JP2004126239A - トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】オゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング工程を導入した環境に配慮したシステムにおいても、帯電部材汚染及び感光体傷の問題が生じず、長期にわたってカブリの無い安定した良好な画像が得られるトナーを提供する。
【解決手段】接触帯電及びクリーナーレス工程を有する画像形成法に用いられるトナー組成物が、少なくとも着色剤および結着樹脂を含有するトナー粒子と添加剤とからなり、添加剤は、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られるチタン化合物である。
【選択図】 なし
【解決手段】接触帯電及びクリーナーレス工程を有する画像形成法に用いられるトナー組成物が、少なくとも着色剤および結着樹脂を含有するトナー粒子と添加剤とからなり、添加剤は、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られるチタン化合物である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法,静電記録法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関するものである。詳しくは、本発明は、静電潜像担持体上にトナー像を形成し、転写材上にトナー像を転写して画像を形成する複写機,プリンター又はファックスに用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、複写機に使用されている画像形成方法は、一般に電子写真方式と呼ばれるものが広く知られている。この電子写真方式を用いた画像形成方法は、上記複写機の他にコンピューターの出力装置であるプリンター等にも利用されている。この電子写真方式における画像形成方法は、概略、先ず感光体表面を一様に帯電させ、帯電させた感光体表面に光像露光による静電荷潜像を形成し、その静電荷潜像にトナーを付着させて現像による最終的な画像形成を行う方法である。その後、形成された画像(トナー像)は普通紙等に転写され、次いで定着が施される。転写後は、クリーニング手段により感光体表面から未転写のトナーが除去されるようになっている。
【0003】
上記電子写真方式には、帯電方法、光像露光方法、転写・定着方法及び未転写トナーの回収方法、さらには使用現像剤等により、種々の形式の画像形成装置や画像形成方法が開発されている。例えば帯電方法では、従来より広く使用されているコロナ放電を利用した方法、帯電ローラーによる磁気ブラシを利用した方法、帯電ローラーを直接接触させる接触帯電方法等がある。また、光像露光方法でも、例えば一般に広く使用されている感光体表面の対面から光像を露光する方法、また近年開発された透明感光体の背面から露光して感光体表面に光像露光を行う背面露光法等が知られている。さらに、光像露光に使用する光源にも種々のものが開発されており、複写機には全面露光用のフラッシュランプ、スリット露光用のハロゲンランプ、蛍光ランプ等が、プリンターには、半導体レーザー光、発光ダイオード(LED)、液晶シャッター制御による蛍光ランプ等が用いられている。
【0004】
感光体の形状にも、通常広く使用されているドラム状のもの、さらにフィード現像法等で使用されるベルト状のもの等があり、さらに感光体の感光層もセレン等を使用した無機感光体やポリビニルカルバゾール(PVK)等の有機光導電物質を使用した有機感光体等の種々のものが知られている。転写・定着方法においても、転写時の帯電方法として前記コロナ放電を利用したもの、導電ローラーを利用した接触帯電方式等があり、さらに定着方法にも圧力定着方式、ヒートロール定着方式、フラッシュ定着方式及びオーブン定着方式等種々のものが開発されている。転写後の未転写トナーの回収方法にも、クリーナのブレードにより転写後の感光体表面から未転写トナーを掻き落とす従来より広く使用されている方法と、現像装置で未転写トナーを回収する近年開発されたクリーナレスシステムによる方法とがある。
【0005】
しかし、近年、世界的な規模での資源節約、地球環境の保護・整備等が求められている折、従来とは異なった新しい視点からの開発が特に重要になっている。複写機等の事務機器分野においても環境公害という側面から、従来の機能・価格重視という方向だけでなく、従来の要素に無公害化を目指す構成を取り入れた画像形成装置や画像形成方法の開発が求められている。
【0006】
このような時代の流れに即し、エコロジーに配慮した電子写真方式における画像形成方法としては、帯電工程において接触帯電方式を導入することによるオゾンレス帯電や、クリーニング工程を無くして現像工程で転写残トナーを回収することにより廃トナーを出さないシステム等が開発されている。
【0007】
従来広く使用されているコロナ放電を利用した帯電方法による電子写真方式では、空中放電のためにオゾンが発生するといわれている。オゾンは強い酸化力を有し、毒性が強いため、限られた事務スペースでのオゾンの発生は、周囲の機器構成部材の劣化を早めたり、人間の健康面にも大きく影響を与えたりする。このため適切なオゾン対策が切望されていた。
【0008】
そこでオゾンの発生抑制対策として、コロナ放電器を利用しない接触帯電手段が開発されている。具体的には、帯電部材である導電性ローラーに電圧を印加してローラーを被帯電体である感光体に接触させて感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電手段を用いればコロナ放電器と比較して低電圧が図れ、オゾン発生量も減少する。
【0009】
例えば、特許文献1においては、芯金にナイロン又はポリウレタンゴムからなる誘電体を被覆したローラーを使うことによって感光紙を荷電するときに低電圧印加を可能にしている。
【0010】
一方、感光体のクリーニング工程については、従来の機器構成では転写後の未転写トナーはブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等の手段が用いられており、該手段は力学的に感光体上の転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと転写残トナーを捕集し、後日回収・廃棄するというものであるが、エコロジーの観点より廃トナーの出ないシステムが待望されている。
【0011】
そこで、トナーを極力回収・廃棄の頻度を少なくして現像剤の効率使用を図るため、未転写トナーを現像装置で回収し、回収したトナーをさらに感光体表面に搬送してトナーのリサイクル使用ができるクリーナレスシステムが提案されている。
【0012】
しかし、環境に配慮したオゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング技術を用いた場合、カブリトナーや転写残トナーの帯電部材汚染による帯電不良や、耐久及び温湿度の変化により蓄積された劣化トナーや遊離外添剤が引き起こす感光体フィルミング及び傷による画像品質の低下等の問題が生じる。
【0013】
そこで、上記の問題点を改良すべく種々の方策が試みられており、例えば接触帯電部材からの対策としては、帯電部材表層に弾性層を設けたり離型層を設けたりしている。一方、感光体からの対策としては、例えば特許文献2において、感光体表面を均一化部材で均一化することにより、フィルミングを防止することが提案されている。確かに上述の方策で被帯電体への固着現象や感光体のフィルミングはかなり軽減されはしたが、長期にわたって、かつ種々の環境で安定な帯電工程を達するためにはトナーの改良なくしては困難であることがわかった。
【0014】
従って、接触帯電及びクリーナーレスシステムにおける画像形成方法を安定かつ高品位で実現させるためのトナーとしては、従来の高画質化、高速化、小型化及び低価格化等々の価格や機能面を重視した考えから主に設計・開発されたトナーでは不十分であり、流動性、転写性、現像性、帯電安定性に特に優れたものであることが要求される。
【0015】
上記の特性を満たすために、従来よりシリカ等の無機酸化微粉末をトナーに添加すること等がなされている。しかしながら、一般に使用されるシリカ系微粉末の場合、トナー流動性向上効果は特に優れるが、負極性が強く、特に低温低湿下において負帯電性トナーの帯電を過度に増大させてしまうため、たとえ含窒素化合物処理等により帯電抑制を施してもトナーには適さず、高温高湿下においては水分を取り込んで帯電性を減少させるため、両者の帯電性に大きな差を生じさせることになる。その結果、現像剤担持体上へのトナーの搬送性、及び帯電性を高温高湿、低温低湿下の双方において最適なものにすることができず、画像濃度再現不良、背景カブリ、トナーのボタ落ち、更には機内汚染等を生じてしまうという問題があった。
【0016】
これらを改善する目的で無機微粉末を表面処理したものを用いることが提案されている。例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5等にはシリカ微粒子の表面を疎水化処理することが記載されている。
【0017】
しかしながら、これらの無機微粉末を用いるだけでは、特に帯電性において十分な効果が得られておらず、特に、高温高湿において十分な帯電性を付与できるケースにおいては、低温低湿において超過度な帯電を付与してしまい、現像剤担持体上の搬送量が過度になり、帯電のブロード化が激しくなり、特に現像性低下、カブリの度合いがひどくなる場合がある。
【0018】
また、トナー粒子の負帯電性を緩和する方法としては、前述したアミノシランで表面処理されたシリカ微粒子を外添させる方法(特許文献6)が知られている。しかし、これらのアミノ化合物による処理では、特に低温低湿下における負帯電性トナーの過剰な帯電上昇は抑制できるものの、シリカ微粉末自身の持つ環境依存性を充分に改善することはできない。すなわち、高温高湿下においても同様な電荷の中和が起こるため、相変わらず環境依存性は改善されず、搬送不良、帯電不良を原因とする背景部カブリ、画像濃度低下を引き起こす。
【0019】
以上の様に、シリカ微粒子は、疎水化処理、負帯電性を緩和させる処理等をおこなっても、シリカの持つ帯電の環境依存性、帯電速度、帯電分布の悪さを改善するには至っていないのが現状である。また、帯電・流動性目的に添加される無機酸化物が、一般に使用される酸化チタンの場合は、帯電の立ち上がりがシリカに対して速く、且つ酸化チタンが持つ低抵抗のためか帯電分布がシャープになるという特徴をもっている。しかしながら、酸化チタンを添加するケースは、トナーに高帯電を付与することができず、搬送量の低下、帯電低下による濃度再現性の低下、背景部カブリを生じ易い。
【0020】
この帯電性を改善する目的で、二成分系、一成分系を問わず、疎水性酸化チタンをトナーに外添する方法が提案されている(特許文献7、特許文献8等)。疎水性酸化チタンは、その表面をシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等で処理することによって得られる。本方法により、確かに帯電性は未処理の親水性酸化チタンに対して上げることは可能であり、二成分系トナー、磁性一成分系のトナーに使用され、上市されている例もある。しかし、本方法により、処理剤の種類及び量によりある程度の帯電レベルの改善はできるが、その帯電レベルはまだ満足できるレベルになく、また、環境依存性においても限界がある。また、処理剤で酸化チタンの疎水化を上げることによって、帯電レベルの向上、環境依存性の向上は、従来の親水性酸化チタンより確かに優れてはいるが、酸化チタンはシリカに比べて元来表面活性が低く、少ない処理剤で、上記特性を達成するのはまだまだ満足のいくレベルにはない。
【0021】
また、酸化チタンは、主にイルメナイト鉱石から硫酸法、または塩酸法により酸化チタン結晶を取り出す方法により得られるが、これらは湿式法により酸化チタンが精製され加熱、焼成により得る為に、脱水縮合の結果生じる化学結合も当然存在し、既存の技術ではこのような凝集粒子を再分散させることは容易ではない。即ち微粉末として取り出した酸化チタンは2次、3次凝集を形成しており、トナーの流動性向上効果もシリカに比べ著しく劣るものであった。特に近年カラー等の高画質要求が市場では高まっており、トナーの粒径を細かくし高画質を達成しようという試みがなされているが、トナー粒子を細かくすることで粒子間付着力が増え益々トナーの流動性が悪化し、本現象は顕著である。また、従来から使われている酸化チタンは、シリカに対し比重が大きいためか、トナー表面に強固に着かず、トナー表面から脱離しやすいという欠点を併せ持つ。このため、スリーブ汚染を伴う長期の帯電安定性に対し劣り、また、感光体の汚染も引き起こし易いため、画質劣化、画質欠陥の原因となる。
【0022】
流動性向上と帯電の環境依存性の両立を達成するために、疎水性酸化チタンと疎水性シリカの併用添加が試みられている(特許文献9)。この手法により、疎水性シリカおよび疎水性酸化チタンのそれぞれの欠点が一時的には抑制されるものの、分散状態によりどちらかの添加剤の影響を受けやすい。特に維持性を考慮した際、安定にトナー表面での分散構造を制御することは困難であり、スリーブ上のストレスにより疎水性シリカあるいは疎水性酸化チタンのそれぞれの特徴が現れやすい。即ちそれぞれの欠点を長期に渡り安定的に制御することは困難であった。
【0023】
次に疎水性アモルファス酸化チタンをトナーに添加する方法が提案されている(特許文献10)。アモルファス酸化チタンはCVD法を用いて、金属アルコキシドあるいは金属ハライドを加水分解することにより得ることができる(非特許文献1)。しかし、このように加水分解法により得られた酸化チタンは帯電特性とトナー流動性向上の両立はできるものの、粒子内部に吸着水を多く有し、転写時にそれ自身で感光体に残留する。即ちアモルファス酸化チタンと感光体との付着力が強くそれのみが転写されずに感光体上に残り、画像上の白点抜けあるいはクリーニング時に硬い酸化チタンで感光体上に傷を付ける等の欠点を有している。
【0024】
またメタチタン酸を湿式法によって作製し、加熱、焼成工程をへずに凝集を押さえた状態で有機系シラン化合物により表面処理された疎水性メタチタン酸を、トナーに外添混合する方法が提案されている(特許文献11)。しかし、本手法において、凝集を押さえた疎水性メタチタン酸を得ることができるものの、メタチタン酸とシラン化合物との間の反応が不十分であり、またシラン化合物の処理量が多いため、シラン化合物がメタチタン酸と加水分解反応することなく自己縮合し、メタチタン酸表面に物理的に吸着しているだけのシラン化合物が多くなる。そのため、長期にわたり連続現像が行われ、キャリア等の帯電付与部材等によりトナーへのストレスが加わった際に、疎水性メタチタン酸表面からシラン化合物が脱離し、所定の疎水化機能を維持できない、あるいは脱離したシラン化合物が静電荷像担持体表面に癒着もしくは傷をつけ、さらには帯電部材等を汚染し、所望の帯電量を得られなくなり、高品位の画像を得ることができないことが判明した。
【0025】
近年、市場においてカラー複写機やカラープリンターの高精細,高画質化の要求もさることながら、より高速化による高生産性といった面での要求も高まりつつある。この様な要求に対し、これらの無機酸化物をトナー表面に添加すると、長期の連続使用により層形成部材等によりトナーヘストレスが加わり、層形成部材へのトナーフィルミング・融着が発生したり、外添剤の剥がれや埋め込みなどによるトナー帯電性の変化が起こるため、安定したトナー帯電、搬送を長期に維持することが難しくなる。これらの問題を解決するために、特許文献12、特許文献13等では、外添剤の埋め込み防止のため、特定のバインダー樹脂を使用することが提案されている。また特許文献14、特許文献15、特許文献16等では、特定の帯電制御剤、外添剤を使用することが提案されている。しかしながら、これらの効果はいずれも十分とはいえず、特に二成分現像剤を用い電子複写装置により多数枚連続複写を行うと、初期には鮮明で良好であった画像が、数万枚複写後はカブリが著しく増加し、階調性及び鮮明性に乏しい画像となる。
【0026】
すなわち多数枚の連続複写を行うと、通常、初期は高画像濃度の複写物が得られるが、次第にトナーの帯電が不均一となり、濃度低下が生じたり、帯電不十分の状態で、カブリの原因となったり、現像スリーブ上での部分的なトナー量の増減が生じ、画像のカスレや画像濃度の一様性が得られなくなる傾向がある。
【0027】
上述のとおりトナーに安定な帯電特性を付与する手段として外添剤添加が一般的ではあるが、いずれの場合においてもそれらが欠落,脱離,移行等を生じた場合、帯電特性に様々な障害を与え最終的な画像品質の低下を招く事になる。とりわけ、接触帯電及びクリーナーレスシステムを実現させる為には特に外添剤の高性能、高機能化が求められる。
【0028】
【特許文献1】
特開昭50−13661号公報
【特許文献2】
特開平5−61383号公報
【特許文献3】
特開平3−145653号公報
【特許文献4】
特開平4−309961号公報
【特許文献5】
特開平4−80764号公報
【特許文献6】
特開平10−039534号公報
【特許文献7】
特開平09−325517号公報
【特許文献8】
特開平11−237763号公報
【特許文献9】
特開平2−27664号公報
【特許文献10】
特開平5−72797号公報
【特許文献11】
特開平10−123822号公報
【特許文献12】
特開平6−102699号公報
【特許文献13】
特開平6−266156号公報
【特許文献14】
特開平6−51561号公報
【特許文献15】
特開平6−208242号公報
【特許文献16】
特開平6−250442号公報
【非特許文献1】
化学工学論文集(第18巻,第3号,303〜307(1992)
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境に配慮し、且つ上記の問題点を解消したオゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法に供するトナーを提供することにある。即ち、トナーの帯電部材表面への固着を防ぎトナーの被帯電体へのフィルミングによる帯電不良や帯電ムラを起こさない接触帯電工程と、高解像度、高精細な画像が得られ、且つ現像、転写工程を経た後、被帯電体上に残留することが極めて少なく、帯電部材表面にも被帯電体表面にも固着の生じないトナーを用いた現像工程、転写工程を有する画像形成方法に供するトナーを提供することを目的とする。
【0030】
さらに本発明の目的は、静電荷像担持体表面の傷の発生を防止し静電荷像担持体の寿命の低下が無く、長期にわたる連続現像においても現像剤担持体の表面劣化を抑制し、画質欠陥や画像濃度低下が少なく耐久性に優れ、また温湿度等の環境に左右されにくく、良好な帯電安定性、流動性などに優れたトナーを提供することにある。
【0031】
さらに本発明の目的は、低現像性やカブリ等の問題を生じないトナーを提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、▲1▼導電性ゴム層とその外側に離型性皮膜を有する帯電部材に外部より電圧を印加し感光体に接触帯電を行う帯電工程、▲2▼帯電された感光体を露光して静電荷潜像を形成する露光工程、▲3▼感光体をトナーで現像を行う現像工程、▲4▼トナー像を中間転写体を介して、または介さずに転写材へ転写する転写工程、▲5▼転写後に静電潜像担持体上に残存するトナーを該現像工程で現像手段に回収する現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法に供するトナーであって、
該トナーが、少なくとも着色剤および結着樹脂を含有するトナー粒子と添加剤を有し、該外添剤が、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られるチタン化合物であることを特徴とするトナーを使用することにより、静電荷像担持体表面を傷つけることがなく、長期にわたる連続現像において画質濃度変化、カブリ、フィルミングが無い安定した画像が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0033】
さらに本発明では、該メタチタン酸のSiO2量が1〜20質量%であり、かつトルエン抽出によるC量減少率が25%以下、SiO2量減少率が25%以下になるように有機系シラン化合物で表面疎水化処理されている疎水性メタチタン酸微粒子が、長期に渡る帯電安定性に優れ、またトナーから外添剤が遊離することなく、遊離外添剤の凝集物による感光体の傷及び外添剤遊離トナーによる帯電部材汚染、感光体フィルミング等の防止に特に有効であることを見出した。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の現像剤は、▲1▼導電性ゴム層とその外側に離型性皮膜を有する帯電部材に外部より電圧を印加し感光体に接触帯電を行う帯電工程、▲2▼帯電された感光体を露光して静電荷潜像を形成する露光工程、▲3▼感光体をトナーで現像を行う現像工程、▲4▼トナー像を中間転写体を介して、または介さずに転写材へ転写する転写工程、▲5▼転写後に静電潜像担持体上に残存するトナーを該現像工程で現像手段に回収する現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法における現像剤に使用される。
【0035】
本発明に適用可能な接触帯電装置は例えば図1のごときものである。2は帯電部材、2aは導電性支持体、2cは抵抗制御層、2dは表面層を示す。帯電ローラは抵抗制御層2cのない弾性層2bと表面層2dの構成であってもよい。
【0036】
本発明に用いられる導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0037】
帯電ローラ2において、弾性層2bには、帯電ローラ2の感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な弾性を持たせてある。
【0038】
帯電ローラ2bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック等の導電性粒子あるいはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を添加することにより調整される。弾性はプロセス油及び可塑剤等の添加により調整される。弾性層2bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂等の樹脂も挙げられる。また、前述の弾性材料の発泡体を弾性層2bに用いてもよい。
【0039】
前記弾性層の電気抵抗は、1×103〜1×1010[Ωcm]の範囲の導電性を有していることが好ましい。
【0040】
表面層2dは、弾性層2b中の可塑剤等の帯電ローラ表面へのブリードアウトを防止するためや帯電ローラ表面の滑り性や平滑性を維持するために設けることが多い。表面層2dは塗工あるいはチューブを被覆することによって設ける。
【0041】
表面層2dを塗工により設ける場合、具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂等の樹脂、更にはエピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル系ゴム等が挙げられる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ロール塗工法及びスプレー塗工法などがよい。
【0042】
また、表面層2dをチューブを被覆することにより設ける場合、具体的な材料としては、ナイロン12、PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、FEP(4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂)、更にはポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系及びポリアミド系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0043】
チューブは熱収縮性チューブであってもよいし、非熱収縮チューブであってもよい。表面層2dにも適度な導電性を持たせるため、カーボンブラック及びカーボングラファイトのような導電性粒子や、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛及び導電性酸化錫等の導電性金属酸化物等の導電剤が用いられる。
【0044】
前記表面層の電気抵抗は、1×105〜1×1014[Ωcm]の範囲であることが好ましい。
【0045】
抵抗制御層2cは帯電部材の抵抗を制御するために設けることが多い。抵抗制御層2cの具体的材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂、さらにはエピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル系ゴム等が挙げられる。抵抗制御層2cにも抵抗調整を目的として、カーボンブラックやカーボングラファイトのような導電性粒子や、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛及び導電性酸化錫等の導電性金属酸化物あるいはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を分散することができる。
【0046】
抵抗制御層2cもまた塗工あるいはチューブを被覆することによって設ける。
【0047】
前記抵抗制御層の電気抵抗は、1×106〜1×1010[Ωcm]の範囲であることが好ましい。
【0048】
本発明における体積抵抗率の測定は、JIS K 6911に準じて行ったものである。
【0049】
本発明に用いる潜像保持体の感光層としては、有機系、アモルファスシリコン等公知のものが使用できる。また、感光層を保持する円筒状保持体としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出し成型後、表面加工する等の公知の製法により得られる。
【0050】
本発明に用いられる現像方法として、反転現像方法が好ましく用いられる。二成分磁気ブラシ現像方法を用いる場合は、磁性キャリアとして、磁性フェライト粒子,マグネタイト粒子,鉄粉あるいは、それらをアクリル樹脂,シリコーン樹脂,フッ素樹脂の如き樹脂でコーティングしたものが用いられる。このとき、現像時あるいは現像前後の空白時には、直流あるいは交流成分のバイアスを現像剤担持体に印加し、感光体上の転写残トナーを回収できるような電位に制御される。このとき直流成分は、明部電位と暗部電位の間に位置するように設定するのが好ましい。
【0051】
一成分系現像剤として、現像剤担持体である弾性ローラー表面にトナーをコーティングしこれを感光体表面と接触させる方法も用いられる。トナーは磁性トナー又は非磁性トナーのどちらでも良い。このとき、トナーを介して、感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像と同時にクリーニングを行なうために、弾性ローラー表面あるいは表面近傍が電位をもち、感光体表面と弾性ローラー表面との狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴム層が中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面と接する外側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブあるいは、絶縁性スリーブで感光体表面と接しない内側に導電層を設けた構成も可能である。
【0052】
一成分接触現像法を用いた場合、トナーを担持するローラー表面と感光体の回転方向と同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合感光体の周速に対して、周速比で100%以上(好ましくは110%以上)が好ましい。100%未満であると、画像品位が低下しやすい。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、静電荷潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分にはトナーが付与されるという繰り返しにより、静電荷潜像に忠実な画像が得られる。現像同時クリーニングという観点では、感光体上に密着した転写残トナーを感光体表面と現像剤担持体との周速差により物理的に引き剥がし電界により回収するという効果も期待できることから、周速比は高いほど転写残トナーの回収には都合がよい。
【0053】
転写工程は、潜像保持体上のトナー画像を転写体(例えば、紙等)に転写する。本発明における転写手段としては、潜像保持体に転写ローラーを圧接させる接触型のものと、コロトロンを用いる非接触型等の公知のものがあげられるが、環境配慮及び装置の小型化の点で接触型のものが一般に使用されている。
【0054】
接触型転写工程の具体例としては、静電荷潜像担持体である感光体と転写材を介して転写手段を当接しながらトナー画像を転写材に静電転写する。転写手段の当接圧力としては、線圧が2.94N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。
【0055】
当接圧力としての線圧が2.94N/m未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0056】
接触転写工程における転写手段としては、転写ローラーあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。転写ローラーは少なくとも芯金と導電性弾性層とを有する。導電性弾性層はカーボンの如き導電材を分散させたポリウレタンやEPDMゴムが使用され、体積抵抗106〜1010Ωcmを有する。
【0057】
本発明に用いる現像剤は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子と添加剤とからなる。添加剤は、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られたチタン化合物である。
【0058】
さらに本発明の現像剤に用いる疎水性メタチタン酸微粒子を完成させた経過について説明を行う。
【0059】
安定した帯電性能及び流動性を付与でき且つトナーから遊離することの無い添加微粒子を完成させる為に、均一で密着性に優れた疎水化処理を達成した単分散微粒子を目標に、メタチタン酸を乾燥・焼成した粉末を粉砕・分散することで単分散化を図り、水系で有機系シラン化合物を処理する方法を検討したが、この方法では、特にメタチタン酸の粒径が細かくなるとメタチタン酸の乾燥・焼成時に強い凝集を起こした。そのため、疎水化度を高くすることはできたが、比表面積が小さく、分散性の劣るものであり、従来からある超微粒子酸化チタンと大差ないものとなった。
【0060】
そこで、この問題を解決するために鋭意検討を続けた結果、メタチタン酸を塩酸解膠し、非凝集性のスラリーとした状態で有機系シラン化合物を添加し被覆処理を行うことにより、含水物であるメタチタン酸であるにもかかわらず、固液分離し、乾燥した粉末は高い疎水化度を有し、しかも高い比表面積を有しており乾燥後も非凝集性を維持した分散性の良好な微粒子であることが判明し、接触帯電及びクリーナーレスシステムに最適な本発明のトナー添加微粒子を完成するに至った。さらには、有機系シラン化合物を水系中で添加撹拌処理した後、中和、洗浄、乾燥する前に、いったん反応スラリーをアルカリにし、撹拌保持することにより、有機系シラン化合物のメタチタン酸への固着力が向上し、その結果、長期にわたり連続現像が行われ、層形成部材等によりトナーへのストレスが加わった際に、トナー粒子からの疎水性メタチタン酸微粒子の表面からの脱離を抑制することができ、更には、疎水性メタチタン酸微粒子表面からの有機系シラン化合物の脱離が抑制され、長期にわたりトナーに所望の疎水化機能、帯電付与能力等を維持でき、静電荷像担持体表面へ癒着、もしくは傷つけることなく、カブリ、白点抜け、フィルミング等のない高品位な画像を得ることができると判明し本発明を完成するに至った。
【0061】
本発明におけるメタチタン酸微粒子及び疎水性メタチタン酸微粒子の製造方法についてさらに詳しく述べる。
【0062】
本発明におけるメタチタン酸微粒子としては、特に湿式法で作製されることが望ましい。また本発明においてメタチタン酸微粒子の有機系シラン化合物の処理方法としては、特に指定するものではなく、公知の方法により行うことができるが、水系スラリー中でメタチタン酸微粒子を撹拌分散しながら、有機系シラン化合物を加水分解させて処理する方法が効果的であり、溶剤を使用しない点でも好ましい。
【0063】
一般に、通常の湿式法による酸化チタンの製法は、溶媒中で化学反応を経て製造され、硫酸加水分解法と塩酸加水分解法に分けることができる。硫酸加水分解法は簡略すると下記の反応が液相で進み、不溶性のTiO(OH)2が加水分解により作製される。
FeTiO3+2H2SO4→FeSO4+TiOSO4+2H2O
TiOSO4+2H2O →TiO(OH)2+H2SO4
【0064】
また、塩酸加水分解法は、乾式法と同様手法にて塩素化により4塩化チタンを作製する。その後水に溶解させ、強塩基を投入しながら加水分解し、TiO(OH)2が作製される。簡略すると以下の様になる。
TiCl4+H2O →TiOCl2+2HCl
TiOCl2+2H2O→TiO(OH)2+2HCl
【0065】
通常の酸化チタンの作製工程は、この後水洗、ろ過を繰り返し、焼成によって酸化チタンが得られる。さらに必要に応じ解砕、粉砕後シラン化合物の様な処理を施されることになる。しかし、従来のこの酸化チタンの作製は、焼成工程でTi同士の結合の強さから粒子同士焼結し、凝集を数多く発生するという重大な欠点を有する。この重大な欠点を解決させるために、湿式粉砕の強化、乾燥前の処理剤反応など数多くの工夫がなされているが、この凝集を一次粒子まで解砕させることは現状ではできていない。この酸化チタンをトナーの添加剤に適用しても、トナー上のカバレッジをシリカ粒子と合わせてもシリカ並みの流動性を得ることはできず、その現象は、粒子の凝集が起因すると思われ、その結果、感光体傷、フィルミングが発生することになる。また、酸化チタンが凝集していることにより、シラン化合物によりを均一に表面疎水化処理することができず、トナーへの帯電付与能力、トナーの帯電速度、帯電分布に対して満足できるレベルに無い。
【0066】
これらの問題を解決するため、本発明のメタチタン酸は、解膠処理を行う。解膠処理方法としては、いくつかの方法がある。例えば、凝集メタチタン酸のスラリーにアンモニアや苛性アルカリを加え、中和後、ろ過、水洗して残存している硫酸根を除去し、引き続き塩酸、硝酸、トリクロル酢酸などの強塩基性一塩基酸を加えてpH3以下、好ましくはpH0.9〜2.0にする方法がある。また、脱硫酸根の処理を行うことなく、凝集メタチタン酸のスラリーに、硫酸根と反応して不溶性の硫酸鉛を形成すると同時に一塩基酸を形成するような塩、例えば塩化バリウムを添加する方法等がある。異物質の混入がなく、また、有機系シラン化合物を溶解し、反応し易い状態とするには、前者の方法、特に塩酸を使用して解膠する方法がより適している。
【0067】
次に本発明のメタチタン酸微粒子への有機系シラン化合物による表面疎水化処理方法について述べる。上記解膠処理方法により得られるメタチタン酸微粒子の酸性スラリーに、有機系シラン化合物を添加するときは、必要に応じて酸を用いてpH3.0以下、好ましくはpH2.0以下で行う。pHを上記値以上にすることによって有機系シラン化合物の被覆処理を均一に促進できる。また、撹拌保持した後、有機系シラン化合物の自己縮合反応を抑制し、より効率的に加水分解反応を促進する目的で、中和する前にいったん反応スラリーをアルカリを用いてpH7〜13、好ましくは9〜13、さらに好ましくは9〜11にし、また、反応スラリーの温度を20〜100℃、好ましくは30〜70℃に加温し撹拌保持する。その後さらに加水分解反応を促進する目的で、必要に応じて酸、アルカリを用いてpHを4〜9、好ましくは5〜7、反応スラリーの温度を20〜100℃、好ましくは30〜70℃になるように中和を行い、洗浄し、100〜190℃にて乾燥を行う。
【0068】
本発明における疎水性メタチタン酸微粒子は、上述した湿式工程の中で作製されるメタチタン酸微粒子を、数百度の焼成工程をへずに酸性スラリー下にて有機系シラン化合物と反応させ、メタチタン酸微粒子と有機系シラン化合物との間の加水分解反応を促進する目的で、いったん反応スラリーをアルカリを用いてpH7〜13に撹拌保持した後、中和、ろ過、洗浄し、乾燥させて作製される。この場合、得られる疎水性メタチタン酸微粒子は、数百度という焼成工程を通らないので、Ti同士の強い結合がないため、凝集が全くなく、粒子はほぼ一次粒子の状態で有機系シラン化合物で疎水化処理することができる。その結果、従来の酸化チタン微粒子は、凝集性が高く、所望の疎水化、帯電付与能を得るために過剰の有機系シラン化合物の処理量を必要としていたのに対し、本発明の製造方法では、メタチタン酸微粒子の凝集性が低いために、有機系シラン化合物をメタチタン酸微粒子表面に均一に処理することができ、過剰の有機系シラン化合物の処理量を必要としない。
【0069】
さらに本発明の製造方法においては、メタチタン酸微粒子を酸性スラリー下にて有機系シラン化合物を反応させた後、いったん反応スラリーをアルカリを用いてpH7〜13にし撹拌保持するため、有機系シラン化合物の自己縮合反応速度が抑えられ、メタチタン酸微粒子との加水分解速度を促進させることができる。pHが13より大きい場合、目的とするメタチタン酸微粒子を得ることが可能であるが、中和、洗浄等のハンドリングにおいて好ましくない。pHが7より小さい場合、メタチタン酸表面に自己縮合により生成し物理的に吸着した有機系シラン化合物の割合が多くなり、有機系シラン化合物がメタチタン酸粒子に対して効率的に加水分解反応を行えないため、メタチタン酸表面に化学的に吸着している有機系シラン化合物の割合が少なくなる。
【0070】
即ち本方法により、メタチタン酸微粒子表面に物理的に吸着している有機系シラン化合物を減らし、化学的に結合しているシラン化合物を多くすることができるため、メタチタン酸に対する有機系シラン化合物の被覆力が強くなる。さらには、化学的に結合している有機系シラン化合物を多くすることにより、効率的にメタチタン酸微粒子を被覆、疎水化処理することができ、有機系シラン化合物の処理量を減らすことができる。その結果、長期にわたり連続現像が行われ層形成部材等によりトナーへのストレスが知った際に、トナー粒子からの、疎水性メタチタン酸微粒子の表面からの脱離を抑制でき、更には、疎水性メタチタン酸微粒子表面から有機系シラン化合物の脱離が抑制され、長期にわたりトナーに所望の疎水化機能、帯電付与能力等を維持でき、静電荷像担持体表面へ癒着、もしくは傷つけることなく、カブリ、白点ぬけ、フィルミング等のない高品位な画像を得ることができる。
【0071】
反応スラリーをpHを7〜13にする際、もしくはまた中和の際に用いるアルカリとしては、公知のものが使用できるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、アンモニアガスなどを使用することができる。
【0072】
また中和の際に用いる酸としては、公知のものが使用できるが、例えば、塩酸、硝酸、炭酸、酢酸、トリクロロ酢酸等を使用することができる。
【0073】
水洗後の乾燥温度は100〜190℃、好ましくは110〜170℃である。低過ぎると乾燥効率が悪く、疎水化度が低くなる。高過ぎると、炭化水素基の熱分解が起り、変色と疎水化度の低下が起こる。
【0074】
本発明に用いる有機系シラン化合物としては一般的に公知のものであれば特に制約されるものではないが、表面改質の目的(例えば帯電特性のコントロール、更には高湿下での帯電の安定化)及び有機系シラン化合物の反応性に応じて適宜選択すれば良い。例えばアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、シロキサン、シラン、シリコーンオイル等の有機系シラン化合物が使用できる。有機系シラン化合物による疎水化処理は疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。例えば1種類の有機系シラン化合物単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類の有機系シラン化合物で同時に、または有機系シラン化合物での疎水化処理を行った後、別の有機系シラン化合物で更に疎水化処理を行っても良い。またシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等の一般的に公知の疎水化剤を併用しても良い。
【0075】
特に好ましいものとしては、カップリング剤の如く、揮発性を有し、疎水性基及び反応性に富んだ結合基の双方を有しているアルコキシシランを用いるのが良い。
【0076】
具体的に例えばシランカップリング剤としては、一般式
RmSiYn
R:アルコキシ基
m:1〜3の整数
Y:アルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体
n:1〜3の整数
で表されるものが好ましく、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オタタデシルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0077】
本発明にて特に好適なのは、一般式
CnH2n+1−Si−(OCmH2m+1)3
n=4〜12
m:1〜3
で示されるカップリング剤である。ここで、一般式におけるnが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が充分に達成出来ない。またnが12より大きいと、疎水性が十分になるが、酸化チタン同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下してしまう。また、mは3より大きいと、反応性が低下して疎水化が十分に行われなくなってしまう。
【0078】
従って、本発明において、nは4〜12、好ましくは4〜8、mは1〜3、好ましくは1〜2が良い。
【0079】
本発明に用いるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0080】
メタチタン酸微粒子に対する有機系シラン化合物の処理量は、疎水性メタチタン酸微粒子のSiO2量が1〜20質量%で、かつトルエン抽出によるC量減少率が25%以下、SiO2量減少率が25%以下となるような処理量であればよい(C量、SiO2量の測定方法及びトルエンによる抽出方法は後述する)。
【0081】
SiO2量が20質量%より大きい、あるいはトルエン抽出によるC量減少率が25%より大きく、SiO2量減少率が25%より大きい場合、メタチタン酸表面に物理的に吸着した有機系シラン化合物の部分が多くなり、長期にわたり連続現像が行われキャリア等の帯電付与部材によりトナーへのストレスが加わった際に、疎水性メタチタン酸微粒子の表面から有機系シラン化合物の脱離し、長期にわたりトナーに所望の疎水化機能、帯電付与能力等を維持できず、あるいは脱離した有機系シラン化合物が静電荷像担持体表面へ癒着、もしくは傷つけるため、カブリ、白点ぬけ、フィルミング等が生じ、高品位な画像を得ることができない。また余剰な有機系シラン化合物により、オイル化し、トナーの流動性に不具合が生じる。
【0082】
また疎水性メタチタン酸微粒子のSiO2量が1質量%未満である場合、所望の疎水化度を得ることができない。
【0083】
本発明において、有機系シラン化合物で表面処理された疎水性メタチタン酸微粒子の疎水化度は、40〜90%の範囲であり、50〜80%であることが好ましい。
【0084】
疎水化度が40%より小さい場合には、トナーの摩擦帯電量が低下しやすく、特に高湿環境下で帯電量が低下して、トナー飛散、カブリ、画質劣化が生じやすい。また、疎水化度が90%より大きい場合には、疎水性メタチタン酸微粒子自身の好適な帯電コントロールが困難となり、特に、低湿環境下でトナーがチャージアップしやすい。
【0085】
疎水化メタチタン酸微粒子の個数平均粒径は、トナーへの流動性付与、研磨性の点から10〜100nmであることが好ましい。
【0086】
個数平均粒径が10nmより小さい場合には、トナー粒子表面に埋め込まれ易いためトナー劣化が早期に生じやすく、耐久性が低下し、また疎水化剤及び荷電制御剤により表面処理された無機微粒子の研磨性が低い。
【0087】
個数平均粒径が100nmより大きい場合には、トナーの流動性が低下するために帯電が不近一となりやすく、その結果として画質の劣化、トナー飛散、カブリが生じやすい。また、感光体表面に大きな傷を付けやすく、ハーフトーン画像のざらつき感が目立つ等の画像欠陥を生じやすくなる。
【0088】
疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積は、50〜350m2/gの範囲が好ましい。
【0089】
疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積が50m2/gより小さい場合には、疎水性メタチタン酸微粒子の粒径が大きくメタチタン酸の凝集体或いは粗大粒子が存在することを示し、トナーの流動性の低下や、感光体表面を傷つけることによる画像品位の低下等の問題が生じやすい。また、疎水性メタチタン酸微粒子の粒径がトナー粒子から遊離し易く、遊離した疎水性メタチタン酸微粒子が、多量に現像機内に残留したり、画像形成装置本体内の各種装置に付着し、悪影響を及ぼすため、好ましくない。
【0090】
疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積が350m2/gより大きい場合には、疎水性メタチタン酸微粒子への水分吸着量が多くなり、トナーの帯電特性へ悪影響を及ぼす場合がある。特に、高湿環境下でトナーの摩擦帯電量が低下し、トナー飛散、カブリ、画質劣化が発生しやすくなる。
【0091】
上記疎水性メタチタン酸微粒子は、トナー100質量部に対して0.01〜10質量部が外添剤として外添混合され、好ましくは0.05〜5質量部が外添混合される。該疎水性メタチタン酸微粒子は、単独、または2種以上で用いても、また、他の外添剤を複数併用しても良い。
【0092】
本発明に係る他の外添剤としては、従来の如くシリカ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化セリウム、フッ化セリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化錫等の各種無機微粒子、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンの如き有機微粒子を単独あるいは組み合わせて用いてもよい。トナー粒子に対して上述した微粉末を外添することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー粒子相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上する。しかしながら、本発明において、トナー粒子にこれらの微粒子の外添は必須ではない。上述した微粉末の平均粒子径は、0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.2μmを超えると流動性向上の効果が少なくなり、現像時、転写時の不良等により画質を低下させてしまう場合がある。これらの微粉末の平均粒径の測定は後述する。
【0093】
これらの微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸着によって比表面積が30m2/g以上、特に5〜400m2/gの範囲のものが良好である。微粉末の添加量は、トナー100質量部に対して0.01〜10質量部で使用することが好適である。
【0094】
また、該無機微粒子は、高湿下での帯電性を維持するために、疎水化処理することが好ましい。疎水化剤としては、一般的に公知の処理剤であれば特に制約されるものではないが、本発明の無機微粒子の表面処理において例示した有機系シラン化合物が使用できる。その処理量は、無機微粒子100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0095】
次に本発明に用いられるトナーについて説明する。
【0096】
また、トナー形状としては、短軸長さ/長軸長さの比が0.8を超える形状であると、磁性粒子の摺擦により、感光体上を比較的移動しやすい。さらに、0.90を超えるとさらに好ましい。
【0097】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のトナー用結着樹脂として公知の広範な樹脂が単独あるいは複数種組み合わせて使用可能である。
【0098】
着色剤としても従来より知られている無機、有機の染料、顔料が使用可能であり、たとえば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダムンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは通常、結着樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部使用される。
【0099】
また、帯電制御の目的で、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体または金属塩、アゾ系化合物、アセチルアセトン等を用いることができる。
【0100】
本発明に係るトナー粒子を作製するには、たとえば、結着樹脂、ワックス、金属塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって本発明に係るトナー粒子を得ることができる。
【0101】
トナー粒子の形状としては、その粉砕分級工程に依存し、通常、フロー式粒子像測定装置で計測される平均円形度が0.950〜0.995であり、円形度標準偏差が0.040未満であることがより好ましい。
【0102】
平均円形度がその範囲であると、トナーの持つその丸い形状から、トナーに対する圧力や摺擦等の負荷が軽減される。平均円形度がその範囲であると、転写残トナーが接触帯部材をより軽負荷で通過するので、トナーの部材融着がより起こりにくくなる。それは同時に、回収される転写残トナーとフレッシュトナーとの物性差を縮めることを意味し、それによって現像性や転写性の維持機能が強化される。また、円形度標準偏差が0.040未満であることは、トナーの形状分布が狭いことを意味しているので、やはり部材へのトナー融着、劣化、現像性あるいは転写性が良好となる。
【0103】
平均円形度が0.950を超える形状とするためには、機械的、熱的に表面処理を行い、形状をコントロールすることが好ましい。形状をコントロールする方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、奈良機械社製ハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製オングミルなどが使用できる。また、熱風により球形化する方法、また、温浴中で球形化する方法、溶剤に溶解してスプレードライ方法により球形に成形する等の方法も可能である。
【0104】
平均円形度が0.950を超える形状のトナー粒子としては、重合法により生成されたトナー粒子を用いることが好ましい。特に、トナー粒子の表層部を重合法により形成したトナー粒子は、分散媒体中でモノマー組成物を重合することにより生成するため、トナー粒子の表面は、かなり平滑化されたものを得ることができる。
【0105】
特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて重合性モノマー組成物から直接トナー粒子を生成する方法や、重合性単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法や、重合性単量体を水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合してトナー粒子を生成するソープフリー重合法のような乳化重合法を用いトナー粒子を製造することが可能である。
【0106】
トナー粒子の製造方法として直接重合法を使用する場合には、重合開始剤としてたとえば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20質量%用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独または混合して使用される。
【0107】
重合度を制御するため公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いても良い。
【0108】
トナーを製造するのに懸濁重合を使用する場合には、用いる分散剤として無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
【0109】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、水のような分散媒体中において高速撹拌下で該無機化合物の微粒子を生成しても良い。たとえば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することでリン酸三カルシウムの微粒子を生成すると懸濁重合法に好ましい微粒状の分散剤を得ることができる。
【0110】
これら分散剤の微細化のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。たとえば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0111】
トナー粒子を製造するのに直接重合法を用いる場合においては、以下のような製造方法によってトナー粒子を製造することが可能である。
【0112】
重合性単量体中に低軟化点物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解または分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー、ホモジナイザーのような高剪断撹拌機により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度、撹拌時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。重合反応後半に昇温しても良く、さらに、本発明における画像形成方法における耐久性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、または反応終了後に一部水系媒体を反応系から留去しても良い。
【0113】
反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0114】
本発明のトナーを二成分現像剤として用いる場合に使用されるキャリアとしては、例えば表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトあるいはそれらの樹脂分散型キャリアなどが使用できる。また、その製造方法として特別な制約はない。
【0115】
また、上記キャリアの表面を必要に応じて樹脂等で被覆してもよい。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0116】
キャリア表面への固着物質としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャリーブチルサリチル酸の金属錯体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粒子、アルミナ微粒子などを単独或は複数で用いるのが適当であるが、必ずしもこれに制約されない。
【0117】
上記化合物の処理量は、キャリアが前記条件を満足するよう適宜決定すれば良いが、一般には総量でキャリアに対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が望ましい。
【0118】
これらキャリアの平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜70μmを有することが好ましい。
【0119】
本発明におけるトナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低く実用不可となり、15%超ではカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短める。
【0120】
本発明の現像方法としては、特に選ばないが、現像手段が実質的なクリーニング手段でもあるシステム、すなわち、転写位置と帯電位置との間及び帯電位置と現像位置との間に転写後の静電荷像担持体上に残留したトナーを回収し、貯蔵するクリーニング手段を有さない、所謂クリーナーレスシステムの場合、反転現像が好ましく、また、現像剤と静電荷像担持体とが接触するような構成が好ましい。例えば接触二成分現像法、接触一成分現像法などが好適な現像方法として挙げられる。現像剤と転写残りトナーとが静電荷像丹治退場にて接触している場合、静電気的に摺擦力が加わり、効果的に転写残りトナーを現像手段にて回収できる傾向があるからである。現像の際に印加されるバイアスについては、その直流成分は、黒字部(反転現像の場合、露光部)と白地部の電位の間にすることが好ましい。
【0121】
本発明においては、転写残りトナーを、一時的に回収した帯電手段(帯電器)から、静電荷像担持体表面を利用して、現像部分に搬送し回収再利用するために、静電荷像担持体帯電バイアスを変更する必要は無い。但し、実用上、転写材ジャムが生じた場合、あるいは画像比率の高い画像を連続して得る場合は、帯電器に混入する転写トナーが非常に多くなることがある。この場合は、電子写真装置の動作中、静電荷像担持体上に画像を形成しない時を利用して、帯電器から現像装置へとトナーを移動させても良い。この非画像形成時とは、前回転時、後回転時、転写材間などである。その場合、トナーが帯電器より静電荷像担持体に移りやすいような帯電バイアスに変更することも好ましく用いられる。帯電器から放出しやすくする方法としては、交流成分のピーク間電圧を小さめにする、あるいは直流成分のみとする。さらに、ピーク間電圧を変えずに、波形を変更して交流実効値を下げる、などが挙げられる。
【0122】
本発明において、前記した疎水性無機微粒子であれば、転写性、カブリが良好となり、クリーナーレスシステムへの適用が容易となる。特に高湿下でのキャリア汚染が抑制され、少量の現像剤で長寿命化が達成され、装置の小型化に好適であるため本発明においては、現像剤担持体の直径が20mm以下、好ましくは16mm以下のものが好適に使用可能である。また静電荷像担持体の直径は、40mm以下、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは24mm以下のものが好適に使用可能である。
【0123】
本発明が適用可能な画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0124】
図2は本発明の適用される画像形成装置を表わす図面である。この画像形成装置は、像担持体である感光体ドラム上にトナー像を形成する画像形成部31Y,31M,31C,31BKと、そのトナー像を一担転写する中間転写ベルト4a及びそのベルト4a上のトナー像を記録媒体2に転写する転写手段である二次転写ローラ40、記録媒体2を中間転写ベルト4aと二次転写ローラ40間へ送り出す給紙手段及び転写手段へ記録媒体2を搬送する給送手段、定着手段、排紙手段を具備する。
【0125】
以下画像形成について説明する。
【0126】
図2に示すように画像形成装置には複数枚の記録媒体(例えば、記録紙、OHPシート、布等)2を積載収納する給紙カセット3aが着脱自在に装着されている。ピックアップローラ3bにより給紙カセット3aから給送された記録媒体2はリタードローラ対3cにより一枚ずつに分離され、搬送ローラ3d,3fによってレジストローラ対3gに搬送される。
【0127】
記録媒体2が搬送された時には、レジストローラ対3gは回転を停止しており、これのニップに突き当てられることにより記録媒体2は斜行を矯正される。
【0128】
像担持体を含むプロセスカートリッジBY,BM,BC,BBには4ドラムフルカラー方式の場合、図2のごとくイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つが並列配置されている。各々のプロセスカートリッジBY,BM,BC,BBに対し、それぞれ光学走査系が1Y,1M,1C,1BKが設けられ、画像信号により各色ごとの感光体ドラム上にトナー像が形成された後、転写ローラ4Y,4M,4C,4BKにより図示矢印方向に走行する中間転写ベルト4a上に各色トナーが重ねて転写される。
【0129】
この後、記録媒体2は所定のタイミングで、2次転写ローラ40に送り出され、中間転写ベルト4a上のトナー像が記録媒体2上へ転写され、定着器5で定着された後、排出ローラ対3h,3iにより排出され、装置本体14上のトレー6に積載される。
【0130】
上記画像形成部31Y,31M,31C,31BKは光学走査系1Y,1M,1C,1BKを除いて夫々がプロセスカートリッジBY,BM,BC,BBを構成している。プロセスカートリッジの構成は同様であるのでプロセスカートリッジBYについてのべる。
【0131】
図3に示すようにプロセスカートリッジBYは感光体ドラム7の周囲に帯電手段、露光部、現像手段、転写開口を配設したものである。この実施の形態では磁性キャリア粉を有する二成分現像剤を用いている。そこで本発明の実施の形態に用いられる感光体ドラム7としては、通常用いられている有機感光体等を用いることができる。
【0132】
帯電手段は、導電性を有する帯電ローラー8である。この帯電ローラー8は、感光体ドラムの回転に従動する。
【0133】
現像手段は本実施の形態では2成分現像剤を接触状態にして現像する方法を採用した。
図3には本実施の形態において用いた2成分磁気ブラシ現像用の現像手段10が示されている。現像スリーブ10dは中空円筒形であって回転自在に支持されている。現像スリーブ10d内には固定のマグネット10cが配設されている。現像スリーブ10dは感光体ドラム7と同方向に回転し、周面は感光体ドラム7の周面の移動方向に対して反対方向に移動する。感光体ドラム7と現像スリーブ10dは非接触で0.2〜1.0mm程度の隙間があけられていて、現像剤が感光体ドラム7に対して接触する状態で現像できるように設定されている。
【0134】
キャリアを混合されてトナーは両端を除く長手方向の隔壁10fで仕切られたケーシング内の撹拌スクリュー10g,10hで供給される。不図示のトナー供給容器から供給されたトナーは撹拌スクリュー10gの一端側へ落下して長手方向の一方向へ送られ乍ら撹拌され他端側の隔壁10fのない部分をとおり、撹拌スクリュー10hで一端側に移動して、ついで、一端側の隔壁10fのない部分をとおり撹拌スクリュー10gで送られ乍ら撹拌され、循環する。
【0135】
ここで感光体ドラム7に形成された静電潜像を、現像装置10を用いて2成分磁気ブラシ法により顕像化する現像工程と現像剤の循環系について以下説明する。
【0136】
まず、現像スリーブ10dの回転に伴いマグネット10cの極で汲み上げられた現像剤は、搬送される過程において、現像スリーブ10dに対して垂直に配置された規制ブレード10eによって規制され、現像スリーブ10d上に薄層形成される。ここで薄層形成された現像剤が、現像主極に搬送されてくると磁気力によって穂立ちが形成される。この穂状に形成された現像剤によって感光体ドラム7の静電潜像を現像し、その後反発磁界によって現像スリーブ10d上の現像剤は、現像容器10a内に戻される。
【0137】
現像スリーブ10dには図示しない電源から直流電圧及び交流電圧が印加される。一般に二成分現像法においては交流電圧を印加すると現像効率が増し、画像は高品位になるが、逆にかぶりが発生しやすくなるということも生じる。このため、通常、現像スリーブ10dに印加する直流電圧と感光体ドラム7の表面電位間に電位差を設けることによって、現像時に非画像領域にトナーが付くのを防止する。
【0138】
このトナー像は、ついで図2中の中間転写装置4により中間転写体である中間転写ベルト4aに転写される。中間転写装置4は無端状のベルト4aを駆動ローラ4b、従動ローラ4c、及び二次転写対向ローラ4dに巻掛け、図2中矢印方向に回動される。さらに転写ベルト4a内には転写ローラ4Y,4M,4C,4BKを備え、各転写ローラは、ベルト4aの内側から感光体ドラム7(7Y,7M,7C,BK)方向に加圧力を発生しつつ、高圧電源より給電されることで、ベルト4aの裏側からトナーと逆極性の帯電を行なうことにより感光体ドラム7上のトナー像を順次中間転写ベルト4aの上面に転写する。
【0139】
中間転写ベルト4aとしてはポリイミド樹脂からなるものを用いることができる。ベルト4aの材質としてはポリイミド樹脂に限定されるものではなく、誘電体例えばポリカーボネイト樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などのプラスチックや、フッ素系、シリコン系のゴムを好適に用いることができる。
【0140】
トナー像転写後の感光体ドラム7の面には転写残トナーが残留している。この転写残トナーは、帯電ローラーを通過して、現像部の磁気ブラシに捕捉されて、現像器に回収される。
【0141】
図5は、本発明に用い得る接触1成分現像方式のプロセスカートリッジの該略図である。カートリッジ40はトナー42を収容しており、感光体1と接触して矢印方向に回転するトナー担持体4を具備する。また、感光体1は、接触帯電手段2により帯電される。さらに、トナー量規制及び帯電付与のための現像ブレード43,トナー42をトナー担持体4に付着させ、かつトナー担持体4との摩擦でトナーヘの帯電付与を行うため矢印方向に回転する塗布ローラ41も備えている。
【0142】
以下に、本発明に使用される測定方法の具体例を示す。
【0143】
(C量の測定方法)
試料中のC量は、金属中元素分析装置(堀場製作所社製EMIA−110)を用いて定量を行った。(有機元素測定装置でも測定可)
【0144】
(SiO2量の測定方法)
試料中のSiO2量は、蛍光X線分析装置(理学電気社製RIX3000)を用いて定量を行った。
【0145】
(C量及びSiO2量のトルエン抽出による減少率)
500mlポリ瓶容器に試料15gと特級トルエン100gを入れ、振とう機((株)ヤヨイ社製YS−LDII)で25℃、150rpm×1時間振とう後、遠心分離し、減圧乾燥した。トルエン抽出前及び抽出後の試料を上記方法にてC量及びSiO2量を測定し、抽出によるC量及びSiO2量の減少率を算出した。
【0146】
(トナー粒度測定)
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行った。
【0147】
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機製)およびPC9801パーソナルコンピュータ(NEC社製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150m1中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、着色剤含有樹脂粒子またはトナー粒子の体積、個数を測定して2〜40μmの体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた質量基準の質量平均径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネルごとの代表値とする)、体積分布から求めた質量基準の粗粉量(16.0μm以上)、個数分布から求めた個数基準の微粉個数(5.04μm以下)を求める。
【0148】
(トナーの平均円形度の測定)
トナーの平均円形度、及び円形度標準偏差は、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行った。
【0149】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上にならないように適宜冷却する。
【0150】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いてトナー粒子の平均円形度及び円形度標準偏差を下式を用いて算出した。
【0151】
【数1】
【0152】
【数2】
【0153】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0154】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0155】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0156】
【数3】
【0157】
【数4】
【0158】
又、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cと円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0159】
【数5】
【0160】
(疎水化度測定)
メタノール滴定試験は、疎水性無機微粒子の疎水化度を確認する実験的試験である。疎水性無機微粒子0.2gを容量250mlの三角フラスコ中の水50m1に添加する。メタノールをヒューレットから疎水性無機微粒子の全量が湿潤されるまで滴定する。この際フラスコ内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は疎水性無機微粒子の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は終点に達した際のメタノールおよび水の液状混合物中のメタノール百分率として表わされる。
【0161】
(BET比表面積の測定方法)
疎水性無機微粒子のBETの実測は次のようにして行う。
【0162】
BET比表面積は、湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置:オートソーブ1を使用し、吸着ガスに窒素ガスを用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、温度50℃で10時間の脱気を行う。
【0163】
(疎水性無機微粒子の平均粒径の測定方法)
一次粒子径は、疎水性無機微粒子を透過電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の粒子径を測定して平均粒子径を求める。
【0164】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれの実施例に制約されるものではない。「部」は「質量部」を意味する。
【0165】
疎水性メタチタン酸Aの製造例
硫酸加水分解法により得られた個数平均一次粒径が40nmのメタチタン酸スラリーに撹幹しながら6N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.5として1時間撹拌保持後、12N塩酸にてpH5.6まで中和し、ろ過、水洗を行った。洗浄済ケーキに水を加え再びスラリーとし、撹拌をしながら12N塩酸を加えpHl.3とし2時間撹拌保持し、解膠処理を行った。この解膠スラリーからメタチタン酸として100g分を分取し、40℃に加温保持し撹拌しながら、イソブチルトリメトキシシラン50g(50質量%)を添加し30分間撹拌保持した。次に一旦反応スラリーに8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを9.8(40℃)にし、10分間撹拌保持後、8N塩酸を用いてpH6.6(40℃)まで中和し、ろ過、水洗を行った。
【0166】
水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、SiO2量11質量%、トルエン抽出によるC量減少率12%、SiO2量減少率12%、疎水化度57%、BET比表面積120m2/gの目的とする疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸A)を得た。
【0167】
疎水性メタチタン酸Bの製造例
硫酸加水分解法により得られた個数平均一次粒径が30nmのメタチタン酸スラリーに撹拌しながら6N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.3として1時間撹拌保持後、12N塩酸にてpH5.5まで中和し、ろ過、水洗を行った。洗浄済ケーキに水を加え再びスラリーとし、撹拌をしながら12N塩酸を加えpH1.2とし2時間撹拌保持し、解膠処理を行った。この解膠スラリーからメタチタン酸として100g分を分取し、40℃に加温保持し撹拌しながら、イソブチルトリメトキシシラン10g(10質量%)を添加し30分間撹拌保持した。次に一旦反応スラリーに8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを9.6(40℃)にし、10分間撹拌保持後、8N塩酸を用いてpH6.5(40℃)まで中和し、ろ過、水洗を行った。
【0168】
水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、SiO2量5質量%、トルエン抽出によるC量減少率10%、SiO2量減少率10%、疎水化度35%、BET比表面積130m2/gの目的とする疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸B)を得た。
【0169】
疎水性メタチタン酸Cの製造例
イソブチルトリメトキシシランの添加量を90g(90質量%)に変えた以外は、外添剤Bと同様な手法を用いてSiO2量18質量%、トルエン抽出によるC量減少率17%、SiO2量減少率14%、疎水化度95%、BET比表面積140m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸C)を得た。
【0170】
疎水性メタチタン酸Dの製造例
硫酸加水分解法により得られるメタチタン酸スラリーを、pH調整により個数平均一次粒径が120nmのものを用い、イソブチルトリメトキシシランの添加量を40g(40質量%)に変えた以外は、外添剤Aと同様な手法でSiO2量8質量%、トルエン抽出によるC量減少率12%、SiO2量減少率12%、疎水化度55%、BET比表面積30m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸D)を得た。
【0171】
疎水性メタチタン酸Eの製造例
疎水性メタチタン酸Aの製造例において、イソブチルトリメトキシシランの添加量を70g(70質量%)に変え、30分撹拌保持後、8N水酸化ナトリウム水溶液を加えてそのままpH6.5(40℃)まで中和する以外は同様な手法を用いてSiO2量13質量%、トルエン抽出によるC量減少率20%、SiO2量減少率17%、疎水化度60%、BET比表面積130m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸E)を得た。
【0172】
疎水性メタチタン酸Fの製造例
疎水性メタチタン酸Aの製造例において、イソブチルトリメトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサンエマルジョンを有効成分として20g(20質量%)に変えた以外は同様な手法を用いて、SiO2量15質量%、トルエン抽出によるC量減少率22%、SiO2量減少率17%、疎水化度55%、BET比表面積70m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸F)を得た。
【0173】
親水性酸化チタンGの製造例
メタチタン酸Aの製造例において、イソブチルトリメトキシシランを使用しない以外は同様にして、未処理の親水性のアナターゼ型酸化チタンGを得た。
【0174】
(トナー粒子の製造例1)
・スチレン 100部
・メチルメタクリレート 10部
・n−ブチルアクリレート 10部
・C.I.ピグメントイエロー74 8部
・ジターシャリブチルサルチル酸Al化合物 1.5部
・飽和ポリエステル(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノール
A、酸価14mgKOH/g、ピーク分子量8500) 10部
・エステルワックス(ベヘン酸ベヘニル) 40部
上記処方を60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、10,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0175】
別途イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、1,300rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0176】
この水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、更にポリエチレンを2部添加し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミキサーにて12,000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、水系媒体をパドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で昇温し、8時間の重合反応を行った。
【0177】
重合反応終了後、冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを融解させた後、濾過、水洗、乾燥をして、重合粒子(トナー粒子1)を得た。得られた重合トナー粒子Aの重量平均粒径は6.7μm、平均円形度は0.980、円形度標準偏差は0.032であった。
【0178】
得られたトナー粒子1は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた重合粒子の断層面測定法により、ワックスを外殻樹脂層で内包化したコア−シェル構造が確認された。
【0179】
(トナー粒子の製造方法2)
C.I.ピグメントイエロー74の変わりにキナクリドン顔料を使用することを除いては、トナー粒子1の製造例と同様にしてマゼンタ色の重合粒子(トナー粒子2)を得た。得られたトナー粒子2は、重量平均粒径6.7μm、平均円形度は0.979円形度標準偏差は0.034であった。
【0180】
(トナー粒子の製造例3)
C.I.ピグメントイエロー74の変わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用することを除いては、トナー粒子1の製造例と同様にしてシアン色の重合粒子(トナー粒子3)を得た。得られたトナー粒子3は、重量平均粒径6.7μm、平均円形度は0.981、円形度標準偏差は0.029であった。
【0181】
(トナー粒子の製造例4)
C.I.ピグメントイエロー74の変わりにカーボンブラックを使用することを除いては、トナー粒子1の製造例と同様にしてブラック色の重合粒子(トナー粒子4)を得た。得られたトナー粒子4は、重量平均粒径6.8μm、平均円形度は0.980、円形度標準偏差は0.031であった。
【0182】
<実施例1>
トナーの粒子の製造例4で得られたブラック粒子100部に対して、疎水性メタチタン酸Aを1.2部加えて、ヘンシェルミキサー10B(三井三池化工機社製)において、回転数3000rpm、攪拌時間3分間の条件下で混合し、ブラックトナーを得た。
【0183】
上記トナー8部と、フェノール樹脂中にマグネタイト粒子を分散してなる磁性微粒子分散型樹脂キャリア92部とを混合し二成分現像剤とし、画像形成装置として、市販のデジタル複写機GP55(キヤノン製)を図3の現像装置が入れるよう改造したものを用いた。具体的には、現像剤担持体としては直径16mmのSUSスリーブをサンドブラスト処理によって表面粗さRz=12.5μmに調整したものを使用した。帯電部材としては、図1に示す帯電器を使用し、感光体の当接部に対して順方向に100%で回転させ、直流/交流電界(−600V、1.5kHz/1.2kVpp)を重畳印加し、を帯電させた。現像コントラストは−200V、バックコントラストを−200Vに設定し、不図示のバイアス印加手段から図4に示す交流電圧を有する現像バイアスを印加し、定着ローラー、加圧ローラーともに表層をPFAで1.2μm被覆したローラーに変更しオイル塗布機構を除去した構成に改造し、画像面積5%のオリジナル原稿を使用し、15℃/10%(L/L)、30℃/80%(H/H)の各環境でそれぞれ1万枚の通紙試験を行い、以下の評価法に基づいて評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように良好な結果が得られた。
【0184】
(画像濃度)
画像濃度は、SPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスデンシトメータRD918タイプ(Macbeth Densitometer RD918manufactured by Macbeth Co.)を使用して、普通紙上に20φのベタパッチ(オリジナル原稿濃度1.5)を5ヶ所形成し、平均画像濃度として測定した。
【0185】
(カブリ)
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFRECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
【0186】
(ハーフトーン画像均一性)
マクベス画像濃度0.3〜0.6のハーフトーン画像を出力し、濃度の均一性、がさつき感、及び画像欠陥の程度を目視により評価する。
◎:画像濃度の均一性に優れた良好な出力画像である。
○:画像濃度の均一性にやや欠けるが、実用上問題のないレベルである。
△:画像濃度の均一性が悪く、がさついた出力画像であり、実用上問題となるレベルである。
×:画像濃度の均一性が著しく悪く、帯電ローラ汚染に起因するスジ又はポチ状の画像欠陥が目立ち、実用不可能なレベルである。
【0187】
<実施例2>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Bである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように若干耐久性に劣るものの、良好な結果が得られた。これは、疎水化度が小さいことからもわかるように、表面処理が若干不均一となり、トナーへの帯電安定化効果が若干損われたためと推測される。
【0188】
<実施例3>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Cである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において、実施例1や2と比較して若干劣るが、これは、疎水化度が大きいために、トナーの帯電速度が逆に低下したためと考えられる。
【0189】
<実施例4>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Dである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において若干劣るが、これは粒径が大きいために、トナーの流動性が若干低下したためと推測される。
【0190】
<実施例5>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Eである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において耐久性が若干劣るが、これは抽出量が若干大きいために、耐久によるストレスが加わった際に、疎水性メタチタン酸微粒子表面から多量の残存物が遊離したため、トナーが好適な帯電性を維持できず、キャリアへのスペントや、現像器各部を汚染したためと考えられる。
【0191】
<実施例6>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Fである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、全ての項目において若干劣るものの良好な結果が得られた。これは、酸化チタンの処理がシリコーンオイルであるので凝集しやすく、現像剤の流動性が若干劣るためによるものと考えられる。
【0192】
<実施例7>
トナーの製造例1、トナーの製造例2、トナーの製造例3およびトナーの製造例4において得られたイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックトナー粒子それぞれについて、実施例1と同様の条件で外添を行い、各色のトナーを得た。
【0193】
また、このトナー8部に対し、キャリアの製造例で作製された磁性体分散型樹脂キャリア92部を混合して現像剤を調製し、この現像剤250gを各色ごとに図3に示した現像器に充填し、4色のプロセストナーカートリッジとした。
【0194】
以上のカートリッジを用いて、15℃/10%(L/L)、30℃/80%(H/H)の各環境下において、実施例1と同様の評価方法に基づき、図2に示したフルカラー画像形成装置によって、プリント速度をA4横23枚/分とし、紙面積に対するプリント比率5%のオリジナル原稿を用いて、1万枚の連続プリント試験を行った。 評価結果を表1に示が、表から分かるように、全ての項目において良好な結果が得られた
【0195】
<比較例1>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが親水性酸化チタンGである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において悪化した。これは、疎水化処理を施してない為に、水分吸着による帯電付与性が著しく劣るともに、キャリアや帯電ローラ及び感光体への付着性も高いため、かぶりの悪化及び帯電ローラへの汚染による画像不良が顕著になったものと推測する。
【0196】
<比較例2>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aのかわりに、4塩化チタンから気相法で合成した後、シランカップリング剤処理したT805(デグサ社製)を用いる他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、耐久後半のかぶり及び帯電ローラ汚染による不良画像が発生した。かぶりの悪化は、気相法により製造した酸価チタンであるため処理剤の化学結合性がメタチタン酸より弱いため、耐久後半の処理剤剥離によってトナーの帯電特性がおちたためと推測する。帯電ローラへの汚染は、酸化チタン中の焼結塊の存在が、耐久に伴って帯電ローラに蓄積されたためと推測する。
【0197】
【表1】
【0198】
【発明の効果】
本発明によれば、オゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング工程を導入した環境に配慮したシステムにおいても、帯電部材汚染及び感光体傷の問題が生じず、長期にわたってカブリの無い安定した良好な画像が得られるトナーが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触帯電装置の概略図である。
【図2】フルカラー画像形成方法の例を示す概略説明図である。
【図3】本発明の現像装置の好適な一例を表す模式図である。
【図4】実施例で用いた交流電界を表す模式図である。
【図5】本発明に用い得る接触一成分現像方式のプロセスカートリッジである。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法,静電記録法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関するものである。詳しくは、本発明は、静電潜像担持体上にトナー像を形成し、転写材上にトナー像を転写して画像を形成する複写機,プリンター又はファックスに用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、複写機に使用されている画像形成方法は、一般に電子写真方式と呼ばれるものが広く知られている。この電子写真方式を用いた画像形成方法は、上記複写機の他にコンピューターの出力装置であるプリンター等にも利用されている。この電子写真方式における画像形成方法は、概略、先ず感光体表面を一様に帯電させ、帯電させた感光体表面に光像露光による静電荷潜像を形成し、その静電荷潜像にトナーを付着させて現像による最終的な画像形成を行う方法である。その後、形成された画像(トナー像)は普通紙等に転写され、次いで定着が施される。転写後は、クリーニング手段により感光体表面から未転写のトナーが除去されるようになっている。
【0003】
上記電子写真方式には、帯電方法、光像露光方法、転写・定着方法及び未転写トナーの回収方法、さらには使用現像剤等により、種々の形式の画像形成装置や画像形成方法が開発されている。例えば帯電方法では、従来より広く使用されているコロナ放電を利用した方法、帯電ローラーによる磁気ブラシを利用した方法、帯電ローラーを直接接触させる接触帯電方法等がある。また、光像露光方法でも、例えば一般に広く使用されている感光体表面の対面から光像を露光する方法、また近年開発された透明感光体の背面から露光して感光体表面に光像露光を行う背面露光法等が知られている。さらに、光像露光に使用する光源にも種々のものが開発されており、複写機には全面露光用のフラッシュランプ、スリット露光用のハロゲンランプ、蛍光ランプ等が、プリンターには、半導体レーザー光、発光ダイオード(LED)、液晶シャッター制御による蛍光ランプ等が用いられている。
【0004】
感光体の形状にも、通常広く使用されているドラム状のもの、さらにフィード現像法等で使用されるベルト状のもの等があり、さらに感光体の感光層もセレン等を使用した無機感光体やポリビニルカルバゾール(PVK)等の有機光導電物質を使用した有機感光体等の種々のものが知られている。転写・定着方法においても、転写時の帯電方法として前記コロナ放電を利用したもの、導電ローラーを利用した接触帯電方式等があり、さらに定着方法にも圧力定着方式、ヒートロール定着方式、フラッシュ定着方式及びオーブン定着方式等種々のものが開発されている。転写後の未転写トナーの回収方法にも、クリーナのブレードにより転写後の感光体表面から未転写トナーを掻き落とす従来より広く使用されている方法と、現像装置で未転写トナーを回収する近年開発されたクリーナレスシステムによる方法とがある。
【0005】
しかし、近年、世界的な規模での資源節約、地球環境の保護・整備等が求められている折、従来とは異なった新しい視点からの開発が特に重要になっている。複写機等の事務機器分野においても環境公害という側面から、従来の機能・価格重視という方向だけでなく、従来の要素に無公害化を目指す構成を取り入れた画像形成装置や画像形成方法の開発が求められている。
【0006】
このような時代の流れに即し、エコロジーに配慮した電子写真方式における画像形成方法としては、帯電工程において接触帯電方式を導入することによるオゾンレス帯電や、クリーニング工程を無くして現像工程で転写残トナーを回収することにより廃トナーを出さないシステム等が開発されている。
【0007】
従来広く使用されているコロナ放電を利用した帯電方法による電子写真方式では、空中放電のためにオゾンが発生するといわれている。オゾンは強い酸化力を有し、毒性が強いため、限られた事務スペースでのオゾンの発生は、周囲の機器構成部材の劣化を早めたり、人間の健康面にも大きく影響を与えたりする。このため適切なオゾン対策が切望されていた。
【0008】
そこでオゾンの発生抑制対策として、コロナ放電器を利用しない接触帯電手段が開発されている。具体的には、帯電部材である導電性ローラーに電圧を印加してローラーを被帯電体である感光体に接触させて感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電手段を用いればコロナ放電器と比較して低電圧が図れ、オゾン発生量も減少する。
【0009】
例えば、特許文献1においては、芯金にナイロン又はポリウレタンゴムからなる誘電体を被覆したローラーを使うことによって感光紙を荷電するときに低電圧印加を可能にしている。
【0010】
一方、感光体のクリーニング工程については、従来の機器構成では転写後の未転写トナーはブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等の手段が用いられており、該手段は力学的に感光体上の転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと転写残トナーを捕集し、後日回収・廃棄するというものであるが、エコロジーの観点より廃トナーの出ないシステムが待望されている。
【0011】
そこで、トナーを極力回収・廃棄の頻度を少なくして現像剤の効率使用を図るため、未転写トナーを現像装置で回収し、回収したトナーをさらに感光体表面に搬送してトナーのリサイクル使用ができるクリーナレスシステムが提案されている。
【0012】
しかし、環境に配慮したオゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング技術を用いた場合、カブリトナーや転写残トナーの帯電部材汚染による帯電不良や、耐久及び温湿度の変化により蓄積された劣化トナーや遊離外添剤が引き起こす感光体フィルミング及び傷による画像品質の低下等の問題が生じる。
【0013】
そこで、上記の問題点を改良すべく種々の方策が試みられており、例えば接触帯電部材からの対策としては、帯電部材表層に弾性層を設けたり離型層を設けたりしている。一方、感光体からの対策としては、例えば特許文献2において、感光体表面を均一化部材で均一化することにより、フィルミングを防止することが提案されている。確かに上述の方策で被帯電体への固着現象や感光体のフィルミングはかなり軽減されはしたが、長期にわたって、かつ種々の環境で安定な帯電工程を達するためにはトナーの改良なくしては困難であることがわかった。
【0014】
従って、接触帯電及びクリーナーレスシステムにおける画像形成方法を安定かつ高品位で実現させるためのトナーとしては、従来の高画質化、高速化、小型化及び低価格化等々の価格や機能面を重視した考えから主に設計・開発されたトナーでは不十分であり、流動性、転写性、現像性、帯電安定性に特に優れたものであることが要求される。
【0015】
上記の特性を満たすために、従来よりシリカ等の無機酸化微粉末をトナーに添加すること等がなされている。しかしながら、一般に使用されるシリカ系微粉末の場合、トナー流動性向上効果は特に優れるが、負極性が強く、特に低温低湿下において負帯電性トナーの帯電を過度に増大させてしまうため、たとえ含窒素化合物処理等により帯電抑制を施してもトナーには適さず、高温高湿下においては水分を取り込んで帯電性を減少させるため、両者の帯電性に大きな差を生じさせることになる。その結果、現像剤担持体上へのトナーの搬送性、及び帯電性を高温高湿、低温低湿下の双方において最適なものにすることができず、画像濃度再現不良、背景カブリ、トナーのボタ落ち、更には機内汚染等を生じてしまうという問題があった。
【0016】
これらを改善する目的で無機微粉末を表面処理したものを用いることが提案されている。例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5等にはシリカ微粒子の表面を疎水化処理することが記載されている。
【0017】
しかしながら、これらの無機微粉末を用いるだけでは、特に帯電性において十分な効果が得られておらず、特に、高温高湿において十分な帯電性を付与できるケースにおいては、低温低湿において超過度な帯電を付与してしまい、現像剤担持体上の搬送量が過度になり、帯電のブロード化が激しくなり、特に現像性低下、カブリの度合いがひどくなる場合がある。
【0018】
また、トナー粒子の負帯電性を緩和する方法としては、前述したアミノシランで表面処理されたシリカ微粒子を外添させる方法(特許文献6)が知られている。しかし、これらのアミノ化合物による処理では、特に低温低湿下における負帯電性トナーの過剰な帯電上昇は抑制できるものの、シリカ微粉末自身の持つ環境依存性を充分に改善することはできない。すなわち、高温高湿下においても同様な電荷の中和が起こるため、相変わらず環境依存性は改善されず、搬送不良、帯電不良を原因とする背景部カブリ、画像濃度低下を引き起こす。
【0019】
以上の様に、シリカ微粒子は、疎水化処理、負帯電性を緩和させる処理等をおこなっても、シリカの持つ帯電の環境依存性、帯電速度、帯電分布の悪さを改善するには至っていないのが現状である。また、帯電・流動性目的に添加される無機酸化物が、一般に使用される酸化チタンの場合は、帯電の立ち上がりがシリカに対して速く、且つ酸化チタンが持つ低抵抗のためか帯電分布がシャープになるという特徴をもっている。しかしながら、酸化チタンを添加するケースは、トナーに高帯電を付与することができず、搬送量の低下、帯電低下による濃度再現性の低下、背景部カブリを生じ易い。
【0020】
この帯電性を改善する目的で、二成分系、一成分系を問わず、疎水性酸化チタンをトナーに外添する方法が提案されている(特許文献7、特許文献8等)。疎水性酸化チタンは、その表面をシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等で処理することによって得られる。本方法により、確かに帯電性は未処理の親水性酸化チタンに対して上げることは可能であり、二成分系トナー、磁性一成分系のトナーに使用され、上市されている例もある。しかし、本方法により、処理剤の種類及び量によりある程度の帯電レベルの改善はできるが、その帯電レベルはまだ満足できるレベルになく、また、環境依存性においても限界がある。また、処理剤で酸化チタンの疎水化を上げることによって、帯電レベルの向上、環境依存性の向上は、従来の親水性酸化チタンより確かに優れてはいるが、酸化チタンはシリカに比べて元来表面活性が低く、少ない処理剤で、上記特性を達成するのはまだまだ満足のいくレベルにはない。
【0021】
また、酸化チタンは、主にイルメナイト鉱石から硫酸法、または塩酸法により酸化チタン結晶を取り出す方法により得られるが、これらは湿式法により酸化チタンが精製され加熱、焼成により得る為に、脱水縮合の結果生じる化学結合も当然存在し、既存の技術ではこのような凝集粒子を再分散させることは容易ではない。即ち微粉末として取り出した酸化チタンは2次、3次凝集を形成しており、トナーの流動性向上効果もシリカに比べ著しく劣るものであった。特に近年カラー等の高画質要求が市場では高まっており、トナーの粒径を細かくし高画質を達成しようという試みがなされているが、トナー粒子を細かくすることで粒子間付着力が増え益々トナーの流動性が悪化し、本現象は顕著である。また、従来から使われている酸化チタンは、シリカに対し比重が大きいためか、トナー表面に強固に着かず、トナー表面から脱離しやすいという欠点を併せ持つ。このため、スリーブ汚染を伴う長期の帯電安定性に対し劣り、また、感光体の汚染も引き起こし易いため、画質劣化、画質欠陥の原因となる。
【0022】
流動性向上と帯電の環境依存性の両立を達成するために、疎水性酸化チタンと疎水性シリカの併用添加が試みられている(特許文献9)。この手法により、疎水性シリカおよび疎水性酸化チタンのそれぞれの欠点が一時的には抑制されるものの、分散状態によりどちらかの添加剤の影響を受けやすい。特に維持性を考慮した際、安定にトナー表面での分散構造を制御することは困難であり、スリーブ上のストレスにより疎水性シリカあるいは疎水性酸化チタンのそれぞれの特徴が現れやすい。即ちそれぞれの欠点を長期に渡り安定的に制御することは困難であった。
【0023】
次に疎水性アモルファス酸化チタンをトナーに添加する方法が提案されている(特許文献10)。アモルファス酸化チタンはCVD法を用いて、金属アルコキシドあるいは金属ハライドを加水分解することにより得ることができる(非特許文献1)。しかし、このように加水分解法により得られた酸化チタンは帯電特性とトナー流動性向上の両立はできるものの、粒子内部に吸着水を多く有し、転写時にそれ自身で感光体に残留する。即ちアモルファス酸化チタンと感光体との付着力が強くそれのみが転写されずに感光体上に残り、画像上の白点抜けあるいはクリーニング時に硬い酸化チタンで感光体上に傷を付ける等の欠点を有している。
【0024】
またメタチタン酸を湿式法によって作製し、加熱、焼成工程をへずに凝集を押さえた状態で有機系シラン化合物により表面処理された疎水性メタチタン酸を、トナーに外添混合する方法が提案されている(特許文献11)。しかし、本手法において、凝集を押さえた疎水性メタチタン酸を得ることができるものの、メタチタン酸とシラン化合物との間の反応が不十分であり、またシラン化合物の処理量が多いため、シラン化合物がメタチタン酸と加水分解反応することなく自己縮合し、メタチタン酸表面に物理的に吸着しているだけのシラン化合物が多くなる。そのため、長期にわたり連続現像が行われ、キャリア等の帯電付与部材等によりトナーへのストレスが加わった際に、疎水性メタチタン酸表面からシラン化合物が脱離し、所定の疎水化機能を維持できない、あるいは脱離したシラン化合物が静電荷像担持体表面に癒着もしくは傷をつけ、さらには帯電部材等を汚染し、所望の帯電量を得られなくなり、高品位の画像を得ることができないことが判明した。
【0025】
近年、市場においてカラー複写機やカラープリンターの高精細,高画質化の要求もさることながら、より高速化による高生産性といった面での要求も高まりつつある。この様な要求に対し、これらの無機酸化物をトナー表面に添加すると、長期の連続使用により層形成部材等によりトナーヘストレスが加わり、層形成部材へのトナーフィルミング・融着が発生したり、外添剤の剥がれや埋め込みなどによるトナー帯電性の変化が起こるため、安定したトナー帯電、搬送を長期に維持することが難しくなる。これらの問題を解決するために、特許文献12、特許文献13等では、外添剤の埋め込み防止のため、特定のバインダー樹脂を使用することが提案されている。また特許文献14、特許文献15、特許文献16等では、特定の帯電制御剤、外添剤を使用することが提案されている。しかしながら、これらの効果はいずれも十分とはいえず、特に二成分現像剤を用い電子複写装置により多数枚連続複写を行うと、初期には鮮明で良好であった画像が、数万枚複写後はカブリが著しく増加し、階調性及び鮮明性に乏しい画像となる。
【0026】
すなわち多数枚の連続複写を行うと、通常、初期は高画像濃度の複写物が得られるが、次第にトナーの帯電が不均一となり、濃度低下が生じたり、帯電不十分の状態で、カブリの原因となったり、現像スリーブ上での部分的なトナー量の増減が生じ、画像のカスレや画像濃度の一様性が得られなくなる傾向がある。
【0027】
上述のとおりトナーに安定な帯電特性を付与する手段として外添剤添加が一般的ではあるが、いずれの場合においてもそれらが欠落,脱離,移行等を生じた場合、帯電特性に様々な障害を与え最終的な画像品質の低下を招く事になる。とりわけ、接触帯電及びクリーナーレスシステムを実現させる為には特に外添剤の高性能、高機能化が求められる。
【0028】
【特許文献1】
特開昭50−13661号公報
【特許文献2】
特開平5−61383号公報
【特許文献3】
特開平3−145653号公報
【特許文献4】
特開平4−309961号公報
【特許文献5】
特開平4−80764号公報
【特許文献6】
特開平10−039534号公報
【特許文献7】
特開平09−325517号公報
【特許文献8】
特開平11−237763号公報
【特許文献9】
特開平2−27664号公報
【特許文献10】
特開平5−72797号公報
【特許文献11】
特開平10−123822号公報
【特許文献12】
特開平6−102699号公報
【特許文献13】
特開平6−266156号公報
【特許文献14】
特開平6−51561号公報
【特許文献15】
特開平6−208242号公報
【特許文献16】
特開平6−250442号公報
【非特許文献1】
化学工学論文集(第18巻,第3号,303〜307(1992)
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境に配慮し、且つ上記の問題点を解消したオゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法に供するトナーを提供することにある。即ち、トナーの帯電部材表面への固着を防ぎトナーの被帯電体へのフィルミングによる帯電不良や帯電ムラを起こさない接触帯電工程と、高解像度、高精細な画像が得られ、且つ現像、転写工程を経た後、被帯電体上に残留することが極めて少なく、帯電部材表面にも被帯電体表面にも固着の生じないトナーを用いた現像工程、転写工程を有する画像形成方法に供するトナーを提供することを目的とする。
【0030】
さらに本発明の目的は、静電荷像担持体表面の傷の発生を防止し静電荷像担持体の寿命の低下が無く、長期にわたる連続現像においても現像剤担持体の表面劣化を抑制し、画質欠陥や画像濃度低下が少なく耐久性に優れ、また温湿度等の環境に左右されにくく、良好な帯電安定性、流動性などに優れたトナーを提供することにある。
【0031】
さらに本発明の目的は、低現像性やカブリ等の問題を生じないトナーを提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、▲1▼導電性ゴム層とその外側に離型性皮膜を有する帯電部材に外部より電圧を印加し感光体に接触帯電を行う帯電工程、▲2▼帯電された感光体を露光して静電荷潜像を形成する露光工程、▲3▼感光体をトナーで現像を行う現像工程、▲4▼トナー像を中間転写体を介して、または介さずに転写材へ転写する転写工程、▲5▼転写後に静電潜像担持体上に残存するトナーを該現像工程で現像手段に回収する現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法に供するトナーであって、
該トナーが、少なくとも着色剤および結着樹脂を含有するトナー粒子と添加剤を有し、該外添剤が、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られるチタン化合物であることを特徴とするトナーを使用することにより、静電荷像担持体表面を傷つけることがなく、長期にわたる連続現像において画質濃度変化、カブリ、フィルミングが無い安定した画像が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0033】
さらに本発明では、該メタチタン酸のSiO2量が1〜20質量%であり、かつトルエン抽出によるC量減少率が25%以下、SiO2量減少率が25%以下になるように有機系シラン化合物で表面疎水化処理されている疎水性メタチタン酸微粒子が、長期に渡る帯電安定性に優れ、またトナーから外添剤が遊離することなく、遊離外添剤の凝集物による感光体の傷及び外添剤遊離トナーによる帯電部材汚染、感光体フィルミング等の防止に特に有効であることを見出した。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の現像剤は、▲1▼導電性ゴム層とその外側に離型性皮膜を有する帯電部材に外部より電圧を印加し感光体に接触帯電を行う帯電工程、▲2▼帯電された感光体を露光して静電荷潜像を形成する露光工程、▲3▼感光体をトナーで現像を行う現像工程、▲4▼トナー像を中間転写体を介して、または介さずに転写材へ転写する転写工程、▲5▼転写後に静電潜像担持体上に残存するトナーを該現像工程で現像手段に回収する現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法における現像剤に使用される。
【0035】
本発明に適用可能な接触帯電装置は例えば図1のごときものである。2は帯電部材、2aは導電性支持体、2cは抵抗制御層、2dは表面層を示す。帯電ローラは抵抗制御層2cのない弾性層2bと表面層2dの構成であってもよい。
【0036】
本発明に用いられる導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0037】
帯電ローラ2において、弾性層2bには、帯電ローラ2の感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な弾性を持たせてある。
【0038】
帯電ローラ2bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック等の導電性粒子あるいはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を添加することにより調整される。弾性はプロセス油及び可塑剤等の添加により調整される。弾性層2bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂等の樹脂も挙げられる。また、前述の弾性材料の発泡体を弾性層2bに用いてもよい。
【0039】
前記弾性層の電気抵抗は、1×103〜1×1010[Ωcm]の範囲の導電性を有していることが好ましい。
【0040】
表面層2dは、弾性層2b中の可塑剤等の帯電ローラ表面へのブリードアウトを防止するためや帯電ローラ表面の滑り性や平滑性を維持するために設けることが多い。表面層2dは塗工あるいはチューブを被覆することによって設ける。
【0041】
表面層2dを塗工により設ける場合、具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂等の樹脂、更にはエピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル系ゴム等が挙げられる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ロール塗工法及びスプレー塗工法などがよい。
【0042】
また、表面層2dをチューブを被覆することにより設ける場合、具体的な材料としては、ナイロン12、PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、FEP(4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂)、更にはポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系及びポリアミド系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0043】
チューブは熱収縮性チューブであってもよいし、非熱収縮チューブであってもよい。表面層2dにも適度な導電性を持たせるため、カーボンブラック及びカーボングラファイトのような導電性粒子や、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛及び導電性酸化錫等の導電性金属酸化物等の導電剤が用いられる。
【0044】
前記表面層の電気抵抗は、1×105〜1×1014[Ωcm]の範囲であることが好ましい。
【0045】
抵抗制御層2cは帯電部材の抵抗を制御するために設けることが多い。抵抗制御層2cの具体的材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂、さらにはエピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル系ゴム等が挙げられる。抵抗制御層2cにも抵抗調整を目的として、カーボンブラックやカーボングラファイトのような導電性粒子や、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛及び導電性酸化錫等の導電性金属酸化物あるいはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を分散することができる。
【0046】
抵抗制御層2cもまた塗工あるいはチューブを被覆することによって設ける。
【0047】
前記抵抗制御層の電気抵抗は、1×106〜1×1010[Ωcm]の範囲であることが好ましい。
【0048】
本発明における体積抵抗率の測定は、JIS K 6911に準じて行ったものである。
【0049】
本発明に用いる潜像保持体の感光層としては、有機系、アモルファスシリコン等公知のものが使用できる。また、感光層を保持する円筒状保持体としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出し成型後、表面加工する等の公知の製法により得られる。
【0050】
本発明に用いられる現像方法として、反転現像方法が好ましく用いられる。二成分磁気ブラシ現像方法を用いる場合は、磁性キャリアとして、磁性フェライト粒子,マグネタイト粒子,鉄粉あるいは、それらをアクリル樹脂,シリコーン樹脂,フッ素樹脂の如き樹脂でコーティングしたものが用いられる。このとき、現像時あるいは現像前後の空白時には、直流あるいは交流成分のバイアスを現像剤担持体に印加し、感光体上の転写残トナーを回収できるような電位に制御される。このとき直流成分は、明部電位と暗部電位の間に位置するように設定するのが好ましい。
【0051】
一成分系現像剤として、現像剤担持体である弾性ローラー表面にトナーをコーティングしこれを感光体表面と接触させる方法も用いられる。トナーは磁性トナー又は非磁性トナーのどちらでも良い。このとき、トナーを介して、感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像と同時にクリーニングを行なうために、弾性ローラー表面あるいは表面近傍が電位をもち、感光体表面と弾性ローラー表面との狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴム層が中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法が利用できる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面と接する外側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブあるいは、絶縁性スリーブで感光体表面と接しない内側に導電層を設けた構成も可能である。
【0052】
一成分接触現像法を用いた場合、トナーを担持するローラー表面と感光体の回転方向と同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合感光体の周速に対して、周速比で100%以上(好ましくは110%以上)が好ましい。100%未満であると、画像品位が低下しやすい。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、静電荷潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分にはトナーが付与されるという繰り返しにより、静電荷潜像に忠実な画像が得られる。現像同時クリーニングという観点では、感光体上に密着した転写残トナーを感光体表面と現像剤担持体との周速差により物理的に引き剥がし電界により回収するという効果も期待できることから、周速比は高いほど転写残トナーの回収には都合がよい。
【0053】
転写工程は、潜像保持体上のトナー画像を転写体(例えば、紙等)に転写する。本発明における転写手段としては、潜像保持体に転写ローラーを圧接させる接触型のものと、コロトロンを用いる非接触型等の公知のものがあげられるが、環境配慮及び装置の小型化の点で接触型のものが一般に使用されている。
【0054】
接触型転写工程の具体例としては、静電荷潜像担持体である感光体と転写材を介して転写手段を当接しながらトナー画像を転写材に静電転写する。転写手段の当接圧力としては、線圧が2.94N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。
【0055】
当接圧力としての線圧が2.94N/m未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0056】
接触転写工程における転写手段としては、転写ローラーあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。転写ローラーは少なくとも芯金と導電性弾性層とを有する。導電性弾性層はカーボンの如き導電材を分散させたポリウレタンやEPDMゴムが使用され、体積抵抗106〜1010Ωcmを有する。
【0057】
本発明に用いる現像剤は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子と添加剤とからなる。添加剤は、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られたチタン化合物である。
【0058】
さらに本発明の現像剤に用いる疎水性メタチタン酸微粒子を完成させた経過について説明を行う。
【0059】
安定した帯電性能及び流動性を付与でき且つトナーから遊離することの無い添加微粒子を完成させる為に、均一で密着性に優れた疎水化処理を達成した単分散微粒子を目標に、メタチタン酸を乾燥・焼成した粉末を粉砕・分散することで単分散化を図り、水系で有機系シラン化合物を処理する方法を検討したが、この方法では、特にメタチタン酸の粒径が細かくなるとメタチタン酸の乾燥・焼成時に強い凝集を起こした。そのため、疎水化度を高くすることはできたが、比表面積が小さく、分散性の劣るものであり、従来からある超微粒子酸化チタンと大差ないものとなった。
【0060】
そこで、この問題を解決するために鋭意検討を続けた結果、メタチタン酸を塩酸解膠し、非凝集性のスラリーとした状態で有機系シラン化合物を添加し被覆処理を行うことにより、含水物であるメタチタン酸であるにもかかわらず、固液分離し、乾燥した粉末は高い疎水化度を有し、しかも高い比表面積を有しており乾燥後も非凝集性を維持した分散性の良好な微粒子であることが判明し、接触帯電及びクリーナーレスシステムに最適な本発明のトナー添加微粒子を完成するに至った。さらには、有機系シラン化合物を水系中で添加撹拌処理した後、中和、洗浄、乾燥する前に、いったん反応スラリーをアルカリにし、撹拌保持することにより、有機系シラン化合物のメタチタン酸への固着力が向上し、その結果、長期にわたり連続現像が行われ、層形成部材等によりトナーへのストレスが加わった際に、トナー粒子からの疎水性メタチタン酸微粒子の表面からの脱離を抑制することができ、更には、疎水性メタチタン酸微粒子表面からの有機系シラン化合物の脱離が抑制され、長期にわたりトナーに所望の疎水化機能、帯電付与能力等を維持でき、静電荷像担持体表面へ癒着、もしくは傷つけることなく、カブリ、白点抜け、フィルミング等のない高品位な画像を得ることができると判明し本発明を完成するに至った。
【0061】
本発明におけるメタチタン酸微粒子及び疎水性メタチタン酸微粒子の製造方法についてさらに詳しく述べる。
【0062】
本発明におけるメタチタン酸微粒子としては、特に湿式法で作製されることが望ましい。また本発明においてメタチタン酸微粒子の有機系シラン化合物の処理方法としては、特に指定するものではなく、公知の方法により行うことができるが、水系スラリー中でメタチタン酸微粒子を撹拌分散しながら、有機系シラン化合物を加水分解させて処理する方法が効果的であり、溶剤を使用しない点でも好ましい。
【0063】
一般に、通常の湿式法による酸化チタンの製法は、溶媒中で化学反応を経て製造され、硫酸加水分解法と塩酸加水分解法に分けることができる。硫酸加水分解法は簡略すると下記の反応が液相で進み、不溶性のTiO(OH)2が加水分解により作製される。
FeTiO3+2H2SO4→FeSO4+TiOSO4+2H2O
TiOSO4+2H2O →TiO(OH)2+H2SO4
【0064】
また、塩酸加水分解法は、乾式法と同様手法にて塩素化により4塩化チタンを作製する。その後水に溶解させ、強塩基を投入しながら加水分解し、TiO(OH)2が作製される。簡略すると以下の様になる。
TiCl4+H2O →TiOCl2+2HCl
TiOCl2+2H2O→TiO(OH)2+2HCl
【0065】
通常の酸化チタンの作製工程は、この後水洗、ろ過を繰り返し、焼成によって酸化チタンが得られる。さらに必要に応じ解砕、粉砕後シラン化合物の様な処理を施されることになる。しかし、従来のこの酸化チタンの作製は、焼成工程でTi同士の結合の強さから粒子同士焼結し、凝集を数多く発生するという重大な欠点を有する。この重大な欠点を解決させるために、湿式粉砕の強化、乾燥前の処理剤反応など数多くの工夫がなされているが、この凝集を一次粒子まで解砕させることは現状ではできていない。この酸化チタンをトナーの添加剤に適用しても、トナー上のカバレッジをシリカ粒子と合わせてもシリカ並みの流動性を得ることはできず、その現象は、粒子の凝集が起因すると思われ、その結果、感光体傷、フィルミングが発生することになる。また、酸化チタンが凝集していることにより、シラン化合物によりを均一に表面疎水化処理することができず、トナーへの帯電付与能力、トナーの帯電速度、帯電分布に対して満足できるレベルに無い。
【0066】
これらの問題を解決するため、本発明のメタチタン酸は、解膠処理を行う。解膠処理方法としては、いくつかの方法がある。例えば、凝集メタチタン酸のスラリーにアンモニアや苛性アルカリを加え、中和後、ろ過、水洗して残存している硫酸根を除去し、引き続き塩酸、硝酸、トリクロル酢酸などの強塩基性一塩基酸を加えてpH3以下、好ましくはpH0.9〜2.0にする方法がある。また、脱硫酸根の処理を行うことなく、凝集メタチタン酸のスラリーに、硫酸根と反応して不溶性の硫酸鉛を形成すると同時に一塩基酸を形成するような塩、例えば塩化バリウムを添加する方法等がある。異物質の混入がなく、また、有機系シラン化合物を溶解し、反応し易い状態とするには、前者の方法、特に塩酸を使用して解膠する方法がより適している。
【0067】
次に本発明のメタチタン酸微粒子への有機系シラン化合物による表面疎水化処理方法について述べる。上記解膠処理方法により得られるメタチタン酸微粒子の酸性スラリーに、有機系シラン化合物を添加するときは、必要に応じて酸を用いてpH3.0以下、好ましくはpH2.0以下で行う。pHを上記値以上にすることによって有機系シラン化合物の被覆処理を均一に促進できる。また、撹拌保持した後、有機系シラン化合物の自己縮合反応を抑制し、より効率的に加水分解反応を促進する目的で、中和する前にいったん反応スラリーをアルカリを用いてpH7〜13、好ましくは9〜13、さらに好ましくは9〜11にし、また、反応スラリーの温度を20〜100℃、好ましくは30〜70℃に加温し撹拌保持する。その後さらに加水分解反応を促進する目的で、必要に応じて酸、アルカリを用いてpHを4〜9、好ましくは5〜7、反応スラリーの温度を20〜100℃、好ましくは30〜70℃になるように中和を行い、洗浄し、100〜190℃にて乾燥を行う。
【0068】
本発明における疎水性メタチタン酸微粒子は、上述した湿式工程の中で作製されるメタチタン酸微粒子を、数百度の焼成工程をへずに酸性スラリー下にて有機系シラン化合物と反応させ、メタチタン酸微粒子と有機系シラン化合物との間の加水分解反応を促進する目的で、いったん反応スラリーをアルカリを用いてpH7〜13に撹拌保持した後、中和、ろ過、洗浄し、乾燥させて作製される。この場合、得られる疎水性メタチタン酸微粒子は、数百度という焼成工程を通らないので、Ti同士の強い結合がないため、凝集が全くなく、粒子はほぼ一次粒子の状態で有機系シラン化合物で疎水化処理することができる。その結果、従来の酸化チタン微粒子は、凝集性が高く、所望の疎水化、帯電付与能を得るために過剰の有機系シラン化合物の処理量を必要としていたのに対し、本発明の製造方法では、メタチタン酸微粒子の凝集性が低いために、有機系シラン化合物をメタチタン酸微粒子表面に均一に処理することができ、過剰の有機系シラン化合物の処理量を必要としない。
【0069】
さらに本発明の製造方法においては、メタチタン酸微粒子を酸性スラリー下にて有機系シラン化合物を反応させた後、いったん反応スラリーをアルカリを用いてpH7〜13にし撹拌保持するため、有機系シラン化合物の自己縮合反応速度が抑えられ、メタチタン酸微粒子との加水分解速度を促進させることができる。pHが13より大きい場合、目的とするメタチタン酸微粒子を得ることが可能であるが、中和、洗浄等のハンドリングにおいて好ましくない。pHが7より小さい場合、メタチタン酸表面に自己縮合により生成し物理的に吸着した有機系シラン化合物の割合が多くなり、有機系シラン化合物がメタチタン酸粒子に対して効率的に加水分解反応を行えないため、メタチタン酸表面に化学的に吸着している有機系シラン化合物の割合が少なくなる。
【0070】
即ち本方法により、メタチタン酸微粒子表面に物理的に吸着している有機系シラン化合物を減らし、化学的に結合しているシラン化合物を多くすることができるため、メタチタン酸に対する有機系シラン化合物の被覆力が強くなる。さらには、化学的に結合している有機系シラン化合物を多くすることにより、効率的にメタチタン酸微粒子を被覆、疎水化処理することができ、有機系シラン化合物の処理量を減らすことができる。その結果、長期にわたり連続現像が行われ層形成部材等によりトナーへのストレスが知った際に、トナー粒子からの、疎水性メタチタン酸微粒子の表面からの脱離を抑制でき、更には、疎水性メタチタン酸微粒子表面から有機系シラン化合物の脱離が抑制され、長期にわたりトナーに所望の疎水化機能、帯電付与能力等を維持でき、静電荷像担持体表面へ癒着、もしくは傷つけることなく、カブリ、白点ぬけ、フィルミング等のない高品位な画像を得ることができる。
【0071】
反応スラリーをpHを7〜13にする際、もしくはまた中和の際に用いるアルカリとしては、公知のものが使用できるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、アンモニアガスなどを使用することができる。
【0072】
また中和の際に用いる酸としては、公知のものが使用できるが、例えば、塩酸、硝酸、炭酸、酢酸、トリクロロ酢酸等を使用することができる。
【0073】
水洗後の乾燥温度は100〜190℃、好ましくは110〜170℃である。低過ぎると乾燥効率が悪く、疎水化度が低くなる。高過ぎると、炭化水素基の熱分解が起り、変色と疎水化度の低下が起こる。
【0074】
本発明に用いる有機系シラン化合物としては一般的に公知のものであれば特に制約されるものではないが、表面改質の目的(例えば帯電特性のコントロール、更には高湿下での帯電の安定化)及び有機系シラン化合物の反応性に応じて適宜選択すれば良い。例えばアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、シロキサン、シラン、シリコーンオイル等の有機系シラン化合物が使用できる。有機系シラン化合物による疎水化処理は疎水化剤単独で行っても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。例えば1種類の有機系シラン化合物単独で疎水化処理を行っても良いし、2種類の有機系シラン化合物で同時に、または有機系シラン化合物での疎水化処理を行った後、別の有機系シラン化合物で更に疎水化処理を行っても良い。またシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等の一般的に公知の疎水化剤を併用しても良い。
【0075】
特に好ましいものとしては、カップリング剤の如く、揮発性を有し、疎水性基及び反応性に富んだ結合基の双方を有しているアルコキシシランを用いるのが良い。
【0076】
具体的に例えばシランカップリング剤としては、一般式
RmSiYn
R:アルコキシ基
m:1〜3の整数
Y:アルキル基、ビニル基、フェニル基、メタアクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体
n:1〜3の整数
で表されるものが好ましく、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オタタデシルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0077】
本発明にて特に好適なのは、一般式
CnH2n+1−Si−(OCmH2m+1)3
n=4〜12
m:1〜3
で示されるカップリング剤である。ここで、一般式におけるnが4より小さいと、処理は容易となるが疎水化度が充分に達成出来ない。またnが12より大きいと、疎水性が十分になるが、酸化チタン同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下してしまう。また、mは3より大きいと、反応性が低下して疎水化が十分に行われなくなってしまう。
【0078】
従って、本発明において、nは4〜12、好ましくは4〜8、mは1〜3、好ましくは1〜2が良い。
【0079】
本発明に用いるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0080】
メタチタン酸微粒子に対する有機系シラン化合物の処理量は、疎水性メタチタン酸微粒子のSiO2量が1〜20質量%で、かつトルエン抽出によるC量減少率が25%以下、SiO2量減少率が25%以下となるような処理量であればよい(C量、SiO2量の測定方法及びトルエンによる抽出方法は後述する)。
【0081】
SiO2量が20質量%より大きい、あるいはトルエン抽出によるC量減少率が25%より大きく、SiO2量減少率が25%より大きい場合、メタチタン酸表面に物理的に吸着した有機系シラン化合物の部分が多くなり、長期にわたり連続現像が行われキャリア等の帯電付与部材によりトナーへのストレスが加わった際に、疎水性メタチタン酸微粒子の表面から有機系シラン化合物の脱離し、長期にわたりトナーに所望の疎水化機能、帯電付与能力等を維持できず、あるいは脱離した有機系シラン化合物が静電荷像担持体表面へ癒着、もしくは傷つけるため、カブリ、白点ぬけ、フィルミング等が生じ、高品位な画像を得ることができない。また余剰な有機系シラン化合物により、オイル化し、トナーの流動性に不具合が生じる。
【0082】
また疎水性メタチタン酸微粒子のSiO2量が1質量%未満である場合、所望の疎水化度を得ることができない。
【0083】
本発明において、有機系シラン化合物で表面処理された疎水性メタチタン酸微粒子の疎水化度は、40〜90%の範囲であり、50〜80%であることが好ましい。
【0084】
疎水化度が40%より小さい場合には、トナーの摩擦帯電量が低下しやすく、特に高湿環境下で帯電量が低下して、トナー飛散、カブリ、画質劣化が生じやすい。また、疎水化度が90%より大きい場合には、疎水性メタチタン酸微粒子自身の好適な帯電コントロールが困難となり、特に、低湿環境下でトナーがチャージアップしやすい。
【0085】
疎水化メタチタン酸微粒子の個数平均粒径は、トナーへの流動性付与、研磨性の点から10〜100nmであることが好ましい。
【0086】
個数平均粒径が10nmより小さい場合には、トナー粒子表面に埋め込まれ易いためトナー劣化が早期に生じやすく、耐久性が低下し、また疎水化剤及び荷電制御剤により表面処理された無機微粒子の研磨性が低い。
【0087】
個数平均粒径が100nmより大きい場合には、トナーの流動性が低下するために帯電が不近一となりやすく、その結果として画質の劣化、トナー飛散、カブリが生じやすい。また、感光体表面に大きな傷を付けやすく、ハーフトーン画像のざらつき感が目立つ等の画像欠陥を生じやすくなる。
【0088】
疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積は、50〜350m2/gの範囲が好ましい。
【0089】
疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積が50m2/gより小さい場合には、疎水性メタチタン酸微粒子の粒径が大きくメタチタン酸の凝集体或いは粗大粒子が存在することを示し、トナーの流動性の低下や、感光体表面を傷つけることによる画像品位の低下等の問題が生じやすい。また、疎水性メタチタン酸微粒子の粒径がトナー粒子から遊離し易く、遊離した疎水性メタチタン酸微粒子が、多量に現像機内に残留したり、画像形成装置本体内の各種装置に付着し、悪影響を及ぼすため、好ましくない。
【0090】
疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積が350m2/gより大きい場合には、疎水性メタチタン酸微粒子への水分吸着量が多くなり、トナーの帯電特性へ悪影響を及ぼす場合がある。特に、高湿環境下でトナーの摩擦帯電量が低下し、トナー飛散、カブリ、画質劣化が発生しやすくなる。
【0091】
上記疎水性メタチタン酸微粒子は、トナー100質量部に対して0.01〜10質量部が外添剤として外添混合され、好ましくは0.05〜5質量部が外添混合される。該疎水性メタチタン酸微粒子は、単独、または2種以上で用いても、また、他の外添剤を複数併用しても良い。
【0092】
本発明に係る他の外添剤としては、従来の如くシリカ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化セリウム、フッ化セリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化錫等の各種無機微粒子、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンの如き有機微粒子を単独あるいは組み合わせて用いてもよい。トナー粒子に対して上述した微粉末を外添することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー粒子相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上する。しかしながら、本発明において、トナー粒子にこれらの微粒子の外添は必須ではない。上述した微粉末の平均粒子径は、0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.2μmを超えると流動性向上の効果が少なくなり、現像時、転写時の不良等により画質を低下させてしまう場合がある。これらの微粉末の平均粒径の測定は後述する。
【0093】
これらの微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸着によって比表面積が30m2/g以上、特に5〜400m2/gの範囲のものが良好である。微粉末の添加量は、トナー100質量部に対して0.01〜10質量部で使用することが好適である。
【0094】
また、該無機微粒子は、高湿下での帯電性を維持するために、疎水化処理することが好ましい。疎水化剤としては、一般的に公知の処理剤であれば特に制約されるものではないが、本発明の無機微粒子の表面処理において例示した有機系シラン化合物が使用できる。その処理量は、無機微粒子100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
【0095】
次に本発明に用いられるトナーについて説明する。
【0096】
また、トナー形状としては、短軸長さ/長軸長さの比が0.8を超える形状であると、磁性粒子の摺擦により、感光体上を比較的移動しやすい。さらに、0.90を超えるとさらに好ましい。
【0097】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のトナー用結着樹脂として公知の広範な樹脂が単独あるいは複数種組み合わせて使用可能である。
【0098】
着色剤としても従来より知られている無機、有機の染料、顔料が使用可能であり、たとえば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダムンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは通常、結着樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部使用される。
【0099】
また、帯電制御の目的で、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体または金属塩、アゾ系化合物、アセチルアセトン等を用いることができる。
【0100】
本発明に係るトナー粒子を作製するには、たとえば、結着樹脂、ワックス、金属塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって本発明に係るトナー粒子を得ることができる。
【0101】
トナー粒子の形状としては、その粉砕分級工程に依存し、通常、フロー式粒子像測定装置で計測される平均円形度が0.950〜0.995であり、円形度標準偏差が0.040未満であることがより好ましい。
【0102】
平均円形度がその範囲であると、トナーの持つその丸い形状から、トナーに対する圧力や摺擦等の負荷が軽減される。平均円形度がその範囲であると、転写残トナーが接触帯部材をより軽負荷で通過するので、トナーの部材融着がより起こりにくくなる。それは同時に、回収される転写残トナーとフレッシュトナーとの物性差を縮めることを意味し、それによって現像性や転写性の維持機能が強化される。また、円形度標準偏差が0.040未満であることは、トナーの形状分布が狭いことを意味しているので、やはり部材へのトナー融着、劣化、現像性あるいは転写性が良好となる。
【0103】
平均円形度が0.950を超える形状とするためには、機械的、熱的に表面処理を行い、形状をコントロールすることが好ましい。形状をコントロールする方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、奈良機械社製ハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製オングミルなどが使用できる。また、熱風により球形化する方法、また、温浴中で球形化する方法、溶剤に溶解してスプレードライ方法により球形に成形する等の方法も可能である。
【0104】
平均円形度が0.950を超える形状のトナー粒子としては、重合法により生成されたトナー粒子を用いることが好ましい。特に、トナー粒子の表層部を重合法により形成したトナー粒子は、分散媒体中でモノマー組成物を重合することにより生成するため、トナー粒子の表面は、かなり平滑化されたものを得ることができる。
【0105】
特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて重合性モノマー組成物から直接トナー粒子を生成する方法や、重合性単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法や、重合性単量体を水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合してトナー粒子を生成するソープフリー重合法のような乳化重合法を用いトナー粒子を製造することが可能である。
【0106】
トナー粒子の製造方法として直接重合法を使用する場合には、重合開始剤としてたとえば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20質量%用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独または混合して使用される。
【0107】
重合度を制御するため公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いても良い。
【0108】
トナーを製造するのに懸濁重合を使用する場合には、用いる分散剤として無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
【0109】
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、水のような分散媒体中において高速撹拌下で該無機化合物の微粒子を生成しても良い。たとえば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することでリン酸三カルシウムの微粒子を生成すると懸濁重合法に好ましい微粒状の分散剤を得ることができる。
【0110】
これら分散剤の微細化のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。たとえば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0111】
トナー粒子を製造するのに直接重合法を用いる場合においては、以下のような製造方法によってトナー粒子を製造することが可能である。
【0112】
重合性単量体中に低軟化点物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解または分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー、ホモジナイザーのような高剪断撹拌機により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度、撹拌時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。重合反応後半に昇温しても良く、さらに、本発明における画像形成方法における耐久性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、または反応終了後に一部水系媒体を反応系から留去しても良い。
【0113】
反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0114】
本発明のトナーを二成分現像剤として用いる場合に使用されるキャリアとしては、例えば表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及びフェライトあるいはそれらの樹脂分散型キャリアなどが使用できる。また、その製造方法として特別な制約はない。
【0115】
また、上記キャリアの表面を必要に応じて樹脂等で被覆してもよい。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0116】
キャリア表面への固着物質としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャリーブチルサリチル酸の金属錯体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粒子、アルミナ微粒子などを単独或は複数で用いるのが適当であるが、必ずしもこれに制約されない。
【0117】
上記化合物の処理量は、キャリアが前記条件を満足するよう適宜決定すれば良いが、一般には総量でキャリアに対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が望ましい。
【0118】
これらキャリアの平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜70μmを有することが好ましい。
【0119】
本発明におけるトナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低く実用不可となり、15%超ではカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短める。
【0120】
本発明の現像方法としては、特に選ばないが、現像手段が実質的なクリーニング手段でもあるシステム、すなわち、転写位置と帯電位置との間及び帯電位置と現像位置との間に転写後の静電荷像担持体上に残留したトナーを回収し、貯蔵するクリーニング手段を有さない、所謂クリーナーレスシステムの場合、反転現像が好ましく、また、現像剤と静電荷像担持体とが接触するような構成が好ましい。例えば接触二成分現像法、接触一成分現像法などが好適な現像方法として挙げられる。現像剤と転写残りトナーとが静電荷像丹治退場にて接触している場合、静電気的に摺擦力が加わり、効果的に転写残りトナーを現像手段にて回収できる傾向があるからである。現像の際に印加されるバイアスについては、その直流成分は、黒字部(反転現像の場合、露光部)と白地部の電位の間にすることが好ましい。
【0121】
本発明においては、転写残りトナーを、一時的に回収した帯電手段(帯電器)から、静電荷像担持体表面を利用して、現像部分に搬送し回収再利用するために、静電荷像担持体帯電バイアスを変更する必要は無い。但し、実用上、転写材ジャムが生じた場合、あるいは画像比率の高い画像を連続して得る場合は、帯電器に混入する転写トナーが非常に多くなることがある。この場合は、電子写真装置の動作中、静電荷像担持体上に画像を形成しない時を利用して、帯電器から現像装置へとトナーを移動させても良い。この非画像形成時とは、前回転時、後回転時、転写材間などである。その場合、トナーが帯電器より静電荷像担持体に移りやすいような帯電バイアスに変更することも好ましく用いられる。帯電器から放出しやすくする方法としては、交流成分のピーク間電圧を小さめにする、あるいは直流成分のみとする。さらに、ピーク間電圧を変えずに、波形を変更して交流実効値を下げる、などが挙げられる。
【0122】
本発明において、前記した疎水性無機微粒子であれば、転写性、カブリが良好となり、クリーナーレスシステムへの適用が容易となる。特に高湿下でのキャリア汚染が抑制され、少量の現像剤で長寿命化が達成され、装置の小型化に好適であるため本発明においては、現像剤担持体の直径が20mm以下、好ましくは16mm以下のものが好適に使用可能である。また静電荷像担持体の直径は、40mm以下、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは24mm以下のものが好適に使用可能である。
【0123】
本発明が適用可能な画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0124】
図2は本発明の適用される画像形成装置を表わす図面である。この画像形成装置は、像担持体である感光体ドラム上にトナー像を形成する画像形成部31Y,31M,31C,31BKと、そのトナー像を一担転写する中間転写ベルト4a及びそのベルト4a上のトナー像を記録媒体2に転写する転写手段である二次転写ローラ40、記録媒体2を中間転写ベルト4aと二次転写ローラ40間へ送り出す給紙手段及び転写手段へ記録媒体2を搬送する給送手段、定着手段、排紙手段を具備する。
【0125】
以下画像形成について説明する。
【0126】
図2に示すように画像形成装置には複数枚の記録媒体(例えば、記録紙、OHPシート、布等)2を積載収納する給紙カセット3aが着脱自在に装着されている。ピックアップローラ3bにより給紙カセット3aから給送された記録媒体2はリタードローラ対3cにより一枚ずつに分離され、搬送ローラ3d,3fによってレジストローラ対3gに搬送される。
【0127】
記録媒体2が搬送された時には、レジストローラ対3gは回転を停止しており、これのニップに突き当てられることにより記録媒体2は斜行を矯正される。
【0128】
像担持体を含むプロセスカートリッジBY,BM,BC,BBには4ドラムフルカラー方式の場合、図2のごとくイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つが並列配置されている。各々のプロセスカートリッジBY,BM,BC,BBに対し、それぞれ光学走査系が1Y,1M,1C,1BKが設けられ、画像信号により各色ごとの感光体ドラム上にトナー像が形成された後、転写ローラ4Y,4M,4C,4BKにより図示矢印方向に走行する中間転写ベルト4a上に各色トナーが重ねて転写される。
【0129】
この後、記録媒体2は所定のタイミングで、2次転写ローラ40に送り出され、中間転写ベルト4a上のトナー像が記録媒体2上へ転写され、定着器5で定着された後、排出ローラ対3h,3iにより排出され、装置本体14上のトレー6に積載される。
【0130】
上記画像形成部31Y,31M,31C,31BKは光学走査系1Y,1M,1C,1BKを除いて夫々がプロセスカートリッジBY,BM,BC,BBを構成している。プロセスカートリッジの構成は同様であるのでプロセスカートリッジBYについてのべる。
【0131】
図3に示すようにプロセスカートリッジBYは感光体ドラム7の周囲に帯電手段、露光部、現像手段、転写開口を配設したものである。この実施の形態では磁性キャリア粉を有する二成分現像剤を用いている。そこで本発明の実施の形態に用いられる感光体ドラム7としては、通常用いられている有機感光体等を用いることができる。
【0132】
帯電手段は、導電性を有する帯電ローラー8である。この帯電ローラー8は、感光体ドラムの回転に従動する。
【0133】
現像手段は本実施の形態では2成分現像剤を接触状態にして現像する方法を採用した。
図3には本実施の形態において用いた2成分磁気ブラシ現像用の現像手段10が示されている。現像スリーブ10dは中空円筒形であって回転自在に支持されている。現像スリーブ10d内には固定のマグネット10cが配設されている。現像スリーブ10dは感光体ドラム7と同方向に回転し、周面は感光体ドラム7の周面の移動方向に対して反対方向に移動する。感光体ドラム7と現像スリーブ10dは非接触で0.2〜1.0mm程度の隙間があけられていて、現像剤が感光体ドラム7に対して接触する状態で現像できるように設定されている。
【0134】
キャリアを混合されてトナーは両端を除く長手方向の隔壁10fで仕切られたケーシング内の撹拌スクリュー10g,10hで供給される。不図示のトナー供給容器から供給されたトナーは撹拌スクリュー10gの一端側へ落下して長手方向の一方向へ送られ乍ら撹拌され他端側の隔壁10fのない部分をとおり、撹拌スクリュー10hで一端側に移動して、ついで、一端側の隔壁10fのない部分をとおり撹拌スクリュー10gで送られ乍ら撹拌され、循環する。
【0135】
ここで感光体ドラム7に形成された静電潜像を、現像装置10を用いて2成分磁気ブラシ法により顕像化する現像工程と現像剤の循環系について以下説明する。
【0136】
まず、現像スリーブ10dの回転に伴いマグネット10cの極で汲み上げられた現像剤は、搬送される過程において、現像スリーブ10dに対して垂直に配置された規制ブレード10eによって規制され、現像スリーブ10d上に薄層形成される。ここで薄層形成された現像剤が、現像主極に搬送されてくると磁気力によって穂立ちが形成される。この穂状に形成された現像剤によって感光体ドラム7の静電潜像を現像し、その後反発磁界によって現像スリーブ10d上の現像剤は、現像容器10a内に戻される。
【0137】
現像スリーブ10dには図示しない電源から直流電圧及び交流電圧が印加される。一般に二成分現像法においては交流電圧を印加すると現像効率が増し、画像は高品位になるが、逆にかぶりが発生しやすくなるということも生じる。このため、通常、現像スリーブ10dに印加する直流電圧と感光体ドラム7の表面電位間に電位差を設けることによって、現像時に非画像領域にトナーが付くのを防止する。
【0138】
このトナー像は、ついで図2中の中間転写装置4により中間転写体である中間転写ベルト4aに転写される。中間転写装置4は無端状のベルト4aを駆動ローラ4b、従動ローラ4c、及び二次転写対向ローラ4dに巻掛け、図2中矢印方向に回動される。さらに転写ベルト4a内には転写ローラ4Y,4M,4C,4BKを備え、各転写ローラは、ベルト4aの内側から感光体ドラム7(7Y,7M,7C,BK)方向に加圧力を発生しつつ、高圧電源より給電されることで、ベルト4aの裏側からトナーと逆極性の帯電を行なうことにより感光体ドラム7上のトナー像を順次中間転写ベルト4aの上面に転写する。
【0139】
中間転写ベルト4aとしてはポリイミド樹脂からなるものを用いることができる。ベルト4aの材質としてはポリイミド樹脂に限定されるものではなく、誘電体例えばポリカーボネイト樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などのプラスチックや、フッ素系、シリコン系のゴムを好適に用いることができる。
【0140】
トナー像転写後の感光体ドラム7の面には転写残トナーが残留している。この転写残トナーは、帯電ローラーを通過して、現像部の磁気ブラシに捕捉されて、現像器に回収される。
【0141】
図5は、本発明に用い得る接触1成分現像方式のプロセスカートリッジの該略図である。カートリッジ40はトナー42を収容しており、感光体1と接触して矢印方向に回転するトナー担持体4を具備する。また、感光体1は、接触帯電手段2により帯電される。さらに、トナー量規制及び帯電付与のための現像ブレード43,トナー42をトナー担持体4に付着させ、かつトナー担持体4との摩擦でトナーヘの帯電付与を行うため矢印方向に回転する塗布ローラ41も備えている。
【0142】
以下に、本発明に使用される測定方法の具体例を示す。
【0143】
(C量の測定方法)
試料中のC量は、金属中元素分析装置(堀場製作所社製EMIA−110)を用いて定量を行った。(有機元素測定装置でも測定可)
【0144】
(SiO2量の測定方法)
試料中のSiO2量は、蛍光X線分析装置(理学電気社製RIX3000)を用いて定量を行った。
【0145】
(C量及びSiO2量のトルエン抽出による減少率)
500mlポリ瓶容器に試料15gと特級トルエン100gを入れ、振とう機((株)ヤヨイ社製YS−LDII)で25℃、150rpm×1時間振とう後、遠心分離し、減圧乾燥した。トルエン抽出前及び抽出後の試料を上記方法にてC量及びSiO2量を測定し、抽出によるC量及びSiO2量の減少率を算出した。
【0146】
(トナー粒度測定)
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行った。
【0147】
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機製)およびPC9801パーソナルコンピュータ(NEC社製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150m1中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、着色剤含有樹脂粒子またはトナー粒子の体積、個数を測定して2〜40μmの体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた質量基準の質量平均径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネルごとの代表値とする)、体積分布から求めた質量基準の粗粉量(16.0μm以上)、個数分布から求めた個数基準の微粉個数(5.04μm以下)を求める。
【0148】
(トナーの平均円形度の測定)
トナーの平均円形度、及び円形度標準偏差は、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行った。
【0149】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上にならないように適宜冷却する。
【0150】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いてトナー粒子の平均円形度及び円形度標準偏差を下式を用いて算出した。
【0151】
【数1】
【0152】
【数2】
【0153】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0154】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0155】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0156】
【数3】
【0157】
【数4】
【0158】
又、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cと円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0159】
【数5】
【0160】
(疎水化度測定)
メタノール滴定試験は、疎水性無機微粒子の疎水化度を確認する実験的試験である。疎水性無機微粒子0.2gを容量250mlの三角フラスコ中の水50m1に添加する。メタノールをヒューレットから疎水性無機微粒子の全量が湿潤されるまで滴定する。この際フラスコ内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は疎水性無機微粒子の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は終点に達した際のメタノールおよび水の液状混合物中のメタノール百分率として表わされる。
【0161】
(BET比表面積の測定方法)
疎水性無機微粒子のBETの実測は次のようにして行う。
【0162】
BET比表面積は、湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置:オートソーブ1を使用し、吸着ガスに窒素ガスを用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、温度50℃で10時間の脱気を行う。
【0163】
(疎水性無機微粒子の平均粒径の測定方法)
一次粒子径は、疎水性無機微粒子を透過電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の粒子径を測定して平均粒子径を求める。
【0164】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれの実施例に制約されるものではない。「部」は「質量部」を意味する。
【0165】
疎水性メタチタン酸Aの製造例
硫酸加水分解法により得られた個数平均一次粒径が40nmのメタチタン酸スラリーに撹幹しながら6N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.5として1時間撹拌保持後、12N塩酸にてpH5.6まで中和し、ろ過、水洗を行った。洗浄済ケーキに水を加え再びスラリーとし、撹拌をしながら12N塩酸を加えpHl.3とし2時間撹拌保持し、解膠処理を行った。この解膠スラリーからメタチタン酸として100g分を分取し、40℃に加温保持し撹拌しながら、イソブチルトリメトキシシラン50g(50質量%)を添加し30分間撹拌保持した。次に一旦反応スラリーに8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを9.8(40℃)にし、10分間撹拌保持後、8N塩酸を用いてpH6.6(40℃)まで中和し、ろ過、水洗を行った。
【0166】
水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、SiO2量11質量%、トルエン抽出によるC量減少率12%、SiO2量減少率12%、疎水化度57%、BET比表面積120m2/gの目的とする疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸A)を得た。
【0167】
疎水性メタチタン酸Bの製造例
硫酸加水分解法により得られた個数平均一次粒径が30nmのメタチタン酸スラリーに撹拌しながら6N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.3として1時間撹拌保持後、12N塩酸にてpH5.5まで中和し、ろ過、水洗を行った。洗浄済ケーキに水を加え再びスラリーとし、撹拌をしながら12N塩酸を加えpH1.2とし2時間撹拌保持し、解膠処理を行った。この解膠スラリーからメタチタン酸として100g分を分取し、40℃に加温保持し撹拌しながら、イソブチルトリメトキシシラン10g(10質量%)を添加し30分間撹拌保持した。次に一旦反応スラリーに8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを9.6(40℃)にし、10分間撹拌保持後、8N塩酸を用いてpH6.5(40℃)まで中和し、ろ過、水洗を行った。
【0168】
水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、SiO2量5質量%、トルエン抽出によるC量減少率10%、SiO2量減少率10%、疎水化度35%、BET比表面積130m2/gの目的とする疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸B)を得た。
【0169】
疎水性メタチタン酸Cの製造例
イソブチルトリメトキシシランの添加量を90g(90質量%)に変えた以外は、外添剤Bと同様な手法を用いてSiO2量18質量%、トルエン抽出によるC量減少率17%、SiO2量減少率14%、疎水化度95%、BET比表面積140m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸C)を得た。
【0170】
疎水性メタチタン酸Dの製造例
硫酸加水分解法により得られるメタチタン酸スラリーを、pH調整により個数平均一次粒径が120nmのものを用い、イソブチルトリメトキシシランの添加量を40g(40質量%)に変えた以外は、外添剤Aと同様な手法でSiO2量8質量%、トルエン抽出によるC量減少率12%、SiO2量減少率12%、疎水化度55%、BET比表面積30m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸D)を得た。
【0171】
疎水性メタチタン酸Eの製造例
疎水性メタチタン酸Aの製造例において、イソブチルトリメトキシシランの添加量を70g(70質量%)に変え、30分撹拌保持後、8N水酸化ナトリウム水溶液を加えてそのままpH6.5(40℃)まで中和する以外は同様な手法を用いてSiO2量13質量%、トルエン抽出によるC量減少率20%、SiO2量減少率17%、疎水化度60%、BET比表面積130m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸E)を得た。
【0172】
疎水性メタチタン酸Fの製造例
疎水性メタチタン酸Aの製造例において、イソブチルトリメトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサンエマルジョンを有効成分として20g(20質量%)に変えた以外は同様な手法を用いて、SiO2量15質量%、トルエン抽出によるC量減少率22%、SiO2量減少率17%、疎水化度55%、BET比表面積70m2/gの疎水性メタチタン酸微粒子(疎水性メタチタン酸F)を得た。
【0173】
親水性酸化チタンGの製造例
メタチタン酸Aの製造例において、イソブチルトリメトキシシランを使用しない以外は同様にして、未処理の親水性のアナターゼ型酸化チタンGを得た。
【0174】
(トナー粒子の製造例1)
・スチレン 100部
・メチルメタクリレート 10部
・n−ブチルアクリレート 10部
・C.I.ピグメントイエロー74 8部
・ジターシャリブチルサルチル酸Al化合物 1.5部
・飽和ポリエステル(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノール
A、酸価14mgKOH/g、ピーク分子量8500) 10部
・エステルワックス(ベヘン酸ベヘニル) 40部
上記処方を60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、10,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0175】
別途イオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TKホモミキサー(特殊機化工業製)を用い、1,300rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0176】
この水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、更にポリエチレンを2部添加し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミキサーにて12,000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、水系媒体をパドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で昇温し、8時間の重合反応を行った。
【0177】
重合反応終了後、冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを融解させた後、濾過、水洗、乾燥をして、重合粒子(トナー粒子1)を得た。得られた重合トナー粒子Aの重量平均粒径は6.7μm、平均円形度は0.980、円形度標準偏差は0.032であった。
【0178】
得られたトナー粒子1は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた重合粒子の断層面測定法により、ワックスを外殻樹脂層で内包化したコア−シェル構造が確認された。
【0179】
(トナー粒子の製造方法2)
C.I.ピグメントイエロー74の変わりにキナクリドン顔料を使用することを除いては、トナー粒子1の製造例と同様にしてマゼンタ色の重合粒子(トナー粒子2)を得た。得られたトナー粒子2は、重量平均粒径6.7μm、平均円形度は0.979円形度標準偏差は0.034であった。
【0180】
(トナー粒子の製造例3)
C.I.ピグメントイエロー74の変わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用することを除いては、トナー粒子1の製造例と同様にしてシアン色の重合粒子(トナー粒子3)を得た。得られたトナー粒子3は、重量平均粒径6.7μm、平均円形度は0.981、円形度標準偏差は0.029であった。
【0181】
(トナー粒子の製造例4)
C.I.ピグメントイエロー74の変わりにカーボンブラックを使用することを除いては、トナー粒子1の製造例と同様にしてブラック色の重合粒子(トナー粒子4)を得た。得られたトナー粒子4は、重量平均粒径6.8μm、平均円形度は0.980、円形度標準偏差は0.031であった。
【0182】
<実施例1>
トナーの粒子の製造例4で得られたブラック粒子100部に対して、疎水性メタチタン酸Aを1.2部加えて、ヘンシェルミキサー10B(三井三池化工機社製)において、回転数3000rpm、攪拌時間3分間の条件下で混合し、ブラックトナーを得た。
【0183】
上記トナー8部と、フェノール樹脂中にマグネタイト粒子を分散してなる磁性微粒子分散型樹脂キャリア92部とを混合し二成分現像剤とし、画像形成装置として、市販のデジタル複写機GP55(キヤノン製)を図3の現像装置が入れるよう改造したものを用いた。具体的には、現像剤担持体としては直径16mmのSUSスリーブをサンドブラスト処理によって表面粗さRz=12.5μmに調整したものを使用した。帯電部材としては、図1に示す帯電器を使用し、感光体の当接部に対して順方向に100%で回転させ、直流/交流電界(−600V、1.5kHz/1.2kVpp)を重畳印加し、を帯電させた。現像コントラストは−200V、バックコントラストを−200Vに設定し、不図示のバイアス印加手段から図4に示す交流電圧を有する現像バイアスを印加し、定着ローラー、加圧ローラーともに表層をPFAで1.2μm被覆したローラーに変更しオイル塗布機構を除去した構成に改造し、画像面積5%のオリジナル原稿を使用し、15℃/10%(L/L)、30℃/80%(H/H)の各環境でそれぞれ1万枚の通紙試験を行い、以下の評価法に基づいて評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように良好な結果が得られた。
【0184】
(画像濃度)
画像濃度は、SPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスデンシトメータRD918タイプ(Macbeth Densitometer RD918manufactured by Macbeth Co.)を使用して、普通紙上に20φのベタパッチ(オリジナル原稿濃度1.5)を5ヶ所形成し、平均画像濃度として測定した。
【0185】
(カブリ)
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFRECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
【0186】
(ハーフトーン画像均一性)
マクベス画像濃度0.3〜0.6のハーフトーン画像を出力し、濃度の均一性、がさつき感、及び画像欠陥の程度を目視により評価する。
◎:画像濃度の均一性に優れた良好な出力画像である。
○:画像濃度の均一性にやや欠けるが、実用上問題のないレベルである。
△:画像濃度の均一性が悪く、がさついた出力画像であり、実用上問題となるレベルである。
×:画像濃度の均一性が著しく悪く、帯電ローラ汚染に起因するスジ又はポチ状の画像欠陥が目立ち、実用不可能なレベルである。
【0187】
<実施例2>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Bである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように若干耐久性に劣るものの、良好な結果が得られた。これは、疎水化度が小さいことからもわかるように、表面処理が若干不均一となり、トナーへの帯電安定化効果が若干損われたためと推測される。
【0188】
<実施例3>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Cである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において、実施例1や2と比較して若干劣るが、これは、疎水化度が大きいために、トナーの帯電速度が逆に低下したためと考えられる。
【0189】
<実施例4>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Dである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において若干劣るが、これは粒径が大きいために、トナーの流動性が若干低下したためと推測される。
【0190】
<実施例5>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Eである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において耐久性が若干劣るが、これは抽出量が若干大きいために、耐久によるストレスが加わった際に、疎水性メタチタン酸微粒子表面から多量の残存物が遊離したため、トナーが好適な帯電性を維持できず、キャリアへのスペントや、現像器各部を汚染したためと考えられる。
【0191】
<実施例6>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが疎水性メタチタン酸Fである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、全ての項目において若干劣るものの良好な結果が得られた。これは、酸化チタンの処理がシリコーンオイルであるので凝集しやすく、現像剤の流動性が若干劣るためによるものと考えられる。
【0192】
<実施例7>
トナーの製造例1、トナーの製造例2、トナーの製造例3およびトナーの製造例4において得られたイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックトナー粒子それぞれについて、実施例1と同様の条件で外添を行い、各色のトナーを得た。
【0193】
また、このトナー8部に対し、キャリアの製造例で作製された磁性体分散型樹脂キャリア92部を混合して現像剤を調製し、この現像剤250gを各色ごとに図3に示した現像器に充填し、4色のプロセストナーカートリッジとした。
【0194】
以上のカートリッジを用いて、15℃/10%(L/L)、30℃/80%(H/H)の各環境下において、実施例1と同様の評価方法に基づき、図2に示したフルカラー画像形成装置によって、プリント速度をA4横23枚/分とし、紙面積に対するプリント比率5%のオリジナル原稿を用いて、1万枚の連続プリント試験を行った。 評価結果を表1に示が、表から分かるように、全ての項目において良好な結果が得られた
【0195】
<比較例1>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aが親水性酸化チタンGである他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、すべての評価項目において悪化した。これは、疎水化処理を施してない為に、水分吸着による帯電付与性が著しく劣るともに、キャリアや帯電ローラ及び感光体への付着性も高いため、かぶりの悪化及び帯電ローラへの汚染による画像不良が顕著になったものと推測する。
【0196】
<比較例2>
実施例1において疎水性メタチタン酸Aのかわりに、4塩化チタンから気相法で合成した後、シランカップリング剤処理したT805(デグサ社製)を用いる他は同様に行い、画像評価した。結果を表1に示すが、表から分かるように、耐久後半のかぶり及び帯電ローラ汚染による不良画像が発生した。かぶりの悪化は、気相法により製造した酸価チタンであるため処理剤の化学結合性がメタチタン酸より弱いため、耐久後半の処理剤剥離によってトナーの帯電特性がおちたためと推測する。帯電ローラへの汚染は、酸化チタン中の焼結塊の存在が、耐久に伴って帯電ローラに蓄積されたためと推測する。
【0197】
【表1】
【0198】
【発明の効果】
本発明によれば、オゾンレス接触帯電及び現像同時クリーニング工程を導入した環境に配慮したシステムにおいても、帯電部材汚染及び感光体傷の問題が生じず、長期にわたってカブリの無い安定した良好な画像が得られるトナーが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触帯電装置の概略図である。
【図2】フルカラー画像形成方法の例を示す概略説明図である。
【図3】本発明の現像装置の好適な一例を表す模式図である。
【図4】実施例で用いた交流電界を表す模式図である。
【図5】本発明に用い得る接触一成分現像方式のプロセスカートリッジである。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電部材
Claims (6)
- ▲1▼導電性ゴム層とその外側に離型性皮膜を有する帯電部材に外部より電圧を印加し感光体に接触帯電を行う帯電工程、▲2▼帯電された感光体を露光して静電荷潜像を形成する露光工程、▲3▼感光体をトナーで現像を行う現像工程、▲4▼トナー像を中間転写体を介して、または介さずに転写材へ転写する転写工程、▲5▼転写後に静電潜像担持体上に残存するトナーを該現像工程で現像手段に回収する現像同時クリーニング工程を有する画像形成方法に供するトナーであって、
該トナーが、少なくとも着色剤および結着樹脂を含有するトナー粒子と添加剤を有し、該外添剤が、メタチタン酸をシラン化合物あるいはシリコーンオイルにより表面処理して得られるチタン化合物であることを特徴とするトナー。 - 該外添剤が、メタチタン酸とシラン化合物との反応で得られるチタン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該メタチタン酸のSiO2量が1〜20質量%であり、かつトルエン抽出によるC量減少率が25%以下、SiO2量減少率が25%以下になるように有機系シラン化合物で表面疎水化処理されている疎水性メタチタン酸微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 該疎水性メタチタン酸微粒子のBET比表面積が50〜350m2/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
- 該疎水性メタチタン酸微粒子の個数平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 該疎水性メタチタン酸微粒子の疎水化度が40〜90%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
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-
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