JP2004182189A - 車体フレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】車体前後に延びるサイドフレーム等の中空状フレーム部材を鋳造製品とした場合に、鋳造製品の品質管理コストを増大させることなく、衝突エネルギーを安定して吸収させること。
【解決手段】車体フレームは、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材40を設けたものである。鋳造製中空状フレーム部材の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けた。中空状フレーム部材は一端42側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】車体フレームは、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材40を設けたものである。鋳造製中空状フレーム部材の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けた。中空状フレーム部材は一端42側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車体フレームの改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両において、車体前後に延びるサイドフレーム等の中空状フレーム部材を設けた車体フレームが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−5564号公報(第2−3頁、図1−図2)
【0004】
特許文献1によれば、従来の車体フレームは、フロントサイドフレームのように車体前後に延びるサイドフレームを、アルミニウム押出し材からなる中空状フレーム部材で構成し、この中空状フレーム部材の中に縦リブ及び横リブを一体に形成し、これら中空状フレーム部材や縦リブ及び横リブの肉厚を車両の前後方向端部から車室側に向かって順次増大させたというものである。
車両が衝突することで、中空状フレーム部材の先端に衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材は先端側から座屈変形する(蛇腹状に潰れる)ことで、衝突エネルギーを吸収することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サイドフレームの形状は、車体フレーム全体の剛性等を考慮する必要があるので、比較的複雑な形状であることが多い。しかしながら、上記従来の車体フレームにおけるサイドフレームは、押出し材からなる中空状フレーム部材である。押出し材によって複雑な形状のサイドフレームを製造することは困難である。
【0006】
そこで、板材をプレス成形した後に溶接することによって、複雑な形状の中空状フレーム部材を製造し、この中空状フレーム部材にてサイドフレームを構成することが考えられる。しかし、これでは製造工数が嵩むので、製造コストの増大に繋がる。
【0007】
一方、中空状フレーム部材からなるサイドフレームを、鋳造によって製造することも考えられる。鋳造品であるから、一定数量以上を製造するのであれば、量産効果によって、製造コストを低減させることができる。
しかし、鋳造品を製造するには、鋳型内での溶湯の流れ具合等によって品質が不均一にならないように、十分に管理する必要がある。しかも、製品毎に品質が不均一にならないような配慮も必要である。このため、品質管理コストがかかるので、改良の余地がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、車体前後に延びるサイドフレーム等の中空状フレーム部材を鋳造製品とした場合に、鋳造製品の品質管理コストを増大させることなく、衝突エネルギーを安定して吸収させることができる技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体フレームに、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材を設け、この鋳造製中空状フレーム部材の内部を長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けた車体フレームである。
【0010】
車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材の内部を、長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けたことにより、鋳造製中空状フレーム部材には、長手方向に一定間隔で座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分を設けることができる。当然のことながら、節の部分の座屈強さは、他の部分に比べて大きい。例え、鋳造製中空状フレーム部材の品質が多少不均一(物性が多少不均一)な場合であっても、中空状フレーム部材の一端側から衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材のうち、節の無い部分で確実に座屈変形することになる。このため、中空状フレーム部材は一端側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
従って、鋳造製中空状フレーム部材の品質管理コストを増大させることなく、鋳造製中空状フレーム部材で衝突エネルギーを安定して十分に吸収させることができる。
【0011】
請求項2は、鋳造製中空状フレーム部材が、複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定したことを特徴とする。
鋳造製中空状フレーム部材のうち、複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定することによって、リブを設けた部分(座屈強さが大きい部分)、いわゆる、節の部分の座屈強さをより大きくすることができる。従って、鋳造製中空状フレーム部材のうち、節の無い部分で衝突エネルギーをより安定して吸収させることができる。
【0012】
請求項3は、鋳造製中空状フレーム部材において、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて、肉厚を徐々に大きく設定したことを特徴とする。
鋳造製中空状フレーム部材の肉厚を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーをより一層安定して十分に吸収することができる。
【0013】
請求項4は、鋳造製中空状フレーム部材において、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて、断面の寸法を徐々に大きく設定したことを特徴とする。
鋳造製中空状フレーム部材の断面の寸法を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定してより一層安定して十分に吸収することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0015】
図1は本発明に係る車両の透視図である。自動車等の車両10における車体フレーム20は、車体前部から後方へ延びる左右のフロントサイドフレーム21L,21Rと、これらのフロントサイドフレーム21L,21Rの後端に接合した左右のサイドアウトリガー22L,22Rと、これらのサイドアウトリガー22L,22Rの後部に接合し後方へ延びる左右のサイドシル23L,23Rと、これらのサイドシル23L,23Rの後端に左右の連結部材24L,24Rを介して接合し後方へ延びる左右のリヤサイドフレーム25L,25Rと、左右のフロントサイドフレーム21L,21Rの後端間に掛け渡したフロントクロスメンバ26と、左右のリヤサイドフレーム25L,25Rの後端間に掛け渡したリヤクロスメンバ27と、左右のフロアフレーム28L、28Rと、を主要構成とする。
31はフロントバンパ、32はリヤバンパである。
【0016】
左右のフロントサイドフレーム21L,21R並びに左右のリヤサイドフレーム25L,25Rのことを総称して、車体フレーム20に設けられた車体前後に延びるサイドフレーム40と言う。以下、サイドフレーム40の詳細について説明する。
【0017】
図2(a),(b)は本発明に係るサイドフレーム(中空状フレーム部材)の構成図であり、(a)は未完成状態のサイドフレーム40の斜視構成を示し、(b)は完成状態のサイドフレーム40の斜視構成を示す。
【0018】
サイドフレーム40は、アルミニウム合金鋳物や鋳鋼等の鋳造製品からなる中空状フレーム部材である。以下、サイドフレーム40のことを、説明に応じて適宜「中空状フレーム部材40」と言うことにする。
【0019】
詳しくは、中空状フレーム部材40は、(a)に示すように略コ字状断面体(角溝構成体)からなる第1フレーム半体51と、略平板状の第2フレーム半体52との、組合わせ構造体である。
第1フレーム半体51の寸法としては幅b11、高さb13である。第2フレーム半体52の幅はb11である。第1フレーム半体51の板厚、及び第2フレーム半体52の板厚はt11である。
【0020】
第1フレーム半体51は、長手方向に延びる内部の溝51aに、複数のリブ53・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)を長手方向に一定間隔p11で一体に形成したものである。これらのリブ53・・・は、第1フレーム半体51の内部を長手方向に一定間隔で区切るように配列した平板である。このようなリブ53・・・によって、第1フレーム半体51の溝51aを長手方向に全面的に閉鎖するように、コ字状断面の開口縁51b、51bまで延びる。リブ53・・・の板厚はt12であって、例えば第1フレーム半体51の板厚t11と同一である。
【0021】
第1フレーム半体51の開口縁51b、51bに第2フレーム半体52を重ねて溶接等によって接合することで、(b)に示すように中空状フレーム部材40を構成することができる。このような中空状フレーム部材40は、正方形断面状又は矩形断面状(以下、両方を包含して「矩形断面状」と言う。)の細長い閉断面体である。この閉断面体の寸法としては、一辺の長さがb11であり、一辺に直角な他辺の長さがb12である。他辺の長さb12は、第1フレーム半体51の高さb13と第2フレーム半体52の板厚t11との総和である。
【0022】
鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材40の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けることができる。このような鋳造製中空状フレーム部材40において、リブ53・・・で区切られた各ブロックのことを、一端42(先端42)から他端側(図右側の車室側)へ向かって、順に第1ブロック43、第2ブロック44、第3ブロック45、第4ブロック46、・・・と言うことにする。
なお、リブ53・・・の端面に重ねられた第2フレーム半体52を、さらにスポット溶接等で接合してもよい。
【0023】
次に、上記中空状フレーム部材40に設けた複数のリブ53・・・の間隔p11の大きさについて説明する。
【0024】
自動車が正面衝突又は後面衝突したときに、車体前後に延びる左右のサイドフレーム、すなわちフロントサイドフレームやリヤサイドフレームが塑性変形することで、衝突エネルギーを吸収する特性の研究に関しては、例えば、次の論文1及び論文2が知られている。
【0025】
[論文1]・・・山屋 雅敏、外1名、「薄板箱形部材の塑性変形によるエネルギー吸収」、三菱重工技報、三菱重工株式会社、1971年1月、第8巻第1号、p.124−130
[論文2]・・・綾 紀元、外1名、「車体のエネルギ吸収特性(第1報)」、自動車技術会論文集、自動車技術会、1974年第7号、p.60−66
【0026】
図3(a),(b)は薄板箱形部材の塑性変形によるエネルギー吸収を説明する説明図であり、上記「論文1」の図1〜図3及び図5を組合わせて再掲したものである。
(a)は静荷重圧縮試験をする供試品を示す。供試品は、ハット状部材の開口を平板で塞ぐことで、断面が一様な長さ300mmの矩形状閉断面体とした鋼材製品である。なお、供試品の断面の各寸法は、幅40mm、高さ80mm、ハット状部材の全高さ110mm、ハット状部材並びに平板の板厚1.2mmである。すなわち、幅幅40mmで高さ80mmの矩形状閉断面体である。
この供試品の長手方向に圧縮荷重Frを掛けて静荷重圧縮試験をした結果を(b)に示す。
【0027】
(b)は(a)の供試品による静荷重試験結果を示すグラフであり、縦軸を圧縮荷重とし横軸を供試品の変形量として表した。
(b)によれば、長さ300mmの供試品を圧縮したときに、変形量が150mm前後になるまでは圧縮荷重は概ね安定しており、それを超えると圧縮荷重は不安定になり、さらに変形量が200mm前後を超えると圧縮荷重は急激に上昇することが判る。
【0028】
このように、変形量が全長の1/2程度になるまで座屈変形すると、変形させるための圧縮荷重が急上昇するので、その後は変形し難くなる。このことは、供試品を長手方向で部分的に考えた場合にも同様である。一般に、供試品が長手方向に座屈変形する場合、供試品は長手方向にほぼ一定ピッチ毎に、波形状(蛇腹状)に座屈変形することが知られている。この一定ピッチのことを「座屈モードのピッチp」と言うことにする。供試品には長手方向で、座屈モードのピッチp毎に変形の節が有ると、考えることができる。
上記試験結果によれば、座屈モードのピッチp毎に考えたときにも、この座屈モードのピッチpの1/2程度まで変形すると、その後は変形し難くなることになる。
【0029】
ところで、座屈モードのピッチpは、供試品の断面の大きさに応じて変化することが知られている。このことについて、次の図4及び図5に基づき説明する。
【0030】
図4(a),(b)は車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その1)であり、上記「論文2」の図11を再掲したものである。
(a)は静荷重圧縮試験をする供試品を示す。供試品は、一辺の長さbで板厚1.6mmの、断面が一様な正方形状断面体である。この供試品の一辺の長さbを変化させ、長手方向に圧縮荷重を掛けて静荷重圧縮試験をしたときの、座屈モードのピッチpの変化を(b)に示す。
【0031】
(b)は(a)の供試品による静荷重試験結果を示すグラフであり、横軸を供試品の一辺の長さbとし、縦軸を座屈モードのピッチpの変化として表した。
(b)によれば、供試品の一辺の長さbの変化に対する座屈モードのピッチpの変化が、p=bの比例関係にあることが判る。
【0032】
図5(a)〜(c)は車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その2)であり、上記「論文2」の図13を再掲したものである。
(a)は静荷重圧縮試験をする供試品を示し、(b)は(a)のb−b線断面構成を示す。供試品は一辺の長さをb1とし、この一辺に直角な他辺の長さをb2とした、板厚1.6mmの断面が一様な矩形状断面体である。この供試品の一辺の長さb1と他辺の長さb2との和を150mm(一定)にし、一辺の長さb1に対する他辺の長さb2の割合を変化させ、長手方向に圧縮荷重を掛けて静荷重圧縮試験をしたときの、座屈モードのピッチpの変化を(c)に示す。
【0033】
(c)は(a)の供試品による静荷重試験結果を示すグラフであり、横軸を供試品の一辺の長さb1に対する他辺の長さb2の割合とし、縦軸を座屈モードのピッチpの変化として表した。
【0034】
(c)によれば、b1とb2の和(b1+b2)が一定であれば、b1に対するb2の割合が変化しても、座屈モードのピッチpは一定であるあることが判る。すなわち、矩形断面の周長と正方形断面の周長とが等しければ、発生荷重は等しいと言える。
このように、矩形断面体においては、短辺の長さと長辺の長さとの平均値で座屈モードのピッチpが決まる。従って矩形断面体は、これと周長の等しい正方形断面体と考えればよい。
【0035】
以上の説明から明らかなように、このような座屈モードのピッチpに対して、上記図2に示す複数のリブ53・・・の間隔p11の大きさを、同一又はほぼ同一に設定することが、より好ましい。その理由は次の通りである。
【0036】
上記図3〜図5の説明に基づいて、上記図2(b)に示す中空状フレーム部材40を考える。ここで、中空状フレーム部材40にリブ53・・・が無い場合を考えてみる。中空状フレーム部材40が長手方向に座屈変形する場合、中空状フレーム部材40は長手方向で座屈モードのピッチp毎に、蛇腹状に変形することになり、座屈モードのピッチp毎に「変形の節」が有ると考えられる。これらの「変形の節」の間で確実に座屈変形させるようにできれば、衝突エネルギーを安定して吸収できることに繋がる。
【0037】
そこで、中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材40の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けることにした。さらには、リブ53・・・の間隔p11を、上記座屈モードのピッチpと同一又はほぼ同一に設定した。
中空状フレーム部材40のうち、リブ53・・・を設けた部分は、リブ53・・・によって補強されるので、座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分であると言うことができる。
【0038】
なお、「座屈強さ」とは、中空状フレーム部材40の先端に衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材40の長手方向に作用した圧縮荷重に対する圧縮強さ(圧縮強度)のことであり、座屈強度とも言う。
「座屈変形」とは、上記圧縮荷重によって中空状フレーム部材40が塑性変形して潰れる(圧壊)ことを言う。
【0039】
次に、上記構成の中空状フレーム部材40の作用について図6に基づき説明する。
図6(a)〜(d)は本発明に係る中空状フレーム部材の作用図であり、車両が障害物Shに衝突した場合を例に説明する。
【0040】
(a)は、障害物Shに車両が衝突することで、本発明の中空状フレーム部材40の一端42に衝突エネルギーが作用し始める時点を示す。以下、(b)以降については障害物Shを省略して表す。
(b)は、衝突エネルギーによって、中空状フレーム部材40における一端42側の第1ブロック43が蛇腹状に塑性変形したことを示す。
(c)は、衝突エネルギーによって、更に中空状フレーム部材40の第2ブロック44が蛇腹状に塑性変形したことを示す。
(d)は、衝突エネルギーによって、更に中空状フレーム部材40の第3ブロック45が蛇腹状に塑性変形したことを示す。
【0041】
このように、中空状フレーム部材40は一端42側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
【0042】
以上の説明から明らかなように、図2に示す如く、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材40を設け、この鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材40の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けたことを特徴とする。
【0043】
このようにすることで、鋳造製中空状フレーム部材40には、長手方向に一定間隔p11で座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分を設けることができる。当然のことながら、節の部分の座屈強さは、他の部分に比べて大きい。例え、鋳造製中空状フレーム部材40の品質が多少不均一(物性が多少不均一)な場合であっても、中空状フレーム部材40の一端42側から衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材40のうち、節の無い部分で確実に座屈変形することになる。このため、中空状フレーム部材40は一端42側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
【0044】
従って、鋳造製中空状フレーム部材40の品質管理コストを増大させることなく、鋳造製中空状フレーム部材40で衝突エネルギーを安定して十分に吸収させることができる。しかも、鋳造品であるから、複雑な形状の中空状フレーム部材40を容易に製造することができるとともに、一定数量以上を製造することにより、量産効果によって製造コストを低減させることができる。
なお、比較的簡単な形状である第2フレーム半体52については、板材のプレス成形品や押出し材であってもよい。
【0045】
次に、上記中空状フレーム部材40の変形例について、図7〜図11に基づき説明する。なお、上記図1〜図6に示す実施例の構成と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図7(a),(b)は本発明に係る中空状フレーム部材(第1変形例)の構成図である。図7(a)は上記図2(a)に対応させて中空状フレーム部材40を表した図であり、図7(b)は図7(a)のb矢視図である。
【0047】
第1変形例の中空状フレーム部材40は、各リブ53・・・を2分割したことを特徴とする。リブ53は、第1フレーム半体51の内部に一体に形成した第1リブ半体61と、第2フレーム半体52の内面に一体に形成した第2リブ半体62とからなる。
第1・第2リブ半体61,62は、一定幅w1で板厚t12の帯板状部材である。このため、中空状フレーム部材40の中心部分には孔64を有する。このようなリブ53・・・によって、鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切ることができる。
【0048】
図8(a),(b)は本発明に係る中空状フレーム部材(第2変形例)の構成図であり、上記図7に示す第1変形例の更なる変形例を示す。図8(a)は上記図7(a)に対応させて中空状フレーム部材40を表した図であり、図8(b)は図8(a)のb矢視図である。
【0049】
第2変形例の中空状フレーム部材40は、図8(a)に示すように略L字状断面体からなる第1フレーム半体71と、略L字状断面体からなる第2フレーム半体72との、各先端部71a,42a同士を重ねて溶接等によって接合することで、(b)に示すように矩形断面状に構成することができる。
【0050】
第2変形例の中空状フレーム部材40のリブ53は、第1フレーム半体71の内部に一体に形成した第1リブ半体61と、第2フレーム半体72の内面に一体に形成した第2リブ半体62とからなる。第1・第2リブ半体61,62は、第1変形例と同様に一定幅w1で板厚t12の帯板状部材である。このようなリブ53・・・によって、鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切ることができる。
【0051】
図9(a),(b)は本発明に係る中空状フレーム部材(第3変形例)の構成図であり、上記図2(a)の第1フレーム半体51に対応させて表した。
図9(a)は、第1フレーム半体51のうち、リブ53・・・を設けた部分81の肉厚t13を、第1フレーム半体51内の溝51a側に増したことを示す。図9(b)は、第1フレーム半体51のうち、リブ53・・・を設けた部分81の肉厚t13を、第1フレーム半体51の外側に増したことを示す。なお、肉厚t13が大きい部分の長さはc11である。
【0052】
このように、第3変形例の中空状フレーム部材40は、複数のリブ53・・・を設けた部分81の肉厚(板厚)t13を、他の部分の肉厚(板厚)t11よりも大きく設定したことを特徴とする。このようにすることで、リブ53・・・を設けた部分(座屈強さが大きい部分)81、いわゆる、節の部分81の座屈強さをより大きくすることができる。従って、鋳造製中空状フレーム部材40で衝突エネルギーをより安定して吸収させることができる。
【0053】
図10は本発明に係る中空状フレーム部材(第4変形例)の構成図であり、上記図2(a)の第1フレーム半体51に対応させて表した。この図は、中空状フレーム部材40の肉厚を、衝突エネルギーが作用する一端42側から他端側(図右側)にかけて徐々に大きく設定したことを示す。具体的には、各リブ53,53間における、第1フレーム半体51の肉厚(板厚)を一端42側から他端側にかけて、t21,t22,t23,t24のように徐々に大きくした(t21<t22<t23<t24)。
【0054】
この結果、一端40側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材40は一端42側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーをより一層安定して十分に吸収することができる。
【0055】
図11は本発明に係る中空状フレーム部材(第5変形例)の平面図であり、上記図2(a)の第1フレーム半体51に対応させて表した。この図は、中空状フレーム部材40の断面の寸法を、衝突エネルギーが作用する一端42側から他端側(図右側)にかけて徐々に大きく設定したことを示す。具体的には、中空状フレーム部材の断面40の一辺の長さは、一端42側がb11であり、他端側がb11よりも大きいb11Aである(b11<b11A)。このようにして中空状フレーム部材40を、一端40側から他端側にかけて徐々に広幅にした。
【0056】
この結果、一端42側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材40は一端42側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定してより一層安定して十分に吸収することができる。
【0057】
なお、上記本発明の実施の形態において、図1〜図6に示す実施例の構成や図7〜図11に示す各変形例の構成を適宜組合わせることで、より好適な作用、効果を発揮させることができる。例えば、図9に示す第3変形例の構成、図10に示す第4変形例の構成、図11に示す第5変形例の構成を組合わせることもできる。
【0058】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材の内部を、長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けたことにより、鋳造製中空状フレーム部材には、長手方向に一定間隔で座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分を設けることができる。当然のことながら、節の部分の座屈強さは、他の部分に比べて大きい。例え、鋳造製中空状フレーム部材の品質が多少不均一(物性が多少不均一)な場合であっても、中空状フレーム部材の一端側から衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材のうち、節の無い部分で確実に座屈変形することになる。このため、中空状フレーム部材は一端側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
従って、鋳造製中空状フレーム部材の品質管理コストを増大させることなく、鋳造製中空状フレーム部材で衝突エネルギーを安定して十分に吸収させることができる。
【0059】
請求項2は、鋳造製中空状フレーム部材のうち、複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定することによって、リブを設けた部分(座屈強さが大きい部分)、いわゆる、節の部分の座屈強さをより大きくすることができる。従って、鋳造製中空状フレーム部材で衝突エネルギーをより安定して吸収させることができる。
【0060】
請求項3は、鋳造製中空状フレーム部材の肉厚を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーをより一層安定して十分に吸収することができる。
【0061】
請求項4は、鋳造製中空状フレーム部材の断面の寸法を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定してより一層安定して十分に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の透視図
【図2】本発明に係るサイドフレーム(中空状フレーム部材)の構成図
【図3】薄板箱形部材の塑性変形によるエネルギー吸収を説明する説明図
【図4】車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その1)
【図5】車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その2)
【図6】本発明に係る中空状フレーム部材の作用図
【図7】本発明に係る中空状フレーム部材(第1変形例)の構成図
【図8】本発明に係る中空状フレーム部材(第2変形例)の構成図
【図9】本発明に係る中空状フレーム部材(第3変形例)の構成図
【図10】本発明に係る中空状フレーム部材(第4変形例)の構成図
【図11】本発明に係る中空状フレーム部材(第5変形例)の平面図
【符号の説明】
10…車両、20…車体フレーム、40…鋳造製中空状フレーム部材(サイドフレーム)、41…中空状フレーム部材の内周面、42…鋳造製中空状フレーム部材の一端、53…リブ、81…リブを設けた部分、b11,b11A…鋳造製中空状フレーム部材の断面の寸法、t11…他の部分の肉厚、t13…リブを設けた部分の肉厚、p11…一定間隔。
【発明の属する技術分野】
本発明は車体フレームの改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両において、車体前後に延びるサイドフレーム等の中空状フレーム部材を設けた車体フレームが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−5564号公報(第2−3頁、図1−図2)
【0004】
特許文献1によれば、従来の車体フレームは、フロントサイドフレームのように車体前後に延びるサイドフレームを、アルミニウム押出し材からなる中空状フレーム部材で構成し、この中空状フレーム部材の中に縦リブ及び横リブを一体に形成し、これら中空状フレーム部材や縦リブ及び横リブの肉厚を車両の前後方向端部から車室側に向かって順次増大させたというものである。
車両が衝突することで、中空状フレーム部材の先端に衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材は先端側から座屈変形する(蛇腹状に潰れる)ことで、衝突エネルギーを吸収することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サイドフレームの形状は、車体フレーム全体の剛性等を考慮する必要があるので、比較的複雑な形状であることが多い。しかしながら、上記従来の車体フレームにおけるサイドフレームは、押出し材からなる中空状フレーム部材である。押出し材によって複雑な形状のサイドフレームを製造することは困難である。
【0006】
そこで、板材をプレス成形した後に溶接することによって、複雑な形状の中空状フレーム部材を製造し、この中空状フレーム部材にてサイドフレームを構成することが考えられる。しかし、これでは製造工数が嵩むので、製造コストの増大に繋がる。
【0007】
一方、中空状フレーム部材からなるサイドフレームを、鋳造によって製造することも考えられる。鋳造品であるから、一定数量以上を製造するのであれば、量産効果によって、製造コストを低減させることができる。
しかし、鋳造品を製造するには、鋳型内での溶湯の流れ具合等によって品質が不均一にならないように、十分に管理する必要がある。しかも、製品毎に品質が不均一にならないような配慮も必要である。このため、品質管理コストがかかるので、改良の余地がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、車体前後に延びるサイドフレーム等の中空状フレーム部材を鋳造製品とした場合に、鋳造製品の品質管理コストを増大させることなく、衝突エネルギーを安定して吸収させることができる技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体フレームに、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材を設け、この鋳造製中空状フレーム部材の内部を長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けた車体フレームである。
【0010】
車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材の内部を、長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けたことにより、鋳造製中空状フレーム部材には、長手方向に一定間隔で座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分を設けることができる。当然のことながら、節の部分の座屈強さは、他の部分に比べて大きい。例え、鋳造製中空状フレーム部材の品質が多少不均一(物性が多少不均一)な場合であっても、中空状フレーム部材の一端側から衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材のうち、節の無い部分で確実に座屈変形することになる。このため、中空状フレーム部材は一端側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
従って、鋳造製中空状フレーム部材の品質管理コストを増大させることなく、鋳造製中空状フレーム部材で衝突エネルギーを安定して十分に吸収させることができる。
【0011】
請求項2は、鋳造製中空状フレーム部材が、複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定したことを特徴とする。
鋳造製中空状フレーム部材のうち、複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定することによって、リブを設けた部分(座屈強さが大きい部分)、いわゆる、節の部分の座屈強さをより大きくすることができる。従って、鋳造製中空状フレーム部材のうち、節の無い部分で衝突エネルギーをより安定して吸収させることができる。
【0012】
請求項3は、鋳造製中空状フレーム部材において、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて、肉厚を徐々に大きく設定したことを特徴とする。
鋳造製中空状フレーム部材の肉厚を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーをより一層安定して十分に吸収することができる。
【0013】
請求項4は、鋳造製中空状フレーム部材において、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて、断面の寸法を徐々に大きく設定したことを特徴とする。
鋳造製中空状フレーム部材の断面の寸法を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定してより一層安定して十分に吸収することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0015】
図1は本発明に係る車両の透視図である。自動車等の車両10における車体フレーム20は、車体前部から後方へ延びる左右のフロントサイドフレーム21L,21Rと、これらのフロントサイドフレーム21L,21Rの後端に接合した左右のサイドアウトリガー22L,22Rと、これらのサイドアウトリガー22L,22Rの後部に接合し後方へ延びる左右のサイドシル23L,23Rと、これらのサイドシル23L,23Rの後端に左右の連結部材24L,24Rを介して接合し後方へ延びる左右のリヤサイドフレーム25L,25Rと、左右のフロントサイドフレーム21L,21Rの後端間に掛け渡したフロントクロスメンバ26と、左右のリヤサイドフレーム25L,25Rの後端間に掛け渡したリヤクロスメンバ27と、左右のフロアフレーム28L、28Rと、を主要構成とする。
31はフロントバンパ、32はリヤバンパである。
【0016】
左右のフロントサイドフレーム21L,21R並びに左右のリヤサイドフレーム25L,25Rのことを総称して、車体フレーム20に設けられた車体前後に延びるサイドフレーム40と言う。以下、サイドフレーム40の詳細について説明する。
【0017】
図2(a),(b)は本発明に係るサイドフレーム(中空状フレーム部材)の構成図であり、(a)は未完成状態のサイドフレーム40の斜視構成を示し、(b)は完成状態のサイドフレーム40の斜視構成を示す。
【0018】
サイドフレーム40は、アルミニウム合金鋳物や鋳鋼等の鋳造製品からなる中空状フレーム部材である。以下、サイドフレーム40のことを、説明に応じて適宜「中空状フレーム部材40」と言うことにする。
【0019】
詳しくは、中空状フレーム部材40は、(a)に示すように略コ字状断面体(角溝構成体)からなる第1フレーム半体51と、略平板状の第2フレーム半体52との、組合わせ構造体である。
第1フレーム半体51の寸法としては幅b11、高さb13である。第2フレーム半体52の幅はb11である。第1フレーム半体51の板厚、及び第2フレーム半体52の板厚はt11である。
【0020】
第1フレーム半体51は、長手方向に延びる内部の溝51aに、複数のリブ53・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)を長手方向に一定間隔p11で一体に形成したものである。これらのリブ53・・・は、第1フレーム半体51の内部を長手方向に一定間隔で区切るように配列した平板である。このようなリブ53・・・によって、第1フレーム半体51の溝51aを長手方向に全面的に閉鎖するように、コ字状断面の開口縁51b、51bまで延びる。リブ53・・・の板厚はt12であって、例えば第1フレーム半体51の板厚t11と同一である。
【0021】
第1フレーム半体51の開口縁51b、51bに第2フレーム半体52を重ねて溶接等によって接合することで、(b)に示すように中空状フレーム部材40を構成することができる。このような中空状フレーム部材40は、正方形断面状又は矩形断面状(以下、両方を包含して「矩形断面状」と言う。)の細長い閉断面体である。この閉断面体の寸法としては、一辺の長さがb11であり、一辺に直角な他辺の長さがb12である。他辺の長さb12は、第1フレーム半体51の高さb13と第2フレーム半体52の板厚t11との総和である。
【0022】
鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材40の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けることができる。このような鋳造製中空状フレーム部材40において、リブ53・・・で区切られた各ブロックのことを、一端42(先端42)から他端側(図右側の車室側)へ向かって、順に第1ブロック43、第2ブロック44、第3ブロック45、第4ブロック46、・・・と言うことにする。
なお、リブ53・・・の端面に重ねられた第2フレーム半体52を、さらにスポット溶接等で接合してもよい。
【0023】
次に、上記中空状フレーム部材40に設けた複数のリブ53・・・の間隔p11の大きさについて説明する。
【0024】
自動車が正面衝突又は後面衝突したときに、車体前後に延びる左右のサイドフレーム、すなわちフロントサイドフレームやリヤサイドフレームが塑性変形することで、衝突エネルギーを吸収する特性の研究に関しては、例えば、次の論文1及び論文2が知られている。
【0025】
[論文1]・・・山屋 雅敏、外1名、「薄板箱形部材の塑性変形によるエネルギー吸収」、三菱重工技報、三菱重工株式会社、1971年1月、第8巻第1号、p.124−130
[論文2]・・・綾 紀元、外1名、「車体のエネルギ吸収特性(第1報)」、自動車技術会論文集、自動車技術会、1974年第7号、p.60−66
【0026】
図3(a),(b)は薄板箱形部材の塑性変形によるエネルギー吸収を説明する説明図であり、上記「論文1」の図1〜図3及び図5を組合わせて再掲したものである。
(a)は静荷重圧縮試験をする供試品を示す。供試品は、ハット状部材の開口を平板で塞ぐことで、断面が一様な長さ300mmの矩形状閉断面体とした鋼材製品である。なお、供試品の断面の各寸法は、幅40mm、高さ80mm、ハット状部材の全高さ110mm、ハット状部材並びに平板の板厚1.2mmである。すなわち、幅幅40mmで高さ80mmの矩形状閉断面体である。
この供試品の長手方向に圧縮荷重Frを掛けて静荷重圧縮試験をした結果を(b)に示す。
【0027】
(b)は(a)の供試品による静荷重試験結果を示すグラフであり、縦軸を圧縮荷重とし横軸を供試品の変形量として表した。
(b)によれば、長さ300mmの供試品を圧縮したときに、変形量が150mm前後になるまでは圧縮荷重は概ね安定しており、それを超えると圧縮荷重は不安定になり、さらに変形量が200mm前後を超えると圧縮荷重は急激に上昇することが判る。
【0028】
このように、変形量が全長の1/2程度になるまで座屈変形すると、変形させるための圧縮荷重が急上昇するので、その後は変形し難くなる。このことは、供試品を長手方向で部分的に考えた場合にも同様である。一般に、供試品が長手方向に座屈変形する場合、供試品は長手方向にほぼ一定ピッチ毎に、波形状(蛇腹状)に座屈変形することが知られている。この一定ピッチのことを「座屈モードのピッチp」と言うことにする。供試品には長手方向で、座屈モードのピッチp毎に変形の節が有ると、考えることができる。
上記試験結果によれば、座屈モードのピッチp毎に考えたときにも、この座屈モードのピッチpの1/2程度まで変形すると、その後は変形し難くなることになる。
【0029】
ところで、座屈モードのピッチpは、供試品の断面の大きさに応じて変化することが知られている。このことについて、次の図4及び図5に基づき説明する。
【0030】
図4(a),(b)は車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その1)であり、上記「論文2」の図11を再掲したものである。
(a)は静荷重圧縮試験をする供試品を示す。供試品は、一辺の長さbで板厚1.6mmの、断面が一様な正方形状断面体である。この供試品の一辺の長さbを変化させ、長手方向に圧縮荷重を掛けて静荷重圧縮試験をしたときの、座屈モードのピッチpの変化を(b)に示す。
【0031】
(b)は(a)の供試品による静荷重試験結果を示すグラフであり、横軸を供試品の一辺の長さbとし、縦軸を座屈モードのピッチpの変化として表した。
(b)によれば、供試品の一辺の長さbの変化に対する座屈モードのピッチpの変化が、p=bの比例関係にあることが判る。
【0032】
図5(a)〜(c)は車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その2)であり、上記「論文2」の図13を再掲したものである。
(a)は静荷重圧縮試験をする供試品を示し、(b)は(a)のb−b線断面構成を示す。供試品は一辺の長さをb1とし、この一辺に直角な他辺の長さをb2とした、板厚1.6mmの断面が一様な矩形状断面体である。この供試品の一辺の長さb1と他辺の長さb2との和を150mm(一定)にし、一辺の長さb1に対する他辺の長さb2の割合を変化させ、長手方向に圧縮荷重を掛けて静荷重圧縮試験をしたときの、座屈モードのピッチpの変化を(c)に示す。
【0033】
(c)は(a)の供試品による静荷重試験結果を示すグラフであり、横軸を供試品の一辺の長さb1に対する他辺の長さb2の割合とし、縦軸を座屈モードのピッチpの変化として表した。
【0034】
(c)によれば、b1とb2の和(b1+b2)が一定であれば、b1に対するb2の割合が変化しても、座屈モードのピッチpは一定であるあることが判る。すなわち、矩形断面の周長と正方形断面の周長とが等しければ、発生荷重は等しいと言える。
このように、矩形断面体においては、短辺の長さと長辺の長さとの平均値で座屈モードのピッチpが決まる。従って矩形断面体は、これと周長の等しい正方形断面体と考えればよい。
【0035】
以上の説明から明らかなように、このような座屈モードのピッチpに対して、上記図2に示す複数のリブ53・・・の間隔p11の大きさを、同一又はほぼ同一に設定することが、より好ましい。その理由は次の通りである。
【0036】
上記図3〜図5の説明に基づいて、上記図2(b)に示す中空状フレーム部材40を考える。ここで、中空状フレーム部材40にリブ53・・・が無い場合を考えてみる。中空状フレーム部材40が長手方向に座屈変形する場合、中空状フレーム部材40は長手方向で座屈モードのピッチp毎に、蛇腹状に変形することになり、座屈モードのピッチp毎に「変形の節」が有ると考えられる。これらの「変形の節」の間で確実に座屈変形させるようにできれば、衝突エネルギーを安定して吸収できることに繋がる。
【0037】
そこで、中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材40の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けることにした。さらには、リブ53・・・の間隔p11を、上記座屈モードのピッチpと同一又はほぼ同一に設定した。
中空状フレーム部材40のうち、リブ53・・・を設けた部分は、リブ53・・・によって補強されるので、座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分であると言うことができる。
【0038】
なお、「座屈強さ」とは、中空状フレーム部材40の先端に衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材40の長手方向に作用した圧縮荷重に対する圧縮強さ(圧縮強度)のことであり、座屈強度とも言う。
「座屈変形」とは、上記圧縮荷重によって中空状フレーム部材40が塑性変形して潰れる(圧壊)ことを言う。
【0039】
次に、上記構成の中空状フレーム部材40の作用について図6に基づき説明する。
図6(a)〜(d)は本発明に係る中空状フレーム部材の作用図であり、車両が障害物Shに衝突した場合を例に説明する。
【0040】
(a)は、障害物Shに車両が衝突することで、本発明の中空状フレーム部材40の一端42に衝突エネルギーが作用し始める時点を示す。以下、(b)以降については障害物Shを省略して表す。
(b)は、衝突エネルギーによって、中空状フレーム部材40における一端42側の第1ブロック43が蛇腹状に塑性変形したことを示す。
(c)は、衝突エネルギーによって、更に中空状フレーム部材40の第2ブロック44が蛇腹状に塑性変形したことを示す。
(d)は、衝突エネルギーによって、更に中空状フレーム部材40の第3ブロック45が蛇腹状に塑性変形したことを示す。
【0041】
このように、中空状フレーム部材40は一端42側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
【0042】
以上の説明から明らかなように、図2に示す如く、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材40を設け、この鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切るように、中空状フレーム部材40の内周面41に複数のリブ53・・・を一定間隔p11で設けたことを特徴とする。
【0043】
このようにすることで、鋳造製中空状フレーム部材40には、長手方向に一定間隔p11で座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分を設けることができる。当然のことながら、節の部分の座屈強さは、他の部分に比べて大きい。例え、鋳造製中空状フレーム部材40の品質が多少不均一(物性が多少不均一)な場合であっても、中空状フレーム部材40の一端42側から衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材40のうち、節の無い部分で確実に座屈変形することになる。このため、中空状フレーム部材40は一端42側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
【0044】
従って、鋳造製中空状フレーム部材40の品質管理コストを増大させることなく、鋳造製中空状フレーム部材40で衝突エネルギーを安定して十分に吸収させることができる。しかも、鋳造品であるから、複雑な形状の中空状フレーム部材40を容易に製造することができるとともに、一定数量以上を製造することにより、量産効果によって製造コストを低減させることができる。
なお、比較的簡単な形状である第2フレーム半体52については、板材のプレス成形品や押出し材であってもよい。
【0045】
次に、上記中空状フレーム部材40の変形例について、図7〜図11に基づき説明する。なお、上記図1〜図6に示す実施例の構成と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
図7(a),(b)は本発明に係る中空状フレーム部材(第1変形例)の構成図である。図7(a)は上記図2(a)に対応させて中空状フレーム部材40を表した図であり、図7(b)は図7(a)のb矢視図である。
【0047】
第1変形例の中空状フレーム部材40は、各リブ53・・・を2分割したことを特徴とする。リブ53は、第1フレーム半体51の内部に一体に形成した第1リブ半体61と、第2フレーム半体52の内面に一体に形成した第2リブ半体62とからなる。
第1・第2リブ半体61,62は、一定幅w1で板厚t12の帯板状部材である。このため、中空状フレーム部材40の中心部分には孔64を有する。このようなリブ53・・・によって、鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切ることができる。
【0048】
図8(a),(b)は本発明に係る中空状フレーム部材(第2変形例)の構成図であり、上記図7に示す第1変形例の更なる変形例を示す。図8(a)は上記図7(a)に対応させて中空状フレーム部材40を表した図であり、図8(b)は図8(a)のb矢視図である。
【0049】
第2変形例の中空状フレーム部材40は、図8(a)に示すように略L字状断面体からなる第1フレーム半体71と、略L字状断面体からなる第2フレーム半体72との、各先端部71a,42a同士を重ねて溶接等によって接合することで、(b)に示すように矩形断面状に構成することができる。
【0050】
第2変形例の中空状フレーム部材40のリブ53は、第1フレーム半体71の内部に一体に形成した第1リブ半体61と、第2フレーム半体72の内面に一体に形成した第2リブ半体62とからなる。第1・第2リブ半体61,62は、第1変形例と同様に一定幅w1で板厚t12の帯板状部材である。このようなリブ53・・・によって、鋳造製中空状フレーム部材40の内部を長手方向に一定間隔p11で区切ることができる。
【0051】
図9(a),(b)は本発明に係る中空状フレーム部材(第3変形例)の構成図であり、上記図2(a)の第1フレーム半体51に対応させて表した。
図9(a)は、第1フレーム半体51のうち、リブ53・・・を設けた部分81の肉厚t13を、第1フレーム半体51内の溝51a側に増したことを示す。図9(b)は、第1フレーム半体51のうち、リブ53・・・を設けた部分81の肉厚t13を、第1フレーム半体51の外側に増したことを示す。なお、肉厚t13が大きい部分の長さはc11である。
【0052】
このように、第3変形例の中空状フレーム部材40は、複数のリブ53・・・を設けた部分81の肉厚(板厚)t13を、他の部分の肉厚(板厚)t11よりも大きく設定したことを特徴とする。このようにすることで、リブ53・・・を設けた部分(座屈強さが大きい部分)81、いわゆる、節の部分81の座屈強さをより大きくすることができる。従って、鋳造製中空状フレーム部材40で衝突エネルギーをより安定して吸収させることができる。
【0053】
図10は本発明に係る中空状フレーム部材(第4変形例)の構成図であり、上記図2(a)の第1フレーム半体51に対応させて表した。この図は、中空状フレーム部材40の肉厚を、衝突エネルギーが作用する一端42側から他端側(図右側)にかけて徐々に大きく設定したことを示す。具体的には、各リブ53,53間における、第1フレーム半体51の肉厚(板厚)を一端42側から他端側にかけて、t21,t22,t23,t24のように徐々に大きくした(t21<t22<t23<t24)。
【0054】
この結果、一端40側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材40は一端42側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーをより一層安定して十分に吸収することができる。
【0055】
図11は本発明に係る中空状フレーム部材(第5変形例)の平面図であり、上記図2(a)の第1フレーム半体51に対応させて表した。この図は、中空状フレーム部材40の断面の寸法を、衝突エネルギーが作用する一端42側から他端側(図右側)にかけて徐々に大きく設定したことを示す。具体的には、中空状フレーム部材の断面40の一辺の長さは、一端42側がb11であり、他端側がb11よりも大きいb11Aである(b11<b11A)。このようにして中空状フレーム部材40を、一端40側から他端側にかけて徐々に広幅にした。
【0056】
この結果、一端42側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材40は一端42側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定してより一層安定して十分に吸収することができる。
【0057】
なお、上記本発明の実施の形態において、図1〜図6に示す実施例の構成や図7〜図11に示す各変形例の構成を適宜組合わせることで、より好適な作用、効果を発揮させることができる。例えば、図9に示す第3変形例の構成、図10に示す第4変形例の構成、図11に示す第5変形例の構成を組合わせることもできる。
【0058】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材の内部を、長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けたことにより、鋳造製中空状フレーム部材には、長手方向に一定間隔で座屈強さが大きい部分、いわゆる、節の部分を設けることができる。当然のことながら、節の部分の座屈強さは、他の部分に比べて大きい。例え、鋳造製中空状フレーム部材の品質が多少不均一(物性が多少不均一)な場合であっても、中空状フレーム部材の一端側から衝突エネルギーが作用したときに、中空状フレーム部材のうち、節の無い部分で確実に座屈変形することになる。このため、中空状フレーム部材は一端側から順次、一定間隔で座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定して十分に吸収することができる。
従って、鋳造製中空状フレーム部材の品質管理コストを増大させることなく、鋳造製中空状フレーム部材で衝突エネルギーを安定して十分に吸収させることができる。
【0059】
請求項2は、鋳造製中空状フレーム部材のうち、複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定することによって、リブを設けた部分(座屈強さが大きい部分)、いわゆる、節の部分の座屈強さをより大きくすることができる。従って、鋳造製中空状フレーム部材で衝突エネルギーをより安定して吸収させることができる。
【0060】
請求項3は、鋳造製中空状フレーム部材の肉厚を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーをより一層安定して十分に吸収することができる。
【0061】
請求項4は、鋳造製中空状フレーム部材の断面の寸法を、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて徐々に大きく設定することで、一端側から他端側にかけて、座屈強さを徐々に大きくすることができる。従って、中空状フレーム部材は一端側から他端側へ、より一層確実に順次、座屈変形することによって、衝突エネルギーを安定してより一層安定して十分に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の透視図
【図2】本発明に係るサイドフレーム(中空状フレーム部材)の構成図
【図3】薄板箱形部材の塑性変形によるエネルギー吸収を説明する説明図
【図4】車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その1)
【図5】車体のエネルギー吸収特性を説明する説明図(その2)
【図6】本発明に係る中空状フレーム部材の作用図
【図7】本発明に係る中空状フレーム部材(第1変形例)の構成図
【図8】本発明に係る中空状フレーム部材(第2変形例)の構成図
【図9】本発明に係る中空状フレーム部材(第3変形例)の構成図
【図10】本発明に係る中空状フレーム部材(第4変形例)の構成図
【図11】本発明に係る中空状フレーム部材(第5変形例)の平面図
【符号の説明】
10…車両、20…車体フレーム、40…鋳造製中空状フレーム部材(サイドフレーム)、41…中空状フレーム部材の内周面、42…鋳造製中空状フレーム部材の一端、53…リブ、81…リブを設けた部分、b11,b11A…鋳造製中空状フレーム部材の断面の寸法、t11…他の部分の肉厚、t13…リブを設けた部分の肉厚、p11…一定間隔。
Claims (4)
- 車体フレームに、車体前後に延びるサイドフレーム等の鋳造製中空状フレーム部材を設け、この鋳造製中空状フレーム部材の内部を長手方向に一定間隔で区切るように、中空状フレーム部材の内周面に複数のリブを一定間隔で設けた車体フレーム。
- 前記鋳造製中空状フレーム部材は、前記複数のリブを設けた部分の肉厚を他の部分の肉厚よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の車体フレーム。
- 前記鋳造製中空状フレーム部材は、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて、肉厚を徐々に大きく設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体フレーム。
- 前記鋳造製中空状フレーム部材は、衝突エネルギーが作用する一端側から他端側にかけて、断面の寸法を徐々に大きく設定したことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車体フレーム。
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