JP2004155230A - 自動車用バンパービーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断面形状が上壁部と、上壁部に対向する底壁部と、前記上壁部および底壁部の両端部を連結する一対の側壁部と、前記上壁部および底壁部の中間に設けられてこれら2つの部位を連結する連結リブとからなる“日の字型”を呈し、上壁部の厚さが底壁部の厚さよりも厚く、上壁部の両角隅部は上壁部の長さの0.1〜0.3倍の長さの曲率半径で湾曲しており、かつ底壁部の両角隅部が底壁部の厚さの0.5〜2倍の曲率半径で湾曲したアルミニウム合金製の押し出し中空部材からなる自動車用バンパービームとする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のバンパーを補強するバンパービームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車のバンパーは、車体に連結されるとともにバンパーの強度を保つバンパービームと、このバンパービームに取り付けられて車体の外観を整える樹脂製の表皮材とから概略構成されている。そして、このバンパービームは燃費低減のために軽量化が図られており、近年では軽合金製とする例が多くなってきている。例えば、図8に断面図として示すバンパービーム30は、アルミ合金材で押し出し成形されたバンパービームの一例で、“日の字型”断面に押し出し成形された中空構造を有している。すなわち、互いに平行な上壁部11と底壁部12、及びこれらと直角方向に互いに平行な側壁部13,14と、上壁部11と底壁部12と平行して、側壁部13,14を2分するように中央に設けられた連結リブ15から構成されている。
【0003】
バンパービーム30は、実際にはサイドメンバー16を介して車両17の前面または後面に取り付けられ、衝突の際には衝突面側の側壁部13が図の左方矢印の方向からの衝撃力Fを受け止める面となる。従って“日の字型”断面構造の部材の内でも側壁部13が最も厚さが厚く作られている。また、図8の例では上壁部11及び底壁部12と、連結リブ15は同じ厚さに作られており、図の左方からの衝撃力を均等に受け止めて衝撃力をやわらげる構造となっている。
このようなバンパービームは軽量化を目的として7000番系高力アルミニウム合金等で作成される。通常、バンパービームには発泡材等からなる緩衝材が取り付けられ、表面はバンパーカバーで覆われている。
【0004】
バンパービームは自動車の衝突等により外部から衝撃力が加わった時に、その衝撃エネルギーをバンパービーム材料の塑性変形により吸収し、他の部材の損傷を回避すると同時に人体の安全を確保するための重要な部材である。
ところで、自動車の衝突の形態には壁状障害物がバンパービームの壁面の全面に比較的に高速で衝突する形態と、柱状障害物がバンパービームの壁面の一部に比較的に低速で衝突する形態とがある。
前者の衝突形態では、衝突による衝突エネルギーは乗員の負傷やバンパービーム取り付け部材の座屈損傷を招くような大きなものであることが多く、バンパービームに対しては徐々に変形崩壊して大量の衝突エネルギーを吸収できるものであることが望まれている。
一方、後者の衝突形態では、乗員の負傷や取り付け部材の損傷を招くような大きな衝突エネルギーを有する場合は少なく、バンパービームに対しては変形崩壊して衝突エネルギーを吸収するよりも、衝突荷重で変形し難い剛性に富んだものであることが望まれている。
【0005】
バンパービームには、軽量化を図りつつも形材の曲げ剛性と曲がる時のエネルギー吸収量を大きくすることが求められている。断面形状の改良によりこれらの特性を改良する提案が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この提案においては、長さ方向に一様な矩形断面形状のアルミ合金形材からなり、衝突方向に対して垂直な壁面を有するように車体側に位置する壁面の両端部が車体に取り付けられるバンパービームであり、上記アルミ合金形材の車体側に位置する角隅部が板厚の2.5倍以上の半径Rで湾曲をなしているバンパービームが開示されている。
具体的には図9に示すように、バンパービーム40は、バンパーカバー内に設けられたアルミ合金形材からなっており、車体42側に位置する壁面41aがサイドメンバー44を介して車体42に支持されている。上記のアルミ合金形材は、長さ方向に一様な例えば“日”字形の矩形断面形状に形成されており、一対の横設リブ41b、41bと、両横設リブ41b、41bの両端に接続された縦設リブ41a、41aと、縦設リブ41a、41a間に接続された補強リブ41cとからなっている。
【0006】
上記のバンパービーム40は、縦設リブ41a、41aが衝突方向に対して垂直となると共に、横設リブ41b、41bが衝突方向に対して平行となるように設けられている。そして、車体42側の角隅部41d、41dは、縦設リブ41a、41aの長さの1/6以下の範囲において板厚の2.5倍以上の半径Rで湾曲されている。一方、バンパービーム40の衝突側の角隅部41e、41eは、板厚程度の半径rで略直角に曲折されている。これにより、バリアー衝突時においては、湾曲された角隅部41d、41dを座屈の起点に位置させることによって、発生荷重を抑制しながら座屈を促進し、衝突エネルギーを効率良く吸収するようになっている。また、ポール衝突時においては、湾曲された角隅部41d、41dを座屈の起点の反対側に位置させることによって、大きな発生荷重を生じさせるようになっている。尚、半径Rを縦設リブ41a・41aの長さの1/6以下に制限した理由は、1/6を越えるとサイドメンバ44への取り付けが困難になると共に吸収エネルギーが低下するからである。
この構造によれば、上記の二つの衝突形態に対応できるような、徐々に変形崩壊して大量の衝突エネルギーを吸収できる特性と、衝突荷重で変形し難い剛性に富んだ特性とを兼ね備えることができるとされている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−80789号公報 (第1頁、第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バンパービームがあまり強すぎると、バンパービームの座屈と共に車体の取り付け金具であるサイドメンバーを損傷させてしまうことになる。サイドメンバーは衝突の瞬間に発生する最大荷重によって損傷する。
例えば、図8に断面で示すような全角隅部が直角に曲折されたバンパービームでは、図10に示すように衝突によりバンパービームが3.5〜4.5mm塑性変形する間の平均荷重は50kN程度であるのに対して、衝突直後のバンパービームの変位量が1mmに達する以前の0.5mm程度塑性変形する間に、最大250kNもの最大荷重が発生し、その後はほぼ一定の潰し荷重で変形していく。この場合には最大荷重は平均荷重の5.88倍にも達する。
この最大荷重を低くすることができれば、サイドメンバーを損傷させることなくバンパービームの変形崩壊のみで衝突エネルギーを吸収することができる。
従来はバンパービームが最大3.5〜4.5mm塑性変形する間に、発生荷重が大幅な変動を伴わない場合の最大荷重と吸収エネルギーの関係を問題としており、衝突の瞬間に発生する最大荷重を下げる試みはなされていなかった。
人身の安全を確保するためにも、衝突の瞬間に発生するこの最大荷重のピークをできる限り低くすることが重要である。
本発明の目的は、上記衝突の瞬間に発生するこの最大荷重のピークをできる限り低くし、バンパービームの取付け金具であるサイドメンバーの損傷を防ぐことのできるバンパービームの構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため普通乗用車のバンパービームの断面形状を種々検討した結果、サイドメンバーが損傷するのは長さ100mmのバンパービーム試片に加わる圧潰荷重が150kNを越える場合であることが判明した。衝突の瞬間に発生する最大荷重を150kN以下に抑えれば、バンパービームの塑性変形により、サイドメンバーを損傷させることなく衝突エネルギーを吸収できることが判明した。バンパービームの構造を、衝突の後半に発生する衝撃荷重が低くなり過ぎる構造にしてしまうと、バンパービームとしてのエネルギー吸収能が低下してしまうことも判明した。
従って、図10に示す潰し荷重−変位曲線において、最大ピークのみを引き下げて波形をより矩形波形に近づけることができれば、サイドメンバーを損傷させることなくバンパービームの塑性変形により衝突エネルギーを吸収できることになり、エネルギー吸収材として安定した性能を有するバンパービームとすることができると考えた。そこでバンパービームの断面形状を種々検討した結果、衝撃を受ける面の部材の厚さを厚くし、かつ衝撃を受ける部材面の両端に特定の曲率半径を付与させることにより、上記目的を達成できることを見い出し本発明に至った。
すなわち、本発明のバンパービームでは、断面形状が上壁部と、上壁部に対向する底壁部と、前記上壁部および底壁部の両端部を連結する一対の側壁部と、前記上壁部および底壁部の中間に設けられて2つの側壁部を連結する連結リブとからなる日の字型を呈し、衝突面側の側壁部の厚さが車体取付け面側の側壁部の厚さよりも厚く、衝突面側の側壁部の両角隅部は前記衝突面側の側壁部の長さの0.1〜0.3倍の長さの曲率半径Rで湾曲しており、かつ車体取付け面側の側壁部の両角隅部が該車体取付け面側の側壁部の厚さの0.6〜1倍の長さの曲率半径rで湾曲したアルミニウム合金製の押し出し中空部材からなるバンパービームとした。この断面形状は衝突面側の側壁部の長さL1 が、上壁部及び底壁部の長さL2 の2倍よりも短い時に適用される。
【0010】
一方、側壁部の長さL1 が、上壁部及び底壁部の長さL2 の2倍よりも長い時には、断面形状が上壁部と、上壁部に対向する底壁部と、前記上壁部および底壁部の両端部を連結する一対の側壁部と、前記上壁部および底壁部の中間に設けられて2つの側壁部を連結する連結リブとからなる日の字型を呈し、衝突面側の側壁部の厚さが車体取付け面側の側壁部の厚さよりも厚く、衝突面側の側壁部の両角隅部は前記底壁部の長さの0.2〜0.6倍の長さの曲率半径で湾曲しており、かつ車体取付け面側の側壁部の両角隅部が該車体取付け面側の側壁部の厚さの0.6〜1倍の長さの曲率半径で湾曲したアルミニウム合金製の押し出し中空部材からなるバンパービームとする。
バンパービームを上記のように構成することにより、衝突した瞬間に発生する最大荷重のピークを効果的に低下させることができ、サイドメンバーを損傷することなしに、衝突エネルギーをバンパービームで吸収し、乗員に与える損傷を飛躍的に少なくすることができるようになる。
【0011】
本発明においては、前記上壁部と連結リブ及び底壁部の厚さを全て等しく構成することができる。
連結リブの厚さを底壁部の厚さよりも薄く構成する場合には、前記連結リブの厚さは前記底壁部の厚さの0.6〜1倍とすることが好ましい。
連結リブをこのように構成することにより、高い剛性を有すると同時に、衝突時に発生する最大ピーク荷重の飛躍的に低減させることができるようになる。
本発明においては、前記 衝突面側の側壁部の両角隅部の曲率半径Rを10〜30mmとするのが良い。
最大ピーク荷重の飛躍的な低減効果と、押出し加工の容易さを考慮した結果、最も実用的な値である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明を具体的に説明する。なお、以下の図面においては判りやすく説明するため、各部の縮尺は必ずしも正確には描かれていない。
(第1の実施形態)
図1は本発明のバンパービームの第1の実施形態を示す断面図である。図に示すように本発明のバンパービーム10は、断面形状が上壁部1と、上壁部1と対向する底壁部2と、上壁部1および底壁部2の両端部を連結する一対の側壁部3、4と、上壁部1および底壁部2の中間に設けられてこれら2つの部位を連結する連結リブ5とからなる“日の字型”を呈するように構成して剛性を確保するようにしている。このバンパービーム10は、紙面左側の側壁部が衝突面側の側壁部3であり、矢印Fで示す衝突の際の衝撃力Fが加わる。紙面右側の側壁部が車体取付け面側の側壁部4であり、サイドメンバー6を介して車体7に取り付けられる。図1は、側壁部3,4の長さが上壁部1及び底壁部2の長さの2倍よりも短くて、上壁部1、底壁部2及び連結リブ5の厚さが全て等しい場合を示している。
【0013】
ここで、図2は本発明のバンパービームの各部の寸法を示す図であり、側壁部の長さをL1、上壁部の長さをL2、衝突面側の側壁部の厚さをt1 、車体取付け面側の側壁部の厚さをt2 、上壁部及び底壁部の厚さをそれぞれt3 、t4 、連結リブの厚さをt5 で示している。
この図2を用い上記の関係を説明すれば、L1 <2L2 で、かつt3 =t4 =t5 の場合を示していることになる。
本実施形態では衝突面側の側壁部3の厚さを車体取付け面側の側壁部4の厚さよりも厚くして衝突エネルギーを受け止め、上壁部1、底壁部2、及び上壁部1と底壁部2との中間に設けられた連結リブ5とで衝撃エネルギーを分担して吸収するようになっている。
【0014】
実用的な各部の厚さは、例えば上壁部1、底壁部2及び連結リブ5の厚さは2.0mm〜3.0mm、衝突面側の側壁部3の厚さは2.0mm〜4.5mm、車体取付け面側の側壁部4の厚さは2.0mm〜3.5mm程度が適当である。
各部の寸法を示した図2を用いて上記を説明すれば、本第1の実施形態においてはt1>t2、t3=t4=t5 であり、各値の適正値は、t1=2.0mm〜4.5mm、t2=2.0〜3.5mm、t3=t4=t5=2.0mm〜3.0 mmとなる。
【0015】
図1は衝突面側の側壁部3及び車体取付け面側の側壁部4の長さが上壁部1及び底壁部2の長さの2倍よりも短い場合を示した。バンパービームの圧潰強度を調整する手段としては、図3に示すように、逆に衝突面側の側壁部3及び車体取付け面側の側壁部4の長さL1を上壁部1及び底壁部2の長さL2の2倍よりも長くすることも考えられる。この場合各部の厚さは、上記の場合と同様でよい。ただし、後に詳述するように隅部の曲率半径Rを変える必要がある。
【0016】
本実施の形態においては、衝突面側の側壁部3の両角隅部と車体取付け面側の側壁部4の両角隅部は、それぞれ曲率半径R,rをもって湾曲して加工する必要がある。“日の字型”の断面の各角隅部に曲率半径を持たせることにより、衝突した瞬間に発生する最大荷重のピークを劇的に低下させることが可能となる。
曲率半径の大きさはごく小さくても最大荷重のピークを低下させる効果を有するが、材料の加工の観点からすれば板厚と同程度以上に大きくするのが実用的である。曲率半径の大きさが大きくなるほど最大荷重のピークを低下させる効果も高くなるが、曲率半径があまり大きくなっても効果は飽和する。適正な曲率半径の大きさは、“日の字型”の断面の長さに関係し、図1に示すように、衝突面側の側壁部3及び車体取付け面側の側壁部4の長さが上壁部1及び底壁部2の長さの2倍よりも短い場合には、衝突面側の側壁部の長さの0.1〜0.3倍の長さの曲率半径とするのが良い。すなわち図2においてL1 <2L2 で、かつt3=t4 =t5 の場合には、曲率半径Rは
R=(0.1〜0.3)×L1 ・・・・・・(1)
とする。
【0017】
一方、図3に示すように、衝突面側の側壁部3及び車体取付け面側の側壁部4の長さが上壁部1及び底壁部2の長さの2倍よりも長い場合には、上壁部1及び底壁部2の長さの0.6〜1倍の長さの曲率半径とするのが良い。すなわち図2においてL1 >2L2 で、かつt3 =t4 =t5 の場合には、曲率半径Rは
R=(0.6〜1.0)×L2 ・・・・・・(2)
とするのが適当である。
【0018】
車体取付け面側の側壁部4の両角隅部の曲率半径rは、直接衝撃を受けないので加工精度も配慮して、側壁部4の板厚程度に僅かな曲率半径を与えておけばよい。各部の寸法を示した図2を用いて説明すれば、
r=(0.6〜1)×t2・・・・・・(3)
となる。
【0019】
バンパービームを上記のように構成すれば衝突した瞬間に発生する最大荷重のピークを効果的に低下させることができる。
例えば、図1に示すように、図2に示す寸法図においてt1=4.5mm、t2=3.5mm、t3= t4=t5=2.6mm、L1=100mm、L2=75mmの断面形状が“日の字型”をなしたアルミニウム合金製のバンパービームを押出し成形加工により作成し、長さ100mmに切断して試験片とし、図1の矢印で示す衝突方向に試験片を押し潰す圧壊試験を行って、衝突時の最大荷重と変位との関係を調べた。曲率半径Rは0mm,5mm,及び10mmとした。測定結果を図4に示す。
【0020】
図4は衝突実験におけるバンパービームの変位量と潰し荷重の関係を示したものである。図に示すように衝突直後の変位量が1mmに達する以前に最大荷重が発生し、その後はほぼ一定の潰し荷重で変形していく。図4の曲線jは“日の字型”バンパービームの上壁部両端の曲率半径Rを0(曲率半径ナシ)にした場合の変位量曲線であって、変位量が約0.5mm程度の時に250kNの最大荷重が発生している。これに対して曲率半径Rを5mmとした曲線aや、曲率半径Rを10mmとした曲線bでは、変位量1mm前後の時に最大荷重が約150kN前後と大幅に低下して発生し、曲線はより矩形波に近づいている。
このように“日の字型”バンパービームの上壁部両端に曲率半径Rを付与することにより衝突時に発生する最大荷重を大幅に低減させることができ、サイドメンバーを損傷することなくバンパービームで衝突エネルギーを有効に吸収することができるので、乗員の安全確保に極めて有効となる。
【0021】
図5は上記と同じ各部寸法のバンパービームについて上壁部両端の曲率半径Rを20,30,40mmに変化させて、同様な最大荷重の測定を行った結果を示している。図中曲線cは曲率半径Rが20mmの場合を、曲線dは曲率半径Rが30mmの場合を、曲線eは曲率半径Rが40mmの場合をそれぞれ示したものである。
図に示すとおり、曲率半径Rを大きくすると最大荷重は約100kNと一層低くなり、より矩形波に近づくものの、曲率半径Rが30mmを越えると最大荷重の低下はほぼ飽和してくる。従ってRの上限値は40mmとするのが適当である。Rの下限値は最大荷重は約100kN以下となる10mm程度である。より好ましいRの範囲は、前記(1)式で示されるR=(0.1〜0.3)×L1 の範囲で選択すれば良く、実用上は10〜30mm程度である。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態の変形として“日の字型”断面の上壁部1と底壁部2とは同じ厚さとし、連結リブ5の厚さを薄く変化させた場合の、最大荷重と変位との関係を図6に示す。
図6において、“日の字型”断面各部位の寸法はt5 <t3=t4とした以外は前記第1の実施例の場合と同様で、衝突側の側面部両端の曲率半径Rは20mmとした。図中曲線cは第1の実施形態の図5に示す上壁部と底壁部及び連結リブの各厚さが全て等しい(t5 =t3=t4=2.6mm)場合と同じである。また、図中曲線fは連結リブの厚さを15%薄くして、t3=t4=2.6mm、t5 =2.2mmとした場合であり、曲線gは連結リブの厚さを30%薄くして、t3=t4=2.6mm、t5 =1.8mmとした場合である。
図6に示すとおり、連結リブの厚さを上壁部及び底壁部の厚さよりも薄くした場合、薄肉化とともに最大荷重が低下する。これは衝力を受ける方向が連結リブに沿った方向であるため、連結リブの強度が弱くなって衝撃力を和らげるためと推測される。
連結リブの厚さをいろいろ変えたバンパービームを作成して衝突実験を繰り返した結果、連結リブの適正値は“日の字型”断面の側壁部の寸法によって最も影響を受けることが判明した。実験の結果、図2に示す各部寸法で説明すると、連結リブの厚さ(t5 )の適正値は“日の字型”断面の側壁部t3(=t4 ) との関係において、
t5 =(0.6〜1)×t3 ・・・・・・(4)
とするのが適当であることが判明した。
【0023】
(比較例)
次に、比較のため、“日の字型”断面において、連結リブの厚さを上壁部及び底壁部の厚さよりも厚くした場合の例を図7に示す。
図7において、“日の字型”断面各部位の寸法はt5 >t3=t4とした以外は前記第1の実施例の場合と同様で、上壁部両端の曲率半径Rは20mmとした。図中曲線cは第1の実施形態の図5に示す連結リブの厚さと上壁部及び底壁部の厚さが等しい(t5 =t3=t4=2.6mm)場合と同じである。また、図中曲線hは上壁部の厚さを連結リブの厚さよりも15%薄くして、t3=t4=2.2mm、t5 =2.6mmとした場合であり、曲線iは上壁部の厚さを連結リブの厚さよりも30%薄くして、t3=t4=1.8mm、t5 =2.6mmとした場合である。
図7に示すとおり、側壁部の厚さを連結リブの厚さよりも薄くした場合、曲率半径Rの効果により衝突時に発生する最大荷重は低下するものの、薄肉化の程度によって最大荷重が変化することはない。これは側壁部の強度が弱くなって衝撃力を和らげるが、衝力を受ける位置が連結リブ部分であるため、連結リブの強度によって最大荷重が支配されるためと推測される。
【0024】
次に側壁部と連結リブの厚さが等しい第1の実施形態の結果を表1に纏めてその効果を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1の結果から、側壁部と連結リブの厚さが等しい場合には、最大荷重と平均荷重の比は、曲率半径Rが20mmの時に最も低くなり、Rが無い場合の半分程度となることが判る。曲率半径Rを5から40mmの範囲で付与すれば、最大荷重と平均荷重の比が低くなり、最大荷重と平均荷重の比が低いほど乗員の受ける身体的損傷を少なくすることが期待できる。
【0027】
最後に、側壁部と連結リブの厚さを変化させた場合の第2の実施形態の結果と比較例の結果を表2に纏めてその効果を示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表2の結果から、連結リブの厚さを側壁部の厚さよりも薄くした方が、衝突の際に発生する最大荷重を下げるためには効果的であることが判る。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、バンパービームの断面形状を詳細に検討した結果、衝撃を受ける面の厚さを厚くして剛性を高め、衝撃を受ける面の両端に曲率半径Rを付与した形状にしたので、衝突の際バンパービームの変形直後に発生する最大荷重が低くなり、乗員の受ける身体的損傷を少なくすることができるようになる。
本発明のバンパービームを装着した車両は、より安全性の高い車両といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用バンパービームの第1の実施形態の断面形状を示す図である。
【図2】本発明の自動車用バンパービームの各部の寸法を示す図である。
【図3】本発明の自動車用バンパービームの第2の実施形態の断面形状を示す図である。
【図4】第1の実施形態におけるバンパービームの変位量と潰し荷重との関係の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態におけるバンパービームの変位量と潰し荷重との関係の他の例を示す図である。
【図6】第2の実施形態におけるバンパービームの変位量と荷重の関係を示す図である。
【図7】比較例におけるバンパービームの変位量と荷重の関係のを示す図である。
【図8】従来の自動車用バンパービームの断面形状の一例を示す図である。
【図9】従来の自動車用バンパービームの断面形状の他の例を示す図である。
【図10】図8に示す従来の自動車用バンパービームの変位量と荷重の関係を示す図である。
【符号の説明】
1,11・・・・・・上壁部、2,12・・・・・・底壁部、3・・・・・・衝突面側の側壁部、4・・・・・・車体取付け面側の側壁部、5,15・・・・・・連結リブ、10,20,30,40・・・・・・バンパービーム、13,14・・・・・・側壁部
Claims (5)
- 断面形状が上壁部と、上壁部に対向する底壁部と、前記上壁部および底壁部の両端部を連結する一対の側壁部と、前記上壁部および底壁部の中間に設けられて2つの側壁部を連結する連結リブとからなる日の字型を呈し、衝突面側の側壁部の厚さが車体取付け面側の側壁部の厚さよりも厚く、衝突面側の側壁部の両角隅部は前記衝突面側の側壁部の長さの0.1〜0.3倍の長さの曲率半径Rで湾曲しており、かつ車体取付け面側の側壁部の両角隅部が該車体取付け面側の側壁部の厚さの0.6〜1倍の長さの曲率半径rで湾曲したアルミニウム合金製の押し出し中空部材からなることを特徴とする自動車用バンパービーム。
- 断面形状が上壁部と、上壁部に対向する底壁部と、前記上壁部および底壁部の両端部を連結する一対の側壁部と、前記上壁部および底壁部の中間に設けられて2つの側壁部を連結する連結リブとからなる日の字型を呈し、衝突面側の側壁部の厚さが車体取付け面側の側壁部の厚さよりも厚く、衝突面側の側壁部の両角隅部は前記底壁部の長さの0.2〜0.6倍の長さの曲率半径で湾曲しており、かつ車体取付け面側の側壁部の両角隅部が該車体取付け面側の側壁部の厚さの0.6〜1倍の長さの曲率半径で湾曲したアルミニウム合金製の押し出し中空部材からなることを特徴とする自動車用バンパービーム。
- 前記上壁部と連結リブ及び底壁部の厚さが等しいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用バンパービーム。
- 前記連結リブの厚さが前記底壁部の厚さの0.6〜1倍であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用バンパービーム。
- 前記衝突面側の側壁部の両角隅部の曲率半径Rが10〜30mmであることを特徴とする請求項1から請求項4のにいずれか1項に記載の自動車用バンパービーム。
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