JP2004117802A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加圧ローラの駆動距離を制御することで加圧ローラ変形防止シーケンスやスーパークリーニングモード等の各シーケンスの効果を十分に発揮させることを目的とする。
【解決手段】ローラの温度を検知する温度検知手段と、定着駆動を制御する駆動制御手段を有する定着装置において、ローラの温度変化を検知した際、定着装置の駆動を停止することを特徴とする定着器構成。
【選択図】 図1
【解決手段】ローラの温度を検知する温度検知手段と、定着駆動を制御する駆動制御手段を有する定着装置において、ローラの温度変化を検知した際、定着装置の駆動を停止することを特徴とする定着器構成。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真式プリンタ、複写機、及び、静電記録装置などの画像形成装置の定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセス方式を応用した画像形成装置としてレーザプリンタ等が知られている。
【0003】
従来の画像形成装置に備えつけられる定着装置にあっては、未定着像たるトナー像を担持する記録媒体たる転写紙に定着処理を施すために、熱及び圧力を転写紙上のトナーに付与させ定着処理する熱ローラ定着装置が使われることが多い。その理由は保存性に優れ、低速機から高速機まで対応できトナーの選択幅が広い等のメリットが多いためである。更に、定着性向上、加圧ローラの汚れ防止等のため加圧ローラ内部又は外部より温める構成の定着装置が知られている。そのため、加圧ローラにも温度検知手段であるサーミスタが設置されている。また、定着装置は定着体たる定着ローラと加圧体たる加圧ローラで構成され、加圧ローラは加圧手段により一定の圧力で定着ローラに圧接されている。
【0004】
ここで、定着装置の一例として熱ローラ定着装置について、図12を用い詳しく説明する。図12は、熱ローラ定着装置の概略構成を示す断面図である。熱ローラ定着装置は、定着体たる定着ローラ100と、加圧体たる加圧ローラ101と、定着ローラ100のための加熱源としてのハロゲンランプである定着体用加熱手段たるヒータ102と、定着ローラ100用、加圧ローラ101用の温度検知手段たる温調サーミスタ104、105と、定着ローラ100用、加圧ローラ101用の分離手段たる分離爪106,107と、定着入り口ガイド108とを備えている。本例では、温調サーミスタ104、105は共に非画像領域に設置している。尚、温調サーミスタ105は非画像印字面なので中央に設置しても良い。
【0005】
定着ローラ100は、中空のアルミニウム又は鉄、ステンレス・スティールの芯金109の上に、接着層としてのプライマー層(図示せず)、更にその上にフッ素樹脂層110を有した構成になっている。プライマー層(図示せず)の厚さは、5〜20μmが適当であり、フッ素樹脂層110の厚みは30〜70μmが適当である。このフッ素樹脂層110は、PFA樹脂のチューブで形成しても良く、PFA樹脂を焼き付けても良い。定着ローラ100は離型性を重視しているので、フッ素樹脂にはフィラーを混ぜない純粋のPFA樹脂で構成する。必要に応じて、フッ素樹脂層110と芯金109の間にシリコンゴム層を設けてもよい。
【0006】
加圧ローラ101は、中空の芯金111をアルミニウムまたは鉄、ステンレス・スティールで作り、その上に耐熱性のあるシリコンゴムの弾性層112をプライマー層(図示せず)を介して接着し、最上層部にPFA樹脂チューブ113を被膜している。このPFA樹脂チューブ113は加圧ローラからのバイアス効果を高めるために抵抗値が104〜1012Ω・cmとなるように、カーボンを混合したものを用いている。加圧ローラ101の弾性層112は、小径にてニップ幅を確保する為、肉厚が3〜5mm程度ある。
【0007】
定着装置は加圧ローラ101が付勢部材たる加圧バネ114により定着ローラ100に圧接してている。カラー機・高速機等では加圧力は500N以上の定着装置も存在する。この様な定着器構成においては、加圧ローラのゴム層が圧力と熱により変形する。その為、ある一定時間毎に定着駆動電流を一定の時間印加する加圧ローラ変形防止シーケンスを実行する事で加圧ローラの変形を防止している。図14のように、加圧ローラの検知温度等に依存せず、定着駆動電流を一定時間印可している。
【0008】
また、加熱定着装置では、記録材上の未定着画像を加熱加圧して記録材上に定着させる。このとき、記録紙上の未定着トナー全てが記録紙上に定着すればよいのだが、実際には定着ローラ側に付着して残るいわゆるオフセットトナーがある。オフセットには、融けきれずに残るコールドオフセット、融けすぎて残るホットオフセット、静電気的作用で残る静電オフセットなど、さまざまな原因によるものがある。
【0009】
いずれにしてもオフセットしたトナーの一部は記録材に戻るが、残されたトナーは記録材間で加圧ローラに転移する。これは定着ローラよりも加圧ローラの温度が低く離型性に劣るからである。加圧ローラはトナー汚れがたまりにくいように表面をPFAなどでコートしたりするが、それでも徐々にトナー汚れがたまっていく。加圧ローラに蓄積されたトナー汚れはある時一度にトナーカス状の汚れとなって記録材に付着して排出され画像問題となったり、記録材である紙やOHPシートが加圧ローラに巻き付いたりすることがあり問題である。
【0010】
これらの汚れを取るために特開平2−160276号公報で紹介されているように定着温調を行い片面にベタ黒を印字した記録材を加圧ローラ側に印字面を向けて通紙することで加圧ローラの汚れをクリーニングする方法が紹介されている。また、他の方法では定着ニップに記録材を挟み込み、加熱、冷却、加圧ローラの次のクリーニング部分への一定距離ステップ搬送する制御を1ステップとして、これを複数回繰り返して実行することにより、加圧部材周面の汚れを順次クリーニング紙に転移させて除去するクリーニングモード(以下、上述のクリーニングを単にクリーニングモードと記す)を有する装置が発売されている。このクリーニングモードのステップ搬送する際も加圧ローラの検知温度、加圧状態等に関わらず、図14のように定着駆動電流を一定の時間印可している。
【0011】
これらのクリーニング方法はたとえ加圧ローラが汚れてしまっても汚れを除去することができるので非常に有効な手段である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の加圧ローラ変形防止シーケンス・クリーニングシーケンスを実行しても、加圧ローラ温度やモータの出力/加圧力/加圧ローラ硬度等により加圧ローラ駆動距離が異なる為、シーケンスの効果が十分に発揮されなかった。
【0013】
この様な場合、加圧ローラ変形防止シーケンスを行っても再度元のニップ位置で停止し、図15のN´ように定着ニップ位置から移動してもニップ部を形成した時の形状のままになってしまう現象となり、ローラは、定着不良、グロス不均一化、騒音等をもたらして定着装置としての性能を低下させる問題になる。
【0014】
また、クリーニングモードも加圧ローラ変形防止シーケンス同様、ステップの送り量が異なるため図13のように加圧ローラのクリーニングが出来ない箇所や不十分な箇所が存在する問題になる。
【0015】
本発明の目的は、上述の様な問題を解決する為に、主に加圧ローラ温度、そして加圧力/加圧ローラ硬度等にも依存せず、どのような状態でも加圧ローラの駆動距離を制御する事で各シーケンスの性能を保ち安定した品質の画像形成装置を提供する事である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本出願によれば、上記の目的は、
未定着画像を担持する記録媒体を、互いに圧接回転する定着体及び加圧体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、加圧体の温度を検知する温度検知手段と、定着装置の駆動停止を制御する駆動制御手段を有する定着装置において、
加圧体の温度を検知する温度検知手段の温度変化の値により定着装置の駆動停止を制御し、加圧ローラ駆動距離を一定に保つ事で、加圧ローラ変形防止シーケンスに適応し、加圧ローラの永久変形を防止するという第1の発明により達成できる。
【0017】
又、本出願によれば、上記の目的は、
加熱用部材と、この加熱用部材に圧接して加熱ニップを形成する加圧部材と、加熱ニップに記録材を通紙して記録材上の未定着画像を定着させる定着器を有し、記録材を定着ニップに挟み込み、駆動を停止し、定着ニップを加熱し、定着ニップを冷却した後、記録材を搬送する制御を1ステップとし、このステップを複数回繰り返すクリーニングモードを有し、加圧体の温度を検知する温度検知手段と、定着装置の駆動停止を制御する駆動制御手段を有する画像形成装置において、
前記加圧体の温度を検知する温度検知手段により検知した温度変化により1ステップを制御する事で加圧ローラのクリーニングムラを防止するという第2の発明によっても達成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1の実施例)
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施例では加圧ローラ変形防止シーケンス実行の際、加圧ローラのサーミスタの温度変化から加圧ローラ駆動距離を制御する事で、確実にニップ位置を変更し、加圧ローラ変形を防止し、品質を安定させた例について述べる。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図中1は、画像情報に応じて発信されるレーザー光を、照射及び走査する光学手段と走査手段を有したスキャナユニットである。また、10は主たる画像形成手段を内蔵したプロセスカートリッジであって、潜像保持部材の感光ドラム3、半導電性のゴムからなるローラ帯電器4、トナー6を感光ドラム3上に現像する現像装置5、及び廃トナーを感光ドラム3上から除去するクリーナー8から構成される。このプロセスカートリッジ10内の感光ドラム3は、矢印方向に回転しており、ローラ帯電器4により、その表面を一様に帯電された後、スキャナユニット1で発信されたレーザー光はミラー2を介して照射されることにより、その表面上に静電潜像が形成されるようになっている。そして、この静電潜像は、現像装置5によりトナーが供給され、トナー像として可視像化される。
【0021】
一方、給紙カセット11内の転写材(秤量64〜128g)12は給紙ローラ13により、一枚ずつ分離されて給送され、給紙された転写部材12は、上下ガイド14に沿って、一対のレジストローラ15に搬送される。レジストローラ15は、転写部材12が来るまで停止しており、これに転写材12の先端が突き当たることにより、転写材12の斜行を補正する。
【0022】
次いでレジストローラ15は、上記感光ドラム3上に形成された画像の先端と同期するように、転写材12を転写部へと搬送する。なお、このレジストローラ15の近くに給紙センサー(図示せず)が設置されており、通紙状態やジャム、転写材の長さを検知する。上述のようにして転写部に搬送された転写材12は、転写ローラ7からトナーと逆極性の電荷を転写材12の裏側から与えられ、上記感光ドラム3上に形成されたトナー像が上記転写材12に転写される。このトナー像を転写された転写材12は、搬送ローラ17及び搬送ガイド16により定着装置18に搬送され、上記定着装置18は転写材12上の未定着トナー像を熱及び圧力で、転写材12上に溶解、固着させることにより記録画像とする。画像定着後の転写材12はフラッパ19により選択され、各搬送ローラを経て2つの排出トレイ20又は21に排出される。
【0023】
次に、熱定着装置18について図3に基づいて詳しく説明する。図3は、熱定着装置18の概略構成を示す断面図である。熱定着装置18は、定着体たる定着ローラ22と、加圧体たる加圧ローラ23と、定着ローラ22のための加熱源としてのハロゲンランプである定着体用加熱手段たるヒータ24と、加圧ローラ23のための加熱源としてのハロゲンランプである加圧体用加熱手段たるヒータ25と、定着ローラ22用、加圧ローラ23用の温度検知手段たる温調サーミスタ26、27と、定着ローラ22用、加圧ローラ23用の転写材分離手段たる分離爪33、34と、定着入り口ガイド30とを備えている。
【0024】
本例では、温調サーミスタ26、27は共に非画像領域に設置されている。尚、温調サーミスタ27は非画像印字面なので中央に設置しても良い。この定着装置は、A3(297mm)幅を最大通紙サイズとする転写材を装置の通紙中心を基準として搬送する中央基準の例である。ヒータ24、25は120V入力時に800W、200Wの定格出力が出るものを使用し、ヒータ配光も通紙基準に対して対称な分布になっている。
【0025】
定着ローラ22はアルミニウムを芯金28とする直径52mm、厚さ3.0mmのローラであり、表層にはPFAの離型層29を被膜している。加圧ローラ23はステンレス芯金37上にシリコンスポンジの弾性層31で厚さは5mm、表層にPFAの離型層であるPFA樹脂チューブ32を有し、直径48mm、製品硬度60°のものを用いており、加圧ローラ23の熱伝導率は0.7×103W/℃・cmで、加圧バネ35により800Nの加圧力をかける事で定着ローラとの間に8.0mmのニップNを作る。上述したPFA樹脂チューブ32は加圧ローラからのバイアス効果を高めるために抵抗値が104〜1012Ω・cmとなるように、カーボンを混合したものを用いている。この構成においてA4横送りで50枚/分のプリントが可能である。この定着装置の駆動はDCモータ(図示せず)によりギヤ(図示せず)を介し定着ローラ22で駆動し、加圧ローラは従動である。
【0026】
ここで、加圧ローラ変形防止シーケンスについて詳細に説明する。本実施例のように、加圧ローラの弾性層が4mmと厚く、加圧力が800Nと高い定着装置をある一定温度でローラを温めプリント待機している状態(以後スタンバイと記す)で長時間(本実施例では約2時間)放置すると加圧ローラがニップ形状に永久変形する。そこで、この永久変形を防止する為、ある一定時間毎に定着器を駆動させる。このシーケンスが加圧ローラ変形防止シーケンスである。
【0027】
しかし、加圧ローラ変形防止シーケンスを実行する際、主に加圧ローラ温度により加圧ローラ駆動距離が変化し、加圧ローラが再びニップ位置に戻る可能性がある。その加圧ローラ温度に対する加圧ローラ駆動距離の依存性を図4に示す。図4は駆動電流印加時間100msecで加圧ローラ硬度は60°の時のデータである。この様に加圧ローラ温度が高ければ高いほど加圧ローラ駆動距離は大きくなる。
【0028】
更に、加圧ローラ駆動距離は加圧力や加圧ローラ硬度などにも多少影響する。本実施例で使用する加圧ローラの硬度の交差は±3°、加圧バネ35の公差は±10%である。また、加圧ローラ硬度は耐久(定着装置回転時間と温調温度)により変化する。図6に耐久(定着装置回転時間)と加圧ローラ硬度の関係を示す。図6の様に、加圧ローラ硬度は初期急激に低下し、ある程度低下した後に緩やかに低下する。これはゴムが熱と圧力で劣化する為である。この様に公差や耐久に依存する加圧ローラ硬度等は通紙条件などにも依存するので把握或いは予測する事が困難である。また、本体内で加圧力又は加圧ローラ硬度を測定し認識する事も困難である。
【0029】
そこで、本実施例では以上の様な変数に関係なく加圧ローラ駆動距離を制御する為、以下のような構成と制御により加圧ローラ駆動距離を一定にした。本実施例では図5のように、加圧ローラサーミスタは定着ニップ中心から排紙側へ70°の位置(約29mm)に設置している。
【0030】
スタンバイ中、定着ローラは180℃、加圧ローラは140℃に保っている。その時の定着ニップ内温度は約165℃である。スタンバイ中に定着装置を回転させると加圧サーミスタは図1のような温度を検知する。図5と図1から、加圧ローラの表面がスタンバイ中どのような温度になっているかがわかる。図5のL領域は加圧ローラサーミスタが検知している温度(本例では140℃程度)と同様で、図3の定着ニップN部はニップ内温度(本例では165℃程度)、図3のH領域は定着ローラと接した後に加圧サーミスタに到達するのでL領域温度とN領域温度の間の温度(本例では150℃程度)である。
【0031】
以上のように定着ニップNの位置のみ温度が160℃以上の高い温度を示す。上述の事を利用し、図1のように加圧ローラ変形防止シーケンスの際、加圧サーミスタが160℃以上を検知した時、定着駆動を停止する。これにより、加圧ローラはほぼ正確に定着ニップ排紙側のエッジ部から加圧サーミスタまでの距離Lの29mm駆動し停止する。実際に加圧ローラ変形防止シーケンスを図7のフローチャートを用い説明する。スタンバイ状態で30分が経過した時、定着駆動電流を印可し、定着装置を駆動させる。加圧サーミスタ温度が160℃以上を検知した時、定着駆動電流をOFFにする。この制御により加圧ローラは29mm駆動し、停止する。
【0032】
この様に加圧サーミスタがニップ位置の温度を検知する事で加圧ローラ温度や加圧力・加圧ローラ硬度・モータの出力等に依存しないで加圧ローラ駆動距離を制御する事が出来、定着ニップ中心から加圧サーミスタまでの中心角を360°の整数倍にしない事で極力同じニップ位置で停止する事を防止し、安定した品質の定着装置を提供する事ができる。また本実施例では熱ローラ定着装置で加圧ローラ内部にヒータを設けていたが、加圧ローラ内部にヒータを設けてない定着装置、オンデマンド定着装置、そして、IH定着装置に以上の事を適応しても同様の効果が得られる事は言うまでもない。
【0033】
(第2の実施例)
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施例ではクリーニングモードの際、加圧ローラのサーミスタの温度変化から加圧ローラ駆動距離を制御する事で、加圧ローラ上のトナーを満遍なく除去し、画像不良を防止し、画像品質を安定させた例について述べる。
【0034】
本実施例で用いる本体構成は実施例1で用いたものと同じであるので説明は省略する。
【0035】
図8に本実施例で用いた定着装置構成を示す。フィルム加熱方式の加熱定着装置は、図8の概略図に示すように、耐熱性のステイホルダー(支持体)51に、アルミナや窒化アルミ等のセラミックヒーターが加熱部材52(加熱体、以下ヒータと記す)として固定されている。そのヒータ52の外側には耐熱性に優れたポリイミド等の薄肉フィルム53(以下、定着フィルムと記す)が密着し、そのフィルムを挟んで加圧手段である加圧バネ59により所定のニップ幅のニップ部(定着ニップ部)を形成させて圧接させた弾性加圧ローラ54を有する。その弾性加圧ローラは芯金55の外側にシリコンゴム等の弾性層56が形成され、さらにその外側には離型性に優れたPFAやPTFE等のチューブが離型層57として被せてある。加圧ローラ54は外径40mm、熱伝導率は0.5×103W/℃・cm、加圧力は200Nである。定着ニップは約10mmである。
【0036】
また、加圧ローラ54の表面温度を検知するため加圧ローラ用サーミスタ61が設置されている。ヒータ52は通電により加熱され、ヒータ背面に設置されたサーミスタ等の温度検知手段58が検知するヒータ温度を制御部62(エンジンコントローラ)へデジタル信号としてフィードバックすることにより一定の温度に温調される。ヒータ52を所定の温度に加熱・温調させ、定着フィルム53を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着フィルム53と加圧ローラ54との間に未定着トナー像を形成担持させた記録材を導入すると、記録材は定着フィルム53の面に密着し、その定着フィルム53と一緒に定着ニップ部を挟持搬送される。この定着ニップ部において、記録材・トナー像がヒータ52により定着フィルム53を介して加熱されて記録材上のトナー像が加熱定着される。定着ニップ部を通った記録材は定着フィルム53の面から剥離して搬送される。
【0037】
このようなフィルム加熱方式の定着装置を用いたプリンタ、複写機等の各種画像形成装置は、加熱効率の高さや立ち上がりの速さにより、待機中の予備加熱の不要化や、ウエイトタイムの短縮化など従来の熱ローラ等を用いて加熱定着させる方式に比べて多くの利点を有している。
【0038】
本実施例で用いるステップ送りによる加圧ローラクリーニングモードの基本説明を以下に述べる。ステップ動作は、定着ニップで紙搬送停止して温調180℃を5秒間、温調offして5秒間、紙搬送を1スッテプ動かす為に、定着装置を駆動させる。紙搬送1ステップ(以下加圧ローラ駆動距離と示す)は加圧ローラの次の位置をクリーニングするために紙搬送用のモータを瞬間だけ回す動作である。加圧ローラを満遍無く一度にクリーニングするには定着ニップ幅Nと加圧ローラ駆動距離Sには以下の式(1)関係を常に保つ必要がある。
【0039】
N≧S ・・・(1)
式(1)の関係を保つ為、加圧ローラ駆動距離Sは正確に制御しなければならない。しかし、オンデマンド定着器においても、実施例1でも述べたように、加圧ローラ駆動距離は加圧ローラ温度/加圧力/加圧ローラ硬度に依存し、以上の項目を考慮し、正確に加圧ローラ駆動距離を制御する事は困難である。
【0040】
そこで、本実施例では図9のように、加圧サーミスタを定着ニップ中心から排紙側に35°(12mm)の位置に設置し、常に式(1)を満足させ加圧ローラを駆動させる事で加圧ローラを満遍無くクリーニングする。以下に図11のフローチャートを用い動作を示す。
【0041】
先ず、給紙し、クリーニング部材を定着ニップNに挟む。180℃で5秒間温調し、温調をOFFして5秒間停止する。その後、定着器を駆動させる。加圧サーミスタの温度が150℃以上を検知したら駆動を停止する。このサイクルを繰り返し、加圧ローラを1周分クリーニングする。本実施例では17回繰り返す。この様な制御をする事で図10のように満遍なく加圧ローラをクリーニングする事ができる。
【0042】
以上のように加圧サーミスタを定着ニップ幅に応じて、定着ニップ排紙側のエッジから加圧サーミスタまでの距離を定着ニップ幅以下にする構成にする事で、実施例1と同様、加圧ローラ温度や加圧力・加圧ローラ硬度・モータの出力等に依存しないで加圧ローラ駆動距離を正確に制御する事が出来、加圧ローラを満遍無くクリーニングし、画像不良を防止し、安定した品質の定着装置を提供する事ができる。また本実施例ではオンデマンド定着装置で加圧ローラに加熱手段を設けていないが、ヒータを設けたオンデマンド定着装置、熱ローラ定着装置、そして、IH定着装置に以上の事を適応しても同様の効果が得られる事は言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、
本出願によれば、第1の発明は、加圧サーミスタを排紙側に設置し、加圧サーミスタの温度変化により、定着装置の駆動を制御する事で加圧駆動距離を制御し、加圧ローラの永久変形防止シーケンスに適応し、シーケンスの性能を保つ事で、永久変形に依る定着不良、グロス不均一化、騒音等の問題を未然に防ぐという効果がある。
【0044】
又、第2の発明において、加圧サーミスタを排紙側に設置し、加圧サーミスタの温度変化により、定着装置の駆動を制御する事で加圧駆動距離を制御し、加圧ローラクリーニングシーケンスに適応し、シーケンスのステップの送り量を正確に制御する事で、加圧ローラクリーニングシーケンスの性能を保ち安定した品質の画像形成装置を提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた加圧サーミスタ検知温度と駆動距離の関係を示すグラフ
【図2】実施例1で用いた画像形成装置の概略図
【図3】実施例1で用いた熱ローラ定着装置の概略図
【図4】実施例1で用いた加圧ローラ温度と転写材移動距離の関係を示すグラフ
【図5】実施例1で用いた定着ニップの拡大図
【図6】実施例1で用いた加圧ローラ硬度と耐久時間の関係を示すグラフ
【図7】実施例1で用いたフローチャート
【図8】実施例2で用いたオンデマンド定着装置の概略図
【図9】実施例2で用いた定着ニップの拡大図
【図10】実施例2のシーケンスでの加圧クリーニング途中の定着装置
【図11】実施例2の加圧ローラクリーニングシーケンスのフローチャート
【図12】従来例で用いた定着装置の概略図
【図13】従来のシーケンスでの加圧クリーニング途中の定着装置
【図14】課題で用いた加圧ローラ温度と転写材移動距離の関係を示すグラフ
【図15】課題で用いた加圧ローラ永久変形の模式図
【符号の説明】
1 スキャナユニット
2 ミラー
3 感光ドラム
4 ローラ帯電器
5 現像装置
8 クリーナー
10 プロセスカートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真式プリンタ、複写機、及び、静電記録装置などの画像形成装置の定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセス方式を応用した画像形成装置としてレーザプリンタ等が知られている。
【0003】
従来の画像形成装置に備えつけられる定着装置にあっては、未定着像たるトナー像を担持する記録媒体たる転写紙に定着処理を施すために、熱及び圧力を転写紙上のトナーに付与させ定着処理する熱ローラ定着装置が使われることが多い。その理由は保存性に優れ、低速機から高速機まで対応できトナーの選択幅が広い等のメリットが多いためである。更に、定着性向上、加圧ローラの汚れ防止等のため加圧ローラ内部又は外部より温める構成の定着装置が知られている。そのため、加圧ローラにも温度検知手段であるサーミスタが設置されている。また、定着装置は定着体たる定着ローラと加圧体たる加圧ローラで構成され、加圧ローラは加圧手段により一定の圧力で定着ローラに圧接されている。
【0004】
ここで、定着装置の一例として熱ローラ定着装置について、図12を用い詳しく説明する。図12は、熱ローラ定着装置の概略構成を示す断面図である。熱ローラ定着装置は、定着体たる定着ローラ100と、加圧体たる加圧ローラ101と、定着ローラ100のための加熱源としてのハロゲンランプである定着体用加熱手段たるヒータ102と、定着ローラ100用、加圧ローラ101用の温度検知手段たる温調サーミスタ104、105と、定着ローラ100用、加圧ローラ101用の分離手段たる分離爪106,107と、定着入り口ガイド108とを備えている。本例では、温調サーミスタ104、105は共に非画像領域に設置している。尚、温調サーミスタ105は非画像印字面なので中央に設置しても良い。
【0005】
定着ローラ100は、中空のアルミニウム又は鉄、ステンレス・スティールの芯金109の上に、接着層としてのプライマー層(図示せず)、更にその上にフッ素樹脂層110を有した構成になっている。プライマー層(図示せず)の厚さは、5〜20μmが適当であり、フッ素樹脂層110の厚みは30〜70μmが適当である。このフッ素樹脂層110は、PFA樹脂のチューブで形成しても良く、PFA樹脂を焼き付けても良い。定着ローラ100は離型性を重視しているので、フッ素樹脂にはフィラーを混ぜない純粋のPFA樹脂で構成する。必要に応じて、フッ素樹脂層110と芯金109の間にシリコンゴム層を設けてもよい。
【0006】
加圧ローラ101は、中空の芯金111をアルミニウムまたは鉄、ステンレス・スティールで作り、その上に耐熱性のあるシリコンゴムの弾性層112をプライマー層(図示せず)を介して接着し、最上層部にPFA樹脂チューブ113を被膜している。このPFA樹脂チューブ113は加圧ローラからのバイアス効果を高めるために抵抗値が104〜1012Ω・cmとなるように、カーボンを混合したものを用いている。加圧ローラ101の弾性層112は、小径にてニップ幅を確保する為、肉厚が3〜5mm程度ある。
【0007】
定着装置は加圧ローラ101が付勢部材たる加圧バネ114により定着ローラ100に圧接してている。カラー機・高速機等では加圧力は500N以上の定着装置も存在する。この様な定着器構成においては、加圧ローラのゴム層が圧力と熱により変形する。その為、ある一定時間毎に定着駆動電流を一定の時間印加する加圧ローラ変形防止シーケンスを実行する事で加圧ローラの変形を防止している。図14のように、加圧ローラの検知温度等に依存せず、定着駆動電流を一定時間印可している。
【0008】
また、加熱定着装置では、記録材上の未定着画像を加熱加圧して記録材上に定着させる。このとき、記録紙上の未定着トナー全てが記録紙上に定着すればよいのだが、実際には定着ローラ側に付着して残るいわゆるオフセットトナーがある。オフセットには、融けきれずに残るコールドオフセット、融けすぎて残るホットオフセット、静電気的作用で残る静電オフセットなど、さまざまな原因によるものがある。
【0009】
いずれにしてもオフセットしたトナーの一部は記録材に戻るが、残されたトナーは記録材間で加圧ローラに転移する。これは定着ローラよりも加圧ローラの温度が低く離型性に劣るからである。加圧ローラはトナー汚れがたまりにくいように表面をPFAなどでコートしたりするが、それでも徐々にトナー汚れがたまっていく。加圧ローラに蓄積されたトナー汚れはある時一度にトナーカス状の汚れとなって記録材に付着して排出され画像問題となったり、記録材である紙やOHPシートが加圧ローラに巻き付いたりすることがあり問題である。
【0010】
これらの汚れを取るために特開平2−160276号公報で紹介されているように定着温調を行い片面にベタ黒を印字した記録材を加圧ローラ側に印字面を向けて通紙することで加圧ローラの汚れをクリーニングする方法が紹介されている。また、他の方法では定着ニップに記録材を挟み込み、加熱、冷却、加圧ローラの次のクリーニング部分への一定距離ステップ搬送する制御を1ステップとして、これを複数回繰り返して実行することにより、加圧部材周面の汚れを順次クリーニング紙に転移させて除去するクリーニングモード(以下、上述のクリーニングを単にクリーニングモードと記す)を有する装置が発売されている。このクリーニングモードのステップ搬送する際も加圧ローラの検知温度、加圧状態等に関わらず、図14のように定着駆動電流を一定の時間印可している。
【0011】
これらのクリーニング方法はたとえ加圧ローラが汚れてしまっても汚れを除去することができるので非常に有効な手段である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の加圧ローラ変形防止シーケンス・クリーニングシーケンスを実行しても、加圧ローラ温度やモータの出力/加圧力/加圧ローラ硬度等により加圧ローラ駆動距離が異なる為、シーケンスの効果が十分に発揮されなかった。
【0013】
この様な場合、加圧ローラ変形防止シーケンスを行っても再度元のニップ位置で停止し、図15のN´ように定着ニップ位置から移動してもニップ部を形成した時の形状のままになってしまう現象となり、ローラは、定着不良、グロス不均一化、騒音等をもたらして定着装置としての性能を低下させる問題になる。
【0014】
また、クリーニングモードも加圧ローラ変形防止シーケンス同様、ステップの送り量が異なるため図13のように加圧ローラのクリーニングが出来ない箇所や不十分な箇所が存在する問題になる。
【0015】
本発明の目的は、上述の様な問題を解決する為に、主に加圧ローラ温度、そして加圧力/加圧ローラ硬度等にも依存せず、どのような状態でも加圧ローラの駆動距離を制御する事で各シーケンスの性能を保ち安定した品質の画像形成装置を提供する事である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本出願によれば、上記の目的は、
未定着画像を担持する記録媒体を、互いに圧接回転する定着体及び加圧体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、加圧体の温度を検知する温度検知手段と、定着装置の駆動停止を制御する駆動制御手段を有する定着装置において、
加圧体の温度を検知する温度検知手段の温度変化の値により定着装置の駆動停止を制御し、加圧ローラ駆動距離を一定に保つ事で、加圧ローラ変形防止シーケンスに適応し、加圧ローラの永久変形を防止するという第1の発明により達成できる。
【0017】
又、本出願によれば、上記の目的は、
加熱用部材と、この加熱用部材に圧接して加熱ニップを形成する加圧部材と、加熱ニップに記録材を通紙して記録材上の未定着画像を定着させる定着器を有し、記録材を定着ニップに挟み込み、駆動を停止し、定着ニップを加熱し、定着ニップを冷却した後、記録材を搬送する制御を1ステップとし、このステップを複数回繰り返すクリーニングモードを有し、加圧体の温度を検知する温度検知手段と、定着装置の駆動停止を制御する駆動制御手段を有する画像形成装置において、
前記加圧体の温度を検知する温度検知手段により検知した温度変化により1ステップを制御する事で加圧ローラのクリーニングムラを防止するという第2の発明によっても達成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1の実施例)
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施例では加圧ローラ変形防止シーケンス実行の際、加圧ローラのサーミスタの温度変化から加圧ローラ駆動距離を制御する事で、確実にニップ位置を変更し、加圧ローラ変形を防止し、品質を安定させた例について述べる。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図中1は、画像情報に応じて発信されるレーザー光を、照射及び走査する光学手段と走査手段を有したスキャナユニットである。また、10は主たる画像形成手段を内蔵したプロセスカートリッジであって、潜像保持部材の感光ドラム3、半導電性のゴムからなるローラ帯電器4、トナー6を感光ドラム3上に現像する現像装置5、及び廃トナーを感光ドラム3上から除去するクリーナー8から構成される。このプロセスカートリッジ10内の感光ドラム3は、矢印方向に回転しており、ローラ帯電器4により、その表面を一様に帯電された後、スキャナユニット1で発信されたレーザー光はミラー2を介して照射されることにより、その表面上に静電潜像が形成されるようになっている。そして、この静電潜像は、現像装置5によりトナーが供給され、トナー像として可視像化される。
【0021】
一方、給紙カセット11内の転写材(秤量64〜128g)12は給紙ローラ13により、一枚ずつ分離されて給送され、給紙された転写部材12は、上下ガイド14に沿って、一対のレジストローラ15に搬送される。レジストローラ15は、転写部材12が来るまで停止しており、これに転写材12の先端が突き当たることにより、転写材12の斜行を補正する。
【0022】
次いでレジストローラ15は、上記感光ドラム3上に形成された画像の先端と同期するように、転写材12を転写部へと搬送する。なお、このレジストローラ15の近くに給紙センサー(図示せず)が設置されており、通紙状態やジャム、転写材の長さを検知する。上述のようにして転写部に搬送された転写材12は、転写ローラ7からトナーと逆極性の電荷を転写材12の裏側から与えられ、上記感光ドラム3上に形成されたトナー像が上記転写材12に転写される。このトナー像を転写された転写材12は、搬送ローラ17及び搬送ガイド16により定着装置18に搬送され、上記定着装置18は転写材12上の未定着トナー像を熱及び圧力で、転写材12上に溶解、固着させることにより記録画像とする。画像定着後の転写材12はフラッパ19により選択され、各搬送ローラを経て2つの排出トレイ20又は21に排出される。
【0023】
次に、熱定着装置18について図3に基づいて詳しく説明する。図3は、熱定着装置18の概略構成を示す断面図である。熱定着装置18は、定着体たる定着ローラ22と、加圧体たる加圧ローラ23と、定着ローラ22のための加熱源としてのハロゲンランプである定着体用加熱手段たるヒータ24と、加圧ローラ23のための加熱源としてのハロゲンランプである加圧体用加熱手段たるヒータ25と、定着ローラ22用、加圧ローラ23用の温度検知手段たる温調サーミスタ26、27と、定着ローラ22用、加圧ローラ23用の転写材分離手段たる分離爪33、34と、定着入り口ガイド30とを備えている。
【0024】
本例では、温調サーミスタ26、27は共に非画像領域に設置されている。尚、温調サーミスタ27は非画像印字面なので中央に設置しても良い。この定着装置は、A3(297mm)幅を最大通紙サイズとする転写材を装置の通紙中心を基準として搬送する中央基準の例である。ヒータ24、25は120V入力時に800W、200Wの定格出力が出るものを使用し、ヒータ配光も通紙基準に対して対称な分布になっている。
【0025】
定着ローラ22はアルミニウムを芯金28とする直径52mm、厚さ3.0mmのローラであり、表層にはPFAの離型層29を被膜している。加圧ローラ23はステンレス芯金37上にシリコンスポンジの弾性層31で厚さは5mm、表層にPFAの離型層であるPFA樹脂チューブ32を有し、直径48mm、製品硬度60°のものを用いており、加圧ローラ23の熱伝導率は0.7×103W/℃・cmで、加圧バネ35により800Nの加圧力をかける事で定着ローラとの間に8.0mmのニップNを作る。上述したPFA樹脂チューブ32は加圧ローラからのバイアス効果を高めるために抵抗値が104〜1012Ω・cmとなるように、カーボンを混合したものを用いている。この構成においてA4横送りで50枚/分のプリントが可能である。この定着装置の駆動はDCモータ(図示せず)によりギヤ(図示せず)を介し定着ローラ22で駆動し、加圧ローラは従動である。
【0026】
ここで、加圧ローラ変形防止シーケンスについて詳細に説明する。本実施例のように、加圧ローラの弾性層が4mmと厚く、加圧力が800Nと高い定着装置をある一定温度でローラを温めプリント待機している状態(以後スタンバイと記す)で長時間(本実施例では約2時間)放置すると加圧ローラがニップ形状に永久変形する。そこで、この永久変形を防止する為、ある一定時間毎に定着器を駆動させる。このシーケンスが加圧ローラ変形防止シーケンスである。
【0027】
しかし、加圧ローラ変形防止シーケンスを実行する際、主に加圧ローラ温度により加圧ローラ駆動距離が変化し、加圧ローラが再びニップ位置に戻る可能性がある。その加圧ローラ温度に対する加圧ローラ駆動距離の依存性を図4に示す。図4は駆動電流印加時間100msecで加圧ローラ硬度は60°の時のデータである。この様に加圧ローラ温度が高ければ高いほど加圧ローラ駆動距離は大きくなる。
【0028】
更に、加圧ローラ駆動距離は加圧力や加圧ローラ硬度などにも多少影響する。本実施例で使用する加圧ローラの硬度の交差は±3°、加圧バネ35の公差は±10%である。また、加圧ローラ硬度は耐久(定着装置回転時間と温調温度)により変化する。図6に耐久(定着装置回転時間)と加圧ローラ硬度の関係を示す。図6の様に、加圧ローラ硬度は初期急激に低下し、ある程度低下した後に緩やかに低下する。これはゴムが熱と圧力で劣化する為である。この様に公差や耐久に依存する加圧ローラ硬度等は通紙条件などにも依存するので把握或いは予測する事が困難である。また、本体内で加圧力又は加圧ローラ硬度を測定し認識する事も困難である。
【0029】
そこで、本実施例では以上の様な変数に関係なく加圧ローラ駆動距離を制御する為、以下のような構成と制御により加圧ローラ駆動距離を一定にした。本実施例では図5のように、加圧ローラサーミスタは定着ニップ中心から排紙側へ70°の位置(約29mm)に設置している。
【0030】
スタンバイ中、定着ローラは180℃、加圧ローラは140℃に保っている。その時の定着ニップ内温度は約165℃である。スタンバイ中に定着装置を回転させると加圧サーミスタは図1のような温度を検知する。図5と図1から、加圧ローラの表面がスタンバイ中どのような温度になっているかがわかる。図5のL領域は加圧ローラサーミスタが検知している温度(本例では140℃程度)と同様で、図3の定着ニップN部はニップ内温度(本例では165℃程度)、図3のH領域は定着ローラと接した後に加圧サーミスタに到達するのでL領域温度とN領域温度の間の温度(本例では150℃程度)である。
【0031】
以上のように定着ニップNの位置のみ温度が160℃以上の高い温度を示す。上述の事を利用し、図1のように加圧ローラ変形防止シーケンスの際、加圧サーミスタが160℃以上を検知した時、定着駆動を停止する。これにより、加圧ローラはほぼ正確に定着ニップ排紙側のエッジ部から加圧サーミスタまでの距離Lの29mm駆動し停止する。実際に加圧ローラ変形防止シーケンスを図7のフローチャートを用い説明する。スタンバイ状態で30分が経過した時、定着駆動電流を印可し、定着装置を駆動させる。加圧サーミスタ温度が160℃以上を検知した時、定着駆動電流をOFFにする。この制御により加圧ローラは29mm駆動し、停止する。
【0032】
この様に加圧サーミスタがニップ位置の温度を検知する事で加圧ローラ温度や加圧力・加圧ローラ硬度・モータの出力等に依存しないで加圧ローラ駆動距離を制御する事が出来、定着ニップ中心から加圧サーミスタまでの中心角を360°の整数倍にしない事で極力同じニップ位置で停止する事を防止し、安定した品質の定着装置を提供する事ができる。また本実施例では熱ローラ定着装置で加圧ローラ内部にヒータを設けていたが、加圧ローラ内部にヒータを設けてない定着装置、オンデマンド定着装置、そして、IH定着装置に以上の事を適応しても同様の効果が得られる事は言うまでもない。
【0033】
(第2の実施例)
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施例ではクリーニングモードの際、加圧ローラのサーミスタの温度変化から加圧ローラ駆動距離を制御する事で、加圧ローラ上のトナーを満遍なく除去し、画像不良を防止し、画像品質を安定させた例について述べる。
【0034】
本実施例で用いる本体構成は実施例1で用いたものと同じであるので説明は省略する。
【0035】
図8に本実施例で用いた定着装置構成を示す。フィルム加熱方式の加熱定着装置は、図8の概略図に示すように、耐熱性のステイホルダー(支持体)51に、アルミナや窒化アルミ等のセラミックヒーターが加熱部材52(加熱体、以下ヒータと記す)として固定されている。そのヒータ52の外側には耐熱性に優れたポリイミド等の薄肉フィルム53(以下、定着フィルムと記す)が密着し、そのフィルムを挟んで加圧手段である加圧バネ59により所定のニップ幅のニップ部(定着ニップ部)を形成させて圧接させた弾性加圧ローラ54を有する。その弾性加圧ローラは芯金55の外側にシリコンゴム等の弾性層56が形成され、さらにその外側には離型性に優れたPFAやPTFE等のチューブが離型層57として被せてある。加圧ローラ54は外径40mm、熱伝導率は0.5×103W/℃・cm、加圧力は200Nである。定着ニップは約10mmである。
【0036】
また、加圧ローラ54の表面温度を検知するため加圧ローラ用サーミスタ61が設置されている。ヒータ52は通電により加熱され、ヒータ背面に設置されたサーミスタ等の温度検知手段58が検知するヒータ温度を制御部62(エンジンコントローラ)へデジタル信号としてフィードバックすることにより一定の温度に温調される。ヒータ52を所定の温度に加熱・温調させ、定着フィルム53を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着フィルム53と加圧ローラ54との間に未定着トナー像を形成担持させた記録材を導入すると、記録材は定着フィルム53の面に密着し、その定着フィルム53と一緒に定着ニップ部を挟持搬送される。この定着ニップ部において、記録材・トナー像がヒータ52により定着フィルム53を介して加熱されて記録材上のトナー像が加熱定着される。定着ニップ部を通った記録材は定着フィルム53の面から剥離して搬送される。
【0037】
このようなフィルム加熱方式の定着装置を用いたプリンタ、複写機等の各種画像形成装置は、加熱効率の高さや立ち上がりの速さにより、待機中の予備加熱の不要化や、ウエイトタイムの短縮化など従来の熱ローラ等を用いて加熱定着させる方式に比べて多くの利点を有している。
【0038】
本実施例で用いるステップ送りによる加圧ローラクリーニングモードの基本説明を以下に述べる。ステップ動作は、定着ニップで紙搬送停止して温調180℃を5秒間、温調offして5秒間、紙搬送を1スッテプ動かす為に、定着装置を駆動させる。紙搬送1ステップ(以下加圧ローラ駆動距離と示す)は加圧ローラの次の位置をクリーニングするために紙搬送用のモータを瞬間だけ回す動作である。加圧ローラを満遍無く一度にクリーニングするには定着ニップ幅Nと加圧ローラ駆動距離Sには以下の式(1)関係を常に保つ必要がある。
【0039】
N≧S ・・・(1)
式(1)の関係を保つ為、加圧ローラ駆動距離Sは正確に制御しなければならない。しかし、オンデマンド定着器においても、実施例1でも述べたように、加圧ローラ駆動距離は加圧ローラ温度/加圧力/加圧ローラ硬度に依存し、以上の項目を考慮し、正確に加圧ローラ駆動距離を制御する事は困難である。
【0040】
そこで、本実施例では図9のように、加圧サーミスタを定着ニップ中心から排紙側に35°(12mm)の位置に設置し、常に式(1)を満足させ加圧ローラを駆動させる事で加圧ローラを満遍無くクリーニングする。以下に図11のフローチャートを用い動作を示す。
【0041】
先ず、給紙し、クリーニング部材を定着ニップNに挟む。180℃で5秒間温調し、温調をOFFして5秒間停止する。その後、定着器を駆動させる。加圧サーミスタの温度が150℃以上を検知したら駆動を停止する。このサイクルを繰り返し、加圧ローラを1周分クリーニングする。本実施例では17回繰り返す。この様な制御をする事で図10のように満遍なく加圧ローラをクリーニングする事ができる。
【0042】
以上のように加圧サーミスタを定着ニップ幅に応じて、定着ニップ排紙側のエッジから加圧サーミスタまでの距離を定着ニップ幅以下にする構成にする事で、実施例1と同様、加圧ローラ温度や加圧力・加圧ローラ硬度・モータの出力等に依存しないで加圧ローラ駆動距離を正確に制御する事が出来、加圧ローラを満遍無くクリーニングし、画像不良を防止し、安定した品質の定着装置を提供する事ができる。また本実施例ではオンデマンド定着装置で加圧ローラに加熱手段を設けていないが、ヒータを設けたオンデマンド定着装置、熱ローラ定着装置、そして、IH定着装置に以上の事を適応しても同様の効果が得られる事は言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、
本出願によれば、第1の発明は、加圧サーミスタを排紙側に設置し、加圧サーミスタの温度変化により、定着装置の駆動を制御する事で加圧駆動距離を制御し、加圧ローラの永久変形防止シーケンスに適応し、シーケンスの性能を保つ事で、永久変形に依る定着不良、グロス不均一化、騒音等の問題を未然に防ぐという効果がある。
【0044】
又、第2の発明において、加圧サーミスタを排紙側に設置し、加圧サーミスタの温度変化により、定着装置の駆動を制御する事で加圧駆動距離を制御し、加圧ローラクリーニングシーケンスに適応し、シーケンスのステップの送り量を正確に制御する事で、加圧ローラクリーニングシーケンスの性能を保ち安定した品質の画像形成装置を提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた加圧サーミスタ検知温度と駆動距離の関係を示すグラフ
【図2】実施例1で用いた画像形成装置の概略図
【図3】実施例1で用いた熱ローラ定着装置の概略図
【図4】実施例1で用いた加圧ローラ温度と転写材移動距離の関係を示すグラフ
【図5】実施例1で用いた定着ニップの拡大図
【図6】実施例1で用いた加圧ローラ硬度と耐久時間の関係を示すグラフ
【図7】実施例1で用いたフローチャート
【図8】実施例2で用いたオンデマンド定着装置の概略図
【図9】実施例2で用いた定着ニップの拡大図
【図10】実施例2のシーケンスでの加圧クリーニング途中の定着装置
【図11】実施例2の加圧ローラクリーニングシーケンスのフローチャート
【図12】従来例で用いた定着装置の概略図
【図13】従来のシーケンスでの加圧クリーニング途中の定着装置
【図14】課題で用いた加圧ローラ温度と転写材移動距離の関係を示すグラフ
【図15】課題で用いた加圧ローラ永久変形の模式図
【符号の説明】
1 スキャナユニット
2 ミラー
3 感光ドラム
4 ローラ帯電器
5 現像装置
8 クリーナー
10 プロセスカートリッジ
Claims (4)
- 未定着画像を担持する記録媒体を、互いに圧接回転する定着体及び加圧体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により、上記未定着画像を上記記録媒体に定着させる定着装置において、
定着体と加圧体の温度を検知する温度検知手段と、定着装置の駆動停止を制御する駆動制御手段を有する定着装置において、
該定着装置が停止中に該温度検知手段を用い加熱手段を駆動する事により或いは定電力入力により定着装置を温調し、定着装置の駆動時に該加圧体の温度検知手段が加圧体の他の部分より高い温度を検知した際、定着装置の駆動を停止する事を特徴とする定着装置。 - 未定着像を担持する記録媒体をニップ部の加熱用回転体と加圧用回転体によって挟持搬送しながら加熱及び加圧する事により上記未定着像を上記記録媒体に定着させる画像形成装置で、固定配置された加熱体と、該加熱体に内面が接触して摺動する加熱用回転体と、該加熱用回転体は厚みが20〜150μmの薄肉の加撓性を有するエンドレスフィルムからなり、該エンドレスフィルムの表面には離型層が形成されており、上記加熱用回転体を介して加熱体とニップ部を形成する加圧用回転体と、上記加圧用回転体の温度を検知する温度検知手段と、定着装置の駆動停止を制御する駆動制御手段を有する定着装置において、
該定着装置が停止中に該温度検知手段を用い加熱手段を駆動する事により或いは定電力入力により定着装置を温調し、定着装置の駆動時に該加圧体の温度検知手段が加圧体の他の部分より高い温度を検知した際、定着装置の駆動を停止する事を特徴とする定着装置。 - 前記加圧体の温度を検知する温度検知手段は定着ニップ中心から排紙側180°以内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 記録媒体を定着ニップに挟み込む事を特徴とする請求項1、2又は3に記載の定着装置。
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2002
- 2002-09-26 JP JP2002280760A patent/JP2004117802A/ja active Pending
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