JP2004123171A - おむつ収納パッケージ - Google Patents
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Abstract
【課題】おむつを容易に引き抜くことができるおむつ収納パッケージを提供すること。
【解決手段】パンツ型の使い捨ておむつ１０を前後方向へ重ね合わせて収納するパッケージ１Ａであり、パッケージ１Ａに収納されるおむつ１０の胴周り側部１８は、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃとともに、胴周り側部１８の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線２５に向かっておむつ１０の内側に折り込まれている。折り畳まれたおむつ１０は、胴周り側部１８を除く主要部２８を互いに当接させた状態でパッケージ１Ａの内部に稠密に収納されてい
る。
【選択図】 図１
【解決手段】パンツ型の使い捨ておむつ１０を前後方向へ重ね合わせて収納するパッケージ１Ａであり、パッケージ１Ａに収納されるおむつ１０の胴周り側部１８は、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃとともに、胴周り側部１８の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線２５に向かっておむつ１０の内側に折り込まれている。折り畳まれたおむつ１０は、胴周り側部１８を除く主要部２８を互いに当接させた状態でパッケージ１Ａの内部に稠密に収納されてい
る。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつを多数重ね合わせて収納したおむつ収納パッケージに関する。
【０００２】
【従来の技術】
互いに対向する前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、透液性表面シートおよび不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在して前後胴周り域間に延びる吸液性コアとから構成され、胴周り開口とその下方に一対の脚周り開口とが形成されたパンツ型の使い捨ておむつは公知である（例えば、特許文献１、特許文献２参照。）。
【０００３】
上記特許文献１，２に開示されたパンツ型の使い捨ておむつは、股下域が二つ折りにされて前後胴周り域の内面どうしが互いに当接するように扁平に畳まれ、概ね１６〜４８個のそれらがパッケージの内部に稠密に収納され、パッケージ毎に販売されている。おむつ１６個が収納されたパッケージの内部では、それらおむつの８個づつがパッケージの対向側面間に前後方向へ重なり合って列を形成し、２つの列が上下または左右に並んでいる。各列において前後方向へ隣り合うおむつどうしは、それらの前後胴周り域と股下域との外面の略全域が互いに当接した状態にある。パッケージからおむつを取り出すには、パッケージの頂面を破った後、列からおむつ１個を摘持し、それをパッケージの上方へ引き抜く。
【０００４】
【特許文献１】
特開平１１−１０４１７７号公報
【０００５】
【特許文献２】
特開平１１−１５５９０４号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献１，２に開示のおむつは、それらの多数がパッケージの内部に収納され、パッケージ毎に販売されている。パッケージでは、おむつがパッケージの対向側面間に前後方向へ圧縮された状態で稠密に収納されている。そのようなパッケージでは、それらおむつが形成する列の両端から前後方向内方へ概ね１５〜７０Ｎの圧がかかっているので、列からおむつを引き抜くときに所定の力を必要とする。このパッケージの内部では、それらおむつの前後胴周り域と股下域との外面の略全域が互いに当接している。ゆえに、前後方向へ隣り合うおむつどうしの接触面積が大きく、おむつどうしの摩擦力が列からおむつを引き抜くときの抵抗となり、列から最初のおむつ１個を引き抜くときに２０〜２２Ｎの力を必要とする。
【０００７】
本発明の目的は、前記従来の技術における技術的課題を解決するためになされたもので、おむつを容易に引き抜くことができるおむつ収納パッケージを提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、可撓性を有するシートから形成され、隣接する面が略直角に交差する六面体からなるパッケージ内部の対向側面間に、互いに対向する前後胴周り域と股下域とを有し、前記前後胴周り域の縦方向へ延びる胴周り側部の側縁近傍が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが形成されたパンツ型の使い捨ておむつを多数重ね合わせて収納したおむつ収納パッケージである。
【０００９】
この前提における本発明の特徴として、前記おむつが、前記前後胴周り域間に延びる吸液性コアを有し、前記おむつの胴周り側部が、前記前後胴周り域に延びる前記コアの両側部とともに、前記胴周り側部の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線に向かって前記おむつの内側に折り込まれ、多数の前記おむつが、前記胴周り側部を除く主要部を互いに当接させた状態で前記パッケージ内部に稠密に収納されていること、にある。
【００１０】
本発明の実施の態様の他の一例として、前記脚周り開口を閉じるように脚周り側部が、前記股下域に延びる前記コアの両側部とともに、前記縦中心線に向かって前記おむつの内側に折り込まれ、多数の前記おむつが、前記主要部を互いに当接させた状態で前記パッケージ内部に稠密に収納されている。
【００１１】
また、本発明の実施の態様の他の一例として、前記パッケージ内部では、多数の前記おむつが一方向に重なり合って列を形成し、前記パッケージでは、前記対向側面間において前記一方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかり、前記列から前記おむつ１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下である。
【００１２】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明に係るおむつ収納パッケージの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１３】
図１，２は、おむつ収納パッケージ１Ａの部分破断斜視図およびパッケージ１Ａからおむつ１０を取り出すときの状態を示す説明図である。図３，４は、パッケージ１Ａから取り出されたおむつ１０の斜視図および前後胴周り域１４，１５の連結を解除した状態で示すおむつ１０の展開平面図である。図１，２では、横方向を矢印Ｘ、上下方向を矢印Ｙで示し、前後方向を矢印Ｚで示す。図４では、幅方向を矢印Ｌで示し、縦方向を矢印Ｍで示す。
【００１４】
このパッケージ１Ａには、多数のおむつ１０を効率よく収納するため、折り畳まれた多数のおむつ１０が前後方向へ重なり合い、前後方向へ圧縮された状態で収納されている。パッケージ１Ａは、可撓性を有するプラスチックシートから形成され、頂底面２ａ，２ｂ、および４つの側面２ｃを有し、前後方向へ長い直方体を呈している。パッケージ１Ａの頂面２ａには、手提げ用の取っ手３が形成されている。パッケージ１Ａの内部では、８個のおむつ１０がパッケージ１Ａの対向側面間に前後方向（一方向）へ重なり合って列４を形成し、２つの列４が横方向に並んでいる。パッケージ１Ａの内部には、合計１６個のおむつ１０が収納されている。
【００１５】
おむつ１０は、図３，４に示すように、肌当接側に位置する透液性表面シート１１と、肌非当接側に位置する不透液性裏面シート１２と、表裏面シート１１，１２の間に介在してそれらシート１１，１２のうちの少なくとも一方の内面に固着された吸液性コア１３とから構成されている。おむつ１０は、互いに対向する前胴周り域１４および後胴周り域１５と、それら胴周り域１４，１５の間に位置する股下域１６とを有する。コア１３は、股下域１６から前後胴周り域１４，１５へ向かって延びている。
【００１６】
おむつ１０は、コア１３の両端部１３ａの外側に位置して前後胴周り域１４，１５を幅方向へ延びる胴周り端部１７と、コア３の両側部１３ｂの外側に位置して前後胴周り域１４，１５を縦方向へ延びる胴周り側部１８と、コア１３の両側部１３ｂの外側に位置し、股下域１６を脚周り方向へ延びる脚周り側部１９とを有する。
【００１７】
前後胴周り域１４，１５の胴周り側部１８は、その側縁近傍が合掌状に重なり合い、縦方向へ間欠的に並ぶ多数の熱融着線２０を介して連結されている。おむつ１０には、胴周り開口２１とその下方に一対の脚周り開口２２とが形成されている。股下域１６の脚周り側部１９は、おむつ１０の幅方向内方へ向かって弧を画いている。おむつ１０は、その展開平面形状が実質的に砂時計型を呈する。
【００１８】
おむつ１０の胴周り側部１８には、図４に二点鎖線で示すように縦方向へ折曲線２６ａ，２６ｂが延びている。それら折曲線２６ａ，２６ｂは、胴周り側部１８の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線２５に並行するとともに、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃ上を縦断している。おむつ１０は、表面シート１１が互いに当接するように股下域１６において縦方向へ二つに折り畳まれている。さらに、胴周り側部１８が折曲線２６ａ，２６ｂで折曲され、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が縦中心線２５へ向かっておむつ１０の内側へ折り込まれている。胴周り側部１８を折り込むと、胴周り側部１８の側縁近傍が縦方向へ延びる仮想折曲線２７を介して折曲される。
【００１９】
おむつ１０は、胴周り側部１８がおむつ１０の内側へ折り込まれているので、胴周り側部１８を除く主要部２８がおむつ１０の外側に露出し、おむつ１０の前後胴周り域１４，１５側から見た形状がほぼ矩形状となる。また、折り畳まれたおむつ１０は、胴周り端部１７から股下域１６へ至る厚みがほぼ均一となる。したがって、折り畳まれたおむつ１０は、胴周り側部１８を折り込む以前と比較して非常にコンパクトになる。折り畳まれたおむつ１０では、前後胴周り域１４，１５の折曲線２６ａ，２６ｂが、脚周り開口２２の周縁と交差している。したがって、脚周り開口２２を囲繞する脚周り側部１９の一部がおむつ１０の内側へ折り込まれ、脚周り側部１９の折り込まれていない部分が股下域１６の両側に露出している。
【００２０】
おむつ１０の胴周り端部１７では、コア１３の両端部１３ａから縦方向外方へ延びる表裏面シート１１，１２の端部１１ａ，１２ａが重なり合い、これら端部１１ａ，１２ａにおいて各シート１１，１２の内面どうしが固着されている。おむつ１０の胴周り側部１８と脚周り側部１９とでは、コア１３の両側部１３ｂから縦方向外方へ延びる表裏面シート１１，１２の側部１１ｂ，１２ｂが重なり合い、これら側部１１ｂ，１２ｂにおいて各シート１１，１３の内面どうしが固着されている。
【００２１】
おむつ１０の胴周り端部１７には、胴周り用弾性部材２３が収縮可能に取り付けられている。胴周り用弾性部材２３は、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の端部１１ａ，１２ａ内面に固着されている。おむつ１０の脚周り側部１９には、脚周り用弾性部材２４が収縮可能に取り付けられている。脚周り用弾性部材２４は、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の側部１１ｂ，１２ｂ内面に固着されている。
【００２２】
パッケージ１Ａの内部に収納されたそれらおむつ１０は、胴周り開口２１がパッケージ１Ａの頂面２ａの側に位置し、股下域１６がパッケージｌの底面２ｂの側に位置している。パッケージ１Ａの内部では、胴周り側部１８を除くおむつの主要部２８が互いに当接するように重なり合い、それらおむつ１０どうしが前後方向へ圧縮された状態で稠密に収納されている。このパッケージ１Ａでは、その対向側面間に前後方向内方（一方向内方）、すなわち列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎ（好ましくは２０〜４５Ｎ）の圧がかかっている。
【００２３】
このパッケージ１Ａによると、おむつ１０は、その前後方向の形状がほぼ矩形を呈し、厚みが縦方向にほぼ均一となるようにコンパクトに折り畳まれているので、多数のおむつ１０をパッケージ１Ａに収納したとき、パッケージ１Ａの内部において隣接するおむつ１０間に空きスペースができず、おむつをパッケージ１Ａの内部に効率よく収納することができる。また、それらおむつ１０がコンパクトに折り畳まれているので、隣接するおむつどうしの接触面積が少なく、おむつ１０どうしの摩擦力（摩擦抵抗）が低下する。
【００２４】
このパッケージ１Ａからおむつ１０を取り出すには、図２に示されるように、パッケージ１Ａの頂面２ａを破った後、列４からおむつ１０の１個を摘持し、それをパッケージ１Ａの上方へ引き抜けばよい。図２に示すパッケージ１Ａでは、おむつ１０が股下域１６を下方向へ向けて収納されているので、このパッケージ１Ａからおむつ１０を取り出す場合には、おむつ１０の胴周り端部１７を掴んでパッケージ１Ａの上方へ引き抜けばよい。また、図示していないが、おむつ１０が股下域１６を上方向へ向けてパッケージに収納されている場合には、股下域１６を掴んでパッケージの上方へ引き抜けばよい。あるいは、パッケージ１Ａの側面２ｃを破った後、列４からおむつ１０の１個を摘持し、それをパッケージ１Ａの横方向へ引き抜いてもよい。
【００２５】
各列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方への圧が、１０Ｎ未満では、列４がパッケージ１Ａの内部において前後方向のいずれかに傾き易く、多数のパッケージ１Ａを上下方向へ積み重ねたときに、それらパッケージ１Ａが不用意に崩れてしまう場合がある。前記圧が７５Ｎを越えると、列４からおむつ１０を円滑に引き抜くことができない。
【００２６】
なお、列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方にかかる圧は、以下の方法により測定した。（１）コア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が折り込まれた図３のおむつ１０の８個をパッケージ１Ａの内部に前後方向へ並べて列４を作り、列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ圧をかけることなく、自然状態で２４時間放置する。このとき、列４では、前後方向へ露出したおむつ１０の部位２８どうしが互いに当接した状態にある。また、前後方向内方へ圧がかかっていない状態にある列４では、その前後方向の寸法がパッケージ１Ａの前後方向の寸法よりも大きい。（２）列４を２４時間放置した後、列４の両端４ａ，４ｂに２枚の板を配置してそれら板で列４を挟み、列４の前後方向の寸法とパッケージ１Ａの前後方向の寸法とが同一になるまで、それら板によって多数のおむつ１０を前後方向内方へ圧縮する。（３）列４の前後方向の寸法がパッケージ１Ａの前後方向の寸法と同一になったときの板にかかる圧力を圧力試験機で測定する。（４）圧力試験機には、インストロン５５６４型（インストロン社製）を使用した。圧力試験機の測定速度は、１０ｍｍ／ｍｉｎである。なお、前記板は、おむつ１０の前後胴周り域１４，１５の露出面全域を押さえられるように該露出面よりも大きな面積のアクリル板を使用した。また、前記列４の前後方向の寸法がパッケージ１Ａの前後方向の寸法と同一になったときのその寸法とは、前記アクリル板間の寸法をいう。
【００２７】
このパッケージ１Ａでは、それに収納されたおむつ１０の列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下であり、列４から最初のおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８〜１５Ｎの範囲にある。列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎを越えると、強い力でなければ列４からおむつ１０を引き抜くことができず、パッケージ１Ａからおむつ１０を円滑に取り出すことができない。さらに、おむつ１０の１個を列４から引き抜いたときに、そのおむつ１０に引き連れられて隣接するおむつ１０も一緒に列４から引き抜かれてしまう場合がある。
【００２８】
なお、列４からおむつ１０を引き抜くときの力は、以下の方法で測定した。（１）コア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が折り込まれた図３のおむつ１０の８個をパッケージ１Ａの内部に前後方向へ重ね合わせた状態で収納する。このとき、パッケージ１Ａの内部では、図１，２に示す状態と同様に、外側に露出した主要部２８が互いに当接した状態にあり、８個のおむつ１０が前後方向へ重なり合って列４を形成する。パッケージ１Ａの内部では、列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかっている。（２）列４の中からおむつ１０の１個を選び、引っ張り試験機のチャックでそのおむつ１０の胴周り端部１７をつかむ。（３）引っ張り試験機を介して列４からチャックにつかまれたおむつ１０をパッケージ１Ａの上方へ引き抜き、そのときの力を引っ張り試験機で測定する。（４）引っ張り試験機には、インストロン５５６４型（インストロン社製）を使用した。引っ張り試験機の測定速度は、５００ｍｍ／ｍｉｎである。なお、列４からおむつ１０を引き抜くときの力は、前記測定条件における最大値を採用した。
【００２９】
パッケージ１Ａには、折り畳まれたおむつ１０が収納されているので、折り畳む以前のおむつがパッケージ１Ａに収納された場合と比較し、前後方向へ隣り合うおむつ１０どうしの接触面積を少なくすることができ、おむつ１０どうしの摩擦力（摩擦抵抗）を低減させることができる。このパッケージ１Ａでは、おむつ１０が形成する列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかっているにもかかわらず、列４から１８Ｎ以下の力でおむつ１０を引き抜くことができ、特に最初のおむつ１０の１個を列４から容易に取り出すことができる。
【００３０】
図示のパッケージ１Ａには、２列１６個のおむつ１０が収納されているが、パッケージ１Ａに収納するおむつ１０の個数は１６個に限定されるものではなく、パッケージ１Ａの内部で多数のおむつ１０（８個以上のおむつ１０）が一方向へ列４を形成する条件を満たせば、パッケージ１Ａに収納されるおむつ１０の個数については任意である。
【００３１】
なお、列４からおむつ１０を引き抜くときの力は、引っ張り試験機を介してチャックにつかまれたおむつ１０をパッケージ１Ａの上方へ引き抜き、そのときの力を引っ張り試験機で測定したものであるが、列４の中からおむつ１０の１個を選び、引っ張り試験機のチャックでそのおむつ１０の前後胴周り端部１７をつかみ、引っ張り試験機を介して列４からチャックにつかまれたおむつ１０をパッケージ１Ａの横方向へ引き抜き、そのときの力を引っ張り試験機で測定してもよい。この場合でも、パッケージ１Ａの内部に収納されたおむつ１０の列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下であり、列４から最初のおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８〜１５Ｎの範囲にあることはいうまでもない。
【００３２】
図５，６は、おむつ１０の他の折り畳み態様を示す斜視図およびこのおむつ１０の展開平面形状を示す平面図であり、図７は折り畳んだおむつ１０をパッケージ１Ｂから取り出す状態を示す斜視図である。
【００３３】
おむつ１０の胴周り側部１８には、図６に二点鎖線で示すように縦方向へ折曲線２９ａ，２９ｂが延びている。それら折曲線２９ａ，２９ｂは、縦中心線２５に並行であるとともに、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃと、股下域１６に延びるコア１３の両側部１３ｂとの上を縦断している。おむつ１０は、胴周り側部１８と股下域１６とがこれら折曲線２９ａ，２９ｂで折曲され、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が縦中心線２５へ向かっておむつ１０の内側へ折り込まれ、同時に、両脚周り開口２２を囲繞する脚周り側部１９が、股下域１６に延びるコア１３の両側部１３ｂとともに、おむつ１０の内側へ折り込まれる。
【００３４】
このおむつ１０では、胴周り側部１８が折曲線２９ａ，２９ｂを介しておむつ１０の内側に折り込まれると、その側縁近傍が縦中心線２５を越えてそれぞれ幅方向の反対側へ位置し、各胴周り側部１８がおむつ１０の厚さ方向に相互に重なり合い、さらに、両脚周り開口２２を囲繞する脚周り側部１９が、股下域１６に延びるコア１３の両側部１３ｂとともに、折曲線２９ａ，２９ｂを介しておむつ１０の内側へ折り込まれることになるので、前後胴周り域１４，１５における外側に露出する部位２８は、胴周り側部１８と脚周り側部１９とを除いた主要部となる。ゆえに、主要部２８の面積が一層少なくなり、おむつ１０をよりコンパクトにすることができる。
【００３５】
このパッケージ１Ｂの内部に収納されたそれらおむつ１０は、胴周り開口２１がパッケージ１Ｂの頂面２ａの側に位置し、股下域１６がパッケージｌＢの底面２ｂの側に位置している。パッケージ１Ｂの内部では、胴周り側部１８および脚周り側部１９を除くおむつの主要部２８が互いに当接するように重なり合い、それらおむつ１０どうしが前後方向へ圧縮された状態で稠密に収納されている。このパッケージ１Ｂでは、その対向側面間に前後方向内方（一方向内方）、すなわち列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎ（好ましくは２０〜４５Ｎ）の圧がかかっている。
【００３６】
このパッケージ１Ｂからおむつ１０を取り出す方法は、図１で示したパッケージ１Ａの場合と同一である。また、図７に示すパッケージ１Ｂでは、それに収納されたおむつ１０の列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下であり、列４から最初のおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８〜１５Ｎの範囲にある。列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎを越えると、強い力でなければ列４からおむつ１０を引き抜くことができず、パッケージ１Ｂからおむつ１０を円滑に取り出すことができない。さらに、おむつ１０の１個を列４から引き抜いたときに、そのおむつ１０に引き連れられて隣接するおむつ１０も一緒に列４から引き抜かれてしまう場合がある。
【００３７】
なお、図７のパッケージ１Ｂにおける列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方にかかる圧の測定法と列４からおむつ１０を引き抜くときの力の測定法とは、図１に示す例の場合と同一である。
【００３８】
このパッケージ１Ｂでは、図２のそれに比較し、隣接するおむつ１０どうしの接触面積が一層少なく、おむつ１０どうしの摩擦力（摩擦抵抗）が一層低下するので、パッケージ１Ｂからのおむつの取り出しが一層容易となる。
【００３９】
表面シート１１には、親水性繊維不織布や多数の開孔を有する疎水性繊維不織布、微細な多数の開孔を有するプラスチックフィルムのいずれかを使用できる。裏面シート１２には、疎水性繊維不織布や通気不透液性プラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた複合不織布、疎水性繊維不織布と通気不透液性プラスチックフィルムとを重ね合わせた複合シートのいずれかを使用できる。裏面シート１２には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布の両面を、高い強度と優れた柔軟性とを有するスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合、不織布を使用することもできる。
【００４０】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用できる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレンやポリエチレン／ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維、又は並列型複合繊維を使用することができる。
【００４１】
コア１３は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、又は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所定の厚みに圧縮されている。コア１３は、それの型崩れやポリマー粒子の脱落を防止するため、全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに包被されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００４２】
表面シート１１と裏面シート１２との固着、シート１１，１２に対するコア１３の固着、シート１１，１２に対する弾性部材２３，２４の固着には、ホットメルト型接着剤、又は、ヒートシールやソニックシール等の熱による融着手段を利用することができる。
【００４３】
【発明の効果】
本発明にかかるおむつ収納パッケージによれば、おむつがコンパクトに折り畳まれて収納されていることから、折り畳む以前のおむつがパッケージに収納された場合と比較し、一方向へ隣り合うおむつどうしの接触面積を少なくすることができ、おむつどうしの摩擦力（摩擦抵抗）を低減させることができる。その結果、このパッケージでは、収納されたおむつが形成する列の両端から一方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかっているにもかかわらず、列から１８Ｎ以下の力でおむつを引き抜くことができ、特に最初のおむつ１個を列から容易に取り出すことができる。
【００４４】
また、本発明にかかるおむつ収納パッケージによれば、脚周り開口を囲繞する脚周り側部を、股下域に延びるコアの両側部とともに、縦中心線に向かっておむつの内側に折り込んだ多数のおむつが、胴周り側部と脚周り側部とを除く主要部を互いに当接させた状態でパッケージ内部に稠密に収納されることにより、おむつの外部に露出する部位の面積が一層少なくなり、おむつがよりコンパクトになって、一方向へ隣り合うおむつどうしの接触面積をさらに少なくすることができ、おむつどうしの摩擦力（摩擦抵抗）を一層低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】おむつ収納パッケージの部分破断斜視図である。
【図２】パッケージからおむつを取り出す状態を示す斜視図である。
【図３】パッケージに収納するおむつの折り畳み例を示す斜視図である。
【図４】図３に示すおむつの展開平面形状を示す平面図である。
【図５】パッケージに収納するおむつの他の折り畳み例を示す斜視図である。
【図６】図５に示すおむつの展開平面形状を示す平面図である。
【図７】パッケージから図５のように折り畳んだおむつを取り出す状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
１Ａ，１Ｂ おむつ収納パッケージ
２ａ 頂面
２ｂ 底面
２ｃ 側面 ４ 列
４ａ，４ｂ 列の両端
１０ パンツ型の使い捨ておむつ
１１ 透液性表面シート
１２ 不透液性裏面シート
１３ 吸液性コア（吸収体）
１３ａ 吸液性コアの端縁部
１３ｂ 吸液性コアの側縁部
１３ｃ 前後胴周り域に延びる吸液性コアの側部
１４ 前胴周り域
１５ 後胴周り域
１６ 股下域
１７ 胴周り端部
１８ 胴周り側部
１９ 脚周り側部
２０ 熱融着線
２１ 胴周り開口
２２ 脚周り開口
２５ 縦中心線
２６ａ，２６ｂ 折り線
２８ 主要部
２９ａ，２９ｂ 折り線
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつを多数重ね合わせて収納したおむつ収納パッケージに関する。
【０００２】
【従来の技術】
互いに対向する前胴周り域および後胴周り域と、それら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、透液性表面シートおよび不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在して前後胴周り域間に延びる吸液性コアとから構成され、胴周り開口とその下方に一対の脚周り開口とが形成されたパンツ型の使い捨ておむつは公知である（例えば、特許文献１、特許文献２参照。）。
【０００３】
上記特許文献１，２に開示されたパンツ型の使い捨ておむつは、股下域が二つ折りにされて前後胴周り域の内面どうしが互いに当接するように扁平に畳まれ、概ね１６〜４８個のそれらがパッケージの内部に稠密に収納され、パッケージ毎に販売されている。おむつ１６個が収納されたパッケージの内部では、それらおむつの８個づつがパッケージの対向側面間に前後方向へ重なり合って列を形成し、２つの列が上下または左右に並んでいる。各列において前後方向へ隣り合うおむつどうしは、それらの前後胴周り域と股下域との外面の略全域が互いに当接した状態にある。パッケージからおむつを取り出すには、パッケージの頂面を破った後、列からおむつ１個を摘持し、それをパッケージの上方へ引き抜く。
【０００４】
【特許文献１】
特開平１１−１０４１７７号公報
【０００５】
【特許文献２】
特開平１１−１５５９０４号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献１，２に開示のおむつは、それらの多数がパッケージの内部に収納され、パッケージ毎に販売されている。パッケージでは、おむつがパッケージの対向側面間に前後方向へ圧縮された状態で稠密に収納されている。そのようなパッケージでは、それらおむつが形成する列の両端から前後方向内方へ概ね１５〜７０Ｎの圧がかかっているので、列からおむつを引き抜くときに所定の力を必要とする。このパッケージの内部では、それらおむつの前後胴周り域と股下域との外面の略全域が互いに当接している。ゆえに、前後方向へ隣り合うおむつどうしの接触面積が大きく、おむつどうしの摩擦力が列からおむつを引き抜くときの抵抗となり、列から最初のおむつ１個を引き抜くときに２０〜２２Ｎの力を必要とする。
【０００７】
本発明の目的は、前記従来の技術における技術的課題を解決するためになされたもので、おむつを容易に引き抜くことができるおむつ収納パッケージを提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、可撓性を有するシートから形成され、隣接する面が略直角に交差する六面体からなるパッケージ内部の対向側面間に、互いに対向する前後胴周り域と股下域とを有し、前記前後胴周り域の縦方向へ延びる胴周り側部の側縁近傍が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが形成されたパンツ型の使い捨ておむつを多数重ね合わせて収納したおむつ収納パッケージである。
【０００９】
この前提における本発明の特徴として、前記おむつが、前記前後胴周り域間に延びる吸液性コアを有し、前記おむつの胴周り側部が、前記前後胴周り域に延びる前記コアの両側部とともに、前記胴周り側部の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線に向かって前記おむつの内側に折り込まれ、多数の前記おむつが、前記胴周り側部を除く主要部を互いに当接させた状態で前記パッケージ内部に稠密に収納されていること、にある。
【００１０】
本発明の実施の態様の他の一例として、前記脚周り開口を閉じるように脚周り側部が、前記股下域に延びる前記コアの両側部とともに、前記縦中心線に向かって前記おむつの内側に折り込まれ、多数の前記おむつが、前記主要部を互いに当接させた状態で前記パッケージ内部に稠密に収納されている。
【００１１】
また、本発明の実施の態様の他の一例として、前記パッケージ内部では、多数の前記おむつが一方向に重なり合って列を形成し、前記パッケージでは、前記対向側面間において前記一方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかり、前記列から前記おむつ１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下である。
【００１２】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明に係るおむつ収納パッケージの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１３】
図１，２は、おむつ収納パッケージ１Ａの部分破断斜視図およびパッケージ１Ａからおむつ１０を取り出すときの状態を示す説明図である。図３，４は、パッケージ１Ａから取り出されたおむつ１０の斜視図および前後胴周り域１４，１５の連結を解除した状態で示すおむつ１０の展開平面図である。図１，２では、横方向を矢印Ｘ、上下方向を矢印Ｙで示し、前後方向を矢印Ｚで示す。図４では、幅方向を矢印Ｌで示し、縦方向を矢印Ｍで示す。
【００１４】
このパッケージ１Ａには、多数のおむつ１０を効率よく収納するため、折り畳まれた多数のおむつ１０が前後方向へ重なり合い、前後方向へ圧縮された状態で収納されている。パッケージ１Ａは、可撓性を有するプラスチックシートから形成され、頂底面２ａ，２ｂ、および４つの側面２ｃを有し、前後方向へ長い直方体を呈している。パッケージ１Ａの頂面２ａには、手提げ用の取っ手３が形成されている。パッケージ１Ａの内部では、８個のおむつ１０がパッケージ１Ａの対向側面間に前後方向（一方向）へ重なり合って列４を形成し、２つの列４が横方向に並んでいる。パッケージ１Ａの内部には、合計１６個のおむつ１０が収納されている。
【００１５】
おむつ１０は、図３，４に示すように、肌当接側に位置する透液性表面シート１１と、肌非当接側に位置する不透液性裏面シート１２と、表裏面シート１１，１２の間に介在してそれらシート１１，１２のうちの少なくとも一方の内面に固着された吸液性コア１３とから構成されている。おむつ１０は、互いに対向する前胴周り域１４および後胴周り域１５と、それら胴周り域１４，１５の間に位置する股下域１６とを有する。コア１３は、股下域１６から前後胴周り域１４，１５へ向かって延びている。
【００１６】
おむつ１０は、コア１３の両端部１３ａの外側に位置して前後胴周り域１４，１５を幅方向へ延びる胴周り端部１７と、コア３の両側部１３ｂの外側に位置して前後胴周り域１４，１５を縦方向へ延びる胴周り側部１８と、コア１３の両側部１３ｂの外側に位置し、股下域１６を脚周り方向へ延びる脚周り側部１９とを有する。
【００１７】
前後胴周り域１４，１５の胴周り側部１８は、その側縁近傍が合掌状に重なり合い、縦方向へ間欠的に並ぶ多数の熱融着線２０を介して連結されている。おむつ１０には、胴周り開口２１とその下方に一対の脚周り開口２２とが形成されている。股下域１６の脚周り側部１９は、おむつ１０の幅方向内方へ向かって弧を画いている。おむつ１０は、その展開平面形状が実質的に砂時計型を呈する。
【００１８】
おむつ１０の胴周り側部１８には、図４に二点鎖線で示すように縦方向へ折曲線２６ａ，２６ｂが延びている。それら折曲線２６ａ，２６ｂは、胴周り側部１８の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線２５に並行するとともに、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃ上を縦断している。おむつ１０は、表面シート１１が互いに当接するように股下域１６において縦方向へ二つに折り畳まれている。さらに、胴周り側部１８が折曲線２６ａ，２６ｂで折曲され、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が縦中心線２５へ向かっておむつ１０の内側へ折り込まれている。胴周り側部１８を折り込むと、胴周り側部１８の側縁近傍が縦方向へ延びる仮想折曲線２７を介して折曲される。
【００１９】
おむつ１０は、胴周り側部１８がおむつ１０の内側へ折り込まれているので、胴周り側部１８を除く主要部２８がおむつ１０の外側に露出し、おむつ１０の前後胴周り域１４，１５側から見た形状がほぼ矩形状となる。また、折り畳まれたおむつ１０は、胴周り端部１７から股下域１６へ至る厚みがほぼ均一となる。したがって、折り畳まれたおむつ１０は、胴周り側部１８を折り込む以前と比較して非常にコンパクトになる。折り畳まれたおむつ１０では、前後胴周り域１４，１５の折曲線２６ａ，２６ｂが、脚周り開口２２の周縁と交差している。したがって、脚周り開口２２を囲繞する脚周り側部１９の一部がおむつ１０の内側へ折り込まれ、脚周り側部１９の折り込まれていない部分が股下域１６の両側に露出している。
【００２０】
おむつ１０の胴周り端部１７では、コア１３の両端部１３ａから縦方向外方へ延びる表裏面シート１１，１２の端部１１ａ，１２ａが重なり合い、これら端部１１ａ，１２ａにおいて各シート１１，１２の内面どうしが固着されている。おむつ１０の胴周り側部１８と脚周り側部１９とでは、コア１３の両側部１３ｂから縦方向外方へ延びる表裏面シート１１，１２の側部１１ｂ，１２ｂが重なり合い、これら側部１１ｂ，１２ｂにおいて各シート１１，１３の内面どうしが固着されている。
【００２１】
おむつ１０の胴周り端部１７には、胴周り用弾性部材２３が収縮可能に取り付けられている。胴周り用弾性部材２３は、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の端部１１ａ，１２ａ内面に固着されている。おむつ１０の脚周り側部１９には、脚周り用弾性部材２４が収縮可能に取り付けられている。脚周り用弾性部材２４は、表面シート１１と裏面シート１２との間に介在し、それらシート１１，１２の側部１１ｂ，１２ｂ内面に固着されている。
【００２２】
パッケージ１Ａの内部に収納されたそれらおむつ１０は、胴周り開口２１がパッケージ１Ａの頂面２ａの側に位置し、股下域１６がパッケージｌの底面２ｂの側に位置している。パッケージ１Ａの内部では、胴周り側部１８を除くおむつの主要部２８が互いに当接するように重なり合い、それらおむつ１０どうしが前後方向へ圧縮された状態で稠密に収納されている。このパッケージ１Ａでは、その対向側面間に前後方向内方（一方向内方）、すなわち列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎ（好ましくは２０〜４５Ｎ）の圧がかかっている。
【００２３】
このパッケージ１Ａによると、おむつ１０は、その前後方向の形状がほぼ矩形を呈し、厚みが縦方向にほぼ均一となるようにコンパクトに折り畳まれているので、多数のおむつ１０をパッケージ１Ａに収納したとき、パッケージ１Ａの内部において隣接するおむつ１０間に空きスペースができず、おむつをパッケージ１Ａの内部に効率よく収納することができる。また、それらおむつ１０がコンパクトに折り畳まれているので、隣接するおむつどうしの接触面積が少なく、おむつ１０どうしの摩擦力（摩擦抵抗）が低下する。
【００２４】
このパッケージ１Ａからおむつ１０を取り出すには、図２に示されるように、パッケージ１Ａの頂面２ａを破った後、列４からおむつ１０の１個を摘持し、それをパッケージ１Ａの上方へ引き抜けばよい。図２に示すパッケージ１Ａでは、おむつ１０が股下域１６を下方向へ向けて収納されているので、このパッケージ１Ａからおむつ１０を取り出す場合には、おむつ１０の胴周り端部１７を掴んでパッケージ１Ａの上方へ引き抜けばよい。また、図示していないが、おむつ１０が股下域１６を上方向へ向けてパッケージに収納されている場合には、股下域１６を掴んでパッケージの上方へ引き抜けばよい。あるいは、パッケージ１Ａの側面２ｃを破った後、列４からおむつ１０の１個を摘持し、それをパッケージ１Ａの横方向へ引き抜いてもよい。
【００２５】
各列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方への圧が、１０Ｎ未満では、列４がパッケージ１Ａの内部において前後方向のいずれかに傾き易く、多数のパッケージ１Ａを上下方向へ積み重ねたときに、それらパッケージ１Ａが不用意に崩れてしまう場合がある。前記圧が７５Ｎを越えると、列４からおむつ１０を円滑に引き抜くことができない。
【００２６】
なお、列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方にかかる圧は、以下の方法により測定した。（１）コア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が折り込まれた図３のおむつ１０の８個をパッケージ１Ａの内部に前後方向へ並べて列４を作り、列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ圧をかけることなく、自然状態で２４時間放置する。このとき、列４では、前後方向へ露出したおむつ１０の部位２８どうしが互いに当接した状態にある。また、前後方向内方へ圧がかかっていない状態にある列４では、その前後方向の寸法がパッケージ１Ａの前後方向の寸法よりも大きい。（２）列４を２４時間放置した後、列４の両端４ａ，４ｂに２枚の板を配置してそれら板で列４を挟み、列４の前後方向の寸法とパッケージ１Ａの前後方向の寸法とが同一になるまで、それら板によって多数のおむつ１０を前後方向内方へ圧縮する。（３）列４の前後方向の寸法がパッケージ１Ａの前後方向の寸法と同一になったときの板にかかる圧力を圧力試験機で測定する。（４）圧力試験機には、インストロン５５６４型（インストロン社製）を使用した。圧力試験機の測定速度は、１０ｍｍ／ｍｉｎである。なお、前記板は、おむつ１０の前後胴周り域１４，１５の露出面全域を押さえられるように該露出面よりも大きな面積のアクリル板を使用した。また、前記列４の前後方向の寸法がパッケージ１Ａの前後方向の寸法と同一になったときのその寸法とは、前記アクリル板間の寸法をいう。
【００２７】
このパッケージ１Ａでは、それに収納されたおむつ１０の列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下であり、列４から最初のおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８〜１５Ｎの範囲にある。列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎを越えると、強い力でなければ列４からおむつ１０を引き抜くことができず、パッケージ１Ａからおむつ１０を円滑に取り出すことができない。さらに、おむつ１０の１個を列４から引き抜いたときに、そのおむつ１０に引き連れられて隣接するおむつ１０も一緒に列４から引き抜かれてしまう場合がある。
【００２８】
なお、列４からおむつ１０を引き抜くときの力は、以下の方法で測定した。（１）コア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が折り込まれた図３のおむつ１０の８個をパッケージ１Ａの内部に前後方向へ重ね合わせた状態で収納する。このとき、パッケージ１Ａの内部では、図１，２に示す状態と同様に、外側に露出した主要部２８が互いに当接した状態にあり、８個のおむつ１０が前後方向へ重なり合って列４を形成する。パッケージ１Ａの内部では、列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかっている。（２）列４の中からおむつ１０の１個を選び、引っ張り試験機のチャックでそのおむつ１０の胴周り端部１７をつかむ。（３）引っ張り試験機を介して列４からチャックにつかまれたおむつ１０をパッケージ１Ａの上方へ引き抜き、そのときの力を引っ張り試験機で測定する。（４）引っ張り試験機には、インストロン５５６４型（インストロン社製）を使用した。引っ張り試験機の測定速度は、５００ｍｍ／ｍｉｎである。なお、列４からおむつ１０を引き抜くときの力は、前記測定条件における最大値を採用した。
【００２９】
パッケージ１Ａには、折り畳まれたおむつ１０が収納されているので、折り畳む以前のおむつがパッケージ１Ａに収納された場合と比較し、前後方向へ隣り合うおむつ１０どうしの接触面積を少なくすることができ、おむつ１０どうしの摩擦力（摩擦抵抗）を低減させることができる。このパッケージ１Ａでは、おむつ１０が形成する列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかっているにもかかわらず、列４から１８Ｎ以下の力でおむつ１０を引き抜くことができ、特に最初のおむつ１０の１個を列４から容易に取り出すことができる。
【００３０】
図示のパッケージ１Ａには、２列１６個のおむつ１０が収納されているが、パッケージ１Ａに収納するおむつ１０の個数は１６個に限定されるものではなく、パッケージ１Ａの内部で多数のおむつ１０（８個以上のおむつ１０）が一方向へ列４を形成する条件を満たせば、パッケージ１Ａに収納されるおむつ１０の個数については任意である。
【００３１】
なお、列４からおむつ１０を引き抜くときの力は、引っ張り試験機を介してチャックにつかまれたおむつ１０をパッケージ１Ａの上方へ引き抜き、そのときの力を引っ張り試験機で測定したものであるが、列４の中からおむつ１０の１個を選び、引っ張り試験機のチャックでそのおむつ１０の前後胴周り端部１７をつかみ、引っ張り試験機を介して列４からチャックにつかまれたおむつ１０をパッケージ１Ａの横方向へ引き抜き、そのときの力を引っ張り試験機で測定してもよい。この場合でも、パッケージ１Ａの内部に収納されたおむつ１０の列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下であり、列４から最初のおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８〜１５Ｎの範囲にあることはいうまでもない。
【００３２】
図５，６は、おむつ１０の他の折り畳み態様を示す斜視図およびこのおむつ１０の展開平面形状を示す平面図であり、図７は折り畳んだおむつ１０をパッケージ１Ｂから取り出す状態を示す斜視図である。
【００３３】
おむつ１０の胴周り側部１８には、図６に二点鎖線で示すように縦方向へ折曲線２９ａ，２９ｂが延びている。それら折曲線２９ａ，２９ｂは、縦中心線２５に並行であるとともに、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃと、股下域１６に延びるコア１３の両側部１３ｂとの上を縦断している。おむつ１０は、胴周り側部１８と股下域１６とがこれら折曲線２９ａ，２９ｂで折曲され、前後胴周り域１４，１５に延びるコア１３の両側部１３ｃとともに胴周り側部１８が縦中心線２５へ向かっておむつ１０の内側へ折り込まれ、同時に、両脚周り開口２２を囲繞する脚周り側部１９が、股下域１６に延びるコア１３の両側部１３ｂとともに、おむつ１０の内側へ折り込まれる。
【００３４】
このおむつ１０では、胴周り側部１８が折曲線２９ａ，２９ｂを介しておむつ１０の内側に折り込まれると、その側縁近傍が縦中心線２５を越えてそれぞれ幅方向の反対側へ位置し、各胴周り側部１８がおむつ１０の厚さ方向に相互に重なり合い、さらに、両脚周り開口２２を囲繞する脚周り側部１９が、股下域１６に延びるコア１３の両側部１３ｂとともに、折曲線２９ａ，２９ｂを介しておむつ１０の内側へ折り込まれることになるので、前後胴周り域１４，１５における外側に露出する部位２８は、胴周り側部１８と脚周り側部１９とを除いた主要部となる。ゆえに、主要部２８の面積が一層少なくなり、おむつ１０をよりコンパクトにすることができる。
【００３５】
このパッケージ１Ｂの内部に収納されたそれらおむつ１０は、胴周り開口２１がパッケージ１Ｂの頂面２ａの側に位置し、股下域１６がパッケージｌＢの底面２ｂの側に位置している。パッケージ１Ｂの内部では、胴周り側部１８および脚周り側部１９を除くおむつの主要部２８が互いに当接するように重なり合い、それらおむつ１０どうしが前後方向へ圧縮された状態で稠密に収納されている。このパッケージ１Ｂでは、その対向側面間に前後方向内方（一方向内方）、すなわち列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方へ１０〜７５Ｎ（好ましくは２０〜４５Ｎ）の圧がかかっている。
【００３６】
このパッケージ１Ｂからおむつ１０を取り出す方法は、図１で示したパッケージ１Ａの場合と同一である。また、図７に示すパッケージ１Ｂでは、それに収納されたおむつ１０の列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下であり、列４から最初のおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８〜１５Ｎの範囲にある。列４からおむつ１０の１個を引き抜くときの力が１８Ｎを越えると、強い力でなければ列４からおむつ１０を引き抜くことができず、パッケージ１Ｂからおむつ１０を円滑に取り出すことができない。さらに、おむつ１０の１個を列４から引き抜いたときに、そのおむつ１０に引き連れられて隣接するおむつ１０も一緒に列４から引き抜かれてしまう場合がある。
【００３７】
なお、図７のパッケージ１Ｂにおける列４の両端４ａ，４ｂから前後方向内方にかかる圧の測定法と列４からおむつ１０を引き抜くときの力の測定法とは、図１に示す例の場合と同一である。
【００３８】
このパッケージ１Ｂでは、図２のそれに比較し、隣接するおむつ１０どうしの接触面積が一層少なく、おむつ１０どうしの摩擦力（摩擦抵抗）が一層低下するので、パッケージ１Ｂからのおむつの取り出しが一層容易となる。
【００３９】
表面シート１１には、親水性繊維不織布や多数の開孔を有する疎水性繊維不織布、微細な多数の開孔を有するプラスチックフィルムのいずれかを使用できる。裏面シート１２には、疎水性繊維不織布や通気不透液性プラスチックフィルム、疎水性繊維不織布を重ね合わせた複合不織布、疎水性繊維不織布と通気不透液性プラスチックフィルムとを重ね合わせた複合シートのいずれかを使用できる。裏面シート１２には、高い耐水性を有するメルトブローン法による繊維不織布の両面を、高い強度と優れた柔軟性とを有するスパンボンド法による繊維不織布で挟んだ複合、不織布を使用することもできる。
【００４０】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用できる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレンやポリエチレン／ポリエステルからなる芯鞘型複合繊維、又は並列型複合繊維を使用することができる。
【００４１】
コア１３は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物、又は、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所定の厚みに圧縮されている。コア１３は、それの型崩れやポリマー粒子の脱落を防止するため、全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに包被されていることが好ましい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００４２】
表面シート１１と裏面シート１２との固着、シート１１，１２に対するコア１３の固着、シート１１，１２に対する弾性部材２３，２４の固着には、ホットメルト型接着剤、又は、ヒートシールやソニックシール等の熱による融着手段を利用することができる。
【００４３】
【発明の効果】
本発明にかかるおむつ収納パッケージによれば、おむつがコンパクトに折り畳まれて収納されていることから、折り畳む以前のおむつがパッケージに収納された場合と比較し、一方向へ隣り合うおむつどうしの接触面積を少なくすることができ、おむつどうしの摩擦力（摩擦抵抗）を低減させることができる。その結果、このパッケージでは、収納されたおむつが形成する列の両端から一方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかっているにもかかわらず、列から１８Ｎ以下の力でおむつを引き抜くことができ、特に最初のおむつ１個を列から容易に取り出すことができる。
【００４４】
また、本発明にかかるおむつ収納パッケージによれば、脚周り開口を囲繞する脚周り側部を、股下域に延びるコアの両側部とともに、縦中心線に向かっておむつの内側に折り込んだ多数のおむつが、胴周り側部と脚周り側部とを除く主要部を互いに当接させた状態でパッケージ内部に稠密に収納されることにより、おむつの外部に露出する部位の面積が一層少なくなり、おむつがよりコンパクトになって、一方向へ隣り合うおむつどうしの接触面積をさらに少なくすることができ、おむつどうしの摩擦力（摩擦抵抗）を一層低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】おむつ収納パッケージの部分破断斜視図である。
【図２】パッケージからおむつを取り出す状態を示す斜視図である。
【図３】パッケージに収納するおむつの折り畳み例を示す斜視図である。
【図４】図３に示すおむつの展開平面形状を示す平面図である。
【図５】パッケージに収納するおむつの他の折り畳み例を示す斜視図である。
【図６】図５に示すおむつの展開平面形状を示す平面図である。
【図７】パッケージから図５のように折り畳んだおむつを取り出す状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
１Ａ，１Ｂ おむつ収納パッケージ
２ａ 頂面
２ｂ 底面
２ｃ 側面 ４ 列
４ａ，４ｂ 列の両端
１０ パンツ型の使い捨ておむつ
１１ 透液性表面シート
１２ 不透液性裏面シート
１３ 吸液性コア（吸収体）
１３ａ 吸液性コアの端縁部
１３ｂ 吸液性コアの側縁部
１３ｃ 前後胴周り域に延びる吸液性コアの側部
１４ 前胴周り域
１５ 後胴周り域
１６ 股下域
１７ 胴周り端部
１８ 胴周り側部
１９ 脚周り側部
２０ 熱融着線
２１ 胴周り開口
２２ 脚周り開口
２５ 縦中心線
２６ａ，２６ｂ 折り線
２８ 主要部
２９ａ，２９ｂ 折り線
Claims (3)
- 可撓性を有するシートから形成され、隣接する面が略直角に交差する六面体からなるパッケージ内部の対向側面間に、互いに対向する前後胴周り域と股下域とを有し、前記前後胴周り域の縦方向へ延びる胴周り側部の側縁近傍が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが形成されたパンツ型の使い捨ておむつを多数重ね合わせて収納したおむつ収納パッケージにおいて、
前記おむつが、前記前後胴周り域間に延びる吸液性コアを有し、前記おむつの胴周り側部が、前記前後胴周り域に延びる前記コアの両側部とともに、前記胴周り側部の側縁間の幅寸法を二分する縦中心線に向かって前記おむつの内側に折り込まれ、
多数の前記おむつが、前記胴周り側部を除く主要部を互いに当接させた状態で前記パッケージ内部に稠密に収納されていることを特徴とする前記パッケージ。 - 前記脚周り開口を囲繞する脚周り側部が、前記股下域に延びる前記コアの両側部とともに、前記縦中心線に向かって前記おむつの内側に折り込まれ、多数の前記おむつが、前記主要部を互いに当接させた状態で前記パッケージ内部に稠密に収納されている請求項１に記載の前記パッケージ。
- 前記パッケージ内部では、多数の前記おむつが一方向に重なり合って列を形成し、前記パッケージでは、前記対向側面間において前記一方向内方へ１０〜７５Ｎの圧がかかり、前記列から前記おむつ１個を引き抜くときの力が１８Ｎ以下である請求項１又は２に記載の前記パッケージ。
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