JP2004126520A - 投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】合焦位置変動が少なく実質的に深い焦点深度を確保することができる投影光学系を提供するとともに、当該投影光学系を備えることで微細なパターンを忠実に且つ効率的に形成することができる露光装置及び回路パターンの形成方法を提供する。
【解決手段】投影光学ユニットPL1は、第1面(マスクに形成されたパターンDPが配置され面)の像を第2面(プレートPの上面)上に結合させる。投影光学ユニットPL1は、その瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bを有しており、これらの近傍に配置されるレンズ群33a,33bは、投影光学ユニットPL1の光学特性の変動を抑えるために高い透過率を有する少なくとも1つのレンズをそれぞれ備える。
【選択図】 図3
【解決手段】投影光学ユニットPL1は、第1面(マスクに形成されたパターンDPが配置され面)の像を第2面(プレートPの上面)上に結合させる。投影光学ユニットPL1は、その瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bを有しており、これらの近傍に配置されるレンズ群33a,33bは、投影光学ユニットPL1の光学特性の変動を抑えるために高い透過率を有する少なくとも1つのレンズをそれぞれ備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法に係り、特に回路パターンの形成工程の1つとして設けられるリソグラフィー工程においてマスクに形成されたパターンの像を基板上に投影する際に用いて好適な投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ又はテレビ等の表示装置で用いられている液晶表示素子は、通常、ガラス基板(プレート)上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターニングして、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子及び電極配線を含む回路パターンを形成して製造される。このフォトリソグラフィの手法を用いた製造工程では、マスク上に形成された原画となるパターンを、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布されたプレート上に投影露光する投影露光装置が用いられている。従来は、マスクとプレートとの相対的な位置合わせを行った後で、マスクに形成されたパターンをプレート上に設定された1つのショット領域に一括して転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域の露光を行う、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(所謂、ステッパー)が多用されていた。
【0003】
近年、液晶表示素子の大面積化が要求されており、これに伴ってフォトリソグラフィ工程において用いられる投影露光装置は露光領域の拡大が望まれている。投影露光装置の露光領域を拡大するためには投影光学系を大型化する必要があるが、残存収差が極力低減された大型の投影光学系を設計及び製造するにはコスト高となってしまう。そこで、投影光学系の大型化を極力避けるために、投影光学系の物体面側(マスク側)における投影光学系の有効径と同程度に長手方向の長さが設定されたスリット状の照明光をマスクに照射し、マスクを介したスリット状の光が投影光学系を介してプレートに照射されている状態で、マスクとプレートとを投影光学系に対して相対的に移動させて走査し、マスクに形成されたパターンの一部を順次プレートに設定された1つのショットに転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域に対する露光を同様にして行う、所謂ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置が案出されている。
【0004】
また、近年では、更なる露光領域の拡大を図るため、1つの大型の投影光学系を用いるのではなく、小型の部分投影光学系を走査方向に直交する方向(非走査方向)に所定間隔をもって複数配列した第1の配列と、この部分投影光学系の配列の間に部分光学系が配置されている第2の配列とを走査方向に配置した、所謂マルチレンズ方式の投影光学系を備える投影露光装置が案出されている(例えば、以下の特許文献1を参照されたい)。
【0005】
液晶表示素子の製造においては、プレート上にフォトレジストを塗布し、以上の投影露光装置の何れかを用いてマスクに形成されたパターンをプレートに転写し、フォトレジストの現像、エッチング、及びフォトレジストの剥離といった工程を繰り返すことにより、TFT等のスイッチング素子及び電極配線が形成された素子基板が形成される。そして、この素子基板と別工程で製造されたカラーフィルタを備える対向基板とを張り合わせ、これらの間に液晶を挟持させることにより液晶表示素子が製造される。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−57986号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した投影光学系を備える投影露光装置は、レンズ等の屈折光学素子を複数備える。また、上述したマルチレンズ方式の投影光学系は、各々の部分投影光学系に複数のレンズが設けられ、更にはミラー等の反射光学素子を備えるものがある。投影光学系に設けられるレンズは高い透過率を有するものが用いられるものの、その透過率は100%ではない。このため、レンズに光が照射されると、光の一部がレンズに吸収されて温度が上昇し、レンズの形状変化及び屈折率変化が生ずる。
【0008】
レンズの形状変化及び屈折率変化が生ずると、投影光学系の合焦位置(フォーカス位置)の変動、収差の変動等の光学特性の変動が生ずる。マルチレンズ方式以外の投影光学系を備える投影露光装置においては、合焦位置が変動した場合には、その変動に合わせてマスク又はプレートの位置を調整すれば良い。しかしながら、マルチレンズ方式の投影光学系は、各々の部分投影光学系で生ずるフォーカス変動量が同一になるように構成するのは困難であり、通常は各々の変動量が異なる。各部分投影光学系の焦点深度内にプレートが位置していればマスクに形成されたパターンをプレートに転写する上で問題はないが、部分投影光学系各々の合焦位置が異なるため投影光学系の焦点深度が実質的に浅くなり、パターンの転写時に支障をきたしてしまう虞があるという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、合焦位置変動が少なく実質的に深い焦点深度を確保することができる投影光学系を提供するとともに、当該投影光学系を備えることで微細なパターンを忠実に且つ効率的に形成することができる露光装置及び回路パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中であって前記反射光学素子(34a、34b)の近傍に配置され、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の光学特性の変動を抑えるために高い透過率を有する少なくとも1つの屈折光学素子(L15、L16、L24、L25)とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子の近傍に高い透過率を有する屈折光学素子を少なくとも1つ備えた構成とし、屈折光学素子の光吸収による形状変化及び屈折率変化の少なくとも一方を抑えるようにしているため、投影光学系の光学特性の変動を少なくすることができる。また、投影光学系が複数の部分投影光学系から構成されている場合には、各々の部分投影光学系の光学特性の変動が少ないため、投影光学系の総合的な焦点深度を実質的に深くすることができる。
ここで、本発明の第1の観点による投影光学系は、前記屈折光学素子の透過率が、99.8%・cm−1以上であることが好ましい。
尚、前記光学特性の変動は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の合焦位置の変動を含むことを特徴としている。
また、本発明の第1の観点による投影光学系は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)が、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置されて、全体として正屈折力を持つ第1屈折光学素子群(32a、32b)と、前記第1屈折光学素子群(32a、32b)と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置されて、全体として負屈折力を持つ第2屈折光学素子群(33a、33b)とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子は、前記第2屈折光学素子群(33a、33b)に含まれることを特徴としている。
また、本発明の第1の観点による投影光学系は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)が、前記第1面及び前記第2面と前記少なくとも1つの屈折光学素子との間の光路中に配置された偏向部材(31a、31b)を含むことを特徴としている。
尚、前記反射光学素子(34a、34b)の近傍は、前記反射光学素子(34a、34b)からの光軸方向に沿った距離が、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との前記光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲である。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の屈折光学素子の全ては、99.8%・cm−1以上の透過率を有することを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の屈折光学素子は、
|t×α×k|<155
を満足することを特徴としている。
但し、
t[mm]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の光軸に沿った中心厚であり、αは前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子のdn/dT[×10−6/℃]であり、k[%・cm−1]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の吸収率である。
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の屈折光学素子は、
|t×σ×k|<470
を満足することを特徴としている。
但し、
t[mm]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の光軸に沿った中心厚であり、σ[cm/℃]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の線膨張係数であり、k[%・cm−1]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の吸収率である。
ここで、上記第1の観点〜第5の観点による投影光学系において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の前記第2面側の開口数は0.3以下であることが好適である。
また、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)は波長300nm以上の光に基づいて、前記第1面の像を前記第2面上に形成することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の露光装置は、上記の何れかに記載の投影光学系(PL、PL1〜PL5)と、光源(1)からの光に基づいて前記第1面に配置されるマスク(M)を照明する照明光学系(IL)とを備え、前記マスク(M)のパターン像を前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)を介して前記第2面に配置される基板(P)へ転写することを特徴としている。
また、本発明の露光装置は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)が、前記マスク(M)のパターン(DP)の一部の像を前記基板(P)上に形成し、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)に対して前記マスク(M)及び前記基板(P)を移動させて前記マスク(M)のパターン(DP)の全部を前記基板(P)へ転写することを特徴としている。
本発明の回路パターンの形成方法は、上記の露光装置を用いて前記マスク(M)のパターン(DP)を前記基板(P)に転写する露光工程と、前記露光工程により露光された前記基板(P)を現像する現像工程とを含むことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。本実施形態においては、複数の反射屈折型の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに対してマスクMと基板としてのプレートPとを相対的に移動させつつマスクMに形成された液晶表示素子のパターンDPの像をプレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0012】
尚、以下の説明においては、各図中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではマスクM及びプレートPを移動させる方向(走査方向)をX軸方向に設定している。
【0013】
本実施形態の露光装置は、マスクステージ(図1では不図示)上においてマスクホルダ(不図示)を介してXY平面に平行に支持されたマスクMを均一に照明するための照明光学系ILを備えている。図2は、照明光学系ILの側面図であり、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図1及び図2を参照すると、照明光学系ILは、例えば超高圧水銀ランプからなる光源1を備えている。光源1は楕円鏡2の第1焦点位置に配置されているため、光源1から射出された照明光束は、ダイクロイックミラー3を介して、楕円鏡2の第2焦点位置に光源像を形成する。
【0014】
尚、本実施形態では、光源1から射出された光が楕円鏡2の内面に形成された反射膜及びダイクロイックミラー3で反射されることにより、g線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光による光源像が楕円鏡2の第2焦点位置に形成される。つまり、g線、h線、及びi線を含む波長域以外の露光する上で不必要となる成分は楕円鏡2及びダイクロイックミラー3で反射される際に除去される。
【0015】
楕円鏡2の第2焦点位置にはシャッタ4が配置されている。シャッタ4は、光軸AX1に対して斜めに配置された開口板4a(図2参照)と開口板4aに形成された開口を遮蔽又は開放する遮蔽板4b(図2参照)とから構成される。シャッタ4を楕円鏡2の第2焦点位置に配置するのは、光源1から射出された照明光束が集束されているため遮蔽板4bの少ない移動量で開口板4aに形成された開口を遮蔽することができるとともに、開口を通過する照明光束の光量を急激に可変させることによりパルス状の照明光束を得るためである。
【0016】
楕円鏡2の第2焦点位置に形成された光源像からの発散光束は、コリメートレンズ5によってほぼ平行光束に変換されて波長選択フィルタ6に入射する。波長選択フィルタ6はg線、h線、及びi線を含む波長域の光束のみを透過させるものである。波長選択フィルタ6を通過した光はリレーレンズ8を介して再び結像する。この結像位置の近傍にはライトガイド9の入射端9aが配置されている。ライトガイド9は、例えば多数のファイバ素線をランダムに束ねて構成されたランダムライトガイドファイバであって、光源1の数(図1では1つ)と同じ数の入射端9aと、投影光学系PLを構成する投影光学ユニットの数(図1では5つ)と同じ数の射出端9b〜9f(図2では射出端9bだけを示す)とを備えている。こうして、ライトガイド9の入射端9aへ入射した光は、その内部を伝播した後、5つの射出端9b〜9fから分割されて射出される。
【0017】
図2に示したように、ライトガイド9の入射端9aには、連続的に位置を可変することができるように構成されたブレード10が配置されている。このブレード10は、ライトガイド9の入射端9aの一部を遮光することによって、ライトガイド9の5つの射出端9b〜9f各々から射出される光の強度を連続的に可変するためのものである。ブレード10のライトガイド9の入射端9aに対する遮光量の制御は、図2中の主制御系20が駆動装置19を制御することによって行われる。
【0018】
ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間には、コリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b(図1では図示省略)、ビームスプリッタ14b(図1では図示省略)、及びコンデンサーレンズ系15bが順に配置されている。同様に、ライトガイド9の各射出端9c〜9fとマスクMとの間には、コリメートレンズ11c〜11f、フライアイ・インテグレータ12c〜12f、開口絞り13c〜13f、ビームスプリッタ14c〜14f、及びコンデンサーレンズ系15c〜15fがそれぞれ順に配置されている。
【0019】
尚、ここでは、説明の簡単化のために、ライトガイド9の射出端9b〜9fとマスクMとの間に設けられる光学部材の構成を、ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間に設けられたコリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b、ビームスプリッタ14b、及びコンデンサーレンズ系15bを代表させて説明する。
【0020】
ライトガイド9の射出端9bから射出された発散光束は、コリメートレンズ11bによりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイ・インテグレータ12bに入射する。フライアイ・インテグレータ12bは、多数の正レンズエレメントをその中心軸線が光軸AX2に沿って延びるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。従って、フライアイ・インテグレータ12bに入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、その後側焦点面(即ち、射出面の近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像からなる二次光源を形成する。即ち、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面には、実質的な面光源が形成される。
【0021】
フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面に形成された多数の二次光源からの光束は、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面の近傍に配置された開口絞り13bにより制限された後、ビームスプリッタ14bを介して、コンデンサーレンズ系15bに入射する。尚、開口絞り13bは、対応する投影光学ユニットPL1の瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定するための可変開口部を有する。開口絞り13bは、この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系PLを構成する各投影光学ユニットPL1〜PL5の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の開口径の比)を所望の値に設定する。
【0022】
コンデンサーレンズ系15bを介した光束は、パターンDPが形成されたマスクMを重畳的に照明する。尚、パターンDPは、本発明にいう第1面に配置される。ライトガイド9の他の射出端9c〜9fから射出された発散光束も同様に、コリメートレンズ11c〜11f、フライアイ・インテグレータ12c〜12f、開口絞り13c〜13f、ビームスプリッタ14c〜14f、及びコンデンサーレンズ系15c〜15fを順に介してマスクMを重畳的にそれぞれ照明する。即ち、照明光学系ILは、マスクM上においてY軸方向に並んだ複数(図1では合計で5つ)の台形状の領域を照明する。
【0023】
一方、照明光学系ILに設けられる上記ビームスプリッタ14bで反射された一部の光は、図2に示すように、集光レンズ16bを介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ17bで受光される。このインテグレータセンサ17bの光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して主制御系20に供給される。インテグレータセンサ17bの出力と、プレートPの表面(第2面)上に照射される光の単位面積当たりのエネルギー(露光量)との相関係数は予め求められて主制御系20内に記憶されている。
【0024】
主制御系20は、プレートPが載置されるプレートステージ及びマスクMが載置されるマスクステージMSを制御する不図示のステージコントローラからのステージ系の動作情報に同期してシャッタ4の開閉動作を制御するとともに、インテグレータセンサ17bから出力される光電変換信号に応じて駆動装置19に対して制御信号を出力し、マスクMに照明光学系ILからの照明光を照射するタイミング及び照明光の強度を制御する。
【0025】
尚、照明光学系ILは、その照明光学特性(テレセントリシティ及び照度むら)を可変することができるように構成されている。照明光学特性を調整する方法の詳細については、例えば特開2001−305743号公報、特開2001−313250号公報、及び特開平10−189427号公報を参照されたい。また、照度むらの調整については、マスク面(プレート面)近傍又はマスク面(プレート面)と光学的に共役な面若しくはその近傍に走査方向の開口の幅が走査方向と直交する方向(非走査方向)において異なるような視野絞りを配置することによって補正することも可能である。この補正方法の詳細については、例えば特開平7−142313号公報等を参照されたい。尚、かかる補正方法において、視野絞りの開口の幅を異ならせるのではなく、透過特性が非走査方向において照度むらを補正し得る分布を有する濃度分布フィルタを設ける構成であっても良い。
【0026】
マスクM上の各照明領域からの光は、各照明領域に対応するようにY軸方向に沿って配列された複数(図1では合計で5つ)の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに入射する。次に、本発明の投影光学系PLの構成について説明する。図3は、投影光学系PLの一部をなす投影光学ユニットPL1の構成を示す側面図である。尚、投影光学ユニットPL2〜PL5の構成は投影光学ユニットPL1とほぼ同様の構成であるため、投影光学ユニットPL1の構成を説明し、投影光学ユニットPL2〜PL5の説明は省略する。
【0027】
図3に示す投影光学ユニットPL1は、マスクMからの光に基づいてパターンDPの一次像を形成する第1結像光学系30aと、この一次像からの光に基づいてパターンDPの正立正像(二次像)をプレートP上に形成する第2結像光学系30bとを有する。尚、パターンDPの一次像の形成位置の近傍には、マスクM上における投影光学ユニットPL1の視野領域(照明領域)及びプレートP上における投影光学ユニットの投影領域(露光領域)を規定する視野絞りASが設けられている。
【0028】
第1結像光学系30aは、マスクMから−Z軸方向に沿って入射する光を−X軸方向に反射するようにマスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第1反射面を有する第1直角プリズム31aを備えている。尚、第1直角プリズム31aは、本発明にいう偏向部材に相当する。また、第1結像光学系30aは、第1直角プリズム31a側から順に、正の屈折力を有するレンズ群32a(第1屈折光学素子群)と、負の屈折力を有するレンズ群33a(第2屈折光学素子群)と、第1直角プリズム31a側に凹面を向けた反射光学素子としての第1凹面反射鏡34aとを備えている。レンズ群32a、レンズ群33a、及び第1凹面反射鏡34aはX軸方向に沿って配置され、全体として第1反射屈折光学系35aを構成している。第1反射屈折光学系35aから+X軸方向に沿って第1直角プリズム31aに入射した光は、マスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第2反射面によって−Z軸方向に反射される。
【0029】
一方、第2結像光学系30bは、第1直角プリズム31aの第2反射面から−Z軸方向に沿って入射する光を−X軸方向に反射するようにプレート面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第1反射面を有する第2直角プリズム31bを備えている。尚、第2直角プリズム31bは、本発明にいう偏向部材に相当する。また、第2結像光学系30bは、第2直角プリズム31b側から順に、正の屈折力を有するレンズ群32b(第1屈折光学素子群)と、レンズ群33b(第2屈折光学素子群)と、第2直角プリズム31b側に凹面を向けた反射光学素子としての第2凹面反射鏡34bとを備えている。レンズ群32b、レンズ群33b、及び第2凹面反射鏡34bはX軸方向に沿って配置され、全体として第2反射屈折光学系35bを構成している。第2反射屈折光学系35bから+X方向に沿って第2直角プリズム31bに入射した光は、プレート面(XY平面面)に対して45°の角度で斜設された第2反射面によって−Z軸方向に反射される。
【0030】
尚、投影光学ユニットPL1の開口数、焦点深度、及び解像度については、開口数が大きくなると解像度が向上するが、焦点深度が浅くなるという関係にある。このため、微細なパターンを形成するためには極力開口数が大きくなるように投影光学ユニットPL1を設計する必要がある。しかしながら、あまり解像度を高くすると焦点深度が浅くなり、大面積のプレートPに撓みが生じている場合には、パターンDP転写時に問題が生ずることが考えられる。このため、本実施形態においては、焦点深度及び解像度を考慮して投影光学ユニットPL1のプレートP側(第2面側)の開口数(N.A.)が0.3以下に設定されている。
【0031】
前述した第1凹面反射鏡34aの近傍に設けられたレンズ群33a、及び、第2凹面反射鏡34bの近傍に設けられたレンズ群33bは、例えば99.8%・cm−1以上の高い透過率を有するレンズ(屈折光学素子)を少なくとも1つ含んで構成されている。かかる構成にするのは、レンズが光を吸収することで形状変化及び屈折率変化が生じ、その結果引き起こされる投影光学ユニットPL1の合焦位置や収差等の光学特性の変動を防止するためである。
【0032】
また、高い透過率を有するレンズを第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bの近傍に配置するのは、投影光学ユニットPL1の光学特性の変動が、瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bに近接するレンズの形状変化や屈折率変化に大きく依存するからである。図4は、瞳空間における光束の角度変化と合焦位置の変化との関係を説明するための図である。
【0033】
いま、図4に示すように、光軸AX上に配置されたレンズLGを考える。このレンズLGの紙面左側が瞳空間であるとする。紙面左側の瞳空間において光軸AXに対してほぼ平行な光束(図中実線で示す光束)がレンズLGに入射すると、この光束はレンズLGにより図中の合焦位置FP1に集束する。一方、瞳空間において光軸AXに対してある角度をもった光束(図中破線で示す光束)がレンズLGに入射すると、この光束はレンズLGにより合焦位置FP1とは異なる合焦位置FP2に集束する。このように、瞳空間における光束の光軸AXに対する角度に応じて、合焦位置は大きく変動することになる。このため、合焦位置の変動を抑えるためには、瞳空間での光束の角度変化を極力防止する必要がある。
【0034】
本実施形態では、瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bに近接するレンズとして高い透過率を有するレンズを配置し、光吸収によるレンズの形状変化や屈折率変化を極力防止することで、瞳空間における光束の角度変化を防止し、もって投影光学ユニットPL1の合焦位置の変動を防止している。
【0035】
尚、本明細書において、第1凹面反射鏡34aの近傍とは、第1凹面反射鏡34aからの光軸方向に沿った距離が、マスクMに形成されたパターンDPが配置される面(第1面)又はパターンDPの一次像が形成される面と第1凹面反射鏡34aとの間の光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲をいう。また、第2凹面反射鏡34bの近傍とは、第2凹面反射鏡34bからの光軸方向に沿った距離が、パターンDPの一次像が形成される面又はプレートPの表面(第2面)と第2凹面反射鏡34bとの間の光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲をいう。
【0036】
また、本実施形態では、マスクMと第1結像光学系30aの第1直角プリズム31aの第1反射面との間の光路中にフォーカス補正光学系36が付設され、第1結像光学系30aの第1直角プリズム31aの第2反射面と視野絞りASとの間の光路中に像シフターとしての第1平行平面板37及び第2平行平面板38が付設されている。更に、第2結像光学系30bの第2直角プリズム31bの第2反射面とプレートPとの間の光路中に倍率補正光学系39が付設されている。
【0037】
以下、フォーカス補正光学系36の構成及び作用について説明する。図5は、図3のフォーカス補正光学系36の構成を概略的に示す図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)はXZ断面図である。図3及び図5に示したように、フォーカス補正光学系36は、マスクMと第1直角プリズム31aとの間の光路中において、マスクM側から順に、光軸AX10を含む面内(ZX平面内)においてクサビ断面形状を有している第1クサビ型光学部材36aと、光軸AX10を含む面内(ZX平面内)においてクサビ断面形状を有している第2クサビ型光学部材36bとを有しており、第1クサビ型光学部材36aのマスクM側の屈折面はその法線が光軸AX10と一致する平面であり、第2クサビ型光学部材36bの第1直角プリズム31a側の屈折面はその法線が光軸AX10と一致している平面である。また、第1クサビ型光学部材36aの第1直角プリズム31a側の屈折面と第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面とは互いにほぼ平行な平面となっている。
【0038】
そして、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの少なくとも何れか一方をX方向に沿って相対的に移動させることによって、マスクMと第1直角プリズム31aとの間の光路長を変化させることができ、これにより、投影光学ユニットPL1の光軸AX10方向の結像位置を変更することが可能である。尚、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの移動方向は、光軸AX10を含む面内方向(ZX面内方向)であって第1クサビ型光学部材36aの第1直角プリズム31a側の屈折面(第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面)に沿った方向であっても良い。この場合、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの光軸方向の間隔を一定としつつ光路長を変更することができる。尚、本実施形態では、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの少なくとも何れか一方を、第1及び第2クサビ型光学部材36a,36bの対向する屈折面(第1クサビ型光学部材36aのプレートP側の屈折面及び第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面)に垂直な軸AX15を軸として回転可能としている。
【0039】
第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの初期状態では、上述のように、第1クサビ型光学部材36aの第1直角プリズム31a側の屈折面と第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面とが互いに平行であり、且つ第1クサビ型光学部材36aのマスクM側の屈折面と第2クサビ型光学部材36bの第1直角プリズム31a側の屈折面とが互いに平行である。即ち、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36b全体として平行平面板となっており、入射光束は実質的に偏向作用を受けない。
【0040】
そして、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの少なくとも何れか一方を光軸AX15を軸として回転させると、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36b全体として所定の頂角を有するクサビ型の光学部材となるため、入射光束が偏向され、その結果、投影光学ユニットPL1の像面のXY平面(プレートP面)に対する全体的な傾斜(X軸を軸とする回転方向の傾斜及びY軸を軸とする回転方向の傾斜)が変化する。
【0041】
このとき、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの双方が光軸AX15を軸として回転可能とすることが好ましい。この構成により、投影光学ユニットPL1の像面の傾斜方向及び傾斜角の双方を任意に制御できる。このフォーカス補正光学系36は第1駆動部40により制御される。
【0042】
次に、像シフターとしての第1平行平面板37及び第2平行平面板38について説明する。第1平行平面板37は、基準状態においてその平行面が光軸AX10に垂直に設定され、X軸廻りに微小量だけ回転可能に構成されている。第1平行平面板37をX軸廻りに微小量だけ回転させると、プレートP上に形成される像がXY平面においてY方向に微動(像シフト)する。また、第2平行平面板38は、基準状態においてその平行面が光軸AX10に垂直に設定され、Y軸廻りに微小量だけ回転可能に構成されている。第2平行平面板38をY軸廻りに微小量だけ回転させると、プレートP上に形成される像がXY平面においてX方向に微動(像シフト)する。尚、第1平行平面板37は第2駆動部41によって駆動され、第2平行平面板38は第3駆動部42によって駆動されるように構成されている。本実施形態における倍率補正光学系39の構成及び作用の詳細については、例えば特開平7−183212号公報の図11に開示されている倍率制御装置20を参照されたい。この倍率補正光学系39は、第4駆動部44によって駆動される。
【0043】
また、本実施形態では、第2直角プリズム31bが像ローテーターとして機能するように構成されている。即ち、第2直角プリズム31bは、基準状態において第1反射面と第2反射面との交差線(稜線)がY軸方向に沿って延びるように設定され、光軸AX10廻り(Z軸廻り)に微小量だけ回転可能に構成されている。第2直角プリズム31bを光軸AX10廻りに微小量だけ回転させると、プレートP上に形成される像がXY平面において光軸AX10廻り(Z軸廻り)に微小回転(像回転)する。第2直角プリズム31bは、第5駆動部43によって駆動されるように構成されている。尚、第2直角プリズム31bに代えて第1直角プリズム31aが像ローテーターとして機能するように構成してもよいし、第2直角プリズム31b及び第1直角プリズム31aの双方が像ローテーターとして機能するように構成してもよい。
【0044】
以上、本発明の一実施形態による投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)の構成について概説したが、次に投影光学系PLの具体的な評価方法について説明する。前述したように、投影光学系PLが備えるレンズの透過率が100%でない場合には、光の吸収によりレンズの形状変化及び屈折率変化が生じ、その結果として合焦位置の変動が生ずる。このため、所望の結像特性を有する投影光学系PLを設計した後で、設計した投影光学系PLの光学特性(例えば、合焦位置)の変動量を評価する必要がある。本実施形態では、光の照射によるレンズの光学特性の変化(例えば、合焦位置変動)を形状変化によるものと、屈折率変化によるものとに分類して投影光学系PLを評価している。以下、投影光学系PLの評価方法について説明する。
【0045】
[レンズの形状変化を考慮した評価方法]
この評価方法においては、まず設計した投影光学系PLに含まれる各レンズのレンズ面それぞれについて、形状変化によりニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの合焦位置の変動量を求める。ニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの一方のレンズ面の合焦位置の変動量をΔR1とし、他方のレンズ面の合焦位置の変動量をΔR2とする。尚、これらの変動量ΔR1,ΔR2は実測しても良く、計算により求めても良い。各レンズにおいて、形状変化によりニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの合焦位置の変動量Δfは、以下の(1)式で表される
Δf1=(ΔR1+ΔR2)/2 ……(1)
【0046】
次に、各レンズに照射される光の照射量をEとし、各レンズの吸収率をk[%・cm−1]とすると、各レンズの温度変化dTは以下の(2)式で表される。
dT=k×E ……(2)
また、各レンズの中心厚をtとし、線膨張係数をσ[cm/℃]とすると、各レンズのレンズ中心における厚みの変化量Δtは以下の(3)式で表される。
Δt=t×dT×σ ……(3)
更に、上記(3)式で表される分だけレンズの中心厚が変化したときのニュートンリングの縞本数の変化量ΔSは、各レンズに入射する光の波長をλとして以下の(4)式で表される。
ΔS=Δt/(λ/2) ……(4)
【0047】
上記(1)式において、形状変化によりニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの各レンズの合焦位置の変動量が求められており、上記(4)式で光がレンズに入射したときの形状変化によるニュートンリングの縞本数の変化量が求められている。よって、各レンズの形状変化に伴う合焦位置の変化量ΔF1jは以下の(5)式で表される。
ΔF1j=ΔSj×Δf1j ……(5)
尚、上記(5)式中の変数jは投影光学系PLに設けられたレンズのレンズ番号であり、各々のレンズにおいて生ずる合焦位置の変動量Δf1及び縞本数の変化量ΔSを区別している。よって、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々の合焦位置の変動量ΔF1は以下の(6)式で表される。
ΔF1=Σ(ΔF1j) ……(6)
【0048】
上記の(6)式によって投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々のレンズ形状変化に起因する合焦位置の変動量が求まる。本実施形態の露光装置は照明光としてg線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光を用いているため、g線の光、h線の光、及びi線の光をそれぞれ照射したときの合焦位置の変動量を求めて設計した投影光学系PLの合焦位置の変動量を評価する。尚、g線の光及びh線の光は、i線の光に比べてレンズでの吸収率が小さいため、評価時に用いる光はi線の光のみでも良い。
【0049】
[レンズの屈折率変化を考慮した評価方法]
この評価方法においては、まず設計した投影光学系PLに含まれる各レンズについて、屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2を求める。次に、各レンズに照射される光の照射量をEとし、各レンズの吸収率をk[%・cm−1]とすると、各レンズの温度変化dTは上記の(2)式で表される。ここで、温度変化による屈折率の変動率(dn/dT)をα[×10−6/℃]とすると、各レンズに光を照射したときの屈折率の変動量Δnは以下の(7)式で表される。
Δn=α×dT ……(7)
【0050】
屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2が求められており、上記(7)式で光を照射したときの屈折率の変動量Δnが求められている。よって、各レンズの屈折率変化に伴う合焦位置の変化量ΔF2jは以下の(8)式で表される。
ΔF2j=Δnj×Δf2j ……(8)
尚、上記(8)式中の変数jは投影光学系PLに設けられたレンズのレンズ番号であり、各々のレンズにおいて生ずる合焦位置の変動量Δf2及び屈折率の変動量Δnを区別している。よって、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々の合焦位置の変動量ΔF2は以下の(9)式で表される。
ΔF2=Σ(ΔF2j) ……(9)
【0051】
上記の(9)式によって投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々のレンズの屈折率変化に起因する合焦位置の変動量が求まる。本実施形態の露光装置は照明光としてg線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光を用いているため、g線の光、h線の光、及びi線の光をそれぞれ照射したときの合焦位置の変動量を求めて設計した投影光学系PLの合焦位置の変動量を評価する。尚、g線の光及びh線の光は、i線の光に比べてレンズでの吸収率が小さいため、評価時に用いる光はi線の光のみでも良い。
【0052】
以上、レンズの形状変化による投影光学系PLの光学特性(合焦位置等)の変動量及びレンズの屈折率変化による投影光学系PLの光学特性の変動量の評価方法について説明した。上述のように、投影光学系PLの評価はレンズの形状変化によるものと屈折率変化によるものに分類して行うことが基本であり、各々の評価結果が良ければ問題はない。しかしながら、好ましくは形状変化による合焦位置の変動量ΔF1と屈折率変化による合焦位置の変動量ΔF2とを考慮した総合的な変動量(ΔF1+ΔF2)が小さくなることが好ましい。
【0053】
[投影光学系の第1実施例]
図6は、本発明の一実施形態による投影光学系の第1実施例の構成を示す図である。尚、本実施例においては、図3に示す投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)が備える第1結像光学系30aの光学特性と第2結像光学系30bの光学特性とは同様の光学特性であって、パターンDPの一次像が形成される面に関して第1結像光学系30aと第2結像光学系30bとがいわば対称に構成されている。このため、図6においては第1結像光学系30aの構成のみを図示しており、第2結像光学系30bについては図示及びその説明を省略する。
【0054】
また、図3に示すように投影光学ユニットPL1は、第1直角プリズム31a及び第2直角プリズム31b、並びに、フォーカス補正光学系36、第1平行平面板37、第2平行平面板38、視野絞りAS、及び倍率補正光学系39を備えているが、図6においてはこれらの図示を省略し、図3中の光軸AX10及び光軸AX11を一直線上に配置して光軸AX20として図示している。尚、図6中の平面VPは、マスクMのパターンDPが配置される面(第1面)又はパターンDPの一次像が形成される面を示している。また、図6に示す構成を第2結像光学系30bの構成と見立てると、平面VPは、パターンDPの一次像が形成される面又はプレートPの表面(第2面)を示すことになる。
【0055】
図6に示すように、正の屈折力を有するレンズ群32aは、面VPから順に、両凸レンズL11、第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12、及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。また、負の屈折力を有するレンズ群33aは、面VP側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14、面VP側に凸面を向けた負メニスカスレンズL15、及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16から構成されている。尚、図示省略した第1直角プリズム31aは、面VPと両凸レンズL11との間に配置される。
【0056】
次の[表1]に、第1実施例の投影光学系の諸元の値を掲げる。[表1]において、面番号は面VPから第1凹面反射鏡34aまでの光線の進行する方向に沿ったレンズ面(第1凹面反射鏡34aの反射面を含む)の面の順序を、rは各面の曲率半径(mm)を、dは各面の軸上間隔即ち面間隔(mm)を、niはi線(波長λ=365nm)に対する屈折率を、nhはh線(波長λ=405nm)に対する屈折率を、ngはg線(波長λ=463nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。
【0057】
【0058】
上記の通り設計されたレンズL11〜L16各々についての、ニュートンリングの縞が1本だけ変化するときのレンズ面各々の合焦位置の変動量ΔR1[μm],R2[μm]、中心厚t[mm]、線膨張係数σ[cm/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表2]及び[表3]に示す。尚、[表2]はi線の光に対する値であり、[表3]はg線に対する値である。また、以下の[表2]及び[表3]においては、上記の通り設計されたレンズL11〜L16各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL11〜L16各々の形状変化による合焦位置の変動量ΔF1j[μm]の一例を示している。
【0059】
【0060】
【0061】
上記[表2]及び[表3]に示した物理量は、各レンズL11〜L16が光を吸収したときの形状変化に係わる物理量である。本実施形態では、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動を抑えるために、投影光学系PLの瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズ(第1実施例では、レンズL15,L16)を配置している。
【0062】
尚、上記の例においては、第1凹面反射鏡34aの近傍に配置されるレンズ群33aを構成するレンズL14〜L16の全てを高い透過率を有するレンズにすることが好ましい。しかしながら、投影光学系PLの設計上及びコスト等の面からレンズL14〜L16の全ての透過率を高くすることができない場合がある。(1)式〜(6)式で示したように、レンズの形状変化は、レンズの透過率のみに依存する訳ではなく、レンズの中心厚t、線膨張係数σ、及び吸収率kに大きく依存する。このため、第1凹面反射鏡34aの近傍に配置されるレンズ群33aに含まれるレンズL14〜L16の設計を行う場合には、合焦位置の変動量の大きさを考慮してレンズL14〜L16の少なくとも1つが以下の(10)式を満足するように設計することが好ましい。
|t×σ×k|<470 ……(10)
【0063】
また、上記の[表1]の通り設計されたレンズL11〜L16各々についての、屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2[μm]、中心厚t[mm]、温度変化による屈折率の変動率α[×10−6/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表4]及び[表5]に示す。尚、[表4]はi線の光に対する値であり、[表5]はg線に対する値である。また、上記の[表2]及び[表3]と同様に、[表4]及び[表5]においては、[表1]の通り設計されたレンズL11〜L16各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL11〜L16各々の屈折率変化による合焦位置の変動量ΔF2jの一例を示している。
【0064】
【0065】
[表5]
【0066】
上記[表4]及び[表5]に示した物理量は、各レンズL11〜L16が光を吸収したときの屈折率変化に係わる物理量である。前述したように、投影光学系PLの瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズ(本実施例では、レンズL15,L16)を配置することで、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動を抑えていた。上記[表4]及び[表5]を参照すると、第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズL15,L16を配置することで、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動も同時に抑えられることが分かる。
【0067】
尚、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動を抑える場合にも、第1凹面反射鏡34aの近傍に配置されるレンズ群33aを構成するレンズL14〜L16の全てを高い透過率を有するレンズにすることが好ましい。しかしながら、かかる設計を行うことができない場合には、(7)式〜(9)式で示したレンズの屈折率変化に大きく依存するレンズの中心厚t[mm]、温度変化による屈折率の変動率α[×10−6/℃]、及び吸収率k[%・cm−1]に関して、レンズL14〜L16の少なくとも1つが以下の(11)式を満足するように設計することが好ましい。
|t×α×k|<155 ……(11)
【0068】
[投影光学系の第2実施例]
図7は、本発明の一実施形態による投影光学系の第2実施例の構成を示す図である。尚、本実施例においても第1実施例と同様に、図3に示す第1結像光学系30aの光学特性と第2結像光学系30bの光学特性とが同様に構成された対称型の投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)を考える。このため、図7においても第1結像光学系30aの構成のみを図示しており、第2結像光学系30bについては図示及びその説明を省略する。また、第1直角プリズム31a及び第2直角プリズム31b、並びに、フォーカス補正光学系36、第1平行平面板37、第2平行平面板38、視野絞りAS、及び倍率補正光学系39の図示は省略し、軸AX10及び光軸AX11を一直線上に配置して光軸AX20として図示している。
【0069】
図7に示すように、正の屈折力を有するレンズ群32aは、面VPから順に、両凸レンズL21及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22から構成されている。また、負の屈折力を有するレンズ群33aは、両凸レンズL23、両凹レンズL24、及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた正メニスカスレンズL25から構成されている。次の[表6]に、第2実施例の投影光学系の諸元の値を掲げる。尚、[表6]中の面番号、r、d、ni、nh、及びngは、[表1]と同じ物理量を示している。
【0070】
【0071】
上記の通り設計されたレンズL21〜L25各々についての、ニュートンリングの縞が1本だけ変化するときのレンズ面各々の合焦位置の変動量ΔR1[μm],R2[μm]、中心厚t[mm]、線膨張係数σ[cm/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表7]及び[表8]に示す。尚、[表7]はi線の光に対する値であり、[表8]はg線に対する値である。また、第1実施例の[表2]及び[表3]と同様に、以下の[表7]及び[表8]においては、上記の通り設計されたレンズL21〜L25各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL21〜L25各々の形状変化による合焦位置の変動量ΔF1j[μm]の一例を示している。
【0072】
【0073】
【0074】
本実施例においては、上記の[表7]及び[表8]に示す通り、レンズ群33aを構成するレンズL24及びL25を透過率が高いレンズにしている。また、本実施例においても、レンズ群33aを構成するレンズの全てを高い透過率にすることが好ましいが、投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の設計等が困難になる場合には合焦位置の変動量の大きさを考慮して、レンズ群33aをなすレンズL23〜L25の少なくとも1つが前述した(10)式を満足するように設計することが好ましい。
【0075】
また、上記の[表6]の通り設計されたレンズL21〜L25各々についての、屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2[μm]、中心厚t[mm]、温度変化による屈折率の変動率α[×10−6/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表9]及び[表10]に示す。尚、[表9]はi線の光に対する値であり、[表10]はg線に対する値である。また、[表6]の通り設計されたレンズL21〜L25各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL21〜L25各々の屈折率変化による合焦位置の変動量ΔF2jの一例を示している。
【0076】
【0077】
[表10]
【0078】
上記[表7]〜[表10]を参照すると、本実施例においても投影光学系PLの瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズ(本実施例では、レンズL24,L25)を配置することで、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動が抑えられるとともに、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動も同時に抑えられることが分かる。尚、本実施例においても、レンズ群33aを構成するレンズの全てを高い透過率にすることが好ましいが、投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の設計等が困難になる場合には合焦位置の変動量の大きさを考慮して、レンズ群33aをなすレンズL23〜L25の少なくとも1つが前述した(11)式を満足するように設計することが好ましい。
【0079】
以上、本発明の一実施形態による投影光学系PLの動作について説明したが、次に図3を参照してその動作について簡単に説明する。尚、以下の説明においては、各投影光学ユニットの基本的な構成の説明を簡略化するために、フォーカス補正光学系36、第1平行平面板37、第2平行平面板38、及び倍率補正光学系39が付設されていない状態について説明する。
【0080】
前述したように、マスクM上に形成されたパターンDPは、照明光学系ILからの照明光(露光光)により、ほぼ均一の照度で照明される。マスクM上の各照明領域に形成されたパターンDPから−Z軸方向に沿って進行した光は、第1直角プリズム31aの第1反射面により90°だけ偏向された後、−X軸方向に沿って第1反射屈折光学系35aに入射する。第1反射屈折光学系35aに入射した光は、レンズ群32a及びレンズ群33aを順に介して、第1凹面反射鏡34aに達する。第1凹面反射鏡34aで反射された光は、再びレンズ群33a及びレンズ群32aを順に介して、+X軸方向に沿って第1直角プリズム31aの第2反射面に入射する。第1直角プリズム31aの第2反射面で90°だけ偏向されて−Z軸方向に沿って進行した光は、視野絞りASの近傍にパターンDPの一次像を形成する。尚、一次像のX軸方向における横倍率は+1倍であり、Y軸方向おける横倍率は−1倍である。
【0081】
パターンDPの一次像から−Z軸方向に沿って進行した光は、第2直角プリズム31bの第1反射面により90°だけ偏向された後、−X軸方向に沿って第2反射屈折光学系35bに入射する。第2反射屈折光学系35bに入射した光は、レンズ群32a及びレンズ群33bを順に介して、第2凹面反射鏡34bに達する。第2凹面反射鏡34bで反射された光は、再びレンズ群33b及びレンズ群32bを順に介して、+X軸方向に沿って第2直角プリズム31bの第2反射面に入射する。第2直角プリズム31bの第2反射面で90°だけ偏向されて−Z軸方向に沿って進行した光は、プレートP上において対応する露光領域にパターンDPの二次像を形成する。ここで、二次像のX軸方向における横倍率及びY軸方向における横倍率はともに+1倍である。即ち、各投影光学ユニットPL1〜PL5を介してプレートP上に形成されるパターンDPの像は等倍の正立正像であり、各投影光学ユニットPL1〜PL5は等倍正立系を構成している。
【0082】
尚、上述の第1反射屈折光学系35aでは、レンズ群33aの後側焦点位置の近傍に第1凹面反射鏡34aが配置されているため、マスクM側及び視野絞りAS側においてほぼテレセントリックとなる。また、第2反射屈折光学系35bにおいても、レンズ群33bの後側焦点位置の近傍に第2凹面反射鏡34bが配置されているため、視野絞りAS側及びプレートP側においてほぼテレセントリックとなる。その結果、各投影光学ユニットPL1〜PL5は、ほぼ両側(マスクM側及びプレートP側)にテレセントリックな光学系である。
【0083】
こうして、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5から構成された投影光学系PLを介した光は、プレートステージ(図1では不図示)PS上において不図示のプレートホルダを介してXY平面に平行に支持されたプレートP上にパターンDPの像を形成する。即ち、上述したように、各投影光学ユニットPL1〜PL5は等倍正立系として構成されているので、感光性基板であるプレートP上において各照明領域に対応するようにY軸方向に並んだ複数の台形状の露光領域には、パターンDPの等倍正立像が形成される。
【0084】
図1に戻り、前述したマスクステージMSには、マスクステージMSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)が設けられている。また、マスクステージMSを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、マスクステージMSの位置座標が移動鏡25を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。更に、マスクステージMSは、Z方向の位置が可変に構成されている。
【0085】
同様の駆動系が、プレートステージPSにも設けられている。即ち、プレートステージPSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)、プレートステージPSを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、プレートステージPSの位置座標が移動鏡26を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。プレートステージPSもマスクステージMSと同様にZ方向に移動可能に構成されている。マスクステージMS及びプレートステージPSのZ方向の位置は、主制御系20によって制御される。
【0086】
更に、マスクMとプレートPとをXY平面に沿って相対的に位置合わせするための手段として、一対のアライメント系27a,27bがマスクMの上方に配置されている。アライメント系27a,27bとしては、投影光学ユニットPL1,PL5を介して計測された基準部材28(プレートステージPSの基準位置を定める部材)の位置と、プレートP上に形成されたプレートアライメントマークの位置との相対位置とによりプレートPの位置を求める方式のアライメント系(所謂、TTL(Through The Lens)方式のアライメント系)、又は、マスクM上に形成されたマスクアライメントマークとプレートP上に形成されたプレートアライメントマークとの相対位置を画像処理により求める方式のアライメント系(所謂、TTM(Through The Mask)方式のアライメント系)を用いることができる。本実施形態では、TTL方式のアライメント系が設けられているとする。
【0087】
また、本実施形態の露光装置は、プレートステージPS上に、投影光学系PLを介してプレートP上に照射される光の照度を測定するための照度測定部29が固定されており、またプレートP上に照射される光(像)の空間分布を計測するための空間像計測装置24が設けられている。以上、本発明の一実施形態による露光装置の構成について説明したが、次に露光時の動作について説明する。尚、以下の説明においては、複数枚のプレートに対して行われる1つの露光工程(例えば、TFTを形成する際に行われる露光工程、又は、カラーフィルタを形成する際に行われる露光工程)を行う際の露光装置の動作について説明する。
【0088】
工程が開始すると、まず主制御系20が露光動作に必要な各種の情報(レシピ)を読み込む。次に、主制御系20は、光源1から光を射出させて、光源1からの光が照明光学系IL及び投影光学ユニットPL1〜PL5各々を介してプレートステージPS上に照射されている状態にして、照度測定部29を用いてプレートステージPSに照射される光の照度むらを測定する。そして、照度むらの測定結果に基づいて、照明光学系ILの光学特性(照度むら、テレセントリシティー等)を調整する。
【0089】
次に、マスクステージMSに形成されている基準パターンを照明領域に移動させるとともに、空間像計測装置24に設けられている検出ユニットと投影光学ユニットPL1,PL3,PL5の投影領域とをX軸方向に整列させ、露光光を基準パターンに照射して基準パターンの像を検出ユニットで計測する。同様に、検出ユニットと投影光学ユニットPL2,PL4の投影領域とをX軸方向に整列させて、基準パターンの像を計測する。このようにして、主制御系20は、各投影光学ユニットPL1〜PL5各々から投影される基準パターンの像の配列、大きさ、位置、及び回転量、並びに各種の収差を求めて、投影光学ユニットPL1〜PL5の光学特性を検出する。
【0090】
投影光学ユニットPL1〜PL5の光学特性が得られると、主制御系20は投影光学ユニットPL1〜PL5各々の投影光学特性等を調整する。尚、具体的な調整方法は、図3に示す第1駆動部を介してフォーカス補正光学系36を駆動することにより、各投影光学ユニットPL1〜PL5における像面側(プレートP側)の焦点位置を調整する。また、必要に応じて第2駆動部41及び第3駆動部42を介して第1平行平面板37及び第2平行平面板38をそれぞれ駆動することにより、投影光学ユニットPL1〜PL5各々の像の投影位置の変動を補正する。
【0091】
更に、必要に応じて第5駆動部44を介して倍率補正光学系39を駆動することにより、各投影光学ユニットPL1〜PL5における倍率変動を調整(補正)する。また更に、必要に応じて、第4駆動部43を介して、像ローテーターとしての第2直角プリズム31bを駆動することにより、各投影光学ユニットPL1〜PL5における像回転を補正する。また、主制御系20は、必要に応じて、各収差の補正に有効なレンズを光軸方向又は光軸直交方向に沿って移動させたり、光軸に対して傾斜させたりすることにより、回転対称収差や非回転対称収差を補正する。また、主制御系20は、必要に応じて、視野絞りASをXY平面に沿って移動させたりZ軸廻りに回転させたりすることにより、視野絞り像の像位置の変動及び像回転を補正する。
【0092】
更に、各投影光学ユニットPL1〜PL5の光学特性を調整するのみならず、投影光学ユニットPL1〜PL5各々のZ方向の位置、マスクステージMSのZ方向の位置、又はプレートステージPSのZ方向の位置を調整することにより、投影光学ユニットPL1〜PL5のベストフォーカス位置にマスクM及びプレートPが配置されるようにする。
【0093】
以上の照明光学系ILの照明光学特性の調整及び投影光学系PLの投影光学特性の調整が終了すると、アライメント系27a,27bを照明光学系ILの照明領域内に配置し、各々のアライメント系27a,27bで基準部材28の位置を計測する。ここで、アライメント系27a,27bは予め投影光学系PLを介して計測した基準部材28の位置とプレートPに形成されたプレートアライメントマークの位置との相対関係により、プレートステージPS上に載置されたプレートPの位置を求めている。
【0094】
以上の工程が終了すると、主制御系20は、レシピに従って、マスクMを搬入してマスクステージMS上に載置するとともに、プレートを搬入してプレートステージPS上に載置する。そして、アライメント系27a,27bを用いてプレートPSの位置を計測した後、この計測結果に基づいてマスクMとプレートPとの相対的な位置合わせを行う。尚、プレートPには複数のショット領域が予め設定されているため、主制御系20のマスクMのパターンを転写すべきショット領域が、露光領域の近傍に配置されるように位置合わせする。そして、照明光学系ILから射出される露光光をマスクMの一部に照射し、マスクMとプレートPとをX方向に移動させつつ、マスクMに形成されているパターンDPの一部を投影光学系PLを介してプレートPのショット領域に順次転写する。
【0095】
1つのショット領域の露光が終了すると、主制御系20はレシピの内容に基づいて、次に露光すべきショット領域が有るか否かを判断する。露光すべきショット領域が有ると判断した場合には、マスクステージMS上に載置されているマスクを交換し、他のショット領域の露光を行う。一方、露光すべきショット領域が無いと判断した場合には、全てのプレートに対して露光が終了したか否かが判断される。全てのプレートに対して露光が終了していない場合には、マスクステージMS上のマスクMを交換するとともに、露光を終えたプレートPを搬出して新たなプレートPを搬入し、新たに搬入されたプレートに対する露光処理を行う。一方、全てのプレートに対して露光が終了した場合には、一連の処理が終了する。
【0096】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置にも適用可能である。また、上記実施形態では、照明光学系IL内に光源1として超高圧水銀ランプを備え、必要となるg線(436nm)の光、h線(405nm)、及びi線(365nm)の光を選択するようにしていた。しかしながら、これに限らず、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)を光源1として備え、これらのレーザから射出されるレーザ光を用いる場合であっても本発明を適用することが可能である。
【0097】
また、前述した実施形態においては、液晶表示素子を製造する場合を例に挙げて説明したが、もちろん、液晶表示素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、半導体素子等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンを半導体基板上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
【0098】
また、上述の実施形態では、各投影光学ユニットPL1〜PL5が一対の結像光学系30a.30bを有するマルチ走査型投影露光装置について本発明を適用しているが、各投影光学ユニットが1つ又は3つ以上の結像光学系を有する型式のマルチ走査型投影露光装置に対しても本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、投影光学系PLがマルチ型に構成された場合を例に挙げて説明したが、本発明はマルチ型以外の投影光学系、つまり鏡筒が1つの投影光学系にも適用することができる。
【0099】
次に本発明の一実施形態による露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図8は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。まず、図8のステップS10において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップS12において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップS14において、図1に示す露光装置を用いて、マスクM上のパターンの像がその投影光学系(投影光学ユニット)を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される(転写工程)。
【0100】
その後、ステップS16において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像(現像工程)が行われた後、ステップS18において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0101】
また、図1に示す露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図9のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図9は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子の製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【0102】
図9中のパターン形成工程S20では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S22へ移行する。
【0103】
次に、カラーフィルタ形成工程S22では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S22の後に、セル組み立て工程S24が実行される。セル組み立て工程S24では、パターン形成工程S20にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S22にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0104】
セル組み立て工程S24では、例えば、パターン形成工程S20にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S22にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S26にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0105】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子の近傍に高い透過率を有する屈折光学素子を少なくとも1つ備えた構成とし、屈折光学素子の光吸収による形状変化及び屈折率変化の少なくとも一方を抑えるようにしているため、投影光学系の光学特性の変動を少なくすることができるという効果がある。
また、投影光学系が複数の部分投影光学系から構成されている場合には、各々の部分投影光学系の光学特性の変動が少ないため、投影光学系の総合的な焦点深度を実質的に深くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】照明光学系ILの側面図であり、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。
【図3】投影光学系PLの一部をなす投影光学ユニットPL1の構成を示す側面図である。
【図4】瞳空間における光束の角度変化と合焦位置の変化との関係を説明するための図である。
【図5】図3のフォーカス補正光学系36の構成を概略的に示す図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)はXZ断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による投影光学系の第1実施例の構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による投影光学系の第2実施例の構成を示す図である。
【図8】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【図9】マイクロデバイスとしての液晶表示素子の製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
31a 第1直角プリズム(偏向部材)
31b 第2直角プリズム(偏向部材)
32a,32b レンズ群(第1屈折光学素子群)
33a,33b レンズ群(第2屈折光学素子群)
34a 第1凹面反射鏡(反射光学素子)
34b 第2凹面反射鏡(反射光学素子)
DP パターン
IL 照明光学系
L15,L16 レンズ(屈折光学素子)
L24,L25 レンズ(屈折光学素子)
M マスク
P プレート(基板)
PL 投影光学系
PL1〜PL5 投影光学ユニット(投影光学系)
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法に係り、特に回路パターンの形成工程の1つとして設けられるリソグラフィー工程においてマスクに形成されたパターンの像を基板上に投影する際に用いて好適な投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ又はテレビ等の表示装置で用いられている液晶表示素子は、通常、ガラス基板(プレート)上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターニングして、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子及び電極配線を含む回路パターンを形成して製造される。このフォトリソグラフィの手法を用いた製造工程では、マスク上に形成された原画となるパターンを、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布されたプレート上に投影露光する投影露光装置が用いられている。従来は、マスクとプレートとの相対的な位置合わせを行った後で、マスクに形成されたパターンをプレート上に設定された1つのショット領域に一括して転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域の露光を行う、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(所謂、ステッパー)が多用されていた。
【0003】
近年、液晶表示素子の大面積化が要求されており、これに伴ってフォトリソグラフィ工程において用いられる投影露光装置は露光領域の拡大が望まれている。投影露光装置の露光領域を拡大するためには投影光学系を大型化する必要があるが、残存収差が極力低減された大型の投影光学系を設計及び製造するにはコスト高となってしまう。そこで、投影光学系の大型化を極力避けるために、投影光学系の物体面側(マスク側)における投影光学系の有効径と同程度に長手方向の長さが設定されたスリット状の照明光をマスクに照射し、マスクを介したスリット状の光が投影光学系を介してプレートに照射されている状態で、マスクとプレートとを投影光学系に対して相対的に移動させて走査し、マスクに形成されたパターンの一部を順次プレートに設定された1つのショットに転写し、転写後にプレートをステップ移動させて他のショット領域に対する露光を同様にして行う、所謂ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置が案出されている。
【0004】
また、近年では、更なる露光領域の拡大を図るため、1つの大型の投影光学系を用いるのではなく、小型の部分投影光学系を走査方向に直交する方向(非走査方向)に所定間隔をもって複数配列した第1の配列と、この部分投影光学系の配列の間に部分光学系が配置されている第2の配列とを走査方向に配置した、所謂マルチレンズ方式の投影光学系を備える投影露光装置が案出されている(例えば、以下の特許文献1を参照されたい)。
【0005】
液晶表示素子の製造においては、プレート上にフォトレジストを塗布し、以上の投影露光装置の何れかを用いてマスクに形成されたパターンをプレートに転写し、フォトレジストの現像、エッチング、及びフォトレジストの剥離といった工程を繰り返すことにより、TFT等のスイッチング素子及び電極配線が形成された素子基板が形成される。そして、この素子基板と別工程で製造されたカラーフィルタを備える対向基板とを張り合わせ、これらの間に液晶を挟持させることにより液晶表示素子が製造される。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−57986号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した投影光学系を備える投影露光装置は、レンズ等の屈折光学素子を複数備える。また、上述したマルチレンズ方式の投影光学系は、各々の部分投影光学系に複数のレンズが設けられ、更にはミラー等の反射光学素子を備えるものがある。投影光学系に設けられるレンズは高い透過率を有するものが用いられるものの、その透過率は100%ではない。このため、レンズに光が照射されると、光の一部がレンズに吸収されて温度が上昇し、レンズの形状変化及び屈折率変化が生ずる。
【0008】
レンズの形状変化及び屈折率変化が生ずると、投影光学系の合焦位置(フォーカス位置)の変動、収差の変動等の光学特性の変動が生ずる。マルチレンズ方式以外の投影光学系を備える投影露光装置においては、合焦位置が変動した場合には、その変動に合わせてマスク又はプレートの位置を調整すれば良い。しかしながら、マルチレンズ方式の投影光学系は、各々の部分投影光学系で生ずるフォーカス変動量が同一になるように構成するのは困難であり、通常は各々の変動量が異なる。各部分投影光学系の焦点深度内にプレートが位置していればマスクに形成されたパターンをプレートに転写する上で問題はないが、部分投影光学系各々の合焦位置が異なるため投影光学系の焦点深度が実質的に浅くなり、パターンの転写時に支障をきたしてしまう虞があるという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、合焦位置変動が少なく実質的に深い焦点深度を確保することができる投影光学系を提供するとともに、当該投影光学系を備えることで微細なパターンを忠実に且つ効率的に形成することができる露光装置及び回路パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中であって前記反射光学素子(34a、34b)の近傍に配置され、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の光学特性の変動を抑えるために高い透過率を有する少なくとも1つの屈折光学素子(L15、L16、L24、L25)とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子の近傍に高い透過率を有する屈折光学素子を少なくとも1つ備えた構成とし、屈折光学素子の光吸収による形状変化及び屈折率変化の少なくとも一方を抑えるようにしているため、投影光学系の光学特性の変動を少なくすることができる。また、投影光学系が複数の部分投影光学系から構成されている場合には、各々の部分投影光学系の光学特性の変動が少ないため、投影光学系の総合的な焦点深度を実質的に深くすることができる。
ここで、本発明の第1の観点による投影光学系は、前記屈折光学素子の透過率が、99.8%・cm−1以上であることが好ましい。
尚、前記光学特性の変動は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の合焦位置の変動を含むことを特徴としている。
また、本発明の第1の観点による投影光学系は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)が、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置されて、全体として正屈折力を持つ第1屈折光学素子群(32a、32b)と、前記第1屈折光学素子群(32a、32b)と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置されて、全体として負屈折力を持つ第2屈折光学素子群(33a、33b)とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子は、前記第2屈折光学素子群(33a、33b)に含まれることを特徴としている。
また、本発明の第1の観点による投影光学系は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)が、前記第1面及び前記第2面と前記少なくとも1つの屈折光学素子との間の光路中に配置された偏向部材(31a、31b)を含むことを特徴としている。
尚、前記反射光学素子(34a、34b)の近傍は、前記反射光学素子(34a、34b)からの光軸方向に沿った距離が、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との前記光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲である。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の屈折光学素子の全ては、99.8%・cm−1以上の透過率を有することを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の屈折光学素子は、
|t×α×k|<155
を満足することを特徴としている。
但し、
t[mm]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の光軸に沿った中心厚であり、αは前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子のdn/dT[×10−6/℃]であり、k[%・cm−1]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の吸収率である。
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点による投影光学系は、第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系(PL、PL1〜PL5)において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の瞳空間に配置された反射光学素子(34a、34b)と、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子とを備え、前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の屈折光学素子は、
|t×σ×k|<470
を満足することを特徴としている。
但し、
t[mm]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の光軸に沿った中心厚であり、σ[cm/℃]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の線膨張係数であり、k[%・cm−1]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子(34a、34b)との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子(34a、34b)側の前記屈折光学素子の吸収率である。
ここで、上記第1の観点〜第5の観点による投影光学系において、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)の前記第2面側の開口数は0.3以下であることが好適である。
また、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)は波長300nm以上の光に基づいて、前記第1面の像を前記第2面上に形成することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の露光装置は、上記の何れかに記載の投影光学系(PL、PL1〜PL5)と、光源(1)からの光に基づいて前記第1面に配置されるマスク(M)を照明する照明光学系(IL)とを備え、前記マスク(M)のパターン像を前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)を介して前記第2面に配置される基板(P)へ転写することを特徴としている。
また、本発明の露光装置は、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)が、前記マスク(M)のパターン(DP)の一部の像を前記基板(P)上に形成し、前記投影光学系(PL、PL1〜PL5)に対して前記マスク(M)及び前記基板(P)を移動させて前記マスク(M)のパターン(DP)の全部を前記基板(P)へ転写することを特徴としている。
本発明の回路パターンの形成方法は、上記の露光装置を用いて前記マスク(M)のパターン(DP)を前記基板(P)に転写する露光工程と、前記露光工程により露光された前記基板(P)を現像する現像工程とを含むことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による投影光学系、露光装置、及び回路パターンの形成方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。本実施形態においては、複数の反射屈折型の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに対してマスクMと基板としてのプレートPとを相対的に移動させつつマスクMに形成された液晶表示素子のパターンDPの像をプレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0012】
尚、以下の説明においては、各図中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではマスクM及びプレートPを移動させる方向(走査方向)をX軸方向に設定している。
【0013】
本実施形態の露光装置は、マスクステージ(図1では不図示)上においてマスクホルダ(不図示)を介してXY平面に平行に支持されたマスクMを均一に照明するための照明光学系ILを備えている。図2は、照明光学系ILの側面図であり、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図1及び図2を参照すると、照明光学系ILは、例えば超高圧水銀ランプからなる光源1を備えている。光源1は楕円鏡2の第1焦点位置に配置されているため、光源1から射出された照明光束は、ダイクロイックミラー3を介して、楕円鏡2の第2焦点位置に光源像を形成する。
【0014】
尚、本実施形態では、光源1から射出された光が楕円鏡2の内面に形成された反射膜及びダイクロイックミラー3で反射されることにより、g線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光による光源像が楕円鏡2の第2焦点位置に形成される。つまり、g線、h線、及びi線を含む波長域以外の露光する上で不必要となる成分は楕円鏡2及びダイクロイックミラー3で反射される際に除去される。
【0015】
楕円鏡2の第2焦点位置にはシャッタ4が配置されている。シャッタ4は、光軸AX1に対して斜めに配置された開口板4a(図2参照)と開口板4aに形成された開口を遮蔽又は開放する遮蔽板4b(図2参照)とから構成される。シャッタ4を楕円鏡2の第2焦点位置に配置するのは、光源1から射出された照明光束が集束されているため遮蔽板4bの少ない移動量で開口板4aに形成された開口を遮蔽することができるとともに、開口を通過する照明光束の光量を急激に可変させることによりパルス状の照明光束を得るためである。
【0016】
楕円鏡2の第2焦点位置に形成された光源像からの発散光束は、コリメートレンズ5によってほぼ平行光束に変換されて波長選択フィルタ6に入射する。波長選択フィルタ6はg線、h線、及びi線を含む波長域の光束のみを透過させるものである。波長選択フィルタ6を通過した光はリレーレンズ8を介して再び結像する。この結像位置の近傍にはライトガイド9の入射端9aが配置されている。ライトガイド9は、例えば多数のファイバ素線をランダムに束ねて構成されたランダムライトガイドファイバであって、光源1の数(図1では1つ)と同じ数の入射端9aと、投影光学系PLを構成する投影光学ユニットの数(図1では5つ)と同じ数の射出端9b〜9f(図2では射出端9bだけを示す)とを備えている。こうして、ライトガイド9の入射端9aへ入射した光は、その内部を伝播した後、5つの射出端9b〜9fから分割されて射出される。
【0017】
図2に示したように、ライトガイド9の入射端9aには、連続的に位置を可変することができるように構成されたブレード10が配置されている。このブレード10は、ライトガイド9の入射端9aの一部を遮光することによって、ライトガイド9の5つの射出端9b〜9f各々から射出される光の強度を連続的に可変するためのものである。ブレード10のライトガイド9の入射端9aに対する遮光量の制御は、図2中の主制御系20が駆動装置19を制御することによって行われる。
【0018】
ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間には、コリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b(図1では図示省略)、ビームスプリッタ14b(図1では図示省略)、及びコンデンサーレンズ系15bが順に配置されている。同様に、ライトガイド9の各射出端9c〜9fとマスクMとの間には、コリメートレンズ11c〜11f、フライアイ・インテグレータ12c〜12f、開口絞り13c〜13f、ビームスプリッタ14c〜14f、及びコンデンサーレンズ系15c〜15fがそれぞれ順に配置されている。
【0019】
尚、ここでは、説明の簡単化のために、ライトガイド9の射出端9b〜9fとマスクMとの間に設けられる光学部材の構成を、ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間に設けられたコリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b、ビームスプリッタ14b、及びコンデンサーレンズ系15bを代表させて説明する。
【0020】
ライトガイド9の射出端9bから射出された発散光束は、コリメートレンズ11bによりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイ・インテグレータ12bに入射する。フライアイ・インテグレータ12bは、多数の正レンズエレメントをその中心軸線が光軸AX2に沿って延びるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。従って、フライアイ・インテグレータ12bに入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、その後側焦点面(即ち、射出面の近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像からなる二次光源を形成する。即ち、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面には、実質的な面光源が形成される。
【0021】
フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面に形成された多数の二次光源からの光束は、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面の近傍に配置された開口絞り13bにより制限された後、ビームスプリッタ14bを介して、コンデンサーレンズ系15bに入射する。尚、開口絞り13bは、対応する投影光学ユニットPL1の瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定するための可変開口部を有する。開口絞り13bは、この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系PLを構成する各投影光学ユニットPL1〜PL5の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の開口径の比)を所望の値に設定する。
【0022】
コンデンサーレンズ系15bを介した光束は、パターンDPが形成されたマスクMを重畳的に照明する。尚、パターンDPは、本発明にいう第1面に配置される。ライトガイド9の他の射出端9c〜9fから射出された発散光束も同様に、コリメートレンズ11c〜11f、フライアイ・インテグレータ12c〜12f、開口絞り13c〜13f、ビームスプリッタ14c〜14f、及びコンデンサーレンズ系15c〜15fを順に介してマスクMを重畳的にそれぞれ照明する。即ち、照明光学系ILは、マスクM上においてY軸方向に並んだ複数(図1では合計で5つ)の台形状の領域を照明する。
【0023】
一方、照明光学系ILに設けられる上記ビームスプリッタ14bで反射された一部の光は、図2に示すように、集光レンズ16bを介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ17bで受光される。このインテグレータセンサ17bの光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して主制御系20に供給される。インテグレータセンサ17bの出力と、プレートPの表面(第2面)上に照射される光の単位面積当たりのエネルギー(露光量)との相関係数は予め求められて主制御系20内に記憶されている。
【0024】
主制御系20は、プレートPが載置されるプレートステージ及びマスクMが載置されるマスクステージMSを制御する不図示のステージコントローラからのステージ系の動作情報に同期してシャッタ4の開閉動作を制御するとともに、インテグレータセンサ17bから出力される光電変換信号に応じて駆動装置19に対して制御信号を出力し、マスクMに照明光学系ILからの照明光を照射するタイミング及び照明光の強度を制御する。
【0025】
尚、照明光学系ILは、その照明光学特性(テレセントリシティ及び照度むら)を可変することができるように構成されている。照明光学特性を調整する方法の詳細については、例えば特開2001−305743号公報、特開2001−313250号公報、及び特開平10−189427号公報を参照されたい。また、照度むらの調整については、マスク面(プレート面)近傍又はマスク面(プレート面)と光学的に共役な面若しくはその近傍に走査方向の開口の幅が走査方向と直交する方向(非走査方向)において異なるような視野絞りを配置することによって補正することも可能である。この補正方法の詳細については、例えば特開平7−142313号公報等を参照されたい。尚、かかる補正方法において、視野絞りの開口の幅を異ならせるのではなく、透過特性が非走査方向において照度むらを補正し得る分布を有する濃度分布フィルタを設ける構成であっても良い。
【0026】
マスクM上の各照明領域からの光は、各照明領域に対応するようにY軸方向に沿って配列された複数(図1では合計で5つ)の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに入射する。次に、本発明の投影光学系PLの構成について説明する。図3は、投影光学系PLの一部をなす投影光学ユニットPL1の構成を示す側面図である。尚、投影光学ユニットPL2〜PL5の構成は投影光学ユニットPL1とほぼ同様の構成であるため、投影光学ユニットPL1の構成を説明し、投影光学ユニットPL2〜PL5の説明は省略する。
【0027】
図3に示す投影光学ユニットPL1は、マスクMからの光に基づいてパターンDPの一次像を形成する第1結像光学系30aと、この一次像からの光に基づいてパターンDPの正立正像(二次像)をプレートP上に形成する第2結像光学系30bとを有する。尚、パターンDPの一次像の形成位置の近傍には、マスクM上における投影光学ユニットPL1の視野領域(照明領域)及びプレートP上における投影光学ユニットの投影領域(露光領域)を規定する視野絞りASが設けられている。
【0028】
第1結像光学系30aは、マスクMから−Z軸方向に沿って入射する光を−X軸方向に反射するようにマスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第1反射面を有する第1直角プリズム31aを備えている。尚、第1直角プリズム31aは、本発明にいう偏向部材に相当する。また、第1結像光学系30aは、第1直角プリズム31a側から順に、正の屈折力を有するレンズ群32a(第1屈折光学素子群)と、負の屈折力を有するレンズ群33a(第2屈折光学素子群)と、第1直角プリズム31a側に凹面を向けた反射光学素子としての第1凹面反射鏡34aとを備えている。レンズ群32a、レンズ群33a、及び第1凹面反射鏡34aはX軸方向に沿って配置され、全体として第1反射屈折光学系35aを構成している。第1反射屈折光学系35aから+X軸方向に沿って第1直角プリズム31aに入射した光は、マスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第2反射面によって−Z軸方向に反射される。
【0029】
一方、第2結像光学系30bは、第1直角プリズム31aの第2反射面から−Z軸方向に沿って入射する光を−X軸方向に反射するようにプレート面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第1反射面を有する第2直角プリズム31bを備えている。尚、第2直角プリズム31bは、本発明にいう偏向部材に相当する。また、第2結像光学系30bは、第2直角プリズム31b側から順に、正の屈折力を有するレンズ群32b(第1屈折光学素子群)と、レンズ群33b(第2屈折光学素子群)と、第2直角プリズム31b側に凹面を向けた反射光学素子としての第2凹面反射鏡34bとを備えている。レンズ群32b、レンズ群33b、及び第2凹面反射鏡34bはX軸方向に沿って配置され、全体として第2反射屈折光学系35bを構成している。第2反射屈折光学系35bから+X方向に沿って第2直角プリズム31bに入射した光は、プレート面(XY平面面)に対して45°の角度で斜設された第2反射面によって−Z軸方向に反射される。
【0030】
尚、投影光学ユニットPL1の開口数、焦点深度、及び解像度については、開口数が大きくなると解像度が向上するが、焦点深度が浅くなるという関係にある。このため、微細なパターンを形成するためには極力開口数が大きくなるように投影光学ユニットPL1を設計する必要がある。しかしながら、あまり解像度を高くすると焦点深度が浅くなり、大面積のプレートPに撓みが生じている場合には、パターンDP転写時に問題が生ずることが考えられる。このため、本実施形態においては、焦点深度及び解像度を考慮して投影光学ユニットPL1のプレートP側(第2面側)の開口数(N.A.)が0.3以下に設定されている。
【0031】
前述した第1凹面反射鏡34aの近傍に設けられたレンズ群33a、及び、第2凹面反射鏡34bの近傍に設けられたレンズ群33bは、例えば99.8%・cm−1以上の高い透過率を有するレンズ(屈折光学素子)を少なくとも1つ含んで構成されている。かかる構成にするのは、レンズが光を吸収することで形状変化及び屈折率変化が生じ、その結果引き起こされる投影光学ユニットPL1の合焦位置や収差等の光学特性の変動を防止するためである。
【0032】
また、高い透過率を有するレンズを第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bの近傍に配置するのは、投影光学ユニットPL1の光学特性の変動が、瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bに近接するレンズの形状変化や屈折率変化に大きく依存するからである。図4は、瞳空間における光束の角度変化と合焦位置の変化との関係を説明するための図である。
【0033】
いま、図4に示すように、光軸AX上に配置されたレンズLGを考える。このレンズLGの紙面左側が瞳空間であるとする。紙面左側の瞳空間において光軸AXに対してほぼ平行な光束(図中実線で示す光束)がレンズLGに入射すると、この光束はレンズLGにより図中の合焦位置FP1に集束する。一方、瞳空間において光軸AXに対してある角度をもった光束(図中破線で示す光束)がレンズLGに入射すると、この光束はレンズLGにより合焦位置FP1とは異なる合焦位置FP2に集束する。このように、瞳空間における光束の光軸AXに対する角度に応じて、合焦位置は大きく変動することになる。このため、合焦位置の変動を抑えるためには、瞳空間での光束の角度変化を極力防止する必要がある。
【0034】
本実施形態では、瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34a及び第2凹面反射鏡34bに近接するレンズとして高い透過率を有するレンズを配置し、光吸収によるレンズの形状変化や屈折率変化を極力防止することで、瞳空間における光束の角度変化を防止し、もって投影光学ユニットPL1の合焦位置の変動を防止している。
【0035】
尚、本明細書において、第1凹面反射鏡34aの近傍とは、第1凹面反射鏡34aからの光軸方向に沿った距離が、マスクMに形成されたパターンDPが配置される面(第1面)又はパターンDPの一次像が形成される面と第1凹面反射鏡34aとの間の光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲をいう。また、第2凹面反射鏡34bの近傍とは、第2凹面反射鏡34bからの光軸方向に沿った距離が、パターンDPの一次像が形成される面又はプレートPの表面(第2面)と第2凹面反射鏡34bとの間の光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲をいう。
【0036】
また、本実施形態では、マスクMと第1結像光学系30aの第1直角プリズム31aの第1反射面との間の光路中にフォーカス補正光学系36が付設され、第1結像光学系30aの第1直角プリズム31aの第2反射面と視野絞りASとの間の光路中に像シフターとしての第1平行平面板37及び第2平行平面板38が付設されている。更に、第2結像光学系30bの第2直角プリズム31bの第2反射面とプレートPとの間の光路中に倍率補正光学系39が付設されている。
【0037】
以下、フォーカス補正光学系36の構成及び作用について説明する。図5は、図3のフォーカス補正光学系36の構成を概略的に示す図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)はXZ断面図である。図3及び図5に示したように、フォーカス補正光学系36は、マスクMと第1直角プリズム31aとの間の光路中において、マスクM側から順に、光軸AX10を含む面内(ZX平面内)においてクサビ断面形状を有している第1クサビ型光学部材36aと、光軸AX10を含む面内(ZX平面内)においてクサビ断面形状を有している第2クサビ型光学部材36bとを有しており、第1クサビ型光学部材36aのマスクM側の屈折面はその法線が光軸AX10と一致する平面であり、第2クサビ型光学部材36bの第1直角プリズム31a側の屈折面はその法線が光軸AX10と一致している平面である。また、第1クサビ型光学部材36aの第1直角プリズム31a側の屈折面と第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面とは互いにほぼ平行な平面となっている。
【0038】
そして、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの少なくとも何れか一方をX方向に沿って相対的に移動させることによって、マスクMと第1直角プリズム31aとの間の光路長を変化させることができ、これにより、投影光学ユニットPL1の光軸AX10方向の結像位置を変更することが可能である。尚、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの移動方向は、光軸AX10を含む面内方向(ZX面内方向)であって第1クサビ型光学部材36aの第1直角プリズム31a側の屈折面(第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面)に沿った方向であっても良い。この場合、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの光軸方向の間隔を一定としつつ光路長を変更することができる。尚、本実施形態では、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの少なくとも何れか一方を、第1及び第2クサビ型光学部材36a,36bの対向する屈折面(第1クサビ型光学部材36aのプレートP側の屈折面及び第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面)に垂直な軸AX15を軸として回転可能としている。
【0039】
第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの初期状態では、上述のように、第1クサビ型光学部材36aの第1直角プリズム31a側の屈折面と第2クサビ型光学部材36bのマスクM側の屈折面とが互いに平行であり、且つ第1クサビ型光学部材36aのマスクM側の屈折面と第2クサビ型光学部材36bの第1直角プリズム31a側の屈折面とが互いに平行である。即ち、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36b全体として平行平面板となっており、入射光束は実質的に偏向作用を受けない。
【0040】
そして、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの少なくとも何れか一方を光軸AX15を軸として回転させると、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36b全体として所定の頂角を有するクサビ型の光学部材となるため、入射光束が偏向され、その結果、投影光学ユニットPL1の像面のXY平面(プレートP面)に対する全体的な傾斜(X軸を軸とする回転方向の傾斜及びY軸を軸とする回転方向の傾斜)が変化する。
【0041】
このとき、第1クサビ型光学部材36a及び第2クサビ型光学部材36bの双方が光軸AX15を軸として回転可能とすることが好ましい。この構成により、投影光学ユニットPL1の像面の傾斜方向及び傾斜角の双方を任意に制御できる。このフォーカス補正光学系36は第1駆動部40により制御される。
【0042】
次に、像シフターとしての第1平行平面板37及び第2平行平面板38について説明する。第1平行平面板37は、基準状態においてその平行面が光軸AX10に垂直に設定され、X軸廻りに微小量だけ回転可能に構成されている。第1平行平面板37をX軸廻りに微小量だけ回転させると、プレートP上に形成される像がXY平面においてY方向に微動(像シフト)する。また、第2平行平面板38は、基準状態においてその平行面が光軸AX10に垂直に設定され、Y軸廻りに微小量だけ回転可能に構成されている。第2平行平面板38をY軸廻りに微小量だけ回転させると、プレートP上に形成される像がXY平面においてX方向に微動(像シフト)する。尚、第1平行平面板37は第2駆動部41によって駆動され、第2平行平面板38は第3駆動部42によって駆動されるように構成されている。本実施形態における倍率補正光学系39の構成及び作用の詳細については、例えば特開平7−183212号公報の図11に開示されている倍率制御装置20を参照されたい。この倍率補正光学系39は、第4駆動部44によって駆動される。
【0043】
また、本実施形態では、第2直角プリズム31bが像ローテーターとして機能するように構成されている。即ち、第2直角プリズム31bは、基準状態において第1反射面と第2反射面との交差線(稜線)がY軸方向に沿って延びるように設定され、光軸AX10廻り(Z軸廻り)に微小量だけ回転可能に構成されている。第2直角プリズム31bを光軸AX10廻りに微小量だけ回転させると、プレートP上に形成される像がXY平面において光軸AX10廻り(Z軸廻り)に微小回転(像回転)する。第2直角プリズム31bは、第5駆動部43によって駆動されるように構成されている。尚、第2直角プリズム31bに代えて第1直角プリズム31aが像ローテーターとして機能するように構成してもよいし、第2直角プリズム31b及び第1直角プリズム31aの双方が像ローテーターとして機能するように構成してもよい。
【0044】
以上、本発明の一実施形態による投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)の構成について概説したが、次に投影光学系PLの具体的な評価方法について説明する。前述したように、投影光学系PLが備えるレンズの透過率が100%でない場合には、光の吸収によりレンズの形状変化及び屈折率変化が生じ、その結果として合焦位置の変動が生ずる。このため、所望の結像特性を有する投影光学系PLを設計した後で、設計した投影光学系PLの光学特性(例えば、合焦位置)の変動量を評価する必要がある。本実施形態では、光の照射によるレンズの光学特性の変化(例えば、合焦位置変動)を形状変化によるものと、屈折率変化によるものとに分類して投影光学系PLを評価している。以下、投影光学系PLの評価方法について説明する。
【0045】
[レンズの形状変化を考慮した評価方法]
この評価方法においては、まず設計した投影光学系PLに含まれる各レンズのレンズ面それぞれについて、形状変化によりニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの合焦位置の変動量を求める。ニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの一方のレンズ面の合焦位置の変動量をΔR1とし、他方のレンズ面の合焦位置の変動量をΔR2とする。尚、これらの変動量ΔR1,ΔR2は実測しても良く、計算により求めても良い。各レンズにおいて、形状変化によりニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの合焦位置の変動量Δfは、以下の(1)式で表される
Δf1=(ΔR1+ΔR2)/2 ……(1)
【0046】
次に、各レンズに照射される光の照射量をEとし、各レンズの吸収率をk[%・cm−1]とすると、各レンズの温度変化dTは以下の(2)式で表される。
dT=k×E ……(2)
また、各レンズの中心厚をtとし、線膨張係数をσ[cm/℃]とすると、各レンズのレンズ中心における厚みの変化量Δtは以下の(3)式で表される。
Δt=t×dT×σ ……(3)
更に、上記(3)式で表される分だけレンズの中心厚が変化したときのニュートンリングの縞本数の変化量ΔSは、各レンズに入射する光の波長をλとして以下の(4)式で表される。
ΔS=Δt/(λ/2) ……(4)
【0047】
上記(1)式において、形状変化によりニュートンリングの縞が1本だけ変化するときの各レンズの合焦位置の変動量が求められており、上記(4)式で光がレンズに入射したときの形状変化によるニュートンリングの縞本数の変化量が求められている。よって、各レンズの形状変化に伴う合焦位置の変化量ΔF1jは以下の(5)式で表される。
ΔF1j=ΔSj×Δf1j ……(5)
尚、上記(5)式中の変数jは投影光学系PLに設けられたレンズのレンズ番号であり、各々のレンズにおいて生ずる合焦位置の変動量Δf1及び縞本数の変化量ΔSを区別している。よって、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々の合焦位置の変動量ΔF1は以下の(6)式で表される。
ΔF1=Σ(ΔF1j) ……(6)
【0048】
上記の(6)式によって投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々のレンズ形状変化に起因する合焦位置の変動量が求まる。本実施形態の露光装置は照明光としてg線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光を用いているため、g線の光、h線の光、及びi線の光をそれぞれ照射したときの合焦位置の変動量を求めて設計した投影光学系PLの合焦位置の変動量を評価する。尚、g線の光及びh線の光は、i線の光に比べてレンズでの吸収率が小さいため、評価時に用いる光はi線の光のみでも良い。
【0049】
[レンズの屈折率変化を考慮した評価方法]
この評価方法においては、まず設計した投影光学系PLに含まれる各レンズについて、屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2を求める。次に、各レンズに照射される光の照射量をEとし、各レンズの吸収率をk[%・cm−1]とすると、各レンズの温度変化dTは上記の(2)式で表される。ここで、温度変化による屈折率の変動率(dn/dT)をα[×10−6/℃]とすると、各レンズに光を照射したときの屈折率の変動量Δnは以下の(7)式で表される。
Δn=α×dT ……(7)
【0050】
屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2が求められており、上記(7)式で光を照射したときの屈折率の変動量Δnが求められている。よって、各レンズの屈折率変化に伴う合焦位置の変化量ΔF2jは以下の(8)式で表される。
ΔF2j=Δnj×Δf2j ……(8)
尚、上記(8)式中の変数jは投影光学系PLに設けられたレンズのレンズ番号であり、各々のレンズにおいて生ずる合焦位置の変動量Δf2及び屈折率の変動量Δnを区別している。よって、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々の合焦位置の変動量ΔF2は以下の(9)式で表される。
ΔF2=Σ(ΔF2j) ……(9)
【0051】
上記の(9)式によって投影光学系PL(投影光学ユニットPL1〜PL5)各々のレンズの屈折率変化に起因する合焦位置の変動量が求まる。本実施形態の露光装置は照明光としてg線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光を用いているため、g線の光、h線の光、及びi線の光をそれぞれ照射したときの合焦位置の変動量を求めて設計した投影光学系PLの合焦位置の変動量を評価する。尚、g線の光及びh線の光は、i線の光に比べてレンズでの吸収率が小さいため、評価時に用いる光はi線の光のみでも良い。
【0052】
以上、レンズの形状変化による投影光学系PLの光学特性(合焦位置等)の変動量及びレンズの屈折率変化による投影光学系PLの光学特性の変動量の評価方法について説明した。上述のように、投影光学系PLの評価はレンズの形状変化によるものと屈折率変化によるものに分類して行うことが基本であり、各々の評価結果が良ければ問題はない。しかしながら、好ましくは形状変化による合焦位置の変動量ΔF1と屈折率変化による合焦位置の変動量ΔF2とを考慮した総合的な変動量(ΔF1+ΔF2)が小さくなることが好ましい。
【0053】
[投影光学系の第1実施例]
図6は、本発明の一実施形態による投影光学系の第1実施例の構成を示す図である。尚、本実施例においては、図3に示す投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)が備える第1結像光学系30aの光学特性と第2結像光学系30bの光学特性とは同様の光学特性であって、パターンDPの一次像が形成される面に関して第1結像光学系30aと第2結像光学系30bとがいわば対称に構成されている。このため、図6においては第1結像光学系30aの構成のみを図示しており、第2結像光学系30bについては図示及びその説明を省略する。
【0054】
また、図3に示すように投影光学ユニットPL1は、第1直角プリズム31a及び第2直角プリズム31b、並びに、フォーカス補正光学系36、第1平行平面板37、第2平行平面板38、視野絞りAS、及び倍率補正光学系39を備えているが、図6においてはこれらの図示を省略し、図3中の光軸AX10及び光軸AX11を一直線上に配置して光軸AX20として図示している。尚、図6中の平面VPは、マスクMのパターンDPが配置される面(第1面)又はパターンDPの一次像が形成される面を示している。また、図6に示す構成を第2結像光学系30bの構成と見立てると、平面VPは、パターンDPの一次像が形成される面又はプレートPの表面(第2面)を示すことになる。
【0055】
図6に示すように、正の屈折力を有するレンズ群32aは、面VPから順に、両凸レンズL11、第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12、及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。また、負の屈折力を有するレンズ群33aは、面VP側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14、面VP側に凸面を向けた負メニスカスレンズL15、及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた負メニスカスレンズL16から構成されている。尚、図示省略した第1直角プリズム31aは、面VPと両凸レンズL11との間に配置される。
【0056】
次の[表1]に、第1実施例の投影光学系の諸元の値を掲げる。[表1]において、面番号は面VPから第1凹面反射鏡34aまでの光線の進行する方向に沿ったレンズ面(第1凹面反射鏡34aの反射面を含む)の面の順序を、rは各面の曲率半径(mm)を、dは各面の軸上間隔即ち面間隔(mm)を、niはi線(波長λ=365nm)に対する屈折率を、nhはh線(波長λ=405nm)に対する屈折率を、ngはg線(波長λ=463nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。
【0057】
【0058】
上記の通り設計されたレンズL11〜L16各々についての、ニュートンリングの縞が1本だけ変化するときのレンズ面各々の合焦位置の変動量ΔR1[μm],R2[μm]、中心厚t[mm]、線膨張係数σ[cm/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表2]及び[表3]に示す。尚、[表2]はi線の光に対する値であり、[表3]はg線に対する値である。また、以下の[表2]及び[表3]においては、上記の通り設計されたレンズL11〜L16各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL11〜L16各々の形状変化による合焦位置の変動量ΔF1j[μm]の一例を示している。
【0059】
【0060】
【0061】
上記[表2]及び[表3]に示した物理量は、各レンズL11〜L16が光を吸収したときの形状変化に係わる物理量である。本実施形態では、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動を抑えるために、投影光学系PLの瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズ(第1実施例では、レンズL15,L16)を配置している。
【0062】
尚、上記の例においては、第1凹面反射鏡34aの近傍に配置されるレンズ群33aを構成するレンズL14〜L16の全てを高い透過率を有するレンズにすることが好ましい。しかしながら、投影光学系PLの設計上及びコスト等の面からレンズL14〜L16の全ての透過率を高くすることができない場合がある。(1)式〜(6)式で示したように、レンズの形状変化は、レンズの透過率のみに依存する訳ではなく、レンズの中心厚t、線膨張係数σ、及び吸収率kに大きく依存する。このため、第1凹面反射鏡34aの近傍に配置されるレンズ群33aに含まれるレンズL14〜L16の設計を行う場合には、合焦位置の変動量の大きさを考慮してレンズL14〜L16の少なくとも1つが以下の(10)式を満足するように設計することが好ましい。
|t×σ×k|<470 ……(10)
【0063】
また、上記の[表1]の通り設計されたレンズL11〜L16各々についての、屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2[μm]、中心厚t[mm]、温度変化による屈折率の変動率α[×10−6/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表4]及び[表5]に示す。尚、[表4]はi線の光に対する値であり、[表5]はg線に対する値である。また、上記の[表2]及び[表3]と同様に、[表4]及び[表5]においては、[表1]の通り設計されたレンズL11〜L16各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL11〜L16各々の屈折率変化による合焦位置の変動量ΔF2jの一例を示している。
【0064】
【0065】
[表5]
【0066】
上記[表4]及び[表5]に示した物理量は、各レンズL11〜L16が光を吸収したときの屈折率変化に係わる物理量である。前述したように、投影光学系PLの瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズ(本実施例では、レンズL15,L16)を配置することで、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動を抑えていた。上記[表4]及び[表5]を参照すると、第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズL15,L16を配置することで、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動も同時に抑えられることが分かる。
【0067】
尚、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動を抑える場合にも、第1凹面反射鏡34aの近傍に配置されるレンズ群33aを構成するレンズL14〜L16の全てを高い透過率を有するレンズにすることが好ましい。しかしながら、かかる設計を行うことができない場合には、(7)式〜(9)式で示したレンズの屈折率変化に大きく依存するレンズの中心厚t[mm]、温度変化による屈折率の変動率α[×10−6/℃]、及び吸収率k[%・cm−1]に関して、レンズL14〜L16の少なくとも1つが以下の(11)式を満足するように設計することが好ましい。
|t×α×k|<155 ……(11)
【0068】
[投影光学系の第2実施例]
図7は、本発明の一実施形態による投影光学系の第2実施例の構成を示す図である。尚、本実施例においても第1実施例と同様に、図3に示す第1結像光学系30aの光学特性と第2結像光学系30bの光学特性とが同様に構成された対称型の投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)を考える。このため、図7においても第1結像光学系30aの構成のみを図示しており、第2結像光学系30bについては図示及びその説明を省略する。また、第1直角プリズム31a及び第2直角プリズム31b、並びに、フォーカス補正光学系36、第1平行平面板37、第2平行平面板38、視野絞りAS、及び倍率補正光学系39の図示は省略し、軸AX10及び光軸AX11を一直線上に配置して光軸AX20として図示している。
【0069】
図7に示すように、正の屈折力を有するレンズ群32aは、面VPから順に、両凸レンズL21及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22から構成されている。また、負の屈折力を有するレンズ群33aは、両凸レンズL23、両凹レンズL24、及び第1凹面反射鏡34a側に凸面を向けた正メニスカスレンズL25から構成されている。次の[表6]に、第2実施例の投影光学系の諸元の値を掲げる。尚、[表6]中の面番号、r、d、ni、nh、及びngは、[表1]と同じ物理量を示している。
【0070】
【0071】
上記の通り設計されたレンズL21〜L25各々についての、ニュートンリングの縞が1本だけ変化するときのレンズ面各々の合焦位置の変動量ΔR1[μm],R2[μm]、中心厚t[mm]、線膨張係数σ[cm/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表7]及び[表8]に示す。尚、[表7]はi線の光に対する値であり、[表8]はg線に対する値である。また、第1実施例の[表2]及び[表3]と同様に、以下の[表7]及び[表8]においては、上記の通り設計されたレンズL21〜L25各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL21〜L25各々の形状変化による合焦位置の変動量ΔF1j[μm]の一例を示している。
【0072】
【0073】
【0074】
本実施例においては、上記の[表7]及び[表8]に示す通り、レンズ群33aを構成するレンズL24及びL25を透過率が高いレンズにしている。また、本実施例においても、レンズ群33aを構成するレンズの全てを高い透過率にすることが好ましいが、投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の設計等が困難になる場合には合焦位置の変動量の大きさを考慮して、レンズ群33aをなすレンズL23〜L25の少なくとも1つが前述した(10)式を満足するように設計することが好ましい。
【0075】
また、上記の[表6]の通り設計されたレンズL21〜L25各々についての、屈折率が+1×10−6だけ変化するときの合焦位置の変動量Δf2[μm]、中心厚t[mm]、温度変化による屈折率の変動率α[×10−6/℃]、吸収率k[%・cm−1]を以下の[表9]及び[表10]に示す。尚、[表9]はi線の光に対する値であり、[表10]はg線に対する値である。また、[表6]の通り設計されたレンズL21〜L25各々に対して、所定の照射量(E)を有する光(それぞれ、i線、g線)が入射したときのレンズL21〜L25各々の屈折率変化による合焦位置の変動量ΔF2jの一例を示している。
【0076】
【0077】
[表10]
【0078】
上記[表7]〜[表10]を参照すると、本実施例においても投影光学系PLの瞳空間に配置された第1凹面反射鏡34aの近傍に高い透過率を有するレンズ(本実施例では、レンズL24,L25)を配置することで、レンズの形状変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動が抑えられるとともに、レンズの屈折率変化に伴う投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の合焦位置の変動も同時に抑えられることが分かる。尚、本実施例においても、レンズ群33aを構成するレンズの全てを高い透過率にすることが好ましいが、投影光学系PL(投影光学ユニットPL1)の設計等が困難になる場合には合焦位置の変動量の大きさを考慮して、レンズ群33aをなすレンズL23〜L25の少なくとも1つが前述した(11)式を満足するように設計することが好ましい。
【0079】
以上、本発明の一実施形態による投影光学系PLの動作について説明したが、次に図3を参照してその動作について簡単に説明する。尚、以下の説明においては、各投影光学ユニットの基本的な構成の説明を簡略化するために、フォーカス補正光学系36、第1平行平面板37、第2平行平面板38、及び倍率補正光学系39が付設されていない状態について説明する。
【0080】
前述したように、マスクM上に形成されたパターンDPは、照明光学系ILからの照明光(露光光)により、ほぼ均一の照度で照明される。マスクM上の各照明領域に形成されたパターンDPから−Z軸方向に沿って進行した光は、第1直角プリズム31aの第1反射面により90°だけ偏向された後、−X軸方向に沿って第1反射屈折光学系35aに入射する。第1反射屈折光学系35aに入射した光は、レンズ群32a及びレンズ群33aを順に介して、第1凹面反射鏡34aに達する。第1凹面反射鏡34aで反射された光は、再びレンズ群33a及びレンズ群32aを順に介して、+X軸方向に沿って第1直角プリズム31aの第2反射面に入射する。第1直角プリズム31aの第2反射面で90°だけ偏向されて−Z軸方向に沿って進行した光は、視野絞りASの近傍にパターンDPの一次像を形成する。尚、一次像のX軸方向における横倍率は+1倍であり、Y軸方向おける横倍率は−1倍である。
【0081】
パターンDPの一次像から−Z軸方向に沿って進行した光は、第2直角プリズム31bの第1反射面により90°だけ偏向された後、−X軸方向に沿って第2反射屈折光学系35bに入射する。第2反射屈折光学系35bに入射した光は、レンズ群32a及びレンズ群33bを順に介して、第2凹面反射鏡34bに達する。第2凹面反射鏡34bで反射された光は、再びレンズ群33b及びレンズ群32bを順に介して、+X軸方向に沿って第2直角プリズム31bの第2反射面に入射する。第2直角プリズム31bの第2反射面で90°だけ偏向されて−Z軸方向に沿って進行した光は、プレートP上において対応する露光領域にパターンDPの二次像を形成する。ここで、二次像のX軸方向における横倍率及びY軸方向における横倍率はともに+1倍である。即ち、各投影光学ユニットPL1〜PL5を介してプレートP上に形成されるパターンDPの像は等倍の正立正像であり、各投影光学ユニットPL1〜PL5は等倍正立系を構成している。
【0082】
尚、上述の第1反射屈折光学系35aでは、レンズ群33aの後側焦点位置の近傍に第1凹面反射鏡34aが配置されているため、マスクM側及び視野絞りAS側においてほぼテレセントリックとなる。また、第2反射屈折光学系35bにおいても、レンズ群33bの後側焦点位置の近傍に第2凹面反射鏡34bが配置されているため、視野絞りAS側及びプレートP側においてほぼテレセントリックとなる。その結果、各投影光学ユニットPL1〜PL5は、ほぼ両側(マスクM側及びプレートP側)にテレセントリックな光学系である。
【0083】
こうして、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5から構成された投影光学系PLを介した光は、プレートステージ(図1では不図示)PS上において不図示のプレートホルダを介してXY平面に平行に支持されたプレートP上にパターンDPの像を形成する。即ち、上述したように、各投影光学ユニットPL1〜PL5は等倍正立系として構成されているので、感光性基板であるプレートP上において各照明領域に対応するようにY軸方向に並んだ複数の台形状の露光領域には、パターンDPの等倍正立像が形成される。
【0084】
図1に戻り、前述したマスクステージMSには、マスクステージMSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)が設けられている。また、マスクステージMSを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、マスクステージMSの位置座標が移動鏡25を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。更に、マスクステージMSは、Z方向の位置が可変に構成されている。
【0085】
同様の駆動系が、プレートステージPSにも設けられている。即ち、プレートステージPSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)、プレートステージPSを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量だけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、プレートステージPSの位置座標が移動鏡26を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。プレートステージPSもマスクステージMSと同様にZ方向に移動可能に構成されている。マスクステージMS及びプレートステージPSのZ方向の位置は、主制御系20によって制御される。
【0086】
更に、マスクMとプレートPとをXY平面に沿って相対的に位置合わせするための手段として、一対のアライメント系27a,27bがマスクMの上方に配置されている。アライメント系27a,27bとしては、投影光学ユニットPL1,PL5を介して計測された基準部材28(プレートステージPSの基準位置を定める部材)の位置と、プレートP上に形成されたプレートアライメントマークの位置との相対位置とによりプレートPの位置を求める方式のアライメント系(所謂、TTL(Through The Lens)方式のアライメント系)、又は、マスクM上に形成されたマスクアライメントマークとプレートP上に形成されたプレートアライメントマークとの相対位置を画像処理により求める方式のアライメント系(所謂、TTM(Through The Mask)方式のアライメント系)を用いることができる。本実施形態では、TTL方式のアライメント系が設けられているとする。
【0087】
また、本実施形態の露光装置は、プレートステージPS上に、投影光学系PLを介してプレートP上に照射される光の照度を測定するための照度測定部29が固定されており、またプレートP上に照射される光(像)の空間分布を計測するための空間像計測装置24が設けられている。以上、本発明の一実施形態による露光装置の構成について説明したが、次に露光時の動作について説明する。尚、以下の説明においては、複数枚のプレートに対して行われる1つの露光工程(例えば、TFTを形成する際に行われる露光工程、又は、カラーフィルタを形成する際に行われる露光工程)を行う際の露光装置の動作について説明する。
【0088】
工程が開始すると、まず主制御系20が露光動作に必要な各種の情報(レシピ)を読み込む。次に、主制御系20は、光源1から光を射出させて、光源1からの光が照明光学系IL及び投影光学ユニットPL1〜PL5各々を介してプレートステージPS上に照射されている状態にして、照度測定部29を用いてプレートステージPSに照射される光の照度むらを測定する。そして、照度むらの測定結果に基づいて、照明光学系ILの光学特性(照度むら、テレセントリシティー等)を調整する。
【0089】
次に、マスクステージMSに形成されている基準パターンを照明領域に移動させるとともに、空間像計測装置24に設けられている検出ユニットと投影光学ユニットPL1,PL3,PL5の投影領域とをX軸方向に整列させ、露光光を基準パターンに照射して基準パターンの像を検出ユニットで計測する。同様に、検出ユニットと投影光学ユニットPL2,PL4の投影領域とをX軸方向に整列させて、基準パターンの像を計測する。このようにして、主制御系20は、各投影光学ユニットPL1〜PL5各々から投影される基準パターンの像の配列、大きさ、位置、及び回転量、並びに各種の収差を求めて、投影光学ユニットPL1〜PL5の光学特性を検出する。
【0090】
投影光学ユニットPL1〜PL5の光学特性が得られると、主制御系20は投影光学ユニットPL1〜PL5各々の投影光学特性等を調整する。尚、具体的な調整方法は、図3に示す第1駆動部を介してフォーカス補正光学系36を駆動することにより、各投影光学ユニットPL1〜PL5における像面側(プレートP側)の焦点位置を調整する。また、必要に応じて第2駆動部41及び第3駆動部42を介して第1平行平面板37及び第2平行平面板38をそれぞれ駆動することにより、投影光学ユニットPL1〜PL5各々の像の投影位置の変動を補正する。
【0091】
更に、必要に応じて第5駆動部44を介して倍率補正光学系39を駆動することにより、各投影光学ユニットPL1〜PL5における倍率変動を調整(補正)する。また更に、必要に応じて、第4駆動部43を介して、像ローテーターとしての第2直角プリズム31bを駆動することにより、各投影光学ユニットPL1〜PL5における像回転を補正する。また、主制御系20は、必要に応じて、各収差の補正に有効なレンズを光軸方向又は光軸直交方向に沿って移動させたり、光軸に対して傾斜させたりすることにより、回転対称収差や非回転対称収差を補正する。また、主制御系20は、必要に応じて、視野絞りASをXY平面に沿って移動させたりZ軸廻りに回転させたりすることにより、視野絞り像の像位置の変動及び像回転を補正する。
【0092】
更に、各投影光学ユニットPL1〜PL5の光学特性を調整するのみならず、投影光学ユニットPL1〜PL5各々のZ方向の位置、マスクステージMSのZ方向の位置、又はプレートステージPSのZ方向の位置を調整することにより、投影光学ユニットPL1〜PL5のベストフォーカス位置にマスクM及びプレートPが配置されるようにする。
【0093】
以上の照明光学系ILの照明光学特性の調整及び投影光学系PLの投影光学特性の調整が終了すると、アライメント系27a,27bを照明光学系ILの照明領域内に配置し、各々のアライメント系27a,27bで基準部材28の位置を計測する。ここで、アライメント系27a,27bは予め投影光学系PLを介して計測した基準部材28の位置とプレートPに形成されたプレートアライメントマークの位置との相対関係により、プレートステージPS上に載置されたプレートPの位置を求めている。
【0094】
以上の工程が終了すると、主制御系20は、レシピに従って、マスクMを搬入してマスクステージMS上に載置するとともに、プレートを搬入してプレートステージPS上に載置する。そして、アライメント系27a,27bを用いてプレートPSの位置を計測した後、この計測結果に基づいてマスクMとプレートPとの相対的な位置合わせを行う。尚、プレートPには複数のショット領域が予め設定されているため、主制御系20のマスクMのパターンを転写すべきショット領域が、露光領域の近傍に配置されるように位置合わせする。そして、照明光学系ILから射出される露光光をマスクMの一部に照射し、マスクMとプレートPとをX方向に移動させつつ、マスクMに形成されているパターンDPの一部を投影光学系PLを介してプレートPのショット領域に順次転写する。
【0095】
1つのショット領域の露光が終了すると、主制御系20はレシピの内容に基づいて、次に露光すべきショット領域が有るか否かを判断する。露光すべきショット領域が有ると判断した場合には、マスクステージMS上に載置されているマスクを交換し、他のショット領域の露光を行う。一方、露光すべきショット領域が無いと判断した場合には、全てのプレートに対して露光が終了したか否かが判断される。全てのプレートに対して露光が終了していない場合には、マスクステージMS上のマスクMを交換するとともに、露光を終えたプレートPを搬出して新たなプレートPを搬入し、新たに搬入されたプレートに対する露光処理を行う。一方、全てのプレートに対して露光が終了した場合には、一連の処理が終了する。
【0096】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置にも適用可能である。また、上記実施形態では、照明光学系IL内に光源1として超高圧水銀ランプを備え、必要となるg線(436nm)の光、h線(405nm)、及びi線(365nm)の光を選択するようにしていた。しかしながら、これに限らず、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)を光源1として備え、これらのレーザから射出されるレーザ光を用いる場合であっても本発明を適用することが可能である。
【0097】
また、前述した実施形態においては、液晶表示素子を製造する場合を例に挙げて説明したが、もちろん、液晶表示素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、半導体素子等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンを半導体基板上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
【0098】
また、上述の実施形態では、各投影光学ユニットPL1〜PL5が一対の結像光学系30a.30bを有するマルチ走査型投影露光装置について本発明を適用しているが、各投影光学ユニットが1つ又は3つ以上の結像光学系を有する型式のマルチ走査型投影露光装置に対しても本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、投影光学系PLがマルチ型に構成された場合を例に挙げて説明したが、本発明はマルチ型以外の投影光学系、つまり鏡筒が1つの投影光学系にも適用することができる。
【0099】
次に本発明の一実施形態による露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図8は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。まず、図8のステップS10において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップS12において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップS14において、図1に示す露光装置を用いて、マスクM上のパターンの像がその投影光学系(投影光学ユニット)を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される(転写工程)。
【0100】
その後、ステップS16において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像(現像工程)が行われた後、ステップS18において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0101】
また、図1に示す露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図9のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図9は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子の製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【0102】
図9中のパターン形成工程S20では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S22へ移行する。
【0103】
次に、カラーフィルタ形成工程S22では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S22の後に、セル組み立て工程S24が実行される。セル組み立て工程S24では、パターン形成工程S20にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S22にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0104】
セル組み立て工程S24では、例えば、パターン形成工程S20にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S22にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S26にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0105】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子の近傍に高い透過率を有する屈折光学素子を少なくとも1つ備えた構成とし、屈折光学素子の光吸収による形状変化及び屈折率変化の少なくとも一方を抑えるようにしているため、投影光学系の光学特性の変動を少なくすることができるという効果がある。
また、投影光学系が複数の部分投影光学系から構成されている場合には、各々の部分投影光学系の光学特性の変動が少ないため、投影光学系の総合的な焦点深度を実質的に深くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】照明光学系ILの側面図であり、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。
【図3】投影光学系PLの一部をなす投影光学ユニットPL1の構成を示す側面図である。
【図4】瞳空間における光束の角度変化と合焦位置の変化との関係を説明するための図である。
【図5】図3のフォーカス補正光学系36の構成を概略的に示す図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)はXZ断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による投影光学系の第1実施例の構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による投影光学系の第2実施例の構成を示す図である。
【図8】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【図9】マイクロデバイスとしての液晶表示素子の製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
31a 第1直角プリズム(偏向部材)
31b 第2直角プリズム(偏向部材)
32a,32b レンズ群(第1屈折光学素子群)
33a,33b レンズ群(第2屈折光学素子群)
34a 第1凹面反射鏡(反射光学素子)
34b 第2凹面反射鏡(反射光学素子)
DP パターン
IL 照明光学系
L15,L16 レンズ(屈折光学素子)
L24,L25 レンズ(屈折光学素子)
M マスク
P プレート(基板)
PL 投影光学系
PL1〜PL5 投影光学ユニット(投影光学系)
Claims (14)
- 第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系において、
前記投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子と、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光路中であって前記反射光学素子の近傍に配置され、前記投影光学系の光学特性の変動を抑えるために高い透過率を有する少なくとも1つの屈折光学素子と
を備えることを特徴とする投影光学系。 - 前記屈折光学素子の透過率は、99.8%・cm−1以上であることを特徴とする請求項1記載の投影光学系。
- 前記光学特性の変動は、前記投影光学系の合焦位置の変動を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の投影光学系。
- 前記投影光学系は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光路中に配置されて、全体として正屈折力を持つ第1屈折光学素子群と、
前記第1屈折光学素子群と前記反射光学素子との間の光路中に配置されて、全体として負屈折力を持つ第2屈折光学素子群と
を備え、
前記少なくとも1つの屈折光学素子は、前記第2屈折光学素子群に含まれることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の投影光学系。 - 前記投影光学系は、前記第1面及び前記第2面と前記少なくとも1つの屈折光学素子との間の光路中に配置された偏向部材を含むことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の投影光学系。
- 前記反射光学素子の近傍は、前記反射光学素子からの光軸方向に沿った距離が、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との前記光軸方向に沿った距離の半分以下となる範囲であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の投影光学系。
- 第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系において、
前記投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子と、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子と
を備え、
前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の屈折光学素子の全ては、99.8%・cm−1以上の透過率を有することを特徴とする投影光学系。 - 第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系において、
前記投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子と、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子と
を備え、
前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の屈折光学素子は、
|t×α×k|<155
を満足することを特徴とする投影光学系。
但し、
t[mm]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の前記屈折光学素子の光軸に沿った中心厚であり、αは前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の前記屈折光学素子のdn/dT[×10−6/℃]であり、k[%・cm−1]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の前記屈折光学素子の吸収率である。 - 第1面の像を第2面上に結像させる投影光学系において、
前記投影光学系の瞳空間に配置された反射光学素子と、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光路中に配置された少なくとも1つの屈折光学素子と
を備え、
前記少なくとも1つの屈折光学素子のうち、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の屈折光学素子は、
|t×σ×k|<470
を満足することを特徴とする投影光学系。
但し、
t[mm]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の前記屈折光学素子の光軸に沿った中心厚であり、σ[cm/℃]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の前記屈折光学素子の線膨張係数であり、k[%・cm−1]は前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面と前記反射光学素子との間の光軸方向の距離の1/2よりも前記反射光学素子側の前記屈折光学素子の吸収率である。 - 前記投影光学系の前記第2面側の開口数は0.3以下であることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の投影光学系。
- 前記投影光学系は波長300nm以上の光に基づいて、前記第1面の像を前記第2面上に形成することを特徴とする請求項1から請求項10の何れか一項に記載の投影光学系。
- 請求項1から請求項11の何れか一項に記載の投影光学系と、
光源からの光に基づいて前記第1面に配置されるマスクを照明する照明光学系とを備え、
前記マスクのパターン像を前記投影光学系を介して前記第2面に配置される基板へ転写することを特徴とする露光装置。 - 前記投影光学系は、前記マスクのパターンの一部の像を前記基板上に形成し、
前記投影光学系に対して前記マスク及び前記基板を移動させて前記マスクのパターンの全部を前記基板へ転写することを特徴とする請求項12記載の露光装置。 - 請求項12又は請求項13記載の露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記基板に転写する露光工程と、
前記露光工程により露光された前記基板を現像する現像工程と
を含むことを特徴とする回路パターンの形成方法。
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-
2003
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