JP2004115896A - 放電プラズマ処理装置及び放電プラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス吹き出し側のガス流路が破損しにくい構造で、しかもガス吹き出し側のガス流れがスムーズな構造の放電プラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】対向電極1の電圧印加電極2及び接地電極3の各電極の平面2A,3Aに沿って延びる誘電体板4,5を設け、この誘電体板4,5の先端をガス吹き出し口1Bの前方に突出させてガス流路を形成することで、ガス吹き出し側においてガス整流に必要な流路長の短縮化をはかる。また、対向電極1の電圧印加電極2側の誘電体板4の突出長を、接地電極3側の誘電体板5の突出長よりも短くすることで、スムーズなガス流が形成されるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】対向電極1の電圧印加電極2及び接地電極3の各電極の平面2A,3Aに沿って延びる誘電体板4,5を設け、この誘電体板4,5の先端をガス吹き出し口1Bの前方に突出させてガス流路を形成することで、ガス吹き出し側においてガス整流に必要な流路長の短縮化をはかる。また、対向電極1の電圧印加電極2側の誘電体板4の突出長を、接地電極3側の誘電体板5の突出長よりも短くすることで、スムーズなガス流が形成されるようにする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電プラズマを利用して被処理物を処理する放電プラズマ処理装置及び放電プラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電プラズマを用いて基板上に成膜を行う処理装置として、上部電極と下部電極からなる平行平板型の対向電極を反応槽内に配置し、その対向電極間に基板を配置し、反応槽内に処理ガスを導入した状態で、対向電極間に電圧を印加することにより放電プラズマを発生させ、その発生プラズマで被処理物を処理するダイレクト方式のプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
また、他の処理装置として、被処理物を放電空間中に配置するのではなく、被処理物を放電空間外に配置し、放電空間からのプラズマを被処理物に吹き付けるリモート方式のプラズマ処理装置が提案されている。
【0004】
その具体的な装置として、例えば、平行平板型の対向電極間に電界を印加することにより発生させた放電プラズマを被処理物の表面に導いて処理を行うプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。また、外側電極を備えた筒状の反応管の内部に内側電極を配置し、その反応管と内側電極との間に反応ガス等を導入するとともに、外側電極と内側電極との間に交流電界を印加することによりグロー放電を発生させ、反応管からプラズマジェットを吹き出して被処理物に吹き付けるプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−2149号公報
【特許文献2】
特開平7−85997号公報
【特許文献3】
特開平11−335868号公報
【特許文献4】
特開平11−251304号公報
【特許文献5】
特開平11−260597号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リモート方式の放電プラズマ処理装置においては、対向電極の前後(ガス導入側及びガス吹き出し側)に整流部が設けられている。ガス吹き出し側の整流部には、ガス流路を形成する誘電体材料製の円管や角管などのガス流路用管が用いられている。
【0007】
ガス流路用管は、ガス整流のために、ある程度の大きな寸法(長さ)が必要である。このため、電極部の調整時や装置輸送時においてガス流用路管が破損することが多いという問題がある。また、従来の装置では、ガス吹き出し側のガス流路管内でガスがスムーズに流れず、管内に滞留しやすくなるので、ガス圧力が高くなるという問題がある。さらに、ガス整流のために管長が長くなると、管上流側のガス圧力が高くなるため、ガス漏れが発生したり、ガス流用路管が破損するという問題がある。
【0008】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、ガス吹き出し側のガス流路が破損しにくい構造で、しかもガス吹き出し側のガス流れがスムーズな構造の放電プラズマ処理装置の提供と、その装置を用いた放電処理方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電プラズマ処理装置は、一対の電極が、その各電極に形成された平面が互いに平行となるように対向配置されてなる対向電極と、この対向電極間に電界を印加する電源と、対向電極間にガスを導入するガス供給源を備え、前記対向電極間にガスを流した状態で対向電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させ、そのプラズマ化したガスを前記対向電極のガス吹き出し口から外部に吹き出す方式の放電プラズマ処理装置において、前記対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材が設けられており、その誘電体部材の先端が前記ガス吹き出し口の前方に突出していることによって特徴づけられる。
【0010】
本発明の放電プラズマ処理によれば、対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材にてガス吹き出し側のガス流路が形成されるので、ガス吹き出し側においてガス整流に必要な流路長が小さくて済む。これにより、ガス吹き出し側のガス流路を必要最小限に短くすることができ、ガス吹き出し側のガス流路の破損を防ぐことができる。また、ガス吹き出し側のガス流路が短くなることにより、流路内でのガス圧力の高まりが緩和され、ガス漏れやガス流路の破損をより確実に防ぐことができる。
【0011】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長を、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短くしておけば、ガスの滞留を防止することができ、被処理物の被処理面に沿ってスムーズに流れるガス流を形成することが可能となる。その結果として、均一で高速な処理が可能になる。
【0012】
また、誘電体部材の突出部を一対の電極の平面(電極対向面)に対して斜めに傾ける構成、あるいは、一対の電極の平面(電極対向面)が傾斜面であり、ガス吹き出し口に対向して配置される被処理物の処理面に対し、斜めの方向からプラズマ化したガスが吹き付けられるようにする構成を採用しても、スムーズな流れのガス流を形成することができる。
【0013】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極の吹き出し口から吹き出したガスが流れる方向を排気制御する排気機構を設けておけば、被処理物の被処理面に沿って流れるガス流を、更にスムーズなガス流とすることができる。
【0014】
本発明の放電プラズマ処理装置において、誘電体部材の突出長が1〜10mmであることが好ましく、また、誘電体部材の突出部の先端と、ガス吹き出し口に対向して配置される被処理体との間の距離が0.1〜3mmであることが好ましい。さらに、対向電極の放電発生空間の流路長が1〜100mmであることが好ましい。また、一方の電極側の誘電体部材と他方の電極側の誘電体部材との突出長との間に差異があり、その突出長の差異が0.1〜5mmであることが好ましい。
【0015】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極のガス導入側にガス整流部を設けておくことが好ましい。
【0016】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極を構成する一対の電極には、その各電極の平面(電極対向面)に、コーティング等により固体誘電体を設けておいてもよい。
【0017】
本発明の放電プラズマ処理方法は、前記した特徴を有する放電プラズマ処理装置を用いて被処理物を処理するにあたり、前記誘電体部材の突出部、あるいは被処理物または被処理物の台にバイアス電圧を印加することを特徴とする。
【0018】
次に、本発明の詳細を説明する。
【0019】
本発明に用いる誘電体部材の誘電体材料は、放電が問題なく形成されるものであれば、特に限定されないが、例えば、無機物では、石英、無アルカリガラスなどのガラス系やセラミック系の材料を挙げることができる。また、有機物では、高分子材料を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いる誘電体部材は、板状体または管状体のいずれの形態であってもよい。誘電体部材が板状体である場合、スリット状放電発生空間を形成するように対向配置すればよい。また、管状体である場合、対向電極間に管状体を挟み込むように配置すればよい。
【0021】
本発明において、誘電体部材の突出長は1〜10mmであることが好ましく、更に好ましくは3〜7mmがよい。突出長が1mm未満であると処理効果を得ることができず、10mmを超えると破損の可能性が大きくなる。誘電体部材のガス導入側の先端は、調整時や輸送時における割れの発生を完全に防ぐために、電極端面と面一が好ましい。
【0022】
また、誘電体部材の突出部の先端と、被処理体との間の距離は0.1〜3mmであることが好ましい。誘電体部材−被処理物間の距離が0.1mm未満であると、誘電体部材が被処理物に擦れる可能性があり、3mmを超えると処理効果が薄れる可能性がある。
【0023】
本発明において、対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長を、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短くする場合、その突出長の差異は0.1〜5mmが好ましい。0.1mm未満である場合及び5mmを超える場合は、いずれも処理効果が薄れる可能性がある。
【0024】
本発明において、誘電体部材の突出部または被処理物側にバイアス電圧を印加することが好ましい。被処理物側にバイアス電圧を印加する場合、被処理物が導電体の場合は被処理物に直接バイアス電圧を印加し、被処理物が誘電体・絶縁体である場合は被処理物を載せている台にバイアス電圧を印加する。
【0025】
このようにバイアス電圧を印加すると、目的の活性種やイオンを、被処理体に効率よく作用させることができ、処理効果を更に高めることができる。
【0026】
バイアス電圧は、特に限定はなく、目的の活性種やイオンを、被処理体に効率よく作用させることができればよく、使用ガス、活性種、イオン、被処理物の種類などにより決定される。好ましくは、電極と異常放電が発生しない電圧が好ましい。また、バイアス電圧は、目的の活性種、イオンによって正負を決定する。さらに、バイアス電圧は周期的に正負を繰り返すような電圧であってもよい。バイアス電圧の電圧値は、特に限定はないが、0.1〜100kVが好ましい。
【0027】
本発明の放電プラズマ処理装置及び方法は、どのような圧力下でも用いることができるが、常圧放電プラズマ処理に用いるとその効果を十分に発揮することでき、特に、大気圧近傍の圧力下で用いるとその効果をより一層発揮することができる。
【0028】
大気圧近傍の圧力下とは、1.333×104〜10.664×104Paの圧力下を指す。中でも、圧力調整が容易で、装置構成が簡便になる9.331×104〜10.397×104Paの範囲である。
【0029】
本発明に用いる対向電極の電極材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金あるいは金属間化合物等などが挙げられる。
【0030】
また、対向電極には、冷却機構を備えていることが好ましい。冷却機構は、対向電極の電圧印加側の電極に設けることが好ましく、さらに、一対の電極の両方に備えられることがより好ましい。冷却機構としては、電極に冷媒を通す流路を備えた構造や電極の放電面と反対側に放冷フィンを設けた構造などを挙げることができるが、電極に冷媒を通す流路を備えた構造にするのが好ましい。
【0031】
また、対向電極の一対の電極には固体誘電体を設けておいてもよい。固体誘電体の形状は、シート状もしくはフィルム状のいずれであってもよい。固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。固体誘電体の厚みが厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。なお、固体誘電体は溶射法にて電極表面にコーティングされた膜であってもよい。
【0032】
上記固体誘電体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0033】
また、固体誘電体は、比誘電率が2以上(25℃環境下、以下同じ)であることが好ましい。比誘電率が2以上の固体誘電体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。さらに高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが知られている。上記比誘電率が10以上である固体誘電体としては、例えば、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、または、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなるものを挙げることができる。
【0034】
固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。
【0035】
上記対向電極の電極間距離は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して適宜決定されるが、0.1〜5mmであることが好ましい。電極間の距離が0.1mm未満であると、電極間距離を置いて設置するのに充分でないことがあり、一方、5mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させにくい。さらに好ましい電極間距離は、放電が安定しやすい0.5〜3mmである。
【0036】
対向電極の一対の電極間には、高周波、パルス波、マイクロ波等の電界が印加され、プラズマを発生させるが、パルス電界を印加することが好ましく、特に、電界の立ち上がり及び/または立ち下がり時間が10μs以下であるパルス電界が好ましい。10μsを超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電界による高密度プラズマ状態を保持しにくくなる。また、立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われるが、40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を実現することは、実際には困難である。立ち上がり時間及び立ち下がり時間のより好ましい範囲は50ns〜5μsである。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間、立ち下がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を指すものとする。
【0037】
上記パルス電界の電界強度は、1〜1000kV/cmであり、好ましくは20〜300kV/cmである。電界強度が1kV/cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1000kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0038】
上記パルス電界の周波数は、0.5kHz以上であることが好ましい。0.5kHz未満であると処理に時間がかかりすぎる。上限は特に限定されないが、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている500MHzといった高周波帯でも構わない。負荷との整合性のとり易さや取扱い性を考慮すると、500kHz以下が好ましい。このようなパルス電界を印加することにより、処理速度を大きく向上させることができる。
【0039】
また、上記パルス電界における1つのパルス継続時間は、200μs以下であることが好ましく、より好ましくは3〜200μsである。200μsを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。ここで、1つのパルス継続時間とは、ON/OFFの繰り返しからなるパルス電界における、1つのパルスの連続するON時間を言う。
【0040】
本発明において処理できる被処理物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属、シリコンウェハー等が挙げられる。基材の形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明によれば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応することができる。
【0041】
本発明に用いる処理ガスとしては、電界を印加することによってプラズマを発生するガスであれば、特に限定されず、処理目的に応じて種々のガスを使用できる。
【0042】
上記処理ガスとして、CF4、C2F6、CClF3、SF6等のフッ素含有化合物ガスを用いることによって、撥水性表面を得ることができる。
【0043】
また、処理ガスとして、O2、O3、水、空気等の酸素元素含有化合物、N2、NH3等の窒素元素含有化合物、SO2、SO3等の硫黄元素含有化合物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸等の親水基を有する重合性モノマーを用いて親水性重合膜を堆積することもできる。
【0044】
さらに、Si、Ti、Sn等の金属の金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラート等の処理ガスを用いて、SiO2、TiO2、SnO2等の金属酸化物薄膜を形成させることができる。
【0045】
さらに、基材表面に電気的・光学的機能を与えたり、基材表面から有機物除去、レジスト除去、高分子フィルムの接着性向上、ガラス系基板・プリント配線基盤(FPC)の洗浄、成膜、金属除去、デスミア、アッシング、エッチング、デスカム、滅菌洗浄などに利用できる。
【0046】
経済性及び安全性の観点から、上記処理ガス単独雰囲気よりも、以下に挙げるような希釈ガスによって希釈された雰囲気中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素気体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
なお、本発明の放電プラズマ処理装置及び方法によれば、プラズマ発生空間中に存在する気体の種類を問わずグロー放電プラズマを発生させることが可能である。公知の低圧条件下におけるプラズマ処理はもちろん、特定のガス雰囲気下の大気圧プラズマ処理においても、外気から遮断された密閉容器内で処理を行うことが必須であったが、本発明の放電プラズマ処理装置及び方法においては、開放系、あるいは、気体の自由な流失を防ぐ程度の低気密系での処理が可能となる。
【0048】
本発明の放電プラズマ処理装置及び方法によると、対向電極間において直接大気圧下で放電を生じせしめることが可能であり、より単純化された電極構造、放電手順による大気圧プラズマ装置、及び処理手法でかつ高速処理を実現することができる。また、印加電界の周波数、電圧、電極間距離等のパラメータにより処理に関するパラメータも調整できる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0050】
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【0051】
図1に示す放電プラズマ処理装置は、リモート方式の処理装置であって、電圧印加電極2と接地電極3からなる対向電極1、誘電体板(例えばガラス平板)4,5、電源6、N2ガスなどの処理ガスを供給するガス供給源7、整流部8、排気機構9、及びガイド板10などを備えている。
【0052】
対向電極1の電圧印加電極2と接地電極3は、それぞれ平面2A,3Aを有する矩形平板であり、それら平面2A,3Aが所定の距離(電極間距離)をあけて互いに平行となるように対向配置されている。電圧印加電極2と接地電極3との間には電源6からの電界(例えばパルス電界)が印加される。
【0053】
対向電極1における放電発生空間Pの一端側にガス導入口1Aが設けられ、他端側にガス吹き出し口1Bが設けられている。ガス導入口1Aには、ガス供給源7からのガスが整流部8を介して供給される。
【0054】
対向電極1には、電圧印加電極2の平面2Aに沿って延びるガラス板4と、接地電極3の平面3Aに沿って延びるガラス板5が配置されている。
【0055】
これらガラス板4,5のガス吹き出し側の先端は、ガス吹き出し口1Bの前方に突出している。その突出長は、例えば、電圧印加電極2側のガラス板4が3mm、接地電極3側のガラス板5が5mmであり、電圧印加電極2側のガラス板4の突出長が接地電極3側のガラス板5の突出長よりも短くなっている。一方、各ガラス板4,5のガス導入側の先端は、それぞれ電圧印加電極2と接地電極3の各先端面(上端面)と面一となっている。
【0056】
対向電極1の側方(電圧印加電極2側)に、ガイド板10が電圧印加電極2に対向した状態で配置されており、このガイド板10の上方に排気機構9が配置されている。排気機構9には例えばブロワー等が用いられる。
【0057】
そして、以上の構造の放電プラズマ処理装置において、対向電極1を大気圧近傍の圧力下に配置し、対向電極1のガス吹き出し口1Bと対向する位置に被処理体Sを置く。次に、電圧印加電極2と接地電極3との間の放電発生空間Pにガス供給源7からの処理ガス(例えばN2ガス)を供給するとともに、排気機構9にて排気を行った状態で(大気圧近傍の圧力下の状態)、電圧印加電極2と接地電極3との間に電源6からの電界(例えばパルス電界)を印加する。この電界印加により、電圧印加電極2と接地電極3との間の放電発生空間Pにグロー放電プラズマが発生し、その発生プラズマがガス吹き出し口1Bを通じて放電発生空間Pの外に吹き出して被処理体Sの表面に吹き付けられ、被処理体Sに表面処理(例えば表面濡れ性付与など)が施される。
【0058】
ここで、本実施形態においては、電圧印加電極2側のガラス板4の突出長を接地電極3側のガラス板5の突出長よりも短くしており、さらに、電圧印加電極2側に排気機構9を設けているので、対向電極1のガス吹き出し口1Bから吹き出したガスが、被処理物Sの被処理面に沿って均一に流れるガス流が形成され、均一でかつ高速な処理を実現できる。
【0059】
なお、図1の実施形態の構成に加えて、図2に示すように、誘電体板4,5の突出部4A,5Aにバイアス印加電極11,12を設けて、放電プラズマ処理を行う際に、誘電体板4,5の突出部4A,5Aに、正または負のバイアス電圧もしくは正負を繰り返すバイアス電圧を印加するようにしてもよい。このようにバイアス電圧を印加すると、目的の活性種やイオンを、被処理体に効率よく作用させることができ、処理効果を高めることができる。
【0060】
以上の実施形態では、誘電体板4,5の突出部4A,5Aを被処理物Sの被処理面に略垂直に配置しているが、この構造に限られることなく、例えば、図3に示すように、誘電体板14,15の突出部14A,15Aを、電圧印加電極2と接地電極3の各平面2A,2B(放電発生空間Pの中心軸)に対して斜めに傾けた構造とし、被処理物Sの被処理面に、斜めの方向からプラズマが吹き付けられるように構成してもよい。また、図4に示すように、縦断面形状が三角形の電圧印加電極22及び接地電極23を用いることで、各電極の平面22A,23Aが傾斜面であり誘電体板24,25の全体が傾いた構造(放電発生空間Pの中心軸が傾斜する構造)とし、被処理物Sの被処理面に、斜めの方向からプラズマが吹き付けられるように構成してもよい。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0062】
<実施例1>
[装置構成]
図1の放電プラズマ処理装置において、電圧印加電極2(SUS304製、L250mm×W30mm×t20mm)と、接地電極3(SUS304製、L250mm×W30mm×t20mm)とを対向配置するとともに、各電極の平面2A,2Bに、それぞれ、誘電体板4(無アルカリガラス板、L250mm×W33mm×t0.7mm、突出部の長さ:2mm)と、誘電体板5(無アルカリガラス板、L250mm×W35mm×t0.7mm、突出部の長さ:5mm)を配置した。誘電体板4,5間の間隔は2mmとし、また、誘電体板5の先端と被処理物Sとの間の距離を1mmとした。さらに、電圧印加電極2及び接地電極3にはそれぞれ電極内部に流路を設けて水冷を行った。
【0063】
[処理ガス]
N2:50slm(整流部8にて整流)
[電界条件]
電源波形:パルス、電圧:13kV、周波数:20kHz
[処理速度]
1m/min
[サンプル]
ポリイミドフィルム(50μm)
上記した構造・サイズの放電プラズマ処理装置(図1)の対向電極1のガス吹き出し口1Bにサンプルを対向した状態で配置し、次いで電圧印加電極2と接地電極3との間にN2ガス(50slm)を供給するとともに、排気機構9にて排気を行った状態で、電圧印加電極2と接地電極3との間に上記した電界条件でパルス電界を印加した。この電界印加により、均一で良好なプラズマ放電状態が得られた。また、処理後のサンプルの接触角を測定したところ、接触角は8°(処理前の接触角=75°であり、濡れ性が付与されていることが確認できた。
【0064】
さらに、本実施例1(誘電体板4,5の突出長に差異有り)と、従来の装置つまり対向電極のガス吹き出し側のガス流路の先端が揃っている装置を用いて同じ条件で処理を行ったところ、本実施例1の処理速度が従来品に対して150%向上することが確認できた。
【0065】
なお、上記した構造・サイズの放電プラズマ処理装置の取り扱い性(対向電極の取り扱い性)は良好であった。
【0066】
<実施例2>
実施例1において、対向電極1の各電極2,3に、0.5mmのアルミナコーティングを施したこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0067】
<実施例3>
実施例1において、図2の放電プラズマ処理装置を用い、誘電体板4,5の先端部4A,5Aに1kVのバイアス電圧を印加したこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1に対して処理速度が180%向上した。
【0068】
<実施例4>
実施例1において、図3の放電プラズマ処理装置つまり誘電体板14,15の先端部14A,15Aを斜めに傾けた構造の装置を用いたこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0069】
<実施例5>
実施例1において、図4の放電プラズマ処理装置つまり電圧印加電極22及び接地電極23の各電極の平面22A,23Aが傾斜面であり、ガス吹き出し口21Bに対向して配置される被処理物Sの被処理面に、斜めの方向からプラズマが吹き付けられるように構成された装置を用いたこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の放電プラズマ処理によれば、対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材にてガス吹き出し側のガス流路を形成しているので、ガス吹き出し側のガス流路を必要最小限に短くすることが可能となり、ガス吹き出し側のガス流路の破損を防ぐことができる。また、ガス吹き出し側のガス流路が短くなることにより、流路内でのガス圧力の高まりが緩和され、ガス漏れやガス流路の破損をより確実に防ぐことができる。
【0071】
さらに、対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長を、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短くしているので、ガスの滞留を防止することができ、被処理物の被処理面に沿ってスムーズに流れるガス流を形成することが可能となり、均一で高速な処理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 対向電極
1A ガス導入口
1B ガス吹き出し口
2 電圧印加電極(一方の電極)
3 接地電極(他方の電極)
2A,3A 平面(電極対向面)
4,5 誘電体板(誘電体部材)
4A,5A 誘電体板の突出部
6 電源
7 ガス供給源
8 整流部
9 排気機構
10 ガイド板
11,12 バイアス印加電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電プラズマを利用して被処理物を処理する放電プラズマ処理装置及び放電プラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電プラズマを用いて基板上に成膜を行う処理装置として、上部電極と下部電極からなる平行平板型の対向電極を反応槽内に配置し、その対向電極間に基板を配置し、反応槽内に処理ガスを導入した状態で、対向電極間に電圧を印加することにより放電プラズマを発生させ、その発生プラズマで被処理物を処理するダイレクト方式のプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
また、他の処理装置として、被処理物を放電空間中に配置するのではなく、被処理物を放電空間外に配置し、放電空間からのプラズマを被処理物に吹き付けるリモート方式のプラズマ処理装置が提案されている。
【0004】
その具体的な装置として、例えば、平行平板型の対向電極間に電界を印加することにより発生させた放電プラズマを被処理物の表面に導いて処理を行うプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。また、外側電極を備えた筒状の反応管の内部に内側電極を配置し、その反応管と内側電極との間に反応ガス等を導入するとともに、外側電極と内側電極との間に交流電界を印加することによりグロー放電を発生させ、反応管からプラズマジェットを吹き出して被処理物に吹き付けるプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−2149号公報
【特許文献2】
特開平7−85997号公報
【特許文献3】
特開平11−335868号公報
【特許文献4】
特開平11−251304号公報
【特許文献5】
特開平11−260597号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リモート方式の放電プラズマ処理装置においては、対向電極の前後(ガス導入側及びガス吹き出し側)に整流部が設けられている。ガス吹き出し側の整流部には、ガス流路を形成する誘電体材料製の円管や角管などのガス流路用管が用いられている。
【0007】
ガス流路用管は、ガス整流のために、ある程度の大きな寸法(長さ)が必要である。このため、電極部の調整時や装置輸送時においてガス流用路管が破損することが多いという問題がある。また、従来の装置では、ガス吹き出し側のガス流路管内でガスがスムーズに流れず、管内に滞留しやすくなるので、ガス圧力が高くなるという問題がある。さらに、ガス整流のために管長が長くなると、管上流側のガス圧力が高くなるため、ガス漏れが発生したり、ガス流用路管が破損するという問題がある。
【0008】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、ガス吹き出し側のガス流路が破損しにくい構造で、しかもガス吹き出し側のガス流れがスムーズな構造の放電プラズマ処理装置の提供と、その装置を用いた放電処理方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電プラズマ処理装置は、一対の電極が、その各電極に形成された平面が互いに平行となるように対向配置されてなる対向電極と、この対向電極間に電界を印加する電源と、対向電極間にガスを導入するガス供給源を備え、前記対向電極間にガスを流した状態で対向電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させ、そのプラズマ化したガスを前記対向電極のガス吹き出し口から外部に吹き出す方式の放電プラズマ処理装置において、前記対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材が設けられており、その誘電体部材の先端が前記ガス吹き出し口の前方に突出していることによって特徴づけられる。
【0010】
本発明の放電プラズマ処理によれば、対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材にてガス吹き出し側のガス流路が形成されるので、ガス吹き出し側においてガス整流に必要な流路長が小さくて済む。これにより、ガス吹き出し側のガス流路を必要最小限に短くすることができ、ガス吹き出し側のガス流路の破損を防ぐことができる。また、ガス吹き出し側のガス流路が短くなることにより、流路内でのガス圧力の高まりが緩和され、ガス漏れやガス流路の破損をより確実に防ぐことができる。
【0011】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長を、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短くしておけば、ガスの滞留を防止することができ、被処理物の被処理面に沿ってスムーズに流れるガス流を形成することが可能となる。その結果として、均一で高速な処理が可能になる。
【0012】
また、誘電体部材の突出部を一対の電極の平面(電極対向面)に対して斜めに傾ける構成、あるいは、一対の電極の平面(電極対向面)が傾斜面であり、ガス吹き出し口に対向して配置される被処理物の処理面に対し、斜めの方向からプラズマ化したガスが吹き付けられるようにする構成を採用しても、スムーズな流れのガス流を形成することができる。
【0013】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極の吹き出し口から吹き出したガスが流れる方向を排気制御する排気機構を設けておけば、被処理物の被処理面に沿って流れるガス流を、更にスムーズなガス流とすることができる。
【0014】
本発明の放電プラズマ処理装置において、誘電体部材の突出長が1〜10mmであることが好ましく、また、誘電体部材の突出部の先端と、ガス吹き出し口に対向して配置される被処理体との間の距離が0.1〜3mmであることが好ましい。さらに、対向電極の放電発生空間の流路長が1〜100mmであることが好ましい。また、一方の電極側の誘電体部材と他方の電極側の誘電体部材との突出長との間に差異があり、その突出長の差異が0.1〜5mmであることが好ましい。
【0015】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極のガス導入側にガス整流部を設けておくことが好ましい。
【0016】
本発明の放電プラズマ処理装置において、対向電極を構成する一対の電極には、その各電極の平面(電極対向面)に、コーティング等により固体誘電体を設けておいてもよい。
【0017】
本発明の放電プラズマ処理方法は、前記した特徴を有する放電プラズマ処理装置を用いて被処理物を処理するにあたり、前記誘電体部材の突出部、あるいは被処理物または被処理物の台にバイアス電圧を印加することを特徴とする。
【0018】
次に、本発明の詳細を説明する。
【0019】
本発明に用いる誘電体部材の誘電体材料は、放電が問題なく形成されるものであれば、特に限定されないが、例えば、無機物では、石英、無アルカリガラスなどのガラス系やセラミック系の材料を挙げることができる。また、有機物では、高分子材料を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いる誘電体部材は、板状体または管状体のいずれの形態であってもよい。誘電体部材が板状体である場合、スリット状放電発生空間を形成するように対向配置すればよい。また、管状体である場合、対向電極間に管状体を挟み込むように配置すればよい。
【0021】
本発明において、誘電体部材の突出長は1〜10mmであることが好ましく、更に好ましくは3〜7mmがよい。突出長が1mm未満であると処理効果を得ることができず、10mmを超えると破損の可能性が大きくなる。誘電体部材のガス導入側の先端は、調整時や輸送時における割れの発生を完全に防ぐために、電極端面と面一が好ましい。
【0022】
また、誘電体部材の突出部の先端と、被処理体との間の距離は0.1〜3mmであることが好ましい。誘電体部材−被処理物間の距離が0.1mm未満であると、誘電体部材が被処理物に擦れる可能性があり、3mmを超えると処理効果が薄れる可能性がある。
【0023】
本発明において、対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長を、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短くする場合、その突出長の差異は0.1〜5mmが好ましい。0.1mm未満である場合及び5mmを超える場合は、いずれも処理効果が薄れる可能性がある。
【0024】
本発明において、誘電体部材の突出部または被処理物側にバイアス電圧を印加することが好ましい。被処理物側にバイアス電圧を印加する場合、被処理物が導電体の場合は被処理物に直接バイアス電圧を印加し、被処理物が誘電体・絶縁体である場合は被処理物を載せている台にバイアス電圧を印加する。
【0025】
このようにバイアス電圧を印加すると、目的の活性種やイオンを、被処理体に効率よく作用させることができ、処理効果を更に高めることができる。
【0026】
バイアス電圧は、特に限定はなく、目的の活性種やイオンを、被処理体に効率よく作用させることができればよく、使用ガス、活性種、イオン、被処理物の種類などにより決定される。好ましくは、電極と異常放電が発生しない電圧が好ましい。また、バイアス電圧は、目的の活性種、イオンによって正負を決定する。さらに、バイアス電圧は周期的に正負を繰り返すような電圧であってもよい。バイアス電圧の電圧値は、特に限定はないが、0.1〜100kVが好ましい。
【0027】
本発明の放電プラズマ処理装置及び方法は、どのような圧力下でも用いることができるが、常圧放電プラズマ処理に用いるとその効果を十分に発揮することでき、特に、大気圧近傍の圧力下で用いるとその効果をより一層発揮することができる。
【0028】
大気圧近傍の圧力下とは、1.333×104〜10.664×104Paの圧力下を指す。中でも、圧力調整が容易で、装置構成が簡便になる9.331×104〜10.397×104Paの範囲である。
【0029】
本発明に用いる対向電極の電極材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金あるいは金属間化合物等などが挙げられる。
【0030】
また、対向電極には、冷却機構を備えていることが好ましい。冷却機構は、対向電極の電圧印加側の電極に設けることが好ましく、さらに、一対の電極の両方に備えられることがより好ましい。冷却機構としては、電極に冷媒を通す流路を備えた構造や電極の放電面と反対側に放冷フィンを設けた構造などを挙げることができるが、電極に冷媒を通す流路を備えた構造にするのが好ましい。
【0031】
また、対向電極の一対の電極には固体誘電体を設けておいてもよい。固体誘電体の形状は、シート状もしくはフィルム状のいずれであってもよい。固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。固体誘電体の厚みが厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。なお、固体誘電体は溶射法にて電極表面にコーティングされた膜であってもよい。
【0032】
上記固体誘電体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0033】
また、固体誘電体は、比誘電率が2以上(25℃環境下、以下同じ)であることが好ましい。比誘電率が2以上の固体誘電体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。さらに高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが知られている。上記比誘電率が10以上である固体誘電体としては、例えば、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、または、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなるものを挙げることができる。
【0034】
固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。
【0035】
上記対向電極の電極間距離は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して適宜決定されるが、0.1〜5mmであることが好ましい。電極間の距離が0.1mm未満であると、電極間距離を置いて設置するのに充分でないことがあり、一方、5mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させにくい。さらに好ましい電極間距離は、放電が安定しやすい0.5〜3mmである。
【0036】
対向電極の一対の電極間には、高周波、パルス波、マイクロ波等の電界が印加され、プラズマを発生させるが、パルス電界を印加することが好ましく、特に、電界の立ち上がり及び/または立ち下がり時間が10μs以下であるパルス電界が好ましい。10μsを超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電界による高密度プラズマ状態を保持しにくくなる。また、立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われるが、40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を実現することは、実際には困難である。立ち上がり時間及び立ち下がり時間のより好ましい範囲は50ns〜5μsである。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間、立ち下がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を指すものとする。
【0037】
上記パルス電界の電界強度は、1〜1000kV/cmであり、好ましくは20〜300kV/cmである。電界強度が1kV/cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1000kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0038】
上記パルス電界の周波数は、0.5kHz以上であることが好ましい。0.5kHz未満であると処理に時間がかかりすぎる。上限は特に限定されないが、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている500MHzといった高周波帯でも構わない。負荷との整合性のとり易さや取扱い性を考慮すると、500kHz以下が好ましい。このようなパルス電界を印加することにより、処理速度を大きく向上させることができる。
【0039】
また、上記パルス電界における1つのパルス継続時間は、200μs以下であることが好ましく、より好ましくは3〜200μsである。200μsを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。ここで、1つのパルス継続時間とは、ON/OFFの繰り返しからなるパルス電界における、1つのパルスの連続するON時間を言う。
【0040】
本発明において処理できる被処理物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属、シリコンウェハー等が挙げられる。基材の形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明によれば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応することができる。
【0041】
本発明に用いる処理ガスとしては、電界を印加することによってプラズマを発生するガスであれば、特に限定されず、処理目的に応じて種々のガスを使用できる。
【0042】
上記処理ガスとして、CF4、C2F6、CClF3、SF6等のフッ素含有化合物ガスを用いることによって、撥水性表面を得ることができる。
【0043】
また、処理ガスとして、O2、O3、水、空気等の酸素元素含有化合物、N2、NH3等の窒素元素含有化合物、SO2、SO3等の硫黄元素含有化合物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸等の親水基を有する重合性モノマーを用いて親水性重合膜を堆積することもできる。
【0044】
さらに、Si、Ti、Sn等の金属の金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラート等の処理ガスを用いて、SiO2、TiO2、SnO2等の金属酸化物薄膜を形成させることができる。
【0045】
さらに、基材表面に電気的・光学的機能を与えたり、基材表面から有機物除去、レジスト除去、高分子フィルムの接着性向上、ガラス系基板・プリント配線基盤(FPC)の洗浄、成膜、金属除去、デスミア、アッシング、エッチング、デスカム、滅菌洗浄などに利用できる。
【0046】
経済性及び安全性の観点から、上記処理ガス単独雰囲気よりも、以下に挙げるような希釈ガスによって希釈された雰囲気中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素気体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0047】
なお、本発明の放電プラズマ処理装置及び方法によれば、プラズマ発生空間中に存在する気体の種類を問わずグロー放電プラズマを発生させることが可能である。公知の低圧条件下におけるプラズマ処理はもちろん、特定のガス雰囲気下の大気圧プラズマ処理においても、外気から遮断された密閉容器内で処理を行うことが必須であったが、本発明の放電プラズマ処理装置及び方法においては、開放系、あるいは、気体の自由な流失を防ぐ程度の低気密系での処理が可能となる。
【0048】
本発明の放電プラズマ処理装置及び方法によると、対向電極間において直接大気圧下で放電を生じせしめることが可能であり、より単純化された電極構造、放電手順による大気圧プラズマ装置、及び処理手法でかつ高速処理を実現することができる。また、印加電界の周波数、電圧、電極間距離等のパラメータにより処理に関するパラメータも調整できる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0050】
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【0051】
図1に示す放電プラズマ処理装置は、リモート方式の処理装置であって、電圧印加電極2と接地電極3からなる対向電極1、誘電体板(例えばガラス平板)4,5、電源6、N2ガスなどの処理ガスを供給するガス供給源7、整流部8、排気機構9、及びガイド板10などを備えている。
【0052】
対向電極1の電圧印加電極2と接地電極3は、それぞれ平面2A,3Aを有する矩形平板であり、それら平面2A,3Aが所定の距離(電極間距離)をあけて互いに平行となるように対向配置されている。電圧印加電極2と接地電極3との間には電源6からの電界(例えばパルス電界)が印加される。
【0053】
対向電極1における放電発生空間Pの一端側にガス導入口1Aが設けられ、他端側にガス吹き出し口1Bが設けられている。ガス導入口1Aには、ガス供給源7からのガスが整流部8を介して供給される。
【0054】
対向電極1には、電圧印加電極2の平面2Aに沿って延びるガラス板4と、接地電極3の平面3Aに沿って延びるガラス板5が配置されている。
【0055】
これらガラス板4,5のガス吹き出し側の先端は、ガス吹き出し口1Bの前方に突出している。その突出長は、例えば、電圧印加電極2側のガラス板4が3mm、接地電極3側のガラス板5が5mmであり、電圧印加電極2側のガラス板4の突出長が接地電極3側のガラス板5の突出長よりも短くなっている。一方、各ガラス板4,5のガス導入側の先端は、それぞれ電圧印加電極2と接地電極3の各先端面(上端面)と面一となっている。
【0056】
対向電極1の側方(電圧印加電極2側)に、ガイド板10が電圧印加電極2に対向した状態で配置されており、このガイド板10の上方に排気機構9が配置されている。排気機構9には例えばブロワー等が用いられる。
【0057】
そして、以上の構造の放電プラズマ処理装置において、対向電極1を大気圧近傍の圧力下に配置し、対向電極1のガス吹き出し口1Bと対向する位置に被処理体Sを置く。次に、電圧印加電極2と接地電極3との間の放電発生空間Pにガス供給源7からの処理ガス(例えばN2ガス)を供給するとともに、排気機構9にて排気を行った状態で(大気圧近傍の圧力下の状態)、電圧印加電極2と接地電極3との間に電源6からの電界(例えばパルス電界)を印加する。この電界印加により、電圧印加電極2と接地電極3との間の放電発生空間Pにグロー放電プラズマが発生し、その発生プラズマがガス吹き出し口1Bを通じて放電発生空間Pの外に吹き出して被処理体Sの表面に吹き付けられ、被処理体Sに表面処理(例えば表面濡れ性付与など)が施される。
【0058】
ここで、本実施形態においては、電圧印加電極2側のガラス板4の突出長を接地電極3側のガラス板5の突出長よりも短くしており、さらに、電圧印加電極2側に排気機構9を設けているので、対向電極1のガス吹き出し口1Bから吹き出したガスが、被処理物Sの被処理面に沿って均一に流れるガス流が形成され、均一でかつ高速な処理を実現できる。
【0059】
なお、図1の実施形態の構成に加えて、図2に示すように、誘電体板4,5の突出部4A,5Aにバイアス印加電極11,12を設けて、放電プラズマ処理を行う際に、誘電体板4,5の突出部4A,5Aに、正または負のバイアス電圧もしくは正負を繰り返すバイアス電圧を印加するようにしてもよい。このようにバイアス電圧を印加すると、目的の活性種やイオンを、被処理体に効率よく作用させることができ、処理効果を高めることができる。
【0060】
以上の実施形態では、誘電体板4,5の突出部4A,5Aを被処理物Sの被処理面に略垂直に配置しているが、この構造に限られることなく、例えば、図3に示すように、誘電体板14,15の突出部14A,15Aを、電圧印加電極2と接地電極3の各平面2A,2B(放電発生空間Pの中心軸)に対して斜めに傾けた構造とし、被処理物Sの被処理面に、斜めの方向からプラズマが吹き付けられるように構成してもよい。また、図4に示すように、縦断面形状が三角形の電圧印加電極22及び接地電極23を用いることで、各電極の平面22A,23Aが傾斜面であり誘電体板24,25の全体が傾いた構造(放電発生空間Pの中心軸が傾斜する構造)とし、被処理物Sの被処理面に、斜めの方向からプラズマが吹き付けられるように構成してもよい。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0062】
<実施例1>
[装置構成]
図1の放電プラズマ処理装置において、電圧印加電極2(SUS304製、L250mm×W30mm×t20mm)と、接地電極3(SUS304製、L250mm×W30mm×t20mm)とを対向配置するとともに、各電極の平面2A,2Bに、それぞれ、誘電体板4(無アルカリガラス板、L250mm×W33mm×t0.7mm、突出部の長さ:2mm)と、誘電体板5(無アルカリガラス板、L250mm×W35mm×t0.7mm、突出部の長さ:5mm)を配置した。誘電体板4,5間の間隔は2mmとし、また、誘電体板5の先端と被処理物Sとの間の距離を1mmとした。さらに、電圧印加電極2及び接地電極3にはそれぞれ電極内部に流路を設けて水冷を行った。
【0063】
[処理ガス]
N2:50slm(整流部8にて整流)
[電界条件]
電源波形:パルス、電圧:13kV、周波数:20kHz
[処理速度]
1m/min
[サンプル]
ポリイミドフィルム(50μm)
上記した構造・サイズの放電プラズマ処理装置(図1)の対向電極1のガス吹き出し口1Bにサンプルを対向した状態で配置し、次いで電圧印加電極2と接地電極3との間にN2ガス(50slm)を供給するとともに、排気機構9にて排気を行った状態で、電圧印加電極2と接地電極3との間に上記した電界条件でパルス電界を印加した。この電界印加により、均一で良好なプラズマ放電状態が得られた。また、処理後のサンプルの接触角を測定したところ、接触角は8°(処理前の接触角=75°であり、濡れ性が付与されていることが確認できた。
【0064】
さらに、本実施例1(誘電体板4,5の突出長に差異有り)と、従来の装置つまり対向電極のガス吹き出し側のガス流路の先端が揃っている装置を用いて同じ条件で処理を行ったところ、本実施例1の処理速度が従来品に対して150%向上することが確認できた。
【0065】
なお、上記した構造・サイズの放電プラズマ処理装置の取り扱い性(対向電極の取り扱い性)は良好であった。
【0066】
<実施例2>
実施例1において、対向電極1の各電極2,3に、0.5mmのアルミナコーティングを施したこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0067】
<実施例3>
実施例1において、図2の放電プラズマ処理装置を用い、誘電体板4,5の先端部4A,5Aに1kVのバイアス電圧を印加したこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1に対して処理速度が180%向上した。
【0068】
<実施例4>
実施例1において、図3の放電プラズマ処理装置つまり誘電体板14,15の先端部14A,15Aを斜めに傾けた構造の装置を用いたこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0069】
<実施例5>
実施例1において、図4の放電プラズマ処理装置つまり電圧印加電極22及び接地電極23の各電極の平面22A,23Aが傾斜面であり、ガス吹き出し口21Bに対向して配置される被処理物Sの被処理面に、斜めの方向からプラズマが吹き付けられるように構成された装置を用いたこと以外は、実施例1と同じとして処理を行ったところ、実施例1と同様の処理結果が得られた。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の放電プラズマ処理によれば、対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材にてガス吹き出し側のガス流路を形成しているので、ガス吹き出し側のガス流路を必要最小限に短くすることが可能となり、ガス吹き出し側のガス流路の破損を防ぐことができる。また、ガス吹き出し側のガス流路が短くなることにより、流路内でのガス圧力の高まりが緩和され、ガス漏れやガス流路の破損をより確実に防ぐことができる。
【0071】
さらに、対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長を、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短くしているので、ガスの滞留を防止することができ、被処理物の被処理面に沿ってスムーズに流れるガス流を形成することが可能となり、均一で高速な処理を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 対向電極
1A ガス導入口
1B ガス吹き出し口
2 電圧印加電極(一方の電極)
3 接地電極(他方の電極)
2A,3A 平面(電極対向面)
4,5 誘電体板(誘電体部材)
4A,5A 誘電体板の突出部
6 電源
7 ガス供給源
8 整流部
9 排気機構
10 ガイド板
11,12 バイアス印加電極
Claims (13)
- 一対の電極が、その各電極に形成された平面が互いに平行となるように対向配置されてなる対向電極と、この対向電極間に電界を印加する電源と、対向電極間にガスを導入するガス供給源を備え、前記対向電極間にガスを流した状態で対向電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させ、そのプラズマ化したガスを前記対向電極のガス吹き出し口から外部に吹き出す方式の放電プラズマ処理装置において、前記対向電極の各電極の平面に沿って延びる誘電体部材が設けられており、その誘電体部材の先端が前記ガス吹き出し口の前方に突出していることを特徴とする放電プラズマ処理装置。
- 前記対向電極の一方の電極側の誘電体部材の突出長が、他方の電極側の誘電体部材の突出長よりも短いことを特徴とする請求項1記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記一方の電極側の誘電体部材と他方の電極側の誘電体部材との突出長の差異が0.1〜5mmであることを特徴とする請求項2記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記誘電体部材の突出部が前記一対の電極の平面に対して斜めに傾いていることを特徴とする請求項1記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記一対の電極の平面が傾斜面であり、前記ガス吹き出し口に対向して配置される被処理物の被処理面に、斜めの方向からプラズマ化したガスが吹き付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記吹き出し口から吹き出したガスが流れる方向を排気制御する排気機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記誘電体部材の突出長が1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記誘電体部材の突出部の先端と、前記ガス吹き出し口に対向して配置される被処理体との間の距離が0.1〜3mmであることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記対向電極の放電発生空間の長さが1〜100mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記対向電極のガス導入側にガス整流部が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置。
- 前記一対の電極には、その各電極の前記平面に固体誘電体が設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置を用いて被処理物を処理するにあたり、前記誘電体部材の突出部にバイアス電圧を印加することを特徴とする放電プラズマ処理方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の放電プラズマ処理装置を用いて被処理物を処理するにあたり、被処理物または被処理物の台にバイアス電圧を印加することを特徴とする放電プラズマ処理方法。
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- 2002-09-27 JP JP2002284102A patent/JP2004115896A/ja active Pending
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