JP2004165564A - 窒化ガリウム結晶基板の製造方法と窒化ガリウム結晶基板及びそれを備えた窒化ガリウム系半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】大口径化が可能であり、転位密度が低く、かつ結晶品質に優れ、しかも「反り」が充分に小さな窒化ガリウム結晶基板の製造方法、この窒化ガリウム結晶基板の製造方法により得られた窒化ガリウム結晶基板、及びこの窒化ガリウム結晶基板を備えた窒化ガリウム系半導体素子を提供する。
【解決手段】本発明の窒化ガリウム結晶基板の製造方法は、珪素単結晶基板の表面に、リン化硼素からなる非晶質層を気相成長させ、この非晶質層上に窒化ガリウム結晶層を成長させて積層構造体とし、この積層構造体から珪素単結晶基板を除去し、残存する前記窒化ガリウム結晶層により窒化ガリウム結晶基板を製造する方法であり、窒化ガリウム結晶層を非晶質層から分離し、その後、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の窒化ガリウム結晶基板の製造方法は、珪素単結晶基板の表面に、リン化硼素からなる非晶質層を気相成長させ、この非晶質層上に窒化ガリウム結晶層を成長させて積層構造体とし、この積層構造体から珪素単結晶基板を除去し、残存する前記窒化ガリウム結晶層により窒化ガリウム結晶基板を製造する方法であり、窒化ガリウム結晶層を非晶質層から分離し、その後、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化ガリウム結晶基板の製造方法と窒化ガリウム結晶基板及びそれを備えた窒化ガリウム系半導体素子に関し、特に、平坦性に優れる窒化ガリウム結晶基板を、珪素単結晶基板上に形成したリン化硼素系の非晶質層上に成長させた窒化ガリウム結晶層から製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)等のIII族窒化物半導体結晶層は、近紫外帯、青色帯或いは緑色帯の短波長光を放射する発光ダイオード(LED:Light−EmittingDiode)やレーザダイオード(LD:Laser Diode)を構成する機能層として利用されている(例えば、非特許文献1、13章及び14章参照)。また、ショットキー(Schottky)接合型電界効果トランジスタ(MESFET)、あるいはヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)等の高周波電子デバイスを構成するのに利用されている(例えば、非特許文献1、16章参照)。
これらの窒化ガリウム系半導体素子を構成するための積層構造体をなすIII族窒化物半導体結晶層は、従来より、基板としてサファイア(Sapphire:α−Al2O3単結晶)あるいは炭化珪素(SiC)単結晶を用い、これらの基板上に気相成長されている。
【0003】
このIII族窒化物半導体層は、例えば、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法、ハイドライド(hydride)気相成長(HVPE)法、分子線エピタキシャル(MBE)法等の気相成長法により形成されている(例えば、非特許文献1、6〜8章参照)。しかしながら、例えば、サファイア基板上に窒化ガリウム結晶層を成長させる場合、このサファイア基板と窒化ガリウム結晶層との格子不整合の度合いは、約14%と大である(例えば、非特許文献1、258頁参照)。このため、サファイア基板上に気相成長させた窒化ガリウム結晶層の内部は、おおよそ1010cm−2あるいはそれ以上の密度で転位を含むために、結晶品質に劣る結晶層となる(例えば、非特許文献1、258頁参照)。
【0004】
そこで、最近では、窒化ガリウム結晶層成長用の基板として、この窒化ガリウムとの格子整合性に優れる結晶材料、例えば、窒化ガリウム単結晶が用いられている。この窒化ガリウム単結晶は、基板として用いるためには少なくとも数十〜数百μmの厚さが必要であるから、この厚さの窒化ガリウム単結晶を得る方法として、例えば、10GPa程度の高圧環境下において、ガリウム(Ga)とアンモニア(NH3)とを化合させて窒化ガリウムを合成する高圧合成法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
(a)大口径の珪素単結晶を基材として利用したため、大口径であり、(b)転位密度が低く、且つ結晶品質に優れ、及び(c)「反り」の充分に小さな窒化ガリウム結晶基板を提供するものである。また、本発明に係わる窒化ガリウム結晶基板を用いた構成された窒化ガリウム系半導体素子を提供する。
一方、数十μm程度の厚みの窒化ガリウム結晶層を基板として用いる方法としては、サファイア基板上に窒化ガリウム結晶層を気相成長させ、この窒化ガリウム結晶層を下地層として、その上にハイドライド気相成長(HVPE)法により数十μm程度の窒化ガリウムの厚膜を成長させた後、サファイア基板を除去し、残存させた窒化ガリウム結晶層を基板とする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−200366号公報
【非特許文献1】
赤崎 勇編著、「III族窒化物半導体」、初版、株式会社培風館、1999年12月8日
【非特許文献2】
シルベスター・ポロウスキー(Sylwester Porowski)、バルク アンド ホモエピタキシャル GaN−グロース アンド キャラクタリゼーション(Bulk and homoepitaxial GaN−growth and characterisation)、ジャーナル オブ クリスタル グロ−ス(Journal of Crystal Growth)、(オランダ)、1998年、第189/190巻、153−158頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、従来の高圧合成法により得られた窒化ガリウム単結晶の大きさは、数ミリメートル(mm)から数センチメーチル(cm)の小片であり(非特許文献2参照)、大口径、大面積の窒化ガリウム結晶基板を得ることができないという問題点があった。したがって、従来の高圧合成法等の技術では、大口径、大面積の窒化ガリウム結晶基板を提供できるまでには至っていない。このため、例えば、窒化ガリウム系LEDを廉価で多量に生産するのが困難となっている。
【0008】
また、従来のHVPE法を利用する窒化ガリウム結晶基板の製造方法では、格子不整合の大きなサファイアを下地として成長させているため、ミスフィット(misfit)転位等の結晶欠陥を多量に含む窒化ガリウム結晶基板しか得ることができず、したがって、粗悪な結晶品質の窒化ガリウム結晶基板を提供するに止まっている。加えて、従来のHVPE法を利用して窒化ガリウム結晶基板を製造する方法では、サファイア基板との熱膨張率の大きな相違に起因する「反り」が生じ易く、充分に平坦な窒化ガリウム結晶基板を得るには至っていない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、大口径化が可能であり、転位密度が低く、かつ結晶品質に優れ、しかも「反り」が充分に小さな窒化ガリウム結晶基板の製造方法、この窒化ガリウム結晶基板の製造方法により得られた窒化ガリウム結晶基板、及びこの窒化ガリウム結晶基板を備えた窒化ガリウム系半導体素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意努力検討した結果、気相成長法により成長させた厚膜の窒化ガリウム結晶層を基に窒化ガリウム結晶基板を製造するに際し、窒化ガリウム結晶層を成長させる基板をサファイア基板から珪素単結晶基板へ変更し、この珪素単結晶基板上に、窒化ガリウム結晶層を気相成長させるための下地層となるリン化硼素系の非晶質層、窒化ガリウム結晶層を順次成膜し、成長後の窒化ガリウム結晶層に熱処理を施すことにより、大口径で、転位密度が低く、かつ結晶品質に優れ、しかも「反り」が充分に小さな窒化ガリウム結晶基板が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
本発明は、以下の手段を提供する。すなわち、
(1)珪素単結晶基板の一主面上に、250℃以上かつ1200℃以下の温度にて硼素とリンとを含む非晶質層を気相成長させ、次いで、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて窒化ガリウム結晶層を成長させて積層構造体とし、次いで、この積層構造体から前記珪素単結晶基板を除去し、残存する前記窒化ガリウム結晶層により窒化ガリウム結晶基板を製造する方法において、前記窒化ガリウム結晶層を前記非晶質層から分離し、次いで、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理することを特徴とする窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0012】
(2)前記窒化ガリウム結晶層は、{0001}面を一主面とする{0001}−窒化ガリウム結晶層であることを特徴とする前項(1)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0013】
(3)前記{0001}−窒化ガリウム結晶層は、前記珪素単結晶基板を{111}面を一主面とする{111}−珪素単結晶とし、この{111}−珪素単結晶の一主面に前記非晶質層を気相成長させ、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて{111}面を一主面とする{111}−リン化硼素結晶層を気相成長させ、この{111}−リン化硼素結晶層上に窒化ガリウムを気相成長させてなることを特徴とする前項(2)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0014】
(4)前記窒化ガリウム結晶層に熱処理を施した後、窒素原子を含む雰囲気中にて冷却することを特徴とする前項(1)、(2)又は(3)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0015】
(5)前記冷却は、前記熱処理の温度から650℃までの温度範囲の冷却を窒素原子を含む雰囲気中にて行い、650℃未満の温度範囲の冷却を窒素原子を含み水素原子を含まない雰囲気中にて行うことを特徴とする前項(1)ないし(4)のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0016】
(6)前記窒素原子を含む雰囲気は、窒素、アンモニア、ヒドラジンから選択される1種、または2種以上を含む雰囲気であることを特徴とする前項(1)ないし(5)のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0017】
(7)前項(1)ないし(6)のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法により製造されてなることを特徴とする窒化ガリウム結晶基板である。
【0018】
(8)前項(7)記載の窒化ガリウム結晶基板を備えてなることを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子である。
【0019】
(9)前記窒化ガリウム結晶基板の一主面にオーム性電極が形成されてなることを特徴とする前項(8)に記載の窒化ガリウム系半導体素子である。
【0020】
(10)前記窒化ガリウム結晶基板上に発光層が形成されてなることを特徴とする前項(8)又は(9)に記載の窒化ガリウム系半導体素子である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の窒化ガリウム結晶基板の製造方法は、珪素単結晶基板の表面(一主面)に、250℃以上かつ1200℃以下の温度にて硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を気相成長させ、次いで、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて窒化ガリウム(GaN)結晶層を成長させて積層構造体とする。
次いで、この積層構造体から前記珪素単結晶基板を除去し、その後、さらに前記窒化ガリウム結晶層を前記非晶質層から分離し、この分離した窒化ガリウム結晶層を650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理する。
【0022】
上記の珪素単結晶基板としては、例えば、珪素(シリコン)単結晶から切り出して得られるウエハの表面が{100}、{110}、{111}等の低次のミラー(Miller)指数の結晶面であるようなシリコンウエハを利用することができる。また、ウエハの表面が上記の低次のミラー指数の結晶面より角度にして数度から十数度傾斜した、いわゆる、オフカット(off−cut)結晶面を表面とするシリコンウエハも基板として利用することができる。
【0023】
この珪素単結晶基板としては、ダイヤモンド(diamond)構造型の単結晶であるが故に、珪素原子が最も密に充填されている{111}面を表面とする{111}−珪素単結晶基板が特に好ましい。
その理由は、{111}面を表面とする{111}−珪素単結晶基板が、転位密度が低く、格子欠陥の無い優れた基板であるからであり、この珪素単結晶基板の表面に形成した上層、すなわち硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を構成する元素、すなわち硼素(B)及びリン(P)の珪素単結晶基板の内部への侵入、拡散を抑制し、この珪素単結晶基板の内部における規則的な結晶構造を乱すのを防止するからである。
【0024】
また、この転位密度の低い珪素単結晶基板は、この珪素単結晶基板上に前記上層を成長させる際に、この基板と上層との間に平坦な接合界面を形成するのに優位となる。
また、この転位密度の低い珪素単結晶基板は、上層へ貫通して伝搬する転位を減少させるのに有効である。特に、転位密度が103cm−2以下、更には102cm−2以下であるような低転位密度の珪素単結晶基板は、貫通転位の密度の低い上層を得るのに効果的である。
【0025】
窒化ガリウム結晶層を成長させるためには、不純物を故意に添加していないアンドープ(undope)の珪素単結晶基板、不純物を故意に添加した珪素単結晶基板のいずれをも使用することができる。この珪素単結晶基板の導電型としては、n型、p型のいずれの導電型も用いることができる。また、高抵抗の珪素単結晶基板、あるいは不純物の極めて少ない真性の珪素単結晶基板も用いることができる。
この珪素単結晶基板の厚さは、所望する窒化ガリウム結晶層の層厚に応じて適宣、選択することができ、好ましくは数百μm程度である。
例えば、直径50mmの珪素単結晶基板の場合、好ましい厚さは、おおよそ250μm〜400μmである。また、直径100mmの珪素単結晶基板の場合、好ましい厚さは、概ね400μm〜700μmである。
【0026】
この珪素単結晶基板にあっては、口径が大である程、また窒化ガリウム結晶層の層厚が大である程、窒化ガリウム結晶層の成膜時における珪素単結晶基板の「反り」を抑制するとともに、表面全面に亘って均一な温度に保持する。したがって、成長する窒化ガリウム結晶層の均質性が向上する。
また、珪素単結晶基板の「反り」や不均一な温度分布に伴い、窒化ガリウム結晶層に発生する亀裂(crack)を防止するにも有益である。
また、この珪素単結晶基板の裏面に、熱応力を緩和するための細溝を形成すると、「反り」の少ない窒化ガリウム結晶層を得るのに有効である。
【0027】
本実施形態では、この珪素単結晶基板上に、先ず、硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を気相成長させる。
この非晶質層は、硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含むリン化硼素系材料により構成することができる。このリン化硼素系材料としては、例えば、BaAlbGacIn1−a−b−cP1−dAsd(0<a≦1、0≦b<1、0≦c<1、0<a+b+c≦1、0≦d<1)、BaAlbGacIn1−a−b−cP1−dNd(0<a≦1、0≦b<1、0≦c<1、0<a+b+c≦1、0≦d<1)が好適に用いられる。より具体的には、単量体のリン化硼素(BP)からなる非晶質層、リン化硼素・ガリウム(BaGacP(0<a≦1、0≦c<1)等からなる非晶質層を例示することができる。
【0028】
また、この非晶質層を、2種以上の結晶性物質が均一混合した結晶相である混晶に置き換えることもできる。
混晶としては、窒化リン化硼素(BP1−dNd:0≦d<1)、窒化砒化硼素(BaAs1−dNd:0<a≦1、0≦d<1)等の複数のV族元素を含む混晶を例示することができる。
【0029】
このリン化硼素系材料からなる非晶質層は、例えば、三塩化硼素(BCl3)や三塩化リン(PCl3)を出発原料とするハロゲン(halogen)法(「日本結晶成長学会誌」、Vol.24、No.2(1997)、150頁参照)により気相成長させることができる。また、ボラン(BH3)またはジボラン(B2H6)と、ホスフィン(PH3)等とを原料とするハイドライド法(J. Crystal Growth, 24/25(1974), 193〜196頁参照)、並びに分子線エピタキシャル法(J. Solid State chem., 133(1997), 269〜272頁参照)により気相成長させることができる。
【0030】
また、有機硼素化合物とリンの水素化合物を原料とする有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法(Inst. Phys. Conf. Ser., No.129 (IOP Publishing Ltd. UK.)(1993), 157〜162頁参照)により気相成長させることもできる。
特に、MOCVD法は、トリエチル硼素((C2H5)3B)等の易分解性の物質を硼素源としているため、低温で非晶質層を気相成長させるに有利な成長手段となる。
【0031】
この非晶質層は、成長を妨害する酸化珪素、窒化珪素等を表面に形成させないために、酸素や窒素を多量に含まない雰囲気中で成長させるのが好ましい。この雰囲気としては、例えば、水素(H2)ガス雰囲気、あるいは水素(H2)ガスとアルゴン(Ar)等の単原子不活性ガスとの混合ガス雰囲気が好適である。この非晶質層は、珪素単結晶基板の表面温度を250℃以上かつ1200℃以下とし、この珪素単結晶基板上に、例えば、水素(H2)ガス雰囲気中、トリエチル硼素((C2H5)3B)及びホスフィン(PH3)を原料とする反応系{トリエチル硼素((C2H5)3B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)}にて、常圧(略大気圧)MOCVD法、減圧MOCVD法のいずれかにより気相成長させるのが好ましい。
【0032】
この場合、成長温度が750℃を超える高温では、硼素とリンとを含む多結晶層が形成され易い傾向があるが、この様な高温領域においても、硼素源に対するリン源の供給量の比率、いわゆる、V/III比率を低くすることにより非晶質層を形成することができる。例えば、上記の反応系を利用するMOCVD法にあっては、V/III比率(=(C2H5)3B/PH3供給濃度比率)を0.2〜50の低比率とすることにより、上記の高温領域においても非晶質層を安定して形成することができる。
【0033】
この非晶質層の層厚は、珪素単結晶基板の表面を充分に一様に被覆するに足る層厚、すなわち0.5nm以上かつ60nm以下とするのが好ましく、さらに好ましくは、5nm以上かつ20nm以下である。この非晶質層の層厚は、成長領域への硼素源の供給時間を調整することにより、制御することができる。この非晶質層の層厚は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)法により実測することができる。透過電子顕微鏡法では、非晶質層からの電子線回折像はハロー(halo)となる。
【0034】
この様にして得られた非晶質上に、窒化ガリウム結晶層を成長させる。
窒化ガリウム結晶層は、例えば、昇華(sublimation)法(J. Crystal Growth, 189/190, (1998), 163−166頁参照)等により成長させることができるが、本実施形態においては、ハイドライド法、ハロゲン法、MOCVD法等の気相成長法により成長させることとする。その理由は、これらの気相成長法によれば、より簡便に窒化ガリウム結晶層を成長させることができるからであり、特に、ハイドライド気相成長(HVPE)法は、毎時数μm〜数十μmの速い成長速度で窒化ガリウム結晶層を成長させることができる(J. Crystal Growth, 189/190, (1998), 61−66頁参照)ので、厚膜の窒化ガリウム結晶層を成長させるに好適である。
【0035】
窒化ガリウム結晶層をハイドライド気相成長法により成長させるに際しては、窒素源には、アンモニア(NH3)、ジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2)等を使用することができる。アンモニア(NH3)を用いる場合、窒化ガリウム結晶層の気相成長に好適な温度範囲は950℃〜1150℃である。特に、より低温の750℃〜1000℃の温度範囲にて窒化ガリウム結晶層を成長させるには、熱分解し易く非対称な分子構造を有するジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2)が好適に用いられる。
さらに、窒化ガリウム結晶層の結晶構造を立方晶(cubic)とするには、ジメチルヒドラジン等の易熱分解性の含窒素化合物を窒素源とするとともに、比較的低温にて気相成長させるのが望ましい。
【0036】
気相成長した窒化ガリウム結晶層の全体の層厚は、例えば、直径50mmの珪素単結晶基板上に単量体のリン化硼素非結晶層を形成し、このリン化硼素非結晶層上に窒化ガリウム結晶層を気相成長した場合では、80μm以上かつ450μm以下が望ましい。また、上記の珪素単結晶基板の直径を50mmから100mmに替えた場合では、300μm以上かつ700μm以下が望ましい。
この様な層厚の窒化ガリウム結晶層は、必ずしも1回で成長させる必要はなく、気相成長を2回、3回、等、複数回反復し実施することにより、所望の層厚の窒化ガリウム結晶層を得ることができる。
【0037】
例えば、リン化硼素非結晶層上に窒化ガリウム結晶層を層厚が80μmとなるまで気相成長させた時点で、一旦、窒化ガリウム結晶層の気相成長を停止させる。その後、この窒化ガリウム結晶層が形成された珪素単結晶基板を気相成長装置より取り出し、この珪素単結晶基板を除去する。これにより、窒化ガリウム結晶層のみが残存することとなる。次いで、この残存する窒化ガリウム結晶層を気相成長装置の内部に載置し、再び、窒化ガリウム結晶層を気相成長させる。このように、気相成長を2回、あるいはそれ以上に分けて行うことにより、例えば、直径が50mm、全体の層厚が80μm以上かつ450μm以下のように、所望の直径及び所望の層厚を有する窒化ガリウム結晶層を製造することができる。
【0038】
また、非晶質層上に形成した硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含むリン化硼素系層上に、窒化ガリウム結晶層を気相成長させることもできる。このリン化硼素系層は、例えば、単量体のリン化硼素(BP)結晶層、あるいはリン化硼素・インジウム混晶層(BaIn1−aP:0<a≦1)等により構成することができる。特に、立方晶の閃亜鉛鉱型構造(zinc−blende structure)の単量体のリン化硼素(BP)の{111}面の格子面間隔は、ウルツ鉱型構造(Wurtzite structure)の窒化ガリウムのa軸格子定数(a=0.319nm)と略一致する。
【0039】
したがって、単量体のリン化硼素結晶層上には、良好な格子不整合性を反映して、ミスフィット(misfit)転位の少ない良好な結晶性の窒化ガリウム結晶層を形成することができる。単量体のリン化硼素結晶層の成長温度としては、1200℃以下が好適である。その理由は、1200℃を超える高温では、窒化ガリウム(GaN)に対して格子不整合とならないB13P2等の多量体のリン化硼素結晶(J. Am. Ceramic Soc., 47(1) (1964), 44−46頁参照)が形成され、不都合であるからである。一方、単結晶の単量体のリン化硼素結晶層を得るには、その成長温度は750℃以上が好適である。また、このリン化硼素結晶層は、非晶質層の場合と同様の成長方法により成長させるのが窒化ガリウム結晶基板を製造する上で簡便である。
【0040】
{111}面を表面とする単量体のリン化硼素結晶層は、{111}面を表面とする{111}−珪素単結晶を基板として形成することができる。例えば、{111}−珪素単結晶基板の表面に、トリエチル硼素((C2H5)3B)/ホスフィン(PH3)反応系有機金属化学的気相堆積法(MOCVD)により、750℃以上かつ1200℃以下の成長温度で気相成長させることができる。
また、気相成長時における硼素源とリン源との供給比率(=PH3/(C2H5)3B)、いわゆるV/III比率を1×103程度とすることで、{111}面を表面とする{111}−リン化硼素結晶層を得ることができる。
【0041】
この{111}−リン化硼素結晶層の表面には、{0001}−窒化ガリウム結晶層が効率的に形成され得る。上記の{111}−リン化硼素結晶層の{111}面に交差するリン化硼素の{110}面の格子面間隔と、{0001}−窒化ガリウム結晶層の表面のa軸の格子定数とが略一致するため、{111}−リン化硼素結晶層上には、「反り」の少ない{0001}−窒化ガリウム結晶層を気相成長させることができる。この窒化ガリウム結晶層の「反り」は、例えば、一般的なレーザ光の干渉を利用した光学的な計測により、ワ−プ(warp)として定量的に表示することができる。また、良好な格子整合性により、{111}−リン化硼素結晶層上には、ミスフィット転位の密度が約1×105cm−2以下となる低転位密度の{0001}−窒化ガリウム結晶層を成長させることができる利点がある。
【0042】
図1は、この様にして得られた積層構造体1の断面構造を示す模式図であり、図において、符号11は珪素(Si)単結晶基板、12はリン化硼素(BP)非晶質層、13はリン化硼素(BP)結晶層、14は窒化ガリウム(GaN)結晶層である。この窒化ガリウム(GaN)結晶層14は、珪素(Si)単結晶基板11、リン化硼素(BP)非晶質層12及びリン化硼素(BP)結晶層13を除去した後、熱処理を施すことにより、平坦性に優れた窒化ガリウム結晶基板15となる。
【0043】
本実施形態では、「反り」の小さい窒化ガリウム結晶基板を得るために、窒化ガリウム結晶層に熱処理(anneal)を施す。
一般に、熱膨張率が相違する珪素単結晶基板を付帯した状態で窒化ガリウム結晶層に熱処理を施しても、「反り」の小さい窒化ガリウム結晶基板を得るのは難しい。そこで、本実施形態では、窒化ガリウム結晶層から珪素単結晶基板及び非晶質層を除去し、これらから窒化ガリウム結晶層を分離した状態で、熱処理を施す。
【0044】
例えば、上記の非晶質層上に単量体のリン化硼素結晶層を介して窒化ガリウム結晶層を形成した場合にあっては、非晶質層を除去する際にリン化硼素結晶層をも併せて除去するのが好ましい。また、珪素単結晶基板は湿式エッチング等の化学的方法により除去することができる。この湿式エッチングには、例えば、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)とを混合したフッ化水素酸−硝酸混液が好適に用いられる。このフッ化水素酸−硝酸混液を用いた場合の珪素単結晶の概略のエッチング速度は公知文献により知られている(「半導体シリコン結晶工学」、(株)丸善)、平成5年9月30日発行、113〜114頁参照)。
【0045】
また、この珪素単結晶基板は、ドライ(dry)エッチング等により除去することもできる。例えば、三塩化硼素(BCl3)などのハロゲン化物を使用するプラズマ(plasma)エッチングにより除去することができる。
また、ダイヤモンド(diamond)、炭化珪素(SiC)、窒化硼素(BN)、アルミナ(Al2O3)等の酸化物、等からなる高硬度の砥粒を使用して機械的な研磨により研削して除去することもできる。
特に、硼素(B)とリン(P)とを含むリン化硼素非晶質層及びリン化硼素結晶層は、化学的安定性が高いため、化学薬品による湿式エッチングよりも、プラズマエッチングや機械的な研磨を利用して除去するのが効果的である。
【0046】
熱処理温度としては、650℃以上かつ1150℃以下が好適である。その理由は、650℃未満の低温では、窒化ガリウム結晶層に「反り」を低減するに充分な焼き鈍しを施すことができず、また、1150℃を超える高温では、窒化ガリウム結晶層からの窒素の離脱が顕著となり、平滑な表面の窒化ガリウム結晶基板を製造するには不都合となるからである。窒化ガリウム結晶層からの窒素の離脱を抑制するには、窒素原子を含む雰囲気内で熱処理を施すのが効果的である。
【0047】
この窒素原子を含む雰囲気としては、熱解離により窒素原子を放出する含窒素分子を含む気体を用いて構成することができる。例えば、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H2)等の含窒素分子を含む水素(H2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の不活性気体とからなる混合気体を利用することができる。
【0048】
熱処理温度を高温とする程、混合気体に占める含窒素分子の体積分率を大とした混合雰囲気が窒化ガリウム結晶層からの窒素の揮散を抑制するのに効力を奏する。したがって、熱処理温度を高温とする程、含窒素分子の体積分率を大とする混合雰囲気を利用すると好結果が得られる。例えば、1000℃以上の温度で窒化ガリウム結晶層に熱処理を施す場合、アンモニア−アルゴン混合雰囲気を構成する含窒素分子(この場合はアンモニア)の体積分率を50%以上とするのが好ましい。なお、高温での熱処理は、含窒素分子の体積分率を100%とする、すなわち含窒素分子のみの雰囲気中で実施しても差し支えはない。上記の体積分率とは、混合雰囲気をなす気体の総体積に対する含窒素分子の体積の比率のことである。単純には、混合気体をなす気体の総流量に対する含窒素分子気体の流量の比率で表される。
【0049】
熱処理時間は、熱処理により窒化ガリウム結晶層の表面の平滑性が損なわれないように、短時間に留めておくのがよい。特に、熱処理温度が高温である程、熱処理時間は短縮するのがよい。また、雰囲気に対しては、含窒素分子の体積分率が小さい程、熱処理時間は短く設定するのがよい。例えば、アンモニアを体積分率にして40%含むアンモニア−水素混合雰囲気中においては、850℃にて1時間、熱処理を施すのが好ましい。また、アンモニア(NH3:体積分率=70%)−アルゴン(Ar:体積分率=30%)雰囲気中においては、1050℃で30分間、熱処理を施す例を挙げることができる。
【0050】
熱処理は、全工程を必ずしも一定の温度で施す必要はなく、例えば、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲で、温度を昇温しつつ、あるいは逆に降温しつつ熱処理を施すこともできる。
温度を変化させつつ熱処理を実施する場合にあっては、昇温速度や降温速度は適宣選択することができる。なお、熱処理中の急激な温度変化は、窒化ガリウム結晶層に熱歪を生じさせるので、この熱歪の発生を回避するためには、一般には、毎分1℃〜5℃程度の緩慢な速度で昇温あるいは降温するのが望ましい。
【0051】
この様に、窒化ガリウム結晶層から珪素単結晶基板及び非晶質層を除去し、分離した窒化ガリウム結晶層に熱処理を施すことにより、窒素の離脱による窒化ガリウム結晶層の表面状態の劣化を回避しつつ、「反り」を減少させ、平坦性に優れたものとする。これにより、この窒化ガリウム結晶層は、平坦性に優れた窒化ガリウム結晶基板となる。
【0052】
熱処理を施した後の窒化ガリウム結晶層は、含窒素分子を含む雰囲気中にて冷却する。特に、熱処理温度から650℃に至るまで、含窒素分子を含む雰囲気中で冷却すると、窒化ガリウム結晶層からの窒素の離脱を確実に抑制することができる。また、この窒化ガリウム結晶層は、熱処理に利用した含窒素分子とは異なる含窒素分子を含む雰囲気中で冷却することもできる。
特に、窒化ガリウム結晶層の熱処理の雰囲気と同一の雰囲気にて冷却すれば、簡便に冷却操作を敢行でき得て利便である。例えば、アンモニア(NH3:体積分率=60%)−窒素(N2:体積分率=40%)混合雰囲気中で熱処理を実施した後、アンモニア(NH3:体積分率=30%)−窒素(N2:体積分率=70%)混合雰囲気中で熱処理温度から650℃まで冷却する等である。
【0053】
冷却時の雰囲気を構成する含窒素分子の体積分率は、熱処理時の雰囲気を構成する含窒素分子の体積分率より小さくても構わない。ただし、含窒素分子の体積分率を零(=0)とした混合雰囲気は好ましくない。650℃からそれ以下の所定の温度までの冷却は、水素(H2)、窒素(N2)、不活性気体等からなる含窒素分子を含まない雰囲気中で実施することができる。特に、水素を含まない雰囲気は、熱処理時あるいは冷却時に窒化ガリウム結晶層内に水素(水素原子)が侵入した場合に、その水素を結晶の外部へ拡散させるに有効に作用する。
【0054】
冷却後,窒化ガリウム結晶層に化学的機械的研磨(CMP)を施せば、表面が平滑性に優れた窒化ガリウム結晶基板を得ることができる。窒化ガリウム結晶層の表面の化学的機械的研磨には、硬度の高いダイヤモンド、アルミナ等の砥粒を利用することができる。表面が平坦性に優れた導電性あるいは高抵抗の窒化ガリウム結晶層を基板(窒化ガリウム結晶基板)として利用すれば、電気的特性に優れた化合物半導体素子を形成することができる。
【0055】
例えば、導電性の窒化ガリウム結晶基板の表面に発光層を備えた積層構造体を形成し、この窒化ガリウム結晶基板の裏面に、一方の極性のオーム性(Ohmic)電極を設けるとともに、上記の積層構造体上に他方の極性のオーム性(Ohmic)電極を設けることにより、発光ダイオード(LED)あるいはレーザダイオード(LD)を構成することができる。
また、高抵抗の窒化ガリウム結晶基板を利用して、例えば、窒化ガリウム・インジウム混晶層(GaxIn1−xN:0≦X≦1)を電子走行層とする電界効果型トランジスタ(FET)を形成することができる。
【0056】
{111}−珪素単結晶基板上の非晶質層と{111}−リン化硼素結晶層とを介在させることで形成された{0001}−窒化ガリウム結晶層により、転位密度の小さな基板を提供することができる。したがって、この様な低転位密度の窒化ガリウム結晶基板を利用すれば、局所的な耐圧不良の少ない窒化ガリウム系半導体素子、例えば、局所的な耐圧不良の少ないLED等の発光素子、あるいは暗電流(dark current)が低減されたアバランシェ(avalanche)型またはpin接合型の受光素子を形成することができる。
また、ショットキー(Schottky)型ゲート(gate)電極の漏洩(leak)電流を抑制するという効果も挙げることができ、ゲートピンチオフ(gate pinch−off)特性に優れ、高い相互コンダクタンス、いわゆるgmのショットキー接合型FETを形成するのに有利となる。
【0057】
図2は、本実施形態の発光ダイオード(LED)(窒化ガリウム系半導体素子)21を示す断面図であり、上記により得られた窒化ガリウム(GaN)結晶基板15を用いた例である。
図において、符号22はn型窒化ガリウム(GaN)結晶基板、23はn型窒化ガリウム(GaN)からなる下部クラッド層、24はn型窒化ガリウム・インジウム(GaInN)からなる発光層、25はp型リン化硼素層からなる上部クラッド層、26は上部クラッド層25の表面中央部に形成されたp型オーム性電極、27は窒化ガリウム(GaN)結晶基板22の裏面(一主面)の略全面に形成されたn型オーム性電極である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を第1実施例及び第2実施例に基づき具体的に説明する。
【0059】
(第1実施例)
珪素(Si)単結晶基板上にリン化硼素の非晶質層及び単結晶層を介して成長させた窒化ガリウム結晶層から窒化ガリウム結晶基板を製造する場合を例に取り、本発明の内容を具体的に説明する。
【0060】
まず、図1に示す積層構造体1を作製した。
珪素(Si)単結晶基板11としては、リン(P)ドープn型の{111}−Si単結晶基板を用いた。この基板11のSi単結晶の室温での比抵抗(抵抗率)は約1×10−3Ω・cmであった。また、表面が鏡面(mirror)に研磨され、裏面が粗く研磨された状態(as−lapping)の直径50mmの円形のSi単結晶の厚さは約3.5×10−2cm(=350μm)であった。
【0061】
この基板11の{111}面上に、常圧(略大気圧)有機金属気相成長(MOCVD)法により、アンドープのリン化硼素(BP)非晶質層12を堆積させた。
この非晶質層12は、トリエチル硼素((C2H5)3B)を硼素源とし、また、ホスフィン(PH3)をリン源として、450℃で堆積した。硼素源に対するリン源のMOCVD反応系への単位時間における供給濃度の比率(PH3/(C2H5)3B;V/III比率)は16とした。このリン化硼素非晶質層12の層厚は10nmとした。
【0062】
このリン化硼素非晶質層12の気相成長を上記の硼素源の供給を停止して終了した後、リン源であるホスフィン(PH3)と水素(H2)ガスの混合ガス雰囲気中で基板11の温度を925℃に上昇させた。その後、硼素源を再び流動させて、非晶質層12上にアンドープでn型の{111}−リン化硼素結晶層13を925℃で堆積した。気相成長時のV/III比率は1300とした。リン化硼素結晶層13の層厚は120nmとした。
【0063】
このリン化硼素結晶層13上に、ガリウム(Ga)/アンモニア(NH)/水素(H)反応系ハイドライド気相成長(HVPE)法により、{0001}−窒化ガリウム(GaN)単結晶層14を堆積した。
この窒化ガリウム単結晶層14は、1050℃で堆積した。窒化ガリウム単結晶層14の層厚は1.5×10−2cm(=150μm)とした。
この窒化ガリウム結晶層14の気相成長を終了させた後、冷却することにより、{111}−珪素(Si)単結晶基板11/リン化硼素非晶質層12/{111}−リン化硼素結晶層13/窒化ガリウム結晶層14からなる積層構造体1を得た。
【0064】
この様にして得られた積層構造体1をHVPE装置より外部へ取り出した。
その後、積層構造体1を構成する珪素単結晶基板11を、弗化水素酸及び硝酸を含む弗化水素酸−硝酸混液でエッチングして除去した。次いで、ダイヤモンド砥粒を用いて、非晶質層12及びリン化硼素層13を研磨して除去した。併せて、窒化ガリウム結晶層14の裏面(Si単結晶基板11側の面)14bを粗く研磨した。
【0065】
次いで、珪素単結晶基板11等を除去して分離した窒化ガリウム結晶層14に、1050℃において、アンモニア(NH3)−水素(H2)の混合ガス雰囲気中で熱処理を施した。ここでは、混合ガス雰囲気を構成するアンモニア(NH3)の流量は毎分3リットル(l)とし、水素(H2)ガスの流量は毎分1リットル(l)としたため、混合雰囲気をなすアンモニアの体積分率は75%であった。
熱処理時間は45分とした。熱処理終了後、窒化ガリウム結晶層14を、上記のアンモニア(NH3)−水素(H2)の混合ガス雰囲気中で1050℃から650℃まで冷却した。この窒化ガリウム結晶層14の温度が650℃に到達した時点で、アンモニア(NH3)及び水素(H2)の双方の供給を停止し、窒素(N2)のみの雰囲気中で室温(25℃)まで冷却した。
【0066】
冷却後、上記の熱処理を施した窒化ガリウム結晶層14の表面(珪素単結晶基板11とは反対側の成長層表面)14aをダイヤモンド細粒等を用いて鏡面に研磨し、窒化ガリウム結晶基板15とした。
一般的なレーザ干渉法を利用した測定では、熱処理を施して得た窒化ガリウム結晶基板15の「反り」は、ワープにして1×10−3cm(=10μm)であった。また、窒化ガリウム結晶基板15はn型の電気伝導を呈し、一般的なホール(Hall)効果法では、キャリア濃度(n)は約2×1018cm−3であった。
【0067】
また、一般的な断面TEM法により、窒化ガリウム結晶基板15の内部の明視野像を撮像した。明視野像内部の線状黒色コントラスト像(L. T. Romano et ai., Mat. Res. Soc. symp. Proc., vol.423 (1996), p.p.245−250参照)の密度から求められた転位密度は、約1×105cm−2と低密度であった。
以上により、「反り」が少なく平坦であり、且つ低転位密度のn型窒化ガリウム結晶基板15を作製することができた。
【0068】
(第2実施例)
第1実施例にて作製されたn型窒化ガリウム結晶基板を利用して、発光ダイオード(LED)を構成する場合を例に取り、本発明に係わる窒化ガリウム系半導体素子を具体的に説明する。
【0069】
図2に示す発光ダイオード(LED)21を作製した。
まず、n型窒化ガリウム結晶基板22上に、MOCVD法により、下記の各層を順次積層させた。
(1)珪素(Si)ドープn型{0001}−窒化ガリウム(GaN)(n=1×1018cm−3、層厚(t)=1×10−4cm(=1μm))からなる下部クラッド層23。
(2)n型窒化ガリウム・インジウム(Ga0.90In0.10N)(n=7×1017cm−3、t=50nm)からなるn型発光層24。
(3)アンドープでp型の{111}−リン化硼素(p=2×1019cm−3、t=380nm)からなる上部クラッド層25。
【0070】
上記のn型窒化ガリウム(GaN)層及びn型窒化ガリウム・インジウム(Ga0.90In0.10N)層は、(CH3)3Ga/NH3/H2反応系MOCVD法により、各々1050℃、850℃で成長させた。
p型リン化硼素は(C2H5)3B/PH3/H2反応系MOCVD法により1025℃で成長させた。
上部クラッド層25は、室温での禁止帯幅を約3eVとするp型リン化硼素層を用いて構成したため、発光層24に対するクラッド層及び発光層24からの発光を外部へ充分に透過できる窓層としても利用することができた。
【0071】
p型リン化硼素層からなる上部クラッド層25の表面の中央部には、この上部クラッド層25に接触する側を金・亜鉛(Au・Zn)合金としたAu・Zn/ニッケル(Ni)/Auの3層重層構造のp型オーム性電極26を形成した。
このp型オーム性電極26は、結線用の台座(pad)電極を兼ねるために、直径を約120μmとする円形の電極とした。
【0072】
一方、n型窒化ガリウム結晶基板22の裏面の略全面に、n型オーム性電極27として酸化ニッケル(NiO)/Au重層電極を形成した。これにより、n型発光層24をn型下部クラッド層23及びp型上部クラッド層25で挟持したpn接合型ダブルヘテロ(DH)構造の発光ダイオード(LED)21が得られた。
両オーム性電極26、27間に順方向に20ミリアンペア(mA)の動作電流を通電したところ、約440nmの波長の青紫帯光が発光した。一般的な積分球を利用して測定されるチップ(chip)状態での輝度は8ミリカンデラ(mcd)であった。
【0073】
特に、低転位密度の窒化ガリウム結晶層を基板22として利用したため、局所的な耐圧不良(local breakdown)の無い高輝度の発光ダイオード(LED)21となった。このため、順方向電流を20mAとした際の順方向電圧(いわゆる、Vf)を約3Vとし、逆方向電流を10μAとした際の逆方向電圧(Vr)は、8V以上となり、良好な整流特性が発現された。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の窒化ガリウム結晶基板の製造方法によれば、窒化ガリウム結晶層を非晶質層から分離し、次いで、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理するので、表面の平坦性に優れ、且つ「反り」の少ない平坦な窒化ガリウム結晶基板を製造することができる。
【0075】
本発明の窒化ガリウム系半導体素子によれば、本発明の窒化ガリウム結晶基板を備えたので、良好な整流特性を呈するとともに、局所的な耐圧不良(local breakdown)の無い窒化ガリウム系半導体素子を提供することができる。
この窒化ガリウム系半導体素子が発光層を備えていれば、高輝度の光を発光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の窒化ガリウム結晶基板の製造方法により得られた積層構造体の断面構造を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態の発光ダイオード(LED)を示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層構造体
11 珪素(Si)単結晶基板
12 リン化硼素(BP)非晶質層
13 リン化硼素(BP)結晶層
14 窒化ガリウム(GaN)結晶層
15 窒化ガリウム結晶基板
21 発光ダイオード(LED)
22 n型窒化ガリウム(GaN)結晶基板
23 下部クラッド層
24 発光層
25 上部クラッド層
26 p型オーム性電極
27 n型オーム性電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化ガリウム結晶基板の製造方法と窒化ガリウム結晶基板及びそれを備えた窒化ガリウム系半導体素子に関し、特に、平坦性に優れる窒化ガリウム結晶基板を、珪素単結晶基板上に形成したリン化硼素系の非晶質層上に成長させた窒化ガリウム結晶層から製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)等のIII族窒化物半導体結晶層は、近紫外帯、青色帯或いは緑色帯の短波長光を放射する発光ダイオード(LED:Light−EmittingDiode)やレーザダイオード(LD:Laser Diode)を構成する機能層として利用されている(例えば、非特許文献1、13章及び14章参照)。また、ショットキー(Schottky)接合型電界効果トランジスタ(MESFET)、あるいはヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)等の高周波電子デバイスを構成するのに利用されている(例えば、非特許文献1、16章参照)。
これらの窒化ガリウム系半導体素子を構成するための積層構造体をなすIII族窒化物半導体結晶層は、従来より、基板としてサファイア(Sapphire:α−Al2O3単結晶)あるいは炭化珪素(SiC)単結晶を用い、これらの基板上に気相成長されている。
【0003】
このIII族窒化物半導体層は、例えば、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法、ハイドライド(hydride)気相成長(HVPE)法、分子線エピタキシャル(MBE)法等の気相成長法により形成されている(例えば、非特許文献1、6〜8章参照)。しかしながら、例えば、サファイア基板上に窒化ガリウム結晶層を成長させる場合、このサファイア基板と窒化ガリウム結晶層との格子不整合の度合いは、約14%と大である(例えば、非特許文献1、258頁参照)。このため、サファイア基板上に気相成長させた窒化ガリウム結晶層の内部は、おおよそ1010cm−2あるいはそれ以上の密度で転位を含むために、結晶品質に劣る結晶層となる(例えば、非特許文献1、258頁参照)。
【0004】
そこで、最近では、窒化ガリウム結晶層成長用の基板として、この窒化ガリウムとの格子整合性に優れる結晶材料、例えば、窒化ガリウム単結晶が用いられている。この窒化ガリウム単結晶は、基板として用いるためには少なくとも数十〜数百μmの厚さが必要であるから、この厚さの窒化ガリウム単結晶を得る方法として、例えば、10GPa程度の高圧環境下において、ガリウム(Ga)とアンモニア(NH3)とを化合させて窒化ガリウムを合成する高圧合成法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
(a)大口径の珪素単結晶を基材として利用したため、大口径であり、(b)転位密度が低く、且つ結晶品質に優れ、及び(c)「反り」の充分に小さな窒化ガリウム結晶基板を提供するものである。また、本発明に係わる窒化ガリウム結晶基板を用いた構成された窒化ガリウム系半導体素子を提供する。
一方、数十μm程度の厚みの窒化ガリウム結晶層を基板として用いる方法としては、サファイア基板上に窒化ガリウム結晶層を気相成長させ、この窒化ガリウム結晶層を下地層として、その上にハイドライド気相成長(HVPE)法により数十μm程度の窒化ガリウムの厚膜を成長させた後、サファイア基板を除去し、残存させた窒化ガリウム結晶層を基板とする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−200366号公報
【非特許文献1】
赤崎 勇編著、「III族窒化物半導体」、初版、株式会社培風館、1999年12月8日
【非特許文献2】
シルベスター・ポロウスキー(Sylwester Porowski)、バルク アンド ホモエピタキシャル GaN−グロース アンド キャラクタリゼーション(Bulk and homoepitaxial GaN−growth and characterisation)、ジャーナル オブ クリスタル グロ−ス(Journal of Crystal Growth)、(オランダ)、1998年、第189/190巻、153−158頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、従来の高圧合成法により得られた窒化ガリウム単結晶の大きさは、数ミリメートル(mm)から数センチメーチル(cm)の小片であり(非特許文献2参照)、大口径、大面積の窒化ガリウム結晶基板を得ることができないという問題点があった。したがって、従来の高圧合成法等の技術では、大口径、大面積の窒化ガリウム結晶基板を提供できるまでには至っていない。このため、例えば、窒化ガリウム系LEDを廉価で多量に生産するのが困難となっている。
【0008】
また、従来のHVPE法を利用する窒化ガリウム結晶基板の製造方法では、格子不整合の大きなサファイアを下地として成長させているため、ミスフィット(misfit)転位等の結晶欠陥を多量に含む窒化ガリウム結晶基板しか得ることができず、したがって、粗悪な結晶品質の窒化ガリウム結晶基板を提供するに止まっている。加えて、従来のHVPE法を利用して窒化ガリウム結晶基板を製造する方法では、サファイア基板との熱膨張率の大きな相違に起因する「反り」が生じ易く、充分に平坦な窒化ガリウム結晶基板を得るには至っていない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、大口径化が可能であり、転位密度が低く、かつ結晶品質に優れ、しかも「反り」が充分に小さな窒化ガリウム結晶基板の製造方法、この窒化ガリウム結晶基板の製造方法により得られた窒化ガリウム結晶基板、及びこの窒化ガリウム結晶基板を備えた窒化ガリウム系半導体素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意努力検討した結果、気相成長法により成長させた厚膜の窒化ガリウム結晶層を基に窒化ガリウム結晶基板を製造するに際し、窒化ガリウム結晶層を成長させる基板をサファイア基板から珪素単結晶基板へ変更し、この珪素単結晶基板上に、窒化ガリウム結晶層を気相成長させるための下地層となるリン化硼素系の非晶質層、窒化ガリウム結晶層を順次成膜し、成長後の窒化ガリウム結晶層に熱処理を施すことにより、大口径で、転位密度が低く、かつ結晶品質に優れ、しかも「反り」が充分に小さな窒化ガリウム結晶基板が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
本発明は、以下の手段を提供する。すなわち、
(1)珪素単結晶基板の一主面上に、250℃以上かつ1200℃以下の温度にて硼素とリンとを含む非晶質層を気相成長させ、次いで、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて窒化ガリウム結晶層を成長させて積層構造体とし、次いで、この積層構造体から前記珪素単結晶基板を除去し、残存する前記窒化ガリウム結晶層により窒化ガリウム結晶基板を製造する方法において、前記窒化ガリウム結晶層を前記非晶質層から分離し、次いで、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理することを特徴とする窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0012】
(2)前記窒化ガリウム結晶層は、{0001}面を一主面とする{0001}−窒化ガリウム結晶層であることを特徴とする前項(1)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0013】
(3)前記{0001}−窒化ガリウム結晶層は、前記珪素単結晶基板を{111}面を一主面とする{111}−珪素単結晶とし、この{111}−珪素単結晶の一主面に前記非晶質層を気相成長させ、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて{111}面を一主面とする{111}−リン化硼素結晶層を気相成長させ、この{111}−リン化硼素結晶層上に窒化ガリウムを気相成長させてなることを特徴とする前項(2)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0014】
(4)前記窒化ガリウム結晶層に熱処理を施した後、窒素原子を含む雰囲気中にて冷却することを特徴とする前項(1)、(2)又は(3)に記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0015】
(5)前記冷却は、前記熱処理の温度から650℃までの温度範囲の冷却を窒素原子を含む雰囲気中にて行い、650℃未満の温度範囲の冷却を窒素原子を含み水素原子を含まない雰囲気中にて行うことを特徴とする前項(1)ないし(4)のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0016】
(6)前記窒素原子を含む雰囲気は、窒素、アンモニア、ヒドラジンから選択される1種、または2種以上を含む雰囲気であることを特徴とする前項(1)ないし(5)のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法である。
【0017】
(7)前項(1)ないし(6)のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法により製造されてなることを特徴とする窒化ガリウム結晶基板である。
【0018】
(8)前項(7)記載の窒化ガリウム結晶基板を備えてなることを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子である。
【0019】
(9)前記窒化ガリウム結晶基板の一主面にオーム性電極が形成されてなることを特徴とする前項(8)に記載の窒化ガリウム系半導体素子である。
【0020】
(10)前記窒化ガリウム結晶基板上に発光層が形成されてなることを特徴とする前項(8)又は(9)に記載の窒化ガリウム系半導体素子である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の窒化ガリウム結晶基板の製造方法は、珪素単結晶基板の表面(一主面)に、250℃以上かつ1200℃以下の温度にて硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を気相成長させ、次いで、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて窒化ガリウム(GaN)結晶層を成長させて積層構造体とする。
次いで、この積層構造体から前記珪素単結晶基板を除去し、その後、さらに前記窒化ガリウム結晶層を前記非晶質層から分離し、この分離した窒化ガリウム結晶層を650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理する。
【0022】
上記の珪素単結晶基板としては、例えば、珪素(シリコン)単結晶から切り出して得られるウエハの表面が{100}、{110}、{111}等の低次のミラー(Miller)指数の結晶面であるようなシリコンウエハを利用することができる。また、ウエハの表面が上記の低次のミラー指数の結晶面より角度にして数度から十数度傾斜した、いわゆる、オフカット(off−cut)結晶面を表面とするシリコンウエハも基板として利用することができる。
【0023】
この珪素単結晶基板としては、ダイヤモンド(diamond)構造型の単結晶であるが故に、珪素原子が最も密に充填されている{111}面を表面とする{111}−珪素単結晶基板が特に好ましい。
その理由は、{111}面を表面とする{111}−珪素単結晶基板が、転位密度が低く、格子欠陥の無い優れた基板であるからであり、この珪素単結晶基板の表面に形成した上層、すなわち硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を構成する元素、すなわち硼素(B)及びリン(P)の珪素単結晶基板の内部への侵入、拡散を抑制し、この珪素単結晶基板の内部における規則的な結晶構造を乱すのを防止するからである。
【0024】
また、この転位密度の低い珪素単結晶基板は、この珪素単結晶基板上に前記上層を成長させる際に、この基板と上層との間に平坦な接合界面を形成するのに優位となる。
また、この転位密度の低い珪素単結晶基板は、上層へ貫通して伝搬する転位を減少させるのに有効である。特に、転位密度が103cm−2以下、更には102cm−2以下であるような低転位密度の珪素単結晶基板は、貫通転位の密度の低い上層を得るのに効果的である。
【0025】
窒化ガリウム結晶層を成長させるためには、不純物を故意に添加していないアンドープ(undope)の珪素単結晶基板、不純物を故意に添加した珪素単結晶基板のいずれをも使用することができる。この珪素単結晶基板の導電型としては、n型、p型のいずれの導電型も用いることができる。また、高抵抗の珪素単結晶基板、あるいは不純物の極めて少ない真性の珪素単結晶基板も用いることができる。
この珪素単結晶基板の厚さは、所望する窒化ガリウム結晶層の層厚に応じて適宣、選択することができ、好ましくは数百μm程度である。
例えば、直径50mmの珪素単結晶基板の場合、好ましい厚さは、おおよそ250μm〜400μmである。また、直径100mmの珪素単結晶基板の場合、好ましい厚さは、概ね400μm〜700μmである。
【0026】
この珪素単結晶基板にあっては、口径が大である程、また窒化ガリウム結晶層の層厚が大である程、窒化ガリウム結晶層の成膜時における珪素単結晶基板の「反り」を抑制するとともに、表面全面に亘って均一な温度に保持する。したがって、成長する窒化ガリウム結晶層の均質性が向上する。
また、珪素単結晶基板の「反り」や不均一な温度分布に伴い、窒化ガリウム結晶層に発生する亀裂(crack)を防止するにも有益である。
また、この珪素単結晶基板の裏面に、熱応力を緩和するための細溝を形成すると、「反り」の少ない窒化ガリウム結晶層を得るのに有効である。
【0027】
本実施形態では、この珪素単結晶基板上に、先ず、硼素(B)とリン(P)とを含む非晶質層を気相成長させる。
この非晶質層は、硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含むリン化硼素系材料により構成することができる。このリン化硼素系材料としては、例えば、BaAlbGacIn1−a−b−cP1−dAsd(0<a≦1、0≦b<1、0≦c<1、0<a+b+c≦1、0≦d<1)、BaAlbGacIn1−a−b−cP1−dNd(0<a≦1、0≦b<1、0≦c<1、0<a+b+c≦1、0≦d<1)が好適に用いられる。より具体的には、単量体のリン化硼素(BP)からなる非晶質層、リン化硼素・ガリウム(BaGacP(0<a≦1、0≦c<1)等からなる非晶質層を例示することができる。
【0028】
また、この非晶質層を、2種以上の結晶性物質が均一混合した結晶相である混晶に置き換えることもできる。
混晶としては、窒化リン化硼素(BP1−dNd:0≦d<1)、窒化砒化硼素(BaAs1−dNd:0<a≦1、0≦d<1)等の複数のV族元素を含む混晶を例示することができる。
【0029】
このリン化硼素系材料からなる非晶質層は、例えば、三塩化硼素(BCl3)や三塩化リン(PCl3)を出発原料とするハロゲン(halogen)法(「日本結晶成長学会誌」、Vol.24、No.2(1997)、150頁参照)により気相成長させることができる。また、ボラン(BH3)またはジボラン(B2H6)と、ホスフィン(PH3)等とを原料とするハイドライド法(J. Crystal Growth, 24/25(1974), 193〜196頁参照)、並びに分子線エピタキシャル法(J. Solid State chem., 133(1997), 269〜272頁参照)により気相成長させることができる。
【0030】
また、有機硼素化合物とリンの水素化合物を原料とする有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法(Inst. Phys. Conf. Ser., No.129 (IOP Publishing Ltd. UK.)(1993), 157〜162頁参照)により気相成長させることもできる。
特に、MOCVD法は、トリエチル硼素((C2H5)3B)等の易分解性の物質を硼素源としているため、低温で非晶質層を気相成長させるに有利な成長手段となる。
【0031】
この非晶質層は、成長を妨害する酸化珪素、窒化珪素等を表面に形成させないために、酸素や窒素を多量に含まない雰囲気中で成長させるのが好ましい。この雰囲気としては、例えば、水素(H2)ガス雰囲気、あるいは水素(H2)ガスとアルゴン(Ar)等の単原子不活性ガスとの混合ガス雰囲気が好適である。この非晶質層は、珪素単結晶基板の表面温度を250℃以上かつ1200℃以下とし、この珪素単結晶基板上に、例えば、水素(H2)ガス雰囲気中、トリエチル硼素((C2H5)3B)及びホスフィン(PH3)を原料とする反応系{トリエチル硼素((C2H5)3B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)}にて、常圧(略大気圧)MOCVD法、減圧MOCVD法のいずれかにより気相成長させるのが好ましい。
【0032】
この場合、成長温度が750℃を超える高温では、硼素とリンとを含む多結晶層が形成され易い傾向があるが、この様な高温領域においても、硼素源に対するリン源の供給量の比率、いわゆる、V/III比率を低くすることにより非晶質層を形成することができる。例えば、上記の反応系を利用するMOCVD法にあっては、V/III比率(=(C2H5)3B/PH3供給濃度比率)を0.2〜50の低比率とすることにより、上記の高温領域においても非晶質層を安定して形成することができる。
【0033】
この非晶質層の層厚は、珪素単結晶基板の表面を充分に一様に被覆するに足る層厚、すなわち0.5nm以上かつ60nm以下とするのが好ましく、さらに好ましくは、5nm以上かつ20nm以下である。この非晶質層の層厚は、成長領域への硼素源の供給時間を調整することにより、制御することができる。この非晶質層の層厚は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)法により実測することができる。透過電子顕微鏡法では、非晶質層からの電子線回折像はハロー(halo)となる。
【0034】
この様にして得られた非晶質上に、窒化ガリウム結晶層を成長させる。
窒化ガリウム結晶層は、例えば、昇華(sublimation)法(J. Crystal Growth, 189/190, (1998), 163−166頁参照)等により成長させることができるが、本実施形態においては、ハイドライド法、ハロゲン法、MOCVD法等の気相成長法により成長させることとする。その理由は、これらの気相成長法によれば、より簡便に窒化ガリウム結晶層を成長させることができるからであり、特に、ハイドライド気相成長(HVPE)法は、毎時数μm〜数十μmの速い成長速度で窒化ガリウム結晶層を成長させることができる(J. Crystal Growth, 189/190, (1998), 61−66頁参照)ので、厚膜の窒化ガリウム結晶層を成長させるに好適である。
【0035】
窒化ガリウム結晶層をハイドライド気相成長法により成長させるに際しては、窒素源には、アンモニア(NH3)、ジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2)等を使用することができる。アンモニア(NH3)を用いる場合、窒化ガリウム結晶層の気相成長に好適な温度範囲は950℃〜1150℃である。特に、より低温の750℃〜1000℃の温度範囲にて窒化ガリウム結晶層を成長させるには、熱分解し易く非対称な分子構造を有するジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2)が好適に用いられる。
さらに、窒化ガリウム結晶層の結晶構造を立方晶(cubic)とするには、ジメチルヒドラジン等の易熱分解性の含窒素化合物を窒素源とするとともに、比較的低温にて気相成長させるのが望ましい。
【0036】
気相成長した窒化ガリウム結晶層の全体の層厚は、例えば、直径50mmの珪素単結晶基板上に単量体のリン化硼素非結晶層を形成し、このリン化硼素非結晶層上に窒化ガリウム結晶層を気相成長した場合では、80μm以上かつ450μm以下が望ましい。また、上記の珪素単結晶基板の直径を50mmから100mmに替えた場合では、300μm以上かつ700μm以下が望ましい。
この様な層厚の窒化ガリウム結晶層は、必ずしも1回で成長させる必要はなく、気相成長を2回、3回、等、複数回反復し実施することにより、所望の層厚の窒化ガリウム結晶層を得ることができる。
【0037】
例えば、リン化硼素非結晶層上に窒化ガリウム結晶層を層厚が80μmとなるまで気相成長させた時点で、一旦、窒化ガリウム結晶層の気相成長を停止させる。その後、この窒化ガリウム結晶層が形成された珪素単結晶基板を気相成長装置より取り出し、この珪素単結晶基板を除去する。これにより、窒化ガリウム結晶層のみが残存することとなる。次いで、この残存する窒化ガリウム結晶層を気相成長装置の内部に載置し、再び、窒化ガリウム結晶層を気相成長させる。このように、気相成長を2回、あるいはそれ以上に分けて行うことにより、例えば、直径が50mm、全体の層厚が80μm以上かつ450μm以下のように、所望の直径及び所望の層厚を有する窒化ガリウム結晶層を製造することができる。
【0038】
また、非晶質層上に形成した硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含むリン化硼素系層上に、窒化ガリウム結晶層を気相成長させることもできる。このリン化硼素系層は、例えば、単量体のリン化硼素(BP)結晶層、あるいはリン化硼素・インジウム混晶層(BaIn1−aP:0<a≦1)等により構成することができる。特に、立方晶の閃亜鉛鉱型構造(zinc−blende structure)の単量体のリン化硼素(BP)の{111}面の格子面間隔は、ウルツ鉱型構造(Wurtzite structure)の窒化ガリウムのa軸格子定数(a=0.319nm)と略一致する。
【0039】
したがって、単量体のリン化硼素結晶層上には、良好な格子不整合性を反映して、ミスフィット(misfit)転位の少ない良好な結晶性の窒化ガリウム結晶層を形成することができる。単量体のリン化硼素結晶層の成長温度としては、1200℃以下が好適である。その理由は、1200℃を超える高温では、窒化ガリウム(GaN)に対して格子不整合とならないB13P2等の多量体のリン化硼素結晶(J. Am. Ceramic Soc., 47(1) (1964), 44−46頁参照)が形成され、不都合であるからである。一方、単結晶の単量体のリン化硼素結晶層を得るには、その成長温度は750℃以上が好適である。また、このリン化硼素結晶層は、非晶質層の場合と同様の成長方法により成長させるのが窒化ガリウム結晶基板を製造する上で簡便である。
【0040】
{111}面を表面とする単量体のリン化硼素結晶層は、{111}面を表面とする{111}−珪素単結晶を基板として形成することができる。例えば、{111}−珪素単結晶基板の表面に、トリエチル硼素((C2H5)3B)/ホスフィン(PH3)反応系有機金属化学的気相堆積法(MOCVD)により、750℃以上かつ1200℃以下の成長温度で気相成長させることができる。
また、気相成長時における硼素源とリン源との供給比率(=PH3/(C2H5)3B)、いわゆるV/III比率を1×103程度とすることで、{111}面を表面とする{111}−リン化硼素結晶層を得ることができる。
【0041】
この{111}−リン化硼素結晶層の表面には、{0001}−窒化ガリウム結晶層が効率的に形成され得る。上記の{111}−リン化硼素結晶層の{111}面に交差するリン化硼素の{110}面の格子面間隔と、{0001}−窒化ガリウム結晶層の表面のa軸の格子定数とが略一致するため、{111}−リン化硼素結晶層上には、「反り」の少ない{0001}−窒化ガリウム結晶層を気相成長させることができる。この窒化ガリウム結晶層の「反り」は、例えば、一般的なレーザ光の干渉を利用した光学的な計測により、ワ−プ(warp)として定量的に表示することができる。また、良好な格子整合性により、{111}−リン化硼素結晶層上には、ミスフィット転位の密度が約1×105cm−2以下となる低転位密度の{0001}−窒化ガリウム結晶層を成長させることができる利点がある。
【0042】
図1は、この様にして得られた積層構造体1の断面構造を示す模式図であり、図において、符号11は珪素(Si)単結晶基板、12はリン化硼素(BP)非晶質層、13はリン化硼素(BP)結晶層、14は窒化ガリウム(GaN)結晶層である。この窒化ガリウム(GaN)結晶層14は、珪素(Si)単結晶基板11、リン化硼素(BP)非晶質層12及びリン化硼素(BP)結晶層13を除去した後、熱処理を施すことにより、平坦性に優れた窒化ガリウム結晶基板15となる。
【0043】
本実施形態では、「反り」の小さい窒化ガリウム結晶基板を得るために、窒化ガリウム結晶層に熱処理(anneal)を施す。
一般に、熱膨張率が相違する珪素単結晶基板を付帯した状態で窒化ガリウム結晶層に熱処理を施しても、「反り」の小さい窒化ガリウム結晶基板を得るのは難しい。そこで、本実施形態では、窒化ガリウム結晶層から珪素単結晶基板及び非晶質層を除去し、これらから窒化ガリウム結晶層を分離した状態で、熱処理を施す。
【0044】
例えば、上記の非晶質層上に単量体のリン化硼素結晶層を介して窒化ガリウム結晶層を形成した場合にあっては、非晶質層を除去する際にリン化硼素結晶層をも併せて除去するのが好ましい。また、珪素単結晶基板は湿式エッチング等の化学的方法により除去することができる。この湿式エッチングには、例えば、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)とを混合したフッ化水素酸−硝酸混液が好適に用いられる。このフッ化水素酸−硝酸混液を用いた場合の珪素単結晶の概略のエッチング速度は公知文献により知られている(「半導体シリコン結晶工学」、(株)丸善)、平成5年9月30日発行、113〜114頁参照)。
【0045】
また、この珪素単結晶基板は、ドライ(dry)エッチング等により除去することもできる。例えば、三塩化硼素(BCl3)などのハロゲン化物を使用するプラズマ(plasma)エッチングにより除去することができる。
また、ダイヤモンド(diamond)、炭化珪素(SiC)、窒化硼素(BN)、アルミナ(Al2O3)等の酸化物、等からなる高硬度の砥粒を使用して機械的な研磨により研削して除去することもできる。
特に、硼素(B)とリン(P)とを含むリン化硼素非晶質層及びリン化硼素結晶層は、化学的安定性が高いため、化学薬品による湿式エッチングよりも、プラズマエッチングや機械的な研磨を利用して除去するのが効果的である。
【0046】
熱処理温度としては、650℃以上かつ1150℃以下が好適である。その理由は、650℃未満の低温では、窒化ガリウム結晶層に「反り」を低減するに充分な焼き鈍しを施すことができず、また、1150℃を超える高温では、窒化ガリウム結晶層からの窒素の離脱が顕著となり、平滑な表面の窒化ガリウム結晶基板を製造するには不都合となるからである。窒化ガリウム結晶層からの窒素の離脱を抑制するには、窒素原子を含む雰囲気内で熱処理を施すのが効果的である。
【0047】
この窒素原子を含む雰囲気としては、熱解離により窒素原子を放出する含窒素分子を含む気体を用いて構成することができる。例えば、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H2)等の含窒素分子を含む水素(H2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の不活性気体とからなる混合気体を利用することができる。
【0048】
熱処理温度を高温とする程、混合気体に占める含窒素分子の体積分率を大とした混合雰囲気が窒化ガリウム結晶層からの窒素の揮散を抑制するのに効力を奏する。したがって、熱処理温度を高温とする程、含窒素分子の体積分率を大とする混合雰囲気を利用すると好結果が得られる。例えば、1000℃以上の温度で窒化ガリウム結晶層に熱処理を施す場合、アンモニア−アルゴン混合雰囲気を構成する含窒素分子(この場合はアンモニア)の体積分率を50%以上とするのが好ましい。なお、高温での熱処理は、含窒素分子の体積分率を100%とする、すなわち含窒素分子のみの雰囲気中で実施しても差し支えはない。上記の体積分率とは、混合雰囲気をなす気体の総体積に対する含窒素分子の体積の比率のことである。単純には、混合気体をなす気体の総流量に対する含窒素分子気体の流量の比率で表される。
【0049】
熱処理時間は、熱処理により窒化ガリウム結晶層の表面の平滑性が損なわれないように、短時間に留めておくのがよい。特に、熱処理温度が高温である程、熱処理時間は短縮するのがよい。また、雰囲気に対しては、含窒素分子の体積分率が小さい程、熱処理時間は短く設定するのがよい。例えば、アンモニアを体積分率にして40%含むアンモニア−水素混合雰囲気中においては、850℃にて1時間、熱処理を施すのが好ましい。また、アンモニア(NH3:体積分率=70%)−アルゴン(Ar:体積分率=30%)雰囲気中においては、1050℃で30分間、熱処理を施す例を挙げることができる。
【0050】
熱処理は、全工程を必ずしも一定の温度で施す必要はなく、例えば、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲で、温度を昇温しつつ、あるいは逆に降温しつつ熱処理を施すこともできる。
温度を変化させつつ熱処理を実施する場合にあっては、昇温速度や降温速度は適宣選択することができる。なお、熱処理中の急激な温度変化は、窒化ガリウム結晶層に熱歪を生じさせるので、この熱歪の発生を回避するためには、一般には、毎分1℃〜5℃程度の緩慢な速度で昇温あるいは降温するのが望ましい。
【0051】
この様に、窒化ガリウム結晶層から珪素単結晶基板及び非晶質層を除去し、分離した窒化ガリウム結晶層に熱処理を施すことにより、窒素の離脱による窒化ガリウム結晶層の表面状態の劣化を回避しつつ、「反り」を減少させ、平坦性に優れたものとする。これにより、この窒化ガリウム結晶層は、平坦性に優れた窒化ガリウム結晶基板となる。
【0052】
熱処理を施した後の窒化ガリウム結晶層は、含窒素分子を含む雰囲気中にて冷却する。特に、熱処理温度から650℃に至るまで、含窒素分子を含む雰囲気中で冷却すると、窒化ガリウム結晶層からの窒素の離脱を確実に抑制することができる。また、この窒化ガリウム結晶層は、熱処理に利用した含窒素分子とは異なる含窒素分子を含む雰囲気中で冷却することもできる。
特に、窒化ガリウム結晶層の熱処理の雰囲気と同一の雰囲気にて冷却すれば、簡便に冷却操作を敢行でき得て利便である。例えば、アンモニア(NH3:体積分率=60%)−窒素(N2:体積分率=40%)混合雰囲気中で熱処理を実施した後、アンモニア(NH3:体積分率=30%)−窒素(N2:体積分率=70%)混合雰囲気中で熱処理温度から650℃まで冷却する等である。
【0053】
冷却時の雰囲気を構成する含窒素分子の体積分率は、熱処理時の雰囲気を構成する含窒素分子の体積分率より小さくても構わない。ただし、含窒素分子の体積分率を零(=0)とした混合雰囲気は好ましくない。650℃からそれ以下の所定の温度までの冷却は、水素(H2)、窒素(N2)、不活性気体等からなる含窒素分子を含まない雰囲気中で実施することができる。特に、水素を含まない雰囲気は、熱処理時あるいは冷却時に窒化ガリウム結晶層内に水素(水素原子)が侵入した場合に、その水素を結晶の外部へ拡散させるに有効に作用する。
【0054】
冷却後,窒化ガリウム結晶層に化学的機械的研磨(CMP)を施せば、表面が平滑性に優れた窒化ガリウム結晶基板を得ることができる。窒化ガリウム結晶層の表面の化学的機械的研磨には、硬度の高いダイヤモンド、アルミナ等の砥粒を利用することができる。表面が平坦性に優れた導電性あるいは高抵抗の窒化ガリウム結晶層を基板(窒化ガリウム結晶基板)として利用すれば、電気的特性に優れた化合物半導体素子を形成することができる。
【0055】
例えば、導電性の窒化ガリウム結晶基板の表面に発光層を備えた積層構造体を形成し、この窒化ガリウム結晶基板の裏面に、一方の極性のオーム性(Ohmic)電極を設けるとともに、上記の積層構造体上に他方の極性のオーム性(Ohmic)電極を設けることにより、発光ダイオード(LED)あるいはレーザダイオード(LD)を構成することができる。
また、高抵抗の窒化ガリウム結晶基板を利用して、例えば、窒化ガリウム・インジウム混晶層(GaxIn1−xN:0≦X≦1)を電子走行層とする電界効果型トランジスタ(FET)を形成することができる。
【0056】
{111}−珪素単結晶基板上の非晶質層と{111}−リン化硼素結晶層とを介在させることで形成された{0001}−窒化ガリウム結晶層により、転位密度の小さな基板を提供することができる。したがって、この様な低転位密度の窒化ガリウム結晶基板を利用すれば、局所的な耐圧不良の少ない窒化ガリウム系半導体素子、例えば、局所的な耐圧不良の少ないLED等の発光素子、あるいは暗電流(dark current)が低減されたアバランシェ(avalanche)型またはpin接合型の受光素子を形成することができる。
また、ショットキー(Schottky)型ゲート(gate)電極の漏洩(leak)電流を抑制するという効果も挙げることができ、ゲートピンチオフ(gate pinch−off)特性に優れ、高い相互コンダクタンス、いわゆるgmのショットキー接合型FETを形成するのに有利となる。
【0057】
図2は、本実施形態の発光ダイオード(LED)(窒化ガリウム系半導体素子)21を示す断面図であり、上記により得られた窒化ガリウム(GaN)結晶基板15を用いた例である。
図において、符号22はn型窒化ガリウム(GaN)結晶基板、23はn型窒化ガリウム(GaN)からなる下部クラッド層、24はn型窒化ガリウム・インジウム(GaInN)からなる発光層、25はp型リン化硼素層からなる上部クラッド層、26は上部クラッド層25の表面中央部に形成されたp型オーム性電極、27は窒化ガリウム(GaN)結晶基板22の裏面(一主面)の略全面に形成されたn型オーム性電極である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を第1実施例及び第2実施例に基づき具体的に説明する。
【0059】
(第1実施例)
珪素(Si)単結晶基板上にリン化硼素の非晶質層及び単結晶層を介して成長させた窒化ガリウム結晶層から窒化ガリウム結晶基板を製造する場合を例に取り、本発明の内容を具体的に説明する。
【0060】
まず、図1に示す積層構造体1を作製した。
珪素(Si)単結晶基板11としては、リン(P)ドープn型の{111}−Si単結晶基板を用いた。この基板11のSi単結晶の室温での比抵抗(抵抗率)は約1×10−3Ω・cmであった。また、表面が鏡面(mirror)に研磨され、裏面が粗く研磨された状態(as−lapping)の直径50mmの円形のSi単結晶の厚さは約3.5×10−2cm(=350μm)であった。
【0061】
この基板11の{111}面上に、常圧(略大気圧)有機金属気相成長(MOCVD)法により、アンドープのリン化硼素(BP)非晶質層12を堆積させた。
この非晶質層12は、トリエチル硼素((C2H5)3B)を硼素源とし、また、ホスフィン(PH3)をリン源として、450℃で堆積した。硼素源に対するリン源のMOCVD反応系への単位時間における供給濃度の比率(PH3/(C2H5)3B;V/III比率)は16とした。このリン化硼素非晶質層12の層厚は10nmとした。
【0062】
このリン化硼素非晶質層12の気相成長を上記の硼素源の供給を停止して終了した後、リン源であるホスフィン(PH3)と水素(H2)ガスの混合ガス雰囲気中で基板11の温度を925℃に上昇させた。その後、硼素源を再び流動させて、非晶質層12上にアンドープでn型の{111}−リン化硼素結晶層13を925℃で堆積した。気相成長時のV/III比率は1300とした。リン化硼素結晶層13の層厚は120nmとした。
【0063】
このリン化硼素結晶層13上に、ガリウム(Ga)/アンモニア(NH)/水素(H)反応系ハイドライド気相成長(HVPE)法により、{0001}−窒化ガリウム(GaN)単結晶層14を堆積した。
この窒化ガリウム単結晶層14は、1050℃で堆積した。窒化ガリウム単結晶層14の層厚は1.5×10−2cm(=150μm)とした。
この窒化ガリウム結晶層14の気相成長を終了させた後、冷却することにより、{111}−珪素(Si)単結晶基板11/リン化硼素非晶質層12/{111}−リン化硼素結晶層13/窒化ガリウム結晶層14からなる積層構造体1を得た。
【0064】
この様にして得られた積層構造体1をHVPE装置より外部へ取り出した。
その後、積層構造体1を構成する珪素単結晶基板11を、弗化水素酸及び硝酸を含む弗化水素酸−硝酸混液でエッチングして除去した。次いで、ダイヤモンド砥粒を用いて、非晶質層12及びリン化硼素層13を研磨して除去した。併せて、窒化ガリウム結晶層14の裏面(Si単結晶基板11側の面)14bを粗く研磨した。
【0065】
次いで、珪素単結晶基板11等を除去して分離した窒化ガリウム結晶層14に、1050℃において、アンモニア(NH3)−水素(H2)の混合ガス雰囲気中で熱処理を施した。ここでは、混合ガス雰囲気を構成するアンモニア(NH3)の流量は毎分3リットル(l)とし、水素(H2)ガスの流量は毎分1リットル(l)としたため、混合雰囲気をなすアンモニアの体積分率は75%であった。
熱処理時間は45分とした。熱処理終了後、窒化ガリウム結晶層14を、上記のアンモニア(NH3)−水素(H2)の混合ガス雰囲気中で1050℃から650℃まで冷却した。この窒化ガリウム結晶層14の温度が650℃に到達した時点で、アンモニア(NH3)及び水素(H2)の双方の供給を停止し、窒素(N2)のみの雰囲気中で室温(25℃)まで冷却した。
【0066】
冷却後、上記の熱処理を施した窒化ガリウム結晶層14の表面(珪素単結晶基板11とは反対側の成長層表面)14aをダイヤモンド細粒等を用いて鏡面に研磨し、窒化ガリウム結晶基板15とした。
一般的なレーザ干渉法を利用した測定では、熱処理を施して得た窒化ガリウム結晶基板15の「反り」は、ワープにして1×10−3cm(=10μm)であった。また、窒化ガリウム結晶基板15はn型の電気伝導を呈し、一般的なホール(Hall)効果法では、キャリア濃度(n)は約2×1018cm−3であった。
【0067】
また、一般的な断面TEM法により、窒化ガリウム結晶基板15の内部の明視野像を撮像した。明視野像内部の線状黒色コントラスト像(L. T. Romano et ai., Mat. Res. Soc. symp. Proc., vol.423 (1996), p.p.245−250参照)の密度から求められた転位密度は、約1×105cm−2と低密度であった。
以上により、「反り」が少なく平坦であり、且つ低転位密度のn型窒化ガリウム結晶基板15を作製することができた。
【0068】
(第2実施例)
第1実施例にて作製されたn型窒化ガリウム結晶基板を利用して、発光ダイオード(LED)を構成する場合を例に取り、本発明に係わる窒化ガリウム系半導体素子を具体的に説明する。
【0069】
図2に示す発光ダイオード(LED)21を作製した。
まず、n型窒化ガリウム結晶基板22上に、MOCVD法により、下記の各層を順次積層させた。
(1)珪素(Si)ドープn型{0001}−窒化ガリウム(GaN)(n=1×1018cm−3、層厚(t)=1×10−4cm(=1μm))からなる下部クラッド層23。
(2)n型窒化ガリウム・インジウム(Ga0.90In0.10N)(n=7×1017cm−3、t=50nm)からなるn型発光層24。
(3)アンドープでp型の{111}−リン化硼素(p=2×1019cm−3、t=380nm)からなる上部クラッド層25。
【0070】
上記のn型窒化ガリウム(GaN)層及びn型窒化ガリウム・インジウム(Ga0.90In0.10N)層は、(CH3)3Ga/NH3/H2反応系MOCVD法により、各々1050℃、850℃で成長させた。
p型リン化硼素は(C2H5)3B/PH3/H2反応系MOCVD法により1025℃で成長させた。
上部クラッド層25は、室温での禁止帯幅を約3eVとするp型リン化硼素層を用いて構成したため、発光層24に対するクラッド層及び発光層24からの発光を外部へ充分に透過できる窓層としても利用することができた。
【0071】
p型リン化硼素層からなる上部クラッド層25の表面の中央部には、この上部クラッド層25に接触する側を金・亜鉛(Au・Zn)合金としたAu・Zn/ニッケル(Ni)/Auの3層重層構造のp型オーム性電極26を形成した。
このp型オーム性電極26は、結線用の台座(pad)電極を兼ねるために、直径を約120μmとする円形の電極とした。
【0072】
一方、n型窒化ガリウム結晶基板22の裏面の略全面に、n型オーム性電極27として酸化ニッケル(NiO)/Au重層電極を形成した。これにより、n型発光層24をn型下部クラッド層23及びp型上部クラッド層25で挟持したpn接合型ダブルヘテロ(DH)構造の発光ダイオード(LED)21が得られた。
両オーム性電極26、27間に順方向に20ミリアンペア(mA)の動作電流を通電したところ、約440nmの波長の青紫帯光が発光した。一般的な積分球を利用して測定されるチップ(chip)状態での輝度は8ミリカンデラ(mcd)であった。
【0073】
特に、低転位密度の窒化ガリウム結晶層を基板22として利用したため、局所的な耐圧不良(local breakdown)の無い高輝度の発光ダイオード(LED)21となった。このため、順方向電流を20mAとした際の順方向電圧(いわゆる、Vf)を約3Vとし、逆方向電流を10μAとした際の逆方向電圧(Vr)は、8V以上となり、良好な整流特性が発現された。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の窒化ガリウム結晶基板の製造方法によれば、窒化ガリウム結晶層を非晶質層から分離し、次いで、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理するので、表面の平坦性に優れ、且つ「反り」の少ない平坦な窒化ガリウム結晶基板を製造することができる。
【0075】
本発明の窒化ガリウム系半導体素子によれば、本発明の窒化ガリウム結晶基板を備えたので、良好な整流特性を呈するとともに、局所的な耐圧不良(local breakdown)の無い窒化ガリウム系半導体素子を提供することができる。
この窒化ガリウム系半導体素子が発光層を備えていれば、高輝度の光を発光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の窒化ガリウム結晶基板の製造方法により得られた積層構造体の断面構造を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態の発光ダイオード(LED)を示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層構造体
11 珪素(Si)単結晶基板
12 リン化硼素(BP)非晶質層
13 リン化硼素(BP)結晶層
14 窒化ガリウム(GaN)結晶層
15 窒化ガリウム結晶基板
21 発光ダイオード(LED)
22 n型窒化ガリウム(GaN)結晶基板
23 下部クラッド層
24 発光層
25 上部クラッド層
26 p型オーム性電極
27 n型オーム性電極
Claims (10)
- 珪素単結晶基板の一主面上に、250℃以上かつ1200℃以下の温度にて硼素とリンとを含む非晶質層を気相成長させ、次いで、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて窒化ガリウム結晶層を成長させて積層構造体とし、次いで、この積層構造体から前記珪素単結晶基板を除去し、残存する前記窒化ガリウム結晶層により窒化ガリウム結晶基板を製造する方法において、
前記窒化ガリウム結晶層を前記非晶質層から分離し、次いで、650℃以上かつ1150℃以下の温度範囲の窒素原子を含む雰囲気中にて熱処理することを特徴とする窒化ガリウム結晶基板の製造方法。 - 前記窒化ガリウム結晶層は、{0001}面を一主面とする{0001}−窒化ガリウム結晶層であることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
- 前記{0001}−窒化ガリウム結晶層は、前記珪素単結晶基板を{111}面を一主面とする{111}−珪素単結晶とし、この{111}−珪素単結晶の一主面に前記非晶質層を気相成長させ、この非晶質層上に750℃以上かつ1200℃以下の温度にて{111}面を一主面とする{111}−リン化硼素結晶層を気相成長させ、この{111}−リン化硼素結晶層上に窒化ガリウムを気相成長させてなることを特徴とする請求項2記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
- 前記窒化ガリウム結晶層に熱処理を施した後、窒素原子を含む雰囲気中にて冷却することを特徴とする請求項1、2または3記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
- 前記冷却は、前記熱処理の温度から650℃までの温度範囲の冷却を窒素原子を含む雰囲気中にて行い、650℃未満の温度範囲の冷却を窒素原子を含み水素原子を含まない雰囲気中にて行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
- 前記窒素原子を含む雰囲気は、窒素、アンモニア、ヒドラジンから選択される1種、または2種以上を含む雰囲気であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項記載の窒化ガリウム結晶基板の製造方法により製造されてなることを特徴とする窒化ガリウム結晶基板。
- 請求項7記載の窒化ガリウム結晶基板を備えてなることを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
- 前記窒化ガリウム結晶基板の一主面にオーム性電極が形成されてなることを特徴とする請求項8記載の窒化ガリウム系半導体素子。
- 前記窒化ガリウム結晶基板上に発光層が形成されてなることを特徴とする請求項8または9記載の窒化ガリウム系半導体素子。
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