JP2004088844A - リニアモータ装置、ステージ装置、及び露光装置 - Google Patents

リニアモータ装置、ステージ装置、及び露光装置 Download PDF

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森本 樹
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加藤 浩之
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Abstract

【課題】安定した高剛性を有し、軽量且つ安価な収容部材としてのキャンを備えるリニアモータ装置、当該リニアモータ装置を備えることにより、温度上昇が抑制されて装置性能の向上を図ることができるステージ装置及び露光装置を提供する。
【解決手段】固定子11は、y方向に配列されたコイル13とコイル13を収容するキャン15とを含んで構成され、可動子12は固定子11に対して相対移動可能なように構成される。上記キャン15の内部にはコイル13を冷却するための冷却液が供給され、キャン15のx方向における両端部には、y方向に延在してキャン15と機械的に当接し、キャン15の材質よりも比重量が小さいアルミニウム等の非磁性材料で形成された補強部材18a〜18d,19a〜19dが設けられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータ装置、ステージ装置、及び露光装置に係り、特にマスク又は感光基板等の物体を保持した状態で直線的に又は二次元平面内で移動させるステージ部を駆動するリニアモータ装置、当該ステージ部及びリニアモータ装置を備えるステージ装置、並びに当該ステージ装置を備える露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子、その他のマイクロデバイスの製造においては、露光装置を用いてフォトマスクやレチクル(以下、これらを総称する場合には、マスクという)に形成された微細なパターンをフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウェハやガラスプレート等(以下、これらを総称する場合には、感光基板という)の上に転写することが繰り返し行われる。
【0003】
上記露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(所謂、ステッパ)又はステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置が用いられることが多い。ステッパは、マスクと感光基板との相対的な位置合わせを行った後で、マスクに形成されたパターンを感光基板上に設定された1つのショット領域に一括して転写し、転写後に感光基板をステップ移動させて他のショット領域の露光を行う露光装置である。また、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置は、マスクと感光基板とを相対的に移動(走査)させつつマスクに形成されたパターンを順次感光基板上のショット領域に転写した後、次のショット領域に対応する位置に感光基板を所定距離移動させた後で再度走査露光を行う露光装置である。
【0004】
上記のステッパは、マスクの位置は固定で感光基板の位置を可変させてマスクと感光基板との相対位置を変えつつマスクパターンの転写を行うため、感光基板を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージを備える。また、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置は、マスクと感光基板とを共に移動させる必要があるため、マスクを保持した状態で移動可能に構成されたマスクステージと感光基板を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージとを備える。
【0005】
マスクステージ又は基板ステージとして設けられるステージ装置は、高速且つ精確にマスク又は基板を所定の位置に移動させるために駆動源としてリニアモータ装置を備える。このリニアモータ装置は固定子と可動子とからなり、固定子に対して可動子が相対移動するものであるが、固定子にコイルを設けて可動子に磁石を設けたムービングマグネット型のものと固定子に磁石を設けて可動子にコイルを設けたムービングコイル型のものとがある。
【0006】
リニアモータ装置に設けられたコイルに電流を流すとコイルが発熱するため、リニアモータ装置は、コイルをキャンで覆い、キャンの内部に冷却液を導入してコイルを冷却することで温度上昇を抑えるように構成されている。尚、リニアモータ装置で発生する推力の低下を防止するため、コイルと磁石との間の隙間が極力小さくなるように設計されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、キャンの内部に冷却液を導入するとキャン内部に冷却液の水圧がかかるため、キャンが外側に膨張するように変形してしまう。上述したように、コイルと磁石との間の隙間は極力小さくなるように設計されているため、キャンが膨張するように変形するとキャンが磁石に接触し、リニアモータ装置の動作に不具合をきたすことなる。かかる不具合は、コイルと磁石との間の隙間を大きくすることで解消されるが、磁石により発せられる磁束の磁束密度が低下して上述した推力の低下を招くことになる。
【0008】
コイルと磁石との間の隙間を大きくせずに上記の不具合を解消する方法として、キャンの剛性を高める方向が考えられる。しかしながら、キャンの剛性を高めるために高剛性を有する金属を多用するとキャンの重量が大きくなる。このため、可動体にコイルが設けられたリニアモータ装置においては、同一推力における加速度が低下してしまうという問題がある。また、高剛性を有する金属は高価であることが多いため、かかる金属をキャンの剛性を高めるために用いるとリニアモータ装置のコストが上昇してしまうという問題がある。
【0009】
従来は、高剛性を有するステンレスでキャンを形成し、冷却液によりかかる応力の大きい箇所に軽量且つ安価なアルミニウムの補強部材を接着した構成にすることで、軽量且つ安価であり、総合的に高剛性のキャンが案出されている。しかしながら、かかる構成のキャンにおいては、接着剤によって補強部材がキャンに接着されているため、冷却液により応力が生じた場合には、接着剤の境界面(キャンと接着剤とが接する面、及び、補強部材と接着剤とが接する面)に剪断応力が集中して接着剤の剪断破壊が生ずるため、長期に亘ってキャンの総合的な剛性を保つことができないという問題があった。
【0010】
また、接着剤は温度変化、湿度変化等の環境変化により劣化するものであるため、長期に亘って安定してキャンの剛性を保つことは困難である。更に、キャンの製造時における作業上のバラツキによって接着剤の接着力が変化するため、キャンの剛性が安定しないという問題がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、安定した高剛性を有し、軽量且つ安価な収容部材としてのキャンを備えるリニアモータ装置、当該リニアモータ装置を備えることにより、温度上昇が抑制されて装置性能の向上を図ることができるステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のリニアモータ装置は、コイル(13)を収容する収容部材(15、31)を有し、当該収容部材(15、31)の内部に冷却液が供給されるコイルユニット(11、30)と磁石ユニット(12)とを備えるリニアモータ装置(10)において、前記コイルユニット(11、30)と前記磁石ユニット(12)との相対移動方向に沿って延在して前記コイルユニット(11、30)と機械的に当接し、前記収容部材(15、31)の材質よりも比重量が小さい非磁性体材料で形成された補強部材(18、19、33、34)を有することを特徴としている。
この発明によれば、収容するコイルを冷却するために内部に冷却液が供給される収容部材と補強部材とを機械的に当接させているため、収容部材の総合的な剛性を高めることができる。また、収容部材と補強部材とを機械的に当接させることにより、長期に亘って安定した剛性を保つことができる。また、補強部材は収容部材よりも比重量が小さいため、リニアモータ装置の重量増加を抑えることができる。このため、収容部材及び補強部材を可動子に含めた構成とした場合には同一の推力が与えられたときの著しい加速度低下が引き起こされることはなく、可動子を高速且つ精確に移動させる上で好適である。
また、本発明のリニアモータ装置は、前記補強部材(18、19、33、34)が、前記相対移動方向に直交する面内における断面形状が略コの字型形状であって、前記収容部材(15、31)を前記コの字型の開口部で挟んで機械的に当接することを特徴としている。
また、本発明のリニアモータ装置は、前記補強部材(18、19、33、34)が、前記相対移動方向に沿った複数箇所でネジ締結により機械的に前記収容部材(15、31)と当接していることを特徴としている。
また、本発明のリニアモータ装置は、前記収容部材(15、31)に対する前記補強部材(18、19、33、34)の機械的な締結部が、前記相対移動方向における前記収容部材(15、31)の端部よりも前記収容部材(15、31)の中央部において数多く設けられていることを特徴としている。
また、本発明のリニアモータ装置は、前記補強部材(18、19、33、34)が、かしめにより前記収容部材(15、31)と機械的に当接していることを特徴としている。
本発明のステージ装置は、上記の何れかに記載のリニアモータ装置によりステージ部が駆動されることを特徴としている。
更に、本発明の露光装置は、マスク(R)に形成されたパターンを感光基板(W)に転写する露光装置(51)であって、前記マスク(R)を載置するマスクステージ(52)と、前記感光基板(W)を載置する基板ステージ(55)とを備え、前記マスクステージ(52)及び前記基板ステージ(55)の少なくとも一方として、上記のステージ装置を備えることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるリニアモータ装置及びステージ装置並びに露光装置について詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるリニアモータ装置の外観構成を示す斜視分解図であり、図2は、図1中のA−A線の断面矢視図である。尚、以下の説明においては、図1中に示したxyz直交座標系を設定し、このxyz直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。xyz直交座標系は、y軸が固定子11に対する可動子12の相対移動方向に設定され、z軸が鉛直上方向に設定されている。尚、上記固定子11は本発明にいうコイルユニットに相当し、可動子12は本発明にいう磁石ユニットに相当する。
【0015】
図1に示すリニアモータ装置10が備える固定子11は、y方向に沿って配列された複数のコイル13からなるコイル列14を備える。図1に示した固定子11はドッグボーン型と呼ばれるものである。ドッグボーン型の固定子11を構成するコイル13及びコイル列14を図3に示す。図3は、コイル13及びコイル列14の構成を示す図である。各々のコイル13は銅の丸線又は平角線をほぼ矩形形状に所定回数(例えば、数十〜数百回)巻回させて形成されており、矩形形状に形成された4辺のうち、x方向と平行で互いに対向する一組の辺(以下、極部分という)とy方向に平行で互いに対向する他の一組の辺とが段違いとなるような形状を有している。そして、コイル13の巻回面がxy平面とほぼ平行となるように、つまりコイル13に電流を流したときにコイル13の中心において発生する磁界の方向がz軸とほぼ平行となるように配置されるとともに、コイル13の極部分が隣接する他のコイル13の空芯部に挿入され、コイル配列方向(y方向)に沿って段違いの方向が交互になるように配置されている。このように構成されたドッグボーン型固定子11はコイル13の空芯部を他のコイル13の極部分と組み合わせることにより埋め合わせているため、磁束密度を上げることができ、リニアモータの効率を向上することができる。尚、コイル13の巻線の材質は銅に限られるわけではなく、アルミ線を用いても良い。
【0016】
コイル列14は収容部材としてのキャン15に収容される。キャン15は、非磁性ステンレス材で形成されたH字の断面形状を有する環状の部材であって、その内部に冷却液が導入される。尚、キャン15は非磁性ステンレス材に限られるわけではなく、非磁性であってステンレス材程度又はそれ以上のヤング率を有する材質で形成することが好ましい。また、渦電流発生による粘性抵抗を考慮してCFRP(炭素繊維強化プラスチック)やセラミックス等で形成することも可能である。
【0017】
キャン15は、y方向における端部において固定部材16,17で固定されている。固定部材16には不図示の端子台が設けられており、コイル列14をなすコイル13が端子台に結線されている。不図示の制御装置からの三相交流が端子台を介して各コイル13に供給される。また、図示は省略しているが、キャン15に対する冷却液の導入口及び排出口は固定部材16,17の近傍であって、キャン15の側面に設けられている。
【0018】
また、キャン15のx方向における端部には、キャン15の強度を補強するための補強部材18(18a〜18d),19(19a〜19d)がそれぞれ設けられている。補強部材18,19は、キャン15をなす非磁性ステンレス材よりも比重量が小さい非磁性材料、例えばアルミニウムで形成されている。補強部材18,19として非磁性ステンレス材よりも比重量が小さい非磁性材料を用いることで、リニアモータ装置の軽量化を図ることができる。尚、本実施形態では、キャン15のx方向における端部に、y方向に沿ってそれぞれ4つの補強部材18a〜18d,19a〜19dを並べた構成としているが、これは補強部材18,19の形成の容易さ、及び、キャン15のx方向における端部への取り付け易さを考慮したためである。
【0019】
補強部材18,19は、図2に示すように、zx平面内における断面形状が略コの字形状であり、その開口部でキャン15のx方向における端部をそれぞれ挟んでいる。ここで、キャン15と補強部材19との接合部について詳細に説明する。図4は、キャン15と補強部材19との接合部の拡大図である。図4に示すように、補強部材19は、その開口部でキャン15のx方向における一方の端部を挟み、開口部の端部P1の位置で機械的にキャン15に当接している。尚、キャン15と補強部材19との間には、キャン15と補強部材19とを補助的に締結するエポキシ系の接着剤20が設けられている。
【0020】
従来は補強部材を接着剤のみでキャンに接着していたため、キャンに冷却液による応力が生じたときに接着剤の剪断破壊が生じていた。これに対し、本実施形態では、応力の大きい箇所において、補強部材19をキャン15に機械的に当接させた構成としている。このため、大きな応力が生じたとしても従来のような接着剤の剪断破壊が生ずることがなく、キャン15の総合的な剛性を安定して長期に亘って高めることができる。
【0021】
補強部材18.19とキャン15との組み立ては以下のような手順で行われる。まず、キャン15と補強部材18,19とが当接する部分におけるキャン15の外寸法を計測する。次に、キャン15と当接する部分(P1)における補強部材18,19の内寸法を計測する。そして、計測されたキャン15の外寸法と補強部材18,19の内寸法とに従い、補強部材18,19の内寸法がキャン15の外寸法より若干小さくなるように補強部材18,19の内寸法を調整して、補強部材18,19にキャン15を挿入することにより組み立てる。補強部材18,19の内寸法は、キャン15がコイル13と接触しない程度にキャン15の外寸法より小さく設定され、シミュレーションあるいは実験によって決定される。
また、補強部材18,19の内寸法の調整は、内寸法が前述の通り決定された所定の寸法となるように、補強部材18,19を塑性変形させることにより行われる。尚、補強部材18,19とキャン15との組み立てはこれに限られず、予め内寸法が所定の寸法となるように形成された補強部材18,19にキャン15を挿入してもよいし、補強部材18,19にキャン15を挿入した後、補強部材18,19をかしめても構わない。
【0022】
次に、リニアモータ装置10が備える可動子12は、磁石21が張り合わされた平板状の上ヨーク22と平板状の下ヨーク23と、上ヨーク22及び下ヨーク23をx方向における両端で支持する支柱部材24,25とからなる磁気回路を備える。磁石21はネオジウム・鉄・コバルト磁石で形成され、上ヨーク22及び下ヨーク23はSS400相当の低炭素鋼により形成され、支柱部材24,25は、軽量化のためにアルミ合金で形成されている。尚、磁石21は、上記のネオジウム・鉄・コバルト磁石以外に、サマリウム・コバルト磁石又はネオジム・鉄・ボロン磁石等の希土類磁石を用いることも可能である。
【0023】
磁石21はy方向に沿って交互に極性が変化するように複数配列されており、複数の磁石21を含んで磁石列26が構成されている。尚、図1においては、可動子12を分解した状態で図示しているが、実際には上ヨーク22に設けられている磁石列26がキャン15上面の凹部H1(図2参照)に位置し、下ヨーク23に設けられている磁石列26がキャン15底面の凹部H2に位置するようにそれぞれ配置される。
【0024】
尚、上記磁石列26は、磁石21の間であって、磁界の方向が磁石21の磁界の方向と90度をなすように(磁界の方向がy方向に沿うように)配置された補助磁石を含むように構成することが好ましい。かかる構成にすることで、上ヨーク22と下ヨーク23との間、つまりコイル列14を通過する磁束の磁束密度を高めることができ、その結果としてリニアモータ装置の推力を向上させることができる。このように、本実施形態のリニアモータ装置は、固定子11にコイル(コイル列)が設けられ、可動子12に磁石(磁石列)が設けられた所謂ムービングマグネット型のリニアモータ装置である。
【0025】
次に、以上の構成のリニアモータ装置を駆動する際には、コイル列14をなす複数のコイル13の内、一時に電流が供給される同相のコイル13の数に応じて1極励磁方法、2極励磁方法等の励磁方法が用いられる。例えば、1極励磁方法においては、y方向に配置されたコイルが順にU相、V相、W相に設定され、各相のコイルにU相、V相、W相の三相交流を供給して励磁することにより、リニアモータ装置1が駆動される。
【0026】
また、2極励磁方法を用いる場合には、コイル13のy方向における配列間隔をPcとすると、3Pcの分だけ離間して配置された2つのコイル13がU相に設定され、U相に設定されたコイル13に隣接して配置された2つのコイル13がV相に設定され、U相に設定されたコイル及びV相に設定されたコイルに隣接するコイルがW相に設定されて駆動される。尚、推力発生の観点からは、1極励磁方法よりも2極励磁方法を用いることが好ましい。以上のような励磁方法により、リニアモータ装置が備えるコイル13に電流が供給されることによって可動子12の推力が発生し、可動子12は固定子11に対してy方向に相対移動する。
【0027】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態によるリニアモータ装置が備える固定子の外観斜視図であり、図6は、図5中のB−B線の断面矢視図である。本実施形態のリニアモータ装置が備える固定子は、H字の断面形状を有するキャン31と、キャン31をy方向における端部において固定する固定部材32a,32bと、キャン31の強度を補強するためにキャン31のx方向における端部に設けられた補強部材33(33a〜33d)、補強部材34(34a〜34d)とを含んで構成される。尚、図6においては、キャン31に収容されたコイルは図示を省略している。
【0028】
尚、第1実施形態と同様に、キャン31は、y方向に配列されたコイル列(図5においては図示省略)を収容し、非磁性ステンレス材で形成された環状の部材であって、その内部に冷却液が導入される。また、キャン31は非磁性ステンレス材に限られるわけではなく、非磁性であってステンレス材程度又はそれ以上のヤング率を有する材質で形成することも可能である。更には、渦電流発生による粘性抵抗を考慮してCFRP(炭素繊維強化プラスチック)やセラミックス等で形成することも可能である。また、補強部材34は、キャン31をなす非磁性ステンレス材よりも比重量が小さい非磁性材料、例えばアルミニウムで形成されている点において第1実施形態と同様である。
【0029】
前述した第1実施形態においては、補強部材18,19をかしめて機械的にキャン15に当接させていたが、本実施形態においては、ネジ締結により補強部材33,34をキャン31に機械的に当接させている点において相違する。図5に示すように、キャン31のx方向における両端部(補強部材33,34が当接する位置)にはy方向に沿って複数のナット35(図7参照)がキャン31に溶接されており、補強部材33,34にはナット35が取り付けられた位置に対応してネジを取り付けるための孔部36が形成されている。
【0030】
図6に示すように、孔部36を介してネジ37をナット35に締結することで、補強部材33,34をキャン31に機械的に当接させている。ここで、ネジ締結部の構成についてより詳細に説明する。図7は、本発明の第2実施形態によるリニアモータ装置のネジ締結部の詳細を示す拡大断面図である。尚、図7においては、補強部材33dとキャン31とのネジ締結部を図示している。
【0031】
図7に示すように、キャン31のナット35が溶接される位置にはナット35のネジ孔よりも径が大に設定された凹部38が形成されており、この凹部35の周囲においてナット35がキャン31に溶接されている。この凹部38は、ネジ37の足の部分(ネジが切ってある部分)がナット35の高さよりも長く設定されており、ネジ37をナット35に締結したときに、ネジ37の足の部分がナット35よりも突出した状態になるため、ネジ37の締結によるキャン31の変形を防止すべく形成される。
【0032】
また、補強部材33dの裏面(キャン31に対面する側の面)であって、孔部36が形成された位置及びその周囲には、高さ(深さ)がナット35の高さより僅かに小さく設定された切欠部39が形成されている。よって、ナット35の位置と孔部36の位置とが一致するように補強部材33dをキャン31の一方の端部に嵌め込むと、ナット35が切欠部39内に配置され、ナット35の上面と切欠部39の切欠面39aとが当接した状態になる。かかる状態で孔部36にネジ37を嵌め込み、ネジ37とナット35とを締結すると、キャン31と補強部材33dとが僅かの隙間40をもって固定されるとともに、ネジ締結部において機械的に当接する。
【0033】
尚、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、キャン31と補強部材33,34との間に、キャン31と補強部材33,34とを補助的に締結するエポキシ系の接着剤を設けても良い。また、図7においてはキャン31に凹部38を形成していたが、必ずしもキャン31に凹部38を形成する必要はない。キャン38に凹部38を形成しない場合には、足の部分がナット35の高さよりも短いネジを用いれば良い。
【0034】
〔その他の実施形態〕
上述した第1実施形態においては、補強部材18,19自体の形状によりキャン15に機械的に当接させ、第2実施形態においては、キャン31と補強部材33,34とをネジ締結により機械的に当接させる形態について説明したが、キャンに棒状のピンを溶接により取り付けるとともに、このピンの取り付け位置に応じて補強部材に孔部を設け、ピンを孔部に通した後でピンをかしめることにより、キャンと補強部材とを機械的に当接させるようにしても良い。
【0035】
また、上記実施形態においては、ネジ締結部がy方向に沿ってほぼ均一な間隔で設けられていたが、ネジ締結部をキャンのy方向の位置に応じて可変するようにしても良い。例えば、図5に示したキャン31はy方向に延びた形状であるため、冷却液による応力はy方向における両端部よりも中央部において大きくなる。このため、y方向におけるキャン31の両端部に設けられるネジ締結部の数よりも、中央部に設けられるネジ締結部の数を多くすることが好ましい。また、以上説明した実施形態においてはドッグボーン型の固定子を有するリニアモータ装置について説明したが、本発明はこれに限られず、コイル13を段差のない平坦な長円形のコイルとしてこれをy方向に配列し、断面ロの字型のキャンの内部に収納した固定子を有するリニアモータ装置とすることもできる。更に、以上説明した実施形態においては、ムービングマグネット型のリニアモータ装置について説明したが、ムービングコイル型のリニアモータ装置についても同様に適用することができる。
【0036】
〔ステージ装置及び露光装置〕
次に、上述したリニアモータ装置を備えるステージ装置及び露光装置について詳細に説明する。図8は、本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。本実施形態においては、図8中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと感光基板としてのウェハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウェハWに転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0037】
尚、以下の説明においては、図8中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向(投影光学系PLの光軸AXに沿った方向)に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態では露光中(パターン転写中)にレチクルR及びウェハWを移動させる方向(走査方向)をY方向に設定している。尚、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
【0038】
図8に示す露光装置51は、照明光学系IU、ステージ装置54、投影光学系PL、ステージ装置57、及びリアクションフレーム58から概略構成されている。照明光学系IUは、光源(不図示)からの露光用照明光によりマスクとしてのレチクルR上の矩形状(又は円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する。ステージ装置54は、レチクルRを保持して移動するマスクステージとしてのレチクルステージ52とレチクルステージ52を支持するレチクル定盤53とを含んで構成される。投影光学系PLは、レチクルRに形成されたパターンを縮小倍率1/α(αは、例えば5又は4)で感光基板としてのウェハW上に投影する。ステージ装置57は、ウェハWを保持して移動する基板ステージとしてのウェハステージ55とウェハステージ55を保持するウェハ定盤56とを含んで構成される。リアクションフレーム58は、上記ステージ装置54及び投影光学系PLを支持する。
【0039】
照明光学系IUは、リアクションフレーム58の上面に固定された支持コラム59によって支持される。尚、露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、又はArFエキシマレーザ光(波長193nm)若しくはFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)等が用いられる。リアクションフレーム58は、床面に水平に載置されたベースプレート60上に設置されており、その上部側及び下部側には、内側に向けて突出する段部58a,58bがそれぞれ形成されている。
【0040】
ステージ装置54の一部をなすレチクル定盤53は、各コーナーにおいてリアクションフレーム58の段部58aに防振ユニット61を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口53aが形成されている。尚、図8においては、X方向に配置された防振ユニット61のみを図示しており、Y方向に配置された防振ユニットは図示を省略している。
【0041】
尚、レチクル定盤53の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット61は、内圧が調整可能なエアマウント62とボイスコイルモータ63とが段部58a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット61によって、ベースプレート60及びリアクションフレーム58を介してレチクル定盤53に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている(Gは重力加速度)。
【0042】
レチクル定盤53上には、レチクルステージ52がレチクル定盤53に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ52の底面には、複数のエアベアリング(エアパッド)64が固定されており、これらのエアベアリング64によってレチクルステージ52がレチクル定盤53上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ52の中央部には、レチクル定盤53の開口53aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口52aが形成されている。
【0043】
ここで、レチクルステージ52について詳述する。図9は、本発明の一実施形態による露光装置に設けられるレチクルステージの外観斜視図である。尚、図9に示したレチクルステージは、本発明にいうステージ装置に相当するものでもある。図9に示すようにレチクルステージ52は、レチクル定盤53上を一対のYリニアモータ65,65によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ66と、このレチクル粗動ステージ66上を一対のXボイスコイルモータ67Xと一対のYボイスコイルモータ67YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ68とを備えた構成になっている。このように、レチクルステージ52は、レチクル粗動ステージ66とレチクル微動ステージ68とから構成されるが、図8においては簡略化して図示している。
【0044】
各Yリニアモータ65は、レチクル定盤53上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)69によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子70と、この固定子70に対応して設けられ、連結部材72を介してレチクル粗動ステージ66に固定された可動子71とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ66の+Y方向の移動に応じて、固定子70はカウンターマスとして−Y方向に移動する。尚、Yリニアモータ65は、前述したリニアモータ装置が用いられる。
【0045】
この固定子70の移動によりレチクル粗動ステージ66の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。尚、Yリニアモータ65における可動子71と固定子70とはカップリングされているため、これらが相対移動した際には、元の位置に止まろうとする力が作用する。そのため、本実施の形態では、固定子70が所定の位置に到達するようにその移動量を補正する不図示のトリムモータが設けられている。
【0046】
レチクル粗動ステージ66は、レチクル定盤53の中央部に形成された上部突出部53bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド101,101によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ66は、これらYガイド101,101に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
【0047】
レチクル微動ステージ68は、バキュームチャックBCを介してレチクルRを吸着保持するようになっている。レチクル微動ステージ68の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡102a,102bが固定され、また、レチクル微動ステージ68の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡103が固定されている。そして、これらのY移動鏡102a,102b及びX移動鏡103に対して、測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ52のX方向及びY方向の位置並びにZ軸回りの回転θZが高精度に計測される。
【0048】
図8に戻り、投影光学系PLは、複数の屈折光学素子(レンズ素子)を含んで構成され、物体面(レチクルR)側と像面(ウェハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有する。尚、投影光学系PLが備える複数のレンズ素子の硝材は、露光用照明光の波長に応じて、例えば石英又は蛍石が選択される。照明光学系IUから射出される照明光がレチクルRを照明すると、レチクルRを透過した照明光が投影光学系PLに入射し、レチクルに形成されたパターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影されたパターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウェハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0049】
投影光学系PLに設けられる(投影光学系PLを構成する)レンズ素子の一部(例えば、5つのレンズ素子)は圧電素子を用いたアクチュエータ、磁歪アクチュエータ、流体圧アクチュエータ等の駆動源によって、光軸AX方向(Z方向)に移動可能且つX方向又はY方向を軸として傾斜(チルト)可能に構成されている。これらの移行可能及び傾斜可能に構成されたレンズ素子の1つの姿勢を調整することにより、又は、複数のレンズ素子の姿勢を互いに関連付けて調整することにより、例えば投影光学系PLで生ずる5つの回転対称収差及び5つの偏心収差を個別に補正することができる。ここでいう5つの回転対称収差とは、倍率、ディストーション(歪曲収差)、コマ収差、像面湾曲収差、及び球面収差をいう。また、5つの偏心収差とは、偏心ディストーション(歪曲収差)、偏心コマ収差、偏心アス収差、及び偏心球面収差をいう。
【0050】
投影光学系PLは、リアクションフレーム58の段部58bに防振ユニット74を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤75に、光軸AX方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ73が係合している。ここで、防振ユニット74は、鏡筒定盤75の各コーナーに少なくとも3箇所配置され、内圧が調整可能なエアマウント76とボイスコイルモータ77とが段部58b上に直列に配置された構成になっている。尚、図8においては、X方向に配置された防振ユニット74のみを図示しており、Y方向に配置された防振ユニットは図示を省略している。これらの防振ユニット74によって、ベースプレート60及びリアクションフレーム58を介して鏡筒定盤75(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている。
【0051】
ステージ装置57は、ウェハステージ55、このウェハステージ55をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウェハ定盤56、ウェハステージ55と一体的に設けられウェハWを吸着保持する試料台ST、これらウェハステージ55及び試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウェハステージ55の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)78が固定されており、これらのエアベアリング78によってウェハステージ55がウェハ定盤56上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0052】
ウェハ定盤56は、ベースプレート60の上方に、防振ユニット79を介してほぼ水平に支持されている。防振ユニット79は、ウェハ定盤56の各コーナーに少なくとも3箇所配置され、内圧が調整可能なエアマウント80とボイスコイルモータ81とがベースプレート60上に並列に配置された構成になっている。
尚、図8においては、X方向に配置された防振ユニット79のみを図示しており、Y方向に配置された防振ユニットは図示を省略している。これらの防振ユニット79によって、ベースプレート60を介してウェハ定盤56に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている。
【0053】
ここで、ウェハステージ55について詳述する。図10は、本発明の一実施形態による露光装置に設けられるウェハステージの外観斜視図である。尚、図10に示したウェハステージは、本発明にいうステージ装置に相当するものでもある。図10に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には磁石列を有する可動子86,86がそれぞれ設けられている。これらの可動子86,86に対応するコイル列を有する固定子87,87は、ベースプレート60に突設された支持部82,82に設けられている(図8参照。尚、図8では可動子86及び固定子87を簡略して図示している)。
【0054】
これらの可動子86及び固定子87によってリニアモータ83,83が構成されており、可動子86が固定子87との間の電磁気的相互作用により駆動されることでXガイドバーXGがY方向に移動し、リニアモータ83,83の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ83によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウェハステージ55(及び試料台ST、以下単に試料台STという)がY方向及びθZ方向に駆動されるようになっている。
尚、リニアモータ83,83は、前述したリニアモータ装置が用いられる。
【0055】
また、XガイドバーXGの−X方向側には、Xトリムモータ84の可動子が取り付けられている。Xトリムモータ84は、X方向に推力を発生することでXガイドバーXGのX方向の位置を調整するものであって、その固定子(不図示)はリアクションフレーム58に設けられている。このため、ウェハステージ55をX方向に駆動する際の反力は、リアクションフレーム58を介してベースプレート60に伝達される。
【0056】
試料台STは、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウェハステージ55は、XガイドバーXGに埋設された固定子を有するXリニアモータ85による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウェハステージ55に取り付けられている。試料台STの上面には、ウェハホルダ91を介してウェハWが真空吸着等によって固定される(図8参照。図10では図示略)。尚、Xリニアモータ85も、前述したリニアモータ装置が用いられる。
【0057】
尚、上記リニアモータ83よりもXリニアモータ85の方がウェハステージ55上に載置されるウェハWに近い位置に配置されている上、Xリニアモータ85の可動子が試料台STに固定されている。このため、Xリニアモータ85は発熱源であるコイルがウェハWから遠くに位置する固定子となり、発熱源とならない磁石が可動子となるように、ムービングマグネット型のリニアモータを用いることが望ましい。また、リニアモータ83は、Xリニアモータ85、XガイドバーXG、及び試料台STを一体とし駆動するため、Xリニアモータ85より遙かに大きい推力を必要とする。そのため、多くの電力を必要とし発熱量もXリニアモータ85より大きくなる。この点を考慮して、全体的に発熱量が小さくなるようにリニアモータ83としてムービングコイル型のリニアモータを用いることができる。一方、発熱源であるコイルは冷却液の循環により冷却されるので、冷却液循環のための配管が必要となる。この点を考慮して、配管部分が連動しないようにコイルを固定子とするムービングマグネット型のリニアモータを用いることもできる。
【0058】
ウェハステージ55のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡92(図8参照)を基準として、ウェハステージ55の一部に固定された移動鏡93の位置変化を計測する図8に示したレーザ干渉計94によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。尚、上記参照鏡92、移動鏡93、レーザ干渉計94とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計及び移動鏡によってウェハステージ55のY方向の位置が計測される。尚、これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウェハステージ55(ひいてはウェハW)のX方向の位置及びY方向の位置のみならず、X,Y,Z各軸まわりの回転量をも求めることができるようになっている。
【0059】
更に、図8に示すように、投影光学系PLのフランジ73には、異なる3カ所に3つのレーザ干渉計95が固定されている(ただし、図8においてはこれらのレーザ干渉計のうち1つを代表して図示している)。各レーザ干渉計95に対向する鏡筒定盤75の部分には、開口75aがそれぞれ形成されており、これらの開口75aを介して各レーザ干渉計95からZ方向のレーザビーム(測長ビーム)がウェハ定盤56に向けて照射される。ウェハ定盤56の上面の各測長ビームの対向位置には、反射面がそれぞれ形成されている。このため、上記3つのレーザ干渉計95によってウェハ定盤56の異なる3点のZ位置がフランジ73を基準としてそれぞれ計測される。
【0060】
次に、以上説明した構成の露光装置の露光時の動作について簡単に説明する。
露光動作が開始されると、不図示のステージコントローラがレチクルステージ52及びウェハステージ55を加速させ、レチクルステージ52及びウェハステージ55が所定の速度に達したときに、不図示の主制御系が照明光学系IUから照明光を射出させ、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域を均一な照度で照明させる。
【0061】
この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して光学的に共役な露光領域に対してウェハWを走査する。これにより、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/α倍に縮小され、レジストが塗布されたウェハW上にパターンの縮小像が投影される。そして、ウェハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウェハW上のショット領域に転写される。1つのショット領域に対してパターン転写が終了すると、例えばX方向にウェハWをステップ移動させて次にパターンを転写すべきショット領域を露光開始位置に移動させる。その後、不図示のステージコントローラがレチクルステージ52及びウェハステージ55を加速させ、上述した動作と同様の動作を繰り返す。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態で挙げた光源以外に、Krレーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。更に、光源としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。
【0063】
特に、発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちFレ−ザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちFレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0064】
また、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。
【0065】
また、本発明のステージ装置は、露光装置に設けられるステージ装置のみならず、物体を載置した状態で移動させる(1次元的な移動又は2次元的な移動に制限されない)ステージ装置を制御する場合一般について適用することが可能である。
【0066】
次に、本発明の一実施形態による露光装置を用いたマイクロデバイスの製造方法の実施形態について簡単に説明する。図11は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図11に示すように、まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0067】
次に、ステップS13(ウェハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0068】
図12は、半導体デバイスの場合における、図11のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。図12において、ステップS21(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0069】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、収容するコイルを冷却するために内部に冷却液が供給される収容部材と補強部材とを機械的に当接させているため、収容部材の総合的な剛性を高めることができるという効果がある。
また、収容部材と補強部材とを機械的に当接させることにより、長期に亘って安定した剛性を保つことができるという効果がある。
また、補強部材は収容部材よりも比重量が小さいため、リニアモータ装置の重量増加を抑えることができるという効果がある。
このため、収容部材及び補強部材を可動子に含めた構成とした場合には同一の推力が与えられたときの著しい加速度低下が引き起こされることはなく、可動子を高速且つ精確に移動させる上で好適であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるリニアモータ装置の外観構成を示す斜視分解図である。
【図2】図1中のA−A線の断面矢視図である。
【図3】コイル13及びコイル列14の構成を示す図である。
【図4】キャン15と補強部材19との接合部の拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるリニアモータ装置が備える固定子の外観斜視図である。
【図6】図5中のB−B線の断面矢視図である。
【図7】本発明の第2実施形態によるリニアモータ装置のネジ締結部の詳細を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による露光装置に設けられるレチクルステージの外観斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による露光装置に設けられるウェハステージの外観斜視図である。
【図11】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図12】半導体デバイスの場合における、図11のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。
【符号の説明】
10  リニアモータ装置
11  固定子(コイルユニット)
12  可動子(磁石ユニット)
13  コイル
15  キャン(収容部材)
18  補強部材
19  補強部材
30  固定子(コイルユニット)
31  キャン(収容部材)
33  補強部材
34  補強部材
51  露光装置
52  レチクルステージ(マスクステージ)
55  ウェハステージ(基板ステージ)
R   レチクル(マスク)
W   ウェハ(感光基板)

Claims (7)

  1. コイルを収容する収容部材を有し、当該収容部材の内部に冷却液が供給されるコイルユニットと磁石ユニットとを備えるリニアモータ装置において、
    前記コイルユニットと前記磁石ユニットとの相対移動方向に沿って延在して前記コイルユニットと機械的に当接し、前記収容部材の材質よりも比重量が小さい非磁性体材料で形成された補強部材を有することを特徴とするリニアモータ装置。
  2. 前記補強部材は、前記相対移動方向に直交する面内における断面形状が略コの字型形状であって、前記収容部材を前記コの字型の開口部で挟んで機械的に当接することを特徴とするリニアモータ装置。
  3. 前記補強部材は、前記相対移動方向に沿った複数箇所でネジ締結により機械的に前記収容部材と当接していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のリニアモータ装置。
  4. 前記収容部材に対する前記補強部材の機械的な締結部は、前記相対移動方向における前記収容部材の端部よりも前記収容部材の中央部において数多く設けられていることを特徴とする請求項3記載のリニアモータ装置。
  5. 前記補強部材は、かしめにより前記収容部材と機械的に当接していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のリニアモータ装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載のリニアモータ装置によりステージ部が駆動されることを特徴とするステージ装置。
  7. マスクに形成されたパターンを感光基板に転写する露光装置であって、
    前記マスクを載置するマスクステージと、
    前記感光基板を載置する基板ステージとを備え、
    前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方として、請求項6記載のステージ装置を備えることを特徴とする露光装置。
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