るため、キャリアテープは全光線透過率が50%以上の透明性をもつことが要望されている。電子部品収納トレーについても目視による電子部品の確認が出来る為、透明性が要望されている。
【0004】
キャリアテープやトレーの帯電防止の方法としては、これら原料の熱可塑性樹脂に炭素粉末、金属粉末等の導電性微粒子を練り込む方法、キャリアテープやトレーの表面にスパッタリング等により金属層を形成する方法等が知られているが、前者の方法では、キャリアテープやトレーが不透明となってポケット内の電子部品の確認ができないという問題があり、後者の方法では、製作コストが高くなるという問題があった。
【0005】
さらに、近時、熱可塑性樹脂フィルム上にITOやATOを含有する透明導電塗料を塗布して塗膜の透明性を保持しようとする提案もなされているが、このようにして導電性を付与した熱可塑性樹脂フィルムから形成されたキャリアテープやトレーは、平坦な状態では所定の導電性を保持してもエンボス加工をするとフィルムが大きく伸長されるため必要な導電性が得られなくなるという問題があった。また、導電性を高くするため導電性微粒子を多量に配合すると必要な透明性が得られないことや、導電粒子の欠落がし易くなるという問題もあった。
【0006】
一般に、透明導電塗料の塗布により、エンボス加工キャリアテープに帯電防止機能を付与するためには、透明導電塗料の乾燥塗布膜の厚さ2〜10μmで全光線透過率は50%以上、エンボス加工後の表面抵抗値は5×106 〜9×1010Ω/□、塗膜の伸び率(基材に密着した状態)60%以上が必要とされるが、従来の透明導電塗料でこのような条件を満たすものは知られていない。
【0007】
すなわち、透明性と低表面抵抗を満足させるためには、塗布厚を薄くして全光線透過率を高くするとともにバインダー成分を少なくして抵抗値を低くする必要があるが、このような透明導電膜はフィルムへの密着性が悪い上に導電性微粒子どうしの結着力が低いため、エンボス加工によって表面抵抗が著しく上昇してしまうという問題があった。
【0008】
また、エンボス加工をしない用途においても、透明導電膜には、高い透明性と低い表面抵抗値が要求されるが、これらの特性を満足させるためには、導電性微粒子を結着するバインダー成分の量を少なくしなければならず、このため摩擦や水分等の影響により導電性微粒子相互の接触状態が変化して表面抵抗が経時的に上昇するという問題があった。
【0009】
さらに、従来の透明導電膜の形成方法は、透明導電膜の形成や塗膜の乾燥等にいずれも大掛かりな装置を必要とするため、小規模な生産や個人的、家庭的な用途には対応できないという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の帯電防止機能を付与したキャリアテープやトレーのうち、これら原料の熱可塑性樹脂に炭素粉末、金属粉末等の導電性微粒子を練り込んだものでは、不透明となってポケット内の電子部品の確認ができないという問題があった。また、キャリアテープやトレーの表面にスパッタリング等により金属層を形成したものでは、製作コストが高くなるという問題がある。表面に透明導電塗料による塗膜を形成したものでは、エンボス加工をするとフィルムが大きく伸長されるため必要な導電性が得られなくなるという問題があり、導電性を高くしようとすると必要な透明性が得られなくなり、かつ導電粒子の欠落という問題があった。
【0011】
また、エンボス加工をしない用途においても、従来の透明導電膜には、摩擦や水分等の影響により導電性微粒子相互の接触状態が変化して表面抵抗が経時的に上昇するという問題があった。
【0012】
さらに、従来の透明導電膜の形成方法は、透明導電膜の形成や塗膜の乾燥等にいずれも大掛かりな装置を必要とするため、小規模な生産や個人的、家庭的な用途には対応できないという問題があった。
【0013】
本発明は、かかる従来の問題を解消すべくなされたもので、エンボス加工キャリアテープに必要な透明性、導電性及び伸びを備え、かつエンボス加工をしない用途においても低い表面抵抗を実現することができ、かつ摩擦や水分等の影響により表面抵抗が経時的に変化しにくい透明導電膜、かかる透明導電膜を簡便に形成することのできる透明導電膜形成用複合シート及びかかる透明導電膜を有する透明プラスチック部材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の透明導電膜は、(A)(a1)平均粒径5nm以上、0.4μm未満の微細導電性微粒子と(a2)平均粒径0.4μm以上、30μm未満の粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、(B)前記透明導電層上に形成された、好ましくは粗大導電粒子(a2)以下の膜厚の透明被覆層とからなり、前記透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が前記透明被覆層を貫通して表面に露出していることを特徴としている。
【0015】
本発明における導電性微粒子の粒径は、針状又は扁平状の導電性微粒子の場合には長軸方向の粒径を意味する。
【0016】
本発明に用いられる(a1)の微細導電性微粒子としては、▲1▼Sb,Sn,In,Ti,Si及びZnから選ばれた1種以上の金属を含む酸化物微粒子と、▲2▼Ag,Pd,Cu,Ni,Ru,Rh,Fe,Pt,Cr,Co,Al,Ta,Pb,Os及びIrから選ばれた1種以上の金属コロイド微粒子とを含むことが好ましい。具体的には、酸化スズ、酸化インジウムを主成分とする粉体の単独又は2種以上混合した導電性微粒子や、酸化スズ、酸化インジウムにSb、Sn、Mg、Ga、Ti、P、Zn、等の異種金属をドープさせた導電性微粒子が挙げられる。これらの導電性微粒子に、酸素欠陥を助長する処理、窒素雰囲気中で熱処理して窒化物とする処理、水素等の還元性雰囲気中で表面を還元させる処理等を施したものも好適に使用される。導電性微粒子の好ましい具体例としては、例えば、銀含有コロイド液、酸化スズ微粒子、酸化インジウム微粒子、酸化スズや酸化インジウムの微粒子に、Sb、Sn、Mg、Ga、Ti、P、Zn等の異種金属をドープさせた微粒子、ATO微粒子(例えば、SN−100P[石原産業(株)製、商品名](二酸化スズ/五酸化アンチモン=88/12(重量%)、平均一次粒子:0.02μmの球状粒子)、針状のATO微粒子FS−10P [石原産業(株)製、商品名]:(二酸化スズ/五酸化アンチモン=88/12、平均一次粒子の短軸平均粒径0.01μm、長軸平均一次粒子径2μm:アスペクト比200)、ITO微粒子(例えば、F−ITO[同和鉱業(株)製、商品名](酸化スズ/酸化インジウム=5/95(重量%)、平均一次粒子:0.08μm))等が例示される。
【0017】
本発明の(A)(a1)の導電性微粒子は、平均粒径5nm以上、0.4μm未満であるが、望ましくは平均粒径0.01〜0.1μmがよい。
導電性微粒子の平均粒径が、5nm未満では十分な導電率が得られなくなり、0.4μm以上になると必要な導電性が得られる量を配合すると透明性が低いものとなる。
【0018】
(a2)の粗大導電性微粒子は、特に針状又は扁平状の非円形の導電性微粒子(アスペクト比3〜600、好ましくは5〜300)が好しく、針状又は扁平状の非円形の導電性微粒子の平均粒径は、0.4μm以上、30μm未満で、好ましくは0.4μm以上、20μm未満である。
(a2)の粗大導電性微粒子としては、Sb,Sn,In,Ti,Si及びZnら選ばれた1種以上の金属を含む窒化物、酸化物、金属ドープ酸化物若しくは導電性カーボン又はこれらの組合わせからなるものが好ましい。
(a2)の粗大導電性微粒子の具体例としては、例えば、TiN/TiO2 /Cの複合導電性微粒子、例えばデントールNT−100[大塚化学(株)製、商品名]・(TiN/TiO2 /C系板状粉末、平均粒径15μm、アスペクト比5〜10)、デントールNT−200[同前](粒径:15μm・針状結晶)や酸化スズ系の複合粒子、例えばデントールWK−200B[大塚化学 ・(株)製、商品名](K2 0・6TiO2 /SnO2 、平均粒径15μm、アスペクト比30〜60);デントールWK−500[同前](TiO2 /SnO2 系粉末、平均粒径10μm、アスペクト比20〜50)、デントールWK−600[同前](TiO2 /SnO2 系粉末、平均粒径5μm、アスペクト比10〜30)や、板状結晶SiO2 /C系の導電性微粒子例えばデントールTM−200(平均粒径15μmアスペクト比30〜100)や板状ケイ酸塩/C系のデントールBK−400M(平均粒径6μm、アスペクト比20〜30[大塚化学(株)社製、商品名])や導電性カーボンブラック例えば#3050[三菱化成(株)製、商品名](粒度:40nm−次粒子、2次凝集体1μm以上で使用)、#3150[同前](粒度:25nm−次粒子、2次凝集体1μm以上で使用)、#3750[同前](粒度:28nm−次粒子、2次凝集体1μm以上で使用)等が例示される。
【0019】
(a2)の粗大導電性微粒子の平均粒径が0.4μm未満であると、すなわち(a1)微細導電性微粒子だけであると形成される透明導電膜は導電率の低いものとなる。
【0020】
(a1)の微細導電性微粒子と(a2)の粗大導電性微粒子の配合割合は、重量比で(a1):(a2)=10:0.05〜1.0、好ましくは10:0.07〜0.5の範囲とする。(a2)の粗大導電性微粒子が、重量比で0.05未満だと透明導電塗膜の導電率が不十分となり、逆に1.0を越えると透明導電塗膜の光透過率が不十分になるのでいずれも好ましくない。
【0021】
(a1)の微細導電性微粒子及び(a2)の粗大導電性微粒子以外の平均粒径の導電性微粒子が混在していてもよいが、微細導電性微粒子及び粗大導電性微粒子が全体の90重量%以上占めることが望ましく、特に平均粒径30μm以上の平均粒径の導電性微粒子は実質的に含まれていないことが望ましい。
【0022】
(a2)の粗大導電性微粒子の平均粒径は、(a1)の微細導電性微粒子の平均粒径の10倍以上であることが望ましい。
【0023】
本発明の透明導電膜の透明導電層には、(a)導電性微粒子とともに(b)有機導電材を併用することができる。(a)導電性微粒子と(b)有機導電材の割合は、重量比で(a);(b)=10:0.02〜5.0であることが望ましい。
【0024】
本発明の(A)(b)の有機導電材としては、(イ)ジオキシチオフェンポリスチレン系導電性樹脂液、(ロ)ポリピロール系導電性樹脂液、(ハ)電化移動型錯体、(ニ)ラジカル型導電性化合物、(ホ)キレート型導電性化合物等が挙げられる。
【0025】
(イ)のジオキシチオフェンポリスチレン系樹脂液としては、PEDT/PSS(Polyethylene Dioxythiophene polystylene sulphonate)[バイエル社商品名]が例示される。この樹脂は、単独の塗膜の表面抵抗が条件によっては150Ω/□にまで達する高い導電性を有している。(ロ)のポリピロール系導電性樹脂液としては、BasotronicPYR[バスフ社商品名]が挙げられる。この樹脂は、適切なドーパントを用いることにより10−3Ω/□の高い導電性を示す。(ハ)の電化移動型錯体としては、TCNQ(Tetra cyano quino dimethane) 錯体がよく知られており、(ニ)のラジカル型導電性化合物としては、例えば次のようなジフェニルヒドラジルが知られており、(ホ)のキレート型導電性化合物としては、例えば次のような銅フタロシアニン塩が知られている。
【0026】
これらの有機導電材のうち、高分子導電材が特に好適している。
(a)の導電性微粒子と(b)の有機導電材との割合は、重量比で(a):(b)=10:0.02〜5.0、好ましくは(a):(b)=10:0.05〜5.0とすることが望ましい。
本発明においては、透明導電層の導電性微粒子を透明導電層として固定するためにバインダー成分が用いられる。
【0027】
本発明に用いるバインダー成分としては、熱可塑性アクリル樹脂、セルロース系樹指、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、変性アルキッド樹脂、ポリエチレン、ポリフェノール、ポリアミノ酸、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂のような熱可塑性樹脂;ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂のような熱硬化性樹脂;硝化綿、UV(紫外線)硬化樹脂等が例示される。UV硬化樹脂の具体例としては、例えば、ステアリルアクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ビニル−2−ピロリドンのような単官能アクリレートモノマー、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレンググリコ一ルジアクリレートのような2官能アクリレートモノマー、トリメチロ−ルプロパントリアクリレートのような3官能アクリレートモノマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレートのような4官能以上の多官能アクリレートモノマー、エポキシ系アクリレート、ポリウレタン系アクリレートのようなアクリレートオリゴマー等が例示される。これらのUV硬化樹脂の光重合開始剤としては、チオキサントン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アントラキノン系光重合開始剤等が例示される。さらに、これらのUV硬化樹脂の光重合開始剤と併用される光重合促進剤としては、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が例示される。バインダー成分は、基材との密着性を左右する因子であるので、できるだけ基材と密着性がよく、しかも伸びの大きい合成樹脂を選択することが望ましい。
【0028】
上記バインダー成分を溶解又は分散させるとともに、導電性微粒子を分散させる溶剤(分散剤)としては基材を侵さないものであれば特に制限はなく、水系、アルコール系、エーテルアルコール系、エーテル系、エステル系、エーテルエステル系、ケトン系及びこれらの混合系のいずれも使用可能である。これらの溶剤(分散剤)の具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類等が例示される。
【0029】
本発明において透明導電層上の透明被覆層の成膜成分としては、バインダー成分に用いられる合成樹脂を用いることができる。透明被覆層を形成する材料として具体的には、熱可塑性アクリル樹脂、セルロース系樹指、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、変性アルキッド樹脂、ポリエチレン、ポリフェノール、ポリアミノ酸、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂のような熱可塑性樹脂;ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂のような熱硬化性樹脂;硝化綿、UV(紫外線)硬化樹脂等が例示される。また、透明導電層と透明被覆層のバインダーの組合せは品質劣化を起こさない組合せであれば自由に選択できる。さらに、透明被覆層自体は絶縁体でも帯電防止性能があるバインダーでもかまわない。殆どの合成樹脂が絶縁体に俗している。帯電防止性能を付与した合成樹脂としては前途した有機導電材を混合せたものや、ポリアマイドに第4 級アンモニウム塩を付加させたものなどある。しかし、この樹脂中へ導電性微粒子を添加することは導電性微粒子の欠落改良の目的からは逸脱する。
【0030】
なお、透明導電膜形成用塗料中には、遊離のイオンは可及的に少ないことが望ましく、特にハロゲンイオンやアルカリ金属イオンは電子機器の金属電極端子を腐食させるので、その含有量は極小にすることが望ましい。より望ましくは、ハロゲンイオンの含有量は10ppm以下とし、アルカリ金属イオンの含有量は1ppm以下とする。
【0031】
本発明における(A)の導電材とバインダー成分との割合は、導電材の100重量部に対して、バインダー成分が20〜300重量部の範囲とすることが望ましい。バインダー成分が300重量部を越えると塗膜の導電率が不十分になり、逆に20重量部未満では塗膜の光透過率や機械的特性が不十分になるので好ましくない。
【0032】
本発明の透明導電膜形成用の塗料には、以上の成分の他、界面活性剤その他の添加剤を配合することもできる。上記の界面活性剤としては、ノニオン及びカチオン系界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。
【0033】
本発明の透明導電膜は、上記の配合の透明導電層と透明被覆層の膜形成用塗料を基材に塗布乾燥させることにより形成される。
また、この透明被覆層には、前述した様に有機導電材を含有させることもできる。
【0034】
透明導電層の下面に形成される(C)のプライマー層としては、基本的に基材と密着性が良く、かつ上塗りの透明被覆層との密着の良いものでかつ、透明性を損なわないものであれば良い。例えば、アクリル系、塩素化オレフィン系、ウレタン系、エポキシ系プライマー等が例示される。
【0035】
本発明の透明導電膜は、基材上に直接又はプライマー層や接着剤層を介して、透明導電塗料を塗布し乾燥させて透明導電層を形成し、この透明導電層上に透明被覆塗料を塗布し乾燥させて形成される。
【0036】
透明導電層及び透明被覆層は、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スプレー法などによりそれぞれの塗料を塗布したのち、常温〜約80℃の範囲の温度で乾燥することにより形成される。
【0037】
これらの塗料が紫外線硬化型樹脂を含む場合には、例えばポリエステルフィルム上にバーコーターにて塗布後、50±5℃にて1〜2分程度乾燥した後、紫外線照射機にて紫外線を照射して硬化させることにより得られる。紫外線照射機としては、例えばシステムECS−151U[アイグラフィック(株)製、商品名](メタルハライドランプM015−L312コールドミラー集光、コンベアスピード2m/min、積算光量:667mJ/cm2 )を用いることができる。
【0038】
本発明の第1の実施例形態では、図1に示すように、合成樹脂フィルムや成型品等の部材1上に、直接透明導電層2を形成し、その上に透明被覆層3を形成して透明導電膜が形成される。このとき、透明導電層2を構成する粗大導電性微粒子2aの少なくとも一部が、透明被覆層3を貫通して表面に露出するように、透明被覆層3の平均厚さを粗大導電性微粒子2aの平均粒径よりも薄く形成する。
【0039】
第1の実施形態は、部材1が透明導電層2と接着し易い表面を有する場合に用いられる。
【0040】
本発明の第2の実施例形態では、図2に示すように、合成樹脂フィルムや成型品等の部材1上に、予めプライマー層4が形成され、その上に透明導電層2、透明被覆層3が順に塗布・乾燥を繰返して形成される。第2の実施形態においても、透明導電層2を構成する粗大導電性微粒子2aの少なくとも一部が、透明被覆層3を貫通して表面に露出するように、透明被覆層3の平均厚さを粗大導電性微粒子2aの平均粒径よりも薄く形成する。
【0041】
第2の実施形態は、部材1がポリプロピレンやポリエチレンのように透明導電層と接着し難い表面を有する場合に用いられる。
【0042】
第3の実施形態は、図3に示すように、部材1に代えて離型性のシート5を用いて、この離型性のシート5上に、プライマー層4、透明導電層2、透明被覆層3を順に形成することにより、転写可能な透明導電膜とすることができる。プライマー層4は、公知の透明接着剤層に代えてもよい。さらに、離型性のシート5上に、透明被覆層3、透明導電層2、プライマー層4、を順に形成するようにしてもよい。
【0043】
この複合シートは、離型性のシート5を剥離し、露出したプライマー層4又は透明接着剤層を、部材の表面に貼着することにより容易に部材表面に透明導電膜を形成することができる。
【0044】
本発明の透明導電膜の全体の厚さは、3〜40μmの範囲が好ましく、このうち、透明導電層の厚さは2〜30μm、透明絶縁膜の厚さは1〜30μmの範囲であることが好ましい。また、透明導電膜を構成する各層の厚さの比率は、透明導電層:透明被覆層=1:0.05〜5であることが望ましい。
【0045】
本発明においては、表面に帯電する電荷は、透明被覆層表面に露出する粗大導電性微粒子を介して透明導電層に移行し適当な接地手段によって除去される。
【0046】
一般に、透明導電塗膜は、帯電防止を目的とする場合にはエンボス加工後の延伸部の表面抵抗が5×106 〜9×1010Ω/□程度あることが必要とされるが、本発明の透明導電塗膜は表面の透明被覆膜が、透明導電層の亀裂発生や剥落を防止するため、このような表面抵抗を備えながら、70%以上の光透過率を備えている。さらに、透明絶縁層、透明導電層の材料、厚さを選択することにより、70%以上の光透過率を保持しながら、102 ×10−2Ω/□程度の低い表面抵抗を実現することが可能である。
【0047】
したがって、本発明に係る透明導電膜は、透明性を維持したまま帯電防止に必要な表面抵抗値を有し、さらに可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能と防眩性を有するので透明表示装置の前面板、電子部品の帯電防止等として効果的に利用することができる。
【0048】
また、本発明に係る透明導電膜形成用複合シートは、離型性シートを剥離して透明導電膜を必要な個所に貼着するだけで任意の部材の任意の表面に透明導電膜を形成することができるので、小規模な生産や個人的、家庭的な用途にも対応することができる。
【0049】
【実施例1】
ATO微粒子(商品名:SN−100P:平均一次粒子径0.02μm)19重量部と平均粒径10μmの粗大導電粒子のTiO2 /SnO2 微粒子(商品名:WK−500[大塚化学(株)社製])2重量部とポリウレタン樹脂溶液(商品名:ニッポラン5120:固形分30%〔日本ポリウレタン工業(株)社製〕)30重量部、レオドールSP−030[花王(株)社製、商品名](非イオン界面活性剤)2重量部、酢酸エチル20重量部、メチルエチルケトン17重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部を混合しビーズミルにて分散させて透明導電膜形成塗料を得た。分散終了点はグラインドゲージ値の最大値で10μm以下とした。
【0050】
この透明導電膜形成塗料をバーコーターにて厚さ400μmのポリスチレンフィルム上に乾燥膜厚が3〜5μmとなるように塗布し、50±5℃のオーブンを通過させて乾燥させた後、ポリウレタン樹脂溶液(商品名:ニッポラン5120:固形分30%〔日本ポリウレタン工業(株)社製〕)を乾燥膜厚1〜2μmとなるように上塗りする。再度、50±5℃のオーブンを通過させ乾燥し透明被覆層を形成させた。次に、このポリスチレンフィルムにプレス成形によりエンボス加工してポケットを形成した(最大延伸率200%)。尚、成形温度は200℃、成形時間は1ポット20秒である。
【0051】
【実施例2】
実施例1に於いて平均粒径10μmの粗大導電粒子のTiO2 /SnO2 微粒子(商品名:WK−500[大塚化学(株)社製])を1重量部とし、さらに有機導電材のジオキシチオフェンポリスチレン樹脂液(商品名:バイトロンP〔バイエル社製〕:PEDT=0.5%、PSS=0.8%)1重量部加えた他は実施例1と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0052】
【実施例3】
実施例2に於いて粗大導電粒子のWK−500の1重量部をデントールNT−100[大塚化学(株)製、商品名](TiN/TiO2 /C系板状粉末、平均粒径15μm、アスペクト比5〜10)1重量部に置き換え、かつ基材のポリスチレンフィルムをコロナ処理ポリプロピレンフィルムとし、プライマ−として変性ポリオレフィン(商品名:ユニストールP−401A〔三井化学(株)社製〕固形分11%)を乾燥膜厚1〜2μmとなるようにバーコーターにて塗布し常温で乾燥させた後は実施例2と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0053】
【実施例4】
実施例2に於いて透明被覆層の乾燥膜厚を3〜5μmとした他は実施例2と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0054】
【実施例5】
実施例1に於いて平均粒径0.02μmのATO微粒子(商品名:SN−100P:平均一次粒子径0.02μm)を15重量部とし、20重量%銀コロイド溶液(平均粒径0.01μm)4重量部を加えた他は実施例1と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0055】
【実施例6】
実施例2に於いて微細導電性微粒子を針状ATO微粒子FS−10P[石原産業(株)製、商品名](平均一次粒子の短軸平均粒径0.01μm、長軸平均一次粒子径2μm:アスペクト比200]15重量部とITO微粒子(商品名:F−ITO:平均一次粒子径0.08μm)4重量部の混合系に置き換え、かつポリウレタン樹脂に替えて熱可塑性アクリル樹脂溶液(商品名:サーモラックF−1:不揮発分30%〔綜研化学(株)社製〕)とし、かつメチルエチルケトン17重量部をイソプロピルアルコール17重量部に置き換えた他は実施例2と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させエンボス加工しポケットを形成した。
【0056】
【実施例7】
離型性シートポリエステルシート上へシリコーン離型剤([信越シリコーン (株)社製、商品名KF410]をコーターで塗布し含浸させたシートへ接着材層として特殊シリコーン変性エポキシ樹脂系弾性接着剤[セメダイン(株)社製、PM−210]をコーターで塗布の後、実施例1の透明導電塗料をバーコーターにて乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、50±5℃のオーブンを通過させて乾燥させた後、ポリウレタン樹脂溶液(商品名:ニッポラン5120:固形分30%〔日本ポリウレタン工業(株)社製〕)を乾燥膜厚10〜12μmとなるように上塗りする。再度、50±5℃のオーブンを通過させ乾燥し透明被覆層を形成させ透明導電形成用複合シートを作成した。このシートをポリスチレンフィルムに貼着させる。このポリスチレンフィルムを実施例1と同様にエンボス加工しポケットを形成した。
【0057】
【比較例1】
実施例1に於いて平均粒径5nm以上、30μm未満の導電性微粒子であるATO微粒子(商品名:SN−100P:平均一次粒子径0.02μm)を21重量部とし、粗大導電粒子を全く加えない他は実施例1と全く同様にして塗料及び塗膜を作製し、透明導電膜を得た。
【0058】
【比較例2】
実施例2に於いてポリウレタン樹脂溶液の上塗りをしない他は実施例2と全く同様にして塗料及び塗膜を作製し、透明導電膜を得た。
【0059】
【比較例3】
実施例6に於いて透明被覆層の乾燥膜厚を40〜50μmとした他は実施例6と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0060】
上記実施例及び比較例で得られた各透明導電膜サンプルについて塗膜中の導電粒子量と表面抵抗値〔エンボス加工前及びエンボス加工後延伸部〕、全光透過率、導電材のコスレ落ちと総合評価を表1に示す。
【0061】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を模式的に示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施例形態を模式的に示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1……部材、2……透明導電層、2a……粗大導電性微粒子、3……透明被覆層、4……プライマー層、5……離型性のシート。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明で可撓性に優れた透明導電膜、この透明導電膜を形成することのできる透明導電膜形成用複合シート及び表面に透明導電膜を有する透明プラスチック部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICをはじめとするトランジスター、ダイオード、コンデンサー、圧電素子レジスターなどの小型電子部品は、これらを熱可塑性樹脂テープにエンボス加工で形成したポケットに収容しその上をカバーテープで被覆したキャリアテープやトレーで保管、輸送、装着等が行われている。
【0003】
キャリアテープは、振動や摩擦により静電気が発生して帯電し、カバーテープを剥がすときに帯電した静電気が放電して収容した電子部品を静電破壊するため帯電防止の方策が講じられている。電子部品収納トレーも同様な帯電防止策が講じられている。また、キャリアテープのポケットに電子部品等が収納されているか否かの確認を、キャリアテープを透過した光を読取りセンサーで読取るため、キャリアテープは全光線透過率が50%以上の透明性をもつことが要望されている。電子部品収納トレーについても目視による電子部品の確認が出来る為、透明性が要望されている。
【0004】
キャリアテープやトレーの帯電防止の方法としては、これら原料の熱可塑性樹脂に炭素粉末、金属粉末等の導電性微粒子を練り込む方法、キャリアテープやトレーの表面にスパッタリング等により金属層を形成する方法等が知られているが、前者の方法では、キャリアテープやトレーが不透明となってポケット内の電子部品の確認ができないという問題があり、後者の方法では、製作コストが高くなるという問題があった。
【0005】
さらに、近時、熱可塑性樹脂フィルム上にITOやATOを含有する透明導電塗料を塗布して塗膜の透明性を保持しようとする提案もなされているが、このようにして導電性を付与した熱可塑性樹脂フィルムから形成されたキャリアテープやトレーは、平坦な状態では所定の導電性を保持してもエンボス加工をするとフィルムが大きく伸長されるため必要な導電性が得られなくなるという問題があった。また、導電性を高くするため導電性微粒子を多量に配合すると必要な透明性が得られないことや、導電粒子の欠落がし易くなるという問題もあった。
【0006】
一般に、透明導電塗料の塗布により、エンボス加工キャリアテープに帯電防止機能を付与するためには、透明導電塗料の乾燥塗布膜の厚さ2〜10μmで全光線透過率は50%以上、エンボス加工後の表面抵抗値は5×106 〜9×1010Ω/□、塗膜の伸び率(基材に密着した状態)60%以上が必要とされるが、従来の透明導電塗料でこのような条件を満たすものは知られていない。
【0007】
すなわち、透明性と低表面抵抗を満足させるためには、塗布厚を薄くして全光線透過率を高くするとともにバインダー成分を少なくして抵抗値を低くする必要があるが、このような透明導電膜はフィルムへの密着性が悪い上に導電性微粒子どうしの結着力が低いため、エンボス加工によって表面抵抗が著しく上昇してしまうという問題があった。
【0008】
また、エンボス加工をしない用途においても、透明導電膜には、高い透明性と低い表面抵抗値が要求されるが、これらの特性を満足させるためには、導電性微粒子を結着するバインダー成分の量を少なくしなければならず、このため摩擦や水分等の影響により導電性微粒子相互の接触状態が変化して表面抵抗が経時的に上昇するという問題があった。
【0009】
さらに、従来の透明導電膜の形成方法は、透明導電膜の形成や塗膜の乾燥等にいずれも大掛かりな装置を必要とするため、小規模な生産や個人的、家庭的な用途には対応できないという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の帯電防止機能を付与したキャリアテープやトレーのうち、これら原料の熱可塑性樹脂に炭素粉末、金属粉末等の導電性微粒子を練り込んだものでは、不透明となってポケット内の電子部品の確認ができないという問題があった。また、キャリアテープやトレーの表面にスパッタリング等により金属層を形成したものでは、製作コストが高くなるという問題がある。表面に透明導電塗料による塗膜を形成したものでは、エンボス加工をするとフィルムが大きく伸長されるため必要な導電性が得られなくなるという問題があり、導電性を高くしようとすると必要な透明性が得られなくなり、かつ導電粒子の欠落という問題があった。
【0011】
また、エンボス加工をしない用途においても、従来の透明導電膜には、摩擦や水分等の影響により導電性微粒子相互の接触状態が変化して表面抵抗が経時的に上昇するという問題があった。
【0012】
さらに、従来の透明導電膜の形成方法は、透明導電膜の形成や塗膜の乾燥等にいずれも大掛かりな装置を必要とするため、小規模な生産や個人的、家庭的な用途には対応できないという問題があった。
【0013】
本発明は、かかる従来の問題を解消すべくなされたもので、エンボス加工キャリアテープに必要な透明性、導電性及び伸びを備え、かつエンボス加工をしない用途においても低い表面抵抗を実現することができ、かつ摩擦や水分等の影響により表面抵抗が経時的に変化しにくい透明導電膜、かかる透明導電膜を簡便に形成することのできる透明導電膜形成用複合シート及びかかる透明導電膜を有する透明プラスチック部材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の透明導電膜は、(A)(a1)平均粒径5nm以上、0.4μm未満の微細導電性微粒子と(a2)平均粒径0.4μm以上、30μm未満の粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、(B)前記透明導電層上に形成された、好ましくは粗大導電粒子(a2)以下の膜厚の透明被覆層とからなり、前記透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が前記透明被覆層を貫通して表面に露出していることを特徴としている。
【0015】
本発明における導電性微粒子の粒径は、針状又は扁平状の導電性微粒子の場合には長軸方向の粒径を意味する。
【0016】
本発明に用いられる(a1)の微細導電性微粒子としては、▲1▼Sb,Sn,In,Ti,Si及びZnから選ばれた1種以上の金属を含む酸化物微粒子と、▲2▼Ag,Pd,Cu,Ni,Ru,Rh,Fe,Pt,Cr,Co,Al,Ta,Pb,Os及びIrから選ばれた1種以上の金属コロイド微粒子とを含むことが好ましい。具体的には、酸化スズ、酸化インジウムを主成分とする粉体の単独又は2種以上混合した導電性微粒子や、酸化スズ、酸化インジウムにSb、Sn、Mg、Ga、Ti、P、Zn、等の異種金属をドープさせた導電性微粒子が挙げられる。これらの導電性微粒子に、酸素欠陥を助長する処理、窒素雰囲気中で熱処理して窒化物とする処理、水素等の還元性雰囲気中で表面を還元させる処理等を施したものも好適に使用される。導電性微粒子の好ましい具体例としては、例えば、銀含有コロイド液、酸化スズ微粒子、酸化インジウム微粒子、酸化スズや酸化インジウムの微粒子に、Sb、Sn、Mg、Ga、Ti、P、Zn等の異種金属をドープさせた微粒子、ATO微粒子(例えば、SN−100P[石原産業(株)製、商品名](二酸化スズ/五酸化アンチモン=88/12(重量%)、平均一次粒子:0.02μmの球状粒子)、針状のATO微粒子FS−10P [石原産業(株)製、商品名]:(二酸化スズ/五酸化アンチモン=88/12、平均一次粒子の短軸平均粒径0.01μm、長軸平均一次粒子径2μm:アスペクト比200)、ITO微粒子(例えば、F−ITO[同和鉱業(株)製、商品名](酸化スズ/酸化インジウム=5/95(重量%)、平均一次粒子:0.08μm))等が例示される。
【0017】
本発明の(A)(a1)の導電性微粒子は、平均粒径5nm以上、0.4μm未満であるが、望ましくは平均粒径0.01〜0.1μmがよい。
導電性微粒子の平均粒径が、5nm未満では十分な導電率が得られなくなり、0.4μm以上になると必要な導電性が得られる量を配合すると透明性が低いものとなる。
【0018】
(a2)の粗大導電性微粒子は、特に針状又は扁平状の非円形の導電性微粒子(アスペクト比3〜600、好ましくは5〜300)が好しく、針状又は扁平状の非円形の導電性微粒子の平均粒径は、0.4μm以上、30μm未満で、好ましくは0.4μm以上、20μm未満である。
(a2)の粗大導電性微粒子としては、Sb,Sn,In,Ti,Si及びZnら選ばれた1種以上の金属を含む窒化物、酸化物、金属ドープ酸化物若しくは導電性カーボン又はこれらの組合わせからなるものが好ましい。
(a2)の粗大導電性微粒子の具体例としては、例えば、TiN/TiO2 /Cの複合導電性微粒子、例えばデントールNT−100[大塚化学(株)製、商品名]・(TiN/TiO2 /C系板状粉末、平均粒径15μm、アスペクト比5〜10)、デントールNT−200[同前](粒径:15μm・針状結晶)や酸化スズ系の複合粒子、例えばデントールWK−200B[大塚化学 ・(株)製、商品名](K2 0・6TiO2 /SnO2 、平均粒径15μm、アスペクト比30〜60);デントールWK−500[同前](TiO2 /SnO2 系粉末、平均粒径10μm、アスペクト比20〜50)、デントールWK−600[同前](TiO2 /SnO2 系粉末、平均粒径5μm、アスペクト比10〜30)や、板状結晶SiO2 /C系の導電性微粒子例えばデントールTM−200(平均粒径15μmアスペクト比30〜100)や板状ケイ酸塩/C系のデントールBK−400M(平均粒径6μm、アスペクト比20〜30[大塚化学(株)社製、商品名])や導電性カーボンブラック例えば#3050[三菱化成(株)製、商品名](粒度:40nm−次粒子、2次凝集体1μm以上で使用)、#3150[同前](粒度:25nm−次粒子、2次凝集体1μm以上で使用)、#3750[同前](粒度:28nm−次粒子、2次凝集体1μm以上で使用)等が例示される。
【0019】
(a2)の粗大導電性微粒子の平均粒径が0.4μm未満であると、すなわち(a1)微細導電性微粒子だけであると形成される透明導電膜は導電率の低いものとなる。
【0020】
(a1)の微細導電性微粒子と(a2)の粗大導電性微粒子の配合割合は、重量比で(a1):(a2)=10:0.05〜1.0、好ましくは10:0.07〜0.5の範囲とする。(a2)の粗大導電性微粒子が、重量比で0.05未満だと透明導電塗膜の導電率が不十分となり、逆に1.0を越えると透明導電塗膜の光透過率が不十分になるのでいずれも好ましくない。
【0021】
(a1)の微細導電性微粒子及び(a2)の粗大導電性微粒子以外の平均粒径の導電性微粒子が混在していてもよいが、微細導電性微粒子及び粗大導電性微粒子が全体の90重量%以上占めることが望ましく、特に平均粒径30μm以上の平均粒径の導電性微粒子は実質的に含まれていないことが望ましい。
【0022】
(a2)の粗大導電性微粒子の平均粒径は、(a1)の微細導電性微粒子の平均粒径の10倍以上であることが望ましい。
【0023】
本発明の透明導電膜の透明導電層には、(a)導電性微粒子とともに(b)有機導電材を併用することができる。(a)導電性微粒子と(b)有機導電材の割合は、重量比で(a);(b)=10:0.02〜5.0であることが望ましい。
【0024】
本発明の(A)(b)の有機導電材としては、(イ)ジオキシチオフェンポリスチレン系導電性樹脂液、(ロ)ポリピロール系導電性樹脂液、(ハ)電化移動型錯体、(ニ)ラジカル型導電性化合物、(ホ)キレート型導電性化合物等が挙げられる。
【0025】
(イ)のジオキシチオフェンポリスチレン系樹脂液としては、PEDT/PSS(Polyethylene Dioxythiophene polystylene sulphonate)[バイエル社商品名]が例示される。この樹脂は、単独の塗膜の表面抵抗が条件によっては150Ω/□にまで達する高い導電性を有している。(ロ)のポリピロール系導電性樹脂液としては、BasotronicPYR[バスフ社商品名]が挙げられる。この樹脂は、適切なドーパントを用いることにより10−3Ω/□の高い導電性を示す。(ハ)の電化移動型錯体としては、TCNQ(Tetra cyano quino dimethane) 錯体がよく知られており、(ニ)のラジカル型導電性化合物としては、例えば次のようなジフェニルヒドラジルが知られており、(ホ)のキレート型導電性化合物としては、例えば次のような銅フタロシアニン塩が知られている。
【0026】
これらの有機導電材のうち、高分子導電材が特に好適している。
(a)の導電性微粒子と(b)の有機導電材との割合は、重量比で(a):(b)=10:0.02〜5.0、好ましくは(a):(b)=10:0.05〜5.0とすることが望ましい。
本発明においては、透明導電層の導電性微粒子を透明導電層として固定するためにバインダー成分が用いられる。
【0027】
本発明に用いるバインダー成分としては、熱可塑性アクリル樹脂、セルロース系樹指、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、変性アルキッド樹脂、ポリエチレン、ポリフェノール、ポリアミノ酸、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂のような熱可塑性樹脂;ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂のような熱硬化性樹脂;硝化綿、UV(紫外線)硬化樹脂等が例示される。UV硬化樹脂の具体例としては、例えば、ステアリルアクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ビニル−2−ピロリドンのような単官能アクリレートモノマー、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレンググリコ一ルジアクリレートのような2官能アクリレートモノマー、トリメチロ−ルプロパントリアクリレートのような3官能アクリレートモノマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレートのような4官能以上の多官能アクリレートモノマー、エポキシ系アクリレート、ポリウレタン系アクリレートのようなアクリレートオリゴマー等が例示される。これらのUV硬化樹脂の光重合開始剤としては、チオキサントン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アントラキノン系光重合開始剤等が例示される。さらに、これらのUV硬化樹脂の光重合開始剤と併用される光重合促進剤としては、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が例示される。バインダー成分は、基材との密着性を左右する因子であるので、できるだけ基材と密着性がよく、しかも伸びの大きい合成樹脂を選択することが望ましい。
【0028】
上記バインダー成分を溶解又は分散させるとともに、導電性微粒子を分散させる溶剤(分散剤)としては基材を侵さないものであれば特に制限はなく、水系、アルコール系、エーテルアルコール系、エーテル系、エステル系、エーテルエステル系、ケトン系及びこれらの混合系のいずれも使用可能である。これらの溶剤(分散剤)の具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類等が例示される。
【0029】
本発明において透明導電層上の透明被覆層の成膜成分としては、バインダー成分に用いられる合成樹脂を用いることができる。透明被覆層を形成する材料として具体的には、熱可塑性アクリル樹脂、セルロース系樹指、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、変性アルキッド樹脂、ポリエチレン、ポリフェノール、ポリアミノ酸、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂のような熱可塑性樹脂;ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂のような熱硬化性樹脂;硝化綿、UV(紫外線)硬化樹脂等が例示される。また、透明導電層と透明被覆層のバインダーの組合せは品質劣化を起こさない組合せであれば自由に選択できる。さらに、透明被覆層自体は絶縁体でも帯電防止性能があるバインダーでもかまわない。殆どの合成樹脂が絶縁体に俗している。帯電防止性能を付与した合成樹脂としては前途した有機導電材を混合せたものや、ポリアマイドに第4 級アンモニウム塩を付加させたものなどある。しかし、この樹脂中へ導電性微粒子を添加することは導電性微粒子の欠落改良の目的からは逸脱する。
【0030】
なお、透明導電膜形成用塗料中には、遊離のイオンは可及的に少ないことが望ましく、特にハロゲンイオンやアルカリ金属イオンは電子機器の金属電極端子を腐食させるので、その含有量は極小にすることが望ましい。より望ましくは、ハロゲンイオンの含有量は10ppm以下とし、アルカリ金属イオンの含有量は1ppm以下とする。
【0031】
本発明における(A)の導電材とバインダー成分との割合は、導電材の100重量部に対して、バインダー成分が20〜300重量部の範囲とすることが望ましい。バインダー成分が300重量部を越えると塗膜の導電率が不十分になり、逆に20重量部未満では塗膜の光透過率や機械的特性が不十分になるので好ましくない。
【0032】
本発明の透明導電膜形成用の塗料には、以上の成分の他、界面活性剤その他の添加剤を配合することもできる。上記の界面活性剤としては、ノニオン及びカチオン系界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。
【0033】
本発明の透明導電膜は、上記の配合の透明導電層と透明被覆層の膜形成用塗料を基材に塗布乾燥させることにより形成される。
また、この透明被覆層には、前述した様に有機導電材を含有させることもできる。
【0034】
透明導電層の下面に形成される(C)のプライマー層としては、基本的に基材と密着性が良く、かつ上塗りの透明被覆層との密着の良いものでかつ、透明性を損なわないものであれば良い。例えば、アクリル系、塩素化オレフィン系、ウレタン系、エポキシ系プライマー等が例示される。
【0035】
本発明の透明導電膜は、基材上に直接又はプライマー層や接着剤層を介して、透明導電塗料を塗布し乾燥させて透明導電層を形成し、この透明導電層上に透明被覆塗料を塗布し乾燥させて形成される。
【0036】
透明導電層及び透明被覆層は、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スプレー法などによりそれぞれの塗料を塗布したのち、常温〜約80℃の範囲の温度で乾燥することにより形成される。
【0037】
これらの塗料が紫外線硬化型樹脂を含む場合には、例えばポリエステルフィルム上にバーコーターにて塗布後、50±5℃にて1〜2分程度乾燥した後、紫外線照射機にて紫外線を照射して硬化させることにより得られる。紫外線照射機としては、例えばシステムECS−151U[アイグラフィック(株)製、商品名](メタルハライドランプM015−L312コールドミラー集光、コンベアスピード2m/min、積算光量:667mJ/cm2 )を用いることができる。
【0038】
本発明の第1の実施例形態では、図1に示すように、合成樹脂フィルムや成型品等の部材1上に、直接透明導電層2を形成し、その上に透明被覆層3を形成して透明導電膜が形成される。このとき、透明導電層2を構成する粗大導電性微粒子2aの少なくとも一部が、透明被覆層3を貫通して表面に露出するように、透明被覆層3の平均厚さを粗大導電性微粒子2aの平均粒径よりも薄く形成する。
【0039】
第1の実施形態は、部材1が透明導電層2と接着し易い表面を有する場合に用いられる。
【0040】
本発明の第2の実施例形態では、図2に示すように、合成樹脂フィルムや成型品等の部材1上に、予めプライマー層4が形成され、その上に透明導電層2、透明被覆層3が順に塗布・乾燥を繰返して形成される。第2の実施形態においても、透明導電層2を構成する粗大導電性微粒子2aの少なくとも一部が、透明被覆層3を貫通して表面に露出するように、透明被覆層3の平均厚さを粗大導電性微粒子2aの平均粒径よりも薄く形成する。
【0041】
第2の実施形態は、部材1がポリプロピレンやポリエチレンのように透明導電層と接着し難い表面を有する場合に用いられる。
【0042】
第3の実施形態は、図3に示すように、部材1に代えて離型性のシート5を用いて、この離型性のシート5上に、プライマー層4、透明導電層2、透明被覆層3を順に形成することにより、転写可能な透明導電膜とすることができる。プライマー層4は、公知の透明接着剤層に代えてもよい。さらに、離型性のシート5上に、透明被覆層3、透明導電層2、プライマー層4、を順に形成するようにしてもよい。
【0043】
この複合シートは、離型性のシート5を剥離し、露出したプライマー層4又は透明接着剤層を、部材の表面に貼着することにより容易に部材表面に透明導電膜を形成することができる。
【0044】
本発明の透明導電膜の全体の厚さは、3〜40μmの範囲が好ましく、このうち、透明導電層の厚さは2〜30μm、透明絶縁膜の厚さは1〜30μmの範囲であることが好ましい。また、透明導電膜を構成する各層の厚さの比率は、透明導電層:透明被覆層=1:0.05〜5であることが望ましい。
【0045】
本発明においては、表面に帯電する電荷は、透明被覆層表面に露出する粗大導電性微粒子を介して透明導電層に移行し適当な接地手段によって除去される。
【0046】
一般に、透明導電塗膜は、帯電防止を目的とする場合にはエンボス加工後の延伸部の表面抵抗が5×106 〜9×1010Ω/□程度あることが必要とされるが、本発明の透明導電塗膜は表面の透明被覆膜が、透明導電層の亀裂発生や剥落を防止するため、このような表面抵抗を備えながら、70%以上の光透過率を備えている。さらに、透明絶縁層、透明導電層の材料、厚さを選択することにより、70%以上の光透過率を保持しながら、102 ×10−2Ω/□程度の低い表面抵抗を実現することが可能である。
【0047】
したがって、本発明に係る透明導電膜は、透明性を維持したまま帯電防止に必要な表面抵抗値を有し、さらに可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能と防眩性を有するので透明表示装置の前面板、電子部品の帯電防止等として効果的に利用することができる。
【0048】
また、本発明に係る透明導電膜形成用複合シートは、離型性シートを剥離して透明導電膜を必要な個所に貼着するだけで任意の部材の任意の表面に透明導電膜を形成することができるので、小規模な生産や個人的、家庭的な用途にも対応することができる。
【0049】
【実施例1】
ATO微粒子(商品名:SN−100P:平均一次粒子径0.02μm)19重量部と平均粒径10μmの粗大導電粒子のTiO2 /SnO2 微粒子(商品名:WK−500[大塚化学(株)社製])2重量部とポリウレタン樹脂溶液(商品名:ニッポラン5120:固形分30%〔日本ポリウレタン工業(株)社製〕)30重量部、レオドールSP−030[花王(株)社製、商品名](非イオン界面活性剤)2重量部、酢酸エチル20重量部、メチルエチルケトン17重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部を混合しビーズミルにて分散させて透明導電膜形成塗料を得た。分散終了点はグラインドゲージ値の最大値で10μm以下とした。
【0050】
この透明導電膜形成塗料をバーコーターにて厚さ400μmのポリスチレンフィルム上に乾燥膜厚が3〜5μmとなるように塗布し、50±5℃のオーブンを通過させて乾燥させた後、ポリウレタン樹脂溶液(商品名:ニッポラン5120:固形分30%〔日本ポリウレタン工業(株)社製〕)を乾燥膜厚1〜2μmとなるように上塗りする。再度、50±5℃のオーブンを通過させ乾燥し透明被覆層を形成させた。次に、このポリスチレンフィルムにプレス成形によりエンボス加工してポケットを形成した(最大延伸率200%)。尚、成形温度は200℃、成形時間は1ポット20秒である。
【0051】
【実施例2】
実施例1に於いて平均粒径10μmの粗大導電粒子のTiO2 /SnO2 微粒子(商品名:WK−500[大塚化学(株)社製])を1重量部とし、さらに有機導電材のジオキシチオフェンポリスチレン樹脂液(商品名:バイトロンP〔バイエル社製〕:PEDT=0.5%、PSS=0.8%)1重量部加えた他は実施例1と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0052】
【実施例3】
実施例2に於いて粗大導電粒子のWK−500の1重量部をデントールNT−100[大塚化学(株)製、商品名](TiN/TiO2 /C系板状粉末、平均粒径15μm、アスペクト比5〜10)1重量部に置き換え、かつ基材のポリスチレンフィルムをコロナ処理ポリプロピレンフィルムとし、プライマ−として変性ポリオレフィン(商品名:ユニストールP−401A〔三井化学(株)社製〕固形分11%)を乾燥膜厚1〜2μmとなるようにバーコーターにて塗布し常温で乾燥させた後は実施例2と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0053】
【実施例4】
実施例2に於いて透明被覆層の乾燥膜厚を3〜5μmとした他は実施例2と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0054】
【実施例5】
実施例1に於いて平均粒径0.02μmのATO微粒子(商品名:SN−100P:平均一次粒子径0.02μm)を15重量部とし、20重量%銀コロイド溶液(平均粒径0.01μm)4重量部を加えた他は実施例1と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0055】
【実施例6】
実施例2に於いて微細導電性微粒子を針状ATO微粒子FS−10P[石原産業(株)製、商品名](平均一次粒子の短軸平均粒径0.01μm、長軸平均一次粒子径2μm:アスペクト比200]15重量部とITO微粒子(商品名:F−ITO:平均一次粒子径0.08μm)4重量部の混合系に置き換え、かつポリウレタン樹脂に替えて熱可塑性アクリル樹脂溶液(商品名:サーモラックF−1:不揮発分30%〔綜研化学(株)社製〕)とし、かつメチルエチルケトン17重量部をイソプロピルアルコール17重量部に置き換えた他は実施例2と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させエンボス加工しポケットを形成した。
【0056】
【実施例7】
離型性シートポリエステルシート上へシリコーン離型剤([信越シリコーン (株)社製、商品名KF410]をコーターで塗布し含浸させたシートへ接着材層として特殊シリコーン変性エポキシ樹脂系弾性接着剤[セメダイン(株)社製、PM−210]をコーターで塗布の後、実施例1の透明導電塗料をバーコーターにて乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、50±5℃のオーブンを通過させて乾燥させた後、ポリウレタン樹脂溶液(商品名:ニッポラン5120:固形分30%〔日本ポリウレタン工業(株)社製〕)を乾燥膜厚10〜12μmとなるように上塗りする。再度、50±5℃のオーブンを通過させ乾燥し透明被覆層を形成させ透明導電形成用複合シートを作成した。このシートをポリスチレンフィルムに貼着させる。このポリスチレンフィルムを実施例1と同様にエンボス加工しポケットを形成した。
【0057】
【比較例1】
実施例1に於いて平均粒径5nm以上、30μm未満の導電性微粒子であるATO微粒子(商品名:SN−100P:平均一次粒子径0.02μm)を21重量部とし、粗大導電粒子を全く加えない他は実施例1と全く同様にして塗料及び塗膜を作製し、透明導電膜を得た。
【0058】
【比較例2】
実施例2に於いてポリウレタン樹脂溶液の上塗りをしない他は実施例2と全く同様にして塗料及び塗膜を作製し、透明導電膜を得た。
【0059】
【比較例3】
実施例6に於いて透明被覆層の乾燥膜厚を40〜50μmとした他は実施例6と同様に透明導電膜形成塗料及び透明被覆膜を形成させ、エンボス加工しポケットを形成した。
【0060】
上記実施例及び比較例で得られた各透明導電膜サンプルについて塗膜中の導電粒子量と表面抵抗値〔エンボス加工前及びエンボス加工後延伸部〕、全光透過率、導電材のコスレ落ちと総合評価を表1に示す。
【0061】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を模式的に示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施例形態を模式的に示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1……部材、2……透明導電層、2a……粗大導電性微粒子、3……透明被覆層、4……プライマー層、5……離型性のシート。
Claims (9)
- (A)(a1)平均粒径5nm以上、0.4μm未満の微細導電性微粒子と(a2)平均粒径0.4μm以上、30μm未満の粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、(B)前記透明導電層上に形成された透明被覆層とからなり、前記透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が前記透明被覆層を貫通して表面に露出していることを特徴とする透明導電膜。
- (A)(a1)平均粒径5nm以上、0.4μm未満の微細導電性微粒子と(a2)平均粒径0.4μm以上、30μm未満の粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、(B)前記透明導電層上に形成された透明被覆層と、(C)前記透明導電層の下面に形成されたプライマー層とからなり、前記透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が前記透明被覆層を貫通して表面に露出していることを特徴とする透明導電膜。
- 前記導電性微粒子の微細導電性微粒子と粗大導電性微粒子の混合比が、重量比で(a1):(a2)=10:0.05〜1.0であることを特徴とする請求項1又は2記載の記載の透明導電膜。
- 微細導電性微粒子(a1)が、▲1▼Sb,Sn,In,Ti,Si及びZnから選ばれた1種以上の金属を含む酸化物微粒子と、▲2▼Ag,Pd,Cu,Ni,Ru,Rh,Fe,Pt,Cr,Co,Al,Ta,Pb,Os及びIrから選ばれた1種以上の金属コロイド微粒子とを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の透明導電膜。
- 粗大導電性微粒子(a2)が、Sb,Sn,In,Ti,Si及びZnら選ばれた1種以上の金属を含む窒化物、酸化物、金属ドープ酸化物若しくは導電性カーボン又はこれらの組合わせからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の透明導電膜。
- 前記透明導電層がバインダ成分を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の透明導電膜。
- 前記粗大導電性微粒子の平均粒径が、前記微細導電性微粒子の平均粒径の10倍以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の透明導電膜。
- (A)(a1)平均粒径5nm以上、0.4μm未満の微細導電性微粒子と(a2)平均粒径0.4μm以上、30μm未満の粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、(B)前記透明導電層上に形成された透明被覆層と、(C)前記透明導電層の下面に形成されたプライマー層と、(D)前記プライマー層の露出面に貼着された離型性フィルムとからなり、前記透明導電層を構成する粗大導電性微粒子の少なくとも一部が前記透明被覆層を貫通して表面に露出していることを特徴とする透明導電膜形成用複合シート。
- (A)(a1)平均粒径5nm以上、0.4μm未満の微細導電性微粒子と(a2)平均粒径0.4μm以上、30μm未満の粗大導電性微粒子との混合物からなる導電性微粒子を含む透明導電層と、(B)前記透明導電層上に形成された透明被覆層とからなる透明導電膜を、プライマー層及び/又は接着剤層を介して電気絶縁性部材の表面に形成してなることを特徴とする表面に透明導電膜を有する透明プラスチック部材。
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2002
- 2002-12-02 JP JP2002350171A patent/JP2004185914A/ja not_active Withdrawn
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