JP2004355913A - 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数色の発光層を備え、カラー表示が可能な有機エレクトロルミネッセンス装置の製造効率を飛躍的に向上させることが可能であり、かつ液状組成物の塗布により形成される発光層の膜厚均一性、及び平坦性の向上も実現できる製造方法を提供する。
【解決手段】複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、前記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程とを含み、前記複数種の液状組成物の各々が、前記複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいる製造方法とする。
【選択図】 なし
【解決手段】複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、前記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程とを含み、前記複数種の液状組成物の各々が、前記複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいる製造方法とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、カラーフィルタの製造方法、及びデバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機蛍光材料等の発光材料をインク化し、このインク(組成物)を基体上に吐出するインクジェット法により、発光材料のパターニングを行う方法を採用して、陽極及び陰極の間に、前記発光材料からなる発光層が挟持された構造のカラー有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)の開発が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−12377号公報
【特許文献2】
特開2002−252083号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記インクジェット法を用いて有機EL装置を製造する場合には、配列形成された各画素(発光素子)の発光特性(輝度、色純度等)を均一化することが重要であり、有機EL装置の製造歩留まりに大きく影響する。上記発光特性を均一化するには、各発光層を画素間で均一かつ平坦に形成することが必要であり、特に膜厚の均一性、及び平坦性は、塗布されたインクの乾燥条件により大きく変動するため、前記発光素子の均一性を向上させるために重要な要素となる。先の特許文献1,2では、基板上に滴下したインクの乾燥工程についての明確な記載はないが、実際には図13に示すような工程を経て発光層の形成が行われる。
【0005】
図13は、従来のインクジェット法を用いたカラー有機EL装置の製造方法を示す断面工程図である。
まず、図13(a)に示すように、一面側に画素電極303と、各画素領域を区画するバンク302とが形成された基板301を用意し、前記バンク302に囲まれる領域内に、インクジェット法により正孔注入/輸送層304を形成しておく。その後、前記正孔注入/輸送層304が形成された基板301に対して、インクジェットヘッド350に充填された赤色発光層用インク300Rを、バンク302に囲まれる領域内に滴下し、次いで、この滴下されたインク300Rを乾燥させて赤色発光層310Rを形成する。
次に、図13(b)に示すように、緑色発光層用インク300Gが充填されたインクジェットヘッド350を用いて前記インク300Rを基板301上に定点配置し、乾燥工程を経て緑色発光層310Gを形成する。
次に、図13(c)に示すように、青色発光層用インク300Bが充填されたインクジェットヘッド350を用いて前記インク300Bを基板301上に定点配置し、乾燥工程を経て青色発光層310Bを形成する。このようにして、基板301上に、赤色発光層310R、緑色発光層310G、青色発光層310Bをパターン配置することにより、カラー有機EL装置を製造することができる。
【0006】
このように、発光色の異なる発光層を形成する場合には、1色のインクを滴下した後、乾燥を行い、しかる後に他の色の発光層を形成する製造方法が採用されるのが一般的である。これは、発光色の異なる発光層では、インクの構成材料が異なるため、その溶媒の構成も異なっているのが通常であり、そのために滴下及び乾燥の最適条件が色毎に異なっていることによるものである。
しかしながら、このように色ごとにインクの滴下と、乾燥とを順次行っていたのでは製造に時間が掛かり、また、例えば赤色発光層310Rを形成した後、緑色発光層310Gを形成する図13(b)に示す工程において、既に乾燥が終了している赤色発光層310Rが再び溶媒雰囲気に曝されるため、溶媒の種類によっては赤色発光層310Rが再溶解され、その結果発光層310Rに変質が生じ、特性の劣化が生じるおそれもある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、その目的は、複数色の発光層を備え、カラー表示が可能な有機エレクトロルミネッセンス装置の製造効率を飛躍的に向上させることが可能であり、かつ液状組成物の塗布により形成される発光層の膜厚均一性、及び平坦性の向上も実現できる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、前記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程と、を含み、前記複数種の液状組成物の各々が、前記複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいること、を特徴とする。
この製造方法によれば、前記複数種の液状組成物として、複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいる液状組成物を用いるので、前記液状組成物に、揮発し難い高沸点溶媒が含まれる構成とすることができ、これにより基板上に塗布された液状組成物の乾燥を同一条件で行っても異なる液状組成物間で乾燥ムラが生じるのを効果的に防止することができる。また一括に乾燥を行うことで、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造効率を従来に比して飛躍的に高めることが可能である。
さらには、前記液状組成物を構成する溶媒を高沸点溶媒を含む混合溶媒とすることで、液状組成物を基板上に塗布して形成した液状組成物滴の自然乾燥の程度を容易に制御することが可能になるとともに、溶解性の高い低沸点溶媒も含む混合溶媒とすることができる。従って、係る構成の混合溶媒を用いれば、有機EL層形成材料の溶解性に対するマージンを大きくとることができ、製造の容易性に優れた製造方法とすることができる。
【0009】
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程と、を含み、前記複数種の液状組成物の各々が、常圧で50℃以上の沸点差を有する2種類の溶媒を含んでいること、を特徴とする。
このような混合溶媒を用いることで、液状組成物の塗布後に、沸点の低い方の溶媒が蒸発したとしても、沸点の高い方の溶媒が液状組成物内に残存するので、経時的な自然乾燥により有機EL層の膜厚均一性が失われるのを効果的に防止することができる。
【0010】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法では、前記基板上の液状組成物を乾燥させる工程が、真空乾燥工程であることが好ましい。
前記基板に塗布された液状組成物を乾燥させるために、真空乾燥を用いることで、乾燥条件を細かく制御することが可能になり、乾燥後の有機EL層の膜厚均一性、及び平坦性を良好なものとすることができる。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、前記真空乾燥工程後に、前記複数種の有機EL層を共通温度でアニールする工程を有する製造方法とすることもできる。このように複数種の有機EL層を一括に共通温度でアニールすることで、各工程を極めて効率よく行うことができる製造方法とすることができる。
【0012】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法では、前記混合溶媒として、常圧で200℃以上の沸点を有する溶媒を含む混合溶媒を用いることが好ましい。
このような混合溶媒を用いることで、基板上に塗布された液状組成物の経時的な自然乾燥を効果的に防止でき、膜厚均一性に優れた有機EL層を形成することができる。また、混合溶媒を構成する他の溶媒として、有機EL層形成材料の溶解性には優れているが、低沸点で乾燥を制御しづらい溶媒も選択できるため、基板上に液状組成物を塗布する工程が円滑に行えるようにすることができる。また、乾燥しやすい溶媒を用いた液状組成物を吐出する成膜法では、吐出ヘッドのノズルが詰まったりするが、混合溶媒を使用することで解決することができる。
【0013】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法では、前記混合溶媒として、ビフェニル骨格を有する溶媒を含む混合溶媒を用いることが好ましい。
上記ビフェニル系の溶媒は、比較的蒸発し難く、係る溶媒を含む混合溶媒を用いることで、基板上に塗布した液状組成物の経時的な自然乾燥を効果的に防止でき、もって膜厚均一性に優れる有機EL層を形成することができる。
【0014】
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法は、異なる色を呈する複数種の液状組成物を基体上に塗布することにより複数種の色材層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、前記複数種の液状組成物として、同一組成の混合溶媒を含む液状組成物を用い、前記複数種の液状組成物を基体上に塗布した後に、前記基体上の液状組成物を乾燥させて前記色材層を形成することを特徴とする。
【0015】
次に、本発明のデバイスの製造方法は、特性の異なる複数種の液状組成物を基板上に塗布することにより複数種の機能層を形成するデバイスの製造方法であって、前記複数種の液状組成物として、同一組成の混合溶媒を含む液状組成物を用い、前記複数種の液状組成物を基体上に塗布した後に、前記基板上の液状組成物を乾燥させて前記機能層を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る製造方法は、上記カラーフィルタや種々のデバイス(例えば有機TFT等の半導体デバイス)の製造方法に適用することができ、これらの製造に際しても、色材層や機能層の乾燥ムラを効果的に防止して膜厚の均一な色材層ないし機能層を形成することが可能である。また、先に記載のように、係る製造方法において用いる混合溶媒では、高沸点溶媒を含む構成とすることができ、この高沸点溶媒の作用により上記乾燥ムラを防止できるため、色材層用材料や機能層用材料の熔解性に優れる低沸点溶媒と混合することができ、前記材料の溶解性のマージンを大きくすることができ、もって製造の容易性を高められるという利点も有している。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の有機EL装置の回路図であり、図2は、同、平面構成図、図3は、同、表示領域の断面構成図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Pが設けられている。
【0018】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
更に、画素領域Pの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(電極)111と、この画素電極111と陰極(対向電極)12との間に挟み込まれた有機EL層110とが設けられている。電極111と対向電極12と有機EL層110により、発光素子が構成されている。
【0019】
走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capに状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、更に有機EL層110を介して陰極12に電流が流れる。有機EL層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0020】
本実施形態の有機EL装置は、図2に示すように、ガラス等からなる透明な基板2と、マトリックス状に配置された発光素子を具備して基板2上に形成された発光素子部11と、発光素子部11上に形成された陰極12とを具備している。発光素子部11と陰極12とにより表示素子10が構成される。
基板2は、例えばガラス等の透明基板であり、基板2の中央に位置する表示領域2aと、基板2の周縁に位置して表示領域2aを囲む非表示領域2bとに区画されている。表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光素子によって形成される領域であり、表示領域の外側に非表示領域2cが形成されている。
【0021】
また、非表示領域2cには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。表示領域2aの両側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。更に、走査側駆動回路105、105の両側には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。表示領域2aの図2(a)中上側には製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行う検査回路106が配置されている。
【0022】
図3の断面構成図には、3つの画素領域Aが図示されている。本実施形態の有機EL装置では、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14、有機EL層110が形成された発光素子部11及び陰極12が順次積層されて構成されており、有機EL層110から基板2側に発せられた光が、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射されるとともに、有機EL層110から基板2の反対側に発せられた光が陰極12により反射されて、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射されるようになっている。
尚、上記陰極12として、透明な材料を用いるならば、陰極側から発光する光を出射させることができる。透明な陰極材料としては、ITO(インジウムスズ酸化物)、Pt、Ir、Ni、もしくはPdを挙げることができる。
【0023】
回路素子部14には、基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。半導体膜141には、ソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度リンイオン打ち込みにより形成されている。前記リンイオンが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。
また、前記下地保護膜2c及び半導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線101)が形成され、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されている。ゲート電極143は半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に設けられている。また、第1、第2層間絶縁膜144a、144bを貫通して、半導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145,146が形成されている。
そして、第2層間絶縁膜144b上には、ITO等からなる透明な画素電極111が所定の形状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホール145がこの画素電極111に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール146が電源線103に接続されている。このようにして、回路素子部14には、各画素電極111に接続された駆動用の薄膜トランジスタ123が形成されている。
【0024】
発光素子部11は、複数の画素電極111…上の各々に積層された有機EL層110と、各画素電極111及び有機EL層110の間に備えられて各有機EL層110を区画するバンク部112とを主体として構成されている。有機EL層110上には陰極12が配置されている。これら画素電極111、有機EL層110及び陰極12によって発光素子が構成されている。ここで、画素電極111は、例えばITOにより形成されてなり、平面視略矩形状にパターン形成されている。この各画素電極111…の間にバンク部112が備えられている。
【0025】
バンク部112は、図3に示すように、基板2側に位置する無機物バンク層112a(第1バンク層)と基板2から離れて位置する有機物バンク層112b(第2バンク層)とが積層された構成を備えている。無機物バンク層112aは、例えばTiO2やSiO2等により形成され、有機物バンク層112bは、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等により形成される。
無機物、有機物バンク層112a、112bは、画素電極111の周縁部上に乗上げるように形成されている。平面的には、画素電極111の周囲と無機物バンク層112aとが平面的に部分的に重なるように配置された構造となっている。また、有機物バンク層112bも同様であり、画素電極111の一部と平面的に重なるように配置されている。また無機物バンク層112aは、有機物バンク層112bの縁端よりも画素電極111の中央側に更に突出するように形成されている。このようにして、無機物バンク層112aの各第1積層部112eが画素電極111の内側に形成されることにより、画素電極111の形成位置に対応する下部開口部112cが設けられている。
【0026】
また、有機物バンク層112bには、上部開口部112dが形成されている。この上部開口部112dは、画素電極111の形成位置及び下部開口部112cに対応するように設けられている。上部開口部112dは、図3に示すように、下部開口部112cより間口が広く、画素電極111より狭く形成されている。また、上部開口部112dの上部の位置と、画素電極111の端部とがほぼ同じ位置になるように形成される場合もある。この場合は、図3に示すように、有機物バンク層112bの上部開口部112dの断面が傾斜した形状となる。このようにして、バンク部112には、下部開口部112c及び上部開口部112dが連通された開口部112gが形成されている。
【0027】
また、バンク部112には、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域が形成されている。親液性を示す領域は、無機物バンク層112aの第1積層部112e及び画素電極111の電極面111aであり、これらの領域は、酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理されている。また、撥液性を示す領域は、上部開口部112dの壁面及び有機物バンク層112の上面112fであり、これらの領域は、4フッ化メタン、テトラフルオロメタン、もしくは四フッ化炭素を処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)されている。
【0028】
有機EL層110は、画素電極111上に積層された正孔注入/輸送層110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bとから構成されている。
正孔注入/輸送層110aは、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。このような正孔注入/輸送層110aを画素電極111と発光層110bの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。また、発光層110bでは、正孔注入/輸送層110aから注入された正孔と、陰極12から注入される電子が発光層で再結合し、発光が行われる。
【0029】
正孔注入/輸送層110aは、下部開口部112c内に位置して画素電極面111a上に形成される平坦部110a1と、上部開口部112d内に位置して無機物バンク層の第1積層部112e上に形成される周縁部110a2から構成されている。また、正孔注入/輸送層110aは、構造によっては、画素電極111上であって、且つ無機物バンク層110aの間(下部開口部110c)にのみ形成されている(前述に記載した平坦部にのみ形成される形態もある)。
【0030】
また発光層110bは、正孔注入/輸送層110aの平坦部110a1及び周縁部110a2上に渡って形成されており、平坦部112a1上での厚さが50〜80nmの範囲とされている。発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色(B)に発光する青色発光層110b3の3種類を有し、図2に示したように、各発光層110b1〜110b3がストライプ配置されている。
【0031】
無機物バンク層の第1積層部112e上に不均一な厚さの周縁部110a2が形成されているため、周縁部110a2が第1積層部112eによって画素電極111から絶縁された状態となり、周縁部110a2から発光層110bに正孔が注入されることがない。これにより、画素電極111からの電流が平坦部112a1のみに流れ、正孔を平坦部112a1から発光層110bに均一に輸送させることができ、発光層110bの中央部分のみを発光させることができるとともに、発光層110bにおける発光量を一定にすることができる。
また、無機物バンク層112aが有機物バンク層112bよりも画素電極111の中央側に更に延出されているので、この無機物バンク層112aによって画素電極111と平坦部110a1との接合部分の形状をトリミングすることができ、各発光層110b間の発光強度のばらつきを抑えることができる。
【0032】
更に、画素電極111の電極面111a及び無機物バンク層の第1積層部112eが親液性を示すので、有機EL層110が画素電極111及び無機物バンク層112aに均一に密着し、無機物バンク112a上で有機EL層110が極端に薄くならず、画素電極111と陰極12との短絡を防止できる。
また、有機物バンク層112bの上面112f及び上部開口部112d壁面が撥液性を示すので、有機EL層110と有機物バンク層112bとの密着性が低くなり、有機EL層110が開口部112gから溢れて形成されることがない。
【0033】
尚、正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。
また、発光層110bの材料としては、例えば、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれらの高分子材料にルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることができる。
【0034】
陰極12は、発光素子部11の全面に形成されており、画素電極111と対になって有機EL層110に電流を流す役割を果たす。この陰極12は、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。このとき、発光層に近い側の陰極には仕事関数が低いものを設けることが好ましく、特にこの形態においては発光層110bに直接に接して発光層110bに電子を注入する役割を果たす。また、フッ化リチウムは発光層の材料によっては効率よく発光させるために、発光層110と陰極12との間にLiFを形成する場合もある。尚、赤色及び緑色の発光層110b1、1110b2にはフッ化リチウムに限らず、他の材料を用いても良い。従ってこの場合は青色(B)発光層110b3のみにフッ化リチウムからなる層を形成し、他の赤色及び緑色の発光層110b1、110b2にはフッ化リチウム以外のものを積層しても良い。また、赤色及び緑色の発光層110b1、110b2上にはフッ化リチウムを形成せず、カルシウムのみを形成しても良い。
また、陰極12を形成するアルミニウムは、発光層110bから発した光を基板2側に反射させるもので、Al膜の他、Ag膜、AlとAgの積層膜等からなることが好ましい。更にアルミニウム上にSiO、SiO2、SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けても良い。
【0035】
図3に示す発光素子部11上には、実際の有機EL装置では封止部が備えられる。この封止部は、例えば基板2の周囲に環状に封止樹脂を塗布し、さらに封止缶により封止することにより形成することができる。前記封止樹脂は、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等からなり、特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。この封止部は、陰極12または発光素子部11内に形成された発光層の酸化を防止する目的で設けられる。また、前記封止缶の内側には水、酸素等を吸収するゲッター剤を設け、封止缶の内部に侵入した水又は酸素を吸収できるようにしてもよい。
【0036】
(有機EL装置の製造方法)
次に、上記有機EL装置を製造する方法について図4〜図10を参照して説明する。
本実施形態の製造方法は、(1)バンク部形成工程、(2)正孔注入/輸送層形成工程、(3)発光層形成工程、(4)陰極形成工程及び(5)封止工程等を有する。なお、ここで説明する製造方法は一例であって、必要に応じてその他の工程が追加されたり、上記の工程の一部が除かれたりする。本実施形態において、(2)正孔注入/輸送層形成工程、(3)発光層形成工程は、本発明に係る有機EL層形成工程を成し、液滴吐出装置を用いた液体吐出法(インクジェット法)を用いて行われる。
そして、本実施形態の製造方法では、(3)発光層形成工程において、基板2上に吐出される液状組成物が、各色の発光層形成用液状組成物で共通の混合溶媒を用いて構成されており、前記各色用の液状組成物の吐出が全て終了した後、一括に乾燥工程を行う点に特徴を有している。
【0037】
(1)バンク部形成工程
バンク部形成工程では、基板2の所定位置にバンク部112を形成する。バンク部112は、第1のバンク層として無機物バンク層112aが形成され、第2のバンク層として有機物バンク層112bが形成された構造を有している。
(1)−1 無機物バンク層112aの形成
まず、図4に示すように、基板上の所定の位置に無機物バンク層112aを形成する。無機物バンク層112aが形成される位置は、第2層間絶縁膜144b及び画素電極111上である。なお、第2層間絶縁膜144bは薄膜トランジスタ、走査線、信号線、等が配置された回路素子部14上に形成されている。
無機物バンク層112aは、例えば、SiO2、TiO2等の無機物膜を材料として用いることができる。これらの材料は、例えばCVD法、コート法、スパッタ法、蒸着法等によって形成される。更に、無機物バンク層112aの膜厚は50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。
無機物バンク層112は、層間絶縁層144及び画素電極111の全面に無機物膜を形成し、その後無機物膜をフォトリソグラフィ法等によりパターニングすることにより、開口部を有する無機物バンク層112が形成される。開口部は、画素電極111の電極面111aの形成位置に対応するもので、図4に示すように下部開口部112cとして設けられる。
このとき、無機物バンク層112aは画素電極111の周縁部と一部重なるように形成され、これにより発光層110の平面的な発光領域が制御される。
【0038】
(1)−2 有機物バンク層112bの形成
次に、第2のバンク層としての有機物バンク層112bを形成する。
図4に示すように、無機物バンク層112a上に有機物バンク層112bを形成する。有機物バンク層112bとして、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する材料を用いる。これらの材料を用い、有機物バンク層112bをフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。なお、パターニングする際、有機物バンク層112bに上部開口部112dを形成する。上部開口部112dは、電極面111a及び下部開口部112cに対応する位置に設けられる。
上部開口部112dは、図4に示すように、無機物バンク層112aに形成された下部開口部112cより広く形成する事が好ましい。更に、有機物バンク層112bはテーパーを有する形状が好ましく、有機物バンク層112bの最低面では画素電極111の幅より狭く、有機物バンク層112bの最上面では画素電極111の幅とほぼ同一の幅に形成する事が好ましい。これにより、無機物バンク層112aの下部開口部112cを囲む第1積層部112eが、有機物バンク層112bよりも画素電極111の中央側に延出された形になる。
このようにして、有機物バンク層112bに形成された上部開口部112d、無機物バンク層112aに形成された下部開口部112cを連通させることにより、無機物バンク層112a及び有機物バンク層112bを貫通する開口部112gが形成される。
【0039】
なお、有機物バンク層112bの厚さは、0.1〜3.5μmの範囲が好ましく、特に2μm程度がよい。このような範囲とする理由は以下の通りである。
すなわち、厚さが0.1μm未満では、後述する正孔注入/輸送層及び発光層の合計厚より有機物バンク層112bが薄くなり、発光層110bが上部開口部112dから溢れてしまうおそれがあるので好ましくない。また、厚さが3.5μmを越えると、上部開口部112dによる段差が大きくなり、上部開口部112dにおける陰極12のステップカバレッジが確保できなくなるので好ましくない。また、有機物バンク層112bの厚さを2μm以上とすれば、陰極12と駆動用の薄膜トランジスタ123との絶縁を高めることができる点で好ましい。
【0040】
また、形成されたバンク部112、及び画素電極111の表面は、プラズマ処理により適切な表面処理を施されることが好ましく、具体的にはバンク部112表面の撥液化処理、及び画素電極111の親液化処理を行う。
まず、画素電極111の表面処理は、酸素ガスを用いたO2プラズマ処理により行うことができ、例えばプラズマパワー100〜800kW、酸素ガス流量50〜100ml/min、板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で処理することで、画素電極111表面を含む領域を親液化することができる。また、このO2プラズマ処理により画素電極111表面の洗浄、及び仕事関数の調整も同時に行われる。
次いで、バンク部112の表面処理は、テトラフルオロメタンを用いたCF4プラズマ処理により行うことができ、例えばプラズマパワー100〜800kW、4フッ化メタンガス流量50〜100ml/min、基板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で処理することで、バンク部112の上部開口部112d及び上面112fを撥液化することができる。
【0041】
(2)正孔注入/輸送層形成工程
次に発光素子形成工程では、画素電極111上に正孔注入/輸送層を形成する。
正孔注入/輸送層形成工程では、液滴吐出としてたとえばインクジェット装置を用いることにより、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状組成物を電極面111a上に吐出する。その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上及び無機物バンク層112a上に正孔注入/輸送層110aを形成する。なお、正孔注入/輸送層110aが形成された無機物バンク層112aをここでは第1積層部112eという。
【0042】
なお、正孔注入/輸送層110aは第1積層部112e上に形成されないこともある。すなわち、画素電極111上にのみ正孔注入/輸送層が形成される形態もある。
インクジェットによる製造方法は以下の通りである。
図5に示すように、インクジェットヘッドH1に形成された複数のノズルから正孔注入/輸送層形成材料を含む前記液状組成物を吐出する。ここではインクジェットヘッドを走査することにより各画素毎に組成物を充填しているが、基板2を走査することによっても可能である。更に、インクジェットヘッドと基板2とを相対的に移動させることによっても組成物を充填させることができる。なお、これ以降のインクジェットヘッドを用いて行う工程では上記の点は同様である。
インクジェットヘッドによる吐出は以下の通りである。すなわち、インクジェットヘッドH1に形成された吐出ノズルH2を電極面111aに対向させて配置し、ノズルH2から液状組成物を吐出する。画素電極111の周囲には下部開口部112cを区画するバンク112が形成されており、この下部開口部112c内に位置する画素電極面111aにインクジェットヘッドH1を対向させ、このインクジェットヘッドH1と基板2とを相対移動させながら、吐出ノズルH2から1滴当たりの液量が制御された液状組成物の液滴110cを電極面111a上に吐出する。
【0043】
本工程で用いる液状組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
より具体的な第1組成物の組成としては、PEDOT/PSS混合物(PEDOT/PSS=1:20):12.52重量%、PSS:1.44重量%、IPA:10重量%、NMP:27.48重量%、DMI:50重量%のものを例示できる。尚、上記液状組成物の粘度は2〜20cPs程度が好ましく、特に4〜15cPs程度が良い。
上記の液状組成物を用いることにより、吐出ノズルH2に詰まりが生じることがなく安定吐出できる。
なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各発光層110b1〜110b3に対して同じ材料を用いても良く、各発光層毎に変えても良い。
【0044】
図5に示すように、吐出された第1組成物滴110cは、親液処理された電極面111a及び第1積層部112e上に広がり、下部、上部開口部112c、112d内に充填される。仮に、第1組成物滴110cが所定の吐出位置から外れて上面112f上に吐出されたとしても、上面112fが第1組成物滴110cで濡れることがなく、弾かれた第1組成物滴110cが下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。
【0045】
電極面111a上に吐出する第1組成物量は、下部、上部開口部112c、112dの大きさ、形成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、液状組成物中の正孔注入/輸送層形成材料の濃度等により決定される。
また、液状組成物の液滴110cは1回のみならず、数回に分けて同一の電極面111a上に吐出しても良い。この場合、各回における液状組成物の量は同一でも良く、各回毎に液状組成物を変えても良い。更に電極面111aの同一箇所のみならず、各回毎に電極面111a内の異なる箇所に前記液状組成物を吐出しても良い。
【0046】
インクジェットヘッドの構造については、図11に示すようなヘッドHを用いる事ができる。更に、基板とインクジェットヘッドの配置に関しては図12のように配置することが好ましい。図11中、符号H7は前記のインクジェットヘッドH1を支持する支持基板であり、この支持基板H7上に複数のインクジェットヘッドH1が備えられている。
インクジェットヘッドH1のインク吐出面(基板との対向面)には、ヘッドの長さ方向に沿って列状に、且つヘッドの幅方向に間隔をあけて2列で吐出ノズルが複数(例えば、1列180ノズル、合計360ノズル)設けられている。また、このインクジェットヘッドH1は、吐出ノズルを基板側に向けるとともに、X軸(またはY軸)に対して所定角度傾いた状態で略X軸方向に沿って列状に、且つY方向に所定間隔をあけて2列に配列された状態で平面視略矩形状の支持板20に複数(図11では1列6個、合計12個)位置決めされて支持されている。また図12に示すインクジェット装置において、符号1115は基板2を載置するステージであり、符号1116はステージ1115を図中x軸方向(主走査方向)に案内するガイドレールである。またヘッドHは、支持部材1111を介してガイドレール1113により図中y軸方向(副主走査方向)に移動できるようになっており、更にヘッドHは図中θ軸方向に回転できるようになっており、インクジェットヘッドH1を主走査方向に対して所定の角度に傾けることができるようになっている。このように、インクジェットヘッドを走査方向に対して傾けて配置することにより、ノズルピッチを画素ピッチに対応させることができる。また、傾き角度調整することにより、どのような画素ピッチに対しても対応させることができる。
【0047】
図12に示す基板2は、マザー基板に複数のチップを配置した構造となっている。即ち、1チップの領域が1つの表示装置に相当する。ここでは、3つの表示領域2aが形成されているが、これに限られるものではない。例えば、基板2上の左側の表示領域2aに対して組成物を塗布する場合は、ガイドレール1113を介してヘッドHを図中左側に移動させるとともに、ガイドレール1116を介して基板2を図中上側に移動させ、基板2を走査させながら塗布を行う。次に、ヘッドHを図中右側に移動させて基板の中央の表示領域2aに対して組成物を塗布する。右端にある表示領域2aに対しても前記と同様である。
尚、図11に示すヘッドH及び図12に示すインクジェット装置は、正孔注入/輸送層形成工程のみならず、発光層形成工程に用いて良い。
【0048】
次に、図6に示すような乾燥工程を行う。乾燥工程を行う事により、吐出後の第1組成物を乾燥処理し、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、正孔注入/輸送層110aを形成する。
乾燥処理を行うと、第1組成物滴110cに含まれる極性溶媒の蒸発が、主に無機物バンク層112a及び有機物バンク層112bに近いところで起き、極性溶媒の蒸発に併せて正孔注入/輸送層形成材料が濃縮されて析出する。
これにより図6に示すように、第1積層部112e上に、正孔注入/輸送層形成材料からなる周縁部110a2が形成される。この周縁部110a2は、上部開口部112dの壁面(有機物バンク層112b)に密着しており、その厚さが電極面111aに近い側では薄く、電極面111aから離れた側、即ち有機物バンク層112bに近い側で厚くなっている。
【0049】
また、これと同時に、乾燥処理によって電極面111a上でも極性溶媒の蒸発が起き、これにより電極面111a上に正孔注入/輸送層形成材料からなる平坦部110a1が形成される。電極面111a上では極性溶媒の蒸発速度がほぼ均一であるため、正孔注入/輸送層の形成材料が電極面111a上で均一に濃縮され、これにより均一な厚さの平坦部110aが形成される。
このようにして、周縁部110a2及び平坦部110a1からなる正孔注入/輸送層110aが形成される。なお、周縁部110a2には形成されず、電極面111a上のみに正孔注入/輸送層が形成される形態であっても構わない。
【0050】
上記の乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を例えば133.3Pa(1Torr)程度にして行う。圧力が低すぎると第1組成物滴110cが突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、極性溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を形成する事ができない。
乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注入/輸送層110a内に残存する極性溶媒や水を除去することが好ましい。
【0051】
上記の正孔注入/輸送層形成工程では、吐出された第1組成物滴110cが、下部、上部開口部112c、112d内に満たされる一方で、撥液処理された有機物バンク層112bで第1組成物がはじかれて下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。これにより、吐出した第1組成物滴110cを必ず下部、上部開口部112c、112d内に充填することができ、電極面111a上に正孔注入/輸送層110aを形成することができる。
【0052】
(3)発光層形成工程
次に発光層形成工程は、発光層形成材料吐出工程及び乾燥工程とからなる。
前述の正孔注入/輸送層形成工程と同様、インクジェット法により発光層形成用の液状組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出する。その後、吐出した液状組成物を乾燥処理(及び熱処理)して、正孔注入/輸送層110a上に発光層110bを形成する。詳細は後述するが、本発明に係る製造方法では、この発光層形成工程において、各色の発光層形成用液状組成物の吐出を行った後、一括に乾燥させることで、膜厚の均一性、及び平坦性に優れる発光層を極めて効率よく形成することができるようになっている。
【0053】
図7に、インクジェットによる吐出方法を示す。図7に示すように、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対的に移動し、インクジェットヘッドに形成された吐出ノズルH6から各色(たとえばここでは青色(B))発光層形成材料を含有する液状組成物が吐出される。
吐出の際には、下部、上部開口部112c、112d内に位置する正孔注入/輸送層110aに吐出ノズルを対向させ、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対移動させながら、前記液状組成物が吐出される。吐出ノズルH6から吐出される液量は1滴当たりの液量が制御されている。このように液量が制御された液(液状組成物滴110e)が吐出ノズルから吐出され、この液状組成物滴110eを正孔注入/輸送層110a上に吐出する。
【0054】
本実施形態では、上記液状組成物滴110eの配置に続けて、他の発光層用の液状組成物の吐出を行う。つまり、図8に示すように、基板2上に滴下された液状組成物滴110eを乾燥させることなく、液状組成物滴110f及び110gの吐出配置を行うようになっている。このように各色の発光層110b1〜110b3を形成するための液状組成物滴110e〜110gの滴下を行うに際しては、各色用の液状組成物をそれぞれ充填した複数の吐出ヘッドを、それぞれ独立に走査して基板2上への液状組成物滴110e〜110gの配置を行ってもよく、前記複数の吐出ヘッドを一体的に走査することにより、ほぼ同時に液状組成物110e〜110fの配置を行えるようにしてもよい。
【0055】
図8に示すように、吐出された各液状組成物110e〜110gは、正孔注入/輸送層110a上に広がって下部、上部開口部112c、112d内に満たされる。その一方で、撥液処理された上面112fでは各液状組成物滴110e〜110gが所定の吐出位置からはずれて上面112f上に吐出されたとしても、上面112fが液状組成物滴110e〜110gで濡れることがなく、液状組成物滴110e〜110gが下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。
【0056】
各正孔注入/輸送層110a上に吐出する液状組成物量は、下部、上部開口部112c、112dの大きさ、形成しようとする発光層110bの厚さ、液状組成物中の発光層材料の濃度等により決定される。
また、液状組成物110e〜110gは1回のみならず、数回に分けて同一の正孔注入/輸送層110a上に吐出しても良い。この場合、各回における液状組成物の量は同一でも良く、各回毎に液状組成物の液量を変えても良い。更に正孔注入/輸送層110aの同一箇所のみならず、各回毎に正孔注入/輸送層110a内の異なる箇所に液状組成物を吐出配置しても良い。
【0057】
発光層形成材料としては、ポリフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープして用いる事ができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープすることにより用いることができる。
【0058】
本実施形態に係る発光層形成用液状組成物では、その溶媒として混合溶媒が用いられている。混合溶媒を構成する複数の溶媒の組み合わせとしては、常圧における沸点の差が50℃以上となる溶媒の組み合わせを選択することが好ましく、200℃以上の沸点を有する溶媒を用いることがより好ましい。
このように、所定の沸点差となる溶媒を組み合わせて混合溶媒を構成することで、基板2上に配置された液状組成物滴110e〜110gが、自然乾燥により基板2面内において不均一に乾燥されるのを効果的に防止でき、膜厚が均一であり、かつ平坦性に優れる発光層110bを形成することができる。このことから、溶媒の沸点を200℃以上としておけば、自然乾燥をさらに生じ難くことができるので、後述の乾燥工程において一括に液状組成物滴110e〜100gを乾燥させることができ、膜厚が均一であり、かつ平坦性にも優れる発光層110bを形成することが容易になる。
【0059】
上記溶媒の沸点は、混合溶媒を構成する各溶媒で200℃以上とすることが、自然乾燥の防止の点では、有効であるが、高沸点の溶媒を用いることで、先の発光層形成材料の溶解性が低下し、インクジェット装置による吐出が円滑に行えなくなるおそれもある。その場合には、前記混合溶媒を構成する溶媒のうち、少なくとも1つの溶媒を、200℃以上の沸点を有する溶媒で構成し、他の溶媒は、沸点が200℃未満であっても発光層形成材料の溶解性が良好な溶媒で構成することで、発光層形成材料の溶解性に優れるとともに、滴下後の自然乾燥も効果的に防止できる液状組成物とすることができる。
また、前記溶媒は、正孔注入/輸送層110aに対して不溶なものが好ましい。このような溶媒を発光層110bの液状組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層110aを再溶解させることなく発光層形成用の液状組成物を塗布することができる。
【0060】
上記混合溶媒を構成する溶媒は、沸点が200℃以上のものとして、3−イソプロピルビフェニル(沸点300℃、常圧)等のビフェニル骨格を有する溶媒、あるいは、シクロヘキシルベンゼン(沸点237.5℃、常圧)等を挙げることができ、沸点は200℃未満であるが、発光層形成材料の溶解性に優れるものとしては、1,2,4−トリメチルベンゼン(沸点169〜171℃、常圧)、1,3,5−トリメチルベンゼン(沸点164℃、常圧)等を挙げることができる。従って、本実施形態において発光層形成用の液状組成物を構成する混合溶媒としては、3−イソプロピルビフェニルとシクロヘキシルベンゼンとからなる混合溶媒を用いることで、先の自然乾燥を最も効果的に防止でき、この組み合わせの混合溶媒により発光層形成材料の溶解性が十分に確保できない場合には、例えば上記混合溶媒に、第3の溶媒として1,2,4−トリメチルベンゼンを混合したものを用いればよい。
【0061】
次に、上記各色用の液状組成物110e〜110gを所定の位置に配置し終えた後、一括に乾燥処理することにより発光層110b1〜110b3が形成される。すなわち、乾燥により液状組成物滴110e〜110gに含まれる溶媒が蒸発し、図9に示すような赤色(R)発光層110b1、緑色(G)発光層110b2、青色(B)発光層110b3が形成される。なお、図9においては赤、緑、青に発光する発光層が1つずつ図示されているが、図1やその他の図より明らかなように本来は発光素子がマトリックス状に形成されたものであり、図示しない多数の発光層(各色に対応)が形成されている。
【0062】
また、発光層の液状組成物の乾燥は、真空乾燥により行うことが好ましく、具体的例を挙げるならば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度とした条件により行うことができる。圧力が低すぎると液状組成物が突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、溶媒の蒸発速度が高まり、発光層形成材料が上部開口部112d壁面に多く付着してしまうので好ましくない。
次いで、上記真空乾燥が終了したならば、ホットプレート等の加熱手段を用いて発光層110bのアニール処理を行うことが好ましい。このアニール処理は、各有機EL層の発光特性を最大限に引き出せる共通の温度と時間で行う。
このようにして、画素電極111上に正孔注入/輸送層110a及び発光層110bが形成される。
【0063】
尚、前記発光層形成材料吐出工程に先立ち、正孔注入/輸送層110aの表面を表面改質するために表面改質工程を行うことが好ましい。発光層形成工程では、正孔注入/輸送層110aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる液状組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層110aに対して不溶な溶媒を用いる。しかしその一方で正孔注入/輸送層110aは、溶媒に対する親和性が低いため、溶媒を含む液状組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出しても、正孔注入/輸送層110aと発光層110bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層110bを均一に塗布できないおそれがある。そこで、溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層110aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面改質工程を行うことが好ましい。
【0064】
表面改質工程は、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法またはディップ法により正孔注入/輸送層110a上に塗布した後に乾燥することにより行うことができる。
ここで用いる表面改質材としては、液状組成物の溶媒と同一なものとして例えば、シクロへキシルベンゼン、イソプロピルビフェニル、トリメチルベンゼン等を例示でき、液状組成物の溶媒に類するものとして例えば、テトラメチルベンゼントルエン、トルエン、キシレン等を例示できる。
【0065】
(4)陰極形成工程
次に、図10に示すように、画素電極(陽極)111と対をなす陰極12を形成する。即ち、各色発光層110b及び有機物バンク層112bを含む基板2上の領域全面に、例えばカルシウム層とアルミニウム層とを順次積層した構成の陰極12を形成する。これにより、各色発光層110bの形成領域全体に、陰極12が積層され、赤色、緑色、青色の各色に対応する有機EL素子がそれぞれ形成される。
【0066】
陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。また陰極12上に、酸化防止のためにSiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
【0067】
(5)封止工程
最後に、有機EL素子が形成された基板2と、別途用意した封止基板とを封止樹脂を介して封止する。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂を基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂上に封止基板を配置する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
【0068】
この後、基板2の配線に陰極12を接続するとともに、基板2上あるいは外部に設けられる駆動IC(駆動回路)に回路素子部14の配線を接続することにより、本実施形態の有機EL装置が完成する。
【0069】
以上の実施の形態では、有機EL装置、及びその製造方法について説明したが、本発明は、複数色の色材層が配列形成されたカラーフィルタの製造方法や、有機TFT等の半導体デバイスを含むデバイスの製造方法にも適用することができ、これらの本発明のカラーフィルタの製造方法やデバイスの製造方法においても、形成する色材層や機能層の平坦性を向上させる効果を得ることができるのは勿論である。
【0070】
(電子機器)
図14は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示している。本実施形態の電子機器は、上述した有機EL装置を表示手段として備えている。図14は、携帯電話の一例を示した斜視図で、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置1を用いた表示部を示している。このように本実施形態に係る有機EL装置を表示手段として備える電子機器では、良好な発光特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態の有機EL装置の回路図。
【図2】図2は、同、平面構成図。
【図3】図3は、同、表示領域の断面構成図。
【図4】図4は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図5】図5は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図6】図6は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図7】図7は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図8】図8は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図9】図9は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図10】図10は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図11】実施形態に係るヘッドの平面構成図。
【図12】実施形態に係るインクジェット装置の平面構成図。
【図13】従来の有機EL装置の断面工程図。
【図14】電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
2 基板(基体)、2a 表示領域、6 駆動IC、10 表示素子、11 発光素子部、12 陰極、110 有機EL層、110a 正孔注入/輸送層、110a1 平坦部、110a2 周縁部、110b 発光層、110b1 赤色発光層、110b2 緑色発光層、110b3 青色発光層、111 画素電極、112 バンク部、112a 無機物バンク層、112b 有機物バンク層、112c 下部開口部、112d 上部開口部、110e〜110f 液状組成物滴
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、カラーフィルタの製造方法、及びデバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機蛍光材料等の発光材料をインク化し、このインク(組成物)を基体上に吐出するインクジェット法により、発光材料のパターニングを行う方法を採用して、陽極及び陰極の間に、前記発光材料からなる発光層が挟持された構造のカラー有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)の開発が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−12377号公報
【特許文献2】
特開2002−252083号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記インクジェット法を用いて有機EL装置を製造する場合には、配列形成された各画素(発光素子)の発光特性(輝度、色純度等)を均一化することが重要であり、有機EL装置の製造歩留まりに大きく影響する。上記発光特性を均一化するには、各発光層を画素間で均一かつ平坦に形成することが必要であり、特に膜厚の均一性、及び平坦性は、塗布されたインクの乾燥条件により大きく変動するため、前記発光素子の均一性を向上させるために重要な要素となる。先の特許文献1,2では、基板上に滴下したインクの乾燥工程についての明確な記載はないが、実際には図13に示すような工程を経て発光層の形成が行われる。
【0005】
図13は、従来のインクジェット法を用いたカラー有機EL装置の製造方法を示す断面工程図である。
まず、図13(a)に示すように、一面側に画素電極303と、各画素領域を区画するバンク302とが形成された基板301を用意し、前記バンク302に囲まれる領域内に、インクジェット法により正孔注入/輸送層304を形成しておく。その後、前記正孔注入/輸送層304が形成された基板301に対して、インクジェットヘッド350に充填された赤色発光層用インク300Rを、バンク302に囲まれる領域内に滴下し、次いで、この滴下されたインク300Rを乾燥させて赤色発光層310Rを形成する。
次に、図13(b)に示すように、緑色発光層用インク300Gが充填されたインクジェットヘッド350を用いて前記インク300Rを基板301上に定点配置し、乾燥工程を経て緑色発光層310Gを形成する。
次に、図13(c)に示すように、青色発光層用インク300Bが充填されたインクジェットヘッド350を用いて前記インク300Bを基板301上に定点配置し、乾燥工程を経て青色発光層310Bを形成する。このようにして、基板301上に、赤色発光層310R、緑色発光層310G、青色発光層310Bをパターン配置することにより、カラー有機EL装置を製造することができる。
【0006】
このように、発光色の異なる発光層を形成する場合には、1色のインクを滴下した後、乾燥を行い、しかる後に他の色の発光層を形成する製造方法が採用されるのが一般的である。これは、発光色の異なる発光層では、インクの構成材料が異なるため、その溶媒の構成も異なっているのが通常であり、そのために滴下及び乾燥の最適条件が色毎に異なっていることによるものである。
しかしながら、このように色ごとにインクの滴下と、乾燥とを順次行っていたのでは製造に時間が掛かり、また、例えば赤色発光層310Rを形成した後、緑色発光層310Gを形成する図13(b)に示す工程において、既に乾燥が終了している赤色発光層310Rが再び溶媒雰囲気に曝されるため、溶媒の種類によっては赤色発光層310Rが再溶解され、その結果発光層310Rに変質が生じ、特性の劣化が生じるおそれもある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、その目的は、複数色の発光層を備え、カラー表示が可能な有機エレクトロルミネッセンス装置の製造効率を飛躍的に向上させることが可能であり、かつ液状組成物の塗布により形成される発光層の膜厚均一性、及び平坦性の向上も実現できる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、前記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程と、を含み、前記複数種の液状組成物の各々が、前記複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいること、を特徴とする。
この製造方法によれば、前記複数種の液状組成物として、複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいる液状組成物を用いるので、前記液状組成物に、揮発し難い高沸点溶媒が含まれる構成とすることができ、これにより基板上に塗布された液状組成物の乾燥を同一条件で行っても異なる液状組成物間で乾燥ムラが生じるのを効果的に防止することができる。また一括に乾燥を行うことで、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造効率を従来に比して飛躍的に高めることが可能である。
さらには、前記液状組成物を構成する溶媒を高沸点溶媒を含む混合溶媒とすることで、液状組成物を基板上に塗布して形成した液状組成物滴の自然乾燥の程度を容易に制御することが可能になるとともに、溶解性の高い低沸点溶媒も含む混合溶媒とすることができる。従って、係る構成の混合溶媒を用いれば、有機EL層形成材料の溶解性に対するマージンを大きくとることができ、製造の容易性に優れた製造方法とすることができる。
【0009】
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程と、を含み、前記複数種の液状組成物の各々が、常圧で50℃以上の沸点差を有する2種類の溶媒を含んでいること、を特徴とする。
このような混合溶媒を用いることで、液状組成物の塗布後に、沸点の低い方の溶媒が蒸発したとしても、沸点の高い方の溶媒が液状組成物内に残存するので、経時的な自然乾燥により有機EL層の膜厚均一性が失われるのを効果的に防止することができる。
【0010】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法では、前記基板上の液状組成物を乾燥させる工程が、真空乾燥工程であることが好ましい。
前記基板に塗布された液状組成物を乾燥させるために、真空乾燥を用いることで、乾燥条件を細かく制御することが可能になり、乾燥後の有機EL層の膜厚均一性、及び平坦性を良好なものとすることができる。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、前記真空乾燥工程後に、前記複数種の有機EL層を共通温度でアニールする工程を有する製造方法とすることもできる。このように複数種の有機EL層を一括に共通温度でアニールすることで、各工程を極めて効率よく行うことができる製造方法とすることができる。
【0012】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法では、前記混合溶媒として、常圧で200℃以上の沸点を有する溶媒を含む混合溶媒を用いることが好ましい。
このような混合溶媒を用いることで、基板上に塗布された液状組成物の経時的な自然乾燥を効果的に防止でき、膜厚均一性に優れた有機EL層を形成することができる。また、混合溶媒を構成する他の溶媒として、有機EL層形成材料の溶解性には優れているが、低沸点で乾燥を制御しづらい溶媒も選択できるため、基板上に液状組成物を塗布する工程が円滑に行えるようにすることができる。また、乾燥しやすい溶媒を用いた液状組成物を吐出する成膜法では、吐出ヘッドのノズルが詰まったりするが、混合溶媒を使用することで解決することができる。
【0013】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法では、前記混合溶媒として、ビフェニル骨格を有する溶媒を含む混合溶媒を用いることが好ましい。
上記ビフェニル系の溶媒は、比較的蒸発し難く、係る溶媒を含む混合溶媒を用いることで、基板上に塗布した液状組成物の経時的な自然乾燥を効果的に防止でき、もって膜厚均一性に優れる有機EL層を形成することができる。
【0014】
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法は、異なる色を呈する複数種の液状組成物を基体上に塗布することにより複数種の色材層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、前記複数種の液状組成物として、同一組成の混合溶媒を含む液状組成物を用い、前記複数種の液状組成物を基体上に塗布した後に、前記基体上の液状組成物を乾燥させて前記色材層を形成することを特徴とする。
【0015】
次に、本発明のデバイスの製造方法は、特性の異なる複数種の液状組成物を基板上に塗布することにより複数種の機能層を形成するデバイスの製造方法であって、前記複数種の液状組成物として、同一組成の混合溶媒を含む液状組成物を用い、前記複数種の液状組成物を基体上に塗布した後に、前記基板上の液状組成物を乾燥させて前記機能層を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る製造方法は、上記カラーフィルタや種々のデバイス(例えば有機TFT等の半導体デバイス)の製造方法に適用することができ、これらの製造に際しても、色材層や機能層の乾燥ムラを効果的に防止して膜厚の均一な色材層ないし機能層を形成することが可能である。また、先に記載のように、係る製造方法において用いる混合溶媒では、高沸点溶媒を含む構成とすることができ、この高沸点溶媒の作用により上記乾燥ムラを防止できるため、色材層用材料や機能層用材料の熔解性に優れる低沸点溶媒と混合することができ、前記材料の溶解性のマージンを大きくすることができ、もって製造の容易性を高められるという利点も有している。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の有機EL装置の回路図であり、図2は、同、平面構成図、図3は、同、表示領域の断面構成図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Pが設けられている。
【0018】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
更に、画素領域Pの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(電極)111と、この画素電極111と陰極(対向電極)12との間に挟み込まれた有機EL層110とが設けられている。電極111と対向電極12と有機EL層110により、発光素子が構成されている。
【0019】
走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capに状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、更に有機EL層110を介して陰極12に電流が流れる。有機EL層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0020】
本実施形態の有機EL装置は、図2に示すように、ガラス等からなる透明な基板2と、マトリックス状に配置された発光素子を具備して基板2上に形成された発光素子部11と、発光素子部11上に形成された陰極12とを具備している。発光素子部11と陰極12とにより表示素子10が構成される。
基板2は、例えばガラス等の透明基板であり、基板2の中央に位置する表示領域2aと、基板2の周縁に位置して表示領域2aを囲む非表示領域2bとに区画されている。表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光素子によって形成される領域であり、表示領域の外側に非表示領域2cが形成されている。
【0021】
また、非表示領域2cには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。表示領域2aの両側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。更に、走査側駆動回路105、105の両側には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。表示領域2aの図2(a)中上側には製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行う検査回路106が配置されている。
【0022】
図3の断面構成図には、3つの画素領域Aが図示されている。本実施形態の有機EL装置では、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14、有機EL層110が形成された発光素子部11及び陰極12が順次積層されて構成されており、有機EL層110から基板2側に発せられた光が、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射されるとともに、有機EL層110から基板2の反対側に発せられた光が陰極12により反射されて、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射されるようになっている。
尚、上記陰極12として、透明な材料を用いるならば、陰極側から発光する光を出射させることができる。透明な陰極材料としては、ITO(インジウムスズ酸化物)、Pt、Ir、Ni、もしくはPdを挙げることができる。
【0023】
回路素子部14には、基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。半導体膜141には、ソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度リンイオン打ち込みにより形成されている。前記リンイオンが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。
また、前記下地保護膜2c及び半導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線101)が形成され、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されている。ゲート電極143は半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に設けられている。また、第1、第2層間絶縁膜144a、144bを貫通して、半導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145,146が形成されている。
そして、第2層間絶縁膜144b上には、ITO等からなる透明な画素電極111が所定の形状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホール145がこの画素電極111に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール146が電源線103に接続されている。このようにして、回路素子部14には、各画素電極111に接続された駆動用の薄膜トランジスタ123が形成されている。
【0024】
発光素子部11は、複数の画素電極111…上の各々に積層された有機EL層110と、各画素電極111及び有機EL層110の間に備えられて各有機EL層110を区画するバンク部112とを主体として構成されている。有機EL層110上には陰極12が配置されている。これら画素電極111、有機EL層110及び陰極12によって発光素子が構成されている。ここで、画素電極111は、例えばITOにより形成されてなり、平面視略矩形状にパターン形成されている。この各画素電極111…の間にバンク部112が備えられている。
【0025】
バンク部112は、図3に示すように、基板2側に位置する無機物バンク層112a(第1バンク層)と基板2から離れて位置する有機物バンク層112b(第2バンク層)とが積層された構成を備えている。無機物バンク層112aは、例えばTiO2やSiO2等により形成され、有機物バンク層112bは、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等により形成される。
無機物、有機物バンク層112a、112bは、画素電極111の周縁部上に乗上げるように形成されている。平面的には、画素電極111の周囲と無機物バンク層112aとが平面的に部分的に重なるように配置された構造となっている。また、有機物バンク層112bも同様であり、画素電極111の一部と平面的に重なるように配置されている。また無機物バンク層112aは、有機物バンク層112bの縁端よりも画素電極111の中央側に更に突出するように形成されている。このようにして、無機物バンク層112aの各第1積層部112eが画素電極111の内側に形成されることにより、画素電極111の形成位置に対応する下部開口部112cが設けられている。
【0026】
また、有機物バンク層112bには、上部開口部112dが形成されている。この上部開口部112dは、画素電極111の形成位置及び下部開口部112cに対応するように設けられている。上部開口部112dは、図3に示すように、下部開口部112cより間口が広く、画素電極111より狭く形成されている。また、上部開口部112dの上部の位置と、画素電極111の端部とがほぼ同じ位置になるように形成される場合もある。この場合は、図3に示すように、有機物バンク層112bの上部開口部112dの断面が傾斜した形状となる。このようにして、バンク部112には、下部開口部112c及び上部開口部112dが連通された開口部112gが形成されている。
【0027】
また、バンク部112には、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域が形成されている。親液性を示す領域は、無機物バンク層112aの第1積層部112e及び画素電極111の電極面111aであり、これらの領域は、酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理されている。また、撥液性を示す領域は、上部開口部112dの壁面及び有機物バンク層112の上面112fであり、これらの領域は、4フッ化メタン、テトラフルオロメタン、もしくは四フッ化炭素を処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)されている。
【0028】
有機EL層110は、画素電極111上に積層された正孔注入/輸送層110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bとから構成されている。
正孔注入/輸送層110aは、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。このような正孔注入/輸送層110aを画素電極111と発光層110bの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。また、発光層110bでは、正孔注入/輸送層110aから注入された正孔と、陰極12から注入される電子が発光層で再結合し、発光が行われる。
【0029】
正孔注入/輸送層110aは、下部開口部112c内に位置して画素電極面111a上に形成される平坦部110a1と、上部開口部112d内に位置して無機物バンク層の第1積層部112e上に形成される周縁部110a2から構成されている。また、正孔注入/輸送層110aは、構造によっては、画素電極111上であって、且つ無機物バンク層110aの間(下部開口部110c)にのみ形成されている(前述に記載した平坦部にのみ形成される形態もある)。
【0030】
また発光層110bは、正孔注入/輸送層110aの平坦部110a1及び周縁部110a2上に渡って形成されており、平坦部112a1上での厚さが50〜80nmの範囲とされている。発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色(B)に発光する青色発光層110b3の3種類を有し、図2に示したように、各発光層110b1〜110b3がストライプ配置されている。
【0031】
無機物バンク層の第1積層部112e上に不均一な厚さの周縁部110a2が形成されているため、周縁部110a2が第1積層部112eによって画素電極111から絶縁された状態となり、周縁部110a2から発光層110bに正孔が注入されることがない。これにより、画素電極111からの電流が平坦部112a1のみに流れ、正孔を平坦部112a1から発光層110bに均一に輸送させることができ、発光層110bの中央部分のみを発光させることができるとともに、発光層110bにおける発光量を一定にすることができる。
また、無機物バンク層112aが有機物バンク層112bよりも画素電極111の中央側に更に延出されているので、この無機物バンク層112aによって画素電極111と平坦部110a1との接合部分の形状をトリミングすることができ、各発光層110b間の発光強度のばらつきを抑えることができる。
【0032】
更に、画素電極111の電極面111a及び無機物バンク層の第1積層部112eが親液性を示すので、有機EL層110が画素電極111及び無機物バンク層112aに均一に密着し、無機物バンク112a上で有機EL層110が極端に薄くならず、画素電極111と陰極12との短絡を防止できる。
また、有機物バンク層112bの上面112f及び上部開口部112d壁面が撥液性を示すので、有機EL層110と有機物バンク層112bとの密着性が低くなり、有機EL層110が開口部112gから溢れて形成されることがない。
【0033】
尚、正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。
また、発光層110bの材料としては、例えば、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれらの高分子材料にルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いることができる。
【0034】
陰極12は、発光素子部11の全面に形成されており、画素電極111と対になって有機EL層110に電流を流す役割を果たす。この陰極12は、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。このとき、発光層に近い側の陰極には仕事関数が低いものを設けることが好ましく、特にこの形態においては発光層110bに直接に接して発光層110bに電子を注入する役割を果たす。また、フッ化リチウムは発光層の材料によっては効率よく発光させるために、発光層110と陰極12との間にLiFを形成する場合もある。尚、赤色及び緑色の発光層110b1、1110b2にはフッ化リチウムに限らず、他の材料を用いても良い。従ってこの場合は青色(B)発光層110b3のみにフッ化リチウムからなる層を形成し、他の赤色及び緑色の発光層110b1、110b2にはフッ化リチウム以外のものを積層しても良い。また、赤色及び緑色の発光層110b1、110b2上にはフッ化リチウムを形成せず、カルシウムのみを形成しても良い。
また、陰極12を形成するアルミニウムは、発光層110bから発した光を基板2側に反射させるもので、Al膜の他、Ag膜、AlとAgの積層膜等からなることが好ましい。更にアルミニウム上にSiO、SiO2、SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けても良い。
【0035】
図3に示す発光素子部11上には、実際の有機EL装置では封止部が備えられる。この封止部は、例えば基板2の周囲に環状に封止樹脂を塗布し、さらに封止缶により封止することにより形成することができる。前記封止樹脂は、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等からなり、特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。この封止部は、陰極12または発光素子部11内に形成された発光層の酸化を防止する目的で設けられる。また、前記封止缶の内側には水、酸素等を吸収するゲッター剤を設け、封止缶の内部に侵入した水又は酸素を吸収できるようにしてもよい。
【0036】
(有機EL装置の製造方法)
次に、上記有機EL装置を製造する方法について図4〜図10を参照して説明する。
本実施形態の製造方法は、(1)バンク部形成工程、(2)正孔注入/輸送層形成工程、(3)発光層形成工程、(4)陰極形成工程及び(5)封止工程等を有する。なお、ここで説明する製造方法は一例であって、必要に応じてその他の工程が追加されたり、上記の工程の一部が除かれたりする。本実施形態において、(2)正孔注入/輸送層形成工程、(3)発光層形成工程は、本発明に係る有機EL層形成工程を成し、液滴吐出装置を用いた液体吐出法(インクジェット法)を用いて行われる。
そして、本実施形態の製造方法では、(3)発光層形成工程において、基板2上に吐出される液状組成物が、各色の発光層形成用液状組成物で共通の混合溶媒を用いて構成されており、前記各色用の液状組成物の吐出が全て終了した後、一括に乾燥工程を行う点に特徴を有している。
【0037】
(1)バンク部形成工程
バンク部形成工程では、基板2の所定位置にバンク部112を形成する。バンク部112は、第1のバンク層として無機物バンク層112aが形成され、第2のバンク層として有機物バンク層112bが形成された構造を有している。
(1)−1 無機物バンク層112aの形成
まず、図4に示すように、基板上の所定の位置に無機物バンク層112aを形成する。無機物バンク層112aが形成される位置は、第2層間絶縁膜144b及び画素電極111上である。なお、第2層間絶縁膜144bは薄膜トランジスタ、走査線、信号線、等が配置された回路素子部14上に形成されている。
無機物バンク層112aは、例えば、SiO2、TiO2等の無機物膜を材料として用いることができる。これらの材料は、例えばCVD法、コート法、スパッタ法、蒸着法等によって形成される。更に、無機物バンク層112aの膜厚は50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。
無機物バンク層112は、層間絶縁層144及び画素電極111の全面に無機物膜を形成し、その後無機物膜をフォトリソグラフィ法等によりパターニングすることにより、開口部を有する無機物バンク層112が形成される。開口部は、画素電極111の電極面111aの形成位置に対応するもので、図4に示すように下部開口部112cとして設けられる。
このとき、無機物バンク層112aは画素電極111の周縁部と一部重なるように形成され、これにより発光層110の平面的な発光領域が制御される。
【0038】
(1)−2 有機物バンク層112bの形成
次に、第2のバンク層としての有機物バンク層112bを形成する。
図4に示すように、無機物バンク層112a上に有機物バンク層112bを形成する。有機物バンク層112bとして、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する材料を用いる。これらの材料を用い、有機物バンク層112bをフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。なお、パターニングする際、有機物バンク層112bに上部開口部112dを形成する。上部開口部112dは、電極面111a及び下部開口部112cに対応する位置に設けられる。
上部開口部112dは、図4に示すように、無機物バンク層112aに形成された下部開口部112cより広く形成する事が好ましい。更に、有機物バンク層112bはテーパーを有する形状が好ましく、有機物バンク層112bの最低面では画素電極111の幅より狭く、有機物バンク層112bの最上面では画素電極111の幅とほぼ同一の幅に形成する事が好ましい。これにより、無機物バンク層112aの下部開口部112cを囲む第1積層部112eが、有機物バンク層112bよりも画素電極111の中央側に延出された形になる。
このようにして、有機物バンク層112bに形成された上部開口部112d、無機物バンク層112aに形成された下部開口部112cを連通させることにより、無機物バンク層112a及び有機物バンク層112bを貫通する開口部112gが形成される。
【0039】
なお、有機物バンク層112bの厚さは、0.1〜3.5μmの範囲が好ましく、特に2μm程度がよい。このような範囲とする理由は以下の通りである。
すなわち、厚さが0.1μm未満では、後述する正孔注入/輸送層及び発光層の合計厚より有機物バンク層112bが薄くなり、発光層110bが上部開口部112dから溢れてしまうおそれがあるので好ましくない。また、厚さが3.5μmを越えると、上部開口部112dによる段差が大きくなり、上部開口部112dにおける陰極12のステップカバレッジが確保できなくなるので好ましくない。また、有機物バンク層112bの厚さを2μm以上とすれば、陰極12と駆動用の薄膜トランジスタ123との絶縁を高めることができる点で好ましい。
【0040】
また、形成されたバンク部112、及び画素電極111の表面は、プラズマ処理により適切な表面処理を施されることが好ましく、具体的にはバンク部112表面の撥液化処理、及び画素電極111の親液化処理を行う。
まず、画素電極111の表面処理は、酸素ガスを用いたO2プラズマ処理により行うことができ、例えばプラズマパワー100〜800kW、酸素ガス流量50〜100ml/min、板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で処理することで、画素電極111表面を含む領域を親液化することができる。また、このO2プラズマ処理により画素電極111表面の洗浄、及び仕事関数の調整も同時に行われる。
次いで、バンク部112の表面処理は、テトラフルオロメタンを用いたCF4プラズマ処理により行うことができ、例えばプラズマパワー100〜800kW、4フッ化メタンガス流量50〜100ml/min、基板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で処理することで、バンク部112の上部開口部112d及び上面112fを撥液化することができる。
【0041】
(2)正孔注入/輸送層形成工程
次に発光素子形成工程では、画素電極111上に正孔注入/輸送層を形成する。
正孔注入/輸送層形成工程では、液滴吐出としてたとえばインクジェット装置を用いることにより、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状組成物を電極面111a上に吐出する。その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上及び無機物バンク層112a上に正孔注入/輸送層110aを形成する。なお、正孔注入/輸送層110aが形成された無機物バンク層112aをここでは第1積層部112eという。
【0042】
なお、正孔注入/輸送層110aは第1積層部112e上に形成されないこともある。すなわち、画素電極111上にのみ正孔注入/輸送層が形成される形態もある。
インクジェットによる製造方法は以下の通りである。
図5に示すように、インクジェットヘッドH1に形成された複数のノズルから正孔注入/輸送層形成材料を含む前記液状組成物を吐出する。ここではインクジェットヘッドを走査することにより各画素毎に組成物を充填しているが、基板2を走査することによっても可能である。更に、インクジェットヘッドと基板2とを相対的に移動させることによっても組成物を充填させることができる。なお、これ以降のインクジェットヘッドを用いて行う工程では上記の点は同様である。
インクジェットヘッドによる吐出は以下の通りである。すなわち、インクジェットヘッドH1に形成された吐出ノズルH2を電極面111aに対向させて配置し、ノズルH2から液状組成物を吐出する。画素電極111の周囲には下部開口部112cを区画するバンク112が形成されており、この下部開口部112c内に位置する画素電極面111aにインクジェットヘッドH1を対向させ、このインクジェットヘッドH1と基板2とを相対移動させながら、吐出ノズルH2から1滴当たりの液量が制御された液状組成物の液滴110cを電極面111a上に吐出する。
【0043】
本工程で用いる液状組成物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
より具体的な第1組成物の組成としては、PEDOT/PSS混合物(PEDOT/PSS=1:20):12.52重量%、PSS:1.44重量%、IPA:10重量%、NMP:27.48重量%、DMI:50重量%のものを例示できる。尚、上記液状組成物の粘度は2〜20cPs程度が好ましく、特に4〜15cPs程度が良い。
上記の液状組成物を用いることにより、吐出ノズルH2に詰まりが生じることがなく安定吐出できる。
なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各発光層110b1〜110b3に対して同じ材料を用いても良く、各発光層毎に変えても良い。
【0044】
図5に示すように、吐出された第1組成物滴110cは、親液処理された電極面111a及び第1積層部112e上に広がり、下部、上部開口部112c、112d内に充填される。仮に、第1組成物滴110cが所定の吐出位置から外れて上面112f上に吐出されたとしても、上面112fが第1組成物滴110cで濡れることがなく、弾かれた第1組成物滴110cが下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。
【0045】
電極面111a上に吐出する第1組成物量は、下部、上部開口部112c、112dの大きさ、形成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、液状組成物中の正孔注入/輸送層形成材料の濃度等により決定される。
また、液状組成物の液滴110cは1回のみならず、数回に分けて同一の電極面111a上に吐出しても良い。この場合、各回における液状組成物の量は同一でも良く、各回毎に液状組成物を変えても良い。更に電極面111aの同一箇所のみならず、各回毎に電極面111a内の異なる箇所に前記液状組成物を吐出しても良い。
【0046】
インクジェットヘッドの構造については、図11に示すようなヘッドHを用いる事ができる。更に、基板とインクジェットヘッドの配置に関しては図12のように配置することが好ましい。図11中、符号H7は前記のインクジェットヘッドH1を支持する支持基板であり、この支持基板H7上に複数のインクジェットヘッドH1が備えられている。
インクジェットヘッドH1のインク吐出面(基板との対向面)には、ヘッドの長さ方向に沿って列状に、且つヘッドの幅方向に間隔をあけて2列で吐出ノズルが複数(例えば、1列180ノズル、合計360ノズル)設けられている。また、このインクジェットヘッドH1は、吐出ノズルを基板側に向けるとともに、X軸(またはY軸)に対して所定角度傾いた状態で略X軸方向に沿って列状に、且つY方向に所定間隔をあけて2列に配列された状態で平面視略矩形状の支持板20に複数(図11では1列6個、合計12個)位置決めされて支持されている。また図12に示すインクジェット装置において、符号1115は基板2を載置するステージであり、符号1116はステージ1115を図中x軸方向(主走査方向)に案内するガイドレールである。またヘッドHは、支持部材1111を介してガイドレール1113により図中y軸方向(副主走査方向)に移動できるようになっており、更にヘッドHは図中θ軸方向に回転できるようになっており、インクジェットヘッドH1を主走査方向に対して所定の角度に傾けることができるようになっている。このように、インクジェットヘッドを走査方向に対して傾けて配置することにより、ノズルピッチを画素ピッチに対応させることができる。また、傾き角度調整することにより、どのような画素ピッチに対しても対応させることができる。
【0047】
図12に示す基板2は、マザー基板に複数のチップを配置した構造となっている。即ち、1チップの領域が1つの表示装置に相当する。ここでは、3つの表示領域2aが形成されているが、これに限られるものではない。例えば、基板2上の左側の表示領域2aに対して組成物を塗布する場合は、ガイドレール1113を介してヘッドHを図中左側に移動させるとともに、ガイドレール1116を介して基板2を図中上側に移動させ、基板2を走査させながら塗布を行う。次に、ヘッドHを図中右側に移動させて基板の中央の表示領域2aに対して組成物を塗布する。右端にある表示領域2aに対しても前記と同様である。
尚、図11に示すヘッドH及び図12に示すインクジェット装置は、正孔注入/輸送層形成工程のみならず、発光層形成工程に用いて良い。
【0048】
次に、図6に示すような乾燥工程を行う。乾燥工程を行う事により、吐出後の第1組成物を乾燥処理し、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、正孔注入/輸送層110aを形成する。
乾燥処理を行うと、第1組成物滴110cに含まれる極性溶媒の蒸発が、主に無機物バンク層112a及び有機物バンク層112bに近いところで起き、極性溶媒の蒸発に併せて正孔注入/輸送層形成材料が濃縮されて析出する。
これにより図6に示すように、第1積層部112e上に、正孔注入/輸送層形成材料からなる周縁部110a2が形成される。この周縁部110a2は、上部開口部112dの壁面(有機物バンク層112b)に密着しており、その厚さが電極面111aに近い側では薄く、電極面111aから離れた側、即ち有機物バンク層112bに近い側で厚くなっている。
【0049】
また、これと同時に、乾燥処理によって電極面111a上でも極性溶媒の蒸発が起き、これにより電極面111a上に正孔注入/輸送層形成材料からなる平坦部110a1が形成される。電極面111a上では極性溶媒の蒸発速度がほぼ均一であるため、正孔注入/輸送層の形成材料が電極面111a上で均一に濃縮され、これにより均一な厚さの平坦部110aが形成される。
このようにして、周縁部110a2及び平坦部110a1からなる正孔注入/輸送層110aが形成される。なお、周縁部110a2には形成されず、電極面111a上のみに正孔注入/輸送層が形成される形態であっても構わない。
【0050】
上記の乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を例えば133.3Pa(1Torr)程度にして行う。圧力が低すぎると第1組成物滴110cが突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、極性溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を形成する事ができない。
乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注入/輸送層110a内に残存する極性溶媒や水を除去することが好ましい。
【0051】
上記の正孔注入/輸送層形成工程では、吐出された第1組成物滴110cが、下部、上部開口部112c、112d内に満たされる一方で、撥液処理された有機物バンク層112bで第1組成物がはじかれて下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。これにより、吐出した第1組成物滴110cを必ず下部、上部開口部112c、112d内に充填することができ、電極面111a上に正孔注入/輸送層110aを形成することができる。
【0052】
(3)発光層形成工程
次に発光層形成工程は、発光層形成材料吐出工程及び乾燥工程とからなる。
前述の正孔注入/輸送層形成工程と同様、インクジェット法により発光層形成用の液状組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出する。その後、吐出した液状組成物を乾燥処理(及び熱処理)して、正孔注入/輸送層110a上に発光層110bを形成する。詳細は後述するが、本発明に係る製造方法では、この発光層形成工程において、各色の発光層形成用液状組成物の吐出を行った後、一括に乾燥させることで、膜厚の均一性、及び平坦性に優れる発光層を極めて効率よく形成することができるようになっている。
【0053】
図7に、インクジェットによる吐出方法を示す。図7に示すように、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対的に移動し、インクジェットヘッドに形成された吐出ノズルH6から各色(たとえばここでは青色(B))発光層形成材料を含有する液状組成物が吐出される。
吐出の際には、下部、上部開口部112c、112d内に位置する正孔注入/輸送層110aに吐出ノズルを対向させ、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対移動させながら、前記液状組成物が吐出される。吐出ノズルH6から吐出される液量は1滴当たりの液量が制御されている。このように液量が制御された液(液状組成物滴110e)が吐出ノズルから吐出され、この液状組成物滴110eを正孔注入/輸送層110a上に吐出する。
【0054】
本実施形態では、上記液状組成物滴110eの配置に続けて、他の発光層用の液状組成物の吐出を行う。つまり、図8に示すように、基板2上に滴下された液状組成物滴110eを乾燥させることなく、液状組成物滴110f及び110gの吐出配置を行うようになっている。このように各色の発光層110b1〜110b3を形成するための液状組成物滴110e〜110gの滴下を行うに際しては、各色用の液状組成物をそれぞれ充填した複数の吐出ヘッドを、それぞれ独立に走査して基板2上への液状組成物滴110e〜110gの配置を行ってもよく、前記複数の吐出ヘッドを一体的に走査することにより、ほぼ同時に液状組成物110e〜110fの配置を行えるようにしてもよい。
【0055】
図8に示すように、吐出された各液状組成物110e〜110gは、正孔注入/輸送層110a上に広がって下部、上部開口部112c、112d内に満たされる。その一方で、撥液処理された上面112fでは各液状組成物滴110e〜110gが所定の吐出位置からはずれて上面112f上に吐出されたとしても、上面112fが液状組成物滴110e〜110gで濡れることがなく、液状組成物滴110e〜110gが下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。
【0056】
各正孔注入/輸送層110a上に吐出する液状組成物量は、下部、上部開口部112c、112dの大きさ、形成しようとする発光層110bの厚さ、液状組成物中の発光層材料の濃度等により決定される。
また、液状組成物110e〜110gは1回のみならず、数回に分けて同一の正孔注入/輸送層110a上に吐出しても良い。この場合、各回における液状組成物の量は同一でも良く、各回毎に液状組成物の液量を変えても良い。更に正孔注入/輸送層110aの同一箇所のみならず、各回毎に正孔注入/輸送層110a内の異なる箇所に液状組成物を吐出配置しても良い。
【0057】
発光層形成材料としては、ポリフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープして用いる事ができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープすることにより用いることができる。
【0058】
本実施形態に係る発光層形成用液状組成物では、その溶媒として混合溶媒が用いられている。混合溶媒を構成する複数の溶媒の組み合わせとしては、常圧における沸点の差が50℃以上となる溶媒の組み合わせを選択することが好ましく、200℃以上の沸点を有する溶媒を用いることがより好ましい。
このように、所定の沸点差となる溶媒を組み合わせて混合溶媒を構成することで、基板2上に配置された液状組成物滴110e〜110gが、自然乾燥により基板2面内において不均一に乾燥されるのを効果的に防止でき、膜厚が均一であり、かつ平坦性に優れる発光層110bを形成することができる。このことから、溶媒の沸点を200℃以上としておけば、自然乾燥をさらに生じ難くことができるので、後述の乾燥工程において一括に液状組成物滴110e〜100gを乾燥させることができ、膜厚が均一であり、かつ平坦性にも優れる発光層110bを形成することが容易になる。
【0059】
上記溶媒の沸点は、混合溶媒を構成する各溶媒で200℃以上とすることが、自然乾燥の防止の点では、有効であるが、高沸点の溶媒を用いることで、先の発光層形成材料の溶解性が低下し、インクジェット装置による吐出が円滑に行えなくなるおそれもある。その場合には、前記混合溶媒を構成する溶媒のうち、少なくとも1つの溶媒を、200℃以上の沸点を有する溶媒で構成し、他の溶媒は、沸点が200℃未満であっても発光層形成材料の溶解性が良好な溶媒で構成することで、発光層形成材料の溶解性に優れるとともに、滴下後の自然乾燥も効果的に防止できる液状組成物とすることができる。
また、前記溶媒は、正孔注入/輸送層110aに対して不溶なものが好ましい。このような溶媒を発光層110bの液状組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層110aを再溶解させることなく発光層形成用の液状組成物を塗布することができる。
【0060】
上記混合溶媒を構成する溶媒は、沸点が200℃以上のものとして、3−イソプロピルビフェニル(沸点300℃、常圧)等のビフェニル骨格を有する溶媒、あるいは、シクロヘキシルベンゼン(沸点237.5℃、常圧)等を挙げることができ、沸点は200℃未満であるが、発光層形成材料の溶解性に優れるものとしては、1,2,4−トリメチルベンゼン(沸点169〜171℃、常圧)、1,3,5−トリメチルベンゼン(沸点164℃、常圧)等を挙げることができる。従って、本実施形態において発光層形成用の液状組成物を構成する混合溶媒としては、3−イソプロピルビフェニルとシクロヘキシルベンゼンとからなる混合溶媒を用いることで、先の自然乾燥を最も効果的に防止でき、この組み合わせの混合溶媒により発光層形成材料の溶解性が十分に確保できない場合には、例えば上記混合溶媒に、第3の溶媒として1,2,4−トリメチルベンゼンを混合したものを用いればよい。
【0061】
次に、上記各色用の液状組成物110e〜110gを所定の位置に配置し終えた後、一括に乾燥処理することにより発光層110b1〜110b3が形成される。すなわち、乾燥により液状組成物滴110e〜110gに含まれる溶媒が蒸発し、図9に示すような赤色(R)発光層110b1、緑色(G)発光層110b2、青色(B)発光層110b3が形成される。なお、図9においては赤、緑、青に発光する発光層が1つずつ図示されているが、図1やその他の図より明らかなように本来は発光素子がマトリックス状に形成されたものであり、図示しない多数の発光層(各色に対応)が形成されている。
【0062】
また、発光層の液状組成物の乾燥は、真空乾燥により行うことが好ましく、具体的例を挙げるならば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度とした条件により行うことができる。圧力が低すぎると液状組成物が突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、溶媒の蒸発速度が高まり、発光層形成材料が上部開口部112d壁面に多く付着してしまうので好ましくない。
次いで、上記真空乾燥が終了したならば、ホットプレート等の加熱手段を用いて発光層110bのアニール処理を行うことが好ましい。このアニール処理は、各有機EL層の発光特性を最大限に引き出せる共通の温度と時間で行う。
このようにして、画素電極111上に正孔注入/輸送層110a及び発光層110bが形成される。
【0063】
尚、前記発光層形成材料吐出工程に先立ち、正孔注入/輸送層110aの表面を表面改質するために表面改質工程を行うことが好ましい。発光層形成工程では、正孔注入/輸送層110aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる液状組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層110aに対して不溶な溶媒を用いる。しかしその一方で正孔注入/輸送層110aは、溶媒に対する親和性が低いため、溶媒を含む液状組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出しても、正孔注入/輸送層110aと発光層110bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層110bを均一に塗布できないおそれがある。そこで、溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層110aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面改質工程を行うことが好ましい。
【0064】
表面改質工程は、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法またはディップ法により正孔注入/輸送層110a上に塗布した後に乾燥することにより行うことができる。
ここで用いる表面改質材としては、液状組成物の溶媒と同一なものとして例えば、シクロへキシルベンゼン、イソプロピルビフェニル、トリメチルベンゼン等を例示でき、液状組成物の溶媒に類するものとして例えば、テトラメチルベンゼントルエン、トルエン、キシレン等を例示できる。
【0065】
(4)陰極形成工程
次に、図10に示すように、画素電極(陽極)111と対をなす陰極12を形成する。即ち、各色発光層110b及び有機物バンク層112bを含む基板2上の領域全面に、例えばカルシウム層とアルミニウム層とを順次積層した構成の陰極12を形成する。これにより、各色発光層110bの形成領域全体に、陰極12が積層され、赤色、緑色、青色の各色に対応する有機EL素子がそれぞれ形成される。
【0066】
陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。また陰極12上に、酸化防止のためにSiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
【0067】
(5)封止工程
最後に、有機EL素子が形成された基板2と、別途用意した封止基板とを封止樹脂を介して封止する。例えば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止樹脂を基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂上に封止基板を配置する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
【0068】
この後、基板2の配線に陰極12を接続するとともに、基板2上あるいは外部に設けられる駆動IC(駆動回路)に回路素子部14の配線を接続することにより、本実施形態の有機EL装置が完成する。
【0069】
以上の実施の形態では、有機EL装置、及びその製造方法について説明したが、本発明は、複数色の色材層が配列形成されたカラーフィルタの製造方法や、有機TFT等の半導体デバイスを含むデバイスの製造方法にも適用することができ、これらの本発明のカラーフィルタの製造方法やデバイスの製造方法においても、形成する色材層や機能層の平坦性を向上させる効果を得ることができるのは勿論である。
【0070】
(電子機器)
図14は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示している。本実施形態の電子機器は、上述した有機EL装置を表示手段として備えている。図14は、携帯電話の一例を示した斜視図で、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置1を用いた表示部を示している。このように本実施形態に係る有機EL装置を表示手段として備える電子機器では、良好な発光特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態の有機EL装置の回路図。
【図2】図2は、同、平面構成図。
【図3】図3は、同、表示領域の断面構成図。
【図4】図4は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図5】図5は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図6】図6は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図7】図7は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図8】図8は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図9】図9は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図10】図10は、実施形態に係る製造方法を説明する工程図。
【図11】実施形態に係るヘッドの平面構成図。
【図12】実施形態に係るインクジェット装置の平面構成図。
【図13】従来の有機EL装置の断面工程図。
【図14】電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
2 基板(基体)、2a 表示領域、6 駆動IC、10 表示素子、11 発光素子部、12 陰極、110 有機EL層、110a 正孔注入/輸送層、110a1 平坦部、110a2 周縁部、110b 発光層、110b1 赤色発光層、110b2 緑色発光層、110b3 青色発光層、111 画素電極、112 バンク部、112a 無機物バンク層、112b 有機物バンク層、112c 下部開口部、112d 上部開口部、110e〜110f 液状組成物滴
Claims (6)
- 複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、
前記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程と、を含み、
前記複数種の液状組成物の各々が、前記複数種の液状組成物に共通に含まれる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。 - 複数種の有機EL層を備え、前記複数種の有機EL層の各々が基体上の所定位置に配置された有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
複数種の液状組成物の各々を前記基体上の前記所定位置に対応する塗布位置に塗布する工程と、
前記基体上の前記塗布位置に配置された前記複数種の液状組成物を乾燥し、前記複数の有機EL層を形成する工程と、を含み、
前記複数種の液状組成物の各々が、常圧で50℃以上の沸点差を有する2種類の溶媒を含んでいること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。 - 前記基体上の液状組成物を乾燥させる工程が、真空乾燥工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
- 前記真空乾燥工程後に、前記複数種の有機EL層を共通温度でアニールする工程を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
- 前記混合溶媒として、常圧で200℃以上の沸点を有する溶媒を含む混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
- 前記混合溶媒としてビフェニル骨格を有する溶媒を含む混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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