JP2004162347A - コーナー材 - Google Patents
コーナー材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004162347A JP2004162347A JP2002328725A JP2002328725A JP2004162347A JP 2004162347 A JP2004162347 A JP 2004162347A JP 2002328725 A JP2002328725 A JP 2002328725A JP 2002328725 A JP2002328725 A JP 2002328725A JP 2004162347 A JP2004162347 A JP 2004162347A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corner
- groove
- notch
- square
- cross
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Finishing Walls (AREA)
Abstract
【課題】壁の出隅と入隅の両方に使用でき、施工性の良い壁の隅構造を得ることができる。
【解決手段】断面略正方形の角材4であって、この角材4の対角線上に位置する一方の相対向する角6の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠き9と、角材4の対角線上に位置する他方の相対向する角7のうち先端側の角8aに形成された円弧面11と、この他方の相対向する角7のうち後端側の角8bの横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠き13とを備え、二つの第1の切欠き9は互いに対称形状に形成され、第1の切欠き9、円弧面11および第2の切欠き13は角材4の長手方向全体にわたって形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】断面略正方形の角材4であって、この角材4の対角線上に位置する一方の相対向する角6の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠き9と、角材4の対角線上に位置する他方の相対向する角7のうち先端側の角8aに形成された円弧面11と、この他方の相対向する角7のうち後端側の角8bの横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠き13とを備え、二つの第1の切欠き9は互いに対称形状に形成され、第1の切欠き9、円弧面11および第2の切欠き13は角材4の長手方向全体にわたって形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁の隅に使用するコーナー材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁の隅の構造(壁の隅構造)としては、たとえば図11(A)、(B)に示すものが知られている。図11(A)は、出隅の例で柱100に沿って張られた石膏ボード101の外側下部に、床に沿って幅木102が設けられている。幅木の先端部分の形状は45度に切断され、いわゆる留めカットと称される切断形状に形成されている。また、図11(B)は、入隅の例で柱100に沿わせた二つの添柱103の隅に石膏ボード101が張られ、その外側下部に床に沿って幅木102が設けられている。この場合も、幅木102の先端部分の形状は45度に切断された留めカットと称される切断形状に形成されている。
【0003】
また、別の隅構造として、断面が正方形の三つの角が矩形状に切り欠かれた切欠きを有し、この切欠きの角度がいずれも鋭角をなすコーナー材が知られている。このコーナー材の三つの切欠きの真中の切欠きに柱の角を当接させ、残りの二つの切欠きにそれぞれ化粧壁板を押し当てて壁の隅構造としたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公昭50−12900号公報(第1頁、第1図、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11(A)、(B)に示した壁の隅構造は、二つの幅木102が突き合うコーナー部分を留めカットするので、切断する際の精度が要求され、切断加工に当たっては加工設備、工具、作業方法、その他の面において十分な配慮が必要であった。さらに、この幅木を用いて留め構造を形成することは、二つの幅木を正確に突き合わせなければならないので施工が煩雑であった。また、この隅構造は角が突き出しており、衝突などにより幅木側、人側とも双方に傷害の危険性が大きかった。
【0006】
他方、断面が正方形の三つの角を矩形状に切り欠いたコーナー材を使用する壁の隅構造は、出隅に使用されるもので入隅に対しては考慮されていない。また出隅の角は角張っており、衝突などにより傷害の危険性も大きい。
【0007】
本発明は、出隅と入隅の両方に使用でき、かつ施工性が良いことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、断面略正方形の角材であって、この角材の対角線上に位置する一方の相対向する角の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠きと、角材の対角線上に位置する他方の相対向する角のうち一方の側の角に形成された平面または凸状に形成された曲面と、この他方の相対向する角のうち他方の側の角の横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠きとを備える。さらに、一方の相対向する二つの第1の切欠きは他方の相対向する角を結ぶ対角線を境にして線対称に形成され、これら第1の切欠き、平面または曲面および第2の切欠きは角材の長手方向全体にわたって形成されてなることを特徴とする。
【0009】
このようにすることにより、第1の切欠きは断面略正方形の角材の対角線上に位置する相対向する角に位置し、かつ矩形状に切り欠かれた形状であるので、第1の切欠きに幅木などの化粧材の木口を突き当てることにより出隅または入隅に形成できる。また、第2の切欠きは、他方の相対向する角のうち他方の側の角の横断面が正方形状に切り欠かれるので、横断面が二等辺のL字状に切り欠かれる。このL字状の切欠きに柱の角を押し当てることによりコーナー材の位置決めをすることができる。
【0010】
さらに、第1の切欠きと第2の切欠きの間に形成された突起に化粧材の裏当材を突き合わせまたは当接させることができるので、壁の隅に裏当材を設けることができる。さらに、角材の他方の相対向する角のうち、一方の側(先端側)の角は平面または凸状に形成された曲面であるので、角張っておらず衝突による傷害の危険性が小さい。また、本発明のコーナー材は、従来のように化粧材を留めカットする必要がないので、化粧材の加工がし易くなる。このようなコーナー材を使用する壁の隅構造は、従来のように留めカットされた部材を突き合わせる必要もないので、壁の出隅または入隅の施工性が良い。
【0011】
また、断面略矩形の角材であって、この角材の一方の側の両角の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠きと、角材の他方の側に開口する溝とを備える。溝は、この溝の底が凹状に形成された第1の溝と、この第1の溝に延在し90度の夾角を有する第2の溝とを有する。さらに、第1の溝に対応する角材が曲げ可能であるように形成され、切欠きおよび溝は角材の長手方向全体にわたって形成されてなることを特徴とする。
【0012】
このようにすることにより、第1の溝の底は凹状に形成され、この第1の溝の底に対応する角材が曲げ可能であるように形成されるので、このコーナー材を第1の溝のところで曲げることにより第1の溝に対応する角材は凸曲面状に曲がる。さらに、第2の溝は、第1の溝に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材を90度曲げることができ、90度の夾角を形成する面は当接する。
【0013】
このとき、角材の一方の側の両角の切欠きは、上記当接面を境にして線対称に位置し、二つの切欠きは互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠きに化粧材を突き合わせることにより出隅または入隅を形成できる。先のコーナー材と同様に、このコーナー材を使用することにより壁の出隅または入隅の施工性が良い。また、コーナー材の曲げられた部分は、曲面状に曲げられるので異物や人の衝突による傷害の危険性が小さい。また、本コーナー材は、運搬ないし輸送の際に、曲げる前の比較的平坦な部材の状態で重ねた束とすることにより、運搬ないし輸送の効率を良くすることができる。
【0014】
さらに、第1の溝の表面に軟質材を設けると良い。軟質材の厚みは第1の溝の底の両縁から第1の溝の底の中央に向かって漸次厚くなるように設けると良い。こうすると、このコーナー材が溝のところで曲げられるときに、第1の溝に対応する角材とともに軟質材も曲げられる。このため第1の溝に対応する角材および軟質材の局部的な曲げ応力が緩和され、第1の溝に対応する角材全体の曲げ応力が平均化されるとともに曲率半径が大きくなり滑らかな曲面に曲げられる。
【0015】
そして、曲げられたコーナー材の形状は、凸曲面状に曲げられ、丸みのある隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。その上、第1の溝の底表面に軟質材を設けることにより、このコーナー材への異物や人などの衝突によるコーナー材自体の損傷、あるいは異物や人側の損傷が防止される。
【0016】
また、断面略矩形の角材であって、この角材の一方の側の両角の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠きと、角材の他方の側に開口する溝と、切欠きが形成された角材の一方の側に設けられた化粧シートとを備え、溝は略M字状に形成された第1の溝と、この第1の溝に延在し90度の夾角を有する第2の溝とを有し、第1の溝の二つの最下部は化粧シートの裏面に達するまで切り欠かれ、切欠きおよび溝は角材の長手方向全体にわたって形成されてなることを特徴とする。
【0017】
このようにすることにより、第1の溝は略M字状に形成され、この第1の溝の二つの最下部は化粧シートの裏面に達するまで切り欠かれる。そして、化粧シートは可撓性を有するので、このコーナー材を第1の溝のところで曲げることにより第1の溝に対応する角材部分は平面となる。さらに、第2の溝は、第1の溝に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材を90度曲げることができ、90度の夾角を形成する面は当接する。
【0018】
このとき、角材の一方の側の両角の切欠きは、上記当接面を境に線対称に位置し、二つの切欠きは互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠きに化粧材を突き合わせることにより出隅または入隅を形成できる。先のコーナー材と同様に、このコーナー材を使用することにより壁の出隅または入隅の施工性が良い。また、コーナー材の曲げられた部分は、平面となるので異物や人の衝突による傷害の危険性が小さい。また、本コーナー材は、運搬ないし輸送の際に、曲げる前の比較的平坦な部材の状態で重ねた束とすることにより、運搬ないし輸送の効率を良くすることができる。そして、曲げられたコーナー材の形状は、多角状に曲げられた隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。
【0019】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。本発明のコーナー材において、その第1の切欠きの横断面形状はL字状になるが、この横断面においてコーナー材の先端側に位置する先端側辺(または先端側面)の幅は、出隅の場合、化粧材の厚さより大きくし、たとえば化粧材の厚さプラス1〜3mmなどとする。
【0020】
また、この横断面において突起側を形成する突起側辺(または突起側面)の幅は、入隅の場合、化粧材の厚さに略等しくするか若干大きくし、たとえば化粧材の厚さプラス0.1〜1mmなどとする。コーナー材の先端側に形成される平面または曲面は、異物や人が突き当たったときに傷害を受けたり、与えたりしない形状であれば特に限定されないが、平面または曲面とし、さらにこの表面に意匠的な凹凸や溝などが施されても良い。
【0021】
コーナー材(または角材)の材質は、木質繊維材(MDFなど)、木削片材、単板積層材などの木質系、スチロール樹脂、塩化ビニル樹脂、強化プラスチック、発泡スチロール樹脂、発泡ウレタン樹脂などの合成樹脂系、あるいは木質系や合成樹脂系の複合材などを使用できる。第1の切欠きと第2の切欠きとの間に形成された突起の端面は、平坦であることが好ましい。壁下地材は、化粧材を壁に設けることができれば特に限定されないが、たとえば石膏ボードなどが使用される。
【0022】
コーナー材の第2の切欠きに当接される裏当材は、出隅の場合には、壁下地材の厚さがコーナー材の突起先端の幅より大きいときに調整材として設けられる。入隅の場合には、コーナー材の突起先端と柱の表面の延長面との間に壁下地材が挿入できるようにする調整材として設けられる。第1の溝の底は、凹状に形成されるが、その形状は、たとえば円弧面、楕円面、その他の曲面の一部などとしても良い。
【0023】
第1の溝の底の表面に設ける軟質材は、弾力性を有する材料をはじめ、合成ゴム材や天然ゴム材あるいは気泡を有する発泡材や気泡を有しない未発泡材などで、たとえばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)、シリコン樹脂などの軟質合成樹脂材などである。
【0024】
第1の溝に軟質材を設ける方法は、たとえばホットメルト法、すなわちスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、シリコン樹脂などの熱可塑性樹脂を加熱溶融させたものを塗布または流し込みにより設けても良いし、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)やシリコン樹脂などを酢酸ビニル樹脂などの軟質材用接着剤で貼着して設けても良い。
【0025】
コーナー材の少なくとも露出する面には化粧シートを設けると良い。化粧シートは、曲げ易く耐久性のあるもの、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板、人工突板および不織布、紙、合成樹脂などのシートとしても良いし、可撓性を有する材料のシートに各種模様を印刷したものとしても良い。化粧シートとして用いる合成樹脂は、たとえばオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などとしても良い。さらに、化粧シートとして、上記合成樹脂シートの間に紙を挟んで圧着した複合シート、合成樹脂を含浸させた含浸紙なども利用できる。化粧シートの厚みは、たとえば0.05〜1mmの範囲である。
【0026】
略M字状に形成された第1の溝において、二つのV字状の小溝の夾角は少なくとも45度に等しいか大きくする。こうすると第1の溝のところで曲げられる角度は90度とすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコーナー材の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜10において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【0028】
図1は、本発明に係るコーナー材の第1実施形態を示す断面図である。第1実施形態のコーナー材1は、2点鎖線で示す断面略正方形の角材4の対角線上に位置する一方の相対向する角6の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠き9と、角材4の対角線上に位置する他方の相対向する角7のうち先端側(一方の側)の角8aに形成された円弧面11と、この他方の相対向する角7のうち後端側(他方の側)の角8bの横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠き13とを備える。
【0029】
さらに、二つの第1の切欠き9は互いに角7、7を結ぶ対角線を境にして対称形状に形成され、これら第1の切欠き9、円弧面11および第2の切欠き13は角材の長手方向全体にわたって形成される。また、第1の切欠き9と第2の切欠き13との間には突起15、15が形成される。
【0030】
第1の切欠き9の横断面形状はL字状になるが、このL字状を形成する二つの辺(または二つの面)のうちコーナー材の先端側に位置する先端側辺(先端側面)10aの幅B1は、出隅の場合、この第1の切欠き9に突き合わされる幅木などの化粧材の厚さtより大きくし、たとえば化粧材の厚さtプラス1〜3mmなどとする。また、この横断面において二つの辺のうち突起15側を形成する突起側辺(突起側面)10bの幅B2は、入隅の場合、化粧材の厚さtに略等しくするか若干大きくし、たとえば化粧材の厚さtプラス0.3mmなどとする。
【0031】
コーナー材1の先端側の面は、異物や人などが突き当たったときに双方に傷害を受けない形状であれば特に限定されないが、たとえば図1に示すように円弧面とし、この円弧面に意匠的な凹凸や溝を形成しても良い。さらに、第1の切欠き9と第2の切欠き13との間に形成された突起15、15の端面17、17は平坦とする。コーナー材1(または角材4)の材質は、木質繊維材(MDFなど)である。
【0032】
以上の構造を有する第1実施形態のコーナー材1は、次のように作用する。すなわち、図1において、第1の切欠き9は断面略正方形の角材4の対角線上に位置する角6に位置し、かつ角材の辺(面)に平行な面を持ち、L字状に切り欠かれた形状であるので、第1の切欠きの先端側面10aまたは後端側面10bに幅木などの化粧材の木口を突き当てることにより出隅または入隅に形成できる。また、第2の切欠き13は、他方の相対向する角7の横断面が正方形状に切り欠かれるので、2等辺の辺(面)を持ち、L字状に切り欠かれる。このL字状の切欠きに柱の角を押し当て、位置決めをすることができる。
【0033】
さらに、角材の他方の相対向する角7のうち、先端側の角8aは円弧面であるので、角張っておらず異物や人などの衝突による双方の傷害の危険性が小さい。また、コーナー材1を使用することにより、幅木などの化粧材は従来のように留めカットされる必要がないので、化粧材の加工がし易くなる。このようにして形成される壁の隅構造は、従来のように留めカットされた化粧材や壁下地材などの壁材が突き合わされる必要もないので、壁の出隅または入隅を施工する際の施工性が良い。
【0034】
図2は、第1実施形態のコーナー材1を使用した壁の出隅構造を示す斜視図である。第1実施形態のコーナー材1を使用した壁の出隅構造は、コーナー材1と、このコーナー材1に突き合わせされる幅木(化粧材)36と、コーナー材1の端面に突き合わせまたは当接される石膏ボード(壁下地材)42と、コーナー材1に当接される図示されていない柱(図3の符号46)とを備える。コーナー材1をはじめ、幅木36や石膏ボード42の少なくとも露出する面には化粧シートが設けられる。また、二つの石膏ボード42、42は留め結合されるが、これら石膏ボード42、42の木口下部は切り欠かれており、コーナー材1を避けている。
【0035】
上記化粧シートとしては、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板、人工突板および不織布、紙、合成樹脂などのシートや、可撓性を有する材料のシートに各種模様を印刷したものなどが使用される。化粧シートとして用いる合成樹脂は、たとえばオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などである。
【0036】
さらに、化粧シートとして、上記合成樹脂シートの間に紙を挟んで圧着した複合シート、合成樹脂を含浸させた含浸紙なども利用できる。化粧シートの厚みは、たとえば0.06mmである。なお、コーナー材1の上面1aには意匠性を考慮して表面模様をつけた化粧シートやキャップを用い覆っても良い。また、コーナー材1の上面1aの円弧状縁を面取りして曲面を形成しても良い。なお、符号33は、コーナー材1の長手方向である。
【0037】
図3は、図2における平面Pで切断した断面図である。コーナー材1を使用した壁の出隅構造は、先に記したように、コーナー材1、このコーナー材1の第1の切欠き9に突き合わせされた幅木36、コーナー材1の第1の切欠き9と第2の切欠き13との間に形成された突起15の端面17に突き合わせされた石膏ボード42およびコーナー材1の第2の切欠き13に当接される柱46などで形成される。また、コーナー材の縁5と幅木36の表面との間に距離を設けて、いわゆる「散り」を設けると意匠的に好ましくなる。なお、先に記したように、石膏ボードの露出する表面43には化粧シートが設けられている。
【0038】
図4は、第1実施形態のコーナー材1を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。この壁の入隅構造は、柱46およびこれに添わせた二つの添柱48、48で形成された隅に設けられたもので、これら柱46および添柱48と、第1実施形態のコーナー材1と、二つの添柱48とコーナー材1との間に設けられた裏当材50と、コーナー材の第1の切欠きの後端側面10bに当接される幅木36と、コーナー材の突起の端面17と添柱48との間で裏当材50突き合わせられる石膏ボード42とで形成される。
【0039】
このように、裏当材50を調整材として設けることにより、コーナー材1と添柱48との間の空間に幅木36および石膏ボード42を設けることができ、壁の入隅構造を形成できる。図4における壁の入隅構造において、その他の構造と作用は、図3に示した壁の出隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0040】
図5は、第1実施形態のコーナー材1を使用した別の出隅構造を示す断面図である。コーナー材1の第2の切欠き13に当接される裏当材51は、石膏ボード42の厚さがコーナー材の突起端面17の幅より大きい場合の調整材として設けられる。出隅の場合、裏当材51の形状は、横断面がL字状で、裏当材51の端面木口は、突起の端面17位置から外側に突出しないように形成される。裏当材51の厚みは、石膏ボード42の厚みと突起の端面17の厚みとの差である。
【0041】
このようにすることにより、石膏ボード42の厚みが突起15の端面17の厚みより大きい場合であっても、石膏ボード42を設けることができる。図5における壁の出隅構造において、その他の構造と作用は、図3に示した壁の出隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0042】
図6は、本発明に係るコーナー材の第2実施形態を示す断面図である。図7は、第2実施形態のコーナー材2を曲げた状態の断面図である。第2実施形態のコーナー材2は、断面略矩形の角材18であって、この角材18の表側(一方の側)20の両角21の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠き24と、角材18の裏側(他方の側)22に開口する溝25とを備える。溝25は、この底が円弧状に形成された第1の溝26と、この第1の溝26に延在し90度の夾角を有する第2の溝27とを有する。
【0043】
さらに、第1の溝26は、円弧面およびその両縁に立ち上がる垂直面を有する。第1の溝26に対応する角材30は、曲げ可能であるように薄く形成され、角材30の両縁が最も厚く、中央が最も薄く形成される。さらに、第1の溝26の円弧面には軟質材34が設けられる。軟質材34の厚みは、両側が最も薄く、溝の中央が最も厚く設けられている。そして、切欠き24および溝25は角材18の長手方向(図6の紙面に垂直な方向)全体にわたって形成される。
【0044】
第1の溝26の表面に設ける軟質材34は、弾力性を有する材料をはじめ、合成ゴム材や天然ゴム材あるいは気泡を有する発泡材や気泡を有しない未発泡材などで、たとえばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)、シリコン樹脂などの軟質合成樹脂材が含まれる。
【0045】
第1の溝26に軟質材34を設ける方法は、たとえばホットメルト法、すなわちスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、シリコン樹脂などの熱可塑性樹脂を加熱溶融させたものを塗布または流し込みにより設ける方法でも良いし、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)やシリコン樹脂などを酢酸ビニル樹脂などの軟質材用接着剤で貼着して設ける方法でも良い。
【0046】
以上の構造を有する第2実施形態のコーナー材2は、次のように作用する。すなわち、図6において、第1の溝26は円弧状に形成され、この第1の溝26に対応する角材30が曲げ可能であるように形成されるので、このコーナー材2を第1の溝26のところで曲げることにより、図7に示すように、第1の溝26に対応する角材30は曲面状に曲がる。さらに、第2の溝27は、第1の溝26に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材2を90度曲げることにより、90度の夾角を形成する面28は当接する。
【0047】
このとき、角材18の表側の両角21の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠き24は、上記当接面28を境に対称に位置し、二つの切欠き24は互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠き24に幅木などの化粧材を突き合わせることにより出隅または入隅を形成でき、先のコーナー材1と同様に、壁の出隅または入隅を形成する際の施工性が良い。また、コーナー材2の曲げられた部分は、曲面状に曲げられるので衝突などによる傷害の危険性がコーナー材または異物や人など双方にとって小さい。また、コーナー材2は、曲げる前は略板状の部材であり、これを束ねたものを運搬ないし輸送できるので、運搬ないし輸送の効率が良い。
【0048】
さらに、軟質材34の厚みが第1の溝26の両縁から第1の溝26の中央に向かって漸次厚くなるように設けられるので、第1の溝26のところで曲げられるときに角材30とともに軟質材34も曲げられる。このため第1の溝26に対応する角材30および軟質材34の局部的な曲げ応力が緩和されるとともに曲率半径が大きくなり滑らかな曲面に曲げられる。そして、曲げられたコーナー材2の形状は、凸曲面状に曲げられ、丸みのある隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。
【0049】
次に、第2実施形態のコーナー材2の製造方法について、図6、7を使用して説明する。コーナー材2の製造方法は、先ず断面略矩形の角材を準備し、その表面を切削して角材18を形成する。次に、角材18の表面側の両角21に、横断面が矩形状になるように切欠き24を切り欠く。さらに、角材の表面20側に溝19、裏面22側に第1の溝26および第2の溝27を形成する。この場合、溝19と第1の溝26との間に角材30が残るように切削される。次に、必要に応じて、成形した角材の表面側、特に溝19の表面および溝19と切欠き24との間の凸部23の表面に図示していない化粧シートを貼着する。そして、第1の溝26の表面に熱可塑性樹脂などの軟質材34を塗布または流し込む。
【0050】
ホットメルト法により熱可塑性樹脂の軟質材34を第1の溝26に塗布または流し込む際に注意すべき点は、ホットメルトの温度が高すぎないことである。ホットメルトの温度が高いと、軟質材34が第1の溝26に塗布または流し込まれたときに、これに近い化粧シートが熱で軟化し、皺やひずみを発生するので、軟質材34の塗布ないしし込み温度の管理を十分に行う。
【0051】
第2実施形態のコーナー材2は、角材18の裏側22に開口する溝25を備えることにより、溝25の第1の溝26に対応する角材30を曲面状に曲げることができるが、さらに、第1の溝26に軟質材34を設けることにより、第1の溝26に対応する角材30や、この角材30の表面に設ける化粧シートの物理的、機械的特性のバラツキを吸収し滑らかな曲面に曲げることができる。
【0052】
特に、角材18として中質繊維材(MDF)を使用し、この中質繊維材に溝25を形成することにより、中質繊維材の表裏層に比べ比重の低い中心層が溝25の表面に露出するので、先の軟質材34の密着(付着)強度を大きくする。また、中質繊維材は、方向性が無く、いずれの方向にも均質な材料であるので滑らかに曲げることが可能である。
【0053】
図6、7の第2実施形態のコーナー材2およびこれを使用した壁の隅構造において、その他の部分の構造と作用は、図1〜5に示した第1実施形態のコーナー材1およびこれを使用した壁の出隅構造または壁の入隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0054】
図8は、本発明に係るコーナー材の第3実施形態を示す断面図である。第3実施形態のコーナー材3は、断面略矩形の角材18であって、この角材18の表側(一方の側)20の両角21の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠き24と、角材18の裏側(他方の側)22に開口する溝25と、切欠き24が形成された角材の表側20に設けられた化粧シート44とを備える。溝25は略M字状に形成された第1の溝26と、この第1の溝26に延在し90度の夾角を有する第2の溝27とを有する。
【0055】
第1の溝26の二つの最下部26aは、化粧シート44の裏面に達するまで切り欠かれる。そして、切欠き24および溝25は角材18の長手方向(紙面に垂直な方向)全体にわたって形成される。化粧シート44は、コーナー材3が曲げられ出隅または入隅に使用された際の露出面に設けられるが、たとえば範囲Rに貼着される。第1の溝26の二つのV字状の溝の夾角は、45度に形成される。
【0056】
以上の構造を有する第3実施形態のコーナー材3は、次のように作用する。すなわち、図8において、第1の溝26は略M字状に形成され、この第1の溝の二つの最下部26aは、化粧シート44の裏面に達するまで切り欠かれる。そして、化粧シート44は可撓性を有するので、このコーナー材3を第1の溝26のところで曲げることにより第1の溝26に対応する角材の外側部分は平面(図9、10における符号29)となる。さらに、第2の溝27は、第1の溝26に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材3を90度曲げることができ、90度の夾角を形成する面28は当接する。
【0057】
このとき、角材の表側の両角の切欠き24は、上記当接面28を境に線対称に位置し、二つの切欠き24は互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠き24に幅木を突き合わせることにより出隅または入隅を形成できる。先のコーナー材2と同様に、このコーナー材3を使用することにより壁の出隅または入隅を効率良く形成でき施工性が良い。
【0058】
また、コーナー材3の曲げられた部分は、平面29(図9、10)となるので異物や人の衝突による傷害の危険性が小さい。また、本コーナー材3は、運搬ないし輸送の際に、曲げる前の比較的平坦な部材の状態で重ねた束とすることにより、運搬ないし輸送の効率を良くすることができる。そして、曲げられたコーナー材3の形状は、多角状に曲げられた隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。
【0059】
次に、第3実施形態のコーナー材3の製造方法について、図8を使用して説明する。コーナー材3の製造方法は、先ず断面略矩形の角材を準備し、その表側の両角21に、横断面が矩形状になるように切欠き24を切り欠く。さらに、切欠き24を形成した角材の表側20で、所定の範囲Rに化粧シート44を貼着する。次に、角材18の裏面22側に第2の溝27を形成する。第2の溝27を形成した後、さらに第1の溝26を形成する。この場合、第1の溝26の最下部26aは、化粧シート44の裏面に達するまで切削される。このようにして、コーナー材3が製造される。
【0060】
図9は、第3実施形態のコーナー材3を使用した出隅構造を示す断面図である。コーナー材3を使用した壁の出隅構造は、コーナー材3、このコーナー材3の切欠き24の二辺(面)のうち先端側辺(または先端側面)24aに突き合わせされる幅木36およびコーナー材3の切欠き24と溝25との間に形成された突起31の端面32に突き合わせされる石膏ボード42および二つの突起31で形成されるL字状の凹み40に当接される柱46などで形成される。また、コーナー材の縁39と幅木36の表面との間に距離を設けて、いわゆる「散り」を設ければ意匠的に好ましい形状となる。なお、先に記したように、石膏ボードの表面43には化粧シートが設けられる。
【0061】
図10は、第3実施形態のコーナー材3を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。この壁の入隅構造は、柱46およびこれに添わせた二つの添柱48、48で形成された隅に設けられるもので、これら柱46および添柱48、第3実施形態のコーナー材3、切欠き24の二辺(面)のうち本体側辺(または本体側面)24bに突き合わせされる幅木36および石膏ボード42で形成される。突起31の端面32は添柱48に当接する。コーナー材3の凹み40と二つの添柱48の間には空間41が形成される。このように、突起31を幅木36の厚さと石こうボード42の厚さの和と等しい寸法にすることにより図4に示すような裏当材50を設けずに壁の入隅構造を形成できる。
【0062】
図8の第3実施形態のコーナー材3およびこれを使用した図9、10の壁の出隅構造または壁の入隅構造において、その他の部分の構造と作用は、図1〜5に示した第1実施形態のコーナー材1およびこれを使用した壁の隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0063】
以上この発明を図示の実施形態について詳しく説明したが、それを以ってこの発明をそれらの実施形態のみに限定するものではなく、この発明の精神を逸脱せずして種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、壁の出隅と入隅の両方に使用でき、施工性の良い壁の隅構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコーナー材の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態のコーナー材を使用した壁の出隅構造を示す斜視図である。
【図3】図2における平面Pで切断した断面図である。
【図4】第1実施形態のコーナー材を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。
【図5】第1実施形態のコーナー材を使用した別の出隅構造を示す断面図である。
【図6】本発明に係るコーナー材の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】第2実施形態のコーナー材を曲げた状態の断面図である。
【図8】本発明に係るコーナー材の第3実施形態を示す断面図である。
【図9】第3実施形態のコーナー材を使用した出隅構造を示す断面図である。
【図10】第3実施形態のコーナー材を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。
【図11】従来技術に係る壁の隅構造を示し、(A)は出隅構造の断面図、(B)は入隅構造の断面図である。
【符号の説明】
1、2、3 コーナー材
4 角材
6 一方の相対向する角
7 他方の相対向する角
9 第1の切欠き
11 円弧面(曲面)
13 第2の切欠き
18 角材
20 表側(一方の側)
22 裏側(他方の側)
24 切欠き
25 溝
26 第1の溝
27 第2の溝
30 第1の溝に対応する角材
33 長手方向
34 軟質材
36 幅木(化粧材)
42 石膏ボード(壁下地材)
44 化粧シート
46 柱
50、51 裏当材
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁の隅に使用するコーナー材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁の隅の構造(壁の隅構造)としては、たとえば図11(A)、(B)に示すものが知られている。図11(A)は、出隅の例で柱100に沿って張られた石膏ボード101の外側下部に、床に沿って幅木102が設けられている。幅木の先端部分の形状は45度に切断され、いわゆる留めカットと称される切断形状に形成されている。また、図11(B)は、入隅の例で柱100に沿わせた二つの添柱103の隅に石膏ボード101が張られ、その外側下部に床に沿って幅木102が設けられている。この場合も、幅木102の先端部分の形状は45度に切断された留めカットと称される切断形状に形成されている。
【0003】
また、別の隅構造として、断面が正方形の三つの角が矩形状に切り欠かれた切欠きを有し、この切欠きの角度がいずれも鋭角をなすコーナー材が知られている。このコーナー材の三つの切欠きの真中の切欠きに柱の角を当接させ、残りの二つの切欠きにそれぞれ化粧壁板を押し当てて壁の隅構造としたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公昭50−12900号公報(第1頁、第1図、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11(A)、(B)に示した壁の隅構造は、二つの幅木102が突き合うコーナー部分を留めカットするので、切断する際の精度が要求され、切断加工に当たっては加工設備、工具、作業方法、その他の面において十分な配慮が必要であった。さらに、この幅木を用いて留め構造を形成することは、二つの幅木を正確に突き合わせなければならないので施工が煩雑であった。また、この隅構造は角が突き出しており、衝突などにより幅木側、人側とも双方に傷害の危険性が大きかった。
【0006】
他方、断面が正方形の三つの角を矩形状に切り欠いたコーナー材を使用する壁の隅構造は、出隅に使用されるもので入隅に対しては考慮されていない。また出隅の角は角張っており、衝突などにより傷害の危険性も大きい。
【0007】
本発明は、出隅と入隅の両方に使用でき、かつ施工性が良いことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、断面略正方形の角材であって、この角材の対角線上に位置する一方の相対向する角の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠きと、角材の対角線上に位置する他方の相対向する角のうち一方の側の角に形成された平面または凸状に形成された曲面と、この他方の相対向する角のうち他方の側の角の横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠きとを備える。さらに、一方の相対向する二つの第1の切欠きは他方の相対向する角を結ぶ対角線を境にして線対称に形成され、これら第1の切欠き、平面または曲面および第2の切欠きは角材の長手方向全体にわたって形成されてなることを特徴とする。
【0009】
このようにすることにより、第1の切欠きは断面略正方形の角材の対角線上に位置する相対向する角に位置し、かつ矩形状に切り欠かれた形状であるので、第1の切欠きに幅木などの化粧材の木口を突き当てることにより出隅または入隅に形成できる。また、第2の切欠きは、他方の相対向する角のうち他方の側の角の横断面が正方形状に切り欠かれるので、横断面が二等辺のL字状に切り欠かれる。このL字状の切欠きに柱の角を押し当てることによりコーナー材の位置決めをすることができる。
【0010】
さらに、第1の切欠きと第2の切欠きの間に形成された突起に化粧材の裏当材を突き合わせまたは当接させることができるので、壁の隅に裏当材を設けることができる。さらに、角材の他方の相対向する角のうち、一方の側(先端側)の角は平面または凸状に形成された曲面であるので、角張っておらず衝突による傷害の危険性が小さい。また、本発明のコーナー材は、従来のように化粧材を留めカットする必要がないので、化粧材の加工がし易くなる。このようなコーナー材を使用する壁の隅構造は、従来のように留めカットされた部材を突き合わせる必要もないので、壁の出隅または入隅の施工性が良い。
【0011】
また、断面略矩形の角材であって、この角材の一方の側の両角の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠きと、角材の他方の側に開口する溝とを備える。溝は、この溝の底が凹状に形成された第1の溝と、この第1の溝に延在し90度の夾角を有する第2の溝とを有する。さらに、第1の溝に対応する角材が曲げ可能であるように形成され、切欠きおよび溝は角材の長手方向全体にわたって形成されてなることを特徴とする。
【0012】
このようにすることにより、第1の溝の底は凹状に形成され、この第1の溝の底に対応する角材が曲げ可能であるように形成されるので、このコーナー材を第1の溝のところで曲げることにより第1の溝に対応する角材は凸曲面状に曲がる。さらに、第2の溝は、第1の溝に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材を90度曲げることができ、90度の夾角を形成する面は当接する。
【0013】
このとき、角材の一方の側の両角の切欠きは、上記当接面を境にして線対称に位置し、二つの切欠きは互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠きに化粧材を突き合わせることにより出隅または入隅を形成できる。先のコーナー材と同様に、このコーナー材を使用することにより壁の出隅または入隅の施工性が良い。また、コーナー材の曲げられた部分は、曲面状に曲げられるので異物や人の衝突による傷害の危険性が小さい。また、本コーナー材は、運搬ないし輸送の際に、曲げる前の比較的平坦な部材の状態で重ねた束とすることにより、運搬ないし輸送の効率を良くすることができる。
【0014】
さらに、第1の溝の表面に軟質材を設けると良い。軟質材の厚みは第1の溝の底の両縁から第1の溝の底の中央に向かって漸次厚くなるように設けると良い。こうすると、このコーナー材が溝のところで曲げられるときに、第1の溝に対応する角材とともに軟質材も曲げられる。このため第1の溝に対応する角材および軟質材の局部的な曲げ応力が緩和され、第1の溝に対応する角材全体の曲げ応力が平均化されるとともに曲率半径が大きくなり滑らかな曲面に曲げられる。
【0015】
そして、曲げられたコーナー材の形状は、凸曲面状に曲げられ、丸みのある隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。その上、第1の溝の底表面に軟質材を設けることにより、このコーナー材への異物や人などの衝突によるコーナー材自体の損傷、あるいは異物や人側の損傷が防止される。
【0016】
また、断面略矩形の角材であって、この角材の一方の側の両角の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠きと、角材の他方の側に開口する溝と、切欠きが形成された角材の一方の側に設けられた化粧シートとを備え、溝は略M字状に形成された第1の溝と、この第1の溝に延在し90度の夾角を有する第2の溝とを有し、第1の溝の二つの最下部は化粧シートの裏面に達するまで切り欠かれ、切欠きおよび溝は角材の長手方向全体にわたって形成されてなることを特徴とする。
【0017】
このようにすることにより、第1の溝は略M字状に形成され、この第1の溝の二つの最下部は化粧シートの裏面に達するまで切り欠かれる。そして、化粧シートは可撓性を有するので、このコーナー材を第1の溝のところで曲げることにより第1の溝に対応する角材部分は平面となる。さらに、第2の溝は、第1の溝に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材を90度曲げることができ、90度の夾角を形成する面は当接する。
【0018】
このとき、角材の一方の側の両角の切欠きは、上記当接面を境に線対称に位置し、二つの切欠きは互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠きに化粧材を突き合わせることにより出隅または入隅を形成できる。先のコーナー材と同様に、このコーナー材を使用することにより壁の出隅または入隅の施工性が良い。また、コーナー材の曲げられた部分は、平面となるので異物や人の衝突による傷害の危険性が小さい。また、本コーナー材は、運搬ないし輸送の際に、曲げる前の比較的平坦な部材の状態で重ねた束とすることにより、運搬ないし輸送の効率を良くすることができる。そして、曲げられたコーナー材の形状は、多角状に曲げられた隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。
【0019】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。本発明のコーナー材において、その第1の切欠きの横断面形状はL字状になるが、この横断面においてコーナー材の先端側に位置する先端側辺(または先端側面)の幅は、出隅の場合、化粧材の厚さより大きくし、たとえば化粧材の厚さプラス1〜3mmなどとする。
【0020】
また、この横断面において突起側を形成する突起側辺(または突起側面)の幅は、入隅の場合、化粧材の厚さに略等しくするか若干大きくし、たとえば化粧材の厚さプラス0.1〜1mmなどとする。コーナー材の先端側に形成される平面または曲面は、異物や人が突き当たったときに傷害を受けたり、与えたりしない形状であれば特に限定されないが、平面または曲面とし、さらにこの表面に意匠的な凹凸や溝などが施されても良い。
【0021】
コーナー材(または角材)の材質は、木質繊維材(MDFなど)、木削片材、単板積層材などの木質系、スチロール樹脂、塩化ビニル樹脂、強化プラスチック、発泡スチロール樹脂、発泡ウレタン樹脂などの合成樹脂系、あるいは木質系や合成樹脂系の複合材などを使用できる。第1の切欠きと第2の切欠きとの間に形成された突起の端面は、平坦であることが好ましい。壁下地材は、化粧材を壁に設けることができれば特に限定されないが、たとえば石膏ボードなどが使用される。
【0022】
コーナー材の第2の切欠きに当接される裏当材は、出隅の場合には、壁下地材の厚さがコーナー材の突起先端の幅より大きいときに調整材として設けられる。入隅の場合には、コーナー材の突起先端と柱の表面の延長面との間に壁下地材が挿入できるようにする調整材として設けられる。第1の溝の底は、凹状に形成されるが、その形状は、たとえば円弧面、楕円面、その他の曲面の一部などとしても良い。
【0023】
第1の溝の底の表面に設ける軟質材は、弾力性を有する材料をはじめ、合成ゴム材や天然ゴム材あるいは気泡を有する発泡材や気泡を有しない未発泡材などで、たとえばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)、シリコン樹脂などの軟質合成樹脂材などである。
【0024】
第1の溝に軟質材を設ける方法は、たとえばホットメルト法、すなわちスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、シリコン樹脂などの熱可塑性樹脂を加熱溶融させたものを塗布または流し込みにより設けても良いし、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)やシリコン樹脂などを酢酸ビニル樹脂などの軟質材用接着剤で貼着して設けても良い。
【0025】
コーナー材の少なくとも露出する面には化粧シートを設けると良い。化粧シートは、曲げ易く耐久性のあるもの、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板、人工突板および不織布、紙、合成樹脂などのシートとしても良いし、可撓性を有する材料のシートに各種模様を印刷したものとしても良い。化粧シートとして用いる合成樹脂は、たとえばオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などとしても良い。さらに、化粧シートとして、上記合成樹脂シートの間に紙を挟んで圧着した複合シート、合成樹脂を含浸させた含浸紙なども利用できる。化粧シートの厚みは、たとえば0.05〜1mmの範囲である。
【0026】
略M字状に形成された第1の溝において、二つのV字状の小溝の夾角は少なくとも45度に等しいか大きくする。こうすると第1の溝のところで曲げられる角度は90度とすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコーナー材の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜10において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【0028】
図1は、本発明に係るコーナー材の第1実施形態を示す断面図である。第1実施形態のコーナー材1は、2点鎖線で示す断面略正方形の角材4の対角線上に位置する一方の相対向する角6の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠き9と、角材4の対角線上に位置する他方の相対向する角7のうち先端側(一方の側)の角8aに形成された円弧面11と、この他方の相対向する角7のうち後端側(他方の側)の角8bの横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠き13とを備える。
【0029】
さらに、二つの第1の切欠き9は互いに角7、7を結ぶ対角線を境にして対称形状に形成され、これら第1の切欠き9、円弧面11および第2の切欠き13は角材の長手方向全体にわたって形成される。また、第1の切欠き9と第2の切欠き13との間には突起15、15が形成される。
【0030】
第1の切欠き9の横断面形状はL字状になるが、このL字状を形成する二つの辺(または二つの面)のうちコーナー材の先端側に位置する先端側辺(先端側面)10aの幅B1は、出隅の場合、この第1の切欠き9に突き合わされる幅木などの化粧材の厚さtより大きくし、たとえば化粧材の厚さtプラス1〜3mmなどとする。また、この横断面において二つの辺のうち突起15側を形成する突起側辺(突起側面)10bの幅B2は、入隅の場合、化粧材の厚さtに略等しくするか若干大きくし、たとえば化粧材の厚さtプラス0.3mmなどとする。
【0031】
コーナー材1の先端側の面は、異物や人などが突き当たったときに双方に傷害を受けない形状であれば特に限定されないが、たとえば図1に示すように円弧面とし、この円弧面に意匠的な凹凸や溝を形成しても良い。さらに、第1の切欠き9と第2の切欠き13との間に形成された突起15、15の端面17、17は平坦とする。コーナー材1(または角材4)の材質は、木質繊維材(MDFなど)である。
【0032】
以上の構造を有する第1実施形態のコーナー材1は、次のように作用する。すなわち、図1において、第1の切欠き9は断面略正方形の角材4の対角線上に位置する角6に位置し、かつ角材の辺(面)に平行な面を持ち、L字状に切り欠かれた形状であるので、第1の切欠きの先端側面10aまたは後端側面10bに幅木などの化粧材の木口を突き当てることにより出隅または入隅に形成できる。また、第2の切欠き13は、他方の相対向する角7の横断面が正方形状に切り欠かれるので、2等辺の辺(面)を持ち、L字状に切り欠かれる。このL字状の切欠きに柱の角を押し当て、位置決めをすることができる。
【0033】
さらに、角材の他方の相対向する角7のうち、先端側の角8aは円弧面であるので、角張っておらず異物や人などの衝突による双方の傷害の危険性が小さい。また、コーナー材1を使用することにより、幅木などの化粧材は従来のように留めカットされる必要がないので、化粧材の加工がし易くなる。このようにして形成される壁の隅構造は、従来のように留めカットされた化粧材や壁下地材などの壁材が突き合わされる必要もないので、壁の出隅または入隅を施工する際の施工性が良い。
【0034】
図2は、第1実施形態のコーナー材1を使用した壁の出隅構造を示す斜視図である。第1実施形態のコーナー材1を使用した壁の出隅構造は、コーナー材1と、このコーナー材1に突き合わせされる幅木(化粧材)36と、コーナー材1の端面に突き合わせまたは当接される石膏ボード(壁下地材)42と、コーナー材1に当接される図示されていない柱(図3の符号46)とを備える。コーナー材1をはじめ、幅木36や石膏ボード42の少なくとも露出する面には化粧シートが設けられる。また、二つの石膏ボード42、42は留め結合されるが、これら石膏ボード42、42の木口下部は切り欠かれており、コーナー材1を避けている。
【0035】
上記化粧シートとしては、たとえば天然木材を切削して得られる天然突板、人工突板および不織布、紙、合成樹脂などのシートや、可撓性を有する材料のシートに各種模様を印刷したものなどが使用される。化粧シートとして用いる合成樹脂は、たとえばオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などである。
【0036】
さらに、化粧シートとして、上記合成樹脂シートの間に紙を挟んで圧着した複合シート、合成樹脂を含浸させた含浸紙なども利用できる。化粧シートの厚みは、たとえば0.06mmである。なお、コーナー材1の上面1aには意匠性を考慮して表面模様をつけた化粧シートやキャップを用い覆っても良い。また、コーナー材1の上面1aの円弧状縁を面取りして曲面を形成しても良い。なお、符号33は、コーナー材1の長手方向である。
【0037】
図3は、図2における平面Pで切断した断面図である。コーナー材1を使用した壁の出隅構造は、先に記したように、コーナー材1、このコーナー材1の第1の切欠き9に突き合わせされた幅木36、コーナー材1の第1の切欠き9と第2の切欠き13との間に形成された突起15の端面17に突き合わせされた石膏ボード42およびコーナー材1の第2の切欠き13に当接される柱46などで形成される。また、コーナー材の縁5と幅木36の表面との間に距離を設けて、いわゆる「散り」を設けると意匠的に好ましくなる。なお、先に記したように、石膏ボードの露出する表面43には化粧シートが設けられている。
【0038】
図4は、第1実施形態のコーナー材1を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。この壁の入隅構造は、柱46およびこれに添わせた二つの添柱48、48で形成された隅に設けられたもので、これら柱46および添柱48と、第1実施形態のコーナー材1と、二つの添柱48とコーナー材1との間に設けられた裏当材50と、コーナー材の第1の切欠きの後端側面10bに当接される幅木36と、コーナー材の突起の端面17と添柱48との間で裏当材50突き合わせられる石膏ボード42とで形成される。
【0039】
このように、裏当材50を調整材として設けることにより、コーナー材1と添柱48との間の空間に幅木36および石膏ボード42を設けることができ、壁の入隅構造を形成できる。図4における壁の入隅構造において、その他の構造と作用は、図3に示した壁の出隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0040】
図5は、第1実施形態のコーナー材1を使用した別の出隅構造を示す断面図である。コーナー材1の第2の切欠き13に当接される裏当材51は、石膏ボード42の厚さがコーナー材の突起端面17の幅より大きい場合の調整材として設けられる。出隅の場合、裏当材51の形状は、横断面がL字状で、裏当材51の端面木口は、突起の端面17位置から外側に突出しないように形成される。裏当材51の厚みは、石膏ボード42の厚みと突起の端面17の厚みとの差である。
【0041】
このようにすることにより、石膏ボード42の厚みが突起15の端面17の厚みより大きい場合であっても、石膏ボード42を設けることができる。図5における壁の出隅構造において、その他の構造と作用は、図3に示した壁の出隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0042】
図6は、本発明に係るコーナー材の第2実施形態を示す断面図である。図7は、第2実施形態のコーナー材2を曲げた状態の断面図である。第2実施形態のコーナー材2は、断面略矩形の角材18であって、この角材18の表側(一方の側)20の両角21の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠き24と、角材18の裏側(他方の側)22に開口する溝25とを備える。溝25は、この底が円弧状に形成された第1の溝26と、この第1の溝26に延在し90度の夾角を有する第2の溝27とを有する。
【0043】
さらに、第1の溝26は、円弧面およびその両縁に立ち上がる垂直面を有する。第1の溝26に対応する角材30は、曲げ可能であるように薄く形成され、角材30の両縁が最も厚く、中央が最も薄く形成される。さらに、第1の溝26の円弧面には軟質材34が設けられる。軟質材34の厚みは、両側が最も薄く、溝の中央が最も厚く設けられている。そして、切欠き24および溝25は角材18の長手方向(図6の紙面に垂直な方向)全体にわたって形成される。
【0044】
第1の溝26の表面に設ける軟質材34は、弾力性を有する材料をはじめ、合成ゴム材や天然ゴム材あるいは気泡を有する発泡材や気泡を有しない未発泡材などで、たとえばスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)、シリコン樹脂などの軟質合成樹脂材が含まれる。
【0045】
第1の溝26に軟質材34を設ける方法は、たとえばホットメルト法、すなわちスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、シリコン樹脂などの熱可塑性樹脂を加熱溶融させたものを塗布または流し込みにより設ける方法でも良いし、スチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)やシリコン樹脂などを酢酸ビニル樹脂などの軟質材用接着剤で貼着して設ける方法でも良い。
【0046】
以上の構造を有する第2実施形態のコーナー材2は、次のように作用する。すなわち、図6において、第1の溝26は円弧状に形成され、この第1の溝26に対応する角材30が曲げ可能であるように形成されるので、このコーナー材2を第1の溝26のところで曲げることにより、図7に示すように、第1の溝26に対応する角材30は曲面状に曲がる。さらに、第2の溝27は、第1の溝26に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材2を90度曲げることにより、90度の夾角を形成する面28は当接する。
【0047】
このとき、角材18の表側の両角21の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠き24は、上記当接面28を境に対称に位置し、二つの切欠き24は互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠き24に幅木などの化粧材を突き合わせることにより出隅または入隅を形成でき、先のコーナー材1と同様に、壁の出隅または入隅を形成する際の施工性が良い。また、コーナー材2の曲げられた部分は、曲面状に曲げられるので衝突などによる傷害の危険性がコーナー材または異物や人など双方にとって小さい。また、コーナー材2は、曲げる前は略板状の部材であり、これを束ねたものを運搬ないし輸送できるので、運搬ないし輸送の効率が良い。
【0048】
さらに、軟質材34の厚みが第1の溝26の両縁から第1の溝26の中央に向かって漸次厚くなるように設けられるので、第1の溝26のところで曲げられるときに角材30とともに軟質材34も曲げられる。このため第1の溝26に対応する角材30および軟質材34の局部的な曲げ応力が緩和されるとともに曲率半径が大きくなり滑らかな曲面に曲げられる。そして、曲げられたコーナー材2の形状は、凸曲面状に曲げられ、丸みのある隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。
【0049】
次に、第2実施形態のコーナー材2の製造方法について、図6、7を使用して説明する。コーナー材2の製造方法は、先ず断面略矩形の角材を準備し、その表面を切削して角材18を形成する。次に、角材18の表面側の両角21に、横断面が矩形状になるように切欠き24を切り欠く。さらに、角材の表面20側に溝19、裏面22側に第1の溝26および第2の溝27を形成する。この場合、溝19と第1の溝26との間に角材30が残るように切削される。次に、必要に応じて、成形した角材の表面側、特に溝19の表面および溝19と切欠き24との間の凸部23の表面に図示していない化粧シートを貼着する。そして、第1の溝26の表面に熱可塑性樹脂などの軟質材34を塗布または流し込む。
【0050】
ホットメルト法により熱可塑性樹脂の軟質材34を第1の溝26に塗布または流し込む際に注意すべき点は、ホットメルトの温度が高すぎないことである。ホットメルトの温度が高いと、軟質材34が第1の溝26に塗布または流し込まれたときに、これに近い化粧シートが熱で軟化し、皺やひずみを発生するので、軟質材34の塗布ないしし込み温度の管理を十分に行う。
【0051】
第2実施形態のコーナー材2は、角材18の裏側22に開口する溝25を備えることにより、溝25の第1の溝26に対応する角材30を曲面状に曲げることができるが、さらに、第1の溝26に軟質材34を設けることにより、第1の溝26に対応する角材30や、この角材30の表面に設ける化粧シートの物理的、機械的特性のバラツキを吸収し滑らかな曲面に曲げることができる。
【0052】
特に、角材18として中質繊維材(MDF)を使用し、この中質繊維材に溝25を形成することにより、中質繊維材の表裏層に比べ比重の低い中心層が溝25の表面に露出するので、先の軟質材34の密着(付着)強度を大きくする。また、中質繊維材は、方向性が無く、いずれの方向にも均質な材料であるので滑らかに曲げることが可能である。
【0053】
図6、7の第2実施形態のコーナー材2およびこれを使用した壁の隅構造において、その他の部分の構造と作用は、図1〜5に示した第1実施形態のコーナー材1およびこれを使用した壁の出隅構造または壁の入隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0054】
図8は、本発明に係るコーナー材の第3実施形態を示す断面図である。第3実施形態のコーナー材3は、断面略矩形の角材18であって、この角材18の表側(一方の側)20の両角21の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠き24と、角材18の裏側(他方の側)22に開口する溝25と、切欠き24が形成された角材の表側20に設けられた化粧シート44とを備える。溝25は略M字状に形成された第1の溝26と、この第1の溝26に延在し90度の夾角を有する第2の溝27とを有する。
【0055】
第1の溝26の二つの最下部26aは、化粧シート44の裏面に達するまで切り欠かれる。そして、切欠き24および溝25は角材18の長手方向(紙面に垂直な方向)全体にわたって形成される。化粧シート44は、コーナー材3が曲げられ出隅または入隅に使用された際の露出面に設けられるが、たとえば範囲Rに貼着される。第1の溝26の二つのV字状の溝の夾角は、45度に形成される。
【0056】
以上の構造を有する第3実施形態のコーナー材3は、次のように作用する。すなわち、図8において、第1の溝26は略M字状に形成され、この第1の溝の二つの最下部26aは、化粧シート44の裏面に達するまで切り欠かれる。そして、化粧シート44は可撓性を有するので、このコーナー材3を第1の溝26のところで曲げることにより第1の溝26に対応する角材の外側部分は平面(図9、10における符号29)となる。さらに、第2の溝27は、第1の溝26に延在し90度の夾角を有するので、コーナー材3を90度曲げることができ、90度の夾角を形成する面28は当接する。
【0057】
このとき、角材の表側の両角の切欠き24は、上記当接面28を境に線対称に位置し、二つの切欠き24は互いに90度のずれをもって位置しているので、これら二つの切欠き24に幅木を突き合わせることにより出隅または入隅を形成できる。先のコーナー材2と同様に、このコーナー材3を使用することにより壁の出隅または入隅を効率良く形成でき施工性が良い。
【0058】
また、コーナー材3の曲げられた部分は、平面29(図9、10)となるので異物や人の衝突による傷害の危険性が小さい。また、本コーナー材3は、運搬ないし輸送の際に、曲げる前の比較的平坦な部材の状態で重ねた束とすることにより、運搬ないし輸送の効率を良くすることができる。そして、曲げられたコーナー材3の形状は、多角状に曲げられた隅形状となり高級感のある出隅または入隅が得られる。
【0059】
次に、第3実施形態のコーナー材3の製造方法について、図8を使用して説明する。コーナー材3の製造方法は、先ず断面略矩形の角材を準備し、その表側の両角21に、横断面が矩形状になるように切欠き24を切り欠く。さらに、切欠き24を形成した角材の表側20で、所定の範囲Rに化粧シート44を貼着する。次に、角材18の裏面22側に第2の溝27を形成する。第2の溝27を形成した後、さらに第1の溝26を形成する。この場合、第1の溝26の最下部26aは、化粧シート44の裏面に達するまで切削される。このようにして、コーナー材3が製造される。
【0060】
図9は、第3実施形態のコーナー材3を使用した出隅構造を示す断面図である。コーナー材3を使用した壁の出隅構造は、コーナー材3、このコーナー材3の切欠き24の二辺(面)のうち先端側辺(または先端側面)24aに突き合わせされる幅木36およびコーナー材3の切欠き24と溝25との間に形成された突起31の端面32に突き合わせされる石膏ボード42および二つの突起31で形成されるL字状の凹み40に当接される柱46などで形成される。また、コーナー材の縁39と幅木36の表面との間に距離を設けて、いわゆる「散り」を設ければ意匠的に好ましい形状となる。なお、先に記したように、石膏ボードの表面43には化粧シートが設けられる。
【0061】
図10は、第3実施形態のコーナー材3を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。この壁の入隅構造は、柱46およびこれに添わせた二つの添柱48、48で形成された隅に設けられるもので、これら柱46および添柱48、第3実施形態のコーナー材3、切欠き24の二辺(面)のうち本体側辺(または本体側面)24bに突き合わせされる幅木36および石膏ボード42で形成される。突起31の端面32は添柱48に当接する。コーナー材3の凹み40と二つの添柱48の間には空間41が形成される。このように、突起31を幅木36の厚さと石こうボード42の厚さの和と等しい寸法にすることにより図4に示すような裏当材50を設けずに壁の入隅構造を形成できる。
【0062】
図8の第3実施形態のコーナー材3およびこれを使用した図9、10の壁の出隅構造または壁の入隅構造において、その他の部分の構造と作用は、図1〜5に示した第1実施形態のコーナー材1およびこれを使用した壁の隅構造と同じであるので、その説明を省略する。
【0063】
以上この発明を図示の実施形態について詳しく説明したが、それを以ってこの発明をそれらの実施形態のみに限定するものではなく、この発明の精神を逸脱せずして種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、壁の出隅と入隅の両方に使用でき、施工性の良い壁の隅構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコーナー材の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態のコーナー材を使用した壁の出隅構造を示す斜視図である。
【図3】図2における平面Pで切断した断面図である。
【図4】第1実施形態のコーナー材を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。
【図5】第1実施形態のコーナー材を使用した別の出隅構造を示す断面図である。
【図6】本発明に係るコーナー材の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】第2実施形態のコーナー材を曲げた状態の断面図である。
【図8】本発明に係るコーナー材の第3実施形態を示す断面図である。
【図9】第3実施形態のコーナー材を使用した出隅構造を示す断面図である。
【図10】第3実施形態のコーナー材を使用した壁の入隅構造を示す断面図である。
【図11】従来技術に係る壁の隅構造を示し、(A)は出隅構造の断面図、(B)は入隅構造の断面図である。
【符号の説明】
1、2、3 コーナー材
4 角材
6 一方の相対向する角
7 他方の相対向する角
9 第1の切欠き
11 円弧面(曲面)
13 第2の切欠き
18 角材
20 表側(一方の側)
22 裏側(他方の側)
24 切欠き
25 溝
26 第1の溝
27 第2の溝
30 第1の溝に対応する角材
33 長手方向
34 軟質材
36 幅木(化粧材)
42 石膏ボード(壁下地材)
44 化粧シート
46 柱
50、51 裏当材
Claims (3)
- 断面略正方形の角材であって、該角材の対角線上に位置する一方の相対向する角の横断面が矩形状に切り欠かれた第1の切欠きと、前記角材の対角線上に位置する他方の相対向する角のうち一方の側の角に形成された平面または凸状に形成された曲面と、該他方の相対向する角のうち他方の側の角の横断面が正方形状に切り欠かれた第2の切欠きとを備え、前記一方の相対向する二つの第1の切欠きは前記他方の相対向する角を結ぶ対角線を境にして線対称に形成され、該第1の切欠き、前記平面または曲面および前記第2の切欠きは前記角材の長手方向全体にわたって形成されてなるコーナー材。
- 断面略矩形の角材であって、該角材の一方の側の両角の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠きと、前記角材の他方の側に開口する溝とを備え、該溝は、該溝の底が凹状に形成された第1の溝と、該第1の溝に延在し90度の夾角を有する第2の溝とを有し、前記第1の溝に対応する前記角材が曲げ可能であるように形成され、前記切欠きおよび前記溝は前記角材の長手方向全体にわたって形成されてなるコーナー材。
- 断面略矩形の角材であって、該角材の一方の側の両角の横断面が矩形状に切り欠かれた切欠きと、前記角材の他方の側に開口する溝と、前記切欠きが形成された前記角材の前記一方の側に設けられた化粧シートとを備え、前記溝は略M字状に形成された第1の溝と、該第1の溝に延在し90度の夾角を有する第2の溝とを有し、前記第1の溝の二つの最下部は前記化粧シートの裏面に達するまで切り欠かれ、前記切欠きおよび前記溝は前記角材の長手方向全体にわたって形成されてなるコーナー材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328725A JP2004162347A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | コーナー材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328725A JP2004162347A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | コーナー材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004162347A true JP2004162347A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32806950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002328725A Pending JP2004162347A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | コーナー材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004162347A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101579725B1 (ko) * | 2015-03-23 | 2015-12-23 | 김범진 | 석고보드용 코너비드 |
JP2020197101A (ja) * | 2019-06-05 | 2020-12-10 | チヨダウーテ株式会社 | 面材、入隅構造、入隅の作製方法及び面取りの形成方法 |
JP7496764B2 (ja) | 2020-11-19 | 2024-06-07 | 株式会社ノダ | 付け框出隅用コーナー部材およびその使用方法 |
-
2002
- 2002-11-12 JP JP2002328725A patent/JP2004162347A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101579725B1 (ko) * | 2015-03-23 | 2015-12-23 | 김범진 | 석고보드용 코너비드 |
JP2020197101A (ja) * | 2019-06-05 | 2020-12-10 | チヨダウーテ株式会社 | 面材、入隅構造、入隅の作製方法及び面取りの形成方法 |
JP7239396B2 (ja) | 2019-06-05 | 2023-03-14 | チヨダウーテ株式会社 | 面材、入隅構造、入隅の作製方法及び面取りの形成方法 |
JP7496764B2 (ja) | 2020-11-19 | 2024-06-07 | 株式会社ノダ | 付け框出隅用コーナー部材およびその使用方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004162347A (ja) | コーナー材 | |
JP4025145B2 (ja) | 縁材 | |
JP4025149B2 (ja) | 縁材 | |
JP2002106154A (ja) | 床 材 | |
JP3132917U (ja) | 目地ジョイナーの施工構造 | |
JP2004060153A (ja) | 養生ボード及び床面の養生方法 | |
JPH06158832A (ja) | 床 板 | |
JP3847616B2 (ja) | 木質扉 | |
JP2004092316A (ja) | 縁材 | |
JP2006316404A (ja) | 板材による平面構造 | |
JP2004076254A (ja) | 縁部材 | |
JP2009119603A (ja) | 化粧材の製造方法,及び化粧材 | |
JP3132916U (ja) | 目地ジョイナー | |
JP2007237703A (ja) | 化粧板及び建具 | |
JP2572796Y2 (ja) | 床 材 | |
JP4617067B2 (ja) | 扉体 | |
JP2008161506A (ja) | 棚板部材 | |
JPS5924754Y2 (ja) | 化粧板 | |
JP2572795Y2 (ja) | 床 材 | |
JPH0514994Y2 (ja) | ||
JP2004050255A (ja) | 複合板の加工方法 | |
JP2004011178A (ja) | 出隅構造 | |
JPH02190561A (ja) | 床材 | |
JP2005144740A (ja) | 出隅部幅木材 | |
JP2004270316A (ja) | 玄関框の表装方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20051028 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20080325 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080722 |