JP2004148516A - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラム10を使用し、該成形ドラム10の外周上に少なくとも1層のカーカス層4を巻回し、該カーカス層4の幅方向両端部をそれぞれビードコア5の廻りに折り返し、該カーカス層4の外周上のトレッド領域に少なくとも1層のスチールコード層6を巻回し、これらカーカス層4及びスチールコード層6を含むグリーンタイヤ11を成形し、該グリーンタイヤ11をモールド内で加硫する。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として建設現場で使用される建設車両用として好適な空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、トレッド部に埋設されるスチールコード層のセパレーション故障の発生を抑制し、空気入りタイヤの耐久性を向上するようにした空気入りタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設車両用空気入りタイヤでは、不整地走行時に突起物がトレッドを貫通して中途で走行不能になることを避けるため、トレッド部に1層以上のスチールコード層から構成される強固な保護層を埋設することが一般的である。
【0003】
従来、このスチールコード層はカーカスラインに並行して配置されていたが、この場合、近年の車両の高出力化に伴って、スチールコード層の端末領域からのセパレーション故障が顕著に現れるようになっている。そのため、セパレーション故障対策として、スチールコード層の端末領域において、スチールコード層とカーカス層との間に、楔状の断面形状を有するクッションゴム層を配置することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところが、上記のようにクッションゴム層を付加した場合、本来の意図とは異なって走行初期段階でスチールコード層の端末からセパレーション故障が発生し易くなっている。
【0005】
そこで、走行初期段階で故障したタイヤを解析した結果、セパレーション故障の発端となる最大幅スチールコード層の端末領域の特徴として、以下の点が確認された。第1に、スチールコード層の並びに乱れが認められる。つまり、コードが平行に並んでいないのである。第2に、タイヤ周方向に対するコード配置角度が狙いとする角度に比べて高い傾向にある。
【0006】
これら現象は、楔状クッションゴム層を成形ドラム上で貼り合わせるに際し、スチールコード層が成形ドラム上でコンケイブ状(凹状)となり、タイヤモールド内ではコンベックス状(凸状)になる結果、スチールコード層の加硫時リフト率が中央領域より端末領域で小さくなるという不均一性に因るものである。
【0007】
一般に、ラジアル構造を有する大型建設車両用空気入りタイヤでは、テンションメンバーとしての機能を有するスチールコード層(ベルト層)はタイヤ周方向に対するコード配置角度が15度〜30度の範囲を狙って設計される。この場合、ベルト層のリフト率は3〜8%の範囲にあることから、加硫工程でのベルト層のコード配置角度の変化は比較的小さくて済み、2度〜4度の範囲にある。従って、グリーンタイヤでのコード配置角度が30度を超えることは殆どなく、互いに交差するスチールコード層の拘束力が強い。その結果、グリーンタイヤがタイヤモールド内に押し込められる工程で、スチールコード層の全幅にわたってコード配置角度の変化が均一になり易く、またコードの並びに乱れが生じることもない。
【0008】
一方、バイアス構造又はベルテッドバイアス構造を有する大型建設車両用空気入りタイヤを成形する場合、スチールコード層(ベルト層)のリフト率が30〜55%の範囲になる。そのため、製品タイヤでのスチールコード層のコード配置角度として15度〜35度の範囲を狙う場合、グリーンタイヤでのコード配置角度を55度〜65度の範囲にしなければならない。この場合、クラウンセンター領域では、スチールコード層はパンタグラフ効果によって所定のコード配置角度になる。しかし、スチールコード層の端末領域に向かうに従って、互いに交差するスチールコード層の拘束力が弱まるため、端末領域ではパンタグラフ効果が期待できず、加硫リフト工程においてコード角度変化を起こさずにコード間隔が広がる動きが支配的となる。
【0009】
ここで、タイヤサイズ45/65−45 58PRで、グリーンタイヤでのコード配置角度が58度であるスチールコード層(ブレーカー層)を4層積層した空気入りタイヤについて、その製造上の問題点をより具体的に説明する。
【0010】
図4は空気入りタイヤを製造するための従来の成形ドラムを示すものである。図4に示すように、成形ドラム20は外径Dの円筒状をなし、ドラム軸方向の全域にわたって外周長が一定になっている。
【0011】
上述した成形ドラム20を用いて、楔状クッションゴム層を持たない空気入りタイヤ(図2)を成形する場合、図5に示すように、成形ドラム20の外周上に複数層のカーカス層4を巻回し、該カーカス層4の幅方向両端部をそれぞれビードコア5の廻りに折り返し、カーカス層4の外周上のトレッド領域に複数層のスチールコード層6を巻回し、これらカーカス層4及びスチールコード層6を含むグリーンタイヤ21を成形し、しかる後、該グリーンタイヤ21をモールド内で加硫する。
【0012】
このように製造された空気入りタイヤの場合、スチールコード層のタイヤ周方向に対するコード配置角度(度)及び単位幅当たりのコード打ち込み本数(本/50mm)と、クラウンセンターからの距離との関係は、図8のようになる。但し、「1B」,「2B」,「3B」,「4B」はそれぞれカーカス側から数えて1〜4番目のスチールコード層を意味し、「End」はコード打ち込み本数を意味し、「Angle」はコード配置角度を意味する。
【0013】
図8の領域Aは、スチールコード層が4層重なっている領域であり、パンタグラフ効果によるコード角度変化が支配的である。そのため、パンタグラフ効果に基づく計算値であるコード配置角度27度±2度の範囲内に、実際のタイヤのコード配置角度が含まれていることが判る。
【0014】
図8の領域Bは、スチールコード層の積層枚数が徐々に減少する領域であり、スチールコード層が4層、3層、2層となるに従い、積層されたスチールコード層同士の拘束力が弱くなる。そのため、パンタグラフ効果が弱まり、スチールコード層はコード角度変化を起こさずにコード間隔が広がろうとする動きの影響が現れてくる。
【0015】
図8の領域Cは、最大幅スチールコード層が単層になる領域であり、この領域では自由端末となるため、スチールコード層はコード角度変化を伴わずにコード間隔が広がる動きが支配的となる。特に1層目の最大幅スチールコード層の端末領域ではグリーンタイヤでのコード配置角度(58度)と実質的に変わらない約57度である。
【0016】
上記空気入りタイヤを実車走行させた場合、スチールコード層がカーカスラインに沿って配置されているため、撓みの大きい使用条件では繰り返しの接地変形に起因するコード端末への応力集中が顕著に発生することになる。そのため、近年の高出力車両では、走行中期以降においてスチールコード層の端末領域を起点としてセパレーション故障を生じ易いのである。
【0017】
一方、上述した成形ドラム20を用いて、楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤ(図1)を成形する場合、図6に示すように、成形ドラム20の外周上に複数層のカーカス層4を巻回し、該カーカス層4の幅方向両端部をそれぞれビードコア5の廻りに折り返し、カーカス層4の外周上のトレッド領域にクッションゴム層7を挟んで複数層のスチールコード層6を巻回し、これらカーカス層4とスチールコード層6との間隔をクッションゴム層7の厚さ配分に基づいてタイヤ軸方向外側に向けて徐々に大きくしたグリーンタイヤ21を成形し、しかる後、該グリーンタイヤ21をモールド内で加硫する。
【0018】
このように製造された空気入りタイヤの場合、スチールコード層のタイヤ周方向に対するコード配置角度(度)及び単位幅当たりのコード打ち込み本数(本/50mm)と、クラウンセンターからの距離との関係は、図9のようになる。
【0019】
図9の領域Aでは、パンタグラフ効果によるコード角度変化が支配的であり、図8との違いは認められない。図9の領域Bでは、図8に比べて加硫リフト工程でのコード角度変化が少なく、各スチールコード層でコード角度が高くなる傾向がある。図9の領域Cでは、コード配置角度がグリーンタイヤの状態よりも大きくなる傾向がある。特に問題となるのは、端末より内側でコード配置角度が60度を超えた領域である。コード配置角度がグリーンタイヤの状態より大きくなった領域では、コードがタイヤ径方向に波状となる皺を形成する。
【0020】
上記空気入りタイヤを実車走行させた場合、クッションゴム層の配置によりスチールコード層の曲率半径がトレッド接地面形状に近づくため、繰り返しの接地変形に起因するコード端末への応力集中は、本来、緩和される筈であるが、最大幅スチールコード層の端末領域でのコード配置角度が大きくなり過ぎるため応力緩和効果が十分に発揮されない。特に、コード端末に波状の皺部分が存在していると、走行初期段階でセパレーション故障が発生し易くなる。
【0021】
【特許文献1】
特開2000−16019号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トレッド部に埋設されるスチールコード層のセパレーション故障の発生を抑制し、空気入りタイヤの耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、成形ドラムの外周上に少なくとも1層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、前記カーカス層の外周上のトレッド領域に少なくとも1層のスチールコード層を巻回し、これらカーカス層及びスチールコード層を含むグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫する空気入りタイヤの製造方法において、ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを、前記グリーンタイヤの成形工程に用いたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の空気入りタイヤの製造方法は、成形ドラムの外周上に少なくとも1層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、前記カーカス層の外周上のトレッド領域にクッションゴム層を挟んで少なくとも1層のスチールコード層を巻回し、これらカーカス層とスチールコード層との間隔を前記クッションゴム層の厚さ配分に基づいてタイヤ軸方向外側に向けて徐々に大きくしたグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫する空気入りタイヤの製造方法において、ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを、前記グリーンタイヤの成形工程に用いると共に、最大幅を有するスチールコード層の端末位置での内周長がドラム軸方向中心位置での内周長より小さくなるように前記クッションゴム層の厚さ配分と前記成形ドラムの形状を設定したことを特徴とするものである。
【0025】
このように成形ドラムの外周上にカーカス層及びスチールコード層を巻回してグリーンタイヤを成形するに際し、ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを使用することにより、スチールコード層の端末側のリフト率を大きくし、その端末領域でのコード角度変化を大きくすることが可能になる。これにより、スチールコード層の端末領域におけるコード配置角度やコード間隔を適正化し、セパレーション故障の発生を防止することができる。特に、成形ドラムの外周上でスチールコード層がコンベックス形状となるように楔状のクッションゴム層の厚さ配分に合わせて成形ドラムのプロファイルを設定した場合、耐久性の向上効果が顕著になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明が適用される建設車両用空気入りタイヤを示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間には複数層のカーカス層4が装架され、そのカーカス層4の幅方向両端部がそれぞれビードコア5の廻りに折り返されている。これらカーカス層4はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本のコードを含み、これらコードが層間で互いに交差するバイアス構造になっている。カーカス層4のタイヤ周方向に対するコード角度は、クラウン部で36度〜43度であることが好ましい。
【0028】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数層のスチールコード層(ブレーカー層)6が埋設されている。これらスチールコード層6はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本のコードを含み、これらコードが層間で互いに交差している。スチールコード層6のタイヤ周方向に対するコード角度は、クラウン部中央領域で20度〜35度であることが好ましい。
【0029】
カーカス層4とスチールコード層6との間には、楔状の断面形状を有するクッションゴム層7が挟み込まれている。これにより、スチールコード層6はタイヤ軸方向外側に向けて徐々にカーカス層4から離間している。また、トレッド部1には必要に応じてラグ溝8などの溝が形成されている。
【0030】
図3は本発明で使用される成形ドラムを示すものである。図3に示すように、成形ドラム10はドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減している。つまり、成形ドラム10はドラム軸方向中央部での外径Dcがドラム軸方向外端部での外径Dsよりも大きくなっている。
【0031】
上述した成形ドラム10を用いて、楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤ(図1)を成形する場合、図7に示すように成形ドラム10の外周上に複数層のカーカス層4を巻回し、該カーカス層4の幅方向両端部をそれぞれビードコア5の廻りに折り返し、カーカス層4の外周上のトレッド領域にクッションゴム層7を挟んで複数層のスチールコード層6を巻回し、これらカーカス層4とスチールコード層6との間隔をクッションゴム層7の厚さ配分に基づいてタイヤ軸方向外側に向けて徐々に大きくしたグリーンタイヤ11を成形する。その後、グリーンタイヤ11を成形ドラム10から外してモールド内に投入し、そのモールド内でグリーンタイヤ11を所定のリフト率で膨径させて加硫する。なお、リフト率とはグリーンタイヤでの径方向寸法に対するモールド内で膨径させた状態での径方向寸法の比率である。
【0032】
ここで、最大幅を有するスチールコード層6Xの端末位置6aでの内周長がそのドラム軸方向中心位置6bでの内周長より小さくなるようにクッションゴム層7の厚さ配分と成形ドラム10の形状を設定する。つまり、カーカス層4とスチールコード層6との間にクッションゴム層7を挿入することで、スチールコード層6をタイヤ幅方向外側に向かって徐々にカーカス層4から離間させると共に、最大幅を有するスチールコード層6に対する加硫時のリフト率をタイヤ幅方向に略均一にし、或いは、端末領域でのリフト率を中央領域でのリフト率をよりも大きくし、その端末領域でのコード角度変化を従来よりも大きくするのである。これにより、スチールコード層6の端末領域におけるコード配置角度やコード間隔を適正化し、セパレーション故障の発生を防止することができる。
【0033】
特に、成形ドラム10の外周上でスチールコード層6がコンベックス形状となるように楔状のクッションゴム層7の厚さ配分に合わせて成形ドラム10のプロファイルを規定した場合、スチールコード層6は成形ドラム10上でコンベックス状となり、タイヤモールド内でもコンベックス状となるので、加硫リフト工程においてコードの動きに無理がなくなる。
【0034】
このように製造された空気入りタイヤの場合、スチールコード層のタイヤ周方向に対するコード配置角度(度)及び単位幅当たりのコード打ち込み本数(本/50mm)と、クラウンセンターからの距離との関係は、図10のようになる。但し、「1B」,「2B」,「3B」,「4B」はそれぞれカーカス側から数えて1〜4番目のスチールコード層を意味し、「End」はコード打ち込み本数を意味し、「Angle」はコード配置角度を意味する。
【0035】
上記空気入りタイヤでは、加硫時においてスムーズなコード角度変化が生じた結果、図10に示すように、スチールコード層の端末領域においてコード配置角度が比較的小さくなっている。特に1層目の最大幅スチールコード層の端末領域でのコード配置角度は約48度である。
【0036】
上述した実施形態では楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤを製造する場合について説明したが、本発明は楔状クッションゴム層を持たない空気入りタイヤを製造する場合にも適用可能である。この場合も、図4に示す成形ドラム10を使用することができる。
【0037】
つまり、楔状クッションゴム層を持たない空気入りタイヤ(図2)を製造する場合、成形ドラム10の外周上に複数層のカーカス層4を巻回し、該カーカス層4の幅方向両端部をそれぞれビードコア5の廻りに折り返し、カーカス層5の外周上のトレッド領域に複数層のスチールコード層6を巻回し、これらカーカス層4及びスチールコード層6を含むグリーンタイヤを成形し、しかる後、該グリーンタイヤをモールド内で加硫すれば良い。
【0038】
この場合も、スチールコード層6の端末側のリフト率を大きくし、その端末領域でのコード角度変化を大きくする効果が得られるので、スチールコード層6の端末領域におけるコード配置角度やコード間隔を適正化し、セパレーション故障の発生を防止することができる。
【0039】
【実施例】
タイヤサイズ45/65−45 58PRで、4層のスチールコード層(ブレーカー層)を備えた建設車両用空気入りタイヤを、従来例1,2及び実施例の製造方法によりそれぞれ製作した。なお、全てのスチールコード層について、スチールコードの撚り構造を3+9+15×0.215+0.15とし、グリーンタイヤでのコード配置角度を58度とし、グリーンタイヤでのコード打ち込み本数を17本/50mmとした。
【0040】
〔従来例1〕
図5に示すように、円筒状の成形ドラムを使用し、該成形ドラムの外周上に複数層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、カーカス層の外周上のトレッド領域に複数層のスチールコード層を巻回してグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫することで、図2に示す構造を有する空気入りタイヤを得た。加硫後におけるスチールコード層のコード配置角度及びコード打ち込み本数は図8の通りであった。
【0041】
〔従来例2〕
図6に示すように、円筒状の成形ドラムを使用し、該成形ドラムの外周上に複数層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、カーカス層の外周上のトレッド領域にクッションゴム層を挟んで複数層のスチールコード層を巻回してグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫することで、図1に示す構造を有する空気入りタイヤを得た。加硫後におけるスチールコード層のコード配置角度及びコード打ち込み本数は図9の通りであった。
【0042】
〔実施例〕
図7に示すように、ドラム軸方向中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを使用し、該成形ドラムの外周上に複数層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、カーカス層の外周上のトレッド領域にクッションゴム層を挟んで複数層のスチールコード層を巻回してグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫することで、図1に示す構造を有する空気入りタイヤを得た。加硫後におけるスチールコード層のコード配置角度及びコード打ち込み本数は図10の通りであった。
【0043】
図8〜図10より、各タイヤの最大幅スチールコード層についての結果を抽出し、その比較結果を図11に示した。この図11から判るように、実施例の製造方法で得られた空気入りタイヤの最大幅スチールコード層は、従来例1,2の製造方法で得られた空気入りタイヤの最大幅スチールコード層に比べて、特に端末領域でコード配置角度が小さくなっていた。
【0044】
次に、従来例1,2及び実施例の製造方法により多数の空気入りタイヤを製造し、これらタイヤを同様の使用条件で実車走行により評価し、その結果を図12に示した。図12は使用開始からの経過月と累積故障発生率との関係を示すものである。
【0045】
図12に示すように、従来例1の製造方法で得られた空気入りタイヤは、累積故障発生率が最終的に12%に到達した。従来例2の製造方法で得られた空気入りタイヤは、27ヵ月経過した時点では従来例1の場合に比べて改善されているが、未だ十分ではなかった。これに対して、実施例の製造方法で得られた空気入りタイヤは、20ヵ月経過した時点で累積故障発生率が0%であって明らかな改善効果が認められた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、成形ドラムの外周上にカーカス層及びスチールコード層を巻回してグリーンタイヤを成形するに際し、ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを使用することにより、スチールコード層の端末側のリフト率を大きくし、その端末領域でのコード角度変化を大きくすることが可能になる。これにより、スチールコード層の端末領域におけるコード配置角度やコード間隔を適正化し、セパレーション故障の発生を抑制し、空気入りタイヤの耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される建設車両用空気入りタイヤの一例を示す子午線半断面図である。
【図2】本発明が適用される建設車両用空気入りタイヤの他の例を示す子午線半断面図である。
【図3】本発明で使用される成形ドラムの一例を示す断面図である。
【図4】従来の成形ドラムの一例を示す断面図である。
【図5】従来の成形ドラムを用いて、楔状クッションゴム層を持たない空気入りタイヤを成形する際の成形ドラム上での積層構造を示す断面図である。
【図6】従来の成形ドラムを用いて、楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤを成形する際の成形ドラム上での積層構造を示す断面図である。
【図7】本発明に係る成形ドラムを用いて、楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤを成形する際の成形ドラム上での積層構造を示す断面図である。
【図8】楔状クッションゴム層を持たない空気入りタイヤを従来の製造方法で製造した場合について、スチールコード層のコード配置角度及びコード打ち込み本数と、クラウンセンターからの距離との関係を示すグラフである。
【図9】楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤを従来の製造方法で製造した場合について、スチールコード層のコード配置角度及びコード打ち込み本数と、クラウンセンターからの距離との関係を示すグラフである。
【図10】楔状クッションゴム層を有する空気入りタイヤを本発明の製造方法で製造した場合について、スチールコード層のコード配置角度及びコード打ち込み本数と、クラウンセンターからの距離との関係を示すグラフである。
【図11】図8〜図10より各タイヤの最大幅スチールコード層についての結果を抽出して示すグラフである。
【図12】累積故障発生率と経過月との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 スチールコード層(ブレーカー層)
6X 最大幅スチールコード層
6a 最大幅スチールコード層の端末位置
6b 最大幅スチールコード層の中心位置
7 クッションゴム層
8 ラグ溝
10 成形ドラム
11 グリーンタイヤ
Claims (2)
- 成形ドラムの外周上に少なくとも1層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、前記カーカス層の外周上のトレッド領域に少なくとも1層のスチールコード層を巻回し、これらカーカス層及びスチールコード層を含むグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫する空気入りタイヤの製造方法において、ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを、前記グリーンタイヤの成形工程に用いた空気入りタイヤの製造方法。
- 成形ドラムの外周上に少なくとも1層のカーカス層を巻回し、該カーカス層の幅方向両端部をそれぞれビードコアの廻りに折り返し、前記カーカス層の外周上のトレッド領域にクッションゴム層を挟んで少なくとも1層のスチールコード層を巻回し、これらカーカス層とスチールコード層との間隔を前記クッションゴム層の厚さ配分に基づいてタイヤ軸方向外側に向けて徐々に大きくしたグリーンタイヤを成形し、該グリーンタイヤをモールド内で加硫する空気入りタイヤの製造方法において、ドラム軸方向中央部で外周長が最大値となり、かつ該中央部からドラム軸方向外側に向かって外周長が漸減する成形ドラムを、前記グリーンタイヤの成形工程に用いると共に、最大幅を有するスチールコード層の端末位置での内周長がドラム軸方向中心位置での内周長より小さくなるように前記クッションゴム層の厚さ配分と前記成形ドラムの形状を設定した空気入りタイヤの製造方法。
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