JP2004130213A - 排ガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止できるとともに、装置本体へのスケーリングを防止でき、かつ、スラリー循環ラインの配管の閉塞を防止しつつ、水使用量を適切にし、無用な排水量の発生を抑制することができる排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】冷却・除塵部2の下流側に、冷却・除塵部から回収される飛灰を含むスラリーを受けて沈降分離するとともに、そのスラリーを冷却・除塵部と抽出・分解部3とに供給する沈降分離部25が設けられるとともに、この沈降分離部に、抽出・分離部から抜き出されたスラリーを固液分離部17および重金属分離部18を通過させて戻すとともに、補給水が供給される循環ライン50が設けられ、且つ、抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%であるとともに、塩濃度が10〜20重量%である。
【選択図】 図1
【解決手段】冷却・除塵部2の下流側に、冷却・除塵部から回収される飛灰を含むスラリーを受けて沈降分離するとともに、そのスラリーを冷却・除塵部と抽出・分解部3とに供給する沈降分離部25が設けられるとともに、この沈降分離部に、抽出・分離部から抜き出されたスラリーを固液分離部17および重金属分離部18を通過させて戻すとともに、補給水が供給される循環ライン50が設けられ、且つ、抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%であるとともに、塩濃度が10〜20重量%である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却設備等から排出されたダイオキシン類等の有機塩素化合物や、塩化水素等の酸性ガス、および飛灰を含む排ガスを無害化処理するための排ガス処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却設備においては、排ガス中に、燃焼に伴って発生する塩化水素ガスや亜硫酸ガス等の酸性ガスに加えて、廃棄物の焼却に伴って発生する飛灰、およびダイオキシン類等の有機塩素化合物が含まれている。また、前記焼却設備における燃焼焼却に限らず、灰溶融および廃棄物の熱分解ガス化溶融等の溶融処理においても、排出される排ガス中には、前記飛灰に加えて微量ではあるが同様の有機塩素化合物が含まれている。
【0003】
このような排ガスに含まれる有機塩素化合物の中には、ダイオキシン類やPCBのように、そのまま大気に放出されると人体や環境生態系に有害な影響を及ぼすものがある。ここで、前記ダイオキシン類とは、最も毒性の強い2、3、7、8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン(狭義のダイオキシン)およびその類縁化合物をいい、ジベンゾ−p−ジオキシン類およびジベンゾフラン核に1〜8個の塩素原子が置換したポリクロロジベンゾフラン類およびコプラナーPCBの総称である。
【0004】
近年、前記有機塩素化合物のうち、特にダイオキシン類は、大気中に放出された際の危険性が指摘されつつあり、その放出量に対して厳しい規制が導入されている。また、ダイオキシン類に限らず、塩化水素ガスや亜硫酸ガス等の酸性ガスおよび飛灰の除去処理においても厳しい基準が設けられている。例えば、飛灰は、ケイ素、カルシウム、塩素等を主成分とし、これに水銀、カドミウム、鉛、銅、亜鉛、六価クロム等の低沸点重金属を含むものであるため、排ガスを無害化処理する際に排ガス中から除去された飛灰についても、別途法令に定める厳しい基準に基づいて処理した後、埋立て処分することが義務付けられている。
【0005】
しかしながら、従来において、ダイオキシンを含む有機塩素化合物、酸性ガス、飛灰はそれぞれ、個々の除去設備によって排ガス中から除去されているため、経済的に大きな負担となっていた。また、飛灰に対しては、別途、溶融固化法、セメント固化法、薬剤処理法、および酸その他の溶媒による安定化法のいずれかの方法によって、無害化処理することが必要となるが、溶融固化法などの処理方法にあっては、飛灰の処理のために専用の大型処理設備が別途必要となるため、経済的な負担が一層増加するという問題点があった。
【0006】
そこで、1つの処理設備によって、排ガスから、酸性ガスを吸収除去し、且つ、ダイオキシン類等の有機塩素化合物を効果的に分解・除去することができるとともに、飛灰を除去して安定化させることができる排ガス処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
そのような排ガス処理装置の一例が図2に示されている。図示のように、この排ガス処理装置101は冷却塔102を備えている。冷却塔102の頂部には排ガスのダクト105が接続されるとともに、冷却塔102内の上部には、導入されてくる排ガスに向けて大量の冷却水を噴出するスプレーノズル106が配設されている。また、冷却塔102の下端部には、ジェットバブリング方式の抽出・分解部103が設けられている。この抽出・分解部103には、冷却塔102の下端部に連通する入口プレナム110と、温度が100℃以下に保持された塩酸酸性水溶液を一定の液面高さに貯留する貯留部109とが形成されている。入口プレナム110と貯留部109は、複数のスパージャーパイプ112によって繋がっている。また、貯留部109の上側には、排ガスの出口ダクト116に連通する出口プレナム111が形成されており、出口プレナム111と貯留部109は、複数のガスライザー113によって繋がっている。なお、貯留部109には、塩酸酸性水溶液をポンプ114によって抜出して冷却塔102における冷却水としてスプレーノズル106に送る循環供給ライン115が配管されている。
【0008】
また、抽出・分解部103の貯留部109の下流側には、貯留部109内部の水溶液を抜き出して、この水溶液中に含まれる反応済みの処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離する固液分離機117と、この固液分離機117によって分離された水溶液から重金属を回収する重金属回収装置118とが設けられており、重金属回収装置118において重金属類のケーキと塩類とに分離され、重金属類がライン118aから回収される。さらに、塩類を含む水溶液をライン118bから別途塩類回収装置に送って、塩類を回収することも可能となっている。
【0009】
また、抽出・分解部103の出口プレナム111内には、放電極104aと集塵極104bとが交互に配設されてなる湿式電気集塵機104が組み込まれている。そして、この電気集塵機104の上方には、ポンプ120によって貯留部109内から抜き出された塩酸酸性水溶液を、排ガスに向けて噴霧するスプレーノズル121が設けられている。
【0010】
このような構成の排ガス処理装置101においては、産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスが、まず、冷却塔102に導入され、循環供給ライン115を介してスプレーノズル106から噴射される大量かつ高圧の塩酸酸性水溶液(冷却液)によって、60〜80℃程度にまで冷却される。これにより、排ガス中に含まれるダイオキシン類等は、温度が下がることによって固体に吸着しやすくなるため、その大部分が排ガス中に含まれる微粒子状の飛灰に吸着する。次いで、冷却部102を経た排ガスは、抽出・分解部103の入口プレナム110に導入され、複数のスパージャーパイプ112の下端噴出口から噴出する。これにより、前記排ガスが塩酸酸性水溶液と気液接触して、排ガスに含まれる塩化水素等の酸性ガスが塩酸酸性水溶液中に吸収除去される。これと並行して、排ガスに含まれる飛灰が塩酸酸性水溶液中に移行するとともに、飛灰中に含まれる溶解性の無機塩素および重金属が塩酸酸性水溶液によって抽出されることにより飛灰が安定化処理される。この際、飛灰に吸着したダイオキシン類も、塩酸酸性水溶液によって分解されて無害化される。
【0011】
また、抽出・分解部103を経た排ガスは、ガスライザー113から出口プレナム111に送られて、電気集塵機104に到達する。そして、排ガスは、この集塵機104において、残存した微粒飛灰等が捕集された後、出口ダクト116を経て煙突に送られ、大気に放出される。また、これと並行して、スプレーノズル121から電気集塵機104に向けて塩酸酸性水溶液を噴出させることにより、電気集塵機104によって捕集された飛灰等が抽出・分解部103に向けて流下し、再び塩酸酸性水溶液中に戻される。そして、この塩酸酸性水溶液中において、さらに微粒飛灰等に吸着しているダイオキシン類の分解が行なわれる。
【0012】
このようにして、貯留部109内の水溶液中に捕捉された飛灰等の不溶解性固体分や当該水溶液中に溶解した塩類および重金属類は、適宜水溶液とともに貯留部109から抜出され、固液分離機117に送られる。そして、この固液分離機117において、安定化された処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離される。次いで、この固液分離機117によって分離された液体分は、重金属回収装置118に送られ、重金属類のケーキと塩類とに分離される。そして、重金属類がライン118aから回収されるとともに、塩類を含む水溶液をライン118bから別途塩類回収装置に送って、塩類を回収することも可能となる。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−46837号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示される排ガス処理装置においては、スプレーノズル106から噴射されて回収される冷却塔102からの塩酸酸性水溶液が直接に抽出・分解部103(貯留部109)に流入するため、抽出・分解部103へ流入および冷却塔102に循環する飛灰を含むスラリーの濃度が時間経過とともに変化(増加)することになる。そのため、抽出・分解部103で所望の分解率が得られなくなるとともに、抽出・分解部103において装置本体へのスケーリングが助長されるという問題が生じる。
【0015】
また、冷却塔102に循環するスラリー濃度が増加すると、冷却塔102における除塵性能が低下するとともに、冷却塔102の後段に位置する抽出・分離部103および集塵機104にかかる除塵負荷が増大してしまう。そのため、従来においては、スラリー濃度が経時的に高くなるため、排ガス・飛灰同時処理に一定の限界がある。
【0016】
また、冷却塔102において排ガスとともに逸散する水分を補給するための補給水の使用量を少なくするとともに、排水量の削減を図ることが要望されている。
【0017】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止できるとともに、装置本体へのスケーリングを防止でき、かつ、スラリー循環ラインの配管の閉塞を防止しつつ、水使用量を適切にし、無用な排水量の発生を抑制することができる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された排ガス処理装置は、排ガスダクトから送られてくる飛灰を含む排ガスを90℃以下の温度まで冷却して除塵する冷却・除塵部と、この冷却・除塵部の下流側に設けられ且つ冷却・除塵された排ガスを塩酸酸性水溶液と気液接触させる抽出・分解部と、この抽出・分解部の下流側に設けられ且つ抽出・分解部を経た前記排ガスに含まれる残留固体分およびミストを捕集する集塵機とを備え、排ガス中の有機塩素化合物、酸性ガスおよび飛灰を同時に無害化処理並びに無害化した飛灰を排ガスから分離除去する排ガス処理装置であって、前記冷却・除塵部の下流側に、前記冷却・除塵部から回収される飛灰を含むスラリーを受けて沈降分離するとともに、そのスラリーを前記冷却・除塵部と前記抽出・分解部とに供給する沈降分離部が設けられるとともに、この沈降分離部に、前記抽出・分離部から抜き出されたスラリーを固液分離部および重金属分離部を通過させて戻すとともに、補給水が供給される循環ラインが設けられ、且つ、前記抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%であるとともに、塩濃度が10〜20重量%であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載された排ガス処理装置は、請求項1に記載された発明において、前記集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に、前記抽出・分解部を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズルが設けられ、このノズルには前記循環ラインからの液の一部が供給されるとともに、このノズルから噴霧された液が前記沈降分離部へ回収されることを特徴とする。
【0020】
請求項1または請求項2に記載の排ガスの処理装置において、処理対象となる排ガス中に含まれる飛灰とは、各種の焼却設備において、廃棄物の焼却自体によって排ガス中に発生する煤塵や、廃棄物の焼却時に、排ガス中に含まれる塩素成分を除去するために消石灰を吹き込むことによって発生する煤塵、さらには燃焼焼却に限らず、焼却した後の燃焼灰や飛灰を溶融処理する際に発生する煤塵および廃棄物の熱分解ガス化溶融等の溶融処理において発生する煤塵等の総称である。
【0021】
また、前記抽出・分解部において用いられる塩酸酸性水溶液とは、塩素イオンを含有する酸性吸収液を意味するものであり、その塩素イオン(Cl−)濃度は、塩酸酸性吸収液1リットル当たり、10ミリモル以上、より好ましくは100ミリモル以上であり、その上限値は5000ミリモル程度である。この塩酸酸性吸収液は、酸性を維持するために他の無機酸、例えば硫酸や硝酸等を含むことができ、硫酸を添加させた場合に、吸収液中のCl−イオンとSO4 2−イオンとのモル比[Cl−]/[SO4 2−]は、5以上、好ましくは20以上に調節するのがよい。この場合、その上限値は特に制約されない。
【0022】
請求項1または請求項2に記載の発明において、産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスは、先ず処理装置の冷却・除塵部に導入され、ここで、90℃以下、通常60〜80℃程度にまで冷却される。これにより、排ガス中に含まれるダイオキシン類等は、温度が下がることによって固体に吸着しやすくなるため、その大部分が排ガス中に含まれる微粒子状の飛灰に吸着する。
【0023】
次いで、冷却・除塵部を経た排ガスは、抽出・分解部に導入されるとともに、冷却・除塵部から回収される冷却液としてのスラリーは、直接に沈降分離部に回収されて2つの液に分離された後、冷却・除塵部への循環液として再利用されるとともに、一部は抽出・分解部への供給液となる。すなわち、冷却・除塵部からのスラリーは、直接に抽出・分解部に流入されず、一旦、沈降分離部に回収された後に、冷却・除塵部と抽出・分解部とに分配される。このように、冷却・除塵部からの回収液を沈降分離部で分離した後に再循環させるようにすれば、抽出・分解部へ流入および冷却・除塵部に循環する飛灰を含むスラリーの濃度の経時的変化を抑制することができ、これにより、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止できるともに、装置本体へのスケーリングを防止できる。
【0024】
この沈降分離部には、抽出・分離部から抜き出されたスラリーが、固液分離部および重金属分離部を通過して戻されるとともに、補給水が供給される。
そして、前記抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%に設定されているとともに、塩濃度が10〜20重量%に設定されている。このスラリー濃度が10重量%未満であると、無用な排水量が増えてしまい、一方25重量%を超えると、排ガスから分離した飛灰の流動性を保つことが困難になり、系内に沈殿するとともに、流動性を維持するための機器を増設する必要が生じ、さらに配管・機器の磨耗対策も必要となる。また、このスラリーの塩濃度が10重量%未満であると、無用の排水量が増えてしまい、一方20重量%を超えると、pH、温度など工程内のわずかな条件の変動によって新たな水酸化物の沈殿を生じ、スラリー濃度が上昇するとともに、飛灰の流動性を著しく低下させることとなる。したがって、抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度および塩濃度を上記の範囲に設定すると、配管の閉塞や配管・機器の磨耗を防止しつつ、水使用量が適切にして、無用な排水を抑制できる。
【0025】
また、抽出・分解部に導入された排ガスは、抽出・分解部の塩酸酸性水溶液と激しく混合して高効率に気液接触し、これにより、前記排ガスに含まれる塩化水素等の酸性ガスが水溶液中に吸収除去される。これと並行して、前記排ガスに含まれる飛灰が水溶液中に移行するとともに、飛灰中に含まれる溶解性の無機塩素および重金属が、水溶液によって抽出されることにより飛灰が安定化処理される。この際に、前記飛灰は、冷却・除塵部において濡れることにより大きな粒子となっているとともに、親水性が増しているために、前記水溶液中に効率的に捕捉されることになる。さらに、前記飛灰に吸着したダイオキシン類は、前記水溶液によって分解されて無害化する。
【0026】
次いで、抽出・分解部を経た排ガスは、集塵機に送られる。そして、前記排ガスは、この集塵機において、残存した微粒飛灰等が捕集された後、大気に放出される。特に、請求項2に記載の発明のように、抽出・分解部を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズルを集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に設け、このノズルに循環ラインからの液の一部を供給するとともに、ノズルから噴霧された液を沈降分離部へ回収するようにする場合には、集塵機によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液が抽出・分解部に導入されて、抽出・分解部のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できる。また、集塵機によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液を沈降分離部へ回収すれば、この液を冷却・除塵部への循環液として有効利用でき、排水量の削減に繋げることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る排ガス処理装置の実施形態を示すものである。図示のように、本実施形態の排ガス処理装置1は、産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスを無害化処理するためのものであり、冷却塔(冷却・除塵部)2と、ジェットバブリング方式の抽出・分解部3と、湿式電気集塵機(集塵部)4とを備えている。冷却塔2の頂部には排ガスのダクト5が接続されるとともに、冷却塔2内の上部には、導入されてくる排ガスに向けて大量の冷却水を噴出するスプレーノズル6が配設されている。そして、この冷却塔2の下流側に、前記抽出・分解部3が設けられている。
【0028】
この抽出・分解部3には、下部デッキ7および上部デッキ8により、下部にpHが2〜6の範囲であって温度が90℃以下に保持された塩酸酸性水溶液(以下、水溶液と略称する。)を一定の液面高さに貯留する貯留部(貯留槽)9が形成されている。また、上部デッキ8と下部デッキ7との間には、冷却塔2の下端部と連通する入口プレナム10が形成されるとともに、上部デッキ8の上方には、排ガスの出口ダクト16と連通する出口プレナム11が形成されている。
【0029】
また、下部デッキ7には、その全面にわたって多数の開口部が穿設されており、各開口部には、スパージャーパイプ12が垂設されている。一方、上部デッキ8と下部デッキ7との間には、貯留部9の水溶液面上の空間を出口プレナム11側に連通させる複数本のガスライザー13が配設されている。また、この抽出・分解部3には、水溶液中に反応触媒を供給する供給管(図示を略す。)が設けられている。
【0030】
また、抽出・分解部3の出口プレナム11内には、放電極4aと集塵極4bとが交互に配設されて成る前記湿式電気集塵機4が組み込まれている。そして、この電気集塵機4の上方および下方の少なくとも一方(図では、上方のみ)には、ここに導入されてくる排ガスに向けて水を噴霧するスプレーノズル(ノズル)21が配設されている。
【0031】
冷却塔2の下端には、スプレーノズル6から噴射されて回収される冷却塔2からの水溶液を直接に受ける沈降分離部25が設けられている。この沈降分離部25は、冷却塔2から回収された水溶液を、スラリー濃度が高い抽出・分解用の第1の液29と、スラリー濃度が低い冷却・除塵用の第2の液28とに分離する。
【0032】
沈降分離部25には、スラリー濃度が低い冷却・除塵用の液28を抜き出して冷却塔2における冷却水として前記スプレーノズル6に送る循環供給ライン23が配管されている。また、沈降分離部25には、スラリー濃度が高い抽出・分解用の液29を抜き出して抽出・分解部3の貯留部9に供給する供給ライン33が配管されている。
【0033】
また、電気集塵機4の上方に設けられたスプレーノズル21は、後述する循環ライン50から分岐された分岐ライン51に接続されており、この分岐ライン51を通じて供給された液をスプレーノズル21に間欠的あるいは連続的に供給する。
【0034】
冷却塔2から回収された水溶液を沈降分離部25において、抽出・分解用の高濃度液29と冷却・除塵用の低濃度液28とに沈降分離される。この沈降分離では、沈降分離部(沈降分離槽)25内に堰27が設けられ、冷却塔2から回収された水溶液が、堰27によって区画された沈降分離部25内の一方側の空間に溜められる。沈降分離部25内の一方側の空間に溜められた水溶液の下側部分は、沈降する重い粒子によって形成される高濃度スラリー(抽出・分解用の高濃度液)となり、上澄み液となる上側部分は、比較的軽い粒子によって形成される低濃度スラリー(冷却・除塵用の低濃度液)となる。そして、この上澄み液である低濃度スラリーは、沈降分離部25へ供給および回収される水溶液の液量の増大に伴って、堰27を乗り越え、堰27によって区画された沈降分離部25内の他方側の空間に流れ込むようになる。
【0035】
このような分離は、沈降分離部25内へのスラリー流入量、沈降分離部25での滞留量(供給ライン33を通じた抽出・分解部3への抜き出し量)、堰27の高さ(形状)といった操作因子を操作することによって可能となる。また、冷却塔2から沈降分離部25内に流入するスラリー濃度は、排ガス中の煤塵濃度(粒度分布)、使用水および除塵率で決まるため、これに合わせて沈降分離部25の大きさを決定し、補給する水量と抜き出し量とを制御することによって微調整を行なうことが望ましい。
【0036】
特に、本実施形態では、スプレーノズル6での詰まりを防止するとともに、冷却塔2の内壁へのスケーリングを防止するために、循環供給ライン23を通じて冷却塔2のスプレーノズル6へ供給する循環液(冷却・除塵用の低濃度液)28の濃度を低くしている。
【0037】
また、抽出・分解部3では、排ガス中のSO2からの石膏の結晶析出が想定され、貯留部9内の液中の固形分濃度が低い場合には、石膏結晶が抽出・分解部3の内壁に析出して付着することとなる。そのため、本実施形態では、沈降分離部25から抽出・分解部3へ流出する液のスラリー濃度を高くすることによって、結晶生成の際の核を供給し、抽出・分解部3の内壁へのスケーリングを防止するようにしている。
【0038】
また、抽出・分解部3の出口と集塵機4の入口との間には、電気集塵機4によって捕集された飛灰等とともに流下するスプレーノズル21からの液を捕集するための整流部40が設けられている。この整流部40は、例えば樋などの整流板によって形成されている。また、整流部40は、回収管路42を介して、沈降分離部25に接続されており、これによって、整流部40で捕集された液を沈降分離部25に回収できるようになっている。
【0039】
また、抽出・分解部3の貯留部9から内部のスラリーを抜き出して、このスラリーを沈降分離部25に戻して循環利用するための循環ライン50が設けられている。この循環ライン50には、循環ライン50のスラリー中に含まれる反応済みの処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離する固液分離機(固液分離部)17と、この固液分離機17によって分離された水溶液から重金属を回収する重金属回収装置(重金属分離部)18とが設けられており、重金属回収装置18において重金属類と塩類を含む清澄液とに分離され、重金属類がライン18aから回収される。さらに、塩類を含む水溶液(清澄水)に工業用水等の清水が補給水が補給ライン60から補給されて、沈降分離部25に戻されるとともに、その一部は分岐ライン51と通してスプレーノズル21に供給される。なお、塩類を含む清澄水を蒸発器等の塩類回収装置に送って、塩類を回収することも可能であり、このようにすると無排水化も可能となる。
【0040】
ここで、前記抽出・分離部3の貯留部9から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%に設定されているとともに、塩濃度が10〜20重量%に設定されている。この設定は、制御部70によって制御することにより行われる。すなわち、循環ライン50の抽出・分解部3の貯留部9と固液分離機(固液分離部)17との間に、サンプリングノズルを設け、ここで液中のイオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各イオンの合計)濃度を測定し、この測定結果に基づいて、塩濃度が過大(20重量%超)になるときは、制御部70により、補給ライン60から必要量の補給水を補給する。また、スラリー濃度は固形分(1.0ミクロンフィルターで濾過し、120℃で乾燥したもの)を測定して、スラリーが過大(25重量%超)になるときは、制御部70により、補給ライン60から必要量の補給水を補給する。
【0041】
また、抽出・分解部3においては、固体中に含まれる重金属が、固体状態として、または抽出液への溶解状態あるいはその移行過程において反応触媒として機能することが期待されるが、100℃より低い温度において、反応触媒を含有しない塩酸酸性水溶液を用いた場合には、ダイオキシン類を無害化するために相当の長時間を要することになる。このため、前述したように、本実施形態においては、ダイオキシン類の分解反応を促進させて、無害化処理を効率的に行なうためには、抽出・分解部に反応触媒の供給ラインを設けることにより、積極的に塩酸酸性水溶液中に反応触媒を添加することが望ましい。
【0042】
このような反応触媒としては、金属イオンが好適である。この金属イオンとしては、例えば鉄、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、タングステン、カドミウム、アルミニウム等あるいはこれら2種以上の混合物が適用可能である。また、この金属イオンには、通常の金属イオンのほか、錯イオンも包含される。一般に、前記供給ラインからは、前記反応触媒が、塩化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の金属酸化物または金属塩の形で供給される。ダイオキシン類を無害化させるために用いる反応処理剤としての塩酸酸性水溶液は、これらの金属酸化物や金属塩を溶解状態で含むが、この場合、その反応触媒は未溶解分を含むことができる。この未溶解分は、通常溶解工程へ移行する過程にある。このような溶解状態へ移行する過程にある未溶解分を含む反応触媒も、有効に作用する。
【0043】
次に、上記構成の排ガス処理装置1を用いて、有機塩素化合物、酸性ガスおよび飛灰を含む排ガスを無害化処理する方法について説明する。
産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスは、先ず処理装置1の冷却塔2に導入され、循環供給ライン23を介してスプレーノズル6から噴射される大量かつ高圧の冷却水溶液によって、60〜70℃程度にまで冷却される。これにより、排ガス中に含まれるダイオキシン類等は、温度が下がることによって固体に吸着しやすくなるため、その大部分が排ガス中に含まれる微粒子状の飛灰に吸着する。さらに、前記排ガスに含まれる飛灰は、水溶液によって濡れることにより、より大きな粒子になる。
【0044】
次いで、冷却塔2を経た排ガスは、抽出・分解部3の入口プレナム10に導入され、多数本のスパージャーパイプ12の下端噴出口から噴出する。一方、スプレーノズル6から噴射された水溶液は、冷却塔2から直接に沈降分離部25に回収されて2つの液28,29に分離された後、冷却塔2への循環液として、あるいは、抽出・分解部3への供給液として再利用される。
【0045】
スパージャーパイプ12の下端噴出口から噴出した排ガスは、貯留部9内の水溶液と激しく混合して液層連続のジェットバブリング層Bを形成し、このジェットバブリング層Bにおいて高効率な気液接触が行われて、前記排ガスに含まれる塩化水素等の酸性ガスが水溶液中に吸収除去される。これと並行して、前記排ガスに含まれる飛灰が水溶液中に移行するとともに、飛灰中に含まれる溶解性の無機塩素および重金属が、水溶液によって抽出されることにより飛灰が安定化処理される。この際に、前記飛灰は、冷却塔2において濡れることにより大きな粒子となっているとともに、親水性が増しているために、前記水溶液中に効率的に捕捉されることになる。
【0046】
さらに、前記飛灰に吸着したダイオキシン類は、前記水溶液によって分解されて無害化する。このダイオキシン類の分解は、図示されない供給管から水溶液中に供給される銅イオンや鉄イオン等の反応触媒によって促進される。このように、抽出・分解部3においては、酸性ガスが吸収除去され、飛灰が捕捉されるとともに当該飛灰に含まれる重金属類が酸抽出され、かつダイオキシン類が分解されて無害化される。この際に、図示しない空気ブロアによって水溶液中に空気を吹き込み、当該水溶液を酸化性雰囲気に保持することにより、亜硫酸イオンの酸化、重金属類の溶解、ダイオキシン類の分解等の各々の反応が促進される。
【0047】
このようにして、貯留部9内の水溶液中に捕捉された飛灰等の不溶解性固体分や当該水溶液中に溶解した塩類および重金属類は、適宜水溶液とともに装置1から抜出され、固液分離機17に送られる。そして、この固液分離機17において、安定化された処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離される。次いで、この固液分離機17によって分離された液体分は、重金属回収装置18に送られ、重金属回収装置18において重金属類と塩類を含む清澄液とに分離され、重金属類がライン18aから回収される。一方、塩類を含む水溶液(清澄水)は、この液に工業用水等の清水が補給水として補給されて、沈降分離部25に戻されるとともに、その一部は分岐ライン51と通してスプレーノズル21に供給される。なお、塩類を含む清澄水を蒸発器に送って、塩類を回収することも可能であり、このようにすると無排水化も可能となる。
このとき、制御部70により、抽出・分離部3から抜き出されるラインのスラリー濃度を10〜25重量%に、また塩濃度を10〜20重量%に調整している。
【0048】
次いで、抽出・分解部3を経た排ガスは、ガスライザー13から出口プレナム11を介して、電気集塵機4に送られる。そして、前記排ガスは、この集塵機4において、残存した微粒飛灰等が捕集された後、出口ダクト16を経て煙突に送られ、大気に放出される。また、これと並行して、スプレーノズル21から電気集塵機4に向けて、循環ライン50から分岐された分岐ライン51を通じて供給される液を噴出させることにより、電気集塵機4によって捕集された飛灰等を清水とともに整流部40に流下させる。整流部40に流下した飛灰等を含む水溶液は、その後、整流部40から回収管路42を介して、沈降分離部25内に回収される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の排ガス処理装置1は、冷却塔2の下流側に設けられ、冷却塔2から回収される飛灰を含むスラリー液を受けて、そのスラリー濃度を調整するとともに、調整されたスラリー液を冷却塔2と抽出・分解部3とに分配する沈降分離部25を備えている。すなわち、スプレーノズル6から噴射されて回収される冷却塔2からのスラリー液を、直接に抽出・分解部3(貯留部9)に流入させることなく、一旦、沈降分離部25に回収した後に、冷却塔2と抽出・分解部3とに分配するようにしている。このように、冷却塔2からの回収液を沈降分離部25で分離して分配するようにすれば、抽出・分解部3へ流入および冷却塔2に循環する飛灰を含むスラリーの濃度の経時的変化を抑制することができ、これにより、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止でき、装置本体へのスケーリングを防止できるとともに、除塵負荷が排ガス工程の後段で増大することを抑制することができる。
【0050】
特に、本実施形態において、沈降分離部25は、冷却塔2から受けたスラリー液を、第1の液29と、この第1の液29よりもスラリー濃度が低い第2の液28とに分離して、第1の液29を抽出・分解部3の塩酸酸性水溶液中に供給するとともに、第2の液28を冷却塔2に冷却液として供給するようにしている。このように、低濃度スラリー液を生成すると、水使用量の低減、無排水化に大きく寄与することができる。
【0051】
また、本実施形態の排ガス処理装置1は、抽出・分解部3の下流側で且つ集塵機4の上流側に設けられ、集塵機4によって捕集された捕集物を捕捉する整流部40を備えている。沈降分離部25の設置によって、抽出・分解部3へのスラリー濃度は相対的に高くなるため、このように整流部40を設置すれば、集塵機4での除塵効率を高めることができる。特に、抽出・分解部3を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズル21を集塵機4の上流側および下流側の少なくとも一方に設ける場合には、集塵機4によって捕集された捕集物とともに流下するノズル21からの液を整流部40によって捕集できるため、これらの液が抽出・分解部3に導入されて抽出・分解部3のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できる。
【0052】
また、本実施の形態においては、抽出・分離部3から抜き出されるラインのスラリー濃度を10〜25重量%に設定するとともに、塩濃度を10〜20重量%に設定したので、循環ライン50の配管の閉塞や配管・機器の磨耗を防止しつつ、水使用量を適切にして、無用な排水を抑制できる。
【0053】
また、本実施の形態においては、抽出・分解部3を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズル21を集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に設け、このノズル21に循環ライン50の分岐ライン51から循環液の一部を供給するとともに、ノズル21から噴霧された液を沈降分離部25へ回収するようにしたので、集塵機4によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液が抽出・分解部に導入されて、抽出・分解部のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できる。また、集塵機4によって捕集された捕集物とともに流下するノズル21からの液を沈降分離部25へ回収したので、この液を冷却塔2への循環液として有効利用でき、さらに排水量の削減に繋げることができる。
【0054】
本実施形態のように、沈降分離部25で回収した回収液を分離して冷却塔2と抽出・分解部3とに分配して供給するとともに、抽出・分解部3と集塵機4との間に整流部40を設ければ、トータルの処理効率を高めることができる。
【0055】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。例えば、前述した実施形態においては、抽出・分解部3の出口プレナム11内に、集塵機として電気集塵機4を配設した場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば充填塔方式等の、前記排ガスに残存した微粒飛灰等を捕捉可能な他の集塵機を内装しても同様の作用効果を得ることができる。また、装置本体1の上部に、排ガスの出口ダクト16を接続し、この出口ダクト16を煙突に導いた場合について示したが、これに限らず、特に装置本体の頂部に直接煙突を設ければ、全体のシステムがより簡略化するとともに、煙突設置に要するコストを低減化させることもできる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1または請求項2に記載の発明によれば、抽出・分解部へ流入および冷却・除塵部に循環する飛灰を含むスラリーの濃度の経時的変化を抑制することができ、これにより、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止でき、装置本体へのスケーリングを防止できるとともに、除塵負荷が排ガス工程の後段で増大することを抑制することができ、さらにスラリー循環ラインの配管の閉塞を防止しつつ、水使用量を適切にし、無用な排水量の発生を抑制することができる。
【0057】
また、請求項2に記載の発明によれば、集塵機によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液が抽出・分解部に導入されて、抽出・分解部のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できるとともに、沈降分離部へ回収された液を冷却・除塵部等への循環液として有効利用でき、排水量の削減に繋げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る排ガス処理装置の概略構成図である。
【図2】従来の排ガス処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 排ガス処理装置
2 冷却塔(冷却・除塵部)
3 抽出・分解部
4 湿式電気集塵機(集塵機)
17 固液分離機(固液分離部)
18 重金属回収装置(重金属分離部)
25 沈降分離部
50 循環ライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却設備等から排出されたダイオキシン類等の有機塩素化合物や、塩化水素等の酸性ガス、および飛灰を含む排ガスを無害化処理するための排ガス処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却設備においては、排ガス中に、燃焼に伴って発生する塩化水素ガスや亜硫酸ガス等の酸性ガスに加えて、廃棄物の焼却に伴って発生する飛灰、およびダイオキシン類等の有機塩素化合物が含まれている。また、前記焼却設備における燃焼焼却に限らず、灰溶融および廃棄物の熱分解ガス化溶融等の溶融処理においても、排出される排ガス中には、前記飛灰に加えて微量ではあるが同様の有機塩素化合物が含まれている。
【0003】
このような排ガスに含まれる有機塩素化合物の中には、ダイオキシン類やPCBのように、そのまま大気に放出されると人体や環境生態系に有害な影響を及ぼすものがある。ここで、前記ダイオキシン類とは、最も毒性の強い2、3、7、8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン(狭義のダイオキシン)およびその類縁化合物をいい、ジベンゾ−p−ジオキシン類およびジベンゾフラン核に1〜8個の塩素原子が置換したポリクロロジベンゾフラン類およびコプラナーPCBの総称である。
【0004】
近年、前記有機塩素化合物のうち、特にダイオキシン類は、大気中に放出された際の危険性が指摘されつつあり、その放出量に対して厳しい規制が導入されている。また、ダイオキシン類に限らず、塩化水素ガスや亜硫酸ガス等の酸性ガスおよび飛灰の除去処理においても厳しい基準が設けられている。例えば、飛灰は、ケイ素、カルシウム、塩素等を主成分とし、これに水銀、カドミウム、鉛、銅、亜鉛、六価クロム等の低沸点重金属を含むものであるため、排ガスを無害化処理する際に排ガス中から除去された飛灰についても、別途法令に定める厳しい基準に基づいて処理した後、埋立て処分することが義務付けられている。
【0005】
しかしながら、従来において、ダイオキシンを含む有機塩素化合物、酸性ガス、飛灰はそれぞれ、個々の除去設備によって排ガス中から除去されているため、経済的に大きな負担となっていた。また、飛灰に対しては、別途、溶融固化法、セメント固化法、薬剤処理法、および酸その他の溶媒による安定化法のいずれかの方法によって、無害化処理することが必要となるが、溶融固化法などの処理方法にあっては、飛灰の処理のために専用の大型処理設備が別途必要となるため、経済的な負担が一層増加するという問題点があった。
【0006】
そこで、1つの処理設備によって、排ガスから、酸性ガスを吸収除去し、且つ、ダイオキシン類等の有機塩素化合物を効果的に分解・除去することができるとともに、飛灰を除去して安定化させることができる排ガス処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
そのような排ガス処理装置の一例が図2に示されている。図示のように、この排ガス処理装置101は冷却塔102を備えている。冷却塔102の頂部には排ガスのダクト105が接続されるとともに、冷却塔102内の上部には、導入されてくる排ガスに向けて大量の冷却水を噴出するスプレーノズル106が配設されている。また、冷却塔102の下端部には、ジェットバブリング方式の抽出・分解部103が設けられている。この抽出・分解部103には、冷却塔102の下端部に連通する入口プレナム110と、温度が100℃以下に保持された塩酸酸性水溶液を一定の液面高さに貯留する貯留部109とが形成されている。入口プレナム110と貯留部109は、複数のスパージャーパイプ112によって繋がっている。また、貯留部109の上側には、排ガスの出口ダクト116に連通する出口プレナム111が形成されており、出口プレナム111と貯留部109は、複数のガスライザー113によって繋がっている。なお、貯留部109には、塩酸酸性水溶液をポンプ114によって抜出して冷却塔102における冷却水としてスプレーノズル106に送る循環供給ライン115が配管されている。
【0008】
また、抽出・分解部103の貯留部109の下流側には、貯留部109内部の水溶液を抜き出して、この水溶液中に含まれる反応済みの処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離する固液分離機117と、この固液分離機117によって分離された水溶液から重金属を回収する重金属回収装置118とが設けられており、重金属回収装置118において重金属類のケーキと塩類とに分離され、重金属類がライン118aから回収される。さらに、塩類を含む水溶液をライン118bから別途塩類回収装置に送って、塩類を回収することも可能となっている。
【0009】
また、抽出・分解部103の出口プレナム111内には、放電極104aと集塵極104bとが交互に配設されてなる湿式電気集塵機104が組み込まれている。そして、この電気集塵機104の上方には、ポンプ120によって貯留部109内から抜き出された塩酸酸性水溶液を、排ガスに向けて噴霧するスプレーノズル121が設けられている。
【0010】
このような構成の排ガス処理装置101においては、産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスが、まず、冷却塔102に導入され、循環供給ライン115を介してスプレーノズル106から噴射される大量かつ高圧の塩酸酸性水溶液(冷却液)によって、60〜80℃程度にまで冷却される。これにより、排ガス中に含まれるダイオキシン類等は、温度が下がることによって固体に吸着しやすくなるため、その大部分が排ガス中に含まれる微粒子状の飛灰に吸着する。次いで、冷却部102を経た排ガスは、抽出・分解部103の入口プレナム110に導入され、複数のスパージャーパイプ112の下端噴出口から噴出する。これにより、前記排ガスが塩酸酸性水溶液と気液接触して、排ガスに含まれる塩化水素等の酸性ガスが塩酸酸性水溶液中に吸収除去される。これと並行して、排ガスに含まれる飛灰が塩酸酸性水溶液中に移行するとともに、飛灰中に含まれる溶解性の無機塩素および重金属が塩酸酸性水溶液によって抽出されることにより飛灰が安定化処理される。この際、飛灰に吸着したダイオキシン類も、塩酸酸性水溶液によって分解されて無害化される。
【0011】
また、抽出・分解部103を経た排ガスは、ガスライザー113から出口プレナム111に送られて、電気集塵機104に到達する。そして、排ガスは、この集塵機104において、残存した微粒飛灰等が捕集された後、出口ダクト116を経て煙突に送られ、大気に放出される。また、これと並行して、スプレーノズル121から電気集塵機104に向けて塩酸酸性水溶液を噴出させることにより、電気集塵機104によって捕集された飛灰等が抽出・分解部103に向けて流下し、再び塩酸酸性水溶液中に戻される。そして、この塩酸酸性水溶液中において、さらに微粒飛灰等に吸着しているダイオキシン類の分解が行なわれる。
【0012】
このようにして、貯留部109内の水溶液中に捕捉された飛灰等の不溶解性固体分や当該水溶液中に溶解した塩類および重金属類は、適宜水溶液とともに貯留部109から抜出され、固液分離機117に送られる。そして、この固液分離機117において、安定化された処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離される。次いで、この固液分離機117によって分離された液体分は、重金属回収装置118に送られ、重金属類のケーキと塩類とに分離される。そして、重金属類がライン118aから回収されるとともに、塩類を含む水溶液をライン118bから別途塩類回収装置に送って、塩類を回収することも可能となる。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−46837号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示される排ガス処理装置においては、スプレーノズル106から噴射されて回収される冷却塔102からの塩酸酸性水溶液が直接に抽出・分解部103(貯留部109)に流入するため、抽出・分解部103へ流入および冷却塔102に循環する飛灰を含むスラリーの濃度が時間経過とともに変化(増加)することになる。そのため、抽出・分解部103で所望の分解率が得られなくなるとともに、抽出・分解部103において装置本体へのスケーリングが助長されるという問題が生じる。
【0015】
また、冷却塔102に循環するスラリー濃度が増加すると、冷却塔102における除塵性能が低下するとともに、冷却塔102の後段に位置する抽出・分離部103および集塵機104にかかる除塵負荷が増大してしまう。そのため、従来においては、スラリー濃度が経時的に高くなるため、排ガス・飛灰同時処理に一定の限界がある。
【0016】
また、冷却塔102において排ガスとともに逸散する水分を補給するための補給水の使用量を少なくするとともに、排水量の削減を図ることが要望されている。
【0017】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止できるとともに、装置本体へのスケーリングを防止でき、かつ、スラリー循環ラインの配管の閉塞を防止しつつ、水使用量を適切にし、無用な排水量の発生を抑制することができる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された排ガス処理装置は、排ガスダクトから送られてくる飛灰を含む排ガスを90℃以下の温度まで冷却して除塵する冷却・除塵部と、この冷却・除塵部の下流側に設けられ且つ冷却・除塵された排ガスを塩酸酸性水溶液と気液接触させる抽出・分解部と、この抽出・分解部の下流側に設けられ且つ抽出・分解部を経た前記排ガスに含まれる残留固体分およびミストを捕集する集塵機とを備え、排ガス中の有機塩素化合物、酸性ガスおよび飛灰を同時に無害化処理並びに無害化した飛灰を排ガスから分離除去する排ガス処理装置であって、前記冷却・除塵部の下流側に、前記冷却・除塵部から回収される飛灰を含むスラリーを受けて沈降分離するとともに、そのスラリーを前記冷却・除塵部と前記抽出・分解部とに供給する沈降分離部が設けられるとともに、この沈降分離部に、前記抽出・分離部から抜き出されたスラリーを固液分離部および重金属分離部を通過させて戻すとともに、補給水が供給される循環ラインが設けられ、且つ、前記抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%であるとともに、塩濃度が10〜20重量%であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載された排ガス処理装置は、請求項1に記載された発明において、前記集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に、前記抽出・分解部を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズルが設けられ、このノズルには前記循環ラインからの液の一部が供給されるとともに、このノズルから噴霧された液が前記沈降分離部へ回収されることを特徴とする。
【0020】
請求項1または請求項2に記載の排ガスの処理装置において、処理対象となる排ガス中に含まれる飛灰とは、各種の焼却設備において、廃棄物の焼却自体によって排ガス中に発生する煤塵や、廃棄物の焼却時に、排ガス中に含まれる塩素成分を除去するために消石灰を吹き込むことによって発生する煤塵、さらには燃焼焼却に限らず、焼却した後の燃焼灰や飛灰を溶融処理する際に発生する煤塵および廃棄物の熱分解ガス化溶融等の溶融処理において発生する煤塵等の総称である。
【0021】
また、前記抽出・分解部において用いられる塩酸酸性水溶液とは、塩素イオンを含有する酸性吸収液を意味するものであり、その塩素イオン(Cl−)濃度は、塩酸酸性吸収液1リットル当たり、10ミリモル以上、より好ましくは100ミリモル以上であり、その上限値は5000ミリモル程度である。この塩酸酸性吸収液は、酸性を維持するために他の無機酸、例えば硫酸や硝酸等を含むことができ、硫酸を添加させた場合に、吸収液中のCl−イオンとSO4 2−イオンとのモル比[Cl−]/[SO4 2−]は、5以上、好ましくは20以上に調節するのがよい。この場合、その上限値は特に制約されない。
【0022】
請求項1または請求項2に記載の発明において、産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスは、先ず処理装置の冷却・除塵部に導入され、ここで、90℃以下、通常60〜80℃程度にまで冷却される。これにより、排ガス中に含まれるダイオキシン類等は、温度が下がることによって固体に吸着しやすくなるため、その大部分が排ガス中に含まれる微粒子状の飛灰に吸着する。
【0023】
次いで、冷却・除塵部を経た排ガスは、抽出・分解部に導入されるとともに、冷却・除塵部から回収される冷却液としてのスラリーは、直接に沈降分離部に回収されて2つの液に分離された後、冷却・除塵部への循環液として再利用されるとともに、一部は抽出・分解部への供給液となる。すなわち、冷却・除塵部からのスラリーは、直接に抽出・分解部に流入されず、一旦、沈降分離部に回収された後に、冷却・除塵部と抽出・分解部とに分配される。このように、冷却・除塵部からの回収液を沈降分離部で分離した後に再循環させるようにすれば、抽出・分解部へ流入および冷却・除塵部に循環する飛灰を含むスラリーの濃度の経時的変化を抑制することができ、これにより、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止できるともに、装置本体へのスケーリングを防止できる。
【0024】
この沈降分離部には、抽出・分離部から抜き出されたスラリーが、固液分離部および重金属分離部を通過して戻されるとともに、補給水が供給される。
そして、前記抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%に設定されているとともに、塩濃度が10〜20重量%に設定されている。このスラリー濃度が10重量%未満であると、無用な排水量が増えてしまい、一方25重量%を超えると、排ガスから分離した飛灰の流動性を保つことが困難になり、系内に沈殿するとともに、流動性を維持するための機器を増設する必要が生じ、さらに配管・機器の磨耗対策も必要となる。また、このスラリーの塩濃度が10重量%未満であると、無用の排水量が増えてしまい、一方20重量%を超えると、pH、温度など工程内のわずかな条件の変動によって新たな水酸化物の沈殿を生じ、スラリー濃度が上昇するとともに、飛灰の流動性を著しく低下させることとなる。したがって、抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度および塩濃度を上記の範囲に設定すると、配管の閉塞や配管・機器の磨耗を防止しつつ、水使用量が適切にして、無用な排水を抑制できる。
【0025】
また、抽出・分解部に導入された排ガスは、抽出・分解部の塩酸酸性水溶液と激しく混合して高効率に気液接触し、これにより、前記排ガスに含まれる塩化水素等の酸性ガスが水溶液中に吸収除去される。これと並行して、前記排ガスに含まれる飛灰が水溶液中に移行するとともに、飛灰中に含まれる溶解性の無機塩素および重金属が、水溶液によって抽出されることにより飛灰が安定化処理される。この際に、前記飛灰は、冷却・除塵部において濡れることにより大きな粒子となっているとともに、親水性が増しているために、前記水溶液中に効率的に捕捉されることになる。さらに、前記飛灰に吸着したダイオキシン類は、前記水溶液によって分解されて無害化する。
【0026】
次いで、抽出・分解部を経た排ガスは、集塵機に送られる。そして、前記排ガスは、この集塵機において、残存した微粒飛灰等が捕集された後、大気に放出される。特に、請求項2に記載の発明のように、抽出・分解部を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズルを集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に設け、このノズルに循環ラインからの液の一部を供給するとともに、ノズルから噴霧された液を沈降分離部へ回収するようにする場合には、集塵機によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液が抽出・分解部に導入されて、抽出・分解部のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できる。また、集塵機によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液を沈降分離部へ回収すれば、この液を冷却・除塵部への循環液として有効利用でき、排水量の削減に繋げることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る排ガス処理装置の実施形態を示すものである。図示のように、本実施形態の排ガス処理装置1は、産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスを無害化処理するためのものであり、冷却塔(冷却・除塵部)2と、ジェットバブリング方式の抽出・分解部3と、湿式電気集塵機(集塵部)4とを備えている。冷却塔2の頂部には排ガスのダクト5が接続されるとともに、冷却塔2内の上部には、導入されてくる排ガスに向けて大量の冷却水を噴出するスプレーノズル6が配設されている。そして、この冷却塔2の下流側に、前記抽出・分解部3が設けられている。
【0028】
この抽出・分解部3には、下部デッキ7および上部デッキ8により、下部にpHが2〜6の範囲であって温度が90℃以下に保持された塩酸酸性水溶液(以下、水溶液と略称する。)を一定の液面高さに貯留する貯留部(貯留槽)9が形成されている。また、上部デッキ8と下部デッキ7との間には、冷却塔2の下端部と連通する入口プレナム10が形成されるとともに、上部デッキ8の上方には、排ガスの出口ダクト16と連通する出口プレナム11が形成されている。
【0029】
また、下部デッキ7には、その全面にわたって多数の開口部が穿設されており、各開口部には、スパージャーパイプ12が垂設されている。一方、上部デッキ8と下部デッキ7との間には、貯留部9の水溶液面上の空間を出口プレナム11側に連通させる複数本のガスライザー13が配設されている。また、この抽出・分解部3には、水溶液中に反応触媒を供給する供給管(図示を略す。)が設けられている。
【0030】
また、抽出・分解部3の出口プレナム11内には、放電極4aと集塵極4bとが交互に配設されて成る前記湿式電気集塵機4が組み込まれている。そして、この電気集塵機4の上方および下方の少なくとも一方(図では、上方のみ)には、ここに導入されてくる排ガスに向けて水を噴霧するスプレーノズル(ノズル)21が配設されている。
【0031】
冷却塔2の下端には、スプレーノズル6から噴射されて回収される冷却塔2からの水溶液を直接に受ける沈降分離部25が設けられている。この沈降分離部25は、冷却塔2から回収された水溶液を、スラリー濃度が高い抽出・分解用の第1の液29と、スラリー濃度が低い冷却・除塵用の第2の液28とに分離する。
【0032】
沈降分離部25には、スラリー濃度が低い冷却・除塵用の液28を抜き出して冷却塔2における冷却水として前記スプレーノズル6に送る循環供給ライン23が配管されている。また、沈降分離部25には、スラリー濃度が高い抽出・分解用の液29を抜き出して抽出・分解部3の貯留部9に供給する供給ライン33が配管されている。
【0033】
また、電気集塵機4の上方に設けられたスプレーノズル21は、後述する循環ライン50から分岐された分岐ライン51に接続されており、この分岐ライン51を通じて供給された液をスプレーノズル21に間欠的あるいは連続的に供給する。
【0034】
冷却塔2から回収された水溶液を沈降分離部25において、抽出・分解用の高濃度液29と冷却・除塵用の低濃度液28とに沈降分離される。この沈降分離では、沈降分離部(沈降分離槽)25内に堰27が設けられ、冷却塔2から回収された水溶液が、堰27によって区画された沈降分離部25内の一方側の空間に溜められる。沈降分離部25内の一方側の空間に溜められた水溶液の下側部分は、沈降する重い粒子によって形成される高濃度スラリー(抽出・分解用の高濃度液)となり、上澄み液となる上側部分は、比較的軽い粒子によって形成される低濃度スラリー(冷却・除塵用の低濃度液)となる。そして、この上澄み液である低濃度スラリーは、沈降分離部25へ供給および回収される水溶液の液量の増大に伴って、堰27を乗り越え、堰27によって区画された沈降分離部25内の他方側の空間に流れ込むようになる。
【0035】
このような分離は、沈降分離部25内へのスラリー流入量、沈降分離部25での滞留量(供給ライン33を通じた抽出・分解部3への抜き出し量)、堰27の高さ(形状)といった操作因子を操作することによって可能となる。また、冷却塔2から沈降分離部25内に流入するスラリー濃度は、排ガス中の煤塵濃度(粒度分布)、使用水および除塵率で決まるため、これに合わせて沈降分離部25の大きさを決定し、補給する水量と抜き出し量とを制御することによって微調整を行なうことが望ましい。
【0036】
特に、本実施形態では、スプレーノズル6での詰まりを防止するとともに、冷却塔2の内壁へのスケーリングを防止するために、循環供給ライン23を通じて冷却塔2のスプレーノズル6へ供給する循環液(冷却・除塵用の低濃度液)28の濃度を低くしている。
【0037】
また、抽出・分解部3では、排ガス中のSO2からの石膏の結晶析出が想定され、貯留部9内の液中の固形分濃度が低い場合には、石膏結晶が抽出・分解部3の内壁に析出して付着することとなる。そのため、本実施形態では、沈降分離部25から抽出・分解部3へ流出する液のスラリー濃度を高くすることによって、結晶生成の際の核を供給し、抽出・分解部3の内壁へのスケーリングを防止するようにしている。
【0038】
また、抽出・分解部3の出口と集塵機4の入口との間には、電気集塵機4によって捕集された飛灰等とともに流下するスプレーノズル21からの液を捕集するための整流部40が設けられている。この整流部40は、例えば樋などの整流板によって形成されている。また、整流部40は、回収管路42を介して、沈降分離部25に接続されており、これによって、整流部40で捕集された液を沈降分離部25に回収できるようになっている。
【0039】
また、抽出・分解部3の貯留部9から内部のスラリーを抜き出して、このスラリーを沈降分離部25に戻して循環利用するための循環ライン50が設けられている。この循環ライン50には、循環ライン50のスラリー中に含まれる反応済みの処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離する固液分離機(固液分離部)17と、この固液分離機17によって分離された水溶液から重金属を回収する重金属回収装置(重金属分離部)18とが設けられており、重金属回収装置18において重金属類と塩類を含む清澄液とに分離され、重金属類がライン18aから回収される。さらに、塩類を含む水溶液(清澄水)に工業用水等の清水が補給水が補給ライン60から補給されて、沈降分離部25に戻されるとともに、その一部は分岐ライン51と通してスプレーノズル21に供給される。なお、塩類を含む清澄水を蒸発器等の塩類回収装置に送って、塩類を回収することも可能であり、このようにすると無排水化も可能となる。
【0040】
ここで、前記抽出・分離部3の貯留部9から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%に設定されているとともに、塩濃度が10〜20重量%に設定されている。この設定は、制御部70によって制御することにより行われる。すなわち、循環ライン50の抽出・分解部3の貯留部9と固液分離機(固液分離部)17との間に、サンプリングノズルを設け、ここで液中のイオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの各イオンの合計)濃度を測定し、この測定結果に基づいて、塩濃度が過大(20重量%超)になるときは、制御部70により、補給ライン60から必要量の補給水を補給する。また、スラリー濃度は固形分(1.0ミクロンフィルターで濾過し、120℃で乾燥したもの)を測定して、スラリーが過大(25重量%超)になるときは、制御部70により、補給ライン60から必要量の補給水を補給する。
【0041】
また、抽出・分解部3においては、固体中に含まれる重金属が、固体状態として、または抽出液への溶解状態あるいはその移行過程において反応触媒として機能することが期待されるが、100℃より低い温度において、反応触媒を含有しない塩酸酸性水溶液を用いた場合には、ダイオキシン類を無害化するために相当の長時間を要することになる。このため、前述したように、本実施形態においては、ダイオキシン類の分解反応を促進させて、無害化処理を効率的に行なうためには、抽出・分解部に反応触媒の供給ラインを設けることにより、積極的に塩酸酸性水溶液中に反応触媒を添加することが望ましい。
【0042】
このような反応触媒としては、金属イオンが好適である。この金属イオンとしては、例えば鉄、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、タングステン、カドミウム、アルミニウム等あるいはこれら2種以上の混合物が適用可能である。また、この金属イオンには、通常の金属イオンのほか、錯イオンも包含される。一般に、前記供給ラインからは、前記反応触媒が、塩化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の金属酸化物または金属塩の形で供給される。ダイオキシン類を無害化させるために用いる反応処理剤としての塩酸酸性水溶液は、これらの金属酸化物や金属塩を溶解状態で含むが、この場合、その反応触媒は未溶解分を含むことができる。この未溶解分は、通常溶解工程へ移行する過程にある。このような溶解状態へ移行する過程にある未溶解分を含む反応触媒も、有効に作用する。
【0043】
次に、上記構成の排ガス処理装置1を用いて、有機塩素化合物、酸性ガスおよび飛灰を含む排ガスを無害化処理する方法について説明する。
産業廃棄物の焼却設備等から排出された排ガスは、先ず処理装置1の冷却塔2に導入され、循環供給ライン23を介してスプレーノズル6から噴射される大量かつ高圧の冷却水溶液によって、60〜70℃程度にまで冷却される。これにより、排ガス中に含まれるダイオキシン類等は、温度が下がることによって固体に吸着しやすくなるため、その大部分が排ガス中に含まれる微粒子状の飛灰に吸着する。さらに、前記排ガスに含まれる飛灰は、水溶液によって濡れることにより、より大きな粒子になる。
【0044】
次いで、冷却塔2を経た排ガスは、抽出・分解部3の入口プレナム10に導入され、多数本のスパージャーパイプ12の下端噴出口から噴出する。一方、スプレーノズル6から噴射された水溶液は、冷却塔2から直接に沈降分離部25に回収されて2つの液28,29に分離された後、冷却塔2への循環液として、あるいは、抽出・分解部3への供給液として再利用される。
【0045】
スパージャーパイプ12の下端噴出口から噴出した排ガスは、貯留部9内の水溶液と激しく混合して液層連続のジェットバブリング層Bを形成し、このジェットバブリング層Bにおいて高効率な気液接触が行われて、前記排ガスに含まれる塩化水素等の酸性ガスが水溶液中に吸収除去される。これと並行して、前記排ガスに含まれる飛灰が水溶液中に移行するとともに、飛灰中に含まれる溶解性の無機塩素および重金属が、水溶液によって抽出されることにより飛灰が安定化処理される。この際に、前記飛灰は、冷却塔2において濡れることにより大きな粒子となっているとともに、親水性が増しているために、前記水溶液中に効率的に捕捉されることになる。
【0046】
さらに、前記飛灰に吸着したダイオキシン類は、前記水溶液によって分解されて無害化する。このダイオキシン類の分解は、図示されない供給管から水溶液中に供給される銅イオンや鉄イオン等の反応触媒によって促進される。このように、抽出・分解部3においては、酸性ガスが吸収除去され、飛灰が捕捉されるとともに当該飛灰に含まれる重金属類が酸抽出され、かつダイオキシン類が分解されて無害化される。この際に、図示しない空気ブロアによって水溶液中に空気を吹き込み、当該水溶液を酸化性雰囲気に保持することにより、亜硫酸イオンの酸化、重金属類の溶解、ダイオキシン類の分解等の各々の反応が促進される。
【0047】
このようにして、貯留部9内の水溶液中に捕捉された飛灰等の不溶解性固体分や当該水溶液中に溶解した塩類および重金属類は、適宜水溶液とともに装置1から抜出され、固液分離機17に送られる。そして、この固液分離機17において、安定化された処理飛灰等の不溶解性固体分と、抽出された重金属類および塩類を含む水溶液とに分離される。次いで、この固液分離機17によって分離された液体分は、重金属回収装置18に送られ、重金属回収装置18において重金属類と塩類を含む清澄液とに分離され、重金属類がライン18aから回収される。一方、塩類を含む水溶液(清澄水)は、この液に工業用水等の清水が補給水として補給されて、沈降分離部25に戻されるとともに、その一部は分岐ライン51と通してスプレーノズル21に供給される。なお、塩類を含む清澄水を蒸発器に送って、塩類を回収することも可能であり、このようにすると無排水化も可能となる。
このとき、制御部70により、抽出・分離部3から抜き出されるラインのスラリー濃度を10〜25重量%に、また塩濃度を10〜20重量%に調整している。
【0048】
次いで、抽出・分解部3を経た排ガスは、ガスライザー13から出口プレナム11を介して、電気集塵機4に送られる。そして、前記排ガスは、この集塵機4において、残存した微粒飛灰等が捕集された後、出口ダクト16を経て煙突に送られ、大気に放出される。また、これと並行して、スプレーノズル21から電気集塵機4に向けて、循環ライン50から分岐された分岐ライン51を通じて供給される液を噴出させることにより、電気集塵機4によって捕集された飛灰等を清水とともに整流部40に流下させる。整流部40に流下した飛灰等を含む水溶液は、その後、整流部40から回収管路42を介して、沈降分離部25内に回収される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の排ガス処理装置1は、冷却塔2の下流側に設けられ、冷却塔2から回収される飛灰を含むスラリー液を受けて、そのスラリー濃度を調整するとともに、調整されたスラリー液を冷却塔2と抽出・分解部3とに分配する沈降分離部25を備えている。すなわち、スプレーノズル6から噴射されて回収される冷却塔2からのスラリー液を、直接に抽出・分解部3(貯留部9)に流入させることなく、一旦、沈降分離部25に回収した後に、冷却塔2と抽出・分解部3とに分配するようにしている。このように、冷却塔2からの回収液を沈降分離部25で分離して分配するようにすれば、抽出・分解部3へ流入および冷却塔2に循環する飛灰を含むスラリーの濃度の経時的変化を抑制することができ、これにより、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止でき、装置本体へのスケーリングを防止できるとともに、除塵負荷が排ガス工程の後段で増大することを抑制することができる。
【0050】
特に、本実施形態において、沈降分離部25は、冷却塔2から受けたスラリー液を、第1の液29と、この第1の液29よりもスラリー濃度が低い第2の液28とに分離して、第1の液29を抽出・分解部3の塩酸酸性水溶液中に供給するとともに、第2の液28を冷却塔2に冷却液として供給するようにしている。このように、低濃度スラリー液を生成すると、水使用量の低減、無排水化に大きく寄与することができる。
【0051】
また、本実施形態の排ガス処理装置1は、抽出・分解部3の下流側で且つ集塵機4の上流側に設けられ、集塵機4によって捕集された捕集物を捕捉する整流部40を備えている。沈降分離部25の設置によって、抽出・分解部3へのスラリー濃度は相対的に高くなるため、このように整流部40を設置すれば、集塵機4での除塵効率を高めることができる。特に、抽出・分解部3を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズル21を集塵機4の上流側および下流側の少なくとも一方に設ける場合には、集塵機4によって捕集された捕集物とともに流下するノズル21からの液を整流部40によって捕集できるため、これらの液が抽出・分解部3に導入されて抽出・分解部3のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できる。
【0052】
また、本実施の形態においては、抽出・分離部3から抜き出されるラインのスラリー濃度を10〜25重量%に設定するとともに、塩濃度を10〜20重量%に設定したので、循環ライン50の配管の閉塞や配管・機器の磨耗を防止しつつ、水使用量を適切にして、無用な排水を抑制できる。
【0053】
また、本実施の形態においては、抽出・分解部3を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズル21を集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に設け、このノズル21に循環ライン50の分岐ライン51から循環液の一部を供給するとともに、ノズル21から噴霧された液を沈降分離部25へ回収するようにしたので、集塵機4によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液が抽出・分解部に導入されて、抽出・分解部のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できる。また、集塵機4によって捕集された捕集物とともに流下するノズル21からの液を沈降分離部25へ回収したので、この液を冷却塔2への循環液として有効利用でき、さらに排水量の削減に繋げることができる。
【0054】
本実施形態のように、沈降分離部25で回収した回収液を分離して冷却塔2と抽出・分解部3とに分配して供給するとともに、抽出・分解部3と集塵機4との間に整流部40を設ければ、トータルの処理効率を高めることができる。
【0055】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。例えば、前述した実施形態においては、抽出・分解部3の出口プレナム11内に、集塵機として電気集塵機4を配設した場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば充填塔方式等の、前記排ガスに残存した微粒飛灰等を捕捉可能な他の集塵機を内装しても同様の作用効果を得ることができる。また、装置本体1の上部に、排ガスの出口ダクト16を接続し、この出口ダクト16を煙突に導いた場合について示したが、これに限らず、特に装置本体の頂部に直接煙突を設ければ、全体のシステムがより簡略化するとともに、煙突設置に要するコストを低減化させることもできる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1または請求項2に記載の発明によれば、抽出・分解部へ流入および冷却・除塵部に循環する飛灰を含むスラリーの濃度の経時的変化を抑制することができ、これにより、排ガス中の飛灰含量の増加に伴う除塵性能の低下および分解率の低下を防止でき、装置本体へのスケーリングを防止できるとともに、除塵負荷が排ガス工程の後段で増大することを抑制することができ、さらにスラリー循環ラインの配管の閉塞を防止しつつ、水使用量を適切にし、無用な排水量の発生を抑制することができる。
【0057】
また、請求項2に記載の発明によれば、集塵機によって捕集された捕集物とともに流下するノズルからの液が抽出・分解部に導入されて、抽出・分解部のスラリー濃度が希釈されるといった不都合を回避できるとともに、沈降分離部へ回収された液を冷却・除塵部等への循環液として有効利用でき、排水量の削減に繋げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る排ガス処理装置の概略構成図である。
【図2】従来の排ガス処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 排ガス処理装置
2 冷却塔(冷却・除塵部)
3 抽出・分解部
4 湿式電気集塵機(集塵機)
17 固液分離機(固液分離部)
18 重金属回収装置(重金属分離部)
25 沈降分離部
50 循環ライン
Claims (2)
- 排ガスダクトから送られてくる飛灰を含む排ガスを90℃以下の温度まで冷却して除塵する冷却・除塵部と、この冷却・除塵部の下流側に設けられ且つ冷却・除塵された排ガスを塩酸酸性水溶液と気液接触させる抽出・分解部と、この抽出・分解部の下流側に設けられ且つ抽出・分解部を経た前記排ガスに含まれる残留固体分およびミストを捕集する集塵機とを備え、排ガス中の有機塩素化合物、酸性ガスおよび飛灰を同時に無害化処理並びに無害化した飛灰を排ガスから分離除去する排ガス処理装置であって、
前記冷却・除塵部の下流側に、前記冷却・除塵部から回収される飛灰を含むスラリーを受けて沈降分離するとともに、そのスラリーを前記冷却・除塵部と前記抽出・分解部とに供給する沈降分離部が設けられるとともに、
この沈降分離部に、前記抽出・分離部から抜き出されたスラリーを固液分離部および重金属分離部を通過させて戻すとともに、補給水が供給される循環ラインが設けられ、且つ
前記抽出・分離部から抜き出されるラインのスラリー濃度が10〜25重量%であるとともに、塩濃度が10〜20重量%であることを特徴とする排ガス処理装置。 - 前記集塵機の上流側および下流側の少なくとも一方に、前記抽出・分解部を経た排ガスに向けて水溶液を噴霧するノズルが設けられ、
このノズルには前記循環ラインからの液の一部が供給されるとともに、このノズルから噴霧された液が前記沈降分離部へ回収されることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010046071A1 (de) * | 2008-10-20 | 2010-04-29 | Sms Elex Ag | Verfahren zur reinigung eines rauchgases einer metallurgischen anlage und rauchgasreinigungsvorrichtung |
JP2011051850A (ja) * | 2009-09-03 | 2011-03-17 | Taiheiyo Cement Corp | セメントキルン抽気ガスの処理システム及び処理方法 |
CN105195004A (zh) * | 2015-10-27 | 2015-12-30 | 李继凤 | 组合式湿式烟气脱硫除尘装置及方法 |
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CN111691353A (zh) * | 2020-07-02 | 2020-09-22 | 金文贤 | 一种基于大数据监测的城市扬尘治理*** |
-
2002
- 2002-10-10 JP JP2002297156A patent/JP2004130213A/ja not_active Withdrawn
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