JP2004108245A - 容量可変型圧縮機 - Google Patents

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So Kurita
栗田 創
Hiroshi Uneyama
釆山 博
Shingo Kumazawa
熊澤 伸吾
Tetsuhiko Fukanuma
深沼 哲彦
Hiroaki Kayukawa
粥川 浩明
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Abstract

【課題】コスト低減が可能な簡素な構成のヒンジ機構を採用した場合においても、斜板側突起に必要とされる強度を確保しつつ斜板の軽量化を行い、オフ運転時の動力消費を減少する容量可変型圧縮機を提供すること。
【解決手段】ハウジングに回転可能に支持された駆動軸16にはロータ17が一体回転可能に設けられ、駆動軸16には斜板18がスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ロータ17と斜板18との間に介在されたヒンジ機構19は、ロータ側突起43と、当該ロータ側突起43と当接係合することでロータ17からの回転力を受ける斜板側突起44と、斜板側突起44の先端と摺動可能に当接することで斜板18に作用する軸方向荷重を受承するカム部45とを備えている。そして、斜板側突起44の側面44aの内部領域44dには穴46が形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用空調装置に用いられるピストン式の容量可変型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
斜板式の車載用容量可変型圧縮機は、斜板が収容される駆動室内の圧力を変化させることにより、ピストンに作用する圧縮室内のガス圧との釣合いによって斜板の傾斜角を変化させ、ピストンのストロークを変える構成となっている。斜板は駆動軸に対して傾動可能にかつ軸方向に摺動可能に支持されていて、駆動軸に固着されたロータからヒンジ機構を介して回転される。ヒンジ機構はロータの回転を斜板に伝達するトルク伝達と、斜板の傾動変位の案内とを同時に受け持つものであり、ロータと斜板との対向面間に設けられている。
【0003】
ヒンジ機構としては、例えば特開2001−295755号公報に開示されているように、ガイドピンを用いた構造のものが知られている。しかし、ガイドピンを用いたヒンジ機構においては部品点数が増加し、コストが増加するといった問題点があり、例えば特開平9−203377号公報に開示されているような簡素な構成のヒンジ機構が注目されるようになってきた。
【0004】
前記ヒンジ機構は、ロータにおいて斜板側に向かって突設されたロータ側突起と、斜板側においてロータ側に向かって突設された斜板側突起と、ロータ側突起の基部に形成されたカム面とを備えている。ロータ側突起と斜板側突起とは駆動軸の回転方向側で当接係合されており、従って、ロータからの回転力がヒンジ機構を介して斜板に伝達される。斜板側突起の先端はカム面に摺動可能に当接されており、従って圧縮荷重に起因して斜板に作用する軸方向荷重は、斜板側突起を介してカム面で受承される。また、斜板側突起と軸対称となる位置には回転安定性を維持するようにバランスウェイトが形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のような簡素な構成のヒンジ機構を備えた圧縮機では、斜板に突設された斜板側突起にある程度の剛性や質量が必要となる。そのため、斜板側突起の質量に釣り合うだけの質量がバランスウェイト部にも必要となる。ところがバランスウェイト部においては、必要とされる質量を確保しつつ必要最小限の形状で形成されているため、これ以上ウェイトを付加するスペースは残されていない。よって、斜板側突起と釣り合うだけのウェイトを確保することができない。
【0006】
また、斜板の回転によって生じるモーメントは、斜板における揺動軸を含むとともに駆動軸の軸心に直交する平面と、該軸心との交点を原点とし、前記軸心と一致する軸を有した直角座標系(x,y,z)におけるxy平面及びyz平面に対する斜板の慣性乗積Ixyと、駆動軸の角速度の二乗を掛け合わせたものになる(例えば、特開平7−293429号公報)。慣性乗積Ixyは、Ixy=∫xydmで表される。(x軸、y軸およびz軸の位置関係については図4参照)従って、斜板のヒンジ機構部の質量が大きいと、高速回転時にその影響が大きくなり、クランク圧Pcを高めて斜板の傾斜角度を小さくするように制御する際、可変に必要なクランク圧Pcが高くなる。その結果、ハンチングが発生し易くなったりする。また、圧縮機への動力伝達をクラッチレスタイプとした場合は、オフ運転時、即ち最小容量運転時の動力消費が増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、コスト低減が可能な簡素な構成のヒンジ機構を採用した場合においても、斜板側突起に必要とされる強度を確保しつつ斜板の軽量化を行い、オフ運転時の動力消費を減少する容量可変型圧縮機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、容量可変型圧縮機において、ヒンジ機構はロータにおいてカムプレート側に向かって延在されたロータ側壁部と、カムプレートにおいてロータ側に向かって延在されるとともに、ロータ側壁部と当接係合することでロータからの回転力を受けるカムプレート側壁部と、ロータ側壁部及びカムプレート側壁部の一方の基部に設けられ、他方の壁部の先端と摺動可能に当接することでカムプレートに作用する軸方向荷重を受承する軸方向荷重受承部とによって構成されている。カムプレートが最小傾斜角度状態にあるときにカムプレートの慣性乗積をほぼ0にするとともに、カムプレート側壁部の内部領域に穴又は凹部を形成したことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、簡素な構成のヒンジ機構を採用し、カムプレートのカムプレート側壁部の内部領域に穴又は凹部を形成することによってカムプレートの軽量化が可能となり、容量可変型圧縮機の小型化につながる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カムプレートが最小傾斜角度状態から傾斜角度増大方向へ復帰するための復帰バネが設けられていることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、カムプレートが最小傾斜角度状態にある状態でカムプレートの慣性乗積を0に近づけ、カムプレートの傾斜角度を増加させる方向へのモーメントが小さくなったとしても、復帰バネによってカムプレートの傾斜角度増大方向への復帰が確実に行える。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ロータ側壁部に穴又は凹部が形成されていることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、ロータ側壁部の質量を軽くすることができ、圧縮機全体の軽量化につながる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記駆動軸は、クラッチレス方式で外部駆動源と作動連結されていることを要旨とする。
【0015】
このように、本発明の容量可変型圧縮機をクラッチレス化した場合には、空調システムオフ時において、カムプレートが最小傾斜角度状態になり吐出容量を0又は最小とすることができ、無駄な動力の消費を極力回避することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を車両用空調システムに用いられる容量可変型圧縮機に具体化した一実施形態を説明する。
【0017】
(容量可変型圧縮機)
容量可変型圧縮機(以下単に圧縮機とする)の基本構成を図1に示す。圧縮機は、シリンダブロック11と、その前端に接合されるフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合されるリヤハウジング14とを備えている。なお、図面の左方を圧縮機の前方とし、右方を後方とする。
【0018】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12との間にはクランク室15が区画形成されている。そして、該クランク室15を挿通するようにして、駆動軸16が回転可能に配設されている。又、フロントハウジング12の前端円筒部には、ボールベアリング36を介してプーリ37が回転可能に支持されている。プーリ37は、フロントハウジング12から突出した駆動軸16の前端部に連結されている。プーリ37の外周にはベルト38が巻き掛けられており、このベルト38を介して当該圧縮機は外部駆動源としての車両エンジン39に、電磁クラッチ等のクラッチ機構を介することなく作動連結されている。なお、このようにクラッチ機構を介在させることなく外部駆動源から駆動軸16に直線的に動力を伝達するタイプの圧縮機をクラッチレスタイプと呼ぶ。
【0019】
前記クランク室15において駆動軸16には、ロータ17が一体回転可能に固定されている。クランク室15内には、カムプレートとしての斜板18が収容されている。斜板の中央部に設けられた挿通孔20には駆動軸16が挿通されており、斜板18は駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ロータ17と斜板18との間にはヒンジ機構19が介在されている。斜板18は、ヒンジ機構19を介したロータ17との間でのヒンジ連結、及び挿通孔20を介した駆動軸16の支持により、ロータ17及び駆動軸16との同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸線L方向へスライド移動可能となっている。
【0020】
複数のシリンダボア22は、前記シリンダブロック11において駆動軸16の軸線L周りに等角度間隔で貫通形成されている。片頭型のピストン23は、各シリンダボア22に往復動可能に収容されている。シリンダボア22の前後開口は、弁・ポート形成体13の前端面13a及びピストン23によって閉塞されており、このシリンダボア22内にはピストン23の往復運動に応じて体積変化する圧縮室24が区画されている。各ピストン23は、それぞれ半球状をなす一対のシュー25を介して斜板18の外周部に係留されている。従って、駆動軸16の回転にともなう斜板18の回転運動が、シュー25を介してピストン23の往復直線運動に変換される。
【0021】
前記弁・ポート形成体13とリヤハウジング14との間には、吸入室26及び吐出室27がそれぞれ区画形成されている。そして、吸入室26の冷媒ガスは、各ピストン23の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体13に形成された吸入ポート28及び吸入弁29を介して圧縮室24に吸入される。圧縮室24に吸入された冷媒ガスは、ピストン23の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体13に形成された吐出ポート30及び吐出弁31を介して吐出室27に吐出される。
【0022】
図1に示すように、シリンダブロック11、弁・ポート形成体13及びリヤハウジング14には、抽気通路32及び給気通路33並びに制御弁21が設けられている。抽気通路32はクランク室15と吸入室26とを接続する。給気通路33は吐出室27とクランク室15とを接続し、その途中に電磁弁よりなる制御弁21が配設されている。
【0023】
前記制御弁21の開度を調節することで、給気通路33を介したクランク室15への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路32を介したクランク室15からのガス導入量とのバランスが制御され、クランク室15の内圧が決定される。クランク室15の内圧の変更に応じてクランク室15の内圧と圧縮室24の内圧との差が変更され、斜板18の傾斜角度(軸線Lと直交する平面との間でなす角度)が変更される結果、ピストン23のストローク、すなわち圧縮機の吐出容量が調整される。
【0024】
例えば、前記クランク室15の内圧が低下されると、斜板18の傾斜角度が復帰バネ34に屈して増大し、従って、ピストン23のストロークが増大して圧縮機の吐出容量が増大される。斜板18の最大傾斜角度は、斜板18の前面に設けられた、最大傾角規定部を兼ねるバランスウェイト18aが、ロータ17の後面に当接することによって規定される(図1の状態)。
【0025】
逆に、前記クランク室15の内圧が上昇されると、斜板18の傾斜角度が傾角減少バネ35に屈して減少し、従って、ピストン23のストロークが減少して圧縮機の吐出容量が減少される。斜板18の最小傾斜角度は、サークリップ34aと復帰バネ34によって規定される。
【0026】
次に、斜板18と駆動軸16とが直交するときを斜板の傾斜角度が0°とする。斜板18の上端がシリンダブロック11側に傾倒する方向を正の方向(傾斜角度増大方向)とし、それとは反対の方向を負の方向(傾角減少方向)とする。最小傾斜角度は、極小の正の値、0°又は0°を超えた負の値のいずれに設定されてもよい。本実施形態では、最小傾斜角度はほぼ0°に設定されている。
【0027】
なお、車両エンジン39が停止して圧縮機が完全に停止した状態では、傾角減少バネ32も復帰バネ33も共に斜板18に当接する。このときの斜板傾斜角度は、両バネ32,33の付勢力の釣合いによって決定される。
【0028】
(ヒンジ機構)
次に図1〜図3に示すように、前記ロータ17の後面において、斜板18の上死点対応位置(上死点位置にあるピストン23のシュー25の中心点)TDCと対向する位置には、係合溝41が形成されている。係合溝41は、ロータ17の後面においてその回転力方向前後の位置に、斜板18側に向かって一体に突設された二つのロータ側壁部としてのロータ側突起43に挟まれることによって形成されている領域のことである。前記斜板18の前面において係合溝41と対向する部分には、駆動軸16の回転方向において上死点位置TDCを跨いだ前後の対称位置に、二つのカムプレート側壁部としての斜板側突起44がロータ17に向かって突設されている。二つの斜板側突起44は、その先端側が係合溝41内にそれぞれ入り込んでいる。二つの斜板側突起44は、それぞれ他方の斜板側突起44とは反対側に向かう側面44aを以って、係合溝41の内面を構成するロータ側突起43の側面43aに対して、それぞれ平面的に当接係合されている。従って、前記ロータ17の回転力は、一方のロータ側突起43(側面43a)及び一方の斜板側突起44(側面44a)を介して斜板18に伝達される。
【0029】
なお、本実施形態の圧縮機は、汎用性を高めるために、それが搭載される車両のエンジンの回転方向が何れであっても、言い換えれば駆動軸16の回転方向が何れであって好適に対応できるように、ヒンジ機構19が、駆動軸16の回転方向において上死点対応位置TDCを跨いだ前後の対称形状に構成されている。
【0030】
前記係合溝41内において二つのロータ側突起43の基部には、軸方向荷重受承部としてのカム部45がそれぞれ膨出形成されている。二つのカム部45において斜板18に向かう後端面には、駆動軸16の軸線Lに近づくほど後方側に傾斜するカム面45aが形成されている。二つの斜板側突起44の先端は凸曲面の円弧面44bが形成されており、二つの斜板側突起44の先端は円弧面44bを以って、対応するカム部45のカム面45aに対して摺動可能に当接されている。従って、圧縮荷重等に起因して斜板18に作用する軸方向荷重は、斜板側突起44の円弧面44bを介してカム部45のカム面45aで受承される。
【0031】
そして、例えば、前記圧縮機が吐出容量を増大する場合、ヒンジ機構19は、斜板側突起44の先端部が、その円弧面44bの中心軸線Sを中心として図1の時計回り方向に回動されると同時に、カム部45のカム面45a上を駆動軸16から離間する方向へ移動されることで、斜板18の傾斜角度の増大を案内する。逆に、圧縮機が吐出容量を減少する場合、ヒンジ機構19は、斜板側突起44の先端部が、その円弧面44bの中心軸線Sを中心として図1の反時計回り方向に回動されると同時に、カム部45のカム面45a上を駆動軸16に近接する方向へ移動されることで、斜板18の傾斜角度の減少を案内する。
【0032】
(本実施形態の特徴点)
図1〜図3に示すように、前記二つの斜板側突起44は、側面44a、円弧面44b及び外周面44cとで構成され、二つの斜板側突起44の側面44aには穴46が貫通形成されている。斜板18が傾斜角度を変化させる際、斜板側突起44の外周面44cには曲げ応力が働く。また斜板側突起44の円弧面44bはカム部45のカム面45aと摺動する。よって、穴46は斜板側突起44の側面44aの内部領域44d、即ち円弧面44bと外周面44cを除いた部分に設ける。内部領域44dとは、斜板側突起44の側面44aにおいて、円弧面44bと外周面44cを除いた部分とする。(図4において斜線表示で示す領域である)
二つの斜板側突起44を含む斜板18の形状は、特開平7−293429号公報に開示された物と同様に、斜板18における揺動軸を含むとともに駆動軸16の軸心に直交する平面と、軸心との交点を原点とし、軸心と一致する軸を有した斜板18の軸を有した直角座標系(x,y,z)におけるxz平面yz平面に対する斜板18の慣性乗積Ixyが、斜板18の傾斜角度が0°の状態でほぼ0になるように設定されている。なお、慣性乗積Ixyがほぼ0とは、本実施形態においては、例えば容量200cc以下の圧縮機であれば0〜10kg・mmの範囲内にあることをいう。
【0033】
斜板18には、吸入行程及び圧縮行程にある全てのシリンダボア22の内圧とクランク室15(クランク圧Pc)との相互関係に基づいて発生するモーメントと、斜板18の回転時の遠心力に起因する回転運動のモーメントと、傾角減少バネ26と復帰バネ34との付勢作用バランスに基づくバネ力によるモーメント等が作用し、そのバランスに基づいて斜板18の傾斜角度が決定される。
【0034】
図4に示すように、前記回転運動のモーメントは、斜板18における揺動軸Kを含むとともに駆動軸16の軸心に直交する平面と、該軸心との交点を原点Oとし、前記軸心と一致する軸を有した直角座標系(x,y,z)におけるxz平面及びyz平面に対する斜板18の慣性乗積Ixyと、駆動軸16の角速度ωの二乗を掛け合わせたものになる。
【0035】
直角座標系のy軸は駆動軸16の軸心と一致し、z軸は揺動軸Kと平行で、x軸はy軸及びz軸に直交する。x軸は上死点側を正とし、y軸はフロント側を正とすると、慣性乗積はIxy=∫xydmで表される。ここでdmは斜板18全体の徴小質量である。従って、ピストン34の径、数、位置等が同じで、斜板18の径も同じで、回転速度(角速度ω)が同じ場合でも、斜板側突起44の斜板18を含む平面(xz平面)からの距離により前記回転運動のモーメントが異なる。
【0036】
最小傾斜角度付近における前記回転運動のモーメントは、斜板18の傾斜角度が大きくなる方向へ作用する。従って、慣性乗積Ixyが大きいと、高速回転時にその影響が大きくなり、クランク圧Pcを高めて斜板18の傾斜角度を小さくするように制御する際、可変に必要なクランク圧Pcが高くなる。そして、斜板側突起44の質量が同じ場合でも、xy平面からの距離が大きい部分の質量、即ち斜板側突起44の円弧面44b側の質量が大きい方ほど慣性乗積Ixyが大きくなる。なお、回転運動のモーメントは、斜板18の回転時の遠心力に起因するものであるため、斜板18の停止時や低速回転時にはほとんど作用しない。
【0037】
この実施の形態では穴46は斜板側突起44の側面44aにおいて、基端部(斜板側)よりも円弧面44bに近い部分に設けられている。そのため、斜板側突起44の側面44aに穴46が形成されていない従来のものに比較して慣性乗積Ixyを0に近づけることができ、斜板18の回転に基づくモーメントを従来のモーメントより小さくできる。これにより、斜板18の傾斜角度を変更するのに必要なクランク圧Pcが低くなる。傾斜角度を変更するのに必要なクランク圧Pcが高い場合は、所望の傾斜角度に調整しても圧縮負荷の少しの変動で傾斜角度がずれ易くなり、ハンチングが発生し易いが、前記必要なクランク圧Pcが低くなることによりハンチングが発生し難くなる。
【0038】
本件の容量可変型圧縮機によれば、復帰バネ34を用いたことで、最小傾斜角度を、圧縮反力による復帰が不確実になるほど小さな正の角度から0°以下の負の角度領域までのいずれかの値に設定することができる。このため、オフ運転時には、従来復帰が不確実とされていた極小容量での運転が可能となり、オフ時の動力消費を従来よりも大幅に低減することができる。又、斜板の角度復帰が必要な場合には、制御弁21の強制閉弁に呼応してクランク圧Pcを迅速に低下させ、復帰バネ34等のバネ力による傾斜角度増大モーメントを相対的に大きくして傾角復帰を確実に達成することができる。又、本件の斜板式圧縮機によれば、従来の容量可変型圧縮機におけるような最小傾斜角度設定の困難さからも開放されることになる。
【0039】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0040】
(1) 本実施形態の斜板式圧縮機では、冷房動作の停止時における斜板18の傾斜角度がほぼ0°となるにもかかわらず、復帰バネ34の配設および斜板18の慣性乗積の最適設定等により、冷房動作の再開時には斜板18の角度を傾斜角度増大方向に確実に復帰させることができる。
【0041】
(2)  斜板18の傾斜角度ほぼ0°からの角度復帰を、回転運動のモーメントと復帰バネ34等のバネ力によるモーメントとの協働作用によるものとしたので、高回転時の吐出圧と吸入圧との差圧が小さくなるという利点がある。本発明とは異なり、仮に復帰バネ34を設けない圧縮機とした場合、ほぼ0°からの角度復帰を主として回転運動のモーメントに依存する設計を採用することも可能ではある。しかし、その場合には、斜板18の回転速度が車両エンジン39のアイドリング回転数相当の最低回転速度のときでも斜板18の角度復帰が可能となるようにその慣性乗積を大きめに設定する必要がある。このようにすると高速回転時の前記差圧が大きくなり、動力の増大といった不都合が生じる。これに対し本発明によれば、斜板18の傾斜角度ほぼ0°からの角度復帰を回転運動のモーメントに依存せず、復帰バネ34等のバネ力によるモーメントとの協働作用によるものとしているので、慣性乗積を小さめに設定できる。よって、高速回転時の差圧が小さくなり、動力を低減することができる。
【0042】
(3) 斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)に穴46が形成されているため、駆動軸16との一体回転に伴う回転運動のモーメントに影響を与える斜板18の慣性乗積がほぼ0に近づく。その結果、高速回転時において容量の変更に必要なクランク圧Pcを低くできるとともに、ハンチングの発生を抑制できる。また、クラッチレスタイプにおいて、オフ運転時の斜板18の傾斜角度がほぼ0°になり動力消費を減少することができる。
【0043】
(4) 斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)に穴46を形成する際、慣性乗積の値に影響が大きい斜板側突起44の先端(円弧面44b)に近い部分に形成したため、同じ重量で斜板側突起44の基端側(斜板18側)に穴を形成するのに比較して効果が大きくなる。
【0044】
(5) 斜板18の傾斜角度変化時に生じる曲げ応力の影響を受けない部分、すなわち斜板側突起44の側面44aの内部領域44dに穴46を設けたため、斜板側突起44の強度は保持される。
【0045】
(6) 斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)に穴46を設けることにより斜板18の軽量化になる。従って、斜板側突起44の質量と釣り合うためにバランスウェイト18aに余分なウェイトを付加する必要がなくなる。また、圧縮機全体の軽量化につながる。
【0046】
なお、本発明の前記実施形態は以下のような別形態にして変更実施することも可能である。
【0047】
○ 前記実施形態では、斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)に形成されていたのは穴46であったが、図5に示すように斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)に凹部47を形成してもよい。このように構成しても、穴46を形成したのと同様の効果を得ることができる。
【0048】
○ 図6及び図7に示すように、斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)とロータ側突起43の側面43aとのそれぞれに穴46,48を形成してもよい。この場合、斜板側突起44の側面44aに形成された穴46により慣性乗積を調整できるとともに、斜板側突起44の側面44a(内部領域44d)に形成された穴46とロータ側突起43の側面43aに形成された穴48とによってヒンジ機構19の軽量化ができる。また、穴の代わりに凹部をそれぞれに用いてもよいし、穴と凹部を組み合わせてもよい。
【0049】
○ 図8に示すように斜板側突起44の円弧面44bとカム部45のカム面45aとの間にスライダ49を介在させてもよい。このように構成すれば相互の接触形態を面接触に変換しうるので、カム部45のカム面45a及び斜板側突起44の円弧面44bの摩耗軽減に貢献される。
【0050】
○ 前記実施形態では、穴46又は凹部47は側面44aの内部領域44dの一部に形成していたが、内部領域44d全体に形成してもよい。例えば、図9に示すように穴50を内部領域44dに形成する。この場合、斜板側突起44をより軽量化することが可能となる。
【0051】
○ 本発明を、両頭型のピストンを備えた容量可変型圧縮機において具体化すること。
【0052】
○ 本発明を、カムプレートたる揺動板を備えた、ワッブルタイプの容量可変型圧縮機において具体化すること。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の容量可変型圧縮機によれば、コスト低減が可能な簡素な構成のヒンジ機構を採用した場合においても、斜板側突起に必要とされる強度を確保しつつ斜板の軽量化を行い、オフ運転時の動力消費を減少する容量可変型圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】容量可変型圧縮機の断面図。
【図2】ヒンジ機構の側面図。
【図3】ヒンジ機構の平面図。
【図4】作用を説明する斜板の模式断面図。
【図5】別例のヒンジ機構の平面図。
【図6】別例のヒンジ機構の平面図。
【図7】図6に示す別例のヒンジ機構の側面図。
【図8】別例のヒンジ機構の断面拡大図。
【図9】別例のヒンジ機構の側面図。
【符号の説明】
11…ハウジングを構成するシリンダブロック、12…同じくフロントハウジング、14…同じくリヤハウジング、16…駆動軸、17…ロータ、18…カムプレートとしての斜板、19…ヒンジ機構、22…シリンダボア、23…ピストン、34…復帰バネ、39…車両エンジン(外部駆動源)、43…ロータ側壁部としてのロータ側突起、43a…ロータ側突起の側面、44…カムプレート側壁部としての斜板側突起部、44a…斜板側突起の側面、44b…斜板側突起の先端たる円弧面、44c…斜板側突起の外周面、44d…側面の内部領域、45…軸方向荷重受承部としてのカム部、45a…カム面、46…穴、47…凹部、50…穴。

Claims (4)

  1. ハウジング内のシリンダボアにはピストンが収容され、ハウジングに回転可能に支持された駆動軸にはロータが一体回転可能に設けられ、駆動軸にはカムプレートがスライド移動可能でかつ傾動可能に支持され、ロータとカムプレートとの間にはヒンジ機構が介在され、駆動軸の回転運動がロータ、ヒンジ機構及びカムプレートを介してピストンの往復運動に変換されるとともに、カムプレートがヒンジ機構の案内によって駆動軸上を傾動しつつスライド移動されることで吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機であって、
    前記カムプレートが最小傾斜角度状態にあるときに該カムプレートの慣性乗積をほぼ0にする容量可変型圧縮機において、
    前記ヒンジ機構は、ロータにおいてカムプレート側に向かって延在されたロータ側壁部と、カムプレートにおいてロータ側に向かって延在されるとともに、ロータ側壁部と当接係合することでロータからの回転力を受けるカムプレート側壁部と、ロータ側壁部及びカムプレート側壁部の一方の基部に設けられ、他方の壁部の先端と摺動可能に当接することでカムプレートに作用する軸方向荷重を受承する軸方向荷重受承部とを備えており、
    前記カムプレート側壁部の内部領域に穴又は凹部を形成したことを特徴とする容量可変型圧縮機。
  2. 前記カムプレートが最小傾斜角度状態から傾斜角度増大方向へ復帰するための復帰バネが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容量可変型圧縮機。
  3. 前記ロータ側壁部に穴又は凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容量可変型圧縮機。
  4. 前記駆動軸は、クラッチレス方式で外部駆動源と作動連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容量可変型圧縮機。
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