JP2004135184A - デジタルカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】実用性が高く、誤判定の少ない主要被写体領域判定が可能なデジタルカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラは、レリーズボタンの半押しでプレ撮影を行い、得られたプレ画像に基づいて撮影条件を決定し、レリーズボタンの全押しにより前記撮影条件に基づいて本撮影を行って本画像を得る。ストロボ光は、近距離にある主要被写体には到達するが、背景には到達しない。このため、主要被写体領域を判定する場合には、本撮影時にストロボを強制発光して得られた本画像と、ストロボ発光せずに撮影されたプレ画像とを比較して、輝度差の高い高輝度領域を抽出する。高輝度領域が複数ある場合には、画面の中心に近い領域を主要被写体領域と判定する。
【選択図】 図5
【解決手段】デジタルカメラは、レリーズボタンの半押しでプレ撮影を行い、得られたプレ画像に基づいて撮影条件を決定し、レリーズボタンの全押しにより前記撮影条件に基づいて本撮影を行って本画像を得る。ストロボ光は、近距離にある主要被写体には到達するが、背景には到達しない。このため、主要被写体領域を判定する場合には、本撮影時にストロボを強制発光して得られた本画像と、ストロボ発光せずに撮影されたプレ画像とを比較して、輝度差の高い高輝度領域を抽出する。高輝度領域が複数ある場合には、画面の中心に近い領域を主要被写体領域と判定する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影した画像の主要被写体領域を判定する機能を備えたデジタルカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CCDなどの撮像手段によって被写体を撮像し得られた撮影画像をデジタルデータとしてメモリーカードに記録するデジタルカメラが普及している。撮影画像データは、例えば、EXIF形式の画像ファイルとしてメモリーカードに記録される。EXIF規格は、周知のように、JEITA(電子情報技術産業協会)によって規格化されたものであり、EXIF形式の画像ファイルには、画像データの他に、画像データに関連する付帯情報を格納することができる。
【0003】
この付帯情報には、露出時間,絞り値,輝度値,ストロボ発光の有無など撮影条件に関する撮影条件データや、撮影された日時データ及び撮影モード情報など各種のものがある。画像ファイル内には、これら各付帯情報の種類毎にタグと呼ばれる情報格納エリアが設けられており、各付帯情報はそれぞれのタグに格納される。
【0004】
付帯情報の種類は、規格のバージョンアップにともなって増加しており、最新のバージョン2.1においては、新たに画面内の主要被写体領域情報を格納する被写体領域タグが追加されている。これらの付帯情報は、例えば、画像をプリントする際に、プリンタによって参照され、適切な画像処理を施すために利用される。主要被写体領域が分かると、適正な露出補正処理がしやすくなり、良好な画質を得るのに役立つ。
【0005】
主要被写***置を判定する方法としては、例えば、撮影者が光学ファインダーを覗いているときにその視線を検知することにより判定する方法や、画像の肌色部分を検出することにより判定する方法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−43792号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、デジタルカメラでは、フレーミングの際に電子ビューファインダが利用される場合が多く、光学ファインダーを除く撮影者の視線を検知する方法は実用性に欠ける。また、画像の肌色部分を検出する方法では、被写体が人物以外である場合には、誤った対象を主要被写体と判定してしまうというように、誤判定の確率が高い。また、肌の色は人によって異なるので、判定の基準となる色範囲に幅を持たせることが必要になるが、これを広げると誤判定の確率はいっそう高くなる。
【0008】
本発明は、実用性が高く、しかも、誤判定が少ない主要被写体領域判定機能を持つデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のデジタルカメラは、被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、ストロボ装置とを備えたデジタルカメラにおいて、同じシーンに対して、ストロボ発光有りとストロボ発光無しの2回の撮影を行い、これらによって得られた2つの画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を求める輝度差算出手段と、前記輝度差が予め設定された閾値よりも大きく、かつ所定面積以上の大きさを持つ高輝度領域を調べて、主要被写体領域を判定する主要被写体領域判定手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
前記ストロボ発光有りの撮影を、記憶媒体へ記録される本画像を得るための本撮影とし、ストロボ発光無しの撮影を、前記本撮影の前に行われ、前記本撮影の撮影条件を得るためのプレ撮影とすれば、通常の撮影手順に従って、主要被写体領域の判定をすることができる。
【0011】
前記高輝度領域が複数存在する場合には、画面の中心位置に近い領域、又は、面積が最も大きい領域を主要被写体領域と判定するとよい。前記判定により得られた主要被写体領域情報を、撮影画像とともに記憶媒体へ記録するとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、デジタルカメラ10の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ10は、撮影した画像データを、EXIF形式の画像ファイルに変換して、本体に着脱自在にセットされるメモリーカード11へ記録する。画像ファイルには、画像データの他に、付帯情報が格納される。
【0013】
CPU12は、操作部13から入力される操作信号に応じてデジタルカメラ10の本体各部を制御する。操作部13は、電源ボタン,レリーズボタン,モード切り換えダイヤル,汎用キーなどからなる。モード切り換えダイヤルは、画像を撮影する撮影モードと、撮影した画像をLCD14に再生表示する再生モードとを切り換える。LCD14には、再生画像の他、各種設定を行うメニュー画面が表示される。汎用キーは、メニュー画面内のカーソルを移動して設定項目の選択に使用される。このLCD14には、被写体確認用のスルー画が表示されて、電子ビューファインダとしても機能する。
【0014】
設定項目としては、例えば、ストロボ装置16の発光モードや、記録画素数の設定など各種の項目がある。ストロボ発光モードとしては、被写体輝度に応じて発光するオートモード,赤目現象を軽減する赤目軽減モード,被写体輝度に関わらず強制的に発光させる強制発光モード,強制的にストロボ発光を禁止する発光禁止モードなどがある。
【0015】
また、デジタルカメラ10は、撮影した画像の主要被写体領域を判定する機能を備えている。判定した主要被写体領域情報は、画像ファイル内の被写体領域タグへ格納されて、画像データとともにメモリーカード11へ記録される。この主要被写体領域判定機能も、設定によりアクティブ、非アクティブの切り換えをすることができる。主要被写体領域判定は、後述するように、ストロボ装置16が発光するストロボ光を利用してなされる。このため、主要被写体領域判定機能をアクティブに設定すると、前記強制発光モードが自動的に選択される。
【0016】
周知のとおり、デジタルカメラ10の前面には、ズームレンズ18とフォーカスレンズ19とからなる撮影レンズが設けられている。ズームレンズ18とフォーカスレンズ19との間には、絞り21が、フォーカスレンズ19の背後にはメカニカルシャッタを構成するシャッタ羽根22が配置されている。
【0017】
ズームレンズ18とフォーカスレンズ19は、それぞれモータを含むレンズ駆動機構23,24によって光軸方向で移動される。絞り21は、モータを含む絞り駆動機構26によって駆動されて絞り径が切り換えられる。シャッタ羽根22は、モータを含むシャッタ駆動機構27によって駆動される。
【0018】
レンズ駆動機構23,24及び絞り駆動機構26は、CPU12に制御されるモータドライバ28〜30によって駆動される。シャッタ駆動機構27は、タイミングジェネレータ31からタイミング信号が入力されたときに、モータドライバ32によって駆動される。
【0019】
撮影レンズの背後には、撮像素子としてCCDイメージセンサ33が配置されている。CCDイメージセンサ33は、周知のように、多数の受光素子をマトリックス状に配列することにより光電面を備えており、撮影光学系を通過し、この光電面に結像した被写体光を光電変換する。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、各画素がそれぞれR,G,Bのいずれかに対応するように各色のフイルタが規則的に配列されたカラーフイルタアレイとが配置されている。
【0020】
CCDイメージセンサ33は、CCDドライバ36から供給される垂直転送クロック及び水平転送クロックに同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルな撮像信号として出力する。各画素の電荷蓄積時間(露出時間)は、CCDドライバ36から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決められる。
【0021】
メカニカルシャッタは、本撮影時に、CCDイメージセンサ33と同期して作動する。CCDイメージセンサ33では、太陽光などの強い光が光電面に入射すると、電荷の垂直転送が行われる縦方向にスジが生じるスミアと呼ばれる現象が発生する。メカニカルシャッタは、電子シャッタが駆動した直後に閉じて光電面に入射する光を遮ることで、このスミアの発生を防止する。CCDドライバ36には、シャッタ駆動機構27と同様に、タイミングジェネレータ31からタイミング信号が入力され、このタイミング信号により、CCDイメージセンサ33とメカニカルシャッタとの間で同期が取られる。
【0022】
CCDイメージセンサ33から取り込まれたアナログの撮像信号は、アナログ信号処理回路38に入力される。アナログ信号処理回路38は、相関2重サンプリング回路(CDS)と、オートゲインコントローラ(AGC)と、ADコンバータ(ADC)とからなる。CDSは、アナログ信号のノイズを除去し、AGCはアナログ信号のゲインを自動調節する。ADCは、アナログ信号をデジタル変換して画像データを生成する。この画像データは、各画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータであり、このCCD−RAWデータがDSP(Digital Signal Processor) 41へ入力される。アナログ信号処理回路38にも、タイミングジェネレータ26からのタイミング信号が供給され、CCDイメージセンサ33から電荷が取り込みまれるタイミングと同期が取られている。
【0023】
DSP41は、AF回路43,AE/AWB回路44,画像入力コントローラ46,画像処理回路47,圧縮処理回路48,メディアコントローラ49,ビデオエンコーダ51からなるICチップであり、アナログ信号処理回路38から入力された画像データに対して、各種の信号処理を施すとともに、スルー画のLCD14への表示や、メモリーカード11へアクセスして画像ファイルの読み書きを行う。
【0024】
画像入力コントローラ46は、アナログ信号処理回路38から前記CCD−RAWデータを取り込んで、これをフレームメモリ42に書き込む。フレームメモリ42は、DSP41が画像データに対して各種信号処理を施す際に使用する作業用メモリである。フレームメモリ42は、データバス55を介して、CPU12とDSP41の各部と接続されている。フレームメモリ42としては、例えば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0025】
CCDイメージセンサ33から取り込まれる画像データには、スルー画及び本画像の他に、プレ画像がある。スルー画は、上述したとおりフレーミングに利用される確認用の画像であり、撮影モードが選択されている間、所定間隔で撮像される。スルー画は、ビデオエンコーダ51によってコンポジット信号に変換されてLCD14に出力される。プレ画像は、プレ撮影によって得られる画像である。プレ撮影とは、本画像を撮影する前に行われ本画像を撮影する際の撮影条件を決定するための撮影をいう。
【0026】
CPU12は、レリーズボタンが半押しされると半押し信号を検出し、CCDイメージセンサ33にプレ撮影を実行させる。得られたプレ画像は、DSP41を介していったんフレームメモリ42へ書き込まれる。このプレ画像に基づいて、AF回路43及びAE/AWB回路44が撮影条件を決定する。AF回路43は、プレ画像に基づいて、焦点位置を検出し、フォーカシングを行う。焦点検出方式としては、例えば、ピントが合った状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が採用されている。AE回路は、前記データに基づいて、被写体輝度を測定し、絞り値やシャッタ速度等を決定する。AWB回路は、オートホワイトバランス回路であり、撮影時のホワイトバランスを自動調整する。
【0027】
レリーズボタンが全押しされると本撮影が実行されて、本画像が取り込まれる。本画像の画素数は、CCDイメージセンサ33の画素数によって最大画素数が決定されるが、ファイン、ノーマルなどの設定により、記録画素数を変更することができる。スルー画やプレ画像の画像数は、本画像よりも少なく、例えば、本画像の1/16程度の画素数で取り込まれる。
【0028】
圧縮処理回路48は、画像処理回路47によって各種の画像処理が施された本画像のデータに対して、例えば、JPGなどの圧縮形式で圧縮処理を施して、画像ファイルを生成する。この画像ファイル生成時に、付帯情報が各タグ内に格納される。メディアコントローラ49は、メモリーカード11へアクセスして画像ファイルの書き込みと読み込みとを行う。再生モードにおいては、メモリーカード11から圧縮された画像データが読み出されて、圧縮処理回路48によって伸張処理が施された後、LCD14に出力される。
【0029】
画像処理回路47は、画像データに対して、ガンマ補正,シャープネス補正,コントラスト補正などの画質補正処理、CCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータ及び赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を施す。
【0030】
さらに、画像処理回路47は、主要被写体領域情報記録機能がアクティブの場合には、ストロボ発光無しで撮影されたプレ画像と、ストロボ発光有りで撮影された本画像とに基づいて、主要被写体領域判定処理を実行する。主要被写体領域判定は、プレ画像と本画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を比較して、その輝度差が大きい高輝度領域を調べることにより行われる。
【0031】
例えば、図2に示すように、主要被写体61aが人物であるシーン61を撮影する場合には、ストロボ光は、近距離に位置する主要被写体61aには到達するが、背景には到達しない。このシーン61に対してプレ撮影(ストロボ発光無し)と本撮影(ストロボ発光有り)とを行った場合には、主要被写体61aにおいてストロボ光の反射があるから、プレ画像と本画像とを比較した場合、主要被写体領域の輝度差は、画面内の他の領域と比較して大きくなる。図2(B)に示すように、輝度差の大きい高輝度領域を、フレームメモリ42内の座標エリア63にマッピングしていくことで、主要被写体領域62を判定することができる。
【0032】
このように、ストロボの反射光を利用して主要被写体領域を判定するので、画像の肌色部分を検知して判定を行う方法と比較して、主要被写体が人物でない場合でも誤判定を軽減することができる。また、ファインダを覗く撮影者の視線を検知する方法に比べて実用性が高い。
【0033】
判定された主要被写体領域62の位置情報は、付帯情報の1つとして、画像ファイルの被写体領域タグ内に格納される。EXIF規格の被写体領域タグは、格納できる情報量が限られているので、被写体領域の情報を矩形や円の座標データとして記録するように定めている。したがって、図2(B)や、図2(C)に示すように、主要被写体領域62に内接又は外接する矩形64や円65を求めて、これらの座標データが前記位置情報として記録される。
【0034】
また、この例では、画面内で高輝度領域が1つだけ抽出される例で説明しているが、シーンによっては、主要被写体領域以外にも無数の高輝度領域が存在し得る。例えば、夜間撮影を行った場合には、街灯などの灯りが映し出される部分は高輝度領域となり得るし、主要被写体よりも近距離にある部分は高輝度領域となり得る。したがって、主要被写体領域の判定を行う際には、まず、高輝度領域のうち、所定面積以上の高輝度領域を候補領域として抽出する。これにより、主要被写体にはなり得ない高輝度部分を排除することができる。さらに、候補領域が複数存在する場合には、例えば、画面の中心に近い方や、より領域の面積が大きい方を主要被写体領域と判定する。
【0035】
また、図3(A)に示すように、本画像71とプレ画像72とでは、画素数が異なる。本画像71の画素数は、例えば、1280×960であるのに対して、プレ画像72の画素数は、その1/16の320×240である。このため、両画面内の対応する部分の比較においては、図3(B)に示すように、プレ画像72の1画素に対して、本画像71の16画素が比較される。
【0036】
すなわち、本画像71の画素をDa、その輝度値をYa、プレ画像72の画素をDb、その輝度値をYbとすると、プレ画像72の画面内左上の画素Db11に対応する部分は、本画像71の画面内左上の16個の画素Da11〜Da44に相当する。このため、比較に当たっては、まず、本画像71の16個分の画素Daの輝度値Yaの平均輝度値Yaavg を求め、この平均輝度値Yaavg と、プレ画像72の画素Dbの輝度値Ybとの輝度差dYが求められる。そして、この輝度差dYと、予め設定された閾値Sとを比較して、輝度差dYが閾値Sよりも大きい画素位置(輝度差dY>閾値Sの部分)を高輝度部分としてマッピングしていく。
【0037】
以下、上記構成による作用について、図4及び図5のフローチャートに従って説明する。電源がオンされて撮影モードが選択されると、CCDイメージセンサ33のスルー画取り込みが開始されて、LCD14にスルー画が再生表示される。撮影者は、この表示を見ながらフレーミングを行う。主要被写体領域を記録する場合には、設定により主要被写体領域記録機能をアクティブにする。主要被写体領域記録機能がアクティブにされると、ストロボ発光モードが自動的に強制発光モードへ切り替わる。
【0038】
レリーズボタンが半押しされると、プレ撮影が行われてプレ画像が取り込まれて、フレームメモリ42へ書き込まれる。AF回路43,AE/AWB回路44は、このプレ画像を読み出して、焦点位置と露出値などの撮影条件を決定する。この撮影条件に基づいてピント調節や絞り調節が行われる。
【0039】
レリーズボタンが全押しされると、本撮影が実行される。主要被写体領域記録機能がアクティブの場合には、ストロボが強制発光される。CCDイメージセンサ33は、本画像を取り込み、このデータをフレームメモリ42へ書き込む。画像処理回路47は、この本画像に対して各種の画質補正処理を施す。画質補正処理が終了すると、主要被写体領域判定処理が実行される。主要被写体領域判定処理では、プレ画像と本画像の対応する部分の輝度値を比較して輝度差dYを算出する。輝度差dYが閾値Sよりも大きい場合には、その高輝度位置を座標エリア62にマッピングしていく。これを全画素分の比較が終了するまで繰り返す。
【0040】
全画素分の比較が終了したら、マッピングされた高輝度位置から所定面積以上の高輝度領域を候補領域として抽出する。候補領域が1つだけ抽出された場合には、その候補領域を主要被写体領域と判定する。候補領域が複数有る場合には、例えば、画面の中心に一番近い候補領域を主要被写体領域と判定する。もちろん、複数の候補領域の中で最も面積の大きい領域を主要被写体領域と判定してもよいし、これらの判定基準を組み合わせてもよい。
【0041】
主要被写体領域を判定できた場合には、その情報を被写体領域タグに格納して画像ファイルを生成して、その画像ファイルがメモリーカード11へ記録される。他方、判定できない場合には、被写体領域タグを空欄にして画像ファイルが生成されて、その画像ファイルがメモリーカード11へ記録される。次回の撮影をする場合には、上記手順が繰り返される。
【0042】
メモリーカード11に記録された画像をプリントする場合には、プリンタは、画像ファイル内の被写体領域情報を参照して画像処理を施す。このため、適切な画像処理が行われるので、良好なプリント画像が得られる。
【0043】
上記実施形態では、主要被写体領域判定をするために、プレ撮影をストロボ発光無しで行い、ストロボを強制発光させて本撮影を行っている。プレ撮影と本撮影とは、デジタルカメラの通常の撮影手順に含まれるので、これら2回の撮影によって得られた2つの画像を利用することで、主要被写体領域判定をするための専用の撮影をする必要がない。このため、撮影処理プログラムに大幅な変更を加えることなく、主要被写体判定機能を追加することができるので、コスト的なメリットを得ることができる。また、専用の撮影をしなくてもよいので、主要被写体領域判定を行う場合でも、撮影処理時間が大幅に増加するようなこともない。
【0044】
しかし、シーンによっては本撮影でストロボ光が不要な場合もある。そのような場合には、撮影条件を得るためのプレ撮影とは別に、主要被写体領域判定のための専用の撮影(ストロボ発光有り)を行い、これにより得られた画像と、ストロボ発光無しで撮影した本画像とを比較して主要被写体領域判定を行ってもよい。また、画素数が異なる2つの画像を比較して、主要被写体判定を行っているが、もちろん、同じ画素数の2つの画像を比較して判定を行ってもよい。
【0045】
また、判定により得られた主要被写体領域情報をメモリーカードへ記録する例で説明しているが、メモリーカードへ記録せずに、前記領域情報をカメラが実行する画像補正処理に利用してもよい。
【0046】
上記実施形態では、本発明をデジタルカメラに適用した例で説明したが、カメラ付き携帯電話やカメラ付きPCなど、デジタルカメラ以外の各種撮像装置に適用してもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のデジタルカメラは、被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、ストロボ装置とを備えたデジタルカメラにおいて、同じシーンに対して、ストロボ発光有りとストロボ発光無しの2回の撮影を行い、これらによって得られた2つの画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を求める輝度差算出手段と、前記輝度差が予め設定された閾値よりも大きく、かつ所定面積以上の大きさを持つ高輝度領域を調べて、主要被写体領域を判定する主要被写体領域判定手段とを設けたから、実用性が高く、しかも、誤判定が少ない主要被写体領域判定機能を持つデジタルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの電気構成の概略を示すブロック図である。
【図2】主要被写体判定の説明図である。
【図3】プレ画像と本画像との比較方法を示す説明図である。
【図4】撮影手順を示すフローチャートである。
【図5】主要被写体判定手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
16 ストロボ装置
33 CCDイメージセンサ
41 DSP
42 フレームメモリ
47 画像処理回路
62 座標エリア
63 主要被写体領域
71 本画像
72 プレ画像
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影した画像の主要被写体領域を判定する機能を備えたデジタルカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CCDなどの撮像手段によって被写体を撮像し得られた撮影画像をデジタルデータとしてメモリーカードに記録するデジタルカメラが普及している。撮影画像データは、例えば、EXIF形式の画像ファイルとしてメモリーカードに記録される。EXIF規格は、周知のように、JEITA(電子情報技術産業協会)によって規格化されたものであり、EXIF形式の画像ファイルには、画像データの他に、画像データに関連する付帯情報を格納することができる。
【0003】
この付帯情報には、露出時間,絞り値,輝度値,ストロボ発光の有無など撮影条件に関する撮影条件データや、撮影された日時データ及び撮影モード情報など各種のものがある。画像ファイル内には、これら各付帯情報の種類毎にタグと呼ばれる情報格納エリアが設けられており、各付帯情報はそれぞれのタグに格納される。
【0004】
付帯情報の種類は、規格のバージョンアップにともなって増加しており、最新のバージョン2.1においては、新たに画面内の主要被写体領域情報を格納する被写体領域タグが追加されている。これらの付帯情報は、例えば、画像をプリントする際に、プリンタによって参照され、適切な画像処理を施すために利用される。主要被写体領域が分かると、適正な露出補正処理がしやすくなり、良好な画質を得るのに役立つ。
【0005】
主要被写***置を判定する方法としては、例えば、撮影者が光学ファインダーを覗いているときにその視線を検知することにより判定する方法や、画像の肌色部分を検出することにより判定する方法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−43792号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、デジタルカメラでは、フレーミングの際に電子ビューファインダが利用される場合が多く、光学ファインダーを除く撮影者の視線を検知する方法は実用性に欠ける。また、画像の肌色部分を検出する方法では、被写体が人物以外である場合には、誤った対象を主要被写体と判定してしまうというように、誤判定の確率が高い。また、肌の色は人によって異なるので、判定の基準となる色範囲に幅を持たせることが必要になるが、これを広げると誤判定の確率はいっそう高くなる。
【0008】
本発明は、実用性が高く、しかも、誤判定が少ない主要被写体領域判定機能を持つデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のデジタルカメラは、被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、ストロボ装置とを備えたデジタルカメラにおいて、同じシーンに対して、ストロボ発光有りとストロボ発光無しの2回の撮影を行い、これらによって得られた2つの画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を求める輝度差算出手段と、前記輝度差が予め設定された閾値よりも大きく、かつ所定面積以上の大きさを持つ高輝度領域を調べて、主要被写体領域を判定する主要被写体領域判定手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
前記ストロボ発光有りの撮影を、記憶媒体へ記録される本画像を得るための本撮影とし、ストロボ発光無しの撮影を、前記本撮影の前に行われ、前記本撮影の撮影条件を得るためのプレ撮影とすれば、通常の撮影手順に従って、主要被写体領域の判定をすることができる。
【0011】
前記高輝度領域が複数存在する場合には、画面の中心位置に近い領域、又は、面積が最も大きい領域を主要被写体領域と判定するとよい。前記判定により得られた主要被写体領域情報を、撮影画像とともに記憶媒体へ記録するとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、デジタルカメラ10の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ10は、撮影した画像データを、EXIF形式の画像ファイルに変換して、本体に着脱自在にセットされるメモリーカード11へ記録する。画像ファイルには、画像データの他に、付帯情報が格納される。
【0013】
CPU12は、操作部13から入力される操作信号に応じてデジタルカメラ10の本体各部を制御する。操作部13は、電源ボタン,レリーズボタン,モード切り換えダイヤル,汎用キーなどからなる。モード切り換えダイヤルは、画像を撮影する撮影モードと、撮影した画像をLCD14に再生表示する再生モードとを切り換える。LCD14には、再生画像の他、各種設定を行うメニュー画面が表示される。汎用キーは、メニュー画面内のカーソルを移動して設定項目の選択に使用される。このLCD14には、被写体確認用のスルー画が表示されて、電子ビューファインダとしても機能する。
【0014】
設定項目としては、例えば、ストロボ装置16の発光モードや、記録画素数の設定など各種の項目がある。ストロボ発光モードとしては、被写体輝度に応じて発光するオートモード,赤目現象を軽減する赤目軽減モード,被写体輝度に関わらず強制的に発光させる強制発光モード,強制的にストロボ発光を禁止する発光禁止モードなどがある。
【0015】
また、デジタルカメラ10は、撮影した画像の主要被写体領域を判定する機能を備えている。判定した主要被写体領域情報は、画像ファイル内の被写体領域タグへ格納されて、画像データとともにメモリーカード11へ記録される。この主要被写体領域判定機能も、設定によりアクティブ、非アクティブの切り換えをすることができる。主要被写体領域判定は、後述するように、ストロボ装置16が発光するストロボ光を利用してなされる。このため、主要被写体領域判定機能をアクティブに設定すると、前記強制発光モードが自動的に選択される。
【0016】
周知のとおり、デジタルカメラ10の前面には、ズームレンズ18とフォーカスレンズ19とからなる撮影レンズが設けられている。ズームレンズ18とフォーカスレンズ19との間には、絞り21が、フォーカスレンズ19の背後にはメカニカルシャッタを構成するシャッタ羽根22が配置されている。
【0017】
ズームレンズ18とフォーカスレンズ19は、それぞれモータを含むレンズ駆動機構23,24によって光軸方向で移動される。絞り21は、モータを含む絞り駆動機構26によって駆動されて絞り径が切り換えられる。シャッタ羽根22は、モータを含むシャッタ駆動機構27によって駆動される。
【0018】
レンズ駆動機構23,24及び絞り駆動機構26は、CPU12に制御されるモータドライバ28〜30によって駆動される。シャッタ駆動機構27は、タイミングジェネレータ31からタイミング信号が入力されたときに、モータドライバ32によって駆動される。
【0019】
撮影レンズの背後には、撮像素子としてCCDイメージセンサ33が配置されている。CCDイメージセンサ33は、周知のように、多数の受光素子をマトリックス状に配列することにより光電面を備えており、撮影光学系を通過し、この光電面に結像した被写体光を光電変換する。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、各画素がそれぞれR,G,Bのいずれかに対応するように各色のフイルタが規則的に配列されたカラーフイルタアレイとが配置されている。
【0020】
CCDイメージセンサ33は、CCDドライバ36から供給される垂直転送クロック及び水平転送クロックに同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルな撮像信号として出力する。各画素の電荷蓄積時間(露出時間)は、CCDドライバ36から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決められる。
【0021】
メカニカルシャッタは、本撮影時に、CCDイメージセンサ33と同期して作動する。CCDイメージセンサ33では、太陽光などの強い光が光電面に入射すると、電荷の垂直転送が行われる縦方向にスジが生じるスミアと呼ばれる現象が発生する。メカニカルシャッタは、電子シャッタが駆動した直後に閉じて光電面に入射する光を遮ることで、このスミアの発生を防止する。CCDドライバ36には、シャッタ駆動機構27と同様に、タイミングジェネレータ31からタイミング信号が入力され、このタイミング信号により、CCDイメージセンサ33とメカニカルシャッタとの間で同期が取られる。
【0022】
CCDイメージセンサ33から取り込まれたアナログの撮像信号は、アナログ信号処理回路38に入力される。アナログ信号処理回路38は、相関2重サンプリング回路(CDS)と、オートゲインコントローラ(AGC)と、ADコンバータ(ADC)とからなる。CDSは、アナログ信号のノイズを除去し、AGCはアナログ信号のゲインを自動調節する。ADCは、アナログ信号をデジタル変換して画像データを生成する。この画像データは、各画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータであり、このCCD−RAWデータがDSP(Digital Signal Processor) 41へ入力される。アナログ信号処理回路38にも、タイミングジェネレータ26からのタイミング信号が供給され、CCDイメージセンサ33から電荷が取り込みまれるタイミングと同期が取られている。
【0023】
DSP41は、AF回路43,AE/AWB回路44,画像入力コントローラ46,画像処理回路47,圧縮処理回路48,メディアコントローラ49,ビデオエンコーダ51からなるICチップであり、アナログ信号処理回路38から入力された画像データに対して、各種の信号処理を施すとともに、スルー画のLCD14への表示や、メモリーカード11へアクセスして画像ファイルの読み書きを行う。
【0024】
画像入力コントローラ46は、アナログ信号処理回路38から前記CCD−RAWデータを取り込んで、これをフレームメモリ42に書き込む。フレームメモリ42は、DSP41が画像データに対して各種信号処理を施す際に使用する作業用メモリである。フレームメモリ42は、データバス55を介して、CPU12とDSP41の各部と接続されている。フレームメモリ42としては、例えば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0025】
CCDイメージセンサ33から取り込まれる画像データには、スルー画及び本画像の他に、プレ画像がある。スルー画は、上述したとおりフレーミングに利用される確認用の画像であり、撮影モードが選択されている間、所定間隔で撮像される。スルー画は、ビデオエンコーダ51によってコンポジット信号に変換されてLCD14に出力される。プレ画像は、プレ撮影によって得られる画像である。プレ撮影とは、本画像を撮影する前に行われ本画像を撮影する際の撮影条件を決定するための撮影をいう。
【0026】
CPU12は、レリーズボタンが半押しされると半押し信号を検出し、CCDイメージセンサ33にプレ撮影を実行させる。得られたプレ画像は、DSP41を介していったんフレームメモリ42へ書き込まれる。このプレ画像に基づいて、AF回路43及びAE/AWB回路44が撮影条件を決定する。AF回路43は、プレ画像に基づいて、焦点位置を検出し、フォーカシングを行う。焦点検出方式としては、例えば、ピントが合った状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が採用されている。AE回路は、前記データに基づいて、被写体輝度を測定し、絞り値やシャッタ速度等を決定する。AWB回路は、オートホワイトバランス回路であり、撮影時のホワイトバランスを自動調整する。
【0027】
レリーズボタンが全押しされると本撮影が実行されて、本画像が取り込まれる。本画像の画素数は、CCDイメージセンサ33の画素数によって最大画素数が決定されるが、ファイン、ノーマルなどの設定により、記録画素数を変更することができる。スルー画やプレ画像の画像数は、本画像よりも少なく、例えば、本画像の1/16程度の画素数で取り込まれる。
【0028】
圧縮処理回路48は、画像処理回路47によって各種の画像処理が施された本画像のデータに対して、例えば、JPGなどの圧縮形式で圧縮処理を施して、画像ファイルを生成する。この画像ファイル生成時に、付帯情報が各タグ内に格納される。メディアコントローラ49は、メモリーカード11へアクセスして画像ファイルの書き込みと読み込みとを行う。再生モードにおいては、メモリーカード11から圧縮された画像データが読み出されて、圧縮処理回路48によって伸張処理が施された後、LCD14に出力される。
【0029】
画像処理回路47は、画像データに対して、ガンマ補正,シャープネス補正,コントラスト補正などの画質補正処理、CCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータ及び赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を施す。
【0030】
さらに、画像処理回路47は、主要被写体領域情報記録機能がアクティブの場合には、ストロボ発光無しで撮影されたプレ画像と、ストロボ発光有りで撮影された本画像とに基づいて、主要被写体領域判定処理を実行する。主要被写体領域判定は、プレ画像と本画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を比較して、その輝度差が大きい高輝度領域を調べることにより行われる。
【0031】
例えば、図2に示すように、主要被写体61aが人物であるシーン61を撮影する場合には、ストロボ光は、近距離に位置する主要被写体61aには到達するが、背景には到達しない。このシーン61に対してプレ撮影(ストロボ発光無し)と本撮影(ストロボ発光有り)とを行った場合には、主要被写体61aにおいてストロボ光の反射があるから、プレ画像と本画像とを比較した場合、主要被写体領域の輝度差は、画面内の他の領域と比較して大きくなる。図2(B)に示すように、輝度差の大きい高輝度領域を、フレームメモリ42内の座標エリア63にマッピングしていくことで、主要被写体領域62を判定することができる。
【0032】
このように、ストロボの反射光を利用して主要被写体領域を判定するので、画像の肌色部分を検知して判定を行う方法と比較して、主要被写体が人物でない場合でも誤判定を軽減することができる。また、ファインダを覗く撮影者の視線を検知する方法に比べて実用性が高い。
【0033】
判定された主要被写体領域62の位置情報は、付帯情報の1つとして、画像ファイルの被写体領域タグ内に格納される。EXIF規格の被写体領域タグは、格納できる情報量が限られているので、被写体領域の情報を矩形や円の座標データとして記録するように定めている。したがって、図2(B)や、図2(C)に示すように、主要被写体領域62に内接又は外接する矩形64や円65を求めて、これらの座標データが前記位置情報として記録される。
【0034】
また、この例では、画面内で高輝度領域が1つだけ抽出される例で説明しているが、シーンによっては、主要被写体領域以外にも無数の高輝度領域が存在し得る。例えば、夜間撮影を行った場合には、街灯などの灯りが映し出される部分は高輝度領域となり得るし、主要被写体よりも近距離にある部分は高輝度領域となり得る。したがって、主要被写体領域の判定を行う際には、まず、高輝度領域のうち、所定面積以上の高輝度領域を候補領域として抽出する。これにより、主要被写体にはなり得ない高輝度部分を排除することができる。さらに、候補領域が複数存在する場合には、例えば、画面の中心に近い方や、より領域の面積が大きい方を主要被写体領域と判定する。
【0035】
また、図3(A)に示すように、本画像71とプレ画像72とでは、画素数が異なる。本画像71の画素数は、例えば、1280×960であるのに対して、プレ画像72の画素数は、その1/16の320×240である。このため、両画面内の対応する部分の比較においては、図3(B)に示すように、プレ画像72の1画素に対して、本画像71の16画素が比較される。
【0036】
すなわち、本画像71の画素をDa、その輝度値をYa、プレ画像72の画素をDb、その輝度値をYbとすると、プレ画像72の画面内左上の画素Db11に対応する部分は、本画像71の画面内左上の16個の画素Da11〜Da44に相当する。このため、比較に当たっては、まず、本画像71の16個分の画素Daの輝度値Yaの平均輝度値Yaavg を求め、この平均輝度値Yaavg と、プレ画像72の画素Dbの輝度値Ybとの輝度差dYが求められる。そして、この輝度差dYと、予め設定された閾値Sとを比較して、輝度差dYが閾値Sよりも大きい画素位置(輝度差dY>閾値Sの部分)を高輝度部分としてマッピングしていく。
【0037】
以下、上記構成による作用について、図4及び図5のフローチャートに従って説明する。電源がオンされて撮影モードが選択されると、CCDイメージセンサ33のスルー画取り込みが開始されて、LCD14にスルー画が再生表示される。撮影者は、この表示を見ながらフレーミングを行う。主要被写体領域を記録する場合には、設定により主要被写体領域記録機能をアクティブにする。主要被写体領域記録機能がアクティブにされると、ストロボ発光モードが自動的に強制発光モードへ切り替わる。
【0038】
レリーズボタンが半押しされると、プレ撮影が行われてプレ画像が取り込まれて、フレームメモリ42へ書き込まれる。AF回路43,AE/AWB回路44は、このプレ画像を読み出して、焦点位置と露出値などの撮影条件を決定する。この撮影条件に基づいてピント調節や絞り調節が行われる。
【0039】
レリーズボタンが全押しされると、本撮影が実行される。主要被写体領域記録機能がアクティブの場合には、ストロボが強制発光される。CCDイメージセンサ33は、本画像を取り込み、このデータをフレームメモリ42へ書き込む。画像処理回路47は、この本画像に対して各種の画質補正処理を施す。画質補正処理が終了すると、主要被写体領域判定処理が実行される。主要被写体領域判定処理では、プレ画像と本画像の対応する部分の輝度値を比較して輝度差dYを算出する。輝度差dYが閾値Sよりも大きい場合には、その高輝度位置を座標エリア62にマッピングしていく。これを全画素分の比較が終了するまで繰り返す。
【0040】
全画素分の比較が終了したら、マッピングされた高輝度位置から所定面積以上の高輝度領域を候補領域として抽出する。候補領域が1つだけ抽出された場合には、その候補領域を主要被写体領域と判定する。候補領域が複数有る場合には、例えば、画面の中心に一番近い候補領域を主要被写体領域と判定する。もちろん、複数の候補領域の中で最も面積の大きい領域を主要被写体領域と判定してもよいし、これらの判定基準を組み合わせてもよい。
【0041】
主要被写体領域を判定できた場合には、その情報を被写体領域タグに格納して画像ファイルを生成して、その画像ファイルがメモリーカード11へ記録される。他方、判定できない場合には、被写体領域タグを空欄にして画像ファイルが生成されて、その画像ファイルがメモリーカード11へ記録される。次回の撮影をする場合には、上記手順が繰り返される。
【0042】
メモリーカード11に記録された画像をプリントする場合には、プリンタは、画像ファイル内の被写体領域情報を参照して画像処理を施す。このため、適切な画像処理が行われるので、良好なプリント画像が得られる。
【0043】
上記実施形態では、主要被写体領域判定をするために、プレ撮影をストロボ発光無しで行い、ストロボを強制発光させて本撮影を行っている。プレ撮影と本撮影とは、デジタルカメラの通常の撮影手順に含まれるので、これら2回の撮影によって得られた2つの画像を利用することで、主要被写体領域判定をするための専用の撮影をする必要がない。このため、撮影処理プログラムに大幅な変更を加えることなく、主要被写体判定機能を追加することができるので、コスト的なメリットを得ることができる。また、専用の撮影をしなくてもよいので、主要被写体領域判定を行う場合でも、撮影処理時間が大幅に増加するようなこともない。
【0044】
しかし、シーンによっては本撮影でストロボ光が不要な場合もある。そのような場合には、撮影条件を得るためのプレ撮影とは別に、主要被写体領域判定のための専用の撮影(ストロボ発光有り)を行い、これにより得られた画像と、ストロボ発光無しで撮影した本画像とを比較して主要被写体領域判定を行ってもよい。また、画素数が異なる2つの画像を比較して、主要被写体判定を行っているが、もちろん、同じ画素数の2つの画像を比較して判定を行ってもよい。
【0045】
また、判定により得られた主要被写体領域情報をメモリーカードへ記録する例で説明しているが、メモリーカードへ記録せずに、前記領域情報をカメラが実行する画像補正処理に利用してもよい。
【0046】
上記実施形態では、本発明をデジタルカメラに適用した例で説明したが、カメラ付き携帯電話やカメラ付きPCなど、デジタルカメラ以外の各種撮像装置に適用してもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のデジタルカメラは、被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、ストロボ装置とを備えたデジタルカメラにおいて、同じシーンに対して、ストロボ発光有りとストロボ発光無しの2回の撮影を行い、これらによって得られた2つの画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を求める輝度差算出手段と、前記輝度差が予め設定された閾値よりも大きく、かつ所定面積以上の大きさを持つ高輝度領域を調べて、主要被写体領域を判定する主要被写体領域判定手段とを設けたから、実用性が高く、しかも、誤判定が少ない主要被写体領域判定機能を持つデジタルカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの電気構成の概略を示すブロック図である。
【図2】主要被写体判定の説明図である。
【図3】プレ画像と本画像との比較方法を示す説明図である。
【図4】撮影手順を示すフローチャートである。
【図5】主要被写体判定手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
16 ストロボ装置
33 CCDイメージセンサ
41 DSP
42 フレームメモリ
47 画像処理回路
62 座標エリア
63 主要被写体領域
71 本画像
72 プレ画像
Claims (4)
- 被写体を撮像して撮影画像を得る撮像手段と、ストロボ装置とを備えたデジタルカメラにおいて、
同じシーンに対して、ストロボ発光有りとストロボ発光無しの2回の撮影を行い、これらによって得られた2つの画像のそれぞれの画面内の対応する部分の輝度差を求める輝度差算出手段と、前記輝度差が予め設定された閾値よりも大きく、かつ所定面積以上の大きさを持つ高輝度領域を調べて、主要被写体領域を判定する主要被写体領域判定手段とを設けたことを特徴とするデジタルカメラ。 - 前記ストロボ発光有りの撮影は、記憶媒体へ記録される本画像を得るための本撮影であり、ストロボ発光無しの撮影は、前記本撮影の前に行われ、前記本撮影の撮影条件を得るためのプレ撮影であることを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
- 前記高輝度領域が複数存在する場合には、前記主要被写体領域判定手段は、画面の中心位置に近い領域、又は、面積が最も大きい領域を主要被写体領域と判定することを特徴とする請求項1又は2記載のデジタルカメラ。
- 前記判定により得られた主要被写体領域情報を、撮影画像とともに記憶媒体へ記録することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のデジタルカメラ。
Priority Applications (1)
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Cited By (4)
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JP2007074674A (ja) * | 2005-09-09 | 2007-03-22 | Sony Corp | 画像処理装置および方法、並びにプログラム |
JP2011199703A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Casio Computer Co Ltd | 撮像装置及び撮像方法 |
JP2017059177A (ja) * | 2015-09-18 | 2017-03-23 | 富士フイルム株式会社 | 画像処理装置,画像処理方法,画像処理プログラムおよびそのプログラムを格納した記録媒体 |
-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002299502A patent/JP2004135184A/ja active Pending
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