JP2004075934A - 光硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温硬化性が良好で、感光性、速硬化性、耐透湿性および接着性に優れ、硬化物の接着強度および弾性率が低く、しかも生産性も良好であり、液晶、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルにも好適に使用できる光硬化型樹脂組成物を得る。
【解決手段】(a)式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(但し、Xは水素原子又はメチル基)で表される基を分子中に少なくとも1個有する化合物、
(b)ウレタンアクリレート、(c)2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トまたは2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、(d)シランカップリング剤、および(e)重合開始剤をそれぞれ特定量含有する光硬化型樹脂組成物。
【選択図】 なし。
【解決手段】(a)式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(但し、Xは水素原子又はメチル基)で表される基を分子中に少なくとも1個有する化合物、
(b)ウレタンアクリレート、(c)2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トまたは2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、(d)シランカップリング剤、および(e)重合開始剤をそれぞれ特定量含有する光硬化型樹脂組成物。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶材料に悪影響を与えない、耐湿性および光硬化性に優れた液晶用光硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子、電気業界において種々の表示素子を利用したフラットパネルディスプレイの開発、製造が行われている。これらのディスプレイの多くはガラスやプラスチックなどのフラットパネルからなるセルに表示素子を封止したものである。その代表として、液晶(LC)ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイが挙げられる。液晶ディスプレイは、通常、ガラス基板2枚をシール剤により周囲をシールして貼り合わせ、その中に液晶を封入する。従来、シール剤には、熱硬化型エポキシ樹脂が使用されてきた。
【0003】
しかし、熱硬化型エポキシ樹脂は150℃〜180℃という高温で2時間程度加熱硬化させる必要がある。この点が生産性向上の障害となっていた。
【0004】
一方、ELディスプレイは、高輝度、高効率、高速応答性などの点で優れ、次世代のフラットパネルディスプレイとして注目を集めている。素子には、無機EL素子、有機EL素子があり、無機EL素子は時計のバックライト等で実用化されている。有機EL素子は、高輝度、高効率、高速応答性、多色化の点で無機EL素子より優れているが、耐熱性が低く、耐熱温度は60〜80℃程度である。このため、有機ELディスプレイのシールには、高温での加熱硬化を必要とする熱硬化型エポキシ樹脂は十分に硬化できず、不適当であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するため、低温速硬化が可能な光硬化型シール剤の検討が行われている。光硬化型シール剤は、大きく分け、光ラジカル硬化型シール剤と光カチオン硬化型シール剤がある。光ラジカル硬化型シール剤としては主としてアクリル系樹脂が用いられており、多様なアクリレートモノマー、オリゴマーを使用できるという利点をもっているが、耐透湿性が不十分であり、体積収縮率の低減や、接着力の更なる向上が必要とされていた。一方、光カチオン硬化型シール剤としては主としてエポキシ系樹脂が用いられており、接着性が比較的良好であるが、感光性、速硬化性、耐透湿性について更なる向上が必要とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低温硬化性が良好で、感光性、速硬化性、耐透湿性および接着性に優れ、得られる硬化物の接着強度が高く、弾性率が低く、しかも生産性も良好であり、液晶、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルにも好適に使用できる光硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記の成分からなる組成物により、上記の課題を解決することができることを見出しこの発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(a)式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(但し、Xは水素原子又はメチル基)で表わされる基を分子中に少なくとも1個有する化合物:100重量部、
(b)ウレタンアクリレート: 5.0〜60.0重量部、
(c)2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トおよび2−ヒドロキシエチルアクリレ−トからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物:1.0〜40.0重量部、
(d)エポキシ官能性基、アミノ官能性基、又はメルカプト官能性基を含有するアルコキシシラン、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を含有するアルコキシシラン、並びにテトラアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランの部分加水分解縮合物であるシランカップリング剤:0.1〜5.0重量部、および
(e)光重合開始剤: 0.1〜20.0重量部
を含有する光硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔(a)成分〕
本発明の必須成分である式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(ここで、Xは前記のとおり。)基を分子中に少なくとも1個有する化合物(以下、特定(メタ)アクリロイル基含有化合物という。)は、エポキシ化合物にアクリル酸および/またはメタクリル酸あるいは(メタ)アクリル酸の誘導体である酸クロライド等の酸ハライド、酸無水物、エステル等を反応させて得られる、グリシジル基に(メタ)アクリル酸残基が付加してグリシジル基のエポキシ環が開環した上記構造を分子中に1個又は2個以上有するものである。
【0010】
該エポキシ化合物としては、エポキシ基を1個有する化合物、およびエポキシ基を2個以上有する化合物が挙げられる。エポキシ基を1個有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等の、アルキル基、アリール基、アラルキル基等の脂肪族不飽和基を除く、通常、炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜6程度の1価炭素水素基のグリシジルエーテル化合物があり、エポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えばヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の、通常、炭素数2〜10、好ましくは炭素数3〜6程度の、アルキレン基のジグリシジルエーテル化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の、通常、炭素数3〜10、好ましくは3〜6程度の3価又は4価の飽和脂肪族炭化水素基のトリグリシジルエーテル又はテトラグリシジルエーテル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂のグリシジルエーテル化合物などのノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0011】
特に下記構造式で示される化合物が好適に使用される。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、nは、1〜10の整数)
【0014】
〔(b)成分〕
本発明で用いられる(b)成分のウレタンアクリレートは公知の方法でポリイソシアネート、ポリオールおよび水酸基含有アクリレートを反応させて得られるものである。例えば、初めにポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、高分子ポリイソシアネートを生成し、次いでそれを水酸基含有アクリレートと反応させて、末端に不飽和基を結合させることにより得られる。あるいは、初めに水酸基含有アクリレートとポリイソシアネートを反応させ、次いで得られた不飽和ポリイソシアネートとポリオールとを、場合によってはポリイソシアネート共存下に反応させて得られる。
【0015】
(b)成分の数平均分子量は、2400〜30000、特に3000〜20000であることが好ましい。
上記の製造方法において用いられる原料成分について説明する。
【0016】
ポリイソシアネートとしては、特に限定するものではないが、例えばイソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
水酸基含有アクリレートとしては、特に限定するものではないが、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
【0018】
ポリオールとしては特に限定するものではないが、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。これらのポリオールは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。好適に使用される(b)成分としては、商品名としてUX4101(日本化薬(株)製)、 UF−8001(共栄社化学(株)製)、UF−1003LN(共栄社化学(株)製)などがある。
【0019】
(b)成分の含有量としては、(a)成分100重量部当り、5.0〜60.0 重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部の範囲である。5.0重量部未満では、硬化物の低応力性が乏しくなり、割れやすくなる。また、60.0重量部を超えると、組成物の粘度がによる接着性の低下及び作業性の低下の問題がある。
【0020】
〔(c)成分〕
(c)成分である2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト または2−ヒドロキシエチルアクリレ−トは、モノマ−化合物であり、接着性及び粘度調整用希釈剤として有効である。該(c)成分は、本組成物において、特に顕著な接着力の向上に効果がある。
【0021】
(c)成分の含有量は、(a)成分100重量部当り、1.0〜40.0 重量部の範囲であり、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは10〜20重量部である。1.0重量部未満では、接着性が不十分なことがあり、また40.0重量部を超えると、希釈剤として作用する成分の割合が過大になる反面、(a)成分と(b)成分の割合が低下する結果、十分な接着性が得がたい問題がある。
【0022】
好適に使用される(c)成分としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トがある。
【0023】
〔(d)成分〕
本発明の(d)成分であるシランカップリング剤は、エポキシ官能性基、アミノ官能性基又はメルカプト官能性基を含有する、トリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシシラン等のアルコキシシラン、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を有する、トリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシシラン等のアルコキシシラン、テトラアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物である。
【0024】
上記シラン類の好ましい具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン(即ち、エポキシ官能性基含有アルコキシシラン)、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン(アミノ官能性基含有アルコキシシラン)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン(即ち、メルカプト官能性基含有アルコキシシラン)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシランが挙げられる。これらのシラン類から選ばれる1種または二種以上の部分加水分解縮合物(即ち、分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のアルコキシ基が残存するシロキサンオリゴマー)である。
【0025】
これらの中でもより好ましいものは、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物である。メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、共に水で加水分解するメトキシ基を持っている。このメトキシ基を部分加水分解することにより、活性なヒドロキシ基が生成する為、接着力が未加水分解物と比較して著しく向上する。
【0026】
(d)成分の含有量は、(a)成分100重量部当り、0.1〜5.0 重量部であり、好ましくは0.2〜4.0重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部である。0.1重量部未満では、接着性が不十分なことがあり、また5.0重量部を超えると、シリコ−ン成分の割合が高まりすぎ、光硬化性が低下しがちである。
【0027】
〔(e)成分〕
(e)成分である光重合開始剤としては、例えばビアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニルケトン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソプロピルフェノン、ジエチルチオキサントン、エチルアンスラキノン、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、これらは一種単独でも二種以上を組合せても使用することができる。市販の具体的な商品名として、例えばダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
【0028】
(e)成分の配合量は、(a)成分100重量部当り、0.1〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部である。該配合量が0.1重量部未満では所要の光硬化性が得がたく、また、20重量部を超えると、本組成物の接着性が低下し、得られる耐透湿性も不十分なものとなりがちである。
〔その他の成分〕
本発明の組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の成分、例えば他の樹脂成分、充填剤、改質剤、安定剤等を含有させることができる。
【0029】
他の樹脂成分としては、例えば、上述した(a)〜(c)成分以外のアクリル化合物が挙げられ、1官能性、2官能性、および3官能性のアクリル化合物が含まれる。2官能性アクリル化合物としては、例えば1,6−ヘキサンジオ−ルジメタクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、1,9−ノナンジオ−ルジメタクリレ−ト、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート等がある。3官能性アクリル化合物としては、例えばトリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト等がある。また他の樹脂成分としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジェン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジェン−スチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー、アクリルゴム、シリコンゴム等も挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、ジビニルベンゼン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
改質剤としては、例えば、重合開始助剤、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
〔組成物の調製および使用〕
本発明の光硬化型樹脂組成物は、各成分を均一に混合し、粘度は通常25℃において0.5〜100Pa・sになるように調製する。かかる粘度は、本組成物をフラットパネルディスプレイ等の基材に塗布する際の作業を効率的に実施するのに好適であり、得られる組成物の混合安定性が高い。粘度範囲は、25℃において1.0〜50Pa・sであることがより好ましい。組成物の粘度は、成分の種類や配合比等を選択し、場合によってはその他の成分を添加することにより調整することができる。本発明の組成物の(c)成分は常温で液状であるので、このような成分中に他の固形成分を溶解または分散させるように配合すると、上記粘度に容易に調整することができる。また、粘度が高い場合は、3本ロールミル等を使用する常法により混練すればよい。
本発明の樹脂組成物は、シール剤として適している。シール剤として使用する場合には、該樹脂組成物には必要に応じてさらに別の成分を添加することもできる。例えば、スペーサとして用いる有機または無機の粒状物などがあげられる。
【0033】
本発明の組成物を使用するシール方法は、上記のシール剤を被封止物の所要個所に塗布し、光を照射して硬化させることによりシールを形成し、封止物を得ることができる。被封止物としては、液晶、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルからなるセルが代表的なものとして挙げられるが、CCD等の半導体素子を収納するケースとリッドからなる半導体装置、その他気密状態にシールして湿気の透過を防止する構造のものが含まれる。シール剤のディスプレイ基材等の部材への塗布方法は、均一にシール剤が塗布できれば塗布方法に制限はない。例えばスクリーン印刷やディスペンサーを用いて塗布する方法等公知の方法により実施すればよい。ディスプレイセルの場合、ディスプレイ基材間にディスプレイ素子を封入するように、基材間にシール剤を介在させて貼り合わせ、光を照射することにより、シール剤を低温にて硬化させてディスプレイセルを形成する。ここで使用できる光源としては、所定の作業時間内で硬化させることができるものであればいずれでもよい。通常、紫外線光、可視光の範囲の光が照射できる光源を用いる。より具体的には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯等が挙げられる。
【0034】
照射光量は、通常、照射光量が過少である場合には、樹脂組成物の未硬化部が残存しない範囲または、接着不良が発生しない範囲で適宜選定できるが、通常400〜4000mJ/cm2である。照射量の上限は特にはないが過多である場合には不要なエネルギーを浪費し生産性が低下するので好ましくない。
【0035】
被封止物に、上記シール剤を塗布し、光照射により樹脂組成物を硬化させることにより、シール剤は硬化物となり、被封止物はシールされて封止物が得られる。こうして得られる封止物としては、例えば被封止物が液晶またはエレクトロルミネッセンス等のセルである場合には、それらのディスプレイ装置が得られ、またCCD等の半導体装置の場合も、同様にシールされた半導体装置が得られる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例に限られるものではない。なお、以下の説明において、「部」は特記しない限り「重量部」を示し、粘度は25℃における測定値である。
【0037】
〔実施例1〕
化合物A(下記の式においてn=1である化合物)100部、
【0038】
【化2】
【0039】
ウレタンアクリレ−ト(UX4101、日本化薬(株)製) 30部、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 20部、ダロキュア1173 6部、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物 3部を THINKY Conditioning mixer で5分間混合することにより、粘度 4Paの光硬化性樹脂組成物を得た。
【0040】
〔実施例2〕
化合物B(下記の式のおいてn=1〜10の混合物である化合物)100部、
【0041】
【化3】
【0042】
ウレタンアクリレ−ト(UX4101、日本化薬(株)製)30部、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 20部、ダロキュア1173 6部、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物 3部を THINKY Conditioning mixer で5分間混合することにより、粘度 10Paの光硬化性樹脂組成物を得た。
【0043】
〔実施例3〕
化合物C(下記の式において、n=1〜10の混合物である化合物)100重量部、
【0044】
【化4】
【0045】
ウレタンアクリレ−ト(UX4101、日本化薬(株)製) 30部、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト20部、ダロキュア1173 6部、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物3部を THINKY Conditioning mixerで5分間混合することにより、粘度8Paの光硬化性樹脂組成物を得た。
〔実施例4〜12〕
実施例1と同様の方法で、表1に示される割合で各光硬化性樹脂組成物を得た。
〔比較例1〜9〕
実施例1と同様の方法で、表2に示される割合で各光硬化性樹脂組成物を得た。
<評価方法>
実施例1〜12および比較例1〜9で得られた組成物の硬化物の物性を次のようにして測定した。結果を表1および表2に示す。
【0046】
a)粘度
JIS Z 8803に準じ、測定温度25℃でBrookfield HBDVIII Cone & Plate で2分後の値を測定した。
【0047】
b)接着強度
接着強度は、2枚のガラス板間に組成物を厚み100μmではさみ、光照射して硬化、接着させ、これら2枚のガラス板をガラス板に垂直な方向に引っ張り速度2mm/minで引き剥がすとき強度を測定した。
【0048】
c)信頼性テスト
4M RAMチップを20ピンSOJフレームに接着し、その電極表面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、その後光照射し、硬化物の膜を平均300μmの厚みで被覆した。作成したテストパッケ−ジを85℃、湿度85%、30V電圧印加条件下で導通試験を行ない、導通不良となるまでに要した時間を測定した。
【0049】
【表1】
(組成単位; 重量部)
【0050】
(注)
UX4101(ウレタンアクリレ−ト) : (日本化薬(株)製)、
1.9NDA: 1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート(共栄社化学(株)製)
HEMA : 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト
HEA : 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト
ダロキュア1173 :(光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
シランカップリング剤:メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物
【0051】
【表2】
(組成単位; 重量部)
【0052】
(注)
KBM13: メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
KBM403: γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、低温硬化性が良好で、感光性、速硬化性、耐透湿性および接着性に優れ、硬化物の接着強度および信頼性が高く、しかも生産性も良好であり、液晶エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルにも好適に使用できる光硬化型樹脂組成物が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶材料に悪影響を与えない、耐湿性および光硬化性に優れた液晶用光硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子、電気業界において種々の表示素子を利用したフラットパネルディスプレイの開発、製造が行われている。これらのディスプレイの多くはガラスやプラスチックなどのフラットパネルからなるセルに表示素子を封止したものである。その代表として、液晶(LC)ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイが挙げられる。液晶ディスプレイは、通常、ガラス基板2枚をシール剤により周囲をシールして貼り合わせ、その中に液晶を封入する。従来、シール剤には、熱硬化型エポキシ樹脂が使用されてきた。
【0003】
しかし、熱硬化型エポキシ樹脂は150℃〜180℃という高温で2時間程度加熱硬化させる必要がある。この点が生産性向上の障害となっていた。
【0004】
一方、ELディスプレイは、高輝度、高効率、高速応答性などの点で優れ、次世代のフラットパネルディスプレイとして注目を集めている。素子には、無機EL素子、有機EL素子があり、無機EL素子は時計のバックライト等で実用化されている。有機EL素子は、高輝度、高効率、高速応答性、多色化の点で無機EL素子より優れているが、耐熱性が低く、耐熱温度は60〜80℃程度である。このため、有機ELディスプレイのシールには、高温での加熱硬化を必要とする熱硬化型エポキシ樹脂は十分に硬化できず、不適当であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するため、低温速硬化が可能な光硬化型シール剤の検討が行われている。光硬化型シール剤は、大きく分け、光ラジカル硬化型シール剤と光カチオン硬化型シール剤がある。光ラジカル硬化型シール剤としては主としてアクリル系樹脂が用いられており、多様なアクリレートモノマー、オリゴマーを使用できるという利点をもっているが、耐透湿性が不十分であり、体積収縮率の低減や、接着力の更なる向上が必要とされていた。一方、光カチオン硬化型シール剤としては主としてエポキシ系樹脂が用いられており、接着性が比較的良好であるが、感光性、速硬化性、耐透湿性について更なる向上が必要とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低温硬化性が良好で、感光性、速硬化性、耐透湿性および接着性に優れ、得られる硬化物の接着強度が高く、弾性率が低く、しかも生産性も良好であり、液晶、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルにも好適に使用できる光硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記の成分からなる組成物により、上記の課題を解決することができることを見出しこの発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(a)式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(但し、Xは水素原子又はメチル基)で表わされる基を分子中に少なくとも1個有する化合物:100重量部、
(b)ウレタンアクリレート: 5.0〜60.0重量部、
(c)2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トおよび2−ヒドロキシエチルアクリレ−トからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物:1.0〜40.0重量部、
(d)エポキシ官能性基、アミノ官能性基、又はメルカプト官能性基を含有するアルコキシシラン、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を含有するアルコキシシラン、並びにテトラアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランの部分加水分解縮合物であるシランカップリング剤:0.1〜5.0重量部、および
(e)光重合開始剤: 0.1〜20.0重量部
を含有する光硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔(a)成分〕
本発明の必須成分である式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(ここで、Xは前記のとおり。)基を分子中に少なくとも1個有する化合物(以下、特定(メタ)アクリロイル基含有化合物という。)は、エポキシ化合物にアクリル酸および/またはメタクリル酸あるいは(メタ)アクリル酸の誘導体である酸クロライド等の酸ハライド、酸無水物、エステル等を反応させて得られる、グリシジル基に(メタ)アクリル酸残基が付加してグリシジル基のエポキシ環が開環した上記構造を分子中に1個又は2個以上有するものである。
【0010】
該エポキシ化合物としては、エポキシ基を1個有する化合物、およびエポキシ基を2個以上有する化合物が挙げられる。エポキシ基を1個有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等の、アルキル基、アリール基、アラルキル基等の脂肪族不飽和基を除く、通常、炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜6程度の1価炭素水素基のグリシジルエーテル化合物があり、エポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えばヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の、通常、炭素数2〜10、好ましくは炭素数3〜6程度の、アルキレン基のジグリシジルエーテル化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の、通常、炭素数3〜10、好ましくは3〜6程度の3価又は4価の飽和脂肪族炭化水素基のトリグリシジルエーテル又はテトラグリシジルエーテル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂のグリシジルエーテル化合物などのノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0011】
特に下記構造式で示される化合物が好適に使用される。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、nは、1〜10の整数)
【0014】
〔(b)成分〕
本発明で用いられる(b)成分のウレタンアクリレートは公知の方法でポリイソシアネート、ポリオールおよび水酸基含有アクリレートを反応させて得られるものである。例えば、初めにポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、高分子ポリイソシアネートを生成し、次いでそれを水酸基含有アクリレートと反応させて、末端に不飽和基を結合させることにより得られる。あるいは、初めに水酸基含有アクリレートとポリイソシアネートを反応させ、次いで得られた不飽和ポリイソシアネートとポリオールとを、場合によってはポリイソシアネート共存下に反応させて得られる。
【0015】
(b)成分の数平均分子量は、2400〜30000、特に3000〜20000であることが好ましい。
上記の製造方法において用いられる原料成分について説明する。
【0016】
ポリイソシアネートとしては、特に限定するものではないが、例えばイソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
水酸基含有アクリレートとしては、特に限定するものではないが、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
【0018】
ポリオールとしては特に限定するものではないが、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。これらのポリオールは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。好適に使用される(b)成分としては、商品名としてUX4101(日本化薬(株)製)、 UF−8001(共栄社化学(株)製)、UF−1003LN(共栄社化学(株)製)などがある。
【0019】
(b)成分の含有量としては、(a)成分100重量部当り、5.0〜60.0 重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部の範囲である。5.0重量部未満では、硬化物の低応力性が乏しくなり、割れやすくなる。また、60.0重量部を超えると、組成物の粘度がによる接着性の低下及び作業性の低下の問題がある。
【0020】
〔(c)成分〕
(c)成分である2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト または2−ヒドロキシエチルアクリレ−トは、モノマ−化合物であり、接着性及び粘度調整用希釈剤として有効である。該(c)成分は、本組成物において、特に顕著な接着力の向上に効果がある。
【0021】
(c)成分の含有量は、(a)成分100重量部当り、1.0〜40.0 重量部の範囲であり、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは10〜20重量部である。1.0重量部未満では、接着性が不十分なことがあり、また40.0重量部を超えると、希釈剤として作用する成分の割合が過大になる反面、(a)成分と(b)成分の割合が低下する結果、十分な接着性が得がたい問題がある。
【0022】
好適に使用される(c)成分としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トがある。
【0023】
〔(d)成分〕
本発明の(d)成分であるシランカップリング剤は、エポキシ官能性基、アミノ官能性基又はメルカプト官能性基を含有する、トリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシシラン等のアルコキシシラン、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を有する、トリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシシラン等のアルコキシシラン、テトラアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物である。
【0024】
上記シラン類の好ましい具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン(即ち、エポキシ官能性基含有アルコキシシラン)、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン(アミノ官能性基含有アルコキシシラン)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン(即ち、メルカプト官能性基含有アルコキシシラン)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシランが挙げられる。これらのシラン類から選ばれる1種または二種以上の部分加水分解縮合物(即ち、分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のアルコキシ基が残存するシロキサンオリゴマー)である。
【0025】
これらの中でもより好ましいものは、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物である。メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、共に水で加水分解するメトキシ基を持っている。このメトキシ基を部分加水分解することにより、活性なヒドロキシ基が生成する為、接着力が未加水分解物と比較して著しく向上する。
【0026】
(d)成分の含有量は、(a)成分100重量部当り、0.1〜5.0 重量部であり、好ましくは0.2〜4.0重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部である。0.1重量部未満では、接着性が不十分なことがあり、また5.0重量部を超えると、シリコ−ン成分の割合が高まりすぎ、光硬化性が低下しがちである。
【0027】
〔(e)成分〕
(e)成分である光重合開始剤としては、例えばビアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニルケトン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソプロピルフェノン、ジエチルチオキサントン、エチルアンスラキノン、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、これらは一種単独でも二種以上を組合せても使用することができる。市販の具体的な商品名として、例えばダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
【0028】
(e)成分の配合量は、(a)成分100重量部当り、0.1〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部である。該配合量が0.1重量部未満では所要の光硬化性が得がたく、また、20重量部を超えると、本組成物の接着性が低下し、得られる耐透湿性も不十分なものとなりがちである。
〔その他の成分〕
本発明の組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の成分、例えば他の樹脂成分、充填剤、改質剤、安定剤等を含有させることができる。
【0029】
他の樹脂成分としては、例えば、上述した(a)〜(c)成分以外のアクリル化合物が挙げられ、1官能性、2官能性、および3官能性のアクリル化合物が含まれる。2官能性アクリル化合物としては、例えば1,6−ヘキサンジオ−ルジメタクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、1,9−ノナンジオ−ルジメタクリレ−ト、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート等がある。3官能性アクリル化合物としては、例えばトリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト等がある。また他の樹脂成分としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジェン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジェン−スチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー、アクリルゴム、シリコンゴム等も挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、ジビニルベンゼン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
改質剤としては、例えば、重合開始助剤、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、1種単独でも複数種を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
〔組成物の調製および使用〕
本発明の光硬化型樹脂組成物は、各成分を均一に混合し、粘度は通常25℃において0.5〜100Pa・sになるように調製する。かかる粘度は、本組成物をフラットパネルディスプレイ等の基材に塗布する際の作業を効率的に実施するのに好適であり、得られる組成物の混合安定性が高い。粘度範囲は、25℃において1.0〜50Pa・sであることがより好ましい。組成物の粘度は、成分の種類や配合比等を選択し、場合によってはその他の成分を添加することにより調整することができる。本発明の組成物の(c)成分は常温で液状であるので、このような成分中に他の固形成分を溶解または分散させるように配合すると、上記粘度に容易に調整することができる。また、粘度が高い場合は、3本ロールミル等を使用する常法により混練すればよい。
本発明の樹脂組成物は、シール剤として適している。シール剤として使用する場合には、該樹脂組成物には必要に応じてさらに別の成分を添加することもできる。例えば、スペーサとして用いる有機または無機の粒状物などがあげられる。
【0033】
本発明の組成物を使用するシール方法は、上記のシール剤を被封止物の所要個所に塗布し、光を照射して硬化させることによりシールを形成し、封止物を得ることができる。被封止物としては、液晶、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルからなるセルが代表的なものとして挙げられるが、CCD等の半導体素子を収納するケースとリッドからなる半導体装置、その他気密状態にシールして湿気の透過を防止する構造のものが含まれる。シール剤のディスプレイ基材等の部材への塗布方法は、均一にシール剤が塗布できれば塗布方法に制限はない。例えばスクリーン印刷やディスペンサーを用いて塗布する方法等公知の方法により実施すればよい。ディスプレイセルの場合、ディスプレイ基材間にディスプレイ素子を封入するように、基材間にシール剤を介在させて貼り合わせ、光を照射することにより、シール剤を低温にて硬化させてディスプレイセルを形成する。ここで使用できる光源としては、所定の作業時間内で硬化させることができるものであればいずれでもよい。通常、紫外線光、可視光の範囲の光が照射できる光源を用いる。より具体的には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯等が挙げられる。
【0034】
照射光量は、通常、照射光量が過少である場合には、樹脂組成物の未硬化部が残存しない範囲または、接着不良が発生しない範囲で適宜選定できるが、通常400〜4000mJ/cm2である。照射量の上限は特にはないが過多である場合には不要なエネルギーを浪費し生産性が低下するので好ましくない。
【0035】
被封止物に、上記シール剤を塗布し、光照射により樹脂組成物を硬化させることにより、シール剤は硬化物となり、被封止物はシールされて封止物が得られる。こうして得られる封止物としては、例えば被封止物が液晶またはエレクトロルミネッセンス等のセルである場合には、それらのディスプレイ装置が得られ、またCCD等の半導体装置の場合も、同様にシールされた半導体装置が得られる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例に限られるものではない。なお、以下の説明において、「部」は特記しない限り「重量部」を示し、粘度は25℃における測定値である。
【0037】
〔実施例1〕
化合物A(下記の式においてn=1である化合物)100部、
【0038】
【化2】
【0039】
ウレタンアクリレ−ト(UX4101、日本化薬(株)製) 30部、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 20部、ダロキュア1173 6部、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物 3部を THINKY Conditioning mixer で5分間混合することにより、粘度 4Paの光硬化性樹脂組成物を得た。
【0040】
〔実施例2〕
化合物B(下記の式のおいてn=1〜10の混合物である化合物)100部、
【0041】
【化3】
【0042】
ウレタンアクリレ−ト(UX4101、日本化薬(株)製)30部、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト 20部、ダロキュア1173 6部、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物 3部を THINKY Conditioning mixer で5分間混合することにより、粘度 10Paの光硬化性樹脂組成物を得た。
【0043】
〔実施例3〕
化合物C(下記の式において、n=1〜10の混合物である化合物)100重量部、
【0044】
【化4】
【0045】
ウレタンアクリレ−ト(UX4101、日本化薬(株)製) 30部、1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト20部、ダロキュア1173 6部、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物3部を THINKY Conditioning mixerで5分間混合することにより、粘度8Paの光硬化性樹脂組成物を得た。
〔実施例4〜12〕
実施例1と同様の方法で、表1に示される割合で各光硬化性樹脂組成物を得た。
〔比較例1〜9〕
実施例1と同様の方法で、表2に示される割合で各光硬化性樹脂組成物を得た。
<評価方法>
実施例1〜12および比較例1〜9で得られた組成物の硬化物の物性を次のようにして測定した。結果を表1および表2に示す。
【0046】
a)粘度
JIS Z 8803に準じ、測定温度25℃でBrookfield HBDVIII Cone & Plate で2分後の値を測定した。
【0047】
b)接着強度
接着強度は、2枚のガラス板間に組成物を厚み100μmではさみ、光照射して硬化、接着させ、これら2枚のガラス板をガラス板に垂直な方向に引っ張り速度2mm/minで引き剥がすとき強度を測定した。
【0048】
c)信頼性テスト
4M RAMチップを20ピンSOJフレームに接着し、その電極表面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、その後光照射し、硬化物の膜を平均300μmの厚みで被覆した。作成したテストパッケ−ジを85℃、湿度85%、30V電圧印加条件下で導通試験を行ない、導通不良となるまでに要した時間を測定した。
【0049】
【表1】
(組成単位; 重量部)
【0050】
(注)
UX4101(ウレタンアクリレ−ト) : (日本化薬(株)製)、
1.9NDA: 1,9−ノナンジオ−ルジアクリレート(共栄社化学(株)製)
HEMA : 2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト
HEA : 2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト
ダロキュア1173 :(光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
シランカップリング剤:メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解物
【0051】
【表2】
(組成単位; 重量部)
【0052】
(注)
KBM13: メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
KBM403: γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、低温硬化性が良好で、感光性、速硬化性、耐透湿性および接着性に優れ、硬化物の接着強度および信頼性が高く、しかも生産性も良好であり、液晶エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルにも好適に使用できる光硬化型樹脂組成物が得られる。
Claims (2)
- (a)式:CH2=C(X)−COOCH2−CH(OH)−(但し、Xは水素原子又はメチル基)で表わされる基を分子中に少なくとも1個有する化合物:100重量部、
(b)ウレタンアクリレート: 5.0〜60.0重量部、
(c)2−ヒドロキシエチルメタクリレ−トおよび2−ヒドロキシエチルアクリレ−トからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物:1.0〜40.0重量部、
(d)エポキシ官能性基、アミノ官能性基、又はメルカプト官能性基を含有するアルコキシシラン、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基を含有するアルコキシシラン、並びにテトラアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランの部分加水分解縮合物であるシランカップリング剤:0.1〜5.0重量部、および
(e)光重合開始剤: 0.1〜20.0重量部
を含有する光硬化型樹脂組成物。 - (d)成分のシランカップリング剤が、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの共部分加水分解縮合物である請求項1に記載の光硬化型樹脂組成物。
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