JP2004075807A - ポリマー粒子の製造方法及びそれにより得られたポリマー粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】界面活性剤の非存在下にビニル系単量体を重合し、ポリマー核を形成する核形成期間が終了したシードラテックスに、更にビニル系単量体を連続的に供給してシード乳化重合を行うに際し、供給するビニル系単量体が予め乳化分散液とされており、かつ供給するビニル系単量体の供給速度Fm[mol/m3−water/min]が、シードラテックスの重合時における最大重合速度Rp(max)[mol/m3−water/min]に対して下記式1を満足することを特徴とするポリマー粒子の製造方法。
Rp(max)×0.5≦Fm≦Rp(max)×1.2 (式1)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料用の添加剤、可塑剤等からなるアクリルプラスチゾル、およびこれに有機溶剤を加えたアクリルオルガノゾル、樹脂用の改質剤、加工助剤、スペーサー、滑り性付与剤、トナー、光拡散剤、艶消し剤、機能性担体、化粧品等として有用である、粒子径分布が狭く質量平均粒子径が0.5〜10μmの範囲にあるポリマー粒子の製造方法及びこの製造方法により得られたポリマー粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、大粒子径の単分散ポリマー粒子を製造する方法は数多く報告されている。例えば、特公昭57−24369号公報に記載の二段階膨潤シード重合法では、膨潤助剤を用いてシードポリマー粒子に疎水性モノマーを吸収させてから重合する方法が記載されている。
また、特開昭63−137911号、特開平3−86764号、特開平7−238200号公報には、特公昭57−24369号を応用し、超低分子量のシードポリマー粒子に疎水性モノマーを吸収させてから重合する方法等が報告されている。しかしながらこれらは、疎水性モノマーをシード粒子に吸収させるために長い時間が必要となることや、0.5〜10μmのポリマー粒子を得るためには、数回、シード重合を繰り返す必要がある等の不都合がある。
【0003】
一方、界面活性剤の非存在下もしくは微小量の存在下で、主として過硫酸塩を開始剤としてビニル系単量体を重合するソープフリー重合法により、水系媒体中で、短時間で大粒子径ポリマー粒子が製造できることが報告されている。例えば、特開平11−116608号公報では、ソープフリー重合初期に粒子表面電荷の符号と逆符号の界面活性剤を添加し、さらに、粒子数が決定した後に安定化のため、粒子表面電荷の符号と同符号の界面活性剤を添加して重合する方法が報告されている。しかしながらこの方法ではポリマー濃度を高くするとコロイド安定性が低下するという不都合がある。
【0004】
特開平6−256438号、特開平11−116608号公報では、ソープフリー重合により作製したシードポリマー粒子をシード重合により肥大化する際に、添加するビニル系単量体をあらかじめ界面活性剤、水等と混合して乳化分散液としておいて添加することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した方法においても安定的に粒子径分布が狭く、その粒子径が0.5〜50μmであるポリマー粒子を短時間で安定的に製造することはできない。
このように、水系媒体中で、大粒子径ポリマー粒子を製造するには、基本的に、単分散性の高いシードポリマー粒子を、いわゆるシード(乳化)重合により、新粒子が生成することなく、安定に、大きくすることが必要となる。しかしながら、特に、工業生産を考えた場合は、重合時のコロイド安定性だけではなく、高い重合速度(生産性)、高いポリマー濃度を達成することも重要となるが、これまでに、これらを十分満足する方法について報告された例は無い。
本発明の目的は、水系媒体中でのラジカル重合により、粒子径のそろった、質量平均粒子径が0.5〜10μmのポリマー粒子を、短時間で、安定に得ることができるポリマー粒子の製造方法およびポリマー粒子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、界面活性剤の非存在下にビニル系単量体を重合し、ポリマー核を形成する核形成期間が終了したシードラテックスに、更にビニル系単量体を連続的に供給してシード乳化重合を行うに際し、供給するビニル系単量体が予め乳化分散液とされており、かつ供給するビニル系単量体の供給速度Fm[mol/m3−water/min]が、シードラテックスの重合時における最大重合速度Rp(max)[mol/m3−water/min]に対して下記式1を満足することを特徴とするポリマー粒子の製造方法にある。
Rp(max)×0.5≦Fm≦Rp(max)×1.2 (式1)
また、本発明の要旨は、上述の製造方法により得られたポリマー粒子にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、界面活性剤の非存在下にビニル系単量体を重合して得られたシードラテックスを用いる。
シードラテックスの重合は、水を主体とする水系媒体中で行う。水系媒体は必要に応じて少量の有機溶剤を含んでいてもよいが、有機溶剤を含まない系であることが好ましい。
また、界面活性剤の非存在下とは、実質的に界面活性剤が存在しない系であり、前述した核形成期間における核の形成に影響を及ぼさない範囲内であれば、界面活性剤、分散剤等が含まれていても構わないが、界面活性剤を含有しない系で重合を行うことが好ましい。
【0008】
シードラテックスの重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸の無機塩を用いることが好ましい。
具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムが熱分解型の開始剤であり、安定的に界面活性剤の非存在下でソープフリー重合を行うことができる。中でも、過硫酸カリウムが好適に用いられる。
シードラテックスの重合時に発生するポリマー粒子は、主としてイオン性ラジカル開始剤に由来するポリマー末端部のイオン基によって分散安定化される。
【0009】
シードラテックスの重合に用いるビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレート、メチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;ブタジエン等のジエン系化合物などが挙げられ、これらを1種以上用いることができる。特に好ましいのは、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートである。
また、ビニル系単量体として、上記のもの以外に、メタクリル酸、アクリル酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体あるいはその塩;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有ビニル系単量体あるいはその塩;ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有ビニル系単量体等を必要に応じて用いることができる。
使用するビニル系単量体の量は、最終的に得られるラテックスのポリマー固形分が20〜50質量%となる量とすることが好ましい。
【0010】
本発明においては、シードラテックスの重合時に、核形成期間が終了するまでは乳化剤の非存在下でビニル系単量体の重合を行う。
本発明においては、重合開始から重合初期に、オリゴマーの析出〜凝集によって形成される粒子の総数が一定となるまでの期間を、「核形成期間」という。核形成期間は、重合温度、重合開始剤の濃度、単量体の種類等の条件により変化することから、核形成期間の終了時点を次に述べる方法であらかじめ求めておくことが好ましい。
即ち、界面活性剤の水相中の濃度が臨界ミセル濃度未満となるように、粒子表面電荷の符号と同じ符号を有する界面活性剤を、重合開始後の所定時間に添加して重合を完結させたときに、最終的に得られるポリマー粒子径が、界面活性剤を添加しないで得られたポリマー粒子の粒子径と同じである場合、核形成期間の終了後に界面活性剤を添加したと見なす。
逆に、重合開始後の所定時間に、シードラテックス中に界面活性剤を添加した場合に、最終的に得られるポリマー粒子径が、界面活性剤を添加しないで得られたポリマー粒子の粒子径と異なる(通常は、該界面活性剤を添加しない場合に得られるポリマー粒子の粒子径よりも小さくなる)場合、核形成期間の終了前に界面活性剤が添加されたと見なす。
界面活性剤の添加のタイミングを種々変えて実験を行うことにより、核形成期間の終了時点を、特定する事ができる。
本発明の製造方法においては、核形成期間が終了するまでは乳化剤の非存在下でビニル系単量体の重合を行うが、核形成期間終了後であれば、水相中の界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度未満となるように、粒子表面電荷の符号と同じ符号を有する界面活性剤を重合中に投入することができる。
【0011】
本発明においては、前述の方法で得られたシードラテックスに、予めビニル系単量体を乳化分散した乳化分散液を、連続的に供給してシード乳化重合を行う。シードラテックスに供給するビニル系単量体は、界面活性剤および水と混合することにより乳化分散液とされる。乳化分散液とする際の乳化方法は特に限定されないが、ホモミキサー等を用いて強攪拌する方法等が挙げられる。用いる界面活性剤の量、水の量、乳化条件は用いるビニル系単量体の量や最終的に得られるポリマー濃度により適宜コロイド安定性を維持するために必要な量等が変化するため一概には決まらないが、乳化分散液中のモノマー油滴の大きさが20μm以下となるようにすることが好ましい。
シードラテックス中への乳化分散液の供給は連続的に行う。供給方法としては滴下により行うことが好ましい。
シード乳化重合を行う際は、シードラテックスの重合後引き続いて行ってもよく、また、シードラテックスを重合した後、シードラテックスの一部を用いて行ってもよい。
【0012】
シードラテックスの重合後、引き続いてシード乳化重合を行う場合、シードラテックス重合時の核形成期間の終了後に乳化分散液の滴下を始める必要があるが、好ましくは、シードラテックスの重合に使用されたビニル系単量体の全量を100質量部としたとき、核形成期間の終了後であって該ビニル系単量体の50質量部以上が反応してから乳化分散液の滴下を始めるのがよい。
さらに好ましくは、核形成期間の終了後であってビニル系単量体の90質量部以上が反応してから滴下を始めるのがよい。
【0013】
また、シード乳化重合を行う際、開始剤濃度が大きく変化すると、後述するシードラテックス重合時の「最大重合速度」が、シード乳化重合時に得られなくなることがあるため、水相中の開始剤濃度I0[mol/m3−water]が、シードラテックス重合時の開始剤濃度Iseed[mol/m3−water/min]以上となるように、開始剤を追加することが好ましい。
供給するビニル系単量体の量は目標とする粒子径や最終的なポリマー濃度によって適宜決定される。
【0014】
用いる界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤で、アニオン性の界面活性能力をもつ界面活性剤であれば特に制限はない。
具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのうち、特に、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが、系内の粒子総数を変化させずに安定性を付与することが容易に可能等の点で好ましい。
【0015】
本発明におけるシード乳化重合時のビニル系単量体の供給速度Fm[mol/m3−water/min]は、シードラテックスの重合に使用した水の量をA(m3)、シード乳化重合時のシードラテックスへのビニル系単量体の供給速度(但しビニル系単量体を供給する際の乳化分散液中の水の量はカウントしない)をB(mol/min)としたとき、B/Aとして求められる。
【0016】
また、シードラテックスを重合する際には、重合中に重合速度の加速が見られるが、本発明でいうシードラテックスの重合時における最大重合速度Rp(max)[mol/m3−water/min]は、シードラテックス重合中の重合速度のうち最大重合速度(単量体の消費速度[mol/m3−water/min])を意味する。
最大重合速度Rp(max)は、重合温度、開始剤濃度、開始剤の種類、ビニル系単量体の種類、ポリマー粒子径、ポリマー濃度等によって変化し、一概には決定できないため、あらかじめシードラテックスの重合条件で実験を行い、実験的に求めておく必要がある。
具体的には、例えば、乳化剤の非存在下でシードラテックスの重合を行う際、重合開始後の所定のタイミング(例えば5分毎)で複数回シードラテックスのサンプリングを行い、サンプリングしたラテックスの溶液の固形分を測定することで各時間での重合速度を算出し、この中で重合速度の最大値をもって、Rp(max)とする。
【0017】
本発明においては、供給するビニル系単量体の供給速度Fm[mol/m3−water/min]は、シードラテックスの重合時における最大重合速度Rp(max)[mol/m3−water/min]に対して下記式1を満足する。
Rp(max)×0.5≦Fm≦Rp(max)×1.2 (式1)
また、FmとRp(max)は、下記式2を満足することが更に好ましい。
Rp(max)×0.8≦Fm≦Rp(max)×1.05 (式2)
【0018】
本発明においては、核形成期間終了後にビニル系単量体の乳化分散液を供給してシード乳化重合を行う際、重合速度を上げるために、重合開始剤を追加投入することもできる。追加投入する重合開始剤としては、前述したイオン性ラジカルを生成する水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。この場合、追加投入された重合開始剤は、分散安定化効果も付与することになる。
また、イオン性ラジカルを生成する水溶性重合開始剤以外に、一般的な、ラジカル重合開始剤を用いることも可能である。具体的には、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。
追加する重合開始剤の量は、重合条件により適宜決定される。好ましくは、0.00015mol/L〜0.003mol/Lである。投入方法としては、一括あるいは分割して添加する方法が挙げられる。
【0019】
本発明のポリマー粒子の製造方法により得られるポリマー粒子は、質量平均粒子径が0.5〜10μmであって、粒子径分布が小さいポリマー粒子となる。好ましくは、質量平均粒子径が0.5〜5μmであるポリマー粒子である。このようなポリマー粒子は、塗料の添加剤、可塑剤等からなるアクリルプラスチゾル、およびこれに有機溶剤を加えたアクリルオルガノゾル、樹脂用の加工助剤・衝撃強度改質剤、スペーサー、滑り性付与剤、トナー、光拡散剤、艶消し剤、機能性担体、化粧品等として好適に使用される。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
なお、以下メチルメタクリレートはMMA、n−ブチルメタクリレートはn−BMA、過硫酸カリウムはKPSと略記する。
【0021】
各種測定は以下の方法により行った。
▲1▼質量平均粒子径
得られたポリマー粒子の質量平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−910)を用いて測定した。
▲2▼固形分測定
ラテックス中の固形分濃度の測定は、サンプリングしたラテックスを、180℃の熱風乾燥機内で30分間乾燥し、乾燥前後の質量を測定して算出した。
【0022】
<実施例1>
(1)シードラテックスの重合における最大重合速度Rp(max)の測定
重合反応器として、一般的に用いられている3リットルのガラス製4つ口セパラブルフラスコ、フルゾーン撹拌翼、温度計、冷却管、窒素通気管を装着したものを使用した。攪拌翼の上段翼径d1と槽径Dとの比はd1/D=0.55、下段翼径d2と槽径Dとの比はd2/D=0.60であり、板バッフル2枚を装着してある。
脱イオン水665g、MMA34g、n−BMA26gを重合反応器に仕込み、攪拌回転数を110rpmに設定し、反応器内を80℃に昇温して、KPS0.53gを脱イオン水53gに溶解した開始剤水溶液を投入し、重合を開始した。ここで、反応容器内の脱イオン水およびモノマーについては、その中に含まれる酸素を窒素で置換し、実質的に重合を阻害しない状態とした。
KPS投入後、5分間隔で60分間サンプリングを実施し、サンプリング溶液の固形分測定結果から重合速度を算出した。
重合速度から、重合はKPS投入から30分後にほぼ完結(重合率99%以上)しており、最終的に得られたラテックスの固形分は7.7質量%、ポリマー粒子の質量平均粒子径0.38μm、数平均粒子径0.35μmであり、質量平均粒子径/数平均粒子径は1.09と、粒子径分布は非常に狭かった。
また、重合速度から、KPS投入から7〜8分経過した時点で重合速度の加速が起こっており、最大重合速度Rp(max)=197[mol/m3−water/min]であることが分かった。
【0023】
(2)核形成期間終了時点の確認
(2−1) 重合開始前に陰イオン性界面活性剤ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスOTP)0.45gを脱イオン水50gに溶解して投入した以外は、前記(1)と同様に重合を行った。得られたポリマー粒子径を測定したところ、0.07μmであった。(ペレックスOTPの臨界ミセル濃度:0.1wt%、水相中のペレックスOTPの濃度:0.06[wt%])
(2−2) 重合開始から5分後に陰イオン性界面活性剤ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスOTP)0.45gを脱イオン水50gに溶解して投入した以外は、前記(1)と同様にして重合を行った。得られたポリマー粒子径を測定したところ、0.19μmであった。(水相中のペレックスOTPの濃度:0.06[wt%])
(2−3) 重合開始から10分後に陰イオン性界面活性剤ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスOTP)0.45gを脱イオン水50gに溶解して投入した以外は、前記(1)と同様にして重合を行った。得られたポリマー粒子径を測定したところ、0.32μmであった。(水相中のペレックスOTPの濃度:0.06[wt%])
(2−4) 重合開始から15分後に陰イオン性界面活性剤ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスOTP)0.45gを脱イオン水50gに溶解して投入した以外は、前記(1)と同様にして重合を行った。得られたポリマー粒子径を測定したところ0.38μmであった。(水相中のペレックスOTPの濃度:0.06[wt%])
(2−5) 重合開始から30分後に陰イオン性界面活性剤ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスOTP)0.45gを脱イオン水50gに溶解して投入した以外は、前記(1)と同様にして重合を行った。得られたポリマー粒子径を測定したところ、0.38μmであった。(水相中のペレックスOTPの濃度:0.06[wt%])
(2−6) (2−1)〜(2−5)の実験結果より、重合開始から少なくとも15分経過すれば、核形成期間が終了していることを確認した。
【0024】
(3)シード乳化重合による粒子径肥大化
脱イオン水771g、MMA680g、n−BMA462g、陰イオン性界面活性剤ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム(花王(株)製ペレックスOTP)7.5gをTKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて3000rpmで60秒間混合して乳化分散液Aを調整した。
得られた乳化分散液A中のモノマー油滴の大きさをレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−910)を用いて測定したところ、質量平均粒子径は8.0μmであった。
(1)と同様の条件でシードラテックスの重合を行い、KPS投入から30分後に乳化分散液Aを80分間かけて滴下速度一定で重合反応機内に滴下した。このとき、乳化分散液Aの滴下速度は23.9g/min、単量体の供給速度Fmは197[mol/m3−water/min]であった。
重合中、5分間隔でサンプリングを行い、重合速度を測定した。この結果、滴下終了と同時に重合はほぼ完結(重合率99%以上)していることがわかった。ラテックスの固形分は滴下終了時点で44.3質量%、ポリマー粒子の質量平均粒子径1.16μm、数平均粒子径1.13μmであり、質量平均粒子径/数平均粒子径=1.03と高い単分散性を示した。
また、重合終了後にラテックスを回収する際、凝集物等の発生はほとんどなかった。
【0025】
<比較例1>
実施例1において、シードラテックス中に乳化分散液Aを一括して重合反応機内に供給したこと以外は、実施例1と同様にして重合を行った。このとき、乳化分散液Aは80℃(重合温度)に加温してから投入した。
添加後、5分間隔でサンプリングを行い、重合速度を測定した。この結果、滴下開始から約200分後に重合がほぼ完結していることがわかった。
ラテックスの固形分は滴下開始から200分後の時点で44.4質量%、ポリマー粒子の質量平均粒子径1.01μm、数平均粒子径0.77μmであり、質量平均粒子径/数平均粒子径=1.31となり、0.1〜0.3μm程度の微小粒子が多数発生していた。
また、重合終了後にラテックスを回収する際、凝集物が発生していた。
【0026】
【発明の効果】
本発明のポリマー粒子の製造方法によれば、粒子径のそろった、質量平均粒子径0.5〜10μmのポリマー粒子を、短時間で安定に得ることができる。
また、本発明により得られたポリマー粒子は、質量平均粒子径が0.5〜10μmの範囲であり、塗料の添加剤、可塑剤等からなるアクリルプラスチゾル、およびこれに有機溶剤を加えたアクリルオルガノゾル、樹脂用の衝撃強度改質剤や加工助剤、スペーサー、滑り性付与剤、トナー、光拡散剤、艶消し剤、機能性担体、化粧品等として有用である。
Claims (3)
- 界面活性剤の非存在下にビニル系単量体を重合し、ポリマー核を形成する核形成期間が終了したシードラテックスに、更にビニル系単量体を連続的に供給してシード乳化重合を行うに際し、供給するビニル系単量体が予め乳化分散液とされており、かつ供給するビニル系単量体の供給速度Fm[mol/m3−water/min]が、シードラテックスの重合時における最大重合速度Rp(max)[mol/m3−water/min]に対して下記式1を満足することを特徴とするポリマー粒子の製造方法。
Rp(max)×0.5≦Fm≦Rp(max)×1.2 (式1) - シードラテックスを重合する際に用いる重合開始剤が過硫酸塩であることを特徴とする請求項1記載のポリマー粒子の製造方法。
- 請求項1又は2記載の製造方法により得られたポリマー粒子。
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