JP2004044059A - 複合糸および複合織編物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、従来になかった高いマイナスイオン効果と、優れた抗菌性、さらに高い吸・放湿性を同時に満足すると共にストレッチ性等の着用時の機能性や洗濯による取り扱いやすいW&W性に優れた性能を有する複合糸と織編物を提供するものである。
【解決手段】本発明の複合糸は、マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなる複合糸であって、該竹繊維と該合成繊維の混用比が0.9〜0.3であることを特徴とする複合糸であり、好ましい竹繊維は、マイナスイオンを発生する天然あるいは栽培した竹を原料とするビスコース法により製造された再生セルロース繊維あるいは精製セルロース繊維である。この複合糸を用いて目的とする複合織編物を得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の複合糸は、マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなる複合糸であって、該竹繊維と該合成繊維の混用比が0.9〜0.3であることを特徴とする複合糸であり、好ましい竹繊維は、マイナスイオンを発生する天然あるいは栽培した竹を原料とするビスコース法により製造された再生セルロース繊維あるいは精製セルロース繊維である。この複合糸を用いて目的とする複合織編物を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイナスイオンを安定的に発生するだけでなく、抗菌性、吸放湿性があり、さらにはプリーツ性やストレッチ性を有し、また洗濯における防しわ性に優れ寸法変化の少ない形態安定性をも併せ有する複合糸および複合織編物、特に衣料用織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、衣料用途に使用される織編物は、天然繊維や化学繊維のそれぞれの長所と短所を補完しあって複合(混用)され使用されている。具体的に例えば、天然繊維やセルロース系化学繊維を使用した織編物の場合は、一般的に湿潤下での繊維特性の変化が大きく、特に繊維自身が収縮するため縫製品としたときに寸法安定性が悪いこと、あるいは湿潤時のヤング率が低下するため洗濯によりシワが出来やすいこと、吸水性が大きく拡散性がないため洗濯の乾きが悪いこと、さらには張りや腰がないこと、また伸縮性がないこと等の問題を抱えている。これらの諸問題を解消する手段として、天然繊維やセルロース系化学繊維に、合成繊維を組み合わせて混用複合化することにより、合成繊維のもつ特性を付加し対処している。
【0003】
なお、セルロース系繊維を、衣料すなわちガーメントにして使用する織編物においては、染色加工工程で熱セットしてもガーメントの着用、洗濯における水系の湿潤状態でセルロース繊維が体積膨潤を起こし、長さあるいは幅方向に収縮したり、伸びる現象が生じるため、寸法安定性が悪いという欠点を有している。この現象は、綿や麻にも共通した問題点である。この収縮や伸びは織編物の種類によっては5〜8%に及ぶ場合がある。
【0004】
一方、合成繊維からなる織編物の場合は、吸湿性が少ないために衣料として着用したとき蒸れ感があり快適性に劣ることが最大の欠点である。これらの問題を解消する手段として、合成繊維に天然繊維やセルロース系繊維を混用して、それら天然繊維やセルロース系繊維の力を借り、欠点を補完している。
【0005】
また別に、インド産の竹を原料とするセルロースレーヨン繊維を含むセルロースレーヨン繊維糸に関し、その繊維糸の繊度、撚数あるいは範囲を規定し、従来のレーヨン糸を使用した織編物に比較して、張りおよび腰、皺やへたりなどの課題を改善する繊維糸が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、セルロースレーヨン繊維を合成繊維と複合混用する手段とその効果について具体的に開示されておらず、そしてマイナスイオンを発生し、竹を原料とするセルロース系繊維による耐洗濯性改善については言及されておらず、また新しい効果として伸縮性の付与等に関する新しい解決策を教示するものではなかった。
【0006】
また一方で、消費者の衣料に対する着用時の要求がいろいろと多様化し、清潔志向の高まりから抗菌や防臭あるいは防汚性に関する要求が大きくなってきている。
【0007】
また、地球温暖化防止等に係わる環境保全に対する意識の高まりから、環境保護対策としての衣料用繊維の開発および衣料化に対応しては、近年、トウモロコシやサツマイモを原料とする澱粉から生分解性繊維のポリ乳酸の開発が行われている。しかしながら、このポリ乳酸繊維の織編物の開発では、まだ染色や縫製段階の温度に耐え得る特性の繊維が得られていないため、依然して衣料用用途には対応できていない。
【0008】
さらに、地球温暖化や酸性雨などの環境問題の中で、特に都会における日常生活では、排気ガス等により空気中のプラスイオンが増加し、相対的にマイナスイオンが減少した結果、我々人体に対しては酸化腐敗、体内異常ならびに老化等の悪影響や、環境に対しても悪影響が生じていると言われている。すなわち、我々の身体や環境、植物や水までが弱酸性化している恐れがある。このような環境下において、不足しているマイナスイオンを作り出し、弱酸性状態の人体や環境等を中性状態やアルカリ性状態に還元していくのがマイナスイオン効果である。マイナスイオンは、自然界で水分の多い森林や滝壺、海岸線などに多く発生し、人々の心を安らげる癒し効果を発揮している。このようなマイナスイオンを発生するものとして、トルマリン鉱石や竹炭などが見出されているが、トルマリン鉱石などは、別名電気石と呼ばれ永久自発電気分極をしている物質で、外部からの応力でマイナスイオンを発生する。これに関し、例えば、微粒子化したトルマリンを有機繊維に固着もしくは含有させたエレクトレット繊維が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、元来、トルマリン自体が発するマイナスイオンは微弱であり、また、微粒子化したものを繊維への付着させる場合、付着量が3〜4%と微量なため、マイナスイオン効果はそれほど期待できないという問題があった。
【0009】
また、衣料用織編物としては、これまで数々のマイナスイオンを発生する製品が開発されているが、例えば、トルマリンとチタンやアルミナなどの焼結粉体を混入した繊維を使用することによって織編物にマイナスイオンを発生させることが提案されている(特許文献3参照。)。また、無機性多孔物質をバインダーと共に繊維表面に固着させ遠赤外線効果による保温とマイナスイオンを発生させることが出来ることが提案されている(特許文献4参照。)。また、竹、桐、月桃、熊笹あるいは茶等の天然物を繊維表面に固着させることによって、マイナスイオン、抗菌性、消臭性あるいは吸湿性等の機能を付与した繊維構造物についの提案もあるが(特許文献5参照。)、これらの天然物は粒状で繊維表面に付着させるものであるが故に付着量に限界があり、そのためその性能に限界があり、洗濯着用による耐久性に課題が残るものである。これらの公知例においては、清潔感を与えるための抗菌性や、人が着用した場合、快適と感じるための適度な吸・放湿性を同時に有する衣料用織編物を繊維自身が持つ性能で実現を可能にするアプローチについては試みがなかった。
【0010】
また、木材パルプを主原料とするセルロース系繊維は、いまだに多く生産され使用されており、その背景にある木材の伐採による環境破壊についてはなお対応は十分ではない。これに代わるセルロース系繊維として、コットンのリンターを原料とする銅アンモニアレーヨンであるキュプラが供給されているが、環境保全に対応できるセルロース系繊維を使用した織編物や衣料製品としては、なお十分でない状況にある。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−115347号公報
【0012】
【特許文献2】
特公平6−104926号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2000−73254号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2001−279574号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2002−235283号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、従来になかった高いマイナスイオン効果と、優れた抗菌性、さらに高い吸・放湿性を、同時に満足し、衣料あるいは生活資材分野の使用されるテキスタイルにおいて洗濯における防しわ性に優れ寸法変化の少ない形態安定性を有し、さらにプリーツ性やストレッチ性に優れた織編物を得るための複合糸を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、高い吸・放湿性、吸汗・速乾性、伸縮性等の着用時に実感できる性能や癒しの効果としてのマイナスイオンの発生、さらには着用時の防しわ性、耐プリーツ性および家庭洗濯特に水系洗濯が可能であること、また、抗菌性や制菌性があり衛生的で、かつ、繊維の製造と衣料の廃棄に少しでも環境負荷を少なくできる、竹繊維と合成繊維からなる新しい複合織編物とそれを用いた衣料品を提供することにある。
【0018】
特に本発明によれば、湿潤時の収縮特性を改善し、洗濯時の収縮や防皺性に優れ、乾きやすい等の特性を有する複合織編物が提供される。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次の構成を有するものである。
(1) マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなる複合糸であって、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3であることを特徴とする複合糸。
(2) 竹繊維が、マイナスイオンを発生する天然あるいは栽培した竹を原料とするビスコース法により製造された再生セルロース繊維を主成分とする繊維からなることを特徴とする上記(1)記載の複合糸。
(3) 合成繊維が、1〜8%のセラミックス粒子を含有する合成繊維であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の複合糸。
(4) 合成繊維が異型断面構造を有する合成繊維であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合糸。
(5) 合成繊維が中空率10〜40%の中空繊維であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合糸。
(6) 合成繊維が、ポリウレタン系弾性繊維およびポリエステル・エーテル系弾性繊維から選ばれた少なくとも1種の合成繊維であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合糸。
(7) 合成繊維が、サイドバイサイド型複合または芯鞘型複合によるコンジュゲート繊維であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の複合糸。
(8) コンジュゲート繊維が、ポリエステル系、ポリアミド系またはポリアクリル系いずれか一種のポリマーからなることを特徴とする上記(7)記載の複合糸。
(9) 竹繊維と少なくとも1種の合成繊維で構成された混繊糸および/または混紡糸であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合糸。
(10) 竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸からなることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合糸。
(11) 下記式で示される撚係数Kが5,000〜25,000の範囲のSあるいはZ方向の実撚が付与されていることを特徴とする上記(10)記載の複合糸。
【0020】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
(12) 合成繊維からなるフィラメント糸が、伸度差を有する2糸条のポリエステルマルチフィラメントを仮撚り加工して得られる芯・鞘構造嵩高性加工糸に撚係数Kが8,000〜25,000の実撚を付与された複合加工糸であることを特徴とする上記(10)または(11)記載の複合糸。
(13) 竹繊維からなるフィラメント糸またはスパン糸が、太さが50〜530dtexで、かつ撚係数Kが2,000〜25,000の範囲のSまたはZ方向の実撚が付与されている単糸または当該単糸が引き揃えられて単糸の実撚と反対方向に単糸撚数の80〜150%の実撚が付与されている糸条であることを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれかに記載の複合糸。
【0021】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
(14) 竹繊維からなるスパン糸が、単繊維繊度10〜20dtexの合成繊維モノフィラメントあるいは10〜100dtexの合成繊維マルチフィラメント糸と、撚係数Kが3,000〜15,000の範囲のSまたはZ方向の実撚で合撚されていることを特徴とする上記(10)〜(13)のいずれかに記載の複合糸。
(15) 上記(1)〜(14)のいずれかに記載の複合糸を用いてなる複合織編物。
(16) 竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を交編織してなる織編物であって、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3であることを特徴とする複合織編物。
(17) 水系洗濯による寸法変化率が±2%以下であることを特徴とする上記(15)または〜(16)記載の複合織編物。
(18) 工業洗濯条件の洗濯による寸法変化率が±3%以下であることを特徴とする上記(15)〜(17)のいずれかに記載の複合織編物。
(19) 染色加工で抗菌あるいは制菌加工処理および/または防縮加工されたことを特徴とする上記(15)〜(18)のいずれかに記載の複合織編物。
(20) 上記(15)〜(19)のいずれかに記載の複合織編物からなる衣料品。
(21) 上記(15)〜(19)のいずれかに記載の複合織編物からなるワーキングウエアであって、工業洗濯による寸法変化率と制菌性が原布の性能の80%以上維持することを特徴とする衣料品。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明らは、前記課題、つまり従来になかった高いマイナスイオン効果と抗菌性と吸放湿性を有する竹繊維を含有する複合糸および複合織編物について鋭意検討し、マイナスイオンを発生し、抗菌性および吸放湿性を有する竹繊維で複合糸および複合織編物を作ってみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。更に本発明は、セルロース系繊維の特質であると考えられる湿潤時の繊維特性の変化、特に湿潤ヤング率の低下、膨潤性に係わる湿潤下で寸法変化が大きく、またしわになりやすいなどの欠点を解消し、かつ、セルロース系繊維では不可能なプリーツ性、ストレッチ性に優れた効果を併せ持つテキスタイルを得ることを可能にした。
【0023】
本発明の基本は、マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用することにあり、その際、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3、すなわち、竹繊維を90〜30重量%含有させることが重要である。
【0024】
本発明の一つの典型的な態様は、天然あるいは栽培された竹を原料とする竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)と、少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)を混用し、両者を含む複合糸とすることである。
【0025】
また、本発明の他の一つの態様は、竹繊維と少なくとも1種の合成繊維を混用し、両繊維で構成された混繊糸および/または混紡糸として複合糸とすることである。
【0026】
本発明においては、上記構成の複合糸を製編織することで、竹繊維と合成繊維を混用した複合織編物とすることができるが、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)と、少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)を、交編織することによって、竹繊維と合成繊維を混用した複合織編物とすることもできる。本発明の複合織編物においては、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)を0.9〜0.3にすることが好ましい。
【0027】
本発明は、衣料用繊維素材と衣料品の製造や廃棄に少しでも環境負荷を少なくできるという要求に対応するため、従来の木材パルプを原料とするセルロース繊維に代えて、天然あるいは栽培による竹繊維を使用し、その竹繊維と合成繊維とを混用複合化して、両者の相乗効果を得るものである。本発明では、必要に応じて、上記の竹繊維に加えて、綿、麻あるいはケナフ等のセルロース系天然繊維を併用することもできる。
【0028】
このように構成することにより、本発明による複合織編物は、衣料に適用した際に、快適性を実感できる吸・放湿による蒸れ感がないこと、汗をかいたとき吸汗によるべとつき感がないこと、身体の動きに追随した伸縮による圧迫感がないこと、あるいは実感としては感じにくいがマイナスイオンの発生による癒しの効果があること、さらには着用によってしわになりにくいこと、プリーツがとれにくいという性能に加え、抗菌性や制菌性があり衛生的であること、家庭洗濯特に水系洗濯ができるため、従来の溶剤系ドライクリーニングを必要とする繊維素材に対して、環境保全に対応できる素材を使用できること、等の優れた利点と効果を有するものである。
【0029】
以下、本発明の複合糸およびそれからなる複合織編物と衣料品について詳細に記載する。
【0030】
本発明で用いられる竹繊維としては、天然に生育する竹あるいは栽培された竹を原料とし、これらから繊維束として取り出したもの(竹繊維束)や、天然に生育する竹あるいは栽培された竹を原料として用い、ビスコース法により製造された再生セルロースを主成分とするセルロース系繊維が挙げられる。ビスコース法の場合、竹をアルカリ及び二流化炭素と反応させ、アルカリデンサートとして苛性ソーダに溶解して紡糸し、セルロースを凝固・再生することにより製造する。他の製法としては、銅アンモニア法、直接溶解法や、アセテートなどの半合成繊維としても製造することができる。本発明では、竹繊維として、上記のセルロース系繊維が好適である。かかるセルロース系繊維は、フィラメント糸あるいはスパン糸(紡績糸)の形態で使用することができる。
【0031】
上記の竹繊維は、例えば、竹繊維100%を使用して紡績した糸として、またはビスコース法による竹セルロース成分100%で製造した繊維(原綿)を使用して紡績した糸として、あるいは、これらの繊維と他の繊維、例えば、天然繊維、他のセルロース系化学繊維、または合成繊維等とを混用した混紡糸や混繊糸のような適宜の形態で使用することができる。通常、100%の竹繊維は、抗菌性と吸放湿効果を有することに加えて、癒しの効果として機能するマイナスイオンを20,000個/cm3程度発生する特徴があるので、それを合成繊維と複合混用して複合糸または複合織編物とし、竹繊維と合成繊維の特徴をできるだけ有効活用する設計が重要である。
【0032】
衣料用の複合織編物に好適に使用される、竹繊維からなるフィラメント糸の場合、単繊維繊度は好ましくは1.1〜15dtexの範囲、より好ましくは1.5〜11dtexの範囲であり、そして、そのトータル繊度は好ましくは20〜550dtexの範囲、より好ましくは30〜530dtexの範囲、更に好ましくは30〜450dtexの範囲である。
である。
【0033】
また、竹繊維からなるスパン糸の場合は、通常の用途に応じ紡績方式を選択して紡績したスパン糸を適用することができる。例えば、従来の綿紡式であれば、綿繊維の繊度と繊維長を基本に、単繊維繊度を好ましくは1〜3dtexの範囲、より好ましくは1.3〜2.5dtexの範囲とし、そして繊維長さを好ましくは20〜60mm程度、より好ましくは28〜50mm程度、更に好ましくは35〜50mmの範囲の原綿とすれば良く、竹繊維をこのような短繊維として得ることにより、綿やセルロース系化学繊維あるいは合成繊維との混紡が可能となる。 また、スフ紡式においては、レーヨン原綿の紡績のように、単繊維繊度を好ましくは1〜5dtexの範囲、より好ましくは1.5〜4.5dtexの範囲とし、そして繊維長さを好ましくは40〜80mm程度に、より好ましくは50〜75mm程度の範囲の原綿とすれば良い。これらの綿紡式紡績およびスフ紡方式において使用される精紡機としては、従来から一般的なリング精紡機が使われているが、それに替えてリング・トレベラーを使用しない結束精紡機を使うことが好ましい。この結束精紡機を用いることによって、ドラフトゾーンからでてくるフリースの表層繊維を、旋回ノズルによる渦流空気によって巻き付けて撚りの代わりとする旋回紡績糸(通常MVSと呼称)とすることができる。このような旋回紡績糸とすることにより、従来2.5dtex以下のような細繊度短繊維使用紡績糸の編物で品質的問題であったピリングの発生を抑える効果があることが判明した。この方式も、本発明において、好ましい様態として包含される。
【0034】
また、梳毛紡式の場合は、羊毛繊維の紡績のように、単繊維繊度を好ましくは2〜8dtexの範囲、より好ましくは2.5〜7dtexの範囲とし、そして繊維長さを好ましくは60〜120mm程度、より好ましくは65〜114mm程度の範囲の原綿とすれば良い。紡毛、絹紡および麻紡式紡績についても、上記と同様である。その他の紡績方法として、紡糸、延伸工程で得られる短繊維に切断する前の繊維束(通常トウと称する)を使用する紡績方式、いわゆるトウ紡績も採用することができる。トウ紡績においては、パーロック、ターボステープラ等の牽切機およびアッテネータ機を使用して切断し繊維長を長くすることができるので、短繊維繊度の太いものを使用することができる。これは、単繊維繊度が太いので断面二次モーメントが大きく、ヤング率との比例関係で捻りや曲げ剛性を大きくできるので、張りや腰、反発性のある織編物が得られる。また、繊維が長いため紡績糸においては、毛羽が少ないこと、切断強度が工程通過性に問題ない範囲で撚り数を減少出来ることから、フィラメント様の光沢やなめらかな風合いの織編物が得られ、繊維の短いスパン糸の織編物とは風合いや外観面で全く異なる効果が得られる。これも、本発明の好ましい様態として包含される。
【0035】
竹繊維からなるスパン糸は、単糸は織編物においてピリングを発生しやすいので双糸で使用することが推奨できる。通常に使用に適する太さ(番手)は、用途に適する織編物によって異なるが、好ましくは5.9〜59tex番手、より好ましくは、7.3〜36tex番手である。そして、紡績糸の撚り数は、少ないほど風合いがソフトで好ましいが、強度やピリング等の物理特性問題があるため、風合いを損なわない範囲で多くする。さらに、ピリングの向上には、単糸を引き揃えて双糸として使用することが出来る。双糸の撚り方向は、単糸の撚り方向と反対にし、撚り数は単糸撚り数の80〜150%の範囲内で選択することが好ましい。
【0036】
また、竹繊維からなるフィラメント糸の場合は、スパン糸のようなピリング発生の問題は少ないが、織編物を衣料とし着用の段階で毛羽が発生するとピリングを発生し易いので、スパン糸と同様のより条件を適用することが好ましい。
【0037】
このピリング対策としてより効果をあげるためには、竹繊維のスパン糸を、ポリエステルやナイロン等の合成繊維からなる単繊維繊度10〜20dtexのモノフィラメントあるいは10〜100dtexのマルチフィラメント糸と、撚係数Kが3,000〜15,000の範囲のSまたはZ方向の実撚で合撚した糸条に、複合することが好ましい。
【0038】
ピリングは、スパン糸の表面の毛羽が、ガーメントの着用時に織編物を構成する糸条の中から滑り出てくるため順次絡まって毛玉に発展することが原因とされている。このピリングを防止する方法としては、他に、スパン糸の撚数を多くしてスパン糸の中から繊維がすべりにくくすること、染色加工工程で毛焼きや化学薬品処理によって織編物表面での毛羽を短くカットしておく等の方法がある。しかしながら、これらの方法は、織編物の風合いや光沢等の質感を変化させることがあるので、注意深く適用する必要がある。
【0039】
竹繊維からなるフィラメント糸またはスパン糸としては、好ましくは太さが30〜550dtex(紡績糸は換算繊度)で、かつ撚係数Kが2,000〜25,000の範囲のSまたはZ方向の実撚が付与されている単糸または当該単糸が引き揃えられて単糸の実撚と反対方向に単糸撚数の80〜150%の実撚が付与されている糸条が好ましく用いられる。
【0040】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
上記のフィラメント糸またはスパン糸の太さは、より好ましくは50〜300dtexであり、また、撚係数Kはより好ましくは3,000〜23,000である。
【0041】
スパン糸の糸番手、撚方向および撚数は、合成繊維と複合して複合織編物を構成したとき期待される特徴や効果を得られる複合糸構造にするため、使用する複合技術に適したものするための要件として選択することが重要である。例えば、ブラウスやシャツ地用の織物として、竹繊維100%からなるスパン糸使いの織物を用いた場合は、湿潤時の繊維のヤング率が低下するため、洗濯すると皺がつきやすくW&W性に劣り、また湿潤すると繊維が膨潤し織物を構成するスパン糸の交錯点で繊維収縮が大きく、乾燥したときテキスタイル(織物、編物)が収縮や伸長を起こし、寸法変化するため安定性が悪い。このような課題は、合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を、竹繊維からなるスパン糸と併用(または混用)することによって解決することが可能である。
【0042】
次に、本発明で用いられる合成繊維からなるフィラメント糸とスパン糸の好ましい様態について説明する。
【0043】
フィラメント糸やスパン糸を構成する少なくとも1種の合成繊維は、好適にはポリエステル系、ポリアミド系またはポリアクリル系の合成繊維、あるいはポリウレタン系やポリエーテル・エステル系の弾性繊維等から選ばれるが、寸法安定性の点からポリエステル系合成繊維が最も好適である。ポリエステル系合成繊維として、ポリエチレンテレフタレート(2GT)やポリトリメチレンテレフタレートポリマー(3GT)あるいはポリブチレンテレフタレート(4GT)からなる通常の延伸糸、POYスタートの原糸、さらには3GT単独あるいは他のポリマーとの組み合わせによるコンジュゲート複合糸も好ましく適用することができる。竹繊維と混用する合成繊維の太さの範囲としては、フィラメント糸の場合好ましくは20〜350dtexであり、スパン糸の場合英国式綿番手で好ましくは5番〜100番の範囲で、太さは混用率や製品効果の設計によって選択する。
【0044】
その糸条形態としては、合成繊維フィラメント糸の仮撚加工糸が適している。仮撚加工糸としては、捲縮復元率CRが好ましくは10〜35%、伸縮伸長率が好ましくは20〜40%の加工糸特性を有することが有利である。仮撚加工糸を、竹繊維からなる糸条と交織や交編した織編物は、仮撚加工糸の嵩高捲縮特性や繊維収縮が低いことによる構成糸の拘束力が大きくなること、さらには染色工程での熱セット性によって湿潤時の寸法安定性が良く、タテまたはヨコ方向の伸縮率が少なくとも3%の伸縮性を有する織編物を得ることが可能となる。加えて、竹繊維のみからなる織編物では不可能なプリーツ性が可能となり、防しわ性にも優れた効果が付与される。
【0045】
本発明で使用される合成繊維には、セラミックス粒子を含有させることができる。このセラミックス粒子は、合成繊維の溶融紡糸時に配合させることができる。合成繊維に対するセラミックス粒子の配合量は、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1.5〜6重量%である。セラミックス粒子の種類は、最も一般的に使用される酸化チタンや炭化カルシュウムのほか、発色性改善に使用されるコロイダルシリカ、ジルコニアやカオリンを好適に使用することができる。
【0046】
セラミックス粒子添加した合成繊維を使用することによって、発色性や吸水性の向上効果、および吸熱保温や風合い面でのドライ感等の効果が得られ、また、付帯的な効果として、防透け性と紫外線吸収効果が得られる。セラミックス粒子の大きさは、ドライなタッチや防透け性あるいは紫外線吸収効果を目的にするときは、好ましくは0.1〜0.2μを平均直径とする粒子を使用し、また、発色性を目的とするときは、さらに粒子径を小さく0.02〜0.04μを平均直径とする粒子を使用することが好ましい。
【0047】
また、本発明で使用される合成繊維は、繊維の横断面において異型断面構造を有するものであることが好ましい。異型断面構造の合成繊維を用いることにより、毛細管構造による吸水性により吸水拡散性が大きくなり、着用時のべとつき感をなくし、水系洗濯の乾燥時間を低減することが可能となる。異型断面は、紡糸口金の吐出孔の形状を変化させることによって得られるもので、繊維断面には凹凸があり、その凸部と凹部がそれぞれ3〜8個を有するものが好ましい。断面形状は、特に単一形状に拘らず、複数形状が混合されたものであっても良い。紡糸方法は、海島型や割繊型の異ポリマー複合口金による複合紡糸方法であってもよい。また、紡糸と延伸方法に関しては、直紡、いわゆる5,000m/分以上の高速紡糸により得られる糸条や、紡糸速度1,000〜4,500m/分で得た未延伸糸あるいは高配向未延伸糸を、延伸または延伸仮撚りして得られる原糸が好ましく用いられる。
【0048】
また、本発明では合成繊維として中空繊維を用いることによって、繊維の剛性が大きくなり染色加工時のセルロース系繊維の湿潤ヤング率低下を補完し、交錯点で収縮し難く曲げ反発性によって皺がっできにくいため、寸法変化率を小さくすることができる。また、中空繊維とすることによって、織編物に軽量感とハリ、腰、および反発性を付与することができる。
【0049】
中空繊維は、その繊維横断面において中央部分がくり抜かれたチューブ状繊維であり、その中空率は、好ましくは10〜40%の範囲がよく、より好ましくは20〜35%である。中空繊維としては、紡糸口金形状が例えば3〜4穴スリット型から得る中空を有する繊維として製造されたタイプのものが好ましい。中空は繊維横断面に1穴のものであってもよく、複数穴(例えば、田型のもの)の中空糸であってもよい。また、2種以上のポリマーを使用し芯鞘型による複合紡糸で得た原糸から、後工程で芯成分を溶出し、中空構造原糸となる構造であっても差し支えない。
【0050】
また、本発明で用いられる合成繊維からなるフィラメント糸とスパン糸の騰水収縮率は、好ましくは8〜25%であり、より好ましくは10〜20%である。
【0051】
また、本発明で用いられる合成繊維は、サイドバイサイド型や芯鞘型複合によるコンジュゲート繊維、特に3次元捲縮発現型コンジュゲート繊維であるとさらに好ましい。3次元構造発現型コンジュゲート繊維は、少なくとも2種のポリマーを使用し、複合紡糸口金からサイドバイサイドあるいは芯鞘型に紡糸して得られる複合糸である。この複合糸としては、延伸糸からなる織編物を染色工程の熱処理によってリラックス熱処理する段階で、3次元捲縮を発現する潜在捲縮型原糸が好ましい。使用されるポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系やナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系等のポリマーのような繊維形成性ポリマーの中から極限粘度の異なるポリマーを用いてコンジュゲート繊維とするのがよい。特に、ポリエステル系のポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートの極限粘度差のあるポリマーを組み合わせて紡糸して得られる複合糸が、捲縮の発現性、染色加工性と捲縮発現による伸縮性効果の面で優れている。
【0052】
この3次元捲縮発現型コンジュゲート繊維からなる原糸は、それを撚糸せずに使用して製編織し染色加工工程で潜在捲縮を発現させることにより、あるいは追撚を施した原糸を交織や交編し染色工程で捲縮を発現させることにより、併用したセルロース系繊維の湿潤時の膨潤との相乗効果によって、織編物を構成する糸条の交差点の拘束安定性が増加する構造となり、複合織編物の性能を向上させることができる。すなわち、3次元捲縮発現型コンジュゲート繊維からなるコンジュゲート糸を用いることにより、織編物の寸法安定性が良くなり、そしてストレッチ性の付与や、コンジュゲート糸の追撚効果によって惹起する糸条の長さ方向の中心部に発生する中空構造により、ストレッチ性、反発性および軽量性の効果が付与される。
【0053】
後述する本発明の複合織編物の構造は、タテとヨコや配列による織編物組織でよいが、追撚したコンジュゲート糸を使用の場合、表裏リバーシブル組織にすることによって、さらにその効果を発揮させることができる。
【0054】
竹繊維との複合に好適な合成繊維フィラメント糸として、伸度差を有する2糸条のマルチフィラメントを仮撚り加工して得られる芯・鞘構造嵩高性加工糸に、撚係数Kが好ましくは8,000〜25,000の実撚、より好ましくは1,000〜20,000の実撚を付与された複合加工糸が挙げられる。マルチフィラメントとしては、ポリエステルマルチフィラメントが適している。
【0055】
この複合加工糸は、織編物に表面感や、タッチの点でスパン感覚の質感を付与することができ、竹繊維との組み合わせ効果の面で極めて相性が良く、そして、上述の仮撚加工糸の収縮特性や捲縮特性をも備えているため、織編物性能として安定した効果を持たせることができる。この複合加工糸は、伸度特性の異なる延伸糸やPOYを複合仮撚り加工したもの、あるいはインターレースやタスランで単繊維間を混繊・交絡した形態であっても差し支えなく、3次元捲縮を発現する原糸であればさらに好ましい。
【0056】
複合加工糸の好ましい様態の例を挙げると、2種以上の伸度特性の異なる原糸を引き揃えて仮撚加工を行って得られる糸長差を有する構造加工糸が代表的なものである。当該複合加工糸は、高配向未延伸糸と低配向未延伸糸とを引き揃えて仮撚り加工するか、あるいは延伸糸と高配向未延伸糸とを引き揃えて仮撚り加工することによって、配向の大きい方の原糸が複合加工糸の芯部に位置し、そして配向の小さい方の原糸が、仮撚り加工工程の加撚時に撚りによって延伸されて糸長が長くなって鞘側に位置する構造の加工糸となるものである。
【0057】
このような複合加工糸は、鞘側の単繊維が捲縮の大きさが異なるために、追撚を加えることによって芯側の原糸の周りに不規則に巻き付くため、表層に単繊維のたるみのバラツキが生じ、スパン構造的な様相を呈するものである。この芯側と鞘側との糸長差は、引き揃えられる原糸の配高度差があるほど大きくなる。例えば、ポリエステル系ポリマーを、紡速1500m/分で溶融紡糸して得られる未延伸糸を4倍程度で延伸すると、30〜40%の伸度を有する延伸糸が得られる。また、同ポリマーを、3,000m/分の高速紡糸すると、伸度が150〜160%の高配向美延伸糸が得られる。この2種類の原糸を引き揃えて仮撚加工することによって、糸長差30〜40%の芯鞘構造加工糸を得ることができる。
【0058】
さらに、当該複合加工糸を得るために、引き揃える原糸の品種として、配向の高い原糸にサイドバイサイド型原糸を使用することによって、伸縮性の高い複合加工糸が得られる。また、低配向側の原糸に、例えば、毛細管構造をもつ異型断面高配向原糸を使用することによって、吸水効果を有する複合加工糸が得られる。使用する複合糸のトータル繊度としては、竹繊維の繊度との関係で、織編物の目付や、厚さに必要な条件を満たすように選択することができるが、一般的には70〜350dtexが好ましく、より好ましくは90〜300dtexである。
【0059】
本発明の複合糸は、上述のとおり、竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなるものであり、その際、織編物における竹繊維の効果であるマイナスイオン発生量、抗菌性、吸放湿性を達成する基本的な要素として、竹繊維の混用率が重要であり、竹繊維と合成繊維の混用比が0.9〜0.3となるように竹繊維含有させる。竹繊維は好ましくは40重量%以上混用することが好ましい。
【0060】
複合糸の形態は、織編物に使用し、構造体を形成したときに竹繊維の特長を生かし、短所を相手繊維が補完するような複合構造にすることができる複合技術を採用することが好ましい。すなわち、複合の条件は、竹繊維の特徴、複合相手繊維の特徴を生かし、あるいはそれぞれの繊維の欠点を補完するための複合糸の構造に求められる竹繊維の品種、複合相手の品種と複合条件の選択により実施することが好ましい。
【0061】
この竹繊維からなるスパン糸および/またはフィラメント糸と、合成繊維からなるスパン糸および/またはフィラメント糸を複合する方法としては、長繊維の撚糸で一般的に使用される合撚機で実施することが可能であるが、スパン糸の製造工程で使用される合撚機で撚糸する方法および合糸後ダブルツイスターで撚糸する方法が、高品質の複合糸を得る手段として好適である。また、別の複合方法として、紡績工程の精紡工程においてフロントローラから供給して行う精紡交撚方法も推奨できる。また、当該複合においては、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を、ポリウレタン系またはポリエステル・エーテル系の弾性糸と組み合わせることにより、優れたストレッチ性効果を得ることが可能であり、また、カバーリング方式によって撚糸する方法も実施することができる。ここで、織編物の寸法安定性をさらに良くするために、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸とポリウレタン系またはポリエーテル・エステル系弾性糸との組み合わせに、さらにポリエステル系繊維糸を加え、これらの3本複合糸として使用することが推奨される。
【0062】
本発明の複合糸においては、下記式で示す撚係数Kが5,000〜25,000の範囲のSあるいはZ方向の実撚が付与されて2糸条以上から構成されていることが好ましい。
【0063】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
撚係数が5,000以下では、複合糸の構造が竹繊維のフィラメント糸あるいはスパン糸との形態が不十分で工程通過性が良くないので好ましくない。また、撚係数が25,000以上では、複合糸の巻き付き形態が強く風合いが固くなりすぎるので好ましくない。
【0064】
本発明の複合糸では、本発明の効果を妨げない範囲で、更にその他の繊維を混用することができる。その他の繊維としては、例えば、マイナスイオンを発生させるその他のセルロース系繊維として、天然繊維である月桃、ケナフ、亜麻(リネン)・苧麻(ラミー)、***を原料とした繊維を挙げることができる。
【0065】
次に、本発明の複合織編物について説明する。本発明の複合織編物は、上述の複合糸を製編織することで得ることができる。また、本発明の複合織編物は、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と、少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を、交編織することによって得ることができる。
【0066】
複合織編物の構造または組織としては、織物、丸編、横編および経編等が挙げられる。複合織編物の設計は、マイナスイオンが好ましくは1,000個/cm3以上発生する要件と、水系洗濯の寸法変化率を好ましくは±3%以下、より好ましくは±2%以下にする要件に対応し、使用する原糸と織編組織、糸の配列等の組み合わせにおいて決定することが好ましい。
【0067】
水系洗濯は、パークレン系あるいは石油系有機溶剤によるドライクリーニングと異なり、常温水あるいは温水に洗剤を溶解し手洗いや洗濯機で洗濯を実施するものである。その洗濯の方法、条件は、JIS L0217「繊維製品の取り扱いに関する表示記号および表示方法」おいて提示されているものを使用する。
【0068】
すなわち、本発明の複合織編物またはそれを縫製等して得られたシャツ等のガーメントをネットに入れて家庭用全自動洗濯機で洗濯したとき、寸法変化率および外観変化がW&W性を有するものである。W&W性の判断は、上述のJIS L0217に示される洗濯条件で実施し、JIS L1096の寸法変化および同付属書16(規定)「繊維製品−家庭洗濯および乾燥後のデュラブルプレス生地の外観評価方法」における生地の平滑性の等級付けによって実施するものである。W&W性は、寸法変化率が±2%以下、外観変化等級DP−3.5以上を合格として判断する。
【0069】
また、上記のように、マイナスイオンが好ましくは1,000個/cm3以上発生し、水系洗濯の寸法変化率が±2%以下である複合織編物とすることによって、従来の一般衣料に比較して、着用時に快適で、また洗濯頻度の高い日常衣の場合はドライクリーニング限定でなく家庭で水洗濯できるために取り扱い性に優れ、さらには省資源、環境保全効果に寄与することができる。
【0070】
また従来、各種衣料、芯地、裏地、寝装製品およびインテリア製品などには、抗菌性を付与した織編物が利用されている。特に、近年、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(以下、「MRSA」という。)による病院内感染が問題となっており、その対策として白衣、カバー、シーツあるいはカーテンなどにはMRSA対応の抗菌性を付与することが望まれている。しかしながら、これらの用途では通常60〜85℃の工業洗濯を多数繰り返されるため、従来技術では十分な耐久性を有するものはほとんど得られていない。また、それらがセルロース系繊維を含有する場合には、洗濯後の形態安定性が劣る点も問題となっていた。
【0071】
そして抗菌処理には、銀、銅あるいは亜鉛などの無機系抗菌剤を合成繊維の紡糸段階で練り込む方法と、第四級アンモニウム塩などの有機系抗菌剤をスプレー処理あるいはパディング処理して付与する後加工の方法が主としてとられてきた。前者の場合、洗濯耐久性という面では優れているが、編織物上での加工が不可能である。また、紡糸段階で口金面に抗菌剤が結晶として析出するため、糸切れが多発するなどの製糸上の問題があった。一方、後者の場合、織編物上で抗菌加工ができるという利点はあるものの、抗菌性の耐洗濯耐久性という面では劣っていた。
【0072】
また、これらの用途では、工業洗濯に対し耐久性に優れた抗菌性を有し、かつ、防しわ性と防縮性等の形態安定性能を有する織編物ニーズが大きい。本発明では、セルロース系繊維として抗菌性を有する竹繊維を使用した合成繊維との複合織編物に、染色加工で抗菌あるいは制菌加工処理および/または防縮加工を施すことによって、持続的な効果を持った織編物とすることができ、一般的な用途から工業洗濯条件による耐久性の必要な用途への展開を可能ならしめたのである。
【0073】
すなわち、本発明の複合織編物は、工場やオフイスの作業服、医療現場の看護用服あるいは高齢者介護用衣料等に広く対応することができ、そして、この工業洗濯条件の洗濯による寸法変化率が好ましくは±2%以下の性能を持つ複合織編物とすることが可能となる。そのためこの複合織編物を縫製した看護衣等のワーキングウエアは、工業洗濯によっても、寸法変化率と制菌性を原布の性能の80%以上を維持する衣料品として展開することが可能となる。本発明における工業洗濯条件の基準としては、界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回で50回実施することを採用する。
【0074】
本発明の複合織編物の製編織の方法は、従前から行なわれている方法が適用可能で、交織あるいは交編による方法で実施することができ、あるいは混紡糸や混繊糸等の複合糸を製編織する方法で実施することができ、特に制約されない。
【0075】
複合織編物での寸法変化を小さく、その複合織編物を使用したガーメントの水系洗濯での寸法変化や外観変化を少なくするため、織編物構成は、タテ糸やヨコ糸の糸種および組織の設計や選択が極めて重要である。竹繊維からなるフィラメント糸やスパン糸は、熱水中での繊維収縮と体積膨潤収縮が大きいため、織編物の構造、特に糸条の交錯点で、それらの収縮と膨潤に対し拘束力を発揮できる合成繊維との組み合わせが必要である。本発明者らが、このような拘束力を発揮できる合成繊維に必要な要素について種々検討したところ、繊維収縮力が低いこと、繊維収縮力が高くとも体積を増加すること、剛性が高いこと、あるいは摩擦による滑りが小さいこと、さらには竹繊維の収縮を押さえる染色加工を施すこと等が重要であることを見いだした。
【0076】
ここで、本発明の複合織編物を構成する要素について説明する。本発明の複合織編物においては、タテ糸やヨコ糸に使用する複合用合成繊維の機能性と効果を明確にして、複合織編物を構成することが重要である。
【0077】
まず、複合織編物においては、竹繊維と合成繊維が、交織または交編、あるいは混紡等複合使用されている。合成繊維の比率は、複合織編物に対して、20重量%以上80%重量以下が好ましく、30〜70重量%の範囲がさらに好ましい。この竹繊維の混用比率が少なすぎると、本発明で目的とするマイナスイオンの発生、抗菌性、吸放湿性の特性が満足されなくなる傾向にあり、また、竹繊維の混用比率が大きすぎると、水系洗濯における寸法変化が大きくなるので好ましくない。
【0078】
スパン糸の場合は、予め竹繊維と合成繊維が混紡された混紡糸であっても良い。 上記のように、竹繊維を合成繊維と混用することにより、マイナスイオンが好ましくは1,000個/cm3以上発生し、より好ましくは2,000個/cm3以上発生し、かつ湿潤時の寸法変化率を±2%以下の複合織編物を得ることができる。混紡用に使用される合成繊維の短繊維の好ましい特性としては、竹繊維の強度や伸度特性を補完することができること、湿潤時の膨潤収縮に対応できる収縮特性を有すること、抗ピル効果があること、中空や太繊度の剛性に優れていること、収縮効果による体積増加でふくらみを出せること、3次元捲縮を発現するもの、セラミック粒子を添加できるもの、あるいは極細繊維で柔軟性が出せること等が挙げられる。
【0079】
本発明の複合織編物においては、竹繊維が、複合織編物の少なくとも一方の表面の面積中の10%以上を占めていることが好ましく、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上を占めるように、織編設計されていることが好ましく、このように設計することによって、本文で定義するイオン発生量の測定法により測定したときに、複合織編物から1,000個/cm3以上のマイナスイオンが発生するようにできる。竹繊維が少なくとも一方の表面の面積中の10%以上を占めるという状態は、例えば、タテ糸およびヨコ糸共に竹繊維と合成繊維との混用比率が0.5/0.5である複合糸を使用した平織の織物の場合、重量比において両面とも竹繊維は50%を占める。また、バックサテン組織で当該複合糸を表地に用い、他の繊維糸条を裏地に用いてサテン織物とした構造においては、竹繊維が表の組織における重量比で50%を占めることを意味している。
【0080】
本発明の複合織編物は、染色加工で抗菌加工や洗濯による寸法変化を改善する加工を付与することができ、さらにその性能を高めることが出来る。
【0081】
次に、その対応技術を例示する。一例として、洗濯による形態安定性と工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を有する繊維構造物を得る技術としては、特開2000−008275号公報に記載の技術を適用することができる。また、他の抗菌性付与加工技術としては、特開2000−303357号公報に記載の技術を適用することができる。当該技術内容は、セルロース系繊維と合成繊維とからなる繊維構造物であって、該セルロース系繊維が下記式で定義される架橋指数が1〜4の範囲で架橋改質されたものであり、かつ、該合成繊維が分子量200〜700、無機性/有機性値=0.3〜1.4、平均粒径2μm以下であるピリジン系抗菌剤を含むものであることを特徴とする抗菌性繊維構造物であり、
架橋指数 = ( A − B )
ここで A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
【0082】
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)
を骨子とする染色加工において実施されるものである。
【0083】
セルロース系繊維は、次のような架橋剤により架橋改質されているものが好ましい。ここでいう架橋剤は、セルロース系繊維を構成しているセルロース分子中の水酸基、とりわけ洗濯時のしわ、収縮の原因となる非晶領域にある水酸基と反応し、セルロース分子間および分子内に架橋を形成することが可能な化合物のことであり、具体的には、ホルムアルデヒド、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロピレン尿素、これらのメチロール基の一部または全部をメトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等が挙げられる。これらの架橋剤の中でも、セルロース系繊維の架橋改質をより効率的、効果的に行うためには、ホルムアルデヒド等の化合物が好ましく用いられる。
【0084】
セルロース系繊維の改質の程度は、架橋指数が1〜4の範囲内であることが好ましく、2〜3.5の範囲内がより好ましい。かかる架橋指数は、架橋改質後のセルロース系繊維の温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下で吸湿率の値から温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下で吸湿率の値を差し引いて算出されるものであり、セルロース系繊維がどの程度架橋改質されているかを知る上での指標となる。すなわちこれは、架橋改質によりセルロース分子中の水酸基が封鎖され、結果として吸湿率の値が低下することを利用したものである。この指数が小さいものほど架橋改質の度合いが大きく、大きいものほど架橋改質の度合いが小さい。一般に未加工の木綿、麻で4〜5程度である。
【0085】
架橋指数が1より小さい場合、架橋が過度に形成され、複合織編物の強力や柔軟性が低下し、形態安定性は良好であるものの、実用に耐えないものとなってしまうことがある。一方、架橋指数が4より大きい場合は、セルロース系繊維の架橋改質が十分でなく、必要とされるレベルの防しわ性、防縮性等の形態安定性能が付与できないことがある。複合織編物の強力、柔軟性と形態安定性のバランスを考えた場合には、架橋指数が2〜3.5の範囲内にあることが好ましい。
【0086】
かかる架橋剤のセルロース系繊維への付与方法としては、各種手段が適用可能であり、具体的には架橋剤をガス状にして付与する方法、パディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法および泡加工法等が挙げられるが、なかでも、架橋剤がホルムアルデヒドの場合にはガス状にして付与する方法が、架橋剤が繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等の場合にはパディング法が好ましく使用される。
【0087】
セルロース系繊維の架橋改質を行うにあたり、架橋剤の反応を促進する目的で、触媒を併用することも好ましく行われ、具体的には、有機酸、有機アミン塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを用いることができる。
【0088】
また、架橋剤によるセルロース系繊維の架橋改質の方法としては、通常の架橋改質方法が適用可能であり、具体的には、縫製品をそのままの状態でホルムアルデヒドで気相処理する方法、複合織編物の状態のままの前記架橋剤を付与し、縫製した後に加熱処理を施すポストキュア法、複合織編物の状態のまま前記架橋剤を付与して熱処理まで行うプレキュア法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、熱処理温度としては80〜220℃の範囲にあることが好ましく、120〜200℃の範囲で熱処理を行うことがさらに好ましい。
【0089】
また、本発明の複合織編物は、発色性を損なわずに抗菌性を付与する観点から着色されていることが好ましい。ここで着色されているとは、複合織編物が分散染料、酸性染料、カチオン染料あるいは蛍光増白剤などの着色物を含むことをいう。
【0090】
抗菌剤を含む液中に複合織編物を浸し、常圧または加圧の下、好ましくは90〜160℃で10〜120分間、より好ましくは120〜135℃で20〜60分間加熱する際に、必要に応じて分散染料または分散性蛍光増白剤を液中に添加してもよい。
【0091】
かかる方法において、さらに好ましくは液中処理した後、テンター等で160〜200℃で15秒〜5分間、より好ましくは170〜190℃で30秒〜2分間の乾熱処理を行うことができる。かかる乾熱処理により、抗菌剤は繊維表面から内部に拡散して繊維内部リング分布の状態になり、抗菌性を損なうことなく洗濯耐久性を向上させることができる。この処理条件を変更することで抗菌剤を繊維表面付着、繊維内部リング分布、繊維内部拡散の各状態にコントロールすることができる。
【0092】
いまひとつの方法は、パディング法やスプレー法等で該抗菌剤を含む液を複合織編物に付着させた後、テンター等で160〜200℃で30秒〜10分間、より好ましくは170〜190℃で1〜5分間、乾熱処理および湿熱処理から選ばれた少なくとも1種の加熱処理をすることにより製造することができる。
【0093】
コストと加工工程の合理化の面からは、パディング法やスプレー法等で、該架橋剤および抗菌剤を同時に繊維構造物に付着させた後、170〜190℃で30秒〜5分熱処理を行う方法が好ましく用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
本発明において、上記の複合織編物を縫製あるいは接着または融着等の手段を用いて、ガーメント(シャツ、ブラウス、スカートあるいはパンツまたはジーンズ、ジャケット等の衣料品を製造することができる。
【0095】
本発明の複合織編物は、上記に述べた用途以外の衣料用途や生活資材用途に広く適用することができる。比較的薄地の複合織編物は、比較的肌に直接接触する衣料として適用することによって、マイナスイオンによる癒しの効果や抗菌、防臭性および吸・放湿による着用の快適さの効果を実感することができ、ドレスシャツ、特に紳士用シャツを主な目的に使用できるが、婦人用シャツ、ブラウスやオーバーブラウス、学童用スクールシャツ、ユニフォームあるいはスポーツ衣料等にも好ましく使用される。また、本発明の複合織編物は、ポロシャツにも適しており、ゴルフシャツだけでなく、一般的なカジュアルシャツにも好ましく採用される。また、比較的厚地の複合織編物は薄地と違いど、ちらかと言えば外衣に適用されるが、最近は外衣も裏地を付けないで肌に直接着ることが増加し、着用時の快適性要求が高まっていることに対応できるものである。従って、婦人用と紳士用のジャケット、パンツおよびスーツ、さらにはカジュアル分野のジーンズ、また和装用途にも好適に適用することができる。また、生活資材用途としては、布団側地やカーテン等に好ましく適用することができる。
【0096】
本発明の複合織編物および衣料品の耐洗濯評価は、次のとおりである。
【0097】
界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上であるものが好ましい。より好ましくは、界面活性剤を混合した洗液を使い、85℃で15分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上のものである。
【0098】
洗濯処理条件を厳しくした場合においても、静菌活性値が2.2以上であるものがさらに好ましい。すなわち、過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上であるものがさらに好ましい。最も好ましいのは、過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液を使い、85℃で15分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上のものである。
【0099】
ここでいう過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液とは、界面活性剤として、例えば、花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化物として過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、強アルカリ剤として過炭酸ナトリウム1.5g/lを、それぞれ所定量に秤量した後、浴比1:20の割合で水を張ったドラム染色機内に投入し混合して調整したものである。その後、この洗液を温度85℃まで昇温し、本発明の複合織編物と捨布を投入後15分間洗濯する。その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施し、最後に脱水を行い、これを洗濯1回とする。この工程を50回繰り返した後、タンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させ、制菌評価を行う。
【0100】
また、本発明におけるマイナスイオン測定は、次のとおりである。
【0101】
本発明でいうイオン発生量は、測定装置内に3枚の平行に並べられたプレート(平行平板形)の間にイオンを含む空気を流入させることにより、イオンの測定を行う。外側のプレートと中央のプレートとの間隔はそれぞれ4mmであり、分極電解は1000V/mとする。測定原理としては、外側の2枚のプレートは分極電位(+または−)を有し、中央のプレートは線形の検出プレートであり、中央のプレートを任意の電位に帯電させ、イオンを含む空気を流入させた後、任意時間経過後の電位差によって生じた単位体積あたりのイオン個数で表す。この原理はエーベルトイオンカウンターに属するものであり、形態としては上記平行平板形以外に、同軸同筒形でもよい。測定装置としては、この他に、この原理を応用したゲルディエン型でも良い。
【0102】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%および部とは、断らない限り重量基準である。
【0103】
<評価方法>
実施例中での品質評価は、次の方法に従った。
【0104】
[イオン発生量]
測定装置:AIR ION COUNTER IC−1000
(アルファ・LAB社(米国)製)
測定条件:室温20±1℃、湿度50±3%、室内広さ3m×5m×5m、
測定時間10秒、吸引量12L/分、サンプル振動周期3回/秒、
サンプルサイズ30cm×20cm
評価結果:測定時間10秒後のイオン平均発生量(個/cm3)
マイナスイオンが発生する場合は負の値、プラスイオンが発生する場合は正の値で示される。マイナスイオン発生量とプラスイオン発生量の差し引きによってマイナスイオンの発生量とし、マイナスイオン発生量が1000個/cm3以上で合格とした。
【0105】
[吸湿性(ΔMR)]
ΔMR(%)=MR2−MR1
ここで、MR1とは絶乾状態から20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、洋服ダンスの中に入っている状態、すなわち着用前の環境に相当する。また、MR2とは絶乾状態から30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、運動状態における衣服内の環境にほぼ相当する。
【0106】
ΔMRは、MR2からMR1の値を差し引いた値で表されるものであり、衣服を着用してから運動した時に、衣服内のムレをどれだけ吸収するかに相当し、ΔMR値が高いほど快適であると言える。一般に、ポリエステルのΔMRは0%、ナイロンで2%、木綿で4%、ウールで6%と言われている。
【0107】
[抗菌性]
評価方法は、統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ブドウ状球菌臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試験布に上記試験菌を注加し、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を静菌活性値とし、2.2以上を合格とした。ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
【0108】
[織編物の品質]
(1)洗濯方法
A.工業洗濯
ドラム染色機を用い、花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20で15分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施した。水洗後タンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させた。これを洗濯1回とした。
【0109】
B.水系洗濯(一般衣料洗濯)
JIS L0217の103法に準じて実施した。
(3)防しわ性(W&W性:外観変化)の評価
織物については、JIS L1096付属書16(規定)に示されるAATCC立体デュラブルプレスレプリカの6 段階レプリカ法に基づいて判定した。編物については、JIS L1018「ニット生地試験方法」を適用した。
(4)(洗濯)寸法変化率
JIS L1909により測定した。
【0110】
(実施例1)
中国産の竹を原料とし、ビスコース法により製造された再生セルロース繊維として単糸繊度1.1dtex、繊維長51mmのステープルファイバーをスフ紡方式により撚数22.6T/2.5cmで綿番手50番単糸を紡績した。当該スパン糸とポリエステルレギュラーマルチフィラメント糸84dtex36フィラメントの仮撚り加工したウーリー加工糸を紡績工程の双糸を製造する際使用される合糸機で引き揃え、引き続いてスパン糸のダブルツイスターで撚数500T/M(複合糸のトータル繊度201dtex相当、撚係数7,088)で追撚し、80℃30分の撚り止めセットを行い交撚複合糸を得た。当該複合糸をタテ糸およびヨコ糸に使用し、エアージェットルームで織上密度タテ×ヨコ密度が64×60本/2.5cm、幅167cm、長さ55.6mの平織物生機を作成した。当該生機の竹繊維スパン糸とポリエステルマルチフィラメント糸の混用比率は0.48/0.42である。この生機を染色加工に投入した。精練、リラックス、苛性ソーダに減量促進剤として第四級アンモニュウム塩をを添加した水溶液による液流減量加工、洗浄後、液流染色で130℃/98℃の一浴2段、分散染料、直接染料により無地染めを行った。当該生地の仕上げ密度は70×65本/2.5cmであった。当該生地を使用し、物理的特性と機能性特性評価を実施した。生地の物理特性のうち収縮率、織物および編物の洗濯後のしわの評価試験はJIS L1096「一般織物の試験方法」に準じて実施した。
マイナスイオン発生量、抗菌性、吸・放湿性等の機能性に関する評価は、上記に示した評価方法で行った。生地の洗濯寸法変化率はタテ・ヨコそれぞれ+0.3%、+0.2%で、W&W性評価として行った洗濯、乾燥5回繰り返し後の洗濯による外観変化いわゆる皺のレベルは、判定基準としてのレプリカの防しわ性6段階による判定はクラス4レベルでW&W性を有していた。また機能性は、マイナスイオン発生量が3,000(個/cm3)、吸・放湿性△MRが5.7%、静菌活性値が3.0でそれぞれ効果有りの合格結果を得た。
【0111】
(実施例2)
実施例1で得られた竹繊維のスパン糸50番単糸を使用し、ポリエステルマルチフィラメント糸としてポリエチレンテレフタレートを低粘度成分50%にポリメチレンテレフタレートを高粘度成分50%を使用してサイドバイサイド型複合紡糸、延伸して得られた3次元捲縮発現型潜在捲縮マルチフィラメント糸56T12フィラメント、さらにポリウレタン系弾性繊維(東レデュポン社製「Lycra」)22Tを引き揃え複合糸を試作した。複合糸は、スパンデックスを3倍に延伸しながら、他の2糸条を引き揃えて合糸出来る村田機械(株)製の合糸機608型を使用し、引き続いて村田機械(株)製ダブルツイスターに仕掛けてS方向に撚数1,200T/M(複合トータル繊度換算195Tで撚係数16,760)で竹繊維比率は60%の3本複合糸を作成した。当該複合糸を実施例1と同様の製織工程で織上密度を変更し平組織で生機を製織し、染色加工工程に投入し95℃各布状リラックス精練を行い、120℃の液流リラックス処理の後乾熱160℃で幅出しセットを行い、苛性ソーダに減量促進剤として第4級アンモニューム塩を添加した溶液による液流減量、洗浄後、分散染料、直接染料使用による一浴二段染法で染色を行い、仕上げセットしタテ・ヨコ密度115×105本/2.5cmに仕上げた。当該織物について実施例1と同様に性能評価を行い、生地の洗濯寸法変化率はタテ・ヨコそれぞれ+1.5%、+1.2%で、W&W性評価として行った洗濯、乾燥5回繰り返し後の洗濯による外観変化いわゆる皺のレベルは、判定基準としてのレプリカの防しわ性6段階による判定はクラス3.5レベルでW&W性を有していた。生地のタテ・ヨコ方向のストレッチ性はそれぞれ25%、32%で、さらにストレッチバック性に大変優れるものであった。このストレッチバック性はサイドバイサイド型複合コンジュゲートマルチフィラメント糸の3次元捲縮発現によるストレッチ性との相乗効果と考えられ、複合糸としての効果が十分発揮されたものと推察される。またマイナスイオン発生量が3,000(個/cm3)、吸・放湿性△MRが5.7%、静菌活性値が3.0でそれぞれ効果有りの合格結果を得た。
【0112】
(実施例3)
実施例1で得た中国産の竹を原料とし、ビスコース法により製造された再生セルロース繊維として単糸繊度1.1dtex、繊維長51mmのステープルファイバーをスフ紡方式により撚数22.6T/2.5cm、綿番手50番単糸を使用し、複合相手繊維としてナイロンマルチフィラメント糸の44dtex34フィラメントのウーリー加工糸を引き揃え、スパン撚糸工程で使用されるダブルツイスターで追撚実施した。撚り数はS方向に650T/m(トータル換算繊度150dtex、撚係数K=7,960)で交撚し65℃30分の撚り止めセットを行い複合糸を作成した。当該交撚複合糸を両面丸編機にて、編地裏面側(肌面側)構成糸に用い、アクリル紡績糸1/52を、編地表面側構成糸に用い、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる丸編地を編成した。
【0113】
この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上加工を行い、34ウエル/インチ、45コース/インチ、目付が180g/m2 のアンダーシャツ用に編地を得た。JIS L1018「ニット生地の試験方法」の寸法変化測定方法に準じて行い、タテ方向に+3%、ヨコ方向に−1%と問題のないレベルであった。また機能性として評価し、マイナスイオン発生量4,000(個/cm3)、吸・放湿性5.2%、静菌活性値3.0の結果を得、いずれも合格のレベルにあった。
【0114】
(比較例1)
天然セルロース系繊維である綿のコーマー通しの粗糸と繊度56dtex、36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を使用し、通常の綿紡式紡績工程の精紡機に仕掛け長短複合により、撚数22.6t/2.5cm(換算繊度116dtex、撚係数K=9,736)で50番手の長短複合糸を得た。この複合糸を単糸使いで、タテ糸、ヨコ糸に用い、タテ、ヨコ密度それぞれ113本/2.5cm、68本/2.5cmの平織物を得た。目付は117g/m2であった。当該生機を染色工程において精練、漂白、シルケット加工をを行ない、無地染し仕上げ剤を付着させた後仕上げセットを行い、ドレスシャツ用織物を得た。当該織物の洗濯における寸法変化率は合格範囲であったが、機能性評価において実施例1と比較し、イオン発生量はプラスイオン500(個/cm3)で、マイナスイオンの発生は認められなかった。吸・放湿性は2.6%と低く、静菌活性値は0.3で不合格範囲のものであった。
【0115】
(比較例2)
中国産の竹を原料とするセルロース系繊維として単糸繊度1.1dtex、繊維長38mmを8%と綿92%を混綿して綿紡式紡績工程で粗糸を作った。この粗糸とナイロンのマルチフィラメント糸44T、34フィラメント糸を精紡機に仕掛け同時紡績による複合40番手、撚数20.2t/2.5cm(換算繊度146dtex、撚係数K=9,763)のスパン糸を得た。当該複合糸を両面丸編機にて、編地裏面側(肌面側)構成糸に用い、ポリエステル紡績糸1/52を、編地表面側構成糸に用い、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる丸編地を編成した。この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上加工を行い、38ウエル/インチ、46コース/インチ、目付が200g/m2 の肌着用編地を得た。当該編み地のイオン発生量はプラスイオン100(個/cm3)で、マイナスイオンの発生は認められず、吸放湿性は1.0%、静菌活性値0.3と低いものであった。
【0116】
(実施例4〜6、比較例3、4)
中国産の竹を原料としたビスコース法により製造された再生セルロース繊維(単繊維繊度1.6dtex、繊維長38mm)のステープルファイバー30%と、ポリエステルを溶融紡糸して得られたスーパーブライト原綿(東レ(株)登録商標:”テトロン”)(単繊維繊度1.6dtex、繊維長38mm)のテープルファイバー70%を混紡し、これを綿紡方式により、撚数18.6T/cmで19.6tex番手(綿番手30番単糸)の紡績糸(原糸表示をT70/B30とする、T:ポリエステル繊維、B:竹セルロース繊維)を製造した。当該混紡紡績糸の他に、上記ポリエステルスーパーブライト原綿100%(原糸表示をT100とする)および竹セルロース繊維100%(原糸表示をB100とする)の同一番手の紡績糸を製造し、これらを表2のとおりタテ糸および/またはヨコ糸に使用し、エアージェット織機で平組織で製織した(実施例4〜6、比較例3、4)。
【0117】
得られた5種類の織物に染色加工を施し、混紡と交織による複合織物ポプリンの性能を評価した。染色加工は、常法に基づいてソフサー型精練機で90℃拡布状リラックス、続いてテンター160℃乾燥セット、130℃シルケット加工、130℃液流染色機で分散染料染色後および温度を下げて80℃で反応染料による1浴2段染法による無地染めを行った後、乾燥、165℃で仕上げセットを実施した。結果を表1に示す。竹セルロース短繊維とポリエステル短繊維とを混紡した複合紡績糸を用いた複合織物(実施例4〜6)の性能は、竹セルロース繊維100%織物(比較例4)に比較し、洗濯での寸法安定性や物性面で優位にあることを確認した。比較例3はマイナスイオンの発生がなく、抗菌性もないものであった。
【0118】
【表1】
【0119】
*1 SEK統一基準法による制菌活性値による評価
○:2.2以上 △:2.2以下、1.0以上 ×:1.0以下
*2 JIS1096におけるICI法5時間による。
【0120】
(実施例7、8、比較例5、6)
実施例1で用いた中国産の竹を原料としたビスコース法により製造された再生セルロース繊維(単繊維繊度1.6dtex、繊維長38mm)のステープルファイバー30%と、ポリアクリロニトリルを湿式紡糸して得られたアクリル繊維原綿(東レ(株)登録商標:”トレロン”)(単繊維繊度0.8dtex、繊維長38mm)を、表2のとおり混紡率を変えて混紡し、これを綿紡方式により、撚数18.2T/2.5cmで19.6tex番手(綿番手30番単糸)の紡績糸を製造した(原糸表示は、Ac60/B40およびAc70/B30、Ac:アクリル繊維、B:竹セルロース繊維)。また、実施例1と同じ竹セルロース繊維100%の同一番手糸を紡績した(原糸表示:B100)。22Gダブルニット編み機に使用糸と交編糸を1本交互に配列されるように糸を仕掛け、両面スムースを編成した。染色加工は丸編みニットの通常標準工程条件で実施した(実施例7、8)。
【0121】
また別に、上記ポリアクリロニトリルを湿式紡糸して得られた原綿(単繊維繊度0.8dtex、繊維長38mm)100%からなる同一番手の紡績糸(原糸表示:Ac100)を製造した。この紡績糸(原糸表示:Ac100)を用い、22Gダブルニット編み機で両面スムースを編成した(比較例5)。また、上記の竹セルロース繊維100%紡績糸(原糸表示:B100)を用い、22Gダブルニット編み機で両面スムースを編成した(比較例6)。染色加工は実施例7、8の加工条件を変更しそれぞれの原綿使用編物の標準条件で実施した。
【0122】
得られた編地の性能評価を実施した。結果を表2に示す。表2の結果のように、実施例7と8の混紡、交織品は、明らかに品質と性能の向上が明認められた。これに対し、竹を原料とするセルロース繊維100%紡績糸使いの織物は、洗濯の寸法変化率がタテ方向とヨコ方向共に大きく、衣料品にしたとき実用上問題が発生するレベルであるのに対し、竹を原料とするセルロース繊維とアクリル繊維原綿との複合織編物はいずれも問題ないレベルであった。また、マイナスイオン発生量、吸湿性、抗菌・防臭性はアクリル繊維原綿100%品に比較していずれも優れているものであった。
【0123】
【表2】
【0124】
*1 SEK統一基準法による制菌活性値による評価
○:2.2以上 △:2.2以下、1.0以上 ×:1.0以下
*2 JIS1096におけるICI法5時間による。
【0125】
(実施例9)
栽培した中国産の竹を原料としてビスコース法により製造された再生セルロース繊維を、単糸繊度1.6dtex、繊維長38mmのステープルファイバーとし、これを用いて綿紡方式により、撚数20.2T/2.5cmで14.7tex番手(綿番手40番単糸)の紡績糸を製造した。このようにして得られた紡績糸にサイジングを施し、これをタテ糸としてエアージェット織機に仕掛けた。またヨコ糸には、PTT(ポリメチレンテレフタレート)とPET(以下、ポリエチレンテレフタレートということがある)のポリエステル系サイドバイサイド型コンジュゲート複合糸(PTT/PET=50/50)の半顕在3次元捲縮糸56dtex、24フィラメントを無撚で使用し、平組織に打ち込み生機織物を製造した。生機織物幅は173cm(経密度101本/2.5cm、緯密度96本/2.5cm)、竹繊維の比率は、74%であった。この生機織物を染色加工工程で処理した。まず、ソフサーにて60℃〜95℃の3槽のリラックス処理を施した。幅125cm、ヨコ密度97本/2.5cmであった。次にピンテンターで180℃有り巾でセットを行い、染色温度120℃で分散染料で染色を行い、温度を下げて98℃で直接染料浴で染色を行い、160℃仕上げセットし、幅121cm、ヨコ密度99本/2.5cmの複合織物を得た。得られた複合織物は、ヨコ方向に簡便法で28%のストレッチ性を示した。また、吸・放湿性△MR(30℃×90%RHにおける吸湿率と20×65%RHにおける吸湿率の差)は5.9%で、着用時における快適性レベルの吸湿性を有していた。当該複合織物を、JIS L0217の103法洗濯条件で5回洗濯後、JIS L1096「一般織物試験方法」に準じて洗濯後のしわおよび寸法変化率を測定した。外観変化は、レプリカとの対比によるしわの判定基準は3.5級を示し、寸法変化率は、タテ方向−1.1%、ヨコ方向+1.0%で合格範囲内であった。また、マイナスイオン発生量は2,000個/cm3であった。
【0126】
(実施例10)
吸水・速乾性のポリエステルとして、粘度IVが0.64のPETセミダルポリマーを用い、これを丸断面24フィラメント、6画断面24フィラメントの口金から紡糸し、3,000m/分で巻き取りPOY作成し、引き続いてT&T延伸、インドロー延伸による仮撚り加工、空気交絡をして1ヒーター加工のウーリー加工糸(167dtex、48フィラメントDTY)を生産した。このようにして得られたDTYに1,200T/mの追撚後、整経し、エアージェット織機のタテ糸に仕掛けた。またヨコ糸として、中国産の竹を原料としてビスコース法により製造された再生セルロース繊維を、単糸繊度1.6dtex、繊維長38mmのステープルファイバーとし、これを用いて綿紡方式により、下撚数20.2/2.5cm、双糸の上撚数18.2/2.5cm(下撚数の90%)で竹セルロース繊維100%紡績糸14.7tex番手/2(綿番手40/2)を製造した。このようにして準備したタテ糸とヨコ糸を用いて、2/2ツイル織物を製織した。
【0127】
得られた生機織物(複合織物)を精練リラックス、中間セット、苛性ソーダと減量促進剤の第四級アンモニア塩添加による液流減量加工、洗浄、仕上げセットの工程で染色加工し、無地染めに仕上げた。染色加工後の複合織物は、タテ/ヨコ密度がそれぞれ160本/2.5cm、71本/2.5cm、竹繊維比率80%であった。この複合織物の性能を評価した。生地の洗濯寸法変化率はタテ・ヨコそれぞれ+0.3%、−0.2%で、W&W性評価として行った洗濯、乾燥5回繰り返し後の洗濯による外観変化いわゆる皺のレベルは、判定基準としてのレプリカの防しわ性5段階による判定はクラス4レベルでW&W性を有していた。また機能性は、マイナスイオン発生量が5,000(個/cm3)、吸・放湿性△MRが5.7%、静菌活性値が3.0でそれぞれ効果有りの合格結果を得た。
【0128】
この生地(複合織物)を使用して婦人用スラックスを縫製し、実用性評価として、着用とJIS L2017の103法に準じ家庭用洗濯機によるネットに入れて、全自動洗濯機による水系洗濯を行った。洗濯脱水後の水切れは良く、べとつき感はなく室内吊り干し乾燥で十分であった。外観変化と寸法変化を確認した結果、外観は、軽くアイロンがけ程度で十分なW&W性と評価され、寸法変化はほとんどなかった。また着用の実感は、軽く、防しわ性があり、蒸れ感もなく快適であった。
【0129】
(実施例11、比較例7)
タテ糸に、実施例10のヨコ糸として使用した14.7tex番手/2(綿番手40/2)の竹セルロース繊維100%紡績糸を使用した。ヨコ糸には、次の仮撚加工糸を用いた。すなわち、ポリマーIVの異なる2種類をサイドバイサイド型複合口金から紡糸し延伸した伸度が43%の原糸特性を持つポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex、12フィラメン)と、IVが0.64のPETポリマーを3,000m/分で紡糸したPOY(90dtex、48フィラメント)とを引き揃えて、フリクションタイプの仮撚加工機でインタレース処理を行い、インドロー仮撚加工で複合加工糸(155dtex、60フィラメント)を得た。引き続いて該複合加工糸2本を引き揃え400T/Mの追撚、撚り止めセットを施して仮撚加工糸を得た。このようにして準備したタテ糸とヨコ糸を用いて、平組織のポプリンを製織した。
【0130】
得られた生機織物(複合織物)を染色加工し、無地染めに仕上げた。染色加工後の複合織物のタテ糸・ヨコ糸の密度は、それぞれ67本、50本/2.5cm、竹繊維の比率は70%で、ヨコ方向にストレッチ性を持つものであった。マイナスイオン発生量は3,000(個/cm3)、△MRは5.6%、制菌活性値は3.0また、W&W性の評価は、寸法変化率がタテ、ヨコそれぞれ0.6%、+0.3%、表面のしわレベルは3.5級の合格レベルであった。(実施例11)。
【0131】
比較として、実施例11のタテ糸に使用した竹セルロース繊維100%紡績糸をタテ糸とヨコ糸に使用し、竹セルロース繊維100%の織物を試作した。得られた織物のタテ糸とヨコ糸の密度は、それぞれ60本、55本/2.5cmでストレッチ性は全くなかった。またW&W性は全く劣るものであった。(比較例7)。
【0132】
上記実施例11と比較例7の2点の織物を、それぞれ婦人用スラックスに縫製し、実施例10と同様に洗濯による評価を実施した結果、実施例11の複合織物品は、寸法変化はほとんど無く、外観の変化もW&W性が認められるものであった。一方、竹セルロース繊維100%の織物は、洗濯乾燥したものは、しわがひどくそのまま着用できるものではなく、生地が伸びて型くずれし、ミシン糸のパッカリングを発生し外観変化の大きいものであった。
【0133】
(実施例12)
供試布として、ポリエチレンテレフタレートスパン糸(繊維構造物1g当たりの表面積が0.28m2、単繊維繊度1デニール、繊維長38mm)と、実施例1で用いた竹セルロース繊維の割合が50:50となるように混紡した13.1tex番手(英式綿番手45)の紡績糸を、タテ糸およびヨコ糸に用いた平織物(目付185g/m2)を作製した。
【0134】
この平織物に、次のとおり抗菌剤のコロイド化処理を行った。すなわち、抗菌剤50gとナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物20gおよびリグニンスルホン酸ナトリウム30gを水300gと共にスラリー化し、次いでガラスビーズを用いて湿式粉砕処理を施し、平均粒径1μmのコロイド状態の組成物を得た。なお、抗菌剤は2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛を使用した。また、架橋剤は、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素樹脂水溶液( 固形分20% )を、触媒として塩化マグネシウムを使用した。
【0135】
上記のように準備した平織物を、架橋剤100g/l、触媒15g/l、抗菌剤1.25g/lの処理液組成の加工液に浸漬し、絞り率80%でパディング後、130℃×90秒予備乾燥、次いで180℃×1分熱処理し、試料を作製した。この織物について、工業洗濯で50回の洗濯を実施した。その結果、抗菌性(MRSA)洗濯0回5.5に対し、洗濯後5.5を示し、防しわ性はレプリカ対比4級、洗濯による寸法変化率はタテ方向+0.2%、ヨコ方向+0.1%と良好な形態安定性を示すと共に、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を示すものであった。マイナスイオンは、洗濯前後とも1,500個/cm3の発生するものであった。
【0136】
【発明の効果】
また、本発明によれば、天然あるいは栽培による竹を原料とする竹繊維と合成繊維との複合化することによって、着用した際に快適性を実感できる吸・放湿による蒸れ感がない、汗をかいたとき吸汗によるべとつき感がない、身体の動きに追随して伸縮することによる圧迫感がない、あるいは実感としては感じにくいがマイナスイオンの発生による癒しの効果がある、さらには着用によってしわになりにくい、プリーツがとれにくい、家庭洗濯特に水系洗濯ができる、抗菌性や制菌性があり衛生的な、複合織編物が得られる。また、衣料用素材、衣料商品の製造や廃棄に少しでも環境負荷を少なくできるという要求に対応できる衣料用素材およびそれを用いた衣料商品に展開することができ、肌着、ドレスシャツなどの肌に近い着用の用途から婦人紳士のジャケット、パンツあるいはジーンズ用としてのカジュアル用途などの比較的上物用途の衣料としても好ましく用いることができる。また、これらの特性を有するため、スポーツ分野や老人の衣料、医療現場のワーキングウエア、介護衣料としても好ましく適用できるものである。さらにインテリア用途としての生活資材分野の布団側地、シーツ、カーテン、イス張り地などに対しても適用できる。また、染色加工において制菌加工と防縮加工と併用することによって、マイナスイオン効果を付加した耐工業洗濯耐久性のある複合織編物を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイナスイオンを安定的に発生するだけでなく、抗菌性、吸放湿性があり、さらにはプリーツ性やストレッチ性を有し、また洗濯における防しわ性に優れ寸法変化の少ない形態安定性をも併せ有する複合糸および複合織編物、特に衣料用織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、衣料用途に使用される織編物は、天然繊維や化学繊維のそれぞれの長所と短所を補完しあって複合(混用)され使用されている。具体的に例えば、天然繊維やセルロース系化学繊維を使用した織編物の場合は、一般的に湿潤下での繊維特性の変化が大きく、特に繊維自身が収縮するため縫製品としたときに寸法安定性が悪いこと、あるいは湿潤時のヤング率が低下するため洗濯によりシワが出来やすいこと、吸水性が大きく拡散性がないため洗濯の乾きが悪いこと、さらには張りや腰がないこと、また伸縮性がないこと等の問題を抱えている。これらの諸問題を解消する手段として、天然繊維やセルロース系化学繊維に、合成繊維を組み合わせて混用複合化することにより、合成繊維のもつ特性を付加し対処している。
【0003】
なお、セルロース系繊維を、衣料すなわちガーメントにして使用する織編物においては、染色加工工程で熱セットしてもガーメントの着用、洗濯における水系の湿潤状態でセルロース繊維が体積膨潤を起こし、長さあるいは幅方向に収縮したり、伸びる現象が生じるため、寸法安定性が悪いという欠点を有している。この現象は、綿や麻にも共通した問題点である。この収縮や伸びは織編物の種類によっては5〜8%に及ぶ場合がある。
【0004】
一方、合成繊維からなる織編物の場合は、吸湿性が少ないために衣料として着用したとき蒸れ感があり快適性に劣ることが最大の欠点である。これらの問題を解消する手段として、合成繊維に天然繊維やセルロース系繊維を混用して、それら天然繊維やセルロース系繊維の力を借り、欠点を補完している。
【0005】
また別に、インド産の竹を原料とするセルロースレーヨン繊維を含むセルロースレーヨン繊維糸に関し、その繊維糸の繊度、撚数あるいは範囲を規定し、従来のレーヨン糸を使用した織編物に比較して、張りおよび腰、皺やへたりなどの課題を改善する繊維糸が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、セルロースレーヨン繊維を合成繊維と複合混用する手段とその効果について具体的に開示されておらず、そしてマイナスイオンを発生し、竹を原料とするセルロース系繊維による耐洗濯性改善については言及されておらず、また新しい効果として伸縮性の付与等に関する新しい解決策を教示するものではなかった。
【0006】
また一方で、消費者の衣料に対する着用時の要求がいろいろと多様化し、清潔志向の高まりから抗菌や防臭あるいは防汚性に関する要求が大きくなってきている。
【0007】
また、地球温暖化防止等に係わる環境保全に対する意識の高まりから、環境保護対策としての衣料用繊維の開発および衣料化に対応しては、近年、トウモロコシやサツマイモを原料とする澱粉から生分解性繊維のポリ乳酸の開発が行われている。しかしながら、このポリ乳酸繊維の織編物の開発では、まだ染色や縫製段階の温度に耐え得る特性の繊維が得られていないため、依然して衣料用用途には対応できていない。
【0008】
さらに、地球温暖化や酸性雨などの環境問題の中で、特に都会における日常生活では、排気ガス等により空気中のプラスイオンが増加し、相対的にマイナスイオンが減少した結果、我々人体に対しては酸化腐敗、体内異常ならびに老化等の悪影響や、環境に対しても悪影響が生じていると言われている。すなわち、我々の身体や環境、植物や水までが弱酸性化している恐れがある。このような環境下において、不足しているマイナスイオンを作り出し、弱酸性状態の人体や環境等を中性状態やアルカリ性状態に還元していくのがマイナスイオン効果である。マイナスイオンは、自然界で水分の多い森林や滝壺、海岸線などに多く発生し、人々の心を安らげる癒し効果を発揮している。このようなマイナスイオンを発生するものとして、トルマリン鉱石や竹炭などが見出されているが、トルマリン鉱石などは、別名電気石と呼ばれ永久自発電気分極をしている物質で、外部からの応力でマイナスイオンを発生する。これに関し、例えば、微粒子化したトルマリンを有機繊維に固着もしくは含有させたエレクトレット繊維が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、元来、トルマリン自体が発するマイナスイオンは微弱であり、また、微粒子化したものを繊維への付着させる場合、付着量が3〜4%と微量なため、マイナスイオン効果はそれほど期待できないという問題があった。
【0009】
また、衣料用織編物としては、これまで数々のマイナスイオンを発生する製品が開発されているが、例えば、トルマリンとチタンやアルミナなどの焼結粉体を混入した繊維を使用することによって織編物にマイナスイオンを発生させることが提案されている(特許文献3参照。)。また、無機性多孔物質をバインダーと共に繊維表面に固着させ遠赤外線効果による保温とマイナスイオンを発生させることが出来ることが提案されている(特許文献4参照。)。また、竹、桐、月桃、熊笹あるいは茶等の天然物を繊維表面に固着させることによって、マイナスイオン、抗菌性、消臭性あるいは吸湿性等の機能を付与した繊維構造物についの提案もあるが(特許文献5参照。)、これらの天然物は粒状で繊維表面に付着させるものであるが故に付着量に限界があり、そのためその性能に限界があり、洗濯着用による耐久性に課題が残るものである。これらの公知例においては、清潔感を与えるための抗菌性や、人が着用した場合、快適と感じるための適度な吸・放湿性を同時に有する衣料用織編物を繊維自身が持つ性能で実現を可能にするアプローチについては試みがなかった。
【0010】
また、木材パルプを主原料とするセルロース系繊維は、いまだに多く生産され使用されており、その背景にある木材の伐採による環境破壊についてはなお対応は十分ではない。これに代わるセルロース系繊維として、コットンのリンターを原料とする銅アンモニアレーヨンであるキュプラが供給されているが、環境保全に対応できるセルロース系繊維を使用した織編物や衣料製品としては、なお十分でない状況にある。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−115347号公報
【0012】
【特許文献2】
特公平6−104926号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2000−73254号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2001−279574号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2002−235283号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、従来になかった高いマイナスイオン効果と、優れた抗菌性、さらに高い吸・放湿性を、同時に満足し、衣料あるいは生活資材分野の使用されるテキスタイルにおいて洗濯における防しわ性に優れ寸法変化の少ない形態安定性を有し、さらにプリーツ性やストレッチ性に優れた織編物を得るための複合糸を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、高い吸・放湿性、吸汗・速乾性、伸縮性等の着用時に実感できる性能や癒しの効果としてのマイナスイオンの発生、さらには着用時の防しわ性、耐プリーツ性および家庭洗濯特に水系洗濯が可能であること、また、抗菌性や制菌性があり衛生的で、かつ、繊維の製造と衣料の廃棄に少しでも環境負荷を少なくできる、竹繊維と合成繊維からなる新しい複合織編物とそれを用いた衣料品を提供することにある。
【0018】
特に本発明によれば、湿潤時の収縮特性を改善し、洗濯時の収縮や防皺性に優れ、乾きやすい等の特性を有する複合織編物が提供される。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次の構成を有するものである。
(1) マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなる複合糸であって、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3であることを特徴とする複合糸。
(2) 竹繊維が、マイナスイオンを発生する天然あるいは栽培した竹を原料とするビスコース法により製造された再生セルロース繊維を主成分とする繊維からなることを特徴とする上記(1)記載の複合糸。
(3) 合成繊維が、1〜8%のセラミックス粒子を含有する合成繊維であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の複合糸。
(4) 合成繊維が異型断面構造を有する合成繊維であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合糸。
(5) 合成繊維が中空率10〜40%の中空繊維であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合糸。
(6) 合成繊維が、ポリウレタン系弾性繊維およびポリエステル・エーテル系弾性繊維から選ばれた少なくとも1種の合成繊維であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の複合糸。
(7) 合成繊維が、サイドバイサイド型複合または芯鞘型複合によるコンジュゲート繊維であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の複合糸。
(8) コンジュゲート繊維が、ポリエステル系、ポリアミド系またはポリアクリル系いずれか一種のポリマーからなることを特徴とする上記(7)記載の複合糸。
(9) 竹繊維と少なくとも1種の合成繊維で構成された混繊糸および/または混紡糸であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合糸。
(10) 竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸からなることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の複合糸。
(11) 下記式で示される撚係数Kが5,000〜25,000の範囲のSあるいはZ方向の実撚が付与されていることを特徴とする上記(10)記載の複合糸。
【0020】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
(12) 合成繊維からなるフィラメント糸が、伸度差を有する2糸条のポリエステルマルチフィラメントを仮撚り加工して得られる芯・鞘構造嵩高性加工糸に撚係数Kが8,000〜25,000の実撚を付与された複合加工糸であることを特徴とする上記(10)または(11)記載の複合糸。
(13) 竹繊維からなるフィラメント糸またはスパン糸が、太さが50〜530dtexで、かつ撚係数Kが2,000〜25,000の範囲のSまたはZ方向の実撚が付与されている単糸または当該単糸が引き揃えられて単糸の実撚と反対方向に単糸撚数の80〜150%の実撚が付与されている糸条であることを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれかに記載の複合糸。
【0021】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
(14) 竹繊維からなるスパン糸が、単繊維繊度10〜20dtexの合成繊維モノフィラメントあるいは10〜100dtexの合成繊維マルチフィラメント糸と、撚係数Kが3,000〜15,000の範囲のSまたはZ方向の実撚で合撚されていることを特徴とする上記(10)〜(13)のいずれかに記載の複合糸。
(15) 上記(1)〜(14)のいずれかに記載の複合糸を用いてなる複合織編物。
(16) 竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を交編織してなる織編物であって、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3であることを特徴とする複合織編物。
(17) 水系洗濯による寸法変化率が±2%以下であることを特徴とする上記(15)または〜(16)記載の複合織編物。
(18) 工業洗濯条件の洗濯による寸法変化率が±3%以下であることを特徴とする上記(15)〜(17)のいずれかに記載の複合織編物。
(19) 染色加工で抗菌あるいは制菌加工処理および/または防縮加工されたことを特徴とする上記(15)〜(18)のいずれかに記載の複合織編物。
(20) 上記(15)〜(19)のいずれかに記載の複合織編物からなる衣料品。
(21) 上記(15)〜(19)のいずれかに記載の複合織編物からなるワーキングウエアであって、工業洗濯による寸法変化率と制菌性が原布の性能の80%以上維持することを特徴とする衣料品。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明らは、前記課題、つまり従来になかった高いマイナスイオン効果と抗菌性と吸放湿性を有する竹繊維を含有する複合糸および複合織編物について鋭意検討し、マイナスイオンを発生し、抗菌性および吸放湿性を有する竹繊維で複合糸および複合織編物を作ってみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。更に本発明は、セルロース系繊維の特質であると考えられる湿潤時の繊維特性の変化、特に湿潤ヤング率の低下、膨潤性に係わる湿潤下で寸法変化が大きく、またしわになりやすいなどの欠点を解消し、かつ、セルロース系繊維では不可能なプリーツ性、ストレッチ性に優れた効果を併せ持つテキスタイルを得ることを可能にした。
【0023】
本発明の基本は、マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用することにあり、その際、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3、すなわち、竹繊維を90〜30重量%含有させることが重要である。
【0024】
本発明の一つの典型的な態様は、天然あるいは栽培された竹を原料とする竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)と、少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)を混用し、両者を含む複合糸とすることである。
【0025】
また、本発明の他の一つの態様は、竹繊維と少なくとも1種の合成繊維を混用し、両繊維で構成された混繊糸および/または混紡糸として複合糸とすることである。
【0026】
本発明においては、上記構成の複合糸を製編織することで、竹繊維と合成繊維を混用した複合織編物とすることができるが、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)と、少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸(糸条)を、交編織することによって、竹繊維と合成繊維を混用した複合織編物とすることもできる。本発明の複合織編物においては、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)を0.9〜0.3にすることが好ましい。
【0027】
本発明は、衣料用繊維素材と衣料品の製造や廃棄に少しでも環境負荷を少なくできるという要求に対応するため、従来の木材パルプを原料とするセルロース繊維に代えて、天然あるいは栽培による竹繊維を使用し、その竹繊維と合成繊維とを混用複合化して、両者の相乗効果を得るものである。本発明では、必要に応じて、上記の竹繊維に加えて、綿、麻あるいはケナフ等のセルロース系天然繊維を併用することもできる。
【0028】
このように構成することにより、本発明による複合織編物は、衣料に適用した際に、快適性を実感できる吸・放湿による蒸れ感がないこと、汗をかいたとき吸汗によるべとつき感がないこと、身体の動きに追随した伸縮による圧迫感がないこと、あるいは実感としては感じにくいがマイナスイオンの発生による癒しの効果があること、さらには着用によってしわになりにくいこと、プリーツがとれにくいという性能に加え、抗菌性や制菌性があり衛生的であること、家庭洗濯特に水系洗濯ができるため、従来の溶剤系ドライクリーニングを必要とする繊維素材に対して、環境保全に対応できる素材を使用できること、等の優れた利点と効果を有するものである。
【0029】
以下、本発明の複合糸およびそれからなる複合織編物と衣料品について詳細に記載する。
【0030】
本発明で用いられる竹繊維としては、天然に生育する竹あるいは栽培された竹を原料とし、これらから繊維束として取り出したもの(竹繊維束)や、天然に生育する竹あるいは栽培された竹を原料として用い、ビスコース法により製造された再生セルロースを主成分とするセルロース系繊維が挙げられる。ビスコース法の場合、竹をアルカリ及び二流化炭素と反応させ、アルカリデンサートとして苛性ソーダに溶解して紡糸し、セルロースを凝固・再生することにより製造する。他の製法としては、銅アンモニア法、直接溶解法や、アセテートなどの半合成繊維としても製造することができる。本発明では、竹繊維として、上記のセルロース系繊維が好適である。かかるセルロース系繊維は、フィラメント糸あるいはスパン糸(紡績糸)の形態で使用することができる。
【0031】
上記の竹繊維は、例えば、竹繊維100%を使用して紡績した糸として、またはビスコース法による竹セルロース成分100%で製造した繊維(原綿)を使用して紡績した糸として、あるいは、これらの繊維と他の繊維、例えば、天然繊維、他のセルロース系化学繊維、または合成繊維等とを混用した混紡糸や混繊糸のような適宜の形態で使用することができる。通常、100%の竹繊維は、抗菌性と吸放湿効果を有することに加えて、癒しの効果として機能するマイナスイオンを20,000個/cm3程度発生する特徴があるので、それを合成繊維と複合混用して複合糸または複合織編物とし、竹繊維と合成繊維の特徴をできるだけ有効活用する設計が重要である。
【0032】
衣料用の複合織編物に好適に使用される、竹繊維からなるフィラメント糸の場合、単繊維繊度は好ましくは1.1〜15dtexの範囲、より好ましくは1.5〜11dtexの範囲であり、そして、そのトータル繊度は好ましくは20〜550dtexの範囲、より好ましくは30〜530dtexの範囲、更に好ましくは30〜450dtexの範囲である。
である。
【0033】
また、竹繊維からなるスパン糸の場合は、通常の用途に応じ紡績方式を選択して紡績したスパン糸を適用することができる。例えば、従来の綿紡式であれば、綿繊維の繊度と繊維長を基本に、単繊維繊度を好ましくは1〜3dtexの範囲、より好ましくは1.3〜2.5dtexの範囲とし、そして繊維長さを好ましくは20〜60mm程度、より好ましくは28〜50mm程度、更に好ましくは35〜50mmの範囲の原綿とすれば良く、竹繊維をこのような短繊維として得ることにより、綿やセルロース系化学繊維あるいは合成繊維との混紡が可能となる。 また、スフ紡式においては、レーヨン原綿の紡績のように、単繊維繊度を好ましくは1〜5dtexの範囲、より好ましくは1.5〜4.5dtexの範囲とし、そして繊維長さを好ましくは40〜80mm程度に、より好ましくは50〜75mm程度の範囲の原綿とすれば良い。これらの綿紡式紡績およびスフ紡方式において使用される精紡機としては、従来から一般的なリング精紡機が使われているが、それに替えてリング・トレベラーを使用しない結束精紡機を使うことが好ましい。この結束精紡機を用いることによって、ドラフトゾーンからでてくるフリースの表層繊維を、旋回ノズルによる渦流空気によって巻き付けて撚りの代わりとする旋回紡績糸(通常MVSと呼称)とすることができる。このような旋回紡績糸とすることにより、従来2.5dtex以下のような細繊度短繊維使用紡績糸の編物で品質的問題であったピリングの発生を抑える効果があることが判明した。この方式も、本発明において、好ましい様態として包含される。
【0034】
また、梳毛紡式の場合は、羊毛繊維の紡績のように、単繊維繊度を好ましくは2〜8dtexの範囲、より好ましくは2.5〜7dtexの範囲とし、そして繊維長さを好ましくは60〜120mm程度、より好ましくは65〜114mm程度の範囲の原綿とすれば良い。紡毛、絹紡および麻紡式紡績についても、上記と同様である。その他の紡績方法として、紡糸、延伸工程で得られる短繊維に切断する前の繊維束(通常トウと称する)を使用する紡績方式、いわゆるトウ紡績も採用することができる。トウ紡績においては、パーロック、ターボステープラ等の牽切機およびアッテネータ機を使用して切断し繊維長を長くすることができるので、短繊維繊度の太いものを使用することができる。これは、単繊維繊度が太いので断面二次モーメントが大きく、ヤング率との比例関係で捻りや曲げ剛性を大きくできるので、張りや腰、反発性のある織編物が得られる。また、繊維が長いため紡績糸においては、毛羽が少ないこと、切断強度が工程通過性に問題ない範囲で撚り数を減少出来ることから、フィラメント様の光沢やなめらかな風合いの織編物が得られ、繊維の短いスパン糸の織編物とは風合いや外観面で全く異なる効果が得られる。これも、本発明の好ましい様態として包含される。
【0035】
竹繊維からなるスパン糸は、単糸は織編物においてピリングを発生しやすいので双糸で使用することが推奨できる。通常に使用に適する太さ(番手)は、用途に適する織編物によって異なるが、好ましくは5.9〜59tex番手、より好ましくは、7.3〜36tex番手である。そして、紡績糸の撚り数は、少ないほど風合いがソフトで好ましいが、強度やピリング等の物理特性問題があるため、風合いを損なわない範囲で多くする。さらに、ピリングの向上には、単糸を引き揃えて双糸として使用することが出来る。双糸の撚り方向は、単糸の撚り方向と反対にし、撚り数は単糸撚り数の80〜150%の範囲内で選択することが好ましい。
【0036】
また、竹繊維からなるフィラメント糸の場合は、スパン糸のようなピリング発生の問題は少ないが、織編物を衣料とし着用の段階で毛羽が発生するとピリングを発生し易いので、スパン糸と同様のより条件を適用することが好ましい。
【0037】
このピリング対策としてより効果をあげるためには、竹繊維のスパン糸を、ポリエステルやナイロン等の合成繊維からなる単繊維繊度10〜20dtexのモノフィラメントあるいは10〜100dtexのマルチフィラメント糸と、撚係数Kが3,000〜15,000の範囲のSまたはZ方向の実撚で合撚した糸条に、複合することが好ましい。
【0038】
ピリングは、スパン糸の表面の毛羽が、ガーメントの着用時に織編物を構成する糸条の中から滑り出てくるため順次絡まって毛玉に発展することが原因とされている。このピリングを防止する方法としては、他に、スパン糸の撚数を多くしてスパン糸の中から繊維がすべりにくくすること、染色加工工程で毛焼きや化学薬品処理によって織編物表面での毛羽を短くカットしておく等の方法がある。しかしながら、これらの方法は、織編物の風合いや光沢等の質感を変化させることがあるので、注意深く適用する必要がある。
【0039】
竹繊維からなるフィラメント糸またはスパン糸としては、好ましくは太さが30〜550dtex(紡績糸は換算繊度)で、かつ撚係数Kが2,000〜25,000の範囲のSまたはZ方向の実撚が付与されている単糸または当該単糸が引き揃えられて単糸の実撚と反対方向に単糸撚数の80〜150%の実撚が付与されている糸条が好ましく用いられる。
【0040】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
上記のフィラメント糸またはスパン糸の太さは、より好ましくは50〜300dtexであり、また、撚係数Kはより好ましくは3,000〜23,000である。
【0041】
スパン糸の糸番手、撚方向および撚数は、合成繊維と複合して複合織編物を構成したとき期待される特徴や効果を得られる複合糸構造にするため、使用する複合技術に適したものするための要件として選択することが重要である。例えば、ブラウスやシャツ地用の織物として、竹繊維100%からなるスパン糸使いの織物を用いた場合は、湿潤時の繊維のヤング率が低下するため、洗濯すると皺がつきやすくW&W性に劣り、また湿潤すると繊維が膨潤し織物を構成するスパン糸の交錯点で繊維収縮が大きく、乾燥したときテキスタイル(織物、編物)が収縮や伸長を起こし、寸法変化するため安定性が悪い。このような課題は、合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を、竹繊維からなるスパン糸と併用(または混用)することによって解決することが可能である。
【0042】
次に、本発明で用いられる合成繊維からなるフィラメント糸とスパン糸の好ましい様態について説明する。
【0043】
フィラメント糸やスパン糸を構成する少なくとも1種の合成繊維は、好適にはポリエステル系、ポリアミド系またはポリアクリル系の合成繊維、あるいはポリウレタン系やポリエーテル・エステル系の弾性繊維等から選ばれるが、寸法安定性の点からポリエステル系合成繊維が最も好適である。ポリエステル系合成繊維として、ポリエチレンテレフタレート(2GT)やポリトリメチレンテレフタレートポリマー(3GT)あるいはポリブチレンテレフタレート(4GT)からなる通常の延伸糸、POYスタートの原糸、さらには3GT単独あるいは他のポリマーとの組み合わせによるコンジュゲート複合糸も好ましく適用することができる。竹繊維と混用する合成繊維の太さの範囲としては、フィラメント糸の場合好ましくは20〜350dtexであり、スパン糸の場合英国式綿番手で好ましくは5番〜100番の範囲で、太さは混用率や製品効果の設計によって選択する。
【0044】
その糸条形態としては、合成繊維フィラメント糸の仮撚加工糸が適している。仮撚加工糸としては、捲縮復元率CRが好ましくは10〜35%、伸縮伸長率が好ましくは20〜40%の加工糸特性を有することが有利である。仮撚加工糸を、竹繊維からなる糸条と交織や交編した織編物は、仮撚加工糸の嵩高捲縮特性や繊維収縮が低いことによる構成糸の拘束力が大きくなること、さらには染色工程での熱セット性によって湿潤時の寸法安定性が良く、タテまたはヨコ方向の伸縮率が少なくとも3%の伸縮性を有する織編物を得ることが可能となる。加えて、竹繊維のみからなる織編物では不可能なプリーツ性が可能となり、防しわ性にも優れた効果が付与される。
【0045】
本発明で使用される合成繊維には、セラミックス粒子を含有させることができる。このセラミックス粒子は、合成繊維の溶融紡糸時に配合させることができる。合成繊維に対するセラミックス粒子の配合量は、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1.5〜6重量%である。セラミックス粒子の種類は、最も一般的に使用される酸化チタンや炭化カルシュウムのほか、発色性改善に使用されるコロイダルシリカ、ジルコニアやカオリンを好適に使用することができる。
【0046】
セラミックス粒子添加した合成繊維を使用することによって、発色性や吸水性の向上効果、および吸熱保温や風合い面でのドライ感等の効果が得られ、また、付帯的な効果として、防透け性と紫外線吸収効果が得られる。セラミックス粒子の大きさは、ドライなタッチや防透け性あるいは紫外線吸収効果を目的にするときは、好ましくは0.1〜0.2μを平均直径とする粒子を使用し、また、発色性を目的とするときは、さらに粒子径を小さく0.02〜0.04μを平均直径とする粒子を使用することが好ましい。
【0047】
また、本発明で使用される合成繊維は、繊維の横断面において異型断面構造を有するものであることが好ましい。異型断面構造の合成繊維を用いることにより、毛細管構造による吸水性により吸水拡散性が大きくなり、着用時のべとつき感をなくし、水系洗濯の乾燥時間を低減することが可能となる。異型断面は、紡糸口金の吐出孔の形状を変化させることによって得られるもので、繊維断面には凹凸があり、その凸部と凹部がそれぞれ3〜8個を有するものが好ましい。断面形状は、特に単一形状に拘らず、複数形状が混合されたものであっても良い。紡糸方法は、海島型や割繊型の異ポリマー複合口金による複合紡糸方法であってもよい。また、紡糸と延伸方法に関しては、直紡、いわゆる5,000m/分以上の高速紡糸により得られる糸条や、紡糸速度1,000〜4,500m/分で得た未延伸糸あるいは高配向未延伸糸を、延伸または延伸仮撚りして得られる原糸が好ましく用いられる。
【0048】
また、本発明では合成繊維として中空繊維を用いることによって、繊維の剛性が大きくなり染色加工時のセルロース系繊維の湿潤ヤング率低下を補完し、交錯点で収縮し難く曲げ反発性によって皺がっできにくいため、寸法変化率を小さくすることができる。また、中空繊維とすることによって、織編物に軽量感とハリ、腰、および反発性を付与することができる。
【0049】
中空繊維は、その繊維横断面において中央部分がくり抜かれたチューブ状繊維であり、その中空率は、好ましくは10〜40%の範囲がよく、より好ましくは20〜35%である。中空繊維としては、紡糸口金形状が例えば3〜4穴スリット型から得る中空を有する繊維として製造されたタイプのものが好ましい。中空は繊維横断面に1穴のものであってもよく、複数穴(例えば、田型のもの)の中空糸であってもよい。また、2種以上のポリマーを使用し芯鞘型による複合紡糸で得た原糸から、後工程で芯成分を溶出し、中空構造原糸となる構造であっても差し支えない。
【0050】
また、本発明で用いられる合成繊維からなるフィラメント糸とスパン糸の騰水収縮率は、好ましくは8〜25%であり、より好ましくは10〜20%である。
【0051】
また、本発明で用いられる合成繊維は、サイドバイサイド型や芯鞘型複合によるコンジュゲート繊維、特に3次元捲縮発現型コンジュゲート繊維であるとさらに好ましい。3次元構造発現型コンジュゲート繊維は、少なくとも2種のポリマーを使用し、複合紡糸口金からサイドバイサイドあるいは芯鞘型に紡糸して得られる複合糸である。この複合糸としては、延伸糸からなる織編物を染色工程の熱処理によってリラックス熱処理する段階で、3次元捲縮を発現する潜在捲縮型原糸が好ましい。使用されるポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系やナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系等のポリマーのような繊維形成性ポリマーの中から極限粘度の異なるポリマーを用いてコンジュゲート繊維とするのがよい。特に、ポリエステル系のポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートの極限粘度差のあるポリマーを組み合わせて紡糸して得られる複合糸が、捲縮の発現性、染色加工性と捲縮発現による伸縮性効果の面で優れている。
【0052】
この3次元捲縮発現型コンジュゲート繊維からなる原糸は、それを撚糸せずに使用して製編織し染色加工工程で潜在捲縮を発現させることにより、あるいは追撚を施した原糸を交織や交編し染色工程で捲縮を発現させることにより、併用したセルロース系繊維の湿潤時の膨潤との相乗効果によって、織編物を構成する糸条の交差点の拘束安定性が増加する構造となり、複合織編物の性能を向上させることができる。すなわち、3次元捲縮発現型コンジュゲート繊維からなるコンジュゲート糸を用いることにより、織編物の寸法安定性が良くなり、そしてストレッチ性の付与や、コンジュゲート糸の追撚効果によって惹起する糸条の長さ方向の中心部に発生する中空構造により、ストレッチ性、反発性および軽量性の効果が付与される。
【0053】
後述する本発明の複合織編物の構造は、タテとヨコや配列による織編物組織でよいが、追撚したコンジュゲート糸を使用の場合、表裏リバーシブル組織にすることによって、さらにその効果を発揮させることができる。
【0054】
竹繊維との複合に好適な合成繊維フィラメント糸として、伸度差を有する2糸条のマルチフィラメントを仮撚り加工して得られる芯・鞘構造嵩高性加工糸に、撚係数Kが好ましくは8,000〜25,000の実撚、より好ましくは1,000〜20,000の実撚を付与された複合加工糸が挙げられる。マルチフィラメントとしては、ポリエステルマルチフィラメントが適している。
【0055】
この複合加工糸は、織編物に表面感や、タッチの点でスパン感覚の質感を付与することができ、竹繊維との組み合わせ効果の面で極めて相性が良く、そして、上述の仮撚加工糸の収縮特性や捲縮特性をも備えているため、織編物性能として安定した効果を持たせることができる。この複合加工糸は、伸度特性の異なる延伸糸やPOYを複合仮撚り加工したもの、あるいはインターレースやタスランで単繊維間を混繊・交絡した形態であっても差し支えなく、3次元捲縮を発現する原糸であればさらに好ましい。
【0056】
複合加工糸の好ましい様態の例を挙げると、2種以上の伸度特性の異なる原糸を引き揃えて仮撚加工を行って得られる糸長差を有する構造加工糸が代表的なものである。当該複合加工糸は、高配向未延伸糸と低配向未延伸糸とを引き揃えて仮撚り加工するか、あるいは延伸糸と高配向未延伸糸とを引き揃えて仮撚り加工することによって、配向の大きい方の原糸が複合加工糸の芯部に位置し、そして配向の小さい方の原糸が、仮撚り加工工程の加撚時に撚りによって延伸されて糸長が長くなって鞘側に位置する構造の加工糸となるものである。
【0057】
このような複合加工糸は、鞘側の単繊維が捲縮の大きさが異なるために、追撚を加えることによって芯側の原糸の周りに不規則に巻き付くため、表層に単繊維のたるみのバラツキが生じ、スパン構造的な様相を呈するものである。この芯側と鞘側との糸長差は、引き揃えられる原糸の配高度差があるほど大きくなる。例えば、ポリエステル系ポリマーを、紡速1500m/分で溶融紡糸して得られる未延伸糸を4倍程度で延伸すると、30〜40%の伸度を有する延伸糸が得られる。また、同ポリマーを、3,000m/分の高速紡糸すると、伸度が150〜160%の高配向美延伸糸が得られる。この2種類の原糸を引き揃えて仮撚加工することによって、糸長差30〜40%の芯鞘構造加工糸を得ることができる。
【0058】
さらに、当該複合加工糸を得るために、引き揃える原糸の品種として、配向の高い原糸にサイドバイサイド型原糸を使用することによって、伸縮性の高い複合加工糸が得られる。また、低配向側の原糸に、例えば、毛細管構造をもつ異型断面高配向原糸を使用することによって、吸水効果を有する複合加工糸が得られる。使用する複合糸のトータル繊度としては、竹繊維の繊度との関係で、織編物の目付や、厚さに必要な条件を満たすように選択することができるが、一般的には70〜350dtexが好ましく、より好ましくは90〜300dtexである。
【0059】
本発明の複合糸は、上述のとおり、竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなるものであり、その際、織編物における竹繊維の効果であるマイナスイオン発生量、抗菌性、吸放湿性を達成する基本的な要素として、竹繊維の混用率が重要であり、竹繊維と合成繊維の混用比が0.9〜0.3となるように竹繊維含有させる。竹繊維は好ましくは40重量%以上混用することが好ましい。
【0060】
複合糸の形態は、織編物に使用し、構造体を形成したときに竹繊維の特長を生かし、短所を相手繊維が補完するような複合構造にすることができる複合技術を採用することが好ましい。すなわち、複合の条件は、竹繊維の特徴、複合相手繊維の特徴を生かし、あるいはそれぞれの繊維の欠点を補完するための複合糸の構造に求められる竹繊維の品種、複合相手の品種と複合条件の選択により実施することが好ましい。
【0061】
この竹繊維からなるスパン糸および/またはフィラメント糸と、合成繊維からなるスパン糸および/またはフィラメント糸を複合する方法としては、長繊維の撚糸で一般的に使用される合撚機で実施することが可能であるが、スパン糸の製造工程で使用される合撚機で撚糸する方法および合糸後ダブルツイスターで撚糸する方法が、高品質の複合糸を得る手段として好適である。また、別の複合方法として、紡績工程の精紡工程においてフロントローラから供給して行う精紡交撚方法も推奨できる。また、当該複合においては、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を、ポリウレタン系またはポリエステル・エーテル系の弾性糸と組み合わせることにより、優れたストレッチ性効果を得ることが可能であり、また、カバーリング方式によって撚糸する方法も実施することができる。ここで、織編物の寸法安定性をさらに良くするために、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸とポリウレタン系またはポリエーテル・エステル系弾性糸との組み合わせに、さらにポリエステル系繊維糸を加え、これらの3本複合糸として使用することが推奨される。
【0062】
本発明の複合糸においては、下記式で示す撚係数Kが5,000〜25,000の範囲のSあるいはZ方向の実撚が付与されて2糸条以上から構成されていることが好ましい。
【0063】
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算)
撚係数が5,000以下では、複合糸の構造が竹繊維のフィラメント糸あるいはスパン糸との形態が不十分で工程通過性が良くないので好ましくない。また、撚係数が25,000以上では、複合糸の巻き付き形態が強く風合いが固くなりすぎるので好ましくない。
【0064】
本発明の複合糸では、本発明の効果を妨げない範囲で、更にその他の繊維を混用することができる。その他の繊維としては、例えば、マイナスイオンを発生させるその他のセルロース系繊維として、天然繊維である月桃、ケナフ、亜麻(リネン)・苧麻(ラミー)、***を原料とした繊維を挙げることができる。
【0065】
次に、本発明の複合織編物について説明する。本発明の複合織編物は、上述の複合糸を製編織することで得ることができる。また、本発明の複合織編物は、竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と、少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を、交編織することによって得ることができる。
【0066】
複合織編物の構造または組織としては、織物、丸編、横編および経編等が挙げられる。複合織編物の設計は、マイナスイオンが好ましくは1,000個/cm3以上発生する要件と、水系洗濯の寸法変化率を好ましくは±3%以下、より好ましくは±2%以下にする要件に対応し、使用する原糸と織編組織、糸の配列等の組み合わせにおいて決定することが好ましい。
【0067】
水系洗濯は、パークレン系あるいは石油系有機溶剤によるドライクリーニングと異なり、常温水あるいは温水に洗剤を溶解し手洗いや洗濯機で洗濯を実施するものである。その洗濯の方法、条件は、JIS L0217「繊維製品の取り扱いに関する表示記号および表示方法」おいて提示されているものを使用する。
【0068】
すなわち、本発明の複合織編物またはそれを縫製等して得られたシャツ等のガーメントをネットに入れて家庭用全自動洗濯機で洗濯したとき、寸法変化率および外観変化がW&W性を有するものである。W&W性の判断は、上述のJIS L0217に示される洗濯条件で実施し、JIS L1096の寸法変化および同付属書16(規定)「繊維製品−家庭洗濯および乾燥後のデュラブルプレス生地の外観評価方法」における生地の平滑性の等級付けによって実施するものである。W&W性は、寸法変化率が±2%以下、外観変化等級DP−3.5以上を合格として判断する。
【0069】
また、上記のように、マイナスイオンが好ましくは1,000個/cm3以上発生し、水系洗濯の寸法変化率が±2%以下である複合織編物とすることによって、従来の一般衣料に比較して、着用時に快適で、また洗濯頻度の高い日常衣の場合はドライクリーニング限定でなく家庭で水洗濯できるために取り扱い性に優れ、さらには省資源、環境保全効果に寄与することができる。
【0070】
また従来、各種衣料、芯地、裏地、寝装製品およびインテリア製品などには、抗菌性を付与した織編物が利用されている。特に、近年、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(以下、「MRSA」という。)による病院内感染が問題となっており、その対策として白衣、カバー、シーツあるいはカーテンなどにはMRSA対応の抗菌性を付与することが望まれている。しかしながら、これらの用途では通常60〜85℃の工業洗濯を多数繰り返されるため、従来技術では十分な耐久性を有するものはほとんど得られていない。また、それらがセルロース系繊維を含有する場合には、洗濯後の形態安定性が劣る点も問題となっていた。
【0071】
そして抗菌処理には、銀、銅あるいは亜鉛などの無機系抗菌剤を合成繊維の紡糸段階で練り込む方法と、第四級アンモニウム塩などの有機系抗菌剤をスプレー処理あるいはパディング処理して付与する後加工の方法が主としてとられてきた。前者の場合、洗濯耐久性という面では優れているが、編織物上での加工が不可能である。また、紡糸段階で口金面に抗菌剤が結晶として析出するため、糸切れが多発するなどの製糸上の問題があった。一方、後者の場合、織編物上で抗菌加工ができるという利点はあるものの、抗菌性の耐洗濯耐久性という面では劣っていた。
【0072】
また、これらの用途では、工業洗濯に対し耐久性に優れた抗菌性を有し、かつ、防しわ性と防縮性等の形態安定性能を有する織編物ニーズが大きい。本発明では、セルロース系繊維として抗菌性を有する竹繊維を使用した合成繊維との複合織編物に、染色加工で抗菌あるいは制菌加工処理および/または防縮加工を施すことによって、持続的な効果を持った織編物とすることができ、一般的な用途から工業洗濯条件による耐久性の必要な用途への展開を可能ならしめたのである。
【0073】
すなわち、本発明の複合織編物は、工場やオフイスの作業服、医療現場の看護用服あるいは高齢者介護用衣料等に広く対応することができ、そして、この工業洗濯条件の洗濯による寸法変化率が好ましくは±2%以下の性能を持つ複合織編物とすることが可能となる。そのためこの複合織編物を縫製した看護衣等のワーキングウエアは、工業洗濯によっても、寸法変化率と制菌性を原布の性能の80%以上を維持する衣料品として展開することが可能となる。本発明における工業洗濯条件の基準としては、界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回で50回実施することを採用する。
【0074】
本発明の複合織編物の製編織の方法は、従前から行なわれている方法が適用可能で、交織あるいは交編による方法で実施することができ、あるいは混紡糸や混繊糸等の複合糸を製編織する方法で実施することができ、特に制約されない。
【0075】
複合織編物での寸法変化を小さく、その複合織編物を使用したガーメントの水系洗濯での寸法変化や外観変化を少なくするため、織編物構成は、タテ糸やヨコ糸の糸種および組織の設計や選択が極めて重要である。竹繊維からなるフィラメント糸やスパン糸は、熱水中での繊維収縮と体積膨潤収縮が大きいため、織編物の構造、特に糸条の交錯点で、それらの収縮と膨潤に対し拘束力を発揮できる合成繊維との組み合わせが必要である。本発明者らが、このような拘束力を発揮できる合成繊維に必要な要素について種々検討したところ、繊維収縮力が低いこと、繊維収縮力が高くとも体積を増加すること、剛性が高いこと、あるいは摩擦による滑りが小さいこと、さらには竹繊維の収縮を押さえる染色加工を施すこと等が重要であることを見いだした。
【0076】
ここで、本発明の複合織編物を構成する要素について説明する。本発明の複合織編物においては、タテ糸やヨコ糸に使用する複合用合成繊維の機能性と効果を明確にして、複合織編物を構成することが重要である。
【0077】
まず、複合織編物においては、竹繊維と合成繊維が、交織または交編、あるいは混紡等複合使用されている。合成繊維の比率は、複合織編物に対して、20重量%以上80%重量以下が好ましく、30〜70重量%の範囲がさらに好ましい。この竹繊維の混用比率が少なすぎると、本発明で目的とするマイナスイオンの発生、抗菌性、吸放湿性の特性が満足されなくなる傾向にあり、また、竹繊維の混用比率が大きすぎると、水系洗濯における寸法変化が大きくなるので好ましくない。
【0078】
スパン糸の場合は、予め竹繊維と合成繊維が混紡された混紡糸であっても良い。 上記のように、竹繊維を合成繊維と混用することにより、マイナスイオンが好ましくは1,000個/cm3以上発生し、より好ましくは2,000個/cm3以上発生し、かつ湿潤時の寸法変化率を±2%以下の複合織編物を得ることができる。混紡用に使用される合成繊維の短繊維の好ましい特性としては、竹繊維の強度や伸度特性を補完することができること、湿潤時の膨潤収縮に対応できる収縮特性を有すること、抗ピル効果があること、中空や太繊度の剛性に優れていること、収縮効果による体積増加でふくらみを出せること、3次元捲縮を発現するもの、セラミック粒子を添加できるもの、あるいは極細繊維で柔軟性が出せること等が挙げられる。
【0079】
本発明の複合織編物においては、竹繊維が、複合織編物の少なくとも一方の表面の面積中の10%以上を占めていることが好ましく、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上を占めるように、織編設計されていることが好ましく、このように設計することによって、本文で定義するイオン発生量の測定法により測定したときに、複合織編物から1,000個/cm3以上のマイナスイオンが発生するようにできる。竹繊維が少なくとも一方の表面の面積中の10%以上を占めるという状態は、例えば、タテ糸およびヨコ糸共に竹繊維と合成繊維との混用比率が0.5/0.5である複合糸を使用した平織の織物の場合、重量比において両面とも竹繊維は50%を占める。また、バックサテン組織で当該複合糸を表地に用い、他の繊維糸条を裏地に用いてサテン織物とした構造においては、竹繊維が表の組織における重量比で50%を占めることを意味している。
【0080】
本発明の複合織編物は、染色加工で抗菌加工や洗濯による寸法変化を改善する加工を付与することができ、さらにその性能を高めることが出来る。
【0081】
次に、その対応技術を例示する。一例として、洗濯による形態安定性と工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を有する繊維構造物を得る技術としては、特開2000−008275号公報に記載の技術を適用することができる。また、他の抗菌性付与加工技術としては、特開2000−303357号公報に記載の技術を適用することができる。当該技術内容は、セルロース系繊維と合成繊維とからなる繊維構造物であって、該セルロース系繊維が下記式で定義される架橋指数が1〜4の範囲で架橋改質されたものであり、かつ、該合成繊維が分子量200〜700、無機性/有機性値=0.3〜1.4、平均粒径2μm以下であるピリジン系抗菌剤を含むものであることを特徴とする抗菌性繊維構造物であり、
架橋指数 = ( A − B )
ここで A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)。
【0082】
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質後の繊維構造物の吸湿率(%)
を骨子とする染色加工において実施されるものである。
【0083】
セルロース系繊維は、次のような架橋剤により架橋改質されているものが好ましい。ここでいう架橋剤は、セルロース系繊維を構成しているセルロース分子中の水酸基、とりわけ洗濯時のしわ、収縮の原因となる非晶領域にある水酸基と反応し、セルロース分子間および分子内に架橋を形成することが可能な化合物のことであり、具体的には、ホルムアルデヒド、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロピレン尿素、これらのメチロール基の一部または全部をメトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等が挙げられる。これらの架橋剤の中でも、セルロース系繊維の架橋改質をより効率的、効果的に行うためには、ホルムアルデヒド等の化合物が好ましく用いられる。
【0084】
セルロース系繊維の改質の程度は、架橋指数が1〜4の範囲内であることが好ましく、2〜3.5の範囲内がより好ましい。かかる架橋指数は、架橋改質後のセルロース系繊維の温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下で吸湿率の値から温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下で吸湿率の値を差し引いて算出されるものであり、セルロース系繊維がどの程度架橋改質されているかを知る上での指標となる。すなわちこれは、架橋改質によりセルロース分子中の水酸基が封鎖され、結果として吸湿率の値が低下することを利用したものである。この指数が小さいものほど架橋改質の度合いが大きく、大きいものほど架橋改質の度合いが小さい。一般に未加工の木綿、麻で4〜5程度である。
【0085】
架橋指数が1より小さい場合、架橋が過度に形成され、複合織編物の強力や柔軟性が低下し、形態安定性は良好であるものの、実用に耐えないものとなってしまうことがある。一方、架橋指数が4より大きい場合は、セルロース系繊維の架橋改質が十分でなく、必要とされるレベルの防しわ性、防縮性等の形態安定性能が付与できないことがある。複合織編物の強力、柔軟性と形態安定性のバランスを考えた場合には、架橋指数が2〜3.5の範囲内にあることが好ましい。
【0086】
かかる架橋剤のセルロース系繊維への付与方法としては、各種手段が適用可能であり、具体的には架橋剤をガス状にして付与する方法、パディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法および泡加工法等が挙げられるが、なかでも、架橋剤がホルムアルデヒドの場合にはガス状にして付与する方法が、架橋剤が繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等の場合にはパディング法が好ましく使用される。
【0087】
セルロース系繊維の架橋改質を行うにあたり、架橋剤の反応を促進する目的で、触媒を併用することも好ましく行われ、具体的には、有機酸、有機アミン塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを用いることができる。
【0088】
また、架橋剤によるセルロース系繊維の架橋改質の方法としては、通常の架橋改質方法が適用可能であり、具体的には、縫製品をそのままの状態でホルムアルデヒドで気相処理する方法、複合織編物の状態のままの前記架橋剤を付与し、縫製した後に加熱処理を施すポストキュア法、複合織編物の状態のまま前記架橋剤を付与して熱処理まで行うプレキュア法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、熱処理温度としては80〜220℃の範囲にあることが好ましく、120〜200℃の範囲で熱処理を行うことがさらに好ましい。
【0089】
また、本発明の複合織編物は、発色性を損なわずに抗菌性を付与する観点から着色されていることが好ましい。ここで着色されているとは、複合織編物が分散染料、酸性染料、カチオン染料あるいは蛍光増白剤などの着色物を含むことをいう。
【0090】
抗菌剤を含む液中に複合織編物を浸し、常圧または加圧の下、好ましくは90〜160℃で10〜120分間、より好ましくは120〜135℃で20〜60分間加熱する際に、必要に応じて分散染料または分散性蛍光増白剤を液中に添加してもよい。
【0091】
かかる方法において、さらに好ましくは液中処理した後、テンター等で160〜200℃で15秒〜5分間、より好ましくは170〜190℃で30秒〜2分間の乾熱処理を行うことができる。かかる乾熱処理により、抗菌剤は繊維表面から内部に拡散して繊維内部リング分布の状態になり、抗菌性を損なうことなく洗濯耐久性を向上させることができる。この処理条件を変更することで抗菌剤を繊維表面付着、繊維内部リング分布、繊維内部拡散の各状態にコントロールすることができる。
【0092】
いまひとつの方法は、パディング法やスプレー法等で該抗菌剤を含む液を複合織編物に付着させた後、テンター等で160〜200℃で30秒〜10分間、より好ましくは170〜190℃で1〜5分間、乾熱処理および湿熱処理から選ばれた少なくとも1種の加熱処理をすることにより製造することができる。
【0093】
コストと加工工程の合理化の面からは、パディング法やスプレー法等で、該架橋剤および抗菌剤を同時に繊維構造物に付着させた後、170〜190℃で30秒〜5分熱処理を行う方法が好ましく用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
本発明において、上記の複合織編物を縫製あるいは接着または融着等の手段を用いて、ガーメント(シャツ、ブラウス、スカートあるいはパンツまたはジーンズ、ジャケット等の衣料品を製造することができる。
【0095】
本発明の複合織編物は、上記に述べた用途以外の衣料用途や生活資材用途に広く適用することができる。比較的薄地の複合織編物は、比較的肌に直接接触する衣料として適用することによって、マイナスイオンによる癒しの効果や抗菌、防臭性および吸・放湿による着用の快適さの効果を実感することができ、ドレスシャツ、特に紳士用シャツを主な目的に使用できるが、婦人用シャツ、ブラウスやオーバーブラウス、学童用スクールシャツ、ユニフォームあるいはスポーツ衣料等にも好ましく使用される。また、本発明の複合織編物は、ポロシャツにも適しており、ゴルフシャツだけでなく、一般的なカジュアルシャツにも好ましく採用される。また、比較的厚地の複合織編物は薄地と違いど、ちらかと言えば外衣に適用されるが、最近は外衣も裏地を付けないで肌に直接着ることが増加し、着用時の快適性要求が高まっていることに対応できるものである。従って、婦人用と紳士用のジャケット、パンツおよびスーツ、さらにはカジュアル分野のジーンズ、また和装用途にも好適に適用することができる。また、生活資材用途としては、布団側地やカーテン等に好ましく適用することができる。
【0096】
本発明の複合織編物および衣料品の耐洗濯評価は、次のとおりである。
【0097】
界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上であるものが好ましい。より好ましくは、界面活性剤を混合した洗液を使い、85℃で15分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上のものである。
【0098】
洗濯処理条件を厳しくした場合においても、静菌活性値が2.2以上であるものがさらに好ましい。すなわち、過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液を使い、80℃で12分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上であるものがさらに好ましい。最も好ましいのは、過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液を使い、85℃で15分/回×50回の工業洗濯処理後も、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上のものである。
【0099】
ここでいう過酸化物、強アルカリ剤、界面活性剤を混合した洗液とは、界面活性剤として、例えば、花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化物として過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、強アルカリ剤として過炭酸ナトリウム1.5g/lを、それぞれ所定量に秤量した後、浴比1:20の割合で水を張ったドラム染色機内に投入し混合して調整したものである。その後、この洗液を温度85℃まで昇温し、本発明の複合織編物と捨布を投入後15分間洗濯する。その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施し、最後に脱水を行い、これを洗濯1回とする。この工程を50回繰り返した後、タンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させ、制菌評価を行う。
【0100】
また、本発明におけるマイナスイオン測定は、次のとおりである。
【0101】
本発明でいうイオン発生量は、測定装置内に3枚の平行に並べられたプレート(平行平板形)の間にイオンを含む空気を流入させることにより、イオンの測定を行う。外側のプレートと中央のプレートとの間隔はそれぞれ4mmであり、分極電解は1000V/mとする。測定原理としては、外側の2枚のプレートは分極電位(+または−)を有し、中央のプレートは線形の検出プレートであり、中央のプレートを任意の電位に帯電させ、イオンを含む空気を流入させた後、任意時間経過後の電位差によって生じた単位体積あたりのイオン個数で表す。この原理はエーベルトイオンカウンターに属するものであり、形態としては上記平行平板形以外に、同軸同筒形でもよい。測定装置としては、この他に、この原理を応用したゲルディエン型でも良い。
【0102】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%および部とは、断らない限り重量基準である。
【0103】
<評価方法>
実施例中での品質評価は、次の方法に従った。
【0104】
[イオン発生量]
測定装置:AIR ION COUNTER IC−1000
(アルファ・LAB社(米国)製)
測定条件:室温20±1℃、湿度50±3%、室内広さ3m×5m×5m、
測定時間10秒、吸引量12L/分、サンプル振動周期3回/秒、
サンプルサイズ30cm×20cm
評価結果:測定時間10秒後のイオン平均発生量(個/cm3)
マイナスイオンが発生する場合は負の値、プラスイオンが発生する場合は正の値で示される。マイナスイオン発生量とプラスイオン発生量の差し引きによってマイナスイオンの発生量とし、マイナスイオン発生量が1000個/cm3以上で合格とした。
【0105】
[吸湿性(ΔMR)]
ΔMR(%)=MR2−MR1
ここで、MR1とは絶乾状態から20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、洋服ダンスの中に入っている状態、すなわち着用前の環境に相当する。また、MR2とは絶乾状態から30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、運動状態における衣服内の環境にほぼ相当する。
【0106】
ΔMRは、MR2からMR1の値を差し引いた値で表されるものであり、衣服を着用してから運動した時に、衣服内のムレをどれだけ吸収するかに相当し、ΔMR値が高いほど快適であると言える。一般に、ポリエステルのΔMRは0%、ナイロンで2%、木綿で4%、ウールで6%と言われている。
【0107】
[抗菌性]
評価方法は、統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ブドウ状球菌臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試験布に上記試験菌を注加し、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を静菌活性値とし、2.2以上を合格とした。ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
【0108】
[織編物の品質]
(1)洗濯方法
A.工業洗濯
ドラム染色機を用い、花王(株)製洗剤“ザブ”(登録商標)2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20で15分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施した。水洗後タンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させた。これを洗濯1回とした。
【0109】
B.水系洗濯(一般衣料洗濯)
JIS L0217の103法に準じて実施した。
(3)防しわ性(W&W性:外観変化)の評価
織物については、JIS L1096付属書16(規定)に示されるAATCC立体デュラブルプレスレプリカの6 段階レプリカ法に基づいて判定した。編物については、JIS L1018「ニット生地試験方法」を適用した。
(4)(洗濯)寸法変化率
JIS L1909により測定した。
【0110】
(実施例1)
中国産の竹を原料とし、ビスコース法により製造された再生セルロース繊維として単糸繊度1.1dtex、繊維長51mmのステープルファイバーをスフ紡方式により撚数22.6T/2.5cmで綿番手50番単糸を紡績した。当該スパン糸とポリエステルレギュラーマルチフィラメント糸84dtex36フィラメントの仮撚り加工したウーリー加工糸を紡績工程の双糸を製造する際使用される合糸機で引き揃え、引き続いてスパン糸のダブルツイスターで撚数500T/M(複合糸のトータル繊度201dtex相当、撚係数7,088)で追撚し、80℃30分の撚り止めセットを行い交撚複合糸を得た。当該複合糸をタテ糸およびヨコ糸に使用し、エアージェットルームで織上密度タテ×ヨコ密度が64×60本/2.5cm、幅167cm、長さ55.6mの平織物生機を作成した。当該生機の竹繊維スパン糸とポリエステルマルチフィラメント糸の混用比率は0.48/0.42である。この生機を染色加工に投入した。精練、リラックス、苛性ソーダに減量促進剤として第四級アンモニュウム塩をを添加した水溶液による液流減量加工、洗浄後、液流染色で130℃/98℃の一浴2段、分散染料、直接染料により無地染めを行った。当該生地の仕上げ密度は70×65本/2.5cmであった。当該生地を使用し、物理的特性と機能性特性評価を実施した。生地の物理特性のうち収縮率、織物および編物の洗濯後のしわの評価試験はJIS L1096「一般織物の試験方法」に準じて実施した。
マイナスイオン発生量、抗菌性、吸・放湿性等の機能性に関する評価は、上記に示した評価方法で行った。生地の洗濯寸法変化率はタテ・ヨコそれぞれ+0.3%、+0.2%で、W&W性評価として行った洗濯、乾燥5回繰り返し後の洗濯による外観変化いわゆる皺のレベルは、判定基準としてのレプリカの防しわ性6段階による判定はクラス4レベルでW&W性を有していた。また機能性は、マイナスイオン発生量が3,000(個/cm3)、吸・放湿性△MRが5.7%、静菌活性値が3.0でそれぞれ効果有りの合格結果を得た。
【0111】
(実施例2)
実施例1で得られた竹繊維のスパン糸50番単糸を使用し、ポリエステルマルチフィラメント糸としてポリエチレンテレフタレートを低粘度成分50%にポリメチレンテレフタレートを高粘度成分50%を使用してサイドバイサイド型複合紡糸、延伸して得られた3次元捲縮発現型潜在捲縮マルチフィラメント糸56T12フィラメント、さらにポリウレタン系弾性繊維(東レデュポン社製「Lycra」)22Tを引き揃え複合糸を試作した。複合糸は、スパンデックスを3倍に延伸しながら、他の2糸条を引き揃えて合糸出来る村田機械(株)製の合糸機608型を使用し、引き続いて村田機械(株)製ダブルツイスターに仕掛けてS方向に撚数1,200T/M(複合トータル繊度換算195Tで撚係数16,760)で竹繊維比率は60%の3本複合糸を作成した。当該複合糸を実施例1と同様の製織工程で織上密度を変更し平組織で生機を製織し、染色加工工程に投入し95℃各布状リラックス精練を行い、120℃の液流リラックス処理の後乾熱160℃で幅出しセットを行い、苛性ソーダに減量促進剤として第4級アンモニューム塩を添加した溶液による液流減量、洗浄後、分散染料、直接染料使用による一浴二段染法で染色を行い、仕上げセットしタテ・ヨコ密度115×105本/2.5cmに仕上げた。当該織物について実施例1と同様に性能評価を行い、生地の洗濯寸法変化率はタテ・ヨコそれぞれ+1.5%、+1.2%で、W&W性評価として行った洗濯、乾燥5回繰り返し後の洗濯による外観変化いわゆる皺のレベルは、判定基準としてのレプリカの防しわ性6段階による判定はクラス3.5レベルでW&W性を有していた。生地のタテ・ヨコ方向のストレッチ性はそれぞれ25%、32%で、さらにストレッチバック性に大変優れるものであった。このストレッチバック性はサイドバイサイド型複合コンジュゲートマルチフィラメント糸の3次元捲縮発現によるストレッチ性との相乗効果と考えられ、複合糸としての効果が十分発揮されたものと推察される。またマイナスイオン発生量が3,000(個/cm3)、吸・放湿性△MRが5.7%、静菌活性値が3.0でそれぞれ効果有りの合格結果を得た。
【0112】
(実施例3)
実施例1で得た中国産の竹を原料とし、ビスコース法により製造された再生セルロース繊維として単糸繊度1.1dtex、繊維長51mmのステープルファイバーをスフ紡方式により撚数22.6T/2.5cm、綿番手50番単糸を使用し、複合相手繊維としてナイロンマルチフィラメント糸の44dtex34フィラメントのウーリー加工糸を引き揃え、スパン撚糸工程で使用されるダブルツイスターで追撚実施した。撚り数はS方向に650T/m(トータル換算繊度150dtex、撚係数K=7,960)で交撚し65℃30分の撚り止めセットを行い複合糸を作成した。当該交撚複合糸を両面丸編機にて、編地裏面側(肌面側)構成糸に用い、アクリル紡績糸1/52を、編地表面側構成糸に用い、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる丸編地を編成した。
【0113】
この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上加工を行い、34ウエル/インチ、45コース/インチ、目付が180g/m2 のアンダーシャツ用に編地を得た。JIS L1018「ニット生地の試験方法」の寸法変化測定方法に準じて行い、タテ方向に+3%、ヨコ方向に−1%と問題のないレベルであった。また機能性として評価し、マイナスイオン発生量4,000(個/cm3)、吸・放湿性5.2%、静菌活性値3.0の結果を得、いずれも合格のレベルにあった。
【0114】
(比較例1)
天然セルロース系繊維である綿のコーマー通しの粗糸と繊度56dtex、36フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を使用し、通常の綿紡式紡績工程の精紡機に仕掛け長短複合により、撚数22.6t/2.5cm(換算繊度116dtex、撚係数K=9,736)で50番手の長短複合糸を得た。この複合糸を単糸使いで、タテ糸、ヨコ糸に用い、タテ、ヨコ密度それぞれ113本/2.5cm、68本/2.5cmの平織物を得た。目付は117g/m2であった。当該生機を染色工程において精練、漂白、シルケット加工をを行ない、無地染し仕上げ剤を付着させた後仕上げセットを行い、ドレスシャツ用織物を得た。当該織物の洗濯における寸法変化率は合格範囲であったが、機能性評価において実施例1と比較し、イオン発生量はプラスイオン500(個/cm3)で、マイナスイオンの発生は認められなかった。吸・放湿性は2.6%と低く、静菌活性値は0.3で不合格範囲のものであった。
【0115】
(比較例2)
中国産の竹を原料とするセルロース系繊維として単糸繊度1.1dtex、繊維長38mmを8%と綿92%を混綿して綿紡式紡績工程で粗糸を作った。この粗糸とナイロンのマルチフィラメント糸44T、34フィラメント糸を精紡機に仕掛け同時紡績による複合40番手、撚数20.2t/2.5cm(換算繊度146dtex、撚係数K=9,763)のスパン糸を得た。当該複合糸を両面丸編機にて、編地裏面側(肌面側)構成糸に用い、ポリエステル紡績糸1/52を、編地表面側構成糸に用い、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる丸編地を編成した。この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上加工を行い、38ウエル/インチ、46コース/インチ、目付が200g/m2 の肌着用編地を得た。当該編み地のイオン発生量はプラスイオン100(個/cm3)で、マイナスイオンの発生は認められず、吸放湿性は1.0%、静菌活性値0.3と低いものであった。
【0116】
(実施例4〜6、比較例3、4)
中国産の竹を原料としたビスコース法により製造された再生セルロース繊維(単繊維繊度1.6dtex、繊維長38mm)のステープルファイバー30%と、ポリエステルを溶融紡糸して得られたスーパーブライト原綿(東レ(株)登録商標:”テトロン”)(単繊維繊度1.6dtex、繊維長38mm)のテープルファイバー70%を混紡し、これを綿紡方式により、撚数18.6T/cmで19.6tex番手(綿番手30番単糸)の紡績糸(原糸表示をT70/B30とする、T:ポリエステル繊維、B:竹セルロース繊維)を製造した。当該混紡紡績糸の他に、上記ポリエステルスーパーブライト原綿100%(原糸表示をT100とする)および竹セルロース繊維100%(原糸表示をB100とする)の同一番手の紡績糸を製造し、これらを表2のとおりタテ糸および/またはヨコ糸に使用し、エアージェット織機で平組織で製織した(実施例4〜6、比較例3、4)。
【0117】
得られた5種類の織物に染色加工を施し、混紡と交織による複合織物ポプリンの性能を評価した。染色加工は、常法に基づいてソフサー型精練機で90℃拡布状リラックス、続いてテンター160℃乾燥セット、130℃シルケット加工、130℃液流染色機で分散染料染色後および温度を下げて80℃で反応染料による1浴2段染法による無地染めを行った後、乾燥、165℃で仕上げセットを実施した。結果を表1に示す。竹セルロース短繊維とポリエステル短繊維とを混紡した複合紡績糸を用いた複合織物(実施例4〜6)の性能は、竹セルロース繊維100%織物(比較例4)に比較し、洗濯での寸法安定性や物性面で優位にあることを確認した。比較例3はマイナスイオンの発生がなく、抗菌性もないものであった。
【0118】
【表1】
【0119】
*1 SEK統一基準法による制菌活性値による評価
○:2.2以上 △:2.2以下、1.0以上 ×:1.0以下
*2 JIS1096におけるICI法5時間による。
【0120】
(実施例7、8、比較例5、6)
実施例1で用いた中国産の竹を原料としたビスコース法により製造された再生セルロース繊維(単繊維繊度1.6dtex、繊維長38mm)のステープルファイバー30%と、ポリアクリロニトリルを湿式紡糸して得られたアクリル繊維原綿(東レ(株)登録商標:”トレロン”)(単繊維繊度0.8dtex、繊維長38mm)を、表2のとおり混紡率を変えて混紡し、これを綿紡方式により、撚数18.2T/2.5cmで19.6tex番手(綿番手30番単糸)の紡績糸を製造した(原糸表示は、Ac60/B40およびAc70/B30、Ac:アクリル繊維、B:竹セルロース繊維)。また、実施例1と同じ竹セルロース繊維100%の同一番手糸を紡績した(原糸表示:B100)。22Gダブルニット編み機に使用糸と交編糸を1本交互に配列されるように糸を仕掛け、両面スムースを編成した。染色加工は丸編みニットの通常標準工程条件で実施した(実施例7、8)。
【0121】
また別に、上記ポリアクリロニトリルを湿式紡糸して得られた原綿(単繊維繊度0.8dtex、繊維長38mm)100%からなる同一番手の紡績糸(原糸表示:Ac100)を製造した。この紡績糸(原糸表示:Ac100)を用い、22Gダブルニット編み機で両面スムースを編成した(比較例5)。また、上記の竹セルロース繊維100%紡績糸(原糸表示:B100)を用い、22Gダブルニット編み機で両面スムースを編成した(比較例6)。染色加工は実施例7、8の加工条件を変更しそれぞれの原綿使用編物の標準条件で実施した。
【0122】
得られた編地の性能評価を実施した。結果を表2に示す。表2の結果のように、実施例7と8の混紡、交織品は、明らかに品質と性能の向上が明認められた。これに対し、竹を原料とするセルロース繊維100%紡績糸使いの織物は、洗濯の寸法変化率がタテ方向とヨコ方向共に大きく、衣料品にしたとき実用上問題が発生するレベルであるのに対し、竹を原料とするセルロース繊維とアクリル繊維原綿との複合織編物はいずれも問題ないレベルであった。また、マイナスイオン発生量、吸湿性、抗菌・防臭性はアクリル繊維原綿100%品に比較していずれも優れているものであった。
【0123】
【表2】
【0124】
*1 SEK統一基準法による制菌活性値による評価
○:2.2以上 △:2.2以下、1.0以上 ×:1.0以下
*2 JIS1096におけるICI法5時間による。
【0125】
(実施例9)
栽培した中国産の竹を原料としてビスコース法により製造された再生セルロース繊維を、単糸繊度1.6dtex、繊維長38mmのステープルファイバーとし、これを用いて綿紡方式により、撚数20.2T/2.5cmで14.7tex番手(綿番手40番単糸)の紡績糸を製造した。このようにして得られた紡績糸にサイジングを施し、これをタテ糸としてエアージェット織機に仕掛けた。またヨコ糸には、PTT(ポリメチレンテレフタレート)とPET(以下、ポリエチレンテレフタレートということがある)のポリエステル系サイドバイサイド型コンジュゲート複合糸(PTT/PET=50/50)の半顕在3次元捲縮糸56dtex、24フィラメントを無撚で使用し、平組織に打ち込み生機織物を製造した。生機織物幅は173cm(経密度101本/2.5cm、緯密度96本/2.5cm)、竹繊維の比率は、74%であった。この生機織物を染色加工工程で処理した。まず、ソフサーにて60℃〜95℃の3槽のリラックス処理を施した。幅125cm、ヨコ密度97本/2.5cmであった。次にピンテンターで180℃有り巾でセットを行い、染色温度120℃で分散染料で染色を行い、温度を下げて98℃で直接染料浴で染色を行い、160℃仕上げセットし、幅121cm、ヨコ密度99本/2.5cmの複合織物を得た。得られた複合織物は、ヨコ方向に簡便法で28%のストレッチ性を示した。また、吸・放湿性△MR(30℃×90%RHにおける吸湿率と20×65%RHにおける吸湿率の差)は5.9%で、着用時における快適性レベルの吸湿性を有していた。当該複合織物を、JIS L0217の103法洗濯条件で5回洗濯後、JIS L1096「一般織物試験方法」に準じて洗濯後のしわおよび寸法変化率を測定した。外観変化は、レプリカとの対比によるしわの判定基準は3.5級を示し、寸法変化率は、タテ方向−1.1%、ヨコ方向+1.0%で合格範囲内であった。また、マイナスイオン発生量は2,000個/cm3であった。
【0126】
(実施例10)
吸水・速乾性のポリエステルとして、粘度IVが0.64のPETセミダルポリマーを用い、これを丸断面24フィラメント、6画断面24フィラメントの口金から紡糸し、3,000m/分で巻き取りPOY作成し、引き続いてT&T延伸、インドロー延伸による仮撚り加工、空気交絡をして1ヒーター加工のウーリー加工糸(167dtex、48フィラメントDTY)を生産した。このようにして得られたDTYに1,200T/mの追撚後、整経し、エアージェット織機のタテ糸に仕掛けた。またヨコ糸として、中国産の竹を原料としてビスコース法により製造された再生セルロース繊維を、単糸繊度1.6dtex、繊維長38mmのステープルファイバーとし、これを用いて綿紡方式により、下撚数20.2/2.5cm、双糸の上撚数18.2/2.5cm(下撚数の90%)で竹セルロース繊維100%紡績糸14.7tex番手/2(綿番手40/2)を製造した。このようにして準備したタテ糸とヨコ糸を用いて、2/2ツイル織物を製織した。
【0127】
得られた生機織物(複合織物)を精練リラックス、中間セット、苛性ソーダと減量促進剤の第四級アンモニア塩添加による液流減量加工、洗浄、仕上げセットの工程で染色加工し、無地染めに仕上げた。染色加工後の複合織物は、タテ/ヨコ密度がそれぞれ160本/2.5cm、71本/2.5cm、竹繊維比率80%であった。この複合織物の性能を評価した。生地の洗濯寸法変化率はタテ・ヨコそれぞれ+0.3%、−0.2%で、W&W性評価として行った洗濯、乾燥5回繰り返し後の洗濯による外観変化いわゆる皺のレベルは、判定基準としてのレプリカの防しわ性5段階による判定はクラス4レベルでW&W性を有していた。また機能性は、マイナスイオン発生量が5,000(個/cm3)、吸・放湿性△MRが5.7%、静菌活性値が3.0でそれぞれ効果有りの合格結果を得た。
【0128】
この生地(複合織物)を使用して婦人用スラックスを縫製し、実用性評価として、着用とJIS L2017の103法に準じ家庭用洗濯機によるネットに入れて、全自動洗濯機による水系洗濯を行った。洗濯脱水後の水切れは良く、べとつき感はなく室内吊り干し乾燥で十分であった。外観変化と寸法変化を確認した結果、外観は、軽くアイロンがけ程度で十分なW&W性と評価され、寸法変化はほとんどなかった。また着用の実感は、軽く、防しわ性があり、蒸れ感もなく快適であった。
【0129】
(実施例11、比較例7)
タテ糸に、実施例10のヨコ糸として使用した14.7tex番手/2(綿番手40/2)の竹セルロース繊維100%紡績糸を使用した。ヨコ糸には、次の仮撚加工糸を用いた。すなわち、ポリマーIVの異なる2種類をサイドバイサイド型複合口金から紡糸し延伸した伸度が43%の原糸特性を持つポリエステルマルチフィラメント糸(84dtex、12フィラメン)と、IVが0.64のPETポリマーを3,000m/分で紡糸したPOY(90dtex、48フィラメント)とを引き揃えて、フリクションタイプの仮撚加工機でインタレース処理を行い、インドロー仮撚加工で複合加工糸(155dtex、60フィラメント)を得た。引き続いて該複合加工糸2本を引き揃え400T/Mの追撚、撚り止めセットを施して仮撚加工糸を得た。このようにして準備したタテ糸とヨコ糸を用いて、平組織のポプリンを製織した。
【0130】
得られた生機織物(複合織物)を染色加工し、無地染めに仕上げた。染色加工後の複合織物のタテ糸・ヨコ糸の密度は、それぞれ67本、50本/2.5cm、竹繊維の比率は70%で、ヨコ方向にストレッチ性を持つものであった。マイナスイオン発生量は3,000(個/cm3)、△MRは5.6%、制菌活性値は3.0また、W&W性の評価は、寸法変化率がタテ、ヨコそれぞれ0.6%、+0.3%、表面のしわレベルは3.5級の合格レベルであった。(実施例11)。
【0131】
比較として、実施例11のタテ糸に使用した竹セルロース繊維100%紡績糸をタテ糸とヨコ糸に使用し、竹セルロース繊維100%の織物を試作した。得られた織物のタテ糸とヨコ糸の密度は、それぞれ60本、55本/2.5cmでストレッチ性は全くなかった。またW&W性は全く劣るものであった。(比較例7)。
【0132】
上記実施例11と比較例7の2点の織物を、それぞれ婦人用スラックスに縫製し、実施例10と同様に洗濯による評価を実施した結果、実施例11の複合織物品は、寸法変化はほとんど無く、外観の変化もW&W性が認められるものであった。一方、竹セルロース繊維100%の織物は、洗濯乾燥したものは、しわがひどくそのまま着用できるものではなく、生地が伸びて型くずれし、ミシン糸のパッカリングを発生し外観変化の大きいものであった。
【0133】
(実施例12)
供試布として、ポリエチレンテレフタレートスパン糸(繊維構造物1g当たりの表面積が0.28m2、単繊維繊度1デニール、繊維長38mm)と、実施例1で用いた竹セルロース繊維の割合が50:50となるように混紡した13.1tex番手(英式綿番手45)の紡績糸を、タテ糸およびヨコ糸に用いた平織物(目付185g/m2)を作製した。
【0134】
この平織物に、次のとおり抗菌剤のコロイド化処理を行った。すなわち、抗菌剤50gとナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物20gおよびリグニンスルホン酸ナトリウム30gを水300gと共にスラリー化し、次いでガラスビーズを用いて湿式粉砕処理を施し、平均粒径1μmのコロイド状態の組成物を得た。なお、抗菌剤は2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛を使用した。また、架橋剤は、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素樹脂水溶液( 固形分20% )を、触媒として塩化マグネシウムを使用した。
【0135】
上記のように準備した平織物を、架橋剤100g/l、触媒15g/l、抗菌剤1.25g/lの処理液組成の加工液に浸漬し、絞り率80%でパディング後、130℃×90秒予備乾燥、次いで180℃×1分熱処理し、試料を作製した。この織物について、工業洗濯で50回の洗濯を実施した。その結果、抗菌性(MRSA)洗濯0回5.5に対し、洗濯後5.5を示し、防しわ性はレプリカ対比4級、洗濯による寸法変化率はタテ方向+0.2%、ヨコ方向+0.1%と良好な形態安定性を示すと共に、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性を示すものであった。マイナスイオンは、洗濯前後とも1,500個/cm3の発生するものであった。
【0136】
【発明の効果】
また、本発明によれば、天然あるいは栽培による竹を原料とする竹繊維と合成繊維との複合化することによって、着用した際に快適性を実感できる吸・放湿による蒸れ感がない、汗をかいたとき吸汗によるべとつき感がない、身体の動きに追随して伸縮することによる圧迫感がない、あるいは実感としては感じにくいがマイナスイオンの発生による癒しの効果がある、さらには着用によってしわになりにくい、プリーツがとれにくい、家庭洗濯特に水系洗濯ができる、抗菌性や制菌性があり衛生的な、複合織編物が得られる。また、衣料用素材、衣料商品の製造や廃棄に少しでも環境負荷を少なくできるという要求に対応できる衣料用素材およびそれを用いた衣料商品に展開することができ、肌着、ドレスシャツなどの肌に近い着用の用途から婦人紳士のジャケット、パンツあるいはジーンズ用としてのカジュアル用途などの比較的上物用途の衣料としても好ましく用いることができる。また、これらの特性を有するため、スポーツ分野や老人の衣料、医療現場のワーキングウエア、介護衣料としても好ましく適用できるものである。さらにインテリア用途としての生活資材分野の布団側地、シーツ、カーテン、イス張り地などに対しても適用できる。また、染色加工において制菌加工と防縮加工と併用することによって、マイナスイオン効果を付加した耐工業洗濯耐久性のある複合織編物を得ることができる。
Claims (21)
- マイナスイオンを発生する竹繊維と少なくとも1種類の合成繊維を混用してなる複合糸であって、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3であることを特徴とする複合糸。
- 竹繊維が、マイナスイオンを発生する天然あるいは栽培した竹を原料とするビスコース法により製造された再生セルロース繊維を主成分とする繊維からなることを特徴とする請求項1記載の複合糸。
- 合成繊維が、1〜8%のセラミックス粒子を含有する合成繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の複合糸。
- 合成繊維が異型断面構造を有する合成繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合糸。
- 合成繊維が中空率10〜40%の中空繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合糸。
- 合成繊維が、ポリウレタン系弾性繊維およびポリエステル・エーテル系弾性繊維から選ばれた少なくとも1種の合成繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合糸。
- 合成繊維が、サイドバイサイド型複合または芯鞘型複合によるコンジュゲート繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合糸。
- コンジュゲート繊維が、ポリエステル系、ポリアミド系またはポリアクリル系いずれか一種のポリマーからなることを特徴とする請求項7記載の複合糸。
- 竹繊維と少なくとも1種の合成繊維で構成された混繊糸および/または混紡糸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複合糸。
- 竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複合糸。
- 下記式で示される撚係数Kが5,000〜25,000の範囲のSあるいはZ方向の実撚が付与されていることを特徴とする請求項10記載の複合糸。
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算) - 合成繊維からなるフィラメント糸が、伸度差を有する2糸条のポリエステルマルチフィラメントを仮撚り加工して得られる芯・鞘構造嵩高性加工糸に撚係数Kが8,000〜25,000の実撚を付与された複合加工糸であることを特徴とする請求項10または11記載の複合糸。
- 竹繊維からなるフィラメント糸またはスパン糸が、太さが30〜550dtexで、かつ撚係数Kが2,000〜25,000の範囲のSまたはZ方向の実撚が付与されている単糸または当該単糸が引き揃えられて単糸の実撚と反対方向に単糸撚数の80〜150%の実撚が付与されている糸条であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の複合糸。
ただし、撚係数K=T×D0.5
T:糸長1m当たりの撚数、
D:複合糸条の繊度(dtex換算) - 竹繊維からなるスパン糸が、単繊維繊度10〜20dtexの合成繊維モノフィラメントあるいは10〜100dtexの合成繊維マルチフィラメント糸と、撚係数Kが3,000〜15,000の範囲のSまたはZ方向の実撚で合撚されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の複合糸。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の複合糸を用いてなる複合織編物。
- 竹繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸と少なくとも1種類の合成繊維からなるフィラメント糸および/またはスパン糸を交編織してなる織編物であって、該竹繊維(A)と該合成繊維(B)の混用比(A)/(B)が0.9〜0.3であることを特徴とする複合織編物。
- 水系洗濯による寸法変化率が±2%以下であることを特徴とする請求項15または16記載の複合織編物。
- 工業洗濯条件の洗濯による寸法変化率が±2%以下であることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の複合織編物。
- 染色加工で抗菌あるいは制菌加工処理および/または防縮加工されたことを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の複合織編物。
- 請求項15〜19のいずれかに記載の複合織編物からなる衣料品。
- 請求項15〜19のいずれかに記載の複合織編物からなるワーキングウエアであって、工業洗濯による寸法変化率と制菌性が原布の性能の80%以上維持することを特徴とする衣料品。
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