JP2004140288A - 電極、電極製造装置、電極の製造方法、及び熱発電装置 - Google Patents

電極、電極製造装置、電極の製造方法、及び熱発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より電子放出効率が高く、且つ耐久性に優れた電極の製造方法、電極製造装置およびこの電極を用いた熱発電装置を提供する。
【解決手段】電極製造装置200において、所定の成長用基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…を配向成長させる配向成長手段210と、溶解した導電性物質21a内に、前記配向成長手段により配向成長させた前記カーボンナノチューブの先端部22aを挿入し、その後、前記導電性物質を固化させて導電性基板21を形成する導電性基板形成手段220と、前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離する分離手段230と、を備えた。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極製造装置、電極の製造方法、及びこの電極を用いた熱発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カーボンナノチューブは、FED(Fild Emission Display)電極、コンデンサ電極、電池の電極等の各種電極材料、及び水素吸蔵機能材料として大きく注目されている。
特に、導電性の基板上にカーボンナノチューブが垂直に立てて配置されていると、カーボンナノチューブは、その直径が極めて小さいので、電界を加えることによりその先端に電界が集中し、電子がカーボンナノチューブの先端部に引き寄せられ、その先端部から電子が容易に放出される。さらに、導電性基板の電気抵抗が小さいので、放出により不足する電子が容易に供給されて電子放出量が増加し、電子放出が持続しやすくなる。
【0003】
従来、基板上にカーボンナノチューブを垂直に配向成長させる方法として、例えば、炭化水素ガスを利用して、Niなどの触媒粒子を含有するシリコン又はガラス基板に、直流プラズマCVDにより直接この基板から垂直方向に成長させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、最近では、表面に鉄系触媒を蒸着したn型シリコン基板をメタノール、エタノール等のアルコール溶液内に浸漬した状態で加熱することにより、高配向性カーボンナノチューブを析出・成長させる方法も知られている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−303250号公報
【非特許文献1】
蒲生西谷美香,中川清晴,安藤寿浩;“アルコール液体中でのカーボンナノチューブの合成”,NEW DIAMOND誌,Vol.18, No.3, pp.11−16, (2002年7月)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法は、以下に示すような問題があった。
▲1▼シリコン基板や炭化シリコン基板(以下、シリコン基板等という)は、抵抗値が高いので電流が流れにくく、電子放出が基板の抵抗によって制限されるという問題があった。
▲2▼また、シリコン基板等の表面から成長したカーボンナノチューブと、シリコン基板等との結合力が弱く、時間経過とともにカーボンナノチューブがシリコン基板等から抜け落ちてしまうという問題があった。
▲3▼更に、シリコン基板上のカーボンナノチューブは、化学反応により成長したものであるため、成長過程のわずかな差により長さのばらつきが生じ、このばらつきに起因した電子放出効率の低下の問題があった。
▲4▼加えて、純度の高いシリコン基板等を製作するには,多量の電気エネルギーと長い処理時間と複雑な工程を必要とするので、その価格は非常に高くなるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、より電子放出効率が高く、且つ耐久性に優れた電極、その電極の製造方法、電極製造装置およびその電極を用いた熱発電装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための手段として、本発明は、以下の構成要素を備えている。なお、各構成要素には、後述する発明の実施の形態において対応する構成要素を図に示される符号とともに括弧書きして例示する。
請求項1記載の発明は、電極において、
導電性基板21に、略垂直に複数のカーボンナノチューブ22…が植設されてなることを特徴とする。
ここで、導電性基板とは、例えば、銅、アルミニウム、クロム、ステンレス鋼等の金属により構成された基板をいうが、これに限らず、一般に導電性を有する材料により構成されたものであればどのようなものでもよい。
【0008】
請求項1記載の電極によれば、導電性基板に、略垂直に複数のカーボンナノチューブが植設されてなるので、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向が概平行に並ぶこととなる。従って、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向に電界を加えることが可能になり、電界がカーボンナノチューブの先端に集中し、そこに電子が局所的に集中するので、高効率に電子を放出することができ、抵抗値が低く、電流が流れやすくなって、電子の放出効率を向上させることができる。
また、カーボンナノチューブの先端部が導電性基板に植設されているので、カーボンナノチューブが導電性基板の内部で固定されることとなって、カーボンナノチューブと導電性基板との間の固定力が増加して、カーボンナノチューブが抜け落ちる可能性が少なくなり、耐久性が向上する。
【0009】
請求項2記載の発明は、電極製造装置200において、
所定の成長用基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…を配向成長させる配向成長手段210と、
溶解した導電性物質21a内に、前記配向成長手段により配向成長させた前記カーボンナノチューブの先端部22aを挿入し、その後、前記導電性物質を固化させて導電性基板21を形成する導電性基板形成手段220と、
前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離する分離手段230と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、成長用基板としては、例えば、シリコン基板や炭化シリコン(SiC)基板等のカーボンナノチューブの成長に好適な材料を用いるが、特に限定するものではない。
導電性物質とは、例えば、銅、アルミニウム、クロム、ステンレス鋼等の金属をいうが、これに限らず、一般に導電性を有するものであればどのようなものでもよい。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、配向成長手段により、所定の成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブが配向成長され、導電性基板形成手段により、このカーボンナノチューブの先端部が挿入された溶融導電性物質が固化されて導電性基板が形成され、分離手段により、カーボンナノチューブが成長用基板から分離される。
従って、最終的に導電性基板に、略垂直にカーボンナノチューブが植設された電極が形成されることとなるので、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向が概平行に並ぶこととなる。よって、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向に電界を加えることが可能になり、電界がカーボンナノチューブの先端に集中し、そこに電子が局所的に集中するので、高効率に電子を放出することができ、抵抗値が低く、電流が流れやすくなって、電子の放出効率を向上させることができる。
【0012】
また、カーボンナノチューブの先端部が挿入された状態で、導電性物質が固化されるので、カーボンナノチューブが導電性基板の内部で固定されることとなって、カーボンナノチューブと導電性基板との間の固定力が増加して、カーボンナノチューブが抜け落ちる可能性が少なくなり、耐久性が向上する。
更に、成長用基板から分離された側のカーボンナノチューブの端部が先端部となるので、分離時にカーボンナノチューブの長さを揃えて分離させることが可能となって、電子放出の効率をより向上させることができる。
また、シリコン基板上に成長するカーボンナノチューブを一度は取り去って、カーボンナノチューブを導電性の基板に移植し、シリコン基板を再利用することにより、高価なシリコン基板を複数回に渡って使用することができることとなって、最終的な製品価格も低下させることができる。
また、成長用基板から分離される先端部は引き千切られた状態となるので、通常のカーボンナノチューブ成長形成の先端部に比べて、先端部には複数の凹凸が存在することとなって、より電界強度が局所的に強くなり,電子が集中し,電子放出の効率が向上する。
【0013】
請求項3記載の発明は、電極2の製造方法において、
成長用基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…を配向成長させる第1の工程と、
溶解した導電性物質21a内に、前記第1の工程により配向成長させた前記カーボンナノチューブの先端部22aを挿入し、その後、前記導電性物質を固化させて導電性基板21を形成する第2の工程と、
前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離する第3の工程と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
ここで、成長用基板としては、例えば、シリコン基板や炭化シリコン(SiC)基板等のカーボンナノチューブの成長に好適な材料を用いるが、特に限定するものではない。
導電性物質とは、例えば、銅、アルミニウム、クロム等の金属をいうが、これに限らず、一般に導電性を有するものであればどのようなものでもよい。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブが配向成長され、次いで、溶解した導電性物質内に、カーボンナノチューブの先端部が挿入された状態で、導電性物質が固化されて導電性基板が形成され、次いで、カーボンナノチューブが基板から分離される。
従って、最終的に導電性基板にカーボンナノチューブが植設された電極が形成されることとなるので、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向が概平行に並ぶこととなる。よって、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向に電界を加えることが可能になり、電界がカーボンナノチューブの先端に集中し、そこに電子が局所的に集中するので、高効率に電子を放出することができ、抵抗値が低く、電流が流れやすくなって、電子の放出効率を向上させることができる。
また、カーボンナノチューブの先端部が挿入された状態で、導電性物質が固化されるので、カーボンナノチューブが導電性基板の内部で固定されることとなって、カーボンナノチューブと導電性基板との間の固定力が増加して、カーボンナノチューブが抜け落ちる可能性が少なくなり、耐久性が向上する。
更に、成長用基板から分離された側のカーボンナノチューブの端部が先端部となるので、分離時にカーボンナノチューブの長さを揃えて分離させることが可能となって、電子放出の効率をより向上させることができる。
【0016】
また、シリコン基板上に成長するカーボンナノチューブを一度は取り去って、カーボンナノチューブを導電性の基板に移植し、シリコン基板を再利用することにより、高価なシリコン基板を複数回に渡って使用することができることとなって、最終的な製品価格も低下させることができる。
また、成長用基板から分離される先端部は引き千切られた状態となるので、通常のカーボンナノチューブ成長形成の先端部に比べて、先端部には複数の凹凸が存在することとなって、より電界強度が局所的に強くなり,電子が集中し,電子放出の効率が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の電極の製造方法において、
前記第1の工程は、
前記成長用基板を有機液体C中に浸漬させた状態で所定の温度に加熱することにより、当該成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブを配向成長させることを特徴とする。
ここで、所定の温度とは、有機液の種類や触媒の種類によって異なる温度であり、任意に設定して良い。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、成長用基板を有機液体中に浸漬させて所定の温度に加熱することにより、成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブが配向成長される。
溶液中でカーボンナノチューブを成長させる場合には、カーボンナノチューブは溶液中のカーボンを取り込んで成長する。この際の条件として、成長用基板の温度を上昇させる必要があるが、成長用基板の温度を上昇させると、その周辺の溶液の温度も上昇するので、カーボンナノチューブの成長反応が起こる。従って、成長用基板にのみ電気エネルギーを与えるだけでカーボンナノチューブを成長用基板に略垂直に配向成長させることができる。一方、気体中でカーボンナノチューブを製造する場合には、気体全体の温度を上昇させる必要があり、その上、気体中での反応はスピードが遅く、気相中でカーボンを送り込むだけで基板上に略垂直にカーボンナノチューブを配向成長させることは極めて困難であり、通常の方法では殆ど不可能である。加えて気相中での製造においては、利用できないカーボンの煤などが発生し、使用可能なカーボンナノチューブの生産効率は良好でない。しかも、気相中で製造されたカーボンナノチューブの方向には配向性が全くないので、電子放出などの目的に使用する場合には、その後の処理工程が複雑になり、製造コストの上昇が避けられない。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項3又は4に記載の電極の製造方法において、
前記第2の工程は、
前記成長用基板と前記導電性物質との間に電界をかける工程を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、成長用基板と導電性物質との間に電界をかけることにより、途中で曲がってしまったカーボンナノチューブを真っ直ぐに伸ばすことが出来ることとなって、カーボンナノチューブの配向性をより高めることができ、電子の放出効率を向上させることができる。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項3〜5の何れか一項に記載の電極の製造方法において、
前記第3の工程において、
前記成長用基板を加熱することに基づいて前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離することを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項3〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、成長用基板を加熱することに基づいてカーボンナノチューブが成長用基板から分離されるので、容易に分離することができる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項3〜6の何れか一項に記載の電極の製造方法において、
前記第3の工程において、
前記成長用基板のカーボンナノチューブが略垂直に配向している面の反対側の面上に電磁石231あるいは永久磁石を配置し、前記成長用基板に触媒として分布配置されている鉄あるいは鉄の酸化物を電磁石あるいは永久磁石に引き寄せることにより、前記成長用基板に力を加えて前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離することを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、請求項3〜6の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、成長用基板のカーボンナノチューブが略垂直に配向している面の反対側の面上に電磁石あるいは永久磁石が配置され、成長用基板に触媒として分布配置されている鉄あるいは鉄の酸化物が電磁石あるいは永久磁石に引き寄せられることにより、成長用基板に力が加えられてカーボンナノチューブが成長用基板から分離されるので、容易に分離することができる。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項3〜5の何れか一項に記載の電極の製造方法において、
前記第3の工程において、
前記カーボンナノチューブにレーザを照射して前記カーボンナノチューブを切断することにより前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離することを特徴とする。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、請求項3〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、レーザをカーボンナノチューブに照射してカーボンナノチューブを切断することによりカーボンナノチューブが成長用基板から分離されるので、容易に分離することができる。また、カーボンナノチューブの長さを揃えることも容易である。
【0027】
請求項9記載の発明は、熱発電装置(例えば、熱発電モジュール100)において、
熱や太陽光のエネルギーを加えることにより電子を放出する電子放出部材(例えば、電極2)と、
前記電子放出部材との間で電界をかけて前記電子放出部材から放出された電子を加速する電子加速部材4と、
前記電子収集部材と前記電子加速部材とを電気的に絶縁する絶縁部材41と、前記電子放出部材から放出され、前記電子加速部材により加速された電子を収集する電子収集部材3と、
を備え、
前記電子放出部材は、導電性基板21に、略垂直に複数のカーボンナノチューブ22…が植設されてなる電極であり、
前記電子収集部材を負極とし、前記電子放出部材を正極とすることにより、前記電子収集部材から電子を移動させて発電を行う構成としたことを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、電子放出部材から放出された電子は、電子収集部材に収集されるので、その電子収集部材において過剰となった電子を、電子が不足した電子放出部材へ移動させる際に電気を発生させることができる。従って、集められた熱や太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
特に、電子放出部材として、導電性基板に、略垂直に複数のカーボンナノチューブが植設されてなる電極を用いているので、高効率に電子を放出することができることとなって、更にエネルギー変換効率を高めることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
まず、本発明に係る電極の構造について説明する。
図1は本発明に係る電極の側面図である。
【0030】
図1に示す電極2は、導電性基板21にカーボンナノチューブ22…が基板表面に対して略垂直に配向されて植設されている。
導電性基板21は、例えば、Cu、Al、Cr、ステンレス鋼などの導電性物質により構成されている。
カーボンナノチューブ22…は、例えば、直径は、数nm〜十数nmで、長さは、1μm〜数十μmであり、100万〜100億本/mm2 程度、植設されている。
【0031】
次に、上記電極2を製造するための電極製造装置200について図2を用いて説明する。
図2に示す電極製造装置200は、所定の成長用基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…を配向成長させる配向成長手段210と、溶解した導電性物質21a内に、配向成長手段210により成長させたカーボンナノチューブ22…の先端部22aを挿入し、その後、導電性物質21aを固化させて導電性基板21を形成する導電性基板形成手段220と、カーボンナノチューブ22…を成長用基板23から分離する分離手段230と、を備えている。
配向成長手段210は、水槽211と、この水槽211内に入れられ、内部に有機溶液Cを収容する反応容器212と、成長用基板23に接続される通電用電極213a、213b、及び電源214などにより構成されている。
【0032】
有機溶液としては、例えば、メタノール、エタノール、1−ブタノール、及び1−オクタノールなどが用いられる。
成長用基板23としては、例えば、n型シリコン基板が用いられる。
そして、通電用電極213a、213bを介して、電源214から直流あるいは交流電流を成長用基板23に通電することにより、成長用基板23を所定の温度に加熱することができる。
【0033】
導電性基板形成手段220は、例えば、耐熱性材料により形成された略矩形状の内部空間を有する型枠部材221を備えている。そして、型枠部材221内に溶解された導電性物質21aが入れられるようになっている。
【0034】
分離手段230は、例えば、上記通電用電極213a、213bと電源214とにより構成され、成長用基板23を加熱することにより、カーボンナノチューブ22…と成長用基板23とを分離させる。
また、分離手段230は、例えば、レーザ照射装置(図示省略)により構成され、カーボンナノチューブ22…にレーザを照射することによりカーボンナノチューブ22…と成長用基板21とを分離させる。
また、分離手段230は、例えば、図3に示すように、成長用基板23のカーボンナノチューブ22…が略垂直に配向している面の反対側の面上に電磁石あるいは永久磁石231を配置し、成長用基板23に触媒として分布配置されている鉄あるいは鉄の酸化物を磁石に引き寄せることにより、成長用基板23に力を加えてカーボンナノチューブ22…を成長用基板23から分離する。
【0035】
次に、上記した電極製造装置200を用いた電極2の製造方法について図2を用いて説明する。
まず、第1の工程として、成長用基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…を配向成長させる。即ち、成長用基板23を反応容器212内の有機液体C中に浸漬させた状態で所定の温度に加熱させてカーボンナノチューブ22…を析出・成長させる。
【0036】
具体的には、例えば、成長用基板23を、n型シリコン基板により構成し、有機液体Cを、メタノールにより構成し、成長用基板23の表面には、触媒としてのFeおよびFeOを微量(例えば、2.4〜10nm)蒸着する。また、成長用基板23は、通電用電極213a、213bに接続する。
そして、有機液体Cに浸漬させた状態の成長用基板23に直流あるいは交流電流を通電することにより、成長用基板23を、例えば、700〜1100℃に加熱する。すると、成長用基板23の表面に、カーボンナノチューブ22…が析出し、析出したカーボンナノチューブ22…は、成長用基板23の表面に対して略垂直方向に成長する。
【0037】
ここで、カーボンナノチューブ22…の生成密度、直径は触媒として蒸着したFe薄膜の膜厚、成長用基板23の温度、反応に用いる有機溶液の種類に依存して変化する。また、カーボンナノチューブ22…の長さは、反応時間に比例して長くなる。
【0038】
次いで、第2の工程として、型枠部材221内の溶解された導電性物質21a内に、第1の工程で生成されたカーボンナノチューブ22…の先端部22aを挿入し、その後、導電性物質21aを固化させて導電性基板21を形成する。
具体的には、溶解した導電性物質21a(例えば、銅)が入った型枠部材221内に、第1の工程により生成させたカーボンナノチューブ22…の先端部22aを挿入し、この状態を保持したまま、導電性物質21aを固化させる。すると、導電性物質21aは矩形状の導電性基板21を形成するとともに、カーボンナノチューブ22…は導電性基板21内に植設された状態となる。
【0039】
また、このとき、例えば、図4に示すように、成長用基板23と導電性基板21との間に、電源231から電圧を印加することにより電界を施すと、カーボンナノチューブ22…が曲がっていた場合に、電界作用によりカーボンナノチューブ22…が真っ直ぐに延びるようになる。
【0040】
次いで、第3の工程として、カーボンナノチューブ22…を成長用基板21から分離する。
カーボンナノチューブ22…を成長用基板23から分離する方法としては、上述したように、例えば、成長用基板23を加熱することに基づいてカーボンナノチューブ22…を成長用基板23から分離する方法がある。
より具体的には、成長用基板23に通電用電極213を介して直流あるいは交流電流を通電することにより、成長用基板23を加熱する。成長用基板23の温度が上昇すると、成長用基板23とカーボンナノチューブ22…の接合面の温度が充分に上昇するので、その領域における化学的な活性度が高くなり、溶解状態に近づき、わずかの分離作用力によってもカーボンナノチューブ22…が成長用基板23から離脱する。この際に分離作用力として、電磁石231と電源232あるいは永久磁石によって成長用基板23に存在する鉄あるいは酸化鉄を引き寄せる力などがある。
【0041】
また、別の方法として、例えば、カーボンナノチューブ22…にレーザを照射することによりカーボンナノチューブ22…を切断してもよい。
このように、カーボンナノチューブ22…を成長用基板23から分離すると、カーボンナノチューブ22…の分離面すなわち先端部は引き千切られた状態となり、通常のカーボンナノチューブ成長形成の先端部とは形状が異なる。
通常のカーボンナノチューブ22…が成長すると、その先端部はカーボン環に覆われてキャップを被せられたように曲率がスムーズに変化するようになっており(これはclosed carbon nanotubeと多くの学者に命名されている。)、その先端部には細かい凹凸は殆どない。
しかし、カーボンナノチューブ22…の先端部が引き千切られた状態では、先端部のキャップは無く(これはopened carbon nanotubeと多くの学者に命名されている。)、先端部は開いており、先端部には複数の凹凸が存在する。この種のカーボンナノチューブ22…に電界を加えると、最先端凹凸部に電界が集中し、電界強度が局所的に強くなる。そして、先端部に電子が集中し、電子放出の効率が向上する。実験的にも、opened carbon nanotubeの方がclosed carbon nanotubeよりも弱い電界中で電子放出を起すことができることが確認されている。
【0042】
以上説明した電極製造装置200及び電極2の製造方法によれば、成長用基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…が配向成長され、次いで、溶解した導電性物質21a内に、カーボンナノチューブ22…の先端部22aが挿入された状態で、導電性物質21aが固化されて導電性基板21が形成され、次いで、カーボンナノチューブ22…が成長用基板23から分離される。従って、最終的に導電性基板23の表面に略垂直にカーボンナノチューブ22…が植設されて電極2が形成されることとなるので、抵抗値が低く、電流が流れやすくなって、電子の放出効率を向上させることができる。
また、カーボンナノチューブ22…の先端部22aが挿入された状態で、導電性物質21aが固化されるので、カーボンナノチューブ22…が導電性基板21の内部で固定されることとなって、カーボンナノチューブ22…と導電性基板21との間の固定力が増加して、カーボンナノチューブ22…が抜け落ちる可能性が少なくなり、耐久性が向上する。
更に、成長用基板22から分離された側のカーボンナノチューブ22…の端部が先端部となるので、分離時にカーボンナノチューブ22…の長さを揃えて分離させることが可能となって、電子放出の効率をより向上させることができる。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の電極を電子放出部材として用いて、エネルギー変換効率をより高めた熱発電装置である。
図4に第2の実施の形態の熱発電装置の縦断面図を示す。
図4に示す熱発電装置としての熱発電モジュール100は、真空容器1と、この真空容器1内に配置され、加熱されて温度上昇すると内部の電子eを放出する電子放出部材(電極)2と、この電子放出部材2から放出された電子eを収集する電子収集部材3と、を備える。
また、電子収集部材3の電子放出部材2側と反対の面に離間して、電子加速部材4が配置されており、電子放出部材2と電子加速部材4は、それぞれ電界発生電源5に接続されている。
【0044】
真空容器1は、内部空間を有する外枠部材11と、この外枠部材11の一面に設けられる熱伝導性部材12と、を有し、内部空間が真空状態に維持されている。外枠部材11は、断熱性及び絶縁性材料により構成され、、熱伝導性部材12は例えば、熱吸収性の窓、或いは熱伝導率の高い物質などにより構成されている。
【0045】
電子放出部材2は、電界中において電子eを放出するものである。具体的には、第1の実施の形態における図1に示す、導電性基板21にカーボンナノチューブ22…が植設された電極2を用いる。
この電子放出現象は、一般に電界放出と呼ばれる現象であり、固体表面に強い電界がかかると、電子を固体内に閉じこめている表面のポテンシャル障壁が低く且つ薄くなり、電子がトンネル効果により真空中に放出される現象である。特に、曲率半径が小さい物質が電界中に置かれると、曲率半径が小さい尖った領域に電荷が集中し、電子の放出が容易になる。これは、電荷の先端集中現象といわれる放電工学ではよく知られた現象である。特に、ダイヤモンド構造(diamond structure)の物質は負性電子親和力(Negative Electron Affinity)があり、伝導電子が容易に放出される性質を有する。
【0046】
このようなダイヤモンド構造的物質には、カーボンナノチューブのように、主に炭素原子より構成されるものが挙げられる。このカーボンナノチューブは直径が小さい細い物質なので電荷の先端集中現象によりカーボンナノチューブ内の電子はクーロン力により最もプラス電位に近い領域に集中する。ここで、カーボンナノチューブに加えられる電界が電子放出のしきい値よりも大きい場合には、カーボンナノチューブの曲率半径が小さい先端部に集中した電子の一部が空間に放出される。また、このカーボンナノチューブは直径が数ナノメートルの極めて細いチューブ状物質であり、弱い電界でも電子の放出が起こる。
【0047】
電子収集部材3は、真空容器1内で電子加速部材4に向かって飛翔する電子eを収集する部材である。電子収集部材3は、導電性物質により構成されており、例えば、金、銀、ニッケル等の電気抵抗の低い金属が好適である。また、電子収集部材3は、導電性有機化合物で構成してもよい。導電性の有機化合物により構成することにより、例えば、金属などに比べて、薄膜化、軽量化、加工性、高融点化などが図れる。
更に、電子収集部材3は、透明な導電性物質を用いることも可能である。透明或いは半透明の導電性物質を用いることにより、透明感のあるデザイン性に優れた熱発電装置を提供できる。
電子加速部材4は、電子収集部材3と同様な導電性物質で構成されている。電子加速部材4は、真空容器1の外枠部材11と一体化して設置され、該電子加速部材4の周囲は絶縁部材41で覆われ、電界発生電源5を除く各部と電気的に絶縁されている。従って、電子放出部材2と電子加速部材4とは電気的に絶縁されているので、電子放出部材2と電子加速部材4間で消費される電力量はほぼ零となっている。
【0048】
電界発生電源5は直流電圧発生装置であり、プラス端子5aとマイナス端子5bを備える。電子加速部材4にはプラス端子5aが接続され、また、電子放出部材5にはマイナス端子5bが接続される。これにより、電子加速部材4から電子放出部材2へ向かう電気力線(電界)が生ずる。
【0049】
次に、この熱発電モジュール100の発電の動作について説明する。なお、本実施の形態において、電子放出部材2には、電界中において電子を放出する物質としてのカーボンナノチューブを用いた熱発電装置100について説明する。
【0050】
まず、電子放出部材2に電界発生電源5のマイナス端子5bを接続し、電子加速部材4のプラス端子5aを接続し、電界発生電源5により起電力を加える。すると、電子放出部材2の表面に電子eが移動して電子放出部材2は、負の電荷が帯電し、電子加速部材4の表面には正孔が移動することにより、正の電荷が帯電する。これにより、電子放出部材2と電子加速部材4との間に電界が発生する。この状態で、熱源(図示省略)より熱吸収窓12を介して真空容器1内に熱が伝導されると、電子放出部材2の表面には熱エネルギーを受けて運動エネルギーが増加した熱電子eが発生する。ここで、真空容器1の外枠部材11は、断熱性を有するので、内部に伝導した熱が外部へ再び伝導してロスしてしまうことが防止される。
【0051】
次いで、熱電子eの運動エネルギーが更に大きくなると、熱電子eは電子放出部材2のカーボンナノチューブ22の先端から内部空間に放出される。
放出された電子eは、電界によって加速され、電子加速部材4に向かって飛翔する。しかし、電子加速部材4は、電子放出部材2と絶縁されているので、電子eは電子加速部材4には到達できず、その間に配置された電子収集部材3に衝突して、そこで吸収される。ここで、電子放出部材2と電子収集部材3との間の内部空間は真空となっているので、自由電子は気体分子などに衝突することなく移動することができ、エネルギーロスを減らすことができる。
【0052】
電子収集部材3は、吸収した電子eによって定常状態よりも電子eが増えて電子過剰状態になり、電子収集部材3は負電位に帯電し、電池の負極と同じ状態になる。一方、電子放出部材2は電子が放出されたので、電子eが不足した状態になり、電子放出部材1は正電位に帯電し、電池の正極と同じ状態になる。この状態で、電子放出部材2を正部材とし、電子収集部材3を負部材とし、両部材の間に電気的な負荷である負荷抵抗6等を電気的に接続すると、電子収集部材3に吸収され、過剰となった電子eは負荷抵抗6を経由して移動し、電子eが不足する電子放出部材2に復帰する。この電子eの循環現象により電気エネルギーを得ることが可能になる。
【0053】
ここで、電子eが電子放出部材2から内部空間に放出される際には、電子eが属している物質が構成するエネルギーギャップを飛び越えるだけのエネルギーを電子eが持っている必要がある。すなわち、電子放出部材2は放出する電子eにその物質から空間に飛翔するだけのエネルギーを与えなければならない。すなわち、電子eが内部空間に放出されると、電子放出部材2は電子eに与えたエネルギーを失うことになる。従って、電子放出部材2がエネルギーをわずかではあるが失うことにより、例えば、電子放出部材2の温度が低下する。そのため、失ったエネルギーを補充しなければ電子eを内部空間に放出し続けることはできない。そこで、熱発電モジュール100は、この失ったエネルギーを、熱吸収窓12を介して外部から伝達される熱で補充することにより電子放出部材2からの電子放出を持続する構成となっている。つまり、この熱発電モジュール100は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する、持続的な発電を可能にしたものである。
【0054】
また、ここで、電子加速部材4が消費する電力を考察する。電子eを加速するためには電子加速部材4にプラスの電圧を加える必要があり、そのため電界発生電源5を必要とする。電子加速部材4は電子eを加速するためにのみ用いられるので、電子加速部材4に電子eが衝突することはない。すなわち、電子eを加速するための電源である電界発生電源5は、電子eにクーロンの静電気力を作用させるだけであるので、電界発生電源5から供給される電流はほとんど零に等しい。従って、電界発生電源5が消費する電力は殆ど零に等しい。このように電界発生電源5において消費される電力はほとんど零であるので、発電のために必要な消費電力がほとんど零となることとなって、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が高く、この熱発電モジュール100は極めて実用性が高いと言える。
【0055】
このように、熱発電モジュール100は、電界を生じさせるために電界発生電源5から供給される電流はほとんど零に等しく、電子eの発生、供給のための熱エネルギー源には、長期的、安定的に供給される可能性の高い太陽光による熱、地熱、廃熱などが用いられており、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができるので、エネルギー変換効率が良好である。
特に、電子放出部材として、導電性基板21に、概垂直に複数のカーボンナノチューブ22が植設されてなる電極2を用いるので、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向が概平行に並んでおり、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向に電界を加えることが可能になる。従って、電界がカーボンナノチューブの先端に集中し、そこに電子が局所的に集中するので、高効率に電子eを放出することができることとなって、更にエネルギー変換効率を高めることができる。また、本発明の熱発電モジュール100に用いられる材料には、特殊な材料(入手が困難な物質や製造コストのかかる物質)は必要とせず、構造は簡単であるので、その製造コストは安価であり、普及性があるといえる。
【0056】
また、その材料は、ガラスや合成樹脂、ステンレス等の金属を用いて製造することが可能なので、劣化部がほとんど無く、耐久性に優れ、耐用年数は長い。また、それら使用材質は環境を破壊する要因にはならないので熱発電モジュール100を多量に使用しても環境に及ぼす影響は問題とならない。
また、その耐久性を有し、耐用年数が長い熱発電モジュール100内に各部材を配置するので、その劣化はほとんどなく保守費用がわずかでも長期的な使用に耐えることができる。
さらに、本発明の熱発電モジュールは軽量化、小型化が可能であるので、いかなる場所にも設置することが可能である。
以上の効果により本発明の熱発電モジュールは実用性が非常に高いといえる。
【0057】
また、熱発電モジュール100において、電子放出部材2を内部に収納する容器は真空容器1とし、その内部は真空に保たれているとしたが、これに限らず、熱発電モジュール100内部には不活性ガス、例えば、アルゴンやネオン等を封入するようにしてもよい。この場合、真空容器1は密封容器となる。このように、密封容器内に不活性ガスが封入されていると、電子放出効率が向上する。ただし、真空の場合に比べ、その不活性ガスを媒介して熱エネルギーが外部に散逸するので、その分エネルギー変換効率が低下することがある。従って、このような構成の熱発電モジュールは、熱エネルギーのロスが少なくてすむような、元々高温の箇所で用いるという場合に適している。
【0058】
また、電子放出部材2と電子収集部材3との両部材の間に接続する抵抗6は、電子eの循環現象による電気エネルギーを取り出し、利用することを説明するための模式的なものであり、この抵抗6に対して電子を通過させて電気エネルギーを使用する機器は任意のものである。
【0059】
なお、各構成部材に用いる絶縁性物質等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
また、本発明に係る電極2は、上記熱発電装置の電子放出用電極として用いる場合に限らず、FEDの電極、電池の電極、コンデンサの電極としても用いることが可能である。更に、電極としてではなく、水素吸蔵用機能材料として用いることも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性基板表面に対して、略垂直にカーボンナノチューブが植設された電極が形成されることとなるので、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向が概平行に並んでおり、殆ど全てのカーボンナノチューブの長さ方向に電界を加えることが可能になり、電界がカーボンナノチューブの先端に集中し、そこに電子が局所的に集中するので、高効率に電子eを放出することができ、抵抗値が低く、電流が流れやすくなって、電子の放出効率を向上させることができる。
また、カーボンナノチューブの先端部が挿入された状態で、導電性物質が固化されるので、カーボンナノチューブが導電性基板の内部で固定されることとなって、カーボンナノチューブと導電性基板との間の固定力が増加して、カーボンナノチューブが抜け落ちる可能性が少なくなり、耐久性が向上する。
更に、成長用基板から分離された側のカーボンナノチューブの端部が先端部となるので、分離時にカーボンナノチューブの長さを揃えて分離させることが可能となって、電子放出の効率をより向上させることができる。
また、成長用基板から分離される先端部は引き千切られた状態となるので、通常のカーボンナノチューブ成長形成の先端部に比べて、先端部には複数の凹凸が存在することとなって、より電界強度が局所的に強くなり,電子が集中し,電子放出の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電極の側面図である。
【図2】本発明に係る電極製造装置を模式的に示した図である。
【図3】カーボンナノチューブの分離方法を説明する説明図である。
【図4】カーボンナノチューブの配向調整を説明する説明図である。
【図5】本発明にかかる熱発電モジュール100の概略構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1   真空容器
2   電極(電子放出部材)
3   電子収集部材
4   電子加速部材
5   電界発生電源
5a  プラス端子
5b  マイナス端子
6   抵抗
11   外枠部材
12   熱伝導性部材
21   導電性基板
21a  導電性物質
22   カーボンナノチューブ
23   成長用基板
41   絶縁部材
100   熱発電モジュール(熱発電装置)
200   電極製造装置
210   配向成長手段
211   水槽
212   反応容器
213a   通電用電極のマイナス端子
213b   通電用電極のプラス端子
214   電源
220   導電性基板形成手段
221   型枠部材
230   分離手段
231   電源

Claims (9)

  1. 導電性基板に、略垂直に複数のカーボンナノチューブが植設されてなることを特徴とする電極。
  2. 所定の成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブを配向成長させる配向成長手段と、
    溶解した導電性物質内に、前記配向成長手段により配向成長させた前記カーボンナノチューブの先端部を挿入し、その後、前記導電性物質を固化させて導電性基板を形成する導電性基板形成手段と、
    前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離する分離手段と、
    を備えることを特徴とする電極製造装置。
  3. 所定の成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブを配向成長させる第1の工程と、
    溶解した導電性物質内に、前記第1の工程により配向成長させた前記カーボンナノチューブの先端部を挿入し、その後、前記導電性物質を固化させて導電性基板を形成する第2の工程と、
    前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離する第3の工程と、
    を備えることを特徴とする電極の製造方法。
  4. 前記第1の工程は、
    前記成長用基板を有機液体中に浸漬させた状態で所定の温度に加熱することにより、当該成長用基板の表面に略垂直にカーボンナノチューブを配向成長させることを特徴とする請求項3記載の電極の製造方法。
  5. 前記第2の工程は、
    前記成長用基板と前記導電性物質との間に電界をかける工程を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の電極の製造方法。
  6. 前記第3の工程において、
    前記成長用基板を加熱することに基づいて前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離することを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の電極の製造方法。
  7. 前記第3の工程において、
    前記成長用基板のカーボンナノチューブが略垂直に配向している面の反対側の面上に電磁石あるいは永久磁石を配置し、前記成長用基板に触媒として分布配置されている鉄あるいは鉄の酸化物を電磁石あるいは永久磁石に引き寄せることにより、前記成長用基板に力を加えて前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離することを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載の電極の製造方法。
  8. 前記第3の工程において、
    前記カーボンナノチューブにレーザを照射して前記カーボンナノチューブを切断することにより前記カーボンナノチューブを前記成長用基板から分離することを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の電極の製造方法。
  9. 熱や太陽光のエネルギーを加えることにより電子を放出する電子放出部材と、前記電子放出部材との間で電界をかけて前記電子放出部材から放出された電子を加速する電子加速部材と、
    前記電子収集部材と前記電子加速部材とを電気的に絶縁する絶縁部材と、
    前記電子放出部材から放出され、前記電子加速部材により加速された電子を収集する電子収集部材と、
    を備え、
    前記電子放出部材は、導電性基板に、略垂直に複数のカーボンナノチューブが植設されてなる電極であり、
    前記電子収集部材を負極とし、前記電子放出部材を正極とすることにより、前記電子収集部材から電子を移動させて発電を行う構成としたことを特徴とする熱発電装置。
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