JP2004128220A - 電磁波シールド膜付き基板 - Google Patents

電磁波シールド膜付き基板 Download PDF

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Yasutaka Tsuda
津田 康孝
Katsuto Tanaka
田中 勝人
Masaji Onishi
大西 正司
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Abstract

【課題】透明導電膜の抵抗値が2.5Ω/□以下、可視光透過率が70%以上、且つ反射率も低電磁波シールド膜付き基板を安価に得ること。
【解決手段】透明基板上に、透明金属酸化物層よりなる第1誘電体層/第1Ag層/ZnAlよりなる第1非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第2誘電体層/第2Ag層/ZnAlよりなる第2非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第3誘電体層/第3Ag層/ZnAlよりなる第3非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第4誘電体層からなる透明導電膜が積層された基板であって、各Ag層の膜厚がそれぞれ9〜15nm、ZnAlよりなる非Ag合金層の膜厚がそれぞれ1.0〜3.0nm、第1誘電体層および第4誘電体層の膜厚が40〜50nm、第2誘電体層および第3誘電体層の膜厚が75〜85nmからなる電磁波シールド膜付き基板。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【従来の技術】
【0002】
【特許文献1】
WO98/13850号公報
【0003】
【特許文献2】
特開平11−307987号公報
【0004】
PDPでは、人体に有害な電磁波(周波数:30〜1000MHz)或いは周辺の家電機器のリモコンの誤動作を招く恐れがある近赤外線(波長:850〜1000nm)が放出されるので、これらを効率的に遮蔽する必要がある。このための対策としては従来、ガラス基板上に電磁波と近赤外線を遮蔽する目的で透明導電膜が被覆されたPDP用フィルタ基板を該PDPの前面に装着することが知られている。
【0005】
例えば、WO98/13850号公報においては、基体側から1種以上の金属を含有するZnOを主成分とする酸化物層とAgを主成分とする金属層とが交互に(2n+1)層積層された多層の導電膜が被覆されたPDP用保護板について記載されており、また、特開平11−307987号公報においては、基板側から屈折率が1.6〜2.8の誘電体層と銀主成分層とを交互に積層した7層の積層体とし、銀主成分層を銀に対して0.1〜0.5原子%のPdを含有させた電磁遮蔽膜を有するPDP用の電磁波フィルターについて記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、WO98/13850号公報の発明は、Ag層としてPd等を添加したAg層が用いられており、コスト的に不利であるとともに該Ag層にPd等を添加しているために膜厚の同じ他の金属層と比較して抵抗値が高くなる等の問題がある。また、特開平11−307987号公報記載の電磁遮蔽膜は、耐湿性を確保する目的で前記と同様に金属膜として高価なPdを添加したAg膜を使用しているが、該Pdを多く添加すると電磁波シールド性に寄与する透明導電膜の抵抗値が増加し、電磁波シールド性が低下する等の問題が生じるとともにコスト的に不利である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のかかる課題に鑑みてなしたものであって、光学干渉を利用した誘電体層とAg層と非Ag合金層を含む10層の多層膜を採用した透明導電膜とすることにより、該膜の抵抗値(シート抵抗 Ω/□)が2.5Ω/□以下と低くして電磁遮蔽性能を高めるとともに、可視光線透過率を70%以上と高くして充分に明るい画像表示を得ることが可能であり、さらに低可視光線反射率を有するバランスのとれた電磁波シールド膜付き基板を安価に提供するものである。
【0008】
すなわち、本発明の電磁波シールド膜付き基板は、基板側から透明基板表面に、誘電体層、Ag層、非Ag合金層がこの順に繰り返し9層積層され、さらにその上層に誘電体層が積層されてなる透明導電膜が被覆され、該膜表面の抵抗値(シート抵抗)として2.5Ω/□以下であり、可視光線透過率が70%以上であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電磁波シールド膜付き基板は、各Ag層の厚さが9〜15nmであることを特徴とし、さらに、いずれのAg層もAgの純度が5N以上であることを特徴とする。Ag層は、ポリコールド等の使用により成膜時のベース圧を高真空にすることで高密度の構造が形成され、これにより低比抵抗の薄膜とすることができる。
【0010】
またさらに、本発明の電磁波シールド膜付き基板は透明基板上に、透明金属酸化物層よりなる第1誘電体層/第1Ag層/ZnAlよりなる第1非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第2誘電体層/第2Ag層/ZnAlよりなる第2非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第3誘電体層/第3Ag層/ZnAlよりなる第3非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第4誘電体層からなる透明導電膜が積層された基板であって、各Ag層の膜厚がそれぞれ9〜15nm、ZnAlよりなる非Ag合金層の膜厚がそれぞれ1.0〜3.0nm、第1誘電体層および第4誘電体層の膜厚が40〜50nm、第2誘電体層および第3誘電体層の膜厚が75〜85nmからなることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の電磁波シールド膜付き基板は、該基板の前面及び/又は裏面に樹脂フィルムよりなる保護板を設けてなることを特徴とする。
また、本発明の電磁波シールド膜付き基板は、プラズマデイスプレイの前面に装着されてなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁波シールド膜付き基板は、透明基板表面に、誘電体層、Ag層、非Ag合金層がこの順に繰り返し9層積層され、さらにその上層に誘電体層が積層されてなる透明導電膜が被覆され、該膜表面の抵抗値がシート抵抗値として2.5Ω/□以下であり、可視光線透過率が70%以上であることを特徴とする。さらに、前記透明導電膜は、基板側から、透明金属酸化物層よりなる第1誘電体層/第1Ag層/ZnAlよりなる第1非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第2誘電体層/第2Ag層/ZnAlよりなる第2非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第3誘電体層/第3Ag層/ZnAlよりなる第3非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第4誘電体層から構成され、各Ag層の膜厚がそれぞれ9〜15nm、ZnAlよりなる非Ag合金層の膜厚がそれぞれ1.0〜3.0nm、第1誘電体層および第4誘電体層の膜厚が40〜50nm、第2誘電体層および第3誘電体層の膜厚が75〜85nmからなることを特徴とする。
【0013】
電磁遮蔽性能を左右するAg層は、該Ag層の膜厚が電磁遮蔽性、可視光線透過率および可視光線反射率に影響を及ぼし、30dB以上の高電磁遮蔽性を得るためには各Ag層ともに10nm以上の膜厚が必要であり、一方画像を明るくして視認性をよくするために、可視光線透過率を70%以上確保し、かつ画像コントラストを高めるために可視光線反射率を4%以下と低くするためには各Ag層ともに15nm以下とすることが好ましく、特に、第1Ag層の膜厚は9〜10nm、第2Ag層の膜厚は13〜14nm、第3銀層の膜厚は11〜12nmとすることがより好ましい。Ag層を2層設けただけでは、本発明のような膜表面の表面抵抗値が2.5Ω/□以下で、可視光線透過率が70%以上で、可視光線反射率が4%以下であるものを得ることは容易ではない。
さらに、本発明で用いるAg層は、いずれのAg層もPdなどの添加物を含有していないもの、特に5N以上の純度のAg、を用いることが好ましく、Agを成膜する時のベース圧をポリコールド(真空チャンバーに存在する水蒸気をクライオコイルと呼ばれる低温冷却表面に凝縮させる事によりトラップし真空チャンバーに高真空を得られる様にする装置である。ポリコールドは米国POLYCOLD SYSTEMSの商品名)等の使用により高真空にする事により高密度の構造とすることで低比抵抗のAg膜とすることが可能となる。
次に透明酸化物層よりなる各誘電体層は、少なくとも酸化亜鉛層または酸化錫層より形成され、各誘電体層におけるこれらの膜厚は第1誘電体層における酸化錫層は3〜50nm、酸化亜鉛層は5〜50nm、第2誘電体層における酸化錫層は0〜85nm、酸化亜鉛層は5〜85nm、第3誘電体層における酸化錫層は5〜85nm、酸化亜鉛層は5〜85nm、第4誘電体層における酸化錫層は0〜50nm、酸化亜鉛層は0〜50nmとすることが好ましく、上記範囲以外の膜厚では可視光線透過率を70%以上とすることができなくなる。
【0014】
そのうち、酸化物層としての酸化錫層よりなる非晶質の被膜は、化学的にも機械的にも強く、且つ非晶質のルーズな構造のためガラスとの密着力も強く、内部応力も発生しにくい。従ってガラスの直上に被覆することが望ましい。この酸化錫層はガラスとの密着力を高めるだけでなく、アルカリイオンの影響を断つための役割も担う。なお、誘電体層は、前記の酸化亜鉛層、酸化錫層に限定されるものではなく、酸化チタン、SnZnO、ZnAlO、ITO等を用いることも出来る。
【0015】
しかし、前記酸化錫層は、特に銀との密着力が劣り酸化錫層/銀層界面での剥離が起こりやすい。又、酸化錫はそのイオン化傾向から分かるように酸素との結合が弱く、被膜内の酸素の化学的ポテンシャルが高いため、銀層に酸素が拡散しやすく電気抵抗が上り、高電磁波遮蔽を達成し難い。
これらの理由より、酸化錫層は銀層と接触させないことが好ましい。なお、酸化錫層には化学的、機械的特性を向上し、またガラスとの密着力も強くする非晶質の被膜成分としての元素が含まれても良い。
【0016】
一方、酸化亜鉛層は、銀層との密着力が高く、又酸素との高い結合力によって層内の酸素のポテンシャルが低いため、銀層内に酸素が拡散しにくい。従って銀層直下の層は酸化亜鉛層が望ましい。なお、酸化亜鉛層には銀層との密着力を低下せず、銀層内に酸素が拡散しにくくするような被膜の成分としての公知の元素(Al、Sn等)が含まれても良い。
【0017】
なお、銀層に接触する酸化物層中の酸素の化学ポテンシャルはできる限り低く保つことが肝要で、酸化亜鉛成膜時の雰囲気は酸素と共にできるだけ多くのアルゴンを添加するのが望ましい。望ましいアルゴンの添加率は設備によって異なるが概ね10〜30%である。この値は酸素雰囲気から徐々にアルゴンを添加していき、ターゲットに掛かる電圧が急に上がるか、電流が急に下がる現象を観測し、そこからアルゴンを若干減らすことで決められる。
また、酸化亜鉛層は緻密で大気中の腐食性ガスの拡散を防ぐ効果があり、また太陽光線に含まれる紫外線を吸収する働きがあるが化学的耐久性が低いため、第3銀層の上層に酸化亜鉛層を用いる場合には、さらにその上層に非晶質酸化物である酸化錫層を設けることが望ましい。
【0018】
また、誘電体層としての金属酸化物層としては、前記ZnO層のほかにZnAl(x=1〜2、y=1〜4)層を用いることが好ましい。このZnAl層は、特に、曲げ及び/又は強化(半強化も含む)のために導電膜を形成後にガラスの軟化点以上の高温で熱処理する場合、Ag層の酸化を防止するのに特に有効であり、後述するZnAlよりなる非Ag合金層の直上に設けることが好ましい。
【0019】
次に、Ag層の直上部には、Ag層と酸化物誘電体層の界面の凹凸に起因する光散乱を防止するための非Ag合金層が設けられる。Ag層の直接上に酸化物誘電体層を形成すると、Ag/誘電体界面に凹凸が形成され、この凹凸が光散乱の原因となり光線透過率が大幅に低下してしまう。しかしながらこの非Ag合金層は光吸収層であるため、厚すぎても光線透過率を低下させてしまう。適切な透過率を得るためには非Ag合金層の厚みを1.0〜3.0nmとする必要がある。さらに非Ag合金層はAlを含むZnAl合金層からなり、ZnにAlをドープすることにより表面に凹凸の少ない平滑な層を形成させることができる。またAlの含有量が多すぎるとZnAl合金層の消衰係数が大きくなり、光線透過率が大幅に低下してしまう。適切な透過率を得るためにはAlの含有量を1〜10重量%とする必要がある。なお、ここでいう非Ag合金層とは、Ag層の直上に非Ag合金層を成膜した直後は全厚が合金層であるが、ついで、例えば、該合金層の上層に誘電体の金属酸化物を成膜する時、酸化性雰囲気(例えば酸素80%、アルゴン20%)で成膜するため、該合金層の上層部の一部が酸化物に変換される。この上層部が酸化された一部の酸化物層と大部分の合金層を含めて非Ag合金層と呼ぶ。すなわち非Ag合金層の膜厚とは、最初にZnAl合金層を成膜したときの膜厚を示す。
【0020】
本発明の電磁波シールド膜付き基板表面に被覆される透明導電膜は、膜表面の抵抗値がシート抵抗として2.5Ω/□以下であり、可視光線透過率が70%以上であることを特徴とするが、抵抗値が低くなればなるほど高い電磁波遮蔽性能が得られ、例えば、該抵抗値であるシート抵抗が2.5Ω/□以下の場合には、周波数1GHzにおける電磁波遮蔽性能が30dB以上が得られ、PDP等の機器から放射される電磁波をある程度までシールドすることが可能となる。また、可視光線透過率が70%以上と高いので充分に明るい画像表示を得ることが可能となる。また、ガラス面側の可視光線反射率が約4%以下であるので周囲の景色の像の映り込みが少なく、コントラストの優れた画像表示が可能となる等の利点を有する。
【0021】
本発明の透明基板としては、透明のガラス、プラスチック等を用いることが出来、例えばガラス基板としては、汎用の普通板ガラス、所謂フロート板ガラスなどであり、クリアをはじめグリ−ン、ブロンズ等各種着色ガラスや各種機能性ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合せガラスのほか複層ガラス等、さらに平板あるいは曲げ板等各種板ガラス製品として使用できることは言うまでもない。また、ガラスは透明プラスチック板等との積層体であってもよい。なお、ガラスの組成は、ソーダ石灰ガラス、アルミノシリケートガラス等であるが、これらに限定されないことは、言うまでもない。
なお、強化された強化ガラス(例えば、表面圧縮応力が100MN/m2程度)、或いは半強化ガラス(例えば、表面圧縮応力が40〜80MN/m2程度)を用いるとガラスが割れにくいのでより好ましい。
また、本発明の導電膜の成膜方法は、生産性の点よりスパッタリング法が好ましいが、その他の成膜法である真空蒸着法、イオンプレーティング法、PCVD(プラズマCVD)法等で成膜することも可能である。
【0022】
なお、本発明の電磁波シールド膜付き基板は、PDP、CRTなどのディスプレイ前面から発生する電磁波、或いはリモコンの誤動作を生じる近赤外線の遮蔽機能を有する電磁波シールド膜付き基板に用いることが可能であり、例えば、PDP用に用いる場合には、本発明の電磁波シールド膜付き基板の表面及び裏面に粘着剤等により反射防止、銀系透明導電膜の防湿、ガラス割れ時の飛散防止、粘着層の色素添加によるフィルタ全体の色度調整などの機能を有する透明フィルムを貼り付け、PDPの前面(電磁遮蔽膜はPDP側)に装着して用いることが出来る。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、成膜はDCマグネトロンスパッタリング法により行った。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0024】
なお、下記に示す実施例、比較例で得られた電磁波シールド膜付き基板のサンプルの性能評価は以下の方法で評価した。
(1)可視光線透過率、可視光線反射率:
JIS R 3106に準拠し、分光光度計(4000型、日立製作所製スペクトロフォトメーター)により波長380〜780nm間の可視光線透過率Tv、可視光線反射率(膜面側)を測定した。
(2)抵抗値:
4探針プローブ抵抗計(エプソン社製)
(3)膜厚:
段差測定器dektak3(Sloan社製)により測定した。
(4)電磁遮蔽性:
米国軍用規格MIL−std285に準じる
実施例1
大きさが1000mm×580mm×約3mm(厚さ)のフロートガラス基板(可視光線透過率:90.4%、ガラスの周縁部の黒枠プリントおよびブスバー付き、半強化加工品)の表面上に、スパッタ装置を用いて下記順序で被膜を形成した。
【0025】
先ず、スパッタ装置に、カソードに予めSn、Zn(3台)、Ag、ZnAl(Al含有率4wt%)の各金属ターゲットを取り付けたのち、成膜前の圧力が1.5×10−4Pa以下となるまで真空チャンバー内の排気を充分に行った。なお、本方法は、真空チャンバー内のターゲットの下方に搬送ロールが設置され、そのロール上をガラス基板が往復動する時に電力が印加されたターゲットより所定の金属層あるいは金属酸化物層がガラス板上に成膜されるようになっている。
【0026】
1パス目として、成膜室の雰囲気を酸化性雰囲気(O2:Ar=9:1)に保持し、Snターゲットにより第1誘電体層の1層目としてのSnO2層を3nm成膜した後、1層目と同条件でZnターゲットにより2層目のZnO層を38nm成膜した。
【0027】
2パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、Agターゲットにより第1Ag層としてのAg層を10nm、ZnAlターゲットにより第1非Ag合金層としてのZnAl合金層を1.6nm成膜した。
【0028】
3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O:Ar=9:1)に保持し、第2誘電体層の金属酸化物層を形成した。第2誘電体層の1層目としてのZnAl層を3.3nm、2層目としてのSnO層を1.8nm、3層目としてのZnO層を45nm、4層目としてのSnO層を3.5nm、5層目としてのZnO層を22.4nm順次成膜した。
【0029】
4パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、Agターゲットにより第2Ag層としてのAg層を14nm、ZnAlターゲットにより第2非Ag合金層としてのZnAl合金層を1.6nm成膜した。
5パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O:Ar=9:1)に保持し、第3誘電体層の1層目としてのZnAl層を3.4nm、2層目としてのSnO層を1.8nm、3層目としてのZnO層を46nm、4層目としてのSnO層を3.6nm、5層目としてのZnO層を23.2nm順次成膜した。
【0030】
6パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、Agターゲットにより第3Ag層としてのAg層を12nm、ZnAlターゲットにより第3の非Ag合金層としてのZnAl合金層を2.2nm成膜した。
【0031】
7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O:Ar=9:1)に保持し、第4誘電体層の1層目としてのZnAlxOy層を1.3nm、2層目としてのSnO層を0.7nm、3層目としてのZnO層を18.4nm、4層目としてのSnO層を1.4nm、5層目としてのZnO層を18.5nm、6層目としてのSnO層を0.7nm順次成膜し、透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を成膜室より取り出した。得られた透明導電膜の層構成を図1に示した。
【0032】
以上のようにして本発明の電磁波シールド膜付き基板サンプルを作製した。
【0033】
得られた電磁波シールド膜付き用基板の特性を評価した結果、表面抵抗:2.5Ω/□、電磁波シールド性(30〜1000MHz):30dB以上、可視光線透過率70%、可視光反射率4%と優れた特性を有するものであった。次に、上記で得られた透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き用基板の表面と裏面に、粘着剤を有したAR(反射防止)処理付きのARフィルム(日本油脂製Realook、基材はTAC樹脂製、粘着剤はアクリル系樹脂)を貼り付け電磁波シールドフィルターを作製した。このARフィルムは、反射防止を行うとともに透明導電膜の保護とガラス基板の割れ飛散防止等の機能を有するものである。なお、該透明導電膜は、ガラス基板表面の周縁部にプリント印刷された黒枠の上面に設けられたブスバーに接続された。
【0034】
この作製した電磁波シールドフィルターの特性を評価した結果、表面抵抗:2.5Ω/□、電磁波シールド性(30〜1000MHz):30dB以上、可視光線透過率71%、可視光線反射率:近赤外線透過率(950nm):2.8%を示すとともに、耐湿性(60℃、90%RH、1000h)も評価した結果、0.2mm以上の大きさをもつ顕著な膜欠陥や色度変化は無くPDP用の電磁波シ−ルドフィルターとして優れた性能を有していた。
【0035】
実施例2
実施例1と同じ成膜基板を用い、実施例1と同じ成膜条件によって第1誘電体層の膜厚が41nm、第1Ag層膜厚が9.5nm、第1非Ag合金層膜厚が1.6nm、第2誘電体層膜厚が80nm、第2Ag層膜厚が13.5nm、第2非Ag合金層膜厚が1.6nm、第3誘電体層膜厚が82nm、第3Ag層膜厚が11.5nm、第3非Ag合金層膜厚が2.2nm、第4誘電体層膜厚が42nmとなるように成膜時間を調節して透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0036】
実施例3
実施例1と同じ成膜基板を用い、実施例1と同じ成膜条件によって第1誘電体層の膜厚が41nm、第1Ag層膜厚が10nm、第1非Ag合金層膜厚が2.0nm、第2誘電体層膜厚が76nm、第2Ag層膜厚が14nm、第2非Ag合金層膜厚が2.0nm、第3誘電体層膜厚が78nm、第3Ag層膜厚が12nm、第3非Ag合金層膜厚が2.6nm、第4誘電体層膜厚が41nmとなるように成膜時間を調節して透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0037】
実施例4
実施例1と同じ成膜基板を用い、実施例1と同じ成膜条件によって第1誘電体層の膜厚が41nm、第1Ag層膜厚が9nm、第1非Ag合金層膜厚が1.6nm、第2誘電体層膜厚が76nm、第2Ag層膜厚が13nm、第2非Ag合金層膜厚が1.6nm、第3誘電体層膜厚が78nm、第3Ag層膜厚が11nm、第3非Ag合金層膜厚が2.2nm、第4誘電体層膜厚が41nmとなるように成膜時間を調節して透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0038】
表1に実施例1〜4の透明導電膜の各層膜厚および可視光線透過率、可視光線反射率、表面抵抗値を示した。
【0039】
【表1】
Figure 2004128220
【0040】
比較例1
実施例1と同じ成膜基板を用い、実施例1と同じ成膜条件によって第1誘電体層の膜厚が35nm、第1Ag層膜厚が10nm、第1非Ag合金層膜厚が1.6nm、第2誘電体層膜厚が70nm、第2Ag層膜厚が14nm、第2非Ag合金層膜厚が1.6nm、第3誘電体層膜厚が70nm、第3Ag層膜厚が12nm、第3非Ag合金層膜厚が2.2nm、第4誘電体層膜厚が35nmとなるように成膜時間を調節して透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0041】
比較例2
実施例1と同じ成膜基板を用い、実施例1と同じ成膜条件によって第1誘電体層の膜厚が41nm、第1Ag層膜厚が10nm、第1非Ag合金層膜厚が0nm、第2誘電体層膜厚が76nm、第2Ag層膜厚が14nm、第2非Ag合金層膜厚が0nm、第3誘電体層膜厚が78nm、第3Ag層膜厚が12nm、第3非Ag合金層膜厚が0nm、第4誘電体層膜厚が41nmとなるように成膜時間を調節して透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0042】
比較例3
実施例1と同じ成膜基板を用い、実施例1と同じ成膜条件によって第1誘電体層の膜厚が41nm、第1Ag層膜厚が10nm、第1非Ag合金層膜厚が3.2nm、第2誘電体層膜厚が76nm、第2Ag層膜厚が14nm、第2非Ag合金層膜厚が3.2nm、第3誘電体層膜厚が78nm、第3Ag層膜厚が12nm、第3非Ag合金層膜厚が3.2nm、第4誘電体層膜厚が41nmとなるように成膜時間を調節して透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0043】
比較例4
実施例1と同じ成膜基板を用い、スパッタ装置のカソードに予め取り付けるZnAlターゲットのAl含有率を15wt%とする以外はすべて実施例1と同じ成膜条件および膜厚で成膜し、透明導電膜が被覆された電磁波シールド膜付き基板を作製した。
【0044】
表2に比較例1〜4の透明導電膜の各層膜厚および可視光線透過率、可視光線反射率、表面抵抗値を示した。
【0045】
【表2】
Figure 2004128220
【0046】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド膜付き基板は、透明導電膜の抵抗値が2.5Ω/□以下で電磁遮蔽性能に優れるとともに、可視光透過率が70%以上で反射率も低いために画像表示が見易いバランスのとれた電磁波シールド膜付き基板を安価に提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である透明導電膜の層構成の断面図である。

Claims (6)

  1. 透明基板上に、透明金属酸化物層よりなる第1誘電体層/第1Ag層/ZnAlよりなる第1非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第2誘電体層/第2Ag層/ZnAlよりなる第2非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第3誘電体層/第3Ag層/ZnAlよりなる第3非Ag合金層/透明金属酸化物層よりなる第4誘電体層からなる透明導電膜が積層された基板であって、各Ag層の膜厚がそれぞれ9〜15nm、ZnAlよりなる非Ag合金層の膜厚がそれぞれ1.0〜3.0nm、第1誘電体層および第4誘電体層の膜厚が40〜50nm、第2誘電体層および第3誘電体層の膜厚が75〜85nmからなり、該透明導電膜表面の抵抗値(シート抵抗)が2.5Ω/□以下であり、可視光線透過率が70%以上であり、透明導電膜が被覆された面側の可視光反射率が4%以下であり、該透明導電膜を構成するいずれのAg層もAgの純度が5N(99.999%)以上の純度であり、該透明導電膜を構成するいずれのZnAlの非Ag合金層が、Alを1〜10重量%含むZnAl合金であることを特徴とする電磁波シールド膜付き基板。
  2. 第1Ag層の膜厚が9〜10nm、第2Ag層の膜厚が13〜14nm、第3銀層の膜厚が11〜12nmであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド膜付き基板。
  3. 第1誘電体層における酸化錫層が3〜50nm、酸化亜鉛層が5〜50nm、第2誘電体層における酸化錫層が0〜85nm、酸化亜鉛層が5〜85nm、第3誘電体層における酸化錫層が5〜85nm、酸化亜鉛層が5〜85nm、第4誘電体層における酸化錫層が0〜50nm、酸化亜鉛層が0〜50nmであることを特徴とする請求項1乃至2に記載の電磁波シールド膜付き基板。
  4. 透明基板の直上層が酸化錫層よりなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電磁波シールド膜付き基板。
  5. 電磁波シールド膜付き基板の前面及び/又は裏面に、樹脂フィルムよりなる保護板を設けてなることを特徴とする請求項1乃至4に記載の電磁波シールド膜付き基板。
  6. 電磁波シールド膜付き基板が、プラズマデイスプレイパネルの前面に装着されてなることを特徴とする請求項1または5に記載の電磁波シールド膜付き基板。
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