JP2004097965A - 放電プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロール電極と平板電極を有する放電プラズマ処理装置において、ITOなどの基材の洗浄を行う際の洗浄能力を産業上利用可能な程度まで向上させる。
【解決手段】ロール電極1とこのロール電極1と対向する平板電極2を有し、それらロール電極1と平板電極2との間に電界を印加することにより発生する放電プラズマにて基材Sの洗浄処理を行うにあたり、ロール電極1の直径Dを50mm以上2000mm未満とし、かつ、ロール電極の直径Dmmと電極間距離dmmとの比[D/d]を25以上900未満に規定することで、プラズマ放電の安定化をはかり、基材Sの洗浄処理速度を向上させる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理体の表面に存在する有機物などのクリーニング(除去)、レジストの剥離、液晶用ガラス、クロムガラス及びITOガラス基板の表面クリーニングなどの洗浄処理を行う放電プラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、IT分野が著しく成長し、とりわけ携帯電話、テレビジョン、モニター等のFPD(フラットパネルディスプレイ)表示部は、技術的にも市場的にも大きく発展している。
【0003】
FPD表示部の中心であるTFT(thin フィルムトランジスタ)ディスプレイは、ガラス、ITOガラス、偏光板フィルム(TACフィルム)等の接着・張り合わせが必要であり、各フィルムの表面には非常に高いクリーン度及び濡れ性改善が必要となる。それらの特性が不足する場合、表示の耐久性が低くなったり、表示ドット部に表示が誤動作する箇所が発生してしまう。
【0004】
一般的に、各フィルムの生産工程はクリーンルーム内で行われるが、それでもミクロな汚物(塵)、コンタミ(固定中の系内外からの異物混入)による被膜付着は、完全には避けられないため、各表面の洗浄工程を入れることが常である。
【0005】
フィルム等の洗浄方法として、従来、湿式処理(薬品処理)や乾式処理(コロナ放電処理、UV処理、エキシマランプを用いた処理)等が知られている。
【0006】
湿式処理は、薬品の種類・濃度によって処理能力が変わるが、一般的にフットプリント(装置占有面積)が大きく、処理薬品の乾燥工程も必要である。また、乾燥が不十分であれば残存薬品が品質不良を起こすという問題がある。
【0007】
乾燥処理であるコロナ放電処理の場合、供給電力が大きいと処理基材のダメージが大きい。TFTへの処理においては、ITO表面のトランジスタが破壊されるケースが多い。また、供給電力が小さいと、放電が粗であるため処理ムラが大きくて品質が安定しない。
【0008】
エキシマランプによる処理は、UV処理よりも洗浄能力が大きいが、それでも洗浄品質を得るには複数(10本程度)のランプが必要であり、さらに、ランプ寿命が700〜1000時間程度であるため、ランニングコストも高額となる。
【0009】
一方、大気圧近傍でプラズマを発生させて処理する方法も提案されている。例えば、平板電極と20mm直径の接地用電極ロールを使用してプラズマを発生させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、大気圧近傍下でロール電極と平板電極にて発生したプラズマを使って基材の処理を行うにあたり、パーティクルの発生を抑えるためにロール電極の直径を小さくする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
しかしながら、前記した特許文献1(特開平2001−35694号公報)に記載の技術では、ロール電極の直径が小さくてプラズマ発生領域(放電面積)が狭くなるため、洗浄用途における処理能力(スループット)が低く、ITO表面などの洗浄処理にそのまま採用することはできない。一方、前記した特許文献2(特開平11−172449号公報)には、プラズマ処理にて基材上に薄膜を形成する技術が示されているだけであり、ITO表面などの洗浄処理を行うことは全く想定されていない。
【0011】
【特許文献1】
特開平2001−35694号公報
【特許文献2】
特開平11−172449号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、ロール電極と平板電極を用いたプラズマ処理によりITOなどの基材の洗浄を行うにあたり、洗浄能力を産業上利用可能な程度にまで高めることが可能な放電プラズマ処理装置の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電プラズマ処理装置は、ロール電極と前記ロール電極に対向する平板電極を有し、前記ロール電極と平板電極との間に電界を印加することにより発生する放電プラズマを洗浄処理に用いる放電プラズマ処理装置において、ロール電極の直径を50mm以上2000mm未満とし、かつ、ロール電極の直径をDmm、ロール電極と平板電極との間の電極間距離をdmmとしたとき、D/dを25以上900未満に規定することを特徴としている。
【0014】
このように、ロール電極の直径、及び、ロール電極と平板電極との間の電極間距離を規定することにより、ロール電極と平板電極との間の放電空間(プラズマ発生空間)の状態を、安定なプラズマ放電を維持することが可能な平行平板型の対向電極に近い状態にすることができ、基材の洗浄効果(洗浄処理速度)を高めることができる。
【0015】
本発明の放電プラズマ処理装置において、ロール電極及び平板電極の少なくとも一方の電極対向面に固体誘電体を設けておくことが好ましい。
【0016】
また、ロール電極と平板電極との間に印加する電界は、パルス立ち上がり及び/又は立ち下がり時間が100μs以下のパルス電界とすることが好ましい。
【0017】
このように、ロール電極と平板電極の電極対向面に固体誘電体を配置し、さらに、ロール電極と平板電極との間に印加する電界をパルス立ち上がり及び/又は立ち下がりが急峻なパルス電界とすることにより、より安定したプラズマ放電を得ることができ、洗浄処理速度をより一層高めることができる。
【0018】
次に、本発明を更に詳しく説明する。
【0019】
まず、本発明の放電プラズマ処理装置は、どのような圧力下でも用いることができるが、常圧放電プラズマ処理を用いるとその効果を十分に発揮でき、特に、大気圧近傍下の圧力下で用いるとその効果が十分に発揮される。
【0020】
上記大気圧近傍の圧力下とは、1.333×10〜10.664×10Paの圧力下を指す。中でも、圧力調整が容易で、装置構成が簡便になる9.331×10〜10.397×10Paの範囲が好ましい。
【0021】
本発明において、バッチ処理(枚葉処理)を行う場合は、平板電極上に基材を設けるため、ロール電極を電圧印加電極とし、平板電極を接地電極とするのが好ましい。一方、連続的に処理(特にフィルム等の処理)を行う場合、ロール電極を基材搬送に兼用する場合もあるので、ロール電極を接地電極とし、平板電極を電圧印加電極とするのが好ましい。
【0022】
本発明に使用するロール電極は、直径Dが50mm以上2000mm未満であることが好ましく、60mm以上1200mm未満であることがより好ましい。ロール電極の直径Dが50mm未満であると、放電面積が小さくて洗浄処理速度(能力)が低くなる。また、ロール電極の直径Dが2000mm以上の場合、処理能力は上がるものの、設備体積が大きくなってしまい、設備価格も莫大になるため現実的ではない。
【0023】
本発明において、ロール電極の直径をDmm、ロール電極と平板電極との間の電極間距離(ギャップ)をdmmとすると、D/dが25以上900未満であることが好ましく、特にD/dが30以上500未満であることがより好ましい。D/dが小さすぎる場合(25未満)、ロール電極の直径が小さいか、もしくは電極間距離が大きい場合であり、いずれの場合も安定したグロー放電プラズマが発生しない。また、D/dが大きすぎる場合(900以上)は、ロール電極の直径が大きいか、もしくは電極間距離が小さい場合であり、ロール電極の直径が大きすぎる場合は設備価格が高すぎてバランスが悪くなり、電極間距離が小さすぎる場合は、洗浄処理を行うことが可能な基材が限定されるので現実的ではない。
【0024】
ロール電極は回転させてもよいし、固定配置であってもよい。ロール電極を回転すると、電極の部分的な温度上昇を抑えることができるとともに、プラズマ放電が安定する。ロール電極の回転数は2rpm以上1000rpm未満が好ましく、特に10rpm以上100rpm未満がより好ましい。ロール電極の回転数が小さすぎる場合(2rpm未満)はプラズマの安定効果が低くなり、ロール電極の回転数が高すぎる場合(1000rpm以上)は軸振動により放電が不安定になる。
【0025】
本発明に用いるロール電極及び平板電極の材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等などが挙げられる。ロール電極と平板電極とは、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、プラズマ空間(電極間)の距離が一定となるように配置することが好ましい。
【0026】
また、ロール電極及び平板電極は、それら一対の電極のうち、少なくとも一方の電極対向面に固体誘電体が配置されている必要がある。この際、固体誘電体と設置される側の電極が密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにすることが好ましい。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じやすくなる。
【0027】
上記固体誘電体の形状は、シート状もしくはフィルム状のいずれであってもよい。また、固体誘電体は、溶射法等にて電極表面にコーティングされた膜であってもよい。固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。固体誘電体の厚みが厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。
【0028】
上記固体誘電体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0029】
また、固体誘電体は、比誘電率が2以上(25℃環境下、以下同じ)であることが好ましい。比誘電率が2以上の固体誘電体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。さらに高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが知られている。上記比誘電率が10以上である固体誘電体としては、例えば、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、または、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなるものを挙げることができる。
【0030】
上記ロール電極と平板電極との電極間には、高周波、パルス波、マイクロ波等の電界が印加され、プラズマを発生させるが、パルス電界を印加することが好ましく、特に、電界の立ち上がり及び/または立ち下がり時間が10μs以下であるパルス電界が好ましい。10μsを超えると放電状態がアークに移行しやすくて不安定なものとなり、パルス電界による高密度プラズマ状態を保持しにくくなる。また、立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われるが、40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を実現することは、実際には困難である。立ち上がり時間及び立ち下がり時間のより好ましい範囲は50ns〜5μsである。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間、立ち下がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を指すものとする。
【0031】
上記パルス電界の電界強度は、10〜1000kV/cmであり、好ましくは20〜300kV/cmである。電界強度が10kV/cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1000kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0032】
上記パルス電界の周波数は、0.5kHz以上であることが好ましい。0.5kHz未満であるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりすぎる。上限は特に限定されないが、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている500MHzといった高周波帯でも構わない。負荷との整合性のとり易さや取扱い性を考慮すると、500kHz以下が好ましい。このようなパルス電界を印加することにより、処理速度を大きく向上させることができる。
【0033】
また、上記パルス電界における1つのパルス継続時間は、200μs以下であることが好ましく、より好ましくは3〜200μsである。200μsを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。ここで、1つのパルス継続時間とは、ON,OFFの繰り返しからなるパルス電界における、1つのパルスの連続するON時間を言う。
【0034】
本発明において処理できる基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属、シリコンウェハー等が挙げられる。基材の形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明によれば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応することができる。
【0035】
本発明に用いる処理ガスとしては、電界を印加することによってプラズマを発生するガスであれば、特に限定されず、洗浄処理の目的に応じて種々のガスを使用できる。また、常温状態であっても、処理系内で気化できる物質であれば使用可能である。処理ガスとしては、例えば、空気、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、CF等のフッ素ガス、アルコール等の有機物質、TEOM[テトラエトキシシラン:Si(OC4 ]、チタンテトライソプロポキシド等の金属酸化物の原料(前駆体)となるアルコキシドなどが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0036】
なお、本発明の放電プラズマ処理装置によれば、プラズマ発生空間中に存在する気体の種類を問わずグロー放電プラズマを発生させることが可能である。公知の低圧条件下におけるプラズマ処理はもちろん、特定のガス雰囲気下の大気圧プラズマ処理においても、外気から遮断された密閉容器内で処理を行うことが必須であったが、本発明の放電プラズマ処理方法及び装置においては、開放系、あるいは、気体の自由な流失を防ぐ程度の低気密系での処理が可能となる。
【0037】
本発明の放電プラズマ処理装置によると、ロール電極と平板電極との間において直接大気圧下で放電を生じせしめることが可能であり、より単純化された電極構造、放電手順による大気圧プラズマ装置、及び処理手法でかつ高速処理を実現することができる。また、印加電界の周波数、電圧、電極間距離等のパラメータにより処理に関するパラメータも調整できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
図1は本発明の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【0040】
図1に示す放電プラズマ処理装置は、ロール電極1、平板電極2、パルス電源3、ガス導入部4、ガス排気部5及びガイド6,7などを備えている。
【0041】
ロール電極1と平板電極2とは電極間距離dをあけて対向配置されており、これらロール電極1と平板電極2との間に放電空間10が形成される。ロール電極1及び平板電極2の各表面はそれぞれ固体誘電体(図示せず)によって被覆されている。
【0042】
ロール電極1にはパルス電源3が接続されており、平板電極2は接地に置かれている。ロール電極1は図1に示す矢印の方向に回転するようになっている。また、平板電極2は可動電極であり、この平板電極2上に置かれた基材Sを図中矢印の方向に搬送することができる。
【0043】
ロール電極1の側方両側には、それぞれ、ガス導入部4及びガイド6と、ガス排気部5及びガイド7が配置されている。ガス導入部4とガス排気部5には、それぞれ処理ガス供給源と排気装置(ともに図示せず)が接続されており、ガス導入部4から吹き出した処理ガスが、ガイド6にて形成されるガス導入路8を通じて電極間の放電空間10に供給される。また、放電空間10を通過したガスは、ガス排気部5の駆動により、ガイド7にて形成されるガス排気路9を通じて強制的に排気される。
【0044】
以上の構造の放電プラズマ処理装置において、平板電極2上に基材Sを置き、次いで、ロール電極1と平板電極2との間に、ガス導入部4から処理ガス(例えば空気、窒素またはアルゴン等のガス)を供給するとともに、ガス排気部5にて排気を行った状態で、ロール電極1と平板電極2との間にパルス電源3からのパルス電界を印加する。この電界印加により、ロール電極1と平板電極2との間の放電空間10にグロー放電プラズマが発生し、その発生プラズマが基材Sの表面に接触することにより、基材Sの表面が洗浄処理される。
【0045】
そして、本実施形態では、ロール電極1の直径Dを50mm以上2000mm未満(好ましくは60mm以上1200mm未満)とし、かつ、ロール電極1の直径Dmmと電極間距離dmmとの比[D/d]を25以上900未満(好ましくは30以上500未満)とすることにより、ロール電極1と平板電極2との間の放電空間10(プラズマ発生空間)の状態を、安定なプラズマ放電を維持することが可能な平行平板型の対向電極に近い状態にすることで、基材Sの洗浄効果(洗浄処理速度)を高めているところに特徴がある。
【0046】
なお、以上の実施形態では、バッチ処理(枚葉処理)を行う場合の例を示したが、本発明はこれに限られることなく、基材(特にフィルム等)を連続的に処理する場合にも適用できる。その場合、ロール電極を接地電極とし、平板電極を電圧印加電極とするのが好ましい。また、ロール電極を基材を搬送する搬送ローラとして兼用してもよい。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
【0048】
<実施例1>
図1のプラズマCVD装置において、ロール電極1(SUS304製:直径D=650mm、幅650mm、表面:アルミナ溶射膜0.5mm)と、可動式の平板電極2(SUS304製:650mm×650mm、表面:アルミナ溶射膜0.5mm)とを、[D/d]=300(d=電極間距離)の関係を満たすように対向配置し、その平板電極2上に基材S(素ガラス:厚さ0.7mm)を設置した。
【0049】
そして、ガス導入部4から、ガスマスフローで流量を制御した処理ガス(N=16L/min、O=4L/min、総流量20L/min;下記の表1参照)を、ロール電極1と平板電極2との電極間に流すとともに、ガス排気部5にて15L/minの排気ガス流を形成した状態で、ロール電極1と平板電極2との電極間に、パルス電界(印加電圧Vpp=21.0kV、パルス周波数=10kH、パルス幅=5μsを印加してプラズマ放電を発生させ、基材S表面の洗浄処理を行った。平板電極2の搬送速度(基材Sの搬送速度)は2.0m/minとした。
【0050】
以上の洗浄処理を行った後の基材Sの接触角を測定したところ、接触角は3.5°であり、良好な濡れ性が付与されていることが確認できた。
【0051】
<実施例2>
実施例1において、処理を行う基材Sを、ITO薄膜の積層されたガラスに変更するとともに、ロール電極1の直径D及び[D/d]の各値、処理ガスのガス種・流量及び印加電界の条件を下記の表1に示す値としたこと以外は、実施例1と同じとして基材S表面の洗浄処理を行った。この洗浄処理後の基材Sの接触角を測定したところ、接触角は4.5°であり、良好な濡れ性が付与されていることが確認できた。
【0052】
<実施例3>
実施例1において、処理を行う基材Sを、ITO薄膜の積層されたガラスに変更するとともに、ロール電極1の直径D及び[D/d]の各値、処理ガスのガス種・流量及び印加電界の条件を下記の表1に示す値としたこと以外は、実施例1と同じとして基材S表面の洗浄処理を行った。この洗浄処理後の基材Sの接触角を測定したところ、接触角は5.0°であり、良好な濡れ性が付与されていることが確認できた。
【0053】
<比較例1>
下記の表1に示すように、ロール電極1の直径D=40mm、[D/d]=40としたこと以外は、実施例1と同じとして基材S表面の洗浄処理を行った。この洗浄処理後の基材Sの接触角を測定したところ、接触角は30.5°であり、十分な濡れ性改善効果は見られなかった。
【0054】
<比較例2>
下記の表1に示すように、[D/d]=6としたこと以外は、実施例2と同じとして基材S表面の洗浄処理を行った。この洗浄処理後の基材Sの接触角を測定したところ、接触角は56.0°であり、十分な濡れ性改善効果は見られなかった。
【0055】
<比較例3>
下記の表1に示すように、ロール電極1の直径D=40mm、[D/d]=10としたこと以外は、実施例3と同じとして基材S表面の洗浄処理を行った。この洗浄処理後の基材Sの接触角を測定したところ、接触角は82.0°であり、十分な濡れ性改善効果は見られなかった。
【0056】
【表1】
Figure 2004097965
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ロール電極とこのロール電極に対向する平板電極を有し、これらロール電極と平板電極との間に電界を印加することにより発生する放電プラズマを洗浄処理に用いる放電プラズマ処理装置において、ロール電極の直径を50mm以上2000mm未満とし、かつ、ロール電極の直径Dmmと電極間距離dmmとの比[D/d]を25以上900未満に規定しているので、平行平板型の対向電極を用いた場合と同様に、安定したプラズマ放電を得ることができ、基材の洗浄能力(洗浄処理速度)を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 ロール電極
2 平板電極
3 パルス電源
4 ガス導入部
5 ガス排気部
6,7 ガイド
8 ガス導入路
9 ガス排気路
10 放電空間
S 基材

Claims (3)

  1. ロール電極と前記ロール電極に対向する平板電極を有し、前記ロール電極と平板電極との間に電界を印加することにより発生する放電プラズマを洗浄処理に用いる放電プラズマ処理装置において、
    前記ロール電極の直径が50mm以上2000mm未満であり、かつ、前記ロール電極の直径をDmm、前記ロール電極と平板電極との間の電極間距離をdmmとしたとき、D/dが25以上900未満であることを特徴とする放電プラズマ処理装置。
  2. 前記ロール電極及び平板電極の少なくとも一方の電極対向面に固体誘電体が設けられていることを特徴とする請求項1記載の放電プラズマ処理装置。
  3. 前記ロール電極と平板電極との間に印加する電界が、パルス立ち上がり及び/又は立ち下がり時間が100μs以下のパルス電界であることを特徴とする請求項1または2記載の放電プラズマ処理装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015085527A (ja) * 2013-10-28 2015-05-07 株式会社リコー 改質装置、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法

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