JP2004124004A - ポリエステルの製造方法、ポリエステル及び繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを、全芳香族ジカルボン酸成分を基準として30〜120ミリモル%のアルカリ土類金属化合物の存在下にエステル交換反応させた後、特定のチタン化合物を添加して重縮合反応させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルの製造方法に関し、更に詳しくは、特定のポリエステル製造用触媒を用いて、色調に優れ、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れた性能を有する、鮮明性の改善されたポリエステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
【0003】
例えばポリエチレンテレフタレートは、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重縮合体を生成させ、次いでこの反応生成物を重縮合反応触媒の存在下で減圧加熱して所定の重縮合度になるまで重縮合反応させることによって製造されている。
【0004】
これらの重縮合反応段階で使用する触媒の種類によって、反応速度および得られるポリエステルの品質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエチレンテレフタレートの重縮合反応触媒としては、アンチモン化合物が、優れた重縮合反応触媒性能を有し、かつ、色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用されている。
【0005】
しかしながら、アンチモン化合物を重縮合反応触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題がある。
【0006】
該アンチモン化合物以外の重縮合反応触媒として、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることも提案されているが、このようなチタン化合物を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因する成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不良であるという新たな問題が発生する。
【0007】
上記着色問題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加することによってポリエステルの色調(b値)は改善することができるが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0008】
また、他のチタン化合物として、水酸化チタンをポリエステル製造用触媒として用いること(例えば特許文献1参照。)、またα−チタン酸をポリエステル製造用触媒として用いること(例えば特許文献2参照。)が開示されている。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、したがっていずれも工業的に採用するには適当ではなく、更に、良好な色調(b値)のポリマーを得ることも困難である。
【0009】
また、チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた生成物をポリエステルの製造用触媒として用いること(例えば、特許文献3参照。)、またチタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物をポリエステル製造用触媒として使用すること(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。
【0010】
確かに、これらの方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているものの、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、したがってポリマー色調のさらなる改善が望まれている。
【0011】
また、口金異物を抑制するには、前記のように触媒としてアンチモンを使用しないことが有効な手段であるが、アンチモンを使用しない方法では、糸の色相が悪化してしまうため、従来は使用に供することができなかった。
【0012】
【特許文献1】
特公昭48−2229号公報
【0013】
【特許文献2】
特公昭47−26597号公報
【0014】
【特許文献3】
特公昭59−46258号公報
【0015】
【特許文献4】
特開昭58−38722号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色調に優れ、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れた性能を有する、色相の改善されたポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち本発明の目的は、
芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを、全芳香族ジカルボン酸成分を基準として30〜120ミリモル%のアルカリ土類金属化合物の存在下にエステル交換反応させた後、触媒失活剤としてリン化合物を下記数式(1)を満足するように添加して実質的にエステル交換反応を終了させ、
次いで、予め調製した、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、若しくは下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物と、下記一般式(III)で表されるリン化合物とを、チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲でグリコール中で加熱することにより得られた析出物を、全芳香族ジカルボン酸成分を基準としてチタン元素換算で2〜40ミリモル%の範囲で添加し重縮合反応させる、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの製造方法。
【0019】
【数2】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを、触媒の存在下にエステル交換反応、次いで重縮合反応させて得られる、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである。
【0024】
ここで、”主たる”とは、ポリエステルの全繰り返し単位を基準として、エチレンテレフタレート単位が75モル%以上を占めることをいい、この範囲内であれば、エチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重合ポリエチレンテレフタレートであってもよい。
【0025】
上記第3成分(共重合成分)としては、ジカルボン酸成分又はグリコール成分のいずれでもよい。第3成分として好ましく用いられるジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等のような芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、グリコール成分としては、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が例示でき、これらは単独又は二種以上を使用することができる。
【0026】
本発明のポリエステルの製造方法においては、エステル交換反応を、全ジカルボン酸成分を基準として、30〜120ミリモル%のアルカリ土類金属化合物の存在下で行う必要がある。
【0027】
該アルカリ土類金属添加量が30ミリモル%未満の場合、エステル交換反応が非常に遅くなり、また120ミリモル%より多い場合、得られるポリエステルの熱安定性や色相に悪影響を与える為、好ましくない。該アルカリ土類金属の存在量は35〜110ミリモル%の範囲が好ましく、40〜100ミリモル%の範囲が更に好ましい。
【0028】
ここで、用いるアルカリ土類金属化合物としてはカルシウム化合物、マグネシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物を挙げることができるが、これらの中でもカルシウム化合物、マグネシウム化合物が特に好ましく、カルシウム化合物として具体的には、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、安息香酸カルシウム、蟻酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等、及びこれらの水和物を、マグネシウム化合物として具体的には酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、安息香酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等、及びこれらの水和物をそれぞれ例示することができ、これらは単独で使用してもよく、また二種以上を併用してもよい。これらの中で酢酸カルシウム一水和物、酢酸マグネシウム四水和物を最も好ましい例として用いることができる。
【0029】
本発明のポリエステルの製造方法は、エステル交換反応終了後にエステル交換反応失活剤としてリン化合物を下記数式(1)を満足するように添加して実質的にエステル交換反応を終了させることが必要である。
【0030】
【数3】
【0031】
上記関係式において、(P/M)が上記の範囲にあるときには、得られるポリエステルの耐熱性、色相が更に良好なものとなり、また重縮合反応速度が低下することが無いので、生産性も一段と高いものとなる。該(P/M)の範囲は0.5〜1.1の範囲とすることが更に好ましく、0.6〜1.0の範囲にあることが特に好ましい。
【0032】
上述のエステル交換反応触媒の失活剤として使用するリン化合物はリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸あるいはこれらのエステル化合物を使用することが好ましく、特に下記一般式(III)及び/又は下記一般式(IV)で表されるリン化合物を用いることが好ましい。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
該リン化合物として具体的にはリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、トリ(ヒドロキシエトキシ)ホスフェート、トリ(ヒドロキシエトキシエトキシ)ホスフェート、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、トリ(ヒドロキシエトキシ)ホスファイト、トリ(ヒドロキシエトキシエトキシ)ホスファイト、フェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
【0036】
また前記式(III)で表されるリン化合物としては式中のqが0の場合は、例えば、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸等を挙げることができるが、中でもモノアリールホスホン酸が好ましい。
【0037】
qが1の場合は例えば、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノトリメチルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−ドデシル)フェニルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェート、モノアントリルホスフェート等が挙げられる。
【0038】
更に前記式(IV)で表されるリン化合物としてはカルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸等のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル及びジブチルエステルが挙げられる。
【0039】
本発明の製造方法においては、前記のエステル交換反応に引き続き、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、若しくは下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物と、下記一般式(III)で表されるリン化合物とをチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲でグリコール中で加熱することによって得られた析出物を触媒として用いて重縮合反応させる必要がある。
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
ここでチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1より小さい場合、得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがあり好ましくなく、4より大きい場合、ポリエステル生成反応に対する触媒活性が不十分になり好ましくない。チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)は1.2〜3.5の範囲が好ましく、1.5〜3.0の範囲が更に好ましい。
【0044】
また、チタン化合物成分(I)とリン化合物成分(III)との触媒調製は、エチレングリコール中で加熱反応されている必要があるが、反応方法としては例えばリン化合物(III)からなる成分とエチレングリコールとを混合して、リン化合物成分の一部又は全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(I)を滴下し、反応系を0℃〜200℃の温度に30分間以上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱することによって行われる。この反応において、反応圧力については格別の制限はなく、通常常圧下で行われる。
【0045】
ここで上記式(I)で表されるチタン化合物としては例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート、アルキルチタネート、酢酸チタン等を挙げることができる。
【0046】
また上記式(III)で表されるリン化合物としては式中のqが0の場合は、例えば、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸等を挙げることができるが、中でもモノアリールホスホン酸が好ましい。
【0047】
また、qが1の場合は例えば、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノトリメチルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−ドデシル)フェニルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェート、モノアントリルホスフェート等が挙げられる。
【0048】
上記式(I)で表されるチタン化合物は予め下記式(II)の芳香族多価カルボン酸及び/又はその無水物と反応させて使用してもよく、この場合、チタン化合物と多価カルボン酸及び/又はその無水物の反応モル比は(2:1)〜(2:5)の範囲にあることが好ましく、特に(1:1)〜(1:2)であることが好ましい。
【0049】
【化14】
【0050】
本発明のポリエステルの製造方法においては、上記の析出物は、全芳香族ジカルボン酸成分を基準として、チタン元素換算で2〜40ミリモル%の範囲にあるように添加することが必要である。
【0051】
該添加量がチタン元素量が2ミリモル%未満の場合は重縮合反応が遅くなり、40ミリモル%を越えると得られるポリエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低下することがある。該添加量は、チタン元素換算で3〜30ミリモル%の範囲とすることが好ましく、4〜20ミリモル%の範囲とすることが更に好ましい。
【0052】
本発明のポリエステルの製造方法は、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体をエステル交換反応触媒の存在下、アルキレングリコールとエステル交換反応せしめることによって製造する必要があるが、この出発原料物質であるテレフタル酸ジメチルは全ジカルボン酸成分の80mol%以上を占めることが好ましく、特に該原料であるテレフタル酸ジメチルは、ポリアルキレンテレフタレートを解重合することによってリサイクルされたテレフタル酸ジメチルが好ましく使用される。ここで、該ポリアルキレンテレフタレートとしてはポリエチレンテレフタレートが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収されたポリエステル繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、更にはこれら製品の製造工程において発生する屑ポリマーなど回収されたポリエステルが好ましく用いられる。また、上記回収されたポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られるテレフタル酸ジメチルの製造方法について特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで解重合した後、メタノールでエステル交換反応し、得られたテレフタル酸ジメチルを再結晶や蒸留で精製する方法等によって得ることができる。
【0053】
本発明のポリエステルの製造方法における、エステル交換反応時の反応系内の圧力については、通常は常圧での反応が好ましく実施されるが、必要に応じて加圧下での反応を実施してもよい。加圧下でのエステル交換反応を実施する場合、圧力を0.20MPaより高くすると、得られるポリマー中に副生成物として発生するジエチレングリコールの含有量が著しく増加し、ポリマーの熱安定性等の特性が劣ってしまう為、0.20MPa以下、好ましくは0.06〜0.10MPaの範囲で実施することが好ましい。
【0054】
本発明において製造されるポリエステルの固有粘度は、0.40〜0.80の範囲にあることが好ましく、更に0.45〜0.75、特に0.50〜0.70の範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、繊維の強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を越えると原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0055】
本発明において、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよい。
【0056】
特に艶消剤としての酸化チタン、安定剤としての酸化防止剤は好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを最終的に得られるポリエステル組成物中に0.01〜10重量%含有させるよう添加することが好ましい。
【0057】
また、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましく、具体的には、ペンタエリスリトール−テトラエキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン)イソフタル酸、トリエチルグリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等を挙げることができ、これらヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量がポリエステルを基準として1重量%以下の範囲で含むことが好ましい。1重量%を越えると製糸時のスカムの原因となり得る他、1重量%を越えて添加しても溶融安定性向上の効果が飽和してしまう為好ましくない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.005〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。またこれらヒンダードフェノール系酸化防止とチオエーテル系二次酸化防止剤を併用して用いることも好ましく実施される。
【0058】
該酸化防止剤のポリエステルへの添加方法は特に制限はないが、好ましくはエステル交換反応、またはエステル化反応終了後、重縮合反応が完了するまでの間の任意の段階で添加する方法が挙げられる。
【0059】
本発明のポリエステルは、アルカリ金属の含有量が該ポリエステルを基準として50重量ppm以下の範囲であることが好ましい。ここで、アルカリ金属元素とは具体的にはナトリウム、カリウム、リチウムを示すが、これらアルカリ金属元素の含有量が50ppm以下であれば、重縮合反応速度が適正なものとなり、色相もさらに良好なものとなる。該アルカリ金属の含有量は30ppm以下であることが更に好ましい。
【0060】
本発明のポリエステルは溶融紡糸することによって繊維とすることができる。この繊維製造方法としては特に限定はなく、従来公知の溶融紡糸方法をいずれも用いることができるが、例えばポリエステルを270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また延伸はポリエステル繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に延伸処理することによって、延伸糸を得ることができる。更に本発明のポリエステル繊維は風合を高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
【0061】
本発明のポリエステル繊維を製造する際において、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無く、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
【0062】
【実施例】
本発明の製造方法について、実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何ら限定を受けるものではない。尚、実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。
【0063】
(1)固有粘度:
ポリエステル0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に加熱溶解させた後、室温に冷却し、得られたポリエステル溶液の粘度を、オストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定し、得られた溶液粘度の値から、当該ポリエステルの固有粘度を求めた。
【0064】
(2)色調(L値及びb値):
ポリマー試料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
【0065】
(3)金属含有濃度分析:
触媒系中のチタン原子濃度及びリン原子濃度は、触媒溶液の場合は、そのまま液体セルに充填し、ポリエステル中のチタン原子濃度及びリン原子濃度は、粒状のポリエステルサンプルを加熱溶融して円形ディスクを作成し、それぞれのサンプルを理学電機工業株式会社製蛍光X線測定装置3270E型に供して定量分析を行った。
【0066】
ただし、艶消し剤として酸化チタンを添加したポリエステルのチタン原子濃度についてはサンプルをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、遠心分離機で酸化チタン粒子を沈降させ、傾斜法により上澄み液のみを回収し、溶剤を蒸発させて得たサンプルを調製し、これについて測定した。
【0067】
(4)ポリマー中のカルシウム、マグネシウム含有量:
サンプルをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について株式会社日立製作所製Z−6100型偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いてカルシウム、マグネシウムの定量を行った。
【0068】
(5)ポリマー中のジエチレングリコール含有量:
抱水ヒドラジンを用いてポリマーを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィ−(ヒューレットパッカード社製「HP6850」)を用いて測定した。
【0069】
(6)引張強度、引張伸度:
JIS L1013記載の方法に準拠して測定を行った。
【0070】
(7)紡糸口金に発生する付着物の層:
ポリエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の指標である。
【0071】
[参考例1]
重縮合反応触媒(A)の調製:
エチレングリコール131重量部中にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5重量部に、更にエチレングリコール40重量部を加えた後、これにチタンテトラブトキシド3.8重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物とフェニルホスホン酸とを反応させ、反応生成物を含む触媒の白色スラリーを得た。この触媒スラリーのチタン含量は0.3重量%、チタン元素のリン元素に対するモル比(P/Ti)は2.0であった。
【0072】
[参考例2]
重縮合反応触媒(B)の調製:
エチレングリコール2.5重量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリメリット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析出物をNo.5濾紙で濾過し、採取し、これを100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物のチタン含有量は11.2重量%であった。
【0073】
次に、エチレングリコール131重量部中にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5重量部に、更にエチレングリコール40重量部を加えた後、これに上記チタン化合物5.0重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物とフェニルホスホン酸とを反応させ、反応生成物を含む触媒の白色スラリーを得た。この触媒スラリーのチタン含量は0.3重量%、チタン元素のリン元素に対するモル比(P/Ti)は2.0であった。
【0074】
[参考例3]
重縮合反応触媒(C)の調製:
エチレングリコール131重量部中にモノ−n−ブチルホスフェート3.5重量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5重量部に、更にエチレングリコール40重量部を加えた後、これにチタンテトラブトキシド3.8重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物とモノ−n−ブチルホスフェートとを反応させ、反応生成物を含む触媒の白色スラリーを得た。この触媒スラリーのチタン含量は0.3重量%、チタン元素のリン元素に対するモル比(P/Ti)は2.0であった。
【0075】
[参考例4]
重縮合反応触媒(D)の調製:
エチレングリコール2.5重量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(後記ポリエステルの製造に用いられる無水トリメリット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析出物をNo.5濾紙で濾過し、採取し、これを100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物のチタン含有量は11.2重量%であった。
【0076】
次に、エチレングリコール131重量部中にモノ−n−ブチルホスフェート3.5重量部を120℃に10分間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液134.5重量部に、更にエチレングリコール40重量部を加えた後、これに上記チタン化合物5.0重量部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間撹拌し、チタン化合物とモノ−n−ブチルホスフェートとを反応させ、反応生成物を含む触媒の白色スラリーを得た。この触媒スラリーのチタン含量は0.3重量%、チタン元素のリン元素に対するモル比(P/Ti)は2.0であった。
【0077】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部との混合物に、酢酸マグネシウム四水和物0.077重量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、56重量%濃度のリン酸水溶液0.0505重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0078】
このエステル交換反応物を撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、参考例1の操作で得た重縮合反応触媒(A)0.82重量部を添加して285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、固有粘度0.63、ジエチレングリコール量が1.0重量%であるポリエステルを得た。
【0079】
得られたチップを常法により乾燥した後、孔径0.3mmの円形紡糸孔を36個備えた紡糸口金を有する押出紡糸機を用いて287℃で溶融し、引取速度1400m/分で紡糸し、333dtex/36filの未延伸糸を作り、次いで85℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、4.0倍で延伸処理し、83dtex/36filの延伸糸を得た。結果を表2に示す。
【0080】
[実施例2〜7、比較例1〜5]
実施例1において、チタン化合物とエステル交換反応失活剤であるリン化合物とを表1記載のとおりに変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0081】
[実施例8、比較例6]
実施例1において、酢酸マグネシウム四水和物から代えて酢酸カルシウム一水和物を表1に示す量用い、チタン化合物及びリン化合物を表1に示す化合物及び値に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0082】
[実施例9]
実施例1において、酢酸マグネシウム四水和物、酢酸カルシウム一水和物、チタン化合物及びリン化合物を表1に示す化合物及び量に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0083】
[実施例10]
実施例1において、酢酸マグネシウム四水和物、チタン化合物及びリン化合物を表1に示す化合物及び値とし、エステル交換反応終了後、平均粒径0.3μmの酸化チタンの20重量%エチレングリコールスラリーを1.5重量部添加したこと以外は同様の操作を行って重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例11]
実施例1において、酢酸マグネシウム四水和物、チタン化合物及びリン化合物を表1に示す化合物及び値とし、テレフタル酸ジメチルをポリエチレンテレフタレートを解重合して得られた回収されたテレフタル酸ジメチルを用いたこと以外は、同様の操作を行って重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表2に示す。
【0085】
[実施例12]
実施例1において、酢酸マグネシウム四水和物、チタン化合物及びリン化合物を表1に示す化合物及び量とし、エステル交換反応終了後、ペンタエリスリトール−テトラエキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」)を0.02重量部添加したこと以外は、同様の操作を行って重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表2に示す。
【0086】
[比較例7〜8]
実施例1において、酢酸マグネシウム四水和物、酢酸カルシウム一水和物及びリン化合物を表1に示す化合物及び量とし、重縮合反応触媒としてチタン化合物の代わりに三酸化二アンチモンを表1に示す量使用したこと以外は同様の操作を行って重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
表2からも明らかなように、本発明のポリエステル繊維は良好な性能が得られた。また、アンチモン化合物を触媒として用いたもの(比較例7〜8)は、口金異物量が非常に多いものであった。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、チタン化合物を重縮合反応触媒として使用した時の欠点であった色相の悪化を解消でき、ポリエステルが持つ、優れた特性を保持しながら、色相が優れたポリエステル繊維を提供することができる。
Claims (12)
- 芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを、全芳香族ジカルボン酸成分を基準として30〜120ミリモル%のアルカリ土類金属化合物の存在下にエステル交換反応させた後、触媒失活剤としてリン化合物を下記数式(1)を満足するように添加して実質的にエステル交換反応を終了させ、
次いで、予め調製した、下記一般式(I)で表されるチタン化合物、若しくは下記一般式(I)で表されるチタン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物と、下記一般式(III)で表されるリン化合物とを、チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/Ti)が1〜4となる範囲でグリコール中で加熱することにより得られた析出物を、全芳香族ジカルボン酸成分を基準としてチタン元素換算で2〜40ミリモル%の範囲で添加し重縮合反応させる、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの製造方法。
- 一般式(I)で表されるチタン化合物と一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその酸無水物との反応モル比が(2:1)〜(2:5)の範囲である、請求項1記載の製造方法。
- アルカリ土類金属化合物がカルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物である請求項1記載の製造方法。
- 触媒失活剤として用いるリン化合物が、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、又はこれらのエステル化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のリン化合物である、請求項1記載の製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としてテレフタル酸ジメチルが全芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の80モル%以上を占める、請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- テレフタル酸ジメチルがポリアルキレンテレフタレートを解重合して得られたリサイクルされたテレフタル酸ジメチルである請求項6記載のポリエステルの製造方法。
- エステル交換反応を常圧下ないし0.2MPaの加圧下で行う、請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか記載の方法によって製造されたポリエステル。
- ヒンダードフェノール系酸化防止剤を1重量%以下の範囲で含む、請求項9記載のポリエステル。
- アルカリ金属の含有量が50ppm以下である、請求項9記載のポリエステル。
- 請求項9記載のポリエステルを溶融紡糸することによって得られる、ポリエステル繊維。
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-
2002
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