JP2004161995A - グラフト重合法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合開始層におけるグラフト重合開始機能の低下を防止し、強固なグラフト構造を形成することができるグラフト重合法を提供することを目的とする。
【解決手段】支持体上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程と、
該重合開始層に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、輻射線を照射することにより、該化合物を前記重合開始層に結合させる工程と、
を有することを特徴とするグラフト重合法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はグラフト重合法に関し、特に、全ての高分子鎖が重合開始層に直接結合しているグラフト構造を形成することができるグラフト重合法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のグラフト重合法では、主に、有機基板に、プラズマ、γ線、EBなどを照射し形成される活性点を用いてグラフト化する方法が多く用いられている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法では、プラズマ、γ線、EB発生装置などの大掛かりな装置を必要としており、より簡易なグラフト重合法が望まれていた。
この問題を解決する手段として、UV照射を用いてグラフト重合反応を行う手法が提案されている。その手法としては、例えば、ガラス基板や反応性基を表面に有する有機基板上に、基板表面と反応し化学結合する官能基を有する開始剤を反応させ、開始基を表面に固定化し、この基板にUV照射を行いグラフト重合する方法がある。例えば、開始剤がペンダントされた末端シランカップリング剤とガラス基板とを反応させゾル−ゲル層を形成することにより、開始剤で表面修飾されたガラス基板を作製し、このガラス基板をモノマー溶液に浸漬、UV照射によりグラフト重合反応を行う方法が挙げられる(例えば、非特許文献1参照。)。
しかし、上記した手法では、基板に開始剤を固定化する際、固体表面との反応になるため、反応性が低く、開始剤の導入が難しいという課題を有していた。
【0003】
この課題を解決するために、基板表面に重合開始層を設ける方法が提案されている。その手法としては、開始剤、ポリマーからなる重合開始層を設け、グラフト重合反応をする方法(特許文献1)、開始剤、多官能モノマーからなる重合開始層を設け、グラフト重合反応をする方法(特許文献2)、開始基をペンダントしたポリマーからなる重合開始層を設け、グラフト重合反応をする方法(特許文献3及び4)がある。
本発明者らがこれらのグラフト重合反応を検討したところ、用いた重合開始層の膜性が低いため、例えば、グラフト重合の際に疎水性モノマーを用いる場合、その重合開始層中の開始剤や開始剤の機能を有するポリマーが、接触する疎水性モノマー溶液中に溶け出してしまい、その結果、疎水性モノマー溶液中で重合反応が起こり、重合開始層の表面で、該重合開始層と結合していないホモポリマーが副生してしまうという問題を有していた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭53−17407号公報
【特許文献2】
特開2000−80189号公報
【特許文献3】
特開平10−17688号公報
【特許文献4】
特開平11−43614号公報
【非特許文献1】
角岡正弘著,「表面」,vol.32,No.3,1994,
広信社,平成6年3月1日,p.190−196
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、重合開始層中の開始剤のモノマー溶液への溶出を防止し、全ての高分子鎖が重合開始層に直接化学結合しているグラフト構造を形成することができるグラフト重合法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、下記に示す手段により上記目的が達成されることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のグラフト重合法は、支持体上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程と、
該重合開始層に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、輻射線を照射することにより、該化合物を前記重合開始層に結合させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0008】
上記重合開始層を形成する工程においては、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーの架橋反応による固定化が、架橋剤を用いた架橋反応により行なわれることが好ましい。さらに、かかる架橋剤を用いた架橋反応は、50℃以上300℃以下の温度条件下で行なわれることが好ましい。
【0009】
本発明の作用は明確ではないが、重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化した重合開始層は、その強固な架橋構造により、グラフト重合に用いる重合可能な官能基を有する化合物を含有する溶液を接触させた際に、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分が溶出することを防止することができると思われる。その結果、所定の領域において、全ての高分子鎖の末端が重合開始層に直接化学結合しているグラフト構造(グラフトポリマー)のみが生成することになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のグラフト重合法について詳細に説明する。
本発明のグラフト重合法は、支持体上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程(以下、重合開始層形成工程と称する。)と、該重合開始層に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、輻射線を照射することにより、該化合物を前記重合開始層に結合させる工程(以下、グラフト形成工程と称する。)と、を有することを特徴とする。また、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーの架橋反応による固定化は、架橋剤を用いた架橋反応により行なわれることが好ましい
【0011】
<重合開始層形成工程>
まず、本工程において用いられる側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(以下、適宜、特定重合開始ポリマー)について説明する。
この特定重合開始ポリマーは、重合開始能を有する官能基(以下、適宜、重合開始基と称する。)を有する共重合成分と、架橋性基を有する共重合成分と、を含む共重合体であることが好ましい。
【0012】
本発明により形成される重合開始層は、上記のごとく、特定重合開始ポリマーを含んで構成され、該特定重合開始ポリマーは、重合開始基がポリマー鎖に結合しており、かつ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された態様を有していることを特徴とする。本発明においては、このように重合開始層の表面にグラフトポリマーを生成させることから、後述するグラフト形成工程において、重合性基を有する化合物を含有する溶液を接触させた場合に、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分(重合開始能を有する成分)が溶出することを防止することができる。また、重合開始層の形成に際しては、通常のラジカルによる架橋反応のみならず、極性基間の縮合反応や付加反応を使用することも可能であるため、より強固な架橋構造を得ることができる。その結果、重合開始層中の開始剤成分が溶出することをより効率良く防止することができ、重合開始層表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられることにより、重合開始層表面には直接結合したグラフトポリマーのみが生成されることになる。
以下、特定重合開始層ポリマーを構成する各成分について詳細に説明する。
【0013】
〔重合開始能を有する官能基を有する共重合成分〕
特定重合開始ポリマーを構成する重合開始基を有する共重合成分としては、以下の重合開始能を有する構造がペンダントされた、ラジカル、アニオン、又はカチオン重合可能な重合性基からなることが好ましい。即ち、この共重合成分は、分子内に、重合可能な重合性基と、重合開始能を有する官能基と、が共に存在する構造を有する。
重合開始能を有する構造としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0014】
(a)芳香族ケトン類
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
【0015】
【化1】
Figure 2004161995
【0016】
中でも、特に好ましい(a)芳香族ケトン類の例を以下に列記する。
特公昭47−6416記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0017】
【化2】
Figure 2004161995
【0018】
特公昭47−22326記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0019】
【化3】
Figure 2004161995
【0020】
特公昭47−23664記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0021】
【化4】
Figure 2004161995
【0022】
特公昭60−26403、特開昭62−81345記載のベンゾインエーテル類、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0023】
【化5】
Figure 2004161995
【0024】
特公平1−34242、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0025】
【化6】
Figure 2004161995
【0026】
特開平2−211452記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0027】
【化7】
Figure 2004161995
【0028】
特開昭61−194062記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0029】
【化8】
Figure 2004161995
【0030】
特公平2−9597記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0031】
【化9】
Figure 2004161995
【0032】
特公平2−9596記載のアシルホスフィン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0033】
【化10】
Figure 2004161995
【0034】
また、特公昭63−61950記載のチオキサントン類、特公昭59−42864記載のクマリン類等を挙げることもできる。
【0035】
(b)オニウム塩化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0036】
【化11】
Figure 2004161995
【0037】
一般式(1)中、Ar1とAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z2-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
【0038】
一般式(2)中、Ar3は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z3-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
【0039】
一般式(3)中、R23、R24及びR25は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z4-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
【0040】
本発明において、好適に用いることのできる(b)オニウム塩化合物の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]、特開2001−305734号公報の段落番号[0048]〜[0052]、及び、特開2001−343742公報の段落番号[0015]〜[0046]に記載されたものなどを挙げることができる。
【0041】
(c)有機過酸化物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリーブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0042】
これらの中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましく用いられる。
【0043】
(d)チオ化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
【0044】
【化12】
Figure 2004161995
【0045】
(一般式(4)中、R26はアルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、R27は水素原子又はアルキル基を示す。また、R26とR27は、互いに結合して酸素、硫黄及び窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。)
上記一般式(4)におけるアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。また、アリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R27は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
【0046】
【表1】
Figure 2004161995
【0047】
(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0048】
(f)ケトオキシムエステル化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0049】
(g)ボレート化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0050】
【化13】
Figure 2004161995
【0051】
(一般式(5)中、R28、R29、R30及びR31は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアルキニル基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示し、R28、R29、R30及びR31はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R28、R29、R30及びR31のうち、少なくとも1つは置換若しくは非置換のアルキル基である。(Z5+はアルカリ金属カチオン又は第4級アンモニウムカチオンを示す。)
【0052】
上記R28〜R31のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば、−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくは、フェニル基)、ヒドロキシ基、−COOR32(ここでR32は、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、−OCOR33又は−OR34(ここでR33、R34は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、及び下記式で表されるものを置換基として有するものが含まれる。
【0053】
【化14】
Figure 2004161995
【0054】
(式中、R35、R36は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)
【0055】
上記R28〜R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。上記R28〜R31のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ、置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。上記R28〜R31のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R28〜R31の複素環基としてはN、S及びOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物及び以下に示すものが挙げられる。
【0056】
【化15】
Figure 2004161995
【0057】
(h)アジニウム化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号並びに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0058】
(i)活性エステル化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(i)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
【0059】
(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から(12)のものを挙げることができる。
【0060】
【化16】
Figure 2004161995
【0061】
上記一般式(6)で表される化合物。
(一般式(6)中、X2はハロゲン原子を表わし、Y1は−C(X23、−NH2、−NHR38、−NR38、−OR38を表わす。ここでR38はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。また、R37は−C(X23、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表わす。)
【0062】
【化17】
Figure 2004161995
【0063】
上記一般式(7)で表される化合物。
(一般式(7)中、R39は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、X3はハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
【0064】
【化18】
Figure 2004161995
【0065】
上記一般式(8)で表される化合物。
(一般式(8)中、R40は、アリール基又は置換アリール基であり、R41は、以下に示す基又はハロゲンであり、Z6は−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO2−である。また、X3はハロゲン原子であり、mは1又は2である。)
【0066】
【化19】
Figure 2004161995
【0067】
(式中、R42、R43はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じである。)
【0068】
【化20】
Figure 2004161995
【0069】
上記一般式(9)で表される化合物。
(一般式(9)中、R45は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R46は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。)
【0070】
【化21】
Figure 2004161995
【0071】
上記一般式(10)で表わされるトリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
(一般式(10)中、L7は水素原子又は式:CO−(R47)q(C(X43)rの置換基であり、Q2はイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R基であり、M4は置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、X4は塩素、臭素又はヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)
【0072】
【化22】
Figure 2004161995
【0073】
上記一般式(11)で表わされる4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
(一般式(11)中、X5はハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R49は水素原子又はCH3-t5 t基であり、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)
【0074】
【化23】
Figure 2004161995
【0075】
上記一般式(12)で表わされる2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
(一般式(12)中、X6はハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R51は水素原子又はCH3-v6 v基であり、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)
【0076】
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、例えば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0077】
【化24】
Figure 2004161995
【0078】
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。更に特開昭62−58241号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0079】
【化25】
Figure 2004161995
【0080】
更に、特開平5−281728号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0081】
【化26】
Figure 2004161995
【0082】
或いは更に、M.P.Hutt、E.F.Elslager及びL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0083】
【化27】
Figure 2004161995
【0084】
(k)ピリジウム類化合物
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(k)ピリジウム類化合物の例としては、下記一般式(13)で表される化合物を挙げることができる。
【0085】
【化28】
Figure 2004161995
【0086】
(一般式(13)中、好ましくは、R5は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、又は置換アルキニル基を表し、R6、R7、R8、R9、R10は同一であっても異なるものであってもよく、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機残基を表し、少なくとも一つは、下記一般式(14)で表される構造の基を有する。また、R5とR6、R5とR10、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに結合して環を形成してもよい。更に、Xは対アニオンを表す。mは1〜4の整数を表す。)
【0087】
【化29】
Figure 2004161995
【0088】
(一般式(14)中、R12、R13はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基又は置換アルキニル基を表し、R11は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基又は置換アミノ基を表す。また、R12とR13、R11とR12、R11とR13が互いに結合して環を形成してもよい。Lはヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。)
【0089】
一般式(13)におけるR5、R6、R7、R8、R9は、より好ましくは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスフォノ基、置換ホスフォノ基、ホスフォナト基、シアノ基、ニトロ基、シリル基のいずれかであるものを使用することができる。また、R5とR6、R5とR10、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに結合して環を形成してもよい。
【0090】
次に、一般式(13)における、R5の好ましい例について詳述する。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、又は置換アルキニル基の好ましい例を以下に示す。
【0091】
アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0092】
置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(allyl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(allyl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oallyl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0093】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
【0094】
上述のアシル基(R4CO−)としては、R4が水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
【0095】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
【0096】
好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、
【0097】
【化30】
Figure 2004161995
【0098】
ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0099】
アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0100】
置換アリール基は、置換基がアリール基に結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0101】
これらの置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0102】
アルケニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては
【0103】
【化31】
Figure 2004161995
【0104】
等を挙げることができる。
アルキニル基としては、上述のものを挙げることができる。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
【0105】
次に、一般式(13)におけるR6、R7、R8、R9、R10のうちの、一般式(14)で表される構造以外の好ましい例について詳述する。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましい。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基の好ましい例としては、前述のR5の例として挙げたものを挙げることができる。
【0106】
置換オキシ基(R14O−)としては、R14が水素を除く一価の非金属原子団であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、並びにアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基並びに、アリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R15CO−)としては、R15が、先に挙げたアルキル基、置換アルキル基、アリール基並びに置換アリール基のものを挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基がより好ましい。
【0107】
好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメチルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基等が挙げられる。
【0108】
置換チオ基(R16S−)としてはR16が水素原子を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシルチオ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルチオ基におけるアシル基(R15CO−)のR15は前述のとおりである。これらの中ではアルキルチオ基、並びにアリールチオ基がより好ましい。好ましい置換チオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキシカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0109】
置換アミノ基(R17NH−、(R18)(R19)N−)としては、R17、R18、R19が水素原子を除く一価の非金属原子団のものを使用できる。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基におけるアシル基(R15CO−)のR15は前述のとおりである。
【0110】
これらのうち、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
【0111】
置換カルボニル基(R20−CO−)としては、R20が一価の非金属原子団のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N−N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。
【0112】
これらのうち、より好ましい置換基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N’,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基が挙げられ、更により好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基並びにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
【0113】
置換スルフィニル基(R21−SO−)としてはR21が一価の非金属原子団のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらのうち、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が挙げられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
【0114】
置換スルホニル基(R25−SO2−)としては、R25が一価の非金属原子団のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0115】
スルホナト基(SO3 -)は前述のとおり、スルホ基(−SO3H)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、並びに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0116】
置換ホスホノ基とはホスホノ基上の水酸基の一つ若しくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキルホスホノ基、並びにジアリールホスホノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
【0117】
ホスホナト基(−PO3 2-、−PO3-)とは前述のとおり、ホスホノ基(−PO32)の、酸第一解離若しくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、並びに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0118】
置換ホスホナト基とは前述の置換ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl)の共役塩基を挙げることができる。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、並びに金属イオン類(Na+、K+、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0119】
シリル基((R23)(R24)(R25)Si−)としては、R23、R24、R25が一価の非金属原子団のものを使用できるが、好ましい例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基のものを挙げることができる。好ましいシリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0120】
以上に、挙げたR6、R7、R8、R9、R10の例の内、より好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、シアノ基が挙げられ、更により好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換カルボニル基を挙げることができる。
【0121】
次に、R5とR6、R5とR10、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに結合して環を形成する場合の例を示す。このような例としては、R5とR6、R5とR10、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに結合して飽和、若しくは不飽和の脂肪族環を形成するものを挙げることができ、好ましくは、これが結合している炭素原子と共同して、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環を形成するものを挙げることができる。更に、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。また、これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く(置換基の例としては、先にR8、R11の例として挙げた、置換アルキル基における置換基の例を挙げることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。また更に、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していてもよい。これらの好ましい具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロ−1,3−ジオキサペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロ−1,3−ジオキサペンテン環、シクロ−1,3−ジオキサヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゾシクロヘキセン環、ベンゾシクロヘキサシエン環、テトラヒドロピラノン環等を挙げることができる。
【0122】
次に、R6とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに結合して芳香族環を形成する例としては、これらが結合する炭素原子を含むピリジン環と協同して、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン環、フェナントリジン環、ベンズキノリン環、ベンズイソキノリン環をなすものを挙げることができ、より好ましくはキノリン環をなすものが挙げられる。また、これらは構成する炭素原子上に置換基を有していてもよい(置換基の例としては、前述の置換アルキル基上の置換基を挙げることができる)。
【0123】
次に、一般式(14)におけるR12、R13の好ましい例について詳述する。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましい。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、並びに置換アルキニル基の好ましい例としては、前述のR5の例として挙げたものを挙げることができる。R12、R13のより好ましいものは、水素原子、アルキル基である。
【0124】
次に、一般式(14)におけるR11の好ましい例について詳述する。アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、並びに置換アミノ基の好ましい例としては、前述のR5、R6、R7、R8、R9、R10の例として挙げたものを挙げることができる。R11のより好ましいものは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基である。
【0125】
また、R12とR13、R11とR12、R11とR13が互いに結合して飽和又は不飽和の脂肪族環を形成してもよく、好ましくは、これが結合している炭素原子と共同して、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環を形成するものを挙げることができる。更に、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。また、これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していてもよく(置換基の例としては、先に挙げた、置換アルキル基における置換基の例を挙げることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。また更に、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していてもよい。これらの好ましい具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロ−1,3−ジオキサペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロ−1,3−ジオキサペンテン環、シクロ−1,3−ジオキサヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゾシクロヘキセン環、ベンゾシクロヘキサジエン環、ペルヒドロピラノン環等を挙げることができる。
【0126】
次に、一般式(14)におけるLについて説明する。Lはヘテロ原子を含む2価の連結基を表し、具体的には以下の部分構造を有するものである。
【0127】
【化32】
Figure 2004161995
【0128】
ここで、「以下の部分構造を有する」とは、連結基、或いは末端基としてのLが上記部分構造を少なくとも1つ有することを意味し、上記部分構造を複数有するものであってもよい。従って、Lは、上記部分構造自体であってもよく、更にこれらを複数個連結した基、或いは、上記部分構造と他の炭化水素基等をとを連結した基等であってもよい。特に好ましいLの具体例としては、以下に示す構造が挙げられる。
【0129】
【化33】
Figure 2004161995
【0130】
次に、一般式(13)における対アニオンXm-の好ましい例について詳述する。Xm-の好ましい例としては、ハロゲン化物イオン(F-、Cl-、Br-、I-)、スルホン酸イオン、有機ホウ素アニオン、過塩素酸イオン(ClO4 -)並びに一般式(a)又は(b)で表されるアニオンが挙げられる。
【0131】
MXr (a)
MXr-1(OH) (b)
(一般式(a)、(b)中、Mは、ホウ素原子、リン原子、砒素原子、又はアンチモン原子を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、rは4〜6の整数を表す。)
【0132】
スルホン酸イオンの好ましい例としては、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン(TsO−)、p−スチレンスルホン酸イオン、β−ナフトキノン−4−スルホン酸イオン、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸イオン、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸イオン、アントラキノン−1−スルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、キノリン−8−スルホン酸イオン、ヒドロキノンスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、1−ナフタレンスルホン酸イオン、2−ナフタレンスルホン酸イオン、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸イオン、2−ナフトール−6−スルホン酸イオン、ジブチルナフタレンスルホン酸イオン、ナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸イオン、m−ベンゼンジスルホン酸イオン、p−フェノールスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸イオン、4−アセチルベンゼンスルホン酸イオン、4−ニトロトルエン−2−スルホン酸イオン、o−ベンズアルデヒドスルホン酸イオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン、ベンズアルデヒド−2,4−ジスルホン酸イオン、メシチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、クロロスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸イオン等が挙げられる。
【0133】
以下に、一般式(13)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0134】
【表2】
Figure 2004161995
【0135】
【表3】
Figure 2004161995
【0136】
【表4】
Figure 2004161995
【0137】
【化34】
Figure 2004161995
【0138】
【化35】
Figure 2004161995
【0139】
【表5】
Figure 2004161995
【0140】
【表6】
Figure 2004161995
【0141】
【表7】
Figure 2004161995
【0142】
【表8】
Figure 2004161995
【0143】
【表9】
Figure 2004161995
【0144】
これらの重合開始能を有する構造の中でも、下記に示す構造を有する芳香族ケトン類やトリアジン類が重合性基にペンダントされていることが好ましい。また、好ましい芳香族ケトン類としては、イルガキュア184などの市販品も使用することができる。
【0145】
【化36】
Figure 2004161995
【0146】
また、このような重合開始能を有する構造は、1種のみが重合性基にペンダントされていてもよいし、2種以上がペンダントされていてもよい。
【0147】
これらの重合開始能を有する構造をペンダントする重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基などラジカル、アニオン、カチオン重合できる重合性基があげられる。中でも、特に好ましいのは合成のしやすさよりアクリル基、メタクリル基が好ましい。
【0148】
本発明における重合開始能を有する官能基を有する共重合成分の具体例としては、以下に示す構造のモノマーが挙げられる。
【0149】
【化37】
Figure 2004161995
【0150】
〔架橋性基を有する共重合成分〕
本発明における特定重合開始ポリマーを構成する架橋性基を有する共重合成分としては、例えば、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知の架橋性基(架橋反応に用いられる構造を有する官能基)がペンダントされた、ラジカル、アニオン、又はカチオン重合可能な重合性基からなることが好ましい。即ち、この共重合成分は、分子内に、重合可能な重合性基と、架橋性基と、が共に存在する構造を有する。
【0151】
これらの従来公知の架橋性基の中でも、カルボン酸基(−COOH)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH2)、イソシアネート基(−NCO)が重合性基にペンダントされていることが好ましい。
また、このような架橋性基は、1種のみが重合性基にペンダントされていてもよいし、2種以上がペンダントされていてもよい。
【0152】
これらの架橋性基をペンダントする重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基などラジカル、アニオン、カチオン重合できる重合性基があげられる。中でも、特に好ましいのは合成のしやすさよりアクリル基、メタクリル基が好ましい。
【0153】
本発明における架橋性基を有する共重合成分の具体例としては、以下に示す構造のモノマーが挙げられる。
【0154】
【化38】
Figure 2004161995
【0155】
〔その他の共重合成分〕
本発明における特定重合開始ポリマーには、皮膜形成性、親/疎水性、溶媒溶解性、重合開始性などを調整するために、以下に示すような第3の共重合成分を用いてもよい。
この第3の共重合成分としては、ラジカル、アニオン、又はカチオン重合可能な化合物ならいかなる化合物も用いることができる。重合性などを考慮すれば、好ましいのは、炭素数が1〜20までのアルキル基がペンダントされた、アクリル、メタクリルモノマーが好ましい。また、この際、アルキル基としては、UV露光により、より多くの活性種を発生させるために、第3級水素を有するアルキル基が好ましい。また、アルキル基は、いかなる置換基で置換されていてもよいが、重合開始層の耐溶剤性を向上させる観点からは、4級アンモニウム塩構造を有する置換基で置換されていることが好ましい。
【0156】
本発明における特定重合開始ポリマーにおいて、重合開始基を有する共重合成分(A)と、架橋性基を有する共重合成分(B)と、の共重合モル比としては、(A)が1〜40モル%、かつ、(B)が20〜70モル%であることが好ましくい。グラフト重合反応や架橋反応後の重合開始層の膜性の観点からは、(A)が5〜30モル%、かつ、(B)30〜60モル%であることがより好ましい。
【0157】
本発明における特定重合開始ポリマーの重量平均分子量は、1万〜1000万であることが好ましく、1万〜500万であることがより好ましく、10万〜100万であることが更に好ましい。本発明における特定重合開始ポリマーの重量平均分子量が1万より小さいと、重合開始層がモノマー溶液に溶解しやすくなる場合がある。
【0158】
これら上述の共重合成分を、共重合させることで本発明における特定重合開始ポリマーを合成することができる。また、共重合体を合成するには、いかなる重合方法をも用いることができるが、重合反応の簡便さの観点からは、ラジカル重合反応を利用することが好ましい。この際、ラジカル重合反応を引き起こすためのラジカル発生剤としては、熱でラジカルを発生させる化合物が好ましい。
以上、本発明における特定重合開始ポリマーについて説明したが、特定重合開始ポリマーが共重合により合成されることに限定されるわけではなく、例えば、側鎖に重合開始基を有するポリマーを合成し、その後、そのポリマー内に、適量の架橋性基を導入することで、本発明における特定重合開始ポリマーを合成してもよい。また、重合開始基と架橋性基とを共に有する1つのモノマーユニットを重合して、本発明における特定重合開始ポリマーを合成してもよい。
なお、モノマーの入手し易さ等を考慮すると、本発明における特定重合開始ポリマーとしては、重合開始基と架橋性基とを、それぞれ異なるモノマーユニット中に含むものを共重合する態様であることが好ましい。
【0159】
〔特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層〕
重合開始層形成工程において、特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化する方法としては、特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用するの方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用するの方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
【0160】
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
特定重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH2,多価イソシアネート)、(−NH2,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
【0161】
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
【0162】
【化39】
Figure 2004161995
【0163】
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の特定重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
【0164】
【化40】
Figure 2004161995
【0165】
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、特定重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。架橋剤の添加量がこの上限値より少ない場合、架橋度合が低くなり、重合開始層がモノマー溶液に溶解しやすくなる。また、架橋剤の添加量がこの上限値より多い場合、未反応の架橋成分が重合開始層中に残留し、モノマー溶液に溶出するなどして重合反応に悪影響を与える。
【0166】
〔支持体〕
本発明において用いられる支持体としては、特に制限はなく、寸度的に安定な板状物であり、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用できるが、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。本発明に用いられる支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリイミド又はアルミニウム板が好ましい。更に、アルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムも好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10重量%以下であることが好ましい。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0167】
〔重合開始層の成膜〕
本工程においては、上述の特定重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を支持体上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。
【0168】
(溶媒)
重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の特定重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0169】
重合開始層の塗布量は、乾燥後の重量で、0.1〜20g/m2が好ましく、更に、1〜15g/m2が好ましい。塗布量0.lg/m2未満では十分な重合開始能を発現できず、グラフト重合が不十分となり、所望の強固なグラフト構造が得られない懸念があり、塗布量が20g/m2を超えると膜性が低下する傾向になり、膜剥がれを起こしやすくなるため、いずれも好ましくない。
【0170】
<グラフト形成工程>
本工程では、重合開始層に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、輻射線を照射することにより、該化合物を前記重合開始層に結合させる。その結果、前記重合開始層形成工程によって形成された重合開始層上にグラフト構造を形成される。
〔グラフト重合〕
本発明に係るグラフト形成工程は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に結合及び重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。また、本発明におけるグラフト重合は、高分子化合物鎖上に活性種に、所望のポリマーを結合させてなるグラフト重合体をも含むものである。本発明においては、活性種が与えられる高分子化合物が、上述の特定重合開始ポリマーとなる。なお、この高分子化合物に活性種を与える手段としては、UV光等の輻射線を照射する手段が挙げられ、これによりエネルギーが付与され、活性種が生成する。
【0171】
本発明を実施するための表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、P135には、表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線等の放射線照射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、特開平11−119413号公報、及び特開2000−80189号公報に記載の方法を使用することができる。プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法においては、上記記載の文献、及びY.Ikada et al,Macromolecules vol.19、page1804(1986)などに記載の方法を適用することができる。
具体的には、上記重合開始層の表面を、UV光、プラズマ、若しくは、電子線にて処理して表面にラジカルを発生させ、その後、その活性表面と所望の機能性官能基を有する重合可能な官能基を有する化合物とを反応させることにより、該重合開始層と該化合物とが直接結合しているグラフト構造(グラフト重合体)を得ることができる。これらの中でも、露光の容易性を考慮すると、UV光による露光を適用することが好ましい。
【0172】
このグラフト構造を形成するのに有用な重合可能な官能基を有する化合物は、重合可能な2重結合を少なくとも1つ有し、必要に応じて、所望の機能性官能基を有していることが好ましい。このような重合可能な官能基を有する化合物としては、分子内に2重結合を有していれば、ポリマーでも、オリゴマーでも、モノマーでも、これらいずれの化合物をも用いることができる。
【0173】
本発明において、例えば、形成されたグラフト構造が親水性を示すようにするためには、2重結合及び親水性基を有する親水性化合物を用いればよい。ここで、好適に用いられる親水性化合物としては、以下に示すような親水性モノマーや親水性マクロマー、更には、親水性ポリマーが挙げられる。
【0174】
より具体的には、本発明において用いられる親水性モノマーとは、重合可能な2重結合を有すると共に、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離し得る酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基、などの非イオン性の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
【0175】
本発明において、特に有用な親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン酸塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、などを使用することができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
【0176】
本発明において、特に有用な親水性マクロマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系マクロマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の水酸基含有モノマーから誘導されるマクロマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等のアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロマーである。また、ポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロマーのうち有用な分子量は、重合性基の反応性の観点からは、400〜10万の範囲が好ましく、より好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2万の範囲である。
【0177】
また、本発明において、例えば、形成されたグラフト構造が疎水性を示すようにするためには、2重結合及び疎水性基を有する疎水性化合物を用いればよい。ここで、好適に用いられる疎水性化合物としては、以下に示すような親水性モノマーや、親水性マクロマー及び親水性ポリマーが挙げられる。
【0178】
より具体的には、本発明において用いられる疎水性モノマーとしては、種々のものが挙げられるが、重合可能な2重結合を有すると共に、特に以下のような疎水性官能基を持った疎水性モノマーが好適に使用できる。
その疎水性官能基としては、アルキル基、置換アルキル基、特開平10−282672号公報記載のアルキルスルホン酸エステル、ジスルホン,スルホンイミド、EP0652483、WO92/9934記載のアルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macrornolecules,vol.21,pp.1477記載のt−ブチルエステル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルなどを挙げることができる。ただし、本発明は、これらの官能基に限定される訳ではない。
【0179】
また、疎水性官能基としては、下記一般式(I)で表されるアルコキシアルキルエステル基も使用することができる。
【0180】
【化41】
Figure 2004161995
【0181】
(一般式(I)中、R3は水素原子を表し、R4は水素原子又は炭素数18個以下のアルキル基を表し、R5は炭素数18個以下のアルキル基を表す。また、R3、R4及びR5の内の2つが結合して環を形成してもよい。特に、R4及びR5が結合して5又は6員環を形成することが好ましい。)
前記一般式(I)で表される疎水性官能基の具体例(1)〜(4)を以下に示す。
【0182】
【化42】
Figure 2004161995
【0183】
本発明においては、上述のようにグラフト鎖となるモノマーやマクロマーなどに種々の機能性官能基を持たせることで、所望のグラフト重合体(グラフト構造)を形成することができる。
また、このような本発明のグラフト重合法によれば、グラフト重合体に求められる特定に関らず、全ての高分子鎖の末端が支持体上に結合しているグラフト構造を形成することができる。本発明のグラフト重合法により形成されたグラフト重合層を有する支持体は、画像形成材料、パターン形成材料、平版印刷版原版などの固体担持体(支持体)として好適である。その他の用途としては、電気配線基板、ガスバリア膜、導電膜、電磁波防止膜、防曇性膜などの固体担持体(支持体)が挙げられる。
【0184】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(特定重合開始ポリマーAの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーAを得た。
【0185】
【化43】
Figure 2004161995
【0186】
(重合開始層形成工程)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液1をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.3μmであった。
【0187】
<重合開始層塗布液1>
・上記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG) 1.6g
【0188】
(グラフト形成工程)
重合開始層が形成された支持体を、エチルエトキシアクリレート溶液(10wt%)に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、400Wの高圧水銀灯を使用し、30分間光照射した。光照射後、支持体をMFGでよく洗浄し、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された実施例1における支持体を得た。
【0189】
〔実施例2〕
(重合開始層形成工程)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液2をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.3μmであった。
【0190】
<重合開始層塗布液2>
・前記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
【0191】
(グラフト形成工程)
重合開始層が形成された支持体を、エチルエトキシアクリレート溶液(30wt%、溶媒:MFG)に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、1.5kWの高圧水銀灯を使用し、5分間光照射した。光照射後、支持体をMFGで良く洗浄し、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された実施例2における支持体を得た。
【0192】
〔実施例3〕
実施例2と同様にして作製した重合開始層が形成された支持体を、アクリル酸水溶液(30wt%)に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、1.5kWの高圧水銀灯を使用し、5分間光照射した。光照射後、支持体を水で良く洗浄し、アクリル酸がグラフト重合された実施例3における支持体を得た。
【0193】
〔実施例4〕
(特定重合開始ポリマーBの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、4−メタクリロイロキシ−ベンゾフェノン5.1gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート9.8gと、〔2−(メタクリロイロキシ)エチル〕トリメチルアンモニウム クロライド3.97gと、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーBを得た。
【0194】
【化44】
Figure 2004161995
【0195】
(重合開始層形成工程)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液3をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.0μmであった。
【0196】
<重合開始層塗布液3>
・上記特定重合開始ポリマーB 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン 1.6g
【0197】
(グラフト形成工程)
実施例2と同様の方法で、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された実施例4における支持体を得た。
【0198】
〔実施例5〕
(特定重合開始ポリマーCの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、〔2−(アクリロイロキシ)エチル〕(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロミド8.1gと、2−アミノエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート13.5gと、、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、下記更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーCを得た。
【0199】
【化45】
Figure 2004161995
【0200】
(重合開始層形成工程)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液3をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.1μmであった。
【0201】
<重合開始層塗布液4>
・上記特定重合開始ポリマーC 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン 1.6g
【0202】
(グラフト形成工程)
実施例2と同様の方法で、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された実施例5おける支持体を得た。
【0203】
〔比較例1〕
(重合開始層形成工程)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の光重合性組成物1をロッドバー18番で塗布し80℃で2分間乾燥させた。次に、この光重合性組成物が塗布された支持体を、400w高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業(株)製)を使用し、10分間照射し、予備硬化させた。得られた光重合性組成物1からなる重合開始層の膜厚は6.2μmであった。
【0204】
<光重合性組成物1>
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g
(モル比率80/20、分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
(東亞合成(株)M210)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
【0205】
(グラフト形成工程)
重合開始層が形成された支持体を、エチルエトキシアクリレート溶液(10wt%)に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、400Wの高圧水銀灯を使用し、30分間光照射した。光照射後、支持体をMFGでよく洗浄し、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された比較例1における支持体を得た。
【0206】
〔比較例2〕
比較例1と同様にして作製した重合開始層が形成された支持体を、エチルエトキシアクリレート溶液(30wt%、溶媒:MFG)に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、1.5Wの高圧水銀灯を使用し、30分間光照射した。光照射後、支持体をMFGでよく洗浄し、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された比較例2における支持体を得た。
【0207】
〔比較例3〕
(重合開始層形成工程)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の光重合性組成物2をロッドバー18番で塗布し110℃で10分間乾燥、架橋反応をさせた。得られた光重合性組成物2からなる重合開始層の膜厚は9.1μmμmであった。
【0208】
<光重合性組成物2>
・エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
(商品名:ニューフロンティアBPE−4、
第一工業製薬(株)製)
・ウレタンアクリレート 6g
(商品名:ユニディックV−4263、
大日本インキ化学工業(株)製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.2g
【0209】
(グラフト形成工程)
実施例2と同様の方法で、エチルエトキシアクリレートがグラフト重合された比較例3における支持体を得た。
【0210】
〔比較例4〕
実施例2の重合開始層塗布液2において、TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート)を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして比較例4における支持体を得た。
【0211】
〔比較例5〕
比較例1と同様にして作製した重合開始層が形成された支持体に、実施例3と同様の方法でアクリル酸をグラフト重合することにより、比較例5における支持体を得た。
【0212】
〔評価〕
実施例1、2、4、5及び比較例1、2、3、4で得られた支持体についてはMFG溶媒中に終夜浸漬し、実施例3及び比較例5で得られた支持体については水中に終夜浸漬し、その後、グラフト構造が形成されている面の擦り洗いを行った。その結果、実施例1、2、3、4、5における支持体(本発明のグラフト重合法にて得られた支持体)は、浸漬前後で全く重量変化はなかったが、比較例1、2、3、4、5の支持体は、浸漬することにより重量の減少がみられた。
これにより、実施例1、2、4、5の支持体は、エチルエトキシアクリレートからなるグラフト鎖(高分子鎖)の全てが、重合開始層に直接結合しており、重合開始層も溶け出していないことが判明した。また、実施例3の支持体は、アクリル酸からなるグラフト鎖(高分子鎖)の全てが、重合開始層に直接結合しており、重合開始層も溶け出していないことが判明した。
【0213】
【発明の効果】
本発明によれば、重合開始層中の開始剤のモノマー溶液への溶出を防止し、全ての高分子鎖が重合開始層に直接化学結合しているグラフト構造を形成することができるグラフト重合法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 支持体上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成する工程と、
    該重合開始層に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、輻射線を照射することにより、該化合物を前記重合開始層に結合させる工程と、
    を有することを特徴とするグラフト重合法。
  2. 前記重合開始層を形成する工程において、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーの架橋反応による固定化が、架橋剤を用いた架橋反応により行なわれることを特徴とする請求項1に記載のグラフト重合法。
  3. 前記架橋剤を用いた架橋反応が、50℃以上300℃以下の温度条件下で行なわれることを特徴とする請求項2に記載のグラフト重合法。
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