JP2004103334A - 有機el装置および電子機器 - Google Patents

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茅野 祐治
Hidekazu Kobayashi
小林 英和
Osamu Yokoyama
横山 修
Satoru Miyashita
宮下 悟
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Abstract

【課題】外光による反射を抑えてコントラストを向上させた有機EL装置を得ること。
【解決手段】有機EL素子を駆動するための駆動回路30,37が配置された基板11と、駆動回路30,37の配置に対応して基板11上に形成された第1の電極23と、第1の電極23上の所定位置に有機薄膜24を形成するための素子形成領域40を残し、この素子形成領域40を囲むように形成されたバンク部28と、素子形成領域40内に形成される発光層を含む有機薄膜24と、バンク部28および有機薄膜24上に形成される第2の電極25とを備える有機EL装置において、第2の電極25は透明な導電性材料から構成され、駆動回路30,37が形成される基板11上の位置に形成される可視光を吸収する第1の吸収層12と、第2の電極25上に形成される可視光を吸収する第2の吸収層29とを備える。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有機EL(Electro Luminescence)素子を表示素子として用いた有機EL装置および電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展に伴い、持ち運びが可能なパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)、インターネットに接続可能な携帯電話などの携帯される情報処理装置の普及が進行している。これらの情報処理装置に使用される表示装置として、バッテリの寿命を少しでものばすために、省電力型の表示装置が要求され、その研究開発が盛んに行われている。省電力型の携帯型情報処理装置向けの表示装置として、現在、有機EL装置が特に注目されている。
【0003】
この有機EL素子は、蛍光性化合物からなる発光層を陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、発光層に電場を加えると、陰極からの電子と陽極からの正孔とが発光層に注入され、これらが再結合するときに生じるエネルギで、発光層を構成する蛍光性化合物が励起され、この励起された蛍光性化合物が基底状態に戻る時に発光現象を起こすことによって発光層を発光させる素子である。このような有機EL素子は、自発光、高輝度、直流低電圧駆動および高速応答性などのすぐれた特性を有している。そして、このような有機EL素子を用いた有機EL装置は、低消費電力で高画質であり、さらに薄型軽量を実現することができると期待されている。
【0004】
図12は、アクティブマトリックス方式の有機EL装置の断面構造を示す図である。ガラスなどの透明基板からなる基板211上にTFTなどの能動素子212がマトリックス状に形成され、さらにその上に発光素子が形成されている。能動素子212と発光素子220との間には、下地を平坦化するための絶縁膜213が形成されている。
【0005】
発光素子220は、バンク226で仕切られた絶縁膜213上の開口部に、ITO(インジウムスズ酸化物)などの透明な導電性材料からなる陽極225、正孔注入輸送層224、発光層223、LiF層222および不透明な金属または合金からなる陰極221を順に積層させることによって形成される。なお、バンク226は、絶縁膜213上にSiO層227とアクリルなどの樹脂層228とが順に積層されることによって形成されている。このような構造を有する有機EL装置は、発光素子220で発光した光を陰極221側から取り出すことはできず、透明な基板211側から取り出すので、ボトムエミッション型と呼ばれる。
【0006】
このような構造を有する有機EL装置において、有機EL装置のほとんどが光をよく反射する物質で構成されているので、外部からの光が有機EL装置によって反射されてしまう。このような現象は、有機EL装置のコントラストを悪化させてしまう。
【0007】
そこで、有機EL装置または有機EL素子のコントラストを向上させる方法として、従来から種々の方法が提案されている。例えば、基板211上に形成される隣り合う陽極225間に、絶縁性を有する遮光膜からなるブラックマトリックスを形成したり(例えば、特許文献1〜4参照)、隣り合う画素間に黒色の素子分離構造体を形成したり(例えば、特許文献4参照)、陰極221側の表面全面に絶縁性の黒色物質層を形成したり(例えば、特許文献5,6参照)、基板211と能動素子との間に光吸収材料を設けたりしている(例えば、特許文献7参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−250583号公報(第3頁)
【特許文献2】
特開平3−274694号公報(第2〜3頁)
【特許文献3】
特開平10−214043号公報(第5〜6頁、第1,5図)
【特許文献4】
特開平11−273870号公報(第3頁、第1図)
【特許文献5】
特開2000−48964号公報(第5頁、第1〜3図)
【特許文献6】
特開2002−33185号公報(第3,6頁、第3,9図)
【特許文献7】
特表2002−504739号公報(第9頁、第3図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの先行技術では、有機EL装置における一部分の光の反射を抑えることができるが、他の部分における光の反射を効果的に抑制することができていないために、有機EL装置全体としてのコントラストの向上を図ることができていないという問題点があった。
【0010】
また、有機材料からなる平坦化層上に電極としてITOやIZO等の透明酸化物導電層を形成した場合、平坦化層の影響によって透明酸化物導電層の抵抗が増加したり、エッチングによるパターン形成時に後述するサイドエッチングの進行速度が速くなったりするという問題があった。
【0011】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、外部からの可視光による反射を抑えてコントラストを向上させるなど表示品質を向上させるとともに、電極の電気特性およびパターン形成性を改善した有機EL装置および電子機器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる有機EL装置は、対向する電極の間に発光層が形成されてなる有機EL素子が基板の上に形成されてなる有機EL装置であって、前記基板上であって、前記一方の電極の一部を覆うように形成されてなる第1の吸収層と、前記電極のうち他方の電極上に形成されてなる第2の吸収層と、を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第1の吸収層および第2の吸収層によって、基板上に形成される駆動回路で反射される外部からの可視光が吸収され、コントラストを向上できる。
【0014】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記第1の吸収層は、600℃以上の融点を有する無機化合物から構成されることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、TFTなどの駆動回路が第1の吸収層上に高温で形成される場合でも、第1の吸収層は熱的な変化を受けることがない。
【0016】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、対向する電極の間に発光層が形成されてなる有機EL素子が基板の上に形成されてなる有機EL装置であって、前記基板には平坦化層が形成されてなり、前記平坦化層が可視光を吸収する特性を有する材料により形成されてなることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、平坦化層によって、基板上に形成された駆動回路によって反射される外部からの可視光を効果的に吸収し、有機EL装置のコントラストを高めることができる。
【0018】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記平坦化層は、少なくとも3μmの厚さを有することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、平坦化層上に第1の電極を介して形成される発光層を含む有機薄膜の膜厚のばらつきを抑えることができ、その結果、有機EL装置の表示特性やパネル寿命のばらつきを抑えることができる。
【0020】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記平坦化層表面の段差は、300nm以下であることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、平坦化層上に第1の電極を介して形成される発光層を含む有機薄膜の膜厚のばらつきを抑えることができ、その結果、有機EL装置の表示特性やパネル寿命のばらつきを抑えることができる。
【0022】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記平坦化層上に、無機材料からなる絶縁層をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、平坦化層が第1の電極に及ぼす抵抗増加などの影響を抑えると共に、第1の電極をフォトリソグラフィによってパターニングする際の第1の電極に生じるサイドエッチを抑制することもできる。
【0024】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記絶縁層は、30〜800nmの厚さを有することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、平坦化層が第1の電極に抵抗増加などの影響を及ぼすことなく、また、平坦化層との間で発生する応力によるクラックや剥離を起こすことなく絶縁層を形成することができる。
【0026】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、前記平坦化層と前記絶縁層のうち少なくとも一方が可視光を吸収する特性を有する材料により形成されてなることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、平坦化層と絶縁層のうち少なくとも一方は可視光を吸収する材料によって構成されるようにしたので、駆動回路によって反射される外部からの可視光を抑制することができる。
【0028】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記基板上の所定の位置にバンクが形成されてなり、前記バンクは、可視光を吸収する材料によって構成されることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、バンク部によっても、外部からの可視光が吸収されるので、有機EL装置のコントラストが向上し、視認性が改善される。
【0030】
つぎの発明にかかる電子機器は、上記の発明のいずれか1つに記載の有機EL装置を備えることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、有機EL装置内で反射される外部からの可視光を吸収し、電子機器の表示品質を向上することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる有機EL装置および電子機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
この第1の実施の形態では、アクティブマトリックス方式の有機EL装置を例に挙げて説明する。図1は、アクティブマトリックス方式の有機EL装置の配線構造の平面模式図である。この図1では、アクティブマトリックス方式に使用する能動素子として、薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を用いる場合を例示している。
【0034】
この図1に示されるように、有機EL装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対してほぼ直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とが、それぞれ配線された構成を有する。そして、走査線101と信号線102の各交点付近に、すなわちマトリックス状に、画素領域Aが設けられている。
【0035】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオラインおよびアナログスイッチを備えるデータ駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
【0036】
画素領域Aのそれぞれには、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用のTFT112と、このスイッチング用のTFT112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、この保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用のTFT113と、この駆動用のTFT113を介して電源線103に電気的に接続した時に電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極23と、この画素電極23と対向電極25との間に挟み込まれた機能層110とが設けられている。これらの画素電極23と対向電極25と機能層110によって、発光素子が構成されている。なお、機能層110は、後述する発光層を含む有機薄膜に対応している。
【0037】
このような有機EL装置の配線構造によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用のTFT112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、この保持容量capの状態に応じて、駆動用のTFT113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用のTFT113のチャネルを介して、電源線103から画素電極23に電流が流れ、さらに機能層110を介して対向電極25に電流が流れる。機能層110は、この流れる電流量に応じて発光し、所望の状態を表示することができる。
【0038】
図2は、この発明にかかる有機EL装置の画素領域の構造についての第1の実施の形態を示す断面図である。この有機EL装置は、基板11側から光を放出するボトムエミッション型の表示装置であり、透明な基板11とTFT30との間、および透明な基板11と配線37との間に可視光を吸収する第1の吸収層12が形成されている。これらのTFT30と配線37を覆うように複数の層からなる絶縁膜21,22が形成され、さらにその上に画素電極23である透明陽極が形成される。この画素電極23の所定位置に有機EL薄膜24を形成するための素子形成領域40を残し、この素子形成領域40を囲むようにしてバンク28が設けられている。そして、バンク28によって囲まれた素子形成領域40には、発光層を含む有機物からなる薄膜24が形成される。これらの素子が形成された基板11上に対向電極25である陰極が、そしてその上に可視光を吸収する第2の吸収層29が形成されている。すなわち、この第1の実施の形態では、TFT30と配線37が形成される基板11上の位置に可視光を吸収する薄膜からなる第1の吸収層12を形成して、この第1の吸収層12の上にTFT30と配線37を形成すること、および対向電極25の表面上に可視光を吸収する第2の吸収層29を形成することを特徴としている。
【0039】
基板11は、ボトムエミッション型の有機EL装置であるので透明な各種のガラス材料を使用することができる。例えば、ガラス材料として、石英ガラス、硼酸塩ガラス、燐酸塩ガラス、燐珪酸ガラス、ケイ酸塩ガラスなどを例として挙げることができる。
【0040】
第1の吸収層12は、基板11上のスイッチング素子であるTFT30および配線37が設けられる領域にスパッタ、蒸着、CVD、イオンプレーティングなどの成膜手段によって形成される。例えば、TFT30や配線37が設けられる箇所にのみ第1の吸収層12が形成されるようにマスクをしながら成膜を行う方法や、基板11上の全体に第1の吸収層12を形成した後に、有機薄膜24中の発光層からの光が透過する部分をエッチングなどの手段で除去する方法によって形成される。この第1の吸収層12の厚さは、あまりに薄いと光吸収効果が薄れてしまうので500〜1000Åの厚さを有することが望ましいが、最大では5000Å程度までの厚さであればよい。
【0041】
また、第1の吸収層12は、上述したように可視光を吸収することが可能な薄膜からなるものであり、黒色や黒色に近い暗色を有する材料であればよい。第1の吸収層12を構成する材料を限定するものではないが、特に、光を吸収する黒色または暗色を有し、600℃以上、好ましくは800℃以上の融点を有し、加熱処理よって変質しない材料であることが望ましい。これは、TFT30の形成工程において、約400℃で処理が行われ、この温度状況下でも変質しない材料を用いることが望ましいからである。例えば、Cr,W,Mo,Ti,Taの窒化物または珪化物,Cr,Fe,V,またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0042】
下地保護膜20は、第1の吸収層12および基板11上に、SiOなどの無機材料から構成されており、スパッタ、蒸着、CVD、イオンプレーティングなどの成膜手段によって形成される。後の工程で行われる処理で、下地を保護する役目を果たす。
【0043】
TFT30は、下地保護膜20を挟んだ第1の吸収層12上に形成される。まず、下地保護膜20を挟んだ第1の吸収層12上にポリシリコン膜31を形成し、このポリシリコン膜31の中央部付近にゲート絶縁膜35、ゲート電極34を順に形成する。つぎに、ポリシリコン膜31と基板11表面を覆うように、第1の層間絶縁膜21を形成する。つぎに、ポリシリコン膜31のゲート絶縁膜35を挟むようにして、ポリシリコン膜31表面上にソース電極32とドレイン電極33を形成する。その後、ポリシリコン膜31の各電極32〜34と基板11表面を覆うように、第2の層間絶縁膜22を形成する。なお、上述した各絶縁膜21,22の所定位置には、必要な電極を他の電極や配線と電気的に接続するためにコンタクトホールが形成される。
【0044】
画素電極23である透明陽極は、画素が形成される所定の位置に、第2の層間絶縁膜22上に、スパッタや蒸着などの成膜手段によって形成される。この透明陽極は、透明な導電性材料から構成され、例えば、ITO,IZO(インジウム亜鉛酸化物)などを用いることができる。
【0045】
バンク28は、画素電極23の所定の位置に有機EL薄膜24を形成するための素子形成領域40を残し、この素子形成領域40を囲むようにして設けられており、隣り合う画素同士を区切る役目をしている。このバンク28は、基板11側に位置し、SiOやTiOなどの無機絶縁材料から構成される無機物バンク層26と、基板11から離れて無機物バンク層26の上位に位置し、アクリル樹脂やポリイミド樹脂などの耐熱性および耐溶媒性のあるレジストから構成され、その表面には、液体をはじく撥液性処理が施されている有機物バンク層27とが積層されて構成されている。
【0046】
無機物バンク層26は、スパッタや蒸着などの成膜手段によって形成され、画素電極(陽極)23が画素周縁部で対向電極25とショートを起こさないように設けられている。そのため、図2に示されるように、無機物バンク層26は、有機物バンク層27に比べてやや画素電極(陽極)23の中央側に形成されている。また、有機物バンク層27は、感光性を有する有機樹脂を基板11表面上に塗布し、フォトマスクを通してUVを照射した後に現像を行うことによって、画素形成領域40を取り囲むように有機樹脂を残すことによって形成され、画素電極(陽極)23を取り囲むように開口部を有しており、この開口部の上部は、下部よりも広く形成されている。ただし、有機物バンク層27の開口部および無機物バンク層26の開口部は、ともに画素電極(陽極)23よりも狭く形成されている。
【0047】
なお、有機物バンク層27の表面に施される撥液性処理は、例えば、CFプラズマを用いて表面を弗素化させることによって行われる。撥液性処理が施された有機物バンク層27の表面は、水溶液や有機溶剤などをはじく性質を持つようになる。これにより、インクジェット法で発光層を含む有機薄膜24を形成する時に、画素形成領域40の中心から外れたバンク28にインク化された組成物が滴下された場合でも、有機物バンク層27の表面で組成物がはじかれ、画素形成領域40中へと組成物を導くことが可能となる。
【0048】
陽極23上には、少なくとも発光層を含む有機薄膜24が形成される。これらの有機薄膜24は、スパッタや蒸着などのほかに、インクジェット法や印刷法などの成膜手段によって形成することができる。発光層を構成する材料として、下記の[化1]〜[化5]に示すポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体を例として挙げることができる。また、発光層を赤色に発光させるには、ローダミン、DCMの誘導体、ナイルレッドなどを上記の発光層を構成する材料に添加し、発光層を緑色に発光させるには、キナクリドン、クマリン6などを上記の発光層を構成する材料に添加し、そして、発光層を青色に発光させるには、ペリレン、テトラフェニルブタジエンなどを上記の発光層を構成する材料に添加する。
【0049】
【化1】
Figure 2004103334
【0050】
【化2】
Figure 2004103334
【0051】
【化3】
Figure 2004103334
【0052】
【化4】
Figure 2004103334
【0053】
【化5】
Figure 2004103334
【0054】
また、有機薄膜24に正孔注入輸送層が含まれる場合には、正孔注入輸送層を構成する材料として、ポリエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸などの混合物や、芳香族アミン誘導体(TPD、α−TPDなど)、MTDATA、銅フタロシアニン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、フェニルアミン誘導体などを例として挙げることができる。
【0055】
さらに、有機薄膜24に電子注入輸送層が含まれる場合には、電子注入輸送層を構成する材料として、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、オキサジアゾール誘導体、アントロン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、8−キノリノール誘導体、その他特定の電子伝達性化合物などを用いることができる。
【0056】
対向電極25は、バンク28上および画素形成領域40に形成された発光層を含む有機薄膜24上に、スパッタ、蒸着、イオンプレーティングなどの成膜手段によって形成される。対向電極25は、透明な導電性材料によって形成され、例えば、ITO,IZOなどを用いることができる。透明でない導電性材料、例えば金属光沢を有する金属薄膜を用いると、陰極で外部からの可視光が反射されてしまうため、透明な導電性材料を用いることが望ましい。
【0057】
さらに、この対向電極25上には、可視光を吸収する第2の吸収層29が、スパッタ、蒸着、イオンプレーティング、CVD、スピンコートやスプレーコートなどの成膜手段によって形成される。この第2の吸収層29は、可視光を吸収することが可能な薄膜からなるものであり、黒色や黒色に近い暗色を有する材料であればよい。例えば、Cr,W,Mo,Ti,Taの窒化物または珪化物,Cr,Fe,V、着色した有機化合物、またはこれらの混合物、またはこれらを積層させたものなどを用いることができる。
【0058】
このような構成を有する有機EL素子が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)ごとに作成され、さらにはこのRGBからなる有機EL素子を一つの単位として、この単位を基板11上に複数配列するように形成し、図示しない乾燥剤や脱酸素剤が設けられた封止キャップを有機EL素子が形成された基板11上に接着することによって有機EL装置が作製される。
【0059】
この第1の実施の形態によれば、TFT30や配線37が配線される箇所の基板11とTFT30や配線37との間に第1の吸収層12を設けたので、TFT30や配線37によって反射される外部の可視光を抑制することができ、また、対向電極25を透明としてその上面に第2の吸収層29を設けたので、対向電極25によって反射される可視光も抑制することができる。その結果、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。
【0060】
(第2の実施の形態)
つぎに、有機EL装置の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態では、第1の実施の形態における対向電極25の表面に設けられた第2の吸収層29に代えて、黒色または暗色の吸収部材を備えることを特徴とする。以下では、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0061】
図3は、この発明にかかる有機EL装置の画素領域の構造についての第2の実施の形態を示す断面図である。第1の実施の形態と同じ構成を有するアクティブマトリックス方式の有機EL装置の対向電極25上面、より具体的には、バンク28上面に形成された対向電極25の上部に、可視光を吸収する吸収部材39が備えられている。この吸収部材39は、黒色または暗色で有機薄膜24や封止キャップの接着性に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、黒色または暗色のプラスチック、紙、フィルム状樹脂、セラミックス、布、板などを用いることができる。
【0062】
この第2の実施の形態によれば、対向電極25を透明としてその上面に黒色または暗色の吸収部材39を設けたので、対向電極25によって反射される可視光を抑制することができる。その結果、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。また、対向電極25上に第2の吸収層29の薄膜を形成する場合よりも、簡易な方法であり、有機EL装置の製造コストを削減することができる。
【0063】
(第3の実施の形態)
つぎに、有機EL装置の第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態では、アクティブマトリックス方式のトップエミッション型の有機EL装置を例に挙げて説明する。図4は、この発明にかかる有機EL装置の画素領域の構造についての第3の実施の形態を示す断面図である。有機EL装置には、基板11上に形成されたTFT30や配線37を覆うように、可視光を吸収する平坦化層50が形成され、その上に画素電極23が形成される。この画素電極23の所定位置に有機EL薄膜24を形成するための素子形成領域40を残し、この素子形成領域40を囲むようにしてバンク28が設けられている。バンク28によって囲まれた素子形成領域40には、発光層を含む有機物からなる薄膜24が形成される。そして、これらの素子が形成された基板11上に対向電極25が形成されている。すなわち、この有機EL装置は、TFT30と配線37が形成される基板11と有機EL素子との間に、可視光を吸収する平坦化層50を形成することを特徴としている。このような構成を有する有機EL装置は、有機EL素子側(基板11と反対側)から光を放出するトップエミッション型の表示装置となる。
【0064】
基板11は、従来から有機EL素子に使用されている基板と同様に、石英ガラス、硼酸塩ガラス、燐酸塩ガラス、燐珪酸ガラス、ケイ酸塩ガラスなどの各種ガラス材料や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの各種樹脂材料のほかに、単結晶を含む各種セラミックス材料や各種金属材料などを用いることができる。
【0065】
TFT30は、基板11上に形成される。まず、基板11上に形成されたSiOなどからなる下地保護膜20上にポリシリコン膜31を形成し、このポリシリコン膜31の中央部付近にゲート絶縁膜35、ゲート電極34を順に形成する。つぎに、ポリシリコン膜31と基板11表面を覆うように、第1の層間絶縁膜21を形成する。つぎに、ポリシリコン膜31のゲート絶縁膜35を挟むようにして、ポリシリコン膜31表面上にソース電極32とドレイン電極33を形成する。その後、ポリシリコン膜31の各電極32〜34と基板11表面を覆うように、第2の層間絶縁膜22を形成する。なお、上述した各絶縁膜21,22の所定位置には、必要な電極を他の電極や配線と電気的に接続するためにコンタクトホールが形成される。
【0066】
平坦化層50は、基板11上に形成されたTFT30や配線37などの上に可視光を吸収する耐熱性の絶縁性材料によって構成される。この平坦化層50は、例えば、着色したポリイミド樹脂やBCB樹脂などの耐熱樹脂を用いることができる。この平坦化層50は基板11表面から少なくとも3μm以上の厚さを有すること、または平坦化層50の表面の段差が300nm以下であることが必要である。
【0067】
この平坦化層50の厚さまたは表面の段差の条件は、後述する発光層を含む有機薄膜24をインクジェット法や印刷法のようなウェットプロセスで作成する場合に極めて重要なものとなる。インクジェット法や印刷法のようなウェットプロセスで有機EL素子を構成する有機薄膜24を形成する場合、インク化された有機薄膜24の組成物を基板11上の所定位置に滴下し、この滴下した組成物を乾燥させる。この乾燥の過程で滴下した位置にわずかな窪み(すなわち、表面の段差)が存在すると、この窪みに組成物が残留し最後に乾燥することで他の部分よりも膜厚が厚くなり、画素形成領域40内での輝度にばらつきが生じてしまう。その結果、表示特性の低下やパネル寿命の短縮などの原因となる。このような画素形成領域40内での輝度のばらつきを抑えるためには、画素形成領域40内、より一般的には平坦化層50表面における段差を、300nm以下、より好ましくは100nm以下とする必要がある。
【0068】
一方、図4に示されるように、基板11上にはTFT30や配線37が形成されており、これらと基板11との間の段差は通常1.5〜2.0μmである。そのため、平坦化層50表面の段差を上記の条件以下に抑えるためには、この段差を埋めるための平坦化層50を形成する必要がある。そしてさらに、この平坦化層50表面の段差を300nm以下にするためには、平坦化層50の厚さを3μm以上としなければならない。
【0069】
このように、平坦化層50の厚さを3μm以上または平坦化層50表面の段差を300nm以下とすることによって、インクジェット法や印刷法などのウェットプロセスで有機薄膜24を形成する場合でも、表示特性やパネル寿命に影響しない程度に画素形成領域40内における有機薄膜24の膜厚のばらつきを抑制することが可能となる。
【0070】
陽極23は、スパッタ、蒸着、イオンプレーティングなどの成膜手段によって平坦化層50上に透明な導電性材料を形成した後に、画素が形成される所定の位置に透明な導電性材料が残るようにパターニングすることによって、画素電極として形成される。この透明な導電性材料として、例えば、ITO,IZOなどを用いることができる。なお、この陽極23は、平坦化層50に形成されたコンタクトホールを通して、TFT30のドレイン電極33に電気的に接続されている。
【0071】
バンク28は、陽極23の所定位置に発光層を含む有機薄膜24を形成するための素子形成領域40を残し、この素子形成領域40を囲むようにして設けられており、隣り合う画素同士を区切る役目をしている。このバンク28は、基板11側に位置し、SiOやTiOなどの無機絶縁材料から構成される無機物バンク層26と、基板11から離れて無機物バンク層26の上位に位置し、可視光を吸収するように黒色または暗色に着色されたアクリル樹脂やポリイミド樹脂、BCB樹脂などの耐熱性および耐溶媒性のあるレジストから構成される有機物バンク層27とが積層されて構成されている。可視光を吸収する有機物バンク層27は、アクリル樹脂やポリイミド樹脂、BCB樹脂などに、黒色顔料、赤青黄などの混合顔料、暗色(茶色、臙脂色、紫色などの)の顔料、カーボンブラック、絶縁材料微粒子、染料などを混合することによって得られる。
【0072】
無機物バンク層26は、画素電極(陽極)23と対向電極(陰極)25との間でショートが起きないように設けられている。そのため、図4に示されるように、無機物バンク層26は、有機物バンク層27に比べてやや画素電極(陽極)23の中央側に形成されている。また、有機物バンク層27は、画素電極(陽極)23を取り囲むように開口部を有しており、この開口部の上部は、下部よりも広く形成されている。ただし、有機物バンク層27の開口部および無機物バンク層26の開口部は、ともに画素電極(陽極)23よりも狭く形成されている。
【0073】
少なくとも発光層を含む有機薄膜24は、陽極23上に形成される。この有機薄膜24は、インクジェット法や印刷法などの他に、スパッタや蒸着などの成膜手段によって形成することができる。発光層を構成する材料として、上述した第1の実施の形態で使用されるものと同じ[化1]〜[化5]に示すポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体を例として挙げることができる。また、発光層を赤色に発光させるには、ローダミン、DCMの誘導体、ナイルレッドなどを上記の発光層を構成する材料に添加し、発光層を緑色に発光させるには、キナクリドン、クマリン6などを上記の発光層を構成する材料に添加し、そして、発光層を青色に発光させるには、ペリレン、テトラフェニルブタジエンなどを上記の発光層を構成する材料に添加する。
【0074】
また、有機薄膜24に正孔注入輸送層が含まれる場合には、正孔注入輸送層を構成する材料として、上述した第1の実施の形態で使用されるものと同じポリエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸などの混合物や、芳香族アミン誘導体(TPD、α−TPDなど)、MTDATA、銅フタロシアニン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、フェニルアミン誘導体などを例として挙げることができる。
【0075】
さらに、有機薄膜24に電子注入輸送層が含まれる場合には、電子注入輸送層を構成する材料として、上述した第1の実施の形態で使用されるものと同じジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、オキサジアゾール誘導体、アントロン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、8−キノリノール誘導体、その他特定の電子伝達性化合物などを用いることができる。
【0076】
対向電極25は、バンク28上および画素形成領域40に形成された発光層を含む有機薄膜24上に、スパッタ、蒸着、イオンプレーティングなどの成膜手段によって形成される。対向電極25は、透明な導電性材料によって形成され、例えば、ITO,IZOなどを用いることができる。
【0077】
さらに、この対向電極25が形成された基板11上には、保護膜52として、スパッタ、蒸着、CVD、イオンプレーティングなどの成膜手段によって、酸化珪素,窒化珪素,酸化窒化珪素,Al,TiO,Ta,ZnO,Y,ITO,IZOなどの透明な無機化合物またはアクリル樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂などのうち光透過性の高い有機化合物からなる薄膜が1層以上形成される。用途によっては、この保護膜52上にガラスやフィルムなどの保護材料をさらに設けてもよい。
【0078】
このようにして、RGBの各画素が集まってなる一単位の有機EL素子が基板11上に複数配列された有機EL装置が得られる。
【0079】
この第3の実施の形態によれば、トップエミッション型の有機EL装置において、画素電極としての陽極23を透明とし、基板11と画素電極23との間に可視光を吸収するように着色した平坦化層50を設け、さらに、可視光を吸収するように着色したバンク28を設けるように構成したので、TFT30や配線37によって反射される外部の光を抑制することができる。その結果、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。
【0080】
(第4の実施の形態)
つぎに、有機EL装置の第4の実施の形態について説明する。
【0081】
図6は、第3の実施の形態の平坦化層と透明陽極との積層部分を取り出した図である。この図6に示されるように、ITOなどからなる透明陽極は、ポリイミド樹脂やBCB樹脂などからなる平坦化層50上に直接堆積されている。このように、有機物上に直接に画素電極23を堆積すると画素電極23の抵抗が増加してしまい、またフォトリソグラフィを用いて画素電極23をエッチングすると、図7に示されるように、フォトレジスト60が被せられている画素電極23の周縁部Sがエッチングされてしまうサイドエッチという現象が起きてしまっていた。そこで、画素電極23の抵抗の増加を抑制するために、そしてフォトリソグラフィによるエッチング時に画素電極23のサイドエッチを抑制するために、この第4の実施の形態では、図8に示されるように、有機物からなる平坦化層50と画素電極23との間に、SiOなどの無機材料からなる絶縁層51を形成することを特徴とする。この絶縁層51の厚さdは、30〜800nmの厚さであることが望ましい。30nm以下であると、絶縁層51上に形成されるITOなどの画素電極23に対して、抵抗が増加してしまうなど平坦化層50が影響を及ぼす可能性があり、800nm以上であると、下地の平坦化層50との間で応力が発生し、絶縁層51にクラックや剥離が発生する原因となるからである。
【0082】
以下の説明では、第3の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0083】
図5は、この発明にかかる有機EL装置の画素領域の構造についての第4の実施の形態を示す断面図である。第3の実施の形態と同じように、有機EL装置の基板11上に形成されたTFT30や配線37を覆うように、平坦化層50が形成され、その上に絶縁層51、画素電極23が順に形成される。この画素電極23の所定位置に有機EL薄膜を形成するための素子形成領域40を残し、この素子形成領域40を囲むようにして黒色または暗色に着色されたバンク28が設けられている。そして、バンク28によって囲まれた素子形成領域40には、少なくとも発光層を含む有機物からなる薄膜24が形成される。そして、これらの素子が形成された基板11上に対向電極25および保護膜52が形成されている。
【0084】
ここで、平坦化層50と絶縁層51との組合せとして、(1)着色された平坦化層50と透明な絶縁層51、(2)未着色の平坦化層50と着色された絶縁層51、(3)着色された平坦化層50と着色された絶縁層51の3つのものが考えられる。平坦化層50を構成する材料としては、第3の実施の形態と同じように、ポリイミド樹脂やBCB樹脂などの耐熱樹脂を用いることができ、着色する場合には、これらに黒色顔料、赤青黄などの混合顔料、暗色(茶色、臙脂色、紫色などの)の顔料、カーボンブラック、絶縁材料微粒子、染料などを混合すればよい。また、透明な絶縁層51としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素などを用いることができ、着色された絶縁膜51としては、Cr,W,Mo,Ti,Taの窒化物または珪化物、Cr,FeO,Fe,V、またはこれらの混合物を用いることができる。
【0085】
この第4の実施の形態によれば、トップエミッション型の有機EL装置において、基板11と画素電極23との間に平坦化層50と絶縁層51を設け、少なくとも平坦化層50または絶縁層51のいずれかが可視光を吸収するように着色されたものとしたので、TFT30や配線37によって反射される外部の可視光を抑制することができる。その結果、有機EL装置のコントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。
【0086】
また、平坦化層50と画素電極23との間に、絶縁性の無機材料からなる絶縁層51を形成するように構成したので、平坦化層50が抵抗の増加などの画素電極23に与える影響を抑制すると共に、フォトエッチングプロセスにおける画素電極23のサイドエッチも抑制することができるという効果を有する。
【0087】
(第5の実施の形態)
この第5の実施の形態では、第1〜第4の実施の形態で説明してきた有機EL装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
【0088】
図9〜図11は、それぞれ、この発明にかかる有機EL装置を使用した電子機器の例である。図9は、携帯電話の一例を示す斜視図である。1000は携帯電話本体を示し、そのうち1001はこの発明の有機EL装置からなる表示部である。図10は、腕時計型の電子機器の一例を示す斜視図である。1100は時計機能を内蔵した時計本体を示し、1101はこの発明の有機EL装置からなる表示部である。そして、図11は、ワードプロセッサ機やパーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置の一例を示す斜視図である。この図11において、1200は携帯型情報処理装置を示し、1202はキーボードなどの入力部、1204は演算手段や記憶手段などが格納されている情報処理装置本体部、1206はこの発明の有機EL装置からなる表示部である。
【0089】
また、このような有機EL装置を備えた電子機器としては、図9に示される携帯電話、図10に示される腕時計型の電気機器、図11に示される携帯型情報処理装置のほかに、例えば、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機などの電気光学装置を備える電子危機を挙げることができる。したがって、これらの電子機器における電気的接続構造であっても、この発明が適用可能であることはいうまでもない。
【0090】
また、上述した各実施の形態においては、いずれもアクティブマトリックス型の素子としてTFTを備えたアクティブマトリックス型の有機EL装置を例示してきたが、薄膜ダイオード(TFD)をアクティブマトリックス型の素子として備えた有機EL装置や、パッシブマトリックス型の有機EL装置にも同様に適用することが可能である。なお、特許請求の範囲における駆動回路とは、基板11上に配置されたアクティブマトリックス方式の能動素子とその配線を含む回路構造、および基板上に配置されたパッシブマトリックス方式の配線を含む回路構造をいうものである。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、駆動回路が形成される基板上の位置に形成される可視光を吸収する第1の吸収層と、第2の電極上に形成される可視光を吸収する第2の吸収層とを備え、第2の電極を透明な導電性材料で構成するようにしたので、有機EL装置における外光を反射する部分がなくなり、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。
【0092】
つぎの発明によれば、駆動回路が形成される基板上の位置に形成される可視光を吸収する吸収層と、バンク部上の第2の電極上に配置された可視光を吸収する吸収部材とを備え、第2の電極を透明な導電性材料で構成するように構成したので、有機EL装置における外光を反射する部分がなくなり、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。
【0093】
つぎの発明によれば、可視光を吸収する材料によって平坦化層を構成するようにしたので、有機EL装置における外光を反射する部分がなくなり、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。また、平坦化層は少なくとも3μmの厚さを有するように構成したので、または平坦化層表面の段差が300nm以下となるように平坦化層を形成したので、画素形成領域内での発光層を含む有機薄膜の厚さのばらつきを抑えることができる。その結果、画素形成領域内での発光輝度のばらつきを抑制し、有機EL装置の表示品質を向上することができるという効果を有する。
【0094】
つぎの発明によれば、平坦化層と透明陽極の間に無機材料からなる絶縁膜を形成するようにしたので、平坦化層の影響によって透明陽極の抵抗が増加したり、透明陽極をエッチングするときのサイドエッチが発生したりする弊害を抑制できるという効果を有する。
【0095】
つぎの発明によれば、平坦化層と絶縁膜のうち少なくとも一方を、可視光を吸収する材料で構成するようにしたので、有機EL装置における外光を反射する部分がなくなり、コントラストが向上し、視認性が改善されるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による有機EL装置の配線構造の平面模式図である。
【図2】この発明による有機EL装置の第1の実施の形態を示す断面模式図である。
【図3】この発明による有機EL装置の第2の実施の形態を示す断面模式図である。
【図4】この発明による有機EL装置の第3の実施の形態を示す断面模式図である。
【図5】この発明による有機EL装置の第4の実施の形態を示す断面模式図である。
【図6】有機EL装置の平坦化層と陽極との接合部分の断面模式図である。
【図7】フォト・エッチング後の有機EL装置の平坦化層と陽極との接合部分の断面模式図である。
【図8】有機EL装置の平坦化層と陽極との接合部分の第5の実施の形態を示す断面模式図である。
【図9】電子機器の一例を示す図である。
【図10】電子機器の一例を示す図である。
【図11】電子機器の一例を示す図である。
【図12】従来例の有機EL素子の断面模式図である。
【符号の説明】
1 有機EL装置
11 基板
12 第1の吸収層
20 下地保護膜
21 第1の層間絶縁膜
22 第2の層間絶縁膜
23 陽極(画素電極)
24 有機薄膜
25 陰極(対向電極)
26 無機物バンク層
27 有機物バンク層
28 バンク
29 第2の吸収層
30 TFT
31 ポリシリコン膜
32 ソース電極
33 ドレイン電極
34 ゲート電極
35 ゲート絶縁膜
37 配線
39 吸収部材
40 画素形成領域
50 平坦化層
51 絶縁層
52 保護膜
60 フォトレジスト
101 走査線
102 信号線
103 電源線
104 データ駆動回路
105 走査側駆動回路
110 機能層
112 スイッチング用のTFT
113 駆動用のTFT

Claims (10)

  1. 対向する電極の間に発光層が形成されてなる有機EL素子が基板の上に形成されてなる有機EL装置であって、
    前記基板上であって、前記一方の電極の一部を覆うように形成されてなる第1の吸収層と、
    前記電極のうち他方の電極上に形成されてなる第2の吸収層と、
    を有することを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記第1の吸収層は、600℃以上の融点を有する無機化合物から構成されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  3. 対向する電極の間に発光層が形成されてなる有機EL素子が基板の上に形成されてなる有機EL装置であって、
    前記基板には平坦化層が形成されてなり、前記平坦化層が可視光を吸収する特性を有する材料により形成されてなることを特徴とする有機EL装置。
  4. 前記平坦化層は、少なくとも3μmの厚さを有することを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
  5. 前記平坦化層表面の段差は、300nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
  6. 前記平坦化層上に、無機材料からなる絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の有機EL装置。
  7. 前記絶縁層は、30〜800nmの厚さを有することを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
  8. 前記平坦化層と前記絶縁層のうち少なくとも一方が可視光を吸収する特性を有する材料により形成されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の有機EL装置。
  9. 前記基板上の所定の位置にバンクが形成されてなり、前記バンクは、可視光を吸収する材料によって構成されることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1つに記載の有機EL装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
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