JP2004169801A - シングルキャビティ式トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、入力側ディスク4側に設けられ、ケーシング80と入力側ディスク4との間に形成される第1の油圧室25内に圧油を供給することにより、入力側ディスク4を出力側ディスク6側に向けて押圧する第1の押圧機構20と、出力側ディスク6側に設けられ、ケーシング80と出力側ディスク6との間に形成される第2の油圧室30内に圧油を供給することにより、出力側ディスク6を入力側ディスク4側に向けて押圧する第2の押圧機構22とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の変速機として使用されるシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
主に自動車用の変速機として使用されるトロイダル型無段変速機は、互いに対向する面がそれぞれ円弧形状の凹断面を有する入力側ディスク及び出力側ディスクと、これらのディスク間に挟持される回転自在なパワーローラとを組み合わせたトロイダル型変速機構を備えている。入力側ディスクは、トルク入力軸方向への移動が可能なようにトルク入力軸に対して駆動結合され、出力側ディスクは、トルク入力軸に対して相対的に回転可能且つ入力側ディスクから離れる方向への移動が制限されるように入力側ディスクと対向して取り付けられている。
【0003】
前述のようなトロイダル型変速機構では、入力側ディスクが回転すると、パワーローラを介して出力側ディスクが逆回転するため、トルク入力軸に入力される回転運動は、逆方向の回転運動として出力側ディスクへと伝達され、出力側ディスクと一体的に回転する出力ギヤから取り出される。この際、パワーローラの周面が入力側ディスクの外周付近と出力側ディスクの中心付近とにそれぞれ当接するようにパワーローラの回転軸の傾斜角度を変化させることで、トルク入力軸から出力ギヤへの増速が行なわれ、これとは逆に、パワーローラの周面が入力側ディスクの中心付近と出力側ディスクの外周付近とにそれぞれ当接するようにパワーローラの回転軸の傾斜角度を変化させることで、トルク入力軸から出力ギヤへの減速が行なわれる。更に、両者の中間の変速比についても、パワーローラの回転軸の傾斜角度を適当に調節することにより、ほぼ無段階に得ることができる。
【0004】
入力側ディスクとパワーローラとの間およびパワーローラと出力側ディスクとの間に発生する摩擦力が常に適切な大きさになるように調節するために、入力軸と入力側ディスクとの間には押圧発生機構が設けられている。また、トルク入力軸の入力側ディスク側端部に固定されたローディングナットと入力側ディスクとの間に、入力トルクに応じて入力軸方向への押圧力を増減させることができるカム式や油圧式の押圧機構が配置されている構成もある。
【0005】
トルク入力軸は、入力側ディスク側の端部に設けられた軸受と、出力側ディスク側の端部に設けられた入力側軸受とにより、トロイダル型無段変速機のケーシングに対して回転自在に支持されている。これとは別に、出力ギヤも出力ギヤ背面に設けられた出力側軸受により、トロイダル型無段変速機のケーシングに対して回転自在に支持されている(例えば、特許文献1参照)。出力側軸受および入力側軸受は、それぞれトロイダル型無段変速機のケーシングに結合された支持部材によって背面合わせに保持されており、例えばアンギュラ軸受を用いる場合には、接触角の方向が互いに逆になるように組み合わされる。
【0006】
トルク入力軸に入力される回転力を出力ギヤへと伝達する際には、押圧機構の働きにより、トルク入力軸が入力側ディスク方向へ引き付けられ、また、出力ギヤが出力側ディスク方向へと押し出される。このため、入力側軸受に対しては入力側ディスク方向へのスラスト荷重が加わり、出力側軸受に対しては出力側ディスク方向へのスラスト荷重が加わる。
【特許文献1】
特開平10−238606号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、トロイダル型無段変速機では、トラクションドライブを行なうべく、入出力側ディスクとパワーローラとの接触点に大きな力を加える必要があるため、前記押圧機構によって入力側ディスクに対しトルク入力軸方向に押圧力を加えている。
【0008】
また、トロイダル型変速機構を2つ備え、入力側ディスク同士が対向することにより軸方向の押圧力が相殺されるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機とは異なり、トロイダル型変速機構を1つだけ備えるシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、入出力側ディスクの反力を受けるために、前述したようなアンギュラ軸受を用いている。
【0009】
しかしながら、このアンギュラ軸受のトルク損失は大きいため、ミッション全体の効率が低下してしまうという問題がある。この問題に対し、前記特許文献1では、ピストンによりディスクから受ける力と反対の方向に力を加え、前記軸受のトルク損失を低減させるようにしているが、前記軸受に掛かる軸方向の力をゼロにすることはできない。
【0010】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、トルク入力軸をケーシングに対して回転自在に支持する軸受に軸方向の力が掛からず、ミッション全体の効率を向上させることができるシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、軸受を介してケーシングに回転自在に支持され且つ回転トルクが入力されるトルク入力軸と、前記トルク入力軸に対して駆動結合され且つ前記トルク入力軸の軸方向に移動可能な入力側ディスクと、前記トルク入力軸の軸方向に沿って移動可能に前記入力側ディスクと対向し且つ前記トルク入力軸に対して相対的に回転できる出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に回転可能に挟持され且つ前記入力側ディスクの回転力を前記出力側ディスクに伝えるパワーローラとから成る1組のトロイダル型変速機構と、前記入力側ディスク側に設けられ、前記ケーシングと前記入力側ディスクとの間に形成される第1の油圧室内に圧油を供給することにより、前記入力側ディスクを前記出力側ディスク側に向けて押圧する第1の押圧機構と、前記出力側ディスク側に設けられ、前記ケーシングと前記出力側ディスクとの間に形成される第2の油圧室内に圧油を供給することにより、前記出力側ディスクを前記入力側ディスク側に向けて押圧する第2の押圧機構とを備えたことを特徴とする。
【0012】
このように、入力側ディスクおよび出力側ディスクが軸方向に移動自在に設けられ、入力側ディスクだけでなく出力側ディスクにも押圧機構が設けられ、更に、押圧機構の油圧室がケーシングとディスクとの間に設けられていれば、油を介してケーシングで軸方向の力を受けることができるため、軸受に軸方向の力が掛からず、ミッション全体の効率が向上する。また、押圧機構に油圧を用いたことにより、変速比に応じて最適な押圧力を与えることができるため、効率が向上するとともに、過剰な押圧力が減ることからディスクおよびパワーローラの寿命が延びる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、エンジン等を含む図示しない駆動源によって回転駆動されるトルク入力軸としての入力軸2と、入力軸2に駆動結合され且つ入力軸2の軸方向に沿って移動可能な1個の入力側ディスク4と、入力軸2の軸方向に沿って移動可能に入力側ディスク4と対向し且つ入力軸2に対して相対的に回転できる1個の出力側ディスク6と、これら入力側ディスク4および出力側ディスク6の互いに対向する円弧状の凹面4a,6a間に挟持される回転自在なパワーローラ(図示せず)とを備えた1組のトロイダル型変速機構10を有している。
【0014】
具体的には、入力側ディスク4および出力側ディスク6は、入力軸2の外周に取り付けられている。また、入力軸2の外周には出力ギヤ16が回転自在に支持されている。この出力ギヤ16の中心部に設けられた円筒状のフランジ部16aには、出力側ディスク6がスプライン係合(ボールスプライン31)によって連結されている。また、入力側ディスク4は、入力軸2と共に回転するように、入力軸2にボールスプライン32を介して支持されている。
【0015】
また、入力軸2は、入力側ディスク4側端部に位置する軸受12によりトロイダル型無段変速機のケーシング80に回転自在に支持されるとともに、出力ギヤ16を介して出力側ディスク6側に位置する軸受14,18によりケーシング80に回転自在に支持されている。この場合、軸受14,18はケーシング80によって支持されている。
【0016】
また、後述する押圧機構を構成すべく、入力側ディスク4の背面(円弧状の凹面4aと反対側の面)にはケーシング80が対向しており、また、出力側ディスク6と出力ギヤ16との間にもケーシング80が介在している。この場合、出力ギヤ16は、ケーシング80によって構成された仕切室S内に配設されており、これにより、軸線O1を中心に回転できる一方で、軸線O1方向の変位が阻止されている。
【0017】
したがって、このような構成の無段変速機では、駆動源から入力軸2に回転力が入力されると、入力軸2と一体で入力側ディスク4が回転し、その回転が前記パワーローラによって出力側ディスク6に一定の変速比で伝達される。また、出力側ディスク6の回転は、出力ギヤ16から図示しない伝達歯車および伝達軸などを介して、出力軸に伝達される。
【0018】
また、本実施形態では、入力側ディスク4とパワーローラとの間およびパワーローラと出力側ディスク6との間に発生する摩擦力が常に適切な大きさになるように調節するために、油圧式の押圧機構が設けられている。この押圧機構は、入力側ディスク4側に設けられ且つ入力側ディスク4をパワーローラに対して押圧する(入力側ディスク4を出力側ディスク6側に押圧する)第1の押圧機構20と、出力側ディスク6側に設けられ且つ出力側ディスク6をパワーローラに対して押圧する(出力側ディスク6を入力側ディスク4側に押圧する)第2の押圧機構22とから成る。
【0019】
第1の押圧機構20は、ケーシング80と入力側ディスク4との間に形成される第1の油圧室25を有している。この第1の油圧室25内を液密に維持する(密閉する)ため、ケーシング80と入力側ディスク4との間には、シール材51,52が設けられている。また、図2に示されるように、この第1の油圧室25は、ケーシング80に形成された油路26および圧油供給管路28を介して油圧源29に接続されており、後述するように変速比および負荷(入力トルク)に応じて調節された圧力の油が供給されるようになっている。また、圧油供給管路28の途中には、油圧源29から第1の油圧室25への圧油の供給量(油圧)を制御するための第1の制御弁34が設けられている。
【0020】
一方、第2の押圧機構22は、ケーシング80と出力側ディスク6との間に形成される第2の油圧室30を有している。この第2の油圧室30内を液密に維持する(密閉する)ため、ケーシング80と出力側ディスク6との間には、シール材53,54が設けられている。また、図2に示されるように、この第2の油圧室30は、ケーシング80に形成された油路81および圧油供給管路35を介して油圧源29に接続されており、第1の油圧室25と同様に、変速比および負荷(入力トルク)に応じて調節された圧力の油が供給されるようになっている。また、圧油供給管路35の途中には、油圧源29から第2の油圧室30への圧油の供給量(油圧)を制御するための第2の制御弁36が設けられている。
【0021】
なお、第1および第2の制御弁34,36はそれぞれ、コントローラ39によって個別に制御されるようになっている。
【0022】
また、トロイダル型無段変速機を自動車に適用した場合、油圧を発生させるポンプはエンジンからの動力を利用するため、エンジン始動時やエンジンが動いていない状態でもローディング力を発生させられるように、ケーシング80と入力側ディスク4との間には皿バネ27が設けられている。この皿バネ27は、入力側ディスク4をケーシング80から離間させる方向で付勢しており、ディスクとパワーローラとの当接部に押圧力を付与する。なお、本実施形態では、皿バネ27が入力側に設けられているが、出力側に皿バネ27を設けても良い。
【0023】
次に、押圧機構20,22における油圧制御について説明する。
図3には、入力側ディスク4側において必要な軸方向力(押圧力)と変速比との関係がラインAで示されている。また、比較のため、押圧機構としてローディングカムを用いた場合にローディングカムにより発生する軸方向力(押圧力)と変速比との関係がラインBで示されている。この図3から分かるように、押圧機構としてローディングカムを用いた場合には、変速比にかかわらず、常に略一定の軸方向力が発生するため、図中斜線で示される分だけ、軸方向力が過剰となる。すなわち、効率が非常に悪いということになる。
【0024】
そのため、本実施形態において、例えば入力側ディスク4側(第1の押圧機構20側)では、実際に入力側ディスク4側で必要な軸方向力のみを発生させて無駄をなくすべく、ラインAにしたがって入力側ディスク4側での軸方向力が制御される。具体的には、ラインAに沿った変速比と軸方向力との関係が得られるように、コントローラ39によって第1の制御弁34の動作を制御して、入力側ローディング圧を制御する。
【0025】
第1および第2の押圧機構20,22全体についての制御としては、変速比(図4)と入力トルク(図5)とに応じて、第1および第2の押圧機構20,22で発生させる押圧力(入力側および出力側の軸方向力)を制御する。すなわち、変速比および負荷(入力トルク)に応じて調節された圧力の圧油をコントローラ39および制御弁34,36を介して第1および第2の油圧室25,30に供給する。
【0026】
ここで、図4には、出力側における必要軸方向力(押圧力)と変速比との関係がラインCで示され、入力側における必要軸方向力(押圧力)と変速比との関係がラインDで示されている。また、図5には、一例として最大減速時の出力側および入力側における入力トルクと必要軸方向力との関係(比例関係)が示されている。この場合、ラインEが出力側に関するものであり、ラインFが入力側に関するものである。
【0027】
具体的に、本実施形態では、ラインC,D,E,Fにしたがう軸方向力が入力側ディスク4側および出力側ディスク6側で生起されるように、変速比および負荷(入力トルク)に応じて調節された圧力の圧油をコントローラ39および制御弁34,36を介して第1および第2の油圧室25,30に供給する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、入力側ディスク4側に設けられ、ケーシング80と入力側ディスク4との間に形成される第1の油圧室25内に圧油を供給することにより、入力側ディスク4を出力側ディスク6側に向けて押圧する第1の押圧機構20と、出力側ディスク6側に設けられ、ケーシング80と出力側ディスク6との間に形成される第2の油圧室30内に圧油を供給することにより、出力側ディスク6を入力側ディスク4側に向けて押圧する第2の押圧機構22とを備えている。すなわち、本実施形態のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機では、入力側ディスク4および出力側ディスク6が軸方向に移動自在に設けられ、入力側ディスク4だけでなく出力側ディスク6にも押圧機構が設けられ、更に、押圧機構の油圧室25,30がケーシング80とディスク4,6との間に設けられている。
【0029】
したがって、油を介してケーシング80で軸方向の力を受けるため、軸受14,18に軸方向の力が掛からず、ミッション全体の効率が向上する。従来は、前述したように、軸方向力の差t(図4参照)をアンギュラ軸受で受けていたため、効率が低下していたが、本実施形態では、軸方向力の差tをケーシング80で受けられるため、軸受14,18に影響がない(これについては、軸受14,18がケーシング80で支持されている点も寄与する)。
【0030】
また、本実施形態では、押圧機構に油圧を用いたことにより、変速比に応じて最適な押圧力を与えることができるため、効率が向上するとともに、過剰な押圧力が減ることからディスク4,6およびパワーローラの寿命が延びる。
【0031】
図6〜図8は本発明の第2の実施形態を示している。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成部分については、以下、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
第1の実施形態では、押圧力(ローディング力)が電気的に制御されるようになっているが、本実施形態では、押圧力が機械的に制御される。すなわち、本実施形態では、トロイダル型無段変速機の変速制御弁のようにプリセスカムとリンク機構とを用いて傾転角を機械的にフィードバックできる圧力制御弁(例えば、特開2000−147559号公報等参照)を使用し、出力側のローディング圧力を制御する。
【0033】
具体的には、図6に示されるように、出力側の軸力と入力側の軸力との比が変速比(傾転角)にほぼ比例することから、図7に示されるように、入力側の制御圧力に応じて、プリセスカム75とリンク74とにより圧力制御弁73のスプールを動かし、傾転角に比例した圧力を第2の油圧室30に供給する。
【0034】
ただし、このような制御においては、油圧室の受圧面積を考慮する必要がある。すなわち、第1および第2の油圧室25,30の面積が同一の場合には、出力側の軸方向力は最大減速付近で入力側の1.7倍程度にしなければならないため、出力側の圧力も1.7倍と増圧する必要がある。そのため、図7に示されるように、入力側ローディング圧力と傾転角(プリセスカム75+リンク74)の両方によって圧力制御弁73を制御し、出力側のローディング圧力を調整する。
【0035】
なお、図7中、71は、入力側の制御圧力(入力側ローディング圧力)を圧力制御弁73に伝えるために圧油供給管路28の途中に接続された制御圧入力管路である。また、圧力制御弁73は、圧油供給管路35の途中に設けられており、軸方向に摺動自在に嵌挿されたスプールを備えている。また、プリセスカム75と圧力制御弁73との間に設けられたリンクアーム74は、その一端部がプリセスカム75のカム面75aに当接し、他端部が圧力制御弁73の前記スプールに連結されている。すなわち、本実施形態では、プリセスカム75とリンクアーム74とによって、傾転角の変動(パワーローラの傾転変動)を圧力制御弁73のスプールに伝えてフィードバックし、それに伴うスプールの軸方向変位により弁開度を調整して、油圧源29から圧油供給管路35を通じて第2の油圧室30へ供給される油の量を制御するようになっている。
【0036】
これに対し、第2の油圧室30の受圧面積が(第1の油圧室25の受圧面積×出力側の軸力と入力側の軸力との比(図6の場合は約1.7)の最大値)以上である場合には、図8に示されるように、出力側のローディング圧力は、入力側のローディング圧力を圧力制御弁73により傾転角に応じて減圧するだけで制御することができる(入力側のローディング圧力は、入力トルクに応じて既に調整されているため、出力側のローディング圧力は、傾転角の影響のみ考えれば良いからである)。なお、第2の油圧室30の受圧面積が(第1の油圧室25の受圧面積×出力側の軸力と入力側の軸力との比の最大値)よりも小さい場合には、図7と同様に制御系を構成すれば良い。
【0037】
以上のように、本実施形態においても、入力側ディスク4および出力側ディスク6が軸方向に移動自在に設けられ、入力側ディスク4だけでなく出力側ディスク6にも押圧機構が設けられ、更に、押圧機構の油圧室25,30がケーシング80とディスク4,6との間に設けられているため、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機によれば、油を介してケーシングで軸方向の力を受けることができるため、軸受に軸方向の力が掛からず、ミッション全体の効率が向上する。また、押圧機構に油圧を用いたことにより、変速比に応じて最適な押圧力を与えることができるため、効率が向上するとともに、過剰な押圧力が減ることからディスクおよびパワーローラの寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機の要部断面図である。
【図2】図1のシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機の油圧制御回路図である。
【図3】入力側ディスク側において必要な軸方向力(押圧力)と変速比との関係、および、押圧機構としてローディングカムを用いた場合にローディングカムにより発生する軸方向力(押圧力)と変速比との関係を示すグラフ図である。
【図4】出力側および入力側における必要軸方向力(押圧力)と変速比との関係を示すグラフ図である。
【図5】最大減速時の出力側および入力側における入力トルクと必要軸方向力との関係(比例関係)を示すグラフ図である。
【図6】変速比による必要軸方向力の変化を示すグラフ図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機の油圧制御回路図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機の油圧制御回路図である。
【符号の説明】
2 トルク入力軸
4 入力側ディスク
6 出力側ディスク
10 トロイダル型変速機構
12,14,18 軸受
20 第1の押圧機構
22 第2の押圧機構
25 第1の油圧室
30 第2の油圧室
80 ケーシング
Claims (1)
- 軸受を介してケーシングに回転自在に支持され且つ回転トルクが入力されるトルク入力軸と、前記トルク入力軸に対して駆動結合され且つ前記トルク入力軸の軸方向に移動可能な入力側ディスクと、前記トルク入力軸の軸方向に沿って移動可能に前記入力側ディスクと対向し且つ前記トルク入力軸に対して相対的に回転できる出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に回転可能に挟持され且つ前記入力側ディスクの回転力を前記出力側ディスクに伝えるパワーローラとから成る1組のトロイダル型変速機構と、
前記入力側ディスク側に設けられ、前記ケーシングと前記入力側ディスクとの間に形成される第1の油圧室内に圧油を供給することにより、前記入力側ディスクを前記出力側ディスク側に向けて押圧する第1の押圧機構と、
前記出力側ディスク側に設けられ、前記ケーシングと前記出力側ディスクとの間に形成される第2の油圧室内に圧油を供給することにより、前記出力側ディスクを前記入力側ディスク側に向けて押圧する第2の押圧機構と、
を備えたことを特徴とするシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機。
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