JP2004109700A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光源装置(150)から偏向手段(130)に至る光路中に、楔形状プリズムを少なくとも1つ有するとともに、該楔形状プリズムを略光軸まわりに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段(140)を有し、予め記録された位置ずれデータまたは位置ずれ検知手段(300b)により計測された位置ずれデータに基づき、画像データ書込み中に感光体(160Y等)上のビームスポット位置を制御することとした。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に関し、特にデジタルカラー複写機、カラーレーザプリンタの光走査装置、及び、これを用いた画像形成装置に適用することが好適なこれら装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー画像形成装置の高速化に伴い、例えば、4つの感光体ドラムを記録紙の搬送方向に配列し、これらの各感光体ドラムに対応した複数の走査光学系で同時に露光して潜像をつくり、これらの潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各々異なる色の現像剤を使用する現像器で可視像化したのち、これらの可視像を同一の記録紙に順次重ね合わせて転写し、カラー画像を得るデジタル複写機やレーザープリンタが実用化されている(所謂、4ドラムタンデム方式)。
【0003】
また、感光体ドラムを1つだけ有し、色の数だけ回転してこの回転の都度、露光、現像、転写を行ない、可視像を同一の記録紙に重ね転写(或いは中間転写体に一旦重ね転写してから記録紙に転写)してカラー画像を形成する1ドラム方式もある。
【0004】
4ドラムタンデム方式は1ドラム方式に対して、カラーもモノクロも同じ速度で出力できるため、高速プリントに有利である。その反面、4つの感光体に対応して、4つの走査光学系を有し、露光をするため装置が大型化する傾向があり小型化が課題となる。また各々の感光体書き込み現像したトナー像を記録紙に重ね転写する際に色ずれが生じ、これを低減することが課題である。
ここで、特に副走査方向の色ずれの発生原因としては以下の要因が挙げられる。
【0005】
▲1▼感光体の周方向(副走査方向)の送り速度むら
▲2▼中間転写体の周方向(副走査方向)の送り速度むら
▲3▼感光体間の位置誤差
▲4▼走査光学系間のビームスポット書き込み位置ずれ
▲5▼上記▲1▼〜▲4▼の環境変動または連続プリント時などの温度変動による位置ずれ
▲6▼各感光体上にマルチビームで同時に書き込みを行う場合、ポリゴンスキャナーの回転と感光体送り速度は、一般に非同期のため、副走査方向でビーム数だけずれるおそれがある。
【0006】
こうした色ずれを低減する方式として、以下の方法が知られている。
A.複数の走査手段を用いる画像形成装置において、各走査手段(ハウジング)全体を感光体に対し位置調整し、各感光体での走査線を一致させる発明が開示されている。しかし、調整のための機構が複雑になり、調整時間もかかる。また、重量の大きいハウジングを調整するため、温度変化などによる経時的な変化には対応できにくく、プリント中、もしくは使用環境における色ずれを高精度に補正することが困難である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
B.前記問題の別の解決方法として、ガルバノミラーを用いて副走査ビーム位置を制御する方法が提案されている。しかしながら、ガルバノミラーは副走査位置を制御するには感度が高すぎるため外部振動の影響を受けやすく、更に良好なビームスポット径を確保するためには高い面精度が要求される(透過面の約4倍)といわれている(例えば特許文献2参照)。
【0008】
C.マルチビーム間のずれの問題を解決する手段として、中間転写基準信号とライン同期信号との位相関係に応じて複数のレーザビームのうち感光体に最初に画像を書き込むレーザビームを切り換えることにより副走査方向の各色毎の画像書き込み開始位置を調整して色ずれを補正する補正手段を備えたカラー画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方式をもってしても1ライン以下の補正は困難であり、例えば600dpi書き込みの場合は、少なくとも42μm以上の色ずれが発生する。
【0009】
一方、タンデム型のフルカラー複写機においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応して4つの感光体ドラムを転写ベルトの搬送面に沿って列設し、ビーム走査装置により各感光体ドラムに対応して設けられたビームを走査して、当該感光体ドラム周面に静電潜像を形成すると共に該当する色のトナーで顕像化し、これを転写ベルトによって搬送される記録紙上に順次重ね転写して多色画像を形成するようになっていることから、各色ごとにばらばらの副走査対応方向の走査位置ずれが生じてしまうと画質の低下、色ずれなどをひきおこす。
【0010】
ここで、特に副走査方向の色ずれの発生原因は以下が挙げられる。
▲1▼感光体の周方向(副走査方向)の送り速度むら
▲2▼中間転写体の周方向(副走査方向)の送り速度むら
▲3▼感光体間の位置誤差
▲4▼走査光学系間のビームスポット書き込み位置ずれ
▲5▼上記▲1▼〜▲4▼の環境変動または連続プリント時などの温度変動による位置ずれ
▲6▼各感光体上にマルチビームで同時に書き込みを行う場合、ポリゴンスキャナーの回転と感光体送速度は、一般に非同期のため、副走査方向でビーム数だけずれるおそれがある。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−133718号公報
【特許文献2】
特開2001−100127号公報
【特許文献3】
特開平10−239939号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、連続プリント時においても、各色間の相対的な色ずれを効果的に補正し、色ずれの少ない良好なカラー画像を出力できる光走査装置、画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を達成するため以下の構成とした。
(1).複数の光源装置から出射されるレーザービームを偏向手段により走査し、複数の像担持体上を露光する光走査装置において、前記光源装置から偏向手段に至る光路中に、楔形状プリズムを少なくとも1つ有するとともに、該楔形状プリズムを略光軸まわりに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段を有し、前記書き込み開始位置補正手段を用いて画像データ書き込み中に像担持体上のビームスポット位置を制御することとした(請求項1)。
(2).(1)記載の光走査装置において、前記光源装置は少なくともレーザー光源とコリメートレンズとを有し、前記楔形状プリズムが以下の条件を満足することとした(請求項2)。
【0014】
1 < | m×fc×(n−1)×α} | < 30
ここで、 α: 楔形状プリズムの頂角、
n:プリズム硝材の屈折率、
fc:コリメートレンズ焦点距離
m:光源から被走査面に至る副走査横倍率
(3).(1)又は(2)記載の光走査装置において、前記楔形状プリズムの回転調整手段はステッピングモータを駆動源とするリードスクリュー型のアクチュエータであることとした(請求項3)。
(4).(3)記載の光走査装置において、前記ステッピングモータの駆動周波数Nは以下の関係を満足することとした(請求項4)。
【0015】
N= Δx/p×N0/Tm
10 < N < 1000 [pps]
ここで、Δx:リードスクリューの最大変位量、
p:リードスクリューのねじピッチ
N0:ステッピングモータの1回転のパルス数、
Tm:中間転写体の1回転の時間[sec]
(5).複数の光源装置から出射されるレーザービームを偏向手段により走査し、複数の像担持体上を露光するカラー機用光走査装置において、各像担持体上の副走査方向の相対的な位置ずれを検知する位置ずれ検知手段と、前記光源装置から前記偏向手段に至る光路中に、楔形状プリズムを少なくとも1つ有するとともに、該楔形状プリズムを略光軸まわりに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段を有し、前記位置ずれ検知手段により計測された位置ずれデータに基づき、画像データ書込み中に前記像担持体上のビームスポット位置を制御することとした(請求項5)。
(6).複数の像担持体上を光走査装置で露光して静電潜像を形成したのち現像し、各像担持体上の可視像を中間転写体に重ね転写し、さらにこの中間転写体上の重ね転写像を同一のシート状媒体に一括転写してカラー画像を得る画像形成装置において、前記光走査装置として請求項1乃至5記載の光走査装置を用いることとした(請求項6)。
(7).(6)記載の画像形成装置において、前記中間転写体が回転体として構成されており、1回転の長さをLm、中間転写体の線速度をvmとしたとき、以下の条件を満足することとした(請求項7)。
【0016】
0.5 < Lm/vm < 5 [sec]
(8).(6)記載の画像形成装置において、複数の像担持体ががシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色に対応し、且つそのうちブラックを基準色とし、ブラックに対する相対的な色ずれを補正することとした(請求項8)。
(9).(6)記載の画像形成装置において、前記位置ずれ検知手段の検知時間TS(位置ずれ検知を開始して、検知完了までの時間)は以下の条件を満足することとした(請求項9)。
TS < 10×(Lp/Vp)
ここで、
Lp:プリント出力用紙の出力方向の長さ、
vp:感光体の線速
【0017】
【発明の実施の形態】
[1]請求項1の説明
図1は一実施形態としての光走査装置の主要部を、カラー画像形成装置の一部をなすドラム状をした像担持体(以下、感光体。)及び搬送ベルトと共に示す。感光体のまわりには、帯電手段、転写後の残トナーを除くクリーニング手段など電子写真プロセスに従いプロセス部材が配置され、また、転写ベルト205の下方には記録紙を収容し供給する給紙カセットなどの給紙手段、転写ベルト205の内側で感光体に対向する部位には転写手段、転写ベルト205の矢印で示す回転方向上流位置にはベルト帯電手段、下流位置にはベルト分離チャージャや定着手段なども配されているが、これらは周知であり、後述図8に準ずる構成であり、また繁雑となるのでここでは図示を省略している。
【0018】
本例は複数の感光体上を光走査装置で露光して静電潜像を形成したのち現像し、各感光体上の可視像を転写ベルト205に重ね転写し、さらにこの転写ベルト205上の重ね転写像を同一のシート状媒体(記録紙)に一括転写してカラー画像を得る画像形成装置をその要部について示している。
【0019】
なお、光走査装置からは、所定枚数のプリント毎に、色ずれ検知用のトナー像を形成するための光ビーム(レーザービーム或いは光ビームともいう。)が出射される。これにより色ずれ検知用トナー像330Zが3箇所ずつ、転写ベルト205上に形成されると、これらのトナー像による色ずれが色ずれ検知用センサ330により検知される。
【0020】
光走査装置は箱状の光学ハウジング(図示せず)に、以下に述べる光源装置150、ポリゴンミラー130、前記各種レンズ209、120やミラー110M、書き込み開始位置補正手段140、位置ずれ検知手段としての機能を有するビームスポット位置検知手段300a、300bなど走査結像光学系を含む部材を支持してなるユニットであり、感光体160Y、160M、160C、160Kの上方に位置している。この書き込み開始位置補正手段140は、楔形状プリズムの回転調整手段として図5により後述するような、ステッピングモータを駆動源とするリードスクリュー型のアクチュエータを具備している。
【0021】
なお、画像形成装置本体側に設置される色ずれ検知用センサ330も位置ずれ検知手段として用いられ、書き込み開始位置補正手段140による補正量を得るのに使用され、ビームスポット位置検知手段300a、300bなどと併用することができる。併用の場合の使用方法としては、例えば、色ずれ検知用センサ330は粗調整用、ビームスポット位置検知手段300a、300bは微調整用として使用する。書き込み開始位置補正手段140は画像データ書き込み中に感光体上のビームスポット位置を位置ずれ検知結果に基づいて補正制御する。
【0022】
光走査装置からのレーザービーム(光ビーム、走査ビームなどともいう。)による被走査面たる4つの感光体16Y、16M、16C、16Kは直線に沿って配列されていて、回転駆動されるようになっている。画像形成に際しては、光走査装置からの走査用レーザービームによりこれら感光体160Y、160M、160C、160Kに異なる色のトナー像で現像されるべき潜像を形成し、現像したのち、中間転写体としての転写ベルト205上にこれらカラートナー像を重ね転写する。
【0023】
光走査装置は、各感光体160Y、160M、160C、160Kにそれぞれ対応して異なる色の潜像を形成するためのレーザービームを出射する4つの光源装置150を有する。その一つを代表して説明すると、少なくとも光源としての半導体レーザー150aと、コリーメートレンズ150bとを有している。
【0024】
4つの光源装置150からのレーザービームはシリンダレンズ209を経てから、書き込み開始位置補正手段140を通り、偏向手段としてのポリゴンミラー130に向かう。
【0025】
さらに、ポリゴンミラー130により偏向走査されてfθレンズ120、折り返しミラー110M、トロイダルレンズ100を経て、各感光体160Y、160M、160C、160K上を露光走査する。各感光体上のビームスポット位置であって、副走査方向の位置ずれは、予め記録された位置ずれデータまたは位置ずれ検知手段により計測された位置ずれデータに基づき、書き込み開始位置補正手段140を用いて補正される。
【0026】
4つの光源装置150からのレーザービームはそれぞれ、上記のシリンダレンズ209からトロイダルレンズ100に至る走査光学系を経てそれぞれが対応する感光体に至る。ここで、ポリゴンミラー130は図示しないポリゴンモータに直結されていて回転駆動される。
【0027】
各感光体160Y、160M、160C、160Kの長手方向は主走査方向に対応しており、各感光体の有効画像領域の両外側に対応して、ビームスポット位置検知手段300a、300bが対向して配置されている。300aは書き込み開始位置検知用であり、300bは書き込み終端位置検知用である。
【0028】
本発明によれば、前記複数の光源装置150から出射されるレーザービームをポリゴンミラー150により走査し、複数の感光体160Y、160M、160C、160K上を露光する光走査装置において、光源150からポリゴンミラー150に至る光路中に、楔形状のプリズム(以下、楔形状プリズム)を少なくとも1つ有する。
【0029】
そして、楔形状プリズムと共に、楔形状プリズムを略コリメートレンズ150bの光軸のまわりに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段140を構成している。
【0030】
ここで楔形状プリズムによる副走査ビームスポット位置補正原理を図2により説明する。
図2において楔形状プリズムは符号1で示され、楔状(台形状)をしていて、例えば、符号O―Oをコリメートレンズ150bの光軸とすると、略光軸O−O回りに矢印3で示すように回動することにより、入射ビームに対し矢印4で示すように最大偏向角度φの範囲で偏向を行うことができ、結果として被走査面上の副走査ビームスポット位置を可変調節することができる。
【0031】
楔形状のプリズム1を用いることにより、従来の以下の方式に関して次のようなメリットがある。
単純な構成の楔形状プリズムを回動させるという簡単な動作にかかる制御であり、機械立ち上げ時またはプリント出力前などのバッチ毎の位置補正制御に比べ、画像データを書き込み中にビームスポット位置補正ができるため、図3に示すような立ち上がり区間Aと連続プリント時(符号B領域)間などのように、急激に温度変動が起きる場合や、中間転写体、感光体などの速度変動による位置ずれが発生した場合においても、このずれを図7で後述するような位置ずれ検知手段や位置ずれデータからの位置ずれデータに基づいてほぼリアルタイムな位置補正が可能となるため、色ずれの発生を大幅に低減することができる。
【0032】
図2において、プリズム頂角αを適度な角度に設定することにより適度な感度に設定することができる。そのため、ガルバノミラー方式などのように感度が高すぎることなく又振動による影響も少なく、精度の高いビームスポット位置決めが可能となる。
【0033】
楔形状プリズム1及びプリズムホルダー2は材質(例えば樹脂)や形状(例えば薄形形状)を選択することで重量が比較的軽いため、長尺の折り返しミラー、走査レンズ、ダハミラー、光源ユニットなどの比較的重量の重い光学素子をチルト/シフトしてビームスポット位置を補正する従来方式に比べ、応答速度が速く、高い周波数の位置ずれまで補正することが可能となる。
【0034】
また液晶偏向素子、電気光学素子(PLZTなど)のように、印加電圧を変えてビームスポット位置を補正する方式に比べ、電源OFF時も位置決めがずれることなく、しかも安価なに実現することができる。
【0035】
なお、われわれの経験上、相対的な色ずれ量は30μm以下に抑えることにより、事実上の色ずれが目立たない条件を得ることができ、本発明によりそれを実現することが可能となる。
【0036】
[2]請求項2の説明
図2に示すように楔形状のプリズム1をコリメートレンズ150bの光軸O―Oまわりに回転することにより、屈折により最大偏向角φの範囲で偏向角度が可変である。なお、最大偏向角度φは、楔形状プリズムの頂角をαとし、楔状プリズム1(プリズム硝材)の屈折率をnとしたとき、以下の(式1)で表すことができる。
φ=(n−1)×α …(式1)
また、コリメートレンズ150bの焦点距離をfc、光源から被走査面に至る光学系全系の副走査横倍率をm、楔形状プリズム1について光軸O―Oまわりでの調整角をΔγとしたとき、感光体面上の副走査方向補正量ΔZは以下の(式2)で表される。
【0037】
【数1】
【0038】
ここで、本発明はプリズムの頂角α[deg]は以下の(式3)の関係を満足するように設定することにより、ビームスポット位置ずれ補正を行うことを特徴としている。
【0039】
1 < | m×fc×(n−1)×α} | < 30 …(式3)
(3式)において、上限を超えると、光束に波面収差を発生し、ビームスポット形状が乱れたり(サイドローブの発生)、ビームスポット径の太りを生じる。下限を超えると、感度が鈍すぎ、書き込み開始位置の調整のために大きな回転角を与える必要があり、経時変化補正時などの場合に高速に応答することができない。
【0040】
つまり、(式3)の条件を満足することにより、ビームスポット径に太りを生じることなく、また、補正の感度が鈍すぎすこともなく、書き込み開始位置の調整のために大きな回転角を与えることなく、経時変化補正時などの場合に高速に応答することができる。なお、楔形状プリズム1の回転調整は、駆動源としてステッピングモータ、超音波モータなどを用いることにより容易に駆動制御可能である。
【0041】
[3]請求項7の説明
転写ベルト205(中間転写体)は図1の例では転写ベルト205として構成したが、ドラム状に構成することもできる。このように、中間転写体をベルト状、ドラム状の回転体として構成した場合、中間転写体における副走査ドット位置変動のイメージ図を図4(a)に示す。
【0042】
このように中間転写体は周期的に副走査方向にΔZ(前記したようにこれは副走査方向補正量と同じ)のドット位置ずれを発生する。1周期は回転体からなる中間転写体の1回転にかかる時間Tmに相当する。中間転写体がドラム状またはベルト状の回転体で形成されており、かかる中間転写体(回転体)の1回転の長さをLm、線速度をvmとしたとき、
Tm = Lm/vm … (式4)で表され、
以下の(式5)に示す関係を満足することが望ましい。
0.5 < Lm/vm < 5 [sec] … (式5)
上記(5式)において、上限を超えると、1周期が長過ぎるため振動などの外乱の影響を受けやすく、下限を超えると、ビームスポット位置補正制御に対する高い応答速度が要求されるため、楔形状プリズム回転の速度が追従することができない。従って、上記(5式)を満足することで、振動などの外乱の影響を受けにくく、また、ビームスポット位置補正制御に対する追従性もよい。
【0043】
図4(b)に本発明の実施によるビームスポット位置補正後の副走査方向での副走査ドットの位置ずれを示す。中間転写体上のドット位置ずれを書き込み光学系のビームスポット位置で補正することにより、低周波の大きな位置ずれ成分は良好に補正できている(但し、非常に高い周期の位置ずれまでは補正できない)。
【0044】
[4]請求項3、4の説明
本発明の実施例を図5に示す。楔形状プリズムの回転調整手段はステッピングモータを駆動源とするリードスクリュー型のアクチュエータであることを特徴としている。
【0045】
リードスクリュー型のアクチュエータの構成を説明すると、楔形状プリズム1はプリズムホルダー5に装着されている。ここで、プリズムホルダー5はコリメートレンズの光軸O−Oを回転軸として回転自在に支持されていて、その一部にアーム5aが形成されている。
【0046】
このアーム5aの自由端側の上面には不動部材の間に介在する伸張性のばね6の下端側が接していて、該アーム5aを押圧している。このため、楔形状プリズム1はプリズムホルダー5と共に光軸O−Oを回転軸(回転中心)として図5では時計まわりのモーメントが付与されている。
【0047】
このモーメントによる楔形状プリズム1はプリズムホルダー5の回転は、アーム5aの自由端側の下面に接している受け部材7により阻止されている。受け部材は円柱状をした軸体でその軸線方向、図中上側の先端部が円錐状をしており、この円錐の頂点部がアーム5aの自由端側の下面に接している。この接している部分をアクチュエータ作用点Pと称する。
【0048】
一方、受け部材7の上記頂点部の反対側、図中下側の端部にはナット8が固定(あるいは雌ねじが形成)されていて、このナット8にはステッピングモータ9の回転軸と一体の雄ねじが螺合されている。このねじをリードスクリューと称する。ステッピングモータ9は不動部材に固定されている。
【0049】
かかる構成の回転手段をリードスクリュー型のアクチュエータと称し、ステッピングモータ9を駆動することにより、楔形状プリズム1はプリズムホルダー5と共に光軸O−Oを回転軸(回転中心)として回転する。
【0050】
かかるリードスクリュー型のアクチュエータは、ステッピングモータ9を駆動源としているので、楔形状プリズム1の回転角をデジタルのパルス信号として駆動制御できるため、マイコンなどで位置ずれ量を演算した後、パルス信号として容易にフィードバック制御できる。
【0051】
ここで、リニアアクチュエータの変動量(=ナットの変位量=作用点Pの変位量)Δxは下式(式6)で与えられる。
Δx=R×tan(Δγ) (式6)
(ここで、R:回転中心からアクチュエータ作用点までの距離、Δγ:楔形状プリズム回転角度とする。)
一方、前述のように中間転写体の1回転に要する時間Tmは次式(式4)で表される。
Tm = Lm/vm [sec] (式4)
従って、感光体上の副走査方向補正量ΔZを制御するために必要な単位時間当たりのステッピングモータの駆動周波数Nは下式(式7)で与えられる。
【0052】
N=Δx/p×N0/Tm (式7)
(ここで、p:リードスクリューのねじピッチ、N0:ステッピングモータ1回転当たりのパルス数とする。)
そこで、請求項4の発明では、以下の式を満足することにより、良好に色ずれを低減することができる。
10 < N < 2000 [pps] (式8)
上限(2000pps、好ましくは1000pps)を超えると、ステッピングモータが応答できなくなるためビームスポット位置ずれ補正が追従することができない。 また下限を超えると、分解能が粗すぎるため、ビームスポット位置補正精度が不十分となる。
【0053】
一方、ステッピングモータのトルクTは下式で与えられる。
【0054】
【数2】
【0055】
(ここで、p:リードスクリューのねじピッチ、T1:ばね(6)のテンションで発生するトルク、R:回転中心と作用点との距離を表す。)
ステッピングモータ最大応答パルス数Nmaxは、図6に示すような規格表(モータの特性図)を用いて、トルクTに対するプルインの駆動周波数から読みとることができる。
【0056】
したがって、式7における感光体上の副走査方向補正量ΔZを制御するために必要な単位時間当たりのパルス数Nは、
N < Nmax (式10)
の条件を満たす必要がある。
【0057】
[5]請求項8の説明
図1に示したカラー画像形成装置の要部において、また、後述する図8のカラー画像形成装置において、副走査方向の色ずれを補正するためには、各色に対応する各走査光学系の走査線の位置を、それぞれについて中間転写体上に重ね合わせた時のずれがゼロに近くなるように補正することも考えられる。
【0058】
しかしながら、4色に対応するそれぞれのレーザービームの書き込み開始位置(走査位置)を調整する際に、4つの全部をそれぞれ所定の基準位置に合せようとすると、誤って大きな回転偏心を与え、光学性能(ビームスポット径)が劣化する恐れがある。また書き込み開始位置補正手段の部品点数も多くなりコストアップを引き起こす。
【0059】
そこで本発明は、4つのレーザービームの中の1つを基準とし、それに対して他の3つが合致するようにすることとし、その基準となる色を特定した。つまり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の4つの色のうち、基準色を黒色(ブラック)としたことを特徴としている。
【0060】
走査光学系のうち黒の画像に対応するレーザービームを基準とし、その基準色のレーザービームによる走査位置に略一致するように、基準色以外の走査光学系からのレーザービームの走査位置を補正することを特徴としている。
【0061】
これにより、4色の内、3色を調整すればよいため、楔形状プリズム1は3つ用いることで足りる。即ち、「相対的な色ずれ」の補正を行うことで、色調の変化を十分に抑えた色再現性の高い画像を得ることができる。従って、例えば、図1に示すように、書き込み開始位置補正手段140も3つあればよい。
【0062】
本発明によれば、基準色を黒色としているため次のような利点を得ることができる。
黒色は他の色に対しコントラストが高いため、振動、温度変動などの外乱によるビームスポット径、ビームスポット位置変動劣化の影響が画像に現れやすい。従って、ブラックを基準色とすることで、かかるブラック用のレーザービームを扱う走査光学系の各光学部品を剛性高く固定することができ、外乱の影響を受けにくい走査光学系を実現することができる。
【0063】
[6]請求項5の説明
図3に示したとおり、複数枚の画像を連続プリント出力するなどの場合は、光走査装置内部ではポリゴンミラー130駆動用のポリゴンモーター(図示せず)、光源150aである半導体レーザーから発熱を生じ、光走査装置外部では、定着手段においてトナー定着時のヒーター熱などの影響により、画像形成装置内部の温度は急激に変化する。この場合、感光体上のビームスポット位置も急激に変動し、1枚目、数枚目、数十枚目と次第に出力カラー画像の色合いが変化することが大きな課題となっている。
【0064】
そこで本例は、図1において、各感光体160Y、160M、160C、160K上での走査ビームの副走査方向の相対的な位置ずれを検知する位置ずれ検知手段(ビームスポット位置検知手段と兼用)と、光源から偏向手段に至る光路中に、楔形状のプリズムを少なくとも1つ有し、該プリズムを略光軸回りに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段140を有し、前記位置ずれ検知手段により計測された位置ずれデータに基づき、画像データ書込み中に感光体上のビームスポット位置を制御する光走査装置を構成している。
【0065】
本例では、位置ずれ検知手段は、光走査装置の主走査方向の書き込み領域外に設けた非平行フォトダイオードセンサーによりビームスポット位置を検知している。本素子(非平行フォトダイオード(PD))は各感光体160Y、160M、160C、160Kのそれぞれに対する走査ビームの有効書き込み領域外(図1におけるビームスポット位置検知手段300a、300bなど)に設けるのが望ましく、その際、主走査方向の書き込み開始位置を決定する同期信号を検知する機能を兼ねても構わない。本例では兼ねている。
【0066】
図7において、フォトダイオードPD1(PD1’)の受光面は走査ビームに直交し、フォトダイオードPD2(PD2’)の受光面はフォトダイオードPD1(PD1’)の受光面に対して傾いている。この傾き角をα1とする。また、上記ヒーター熱による温度変化前の走査ビームをL1、温度変化後の走査ビームをL2としたとき、副走査方向にΔZ(未知)ずれたとする。この場合、1対の非平行フォトダイオード間、例えば、非平行フォトダイオードPD1とPD2との間(或いは、非平行フォトダイオードPD1’とPD2’との間)を走査ビームL1、L2が通過する時間T1、T2を計測し、T2−T1の時間差を求めることにより、副走査方向の走査位置(書き込み開始位置)をモニター、検知する。
【0067】
副走査方向の相対的なドット位置ずれ(=副走査方向補正量ΔZ)は、PD1とPD2との各受光面間のなす角度α1と、時間差T2−T1が既知であるので、計算により容易に求めることができる。この補正量を、書き込み開始位置補正手段140により補正する。
【0068】
本発明によれば、複数枚の画像を連続プリント出力するなどの場合に、感光体上のビームスポット位置が温度変化などにより急激に変動する場合においても、画像データ書込み中においても感光体上のビームスポット位置を補正可能である。
【0069】
なお、フォトダイオードPD1’とPD1との間を走査ビームが通過するに要する時間T0の変動を検知することにより、主走査方向の倍率変動をモニターすることも可能である。
[7]請求項9の説明
前記[6]請求項5の説明において、図1の例でいえば、各感光体160Y、160M、160C、160K上での走査ビームの副走査方向の相対的な位置ずれを検知する位置ずれ検知手段(ビームスポット位置検知手段300a、300bなど)、具体的には例えば、非平行フォトダイオードPD1、PD2による、走査ビームL1とL2の検知時間TS(位置ずれ検知を開始して、検知完了までの時間)は以下を満足することを特徴とする。
TS < 10×(Lp/Vp) (式11)
(ここで、Lp:プリント出力用紙(記録紙)の出力方向(図1で矢印で示す転写ベルト205の移動方向)の長さ、Vp:感光体の線速とする。)
この(式11)は、少なくともプリントを5枚出力する間の、走査線位置ずれを検知することにより、急激な温度変動を生じた場合でも、色調変化が肉眼で確認できないことを示しており、検知時間TSが上式の範囲を外れた場合は、色調が問題となる可能性があることを表している。
【0070】
など、検知時間TSは、位置ずれ補正量を演算する時間も含んでいる(演算とはノイズ低減のために平均化、異常値処理などの位置ずれ検知精度を高め、走査線補正手段にフィードバックする補正量を算出する時間を表すものとする。)
[8]請求項6の説明
本発明の光走査装置を持つカラー画像形成装置の一例として、図1に示したものの他にも次の例を挙げることができる。図7には、複数の感光体(像担持体)上を光走査装置で露光して静電潜像を形成したのち現像し、各感光体上の可視像を転写ベルトに重ね転写し、さらにこの転写ベルト上の重ね転写像を同一のシート状媒体(記録紙)に一括転写してカラー画像を得るタンデム型カラー画像形成装置をその全体概要について示している。
【0071】
まず、装置内の下部側には水平方向に配設されて給紙カセット10から給紙される転写紙(図示せず)を搬送する中間転写ベルトとしての転写ベルト205’が設けられている。この搬送ベルト205’上にはイエローY用の感光体160Y’、マゼンタM用の感光体160M’、シアンC用の感光体160C’及びブラックK用の感光体160K’が上流側から順に等間隔で配設されている。
【0072】
なお、以下、符号に対する添字Y、M、C、Kを適宜付けて区別するものとする。これらの感光体160Y’、160M’、160C’、160K’は全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスに従いプロセス部材が順に配設されている。
【0073】
感光体160Y’を例に採れば、帯電手段としての帯電チャージャ161Y、走査結像光学系162Y、現像手段としての現像装置163Y、転写手段としての転写チャージャ164Y、クリーニング手段としてのクリーニング装置165Y等が順に配設されている。他の感光体160M’、160C’、160K’に対しても同様である(但し、符号は省略した)。即ち、本実施の形態では、感光体160Y’、160M’、160C’、160K’を各色毎に設定された露光、走査される被照射面とするものであり、各々に対して走査結像光学系162Y、162M、162C、162Kが1対1の対応関係で設けられている。
【0074】
また、転写ベルト205’の周囲には、感光体160Y’よりも矢印で示す搬送方向上流側に位置させてレジストローラ166と、ベルト帯電手段としてのチャージャ167が設けられ、感光体160K’よりも下流側に位置させてベルト分離チャージャ168、除電チャージャ169、クリーニング装置170等が順に設けられている。また、ベルト分離チャージャ168よりも搬送方向下流側には定着手段としての定着装置180が設けられ、排紙トレイ170に向けて排紙ローラ171で結ばれている。
【0075】
このような概略構成において、例えば、フルカラーモード(複数色モード)時であれば、各感光体160Y’、160M’、160C’、160K’に対してY、M、C、K用の各色の画像信号に基づき各々の走査結像光学系による光ビームの光走査で静電潜像が形成される。
【0076】
これらの静電潜像は現像装置163Yなど、各々の対応する色トナーの現像装置により現像されてトナー像となり、転写ベルト205’上に静電的に吸着されて搬送される転写紙上に順次転写されることにより重ね合わせられ、フルカラー画像として定着された後、排紙される。
【0077】
また、黒色モード(単色モード)時であれば、感光体160Y’、160M’、160C’及びそのプロセス部材は非動作状態とされ、感光体160K’Kに対してのみ黒色用の画像信号に基づき走査結像光学系162Kによる光ビームの光走査で静電潜像が形成される。この静電潜像は黒色トナーで現像されてトナー像となり、転写ベルト205’上に静電的に吸着されて搬送される記録紙上に転写されることにより、黒色なるモノクロ画像として定着された後、排紙される。
【0078】
なお、120M1、120M2は2枚玉のfθレンズであり、各々fθレンズは光学ハウジング31に固定されているが、その際にプレート33M上に載置されている。プレート33Mはfθレンズ120M1、120M2の当接面側の全面又は一部と接触している。fθレンズ120M1、120M2の材質は非球面形状が容易かつ低コストなプラスチック材質からなり、具体的には低吸水性や高透明性、成形性に優れた合成樹脂が好適である。本例では、ポリゴンミラーは符号130Uで示す上段側ミラー、符号130Dで示す下段側ミラーからなる。
【0079】
かかるカラー画像形成装置において、光学ハウジング31に構成された光走査装置には、これまで説明した[1]〜[7]の説明にかかる発明が適用される。なお、図8には図示してないが、図1に示したような色ずれ検知用センサ330を適宜設けることもできる。
【0080】
ここで多数枚のカラー画像を連続プリントした場合、特に光走査装置内のポリゴンモータの発熱によと定着装置により急激な温度変動を発生する。そのためファーストプリントと複数枚出力した後のカラー画像において、色調が変動することが課題となっており、偏向手段と露光走査される被走査面の間に、楔形状プリズムを具備する光走査装置を用いることで、走査位置ずれを補正し、高精度な走査位置精度を実現できると共に、特に連続プリント出力時などのように急激に温度が変動する場合にも、色ずれの少ない良好なカラー画像を得ることができる。また、各発明に対応した利点がある。
【0081】
[10]数値実施例
(1)前提条件
・光学系性能
m=9.4、 fc=15 [mm],
・楔形状プリズム
α=2°、n=1.51(BK7)、
・リードスクリュー型アクチュエータ
T1=25×10−3 [Nm]、p=0.3 [mm], R=16 [mm]、N0=20 [pulse/1回転]
・中間転写体
Lm=500mm, vm = 250 mm/s
(2)計算例
| m×fc×(n−1)×α} |=|9.4×15×(1.51−1)×(2°/180°×π)|=2.5
であり請求項2の範囲を満足する。
【0082】
【数3】
【0083】
Δx=R×tan(Δγ)=16×tan(0.2)=3.2 [mm]
Tm=Lm/vm=2 [sec]
であり、請求項7の範囲を満足する。
【0084】
N=Δx/p×N0/Tm = 3.2/0.3×20/2=106 [pps]
であり、請求項4の範囲を満足する。
【0085】
【数4】
【0086】
図6と同様の規格表からNmaxを読みとり、
Nmax>Nを満足するステッピングモータを使用。
【0087】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、簡易な機構、手段により楔形状プリズムを動作させることで、走査位置ずれを補正し、高精度な走査位置精度を実現できる。
【0088】
請求項2記載の発明では、ビームスポット径に太りを生じることなく、また、補正の感度が鈍すぎすこともなく、書き込み開始位置の調整のために大きな回転角を与えることなく、経時変化補正時などの場合に高速に応答することができる。
【0089】
請求項3記載の発明では、ステッピングモータを駆動源としているので、楔形状プリズムの回転角をデジタルのパルス信号として駆動制御できるため容易にフィードバック制御できる。
【0090】
請求項4記載の発明では、ビームスポット位置ずれ補正を精度よく行なうことで良好に色ずれを低減することができる。
【0091】
請求項5記載の発明では、ビームスポット位置が急激に変動する場合においてもビームスポット位置を補正可能である。
【0092】
請求項6記載の発明では、楔形状プリズムを具備する光走査装置を用いることで、走査位置ずれを補正し、高精度な走査位置精度を実現できると共に、特に連続プリント出力時などのように急激に温度が変動する場合にも、色ずれの少ない良好なカラー画像を得ることができる。
【0093】
請求項7記載の発明では、振動などの外乱の影響を受けにくく、また、ビームスポット位置補正制御に対する追従性もよい。
【0094】
請求項8記載の発明では、ブラックを基準色とすることで、かかるブラック用のレーザービームを扱う走査光学系の各光学部品を剛性高く固定することができ、外乱の影響を受けにくい走査光学系を実現することができる。
【0095】
請求項9記載の発明では、急激な温度変動を生じた場合でも、色調変化が肉眼で確認できない程度の画質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光走査装置を含むカラー画像形成装置の要部構成を示した斜視図である。
【図2】楔形状プリズムによる副走査ビームスポット位置補正原理を説明した図である。
【図3】連続プリント時の光走査装置内温度変化を例示した図である。
【図4】図4(a)は中間転写体上の速度変動に伴う副走査ドット位置ずれを説明した図、図4(b)はビームスポット位置補正後の副走査ドット位置ずれを説明した図である。
【図5】書き込み開始位置補正手段としての、リードスクリュー型のアクチュエータを説明した概略構成図である。
【図6】ステッピングモータの駆動周波数とトルクの関係を示した図である。
【図7】ビームスポット位置検知手段としての非平行フォトダイオードセンサーによる検知原理を説明した図である。
【図8】カラー画像形成装置の一例を説明した図である。
【符号の説明】
1 楔形状プリズム
140 書き込み開始位置補正手段
160Y、160M、160C、160K、160Y’、160M’、160C’、160K’ 感光体
300a、300b (位置ずれ検知手段としての機能を有する)ビームスポット位置検知手段
Claims (9)
- 複数の光源装置から出射されるレーザービームを偏向手段により走査し、複数の像担持体上を露光する光走査装置において、
前記光源装置から偏向手段に至る光路中に、楔形状プリズムを少なくとも1つ有するとともに、該楔形状プリズムを略光軸まわりに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段を有し、
前記書き込み開始位置補正手段を用いて画像データ書き込み中に像担持体上のビームスポット位置を制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、前記光源装置は少なくともレーザー光源とコリメートレンズとを有し、
前記楔形状プリズムが以下の条件を満足することを特徴とする光走査装置。
1 < | m×fc×(n−1)×α} | < 30
ここで、 α: 楔形状プリズムの頂角、
n:プリズム硝材の屈折率、
fc:コリメートレンズ焦点距離
m:光源から被走査面に至る副走査横倍率 - 請求項1又は2記載の光走査装置において、前記楔形状プリズムの回転調整手段はステッピングモータを駆動源とするリードスクリュー型のアクチュエータであることを特徴とする光走査装置。
- 請求項3記載の光走査装置において、前記ステッピングモータの駆動周波数Nは以下の関係を満足することを特徴とする光走査装置。
N= Δx/p×N0/Tm
10 < N < 1000 [pps]
ここで、Δx:リードスクリューの最大変位量、
p:リードスクリューのねじピッチ
N0:ステッピングモータの1回転のパルス数、
Tm:中間転写体の1回転の時間[sec] - 複数の光源装置から出射されるレーザービームを偏向手段により走査し、複数の像担持体上を露光するカラー機用光走査装置において、
各像担持体上の副走査方向の相対的な位置ずれを検知する位置ずれ検知手段と、
前記光源装置から前記偏向手段に至る光路中に、楔形状プリズムを少なくとも1つ有するとともに、該楔形状プリズムを略光軸まわりに回転調整することにより、副走査方向のビームスポット位置を可変とする書き込み開始位置補正手段を有し、
前記位置ずれ検知手段により計測された位置ずれデータに基づき、
画像データ書込み中に前記像担持体上のビームスポット位置を制御することを特徴とする光走査装置。 - 複数の像担持体上を光走査装置で露光して静電潜像を形成したのち現像し、各像担持体上の可視像を中間転写体に重ね転写し、さらにこの中間転写体上の重ね転写像を同一のシート状媒体に一括転写してカラー画像を得る画像形成装置において、
前記光走査装置として請求項1乃至5記載の光走査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6記載の画像形成装置において、前記中間転写体が回転体として構成されており、1回転の長さをLm、中間転写体の線速度をvmとしたとき、以下の条件を満足することを特徴とする画像形成装置。
0.5 < Lm/vm < 5 [sec] - 請求項6記載の画像形成装置において、複数の像担持体ががシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色に対応し、且つそのうちブラックを基準色とし、ブラックに対する相対的な色ずれを補正することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6記載の画像形成装置において、前記位置ずれ検知手段の検知時間TS(位置ずれ検知を開始して、検知完了までの時間)は以下の条件を満足することを特徴とする画像形成装置。
TS < 10×(Lp/Vp)
ここで、
Lp:プリント出力用紙の出力方向の長さ、
vp:感光体の線速
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A521 | Written amendment |
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