JP2004184160A - トロイダル型無段変速機用試験装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機用試験装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トロイダル型無段変速機13と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成る無段変速装置の開発コストの低減並びに開発期間の短縮を可能にする。この為に、トロイダル型無段変速機13単独で、トルク急変動時に於ける正確な特性評価を可能にする。
【解決手段】第一のダイナモ11と第二のダイナモ12との間に上記トロイダル型無段変速機13を接続して、このトロイダル型無段変速機13の通過トルクを急変動させる。この通過トルクの急変動時に、上記両ダイナモ11、12の駆動トルク又は吸収トルクを、何れもフィードフォワード制御する。この結果、上記両ダイナモ11、12が、上記トロイダル型無段変速機13部分で発生したハンチングを抑え込んだり、逆に押圧装置の存在に基づいて余計なハンチングを発生させたりする事がなくなる。この為、上記課題を解決できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車用自動変速装置を構成するトロイダル型無段変速機の性能評価を行なう為の試験装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速装置として、図5に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に1対の入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に、1対の出力側ディスク5、5をスプライン係合させている。
従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
【0003】
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図5の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸(図示せず)を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、図示しない油圧式のアクチュエータによりこれら各トラニオン7、7を上記枢軸の軸方向に変位させる事により行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
【0004】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸9により一方(図5の左方)の入力側ディスク2を、ローディングカム式の押圧装置10を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
【0005】
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度の比を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図5に示す位置に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面をこの図5に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図5と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、図5に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の速度比(変速比)を得られる。
【0006】
上述の図5に示したトロイダル型無段変速機の場合には、入力軸1から出力歯車4への動力の伝達を、一方の入力側ディスク2と出力側ディスク5との間と、他方の入力側ディスク2と出力側ディスク5との間との、2系統に分けて行なうので、大きな動力の伝達を行なえる。
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の自動変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特許文献1〜5等に記載されて、従来から広く知られている。
【0007】
この様なトロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせて成る無段変速装置として、パワー・スプリット型と呼ばれるものと、ギヤード・ニュートラル型と呼ばれるものとが知られている。これら各無段変速装置は何れも、低速モード時に繋がれる低速用クラッチと、高速モード時に繋がれる高速用クラッチとを備える。そして、パワースプリット型と呼ばれる無段変速装置の場合には、高速モード時にトロイダル型無段変速機を通過するトルクを低減して、このトロイダル型無段変速機の耐久性向上と、無段変速装置全体としての伝達効率の向上とを図れる。又、ギヤード・ニュートラル型と呼ばれる無段変速装置の場合には、低速モード時に、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる、所謂変速比が無限大の状態を実現できる。
【0008】
この様な無段変速装置の場合、上記低速用クラッチと高速用クラッチとの断接に基づく、上記低速モードと高速モードとの切換時に、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)の方向及び大きさが急激に変動する。周知の様にトロイダル型無段変速機の構成部品は、トルク伝達に伴って弾性変形する他、組み付け隙間に基づいて変位し、その結果、入力側ディスクと出力側ディスクとの間の変速比が変動する。この様な変速比の変動が緩徐に行なわれれば、特に面倒な制御を行なう必要はないが、上記モード切換に伴って通過トルクが急激に変動した場合には、何らかの制御を行なわない限り、運転者等に違和感を与える程の、急激な変速比の変動を生じる可能性がある。
【0009】
この様な事情に鑑みて、上記無段変速装置の実用化の為には、パワー・スプリット型、ギヤード・ニュートラル型、何れの場合でも、モード切換時の制御が重要になると考えられている。そして、この様なモード切換時の制御の形態を求める為には、多くの実験により、このモード切換時に於ける、トロイダル型無段変速機の変速比の変動状態等の特性を知る必要がある。但し、実際にトロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせて構成した無段変速装置での実験を行なう事は、試料であるこの無段変速装置の試作に要するコスト並びに期間が嵩む為、好ましくない。一方、無段変速装置のモード切換時に於ける、この無段変速装置に組み込んだトロイダル型無段変速機の通過トルクの変動状況は、このトロイダル型無段変速機と組み合わされる遊星歯車機構等の構造が分かれば、計算により求められる。従って、上記変速比の変動等、上記トロイダル型無段変速機の特性を求める為の試験装置には、このトロイダル型無段変速装置のみを装着して、計算により求めたトルクの変動状況を上記試験装置により造り出す事が考えられる。
【0010】
例えば、図1は、従来からトロイダル型無段変速機の開発に使用していた試験装置(未公知)を示している。この試験装置は、第一の(駆動側若しくは入力側)ダイナモ11と第二の(吸収側若しくは出力側)ダイナモ12との間に、トロイダル型無段変速機13とトルク計14とを、上記第一のダイナモ11の側から順に、互いに直列に設けている。又、上記第二のダイナモ12にはフライホイール15を接続して、上記トロイダル型無段変速機13の出力側に、実際の車両に見合う程度の慣性質量を結合自在としている。尚、上記第一のダイナモ11部分、或はこの第一のダイナモ11と上記トロイダル型無段変速機13との間部分で、このトロイダル型無段変速機13に入力(又は出力)される動力のトルクと回転速度とを測定自在としている。又、上記トルク計14部分で、上記トロイダル型無段変速機13から出力(又は入力)される動力のトルクと回転速度とを測定自在としている。
【0011】
この様な試験装置を使用して、上記第一のダイナモ11から上記トロイダル型無段変速機13の通過トルクを変動させつつ、このトロイダル型無段変速機13を挟む2個所位置での回転速度から、このトロイダル型無段変速機13の変速比の変動を求めれば、トルク変動に対するこのトロイダル型無段変速機13の挙動を知る事ができる。尚、この様な試験装置を運転する際に従来は、上記第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により、上記第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により、それぞれ所望値に規制していた。
【0012】
【特許文献1】
特開平1−169169号公報
【特許文献2】
特開平1−312266号公報
【特許文献3】
特開平10−196759号公報
【特許文献4】
特開平11−63146号公報
【特許文献5】
米国特許第5607372号明細書
【特許文献6】
特開2000−220719号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来装置の様に、第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により所望値に、第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により所望値に、それぞれ規制しつつトロイダル型無段変速機13の特性を求めると、必ずしも実際の使用状況に即した結果を得られない。この理由は、トロイダル型無段変速機13特有の問題として、通過トルクの変動に伴って変速比が変化する事と、ローディングカム式の押圧装置10の存在に基づき、回転方向の剛性(捩り剛性)が低い事とによる。この点に就いて、本発明者が行なった実験の結果を参照しつつ説明する。
【0014】
先ず、図2は、図1に示した試験装置で、第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により所望値に、第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により所望値に、それぞれ規制しつつ、歯車式減速機の入力トルクを急変動させた実験の結果を示している。図2の(a)はトルクを急減させた場合の、(b)は同じく急増させた場合の、それぞれ実験結果を示している。各図で実線aは入力側の回転速度を、実線bは入力側のトルクを、鎖線cは出力側の回転速度を、鎖線dは出力側のトルクを、それぞれ示している。この様な図2で、入力トルクを急変動させた直後に発生している、回転速度の変動とトルクのオーバシュートは、上記歯車式減速機に存在するバックラッシュに基づくものである。この様な図2から、捩り剛性が高く、しかもトルクの急変動時にも変速比(減速比)が変化しない歯車式変速機の場合には、第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により、第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により、それぞれ制御する従来構造でも、特性を知る為の試験が可能である事が分かる。
【0015】
これに対して、上述の様な従来構造の試験装置でトロイダル型無段変速機の特性を求めようとしても求める事ができない。この点に就いて、図3(B)及び図4(B)により説明する。先ず、図3(B)は、第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により、第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により、それぞれ制御する従来構造の試験装置により、安定した性能を得られるトロイダル型無段変速機13に就いて行なった試験の結果を表している。この試験では、このトロイダル型無段変速機13の出力部の回転速度を凡そ2600min−1 に維持する制御を行ないつつ、このトロイダル型無段変速機13の通過トルクを+350Nmから−280Nmまで、0.5秒の間に急変動させた。
【0016】
上記従来構造でこの様な試験を行なった場合、トロイダル型無段変速機13自体は、本来安定した性能を得られるものであるにも拘らず、入力部の回転速度、入力部及び出力部のトルクにハンチングが発生した。この様なハンチングが発生する原因は、次の様に考えられる。トルクを+から−に入れ換える場合、即ち、トルクの伝達方向を逆転させる場合には、上記トロイダル型無段変速機13を挟んで設けた第一、第二のダイナモ11、12同士の間で、駆動側と吸収側とが入れ換わる。この場合でも、第一のダイナモ11はフィードバック制御によりトルクを、第二のダイナモ12はフィードバック制御により回転速度を、それぞれ制御する状態のままである。
【0017】
この様な制御を行なうと、上記駆動側と吸収側とが入れ換わる際、上記トロイダル型無段変速機13の捻り剛性が低い事に起因して、上記第二のダイナモ12と上記第一のダイナモ11との間で、トルク伝達に遅れが生じる。この遅れは、これら両ダイナモ11、12同士の間に設けられた回転軸、歯車等の弾性変形によっても生じるが、最も大きな要因は、上記トロイダル型無段変速機13に組み込まれたローディングカム式の押圧装置10(図5参照)の存在である。即ち、この押圧装置10は、図5に示す様に、カム板16と入力側ディスク2との互いに対向する面に形成したカム面17a、17b同士の間で複数のローラ18、18を挟持して成る。この様な押圧装置10によるトルク伝達時には、このトルクの大きさ及び方向に基づいて上記両カム面17a、17bの位相が円周方向に関して互いにずれ、このずれが、上記捻り剛性の低下になる。この様な、カム面17a、17bのずれに基づく捻り剛性の低下は、上記回転軸や歯車等の弾性変形に基づく低下分に比べて、桁違いに大きい。この結果、上記第二のダイナモ12と上記第一のダイナモ11との間でのトルク伝達の遅れは、無視できない程に大きくなる。
【0018】
この様にトルク伝達に大きな遅れが生じるトロイダル型無段変速機13を対象として、それまで上記第一のダイナモ11から上記第二のダイナモ12にトルクを伝達していた状態から、急にこの第二のダイナモ12から上記第一のダイナモ11にトルクを伝達する状態に切り換えても、この第一のダイナモ11にトルクが伝達されるまでの間に若干の時間的遅れが生じる。しかもこの第一のダイナモ11には、この時間的遅れの間にも、トルクを規制しようとするフィードバック制御が加わる。この為、上記第一のダイナモ11部分でフィードバック制御を加えるタイミングは、上記第二のダイナモ12から上記第一のダイナモ11にトルクを伝達しようとするタイミングに対して、時間的に早かったり、或は遅かったりする。
【0019】
この結果、上記第一のダイナモ11部分でのトルク制御と、上記第二のダイナモ12部分での回転数制御とがちぐはぐに行なわれ、図3(B)に示す様なハンチングが、入力側、出力側双方の回転速度とトルクとに生じる。尚、図3(B)で、実線aは入力側の回転速度を、実線bは入力側のトルクを、鎖線cは出力側の回転速度を、鎖線dは出力側のトルクを、それぞれ示している。図3(B)にその結果を示した実験に供したトロイダル型無段変速機13は、各部を適正に構成して、通過トルクの急変動によってもハンチング等が発生しない様に構成したものである。従って、上記図3(B)は、従来構造の場合には、上記トロイダル型無段変速機13の特性を正しく評価できない事を意味する。
【0020】
又、本発明の発明者は、敢えてトルク急変動時にハンチングが発生し易いトロイダル型無段変速機13を造った。そして、フィードバック制御によりトルクを制御する第一のダイナモ11と、フィードバック制御により回転速度を制御する第二のダイナモ12とを備えた試験装置により、上記トロイダル型無段変速機13の特性試験を行なった。この試験の結果を図4(B)に示す。この図4(B)も、実線aは入力側の回転速度を、実線bは入力側のトルクを、鎖線cは出力側の回転速度を、鎖線dは出力側のトルクを、それぞれ示している。この場合には、第二のダイナモ12部分で、回転数を一定に保とうとする制御が働く為、本来発生するはずのハンチングが抑えられる傾向になる。この為、本来、通過トルクの急変動直後から発生するはずのハンチングが抑えられている{図4(B)のイ、ロ}。上記トロイダル型無段変速機13は、敢えて大きなハンチングが発生する様に設計している為、上記通過トルクが急変動してから0.5秒程度経過した後、ハンチングが発生している。但し、軽度のハンチングを発生する程度の無段変速機13の試験を行なう際には、完全にハンチングの発生を抑え込まれて、ハンチングが発生する可能性がある事を掴めない事も考えられる。
【0021】
以上に述べた図3(B)及び図4(B)から明らかな様に、フィードバック制御によりトルクを制御する第一のダイナモ11と、フィードバック制御により回転速度を制御する第二のダイナモ12とを備えた従来の試験装置では、トロイダル型無段変速機の特性評価を正確に行なえない事になる。
本発明は、この様な事情に鑑みて、通過トルクの急変動時に於けるトロイダル型無段変速機の挙動を含む特性評価を正確に行なえるトロイダル型無段変速機用試験装置と実現すべく発明したものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機用試験装置は、トロイダル型無段変速機の性能評価を行なう為、このトロイダル型無段変速機の入力軸に連結される第一のダイナモと、このトロイダル型無段変速機の出力軸に連結される第二のダイナモとを備える。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機用試験装置に於いては、少なくともトルク変動に基づく性能評価を行なう状態で、上記第一、第二のダイナモの駆動トルク又は吸収トルクを、何れもフィードフォワード制御により所望値に規制する。
【0023】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機用試験装置によれば、トロイダル型無段変速機を実際に無段変速装置に組み込んだ状態に則した状態で試験を行なえる。即ち、前述した様な、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた無段変速装置の場合、パワー・スプリット型、ギヤード・ニュートラル型、何れの場合でも、高速用クラッチと低速用クラッチとの断接に基づくモード切換時に、上記トロイダル型無段変速機の通過トルクが急変動する。この場合に、このトロイダル型無段変速機の入力部と出力部とのトルクが、上記モード切換に伴って急変動する。
【0024】
本発明のトロイダル型無段変速機用試験装置の場合には、上述した様に、第一、第二のダイナモの駆動トルク又は吸収トルクを、何れもフィードフォワード制御により所望値に規制する。この為、上記モード切換に伴って急変動するはずである、上記トロイダル型無段変速機の入力部と出力部とのトルクを、上記トロイダル型無段変速機特有の、低い捻り剛性に基づくトルク伝達の遅れに関係なく、直ちに実際に即した値にできる。この為、上記低い捻り剛性に基づくトルク伝達の遅れに拘らず、ハンチングを発生する可能性の有無等、上記トロイダル型無段変速機の特性評価を正確に行なえる。又、このトロイダル型無段変速機部分で発生したハンチングを抑え込んだりする事も防止できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明のトロイダル型無段変速機用試験装置の特徴は、第一、第二のダイナモ11、12の駆動トルク又は吸収トルクを、何れもフィードフォワード制御により所望値に規制する点にある。図面に表れる部分の構造に就いては、前述の図1に示した、従来からトロイダル型無段変速機の開発に使用していた試験装置と同様であるから、重複する説明は省略し、以下、本発明の効果を確認する為に本発明者が行なった実験に就いて、図3(A)及び図4(A)により説明する。
【0026】
先ず、図3(A)は、第一のダイナモ11及び第二のダイナモ12のトルク(駆動トルク及び吸収トルク)をフィードフォワード制御によりそれぞれ制御する、本発明の試験装置により、安定した性能を得られるトロイダル型無段変速機13に就いて行なった試験の結果を表している。試験条件は、前述の図3(B)の場合とほぼ同じである。この試験の準備段階では、試験装置の出力部の回転を凡そ2700min−1 に、同じく入力部のトルクを+350Nmにそれぞれ設定した。この場合には、上記トロイダル型無段変速機13の減速比は0.5(2倍増速)とし、上記入力部の回転を凡そ2000min−1 とした。この準備段階では、前述した従来構造と同様に、上記第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により、上記第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により、それぞれ制御した。
【0027】
この様な準備段階の後、上記第二のダイナモ12の制御を、フィードバック制御による回転速度制御から、フィードフォワード制御によるトルク制御に変更した。本例の場合、この変更時に於ける上記第二のダイナモ12のトルクである、凡そ+250Nmなる値を、その時点でのこの第二のダイナモ12の吸収トルクとした。次いで、上記トロイダル型無段変速機13の通過トルクを+350Nmから−280Nmまで、0.5秒の間に急変動させた。この為に本例の場合には、上記第二のダイナモ12の駆動トルクを凡そ200Nmとし、上記第一のダイナモ11の吸収トルクを280Nmとした。
【0028】
これら第一、第二のダイナモ11、12のトルク制御は、フィードフォワード制御のみにより行ない、フィードバック制御は一切行なわなかった。又、上記第一、第二のダイナモ11、12の回転速度制御も、トルクの急変動時には、一切行なわなかった。従って、仮に上記トロイダル型無段変速機13部分で、変速比が急変動する様なハンチングが発生しても、上記第一、第二のダイナモ11、12は、このハンチングを抑え込む様な事は行なわない。この状態では、上記トロイダル型無段変速機13の出力側に接続された、上記第二のダイナモ12側には、慣性質量の大きなフライホイール15が設けられている為、この第二のダイナモ12側である出力側の回転は、殆ど変動する事なく、凡そ一定となる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機13の入力側に接続された、上記第一のダイナモ11側の慣性質量は小さい為、この入力側の回転速度は、上記トロイダル型無段変速機13の変速比変動に基づいて変化する。この際のトロイダル型無段変速機13の変速比変動は、このトロイダル型無段変速機13の構成部材の組み付け隙間や弾性変形に基づいて生じるものである。
【0029】
この様な図3(A)から、本発明の試験装置によれば、トロイダル型無段変速機13自体が安定した性能を得られるものであれば、入力部の回転速度、入力部及び出力部のトルクに過大なハンチングを発生させず、上記トロイダル型無段変速機の性能評価を正しく行なえる事が分かる。尚、図3(A)で、実線aは入力側の回転速度を、実線bは入力側のトルクを、鎖線cは出力側の回転速度を、鎖線dは出力側のトルクを、それぞれ示している。
【0030】
又、図4(A)は、敢えてトルク急変動時にハンチングが発生し易いトロイダル型無段変速機13に関して行なった実験の結果を示している。試験条件は、前述の図4(B)の場合とほぼ同じである。この試験の準備段階では、試験装置の出力部の回転を凡そ4000min−1 に、同じく入力部のトルクを+350Nmにそれぞれ設定した。この場合には、上記トロイダル型無段変速機13の減速比は0.5(2倍増速)とし、上記入力部の回転を凡そ3000min−1 とした。この準備段階では、前述した従来構造と同様に、上記第一のダイナモ11のトルクをフィードバック制御により、上記第二のダイナモ12の回転速度をフィードバック制御により、それぞれ制御した。
【0031】
この様な準備段階の後、上記第二のダイナモ12の制御を、フィードバック制御による回転速度制御から、フィードフォワード制御によるトルク制御に変更した。そして、上記トロイダル型無段変速機13の通過トルクを+350Nmから−280Nmまで、0.1秒の間に急変動させた。この為に本例の場合には、上記第二のダイナモ12の駆動トルクを凡そ200Nmとし、上記第一のダイナモ11の吸収トルクを280Nmとした。
【0032】
これら第一、第二のダイナモ11、12のトルク制御は、フィードフォワード制御のみにより行ない、フィードバック制御は一切行なわなかった。又、上記第一、第二のダイナモ11、12の回転速度制御も、一切行なわなかった。従って、仮に上記トロイダル型無段変速機13部分で、変速比が急変動する様なハンチングが発生しても、上記第一、第二のダイナモ11、12は、このハンチングを抑え込む様な事は行なわない。この結果、予想通りにハンチングが発生して、入力部の回転速度、入力部及び出力部のトルクが細かく変動した。又、出力部の回転速度に関しても、上記入力部の回転速度変動に伴って変動した。尚、ハンチング発生後、凡そ1秒後に、非常停止動作を行なって、上記第一、第二のダイナモ11、12のトルクを0にした。
【0033】
この様な図4(A)から、本発明の試験装置によれば、トロイダル型無段変速機13がハンチングを発生するものあれば、入力部の回転速度、入力部及び出力部のトルクにハンチングを発生させて、上記トロイダル型無段変速機の性能評価を正しく行なえる事が分かる。尚、図4(A)で、実線aは入力側の回転速度を、実線bは入力側のトルクを、鎖線cは出力側の回転速度を、鎖線dは出力側のトルクを、それぞれ示している。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、通過トルクが急変動する際に於けるトロイダル型無段変速機の特性を、トロイダル型無段変速機単独で行なう試験により、正確に掴む事ができる。従って、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて構成する無段変速装置の性能評価を、低コストで、しかも短い準備期間で行なう事ができて、この様な無段変速装置の開発の能率化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となるトロイダル型無段変速機用試験装置の1例を、一部を切断して示す側面図。
【図2】この試験装置による測定結果の第1例を示す線図。
【図3】同第2例を示す線図。
【図4】同第3例を示す線図。
【図5】従来から知られているトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5 出力側ディスク
6 パワーローラ
7 トラニオン
8 支持軸
9 駆動軸
10 押圧装置
11 第一のダイナモ
12 第二のダイナモ
13 トロイダル型無段変速機
14 トルク計
15 フライホイール
16 カム板
17a、17b カム面
18 ローラ

Claims (1)

  1. トロイダル型無段変速機の性能評価を行なう為、このトロイダル型無段変速機の入力軸に連結される第一のダイナモと、このトロイダル型無段変速機の出力軸に連結される第二のダイナモとを備えたトロイダル型無段変速機用試験装置に於いて、少なくともトルク変動に基づく性能評価を行なう状態で、上記第一、第二のダイナモの駆動トルク又は吸収トルクを、何れもフィードフォワード制御により所望値に規制する事を特徴とするトロイダル型無段変速機用試験装置。
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