JP3549761B2 - 電磁波遮蔽膜付き基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部からの電磁波を室内に入れない、或いは発生する電磁波を外部に出さないようにする電磁波遮蔽膜付き基板に関する。
【0002】
【従来技術とその解決すべき課題】
事務所ビルなどにおいて、建物内でOA機器などの電子機器、高周波機器などが発生する電磁波を外部に出さず、外部の自動車、電車などの乗り物、各種の無線機器、高圧線などから到来する電磁波を建物内に入れないことで、建物内のフロアを電波に対して独立した空間にすることが、近年求められるようになってきた。
【0003】
従って、建物などにおいては、壁、天井、床などを電磁波遮蔽構造とするとともに、窓などの開口部にも電磁波遮蔽部材を使用して、ビル全体或いは特定のフロアを電磁遮蔽構造にする必要がある。
【0004】
このような窓などに好適な電磁波遮蔽ガラスとして、ガラス上にITO膜やSnO2膜等の導電性膜を被覆するものがあるが、電磁波の遮蔽性能を30dB以上とするには該膜の表面シート抵抗を2.3Ω/□以下の低抵抗とする必要があり、そのためには膜厚を約1,000nm以上に厚くする必要がある。
しかしながら、そのように膜厚を厚くすると可視光線透過率が非常に低くなるとともに、ニュートラルな色調を得ることは困難であるという欠点がある。
【0005】
また、例えば、特公平5−70580号公報、特公平8−324436号公報には、抵抗値が低いLow−Eの膜としてAg層を2層にし、透明酸化物と交互に積層したものが一般に知られている。しかし、これらの構成のものは比較的高い可視光線透過率で低い抵抗値のガラスを得ることは可能であるが、前記のように2.3Ω/□以下の低抵抗のものを得るためには、2層の各々のAg層の膜厚を15nm以上の膜厚にする必要がある。
このようにすると可視光線透過率が低くなり外の景色がほとんど見えなくなったり、反射色調が赤紫色等の非常に濃い色となってしまい外観の品質上、一般的なビルの外層や住宅向けには使用に耐えられないものとなる欠点がある。
また、従来の銀層を有するものは、耐湿性に劣るため取り扱いに充分な注意をしないと斑点状の欠陥が発生する恐れがあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のかかる課題に鑑みてなしたものであって、高可視光線透過率で耐湿性に優れ且つ反射色調に違和感のない30dB以上(1GHz)の高電磁波遮蔽性能を有する電磁波遮蔽膜付き基板について鋭意検討した結果、Ag層を15nm以上に厚くしても特定の膜構成で且つ銀層の直上層に亜鉛金属にAl金属を含有させたZnAl合金からなる金属バリアー層を特定の厚さ設けることにより高電磁波遮蔽性能を有する高品質の電磁波遮蔽膜付き基板が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、透明基板上に、透明酸化物層および/または
透明窒化物層よりなる第1層/Ag層よりなる第2層/ZnAl合金の金属バリアー層よりなる第3層/透明酸化物層および/または透明窒化物層よりなる第4層/Ag層よりなる第5層/ZnAl合金の金属バリアー層よりなる第6層/透明酸化物層および/または透明窒化物よりなる第7層からなる被膜が順次積層され、第1層目の膜厚が26〜36nm,第2層及び第5層の膜厚がそれぞれ15nm〜50nm、第3層及び第6層の膜厚がそれぞれ1.5nm以下、第4層の膜厚が80〜100nm、第7層の膜厚が23〜40nmからなることを特徴とする電磁波遮蔽膜付き基板に関する。
【0008】
また、前記被膜の表面シート抵抗値が2.3Ω/□以下、可視光線透過率が30〜80%、被膜の被覆されていない透明基板面の反射色調はLa*b*表示において、−20<a*<−5、−40<b*<10の範囲である無彩色からやや青緑色の色調を呈することことが好ましい。
【0009】
さらに、第1層、第4層および第7層の透明金属酸化物層および/または透明金属窒化物層は、ZnO2,ZnAlO2、SnO2、TiO2、Al2N3、Si2N3のうちから選択された少なくとも1種からなることが好ましい。
【0010】
さらにまた、ZnAlの金属バリアー層は、Alを1〜10原子%含むZnAl合金であることが好ましく、さらに、第2層および第5層のAg層の膜厚が20nm以上で、1GHZにおける電磁波遮蔽性能が40dB以上であることが好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁波遮蔽膜付き基板は、透明基板上に、透明酸化物層および/または透明窒化物層よりなる第1層/Ag層よりなる第2層/ZnAl合金の金属バリアー層よりなる第3層/透明酸化物層および/または透明窒化物層よりなる第4層/Ag層よりなる第5層/ZnAl合金の金属バリアー層よりなる第6層/透明酸化物層および/または透明窒化物よりなる第7層からなる被膜が順次積層され、第1層目の膜厚が26〜36nm,第2層及び第5層の膜厚がそれぞれ15nm〜50nm、第3層及び第6層の膜厚がそれぞれ1.5nm以下、第4層の膜厚が80〜100nm、第7層の膜厚が23〜40nmからなる。
【0012】
上記の透明酸化物層および/または透明窒化物層よりなる第1層、第4層および第7層は、ZnO2,ZnAlO2、SnO2、TiO2等の透明酸化物、Al2N3、Si2N3等の透明窒化物の内から選択された少なくとも1種からなることが好ましい。
なお、第1層の膜厚を26〜36nm,第4層の膜厚を80〜100nm、7層の膜厚を23〜40nmの範囲にそれぞれすることにより、目的とする色調および光学特性を得ることができる。
【0013】
そのうち、酸化物層としてのSnO2層および/またはTiO2層よりなる非晶質の被膜は、化学的にも機械的にも強く、且つ非晶質のルーズな構造のためガラスとの密着力も強く、内部応力も発生しにくい。従ってガラスの直上に被覆する第1層被膜はSnO2層及び/又はTiO2層が望ましい。ガラスとの密着力を高め、アルカリイオンの影響を断つための第1層のSnO2層および/またはTiO2層の厚みは少なくとも5nmが必要である。
【0014】
しかし、SnO2層および/またはTiO2層は特にAgとの密着力が劣り、SnO2層、TiO2層/Ag層界面での剥離が起こりやすい。又、SnO2はそのイオン化傾向から分かるように酸素との結合が弱く、被膜内の酸素の化学的ポテンシャルが高いため、Ag層に酸素が拡散しやすく電気抵抗が上り、高電磁波遮蔽を達成し難い。
【0015】
以上より、SnO2層および/またはTiO2層よりなる層はAg層と接触させないことが好ましい。なお、SnO2層および/またはTiO2層には化学的、機械的特性を向上し、またガラスとの密着力も強くする非晶質の被膜成分としての元素が含まれても良い。
【0016】
ZnO2層は、Ag層との密着力が高く、又酸素との高い結合力によって層内の酸素のポテンシャルが低いため、Ag層内に酸素が拡散しにくい。従ってAg層直下の層はZnO2層が望ましい。その下のSnO2層からの酸素の拡散を防ぎ、Ag層との強い密着力を得るためのZnO2層の厚みは少なくとも3nmは必要である。なお、ZnO2層にはAg層との密着力を低下せず、Ag層内に酸素が拡散しにくくするような被膜の成分としての公知の元素が含まれても良い。
【0017】
なお、Ag層に接触する酸化物層中の酸素の化学ポテンシャルはできる限り低く保つことが肝要で、ZnO2成膜時の雰囲気は酸素と共にできるだけ多くのアルゴンを添加するのが望ましい。望ましいアルゴンの添加率は設備によって異なるが、概ね10〜30%である。この値は酸素雰囲気から徐々にアルゴンを添加していき、ターゲットに掛かる電圧が急に上がるか、電流が急に下がる現象を観測し、そこからアルゴンを若干減らすことで決められる。
【0018】
また、ZnO2層は緻密で大気中の腐食性ガスの拡散を防ぐ効果があり、また太陽光線に含まれる紫外線を吸収する働きがあるが化学的耐久性が低いため、第7層の上層にZnO2層を用いる場合には、さらにその上層に非晶質酸化物であるSnO2層および/またはTiO2層を設けるのが望ましい。該SnO2層および/またはTiO2層の膜厚は1nm以上が好ましい。
【0019】
第2層、第5層に用いられるAg層の厚みは、電磁波遮蔽性、可視光線透過率および反射色調に影響し、30dB以上の高電磁波遮蔽性を得るためには15nm以上の膜厚が必要であり、高可視光線透過率、とりわけ70%以上を確保し、且つ赤い反射光を避けるためには60nm以下とすることが好ましい。
【0020】
なお、Ag層の膜厚を20nm以上とすることにより、該膜の表面シート抵抗は、2Ω/□以下の低抵抗となり、電磁遮蔽性能も40dB以上が得られるので、さらに高電磁遮蔽性能が必要な窓には、Ag層の膜厚を20nm以上の膜構成とすることが特に好ましい。また、Ag層はAgを主成分としAgにAu、Cu、Pt、Ir等の元素が含まれても良い。
【0021】
Ag層の直上部に用いられる第4層、第7層の金属バリアー層は、Ag層と酸化物層および/または窒化物層の両方に高い密着性をもつAlを1〜10原子%含むZnAl合金層が望ましい。なお、ここでいう金属バリアー層とは、Ag層の直上に第4層および/または第7層の金属バリアー層を成膜した直後は全厚が合金層であるが、次いで、例えば、該合金層の上層に第4層あるいは第7層の酸化物層等を成膜する時、酸化性雰囲気(例えば酸素80%、アルゴン20%)で成膜するため、該合金層の上層部の一部が酸化物に変換される。この上層部が酸化された酸化物層と残った合金層を含めて金属バリアー層と呼ぶ。すなわち、金属バリアー層の膜厚とは、最初にZnAl合金層を成膜した時の膜厚を示す。
【0022】
該金属バリアー層の作用は、前記第4層或いは第7層の酸化物層を成膜する際に、その酸化性雰囲気の影響が下部のAg層に及ばないように成膜中のAg層を保護することと、或いは窒化物の場合にはAg層が酸化されないように該金属バリアー層を介在させて該Ag層が酸化されるのを保護するためのものである。さらに、成膜後に大気中の水分が膜中に入りこみAgを酸化させるのを防ぎ、Ag層の耐湿性を向上する作用も併せて有している。
この金属バリアー層としては、前記のようにZnAl合金が好ましく、特にAlを1.0〜10.0原子%含むZnAl合金は、酸素との結合力が高く、最も効果的にAg層中に拡散してきた酸素その他の腐食性イオンをトラップするので特に好ましい。
【0023】
金属バリアー層の膜厚は、厚いほど強い効果が長続きすることは当然であるが、厚すぎると可視光線透過率を下げてしまう。しかし次に酸化物を成膜する際、該金属バリアー層の一部は酸化されるので、その酸化前の最初の金属層の厚みは例えば8nm以下とし、前記のようにその一部が酸化され残った金属バリアー層が1.5nm以下とすれば高い透過率が得られる。
【0024】
本発明の透明基板としては、透明のガラス、プラスチック等を用いることが出来、例えばガラス基板としては、自動車用ならびに建築用ガラス等に通常用いられている普通板ガラス、所謂フロート板ガラスなどであり、クリアをはじめグリ−ン、ブロンズ等各種着色ガラスや各種機能性ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合せガラスのほか複層ガラス等、さらに平板あるいは曲げ板等各種板ガラス製品として使用できることは言うまでもない。また、ガラスは透明プラスチック板等との積層体であってもよい。なお、ガラスの組成は、ソーダ石灰ガラス、アルミノシリケートガラス等であるが、これらに限定されないことは、言うまでもない。
【0025】
得られた電磁波遮蔽膜付き基板は、被膜の表面シート抵抗値が2.3Ω/□以下、可視光線透過率が30〜80%と高透過率から低透過率まで自在に制御でき、また、色調についてはLa*b*表示において、
−20<a*<−5、−40<b*<10の範囲である無彩色からやや青緑色の色調を呈するので、目視で見た場合に違和感のない落ち着いた感じの色調となる。また、電磁波遮蔽性能(1GHZ)については、30dBが可能であり、用途によって40dB以上のさらに高性能のものも自由に選択出来る。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、成膜はDCマグネトロンスパッタリング法により行った。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1
大きさが1800mm×24000mm×約3mmのフロートガラス上に、下記順序で被膜を形成した。スパッタ装置は、カソードに予めSn、Zn(3台)、Ag、ZnAl(Al含有率4原子%)の各金属ターゲットを取り付けたのち、成膜前の圧力が5×10−5Torrとなるまで真空チャンバー内の排気を充分に行った。本方法は、真空チャンバー内のターゲットの下方に搬送ロールが設置され、そのロール上をガラス板が往復動する時に電力が印加されたターゲットより所定の金属層あるいは金属酸化物層がガラス板上に成膜されるようになっている。
【0028】
先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、Snターゲットにより第1層の1層目としてのSnO2層を8.8nm成膜した後、 1層目と同条件でZnターゲットにより第1層の2層目のZnO2層を23.1nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、Agターゲットにより第2層としてのAg層を16.5nm、ZnAlターゲットにより第3層のZnAl合金層(いわゆる金属バリアー層)を0.8nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第4層の酸化物層を形成した。第4層の1層目としてのZnAlO2層を3.6nm、2層目としてのSnO2層を6.9nm、3層目としてのZnO2層を17.9nmを順次成膜した。、さらに4パス目として3パス目と同じ雰囲気で3層目の追加としてのZnO2層を17.8nm、4層目としてのSnO2層を13.8nm成膜した後、さらに5パス目として5層目としてのZnO2層を35.7nm成膜した。さらに6パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、Agターゲットにより第5層としてのAg層を16.5nm、ZnAlターゲットにより第6層のZnAl合金層(いわゆる金属バリアー層)を0.8nm成膜した。次に7パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第7層の1層目としてのZnAlO2層を2.9nm、2層目としてのSnO2層を5.5nm、3層目としてのZnO2層を18.7nm、8パス目として4層目としてのSnO2層を1.7nm順次成膜し、ガラスを成膜室より排出した。
【0029】
なお、第3層および第6層のZnAl合金層(金属バリアー層)の上層に酸化性雰囲気で第4層および第7層を成膜するとき、第3層および第6層のZnAl合金層は酸化されていた。
また、第1層、第4層および第7層の酸化物層の膜厚は、合計でそれぞれ31.9nm、95.7nm、28.8nmであった。
膜構成と各膜の膜厚を、表1に示す。
なお、表1にはZnO2層、SnO2層、ZnAlO2層を簡略化のためZnO、SnO、ZnAlOで示した。
【0030】
【表1】
また、各被膜の膜厚Dは搬送速度とカソード電力で調整し、その値は予め100nm前後の厚さに電力E0、搬送速度V0で成膜した被膜を部分的にエッチングによって除去し、その段差を触針式表面粗さ計で測定して厚みD0を求め、実施例におけるカソード電力E、搬送速度をVとして、D=D0×E/E0×V0/Vの式に従って求めた。
【0031】
得られた電磁波遮蔽基板の可視光透過率(%)、被膜の被覆していない側のガラス面の反射率(%)、ガラス面の反射色調a*値、b*値(La*b*表示法による)、ガラス面の目視による色調(目視角度;真正面および45°方向)、膜表面のシート抵抗値(Ω/□)、電磁遮蔽性能値(1GHZ)および耐湿性を表2に、また反射色調の色度座標を図1に示す。
【0032】
なお、表2の耐湿性の欄における◎、△、×の各記号は下記の内容を示す。
【0033】
◎:2週間経過後 径=0.2mm以上の欠陥なし
△:2週間経過後 径=0.2mm以上の欠陥有り,径=0.5mm以上の欠陥なし
×:2週間経過後 径=0.5mm以上の欠陥有り
また、図1の色度座標における、図内の▲1▼〜▲8▼は下記サンプルNoを示す。
【0034】
▲1▼;実施例1、▲2▼;実施例2、▲3▼;実施例3、▲4▼;比較例1、▲5▼;比較例2,▲6▼;比較例3,▲7▼;比較例4、▲8▼;比較例5
【0035】
【表2】
得られた電磁波遮蔽基板の可視光線透過率は、分光光度計により、また反射色調は、photal(型式;MC−850A(コントロール),MCPD100(スペクトロマルチチャンネル),UV−VIS(フォトディテクター)、大塚エレクトロニクス製)により、また抵抗値は、4探針プローブ抵抗計(エプソン社製)により、電磁波遮蔽性能は、米国軍用規格MIL−std285に準じる、また耐湿性は温度30度 湿度90%の恒温槽に保管(環境試験機 タバイエタック 製品名 ビルトイン Hシリーズ 型式 TBL−3HWOGAC)によりそれぞれ測定した。
【0036】
評価の結果、表2および図1に示すように、可視光線透過率は約75%と高く、ガラス面の反射色調も緑色から青緑色の落ち着いた色調であり、電磁波遮蔽性能も35dB以上と高性能のものが得られた。
さらに、耐湿性も良好であった。
【0037】
実施例2
実施例1と比較して、第4層5層目のZnO2層は成膜せず、その他は表1に示すような膜厚になるように実施例1と同様に成膜した。
なお、第1層、第4層および第7層の酸化物層の膜厚は、合計でそれぞれ33.4nm、85.8nm、35.7nmであった。
【0038】
評価の結果、可視光線透過率は約66%と高く、ガラス面の反射色調も青緑色から青色の落ち着いた色調であり、電磁波遮蔽性能も41dBと高性能のものが得られた。
さらに、耐湿性も良好であった。なお、表2の耐湿性の欄の◎印は耐湿性の良好のものであり、△印は長期耐湿性に劣り好ましくなく、×印は全く耐湿性に劣るものを示す。
【0039】
実施例3
実施例1と比較して、第4層5層目のZnO2層は成膜せず、その他は表1に示すような膜厚になるように実施例1と同様に成膜した。
なお、第1層、第4層および第7層の酸化物層の膜厚は、合計でそれぞれ34.8nm、91.1nm、35.4nmであった。
【0040】
評価の結果、可視光線透過率は約56%とやや透視性を抑えたものであり、ガラス面の反射色調も青緑色から青色の落ち着いた色調であり、電磁波遮蔽性能も43dBと高性能のものが得られた。
さらに、耐湿性も良好であった。
【0041】
比較例1
実施例1と同様に、カソードには予め、Zn、Agの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第1層としてのZnO2層を38.0nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、次いでAg層を16.6nm、第3層のZn層を1.7nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、次にZnO2層を70nm成膜し、さらに4パス目として2パス目と同じ雰囲気で、第5層のAg層を16.6nm、第6層のZn層を1.7nm成膜し、5パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnO2層を32.5nm成膜ガラスしたのち、成膜室より排出した。
【0042】
評価の結果、可視光線透過率は約65%と高透過率であり、電磁波遮蔽性能も36dBと高性能のものが得られたが、ガラス面の反射色調が赤から橙色と違和感のある色調であり、好ましいものではなかった。
さらに、耐湿性も2週間経過後膜の白濁のピンホール欠陥がみられ、好ましくなかった。
【0043】
比較例2
比較例1と比較して、第3層および第6層の金属バリアー層としてのZnの代わりに、Tiターゲットを用いてTiの金属バリアー層を成膜した。なお、各膜の膜厚は表1に示す通りである。
【0044】
評価の結果、可視光線透過率は約69%と高透過率であり、電磁波遮蔽性能も37dBと高性能のものが得られたが、比較例1と同様にガラス面の反射色調が赤から橙色と違和感のある色調であり、好ましいものではなかった。
さらに、耐湿性も2週間経過後膜の白濁のピンホール欠陥がみられ、好ましくなかった。
【0045】
比較例3
比較例2と同じターゲットを用いて、表1に示す膜厚に成膜した。
【0046】
評価の結果、可視光線透過率は約76%と高透過率であり、電磁波遮蔽性能も30dBものが得られたが、ガラス面の反射色調が白から赤紫色と違和感のある色調であり、好ましいものではなかった。
さらに、耐湿性も2週間経過後膜の白濁のピンホール欠陥がみられ、好ましくなかった。
【0047】
比較例4
比較例1と同様に、カソードには予め、Zn、Ag、ZnAの各金属ターゲットを取り付けた。先ず1パス目として、成膜室の雰囲気を酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第1層としてのZnO2層を38.0nm成膜した。次に2パス目として雰囲気をAr100%の不活性雰囲気に保持し、次いでAg層を17.0nm、第3層のZnAl層を1.0nm成膜した。3パス目として成膜室の雰囲気を再び酸化性雰囲気(O2:Ar=8:2)に保持し、第4層の1層目としてのZnAlO2層を3.6nm、2層目としてのZnO2層を61.4nmを順次成膜し、さらに4パス目として2パス目と同じ雰囲気で、第5層のAg層を17.0nm、第6層のZnAl層を1.0nm成膜し、5パス目として3パス目と同じ雰囲気でZnAlO2層を3.6nm、次いでZnO2層を28.4nmを順次成膜したのち、成膜室より排出した。
なお、第4層および第7層の酸化物層の膜厚は、合計でそれぞれ69.0nm、34.0nmであった。
【0048】
評価の結果、可視光線透過率は約72%と高透過率であり、電磁波遮蔽性能も36dBと高性能のものが得られたが、比較例1と同様にガラス面の反射色調が赤から橙色と違和感のある色調であり、好ましいものではなかった。
さらに、耐湿性も2週間経過後膜の白濁のピンホール欠陥がみられ、好ましくなかった。
【0049】
比較例5
比較例4と同じターゲットを用いて、表1に示すような膜厚になるようにそれぞれ成膜した。
【0050】
評価の結果、可視光線透過率は約71%と高透過率であり、電磁波遮蔽性能も36dBと高性能のものが得られたが、比較例3と同様にガラス面の反射色調が白から紫色と違和感のある色調であり、好ましいものではなかった。
さらに、耐湿性も2週間経過後膜の白濁のピンホール欠陥がみられ、好ましくなかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、反射色調が無彩色から青緑色である違和感のない30dB以上(1GHz)の高電磁波遮蔽性能を有し、さらに可視光線透過率が80%以下から30%まで自在に得られる耐湿性の優れた高品質・高性能の電磁波遮蔽膜付き基板が容易に得られる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射色調の色度座標図。
Claims (5)
- 透明基板上に、透明酸化物層および/または透明窒化物層よりなる第1層/Ag層よりなる第2層/ZnAl合金の金属バリアー層よりなる第3層/透明酸化物層および/または透明窒化物層よりなる第4層/Ag層よりなる第5層/ZnAl合金の金属バリアー層よりなる第6層/透明酸化物層および/または透明窒化物よりなる第7層からなる被膜が順次積層され、第1層目の膜厚が26〜36nm,第2層および第5層の膜厚がそれぞれ15nm〜50nm、第3層および第6層の膜厚がそれぞれ1.5nm以下、第4層の膜厚が80〜100nm、第7層の膜厚が23〜40nmからなることを特徴とする電磁波遮蔽膜付き基板。
- 前記被膜の表面シート抵抗値が2.3Ω/□以下、前記膜付き基板の可視光線透過率が30〜80%、被膜の被覆されていない透明基板面の反射色調はLa*b*表示において−20<a*<−5、−40<b*<10の範囲である無彩色からやや青緑色の色調を呈することを特徴とする請求項1記載の電磁波遮蔽膜付き基板。
- 第1層、第4層および第7層の透明金属酸化物層および/または透明金属窒化物層は、ZnO2,ZnAlO2、SnO2、TiO2、Al2N3、Si2N3のうちから選択された少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1乃至2記載の電磁波遮蔽膜付き基板。
- ZnAl合金の金属バリアー層は、Alを1〜10原子%含むZnAl合金であることを特徴とする請求項1乃至3記載の電磁波遮蔽膜付き基板。
- 第2層および第5層のAg層の膜厚がそれぞれ20nm以上で、1GHZにおける電磁波遮蔽性能が40dB以上であることを特徴とする請求項1乃至4記載の電磁波遮蔽膜付き基板。
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