JP2004095686A - セラミック電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミック電子部品の外部電極を形成するのに用いた場合、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、電気的特性の低下を抑制できるセラミック電子部品を提供する。
【解決手段】本発明のセラミック電子部品10は、矩形状の誘電体層2を複数積層して成る積層体1と、積層体1の一対の端面及び該端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極5、6とを有するセラミック電子部品10において、外部電極5、6は、少なくともフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されているとともに、外部電極5、6の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のセラミック電子部品10は、矩形状の誘電体層2を複数積層して成る積層体1と、積層体1の一対の端面及び該端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極5、6とを有するセラミック電子部品10において、外部電極5、6は、少なくともフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されているとともに、外部電極5、6の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、卑金属成分及び有機バインダ樹脂を含有した導電性ペーストを用いて外部電極を形成したセラミック電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種電子機器の普及が進む中で、電子機器の小型軽量化が急速に進んでいる。これに伴い、この電子機器に搭載されるセラミック電子部品も小型化が要求され、近年、例えば積層セラミックコンデンサにおいては、小型大容量化の多連型コンデンサが広く用いられている。このような多連型コンデンサを用いることにより、従来に比べ、単品のコンデンサの複数を1まとめにすることができ、各コンデンサの寸法・形状のバラツキを抑え、且つ回路基板への実装作業を簡略化することが可能になる。
【0003】
この多連型コンデンサは、近年のPdの価格の高騰に伴い、内部電極層としてNi、Cu等が用いられ、外部電極は、卑金属であるCu、Ni、あるいはこれらの合金で構成された下地導体膜と、その表面に被着されたメッキ層とから構成されている。その外部電極の下地導体膜は、上述の金属成分を含有する導電性ペーストの焼き付けにより形成され、導電性ペーストとしては、球状金属粉末、ガラス成分、その他の添加物(有機バインダ樹脂など)及び有機溶剤を含有していた。
【0004】
具体的には、導電性ペーストを多連型コンデンサの積層体の端面にスクリーン印刷等により塗布した後、大気中で脱バインダを行い、一般的に中性または還元性雰囲気で焼き付けを行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のセラミック電子部品である多連型コンデンサにおいて、図3に示すように、脱バインダが不十分であった場合、焼き付け時に有機バインダ樹脂が外部電極35、36中に残留カーボンとして閉じ込められて残り、この残留カーボンが燃焼した際に発生するガスにより、外部電極35、36中にブリスタ20と呼ばれる空洞が発生し、外部電極35、36の一部がドーム状にもりあがるという問題点があった。尚、図3ではメッキ層を省略している。
【0006】
ここで、通常の積層セラミックコンデンサでは、外部電極35、36となる導電性ペーストが積層体31の端面とそれに接する4面の端部に付着するため、導電性ペーストの付着量が多くなり、外部電極35、36の厚みが大きくなりやすいが、多連型コンデンサ30では、外部電極35、36は、積層体31の1つ端面とそれに隣接する2主面のみに形成されるため、導電性ペーストの付着量が少なくなり、外部電極35、36の厚みが小さくなりやすい。そして、通常の積層セラミックコンデンサでは、外部電極35、36の厚みが大きいことから焼結が徐々に進行し、焼結の初期段階においても脱バインダが行われ、上記残留カーボンが閉じ込められることは少ないが、多連型コンデンサ30では、外部電極35、36の厚みが小さいことから焼結が進行しやすく、残留カーボンが閉じ込められやすいため、ブリスタ20が発生しやすくなっていた。さらに、外部電極35、36の厚みが小さいことにより、有機バインダ樹脂が内部電極層33、34と外部電極35、36の界面に残留する確率が大きくなり、ブリスタ20が発生した際に、静電容量等の電気的特性の低下が生じる確率が高くなっていた。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、セラミック電子部品の外部電極を形成するのに用いた場合、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、電気的特性の低下を抑制できるセラミック電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明は、矩形状の誘電体層を複数積層して成る積層体と、該積層体の一対の端面及び該端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極とを有するセラミック電子部品において、前記外部電極は、少なくともフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されるとともに、前記外部電極の厚みをt、前記フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした時、0.3≦d/t≦1の範囲にある。
【0009】
【作用】
本発明のセラミック電子部品は、積層体の一対の端面及び端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極を形成してなり、その外部電極は少なくともフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されているとともに、外部電極の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1の範囲にある。
【0010】
すなわち、d/t比が0.3以上であり、外部電極の厚みtに対してフレーク状卑金属粉末の平均粒径dが無視できない大きさであるため、脱バインダ工程及び焼結の初期段階において、フレーク状卑金属粉末の隙間に有機バインダ樹脂が除去されるための経路が形成されやすく、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、その結果、例えば静電容量等の電気的特性の低下を抑制できる。ここで、フレーク状卑金属粉末は、球状の粉末に比べて粒径に対する表面積が大きいため、粒径が大きくても焼結は進行し、外部電極がポーラスになることはない。
【0011】
一方、d/t比が1以下であるため、外部電極の厚みtを精度良く目標値に合わせることができる。即ち、d/t比が1を越えると、フレーク状卑金属粉末の形状が外部電極の表面に現れ、外部電極の表面形状、厚みがばらついてしまう。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミック電子部品を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明のセラミック電子部品の一例である多連型コンデンサの外観斜視図であり、図2は、その断面図である。
【0014】
図において、10は多連型コンデンサ、1は積層体であり、2は積層体1を構成する誘電体層、3、4は積層体1内に形成した内部電極層であり、5、6は本発明の導電性ペーストにより形成した外部電極である。
【0015】
図に示すように、多連型コンデンサ10は誘電体層2が横方向に複数積層された積層体1の各層間に、例えば複数の内部電極層3、4が対向形成されている。この各内部電極層3、4は、それぞれ積層体1の両端面に延出させるとともに、該両端面で外部電極5、6に接続されている。この誘電体層2、内部電極層3、4、外部電極5、6でコンデンサユニットNが形成されている。このコンデンサユニットNは、積層体1の長手方向に、必要に応じて複数個形成されて、多連型コンデンサ10を形成されている。尚、外部電極5、6は下地導体膜とそれを被覆するメッキ層とから構成されるが、図では、メッキ層を省略している。
【0016】
誘電体層2は、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体材料、及びガラス成分を含む誘電体材料からなり、その形状は、2.0mm×1.2mm等であり、その厚みは高容量化のために1〜5μmとしている。この誘電体層2が図上、上方向に積層して積層体1が構成される。なお、誘電体層2の形状、厚み、積層数は容量値によって任意に変更することができる。内部電極層3、4は、Niを主成分とする材料から構成され、その厚みは1〜2μmとしている。
【0017】
外部電極5、6は、卑金属成分及びガラス成分からなる下地導体膜と表面メッキ層(図示せず)とから構成されている。尚、表面メッキ層は、Niメッキ、Snメッキ、半田メッキ等が例示できる。
【0018】
外部電極5、6の下地導体膜を構成する導電性ペーストは、例えば卑金属成分と、ガラス成分と、溶媒に有機バインダ樹脂を溶解させた有機ビヒクルとからなる。卑金属成分は、Cu、Ni、あるいはこれらの合金等を主成分とする導体が用いられる。
【0019】
本発明の特徴的なことは、外部電極5、6を構成する導電性ペーストに、少なくともフレーク状卑金属粉末を含むとともに、外部電極5、6の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1、好ましくは0.5≦d/t≦0.7の範囲にあることである。
【0020】
なお、フレーク状卑金属粉末の平均粒径dはd50、すなわちレーザー散乱式粒度測定装置を使用して測定した体積基準ふるい上、積算分布の値が50%となる粒径である。
【0021】
また、導電性ペースト中の金属粉末の内、フレーク状卑金属粉末が占める割合が15重量%以上、好ましくは20〜50重量%の範囲にあり、その残部は球状金属粉末などのようにフレーク状卑金属粉末以外の金属粉末で占められる。
【0022】
ガラス成分は、例えば、B2O3、SiO2、Al2O3、ZnO、BiO3、BaO等の金属酸化物からなる。
【0023】
ガラス成分は、導電性ペーストの固形成分中に3〜50体積%、好ましくは7.5〜30体積%含有されている。含有量が3%未満の場合、外部電極の接続強度が低下する。一方、50体積%を越える場合、導体抵抗が高くなり、またメッキがかかりにくくなる。
【0024】
さらに、本導電性ペーストをペースト化するために各種樹脂や溶剤あるいは粉末の凝集を防止するために分散材等が種々含有される。有機バインダ樹脂としてはセルロース系樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂ポリウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、石油系樹脂等があり、該樹脂を単独もしくは複数で用いることができる。このうち、スクリーン印刷による印刷性が良好なセルロース系樹脂が望ましい。また、分散材は一般に用いられる界面活性剤を用いることができる。さらに、溶媒は用いる有機バインダ樹脂と相溶するものであれば特に限定はしない。
【0025】
次に多連型コンデンサ10の製造方法について説明する。
【0026】
誘電体粉末と焼結助剤に溶剤、分散材、有機バインダ樹脂等を混合したスリップから、ドクターブレード法で誘電体層2となるセラミックグリーンシートを成型する。成型法にはこの他の方法、引き上げ法、ダイコーター、グラビアロールコーター等を用いてもよい。
【0027】
この誘電体層2に内部電極層3、4となる金属インクをスクリーン印刷法で印刷する。その後、内部電極層3、4が印刷された誘電体層2を図2の順序で積層させ、その後、熱圧着してブロック状の大型積層体が得られる。
【0028】
次に、大型積層体を押し切り刃で各コンデンサユニットNを含む積層体1にカットする。大型積層体が厚い場合はダイシング方式でカットをするのが望ましい。このとき、各コンデンサユニットNにおける、内部電極層3、4の引き出し部が露出する。
【0029】
次に積層体1は、250℃〜400℃の炉でバインダ成分を除いた後、本焼成炉に入れてセラミック材料の適温で誘電体層2と内部電極層3、4を同時に1250〜1300℃で高温焼結を行う。
【0030】
その後、各コンデンサユニットNを外部と電気的に接続するために、外部電極5、6を積層体1の端面及びこの端面に接する2つの面に、適宣電極形成方法により形成する。尚、外部電極5、6は、導電性ペーストの焼き付けにより形成された下地導体膜と、その表面に被着されたNiメッキ層やSnメッキ層で構成される。
【0031】
そして、外部電極5、6の下地導体膜は、塗布した導電性ペーストを250℃〜400℃の大気中でバインダ成分を除いた後、800〜900℃で中性または還元性雰囲気で焼き付けによって形成される。その後、電解メッキや無電解メッキによってメッキ被膜される。尚、図2(a)は外部電極5、6の下地導体膜が焼き付け形成された状態の断面図であり、図2(b)は外部電極5、6の下地導体膜が焼き付けされる前(導電性ペーストの塗布した状態)の断面図であり、符号5aはフレーク状卑金属粉末である。
【0032】
このようにして、図1のような多連型コンデンサ10が得られる。
【0033】
なお、本発明は上記の実施の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々の変更や改良等は何ら差し支えない。
【0034】
例えば、上述した本発明のセラミック電子部品の一つの実施形態において、多連型コンデンサを挙げたが、本発明は特にこれに限定するものではなく、通常の積層セラミックコンデンサでもよく、またサーミスタ、バリスタ等であってもかまわない。
【0035】
また、上述した本発明のセラミック電子部品の一つの実施形態において積層体の内部に内部電極層を備えるものを挙げたが、本発明の内部電極層の形状、枚数等は特に限定されず、内部に内部電極層が積層されていなくても構わない。
【0036】
また、導電性ペースト中の酸化卑金属粉末は、あらかじめ卑金属粉末に添加しておくのではなく、焼き付け時の雰囲気中の酸素濃度を調節することにより、上記卑金属粉末の一部を酸化させるようにしても良い。
【0037】
【実施例】
卑金属(Cu、Ni)金属粉末(フレーク状粉末とそれ以外の粉末)と、ガラス(ホウケイ酸アルカリ酸化物系)成分、樹脂成分、溶剤を表1に示す割合で配合し、三本ロールで混連し、外部電極5、6用導電性ペーストを得た。樹脂成分(有機バインダ樹脂)としてはエチルセルロース、溶剤としてはα−テルピネオールを用いた。
【0038】
そして、焼き付け後の外部電極5、6の厚みtが表1の通りになるように制御しながら、この導電性ペーストを多連型コンデンサ10のチタン酸バリウムを主成分とするセラミックを有する積層体の3つの面に塗布した後、170℃で乾燥、350℃の大気中で脱バインダ、800℃のN2雰囲気で焼付けを行い、その後、Niメッキ/Snメッキを形成した。
【0039】
得られた試料について、外観不良率、静電容量の試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
外観不良率は、試料500個を目視で観察し、ブリスタ等の発生率を調べた。
【0042】
静電容量は、100nFの多連型コンデンサ10を用い、LCRメーターで測定した。判定基準は、静電容量が95nF以上のものを良品、95nF未満のものを不良品とし、不良品の発生率(NG率)を調べた。
【0043】
表1のように、外部電極5、6の厚みtとフレーク状卑金属粉末の平均粒径dの比率が0.3≦d/t≦1の範囲にある本実施例(試料番号2〜4、6〜8、10〜12、)では、外観不良率が0%、静電容量NG率が0%だった。またこれらのことは、外部電極5、6の厚みtを変化させた場合も同じだった。さらに、Cu/Ni比率を変化させても同じだった。
【0044】
これに対し、外部電極5、6の厚みtとフレーク状卑金属粉末の平均粒径dの比率が0.3未満である比較例(試料番号1、5、9)では、ブリスタ等の外観不良が10〜15%発生し、外部電極5、6として不良な状態となる。例えは、コンデンサにおいては静電容量NGとなり、その発生率が3〜5%だった。
【0045】
上述の表1ではd/t>1を示していない。これは、上述のように、d/t比が1を越えると、フレーク状卑金属粉末の形状が外部電極の表面に現れ、外部電極の表面形状、厚みがばらついてしまい、外部電極の厚みtを精度良く目標値に合わせることができないためである。
【0046】
尚、フレーク状卑金属粉末の割合が15重量%未満である場合、ブリスタ等の外観不良が3%発生し、静電容量NG率が1%であり、フレーク状卑金属粉末の割合が15重量%以上であることが望ましい。
【0047】
また、本実施例(試料番号7)の試料について、外部電極5、6の断面をSEM像で観察したところ、ガスの通り道となる経路が均一に存在していることが確認できた。これは、従来のように球状金属粉末のみで形成した外部電極に比較してそのガスの通り道となる経路が均一的に分散し、その存在も増加する。
【0048】
さらに、本実施例(試料番号7)の試料について、TG−IRを用いて、密閉された容器内で、N2雰囲気下で温度を25℃から1000℃まで上昇させ、外部電極5、6の焼き付け時におけるガスの発生量の測定を行った。その結果、脱バインダが終了し、外部電極5、6が焼結しはじめる600〜700℃において、ガスが発生していることが確認された。すなわち、この温度において、外部電極5、6中の卑金属粉末が塗布時の形状を概略保っているが、外部電極5、6の厚みtに対してフレーク状卑金属粉末の平均粒径dが無視できない大きさであるため、卑金属粉末が最密に充填されず、ガスが抜ける経路ができやすいと考えられる。あるいは、この温度において、フレーク状卑金属粉末は一旦表面エネルギーが小さい球状に変形した後収縮するため、このとき卑金属粉末の周辺に隙間が生じ、ガスが抜ける経路ができやすいと考えられる。
【0049】
さらにまた、比較例の導電性ペースト(試料番号1)を、通常の積層セラミックコンデンサの積層体の端面及び端面に接する4つの主面の端部に焼き付けた場合、外観不良率が0%、静電容量NG率が0%だった。すなわち、本発明の導電性ペーストは、多連型コンデンサにおいて特に効果を発揮することがわかる。
【0050】
これらのことから、本発明のセラミック電子部品10によれば、外部電極5、6の厚みtとフレーク状卑金属粉末の平均粒径dの比率が0.3≦d/t≦1の範囲にあるため、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、外観不良率が0%、静電容量NG率が0%となることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のセラミック電子部品によれば、積層体の一対の端面及び端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極を形成してなり、その外部電極はフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されているとともに、外部電極の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1の範囲にある。
【0052】
すなわち、d/t比が0.3以上であり、外部電極の厚みtに対してフレーク状卑金属粉末の平均粒径dが無視できない大きさであるため、脱バインダ工程の際に、フレーク状卑金属粉末の隙間に有機バインダ樹脂が除去されるための経路が形成されやすく、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、安定した外部電極を有するセラミック電子部品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック電子部品の一例である多連型コンデンサの外観斜視図である。
【図2】(a)は本発明のセラミック電子部品の外部電極を焼き付けした後の断面図であり、(b)は焼き付け前の状態の断面図である。
【図3】従来の導電性ペーストを用いた多連型コンデンサの問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
10 多連型コンデンサ
1 積層体
2 誘電体層
3、4 内部電極層
5、6 外部電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、卑金属成分及び有機バインダ樹脂を含有した導電性ペーストを用いて外部電極を形成したセラミック電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種電子機器の普及が進む中で、電子機器の小型軽量化が急速に進んでいる。これに伴い、この電子機器に搭載されるセラミック電子部品も小型化が要求され、近年、例えば積層セラミックコンデンサにおいては、小型大容量化の多連型コンデンサが広く用いられている。このような多連型コンデンサを用いることにより、従来に比べ、単品のコンデンサの複数を1まとめにすることができ、各コンデンサの寸法・形状のバラツキを抑え、且つ回路基板への実装作業を簡略化することが可能になる。
【0003】
この多連型コンデンサは、近年のPdの価格の高騰に伴い、内部電極層としてNi、Cu等が用いられ、外部電極は、卑金属であるCu、Ni、あるいはこれらの合金で構成された下地導体膜と、その表面に被着されたメッキ層とから構成されている。その外部電極の下地導体膜は、上述の金属成分を含有する導電性ペーストの焼き付けにより形成され、導電性ペーストとしては、球状金属粉末、ガラス成分、その他の添加物(有機バインダ樹脂など)及び有機溶剤を含有していた。
【0004】
具体的には、導電性ペーストを多連型コンデンサの積層体の端面にスクリーン印刷等により塗布した後、大気中で脱バインダを行い、一般的に中性または還元性雰囲気で焼き付けを行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のセラミック電子部品である多連型コンデンサにおいて、図3に示すように、脱バインダが不十分であった場合、焼き付け時に有機バインダ樹脂が外部電極35、36中に残留カーボンとして閉じ込められて残り、この残留カーボンが燃焼した際に発生するガスにより、外部電極35、36中にブリスタ20と呼ばれる空洞が発生し、外部電極35、36の一部がドーム状にもりあがるという問題点があった。尚、図3ではメッキ層を省略している。
【0006】
ここで、通常の積層セラミックコンデンサでは、外部電極35、36となる導電性ペーストが積層体31の端面とそれに接する4面の端部に付着するため、導電性ペーストの付着量が多くなり、外部電極35、36の厚みが大きくなりやすいが、多連型コンデンサ30では、外部電極35、36は、積層体31の1つ端面とそれに隣接する2主面のみに形成されるため、導電性ペーストの付着量が少なくなり、外部電極35、36の厚みが小さくなりやすい。そして、通常の積層セラミックコンデンサでは、外部電極35、36の厚みが大きいことから焼結が徐々に進行し、焼結の初期段階においても脱バインダが行われ、上記残留カーボンが閉じ込められることは少ないが、多連型コンデンサ30では、外部電極35、36の厚みが小さいことから焼結が進行しやすく、残留カーボンが閉じ込められやすいため、ブリスタ20が発生しやすくなっていた。さらに、外部電極35、36の厚みが小さいことにより、有機バインダ樹脂が内部電極層33、34と外部電極35、36の界面に残留する確率が大きくなり、ブリスタ20が発生した際に、静電容量等の電気的特性の低下が生じる確率が高くなっていた。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、セラミック電子部品の外部電極を形成するのに用いた場合、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、電気的特性の低下を抑制できるセラミック電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明は、矩形状の誘電体層を複数積層して成る積層体と、該積層体の一対の端面及び該端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極とを有するセラミック電子部品において、前記外部電極は、少なくともフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されるとともに、前記外部電極の厚みをt、前記フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした時、0.3≦d/t≦1の範囲にある。
【0009】
【作用】
本発明のセラミック電子部品は、積層体の一対の端面及び端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極を形成してなり、その外部電極は少なくともフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されているとともに、外部電極の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1の範囲にある。
【0010】
すなわち、d/t比が0.3以上であり、外部電極の厚みtに対してフレーク状卑金属粉末の平均粒径dが無視できない大きさであるため、脱バインダ工程及び焼結の初期段階において、フレーク状卑金属粉末の隙間に有機バインダ樹脂が除去されるための経路が形成されやすく、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、その結果、例えば静電容量等の電気的特性の低下を抑制できる。ここで、フレーク状卑金属粉末は、球状の粉末に比べて粒径に対する表面積が大きいため、粒径が大きくても焼結は進行し、外部電極がポーラスになることはない。
【0011】
一方、d/t比が1以下であるため、外部電極の厚みtを精度良く目標値に合わせることができる。即ち、d/t比が1を越えると、フレーク状卑金属粉末の形状が外部電極の表面に現れ、外部電極の表面形状、厚みがばらついてしまう。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミック電子部品を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明のセラミック電子部品の一例である多連型コンデンサの外観斜視図であり、図2は、その断面図である。
【0014】
図において、10は多連型コンデンサ、1は積層体であり、2は積層体1を構成する誘電体層、3、4は積層体1内に形成した内部電極層であり、5、6は本発明の導電性ペーストにより形成した外部電極である。
【0015】
図に示すように、多連型コンデンサ10は誘電体層2が横方向に複数積層された積層体1の各層間に、例えば複数の内部電極層3、4が対向形成されている。この各内部電極層3、4は、それぞれ積層体1の両端面に延出させるとともに、該両端面で外部電極5、6に接続されている。この誘電体層2、内部電極層3、4、外部電極5、6でコンデンサユニットNが形成されている。このコンデンサユニットNは、積層体1の長手方向に、必要に応じて複数個形成されて、多連型コンデンサ10を形成されている。尚、外部電極5、6は下地導体膜とそれを被覆するメッキ層とから構成されるが、図では、メッキ層を省略している。
【0016】
誘電体層2は、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体材料、及びガラス成分を含む誘電体材料からなり、その形状は、2.0mm×1.2mm等であり、その厚みは高容量化のために1〜5μmとしている。この誘電体層2が図上、上方向に積層して積層体1が構成される。なお、誘電体層2の形状、厚み、積層数は容量値によって任意に変更することができる。内部電極層3、4は、Niを主成分とする材料から構成され、その厚みは1〜2μmとしている。
【0017】
外部電極5、6は、卑金属成分及びガラス成分からなる下地導体膜と表面メッキ層(図示せず)とから構成されている。尚、表面メッキ層は、Niメッキ、Snメッキ、半田メッキ等が例示できる。
【0018】
外部電極5、6の下地導体膜を構成する導電性ペーストは、例えば卑金属成分と、ガラス成分と、溶媒に有機バインダ樹脂を溶解させた有機ビヒクルとからなる。卑金属成分は、Cu、Ni、あるいはこれらの合金等を主成分とする導体が用いられる。
【0019】
本発明の特徴的なことは、外部電極5、6を構成する導電性ペーストに、少なくともフレーク状卑金属粉末を含むとともに、外部電極5、6の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1、好ましくは0.5≦d/t≦0.7の範囲にあることである。
【0020】
なお、フレーク状卑金属粉末の平均粒径dはd50、すなわちレーザー散乱式粒度測定装置を使用して測定した体積基準ふるい上、積算分布の値が50%となる粒径である。
【0021】
また、導電性ペースト中の金属粉末の内、フレーク状卑金属粉末が占める割合が15重量%以上、好ましくは20〜50重量%の範囲にあり、その残部は球状金属粉末などのようにフレーク状卑金属粉末以外の金属粉末で占められる。
【0022】
ガラス成分は、例えば、B2O3、SiO2、Al2O3、ZnO、BiO3、BaO等の金属酸化物からなる。
【0023】
ガラス成分は、導電性ペーストの固形成分中に3〜50体積%、好ましくは7.5〜30体積%含有されている。含有量が3%未満の場合、外部電極の接続強度が低下する。一方、50体積%を越える場合、導体抵抗が高くなり、またメッキがかかりにくくなる。
【0024】
さらに、本導電性ペーストをペースト化するために各種樹脂や溶剤あるいは粉末の凝集を防止するために分散材等が種々含有される。有機バインダ樹脂としてはセルロース系樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂ポリウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、石油系樹脂等があり、該樹脂を単独もしくは複数で用いることができる。このうち、スクリーン印刷による印刷性が良好なセルロース系樹脂が望ましい。また、分散材は一般に用いられる界面活性剤を用いることができる。さらに、溶媒は用いる有機バインダ樹脂と相溶するものであれば特に限定はしない。
【0025】
次に多連型コンデンサ10の製造方法について説明する。
【0026】
誘電体粉末と焼結助剤に溶剤、分散材、有機バインダ樹脂等を混合したスリップから、ドクターブレード法で誘電体層2となるセラミックグリーンシートを成型する。成型法にはこの他の方法、引き上げ法、ダイコーター、グラビアロールコーター等を用いてもよい。
【0027】
この誘電体層2に内部電極層3、4となる金属インクをスクリーン印刷法で印刷する。その後、内部電極層3、4が印刷された誘電体層2を図2の順序で積層させ、その後、熱圧着してブロック状の大型積層体が得られる。
【0028】
次に、大型積層体を押し切り刃で各コンデンサユニットNを含む積層体1にカットする。大型積層体が厚い場合はダイシング方式でカットをするのが望ましい。このとき、各コンデンサユニットNにおける、内部電極層3、4の引き出し部が露出する。
【0029】
次に積層体1は、250℃〜400℃の炉でバインダ成分を除いた後、本焼成炉に入れてセラミック材料の適温で誘電体層2と内部電極層3、4を同時に1250〜1300℃で高温焼結を行う。
【0030】
その後、各コンデンサユニットNを外部と電気的に接続するために、外部電極5、6を積層体1の端面及びこの端面に接する2つの面に、適宣電極形成方法により形成する。尚、外部電極5、6は、導電性ペーストの焼き付けにより形成された下地導体膜と、その表面に被着されたNiメッキ層やSnメッキ層で構成される。
【0031】
そして、外部電極5、6の下地導体膜は、塗布した導電性ペーストを250℃〜400℃の大気中でバインダ成分を除いた後、800〜900℃で中性または還元性雰囲気で焼き付けによって形成される。その後、電解メッキや無電解メッキによってメッキ被膜される。尚、図2(a)は外部電極5、6の下地導体膜が焼き付け形成された状態の断面図であり、図2(b)は外部電極5、6の下地導体膜が焼き付けされる前(導電性ペーストの塗布した状態)の断面図であり、符号5aはフレーク状卑金属粉末である。
【0032】
このようにして、図1のような多連型コンデンサ10が得られる。
【0033】
なお、本発明は上記の実施の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々の変更や改良等は何ら差し支えない。
【0034】
例えば、上述した本発明のセラミック電子部品の一つの実施形態において、多連型コンデンサを挙げたが、本発明は特にこれに限定するものではなく、通常の積層セラミックコンデンサでもよく、またサーミスタ、バリスタ等であってもかまわない。
【0035】
また、上述した本発明のセラミック電子部品の一つの実施形態において積層体の内部に内部電極層を備えるものを挙げたが、本発明の内部電極層の形状、枚数等は特に限定されず、内部に内部電極層が積層されていなくても構わない。
【0036】
また、導電性ペースト中の酸化卑金属粉末は、あらかじめ卑金属粉末に添加しておくのではなく、焼き付け時の雰囲気中の酸素濃度を調節することにより、上記卑金属粉末の一部を酸化させるようにしても良い。
【0037】
【実施例】
卑金属(Cu、Ni)金属粉末(フレーク状粉末とそれ以外の粉末)と、ガラス(ホウケイ酸アルカリ酸化物系)成分、樹脂成分、溶剤を表1に示す割合で配合し、三本ロールで混連し、外部電極5、6用導電性ペーストを得た。樹脂成分(有機バインダ樹脂)としてはエチルセルロース、溶剤としてはα−テルピネオールを用いた。
【0038】
そして、焼き付け後の外部電極5、6の厚みtが表1の通りになるように制御しながら、この導電性ペーストを多連型コンデンサ10のチタン酸バリウムを主成分とするセラミックを有する積層体の3つの面に塗布した後、170℃で乾燥、350℃の大気中で脱バインダ、800℃のN2雰囲気で焼付けを行い、その後、Niメッキ/Snメッキを形成した。
【0039】
得られた試料について、外観不良率、静電容量の試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
外観不良率は、試料500個を目視で観察し、ブリスタ等の発生率を調べた。
【0042】
静電容量は、100nFの多連型コンデンサ10を用い、LCRメーターで測定した。判定基準は、静電容量が95nF以上のものを良品、95nF未満のものを不良品とし、不良品の発生率(NG率)を調べた。
【0043】
表1のように、外部電極5、6の厚みtとフレーク状卑金属粉末の平均粒径dの比率が0.3≦d/t≦1の範囲にある本実施例(試料番号2〜4、6〜8、10〜12、)では、外観不良率が0%、静電容量NG率が0%だった。またこれらのことは、外部電極5、6の厚みtを変化させた場合も同じだった。さらに、Cu/Ni比率を変化させても同じだった。
【0044】
これに対し、外部電極5、6の厚みtとフレーク状卑金属粉末の平均粒径dの比率が0.3未満である比較例(試料番号1、5、9)では、ブリスタ等の外観不良が10〜15%発生し、外部電極5、6として不良な状態となる。例えは、コンデンサにおいては静電容量NGとなり、その発生率が3〜5%だった。
【0045】
上述の表1ではd/t>1を示していない。これは、上述のように、d/t比が1を越えると、フレーク状卑金属粉末の形状が外部電極の表面に現れ、外部電極の表面形状、厚みがばらついてしまい、外部電極の厚みtを精度良く目標値に合わせることができないためである。
【0046】
尚、フレーク状卑金属粉末の割合が15重量%未満である場合、ブリスタ等の外観不良が3%発生し、静電容量NG率が1%であり、フレーク状卑金属粉末の割合が15重量%以上であることが望ましい。
【0047】
また、本実施例(試料番号7)の試料について、外部電極5、6の断面をSEM像で観察したところ、ガスの通り道となる経路が均一に存在していることが確認できた。これは、従来のように球状金属粉末のみで形成した外部電極に比較してそのガスの通り道となる経路が均一的に分散し、その存在も増加する。
【0048】
さらに、本実施例(試料番号7)の試料について、TG−IRを用いて、密閉された容器内で、N2雰囲気下で温度を25℃から1000℃まで上昇させ、外部電極5、6の焼き付け時におけるガスの発生量の測定を行った。その結果、脱バインダが終了し、外部電極5、6が焼結しはじめる600〜700℃において、ガスが発生していることが確認された。すなわち、この温度において、外部電極5、6中の卑金属粉末が塗布時の形状を概略保っているが、外部電極5、6の厚みtに対してフレーク状卑金属粉末の平均粒径dが無視できない大きさであるため、卑金属粉末が最密に充填されず、ガスが抜ける経路ができやすいと考えられる。あるいは、この温度において、フレーク状卑金属粉末は一旦表面エネルギーが小さい球状に変形した後収縮するため、このとき卑金属粉末の周辺に隙間が生じ、ガスが抜ける経路ができやすいと考えられる。
【0049】
さらにまた、比較例の導電性ペースト(試料番号1)を、通常の積層セラミックコンデンサの積層体の端面及び端面に接する4つの主面の端部に焼き付けた場合、外観不良率が0%、静電容量NG率が0%だった。すなわち、本発明の導電性ペーストは、多連型コンデンサにおいて特に効果を発揮することがわかる。
【0050】
これらのことから、本発明のセラミック電子部品10によれば、外部電極5、6の厚みtとフレーク状卑金属粉末の平均粒径dの比率が0.3≦d/t≦1の範囲にあるため、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、外観不良率が0%、静電容量NG率が0%となることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のセラミック電子部品によれば、積層体の一対の端面及び端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極を形成してなり、その外部電極はフレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されているとともに、外部電極の厚みをt、フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした場合、0.3≦d/t≦1の範囲にある。
【0052】
すなわち、d/t比が0.3以上であり、外部電極の厚みtに対してフレーク状卑金属粉末の平均粒径dが無視できない大きさであるため、脱バインダ工程の際に、フレーク状卑金属粉末の隙間に有機バインダ樹脂が除去されるための経路が形成されやすく、有機バインダ樹脂の除去が容易に行われ、ブリスタを発生させることがなく、安定した外部電極を有するセラミック電子部品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック電子部品の一例である多連型コンデンサの外観斜視図である。
【図2】(a)は本発明のセラミック電子部品の外部電極を焼き付けした後の断面図であり、(b)は焼き付け前の状態の断面図である。
【図3】従来の導電性ペーストを用いた多連型コンデンサの問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
10 多連型コンデンサ
1 積層体
2 誘電体層
3、4 内部電極層
5、6 外部電極
Claims (1)
- 矩形状の誘電体層を複数積層して成る積層体と、該積層体の一対の端面及び該端面に接する両主面の端部に形成した複数の外部電極とを有するセラミック電子部品において、
前記外部電極は、フレーク状卑金属粉末及び有機バインダ樹脂を含む導電性ペーストを焼き付けて形成されるとともに、前記外部電極の厚みをt、前記フレーク状卑金属粉末の平均粒径をdとした時、0.3≦d/t≦1の範囲としたことを特徴とするセラミック電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002252142A JP2004095686A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | セラミック電子部品 |
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CN103632844A (zh) * | 2012-08-24 | 2014-03-12 | Tdk株式会社 | 陶瓷电子部件 |
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-
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- 2002-08-29 JP JP2002252142A patent/JP2004095686A/ja not_active Withdrawn
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