JP2004184512A - 電子写真機器部材用半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器部材 - Google Patents

電子写真機器部材用半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高電圧領域での電気抵抗の上昇が小さく、しかも電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れた、電子写真機器部材用半導電性組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)および(B)を必須成分とする電子写真機器部材用半導電性組成物であって、(A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有するとともに、(B)のバインダーポリマーが、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有する電子写真機器部材用半導電性組成物である。
(A)界面活性剤構造を有する導電性ポリマー。
(B)バインダーポリマー。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真機器部材用半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器部材に関するものであり、詳しくは現像ロール等の電子写真機器部材に用いられる半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、現像ロール等の電子写真機器部材に用いられる導電性組成物は、好適に使用するためには電気抵抗の制御が必須である。そのため、従来は、樹脂やゴム等のバインダーポリマーに、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤や、カーボンブラック等の電子導電剤を配合することにより、電気抵抗の制御を行っていた。
【0003】
上記導電剤のうち、このイオン導電剤は、バインダーポリマーに溶解するため、導電性のばらつきが小さく、また電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が小さく、電気抵抗の電圧依存性に優れるという利点がある。しかし、イオン導電剤は水分等の影響を受けやすく、高温高湿と低温低湿の条件下では電気抵抗が2桁以上変動するため、電気抵抗の環境依存性に劣り、電子写真機器部材としての使用には制約が多い。一方、カーボンブラック等の電子導電剤は、水分等の影響を受けにくく、高温高湿と低温低湿の条件下での電気抵抗の変動が小さいため、電気抵抗の環境依存性に優れているという利点がある。しかし、電子導電剤は、一般に、凝集性が強いため、バインダーポリマー中での均一分散が困難であり、したがって、電気抵抗のばらつきが大きく、導電性の制御が困難である。また、比較的均一に分散している場合でも、導電性発現のメカニズムがバインダーポリマー中のカーボン間を、電子が高電圧により伝わるトンネル効果もしくはホッピング現象によるものであるため、電圧を変化させた時の電気抵抗の変動が大きく、電気抵抗の電圧依存性に劣る。
【0004】
これらの問題を解決するため、従来、ポリウレタンロール表面に、ポリアニリンとナイロンの複合体を固定したロール状の帯電部材(特許文献1参照)や、π電子共役系導電性高分子、樹脂成分および溶剤を含む帯電防止膜形成用組成物(特許文献2参照)が提案されている。また、組成材料中に、電子導電性を付与する導電剤と、ポリアニリン等の導電性ポリマーとを含有する中間転写体(特許文献3参照)や、酸性基を有する水溶性ポリアニリンと、水溶性高分子化合物または水系エマルジョン形成高分子化合物からなる水系高分子化合物とを含有する半導電性部材(特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、特許文献1では、導電性ポリマーであるポリアニリンと、ナイロンの相溶性が悪く、1μm以上の粒として凝集した組成物となっているため、電気抵抗の初期特性、電気抵抗の電圧依存性に劣り、特許文献2では、π電子共役系導電性高分子と、樹脂成分との相溶性が悪いために、電気抵抗の電圧依存性に劣る。また、特許文献3では、ポリアニリン等の導電性ポリマーが、電子導電性を付与する導電剤とのブレンド時に、脱ドープが必須で、その場合もN−メチル−2−ピロリドン(NMP)という特殊溶剤にしか溶解しないため、電子導電性を付与する導電剤と、導電性ポリマーとのブレンドが非常に困難である。また、塗膜形成後に酸化処理が必要であり、均一な制御が難しく、工程も煩雑である。特許文献4では、酸性基を有する水溶性ポリアニリンが水溶性であるため、製品への塗布時にハジキや塗布ムラが発生したり、湿熱条件で放置した場合の経時変化が大きく、電子写真機器部材としての使用には制約が大きい。
【0005】
これらの問題を解決すべく、本発明者らは、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを必須成分とする導電性組成物について、すでに特許出願を行っている(特許文献5参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−88506号公報
【特許文献2】
特開平9−48921号公報
【特許文献3】
特開2001−324882号公報
【特許文献4】
特開2002−89543号公報
【特許文献5】
特開2002−167519号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、特許文献5に記載の導電性組成物について、さらに検討を重ねた結果、このものは、水との親和性は良いが、溶剤への溶解性が悪いため、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーと、バインダーポリマーとの相溶性が若干劣って凝集物が発生し、そのため、高電圧領域で電気抵抗の上昇傾向がみられることを突き止めた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高電圧領域での電気抵抗の上昇が小さく、しかも電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れた、電子写真機器部材用半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器部材の提供をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)および(B)を必須成分とする電子写真機器部材用半導電性組成物であって、(A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有するとともに、(B)のバインダーポリマーが、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有する電子写真機器部材用半導電性組成物を第1の要旨とし、この電子写真機器部材用半導電性組成物を、電子写真機器部材の少なくとも一部に用いた電子写真機器部材を第2の要旨とする。
(A)界面活性剤構造を有する導電性ポリマー。
(B)バインダーポリマー。
【0010】
すなわち、本発明者らは、高電圧領域での電気抵抗の上昇が小さく、しかも電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れた、半導電性組成物を得るべく、鋭意研究を重ねた。その結果、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤を用いて、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーを形成し、この導電性ポリマーとともに、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有するバインダーポリマーを併用すると、両者の相溶性が良好となって凝集物の発生を抑制できるため、高電圧領域での電気抵抗の上昇が小さくなり、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物は、界面活性剤構造を有する導電性ポリマー(A成分)と、バインダーポリマー(B成分)とを用いて得ることができる。
【0013】
本発明においては、界面活性剤構造を有する導電性ポリマー(A成分)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基(−SOH)を有するとともに、バインダーポリマー(B成分)が、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有しているのであり、これが最大の特徴である。
【0014】
この界面活性剤構造を有する導電性ポリマー(A成分)は、例えば、導電性ポリマーの原料モノマーと、特定の界面活性剤とを、酸化剤の存在下に、水中で酸化重合させる等の化学酸化重合法等によって製造することができる。
【0015】
このような導電性ポリマーの原料モノマーとしては、重合体がドーピングにより導電性を有するものであれば特に限定はなく、例えば、アニリン(アニリン誘導体の他、アニリン塩酸塩等のアニリン塩も含む)、ピロール、チオフェン、アルキルチオフェン、エチレンジオキシチオフェン、イソナフトチオフェン、3−チオフェン−β−エタンスルホン酸、ジチェノチオフェン、アセチレン、パラフェニレン、フェニンビニレン、フラン、セレノフェン、テルロフェン、イソチアナフテン、パラフェニレンスルフィド、パラフェニレンオキシド、ビニレンスルフィド等が挙げられる。
【0016】
特定の界面活性剤としては、分子構造中に、スルホン酸基を有するものであれば特に限定はなく、例えば、下記の一般式(1)または(2)で表されるものがあげられる。
【0017】
【化3】
Figure 2004184512
【0018】
【化4】
Figure 2004184512
【0019】
一般式(1)において、好ましいRとしては、炭素数2〜12のアルキル基等があげられる。また、Rとしては、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基が好ましく、さらに好ましくは、水素、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基である。また、nは2〜4の整数が好ましい。
【0020】
また、一般式(2)において、好ましいRおよびRとしては、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基またはハロゲンがあげられる。一般式(2)における好ましいMとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンがあげられる。
【0021】
特に、上記特定の界面活性剤としては、分子構造中にスルホン酸基を有し、かつ、ナフタレン構造およびアントラセン構造の少なくとも一方を有するものが特に好ましい。
【0022】
また、ナフタレン構造およびアントラセン構造は、1〜9個のうちの任意の数の置換基を有するものが好ましい。この置換基としては、例えば、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、ナフチル基、ナフチルアルキル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン等があげられる。これら置換基は、単独で置換されていてもよいし、2種以上が置換されていてもよい。
【0023】
このような特定の界面活性剤中のスルホン酸基当量は、340〜600の範囲内が好ましく、特に好ましくは380〜550の範囲内である。すなわち、スルホン酸基当量が340未満であると、バインダーポリマー(B成分)との相溶性が悪くなる傾向がみられ、逆に600を超えると、ドーパントとしての効果が減少する傾向がみられるからである。このスルホン酸基当量は、水酸化ナトリウムの滴定や熱重量分析法(TGA)に従って求められる。
【0024】
前記の化学酸化重合法に用いる酸化剤としては、特に限定はないが、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化水素水、塩化第二鉄等があげられる。
【0025】
導電性ポリマーの原料モノマーと、特定の界面活性剤との混合比は、モル比で、原料モノマー/界面活性剤=1/0.03〜1/3の範囲内が好ましく、特に好ましくは原料モノマー/界面活性剤=1/0.05〜1/2の範囲内である。すなわち、界面活性剤のモル比が低くなると、バインダーポリマー(B成分)との相溶性や分散性が低下する傾向がみられ、逆に界面活性剤のモル比が高くなると、界面活性剤の、イオン導電性への寄与効果が強くなりすぎ、導電性ポリマーの電子導電性を減らす傾向がみられるからである。
【0026】
このようにして得られる特定の導電性ポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは1,000〜20,000の範囲内である。
【0027】
つぎに、上記特定の導電性ポリマー(A成分)とともに用いられるバインダーポリマー(B成分)としては、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有するものであれば特に限定はない。このスルホン酸金属塩構造としては、例えば、スルホン酸ナトリウム塩構造、スルホン酸アンモニウム塩構造、スルホン酸カリウム塩構造等があげられる。
【0028】
このような、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有するバインダーポリマー(B成分)としては、例えば、そのような構造を有する、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、特定の導電性ポリマー(A成分)との相溶性に優れる点で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
【0029】
また、アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、公知のアクリルモノマーを共重合したもの等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。バインダーポリマーへのスルホン酸基導入の方法は、スルホン酸基またはスルホン酸金属塩基を有するビニルモノマーと、ラジカル,アニオン,カチオン共重合する方法や、スルホン酸基を有するジオールモノマーを、ウレタン反応,エステル交換反応で導入する方法がある。
【0030】
また、ウレタン系樹脂としては、分子構造中にウレタン結合を有する樹脂であれば特に限定はなく、例えば、エーテル系,エステル系,アクリル系,脂肪族系等のウレタンや、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。なお、ウレタン系樹脂は、分子構造中にウレア結合またはイミド結合を有するものであってもよい。
【0031】
また、フッ素系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。
【0032】
また、ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミック酸、シリコーンイミド等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。
【0033】
また、エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、臭素化型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリアミド併用型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アミノ樹脂併用型エポキシ樹脂、アルキッド樹脂併用型エポキシ樹脂等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。
【0034】
また、ウレア系樹脂としては、分子構造中にウレア結合を有する樹脂であれば特に限定はなく、ウレタンウレアエラストマー、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。
【0035】
また、ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(Cl−PE)、エピクロロヒドリンゴム(ECO,CO)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンポリマー(EPDM)、フッ素ゴム等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。
【0036】
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS),スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等であって、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方が導入されているものがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、合成プロセスの簡便さ、溶剤との溶解性の点で、TPUが好適に用いられる。
【0037】
このバインダーポリマー(B成分)中における、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方の含有量(スルホン酸基量)は、0.001〜1mmol/gの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2mmol/gの範囲内である。すなわち、このスルホン酸基量が0.001mmol/g未満であると、特定の導電性ポリマー(A成分)との相溶性が悪くなる傾向がみられ、逆に1mmol/gを超えると、含水による物性の低下やイオン導電性の発現がみられるからである。
【0038】
このような特定のバインダーポリマー(B成分)の数平均分子量(Mn)は、500〜2,000,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは2,000〜800,000の範囲内である。
【0039】
上記特定のバインダーポリマー(B成分)と、特定の導電性ポリマー(A成分)とは、後記のようにして混合され半導電性組成物化されるが、上記特定の導電性ポリマー(A成分)の原料(導電性ポリマーの原料モノマーと、界面活性剤との合計量)と、特定のバインダーポリマー(B成分)との混合比は、重量比で、A成分の原料/B成分=1/99〜40/60の範囲が好ましく、特に好ましくはA成分の原料/B成分=4/96〜35/65である。すなわち、A成分の原料の重量比が1未満であると、導電性への効果が少なくなる傾向がみられ、逆にA成分の原料の重量比が40を超えると、得られる組成物が固くて脆くなりやすく、組成物としての物性が低下する傾向がみられるからである。
【0040】
なお、本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物には、特定の導電性ポリマー(A成分)および特定のバインダーポリマー(B成分)に加え、場合によって、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤等を適宜配合しても差し支えない。
【0041】
このイオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩等のポリマー中でイオン解離する化合物があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0042】
このようなイオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、特定の導電性ポリマー(A成分)の原料(原料モノマーと、界面活性剤との合計量)と、特定のバインダーポリマー(B成分)との合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.01〜5部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲内である。
【0043】
また、電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO(導電性酸化チタン)、c−SnO(導電性酸化錫)、グラファイト等があげられる。
【0044】
このような電子導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、特定の導電性ポリマー(A成分)の原料(原料モノマーと界面活性剤との合計量)と、特定のバインダーポリマー(B成分)との合計100部に対して、5〜30部の範囲内が好ましく、特に好ましくは8〜20部の範囲内である。
【0045】
また、架橋剤としては、例えば、硫黄、イソシアネート、ブロックイソシアネート、メラミン等の尿素樹脂、エポキシ硬化剤、ポリアミン硬化剤、パーオキサイド等があげられる。
【0046】
このような架橋剤の配合割合は、物性、粘着、液保管性の点から、特定の導電性ポリマー(A成分)の原料(原料モノマーと界面活性剤との合計量)と、特定のバインダーポリマー(B成分)との合計100部に対して、1〜30部の範囲内が好ましく、特に好ましくは3〜10部の範囲内である。
【0047】
なお、本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物には、前記各成分に加えて、架橋促進剤、老化防止剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
【0048】
この架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤等があげられる。
【0049】
本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物は、例えば、つぎのようにして調製することができる。すなわち、まず、前述の方法に従い、特定の導電性ポリマー(A成分)を作製する。つぎに、この特定の導電性ポリマー(A成分)に、特定のバインダーポリマー(B成分)を配合するとともに、必要に応じて、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤等を配合する。そして、これらをロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより、目的とする半導電性組成物を得ることができる。ここで、上記特定の導電性ポリマー(A成分)は、溶剤に溶解した状態のものが用いられる。また、バインダーポリマー(B成分)は、溶剤に溶解した状態で用いられる。
【0050】
この溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤等があげられる。
【0051】
本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物は、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗が10〜1011Ω・cmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは10〜1010Ω・cmの範囲内である。すなわち、電気抵抗が10Ω・cm未満であると、電気抵抗が低すぎるため、トナーへの電荷供給や感光体への帯電性等の点で、電子写真機器部材として画像への利点が少なくなる傾向がみられ、逆に1011Ω・cmを超えると、電気抵抗が高すぎるため、チャージアップが起こり、電子写真機器部材としての制御が困難になる傾向がみられるからである。
【0052】
本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物を用いて塗膜を形成した場合、バインダーポリマー(B成分)中に存在する特定の導電性ポリマー(A成分)の凝集物(1μm以上)が、塗膜全体の面積の3%未満であることが好ましく、特に好ましくは0.5%未満である。すなわち、この凝集物が、塗膜全体の面積の3%を超えると、電圧に対する電気抵抗の変動が大きくなる傾向がみられるからである。
【0053】
本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物は、電子写真機器部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いられる。この電子写真機器部材としては、例えば、現像ロール,帯電ロール,転写ロール,トナー供給ロール等の導電性ロール、中間転写ベルト,紙送りベルト等の導電性ベルト等があげられ、これらの構成層の少なくとも一部に用いられる。すなわち、本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物を、電子写真機器部材の構成層の少なくとも一部に用いると、この半導電性組成物を用いて形成した構成層の電気抵抗の電圧依存性および環境依存性が小さくなる。その結果、他の構成層においても、電気抵抗の電圧依存性および環境依存性の影響を受けにくくなるため、電子写真機器部材全体としての電気抵抗の電圧依存性および環境依存性が小さくなる。
【0054】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0055】
まず、本発明に係る組成物を、以下のようにして作製した。
【0056】
【組成物1】
アニリン1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)〔スルホン酸基当量:326〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部を、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)300部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0057】
【組成物2】
アニリン1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)〔スルホン酸基当量:368〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部を、溶剤(MEK)100部および溶剤(トルエン)500部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0058】
【組成物3】
アニリン1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(ジノニルナフタレンスルホン酸)〔スルホン酸基当量:460〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部を、溶剤(MEK)300部および溶剤(トルエン)300部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0059】
【組成物4】
アニリン1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(2,2′−ジナフチルメタン−6−スルホン酸ナトリウム−6′−スルホン酸)〔スルホン酸基当量:450〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部を、溶剤(MEK)100部および溶剤(トルエン)500部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0060】
【組成物5】
アニリン1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(一般式(1)において、R=ブチル基、R=水素、n=2、m=3で表される化合物)〔スルホン酸基当量:534〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部とを、溶剤(MEK)100部および溶剤(トルエン)500部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0061】
【組成物6】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0062】
【組成物7】
ピロール1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)〔スルホン酸基当量:368〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリピロール(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリピロールの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0063】
【組成物8】
チオフェン1molと、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤(ペンタデシルベンゼンスルホン酸)〔スルホン酸基当量:368〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリチオフェン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリチオフェンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0064】
【組成物9】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有するバインダーポリマー(B成分)である、スチレンスルホン酸の存在下で溶液重合することで合成したスルホン化NBR(スルホン酸基量:0.1mmol/g、Mn:100,000)80部と、架橋剤である硫黄1部と、スルフェンアミド系架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーCZ)0.5部と、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラーBZ)0.5部とを、2本ロールを用いて混練し、これらを溶剤(MEK)300部および溶剤(トルエン)300部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0065】
【組成物10】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有するバインダーポリマー(B成分)である、スルホン化ウレタンシリコーン(スルホン酸基量:0.1mmol/g、Mn:50,000)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。なお、スルホン化ウレタンシリコーンは、ポリブチレンアジペートジオール(Mn:2,000)と、シリコーンジオール(Mn:2,000)とを、8:2の割合で混合したものに、鎖延長剤として、1,4−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸ナトリウムを加え、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と等モルで反応させることにより作製した。
【0066】
【組成物11】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有するバインダーポリマー(B成分)である、スルホン化アクリルフッ素(スルホン酸基量:0.1mmol/g、Mn:30,000)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0067】
【組成物12】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有するバインダーポリマー(B成分)である、組成物10においてスルホン酸基を増量して作製したスルホン化ウレタンシリコーン(スルホン酸基量:1mmol/g、Mn:50,000)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0068】
【組成物13】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有するバインダーポリマー(B成分)である、組成物10においてスルホン酸基を減量して作製したスルホン化ウレタンシリコーン(スルホン酸基量:0.001mmol/g、Mn:50,000)80部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0069】
【組成物14】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)90部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)10部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0070】
【組成物15】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)70部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)30部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0071】
【組成物16】
組成物2と同様にして、同様の界面活性剤構造を有するポリアニリン(A成分)を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸Na基を有するバインダーポリマー(B成分)である、TPU(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312、スルホン酸Na基量:0.05mmol/g)80部と、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)5部と、ブロックイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDB980K)5部とを、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリンの有効成分(不揮発分)20部を加え、10分間攪拌し、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0072】
つぎに、本発明において、比較例となるべき組成物を、以下のようにして作製した。
【0073】
【組成物A】
分子構造中にスルホン酸基を有しないバインダーポリマーである、H−NBR(日本ゼオン社製、ゼットポール0020)100部と、イオン導電剤であるホウ酸塩(日本カーリット社製、LR147)2部と、架橋剤(酸化亜鉛)10部と、チオウレア系架橋促進剤(三新化学社製、サンセラー22C)3部とを配合し、3本ロールを用いて混練した後、これらを溶剤(MEK)300部および溶剤(トルエン)150部に溶解して、組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0074】
【組成物B】
分子構造中にスルホン酸基を有しないバインダーポリマーである、カーボネート系TPU(日本ミラクトラン社製、E980)100部を、溶剤(MEK)200部および溶剤(テトラヒドロフラン)300部に溶解させた後、これに導電剤であるアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)7部を配合し、3本ロールを用いて混練して組成物を調製した。そして、これを150℃にて30分間加熱架橋して、SUS304板上に厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0075】
【組成物C】
アセチレンブラックの配合割合を20部に変更する以外は、組成物Bと同様にして、導電性塗膜を作製した。
【0076】
【組成物D】
カーボンブラックを分散させたシリコーン(信越化学工業社製、KE1350AB)をSUS304板上にプレス成型(150℃×10分)して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0077】
【組成物E】
特開平5−88506号公報に記載の実施例1に準じて、導電性塗膜を作製した。すなわち、アニリン0.4mol/lと、硫酸1.0mol/lと、過硫酸アンモニウム0.5mol/lとを含む水溶液を調製し、化学酸化重合法によりポリアニリンを重合した。得られたポリアニリンを水酸化ナトリウムで中性に調整した後、水洗し、乾燥して、粒子径約1μmのポリニリン粉末を得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有しないバインダーポリマーである、可溶性ナイロン50部を、溶剤(メタノール)500部に溶解させ、これに上記ポリアニリン粉末50部を添加し、レッドデビルで混合して組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0078】
【組成物F】
特開2001−324882号公報に記載の実施例1に準じて、導電性塗膜を作製した。すなわち、乾燥したフッ化処理カーボンブラック(ALLIED社製、ACCUFLVOR2028)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に所定量配合し、ボールミルを用いて室温で6時間混合した。ついで、このカーボンブラック分散NMP液に、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.2gと、p−フェニレンジアミン(PDA)108.2gとを溶解し、窒素雰囲気において、室温で4時間攪拌しながら反応させ、フッ化処理カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。また、NMP200gに、ポリアニリン粉末20gを添加し、オートホモミキサーを用いて5000rpmで1時間攪拌して溶解させ、10重量%濃度の脱ドープ状態のポリアニリン溶液を得た。ついで、上記フッ化処理カーボンブラック入りポリアミド酸溶液に、所定量のポリアニリン溶液を添加した後、攪拌羽根を用いて室温で1時間攪拌し、所望配合量のフッ化処理カーボンブラック、ポリアニリン入りポリアミド酸溶液(樹脂:ポリアニリン:フッ化処理カーボンブラック=74重量%:15重量%:11重量%)を得た。そして、この溶液をSUS304板上に塗布した後、150℃にて30分間加熱架橋して200℃まで2℃/分の昇温温度で昇温し、さらに200℃で30分加熱して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0079】
【組成物G】
特開2002−167519号公報に記載の実施例に準じて、導電性塗膜を作製した。すなわち、アニリン1molと、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)〔スルホン酸基当量:326〕1molとを、水溶液化した酸化剤(過硫酸アンモニウム)1molを滴下しながら酸化重合させ、界面活性剤構造を有するポリアニリンを得た。つぎに、分子構造中にスルホン酸基を有しないバインダーポリマーである、ポリエステル(アジペート)系TPU(三井武田ケミカル社製、エラストラン1040)80部を、溶剤(MEK)200部および溶剤(トルエン)400部に溶解した後、上記界面活性剤構造を有するポリアニリン20部を加え、3本ロールを用いて混練し、導電性組成物(コーティング液)を調製した。そして、この組成物(コーティング液)をSUS304板上に塗布して、厚み100μmの導電性塗膜を作製した。
【0080】
このようにして得られた導電性塗膜を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表5に併せて示した。
【0081】
〔凝集物の面積〕
各導電性塗膜の、バインダーポリマー中に存在する導電性ポリマーの粒径(メジアン径)を、5〜8μmの膜厚のフィルムを3000倍に拡大観察(光学顕微鏡)して測定した。そして、粒径が1μm以上の凝集物が、塗膜全体に占める割合(面積)を測定した。
【0082】
〔電気抵抗、電気抵抗の電圧依存性〕
各導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=1V)と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=133V)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=1V/Rv=133V)により、電気抵抗の電圧依存性を変動桁数で表示した。
【0083】
〔電気抵抗の環境依存性〕
各導電性塗膜について、印加電圧10Vの条件下、低温低湿(15℃×10%RH)時の電気抵抗(Rv=15℃×10%RH)と、高温高湿(35℃×85%RH)時の電気抵抗(Rv=35℃×85%RH)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=15℃×10%RH/Rv=35℃×85%RH)により、電気抵抗の環境依存性を変動桁数で表示した。
【0084】
〔環境による電気抵抗変動〕
各導電性塗膜について、50℃×95%RHの環境下で30日間放置後の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて、25℃×50%RHの環境下で、10V印加で測定した(Rv=30日)。そして、Log(Rv=30日/Rv=0日)により、環境による電気抵抗変動を変動桁数で表示した。
【0085】
〔高電圧領域での電気抵抗変動(チャージアップ)〕
各導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、300Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=300V)を、SRIS 2304に準じて測定した。そして、Log(Rv=30V/Rv=300V)により、高電圧領域での電気抵抗変動を変動桁数で表示した。
【0086】
【表1】
Figure 2004184512
【0087】
【表2】
Figure 2004184512
【0088】
【表3】
Figure 2004184512
【0089】
【表4】
Figure 2004184512
【0090】
【表5】
Figure 2004184512
【0091】
上記表の結果から、組成物1〜16は、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤を用いて形成した特定の導電性ポリマーと、分子構造中にスルホン酸基を有するバインダーポリマーとを併用しているため、両者の相溶性が良好で、凝集物の発生を抑制でき、高電圧領域での電気抵抗の上昇(チャージアップ)が非常に小さかった。また、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れ、環境による電気抵抗変動も小さかった。
【0092】
これに対して、組成物Aは、イオン導電剤を用いているため、電気抵抗の環境依存性が劣り、高電圧領域での電気抵抗の上昇が大きかった。組成物B,C,Dは、電子導電剤を用いているため、電気抵抗の電圧依存性が劣っていた。組成物Eは、ポリアニリンとナイロンの相溶性が悪く、凝集物が多く発生するとともに、電気抵抗の電圧依存性に劣っていた。組成物Fは、ポリアニリンと、フッ化処理カーボンブラックとの相溶性が悪く、凝集物が多量に発生するため、高電圧領域での電気抵抗変動が大きかった。組成物Gは、分子構造中にスルホン酸基を有しないバインダーポリマーを用いているため、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーとの相溶性が劣り、凝集物が発生し、高電圧領域での電気抵抗の上昇傾向がみられた。
【0093】
つぎに、本発明に係る電子写真機器部材の実施例について、比較例と併せて説明する。
【0094】
【実施例1】
〔現像ロールの作製〕
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした射出成形用金型内に、カーボンブラックを分散させたシリコーン(信越化学工業社製、KE1350AB)〔組成物D〕を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。そして、このベース層の表面をコロナ放電処理(条件:0.3kW×20秒)した。ついで、前記で調製した組成物Cを上記ベース層の外周面に塗布して、中間層を形成した。さらに、上記中間層の表面に、前記で調製した組成物1からなる表層を形成し、軸体の外周面にベース層が形成され、その外周面に中間層が形成され、さらにその外周面に表層が形成されてなる現像ロールを作製した。
【0095】
【実施例2〜18、比較例1〜5】
ベース層用材料、中間層用材料および表層用材料として、後記の表6〜表9に示す組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。なお、ベース層、中間層もしくは表層を形成していないものについては、「−」と表示した。
【0096】
このようにして得られた実施例品および比較例品の現像ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表6〜表9に併せて示した。
【0097】
〔電気抵抗、電気抵抗の電圧依存性〕
現像ロールの表面をSUS板に押し当てた状態で、現像ロールの両端に各1kgの荷重をかけ、現像ロールの芯金と、SUS板に押し当てた現像ロール表面との間の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて測定した。なお、電気抵抗は、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=1V)と、133Vの電圧を印加した時の電気抵抗(Rv=133V)をそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=1V/Rv=133V)により、電気抵抗の電圧依存性を変動桁数で表示した。
【0098】
〔電気抵抗の環境依存性〕
上記電気抵抗の評価に準じて、印加電圧10Vの条件下、低温低湿(15℃×10%RH)の時の電気抵抗(Rv=15℃×10%RH)と、高温高湿(35℃×85%RH)の時の電気抵抗(Rv=35℃×85%RH)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=15℃×10%RH/Rv=35℃×85%RH)により、電気抵抗の環境依存性を変動桁数で表示した。
【0099】
〔硬度(JIS A)〕
各現像ロールの最表面の硬度を、JIS K 6253に準じて測定した。
【0100】
〔圧縮永久歪み〕
各現像ロールの圧縮永久歪みを、温度70℃、試験時間22時間、圧縮率25%の条件下、JIS K 6262に準じて測定した。
【0101】
〔現像ロール特性〕
(画像ムラ)
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での濃度ムラがなく、細線のとぎれや色ムラがなかったものを○、濃度ムラが生じたものを×とした。
【0102】
(環境による画質の変動)
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境による画質の変動の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下の時を○、0.1を超える時を×とした。
【0103】
〔チャージアップによる濃度変動〕
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下、300Vの電圧を印加して画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での濃度ムラがなく、細線のとぎれや色ムラがなかったものを○、濃度ムラが生じたものを×とした。
【0104】
〔環境による電気抵抗経時変化〕
上記電気抵抗の評価に準じて、50℃×95%RHの環境下で30日間放置後の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて、25℃×50%RHの環境下で10V印加で測定した(Rv=30日)。そして、Log(Rv=30日/Rv=0日)により、環境による電気抵抗経時変化を変動桁数で表示した。
【0105】
【実施例19〜22、比較例6〜8】
〔帯電ロールの作製〕
ベース層用材料、中間層用材料もしくは表層用材料として、後記の表10および表11に示す組成物を用いる以外は、実施例1の現像ロールの製法に準じて、帯電ロールを作製した。なお、ベース層、中間層もしくは表層を形成していないものについては、「−」と表示した。
【0106】
【実施例23、比較例9】
〔転写ロールの作製〕
ベース層用材料、中間層用材料もしくは表層用材料として、後記の表12に示す組成物を用いる以外は、実施例1の現像ロールの製法に準じて、転写ロールを作製した。なお、ベース層、中間層もしくは表層を形成していないものについては、「−」と表示した。
【0107】
【実施例24,25、比較例10】
〔転写ベルトの作製〕
ベース層用材料、中間層用材料もしくは表層用材料として、後記の表13に示す組成物を用いる以外は、実施例1の現像ロールの製法に準じて、単層もしくは多層構造の中間転写ベルト(無端ベルト)を作製した。なお、ベース層、中間層もしくは表層を形成していないものについては、「−」と表示した。
【0108】
このようにして得られた実施例品および比較例品の帯電ロール、転写ロール、転写ベルトを用いて、前記現像ロールの特性評価の基準に準じて、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表10〜表13に併せて示した。なお、転写ベルトの電気抵抗は、転写ベルトの内部に直径10mm、重さ1kgのSUS棒を載せ、このSUS棒に接する部分と、SUS板との間の電気抵抗を、SRIS
2304に準じて測定した。
【0109】
【表6】
Figure 2004184512
【0110】
【表7】
Figure 2004184512
【0111】
【表8】
Figure 2004184512
【0112】
【表9】
Figure 2004184512
【0113】
【表10】
Figure 2004184512
【0114】
【表11】
Figure 2004184512
【0115】
【表12】
Figure 2004184512
【0116】
【表13】
Figure 2004184512
【0117】
上記結果から、すべての実施例品は、電子写真機器部材の構成層の少なくとも一部に、本発明の半導電性組成物(組成物1〜16)を用いているため、現像ロール特性、帯電ロール特性、転写ロール特性、転写ベルト特性に優れていた。
【0118】
これに対して、比較例品は、電気抵抗の電圧依存性や電気抵抗の環境依存性に劣る組成物(組成物A〜Gのいずれか)のみを用いているため、現像ロール特性、帯電ロール特性、転写ロール特性、転写ベルト特性に劣っていた。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物は、分子構造中にスルホン酸基を有する界面活性剤を用いて、界面活性剤構造を有する導電性ポリマーを形成し、この導電性ポリマー(A成分)とともに、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有するバインダーポリマー(B成分)を併用するものである。そのため、両者の相溶性が良好となり、凝集物の発生を抑制でき、高電圧領域での電気抵抗の上昇が小さくなるとともに、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れるという効果を奏する。
【0120】
また、バインダーポリマー(B成分)として、アクリル系樹脂等の特定のポリマーを用いたり、もしくはバインダーポリマー(B成分)中における、スルホン酸基量を特定の範囲に設定すると、A成分とB成分との相溶性がさらに向上するようになる。
【0121】
また、A成分の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有し、かつ、ナフタレン構造およびアントラセン構造の少なくとも一方を有するか、もしくはこれらが特定の置換基を備えているか、A成分の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、前記の一般式(1)で表されるものであると、A成分とB成分との相溶性がさらに向上するようになる。しかも、A成分の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤中のスルホン酸基当量が、特定の範囲内に設定されていると、A成分とB成分との相溶性がより一層向上するようになる。
【0122】
また、本発明の電子写真機器部材用半導電性組成物を、電子写真機器部材の少なくとも一部に用いると、この半導電性組成物に特有な効果を備えた電子写真機器部材を得ることができる。すなわち、本発明の半導電性組成物を、電子写真機器部材の構成層の少なくとも一部に用いると、先で述べたような、高電圧領域での電気抵抗の上昇が小さくなり、電気抵抗の電圧依存性および電気抵抗の環境依存性の双方の特性に優れるという、本発明の半導電性組成物の効果が、この半導電性組成物を用いていない他の構成層にも及ぶようになる。その結果、電子写真機器部材全体として、湿熱環境での電気抵抗変動が小さくなるため、良好な画像が得られるという効果を奏する。

Claims (9)

  1. 下記の(A)および(B)を必須成分とする電子写真機器部材用半導電性組成物であって、(A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有するとともに、(B)のバインダーポリマーが、分子構造中に、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方を有することを特徴とする電子写真機器部材用半導電性組成物。(A)界面活性剤構造を有する導電性ポリマー。
    (B)バインダーポリマー。
  2. (B)のバインダーポリマーが、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマー、および熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
  3. (B)のバインダーポリマー中における、スルホン酸基およびスルホン酸金属塩構造の少なくとも一方の含有量が、0.001〜1mmol/gの範囲内である請求項1または2記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
  4. (A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中にスルホン酸基を有し、かつ、ナフタレン構造およびアントラセン構造の少なくとも一方を有するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
  5. 界面活性剤の分子構造中にあるナフタレン構造またはアントラセン構造が、1〜9個のうちの任意の数の置換基を有し、前記の置換基が水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルスルフィニル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、ナフチル基、ナフチルアルキル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基およびハロゲンからなる群から選ばれている請求項4記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
  6. (A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、下記の一般式(1)で表されるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
    Figure 2004184512
  7. (A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、下記の一般式(2)で表されるものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
    Figure 2004184512
  8. (A)の界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤中のスルホン酸基当量が、340〜600の範囲内である請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真機器部材用半導電性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真機器部材用半導電性組成物を、電子写真機器部材の少なくとも一部に用いたことを特徴とする電子写真機器部材。
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