JP2004098012A - 薄膜形成方法、薄膜形成装置、光学素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体素子および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理基板である基板10の幅と略同一の長さを持つ吐出口であってスリット形状に開けられた吐出口を有してなるスリットノズルから、液状材料を吐出して、基板10に設けられた所望パターン領域に該液状材料を塗布する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状材料を塗布する工程を有する薄膜形成方法、薄膜形成装置、光学素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体素子および電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、所望のパターンに薄膜を成膜する方法としては、基板の被処理面に隔壁(バンク)を形成し、その隔壁で囲まれた領域(パターン領域)に液状材料を充填し、その液状材料を乾燥又は焼成することで成膜するという方法があった。液状材料の充填方法にはインクジェットノズルなどからその液状材料をパターン領域に吐出する液滴吐出方式がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−291583号公報
【特許文献2】
特開2002−122727号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインクジェットノズルを用いた成膜方法では、液状材料を一滴ずつ吐出して各パターンを一カ所ずつ順次成膜するので、成膜工程が長時間となりスループットを低下させる要因になっているという問題点がある。
【0005】
また、従来のインクジェットノズルを用いた成膜方法では、1つの基板について成膜している途中で、インクジェットノズルの吐出状態が変化してしまい、基板の被処理面全体において不均一な成膜箇所が生じる確率が比較的高かった。
【0006】
また、液滴吐出方式によって、インクジェットノズルから吐出することが可能な液状材料の状態は限定されており、入手した液状材料について粘度及び表面張力などを調整する必要がある。そして、この調整にはかなりの量の工数と材料が必要となるので、製造コストの上昇を招いていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、所望のパターン領域に液状材料を塗布して成膜しようするときに、製造コストの低減化及び製造時間の短縮化を可能にするとともに、基板の被処理面全体について均一な薄膜を容易に形成することが可能な薄膜形成方法、薄膜形成装置、光学素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体素子および電子機器の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために本発明の薄膜形成方法は、被処理基板の幅と略同一の長さを持つ吐出口であってスリット形状に開けられた吐出口を有してなるスリットノズルから、液状材料を吐出して、該被処理基板に設けられた所望パターン領域に該液状材料を塗布することを特徴とする。
本発明によれば、被処理基板上のある1辺から対向する1辺へ1つのスリットノズルを1回走査するだけで、被処理基板全体に液状材料を塗布することができる。したがって、例えば、被処理基板の所望パターン領域に親液処理を施し、他の領域に撥液処理を施しておくことなどで、被処理基板の全体に配置された所望パターン領域にのみ、1回のスリットノズルの走査で一括して液状材料を塗布することができる。
そこで、本発明によれば、液状材料を用いて薄膜を形成する工程において、製造コストの低減化及び製造時間の短縮化が可能になるとともに、基板の被処理面全体について均一な薄膜を容易に形成することが可能になる。
また、本発明によれば、被処理基板の全体に短時間で一括して液状材料を塗布することができるので、その液状材料について粘度及び表面張力などの条件が緩やかとなり、液状材料の調整にかかる工数及び材料を低減することができる。
【0009】
また、本発明の薄膜形成方法は、複数の前記被処理基板は、マザー基板において行列をなすように規則的な位置に配置されており、前記行列における行又は列に配置された各被処理基板に対応するように、複数の前記スリットノズルを直線上に配置し、複数の前記スリットノズルから略同時に前記液状材料を吐出することが好ましい。
本発明によれば、直線上に配置した複数のスリットノズルそれぞれを、複数の被処理基板がなす行列の行又は列に沿って1回走査するだけで、その複数の被処理基板について一括して液状材料を塗布することができる。
したがって、例えば、各被処理基板の所望パターン領域に親液処理を施し、他の領域に撥液処理を施しておくことなどで、各被処理基板の全体に配置された所望パターン領域にのみ、1回のスリットノズルの走査で一括して液状材料を塗布することができる。
そこで、本発明によれば、液状材料を用いて薄膜を形成する工程において、さらなる製造コストの低減化及び製造時間の短縮化が可能になるとともに、各被処理基板の被処理面全体について均一な薄膜を容易に形成することが可能になる。また、本発明によれば、複数の被処理基板の全体に短時間で一括して液状材料を塗布することができるので、その液状材料について粘度及び表面張力などの条件がさらに緩やかとなり、液状材料の調整にかかる工数及び材料をさらに低減することができる。
【0010】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記直線上に配置された複数のスリットノズルは、1つのノズルに複数の前記吐出口が形成されたものであり、各吐出口は、1つの液状材料供給部に繋がっていることが好ましい。
本発明によれば、1つの液状材料供給部から各スリットノズルの吐出口へ液状材料が供給されるので、各吐出口での液状材料の圧力が均一化され、複数の被処理基板に対してより均一に液状材料を塗布することができる。
【0011】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記直線上に配置された複数のスリットノズルは、各スリットノズルが着脱自在に結合されたものであり、前記マザー基板上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数と同一の個数の該スリットノズルが結合されたものであることが好ましい。
本発明によれば、各スリットノズルが着脱自在に結合されたものであるので、マザー基板などの上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数にスリットノズルの数を容易に合わせることができる。
【0012】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記被処理基板における所望パターン領域について、前記液状材料を塗布する前に、親液処理を施しておくことが好ましい。本発明によれば、スリットノズルによって被処理基板全体に塗布された液状材料が親液処理された所望パターン領域では残り、他の領域に塗布された液状材料はその領域からはじき出されるので、スリットノズルを用いて簡易に所望パターン領域にのみ液状材料を充填することができる。
【0013】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記被処理基板における所望パターン領域の外側について、前記液状材料を塗布する前に、撥液処理を施しておくことが好ましい。
本発明によれば、撥液処理された所望パターン領域の外側に塗布された液状材料はその領域からはじき出され、撥液処理されていない所望パターン領域に液状材料が充填されるので、スリットノズルを用いて簡易に所望パターン領域にのみ液状材料を充填することができる。
【0014】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記スリットノズルが、毛細管現象を用いて前記液状材料を被処理面に供給するものであることが好ましい。
本発明によれば、毛細管現象を用いて液状材料を下側から上側に供給することができるので、被処理基板の被処理面を下に向けた状態でその被処理面に液状材料を塗布することができる。結果的に、親液部分にのみ均一に成膜できる。
【0015】
また、本発明の薄膜形成方法は、複数の前記スリットノズルから前記液状材料を吐出するときに、前記マザー基板と該複数のスリットノズルとのうちの少なくとも一方を移動させ、該スリットノズルが前記被処理基板上に来たときは、該スリットノズルの吐出口を該被処理基板の被処理面に近づけ、該スリットノズルが前記被処理基板上から離れたときは、該スリットノズルの吐出口を前記マザー基板の面から遠ざけることが好ましい。
本発明によれば、マザー基板上に配置された複数の被処理基板にのみ液状材料を塗布することができ、簡易に且つ迅速に複数の被処理基板に液状材料を塗布することができる。
【0016】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記スリットノズルが前記被処理基板上に来たときは、該スリットノズルの吐出口から前記液状材料を吐出させ、該スリットノズルが該被処理基板上から離れたときは、該スリットノズルの吐出口からの該液状材料の吐出を停止させることが好ましい。
本発明によれば、被処理基板の全体に、簡易に且つ迅速に液状材料を塗布することができる。
【0017】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記液状材料の濃度を制御することで、前記所望パターン領域に塗布された液状材料による薄膜の厚さを制御することが好ましい。
本発明によれば、液状材料の濃度を制御することで、液状材料によって形成する薄膜の厚さを簡易に制御することができる。
【0018】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記所望パターン領域は、隔壁で囲まれていることが好ましい。
本発明によれば、例えば、所望パターン領域については親液処理を施しておき、所望パターン領域を囲んでいる隔壁については撥液処理を施しておくことで、所望パターン領域にのみ精密に液状材料を充填することができる。
【0019】
また、本発明の薄膜形成方法は、前記複数の被処理基板がなす行列における行又は列方向へ1回だけ前記複数のスリットノズルを移動させる過程で、該複数の被処理基板全ての所望パターン領域に前記液状材料を塗布することが好ましい。本発明によれば、スリットノズルを1回走査するだけで、複数の被処理基板全ての所望パターン領域に液状材料を塗布することができるので、スループットを向上させることができるとともに、複数の被処理基板について膜厚などの均一度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の薄膜形成装置は、液状材料を吐出する吐出口であって、被処理基板の幅と略同一の長さを持ちスリット形状に開けられた吐出口を有してなるスリットノズルを備えることを特徴とする。
本発明によれば、被処理基板上のある1辺から対向する1辺へ1つのスリットノズルを1回走査するだけで、被処理基板全体に液状材料を塗布することができる。したがって、例えば、被処理基板の所望パターン領域に親液処理を施し、他の領域に撥液処理を施しておくことなどで、被処理基板の全体に配置された所望パターン領域にのみ、1回のスリットノズルの走査で一括して液状材料を塗布することができる。
【0021】
また、本発明の薄膜形成装置は、前記スリットノズルが直線上に所定の間隔を空けて複数配置されていることが好ましい。
本発明によれば、平面上に所定の間隔で被処理基板が複数配置されている場合に、その複数の被処理基板について同時に一括して液状材料を塗布することができるので、スループットを向上させることができるとともに、各被処理基板について膜厚などの均一度を向上させるこことができる。
【0022】
また、本発明の薄膜形成装置は、複数の前記スリットノズルは、1つのノズルに複数の前記吐出口が形成されたものであり、各吐出口が一つの液状材料供給部に繋がっていることが好ましい。
本発明によれば、1つの液状材料供給部から各スリットノズルの吐出口へ液状材料が供給されるので、各吐出口での液状材料の圧力が均一化され、複数の被処理基板に対してより均一に液状材料を塗布することができる。
【0023】
また、本発明の薄膜形成装置は、複数の前記スリットノズルが、各スリットノズルが着脱自在に結合されたものであり、前記マザー基板上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数と同一の個数の該スリットノズルが結合されたものであることが好ましい。
本発明によれば、各スリットノズルが着脱自在に結合されたものであるので、マザー基板などの上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数にスリットノズルの数を容易に合わせることができる。
【0024】
また、本発明の薄膜形成装置は、複数の前記スリットノズルそれぞれが開閉可能となっていることが好ましい。
本発明によれば、スリットノズルを着脱せずとも、液状材料を吐出するスリットノズルの数を、マザー基板などの上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数に合わせることができるので、各種形態の行列に配置された複数の被処理基板に、簡易に、一括して液状材料を吐出することができる。
【0025】
また、本発明の薄膜形成装置は、複数の前記スリットノズルそれぞれの位置が変更可能となっていることが好ましい。
本発明によれば、マザー基板などの平面上に配置された複数の被処理基板それぞれの位置に適合するように、各スリットノズルの位置を変更することができるので、各種形態の行列に配置された複数の被処理基板に、簡易に、一括して液状材料を吐出することができる。
【0026】
また、本発明の薄膜形成装置は、前記スリットノズルが毛細管現象を用いて前記液状材料を被処理面に供給するものであることが好ましい。
本発明によれば、毛細管現象を用いて液状材料を下側から上側に供給することができるので、被処理基板の被処理面を下に向けた状態でその被処理面に液状材料を塗布することができる。結果的に、親液部分にのみ均一に成膜できる。
【0027】
また、本発明の光学素子は、前記薄膜形成方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、膜厚などの均一度が高く、またスループットも高いので、不具合が生じる確率が従来よりも低く、低コストで且つ短時間で製造することができるカラーフィルタ、液晶表示素子及び有機EL素子などの光学素子を提供することができる。
【0028】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記薄膜形成方法を用いて製造された正孔注入層を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の各画素に設けられる複数の正孔注入層を基板全体について一括して成膜することが可能であるので、膜厚などの均一度が高く、点欠陥などの不具合が生じる確率が従来よりも低い有機エレクトロルミネッセンス素子を低コストで且つ迅速に提供することができる。
【0029】
また、本発明の半導体素子は、前記成膜方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、半導体素子の配線などをなす薄膜を基板全体について一括して成膜することが可能であるので、膜厚などの均一度が高く、短絡不良などの不具合が生じる確率が従来よりも低い半導体素子を低コストで且つ迅速に提供することができる。
【0030】
また、本発明の電子機器は、前記光学素子を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、表示画素における点欠陥又は表示画面の不具合などの発生を抑制することができる高品質な光学素子を備えた電子機器であって、低コストで且つ短時間で製造することができる電子機器を提供することができる。
【0031】
また、本発明の電子機器は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子による表示手段における不具合が発生する確率が低い高品質な表示手段を備えた電子機器であって、低コストで且つ短時間で製造することができる電子機器を提供することができる。
【0032】
また、本発明の電子機器は、前記半導体素子を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、短絡不良などの不具合が発生することを抑制することができる電子機器であって、低コストで且つ短時間で製造することができる電子機器を提供することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る薄膜形成方法について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る薄膜形成方法の被処理基板を示す平面図である。被処理基板である基板10は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)基板を形成するための基板とする。なお、基板10としては、有機EL基板に限らず、半導体集積回路基板、液晶基板又はプラズマディスプレイ基板など各種の基板を適用することができる。
【0034】
そして、複数の基板10がマザー基板1の上面に規則的に配置されている。マザー基板1は、基板10を形成するときの基となる基板(例えばシリコン基板など)であってもよく、基板10の形成とは無関係な別個の基板(例えば単なる台)であってもよい。また、複数の基板10それぞれは、マザー基板1上において縦方向及び横方向に一定の間隔をもって、3行5列に整然と配置されている。すなわち、直線上に第1行目の基板10aが5枚、第1行目の直線と所定間隔を空けた位置の直線上に第2行目の基板10bが5枚、第2行目の直線と所定間隔を空けた位置の直線上に第3行目の基板10cが5枚配置されている。複数の基板10の配置は、図1に示す配置に限定されるものではなく、行列として整然と配置されているなら他の行数及び他の列数であってもよい。
【0035】
また、図1に示すように、各基板10は正方形状をしており、各基板10の対応する各辺が同一方向を向くように配置されている。このような配置が好ましいが、例えば、各基板10の配置が各行毎に少しずつずれていくような配置であっても、本発明を適用することが可能である。なお、基板10は正方形状に限定されるものではなく、長方形状などであってもよい。
【0036】
各基板10の上面(被処理面)全体には、複数のパターン領域が非パターン領域に混じって設けられている。このパターン領域は、例えば、有機EL基板の発光エリア(画素)に相当する領域であって正孔注入層が形成される領域とする。各パターン領域は、隔壁(バンク)によって囲まれている。また、各基板10の隔壁には、予め撥液処理を施しておく。撥液処理は、パターン領域に充填する液状材料に対して撥液性を示すように処理するものであり、例えば、隔壁についてプラズマ処理を施すことで行う。隔壁で囲まれたパターン領域の親液性が十分でない場合は、そのパターン領域について予め親液処理を施すことが好ましい。親液処理としては、例えば、パターン領域について紫外線を照射する、オゾン処理する、酸素プラズマ処理する、又はこれらの組み合わせなどの手法をとる。
【0037】
上記のように、所望のパターン領域を囲むように隔壁が設けられ、撥液処理及び親液処理が施された基板10において、そのパターン領域に所望の液状材料を充填し、次いで、その液状材料について乾燥及び焼成などの処理を施すことで、そのパターン領域に薄膜が形成される。次に、かかる液状材料の充填方法について、図2及び図3を参照して説明する。
【0038】
図2は本発明の実施形態に係る薄膜形成方法で用いられるスリットノズルを示す模式底面図である。図2に示す各スリットノズル34aは、液状材料を吐出するものであり、基板10の幅と略同一の長さのスリット形状に開けられた吐出口35を備えている。吐出口35のスリット形状の幅は、長さ方向に略均一な幅となっている。
【0039】
そして、各スリットノズル34aは、各基板10の横方向の間隔と同一の間隔をもって配置されている。換言すれば、各スリットノズル34aは、行列に配置された複数の基板10の各列に対応するように配置されており、各列の基板10における横方向の1辺と対応するように配置されている。
【0040】
また、図2に示す複数のスリットノズル34aの代わりに、図3に示すような1つのスリットノズル34bを用いてもよい。図3は本発明の実施形態に係る薄膜形成方法で用いられるスリットノズルの他の形態を示す模式底面図である。図3に示すスリットノズル34bは、1つのノズルに複数の吐出口35を設けたものである。各吐出口35は、ノズルの奥に設けられている1つの液状材料供給部に繋がっている。そして、各吐出口35へは、液状材料供給部から略同一の圧力で液状材料が供給される。
【0041】
また、図2又は図3に示すスリットノズル34a,34bは、各スリットノズル(各吐出口35の部分)が着脱自在に結合されたものであってもよい。そしてマザー基板1上に配置された複数の基板10がなす行列の行又は列の数と同一の個数のスリットノズルを結合して、スリットノズル34a,34bを形成してもよい。
【0042】
また、図2又は図3に示すスリットノズル34a,34bは、各吐出口35がそれぞれ開閉可能となっているものであってもよい。また、図2又は図3に示すスリットノズル34a,34bは、各ノズル自体又は各吐出口35の位置が変更可能となっているものであってもよい。このようにすれば、基板10の列又は行の数に液状材料を吐出する吐出口35の数を簡易に合わせることができるとともに、各基板10の配置に各吐出口35の位置を簡易に合わせることができる。
【0043】
また、スリットノズル34a,34bは、毛細管現象を用いて液状材料を供給するものであってもよい。このような毛細管現象を利用することにより、基板10の被処理面を下向きにした状態で、その被処理面に液状材料を塗布することができる。結果的に、親液部分にのみ均一に成膜できる。
【0044】
上記のような図2又は図3に示すスリットノズル34a,34bを用意したのち、例えば、図1に示すマザー基板1上に配置された複数の基板10がなす行列における第3行目の5枚の基板10cの底辺に、各ノズルの吐出口35がくるように、スリットノズル34a,34bを移動させる。
【0045】
次いで、各スリットノズル34a,34bの吐出口35を基板10に接近させ、その各スリットノズル34a,34bの吐出口35から略同時に液状材料を吐出させながら各スリットノズル34a,34bを第2行目の5枚の基板10bの方向に移動させる。そして、各スリットノズル34a,34bの吐出口35が第1行目の5枚の基板10cにおける一方端に来たら、吐出口35からの液状材料の吐出を停止させるとともに、各スリットノズル34a,34bを一定値だけ上方に引き上げる。これにより、第3行目の5枚の基板10cについての液状材料の塗布が完了する。ここで、各スリットノズル34a,34bの第2行目方向への移動は続いている。
【0046】
次いで、各スリットノズル34a,34bが第2行目の5枚の基板10bの1辺付近に来たら、第3行目の基板10に液状材料を塗布したときと同様にして、各スリットノズル34a,34bを下方に引き下げて第2行目の基板10bに接近させ、各吐出口35からの液状材料の吐出を再開する。そして、各スリットノズル34a,34bの吐出口35が第2行目の基板10bにおける一方端に来たら、吐出口35からの液状材料の吐出を停止させるとともに、各スリットノズル34a,34bを一定値だけ上方に引き上げる。これにより、第2行目の5枚の基板10bについての液状材料の塗布が完了する。ここで、各スリットノズル34a,34bの第1行目方向への移動は続いている。
【0047】
次いで、各スリットノズル34a,34bが第1行目の基板10aの1辺付近に来たら、第2行目の基板10bに液状材料を塗布したときと同様にして、各スリットノズル34a,34bを下方に引き下げて第1行目の基板10aに接近させ、各吐出口35からの液状材料の吐出を再開する。そして、各スリットノズル34a,34bの吐出口35が第1行目の基板10aにおける一方端に来たら、吐出口35からの液状材料の吐出を停止させるとともに、各スリットノズル34a,34bを一定値だけ上方に引き上げる。これにより、第1行目の5枚の基板10aについての液状材料の塗布が完了し、全ての基板10についての液状材料の塗布が完了する。
【0048】
上記のようにして基板10の全面に液状材料が塗布されるが、基板10におけるパターン領域は親液処理が施されパターン領域以外は撥液処理が施されているので、パターン領域以外に塗布された液状材料はその領域からはじき出され、パターン領域にのみ液状材料が充填される。
【0049】
図4は上記のようにして基板10のパターン領域に液状材料が塗布された状態を示す模式断面図である。図5は図4に示す基板10の平面図である。図4及び図5に示すように、基板10の上面には隔壁11が設けられている。そして、隔壁11に囲まれた凹部がパターン領域となっている。隔壁11には撥液処理が施されているので、液状材料は隔壁11に囲まれた凹部にのみ充填される。その充填された液状材料について乾燥及び焼成などを施すことで、例えば、有機EL基板における正孔注入層12をなす薄膜を形成する。
【0050】
これらにより、本実施形態の薄膜形成方法によれば、行列として配置された複数の基板10に対して、例えば第3行目から第1行目へスリットノズル34a,34bを1回走査するだけで、複数の基板10全体に液状材料を塗布することができる。そして、各基板10について予めパターン領域に親液処理を施し、他の領域に撥液処理を施しておくことで、各基板10の全体に配置されたパターン領域にのみ、1回のスリットノズル34a,34bの走査で一括して液状材料を塗布することができる。そこで、本実施形態の薄膜形成方法によれば、簡易にかつ迅速にパターン領域に液状材料を塗布することができるので、液状材料を用いて薄膜を形成する工程において、製造コストの低減化及び製造時間の短縮化をすることができる。
【0051】
また、本実施形態の薄膜形成方法によれば、スリットノズル34a,34bを1回走査するだけで複数の基板10全体に液状材料を塗布することができ、液滴吐出方式によってインクジェットノズルから液状材料を一滴づつ吐出する場合に比べて、吐出不良などによって不均一な箇所が生じて歩留まりが低下する確率を大幅に低減することができる。
【0052】
また、本実施形態の薄膜形成方法によれば、スリットノズル34a,34bを1回走査するだけで複数の基板10全体に液状材料を塗布することができ、各吐出口35から基板10へ供給される液状材料を略同じ状態にすることができるので、複数の基板10の被処理面全体について均一な薄膜を容易に形成することができ、薄膜におけるムラを大幅に低減することができる。
【0053】
また、本発明によれば、複数の基板10の全体に短時間で一括して液状材料を塗布することができることなどにより、その液状材料について粘度及び表面張力などの条件が大幅に緩やかになるとともに、液状材料についての溶媒添加、分散状態制御などの調整を不要とすることができ、製造工数を大幅に低減することができる。
【0054】
また、本発明によれば、スリットノズル34a,34bに供給する液状材料の濃度を制御すること、又はスリットノズル34a,34bなどを走査する速度を制御することで、基板10におけるパターン領域に塗布された液状材料による薄膜の厚さを簡易に制御することができる。
液状材料の濃度は、例えば液状材料の固形分比率を変えることで容易に可変することができる。ここで、本実施形態ではスリットノズル34a,34bを用いているので、一滴づつ吐出するインクジェットノズルを用いた場合よりも液状材料の濃度範囲を幅広く制御することができ、薄膜の厚さも幅広く制御することができる。
【0055】
次に、本実施形態の薄膜形成方法に用いるスリットノズルの他の構成について図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、本実施形態の薄膜形成方法に用いるスリットノズルの他の構成を示す模式断面図である。
図6(a)に示すスリットノズル34cは、四角柱形状又は円柱形状のノズル先端部を有し、基板10の上側に配置され、下方に向けて液状材料15を吐出するものである。そして、スリットノズル34cは、液状材料15の吐出時において、基板10の上面に吐出された液状材料15に接触する程に基板10に接近する。
【0056】
図6(b)に示すスリットノズル34dは、逆三角錐又は逆円錐形状のノズル先端部を有し、基板10の上側に配置され、下方に向けて液状材料15を吐出するものである。そして、スリットノズル34dは、液状材料15の吐出時において、基板10の上面に吐出された液状材料15に接触する程に基板10に接近する。
【0057】
図6(c)に示すスリットノズル34eは、断面が略台形状のノズル先端部を有し、基板10の上側に配置され、下方に向けて液状材料15を吐出するものである。そして、スリットノズル34eは、液状材料15の吐出時において、基板10の上面に吐出された液状材料15に接触しない間隔をもって基板10に接近する。
【0058】
図7(a)に示すスリットノズル34fは、四角柱形状又は円柱形状のノズル先端部の中に逆円錐形状をした液状材料供給部を有し、基板10の上側に配置され、下方に向けて液状材料15を吐出するものである。そして、スリットノズル34fは、液状材料15の吐出時において、基板10の上面に吐出された液状材料15に接触しない間隔をもって基板10に接近する。
【0059】
図7(b)に示すスリットノズル34gは、三角錐又は円錐形状のノズル先端部を有し、基板10の下側に配置され、上方に向けて液状材料15を吐出するものである。そして、スリットノズル34gは、液状材料15の吐出時において、基板10の下面に吐出された液状材料15に接触しない間隔をもって基板10に接近する。
【0060】
図7(c)に示すスリットノズル34hも、三角錐又は円錐形状のノズル先端部を有し、基板10の下側に配置され、上方に向けて液状材料15を吐出するものである。そして、スリットノズル34hは、液状材料15の吐出時において、基板10の下面に吐出された液状材料15に接触する程に基板10に接近する。このスリットノズル34hは、毛細管現象を用いて液状材料15を基板10の下面に供給する方式に好適である。なお、他のスリットノズル34c,34d,34e,34f,34gも毛細管現象を用いて液状材料15を供給する方式に適用することが可能である。
【0061】
次に、毛細管現象を用いた液状材料の塗布方法について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、毛細管現象を用いた液状材料の塗布方式を示す模式断面図である。図8(a)に示すように、容器21の中には、例えば図4における正孔注入層12のような薄膜を形成するための溶媒(液状材料)22と、毛細管(スリットノズル34の相当)23とが入れられている。この毛細管23が上記実施形態のスリットノズル34a〜34hに該当する。また容器21は通常、蓋24で密閉されている。そして、被塗布部材である基板10は、平行移動可能な支持部材30の下面側において被処理面を下向きにして支持されている。この指示部材30が上記実施形態のマザー基板1に該当する。
【0062】
塗布処理をするためには、先ず、図8(b)に示すように、蓋24を矢印方向にスライドさせて開くとともに、支持部材30も矢印方向(蓋24方向)にスライドさせる。蓋24を開くと、毛細管23が上方に移動し、毛細管23の上端が溶媒22の液面よりも上に出る。これにより、毛細管23の上端まで溶媒22が吸い上げられる。
【0063】
次いで、図8(c)に示すように、支持部材30をさらに矢印方向にスライドさせて、基板10の被塗布面を毛細管23の上端に接近させる。これにより、基板10の被塗布面には、毛細管23によって吸い上げられた溶媒22が塗布される。
【0064】
次いで、図8(d)に示すように、支持部材30をさらに矢印方向にスライドさせることで、基板10の被塗布面の全体に、毛細管23によって吸い上げられた溶媒22を塗布する。
【0065】
次いで、図8(e)に示すように、基板10の被塗布面全体への塗布が終了すると、毛細管23を下方に移動させる。ここでは、毛細管23の上端から基板10の被塗布面が離れているので、毛細管23による溶媒22の吸い上げが停止している。
【0066】
次いで、図8(f)に示すように、毛細管23をさらに下方に移動させて、溶媒22の中に毛細管23を埋没させる。これと同時に、蓋24を矢印方向にスライドさせることで閉める。これらにより、基板10の被塗布面全体への溶媒22の塗布が完了する。
【0067】
上記塗布の前に、基板10の被処理面においてパターニング領域に親液処理を施し、他の領域(隔壁11の領域)に撥液処理を施しておくことで、パターン領域にのみ液状材料を充填することができる。
【0068】
次に、上記実施形態の成膜方法を用いた有機EL素子の製造方法について、図9から図13を参照して説明する。図9、図10は有機EL素子を備えたELディスプレイの一例の概略構成を説明するための図であり、これらの図において符号70はELディスプレイである。
このELディスプレイ70は、回路図である図9に示すように透明基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の共通給電線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素(画素領域素)71が設けられて構成されたものである。
【0069】
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路72が設けられている。
一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路73が設けられている。また、画素領域71の各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング薄膜トランジスタ142と、このスイッチング薄膜トランジスタ142を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給されるカレント薄膜トランジスタ143と、このカレント薄膜トランジスタ143を介して共通給電線133に電気的に接続したときに共通給電線133から駆動電流が流れ込む画素電極141と、この画素電極141と反射電極154との間に挟み込まれる発光部140と、が設けられている。
【0070】
このような構成のもとに、走査線131が駆動されてスイッチング薄膜トランジスタ142がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、カレント薄膜トランジスタ143のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスタ143のチャネルを介して共通給電線133から画素電極141に電流が流れ、さらに発光部140を通じて反射電極154に電流が流れることにより、発光部140は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
ここで、各画素71の平面構造は、反射電極や有機EL素子を取り除いた状態での拡大平面図である図10に示すように、平面形状が長方形の画素電極141の四辺が、信号線132、共通給電線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
【0071】
次に、このようなELディスプレイ70に備えられる有機EL素子の製造方法について、図11〜図13を用いて説明する。なお、図11〜図13では、説明を簡略化するべく、単一の画素71についてのみ図示する。
まず、基板を用意する。ここで、有機EL素子では後述する発光層による発光光を基板側から取り出すことも可能であり、また基板と反対側から取り出す構成とすることも可能である。発光光を基板側から取り出す構成とする場合、基板材料としてはガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明なものが用いられるが、特に安価なガラスが好適に用いられる。
【0072】
また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を配置して、発光色を制御するようにしてもよい。
また、基板と反対側から発光光を取り出す構成の場合、基板は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミックス、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
本例では、基板として図11(a)に示すようにガラス等からなる透明基板121を用意する。そして、これに対し、必要に応じてTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成する。
【0073】
次に、透明基板121の温度を約350℃に設定して、下地保護膜の表面にプラズマCVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体膜200を形成する。次いで、この半導体膜200に対してレーザアニールまたは固相成長法などの結晶化工程を行い、半導体膜200をポリシリコン膜に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2 とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0074】
次いで、図11(b)に示すように、半導体膜(ポリシリコン膜)200をパターニングして島状の半導体膜210とし、その表面に対して、TEOSや酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜または窒化膜からなるゲート絶縁膜220を形成する。なお、半導体膜210は、図5に示したカレント薄膜トランジスタ143のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においてはスイッチング薄膜トランジスタ142のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、図11〜図13に示す製造工程では二種類のトランジスタ142、143が同時に作られるのであるが、同じ手順で作られるため、以下の説明ではトランジスタに関しては、カレント薄膜トランジスタ143についてのみ説明し、スイッチング薄膜トランジスタ142についてはその説明を省略する。
【0075】
次いで、図11(c)に示すように、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属膜からなる導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極143Aを形成する。
次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、半導体膜210に、ゲート電極143Aに対して自己整合的にソース・ドレイン領域143a、143bを形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域143cとなる。
【0076】
次いで、図11(d)に示すように、層間絶縁膜230を形成した後、コンタクトホール232、234を形成し、これらコンタクトホール232、234内に中継電極236、238を埋め込む。
次いで、図11(e)に示すように、層間絶縁膜230上に、信号線132、共通給電線133及び走査線(図11に示さず)を形成する。ここで、中継電極238と各配線とは、同一工程で形成されていてもよい。このとき、中継電極236は、後述するITO膜により形成されることになる。
【0077】
そして、各配線の上面をも覆うように層間絶縁膜240を形成し、中継電極236に対応する位置にコンタクトホール(図示せず)を形成し、そのコンタクトホール内にも埋め込まれるようにITO膜を形成し、さらにそのITO膜をパターニングして、信号線132、共通給電線133及び走査線(図示せず)に囲まれた所定位置に、ソース・ドレイン領域143aに電気的に接続する画素電極141を形成する。ここで、信号線132及び共通給電線133、さらには走査線(図示せず)に挟まれた部分が、後述するように正孔注入層や発光層の形成場所となっている。
【0078】
次いで、図12(a)に示すように、前記の形成場所を囲むように隔壁150を形成する。この隔壁150は仕切部材として機能するものであり、例えばポリイミド等の絶縁性有機材料で形成するのが好ましい。隔壁150の膜厚については、例えば1〜2μmの高さとなるように形成する。また、隔壁150は、スリットノズル34から吐出される液状体に対して非親和性(撥液性)を示すものが好ましい。隔壁150に非親和性を発現させるためには、例えば隔壁150の表面をフッ素系化合物などで表面処理するといった方法が採用される。フッ素化合物としては、例えばCF4 、SF5 、CHF3 などがあり、表面処理としては、例えばプラズマ処理、UV照射処理などが挙げられる。
そして、このような構成のもとに、正孔注入層や発光層の形成場所、すなわちこれらの形成材料の塗布位置とその周囲の隔壁150との間には、十分な高さの段差111が形成されているのである。
【0079】
次いで、図12(b)に示すように、基板121の上面において図2、図3、図6又は図7に示すようなスリットノズル34を走査しながら、そのスリットノズル34から正孔注入層の形成材料114A(液状材料)を吐出することで、隔壁150に囲まれた塗布位置、すなわち隔壁150内のパターン領域に選択的に塗布する。ここで、液状材料は隔壁150の上などにも塗布されるが、隔壁150は撥液処理されているので、隔壁150上に塗布された液状材料はそこからはじき出され、自然に隔壁150内のパターン領域にのみ液状材料が充填される。
【0080】
なお、正孔注入層の形成材料としては、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられる。
【0081】
次いで、図12(c)に示すように加熱あるいは光照射により液状の前駆体114Aの溶媒を蒸発させて、画素電極141上に、固形の正孔注入層140Aを形成する。
次いで、図13(a)に示すように、基板121の上面において図2、図3、図6又は図7に示すようなスリットノズル34を走査しながら、そのスリットノズル34から発光層の形成材料114B(液状材料)を吐出することで、隔壁150に囲まれた塗布位置、すなわち隔壁150内のパターン領域に選択的に塗布する。ここで、液状材料は隔壁150の上などにも塗布されるが、隔壁150は撥液処理されているので、隔壁150上に塗布された液状材料はそこからはじき出され、自然に隔壁150内のパターン領域にのみ液状材料が充填される。
【0082】
発光層の形成材料としては、例えば共役系高分子有機化合物の前駆体と、得られる発光層の発光特性を変化させるための蛍光色素とを含んでなるものが好適に用いられる。
共役系高分子有機化合物の前駆体は、蛍光色素等とともにスリットノズル34から吐出されて薄膜に成形された後、加熱硬化されることによって共役系高分子有機EL層となる発光層を生成し得るものをいい、例えば前駆体のスルホニウム塩の場合、加熱処理されることによりスルホニウム基が脱離し、共役系高分子有機化合物となるもの等である。
【0083】
このような共役系高分子有機化合物は固体で強い蛍光を持ち、均質な固体超薄膜を形成することができる。しかも形成能に富みITO電極との密着性も高い。さらに、このような化合物の前駆体は、硬化した後は強固な共役系高分子膜を形成することから、加熱硬化前においては前駆体溶液を後述するインクジェットパターニングに適用可能な所望の粘度に調整することができ、簡便かつ短時間で最適条件の膜形成を行うことができる。
【0084】
このような前駆体としては、例えばPPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))またはその誘導体の前駆体が好ましい。PPVまたはその誘導体の前駆体は、水あるいは有機溶媒に可溶であり、また、ポリマー化が可能であるため光学的にも高品質の薄膜を得ることができる。さらに、PPVは強い蛍光を持ち、また二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化している導電性高分子でもあるため、高性能の有機EL素子を得ることができる。
【0085】
このようなPPVまたはPPV誘導体の前駆体として、例えば、PPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))前駆体、MO−PPV(ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレンビニレン))前駆体、CN−PPV(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)))前駆体、MEH−PPV(ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)]−パラ−フェニレンビニレン)前駆体等が挙げられる。
【0086】
PPVまたはPPV誘導体の前駆体は、前述したように水に可溶であり、製膜後の加熱により高分子化してPPV層を形成する。前記PPV前駆体に代表される前駆体の含有量は、組成物全体に対して0.01〜10.0wt%が好ましく、0.1〜5.0wt%がさらに好ましい。前駆体の添加量が少な過ぎると共役系高分子膜を形成するのに不十分であり、多過ぎると組成物の粘度が高くなり、インクジェット法による精度の高いパターニングに適さない場合がある。
【0087】
さらに、発光層の形成材料としては、少なくとも1種の蛍光色素を含むのが好ましい。これにより、発光層の発光特性を変化させることができ、例えば、発光層の発光効率の向上、または光吸収極大波長(発光色)を変えるための手段としても有効である。すなわち、蛍光色素は単に発光層材料としてではなく、発光機能そのものを担う色素材料として利用することができる。例えば、共役系高分子有機化合物分子上のキャリア再結合で生成したエキシトンのエネルギーをほとんど蛍光色素分子上に移すことができる。この場合、発光は蛍光量子効率が高い蛍光色素分子からのみ起こるため、発光層の電流量子効率も増加する。したがって、発光層の形成材料中に蛍光色素を加えることにより、同時に発光層の発光スペクトルも蛍光分子のものとなるので、発光色を変えるための手段としても有効となる。
【0088】
なお、ここでいう電流量子効率とは、発光機能に基づいて発光性能を考察するための尺度であって、下記式により定義される。
ηE =放出されるフォトンのエネルギー/入力電気エネルギー
そして、蛍光色素のドープによる光吸収極大波長の変換によって、例えば赤、青、緑の3原色を発光させることができ、その結果フルカラー表示体を得ることが可能となる。
さらに蛍光色素をドーピングすることにより、EL素子の発光効率を大幅に向上させることができる。
【0089】
蛍光色素としては、赤色の発色光を発光する発光層を形成する場合、赤色の発色光を有するローダミンまたはローダミン誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素は、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく、均一で安定した発光層の形成が容易である。このような蛍光色素として具体的には、ローダミンB、ローダミンBベース、ローダミン6G、ローダミン101過塩素酸塩等が挙げられ、これらを2種以上混合したものであってもよい。
【0090】
また、緑色の発色光を発光する発光層を形成する場合、緑色の発色光を有するキナクリドンおよびその誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素は前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
【0091】
さらに、青色の発色光を発光する発光層を形成する場合、青色の発色光を有するジスチリルビフェニルおよびその誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素は前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水・アルコール混合溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
【0092】
また、青色の発色光を有する他の蛍光色素としては、クマリンおよびその誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。このような蛍光色素として具体的には、クマリン、クマリン−1、クマリン−6、クマリン−7、クマリン120、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン337、クマリン343等が挙げられる。
【0093】
さらに、別の青色の発色光を有する蛍光色素としては、テトラフェニルブタジエン(TPB)またはTPB誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素等と同様、低分子であるため水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
以上の蛍光色素については、各色ともに1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0094】
これらの蛍光色素については、前記共役系高分子有機化合物の前駆体固型分に対し、0.5〜10wt%添加するのが好ましく、1.0〜5.0wt%添加するのがより好ましい。蛍光色素の添加量が多過ぎると発光層の耐候性および耐久性の維持が困難となり、一方、添加量が少な過ぎると、前述したような蛍光色素を加えることによる効果が十分に得られないからである。
【0095】
また、前記前駆体および蛍光色素については、極性溶媒に溶解または分散させてインクとし、このインクをスリットノズル34から吐出するのが好ましい。極性溶媒は、前記前駆体、蛍光色素等を容易に溶解または均一に分散させることができるため、スリットノズル34のノズル孔での発光層形成材料中の固型分が付着したり目詰りを起こすのを防止することができる。
【0096】
このような極性溶媒として具体的には、水、メタノール、エタノール等の水と相溶性のあるアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒または無機溶媒が挙げられ、これらの溶媒を2種以上適宜混合したものであってもよい。
【0097】
さらに、前記形成材料中に湿潤剤を添加しておくのが好ましい。これにより、形成材料がスリットノズル34のノズル孔で乾燥・凝固することを有効に防止することができる。かかる湿潤剤としては、例えばグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられ、これらを2種以上混合したものであってもよい。この湿潤剤の添加量としては、形成材料の全体量に対し、5〜20wt%程度とするのが好ましい。
なお、その他の添加剤、被膜安定化材料を添加してもよく、例えば、安定剤、粘度調整剤、老化防止剤、pH調整剤、防腐剤、樹脂エマルジョン、レベリング剤等を用いることができる。
【0098】
このような発光層の形成材料114Bをスリットノズル34の吐出口から吐出すると、形成材料114Bは隔壁150内の正孔注入層140A上に塗布される。
ここで、形成材料114Bの吐出による発光層の形成は、赤色の発色光を発光する発光層の形成材料、緑色の発色光を発光する発光層の形成材料、青色の発色光を発光する発光層の形成材料を、それぞれ対応する画素71に吐出し塗布することによって行う。なお、各色に対応する画素71は、これらが規則的な配置となるように予め決められている。
【0099】
このようにして各色の発光層形成材料を吐出し塗布したら、発光層形成材料114B中の溶媒を蒸発させることにより、図13(b)に示すように正孔層注入層140A上に固形の発光層140Bを形成し、これにより正孔層注入層140Aと発光層140Bとからなる発光部140を得る。ここで、発光層形成材料114B中の溶媒の蒸発については、必要に応じて加熱あるいは減圧等の処理を行うが、発光層の形成材料は通常乾燥性が良好で速乾性であることから、特にこのような処理を行うことなく、したがって各色の発光層形成材料を順次吐出塗布することにより、その塗布順に各色の発光層140Bを形成することができる。
その後、図13(c)に示すように、透明基板121の表面全体に、あるいはストライプ状に反射電極154を形成し、有機EL素子を得る。
【0100】
このような有機EL素子の製造方法によれば、有機EL基板となる基板121についてスリットノズル34を1回走査するだけで、基板121全体の画素領域に正孔注入層140Aを形成する液状材料を充填することができる。そこで、本製造方法によれば、簡易にかつ迅速に所望のパターン領域に正孔注入層140Aを形成する液状材料を塗布することができるので、有機EL素子の製造コストの低減化及び製造時間の短縮化を実現することができる。
【0101】
また、本製造方法によれば、スリットノズル34を1回走査するだけで基板121全体の画素領域に正孔注入層140Aを形成する液状材料を充填することができるので、正孔注入層140Aの膜厚などを容易に均一化することができ、点欠陥などの不具合が発生する確率が低い有機EL素子を提供することができる。
【0102】
また、本製造方法によれば、基板121の全体に短時間で一括して正孔注入層140Aを形成する液状材料を塗布することができることなどにより、その液状材料について粘度及び表面張力などの条件が緩やかとなり、液状材料の調整にかかる工数及び材料を大幅に低減することができる。
【0103】
(電子機器)
上記実施形態の薄膜形成方法を用いて製造された光学素子(有機EL素子)であるデバイスを備えた電子機器の例について説明する。
図14は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図14において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の光学素子を用いた表示部を示している。
【0104】
図15は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図15において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の光学素子を用いた表示部を示している。
【0105】
図16は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図16において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の光学素子を用いた表示部を示している。
【0106】
図14から図16に示す電子機器は、上記実施形態の光学素子を備えているので良好に画像表示することができ、製造コストを低減することができるとともに、製造期間を短縮することができる。
【0107】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0108】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る薄膜形成方法を用いて光学素子(有機EL素子)を製造する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明に係る薄膜形成方法を用いて半導体素子などを良好に製造することも可能である。また、本発明に係る薄膜形成方法を用いて半導体集積回路の配線などを製造することも可能である。
【0109】
また、上記実施形態ではマザー基板1及び基板10の位置を固定して、スリットノズル34を移動させて走査しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリットノズル34の位置を固定して、マザー基板1(又は基板10)を移動させることとしてもよい。また、スリットノズル34とマザー基板1(又は基板10)の両方を移動させてもよい。
【0110】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、被処理基板上のある1辺から対向する1辺へ1つのスリットノズルを1回走査するだけで、被処理基板全体に液状材料を塗布することができるので、製造コストの低減化、製造時間の短縮化及び薄膜の均一化をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る薄膜形成方法の被処理基板を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る薄膜形成方法で用いられるスリットノズルを示す模式底面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る薄膜形成方法で用いられる他のスリットノズルを示す模式底面図である。
【図4】基板のパターン領域に液状材料が塗布された状態を示す模式断面図である。
【図5】図4に示す状態の模式平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る薄膜形成方法で用いられる他のスリットノズルを示す模式断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る薄膜形成方法で用いられる他のスリットノズルを示す模式断面図である。
【図8】毛細管現象を用いた塗布方法を示す模式断面図である。
【図9】有機EL素子を備えたELディスプレイの一例の回路図である。
【図10】図9に示したELディスプレイにおける画素部の平面構造を示す拡大平面図である。
【図11】(a)〜(e)は有機EL素子の製造方法を工程順に説明するための要部側断面図である。
【図12】(a)〜(c)は図11に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図13】(a)〜(c)は図12に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図14】本実施形態の光学素子を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図15】本実施形態の光学素子を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図16】本実施形態の光学素子を備えた電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 マザー基板
10 基板
11 隔壁
12 正孔注入層
15 液状材料
21 容器
22 溶媒(液状材料)
23 毛細管(スリットノズル)
24 蓋
30 支持部材
34a〜34h スリットノズル
35 吐出口
Claims (25)
- 被処理基板の幅と略同一の長さを持つ吐出口であってスリット形状に開けられた吐出口を有してなるスリットノズルから、液状材料を吐出して、該被処理基板に設けられた所望パターン領域に該液状材料を塗布することを特徴とする薄膜形成方法。
- 複数の前記被処理基板は、マザー基板において行列をなすように規則的な位置に配置されており、
前記行列における行又は列に配置された各被処理基板に対応するように、複数の前記スリットノズルを直線上に配置し、
複数の前記スリットノズルから略同時に前記液状材料を吐出することを特徴とする請求項1記載の薄膜形成方法。 - 前記直線上に配置された複数のスリットノズルは、1つのノズルに複数の前記吐出口が形成されたものであり、
各吐出口は、1つの液状材料供給部に繋がっていることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜形成方法。 - 前記直線上に配置された複数のスリットノズルは、各スリットノズルが着脱自在に結合されたものであり、
前記マザー基板上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数と同一の個数の該スリットノズルが結合されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜形成方法。 - 前記被処理基板における所望パターン領域について、前記液状材料を塗布する前に、親液処理を施しておくことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の薄膜形成方法。
- 前記被処理基板における所望パターン領域の外側について、前記液状材料を塗布する前に、撥液処理を施しておくことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の薄膜形成方法。
- 前記スリットノズルは、毛細管現象を用いて前記液状材料を被処理面に供給するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の薄膜形成方法。
- 複数の前記スリットノズルから前記液状材料を吐出するときに、前記マザー基板と該複数のスリットノズルとのうちの少なくとも一方を移動させ、
該スリットノズルが前記被処理基板上に来たときは、該スリットノズルの吐出口を該被処理基板の被処理面に近づけ、
該スリットノズルが前記被処理基板上から離れたときは、該スリットノズルの吐出口を前記マザー基板の面から遠ざけることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項記載の薄膜形成方法。 - 前記スリットノズルが前記被処理基板上に来たときは、該スリットノズルの吐出口から前記液状材料を吐出させ、
該スリットノズルが該被処理基板上から離れたときは、該スリットノズルの吐出口からの該液状材料の吐出を停止させることを特徴とする請求項8記載の薄膜形成方法。 - 前記液状材料の濃度を制御することで、前記所望パターン領域に塗布された液状材料による薄膜の厚さを制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の薄膜形成方法。
- 前記所望パターン領域は、隔壁で囲まれていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載の薄膜形成方法。
- 前記複数の被処理基板がなす行列における行又は列方向へ1回だけ前記複数のスリットノズルを移動させる過程で、該複数の被処理基板全ての所望パターン領域に前記液状材料を塗布することを特徴とする請求項2乃至11のいずれか一項記載の薄膜形成方法。
- 液状材料を吐出する吐出口であって、被処理基板の幅と略同一の長さを持ちスリット形状に開けられた吐出口を有してなるスリットノズルを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
- 前記スリットノズルは、直線上に所定の間隔を空けて複数配置されていることを特徴とする請求項13記載の薄膜形成装置。
- 複数の前記スリットノズルは、1つのノズルに複数の前記吐出口が形成されたものであり、各吐出口が一つの液状材料供給部に繋がっていることを特徴とする請求項14記載の薄膜形成装置。
- 複数の前記スリットノズルは、各スリットノズルが着脱自在に結合されたものであり、マザー基板上に配置された複数の被処理基板がなす行列の行又は列の数と同一の個数の該スリットノズルが結合されたものであることを特徴とする請求項14記載の薄膜形成装置。
- 複数の前記スリットノズルそれぞれは、開閉可能となっていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項記載の成膜形成装置。
- 複数の前記スリットノズルそれぞれは、位置が変更可能となっていることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一項記載の成膜形成装置。
- 前記スリットノズルは、毛細管現象を用いて前記液状材料を被処理面に供給するものであることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか一項記載の薄膜形成装置。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の薄膜形成方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする光学素子。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の薄膜形成方法を用いて製造された正孔注入層を備えたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の薄膜形成方法を用いて製造された薄膜を備えたことを特徴とする半導体素子。
- 請求項20記載の光学素子を備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項21記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項22記載の半導体素子を備えたことを特徴とする電子機器。
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