JP2004091985A - コイル状繊維物質並びにその製造方法及び用途 - Google Patents

コイル状繊維物質並びにその製造方法及び用途 Download PDF

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元島 栖二
Yasuji Yamada
山田 保治
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好野 則夫
Yukio Hishikawa
菱川 幸雄
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Abstract

【課題】新規な特性を有するコイル状繊維物質並びにその製造方法及び用途を提供する。
【解決手段】コイル形状をなす導電性繊維の表面に該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなるコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に該コイル状中空繊維よりも電気抵抗率が低い物質を充填することによって製造される。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波吸収材や水素吸蔵材、強化材、マイクロメカニカル素子、マイクロデバイス素子、エレクトロニクス素子などとして使用されるコイル状繊維物質並びにその製造方法及び用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイル状炭素繊維は、他の炭素材料に比べて電磁波吸収性や水素吸蔵能に優れる、機械的強度が高いといった独特の特性を有することが知られている。こうしたコイル状炭素繊維の特性は、コイル形状という特異な形態に因るところが大きい。従って、コイル状炭素繊維以外のコイル状繊維物質についても、コイル状炭素繊維のように有用な特性を有することが期待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、新規な特性を有するコイル状繊維物質並びにその製造方法及び用途を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コイル形状をなす導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなり、なおかつ、コイル径が1nm〜100μmであることを要旨とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコイル状繊維物質において、前記被覆層が金属酸化物からなることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコイル状繊維物質において、前記金属酸化物が、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンであることを要旨とする。
【0006】
請求項4に記載の発明は、コイル形状をなす導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなるコイル状繊維物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に該コイル状中空繊維よりも電気抵抗率が低い物質を充填することを要旨とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、中空の繊維がコイル状に形成されてなり、なおかつ、コイル径が1nm〜100μmであることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、中空の繊維がコイル状に形成されてなるコイル状繊維物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除くことを要旨とする。
【0008】
請求項7に記載の発明は、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低い物質からなる繊維がコイル状に形成されてなり、なおかつ、コイル径が1nm〜100μmであることを要旨とする。
【0009】
請求項8に記載の発明は、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低い物質からなる繊維がコイル状に形成されてなるコイル状繊維物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低い物質を充填してから表面の被覆層を取り除くことを要旨とする。
【0010】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項3、請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のコイル状繊維物質をセンサ部に用いたことを要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のコイルセンサにおいて、コイル状繊維物質が、多重らせん構造を有する導電性繊維の表面に該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなるものであり、その多重らせん構造を有する導電性繊維を構成する複数本の繊維のうちの一部を励磁コイル、残りを検出コイルとすることを要旨とする。
【0011】
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項3、請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のコイル状繊維物質からなることを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について説明する。
【0013】
本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維(コイル形状をなす導電性繊維)の表面に、該コイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層が設けられたものである。このコイル状繊維物質のコイル径は1nm〜100μmである。
【0014】
コイル状炭素繊維としては、アセチレン等の原料ガスを触媒(例えばニッケル)の存在下で熱分解することによって得られる、気相蒸着法(CVD法)で製造されたコイル状炭素繊維が好ましい。コイル状炭素繊維は、一重らせん構造のものであっても二重らせん構造のものであってもよく、さらには三重以上の多重らせん構造のものであってもよい。
【0015】
一方、被覆層を構成する、コイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質としては非導電性物質が好ましく、この非導電性物質としては例えば金属酸化物や有機化合物が挙げられる。金属酸化物としては、4族〜14族金属の酸化物、例えば二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリエチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリメチルビニルケトン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド(ナイロン、アラミド)、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノール樹脂(ノボラック、レゾール)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(PTFE)、セルロース系樹脂、ポリエーテルケトンのほか、これら重合体を構成するモノマーの共重合体、あるいはアルキルアミド、シラン系カップリング剤、フッ素系カップリング剤、シラン−フッ素系カップリング剤、ナフタレンやフェロセン、ニッケロセンなどが挙げられる。
【0016】
本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維の表面に該コイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けることによって製造される。コイル状炭素繊維の表面に被覆層を形成する方法は特に限定されないが、例えば物理蒸着法、化学蒸着法、溶射法、塗装法、浸漬法、メカノケミカル法などが挙げられる。特に有機化合物からなる被覆層をコイル状炭素繊維の表面に形成する方法としては、コイル状炭素繊維の表面で重合性モノマーを重合させる方法や、コイル状炭素繊維の表面にカップリング剤を結合させてそのカップリング剤の末端に重合性モノマーを反応させる方法などがある。またそれ以外には、蒸発又は昇華させてガス状とした有機化合物をコイル状炭素繊維の表面に付着堆積させる方法もある。例えばコイル状炭素繊維の表面にポリイミドからなる被覆層を設ける場合には、コイル状炭素繊維の表面にポリアミド酸溶液をコーティングしてから乾燥、イミド化する方法、あるいはコイル状炭素繊維の表面にポリイミド溶液をコーティングしてから乾燥する方法が採られる。なお、ポリアミド酸溶液又はポリイミド溶液をコーティングする前に、コイル状炭素繊維の表面をアミノシラン化合物などのシラン系カップリング剤で表面処理してもよい。また前記ポリイミドは、カルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させて得られるポリイミドのほか、ポリイミドエーテル、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、シロキサンポリイミドなどの変性ポリイミドであってもよい。
【0017】
次に、本実施形態のコイル状繊維物質の用途について説明する。
本実施形態のコイル状繊維物質は、電磁波吸収材や水素吸蔵材、強化材、マイクロメカニカル素子などこれまでコイル状炭素繊維が用いられてきた用途に用いることができる。ただし、コイル状炭素繊維の表面に該コイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を有する構成であって電気的特性に優れることから、コイルセンサやトランス、アンテナ素子といったマイクロデバイス素子やエレクトロニクス素子として特に有用である。また、被覆層がアナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンである場合には、光触媒物質として、水や有機化合物の分解、消臭、殺菌に用いることができるほか、色素増感型湿式太陽電池における半導体電極にも用いることができる。アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンからなる被覆層がコイル状炭素繊維の表面に設けられてなるコイル状繊維物質は、粉末状の二酸化チタンに比べても高い光触媒作用を発揮しうる。これは、コイル形状という特異な形態に因るものと考えられる。このことは、コイル状炭素繊維以外の炭素材料が光触媒作用を有しないのに対して、コイル状炭素繊維が若干ながら光触媒作用を有することから推察される。なお、本実施形態のコイル状繊維物質を光触媒物質として用いる場合にはそのままで用いてももちろんよいが、コイル状繊維物質に電圧を印加するために電源を接続したり、コイル状繊維物質の両端を導線で接続したりすれば、コイル状繊維物質の光触媒作用をさらに向上させることができる。
【0018】
ここで、本実施形態のコイル状繊維物質のマイクロデバイス素子及びエレクトロニクス素子としての用途の一例であるコイルセンサ及びトランスについて説明する。
【0019】
まず、第1の用途としてのコイルセンサは、コイル状繊維物質をセンサ部に用いたものである。その一例として、電磁誘導によってコイル状繊維物質に生じる誘導起電力又は誘導電流を測定するための測定器をコイル状繊維物質に接続した磁界センサがある。この磁界センサは、変動磁場にさらされたときにコイル状繊維物質に生じる誘導起電力又は誘導電流を測定器で測定することができるので、変動磁場を検知することができる。
【0020】
また、コイルセンサの別の例として、二重以上の多重らせん構造を有するコイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けてなるコイル状繊維物質を用いて、そのコイル状炭素繊維を構成する複数本の繊維のうちの一部を励磁コイル、残りを検出コイルとする構成の複線式コイルセンサがある。この複線式コイルセンサにおいては、励磁コイルには、該コイルに励磁電流を流すための電源が接続され、他方のコイルには、励磁コイルで発生した磁界との相互インダクタンスにより発生する検出電流を測定するための測定器が接続される。この複線式コイルセンサによれば、励磁コイルによる磁界に変化が生じたとき、その変化を、検出電流の変化として測定器で測定することができる。従って、この複線式コイルセンサは、電気伝導率や透磁率の変化として現われる、検体における欠点、すなわちクラックの有無、異材の混入、形状異常、材料欠陥等を検出電流の変化、あるいはその検出電流の変化に基づくインピーダンスの変化として検知するセンサとして用いることができる。
【0021】
第2の用途としてのトランスは、コイル状繊維物質を一次コイル又は二次コイルとして用いたものである。このトランスにおいて、鉄心を、(1)表面を非導電性物質で被覆したPAN系炭素繊維、(2)表面を非導電性物質で被覆したVGCF(直線状の気相成長炭素繊維)、(3)表面を非導電性物質で被覆したカーボンナノチューブ、(4)表面を非導電性物質で被覆したニッケル、又は(5)表面を非導電性物質で被覆した鉄、で構成したとき、得られる誘導起電力は(1)〜(5)の順で大きくなる。従って、このトランスにおける鉄心は、表面を非導電性物質で被覆した鉄で構成するのが最も好ましい。
【0022】
以上説明した本実施形態によって得られる効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維の表面に該コイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層が設けられた構成であるので、漏電のおそれの少ない被覆コイル(L成分)としてIC回路などで使用することができる。中でも被覆層が非導電性物質からなる場合には、漏電のおそれを全くなくすることができるので、特に好適である。
【0023】
・ 本実施形態のコイル状繊維物質をセンサ部に用いたコイルセンサは、表面にコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を有しないコイル状炭素繊維をセンサ部に用いたコイルセンサに比べて高いセンサ特性を発揮することができる。これは、表面にコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けたことによって、電流がコイル状炭素繊維の表面をコイルのピッチを跨いで流れるのを抑制することができる結果、電磁誘導によってコイル状繊維物質に生じる誘導起電力や誘導電流が理論値により近い値となるためである。
【0024】
・ 多重らせん構造を有するコイル状炭素繊維の表面に非導電性物質からなる被覆層が設けられたコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維を構成する繊維同士が被覆層によって電気的に絶縁されることになるため、複線の導線として使用できる。このようにコイル状繊維物質を複線の導線として使用した場合には、磁気干渉を抑制することができる。また、このコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維を構成する複数本の繊維のうちの一部を励磁コイル、残りを検出コイルとすることにより複線式コイルセンサのセンサ部にも用いることができる。なお、表面に非導電性物質からなる被覆層を有しないコイル状炭素繊維の場合には、たとえコイル状炭素繊維が多重らせん構造を有したとしても上記のような複線式コイルセンサのセンサ部に用いることは不可能であり、コイル状炭素繊維の表面に非導電性の被覆層を設けることによってはじめて可能となるのである。
【0025】
・ 本実施形態の複線式コイルセンサは、コイル状繊維物質の繊維径と同程度の空間分解能(繊維径が1nmであれば約1nmの空間分解能)で検体をセンシングすることが可能である。
【0026】
・ 本実施形態の複線式コイルセンサによれば、検体表面をセンシングさせて得られたデータをパソコンで自動解析させることによって測定領域を一画面で表示させることも可能である。よって、測定に係る労力と時間を大幅に削減することができる。
【0027】
・ TEM、SEM、EPMA、XPS、オージェ電子分光法などの従来の分析方法は、検体の微小な領域のみを測定分析するものか、あるいは検体の広い範囲を一度に分析してその積算を結果として表示するもののいずれかである。それに対して本実施形態の複線式コイルセンサは、検体の微小な領域の測定分析ができると同時に、検体表面を走査させることで広い範囲(ミリメートルオーダーからセンチメートルオーダーの範囲)にわたる測定が可能である。
【0028】
・ 走査トンネル電子顕微鏡(STM)は、微小な領域の観察を検体の広い範囲にわたって行なうことが可能であるが、検体の組成や結晶構造、残留応力の微小変化までは捉えることができない。それに対して、本実施形態の複線式コイルセンサは、検体の組成や結晶構造、残留応力の微小変化を誘導起電力又は誘導電流の変化として、あるいはその検出電流の変化に基づくインピーダンスの変化として検出することができる。また、標準試料を用いて組成や結晶構造、残留応力と検出電圧又は検出電流との関係を特定しておけば、それらの同定を行なうことも可能である。
【0029】
・ 被覆層を金属酸化物から構成するようにすれば、特に耐熱性に優れたコイル状繊維物質を提供することができる(有機化合物からなる被覆層の耐熱温度が500℃前後であるのに対し、金属酸化物からなる被覆層の耐熱温度はおよそ1000℃)。
【0030】
・ 表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維の外観色が黒色であるのに対して、本実施形態のコイル状繊維物質の外観色は表面の被覆層の色味によって決まる。従って本実施形態のコイル状繊維物質によれば、被覆層の種類を変えることで様々な外観色を呈するコイル状繊維物質を提供することができる。また、被覆層の表面に染色を施すことによって所望の外観色を呈するコイル状繊維物質を提供することもできる。よって、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維を母材に混合させた場合にはその混合物の色味が必然的に黒みがかったものとなるのに対して、本実施形態のコイル状繊維物質であれば、被覆層の色味を適宜選択することで母材との混合物の色味を任意に調節することが可能となる。
【0031】
・ 本実施形態のコイル状繊維物質は、表面の被覆層によって機械的な補強を受けているため高い破壊靭性を有している。従って、母材に混合して使用する場合の混練、撹拌等の操作でも破損するおそれが小さい。
【0032】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。
本実施形態のコイル状繊維物質は、中空の繊維がコイル状に形成されたものである。このコイル状繊維物質のコイル径は1nm〜100μmである。
【0033】
前記中空の繊維は、金属酸化物や金属窒化物、金属炭化物、有機化合物といった、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなるものが好ましく、金属酸化物や有機化合物などの非導電性物質からなるものがより好ましい。金属酸化物としては、4族〜14族金属の酸化物、例えば二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などが挙げられる。金属窒化物としては、例えば窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化タンタル、窒化ニオブなどが挙げられる。金属炭化物としては、例えば炭化ケイ素、炭化ジルコニウムなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリエチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリメチルビニルケトン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド(ナイロン、アラミド)、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノール樹脂(ノボラック、レゾール)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(PTFE)、セルロース系樹脂、ポリエーテルケトンのほか、これら重合体を構成するモノマーの共重合体、あるいはアルキルアミド、シラン系カップリング剤、フッ素系カップリング剤、シラン−フッ素系カップリング剤、ナフタレンやフェロセン、ニッケロセンなどが挙げられる。
【0034】
本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除くことによって製造される。コイル状炭素繊維の表面に被覆層を形成する方法は、前記第1実施形態の場合と同じである。表面の被覆層を残したままコイル状炭素繊維を取り除く方法としては、加熱による酸化でコイル状炭素繊維を炭酸ガス化させて消失させる方法が挙げられる。加熱温度は400〜800℃が好ましく、400〜600℃がより好ましい。600℃以下であれば、被覆層が二酸化チタンからなる場合にその結晶構造がルチル型に相変化するのを抑制することができる。
【0035】
本実施形態のコイル状繊維物質は、従来のコイル状炭素繊維の用途である強化材やマイクロメカニカル素子などとして、またアンテナ素子としても用いることができる。また、導電性物質からなる場合には、コイルセンサやトランスといったマイクロデバイス素子やエレクトロニクス素子としても用いることができる。ただし、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンからなるものは、高い光触媒作用を有することから光触媒物質として、また色素増感型湿式太陽電池における半導体電極として特に有用である。アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンからなる中空状の繊維がコイル状に形成されたコイル状繊維物質は、粉末状の二酸化チタンに比べても高い光触媒作用を発揮しうる。これは、コイル形状という特異な形態に因るものと考えられる。なお、本実施形態のコイル状繊維物質を光触媒物質として用いる場合にはそのままで用いてももちろんよいが、コイル状繊維物質に電圧を印加するために電源を接続したり、コイル状繊維物質の両端を導線で接続したりすれば、コイル状繊維物質の光触媒作用をさらに向上させることができる。
【0036】
以上説明した本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除くことにより形成されたものであるので、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維とは機械的性質や電気的性質、化学的性質が異なる。従って、本実施形態によれば、新規な特性を有するコイル状繊維物質を提供することができる。
【0037】
(第3実施形態)
以下、本発明を具体化した第3実施形態について説明する。
本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状金属繊維(コイル形状をなす導電性繊維)の表面に、該コイル状金属繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層が設けられたものである。このコイル状繊維物質のコイル径は1nm〜100μmである。
【0038】
コイル状金属繊維を構成する金属の種類は特に限定されないが、金、銀、銅、アルミニウム及びその合金などの高導電性のものが好ましい。
一方、被覆層を構成する物質は、使用するコイル状金属よりも電気抵抗率が高い物質であればいずれでもよいが、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物又は有機化合物が好ましく、金属酸化物や有機化合物などの非導電性物質がより好ましい。金属酸化物としては、4族〜14族金属の酸化物、例えば二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などが挙げられる。金属窒化物としては、例えば窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化タンタル、窒化ニオブなどが挙げられる。金属炭化物としては、例えば炭化ケイ素、炭化ジルコニウムなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリエチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリメチルビニルケトン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド(ナイロン、アラミド)、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、フェノール樹脂(ノボラック、レゾール)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(PTFE)、セルロース系樹脂、ポリエーテルケトンのほか、これら重合体を構成するモノマーの共重合体、あるいはアルキルアミド、シラン系カップリング剤、フッ素系カップリング剤、シラン−フッ素系カップリング剤、ナフタレンやフェロセン、ニッケロセンなどが挙げられる。
【0039】
本実施形態のコイル状繊維物質は、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に該コイル状中空繊維よりも電気抵抗率が低い金属を充填することによって製造される。コイル状炭素繊維の表面に被覆層を形成する方法は、前記第1実施形態の場合と同じである。また、表面の被覆層を残したままコイル状炭素繊維を取り除く方法は、前記第2実施形態の場合と同じである。コイル状炭素繊維を取り除いた後に残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に金属を充填する方法としては、融解した金属にコイル状中空繊維の先端を浸して、毛細管現象によって該コイル状中空繊維の中空部に金属を充填させる方法が挙げられる。
【0040】
本実施形態のコイル状繊維物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質と同様、従来のコイル状炭素繊維の用途に用いることができる。ただし、コイル状金属繊維の表面に該コイル状金属繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を有する構成であって電気的特性に優れることから、マイクロデバイス素子やエレクトロニクス素子(コイルセンサやトランス、アンテナ素子を含む)として特に有用である。また、被覆層がアナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンである場合には、光触媒物質として、また色素増感型湿式太陽電池における半導体電極としても用いることができる。アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンからなる被覆層がコイル状金属繊維の表面に設けられてなるコイル状繊維物質は、粉末状の二酸化チタンに比べても高い光触媒作用を発揮しうる。これは、コイル形状という特異な形態に因るものと考えられる。なお、本実施形態のコイル状繊維物質を光触媒物質として用いる場合にはそのままで用いてももちろんよいが、コイル状繊維物質に電圧を印加するために電源を接続したり、コイル状繊維物質の両端を導線で接続したりすれば、コイル状繊維物質の光触媒作用をさらに向上させることができる。
【0041】
以上説明した本実施形態のコイル状繊維物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質におけるコイル状炭素繊維をコイル状金属繊維に置き換えたものであるので、前記第1実施形態のコイル状繊維物質とほぼ同様の効果が得られる。ただし、コイル状金属繊維を、炭素よりも導電性の高い金属からなるものとすれば、前記第1実施形態のコイル状繊維物質よりも導電性に優れたコイル状繊維物質を提供することができ、このコイル状繊維物質をコイルセンサのセンサ部に用いれば高いセンサ特性を有するコイルセンサを提供することができる。
【0042】
(第4実施形態)
以下、本発明を具体化した第4実施形態について説明する。
本実施形態のコイル状繊維物質は、金属繊維がコイル状に形成されたものである。このコイル状繊維物質のコイル径は1nm〜100μmである。ただし、このコイル状繊維物質を構成する金属は、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低いものである。
【0043】
本実施形態のコイル状繊維物質は、前記第3実施形態のコイル状繊維物質から表面の被覆層を取り除くことによって製造される。前記第3実施形態のコイル状繊維物質から表面の被覆層を取り除く方法としては、被覆層が金属酸化物からなるものであれば、水酸化ナトリウム水溶液やフッ化水素酸水溶液などのアルカリ溶液に浸漬させて被覆層を取り除く方法が挙げられる。また、被覆層が有機化合物からなるものであれば、酸化雰囲気下で加熱して酸化することによって被覆層を取り除く方法が挙げられる。
【0044】
なお、アルカリ溶液としてフッ化水素酸水溶液を用いて被覆層を取り除くと、金属繊維の表面には非導電性の金属フッ化物が形成されるが、この金属フッ化物は、水素雰囲気下で加熱するか、あるいは、ニッケルなどの水素添加触媒とともに水素雰囲気下で加熱又は放置するかして除去することができる。ただし、金属フッ化物を除去しなければ、非導電性の被覆層(金属フッ化物)がコイル状金属繊維の表面に設けられてなるコイル状繊維物質を提供することができる。一方、被覆層が有機化合物であるときに酸化雰囲気下で加熱して酸化することで被覆層を取り除いた場合には、金属繊維の表面が同時に酸化されて金属酸化物が形成されることがあるが、これも水素雰囲気下で加熱するか、あるいは、還元剤で還元するかして除去することができる。ただし、この金属酸化物を除去しなければ、非導電性の被覆層(金属酸化物)がコイル状金属繊維の表面に設けられてなるコイル状繊維物質を提供することができる。
【0045】
本実施形態のコイル状繊維物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質と同様、従来のコイル状炭素繊維の用途に用いることができる。ただし、導電性に優れることから、マイクロデバイス素子やエレクトロニクス素子(コイルセンサやトランス、アンテナ素子を含む)として特に有用である。
【0046】
以上説明した本実施形態のコイル状繊維物質は、金属繊維がコイル状に形成されたものであるので、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維とは機械的性質や電気的性質、化学的性質が異なる。従って、本実施形態によれば、新規な特性を有するコイル状繊維物質を提供することができる。
【0047】
(第1の参考例)
以下、本発明の第1の参考例であるチューブ状物質について説明する。
本発明の第1の参考例であるチューブ状物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質において、コイル軸方向で隣り合う被覆層が接合してチューブ状に形成されたものである。このチューブ状物質の外径は1nm〜100μmである。このチューブ状物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質の製造にあたって、例えばピッチの狭いコイル状炭素繊維を用いたり被覆層の厚さを大きく形成したりすることにより製造される。
【0048】
このチューブ状物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質と同様、電磁波吸収材や水素吸蔵材、強化材、マイクロメカニカル素子などの用途に用いることができ、中でもマイクロデバイス素子やエレクトロニクス素子(コイルセンサやトランス、アンテナ素子を含む)として特に有用である。また、被覆層がアナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンである場合には、光触媒物質として、あるいは色素増感型湿式太陽電池における半導体電極として用いることができる。
【0049】
(第2の参考例)
以下、本発明の第2の参考例であるチューブ状物質について説明する。
本発明の第2の参考例であるチューブ状物質は、前記第1の参考例のチューブ状物質から、被覆層を残したままコイル状炭素繊維を取り除くことによって製造されるものである。表面の被覆層を残したままコイル状炭素繊維を取り除く方法は、前記第2実施形態の場合と同じである。
【0050】
このチューブ状物質は、従来のコイル状炭素繊維の用途である強化材やマイクロメカニカル素子などとして用いることができる。また、被覆層がアナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンである場合には、光触媒物質として、あるいは色素増感型湿式太陽電池における半導体電極として用いることができる。
【0051】
(第3の参考例)
以下、本発明の第3の参考例であるチューブ状物質について説明する。
本発明の第3の参考例であるチューブ状物質は、前記第3実施形態のコイル状繊維物質において、コイル軸方向で隣り合う被覆層が接合してチューブ状に形成されたものである。このチューブ状物質の外径は1nm〜100μmである。このチューブ状物質は、前記第2の参考例のチューブ状物質の中空部(前記第1のチューブ状物質から被覆層を残したままコイル状炭素繊維を取り除いたときにできる中空部)に、前記第2の参考例のチューブ状物質よりも電気抵抗率が低い金属を充填することによって製造されるものである。コイル状炭素繊維を取り除いた後に残った被覆層からなるチューブ状物質(第2の参考例のチューブ状物質)の中空部に金属を充填する方法は、前記第3実施形態の場合と同じである。
【0052】
このチューブ状物質は、前記第1実施形態のコイル状繊維物質と同様、電磁波吸収材や水素吸蔵材、強化材、マイクロメカニカル素子などの用途に用いることができ、中でもマイクロデバイス素子やエレクトロニクス素子(コイルセンサやトランス、アンテナ素子を含む)として特に有用である。また、被覆層がアナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンである場合には、光触媒物質として、あるいは色素増感型湿式太陽電池における半導体電極として用いることができる。
【0053】
なお、前記実施形態及び参考例を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記第3実施形態及び第3の参考例において、被覆層を残したままコイル状炭素繊維を取り除いたときにできる中空部に、金属以外の導電性物質を充填するようにしてもよい。このようにすれば、コイル形状をなす金属以外の導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層が設けられてなるコイル状繊維物質を提供することができる。また、金属以外の導電性物質を充填した後に表面の被覆層を取り除けば、金属以外の導電性繊維がコイル状に形成されてなるコイル状繊維物質を提供することができる。なお、前記金属以外の導電性物質としては、例えば、ポリアセチレン等の導電性樹脂、導電性物質を混ぜることで導電性を持たせた樹脂などがある。
【0054】
・ 前記実施形態のコイル状繊維物質又は前記参考例のチューブ状物質を用いたコイルセンサにおいて、コイル状繊維物質のコイル中心又はチューブ状物質の中心に磁性体を配設するようにしてもよい。このようにすればS/N比が向上するため、センサ特性をさらに向上させることができる。なお、コイル状繊維物質のコイル中心又はチューブ状物質の中心に磁性体を配設する方法としては、例えば次の2つがある。一つは、融解した磁性体にコイル状繊維物質又はチューブ状物質の先端を浸して、毛細管現象によってコイル状繊維物質のコイル中心又はチューブ状物質の中心に磁性体を充填させる方法である。もう一つは、マイクロマニピュレータを使って柱状の磁性体をコイル状繊維物質のコイル中心又はチューブ状物質の中心に挿入させる方法である。
【0055】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
<実施例1:二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維> チタンイソプロポキシド(Ti[OCH(CH)0.4mlとエタノール3mlを混合し、これにコイル状炭素繊維0.01gを加えてA液とする。このA液を氷浴で冷却しながら攪拌し、そこに、エタノール6mlに9.5M塩酸5.0μlを混合したB液を滴下した。その後、超音波を照射しながら室温で3日間放置してから減圧下50℃でチタンイソプロポキシドを蒸発除去し、残分を不活性雰囲気下200℃で2時間加熱することによって、コイル状繊維物質として、アナターゼ型の二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0057】
<実施例1’:二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維> 実施例1で得られたアナターゼ型の二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を、不活性雰囲気下600〜900℃で加熱することによって、コイル状繊維物質として、ルチル型の二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0058】
<実施例2:二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維> コイル状炭素繊維1gを入れた反応器に窒素ガス(500ml/min)を導入してコイル状炭素繊維を分散状態としたところに、チタンイソプロポキシドと窒素の混合ガス(6.4ml/min)及び水蒸気と窒素の混合ガス(14ml/min)を反応器内に連続的に導入して300℃で2時間反応させた。その結果、コイル状繊維物質として、アナターゼ型の二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0059】
<実施例2’:二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維> 実施例2で得られたアナターゼ型の二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を、不活性雰囲気下600〜900℃で加熱することによって、コイル状繊維物質として、ルチル型の二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0060】
<実施例3:二酸化ケイ素で被覆されたコイル状炭素繊維> コイル状炭素繊維0.01g、テトラエトキシシラン(Si[OC)15.0mg、酢酸95ml、蒸留水5.7mg及びベンジルアミン5.6mgを混合し、約100℃で0.2〜5時間加熱した。その後、超音波を照射しながら室温で3日間放置してから減圧下常温でテトラエトキシシランを蒸発除去し、残分を不活性雰囲気下200℃で2時間加熱することによって、コイル状繊維物質として、二酸化ケイ素で被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0061】
<実施例4:二酸化ケイ素で被覆されたコイル状炭素繊維> コイル状炭素繊維1gを入れた反応器に窒素ガス(500ml/min)を導入してコイル状炭素繊維を分散状態としたところに、テトラエトキシシランと窒素の混合ガス(6.4ml/min)及び水蒸気と窒素の混合ガス(14ml/min)を反応器内に連続的に導入して300℃で2時間反応させた。その結果、コイル状繊維物質として、二酸化ケイ素で被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0062】
<実施例5:酸化アルミニウムで被覆されたコイル状炭素繊維> コイル状炭素繊維0.01gを入れた反応器に、三塩化アルミニウム0.4容積%、水蒸気1.2容積%、水素98.4容積%からなる原料ガスを線速度9.4cm/secで導入し、600〜1000℃、5Torr(≒0.67kPa)の条件で反応させた。その結果、コイル状繊維物質として、酸化アルミニウムで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0063】
<実施例6,7:中空コイル状の二酸化チタン繊維> 実施例1,2で得られた二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を、酸化雰囲気下500℃で2時間加熱することにより、コイル状繊維物質として、中空コイル状の二酸化チタン繊維(アナターゼ型)を得た。
【0064】
<実施例6’,7’:中空コイル状の二酸化チタン繊維> 実施例1’,2’で得られた二酸化チタンで被覆されたコイル状炭素繊維を、酸化雰囲気下500℃で2時間加熱することにより、コイル状繊維物質として、中空コイル状の二酸化チタン繊維(ルチル型)を得た。
【0065】
<実施例8,9:中空コイル状の二酸化ケイ素繊維> 実施例3,4で得られた二酸化ケイ素で被覆されたコイル状炭素繊維を、酸化雰囲気下500℃で2時間加熱することにより、コイル状繊維物質として、中空コイル状の二酸化ケイ素繊維を得た。
【0066】
<実施例10,11:二酸化チタンで被覆されたコイル状アルミニウム繊維>実施例6,7で得られた中空コイル状の二酸化チタン繊維の先端を、融解したアルミニウムに浸し、毛細管現象によって二酸化チタン繊維の中空部にアルミニウムを充填させることにより、コイル状繊維物質として、二酸化チタン(アナターゼ型)で被覆されたコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0067】
<実施例10’,11’:二酸化チタンで被覆されたコイル状アルミニウム繊維> 実施例6’,7’で得られた中空コイル状の二酸化チタン繊維の先端を、融解したアルミニウムに浸し、毛細管現象によって二酸化チタン繊維の中空部にアルミニウムを充填させることにより、コイル状繊維物質として、二酸化チタン(ルチル型)で被覆されたコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0068】
<実施例12,13:二酸化ケイ素で被覆されたコイル状アルミニウム繊維>実施例8,9で得られた中空コイル状の二酸化ケイ素繊維の先端を、融解したアルミニウムに浸し、毛細管現象によって二酸化ケイ素繊維の中空部にアルミニウムを充填させることにより、コイル状繊維物質として、二酸化ケイ素で被覆されたコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0069】
<実施例14,15:コイル状アルミニウム繊維> 実施例10,11で得られたコイル状繊維物質を、フッ化水素酸水溶液に浸漬させて、表面を被覆する二酸化チタンを溶解除去することにより、コイル状繊維物質としてコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0070】
<実施例14’,15’:コイル状アルミニウム繊維> 実施例10’,11’で得られたコイル状繊維物質を、フッ化水素酸水溶液に浸漬させて、表面を被覆する二酸化チタンを溶解除去することにより、コイル状繊維物質としてコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0071】
<実施例16,17:コイル状アルミニウム繊維> 実施例12,13で得られたコイル状繊維物質を、フッ化水素酸水溶液に浸漬させて、表面を被覆する二酸化ケイ素を溶解除去することにより、コイル状繊維物質としてコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0072】
<実施例18:炭化ケイ素で被覆されたコイル状アルミニウム繊維> ポリカルボシラン/キシレン溶液(ポリカルボシラン1重量%)にポリカルボシランと等量のSiを添加したA液50mlを用意し、これにコイル状炭素繊維0.01gを加えた。1時間放置してからコイル状炭素繊維を濾過によって取り上げて減圧乾燥し、さらに室温で1時間乾燥することにより、ポリカルボシラン層で被覆されたコイル状炭素繊維を得た。その後、大気中200℃で6時間加熱し、コイル状炭素繊維表面のポリカルボシラン層を不融化し、不活性雰囲気下1500℃で焼成することによって、中空コイル状の炭化ケイ素繊維を得た。そして、この中空コイル状の炭化ケイ素繊維の先端を、融解したアルミニウムに浸し、毛細管現象によって炭化ケイ素繊維の中空部にアルミニウムを充填させることにより、コイル状繊維物質として、炭化ケイ素で被覆されたコイル状アルミニウム繊維を得た。
【0073】
<実施例19:ポリイミドで被覆されたコイル状炭素繊維> まず、無水ピロメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドン溶媒中で縮合反応させて得られたポリアミド酸溶液(ポリマー濃度10重量%)をコイル状炭素繊維に均一に塗布した。そして、それを不活性ガス(窒素)雰囲気下100℃で1時間乾燥処理し、さらに200℃で1時間、300℃で1時間熱処理することによって、コイル状繊維物質として、ポリイミドで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0074】
<実施例20:シラン系カップリング剤で被覆されたコイル状炭素繊維> まず、コイル状炭素繊維を低酸素雰囲気下700℃で0.5〜2時間加熱して表面を酸化した。この表面が酸化されたコイル状炭素繊維100mgを、100mMの3−methacryloxypropyltrichlorosilane(シラン系カップリング剤)溶液と窒素下で20時間加熱還流した。そして、テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧乾燥し、110℃で10分間加熱することによって、コイル状繊維物質として、3−methacryloxypropyltrichlorosilaneで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0075】
<実施例21:ポリメタクリル酸メチルで被覆されたコイル状炭素繊維> 実施例20で得られたコイル状繊維物質に、メタクリル酸メチル1g、AIBN(重合開始剤)25mg及び無水テトラヒドロフラン(溶媒)10mlを加え、60℃で20時間加熱攪拌することによって、コイル状繊維物質として、ポリメタクリル酸メチルで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0076】
<実施例22:シラン系カップリング剤で被覆されたコイル状炭素繊維> まず、コイル状炭素繊維を低酸素雰囲気下700℃で0.5〜2時間加熱して表面を酸化した。この表面が酸化されたコイル状炭素繊維100mgを、100mMの3−methacryloxypropyltrimethoxysilane(シラン系カップリング剤)溶液と空気下で20時間加熱還流した。そして、テトラヒドロフランで洗浄した後、乾燥し、110℃で10分間加熱することによって、コイル状繊維物質として、3−methacryloxypropyltrimethoxysilaneで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0077】
<実施例23:ポリメタクリル酸メチルで被覆されたコイル状炭素繊維> 実施例22で得られたコイル状繊維物質に、メタクリル酸メチル1g、AIBN25mg及び無水テトラヒドロフラン10mlを加え、60℃で20時間加熱攪拌することによって、コイル状繊維物質として、ポリメタクリル酸メチルで被覆されたコイル状炭素繊維を得た。
【0078】
<実施例24:アルキルアミドで被覆されたコイル状炭素繊維> まず、コイル状炭素繊維を低酸素雰囲気下700℃で0.5〜2時間加熱して表面を酸化した。この表面が酸化されたコイル状炭素繊維100mgを塩化チオニル10mlと窒素下で24時間加熱還流した。そして、減圧留去の後、無水テトラヒドロフランで洗浄し、さらに乾燥させてから、オクタデシルアミン1gを加え、窒素下94℃で96時間保持した。その結果、コイル状繊維物質としてアルキルアミドで被覆されたコイル状繊維物質を得た。
【0079】
次に、本発明の効果を具体的に説明するために実験例を挙げる。
<実験例1:複線式コイルセンサに用いたときの評価試験> 実施例1のコイル状繊維物質をセンサ部に用いた複線式コイルセンサ(S/N比:約45dB)を作製し、それを使って各種検体の測定を次のようにして行なった。ピンホールが表面に形成された磁気ディスクを用意し、その磁気ディスクの表面を、上記複線式コイルセンサを使ってセンシングした。そうしたところ、ピンホールが存在する箇所で検出電圧が変化し、インピーダンスの変化が検出された。このインピーダンスの変化量の絶対値は、ピンホールの大きさが大きいほど大きく、具体的には、1nmのピンホールで1.003、10nmのピンホールで1.005、1μmのピンホールで1.009、10μmのピンホールで1.01、0.01mmのピンホールで1.05であった。不純物(異材)としてアルミニウムを表面に点在させた磁気ディスクを用意し、その磁気ディスクの表面を、上記複線式コイルセンサを使ってセンシングした。そうしたところ、不純物が存在する箇所で検出電圧が変化し、インピーダンスの変化が検出された。このインピーダンスの変化量の絶対値は、不純物の大きさが大きいほど大きく、具体的には、50nmの不純物で1.005、1μmの不純物で1.008、100μmの不純物で1.01であった。なお、実施例2〜5,1’,2’のコイル状繊維物質をセンサ部に用いた複線式コイルセンサでもほぼ同様の結果が得られた。
【0080】
実施例1のコイル状繊維物質をセンサ部に用いるとともにそのコイル中心に磁性体を配設した複線式コイルセンサ(S/N比:約55dB)を作製し、それを使って各種検体の測定を次のようにして行なった。ピンホールが表面に形成された磁気ディスクを用意し、その磁気ディスクの表面を、上記複線式コイルセンサを使ってセンシングした。そうしたところ、ピンホールが存在する箇所で検出電圧が変化し、インピーダンスの変化が検出された。このインピーダンスの変化量の絶対値は、ピンホールの大きさが大きいほど大きく、具体的には、1nmのピンホールで1.007、10nmのピンホールで1.014、1μmのピンホールで1.08、10μmのピンホールで1.13、0.01mmのピンホールで1.2であった。不純物(異材)としてアルミニウムを表面に点在させた磁気ディスクを用意し、その磁気ディスクの表面を、上記複線式コイルセンサを使ってセンシングした。そうしたところ、不純物が存在する箇所で検出電圧が変化し、インピーダンスの変化が検出された。このインピーダンスの変化量の絶対値は、不純物の大きさが大きいほど大きく、具体的には、50nmの不純物で1.008、1μmの不純物で1.03、100μmの不純物で1.09であった。なお、実施例2〜5,1’,2’のコイル状繊維物質をセンサ部に用いた複線式コイルセンサでもほぼ同様の結果が得られた。
【0081】
実施例10のコイル状繊維物質をセンサ部に用いた複線式コイルセンサ(S/N比:約51dB)を作製し、それを使って各種検体の測定を次のようにして行なった。ピンホールが表面に形成された磁気ディスクを用意し、その磁気ディスクの表面を、上記複線式コイルセンサを使ってセンシングした。そうしたところ、ピンホールが存在する箇所で検出電圧が変化し、インピーダンスの変化が検出された。このインピーダンスの変化量の絶対値は、ピンホールの大きさが大きいほど、大きく、具体的には、1nmのピンホールで1.006、10nmのピンホールで1.009、1μmのピンホールで1.018、10μmのピンホールで1.03、0.01mmのピンホールで1.1であった。不純物(異材)としてアルミニウムを表面に点在させた磁気ディスクを用意し、その磁気ディスクの表面を、上記複線式コイルセンサを使ってセンシングした。そうしたところ、不純物が存在する箇所で検出電圧が変化し、インピーダンスの変化が検出された。このインピーダンスの変化量の絶対値は、不純物の大きさが大きいほど大きく、具体的には、50nmの不純物で1.008、1μmの不純物で1.02、100μmの不純物で1.07であった。なお、実施例11〜13のコイル状繊維物質をセンサ部に用いた複線式コイルセンサでもほぼ同様の結果が得られた。
【0082】
なお、以上の測定にあたっては、各測定に先立って、組成が均一でピンホールの無い磁気ディスクを標準試料として複線式コイルセンサを使ってセンシングし、そのときの検出電圧変化を零キャリブレーションするようにした。また、測定の際には、励磁コイルに100MHzの交流電圧を印加した。
【0083】
<実験例2:光触媒作用に関する評価試験> 実施例1,2,6,7,10,11のコイル状繊維物質をポリ乳酸に混合してブラックライト(ピーク波長360nm、4W)の光を照射し、1時間の光照射の後にポリ乳酸の分解度を測定した。粉末状の二酸化チタンを用いて同様の測定をしたときのポリ乳酸の分解度を1とした場合、実施例1,2のコイル状繊維物質を用いたときのポリ乳酸の分解度は1.2〜1.3程度であり、実施例6,7では1.1〜1.2程度、実施例10,11では1.6〜1.7程度であった。また、実施例1,2のコイル状繊維物質に電源を接続したものを用いて20Vの交流電圧を印加しながら同様の測定をしたときのポリ乳酸の分解度は1.5〜1.6程度、実施例1,2のコイル状繊維物質の両端を導線で接続したものを用いて同様の測定をしたときのポリ乳酸の分解度は1.3〜1.4程度であった。一方、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維を用いて同様の測定をしたときのポリ乳酸の分解度は0.05〜0.1程度、同コイル状炭素繊維に電源を接続したものを用いて20Vの交流電圧を印加しながら同様の測定をしたときのポリ乳酸の分解度は0.1〜0.2程度であった。
【0084】
以上の結果から、本発明のコイル状繊維物質が、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維はもちろんのこと粉末状の二酸化チタンに比べても、高い光触媒作用を有することが示された。また、電圧を印加したり、両端を導線で接続したりすることで、光触媒作用がさらに向上することが示された。
【0085】
<実験例3:太陽電池の半導体電極として用いたときの評価試験> 実施例1,2,6,7,10,11のコイル状繊維物質を半導体電極として用いた色素増感型湿式太陽電池における光電変換効率を測定した。粉末状の二酸化チタンを半導体電極として用いたときの光電変換効率を1とした場合、実施例1,2のコイル状繊維物質を半導体電極として用いたとき光電変換効率は1.4〜1.5程度であり、実施例6,7では1.1〜1.2程度、実施例10,11では1.2〜1.4程度であった。
【0086】
以上の結果から、本発明のコイル状繊維物質が、色素増感型湿式太陽電池の光電変換効率を向上させうることが示された。
なお、ここで用いた色素増感型湿式太陽電池は、色素によって光増感された二酸化チタン(半導体電極)を導電性ガラスにコートしたものを負極、導電性ガラスに白金をコートしたものを正極とし、ヨウ素/ヨウ化物の混合溶液を電解質溶液として使用するものである(図1参照)。
【0087】
<実験例4:アンテナ素子として用いたときの評価試験> 実施例1〜24,1’,2’の各例のコイル状繊維物質をアンテナ素子として用いたときのアンテナ利得を測定した。また、比較例として、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維をアンテナ素子として用いたときのアンテナ利得も測定した。
【0088】
その結果、実施例1〜24,1’,2’の各例のコイル状繊維物質は、1GHz〜10THzの電波に対して−3〜+2dBiのアンテナ利得を示した。特に、ETC等で使用される5.8GHz、無線LANで使用される2.45GHz及び19GHz、車車間レーダ等で使用される60GHz、76GHz及び90GHz、衛星通信で使用される40GHz、地球観測で使用される100GHz、携帯電話で使用される1.2GHzの電波に対して、いずれも3dBi以上のアンテナ利得を示した。一方、比較例のコイル状炭素繊維は、1GHz〜10THzの電波に対して−5〜−3dBiのアンテナ利得を示し、ETC、無線LAN等で使用される上記周波数の電波に対しては−3dBi程度のアンテナ利得を示した。
【0089】
<実験例5:破壊靭性に関する評価試験> 平均コイル長1.00mmの実施例1,1’,3,5,10,18,19,20,21,24のコイル状繊維物質をウレタン樹脂に1重量%添加し、500rpmで3時間メカニカル攪拌した後に、各コイル状繊維物質の平均コイル長を測定した。また、比較例として、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維をウレタン樹脂に1重量%添加し、500rpmで3時間メカニカル攪拌した後に、コイル状炭素繊維の平均コイル長を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
Figure 2004091985
表1に示す結果から、本発明のコイル状繊維物質が、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維と同等以上の破壊靭性を有することが示された。
【0091】
<実験例6:電磁波吸収性に関する評価試験(その1)> 実施例1,1’,3,5,14,18のコイル状繊維物質をウレタン樹脂に1重量%添加したものから厚さ5mmのシート材を作製した。また、比較例として、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維をウレタン樹脂に1重量%添加したものから厚さ5mmのシート材を作製した。これらのシート材について100GHzの電磁波に対する反射減衰量を測定した結果を表2に示す。なお、表2に示す反射減衰量の値は最大値を表わす。
【0092】
【表2】
Figure 2004091985
表2に示す結果から、本発明のコイル状繊維物質が、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維よりも優れた電磁波吸収性を有することが示された。
【0093】
<実験例7:電磁波吸収性に関する評価試験(その2)> 無水ピロメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをN−メチルピロリドン溶媒中で縮合反応させて得られたポリアミド酸溶液(ポリマー濃度15重量%)に、実施例19,20,21,24のコイル状繊維物質1重量%を加えた。そして、それを超音波分散させてからガラス板上にキャストし、不活性ガス(窒素)雰囲気下100℃で1時間乾燥処理し、さらに200℃で1時間、300℃で1時間熱処理することによって、厚さ5mmのシート材を各10枚ずつ作製した。また、比較例として、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維を使って同様に厚さ5mmのシート材を10枚作製した。これらのシート材について76GHzの電磁波に対する反射減衰量を測定した結果を表3に示す。なお、表3に示す反射減衰量の値は最大値を表わす。
【0094】
【表3】
Figure 2004091985
表3に示す結果から、本発明のコイル状繊維物質が、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維と同等以上の電磁波吸収性を有することが示された。また、本発明のコイル状繊維物質は、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維に比べて、シート材に加工したときの電磁波吸収性にばらつきが小さいことから、再現性に優れることが示された。
【0095】
<実験例8:分散性に関する評価試験(その1)> 実施例21,23,24のコイル状繊維物質1mgあるいは表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維1mgをテトラヒドロフラン5mlに分散させたものについて、750nm波長の光の吸収量の時間変化をダブルビーム分光光度計(日立社製U−2000A)を使って測定した。その結果を図2に示す。ただし、実施例21,23,24のコイル状繊維物質については、コイル状炭素繊維の表面酸化処理を30分間行なったものと120分間行なったものの二種類を用意し、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維については、平均コイル長が300〜500μmのものと90μm未満のものの二種類を用意した。
【0096】
図2に示す結果から、本発明のコイル状繊維物質が、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維に比べてテトラヒドロフラン中での分散性が良好であることが示された。
【0097】
<実験例9:分散性に関する評価試験(その2)> 実施例24のコイル状繊維物質1mgあるいは表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維1mgをヘキサン5mlに分散させたものについて、750nm波長の光の吸収量の時間変化をダブルビーム分光光度計(日立社製U−2000A)を使って測定した。その結果を図3に示す。ただし、実施例24のコイル状繊維物質については、コイル状炭素繊維の表面酸化処理を30分間行なったものと120分間行なったものの二種類を用意した。
【0098】
図3に示す結果から、本発明のコイル状繊維物質が、表面に被覆層を有しないコイル状炭素繊維に比べてヘキサン中での分散性が良好であることが示された。次に、前記実施形態及び参考例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0099】
・ コイル形状をなす導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなり、なおかつ、外径が1nm〜100μmであることを特徴とするチューブ状物質。
【0100】
・ コイル形状をなす導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなるチューブ状物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるチューブ状物質の中空部に該チューブ状物質よりも電気抵抗率が低い物質を充填することを特徴とするチューブ状物質の製造方法。
【0101】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、新規な特性を有するコイル状繊維物質並びにその製造方法及び用途を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色素増感型湿式太陽電池の構造を模式的に示す図。
【図2】実験例8の分散性に関する評価試験の結果を示すグラフ。
【図3】実験例9の分散性に関する評価試験の結果を示すグラフ。

Claims (11)

  1. コイル形状をなす導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなり、なおかつ、コイル径が1nm〜100μmであることを特徴とするコイル状繊維物質。
  2. 前記被覆層が金属酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載のコイル状繊維物質。
  3. 前記金属酸化物が、アナターゼ型の結晶構造を有する二酸化チタンであることを特徴とする請求項2に記載のコイル状繊維物質。
  4. コイル形状をなす導電性繊維の表面に、該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなるコイル状繊維物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に該コイル状中空繊維よりも電気抵抗率が低い物質を充填することを特徴とするコイル状繊維物質の製造方法。
  5. 中空の繊維がコイル状に形成されてなり、なおかつ、コイル径が1nm〜100μmであることを特徴とするコイル状繊維物質。
  6. 中空の繊維がコイル状に形成されてなるコイル状繊維物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除くことを特徴とするコイル状繊維物質の製造方法。
  7. 気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低い物質からなる繊維がコイル状に形成されてなり、なおかつ、コイル径が1nm〜100μmであることを特徴とするコイル状繊維物質。
  8. 気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低い物質からなる繊維がコイル状に形成されてなるコイル状繊維物質の製造方法であって、コイル状炭素繊維の表面に被覆層を設けた後に該被覆層を残して前記コイル状炭素繊維を取り除き、残った被覆層からなるコイル状中空繊維の中空部に、気相蒸着法で製造されるコイル状炭素繊維よりも電気抵抗率が低い物質を充填してから表面の被覆層を取り除くことを特徴とするコイル状繊維物質の製造方法。
  9. 請求項1から請求項3、請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のコイル状繊維物質をセンサ部に用いたことを特徴とするコイルセンサ。
  10. 請求項9に記載のコイルセンサにおいて、コイル状繊維物質が、多重らせん構造を有する導電性繊維の表面に該導電性繊維よりも電気抵抗率が高い物質からなる被覆層を設けてなるものであり、その多重らせん構造を有する導電性繊維を構成する複数本の繊維のうちの一部を励磁コイル、残りを検出コイルとすることを特徴とするコイルセンサ。
  11. 請求項1から請求項3、請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のコイル状繊維物質からなることを特徴とするアンテナ素子。
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