JP2004155954A - 光硬化性組成物及びその製造方法、並びに硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学的に優れた透明性を持ち、かつ超微粒子を2次凝集が従来になく低減された状態で含有する光硬化性組成物を提供するとともに、そのような光硬化性組成物を良好な生産性のもとに与える技術を提供することにある。また優れた透明性、高密着性、高表面硬度、低線膨張係数(寸法安定性)等に優れた樹脂硬化物を提供する。
【解決手段】アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマー、カチオン重合開始剤、及びシランカップリング剤を含む硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化性組成物及びその製造方法、並びに硬化物に関する。詳しくは本発明は、優れた光学特性を有する樹脂硬化物、並びに光重合反応によりこれを与える光硬化性組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光硬化性樹脂組成物は各種保護材料や接着材料として、或いは光学用途に広く使用されており、例えば、CD−R、CD−RW、DVD、MO等の各種光記録媒体の保護層や接着層やホログラム記録材料などとして用いられている。
なかでも、ラジカル重合反応により硬化する光硬化性樹脂に比べてカチオン重合反応により硬化する光硬化性樹脂は、硬化時の収縮が比較的小さいという点で優れ、例えば特許文献1〜4にはカチオン重合性エポキシ樹脂を含有する組成物が記載されている。
しかしながら近年、高密着性、高表面硬度、低線膨張係数(寸法安定性)、低硬化収縮性、低吸水性、高ガスバリア性、高弾性率、高耐熱性、高圧縮強度等の点で、より高い特性が求められている。
【0003】
ところで、近年様々な産業分野において、ナノメートルレベルの対象を取り扱ういわゆるナノテクノロジーが注目されている。ナノテクノロジーの一つであるナノ材料は、従来にない新規の優れた特性を持たせる目的で、異種の複数の材料をナノメートルレベルで複合化させた材料であり、鋭意開発が取り組まれている。
【0004】
光学分野におけるナノ材料に関係する主要な関心の一つは、透明な材料にナノメートルレベルの超微粒子を均一に分散させ、透明性を維持しつつ新しい機能が付与できないかという課題である。これは、透明材料に分散させるべき超微粒子の直径が可視光線の波長の数分の一以下であれば、可視光線はその超微粒子に散乱されることなく直進し透明材料を透過する、という現象に着目した発想であり、実際このような考えの下に多くの研究開発が進められている。
【0005】
上記のような動機に基づき、透明な樹脂材料に無機物質の超微粒子を分散させて、樹脂材料に新しい機能を付与しようという試みが従来よりなされている。その際まず第一に問題となるのは、超微粒子の粒径が非常に小さいために起こりやすくなる2次凝集現象である。2次凝集が起こると、たとえ超微粒子の粒径が小さくとも、2次凝集体の大きさと同等の粒子が存在するのと同じことになり、透明性が著しく低下し、白濁したような状態となる。
【0006】
このような問題点を解決するため、超微粒子の表面の化学構造や化学組成を制御することが提案されている。例えば特許文献5には、半導体超微粒子に表面修飾を施し、更にその表面修飾の持つ官能基と樹脂とを反応させることにより、粗大粒子の生成を抑制しかつ凝集を抑えつつ半導体超微粒子を分散させた透明性に優れた樹脂組成物を得ることが報告されている。
【0007】
しかし特許文献5が開示する樹脂組成物技術によって得られる材料は、光学特性、中でも実用的に重要な透明性や光学歪みなどが十分ではないという課題があった。また、本技術で半導体超微粒子を分散した樹脂組成物を得る場合、煩雑な工程を要し、しかも精密な寸法精度を要する成形性に限界があるという課題があった。
【0008】
例えば、この技術において樹脂マトリクスとして、ポリメチルメタクリレートに代表されるラジカル重合により合成される高分子を用いる場合は、以下のような問題が起こりうる。重合性単量体を溶媒に溶解させたのち、重合を完結させるために数時間程度の長時間の反応を行う必要があるため、生産性や経済性に劣る。また溶媒の除去によって成形時の寸法変化が生じたり、成形残留歪みによって成形後の寸法変化が生じたりするなど、寸法精度が悪化する場合がある。
特許文献5にはまた、ゾルゲル法によって合成されたシリカの超微粒子にアクリル樹脂などの有機高分子を配合してもよい旨が記載されているが、この技術では有機高分子中における粒子の均一分散が難しく、しかも煩雑な工程を必要とする。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−5006号公報
【特許文献2】
特開平8−297455号公報
【特許文献3】
特開平11−191240号公報
【特許文献4】
特開平11−315132号公報
【特許文献5】
特開平11−43556号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、その課題は、光学的に優れた透明性を持ち、かつ超微粒子を2次凝集が従来になく低減された状態で含有する光硬化性組成物を提供するとともに、そのような光硬化性組成物を良好な生産性のもとに与える技術を提供することにある。また透明性、高密着性、高表面硬度、低線膨張係数(寸法安定性)等に優れた樹脂硬化物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマー、カチオン重合開始剤、及びシランカップリング剤を含むことを特徴とする光硬化性組成物に存する。
好ましくは、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーがエポキシ樹脂である。より好ましくは、脂環式エポキシ樹脂である。
本発明の別の要旨は、上記光硬化性組成物の製造方法であって、アルコキシシランのオリゴマーを10〜100℃の温度下で加水分解しシリカ粒子を合成する工程、シランカップリング剤をシリカ粒子に反応させる工程、樹脂モノマー及び/又はオリゴマーとカチオン重合開始剤を混合させる工程、及び10〜75℃の温度下で溶媒を除去する工程、を順次行うことを特徴とする光硬化性組成物の製造方法に存する。
【0012】
本発明の更に別の要旨は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子、カチオン重合樹脂、及びシランカップリング剤を含むことを特徴とする硬化物に存する。
好ましくは、カチオン重合樹脂がエポキシ樹脂のカチオン重合樹脂である。より好ましくは、脂環式エポキシ樹脂のカチオン重合樹脂である。
本発明においてシリカとは、珪素酸化物一般を指し、珪素と酸素の比率や、結晶であるかアモルファスであるかは問わない。また、本発明において加水分解物とは、少なくとも加水分解反応を含む反応により得られる生成物を指し、脱水縮合などを伴っていてもよい。また、加水分解反応は脱アルコール反応も含む。また、光とは活性エネルギー線一般を指し、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線等を含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の合成法により合成されたシリカ超微粒子を、親水性官能基及び疎水性官能基を有するシランカップリング剤の存在下、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマー、カチオン重合開始剤と混合させることで、非常に分散性の良好な光硬化性組成物が得られることを見出した。シリカ粒子は通常、親水性であるが、その表面をシランカップリングにより疎水性とすることで、通常、疎水性であるカチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマー中での分散性が顕著に高まる。
従って本発明によれば、大量のシリカ粒子を分散させても凝集することなく透明性の高い光硬化性組成物が得られるという利点がある。
【0014】
また、この硬化性組成物を、活性エネルギー線を照射することによって短時間に光硬化させることにより、超微粒子が2次凝集を起こすことなく極めて高度に分散された、光学特性及び密着性に優れた透明硬化物が得られることを見いだした。これにより、大量のシリカ超微粒子を含有させることができるので、シリカに由来する寸法安定性、硬度特性などに優れた透明硬化物が得られる利点がある。更に本発明によれば、カチオン重合樹脂を用いるので、得られる透明硬化物の密着性が高く、表面硬化性に優れる(即ち表面硬度が高い)という利点がある。また本硬化物は基本的に無色であるため、光学用途などへの応用に適する利点がある。さらに、当然ながら、用途によってさまざまに着色可能な利点がある。
【0015】
更に本発明者らは、このような光硬化性組成物の優れた製造方法をも見出した。
すなわち、アルコール系やケトン系などの溶液中において特定の合成法により合成されたシリカ超微粒子を、まず親水性官能基及び疎水性官能基を有するシランカップリング剤と作用させた後、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーと混合させ、適切な条件下で溶媒を除去する一連の工程である。これによれば、たとえ大量のシリカを含有させた場合であっても非常に分散性の良好な硬化性組成物が得られる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
[シリカ粒子]
本発明のシリカ粒子は、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなることを特徴とする。アルコキシシランは、珪素原子にアルコキシ基が結合した化合物であって、また加水分解反応及び脱水縮合反応(或いは脱アルコール縮合)によりアルコキシシラン多量体(オリゴマー)を生成する。後述する水や溶媒に対してアルコキシシランオリゴマーが相溶性を持つために、本発明に用いるアルコキシシランのアルキル鎖は長すぎないことが好ましく、通常炭素数1〜5程度であり、好ましくは炭素数1〜3程度である。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
本発明では、このアルコキシシランオリゴマーを出発原料とする。アルコキシシラン単量体(モノマー)を出発原料としないのは、粒径の制御が難しいこと、粒径の分布がブロードになりやすく、粒径が揃いにくいこと、等の傾向があるため、透明な組成物を得にくくなること、及びモノマーに毒性を有する種類のものがあり、安全衛生上好ましくないこと、等の理由による。オリゴマーの製造は、例えば特開平7−48454号公報に記載の方法等公知の方法によって行うことができる。
【0018】
アルコキシシランオリゴマーの加水分解は、特定の溶媒中にてアルコキシシランオリゴマーに一定量の水を加え、触媒を作用させることによって行う。この加水分解反応により、シリカ超微粒子を得ることができる。
溶媒としてはアルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類等のうち1種類ないし2種類以上を組み合わせて使用することができるが、中でもアルコール類及びケトン類が特に好ましい。
アルコール類の具体例としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール,nブチルアルコール、イソブチルアルコール、オクタノール、nプロピルアルコール、アセチルアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類の具体例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
親水性であるシリカ粒子を安定に存在させるためには、これらアルコール類やケトン類のアルキル鎖は短いほうが好ましい。特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトンである。中でもアセトンは沸点が低く溶媒を除去する工程に要する時間が比較的短くてすむ利点がある。
【0019】
加水分解反応に必要な水の量は、アルコキシシランオリゴマーの有するアルコキシ基のモル数の下限値は通常、0.05倍以上、より好ましくは0.3倍以上である。水の量が少なすぎると、シリカ粒子が十分な大きさに成長せず、従って所期の特性を発現できないため好ましくない。但し、上限値は通常1倍以下である。逆に多すぎるとアルコキシシランオリゴマーがゲルを形成しやすくなるため好ましくない。
【0020】
本発明のアルコキシシランオリゴマーは上記溶媒や水に対して相溶性があることが好ましい。
加水分解に際して用いる触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、金属アルコキシド、ホウ素化合物等のうち1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができるが、とりわけ金属キレート化合物及び有機酸が好ましい。金属キレート化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナート)及びジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)等が挙げられ、これらの中から1種類ないし2種類以上を組み合わせて用いることができるが、とりわけアルミニウムトリス(アセチルアセトナート)が好ましく用いられる。
有機酸の具体例としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸等が挙げられ、これらの中から1種類ないし2種類以上を組み合わせて用いることができるが、とりわけマレイン酸が好ましく用いられる。マレイン酸を用いた場合は、光重合を行って得た硬化物の色相が良好で、黄色みが小さい傾向があるという利点があり、好ましい。
【0021】
これら触媒成分の添加量は、その作用を十分に発揮する範囲であれば特に制限はないが、通常アルコキシシランオリゴマー100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上である。但しあまり多量でも作用は変わらないため、通常、10重量部以下が好ましく、より好ましくは5重量部以下である。
【0022】
本発明のシリカ粒子は超微粒子であり、数平均粒径の下限値は好ましくは1nm、より好ましくは2nm、更に好ましくは3nmである。数平均粒径が小さすぎると超微粒子を構成する物質固有の特性(例えば寸法安定性や硬度特性)が顕著でなくなる。
逆に数平均粒径が大きすぎると、超微粒子の凝集性が極端に増大して、光硬化物の透明性や機械的強度が極端に低下したり、量子効果による特性が顕著でなくなる場合がある。従って、上限値は好ましくは50nm、より好ましくは40nm、更に好ましくは30nmである。
【0023】
上記数平均粒径の決定には、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像より測定される数値を用いる。即ち、観察される超微粒子像と同面積の円の直径を該粒子像の粒径と定義する。こうして決定される粒径を用い、例えば公知の画像データの統計処理手法により該数平均粒径を算出するが、かかる統計処理に使用する超微粒子像の数(統計処理データ数)はできるだけ多いことが望ましい。例えば、再現性の点で、無作為に選ばれた該粒子像の個数として最低でも50個以上、好ましくは80個以上、更に好ましくは100個以上とする。上記体積%の計算は、上記により決定される粒径を直径とする球の体積で換算する。
【0024】
本発明によれば、アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子を用いることで、従来一般に充填成分として用いられているシリカ粒子に比べて、遙かに粒径の揃った微細な超微粒子を光硬化性組成物または光硬化物に添加できる利点がある。また、本シリカ粒子は凝集しにくい性質もあるため、光硬化性組成物または光硬化物に均一に分散できる利点もある。これによれば、シリカ粒子を大量に添加しても光透過性を損なうことがないので、寸法安定性や機械的強度を高めるために十分な量のシリカ粒子を添加できる。さらに、このような特定の製法により得られるシリカ粒子と、後述するシランカップリング剤を併用し、これに特定の樹脂モノマー及び/又はオリゴマーを添加することで、より大量のシリカ粒子を凝集させずに分散させられる利点がある。
【0025】
従って、本発明により得られる光硬化物は、透明性と寸法安定性、機械的強度、密着性等を兼ね備えた優れた性質を持つ利点がある。
なお、従来からある通常のシリカ粒子は、一般にその粒径分布がブロードで、例えば50nm以上の大きな粒径の粒子を含んでいるために、透明性が不良となることが多く、また粒子が沈降しやすい問題もある。大きな粒径の粒子を分離したもの(いわゆるカット品)も知られているが、2次凝集しやすい傾向があり、透明性が損なわれるものがほとんどである。その点、本発明にかかわる特定の合成法によれば、非常に小さな粒径のシリカ粒子が安定して得られ、かつそのシリカ粒子は凝集しにくい性質を有しているので、高い透明性を得ることができる利点がある。
【0026】
本発明の光硬化性組成物におけるシリカ超微粒子の割合は、光硬化物の寸法安定性や硬度特性を高めるためには、含有可能な範囲で多量に含ませることが好ましく、光硬化性組成物または光硬化物に対して3体積%以上含むことが好ましい。より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは7体積%以上である。
但し、光硬化物の透明性や機械的強度を高く保つためには多すぎないことが好ましい。光硬化性組成物又は光硬化物に対して好ましくは90体積%以下とし、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下とする。
【0027】
[シランカップリング剤]
本発明のシランカップリング剤は、珪素原子にアルコキシ基及び官能基を有するアルキル基が結合した構造の化合物で、シリカ粒子の表面を疎水性化する役割を持ち、本発明に必須の成分である。
通常、上述のように形成したシリカ粒子は極性が強く水やアルコール等に対して相溶性を有し、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーには相溶性を有しない場合が多い。このため、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーを添加した際に凝集を起こしたり白濁を起こしたりする虞がある。
【0028】
そこで親水性官能基及び疎水性官能基を有するシランカップリング剤を添加し、シリカ粒子表面を疎水性化することにより、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーに対する相溶性を持たせ凝集や白濁を防ぐものである。
本発明のシランカップリング剤としては、その目的を達成するものであれば特に限定されないが、光重合性官能基を有するトリアルコキシシランが特に好ましい。その具体例としては、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0029】
本発明のシランカップリング剤の使用量は、シリカ粒子の1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上である。シランカップリング剤の使用量が少なすぎると、シリカ粒子表面が十分に疎水性化されず、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーとの均一な混合に支障を来し好ましくない。逆に多すぎるとシリカ粒子と結合しないシランカップリング成分が多数混入することになり、得られる硬化物の透明性、機械物性等に悪影響を及ぼしやすくなるため好ましくない。好ましくは100重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下である。
【0030】
[樹脂モノマー及び/又はオリゴマー]
(1)カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマー
本発明の硬化性組成物はカチオン重合性官能基を有する樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーを構成要素とする。これにより、従来に比して、得られる樹脂硬化物の密着性が増すという利点がある。特に、ガラス、金属、金属化合物(金属酸化物など)及び他の有機材料等に対する密着性が高い。即ちこれらの材料と剥離しにくいので、各種コーティング剤、接着剤などに好ましく適用できる。
カチオン重合が他の重合、例えばラジカル重合に比べて密着性が向上する理由は、必ずしも明らかではないが、カチオン重合性を有する化合物の硬化収縮が、ラジカル重合性化合物よりも小さいものが多いため、接着界面に残留する応力が小さく、従って剥離しにくい性質を持ちやすいことが、その理由として考えられる。
【0031】
また本発明によれば、カチオン重合樹脂を用いるので、得られる透明硬化物は表面硬化性に優れる(即ち表面硬度が高い)という利点がある。
カチオン重合において表面硬化性が良好なのは、ラジカル重合におけるような酸素による重合阻害機構が存在しないためである。従ってカチオン重合樹脂は、樹脂表面においても確実に硬化され、表面硬度の高い硬化物が得られる。また、硬化に要する照射光量を比較的小さくできる。そして、照射光量が小さいことから硬化物の色相に悪影響を与えにくく、無色透明な硬化物が得られやすい利点もある。従って、コーティング剤等の用途において非常に有利である。
【0032】
カチオン重合性官能基を活性エネルギー線(例えば紫外線などの光)で重合させることにより、超微粒子が高度に分散された状態のまま高速で硬化させることができる。光重合は一般に秒単位の非常に高速で進む。従って、超微粒子がその硬化過程において移動したり凝集したりといった好ましくない現象を防ぐことが可能となり、従って高度な透明性を有する樹脂硬化物を得ることができる。これに対して熱重合は数十分〜数時間単位と時間がかかるため、重合中に超微粒子が移動し凝集したりして白濁してしまう虞があるため好ましくない。
【0033】
本発明においては、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマーのみを用いてもよいし、カチオン重合性官能基を含有する樹脂オリゴマーのみを用いてもよいし、両者を混合して用いても良い。樹脂モノマーは、樹脂オリゴマーと比較して低粘度な液状であるものが多いので、他の成分と混合する場合に有利である。また、コーティングや注型成形等の成形がしやすい利点がある。ただし、中には毒性を有するものがあり、注意が必要である。一方、樹脂オリゴマーは、概して粘度が高く、取り扱いが難しい場合がある。しかしながら、表面硬化性に優れ、硬化収縮が小さい傾向があり、また硬化物の機械的特性、特に引っ張り特性や曲げ特性が良好であるものが多い利点がある。
【0034】
また、本発明においてカチオン重合性官能基を含有するモノマーやオリゴマーは疎水性であることが好ましい。
本発明のカチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーは、そのカチオン重合性官能基を2個以上有する化合物を主体とする成分であるのが好ましい。ここで「主体とする」とは、全成分の50重量%以上を占めることを言う。この場合、活性エネルギー線による重合反応により3次元の網目構造を形成し、不溶不融の樹脂硬化物を与えることができる。
【0035】
本発明のカチオン重合性官能基を有する樹脂モノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えばエポキシ樹脂、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物、スピロオルソエステル、ビシクロオルソエステル、スピロオルソカーボネート等が挙げられる。
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
エポキシ樹脂は大きく芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂に分けられ、脂肪族エポキシ樹脂はさらに脂環式エポキシ樹脂、脂鎖式エポキシ樹脂に分類できる。
【0036】
芳香族エポキシ樹脂は、少なくとも1個の芳香環を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルである。その具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物またはビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド)付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって合成されるグリシジルエーテル類、ノボラック型エポキシ樹脂類等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂は、脂環構造を有するエポキシ化合物である。その具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等が挙げられる。
【0037】
脂鎖式エポキシ樹脂は、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルである。その具体例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって合成されるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
本発明のカチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーとしては、密着性が良好であり、硬化収縮が小さい点で2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーは、芳香環を有しない構造を持つのが好ましい。
芳香環を含有するモノマー及び/又はオリゴマーを用いた樹脂組成物及び硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まってしまう場合がある(いわゆる黄変)。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることがこれらの原因であると考えられている。
【0039】
このため、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することなく、オプトエレクトロニクス用途など、無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
なかでも、硬化時間が短く、硬化時に成形体中に生じる歪みが小さく、低粘度で作業性が良好である点で、脂環構造を有する脂環式エポキシ樹脂が最も好ましい。
以上のエポキシ樹脂は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、粘度調整等の目的で、単官能のエポキシ樹脂を併用してもよい。具体的には、脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、アルキルフェノールまたはこれらのアルキレンオキサイド付加体のモノグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0040】
(2)カチオン重合開始剤
本発明のカチオン重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギー線の照射によってエポキシ基等のカチオン重合性官能基のカチオン重合を開始する化合物であり、例えば芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム等のカチオンと、BF4−、PF6−、SbF6−、一般式BX4−(ただしXはベンゼン環の少なくとも2つ以上の水素原子がフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表す。)等のアニオンとから構成されるオニウム塩が挙げられる。
【0041】
芳香族スルホニウム塩系のカチオン重合開始剤としては、例えばビス−[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス−[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス−[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロフェニルホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロフェニルアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロフェニルボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0042】
芳香族ヨードニウム塩系のカチオン重合開始剤としては、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0043】
芳香族ジアゾニウム塩系のカチオン重合開始剤としては、例えばフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩系のカチオン重合開始剤としては、例えば1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0044】
以上のカチオン重合開始剤のうち、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩であるオニウム塩が、腐食性のあるイオンの放出が少ない点で特に好ましい。
上述したカチオン重合開始剤は、単独で用いることもできるし、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。カチオン重合開始剤の添加量は、特に制限はないが、カチオン重合性官能基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーの総和100重量部に対し通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.3重量部以上である。但し通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。この添加量が多すぎると重合反応が急激に進行して光学歪みの増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合があり、また少なすぎると組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
【0045】
本発明の組成物には、硬化性を向上させる目的で、さらに増感剤を配合することができる。使用できる増感剤は特に限定されないが、例えば、チオキサントン化合物、フェノチアジン化合物等が挙げられる。増感剤の添加量は、特に制限はないが、カチオン重合性官能基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーの総和100重量部に対し通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.3重量部以上である。但し通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。増感剤の添加量が少なすぎると増感剤としての作用が不十分となる場合があり、多すぎると、重合反応が急激に進行して光学歪みの増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合がある。
【0046】
(3)他の樹脂モノマー及び/又はオリゴマー
また、本発明の光硬化性組成物及び樹脂硬化物には、機械的特性や耐熱性を向上させたり、各種特性のバランスをとるためなどの目的で、カチオン重合性以外の樹脂モノマー及び/又はオリゴマーを更に混合してもよい。例えばラジカル重合性のモノマー及び/又はオリゴマーである。このようなラジカル重合性化合物としては公知の化合物が用いうるが、硬化反応速度が大きい点で、(メタ)アクリレート化合物などが用いられる。なかでも、芳香環を有しない構造を持つのが好ましい。
芳香環を含有するモノマー及び/又はオリゴマーを用いた樹脂組成物及び硬化物は、得られるものが着色物であったり、最初は着色していなくても保存中に着色したり着色が強まってしまう場合がある(いわゆる黄変)。これは芳香環を形成する二重結合部分が、エネルギー線によってその構造を不可逆的に変化させることがこれらの原因であると考えられている。
このため、樹脂モノマー及び/又はオリゴマーは、芳香環を有しない構造を持つことで、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することなく、オプトエレクトロニクス用途など、無色透明が要求される用途への応用に特に適する利点がある。
また、2官能もしくは3官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0047】
このようなモノマー及び/又はオリゴマーとしては、脂鎖式ポリ(メタ)アクリレート、脂環式ポリ(メタ)アクリレート、芳香族ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン=ジメタクリレート、p−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2価の(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3価の(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート等の4価の(メタ)アクリレート類、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の不定多価の(メタ)アクリレート類等が例示される。これらのうち、架橋生成反応の制御性から上記2価の(メタ)アクリレート類は好ましく用いられる。
【0048】
また、硬化物の架橋構造の耐熱性、表面硬度の向上等を目的として、3官能以上の(メタ)アクリレート類が好ましく添加される。その具体例としては、上記に例示されたトリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート等の他、イソシアヌレート骨格を有する3官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
更に、接着性、密着性を向上させる目的で、水酸基を含有した(メタ)アクリレート化合物が好ましく添加される。具体的な化合物の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
前記に例示の(メタ)アクリレート類のうち、得られる重合体の透明性と低光学歪み性をバランスよく実現する点で特に好ましいのは、下記成分A及び下記成分Bを添加使用することである。
成分Aは、下記一般式(1)で示される脂環骨格を有するビス(メタ)アクリレートである。
【0050】
【化1】
Figure 2004155954
ただし上記一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を、R及びRはそれぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を、xは1又は2を、yは0又は1を、それぞれ表す。
【0051】
上記一般式(1)で示される成分Aの具体例としては、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのトリシクロデカン化合物及びペンタシクロデカン化合物は、複数種を併用してもよい。
【0052】
成分Bは下記一般式(2)で表される硫黄原子を有するビス(メタ)アクリレートである。
【0053】
【化2】
Figure 2004155954
ただし上記一般式(2)において、R及びRは上記一般式(1)におけるR及びRと同じものが用い得、各Rはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭素数が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yのうち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。
【0054】
上記一般式(2)で示される成分Bを具体的に例示すれば、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−p−キシレン、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−m−キシレン、α,α’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−2,3,5,6−テトラクロロ−p−キシレン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルホン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルホン、4,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、2,4′−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、5,5′−テトラブロモジフェニルケトン、β,β′−ビス[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルエーテル、β,β′−ビス[p−(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルチオエーテル等が挙げられ、これらは複数種を併用してもよい。
【0055】
上記各成分の中でもビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートは優れた透明性及び耐熱性を有し、特に好適に用いられる。
本発明の光硬化性組成物においては、ラジカル重合性モノマー及び/又はオリゴマーの添加量には特に制限はないが、密着性及び表面硬化性の点ではあまり多すぎないことが好ましく、通常、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーの総和100重量部に対し0.01重量部以上、100重量部以下である。
また、本発明の光硬化性組成物においては、樹脂モノマー及び/又はオリゴマーのいずれもが、芳香環を有しない構造を持つのが好ましい。
【0056】
(4)ラジカル重合開始剤
本発明の組成物にラジカル重合可能なモノマー及び/又はオリゴマーを添加した場合は、さらにラジカル重合開始剤を配合し、カチオン重合とラジカル重合を併用することができる。用いることができるラジカル重合開始剤は特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、これらの複数種を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0057】
ラジカル重合開始剤の添加量は、特に制限はないが、ラジカル重合性官能基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーの総和100重量部に対し通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、更に好ましくは0.03重量部以上である。但し通常15重量部以下、好ましくは10重量部以下である。この添加量が多すぎると重合反応が急激に進行して光学歪みの増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合があり、また少なすぎると組成物を十分に硬化させることができなくなる場合がある。
また、カチオン重合開始剤とラジカル重合開始剤との総和は、光硬化性組成物の総和100重量部に対して通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下になるようにする。総和の量が大きすぎると機械的特性や熱的特性が低下し、また色相も悪化しやすい傾向にあるため、好ましくない。
【0058】
[補助成分]
本発明の硬化性組成物には、製造される樹脂硬化物が本発明の目的を著しく逸脱しない限りにおいて、必要に応じて添加剤など補助成分を加えてもよい。かかる補助成分としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料(フィラー類、フラーレン類などを総称して無機充填成分と称する。)、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が例示される。これら補助成分の添加量は、製造される樹脂硬化物が本発明の目的を著しく逸脱しない限り制限されないが、通常、光硬化性組成物又は光硬化物の20重量%以下である。
【0059】
[光硬化性組成物の製造方法]
本発明の光硬化性組成物の、好ましい製造方法について詳細に説明する。
本発明の光硬化性組成物の製造は、(a)アルコキシシランのオリゴマーを10〜100℃の温度下で加水分解しシリカ粒子を合成する工程、(b)シランカップリング剤をシリカ粒子に反応させる工程、(c)カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマー、カチオン重合開始剤を混合させる工程、及び(d)10〜75℃の温度下で溶媒を除去する工程、を順次行うことにより行うことが好ましい。この製造方法によれば、粒径が揃ったシリカ超微粒子が高度に分散された光硬化性組成物をより容易に得ることができる。
【0060】
上記(a)の工程において、温度が記載の範囲よりも低いと、シリカ粒子が形成される反応が十分に進行せず、好ましくない。逆に高すぎるとオリゴマーのゲル化反応が起こりやすくなるため好ましくない。
上記(b)の反応は、室温にて進行する。通常は0.5〜24時間撹拌操作を行い、反応を進行させるが、100度以下の温度で加熱してもよい。加熱すると反応速度が増し、より短時間で反応を行わせることができる。
【0061】
上記(c)の工程は、上記(b)の反応が十分に終了してから行う必要がある。上記(b)の反応が十分に進行する以前に(c)の操作を行うと、樹脂モノマーや樹脂オリゴマーが均一に混ざらなかったり、後工程において組成物が白濁したりするため好ましくない。(c)の工程は室温にて行うことができるが、樹脂モノマーや樹脂オリゴマーの粘度が高い場合や、樹脂モノマーや樹脂オリゴマーの融点が室温以上の場合は、加熱して行うことができる。
【0062】
上記(d)の工程においては、主として水及びアルコール、ケトンなどの溶媒の除去が行われる。ただし必要な範囲で除去されれば良く、必ずしも完全に除去されなくても良い。なお、温度が記載された範囲よりも低いと、溶媒の除去が十分に行われず好ましくない。逆に高すぎると、組成物がゲル化しやすくなるため好ましくない。
以上説明した好ましい製造方法によれば、樹脂組成物に後から充填材(シリカ粒子など)やシランカップリング剤を添加し充填材を分散させる方法に比べて、より粒径が揃った小さい超微粒子を、しかも大量に、凝集させることなく分散させられる利点がある。従って得られる放射線硬化性組成物は、放射線透過性を損なうことなく、樹脂の寸法安定性や機械的強度を高めるために十分な量のシリカ粒子が分散されたものとなる。そして、それを硬化させて得られる放射線硬化物は、透明性と寸法安定性、機械的強度、密着性等を兼ね備えた優れた性質を持つ利点がある。
【0063】
[光硬化条件]
本発明の樹脂硬化物は、上記の硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して重合反応を開始させるいわゆる「光重合」によって得られる。
本発明の組成物の硬化方法としては、重合反応の開始が重合系内で均質かつ短時間に進行する、活性エネルギー線を用いる重合法が好ましく、その中でも特に光学用コーティング材などの用途に要求される諸特性、例えば表面硬化性や密着性などを高めるためには、酸素による硬化阻害を受けない活性エネルギー線カチオン重合(以下、単に光カチオン重合とも言う)が最も好ましい。但し適宜ラジカル重合など他の重合反応を併用してもよい。
上記活性エネルギー線とは、必要とする重合反応を開始する重合開始剤に作用して該重合反応を開始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線等)又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)である。本発明において好ましく用いられる活性エネルギー線は上記電磁波であり、エネルギーと汎用光源を使用可能であることから紫外線と可視光線が更に好ましく、最も好ましくは紫外線である。
【0064】
本発明の光カチオン重合、とりわけ紫外線カチオン重合の好ましい形態は、紫外線によりアニオンを発生する光アニオン発生剤(前記例示参照)を重合開始剤とし紫外線を活性エネルギー線として使用する方法である。この時、必要に応じて増感剤を併用してもよい。上記紫外線は、波長が通常200〜400nmの範囲であり、この波長範囲は好ましくは250〜400nmである。一方、該紫外線の強度は通常0.1〜200J/cmのエネルギー範囲で照射する。
かかる活性エネルギー線の照射エネルギーや照射時間が極端に少ない場合は重合が不完全なため樹脂組成物の耐熱性,機械特性が十分に発現されない場合がある。該照射時間は通常1秒以上とし、好ましくは10秒以上とする。ただし、逆に極端に過剰な場合は黄変等光による色相悪化に代表される劣化を生ずる場合がある。従って照射時間は通常3時間以下とし、反応促進と生産性の点で好ましくは1時間程度以下とする。
【0065】
該活性エネルギー線の照射は,一段階でも、あるいは複数段階で照射してもよく、その線源として通常は活性エネルギー線が全方向に広がる拡散線源を用い、通常、型内に賦形された前記重合性液体組成物を固定静置した状態又はコンベアで搬送された状態とし、光源を固定静置した状態で照射する。
また、前記重合性液体組成物を適当な基板(例えば樹脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上の塗布液膜とし、次いで活性エネルギー線を照射して該塗布液膜を硬化させることも可能である。
【0066】
本発明の光硬化物は、光重合樹脂がエポキシ基を主体とする官能基の光カチオン重合によって得られたものであることが好ましい。ここで「主体とする」とは、全官能基におけるエポキシ基の数が50%以上を占めることを言う。
[光硬化物]
本発明の光硬化物は、通常、溶剤等に不溶不融の性質を示し、光学部材の用途に有利な性質を備え、表面硬化性が高く密着性に優れていることが好ましい。具体的には、低い光学歪み性(低複屈折性)、高い光線透過率、寸法安定性、高表面硬度、高密着性、及び一定以上の耐熱性を示すことが好ましい。また、硬化収縮が小さいほど好ましい。
【0067】
より詳しく説明する。
樹脂硬化物の透明性については、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上である。光線透過率は、例えば、ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて室温で測定し、波長550nmにおける透過率を代表値とすることができる。
また、耐熱性については、樹脂硬化物の示差熱分析(DCS)、熱機械測定(TMA)又は動的粘弾性により測定されるガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、この値はより好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上である。
【0068】
また、光硬化物の熱膨張が小さいほど、より良好な寸法安定性を有していることを意味し、好ましい。例えば、熱膨張の具体的指標の一つである線膨張係数が小さいほど好ましく、13×10−5/℃以下が好ましく、より好ましくは12×10−5/℃以下、更に好ましくは10×10−5/℃以下、特に好ましくは8×10−5/℃以下である。線膨張係数は、例えば、5mm×5mm×1mmの板状試験片を用いて、圧縮法熱機械測定(TMA;SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)にて加重1g、昇温速度10℃/分で測定し、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで線膨張係数を評価し、その平均値を代表値とすることができる。
さらには、硬化収縮は小さいほど好ましく、例えば3体積%以下である。より好ましくは2体積%以下である。
また、本発明の樹脂硬化物は、各種溶剤に対して溶解しないことが好ましい。代表的にはトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランなどの溶剤に対して溶解しないことが好ましい。
本発明の樹脂硬化物がシリカ粒子などの無機物質超微粒子を含有する場合、有機物である樹脂マトリクスと異なる光学特性を有する物質であるため、該樹脂硬化物が総体として有機物単独では実現し得ない特異な屈折率とアッベ数とのバランスを有するという特徴を有する場合がある。かかる特異な屈折率とアッベ数とのバランスは、レンズやプリズム等光の屈折を利用し、複屈折が小さいことが望ましい用途において有用である場合があり、具体的にはナトリウムD線波長において23℃で測定される屈折率nとアッベ数νとの関係を表す下記数式の定数項Cが1.70〜1.82の範囲を逸脱するような場合をいう。
【0069】
【数1】
=0.005ν + C
樹脂材料の成形体では、一般に厚みが大きくなるに従って複屈折も大きくなる。本発明において、上記シリカ粒子を使用することにより、本発明の樹脂硬化物は厚みの増大の割には従来になく複屈折の増加率が小さくなるという特徴を獲得する場合がある。従って、後述する本発明の光学部材のように、厚み0.1mm以上という比較的厚い成形体として本発明の樹脂硬化物を使用する場合、低複屈折率化の点で有利である。
【0070】
本発明の光硬化物は、複屈折で代表される光学歪みが小さく、良好な透明性を有し、優れた寸法安定性や表面硬度等の機能特性を有するため、光学材料として優れる。
ここでいう光学材料とは、それを構成する材料の光学特性、例えば透明性、吸発光特性、外界との屈折率差、複屈折の小ささ、前記の特異な屈折率とアッベ数とのバランス等を利用する用途に用いられる成形体一般を指す。具体例としては、ディスプレイパネル、タッチパネル、レンズ、プリズム、導波路、光増幅器等のオプティクス、オプトエレクトロニクス用部材が挙げられる。
【0071】
本発明の光学材料は2種類に大別される。第1の光学材料は前記樹脂硬化物の成形体である光学材料であり、第2の光学材料は前記樹脂硬化物の薄膜を表面に有する成形体である光学材料である。つまり、前者は光学材料の主体が前記樹脂硬化物でありその表面に該樹脂硬化物でない材質の任意の薄膜(コート層)を有していてもよいものであり、一方、後者は光学材料の主体は前記樹脂硬化物でなくてもよい材質で構成され、その表面に樹脂硬化物の薄膜を有するものである。いずれの光学材料も、樹脂、ガラス、セラミクス、無機物結晶、金属、半導体、ダイヤモンド、有機物結晶、紙パルプ、木材等の任意の固体素材基板上に密着して成形されたものであってもよい。
【0072】
上記第1の光学材料の寸法に制限はないが、前記樹脂硬化物の部分の光路長は、光学材料の機械的強度の点で下限値は通常0.01mmであり、好ましくは0.1mm、更に好ましくは0.2mmである。一方、光線強度の減衰の点で該上限値は通常10000mmであり、好ましくは5000mm、更に好ましくは1000mmである。
【0073】
上記第1の光学材料の形状に制限はないが、例えば平板状、曲板状、レンズ状(凹レンズ、凸レンズ、凹凸レンズ、片凹レンズ、片凸レンズ等)、プリズム状、ファイバー状等の形状が例示される。
上記第2の光学材料の寸法に制限はないが、前記樹脂硬化物薄膜の膜厚は、機械的強度や光学特性の点で下限値は通常0.05μmであり、好ましくは0.1μm、更に好ましくは0.5μmである。一方、該膜厚の上限値は、薄膜の成形加工性や費用対効果バランスの点で通常3000μmであり、好ましくは2000μm、更に好ましくは1000μmである。
【0074】
かかる薄膜の形状に制限はないが、必ずしも平面状でなくてもよく、例えば球面状、非球面曲面状、円柱状、円錐状、あるいはボトル状等の任意形状の基板上に成形されていてもよい。
本発明の光学材料には、必要に応じて任意の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷を防止する保護層、半導体結晶粒子や基材等の劣化原因となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層等や、基材と塗布面との接着性を改善する下引き層、電極層等、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよい。かかる任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコート等が挙げられ、そのコーティング法としては真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、スピンコート法等公知のコーティング法を用いることができる。
【0075】
本発明の光学材料の具体例を更に詳細に例示すると、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ、光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐、接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品、液晶基板、タッチパネル、導光板、位相差板等各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングを初めとする記憶・記録用途、更には光学接着剤等各種光通信用材料、機能性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜等)、超解像膜、紫外線吸収膜、反射制御膜、光導波路、及び識別機能印刷面等各種光学フィルム・コーティング用途等が挙げられる。
【0076】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、その要旨の範囲を越えない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(評価方法)
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加速電圧300kV、観察時の真空度約7.6×10−9Torr)にて行った。
(2)光線透過率:ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて室温で測定した。波長550nmにおける透過率を代表値とした。
(3)線膨張係数:5mm×5mm×1mmの板状試験片を用いて、圧縮法熱機械測定(TMA;SSC/5200型;セイコーインスツルメント社製)にて加重1g、昇温速度10℃/分で測定した。線膨張係数は、40℃から100℃までの範囲を10℃刻みで評価し、その平均値を代表値とした。
(4)密着性:10cm角の光学研磨ガラス板上に、スポイトを用いて組成物を15滴垂らし、室温で1分間放置後、これに距離40cmで上下に設置された出力80W/cmのメタルハライドランプの間にて、5分間紫外線を照射し組成物を硬化させ、室温で1時間放置する。硬化した組成物部分の中央にカッターナイフでガラス表面に到達するように切り込みを入れ、室温で更に14日間放置後、切り込み部の組成物硬化物とガラス表面との界面の剥離が目視で観察されるかどうかにて評価した。サンプル数を5とし、すべてのサンプルについて剥離が観察されなかった場合を◎、2以上のサンプルについて剥離が観察されなかった場合を○、1のサンプルのみ剥離が観察されなかった場合を△、すべてのサンプルについて剥離が目視で観察された場合を×とした。
(5)表面硬化性:規定量の紫外線を照射後、ゴム手袋を装着した右手人差し指と親指で、親指が塗布面側になるようにサンプルを軽くはさみ、親指を塗布面から離したとき、その跡が目視にて観察されない場合を○、薄く観察される場合を△、濃く観察される場合を×とした。
【0077】
(実施例1)
[a]テトラメトキシシランオリゴマーの調製
テトラメトキシシラン234gとメタノール74gを混合した後、0.05%塩酸22.2gを加え、65℃で2時間加水分解反応を行った。次いで系内温度を130℃に昇温し、生成したメタノールを除去した後、窒素ガスを吹き込みながら温度を徐々に150℃まで上昇させ、そのまま3時間保ってテトラメトキシシランモノマーを除去した。
[b]シリカ粒子の調製
上記操作によって得られたテトラメトキシシランオリゴマー30.8gにエタノール62.4gを加えて均一に撹拌した後、触媒としてアセチルアセトンアルミニウムを0.31g溶解させた。この溶液に脱塩水を6.5gを撹拌しながら除去に滴下させ、そのまま60℃で2時間撹拌し、シリカ粒子を成長させた。生成したシリカ粒子の直径は、TEM電子顕微鏡を用いた形態観察により、2〜5nmと見積られた。
【0078】
[c]シランカップリング剤によるシリカ粒子表面の疎水性化処理
上記の操作によって得られたシリカ粒子のアルコール溶液40gにシランカップリング剤としてメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10gを加え、室温にて2時間撹拌し、シリカ粒子表面にシランカップリング剤を反応させ、シラン処理シリカ粒子溶液50gを得た。
【0079】
[d]光重合性官能基を含有する樹脂モノマーの混合と溶媒除去
上記シラン処理シリカ粒子溶液に、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを38.3g、及び光カチオン重合開始剤としてアデカオプトマーSP−52(旭電化社製;主成分:ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロフェニルホスフェート)を2.1g添加し、更に増感剤として2,5−ジメチルチオキサントンを0.6g添加し、室温にて2時間撹拌して透明な硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物に含まれる低沸点成分を、減圧下60℃で40分間エバポレーションによって除去した。
【0080】
[e]硬化性組成物の硬化と成形
これを、厚さ1mmのシリコーンシートを1cm幅にカットしたものを4つ組み合わせて壁を形成した光学研磨ガラスの型に注液し、液面より距離15cmの位置に設置された出力80W/cmの高圧水銀ランプにて、2分間紫外線を照射した。紫外線照射後ガラス型より脱型し、120℃で1時間加熱して硬化物を得た。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。光線透過率が高く、線膨張係数が低く、表面硬化性及び密着性に優れた性質を示した。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
【0081】
(実施例2)
[d]工程で3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの代わりに、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートを用いた以外は実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。光線透過率が高く、線膨張係数が低く、表面硬化性及び密着性に優れた性質を示した。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
【0082】
(実施例3)
[d]工程でアデカオプトマーSP−52の代わりに、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製;トリアリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート混合物(主成分:ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビス(ヘキサフルオロフォスフェート))を用いた以外は実施例1と同様に行い樹脂硬化物を得た。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。光線透過率が高く、線膨張係数が低く、表面硬化性及び密着性に優れた性質を示した。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
【0083】
(比較例1)
カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを38.3g、及び光カチオン重合開始剤としてアデカオプトマーSP−52(旭電化社製;主成分:ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロフェニルホスフェート)を2.1g添加し、更に増感剤として2,5−ジメチルチオキサントンを0.6g添加し、室温にて2時間撹拌し、硬化性組成物を得た。すなわちシリカ粒子を含有しない硬化性組成物を得た。
これを実施例1と同様の方法にて硬化及び成形を行い、樹脂硬化物を得た。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。光線透過率は高いものの、実施例1〜3に比べて線膨張係数が高く寸法安定性がやや劣ること、また密着性がやや劣ることを示している。シリカ粒子を含まないためと推察される。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
【0084】
(比較例2)
[d]工程で、光重合性官能基を含有する樹脂モノマーとしてビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレートを38.3g、及び光ラジカル発生剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.7g添加した以外は実施例1と同様に行い樹脂組成物を得た。樹脂硬化物の諸物性を表−1に示す。光線透過率が高く、線膨張係数が低く優れた性質を示したが、実施例1〜3に比べると密着性と表面硬化性がやや低かった。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
【0085】
(比較例3)
[a]〜[c]工程を実施例1と同様に行い、シラン処理シリカ粒子溶液50gを得た。
[d]工程で、光カチオン重合開始剤アデカオプトマーSP−52及び増感剤2,5−ジメチルチオキサントンを用いず、代わりに熱硬化エポキシ樹脂用の硬化剤イソホロンジアミン10.8gを加え、室温にて2時間撹拌して透明な硬化性組成物を得た。
これを、厚さ1mmのシリコーンシートを1cm幅にカットしたものを4つ組み合わせて壁を形成した光学研磨ガラスの型に注液し、100℃に設定したオーブンに投入し、2時間加熱した後、ガラス型より脱型して硬化物を得た。樹脂硬化物は失透し、透明性が失われてしまったため、光線透過率の測定も不可能であった。この樹脂硬化物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。
【0086】
(比較例4)
[a]〜[c]工程を実施例1と同様に行い、シラン処理シリカ粒子溶液50gを得た。
次にアートン樹脂(JSR社製;熱可塑性樹脂)のペレット38.3gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)溶媒344.7gに溶解させ、アートン10%溶液を383g調製し、上記シラン処理シリカ粒子溶液と混合し、室温にて2時間撹拌して、透明な硬化性組成物を得た。
この硬化性組成物に含まれるPEGMEAを、減圧下80℃でエバポレーションにて除去しようとしたところ、組成物のゲル化が進行してしまい、透明性が完全に失われてしまったため、実験を中止した。
【0087】
(比較例5)
IPA−STシリカゾル溶液(日産化学社製;一次粒子径約12nm)21.3gに、シランカップリング剤としてグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン10gを加え、室温にて2時間撹拌し、シリカ粒子表面にシランカップリング剤を反応させ、シラン処理シリカ粒子溶液31.3gを得た。
上記シラン処理シリカ粒子溶液に、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマーとして 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを38.3g、及び光カチオン重合開始剤としてアデカオプトマーSP−52(旭電化社製;主成分:ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロフェニルホスフェート)を2.1g添加し、更に増感剤として2,5−ジメチルチオキサントンを0.6g添加し、室温にて撹拌したところ、白濁失透してしまった。しばらく撹拌を継続したが、透明性は回復しなかったので、実験を中止した。
すなわち、実施例1〜3に比べてシリカ粒子の添加量は少量であったにもかかわらず、2次凝集してしまい、うまく分散しなかった。
【0088】
【表1】
Figure 2004155954
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、光学的に優れた透明性を持ち、かつ超微粒子を2次凝集が従来になく低減された状態で含有する光硬化性組成物を提供できる。またそのような光硬化性組成物を良好な生産性のもとに与える技術を提供できる。
さらに、この硬化性組成物を光硬化させた樹脂硬化物は、優れた透明性、高密着性、高表面硬度、低線膨張係数(寸法安定性)、低硬化収縮性、低吸水性、高ガスバリア性、高弾性率、高耐熱性、高圧縮強度等に優れる。かかる特性を利用して、本発明の光硬化性組成物及びその硬化物は種々の光学材料や電子材料等に有利に利用できる。例えば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ、光スイッチ、光ファイバー、光回路における光分岐、接合回路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品、液晶基板、タッチパネル、導光板、位相差板等各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングの他、光記録や磁気記録材料などの記憶・記録用途、更には光通信等向け光学接着剤、機能性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜等)等各種光学フィルム・コーティング用途に利用できる。特に、高透明性、高密着性、高表面硬度、低線膨張係数(寸法安定性)が要求される用途に適している。

Claims (5)

  1. アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子、カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマー、カチオン重合開始剤、及びシランカップリング剤を含むことを特徴とする光硬化性組成物。
  2. カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーがエポキシ樹脂である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. カチオン重合性官能基を含有する樹脂モノマー及び/又はオリゴマーが脂環式エポキシ樹脂である、請求項2に記載の光硬化性組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の光硬化性組成物の製造方法であって、
    アルコキシシランのオリゴマーを10〜100℃の温度下で加水分解しシリカ粒子を合成する工程、
    シランカップリング剤をシリカ粒子に反応させる工程、
    樹脂モノマー及び/又はオリゴマーとカチオン重合開始剤を混合させる工程、及び
    10〜75℃の温度下で溶媒を除去する工程、を順次行うことを特徴とする光硬化性組成物の製造方法。
  5. アルコキシシランのオリゴマーの加水分解物からなるシリカ粒子、カチオン重合樹脂、及びシランカップリング剤を含むことを特徴とする硬化物。
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