JP2004180784A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各走査線に対して、第1の超音波パルスと、当該第1の超音波パルスに対し位相変調又は所定の比率にて振幅変調の少なくとも一方を施した第2の超音波パルスとを、前記所定部位に一レートで繰り返し送信し、第1の超音波パルス及び第2の超音波パルスに基づくエコー信号を受信する。受信したエコー信号のうち、第1の超音波パルス及び第2の超音波パルスの基本波に対応する周波数帯域から非線形反射成分を抽出し、当該非線形反射成分に基づいて、被検体内に存在する移動体に関する速度信号値、パワー値を求め、これらに基づいて、音波画像を生成する超音波診断装置である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、造影剤を使用したコントラストエコー法による診断が可能な超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、超音波パルス反射法により体表から生体内の軟組織の断層像を無侵襲に得ることができ、X線診断装置、X線CT装置、MRI診断装置、核医学診断装置などの他の診断装置に比べて、小型で安価、リアルタイム表示が可能、X線などの被爆がなく安全性が高い、血流イメージングが可能等の特長を有している。この様な利便性から、現在では心臓、腹部、泌尿器、および産婦人科などで広く利用されている。
【0003】
この超音波画像診断装置においては、種々の撮影法が存在する。その代表的なものの一つに、コントラストエコー法と称される撮影手法がある。このコントラストエコー法は、被検体の血管内に微小気泡(マイクロバブル)等からなる超音波造影剤を投与することで、超音波散乱エコーの増強を図るものである。
【0004】
また、近年、経静脈的投与が可能な超音波造影剤が開発され、この造影剤に適した撮影方法が開発されている。例えば、フィルタ法(一の走査線につき送信された1回のパルスに基づいて映像化する方法:例えば、特許文献1参照。)、ドプラ法(一の走査線につき送信された2回以上の同位相パルスに基づいて映像化する方法)、フェーズインバージョン法(一の走査線につき送信された位相反転した2つのパルスに基づいて映像化する方法:例えば、特許文献2参照。)、フェーズインバージョンドプラ法(一の走査線につき送信された位相の異なる3つ以上ののパルスに基づいて映像化する方法:例えば、特許文献3参照。)等である。
【0005】
上記各方法にてコントラストエコー法を行う場合、従来ではMI値を0.5以上とした中音圧或いは高音圧の超音波を送信している。これは、造影剤(バブル)をある程度崩壊させ、染影に寄与させるためである。例えば、一般的に広く利用されているSchering社の造影剤Levovistにおいては、MI値を0.8以上とした高音圧の超音波を送信しないと、適切に染影されない場合がある。
【0006】
このような、高音圧による超音波送信、及びそれによって発生するバブルの崩壊は、映像化に多くの影響を及ぼす。例えば、高音圧の超音波が組織を伝播する場合、ハーモニック成分が発生する。ところが、上述したフィルタ法、フェーズインバージョン法は、この組織からのハーモニック成分(以下、THI成分)と、バブルからのハーモニック成分とを分離することができない。従って、フィルタ法、或いはフェーズインバージョン法にてバブルに基づく表示を行う場合には、コントラストが付きにくく、染影画像の中から血流と実質染影とを区別して表示することは困難である。
【0007】
また、バブルの崩壊は、例えば一の走査線に対し二回以上の超音波を送信した場合、広帯域のエコー信号を発生させる。この広帯域のエコー信号は、疑似ドプラ信号と呼ばれ、基本波の組織及びTHI成分を抑制することで、映像化に利用することができる。
【0008】
しかしながら、疑似ドプラ信号に基づくカラードプラ画像は、無数の折り返し点で構成された細い血管や実質内染影像となってしまい、正しい血流速度を表示した画像にはならない。これは、疑似ドプラ信号は、通常の血流からのドプラ信号とは異なり正しい血流方向を示していないことに起因する。従って、コントラストエコー法では、血流速度を表現するのに良好であるカラードプラ表示を使用することはなく、パワードプラ表示を使用する場合が殆どである。
【0009】
これらの問題を解決するために、本出願人は、特願2001−304013において、MI値が0.1以下でも染影される超音波造影剤を用いて、好適なカラードプラ表示を実現可能なシステムを提案している。このシステムでは、MI値が低くTHI成分の発生が抑えられた状態において、造影剤からのハーモニック信号を抽出して、造影剤からのパワー信号、速度信号を計算する。このパワー信号、速度信号に基本波のBモード情報を加えた3つの信号から、造影前はBモード情報のみがグレースケール表示され、造影剤によって血管内の血流が染影されると方向によって赤あるいは青で表示され、組織内血流が染影されると緑で表示される。
【0010】
しかしながら、この方式では、MI値が0.1以下という非常に弱い超音波を使用している点と、二次高調波信号を利用しているために周波数依存減衰の影響を大きく受ける点から、S/Nが不足しペネトレーションが悪い場合がある。
【0011】
ところで、フェーズインバージョン法、フェーズインバージョンドプラ法で得られる信号は、原理的に偶数次数の高調波となる。そのため、フィルタ法およびフェーズインバージョン法、フェーズインバージョンドプラ法を用いてバブルの崩壊を伴わない条件下で利用できる非線形信号は、実用的には二次高調波信号である。二次高調波信号以外に利用できる高調波を考えた場合、フィルタ法では原理的には三次高調波も得られる。しかし、非常に広帯域のプローブが必要な点と、周波数依存減衰を大きく受けるという問題があり、ペネトレーションの改善という目的には合致しない。
【0012】
しかし、一般に二次高調波を利用する方法では感度が低下してしまう。その解決策として、例えば基本波領域の非線形信号を利用する方法が提案されている。基本波領域の非線形信号を利用する方法としては、振幅を変えて送信パルスを2回送り受信信号をゲイン補正して差を取るという方法がある(例えば、特許文献4参照)。更に振幅と位相の双方を変える方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、チャープ信号を利用したパルス圧縮技術を利用して、二次高調波を感度良く得る方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0013】
しかしながら、これらの解決策においては、Bモードのような振幅情報を映像化するに留まっている。従って、コントラストエコー法において、基本波領域の非線形信号から血液等の速度情報を正確に取り出すことはできない。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第5,678,553号
【0015】
【特許文献2】
米国特許第5,632,277号
【0016】
【特許文献3】
米国特許第6,095,980号
【0017】
【特許文献4】
米国特許第5,577,505号
【0018】
【特許文献5】
米国特許第6,063,033号
【0019】
【特許文献6】
米国特許第6,213,947号
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、コントラストエコー法において、正しく血流の方向を表す血流画像を表示することができ、また、ペネトレーションの良い超音波診断装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0022】
本発明の第1の視点は、造影剤が投与された被検体の所定部位を、超音波プローブを使用して超音波で走査し、超音波画像を取得する超音波診断装置において、各走査線に対して、第1の超音波パルスと当該第1の超音波パルスを所定の比率にて振幅変調させた少なくとも一種類の変調超音波とを、繰り返し送信する送信手段と、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波に基づくエコー信号を受信する受信手段と、前記エコー信号のうち、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波の基本波に対応する周波数帯域から非線形反射成分を抽出する抽出手段と、前記非線形反射成分に基づいて、前記被検体内に存在する移動体に関する速度信号値を求める計算手段と、前記速度信号値に基づいて、前記超音波画像を生成する画像生成手段とを具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0023】
本発明の第2の視点は、造影剤が投与された被検体の所定部位を、超音波プローブを使用して超音波で走査し、超音波画像を取得する超音波診断装置において、各走査線に対して、第1の超音波パルスと、当該第1の超音波パルスを位相変調及び所定の比率にて振幅変調させた少なくとも一種類の変調超音波とを、繰り返し送信する送信手段と、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波に基づくエコー信号を受信する受信手段と、前記エコー信号のうち、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波の基本波に対応する周波数帯域から非線形反射成分を抽出する抽出手段と、前記非線形反射成分に基づいて、前記被検体内に存在する移動体に関する速度信号値を求める計算手段と、前記速度信号値に基づいて、前記超音波画像を生成する画像生成手段とを具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0024】
このような構成によれば、コントラストエコー法において、正しく血流の方向を表す血流画像を表示することができ、また、ペネトレーションの良い超音波診断装置を実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態〜第5実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成図を示している。まず、本超音波診断装置10のブロック構成を、図1を参照しながら説明する。
【0027】
本超音波診断装置10は、超音波プローブ13、送信回路15、受信回路17、Bモード処理系19、カラードプラ処理系21、Bモード処理系座標変換メモリ23、カラードプラ処理系座標変換メモリ25、画像合成回路27、制御回路31、表示モニタ33、操作部35を具備している。
【0028】
超音波プローブ13は、圧電セラミック等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。並列され、プローブ13の先端に装備される複数の圧電振動子は、送信回路15から印加された電圧パルスに基づいて超音波を発生する。
【0029】
送信回路15は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサを有し、プローブ13に接続される。送信回路15のパルス発生器は、例えば5kHzのレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)でレートパルスを、後述するように振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、又はAM及び位相変調(PM:Phase Modulation)させて繰り返し発生する。このレートパルスはチャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。送信遅延回路は、超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を各レートパルスに与える。なお、送信遅延回路には、図示していないトリガ信号発生器からのトリガがタイミング信号として供給される。パルサは、送信遅延回路からレートパルスを受けたタイミングでプローブ13にチャンネル毎に電圧パルスを印加する。これにより、AM、AM及びPMされた超音波ビームが被検体に送信される。
【0030】
受信回路17は、プリアンプ、A/D変換器、受信遅延回路、加算器を有する。プリアンプは、プローブ13を介して受信回路17に取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。増幅されたエコー信号は、受信遅延回路により受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えられ、そして加算器で加算される。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調されたエコー信号(RF信号)が生成される。この受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性(すなわち、「走査線」)が決定される。
【0031】
Bモード処理系19は、エコーフィルタ19a、検波回路19b、LOG圧縮回路19cを有している。エコーフィルタ19aは、帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)であり、位相検波を行い、所望の周波数帯域の信号を抽出する。検波回路19bは、エコーフィルタ19aから出力されたエコー信号の包絡線を検波し、基本波成分を映像化するBモード像を構成する走査線毎のBモード信号を、後述する内容にて求める。LOG圧縮回路19cは、Bモード検波データに対して対数変換による圧縮処理を施す。
【0032】
カラードプラ処理系21は、CTB(Corner Turning Buffer:)21a、ウォールフィルタ21b、速度・分散・パワー推定回路21cを有している。CTB21aは、入力したカラードプラによるデータ列を一時的に記憶する装置である。CTB21aに記憶されたデータ列は、所定の順番にてウォールフィルタ21bに出力される。ウォールフィルタ21bは、本実施形態においては、基本波成分を高調波成分を分離する目的で使用し、ローパスフィルタの特性を持たせる。詳細は後述する。速度・分散・パワー推定回路21cは、位相の異なる複数のエコー信号に基づいて各信号間の相関を演算し、平均周波数を算出する回路である。この速度・分散・パワー推定回路21cによって、カラードプラにおける血流速度・分散・パワー推定等が算出される。速度・分散・パワー推定回路21cは、抽出された高調波成分に基づいて、パワー像を構成する走査線毎のパワー信号、速度像を構成する走査線毎の速度信号を後述する内容にて推定する。
【0033】
Bモード処理系座標変換メモリ23、カラードプラ処理系座標変換メモリ25は、Bモード処理系19、或いはカラードプラ処理系21から入力した超音波スキャンの走査線信号列を、空間情報に基づいた直交座標系のデータに変換する。
【0034】
画像合成回路27は、座標変換メモリ23、25から入力したそれぞれ画素毎のBモード信号値B、パワー信号値P、速度信号値Vのうち、何れの信号値を表示画像の画素値として採用するかを決定し、決定した信号値の大きさに応じて所定の色及び輝度を割り当てる。この画像合成回路27の構成については、後で詳しく説明する。
【0035】
制御回路31は、システム全体の制御中枢として、本超音波診断装置の動作に関する制御を行う。
【0036】
表示モニタ33は、CRT等からなるモニタであり、入力したビデオ信号に基づいて被検体組織形状を表す断層像を表示する。この表示モニタ33には、画像合成回路27によって生成された、Bモード信号、パワー信号、速度信号からなる合成画像が表示される。
【0037】
操作部35は、装置10に接続され、オペレータからの各種指示・命令・情報を装置本体22にとりこむための、関心領域(ROI)の設定などを行うための入力装置(マウスやトラックボール、モード切替スイッチ、キーボード等)が設けられる。
【0038】
(画像合成回路)
次に、画像合成回路27の構成について詳説する。
【0039】
図2は、画像合成回路27のブロック構成図を示している。図2に示すように、画像合成回路27は、TFDメモリ(Tissue/Flow Decision memory:組織/血流決定メモリ)271、マルチプレクサ272、カラーマップメモリ273を有している。
【0040】
TFDメモリ271は、各画素のBモード信号値B、パワー信号値P、速度信号値Vを入力し、所定の関数テーブルに基づいて、B、Pの何れを表示画像の画素値として使用するのかを決定する。決定された画素毎の使用信号値情報は、使用信号値情報として、TFDメモリ271からマルチプレクサ272へと出力される。
【0041】
マルチプレクサ272は、TFDメモリ271によって決定された、画素毎の使用信号値情報に基づいて、画素毎にBモード信号値B、パワー信号値P、速度信号値Vの何れかを選択的に後段の装置に対して出力するスイッチである。
【0042】
カラーマップメモリ273は、信号値毎に割り振られたカラーマップを記憶するメモリである。カラーマップメモリ273は、マルチプレクサ272から入力した画素毎の信号値に応じて所定の色及び輝度を割り当てることで、Bモード信号、パワー信号、速度信号から構成される合成画像を生成し、表示モニタへと出力する。
【0043】
(超音波画像収集・合成・表示処理)
次に、本超音波診断装置10によって実現される超音波画像収集・合成・表示に渡る一連の処理について、図3乃至図5を参照しながら説明する。この一連の処理によって、造影剤を使用して、正しく血流の方向を表す血流画像を表示することができ、また、血流、実質染影、染影されない組織とを明確に区別することができる超音波画像を表示することができる
<超音波画像収集:ステップS1〜S5>
超音波画像収集のための超音波走査においては、MI(Mechanical Index:機械的指標)が0.1程度の低音圧の超音波送信し、その反射波(反射エコー)に含まれる非線形信号が比較的大きな強度で得られる造影剤、言い換えれば、被検体を診断するのに十分な非線形信号を受信可能な造影剤を使用する。具体的には、Bracco社の造影剤SonoVue 等を使用することができる。
【0044】
本発明者は、この様な造影剤を、例えばMIが0.1程度の低音圧で使用した場合、次のような利点があることを見出した。第1に、バブルの崩壊が少ないため、高いMI値で送信した場合と比較した場合、血流方向を正しく示さない疑似ドプラ信号の発生を少なくすることができる。一の走査線に対し二回以上の超音波を送信する場合のバブルの崩壊は、疑似ドプラ信号の原因となるからである。第2に、MIが0.1程度の低音圧であれば、組織からのハーモニック成分(THI成分)をごく僅かに抑えることができる。これは、THI成分は、伝播における超音波の波形の歪みに基づく非線形性によって発生するが、低音圧であれば、伝播における超音波の波形の歪みが少ないためある。第3に、送信の振幅、又は振幅及び位相を変えて複数回の送信を行い、受信時にゲイン補正を行うことで、基本波成分を抑圧して、基本波領域の非線形信号を抽出することで、ほとんどバブルからだけの信号を抽出することができる。これは、THI成分は、二次高調波領域において最も多く発生し、基本波領域ではあまり発生しないからである。
【0045】
上記利点に鑑み、本実施形態では、送信の振幅を変えて複数回の送信を行い、その反射波の基本波領域の非線形信号から、造影剤が血流に乗って移動する方向を正しく反映するバブルからのドプラ信号を取得し、これによって正しい血流画像を得る。なお、基本波領域の非線形信号とは、超音波の送信周波数帯域に存在する受信反射エコーの非線形信号を指す。具体的には、二次高調波の一部や三次歪み成分が含まれる。
【0046】
図3は、本超音波診断装置10によって実現される超音波画像収集・合成・表示に渡る一連の処理を説明するためのフローチャートである。図4は、振幅変調によるドプラ法を説明するための図である。
【0047】
図3において、まず、超音波造影剤を被検体に注入する(ステップS1)。この造影剤が低MIの低音圧の超音波送信しても、その反射波(反射エコー)に含まれる非線形信号が比較的大きな強度で得られる造影剤であることは、上述した通りである。
【0048】
続いて、所定のパルスシーケンスに従って、振幅変調された複数の超音波を被検体に対し照射する(ステップS2)。すなわち、送信回路15は、図4の上段に示すように、一の走査線に対し所定の時間間隔(すなわち、PRF:Pulse Repetition frequency:パルス繰り返し周波数)で、1回目は比率が0.5の電圧(例えばMI=0.05となる電圧)、2回目は比率が1の電圧(例えばMI=0.1となる電圧)で駆動し、3回目以降は5回目までこれを繰り返す。この図4の例での送信パルスシーケンスは、「比率が[0.5,1,0.5,1,0.5]と表記する。一連のパルスは駆動電圧のみが異なり、それ以外の条件は同一である。なお、送信周波数は、生体での周波数依存減衰を考慮したプローブ帯域内の最も感度の取れる周波数にする。
【0049】
なお、上記送信においては電圧制御によって送信超音波の振幅を変調した。これに対し、各超音波送信において印加する電圧は一定とし、超音波プローブ13の使用するチャンネル数を制御することで、送信する超音波の振幅を制御する構成であってもよい。例えば、振動素子が一次元状に配列された超音波プローブで上記[0.5,1,0.5,1,0.5]の送信を行う場合、0.5の送信で使用するチャンネル数の比を1の送信で使用するチャンネル数の半分にする。また、図16に示すように、一回目の送信は一つ飛びの振動素子(チャンネル)を使用し、二回目の送信は全振動素子を使用し、三回目の送信は一回目の送信で使用しなかった振動素子を使用し、4回目の送信は全振動素子を使用し、以下これを繰り返すといった構成であってもよい。電圧制御では、印加電圧とその出力としての送信超音波との間に、電子回路の非線形性のために線形性が保てない場合があるが、この様にチャンネル数制御によれば、高い線形性による制御を実現することができる。
【0050】
続いて、プローブ13から被検体からのエコー信号を受信し、受信回路17において整相加算処理を行ってRF信号を生成し、当該RF信号をベースバンドのI信号及びQ信号に変換する(ステップS3)。このI信号およびQ信号への変換は、RF信号の所望の周波数を中心周波数として実行される。
【0051】
なお、二次高調波信号を得るためには、この受信における周波数を送信周波数の約2倍の周波数にする。しかしながら、本実施形態では、基本波領域の非線形信号を映像化するので、送信周波数と概略同じ周波数に設定する。もちろん、深さに応じてこの周波数を可変にして、深くなるに従って低い周波数にすることが推奨される。このI信号及びQ信号は、それぞれBモード処理系19及びカラードプラ処理系21に出力される。
【0052】
次に、カラードプラ処理系21において、パワー信号値と速度信号値とを生成(パワー像と速度像とを生成)する(ステップS4)。すなわち、まず、I信号及びQ信号は、CTB21aに一旦格納され、同方向のビームとして取り出され、ウォールフィルタ21bに出力される。ウォールフィルタ21bでは、図4中段に示すように、[1,−1,1]という受信フィルタを受信データ列a0、a1、a2およびa2、a3、a4に対してかける。この場合の受信フィルタは、[1,−1,1,0,0]及び[0,0,1−1,1]のとして表記することができる。
【0053】
なお、送信パルスシーケンス、受信フィルタの方法には、上記以外のさまざまな方式が考えられる。例えば、もっと簡単な方式としては、送信[0.5,1,0.5]、受信[2,−1,0]および[0,−1,2]といった変形例が挙げられる。本実施形態に係る例では5回のパルスシーケンスが必要であったのに対して、この変形例に係る方式では、3回のパルスシーケンスで済む。従って、フレームレートを上げることができる。しかし、本実施形態に係る例に比べると、組織からの線形信号の動きの影響を受けやすくなり、モーションアーティファクトが増大する。両者のうちのいずれを選択するかは、例えばフレームレートとモーションアーティファクトの兼ね合い等を基準に決定することができる。
【0054】
次に、速度・分散・パワー推定回路21cは、抽出された高調波成分に基づいて、パワー像を構成する走査線毎のパワー信号値、速度像を構成する走査線毎の速度信号値を以下の様にして推定する(図4下段参照)。
【0055】
P={|b0|2+|b1|2}/2 (1)
V=tan−1c (2)
ただし、
b0=a0−a1+a2
b1=a2−a3+a4
c=b0 *b1 (b0 *はb0の複素共役)
また、Bモード処理系19では、基本波成分を映像化するBモード像を構成する走査線毎のBモード信号値を求める(ステップS5)。Bモード信号を求めるには、1回の受信信号で十分であるので、例えば図4に示すようにa0の信号を使用して、当該所定深さでのBモード信号値Bは次のようにして求められる。
【0056】
B=|a0| (3)
こうして得られたBモード信号値B、パワー信号値P、速度信号値Vは、対数圧縮され、後段の装置に出力されることが好ましい。速度信号に対する対数圧縮処理は一般的ではない。しかしながら、この対数圧縮は、折り返し速度が高いため、或いは低流速は低速の血流バブルと組織内とを識別するために重要だからである。具体的には、式(1)乃至式(3)にて計算された各信号値B、Pに対して、対数圧縮を取った後8ビット長にした値を使用する。また、(2)式で得られた速度信号値Vが符号付きNビット長、対数圧縮後の速度信号を符号付きMビットとすると、次の計算にて対数圧縮を行う。
【0057】
ここで、V=sign(V0)は、V0の正負により、1又は−1を出力する符号関数である。次以降の説明ではM=8として、V´は符号付きの8ビット長とする。
【0058】
以上ステップS1乃至ステップS5までの処理で、具体的な数値の一例を挙げると次の様である。例えば、送信周波数=2.5MHz、受信中心周波数2.5MHz、PRF=5kHzとすると、基本波中心周波数での折り返し速度は76.8cm/sとなる。この流速であれば、腹部の血流では、まず折り返しは生じないと考えられる。また、折り返し速度を76cm/sとすると式(4)に従えばV´=127の時の流速が76だから、V=1では0.6cm/sとなり、これが検出最低流速となる。
【0059】
図6(b)は、本実施形態における送信および受信(すなわち、AMによる送受信)によって得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。一方、図6(a)は、従来のPM手法により、送信[1,−1,1]、受信[1,2,1]として得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。ここでいう一次、二次、三次とは、多項式でモデル化した場合の各次数の係数で、一次は線形、二次は二次高調波、三次は三次高調波に相当する。なお、正確には三次高調波ではなく、三次の非線形項から基本波帯域に発生する非線形信号である。しかしながら、ここでは、簡潔に三次高調波として記述する。図6(a)からわかるように、PM手法では、静止したバブルからは二次高調波しか発生していない。これに対し、図6(b)からわかるように、本実施形態に係る手法によれば、静止したバブルから二次高調波及び三次高調波を取得することができる。
【0060】
なお、本超音波診断装置10では、図6(b)(又は後述する図6(c))に示すように、二次およびそれ以上の高次応答に対して静止している信号を抑圧する処理を行っていない。従って、通常のカラードプラ像がウォールフィルタのHPF特性により低流速がカットされてしまうのに対して、本システムでは二次およびそれ以上の高次応答に対して低流速まで精度良く計算することが可能である。
【0061】
また、図7は、実際の生体でMI=0.1とした場合の組織からのエコー信号特性を、一回のパルス、PM、AMの各手法別に示した図である。図8は、実際の生体でMI=0.1とした場合の造影剤SonoVueからのエコー信号特性を、一回のパルス、PM、AMの各手法別に示した図である。
【0062】
図7からわかるように、PMによって得られる組織からのエコー信号は、二次高調波(2fn)の周波数成分は大きいが、基本波(fn)の周波数成分は小さい。一方、AMによって得られる組織からのエコー信号では、二次高調波(2fn)及び基本波(fn)の周波数成分はともに小さい。これは、THIの発生を示している。
【0063】
また、図8からわかるように、PMによって得られる造影剤からのエコー信号は、基本波(fn)の周波数成分は小さい。一方、AMによって得られる組織からのエコー信号では、基本波(fn)の周波数成分は大きい。この様にAMによって造影剤から得られる基本波(fn)の周波数成分は大きいのは、非線形信号が増加したためと考えられる。図7に示すように組織(ほぼ線形信号と考えられる)からの信号は抑圧されているからである。
【0064】
なお、本実施形態では、基本波領域の非線形信号を利用するので、組織の動きが問題となる可能性があるように見える。しかし、腹部の場合は組織の動きは通常5mm/s以下であるので、前記条件下であれば、組織の動きは問題にはならない。また、送受信でフィルタ長が長くかかるパルスシーケンスを選択することで、ウォールフィルタでの組織の抑圧性能を上げることができる。また、図6(b)に示すように、二次、三次の項は、バブルが静止していたとしても、映像化することができる。一次の項は、図6(b)に示すように、組織が静止していれば、完全に抑圧することができる。
【0065】
<画像合成処理:ステップS6、S7>
次に、画像合成処理について説明する。
【0066】
まず、画素毎のBモード信号値Bとパワー信号値Pとに基づいて、画素値にBモード信号値Bを使用するか、或いはパワー信号値P及び速度信号値Vを使用するかの決定を行う(ステップS6)。この決定は、例えば図5に示す関数テーブルに従って、次のように定性的に実行される。
【0067】
すなわち、図5に示す関数テーブルにおいて、所定の画素のPがかなり小さい(パワー信号値P<第1の閾値Th1)場合には、Bモード信号値Bを当該画素の画素値として使用することする。この様にBモード信号値Bを優先的に表示するのは、パワー信号値P<Th1の場合、パワー信号値Pはノイズであることが多いからである。一方、パワー信号値P≧第1の閾値Th1の場合には、パワー信号値Pは血流情報を反映しているから、パワー信号値P及びこれに対応する速度信号値Vを優先的に表示する。
【0068】
なお、関数テーブルに設定する閾値は、Bモード信号値Bとパワー信号値Pとの値を比較していずれかを選択可能であれば、必ずしも固定値である必要はない。例えば、図5に示した関数テーブルは、3つの一次関数によって定義されている。
【0069】
こうして決定された画素毎の使用信号値情報は、マルチプレクサ272に出力される(図2参照)。マルチプレクサ272は、入力した情報に従って、画素毎に信号値B、或いは信号値P及び信号値Vを選択的にカラーマップメモリ273に出力する。
【0070】
次に、カラーマップメモリ273にて、画素毎の色付けを行う(ステップS7)。画素毎の色付けは、例えば次のようにして実行される。すなわち、信号値Bを使用する画素については、Red=Green=Blue=Bの値(0〜255)というグレースケールの色づけを行う。一方、信号値P及び信号値Vを使用する画素については、図9に示すように、P及びVの値によって4つの領域に分けて、当該画素の信号値V及びPの大きさによって変化させた色付けを行う。以下、P=0〜255、V=−128〜127の範囲を取るものとして色付けの一例を示す。
【0071】
領域A
(P>320−2*|V|かつV≧0の場合) 赤系の色付け
Red=min(1.12*P, 255)
Green=Blue=0.98*P
領域B
(P>320−2*|V|かつV<0の場合) 青系の色付け
Blue=min(1.12*P, 255)
Red=Blue=0.98*P
領域C
(P<320−2*|V|かつV≧0の場合) 赤系〜緑系の色付け
R1=min(1.12*P, 255)
G1=B1=0.98*P
R2=B2=0.9*P
G2=min(P*1.25, 255)
a=|V|/(160−P/2)
Red=a*R1+(1−a)*R2
Green=a*G1+(1−a)*G2
Blue=a*B1+(1−a)*B2
領域D
(P<320−2*|V|かつV<0の場合) 青系〜緑系の色付け
B1=min(1.12*P, 255)
R1=G1=0.98*P
R2=B2=0.9*P
G2=min(P*1.25, 255)
a=|V|/(160−P/2)
Red=a*R1+(1−a)*R2
Green=a*G1+(1−a)*G2
Blue=a*B1+(1−a)*B2
この様な色付けを行うことにより、被検体の各生体情報は、次のような色及び輝度が割り当てられ、図10に示す形態にて表示される。すなわち、(1)動脈のように流速が速い血液を流れるバブルは、方向により赤系又は青系の色付けとなる。(2)静脈系の遅い血流を流れるバブルは、緑系の色付けとなる。(3)組織内のバブルは、流速が遅くかつパワーが小さいので、暗い緑色の色付けになる。(4)染影されない組織は、グレースケール(灰色)の色付けである。
【0072】
これらの4種の色付け(すなわち、赤、青、緑、灰)は連続して変化しているので、境界は滑らかであり、最終的には観察者が血管の染影時相や連続性を考慮して決定できる。
【0073】
また、基本波のクラッタが消え残った場合には、ナイキスト流速付近の速い速度になる。LPFでかなり抑圧されているので、パワーは小さい。このように、ナイキスト流速付近の小さいパワー値の場合には、グレースケールに近い階調で表示することで、パワー表示でありながら、観察者にBモードによる組織像表示として観測することができる。
【0074】
(画像表示処理:ステップS8)
次に、画像合成回路27においてB、P、Vの各信号が合成された合成画像を、表示モニタ33に表示する(ステップS8)。こうして、観察者は当該合成画像を観察することができる。
【0075】
以上述べたステップS1からステップS8までの一連の処理は、診断時においてリアルタイムで逐次繰り替えされる。これにより、観察者は、表示モニタ33にて例えば次のような形態にて超音波画像をリアルタイムで観察することができる。
【0076】
図11(a)乃至11(e)は、観察者が表示モニタ33にて観察しうる合成画像(肝臓の例)を説明するための図である。まず、図11(a)に示すように、造影剤投与前は造影効果がないことから、信号値Pは非常に小さいので、各画素の画素値として信号値Bが使用され、Bモード像のみ表示される。
【0077】
図11(b)は、造影剤投与から例えば5乃至10秒経過し、主に大きな血管が赤又は青の色付けで染影された超音波画像を示している。(同図中右上がり及び右下がり斜線領域は、染影された血流を表す。上記色の割り当てに従えば、同図中右上がり斜線領域は赤色に色付けされ、右下がり斜線領域は青色に色付けされる。以下同様。)
図11(c)は、造影剤投与から例えば10乃至30秒経過し、毛細血管にまで造影剤が流入し、組織(実質)全体が染影された超音波画像を示している(同図中ドット領域が染影された実質を表す。上記色の割り当てに従えば、当該領域は緑色に色付けされる。以下同様。)。なお、横隔膜等の造影剤流入がない部分は、Bモード像にて表示される。
【0078】
図11(d)は、造影剤投与から例えば30乃至300秒程度経過し、次第に血流の染影が消えていく超音波画像を示している。
【0079】
図11(e)は、造影剤投与から例えば5分以上経過し、脾臓や肝臓等の造影剤が残留しやすい実質が染影された超音波画像を示している。
【0080】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0081】
本実施形態に係る超音波診断装置によれば、非線形信号を用いて流速値が正しく推定することができる。すなわち、本超音波診断装置では、Bracco社の超音波造影剤SonoVueのように、低MIでも染影される造影剤を用いて、MI値が0.05と0.1となる2種類の超音波パルスを照射し、その反射波を受信する。このとき、上記のように振幅を変化(あるいは、第2の実施形態で述べるように振幅と位相の両方を変化)させ、得られる基本波に含まれた非線形信号を抽出し、これを利用して速度推定を行う。発明者の実験では、本実施形態に従って抽出される非線形信号からは、造影剤がない場合にMI値が1.0の場合に得られる線形信号からの速度の推定値にかなり近い値が得られる。その結果、コントラストエコー法において、正しく血流の方向を表す血流画像を表示することができる。
【0082】
なお、例えばSchering社の超音波造影剤Levovistを用いた場合には、高MIでパルスを崩壊させないと染影されない。このため、同様の手法又は異なる手法によっても、流速値を正しく求めることはできない。
【0083】
また、本実施形態によれば、ペネトレーションの良い超音波診断装置を提供することができる。すなわち、本超音波診断装置では、送信超音波の振幅(第2の実施形態では、振幅及び位相)を変化させて基本波領域の非線形信号を取得し、これからドプラ信号を得る。従って、周波数が低い分周波数依存減衰が小さくなり、ペネトレーションを良くすることができる。また、基本波領域のTHIの発生は、二次高調波領域でのTHIの発生よりも小さい。従って、同程度のTHIを含むとすれば、二次高調波を使用する場合よりも基本波領域を使用する場合には、MI値を上げることができ、ペネトレーションを良くすることができる。一方、フェイズ・インバージョン・ドプラ法等の二次高調波信号からドプラ信号を抽出する従来の手法では、どうしても深部のペネトレーションが不足してしまう。
【0084】
発明者の実験によれば、本実施形態の如く基本波領域の非線形信号を使用する場合は、従来の二次高調波を使用する場合に比べて、腹部用途において、例えば4cm程度ペネトレーションを改善することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る超音波診断装置によれば、コントラストエコー法において、経時的なバブルの変化をBモード信号、パワー信号、速度信号の合成画像で映像化できる。従って、血流、実質染影、染影されない組織とを明確に区別可能な超音波画像を表示することができる。
【0086】
本超音波診断装置10では、コントラストエコー法において、血流情報が有効な部位においては、選択的にパワー信号、血流信号に基づいて超音波画像を生成する。従って、正しく血流の方向を表す血流画像を表示することができる。また、実質(組織)についても、信号値の強度によって色の割り当てを行うから、血流、実質染影、染影されない組織とを明確に区別可能な超音波画像を表示することができる。
【0087】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、送信で振幅変調したパルスシーケンスを使用した。これに対し、第2の実施形態では、振幅変調と位相変調を組み合わせたパルスシーケンスを使用する。
【0088】
例えば、本実施形態においては、図3に示すステップS2〜S5において[0.5,−1,0.5]として被検体に超音波を送信し、[1,1,1]として反射波を受信し、Bモード像、パワー像、速度像を生成する。
【0089】
すなわち、送信回路15は、図12上段に示すように、一の走査線に対し所定の時間間隔(すなわち、PRF:Pulse Repetition frequency:パルス繰り返し周波数)で、1回目は比率が0.5の電圧(例えばMI=0.05となる電圧)、2回目は極性を反転させ比率が1の電圧(例えばMI=0.1となる電圧)で駆動し、3回目以降は5回目までこれを繰り返す(ステップS2)。第1の実施形態と同様、一連のパルスは駆動電圧のみが異なり、それ以外の条件は同一である。また、送信周波数は、生体での周波数依存減衰を考慮したプローブ帯域内の最も感度の取れる周波数にする。
【0090】
続いて、プローブ13から被検体からのエコー信号を受信し、受信回路17において整相加算処理を行ってRF信号を生成し、当該RF信号をベースバンドのI信号及びQ信号に変換する(ステップS3)。
【0091】
次に、カラードプラ処理系21において、パワー信号値と速度信号値とを生成(パワー像と速度像とを生成)する(ステップS4)。すなわち、まず、I信号及びQ信号は、CTB21aに一旦格納され、同方向のビームとして取り出され、ウォールフィルタ21bに出力される。ウォールフィルタ21bでは、図12中段に示すように、[1,1,1]という受信フィルタを受信データ列a0、a1、a2およびa2、a3、a4に対してかける。この場合の受信フィルタは、[1,1,1,0,0]及び[0,0,1,1,1]のとして表記することができる。
【0092】
次に、速度・分散・パワー推定回路21cは、抽出された高調波成分に基づいて、パワー像を構成する走査線毎のパワー信号値、速度像を構成する走査線毎の速度信号値を推定する(図12下段参照)。なお、B、P、Vの各値の計算方法、表示手法は、第1の実施形態を同様である。
【0093】
図6(c)は、本実施形態における送信および受信(すなわち、送信[0.5,−1,0.5]とし、受信[1,1,1]とするAM+PMによる送受信)によって得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。図6(c)と図6(b)とを比較すると、ドプラ周波数0(すなわち、中心周波数)の地点では、本実施形態に係る手法の方が二次成分の方が三次成分よりも大きい。そのために、受信の中心周波数を、第1の実施形態では送信周波数と概略同じとしたのに対して、本実施形態では送信周波数よりも高めに設定することが好ましい。ただし、本発明の目的がペネトレーションの改善にあるので、ペネトレーションが最大となる周波数(例えば送信周波数の1.5倍)を選択すればよい。
【0094】
なお、送信パルスシーケンス、受信フィルタの方法には、上記以外のさまざまな方式が考えられる。上記以外の振幅と位相とを変化させる方法としては、例えば送信[0.5,−1,−1,0.5]というパルスシーケンス、受信[2,1,0]及び[0,2,1]というフィルタならば、4回の送受信で信号が得られるのでフレームレートが向上する利点がある。ただし、モーションアーティファクトが増えるという欠点がある。
【0095】
以上述べた本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態では、それぞれ図6(b)、図(c)に示すよう、に基本波領域の非線形信号としては、二次と三次の項が混ざった信号を利用した。各実施形態の様に、MI値が0.1程度では組織からの非線形信号は少ないので二次に含まれるTHIはあまり問題にならない。しかしながら、感度を向上させるためにMI値をもっと大きくした場合にはTHIの影響が問題となる。
【0097】
そこで、第3の実施形態では、一次および二次の項を抑圧して三次の項だけを利用する方法について説明する。
【0098】
例えば、本実施形態においては、図3に示すステップS2〜S5において[0.5,−1,1,−0.5]として被検体に超音波を送信し、[−2,−1,1,2]として反射波を受信し、Bモード像、パワー像、速度像を生成する。なお、位相変調及び振幅変調による超音波送受信以外の処理は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0099】
図13は、本実施形態における送信および受信(すなわち、送信[0.5,−1,1,−0.5]とし、受信[−2,−1,1,2]とするAM+PMによる送受信)によって得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。図13に示すように、ドプラ中心周波数においては一次(基本波)、二次の項が抑圧されて、三次の項のみが存在することが分かる。三次の項は一次の帯域にも折り返って存在するから、基本波帯域のこの信号を利用することができる。
【0100】
この様に、送信[0.5,−1,1,−0.5]とし、受信[−2,−1,1,2]とするAM+PMによる送受信を行い、後は第1又は第2の実施形態と同様な処理を行うことで、基本波帯域の三次の項によるパワー、速度の映像化を行うことができる。また、本実施形態に係る手法では、二次の項を抑圧することができるので、MI値を上げた場合でもTHIの発生を少なくすることができる。
【0101】
(第4の実施形態)
第1乃至第3の実施形態においては、超音波パルスとして通常のパルスを用いてきた。第4の実施形態では、更にパルス圧縮技術を使用する方法について説明する。この手法によれば、感度をより向上させることができる。
【0102】
図14にチャープ波形の例を示す。この波形を有する信号は、時間によって周波数が変化する信号に、ガウスのアポダイゼーションをかけることで得られる。また、この信号は、マッチドフィルタや逆フィルタ、ウィーナーフィルタ等によるフィルタリング、位相を補正する方法等で、図15のような短いパルスに変換(パルス圧縮)することができる。なお、このフィルタリングは、図4の受信回路17において、RF信号で行っても、IQ信号で行っても良い。
【0103】
本実施形態においては、図3に示すステップS2〜S5において上記チャープ波形を用いて、送信毎に振幅、或いは振幅及び位相を変えた送信し、受信した反射波に基づいてBモード像、パワー像、速度像を生成する。
【0104】
すなわち、例えば、振幅のみを変化させた例として、第1の実施形態の様に[0.5,1,0.5,1,0.5]という5回の送信を行い、被検体からの反射波を受信する。
【0105】
受信した反射波から基本波領域の非線形信号を抽出する場合には、まず通常の基本波をパルス圧縮するのと同じフィルタでパルス圧縮を行う。この圧縮後の信号列に対して、[1,−1,1,0,0]及び[0,0,1,−1,1]という受信フィルタをかけることで図15に示すパルス圧縮が実行される。後は、第1の実施形態と同様な方法で映像化を行う。
【0106】
なお、二次高調波を利用する場合には、通常の基本波をパルス圧縮する場合に比べて位相が21/2倍速く変化する圧縮フィルタを用いてパルス圧縮を行う。この信号列に対して、[1,−1,1,0,0]及び[0,0,1,−1,−1]という受信フィルタをかけることで、図15に示すパルス圧縮を適切に実行することができる。
【0107】
また、基本波の略1.5倍の周波数を利用する場合には、通常の基本波をパルス圧縮する場合に比べて位相が約1.2倍速く変化する圧縮フィルタを用いてパルス圧縮を行う。この信号列に対して、[1,−1,1,0,0]及び[0,0,1,−1,−1]という受信フィルタをかけることで、図15に示すパルス圧縮を適切に実行することができる。
【0108】
この様に、チャープ信号を使用することで同じエネルギーを投入しながらピーク音圧を小さくすることができる。従って、組織からの非線形信号の発生をより小さくすることができると同時に、超音波造影剤のバブルの崩壊をより少なくすることができる。その結果、S/N比を向上させることができ、感度の高い超音波診断装置を提供することができる。
【0109】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば以下に示す(1)〜(4)のように、その要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0110】
(1)各実施形態においては、組織を見るためのBモード像と、血流を見るためにパワー像、速度像とを合成して表示した。しかし、組織を映像化するためには、Bモードの使用は必須ではない。なぜなら、THI成分がわずかながら存在するために、ハーモニック成分で組織が見えたり、送信パルスの正負のわずかな非対称性のために、基本波成分で組織を見ることができるからである。
【0111】
なお、これらの振幅は小さいので、画像としては暗く表示される場合がある。しかし、実質染影を観察する場合には、逆に好都合であることが多い。このBモードの表示/非表示は、所定のスイッチによりマニュアル操作できることが好ましい。
【0112】
(2)上記各実施形態では、図3ステップS6において、例えば図3に示す信号値Bと信号値Pとによって定義される関数テーブルに従って、画素値として信号値Bを使用するか信号値Pを使用するかの決定を画素毎に行った。これに対し、信号値Bと信号値Vとによって定義される関数テーブル、或いは信号値Bと信号値P及び信号値Vとから定義される関数テーブルにより、画素値として使用する信号値の決定を行ってもよい。
【0113】
(3)第2の実施形態において、送信で振幅変調と位相変調を行う方法を説明した。ここで、位相変調だけを行っても、基本波領域の非線形信号を抽出することができる。
【0114】
例えば、図6(a)に示すように、[1,−1,1]という位相変調による送信では、ドプラ周波数の中心付近では二次および三次の項による信号を得ることはできない。しかしながら、例えば[j,−1,j]という送信、及び[−j,2,−j]という受信を行えば、図13に示すように、ドプラ周波数の中心付近で二次および三次の項による信号を得ることができ、上記各実施形態と同様の映像を得ることができる。なお、jとは位相を90°変化させる記号である。
【0115】
また、上記各実施形態で示した以外にも、送信パルスの振幅又は位相の少なくとも一方を変化させるパルスシーケンスで、かつパワー情報と速度情報が得られるシーケンスであれば、上記実施形態で示す映像法が可能である。
【0116】
(4)上記各実施形態においては、各走査線に対して、振幅変調(又は、振幅変調及び位相変調)の関係にある第1の超音波パルスと第2の超音波とを、例えば[0.5,1,0.5,1,0.5]といった具合に送信し、これによるエコー信号の基本波帯域から非線形成分を抽出した。しかしながら、振幅変調(又は、振幅変調及び位相変調)して送信する超音波は、二種類に限定する趣旨ではない。例えば、[1,0.5,0.25]といった具合に、三種類の振幅変調(又は、振幅変調及び位相変調)超音波を使用する構成であってもよい。すなわち、二種類以上の振幅変調(又は、振幅変調及び位相変調)超音波を送信し、これによるエコー信号の基本波帯域から非線形成分を抽出す留構成であってもよい。
【0117】
さらに、超音波の送信順序についても、特に限定する趣旨ではない。例えば、第1の超音波を複数の走査線に対して送信した後、当該第1の超音波と振幅変調(又は、振幅変調及び位相変調)の関係にある第2の超音波を前記複数の走査線に対して送信する構成であってもよい。すなわち、二つの走査線を例とした場合、第1の超音波(走査線1)、第1の超音波(走査線2)、第2の超音波(走査線1)、第2の超音波(走査線2)といった具合に、第1の超音波と第2の超音波とを複数回単位で交互に送信する構成であってもよい。
【0118】
また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0119】
【発明の効果】
以上本発明によれば、コントラストエコー法において、正しく血流の方向を表す血流画像を表示することができ、また、ペネトレーションの良い超音波診断装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、画像合成回路27のブロック構成図を示している。
【図3】図3は、本超音波診断装置10によって実現される超音波画像収集・合成・表示に渡る一連の処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、振幅変調によるドプラ法を説明するための図である。
【図5】図5は、画像合成処理に使用される関数テーブルの一例を示している。
【図6】図6(a)は、従来のPM手法により、送受信として得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。図6(b)は、本実施形態における送信および受信(すなわち、AMによる送受信)によって得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。図6(c)は、本実施形態における送受信(すなわち、AM+PMによる送受信)によって得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。
【図7】図7は、実際の生体でMI=0.1とした場合の組織からのエコー信号特性を、一回のパルス、PM、AMの各手法別に示した図である。
【図8】図8は、実際の生体でMI=0.1とした場合の造影剤SonoVueからのエコー信号特性を、一回のパルス、PM、AMの各手法別に示した図である。
【図9】図9は、画像合成処理に使用されるカラーマップの一例を示した図である。
【図10】図10は、画像合成処理に使用されるカラーマップの一例を示した図である。
【図11】図11(a)乃至11(e)は、観察者が表示モニタ33にて観察しうる合成画像(肝臓の例)を説明するための図である。
【図12】図12は、第2の実施形態のAM+PM(振幅変調及び位相変調)によるドプラ法を説明するための図である。
【図13】図13は、第2の実施形態における送信および受信(AM+PMによる送受信)によって得られた一次、二次、三次のドプラ周波数特性を示した図である。
【図14】図14は、第5の実施形態において送信される超音波のチャープ波形例を示している。
【図15】図15は、図14に示したチャープ波形にパルス圧縮を施した後の波形を示した図である。
【図16】図16は、超音波送信形態の変形例を示した図である。
【符号の説明】
10…超音波診断装置
13…超音波プローブ
15…送信回路
17…受信回路
19…Bモード処理系
19a…エコーフィルタ
19b…検波回路
19c…LOG圧縮回路
21…カラードプラ処理系
21a…CTB
21b…ウォールフィルタ
21c…速度・分散・パワー推定回路
23…Bモード処理系座標変換メモリ
25…カラードプラ処理系座標変換メモリ
27…画像合成回路
31…制御回路
33…表示モニタ
35…操作部
271…TFDメモリ
272…マルチプレクサ
273…カラーマップメモリ
Claims (14)
- 造影剤が投与された被検体の所定部位を、超音波プローブを使用して超音波で走査し、超音波画像を取得する超音波診断装置において、
各走査線に対して、第1の超音波パルスと当該第1の超音波パルスを所定の比率にて振幅変調させた少なくとも一種類の変調超音波とを、繰り返し送信する送信手段と、
前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波に基づくエコー信号を受信する受信手段と、
前記エコー信号のうち、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波の基本波に対応する周波数帯域から非線形反射成分を抽出する抽出手段と、
前記非線形反射成分に基づいて、前記被検体内に存在する移動体に関する速度信号値を求める計算手段と、
前記速度信号値に基づいて、前記超音波画像を生成する画像生成手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記計算手段は、前記非線形反射成分に基づいて、前記被検体内に存在する移動体に関するパワー信号値を求めることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記エコー信号の振幅強度に対応するBモード信号を生成するBモード信号生成手段と、
前記超音波画像の各画素について、前記Bモード信号値と、前記速度信号値又は前記パワー信号値とを比較して、前記Bモード信号値を使用するか否かを判別する判別手段と、をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記判別手段がBモード信号値を使用すると判別した画素については、当該Bモード信号値に基づく輝度にて第1の色を割り当て、前記判別手段がBモード信号値を使用しないと判別した画素については、流速信号値及びパワー信号値に基づく輝度にて第1の色と異なる第2の色を割り当てることで、前記超音波画像を生成すること、
を特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。 - 前記抽出手段は、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波に基づく前記エコー信号に対して、前記比率を相殺する重み付けによってフィルタ演算を行うことで前記エコー信号の線形反射成分を抑圧し、前記非線形反射成分を抽出することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記送信手段は、超音波送信において使用する前記超音波プローブのチャンネル数を制御することで前記振幅変調を行うことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波はチャープ波形を有し、
前記抽出手段は、前記エコー信号をパルス圧縮した後に非線形反射成分を抽出すること、
を特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。 - 前記抽出手段は、前記エコー信号のうち、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波の基本波周波数の略1.5倍に対応する周波数帯域から前記非線形反射成分を抽出することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 造影剤が投与された被検体の所定部位を、超音波プローブを使用して超音波で走査し、超音波画像を取得する超音波診断装置において、
各走査線に対して、第1の超音波パルスと、当該第1の超音波パルスを位相変調及び所定の比率にて振幅変調させた少なくとも一種類の変調超音波とを、繰り返し送信する送信手段と、
前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波に基づくエコー信号を受信する受信手段と、
前記エコー信号のうち、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波の基本波に対応する周波数帯域から非線形反射成分を抽出する抽出手段と、
前記非線形反射成分に基づいて、前記被検体内に存在する移動体に関する速度信号値を求める計算手段と、
前記速度信号値に基づいて、前記超音波画像を生成する画像生成手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記計算手段は、前記非線形反射成分に基づいて、前記被検体内に存在する移動体に関するパワー信号値を求めることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
- 前記エコー信号の振幅強度に対応するBモード信号を生成するBモード信号生成手段と、
前記超音波画像の各画素について、前記Bモード信号値と、前記速度信号値又は前記パワー信号値とを比較して、前記Bモード信号値を使用するか否かを判別する判別手段と、をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記判別手段がBモード信号値を使用すると判別した画素については、当該Bモード信号値に基づく輝度にて第1の色を割り当て、前記判別手段がBモード信号値を使用しないと判別した画素については、流速信号値及びパワー信号値に基づく輝度にて第1の色と異なる第2の色を割り当てることで、前記超音波画像を生成すること、
を特徴とする請求項9記載の超音波診断装置。 - 前記抽出手段は、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波に基づく前記エコー信号に対して、前記比率を相殺する重み付けによってフィルタ演算を行うことで前記エコー信号の線形反射成分を抑圧し、前記非線形反射成分を抽出することを特徴とする請求項8乃至10のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記送信手段は、超音波送信において使用する前記超音波プローブのチャンネル数を制御することで前記振幅変調を行うことを特徴とする請求項8乃至11のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
- 前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波はチャープ波形を有し、
前記抽出手段は、前記エコー信号をパルス圧縮した後に非線形反射成分を抽出すること、
を特徴とする請求項8乃至12のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。 - 前記抽出手段は、前記エコー信号のうち、前記第1の超音波パルス及び前記少なくとも一種類の変調超音波の基本波周波数の略1.5倍に対応する周波数帯域から前記非線形反射成分を抽出することを特徴とする請求項8乃至13のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
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