JP2004087525A - 機能部材および機能部材の製造方法 - Google Patents

機能部材および機能部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価かつ簡単な方法により、磁気特性の異なる機能部材を作る。
【解決手段】強磁性の親粒子2として還元鉄粉を用いる(S1)と共に、子粒子3にマグヘマイトを用いて(S2)、メカノヒュージョン法により被膜形成を行い(S3)、親粒子2の表面に子粒子3の被膜を形成して磁性絶縁性部6を作る。そして、加圧成形を行い(S4)、磁性絶縁性部6に加熱処理を施す(S5)ことにより、磁性絶縁性部6の中で子粒子3が変態して得られた非磁性絶縁性部7を有する機能部材1を作る(S6)。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一部材において位置により物質的特性が変化する機能部材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一つの部材の部位(位置)によって異なる物質的特性値を有する機能材料が知られている。例えば、磁気は伝えるが電気は遮断する部位と、磁気および電気を遮断する部位を共に有するものとして、リニアソレノイドのヨークがあげられる。
【0003】
そこで、リニアソレノイドのヨークを、一例に取って説明する。一般的に、リニアソレノイドは、ボビンに巻かれたコイルに対して、軸方両側からヨーク(フロントヨークおよびリアヨーク)が配設される。そして、フロントヨークあるいはリアヨークには孔が形成され、その孔の内径にはプランジャが配設され、プランジャはフロントヨークおよびリアヨークの孔の内壁に沿って移動する。この様な構成のリニアソレノイドでは、コイルで発生した磁界はフロントヨークで磁束に変換され、磁束はフロントヨークからプランジャに伝達される。プランジャに伝達された磁束は、エアギャップを介してリアヨークに伝達され、リアヨークからコイルに戻る閉ループの磁気回路を形成する。
【0004】
コイルで発生した磁界によって形成される磁束を効率よくフロントヨークを介してプランジャに伝え、プランジャから効率よくリアヨークに磁束を伝達するには、コイルで発生した磁束を磁気回路中で効率良く、有効に伝播させることが必要になる。このため、磁界を効率良く伝播させるためには、フロントヨークとリアヨークとの間に磁気を通しにくい部位を設けることが必要である。
【0005】
そこで、従来では軸方向に配設される2つのヨークの間隙(カラーと称す)に、合成樹脂を充填し、充填された合成樹脂により2つのヨーク部品を接続する構造にしていた。しかし、2つのヨークを別々に作った後、合成樹脂の充填によってカラーを一体化するには、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、近年ではこの様な絶縁性や磁気特性を、複合材を用いて単独に作る数々の提案がなされている。例えば、特開昭64−13705号公報では、平均粒径が1〜5μmから成るFe−Al−Si合金(センダスト)、Fe−Ni合金(パーマロイ)の金属粒子と、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライトの絶縁粒子とを攪拌混合し、電気抵抗を増大させた複合材料を作る方法が示されている。
【0007】
また、特開平5−47541号公報では、遷移金属を含むセンダスト合金、パーマロイ合金、ソフマックス合金、パーメンジュール合金等々からなる粒径5〜100μmの粒子と、高抵抗軟磁性物質であるMn−Zn、Mn−Mg、Ni−Zn、Cu−Zn、Ni−Cu−Znフェライト等々からなる粒径0.02〜10μmの粒子を、メカノヒュ−ジョンで被覆させた後、プラズマ活性化させる方法が取られる。更に、特開平5−326289号公報では、Fe−Al合金の粉体を大気中で酸化させることによって、表面に鉄とアルミの酸化物を形成し、この後高温高圧下で高密度に充填し、ブロックとして各種コア形状に接合する方法が取られる。更にその上、特開平6−10001号公報では、鉄をベースとする粒径70〜100μmの金属粒子と、鉄をベースとする粒径15μm以下の合金粉末を、ポリアルキレンオキシドからなる有機結合剤で結合する方法が取られる。その他、特開平8−167519号公報では、鉄を主成分とする軟磁性金属粉体を300〜800℃の大気雰囲気中にさらして、表面に酸化膜を形成し、この酸化膜の表面にCrまたはPを含むガラス状絶縁体で被覆する。特開平11−251131号公報では、鉄を主成分とする磁性合金をリン酸塩処理によって絶縁被膜を形成し、これに熱硬化性樹脂を混合し、この後圧縮成形して粒子を作る。リン酸塩の膜厚を30〜60nmとし、熱硬化性樹脂の粒径を100μm以下とし、その重量比を1〜3重量%で添加し、2Ωcm以上の体積固有抵抗を得る方法が示される。
【0008】
なお、ヨーク部品および2つのヨークの間隙が、電気的に絶縁材料で構成されることが必要である理由は、コイル部品を形成する絶縁被膜が形成された電線には、必ず一部分絶縁被覆にピンホールがあるためである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特開昭64−13705号公報では、高透磁率の合金材料からなる粒子と軟磁性性フェライトの粉体との複合化が示されているが、部品を構成する2種類の単位粒子を単に機械的に混合するため、複合化された部品はフェライトの混合割合に応じて電気抵抗が多少増大する効果はある。しかし、複合化された部品においては、合金材料が互いに接触し、十分な絶縁性が得られない。
【0010】
特開平5−47541号公報においては、高透磁率の合金からなる粒子の表面に非磁性で電気的に絶縁性をもつ膜を形成させる複合化が開示されているが、非磁性の物質を磁性粒子の表面に形成させるため、複合化された粒子からなる部品の磁気特性は大きく低下してしまう。
【0011】
また特開平5−326289号公報においては、鉄・アルミニウム合金を大気中で酸化させ、粒子の表面に鉄とアルミニウムの酸化物を形成することで、単位粒子の電気抵抗を増大させているが、この場合には、ヘマタイト(αFe203)と酸化アルミニウム(Al203)が形成され、いずれの酸化物も非磁性体であるため、Fe−Al合金の磁気特性を大きく低下させてしまう。
【0012】
更に、特開平6−10001号公報の如く、金属粒子を非磁性の有機結合剤で結合させたり、特開平8−167519号公報の如く、非磁性のガラス絶縁体で磁性金属粒子を被覆させたり、特開平11−251131号公報の如く、リン酸塩の絶縁被覆層と結合剤として使用しているが、熱硬化性樹脂のいずれもが非磁性体であるため、非磁性の結合剤あるいは非磁性の被覆剤によって、磁性粒子の磁気特性は大きく低下する。
【0013】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、磁気特性を低下させることなく、一部に磁性絶縁性の特性を有し、他部に非磁性絶縁性の特性を有する機能部材およびその製造方法を提供すること、および、安価に機能部材を作ることを技術的課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜が形成された磁性絶縁性部と、該磁性絶縁性部に加熱処理が施されることによって前記子粒子が結晶変態して形成された非磁性絶縁性部とを有したことである。
【0015】
上記した手段によれば、強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜が形成されることにより、磁性絶縁性部が形成される。そして、この磁性絶縁性部に加熱処理が施されることによって、子粒子が結晶変態して非磁性絶縁性部が形成され、磁性絶縁性部の子粒子を所定温度以上に昇温することで、子粒子の磁気特性が変化して磁性絶縁性部が非磁性絶縁性部に変えることが可能である。このため、常磁性体に結晶変態する物質を子粒子に用いれば親粒子と子粒子とを用いて、子粒子の特性を加熱処理により変化させるだけで磁気特性が変わり、あえて異なる材質から非磁性絶縁性部を構成しなくても、磁性絶縁性部と非磁性絶縁性部との間で高い絶縁性を持たせることが可能となる。
【0016】
この場合、親粒子は還元鉄粉から成れば、還元鉄粉は塑性変形し易く、子粒子の被膜が形成された親粒子が塑性変形によって絡み合って親粒子同士の結合が強固となる。
【0017】
また、子粒子は、マグヘマイトから成れば、単に加熱処理が施されることにより結晶変態を起こしてヘマタイトに変化し、結晶変態温度が723K(450℃)近辺で磁気特性が強磁性体から常磁性体に変態する。これによって、例えば、比抵抗が10Ωcmと成る非磁性絶縁性部が形成されるので、非磁性絶縁性部として別部材を組み合わせることなく、安価に絶縁性の高い非磁性絶縁部が形成される。
【0018】
更に、親粒子は粒径が100〜250μm、子粒子は粒径が0.1〜0.4μmであれば、親粒子(還元鉄粉)の表面に子粒子(マグヘタイト)の極薄い被膜が形成される。これは、子粒子の粒径が大きいと、親粒子の周囲に形成される子粒子による被膜が親粒子より先に磁化を飽和させ、この結果親粒子の磁化を遅らせるので、親粒子は粒径を100〜250μm、子粒子の粒径を0.1〜0.4μmとして、親粒子に対する子粒子の粒径を十分に小さくすることにより、被膜の反磁界としての作用を著しく低減させられる。
【0019】
また、上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜を形成する工程と、前記被膜が形成された親粒子が磁性絶縁性部と成り、該磁性絶縁性部の所定部位を加熱処理して非磁性絶縁性部を形成する工程から成るものとした。
【0020】
上記した手段によれば、強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜を形成し、被膜が形成された親粒子が磁性絶縁性部と成る。そして、磁性絶縁性部の所定部位を加熱処理して非磁性絶縁性部を形成すれば、磁性絶縁性部と非磁性絶縁性部とを有する機能部材が簡単な製造工程により形成される。
【0021】
この場合、被膜の形成には、メカノヒュージョン法を用いれば、親粒子と子粒子とが、メカノヒュージョンの摩擦力を利用して強固な結合となり、親粒子を塑性変形させる際に、親粒子の表面に形成された子粒子の被膜の剥離が防止される。
【0022】
また、加熱処理には、レーザー照射または高周波加熱を用いれば、簡単なレーザー照射や高周波加熱によって、機能部材の磁性絶縁性部の中で簡単な方法により局部的に磁気特性を変化させて非磁性絶縁性部を作ることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態では、強磁性体の2種類の粒子を用いることによって作られ、一部材の中で、磁気は通すが電気的に絶縁された磁性絶縁性部6と、磁気及び電気を絶縁する非磁性絶縁性部7とを有し、部位によって磁気特性が異なる機能部材1(図1参照)について、以下に説明する。例えば、上記した機能部材1は、電磁弁(リニアソレノイド)20のヨーク10a等に適用が可能である。
【0025】
そこで、機能部材1が適用されるリニアソレノイド20について、図2を参照して説明する。
【0026】
リニアソレノイド20は印加される電圧をリニアに変化させることによってプランジャ14の位置を、軸方向においてリニアに変化させる機能を有する。一機能部材であるヨーク1aは、円筒状のケース11内に配設される。ヨーク1aは軸方向両端に径方向に延在する円周状のフランジを有し、このフランジによって形成される中央の凹部には、ボビン12に巻かれたコイル13が配設される。ヨーク1aの中央には小径孔と大径孔を有する貫通孔が軸方向にあけられ、小径孔には軸受が配設され、軸受により一方が軸支されたプランジャ14が大径孔に配設されて、プランジャ14はヨーク1aの大径孔の内壁に沿って移動することが可能である。
【0027】
ヨーク1aは、磁束が内部を通過する様に磁性絶縁性の特性を有し、磁性絶縁性部6となるが、ヨーク1aの軸方向の略中央には、磁気および電気を遮断する非磁性絶縁性部7が一体で設けられている。また、ヨーク1aは非磁性絶縁性部7となるカラー7aによって、カラー両端の磁束は軸方向に流れない構成となっている。
【0028】
次に、上記した構成のリニアソレノイド20の動作について説明する。リニアソレノイド20は、図示しないコネクタからコイル13に対して通電がなされる。そこで、コイル13に通電がなされると、コイル13の通電により発生した磁束は、ヨーク(例えば、図5に示す左側)1aからヨーク10aとプランジャ14との間のエアギャップを介してプランジャ14に伝達される。そして、コイルで発生した磁束は、プランジャ14からヨーク(例えば、図5に示す右側)1aを通って、再度コイルに戻ることにより、閉ループの磁気回路が形成される。この場合、コイル13に通電した電流に比例する磁束が生じる。その結果、電磁力がプランジャ14に作用し、プランジャ14は軸方向(図5に示す右方向)に引かれ、ヨークの大径孔の内壁に沿って移動する。
【0029】
ここで、プランジャ14がヨーク1aの内壁に沿って摺動を行う際、プランジャ14とヨーク1aとの同軸度が確保されていないと、プランジャ14の移動にはヒステリシス特性をもつ支障をきたすが故に、プランジャ14とヨーク1aとの同軸度を確保する必要性がある。また、これと同時にヨーク1aの磁気的な機能を十分に確保すると共に、カラー9aの部位での絶縁性を十分に確保し、安価に同軸度を確保する構成を見出した。
【0030】
つまり、本実施形態ではヨーク1に代表される機能部品10に要求される強度確保を、以下に示す3つの観点から向上を図った。一つは、一部材の中で異なる機能を粒子の材質の組み合わせによって見出した。二つ目は、磁性絶縁性部を形成する材質と、非磁性絶縁性を形成する材質を同一材料から構成した。三つ目は、親粒子として粗大粒子の還元鉄粉を用いることによって、圧力を加えることで不規則な還元鉄粉同士を互いに絡み合わせ、塑性変形させることにより、粒子間で絡み合わせることによって、機能部材10の機械的強度を向上させる様にした。
【0031】
そこで、この様な構成を実現するための、親粒子2について最初に説明する。
【0032】
本実施形態では、親粒子2として、例えば、粒子径が100〜250μmの塑性変形し易い還元鉄粉を用いた。この還元鉄粉は加圧成形を行う際に過大な圧力を作用させ、粒子径が異なる還元鉄粉を再配列させ、さらに還元鉄粉を互いに絡め合わせて各粒子間の間隙8を微小にすることにより、粒子間の磁気ギャップをできる限り小さくして、磁気特性の低下を抑制した。
【0033】
次に、親粒子2の表面を絶縁する被膜を形成するための子粒子3について説明する。この子粒子3には、強磁性絶縁性の微粒子を用いることが可能であり、例えば、Ni−Znフェライト、Mn−Znフェライト、及び、これらのフェライトとMgフェライトとの混晶や、マグネタイト、マグヘマイト等を用いることが可能である。この中で、マグヘマイトは所定温度にてヘマタイトに結晶変態を起こし、強磁性体から常磁性体に特性が変態する物質として知られている。マグヘマイトは、450℃近辺で強磁性のマグヘマイトγFe203から常時性のヘマタイトαFe203に変態する。ヘマタイトはFe2+が存在しないので、比抵抗は上記の強磁性絶縁性の物質の中で、最も比抵抗が高いNi−Znフェライトの比抵抗10Ωcm以上の値を有していることから、非磁性絶縁性部を形成する物質として、適切な特性を有す。
【0034】
この様な特性をもつ親粒子2と子粒子3は、摩擦力によって親粒子2の表面に子粒子3の被膜が、図3に示す模式図の如く形成される。この場合、図3に示す単体粒子が集まって集合粒子5になると、図4の模式図の状態となる。そして、この集合粒子5を加圧成形し、粒子間に存在する間隙4をなくすことによって、還元鉄粉の絶縁化を図りながら、磁気特性の低下を防止する様にした。これにより、図1の(a)に示す磁性絶縁性部6を有した機能部材1が作られる。磁性絶縁性部6の中で、図1の(b)に示すカラー7aとなる非磁性絶縁性部7は、加熱処理によって子粒子3を所定温度以上に昇温することにより、加熱処理が施された部位での磁気特性を変化させることができる。
【0035】
この過程において、子粒子3にマグヘマイトを用いれば、強磁性体から常磁性体であるヘマタイトに結晶変態するので、磁性絶縁性部6の特定部位に加熱処理を施して、非磁性絶縁性部7を形成し、磁気特性を簡単な方法により変えることができる。これは、従来技術に示した様に、非磁性絶縁性部7は、単に、磁性絶縁性部6の所定部位を加熱するだけで形成することが可能であり、磁性絶縁性部6と非磁性絶縁性部7を異なる材質から別部材により構成する必要がなくなる。よって、部品点数の削減が可能となり、フロントヨーク部とリアヨーク部とカラー部とが一体で製作することが可能になり、ヨーク部品の組み付けが容易となる。
【0036】
粒子径に関しては、子粒子3による被膜が形成された親粒子2の磁化過程において、最初に飽和磁化が小さい強磁性絶縁性の子粒子3が磁化を飽和し、その後、親粒子2の磁化が飽和する。このため、親粒子の周囲に形成された被膜が還元鉄粉の磁化を遅らせる作用をもたらすことから、被膜の反磁界としての作用を著しく低減させるには、子粒子3の被膜の厚みを鉄粉粒子の大きさに比べ著しく小さくする必要がある。このことから、針状粒子であるマグヘマイト粒子を用い、マグヘマイトの近似粒径を0.1〜0.4μmとして、マグヘマイトの被膜の厚みが、約0.02〜0.05μmという極薄い膜ができる。
【0037】
本実施形態においては、上記した還元鉄粉とマグヘマイトとを用いて被膜を形成する場合、メカノヒュージョン法を用いて、還元鉄粉の表面にメカノヒュージョン法による摩擦力およびせん断力を利用して、マグヘマイトの強固な結合力をもつ被膜を形成させている。
【0038】
次に、機能部材1を作る加圧成形について説明する。この加圧成形では、金型内に図4の状態となった集合粒子を注入し、過大な圧力を印加して、粒子間の間隙8をなくし、粒子間の圧縮密度を高めると共に、子粒子3の被膜が形成された還元鉄粉を加圧して塑性変形させる際、被膜が親粒子の塑性変形を拘束するので、マグヘマイトの被膜が多層ではなく単層となる様にする。この場合、マグヘマイトは形状が針状で、アスペクト比が5〜15の粒子によって、還元鉄粉の周囲に被膜を形成することにより、多孔質で粗雑な被膜が形成される。これをメカノヒュージョン法によって、摩擦力による親粒子2と子粒子3とを結合させれば、両粒子が接触する面でのみ共有結合が成されるため、形成された被膜は多孔質となる。しかし、多孔質である被膜を多層(2層以上)で形成してしまうと、子粒子同士の結合が行われてしまい、被膜同士の結合によって、親粒子の塑性変形が拘束されてしまうため、子粒子3は単層で形成することにより塑性変形が強固な共有結合により妨げられない様にすることができる。メカノヒュ−ジョン法では、親粒子と子粒子の嵩密度から求められる各々の粒子の投入量を予め求め、この量を装置に投入することで、親粒子の表面に子粒子からなる単層の被膜が形成される。
【0039】
更に、子粒子3としてアスペクト比が5〜15と大きい粒子を用いると、親粒子2の周囲に形成された子粒子3の被膜は粗雑な被膜となり、親粒子2の塑性変形を拘束しにくくする。
【0040】
(実施例)
次に、実施例について、図5を参照して説明する。
【0041】
この実施例では、親粒子2として、比較的粗大な粒径が100〜250μmの還元鉄粉を用いた(S1)。一方、子粒子3として、マグヘマイトの微小粒子を用いた(S2)。このマグヘマイトの粒子は形状が針状(アスペクト比が5〜15)、近似粒径は0.1〜0.4μm、であり、723K(450℃)近辺でヘマタイトに結晶変態して常磁性体になるものを用いた。ここで用いるマグヘマイトは、酸化鉄を利用した強磁性絶縁性微粒子の中では、比抵抗が10Ωcmの値を持ち、比較的抵抗率が高く、唯一、強磁性体から常磁性体に結晶変態して磁気特性が変化する物質である。マグヘマイトから結晶変態したヘマタイトは、電気伝導の担い手であるFe2+が存在しない。このため、電気伝導性が更に低く、比抵抗は10Ω−cm以上の値を持ったものであることから、非磁性絶縁性部7を形成する材質としては好ましい。
【0042】
尚、実施例で用いるヘマタイトは、260Kで反強磁性体から弱強磁性体に磁気変態し、965Kで常磁性体に磁気変態するが、弱強磁性体での比透磁率は、真空透磁率(=1.0)に近く、残留磁束密度と保磁力は共に零に近い。従って、この間の温度では、常磁性体の性質として振舞う。
【0043】
そして、これら2種類の粒子より、被膜形成を行う(S3)。ここでは、メカノヒュージョン装置を用いたメカノヒュージョン法による摩擦力およびせん断力を利用して、子粒子3を親粒子2に結合させることによって、図3に示す如く、親粒子2の表面全体に子粒子3の被膜を形成する。
【0044】
このメカノヒュージョン法では、メカノヒュージョン装置の回転ロータを回転させることにより、回転ロータ内に投入される、異なる粒子(親粒子2と子粒子3)を、インナーピースによりせん断力と摩擦力を付与して一体化する。この方法では、最初に、インナーピースと回転ロータとの間隙を設定する。本実施例では、親粒子2に最大粒径250μmの大きさを用いることを考慮して、その間隙を設定し、30分程度、メカノヒュージョン装置を回転速度が約3000rpmにて回転させる。この後、回転ロータから一体となった粒子を取り出し、被膜の付き具合を確認する。親粒子表面への子粒子3の被膜の付き具合を確認し、インナーピースと回転ロータの適正な間隙を設定する。この場合、この間隙が広い場合には、粒子間に作用する圧縮力が弱くなって粒子が結合する頻度が低減するため、粒子の結合には多くの時間を要する。一方、この間隙が狭い場合は、この粒子の組み合わせでは、親粒子の還元鉄粉の変形が進行する。この場合、回転ロータの回転速度を3000rpmより低速にすると粒子間に働くせん断力が小さくなり、粒子間の結合の頻度が低くなってしまい、被膜形成に時間を要するものとなる。
【0045】
この様な過程を経て、インナーピースと回転ロータとの適正な間隙が設定されると、今度は粒子の嵩密度に応じた粉体の投入重量を算出して粉体を秤量し、メカノヒュ−ジョン装置の回転ロータ内に投入し、回転ロータを回転させて、還元鉄粉の周囲にマグヘマイトからなる単層の被膜を形成させる。この場合、還元鉄粉表面の酸化を防止するため、窒素雰囲気中で行う様にした。
【0046】
そして、親粒子の表面に均一な被膜が形成されると、次は加圧成形を行う(S4)。この加圧成形では、マグヘマイトから成る被膜が形成された還元鉄粉を、機能部材1の形状を作る金型内に充填して、所定圧力を加える。圧粉密度の目安として、7.0Mg/mとして、徐々に圧力を高めながら加圧成形する。こうして、例えば、600MPaの加圧力を加え、圧粉密度7.0Mg/mの図1の(a)に示す成形体(機能部材1)を作る。この成形圧力に対する圧粉密度の関係は、被膜を形成しない場合の同一粒径の還元粉と略同一の特性とすることができ、この場合、還元鉄粉の塑性変形を被膜が阻害しないものとすることができる。
【0047】
次に、図1の(b)に示す成形体の磁性絶縁性部6の中で非磁性絶縁性部7となる部位を局所的に加熱処理する。この加熱処理は、非磁性絶縁性部7とする必要な部位のみを局所的に加熱を行う為に、レーザーによるレーザー照射や高周波加熱と言った方法が取られる。例えば、レーザーによる照射を行って局所を加熱する場合には、レーザーのビームを絞ることによって、局所を所定温度まで昇温させることができる。この場合、レーザーの出力とレーザーの照射時間とによって、非磁性絶縁性部7の内部温度が、例えば、被膜のマグヘマイトが結晶変態を引き起こす温度である、723K(450℃)以上になる条件を予め求めておき、この条件下でレーザーを非磁性絶縁性部7とする部位に対して照射する。尚、このレーザー照射は、窒素雰囲気中で行うと良い。
【0048】
そして、上記した工程を経て、機能部材1の中に磁性絶縁性部6と非磁性絶縁性部7を、簡単な製造工程により一体で作ることができる。
【0049】
この様にして作られたリニアソレノイド20のヨーク1aにおける非磁性絶縁部7aの圧縮強度は、従来の如く、フロントヨークとリアヨークとにより組み付けられたものより、増大させることができる。これは、粗大粒子の還元鉄粉を使用し、過大な圧力を加圧成形により印加させることで、還元鉄粉を絡み合わせて塑性変形させた事によって実現した。
【0050】
また、機能部材1の絶縁性に関しては、磁性絶縁性部6は体積固有抵抗が50KΩ、非磁性絶縁性部7は体積固有抵抗が1MΩとなる結果を得た。これは、磁性絶縁部6において、マグヘマイトの微粒子を用い、その周囲に強固な被膜を形成させたことによる効果であり、非磁性絶縁部7においては、加熱処理を行って結晶変態を生じさせ、マグヘマイトがヘマタイトに変化することによって、強固なヘマタイトの被膜が形成されることからこの様な結果が生まれた。
【0051】
更に、透磁率に関しては、磁性絶縁性部6では比透磁率が150、非磁性絶縁性部7では比透磁率が1となった。これは、磁性絶縁性部6については、マグヘマイトの微粒子を用いて、極薄い被膜を形成させたことによる結果であり、非磁性絶縁性部6については、結晶変態によってマグヘマイトがヘマタイトに変化し、ヘマタイトの極薄い被膜が形成されている効果である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜が形成されることにより、磁性絶縁性部が形成され、磁性絶縁性部の中の所定部位での子粒子を所定温度以上に昇温することで、子粒子の特性が変化して磁性絶縁性部が非磁性絶縁性部に変わる。このため、常磁性体に結晶変態する物質を子粒子に用いて、子粒子の特性を加熱処理により変化させるだけで、あえて異なる材質から非磁性絶縁性部を構成しなくても、磁性絶縁性部と非磁性絶縁性部との間で高い絶縁性を持たせることが可能となる。
【0053】
この場合、親粒子は還元鉄粉から成れば、還元鉄粉は塑性変形し易く子粒子と結合する場合、子粒子と絡み合って結合を強固とすることができる。
【0054】
また、子粒子は、マグヘマイトから成れば、単に加熱処理が施されることにより結晶変態を起こして、強磁性体から常磁性体に変態し、非磁性絶縁性部を形成することができる。つまり、非磁性絶縁性部として別部材を組み合わせることなく、安価に非磁性絶縁部を形成することができる。
【0055】
さらにまた、子粒子として針状粒子であるマグヘマイトを用いることで、親粒子の表面に形成される子粒子の被膜はポーラスな構造になり、親粒子の塑性変形が子粒子の被膜によって、抑制されることがなくなる。
【0056】
更に、親粒子は粒径を100〜250μm、子粒子の近似粒径を0.1〜0.4μmとして、親粒子に対する子粒子の粒径を十分に小さくすることにより、被膜の反磁界としての作用を著しく低減させることができる。
【0057】
また、本発明によれば、強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜を形成し、被膜が形成された親粒子が磁性絶縁性部と成り、磁性絶縁性部の所定部位を加熱処理して非磁性絶縁性部を形成すれば、機能部材の中に磁性絶縁性部と非磁性絶縁性部を簡単な製造工程により作ることができる。
【0058】
この場合、被膜の形成には、メカノヒュージョンを用いれば、親粒子と子粒子とが、メカノヒュージョンの摩擦力を利用して強固な結合にすることができる。
【0059】
また、加熱処理には、レーザー照射または高周波加熱を用いれば、簡単なレーザー照射や高周波加熱によって、機能部材の磁性絶縁性部の中で磁気特性を変化させて非磁性絶縁性部を簡単に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における機能部材を示す図である。
【図2】図1に示す機能部材をリニアソレノイドに適用した場合の断面図である。
【図3】図1に示す機能部材を構成する親粒子と子粒子を示した模式図である。
【図4】図3に示す粒子を加圧成形する場合の模式図である。
【図5】本発明の一実施形態における機能部材の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 機能部品
2 親粒子
3 子粒子
6 磁性絶縁性部
7 非磁性絶縁性部

Claims (7)

  1. 強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜が形成された磁性絶縁性部と、該磁性絶縁性部に加熱処理が施されることによって前記子粒子が結晶変態して形成された非磁性絶縁性部とを有したことを特徴とする機能部材。
  2. 前記親粒子は、還元鉄粉から成ることを特徴とする請求項1に記載の機能部材。
  3. 前記子粒子は、マグヘマイトから成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能部材。
  4. 前記親粒子は粒径が100〜250μm、前記子粒子は粒径が0.1〜0.4μmであることを特徴とする請求項3に記載の機能部材。
  5. 強磁性の親粒子に対して、強磁性絶縁性粒子から成る子粒子の被膜を形成する工程と、
    前記被膜が形成された親粒子が磁性絶縁性部と成り、該磁性絶縁性部の所定部位を加熱処理して非磁性絶縁性部を形成する工程から成ることを特徴とする機能部材の製造方法。
  6. 前記被膜の形成には、メカノヒュージョン法を用いることを特徴とする請求項5に記載の機能部材の製造方法。
  7. 前記加熱処理には、レーザー照射または高周波加熱を用いることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の機能部材の製造方法。
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