JP2004177250A - X線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たに入射X線を減衰させる金属等を追加することなく、X線画像検出器の周囲にシールド構造を形成し、ノイズに対する耐性を向上させる。
【解決手段】二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉されたシールド構造を形成することを特徴とするX線撮影装置。
【選択図】 図1
【解決手段】二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉されたシールド構造を形成することを特徴とするX線撮影装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、散乱X線除去用グリッド、及び散乱X線除去用グリッドを用いるX線撮影装置に関するものであり、特に、放射線をその強度に応じて電気信号に変換する二次元X線検出器を備えるX線撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線撮影装置は、工業用の非破壊検査や医療診断の分野で広く利用されており、例えば図9に示すように、X線源1から放射されたX線は被写体Pで吸収や散乱が行われた後にシンチレータ2に入射する。シンチレータ2では、X線の入射量に比例した強度の蛍光が発生し、この蛍光による可視像は受像手段3において画像に変換される。
【0003】
一般に、シンチレータ2には支持体に蛍光体を塗布して成る増感紙が使用され、受像手段3には銀塩フイルムが使用されてきた。フイルムには蛍光量の対数に比例した濃度のX線像が潜像として記録され、このフイルムが現像により可視像とされた後に、検査や診断に供される。この際に、医療用にはフイルムの両面に乳剤を備えた両面乳剤フイルムが使用され、この両面乳剤フイルムの両面にシンチレータ2、2’が設けられることにより、フイルムの感度の向上が図られると共に、被写体Pつまり患者の被曝線量の低減が図られている。
【0004】
近年、半導体プロセス技術の進歩を利用したX線撮影装置も開発されており、この装置には受光手段3として二次元X線検出器が利用されている。二次元X線検出器は光電変換素子とスイッチング素子等から成る微小な画素が二次元状に配列され、シンチレータによりX線から変換された光を電気信号として検出するようになっている。
【0005】
図10はこの二次元X線検出器を用いたX線撮影装置の構成例を示す。X線入射部11と筐体12からなる外装内に二次元X線検出器13が配置され、この二次元X線検出器13の前面にシンチレータ14が積層されている。二次元X線検出器13は保持部材15に固定され、その背後には、信号処理部16が配置され、二次元X線検出器13と信号処理部16はフレキシブルプリント回路基板17により接続されている。このフレキシブルプリント回路基板17上には、TCP(Tape carrier package)と称し、二次元X線検出器13の可能な限り近傍に半導体素子18が実装されている。これは、二次元X線検出器13からの微弱信号を検出直後に処理することにより、ノイズの混入を防止するためである。なお信号処理部16からの信号は、外部に接続された画像処理手段19に送られ、場合により任意の画像処理を行われた後、モニタ20に表示され、診断に供される。
参考文献:特開平9−129857号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成を有する二次元X線検出器を用いた撮影装置において、次のような課題が生じている。
【0007】
通常撮影室には、X線撮影装置と共にX線発生装置や他の診断検査装置が併設されて、限られた空間の中に、大電力系機器と極めて弱い信号系機器が共存するといった環境となっている。これらの機器から不必要に発生したり漏れたりする不要電磁エネルギーが、他の機器の作動妨害や誤作動という、いわゆる電磁波妨害(EMI)に関するトラブルを引き起こすことが近年問題となっている。本撮影装置においても、微弱電流を扱う上で、内部電気部品や検出信号が外部からの電磁波ノイズ、特に輻射による電磁波ノイズの影響を受け難い構造とする必要性が高まっている。また、本装置からの不要電磁波の放出をできる限り抑える必要も高まっている。これらに対する有効な対策として、筐体を可能な限りシールド構造とすることが考えられる。
【0008】
図10において、二次元X線検出器13はX線入射部11、筐体12に囲まれている。一般に、シールドはその対象物をシールド材で完全に囲むことで最もシールド効果が得られる。即ちX線入射部、筐体を電磁波遮断能力の高い金属で構成すれば、耐ノイズ性を向上することが可能となる。しかしX線入射部を金属で構成することにより、入射X線も減衰されるので、S/N比が悪化するという問題が生じてしまう。また、S/N比をあげる為、X線照射線量を増やす事は、被検者の被爆増加の点より、避けなければならない。これらの点からX線入射部に十分なシールドを施すことは困難であり、X線入射部が電磁波の進入口となっていた。
【0009】
ところで、X線が被写体Pを透過する際、被写体の中の様々な物質により乱反射したX線いわゆる散乱X線が発生する。この散乱X線は、本来X線が吸収されて到達しない部分へX線を照射してしまい、濃度差の無いぼやけた画像としてしまう為、除去されることが望ましい。そこで、従来から被写体PとX線画像検出器との間に散乱X線除去用グリッド4を配置している。図11は一般的な散乱X線除去用グリッド4の断面図である。30はX線を吸収する為のX線吸収物質であり、Pb等の比較的原子番号の大きな材料からなる。31はX線透過物質であり、Alや木材等の有機物質といった比較的X線の吸収が少ない材質で構成されており、これらはAlやカーボン板等の板材32、33にサンドイッチされた状態で規則的に配列されている。乱反射により入射X線に対して角度を有した散乱X線は、X線吸収物質30によりカットされ、直接X線のみ透過し、良好な画像が得られる。
【0010】
散乱X線除去用グリッドは、金属材料で構成されているものもあり、これを利用すれば電磁波ノイズの遮蔽効果を期待することができる。しかし、これまでのグリッドは、図9で示したフイルム撮影で用いていたものをそのまま使用していたものであり、散乱線の除去のみが目的であった。また、グリッドを内部に組み込み使用するX線撮影装置においても、グリッドのシールドを有効に利用した構成にはなっていなかった。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、X線撮影装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の散乱X線除去用グリッド、及びこれを利用したX線撮影装置は、前記課題を解決するために、X線透過率の高い材質から構成された2枚の板状部材の間に、X線を吸収する為のX線吸収物質とX線を透過させる為のX線透過物質とを交互に配した散乱X線除去用グリッドにおいて、前記板状部材が導電性を有し、2枚の板状部材の少なくとも1枚の外周部に、外部に対して板状部材を電気的に同電位に接続可能な第1の接続手段を備えたものである。
【0013】
また、二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、請求項1記載の散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉されたシールド構造を形成するようにしたものである。
【0014】
かかる構成により、新たに入射X線を減衰させる金属等を追加することなく、X線画像検出器の周囲にシールド構造を形成し、ノイズに対する耐性を向上させることが可能となる。
【0015】
なお、その他の実施形態、効果については、以下に述べる実施例の中で説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面を参照にして詳細に説明する。
図1〜5は、本発明の第1の実施形態の説明図であり、図1は、X線撮影装置の縦方向断面図、図2は横方向断面図を表している。図1において、101は前述のX線検出器であり、X線の入射口となるX線入射部102と入射口以外を覆う筐体103からなる外装に囲まれている。X線検出器101から画像を取得する為の構成は、従来例である図8と同じであり、ここでは説明を省略する。X線入射部102の材質としては、X線透過率が優れたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)等が適している。また、X線入射部102は、撮影において患者が直接接触し荷重が加わる可能性があるので、荷重に対して塑性変形が生じることのない様に、強度及び弾性においても優れた特性を持つCFRPが適している。筐体103の材質としては、金属材料または樹脂に金属シールドを施したシールド効果の高い構成が必要である。なお、X線入射部102に推奨したCFRPは、カーボンを含有するため電気抵抗値は低いが、通常導電性を有している。この為、X線入射部102と筐体103とを密に接合することにより、一応シールド構造を形成することができる。しかし、CFRPの電磁波に対する減衰効果が金属に比較して明らかに低い為、実際の設置場所における電磁波環境下では、完全なシールド構造を形成しているとは言えない。本発明では、更に強固なシールド構造を提供するものである。
【0017】
X線検出器101の前方で、X線検出器101と平行にグリッド105を保持するように、グリッド保持フレーム106が、筐体103の内壁に固定されている。グリッド保持フレーム106は、X線入射方向Aから見て撮影範囲に相当する略四角形に開けられた各穴以外に開口部を有せず、電磁波の漏洩がないように、筐体103内部の4つの内壁(103a、103b、103c、103d)に接合されている。また、図2で示すように、撮影装置側面には開口部107を有しており、手動にて矢印B方向にグリッド105を抜くことにより、撮影手段に応じて着脱、交換が可能なように構成してある。
【0018】
ここで、本発明に使用される散乱X線除去用グリッド105(以下グリッド)について説明しておく。図3、4は本発明に係る散乱X線除去用グリッドの説明図であり、図3はその斜視図、図4は図3における矢印C方向断面図を表している。散乱X線除去用グリッド105はX線の透過面に板材201、202を配し、これらにはX線透過率が高い部材が従来から使われてきたが、本発明では更に導電性を有した部材であることが必要条件となる。一例として、アルミ板があげられるが、これは価格的に安価であり加工性も良好なことより、これまでも使用されてきた部材である。そして導電性を有することから、本実施例にも適している。2枚の板材201、202の間には、従来例と同様に散乱X線を吸収する為のX線吸収物質203と、X線吸収が少ない材質からなるX線透過物質204が交互に規則的に配され、挟み込まれている。撮影範囲の外側にあたる外周部には、グリッドの強度を確保する為、枠フレーム206が組み込まれており、本発明では導電性を有する部材で構成し板材201、202とを電気的に導通させる役割を有している。但し、枠フレーム206がグリッド105の強度を維持する上で必要がない場合は、板材201、202を外周部において接続し、電気的に同電位としておく方が、シールド効果を安定させる上で好ましい。
【0019】
通常のグリッドの外部表面は、外観上、また、腐食等を防止するため、塗装等の処理が施されており、外部に対し板材201、202は電気的に絶縁された状態にある。本実施例のグリッドも同様に塗装207を施すことができるが、板材202の4隅には、板材201、202と電気的に導通し、外部との電気的接続手段である第1の接続部材208を備えている。図4では、説明の為、厚みを有した部材で示したが、薄い板状のもので構成すれば段差をほとんど無くすことができ、他の撮影手段でグリッドを使用する場合に邪魔にならない。また、特に新たな部材を構成せず、板材201、202の接続部材208に相当する範囲の表面処理を施さないことにより、電気的接続手段を設けることも出来る。ただし第1の接続手段としては、接触抵抗が少なく腐食の生じない部材で構成されることが好ましい。
【0020】
このような形状を有したグリッド105は、開口部107より、本発明のX線撮影装置内部に収納される。前述のグリッド保持部材106の溝部106aには、第2の接続部材108が取り付けられており、完全に収納された時、図5で示すように、グリッド105に設けられた第1の接続部材208と、グリッド保持部材106の溝部106b内壁に設けられた第2の接続部材108とが4辺において完全に密接した状態となる。第2の接続部材108は、第1の接続部材208と常に良好な接触状態が維持できるように、図5のように矢印方向にバネ性を持たせた構造を取ることが好ましい。材質として、導電性が高く金属疲労に強いバネ特性を持つベリリウム銅(BeCu)などが適している。なお、このような接点において、異種金属間の接触で生じる電食(ガルバニック)を防止する為、自然腐食電位の差が少ない金属を使用することが必要である。第2の接続部材108にベリリウム銅を用いた場合、第1の接続部材208に同じベリリウム銅を用いるか、また、自然腐食電位がベリリウム銅と近く外観部材として優れるステンレス鋼を用いることもできる。
【0021】
また、X線撮影において、特性の異なるグリッドを数種類用意しておき、撮影目的に合わせて交換することが通常行われている。グリッドの特性として、収束距離(撮影距離)、グリッド密度、グリッド比(格子比)等があるが、この中でグリッド比は、図4におけるX線透過物質204の幅Wと厚みtの比 W/tで表され、グリッド比を変更した場合、通常グリッド全体の厚みTが異なってくる。厚みTの異なるグリッドを装填した場合、グリッド保持部とグリッドとの間に空隙が生じ、漏洩によるシールド効果の低下を招く恐れがある。これに対し本実施例では、第2の接続部材108にバネ性を持たせることで、グリッドの厚みTの変化を吸収可能とし、特性の異なるグリッドの交換に対しても常に良好な接触状態を維持できる特徴を有する。
【0022】
以上のような構成により、グリッド105が挿入されると、グリッド周囲4辺が接続部材を介して電気的に導電位とり、X線検出器101は、筐体103、グリッド保持部材106、グリッド105で電気的に完全にシールドされ、電磁シールドボックス構造となる。
【0023】
図6は本発明の第二の実施形態で使用する電磁波遮蔽板の断面図である。外観的には、図3の散乱X線除去用グリッドと外観上は、同等であるが、内部構造が異なっている。第1の実施形態は、シールド構造の一部にグリッドを利用しており、グリッドを使用する一般的な撮影において有効であるが、小児撮影等で散乱線の発生量が少ない場合、被曝線量を減少させる目的より、グリッドを使用しない撮影が行われることがある。この場合、本発明の主課題であるノイズの進入が再び問題となる。そこで、グリッドのシールド機能の代用として、図5で示すような電磁波遮蔽板251をX線撮影装置に挿入する。ここで注意する点は、本来被曝線量を少なくする目的より、グリッドを使用しない撮影手法を用いるのであるから、電磁波遮蔽板251のX線透過率を高くしておくことである。グリッドにおけるX線透過部のX線減衰要素は、図11で示したように、前面板材、X線透過物質、後面板材である。通常のグリッドでは、板材に0.2mm、X線透過物質2〜3mm程度のアルミ材を使用しており、画像を形成するX線は合計3mm程度のアルミ材を透過していることになる。そこで、図5のように、板材252、253にグリッドと同程度の板厚のアルミ材を使用し、内部はX線透過率の高い質量の軽い発砲材254で構成することにより、通常のグリッドに比較し、高いX線透過率を確保することが可能となる。板材の表面には、図8と同様に第1の接続部材208を配しており、第1の実施例で示したグリッド保持部104に挿入することにより、グリッドを用いない撮影時にも、第一の実施例と同等のシールド効果を得る構造を取ることが出来る。
【0024】
図7、図8は本発明の第3の実施形態の説明図である。第2の実施形態ではグリッドを使用しない場合、代替として、電磁波遮蔽板251を挿入することによりシールド効果を得たが、第3の実施例では、グリッドの取り出しに連動して、電磁波遮蔽シートが、グリッドの無いことにより生じるグリッド保持部の開口部を塞ぐように構成してある。電磁波遮蔽シートは柔軟性を必要とするため厚みに制約が生じるが、第2の実施形態で必要であった電磁波遮蔽板251の着脱の作業が省略され、技師の作業性の向上が図れる利点を有する。
【0025】
図7において、301は電磁波遮蔽シートであり、上下端は、グリッド保持部106に形成された溝に挟み込まれ、また、両端部は巻き取り機構302、303に巻かれ、巻き取り機構302、303の回転に応じて左右方向に滑らかい移動できる構成となっている。電磁波遮蔽シート301は、柔軟性を有した箔状の金属シートからなり、その一部には、図8(b)で示すようなグリッド保持部の開口部とほぼ同じ大きさで開けられた角穴301aを有している。巻き取り機構302下部には、常に矢印D方向に巻き取り力が生じるように、ゼンマイバネ等により回転力が与えられており、グリッドのない状態では、シールド幕の開口部である角穴301a部は、図8(a)のように巻き取り機構302側に巻き取られている。この状態では、角穴301a部はグリッド保持部の開口部と位置がずれており、グリッド保持部の開口部は、シールド幕により塞がれている。よって、二次元検出器は、シールド幕、グリッド保持部、筐体により、完全にシールドされた構造となる。
【0026】
次にグリッドを挿入した場合を説明する。電磁波遮蔽シート301は、角穴301a横に突起部304を有し、その先端は、グリッドの挿入通路内に突出している。グリッド105が挿入されると、グリッド105の先端が突起部304を押し、グリッド105の挿入に連動し電磁波遮蔽シートを巻き取り機構303側に送り込んでいく。そして、グリッド105が完全に収納された時、電磁波遮蔽シート301は、グリッド保持部106の開口部と電磁波遮蔽シートの角穴301aが一致した図8(b)のような状態で停止する。入射X線は角穴301aを通過するため、グリッド106がある場合は、電磁波遮蔽シート301は、X線の減衰要素とはならない。
【0027】
グリッド105を使用する場合は、グリッド105、グリッド保持部106、筐体103でシールド構造を形成し、グリッドを用いない場合は、電磁波遮蔽シート301、グリッド保持部106、筐体103でシールド構造を形成する。これらは、グリッドの着脱により自動的に切り替わる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るX線撮影装置は、グリッドを利用することにより新たに入射X線を減衰させる金属等を追加することなく、X線画像検出器の周囲にシールド構造を形成することができる。これにより装置に悪影響を及ぼす不要電磁波に対する耐性を向上させ、アーチファクトの無い安定した画像が得られと共に、他の装置への不要電磁波の放出を抑えることが可能となる。また、厚みの異なるグリッドを含め特性の異なるグリッドへの交換を可能としているので、実際に行われる様々な撮影手法に対応できる利点を有する。また、グリッドを用いない撮影に対しては、グリッドのX線透過率より大きい電磁波遮蔽材を構成することで、入射X線の減衰を可能な限り少ない状態で、電磁波に対する耐性を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線撮影装置の縦方向断面図である。
【図2】横方向断面図である。
【図3】第1の実施形態で使用する散乱線除去用グリッドの外観図である。
【図4】同グリッドの断面図である。
【図5】グリッドとグリッド保持部材との接続部の拡大図である。
【図6】第2の実施形態における電磁波遮蔽板の断面図である。
【図7】第3の実施形態におけるX線撮影装置の横方向断面図である。
【図8】第3の実施形態における電磁波遮蔽シートの説明図である。
【図9】従来例の説明図である。
【図10】従来例の説明図である。
【図11】従来例の説明図である。
【符号の説明】
101 二次元X線検出器
102 X線入射部
103 筐体
105 散乱X線除去用グリッド
106 グリッド保持部材
108 第2の接続部材
208 第1の接続部材
251 電磁波遮蔽板
301 電磁波遮蔽シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、散乱X線除去用グリッド、及び散乱X線除去用グリッドを用いるX線撮影装置に関するものであり、特に、放射線をその強度に応じて電気信号に変換する二次元X線検出器を備えるX線撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線撮影装置は、工業用の非破壊検査や医療診断の分野で広く利用されており、例えば図9に示すように、X線源1から放射されたX線は被写体Pで吸収や散乱が行われた後にシンチレータ2に入射する。シンチレータ2では、X線の入射量に比例した強度の蛍光が発生し、この蛍光による可視像は受像手段3において画像に変換される。
【0003】
一般に、シンチレータ2には支持体に蛍光体を塗布して成る増感紙が使用され、受像手段3には銀塩フイルムが使用されてきた。フイルムには蛍光量の対数に比例した濃度のX線像が潜像として記録され、このフイルムが現像により可視像とされた後に、検査や診断に供される。この際に、医療用にはフイルムの両面に乳剤を備えた両面乳剤フイルムが使用され、この両面乳剤フイルムの両面にシンチレータ2、2’が設けられることにより、フイルムの感度の向上が図られると共に、被写体Pつまり患者の被曝線量の低減が図られている。
【0004】
近年、半導体プロセス技術の進歩を利用したX線撮影装置も開発されており、この装置には受光手段3として二次元X線検出器が利用されている。二次元X線検出器は光電変換素子とスイッチング素子等から成る微小な画素が二次元状に配列され、シンチレータによりX線から変換された光を電気信号として検出するようになっている。
【0005】
図10はこの二次元X線検出器を用いたX線撮影装置の構成例を示す。X線入射部11と筐体12からなる外装内に二次元X線検出器13が配置され、この二次元X線検出器13の前面にシンチレータ14が積層されている。二次元X線検出器13は保持部材15に固定され、その背後には、信号処理部16が配置され、二次元X線検出器13と信号処理部16はフレキシブルプリント回路基板17により接続されている。このフレキシブルプリント回路基板17上には、TCP(Tape carrier package)と称し、二次元X線検出器13の可能な限り近傍に半導体素子18が実装されている。これは、二次元X線検出器13からの微弱信号を検出直後に処理することにより、ノイズの混入を防止するためである。なお信号処理部16からの信号は、外部に接続された画像処理手段19に送られ、場合により任意の画像処理を行われた後、モニタ20に表示され、診断に供される。
参考文献:特開平9−129857号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成を有する二次元X線検出器を用いた撮影装置において、次のような課題が生じている。
【0007】
通常撮影室には、X線撮影装置と共にX線発生装置や他の診断検査装置が併設されて、限られた空間の中に、大電力系機器と極めて弱い信号系機器が共存するといった環境となっている。これらの機器から不必要に発生したり漏れたりする不要電磁エネルギーが、他の機器の作動妨害や誤作動という、いわゆる電磁波妨害(EMI)に関するトラブルを引き起こすことが近年問題となっている。本撮影装置においても、微弱電流を扱う上で、内部電気部品や検出信号が外部からの電磁波ノイズ、特に輻射による電磁波ノイズの影響を受け難い構造とする必要性が高まっている。また、本装置からの不要電磁波の放出をできる限り抑える必要も高まっている。これらに対する有効な対策として、筐体を可能な限りシールド構造とすることが考えられる。
【0008】
図10において、二次元X線検出器13はX線入射部11、筐体12に囲まれている。一般に、シールドはその対象物をシールド材で完全に囲むことで最もシールド効果が得られる。即ちX線入射部、筐体を電磁波遮断能力の高い金属で構成すれば、耐ノイズ性を向上することが可能となる。しかしX線入射部を金属で構成することにより、入射X線も減衰されるので、S/N比が悪化するという問題が生じてしまう。また、S/N比をあげる為、X線照射線量を増やす事は、被検者の被爆増加の点より、避けなければならない。これらの点からX線入射部に十分なシールドを施すことは困難であり、X線入射部が電磁波の進入口となっていた。
【0009】
ところで、X線が被写体Pを透過する際、被写体の中の様々な物質により乱反射したX線いわゆる散乱X線が発生する。この散乱X線は、本来X線が吸収されて到達しない部分へX線を照射してしまい、濃度差の無いぼやけた画像としてしまう為、除去されることが望ましい。そこで、従来から被写体PとX線画像検出器との間に散乱X線除去用グリッド4を配置している。図11は一般的な散乱X線除去用グリッド4の断面図である。30はX線を吸収する為のX線吸収物質であり、Pb等の比較的原子番号の大きな材料からなる。31はX線透過物質であり、Alや木材等の有機物質といった比較的X線の吸収が少ない材質で構成されており、これらはAlやカーボン板等の板材32、33にサンドイッチされた状態で規則的に配列されている。乱反射により入射X線に対して角度を有した散乱X線は、X線吸収物質30によりカットされ、直接X線のみ透過し、良好な画像が得られる。
【0010】
散乱X線除去用グリッドは、金属材料で構成されているものもあり、これを利用すれば電磁波ノイズの遮蔽効果を期待することができる。しかし、これまでのグリッドは、図9で示したフイルム撮影で用いていたものをそのまま使用していたものであり、散乱線の除去のみが目的であった。また、グリッドを内部に組み込み使用するX線撮影装置においても、グリッドのシールドを有効に利用した構成にはなっていなかった。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、X線撮影装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の散乱X線除去用グリッド、及びこれを利用したX線撮影装置は、前記課題を解決するために、X線透過率の高い材質から構成された2枚の板状部材の間に、X線を吸収する為のX線吸収物質とX線を透過させる為のX線透過物質とを交互に配した散乱X線除去用グリッドにおいて、前記板状部材が導電性を有し、2枚の板状部材の少なくとも1枚の外周部に、外部に対して板状部材を電気的に同電位に接続可能な第1の接続手段を備えたものである。
【0013】
また、二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、請求項1記載の散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉されたシールド構造を形成するようにしたものである。
【0014】
かかる構成により、新たに入射X線を減衰させる金属等を追加することなく、X線画像検出器の周囲にシールド構造を形成し、ノイズに対する耐性を向上させることが可能となる。
【0015】
なお、その他の実施形態、効果については、以下に述べる実施例の中で説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面を参照にして詳細に説明する。
図1〜5は、本発明の第1の実施形態の説明図であり、図1は、X線撮影装置の縦方向断面図、図2は横方向断面図を表している。図1において、101は前述のX線検出器であり、X線の入射口となるX線入射部102と入射口以外を覆う筐体103からなる外装に囲まれている。X線検出器101から画像を取得する為の構成は、従来例である図8と同じであり、ここでは説明を省略する。X線入射部102の材質としては、X線透過率が優れたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)等が適している。また、X線入射部102は、撮影において患者が直接接触し荷重が加わる可能性があるので、荷重に対して塑性変形が生じることのない様に、強度及び弾性においても優れた特性を持つCFRPが適している。筐体103の材質としては、金属材料または樹脂に金属シールドを施したシールド効果の高い構成が必要である。なお、X線入射部102に推奨したCFRPは、カーボンを含有するため電気抵抗値は低いが、通常導電性を有している。この為、X線入射部102と筐体103とを密に接合することにより、一応シールド構造を形成することができる。しかし、CFRPの電磁波に対する減衰効果が金属に比較して明らかに低い為、実際の設置場所における電磁波環境下では、完全なシールド構造を形成しているとは言えない。本発明では、更に強固なシールド構造を提供するものである。
【0017】
X線検出器101の前方で、X線検出器101と平行にグリッド105を保持するように、グリッド保持フレーム106が、筐体103の内壁に固定されている。グリッド保持フレーム106は、X線入射方向Aから見て撮影範囲に相当する略四角形に開けられた各穴以外に開口部を有せず、電磁波の漏洩がないように、筐体103内部の4つの内壁(103a、103b、103c、103d)に接合されている。また、図2で示すように、撮影装置側面には開口部107を有しており、手動にて矢印B方向にグリッド105を抜くことにより、撮影手段に応じて着脱、交換が可能なように構成してある。
【0018】
ここで、本発明に使用される散乱X線除去用グリッド105(以下グリッド)について説明しておく。図3、4は本発明に係る散乱X線除去用グリッドの説明図であり、図3はその斜視図、図4は図3における矢印C方向断面図を表している。散乱X線除去用グリッド105はX線の透過面に板材201、202を配し、これらにはX線透過率が高い部材が従来から使われてきたが、本発明では更に導電性を有した部材であることが必要条件となる。一例として、アルミ板があげられるが、これは価格的に安価であり加工性も良好なことより、これまでも使用されてきた部材である。そして導電性を有することから、本実施例にも適している。2枚の板材201、202の間には、従来例と同様に散乱X線を吸収する為のX線吸収物質203と、X線吸収が少ない材質からなるX線透過物質204が交互に規則的に配され、挟み込まれている。撮影範囲の外側にあたる外周部には、グリッドの強度を確保する為、枠フレーム206が組み込まれており、本発明では導電性を有する部材で構成し板材201、202とを電気的に導通させる役割を有している。但し、枠フレーム206がグリッド105の強度を維持する上で必要がない場合は、板材201、202を外周部において接続し、電気的に同電位としておく方が、シールド効果を安定させる上で好ましい。
【0019】
通常のグリッドの外部表面は、外観上、また、腐食等を防止するため、塗装等の処理が施されており、外部に対し板材201、202は電気的に絶縁された状態にある。本実施例のグリッドも同様に塗装207を施すことができるが、板材202の4隅には、板材201、202と電気的に導通し、外部との電気的接続手段である第1の接続部材208を備えている。図4では、説明の為、厚みを有した部材で示したが、薄い板状のもので構成すれば段差をほとんど無くすことができ、他の撮影手段でグリッドを使用する場合に邪魔にならない。また、特に新たな部材を構成せず、板材201、202の接続部材208に相当する範囲の表面処理を施さないことにより、電気的接続手段を設けることも出来る。ただし第1の接続手段としては、接触抵抗が少なく腐食の生じない部材で構成されることが好ましい。
【0020】
このような形状を有したグリッド105は、開口部107より、本発明のX線撮影装置内部に収納される。前述のグリッド保持部材106の溝部106aには、第2の接続部材108が取り付けられており、完全に収納された時、図5で示すように、グリッド105に設けられた第1の接続部材208と、グリッド保持部材106の溝部106b内壁に設けられた第2の接続部材108とが4辺において完全に密接した状態となる。第2の接続部材108は、第1の接続部材208と常に良好な接触状態が維持できるように、図5のように矢印方向にバネ性を持たせた構造を取ることが好ましい。材質として、導電性が高く金属疲労に強いバネ特性を持つベリリウム銅(BeCu)などが適している。なお、このような接点において、異種金属間の接触で生じる電食(ガルバニック)を防止する為、自然腐食電位の差が少ない金属を使用することが必要である。第2の接続部材108にベリリウム銅を用いた場合、第1の接続部材208に同じベリリウム銅を用いるか、また、自然腐食電位がベリリウム銅と近く外観部材として優れるステンレス鋼を用いることもできる。
【0021】
また、X線撮影において、特性の異なるグリッドを数種類用意しておき、撮影目的に合わせて交換することが通常行われている。グリッドの特性として、収束距離(撮影距離)、グリッド密度、グリッド比(格子比)等があるが、この中でグリッド比は、図4におけるX線透過物質204の幅Wと厚みtの比 W/tで表され、グリッド比を変更した場合、通常グリッド全体の厚みTが異なってくる。厚みTの異なるグリッドを装填した場合、グリッド保持部とグリッドとの間に空隙が生じ、漏洩によるシールド効果の低下を招く恐れがある。これに対し本実施例では、第2の接続部材108にバネ性を持たせることで、グリッドの厚みTの変化を吸収可能とし、特性の異なるグリッドの交換に対しても常に良好な接触状態を維持できる特徴を有する。
【0022】
以上のような構成により、グリッド105が挿入されると、グリッド周囲4辺が接続部材を介して電気的に導電位とり、X線検出器101は、筐体103、グリッド保持部材106、グリッド105で電気的に完全にシールドされ、電磁シールドボックス構造となる。
【0023】
図6は本発明の第二の実施形態で使用する電磁波遮蔽板の断面図である。外観的には、図3の散乱X線除去用グリッドと外観上は、同等であるが、内部構造が異なっている。第1の実施形態は、シールド構造の一部にグリッドを利用しており、グリッドを使用する一般的な撮影において有効であるが、小児撮影等で散乱線の発生量が少ない場合、被曝線量を減少させる目的より、グリッドを使用しない撮影が行われることがある。この場合、本発明の主課題であるノイズの進入が再び問題となる。そこで、グリッドのシールド機能の代用として、図5で示すような電磁波遮蔽板251をX線撮影装置に挿入する。ここで注意する点は、本来被曝線量を少なくする目的より、グリッドを使用しない撮影手法を用いるのであるから、電磁波遮蔽板251のX線透過率を高くしておくことである。グリッドにおけるX線透過部のX線減衰要素は、図11で示したように、前面板材、X線透過物質、後面板材である。通常のグリッドでは、板材に0.2mm、X線透過物質2〜3mm程度のアルミ材を使用しており、画像を形成するX線は合計3mm程度のアルミ材を透過していることになる。そこで、図5のように、板材252、253にグリッドと同程度の板厚のアルミ材を使用し、内部はX線透過率の高い質量の軽い発砲材254で構成することにより、通常のグリッドに比較し、高いX線透過率を確保することが可能となる。板材の表面には、図8と同様に第1の接続部材208を配しており、第1の実施例で示したグリッド保持部104に挿入することにより、グリッドを用いない撮影時にも、第一の実施例と同等のシールド効果を得る構造を取ることが出来る。
【0024】
図7、図8は本発明の第3の実施形態の説明図である。第2の実施形態ではグリッドを使用しない場合、代替として、電磁波遮蔽板251を挿入することによりシールド効果を得たが、第3の実施例では、グリッドの取り出しに連動して、電磁波遮蔽シートが、グリッドの無いことにより生じるグリッド保持部の開口部を塞ぐように構成してある。電磁波遮蔽シートは柔軟性を必要とするため厚みに制約が生じるが、第2の実施形態で必要であった電磁波遮蔽板251の着脱の作業が省略され、技師の作業性の向上が図れる利点を有する。
【0025】
図7において、301は電磁波遮蔽シートであり、上下端は、グリッド保持部106に形成された溝に挟み込まれ、また、両端部は巻き取り機構302、303に巻かれ、巻き取り機構302、303の回転に応じて左右方向に滑らかい移動できる構成となっている。電磁波遮蔽シート301は、柔軟性を有した箔状の金属シートからなり、その一部には、図8(b)で示すようなグリッド保持部の開口部とほぼ同じ大きさで開けられた角穴301aを有している。巻き取り機構302下部には、常に矢印D方向に巻き取り力が生じるように、ゼンマイバネ等により回転力が与えられており、グリッドのない状態では、シールド幕の開口部である角穴301a部は、図8(a)のように巻き取り機構302側に巻き取られている。この状態では、角穴301a部はグリッド保持部の開口部と位置がずれており、グリッド保持部の開口部は、シールド幕により塞がれている。よって、二次元検出器は、シールド幕、グリッド保持部、筐体により、完全にシールドされた構造となる。
【0026】
次にグリッドを挿入した場合を説明する。電磁波遮蔽シート301は、角穴301a横に突起部304を有し、その先端は、グリッドの挿入通路内に突出している。グリッド105が挿入されると、グリッド105の先端が突起部304を押し、グリッド105の挿入に連動し電磁波遮蔽シートを巻き取り機構303側に送り込んでいく。そして、グリッド105が完全に収納された時、電磁波遮蔽シート301は、グリッド保持部106の開口部と電磁波遮蔽シートの角穴301aが一致した図8(b)のような状態で停止する。入射X線は角穴301aを通過するため、グリッド106がある場合は、電磁波遮蔽シート301は、X線の減衰要素とはならない。
【0027】
グリッド105を使用する場合は、グリッド105、グリッド保持部106、筐体103でシールド構造を形成し、グリッドを用いない場合は、電磁波遮蔽シート301、グリッド保持部106、筐体103でシールド構造を形成する。これらは、グリッドの着脱により自動的に切り替わる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るX線撮影装置は、グリッドを利用することにより新たに入射X線を減衰させる金属等を追加することなく、X線画像検出器の周囲にシールド構造を形成することができる。これにより装置に悪影響を及ぼす不要電磁波に対する耐性を向上させ、アーチファクトの無い安定した画像が得られと共に、他の装置への不要電磁波の放出を抑えることが可能となる。また、厚みの異なるグリッドを含め特性の異なるグリッドへの交換を可能としているので、実際に行われる様々な撮影手法に対応できる利点を有する。また、グリッドを用いない撮影に対しては、グリッドのX線透過率より大きい電磁波遮蔽材を構成することで、入射X線の減衰を可能な限り少ない状態で、電磁波に対する耐性を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線撮影装置の縦方向断面図である。
【図2】横方向断面図である。
【図3】第1の実施形態で使用する散乱線除去用グリッドの外観図である。
【図4】同グリッドの断面図である。
【図5】グリッドとグリッド保持部材との接続部の拡大図である。
【図6】第2の実施形態における電磁波遮蔽板の断面図である。
【図7】第3の実施形態におけるX線撮影装置の横方向断面図である。
【図8】第3の実施形態における電磁波遮蔽シートの説明図である。
【図9】従来例の説明図である。
【図10】従来例の説明図である。
【図11】従来例の説明図である。
【符号の説明】
101 二次元X線検出器
102 X線入射部
103 筐体
105 散乱X線除去用グリッド
106 グリッド保持部材
108 第2の接続部材
208 第1の接続部材
251 電磁波遮蔽板
301 電磁波遮蔽シート
Claims (7)
- X線透過率の高い材質から構成された2枚の板状部材の間に、X線を吸収する為のX線吸収物質とX線を透過させる為のX線透過物質とを交互に配した散乱X線除去用グリッドにおいて、前記板状部材が導電性を有し、2枚の板状部材の少なくとも1枚の外周部に、外部に対して板状部材を電気的に同電位に接続可能な第1の接続手段を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
- 二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、請求項1記載の散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉されたシールド構造を形成することを特徴とするX線撮影装置。
- 前記請求項2において、グリッド保持部は、請求項1記載の散乱X線除去用グリッドを任意に着脱可能とする手段を有していることを特徴とする請求項2記載のX線撮影装置。
- 前記請求項2において、グリッド保持部は厚みの異なる散乱X線除去用グリッドに交換可能とする手段を有していることを特徴とする請求項2に記載のX線撮影装置。
- 二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、請求項1記載の散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉されたシールド構造を形成し、散乱X線除去用グリッドを用いない撮影時は、導電性材料からなる電磁波遮蔽板をグリッド保持部に収納することにより、二次元X線検出器を、電磁波遮蔽板、グリッド保持部、及び、筐体で囲まれた空間で電気的に密閉されたシールド構造を形成することを特徴とするX線撮影装置。
- 二次元X線検出器を用いたX線撮影装置において、X線吸収の少ない材質からなるX線入射部と、導電性を有し前記X線入射部と接合し前記二次元X線検出器を密閉する筐体と、前記筐体内部において散乱X線除去用グリッドを保持するグリッド保持部とを有し、前記グリッド保持部は、請求項1記載の散乱X線除去用グリッドの第1の接続手段と電気的に接続する第2の接続手段を有し、散乱X線除去用グリッドを保持した状態で、第1の接続手段と第2の接続手段とが密接することにより、散乱X線除去用グリッドと電気的に同電位となり、前記二次元X線検出器を、散乱X線除去用グリッド、グリッド保持部、及び筐体で囲まれた空間で、電気的に密閉された構造を形成し、散乱X線除去用グリッドを用いない撮影時は、グリッドの取り出しに応じて、柔軟性を有し導電性部材からなる電磁波遮蔽シートがグリッド保持部を覆うことにより、二次元X線検出器を、電磁波遮蔽シート、グリッド保持部、及び、筐体で囲まれた空間で電気的に密閉されたシールド構造を形成することを特徴とするX線撮影装置。
- 前記請求項5記載の電磁波遮蔽板、及び、請求項6記載の電磁波遮蔽シートは、散乱X線除去用グリッド内のX透過物質の位置でのX線透過率より高い透過率を有していることを特徴とする請求項5、6記載のX線撮影装置。
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