JP2004066570A - 積層フィルム - Google Patents

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JP2004066570A JP2002227190A JP2002227190A JP2004066570A JP 2004066570 A JP2004066570 A JP 2004066570A JP 2002227190 A JP2002227190 A JP 2002227190A JP 2002227190 A JP2002227190 A JP 2002227190A JP 2004066570 A JP2004066570 A JP 2004066570A
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Yoshiyuki Sakuta
作田 良幸
Takefumi Taga
多賀 健文
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

【課題】柔軟性、耐熱性、腰の強さ、低温ヒートシール性等に優れるフィルムの提供を目的とする。
【解決手段】下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%とを含有してなる層(X)と(Y)の少なくとも2層に積層され、(X)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量が(Y)層に含まれる量より大きいことを特徴とする積層フィルム。(A1)非晶性ポリプロピレンは、プロピレンが50重量%以上、1−ブテンが0〜50重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)が0〜20重量%である。(A2)溶融粘度(190℃)が1000〜25000cps。(A3)沸騰n−ヘプタン不溶分が20%以下。(A4)結晶化度が11〜25%。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は少なくとも2層からなる積層フィルムに関する。更に詳しくは、軟質塩化ビニルフィルムやビニロンフィルムに匹敵し得る軟質フィルムとして、柔軟性、耐熱性、腰の強さ、機械的強度等を兼ね備えた積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平6−226933号公報、特開平7−314621号公報、特開平7−276584号公報、特開平6−218892号公報、特開平6−921号公報に積層フィルムが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、柔軟性、耐熱性、腰の強さ、低温ヒートシール性等に優れるフィルムの提供を目的とする。
また、本発明は上記のような特徴から、各種用途、例えば、食品包装、繊維包装等の包装用フィルム、輸液バッグ等のメディカル用途、金属保護フィルム、粘着テープの基材、土木・建築分野における建材用フィルム等に好適に用いられるフィルムの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%とを含有してなる層(X)と、
下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%(100重量%を除く)と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%(0重量%を除く)とを含有してなる層(Y)とが、少なくとも2層に積層され、
(X)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量が(Y)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量より大きいことを特徴とする積層フィルムを提供すること。
(A)非晶性ポリプロピレンの特徴
(A1)非晶性ポリプロピレンは、プロピレン成分含有率が50重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜50重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜20重量%である。
(A2)溶融粘度(190℃)が1000〜25000cps。
(A3)沸騰n−ヘプタン不溶分が20%以下。
(A4)結晶化度が11〜25%。
【0005】
本発明の第2は、(Y)層が、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)からなることを特徴とする積層フィルムを提供すること。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィンは、下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%とを含有してなる層(X)と、
下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%(100重量%を除く)と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%(0重量%を除く)とを含有してなる層(Y)とが、少なくとも2層に積層され、
(X)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量が(Y)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量より大きいことを特徴とする積層フィルムである。
さらに本発明のポリオレフィンは、(Y)層が、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)からなる積層フィルムが好ましい。
(A)非晶性ポリプロピレンの特徴
(A1)非晶性ポリプロピレンは、プロピレン成分含有率が50重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜50重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜20重量%である。
(A2)溶融粘度(190℃)が1000〜25000cps。
(A3)沸騰n−ヘプタン不溶分が20%以下。
(A4)結晶化度が11〜25%。
【0007】
本発明のX層は、非晶性ポリプロピレン(A)と、さらに必要なら結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)を含有してなるポリオレフィン組成物であり、
好ましくは非晶性ポリプロピレン(A)15〜85重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)85〜15重量%とを含有してなるポリオレフィン組成物であり、
さらに好ましくは非晶性ポリプロピレン(A)20〜80重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)80〜20重量%とを含有してなるポリオレフィン組成物であり、
特に好ましくは非晶性ポリプロピレン(A)25〜75重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)75〜25重量%とを含有してなるポリオレフィン組成物である。
非晶性ポリプロピレン(A)成分の含有量が上記範囲内では、十分な機械的強度を有し、低弾性で柔軟なフィルム成形物を得ることが出来る。
【0008】
本発明のY層は、非晶性ポリプロピレン(A)と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)を含有してなるポリオレフィン組成物であり、
好ましくは非晶性ポリプロピレン(A)0〜70重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)100〜30重量%とを含有してなるポリオレフィン組成物であり、
さらに好ましくは非晶性ポリプロピレン(A)0〜50重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)100〜50重量%とを含有してなるポリオレフィン組成物であり、
特に好ましくは非晶性ポリプロピレン(A)0〜30重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)100〜70重量%とを含有してなるポリオレフィン組成物である。
非晶性ポリプロピレン(A)成分の含有量が上記範囲内では、十分な機械的強度を有し、低弾性で柔軟なフィルム成形物を得ることが出来る。
【0009】
本発明の積層フィルムでは、(X)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量が(Y)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量より大きいことにより、(X)層はフィルムの柔軟性に寄与し、(Y)層は表面粘着性防止機能を果たす。
【0010】
本発明の積層フィルムでは、(X)層の引張破壊強さと(Y)層の引張破壊強さは、[(X)層の引張破壊強さ]≦[(Y)層の引張破壊強さ]の関係が好ましく、(X)層はフィルムの柔軟性に寄与し、(Y)層は機械強度に寄与するために好ましい。
本発明の積層フィルムでは、(X)層の引張弾性率と(Y)層の引張弾性率は、[(X)層の引張弾性率]≦[(Y)層の引張弾性率]の関係が好ましく、(X)層はフィルムの柔軟性に寄与し、(Y)層は機械強度に寄与するために好ましい。
【0011】
本発明の積層フィルムにおいて、(X)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)と(Y)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明の積層フィルムにおいて、(X)層に含まれる結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)と、(Y)層に含まれる結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0012】
(A2)非晶性ポリプロピレンの溶融粘度(190℃)は、1000〜25000cpsであり、好ましくは3000〜25000cpsであり、さらに好ましくは5000〜25000cpsであり、特に好ましくは7000〜25000cpsである。
【0013】
(A3)非晶性ポリプロピレンの沸騰n−ヘプタン不溶分が20%以下であり、好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。
(A3)非晶性ポリプロピレンの沸騰n−ヘプタン不溶分が上記範囲内では、充分な柔軟性を得ることが出来る。
【0014】
(A4)非晶性ポリプロピレンの結晶化度は、11〜25%であり、好ましくは12〜25%であり、さらに好ましくは14〜22%であり、特に好ましくは15〜20%である。
(A4)非晶性ポリプロピレンの結晶化度が上記範囲内では、得られる組成物の表面粘着性が大きくなることがなく、充分な柔軟性を有し、耐ブリード性に優れる。
【0015】
さらに(A5)非晶性ポリプロピレンの数平均分子量(Mn)は、好ましくは3000〜20000であり、さらに好ましくは4000〜20000であり、特に好ましくは6000〜20000である。
(A5)非晶性ポリプロピレンの数平均分子量(Mn)が3000未満では、得られる組成物の表面粘着性が大きくなる場合があり好ましくなく、また凝集力が小さくなり、得られる組成物の引張伸び、弾性率の低下をまねく場合があるため好ましくない。
【0016】
(A1)非晶性ポリプロピレンは、プロピレン成分含有率が50重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜50重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜20重量%であり、
好ましくはプロピレン成分含有率が50重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜45重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜15重量%であり、
さらに好ましくはプロピレン成分含有率が50重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜40重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜10重量%であり、
特に好ましくはプロピレン成分含有率が60重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜35重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜5重量%である。
1−ブテン含有量が上記範囲より55重量%では、得られる組成物の表面粘着性が大きくなり好ましくなく、55重量%より大きい場合、軟化点が低くなり、経済的にも高価なものとなるため好ましくない。
【0017】
(A1)非晶性ポリプロピレンは、好ましくはプロピレン成分含有率が50〜100重量%及び1−ブテン成分含有率が0〜50重量%であり、
さらに好ましくはプロピレン成分含有率が55重量%〜95重量%及び1−ブテン成分含有率が5〜45重量%であり、
特に好ましくはプロピレン成分含有率が60重量%〜90重量%及び1−ブテン成分含有率が10〜40重量%である。
1−ブテン含有量が上記範囲より55重量%では、得られる組成物の表面粘着性が大きくなり好ましくなく、55重量%より大きい場合、軟化点が低くなり、経済的にも高価なものとなるため好ましくない。
【0018】
炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)としては、エチレン、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1など鎖状α−オレフィン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの環状α−オレフィンなどを挙げることが出来る。
これらのα−オレフィンは一種類又は二種類以上を適宜組合せて用いることができる。これらα−オレフィンの中では、エチレンが好ましい。
【0019】
本発明の非晶性ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体などのプロピレン・1−ブテン・炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)共重合体、、プロピレン・エチレン共重合体などのプロピレン・炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)共重合体などを挙げることが出来る。
【0020】
本発明の非晶性ポリプロピレンの引張弾性率は、好ましくは100MPa以下、さらに好ましくは5〜80MPa以下、より好ましくは5〜60MPa以下、特に好ましくは5〜50MPaである。
本発明の非晶性ポリプロピレンの引張弾性率が上記範囲では、得られる積層フィルムの柔軟性が優れ、十分な機械的強度を有するために好ましい。
【0021】
本発明の非晶性ポリプロピレンは、公知のα−オレフィンの重合触媒を用いて得られる非晶性ポリプロピレンを用いることができる。
本発明の非晶性ポリプロピレンは、好ましくは、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分、
[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに
[C]一般式(1)で表されるエーテル化合物成分
とを含むα−オレフィンの重合触媒を用いて得られる非晶性ポリプロピレンを用いることができる。
【化1】
Figure 2004066570
(但し、(1)において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示す)
【0022】
α−オレフィンの重合触媒において、[A]触媒固体成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分を用いることができ、好ましくは[A]触媒固体成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素を含むまたはマグネシウム、チタン、ハロゲン元素からなるマグネシウム化合物およびハロゲン化チタンを必須とする触媒固体成分を用いることが好ましい。
マグネシウム、チタンおよびハロゲン元素は、マグネシウム化合物とハロゲン化チタン化合物として用いることができ、[A]触媒固体成分としてマグネシウム化合物とハロゲン化チタン化合物とを必須とする触媒固体成分を用いることが好ましい。
【0023】
[A]触媒固体成分の製造方法は特に限定されないが、[A]触媒固体成分の代表的な製造方法として、(1)マグネシウム化合物と四塩化チタンなどのハロゲン化チタン化合物とを共粉砕する方法、(2)マグネシウム化合物と四塩化チタンなどのハロゲン化チタン化合物とを共粉砕した後、トルエンなどの溶媒中でさらに四塩化チタンと接触処理する方法、(3)溶媒にマグネシウム化合物を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を添加して触媒固体を析出させる方法など公知の方法用いることが出来る。
【0024】
[A]触媒固体成分としてマグネシウム、またはマグネシウム化合物の具体例としては、エチルマグネシウムクロライド、プロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムアイオダイドなどのグリニャール化合物が挙げられる。
また、塩化マグネシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシ(メトキシ)マグネシウム、エトキシ(プロポキシ)マグネシウム、ブトキシ(エトキシ)マグネシウムなどが挙げられ、中でも塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウムが好ましい。これらのマグネシウム化合物は2種類以上併用して用いることもできる。
【0025】
マグネシウム、またはマグネシウム化合物の溶媒としては、例えば、ジエチルエ−テル、ジブチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジイソアミルエ−テル等の脂肪族エ−テル、テトラヒドロフランなどの脂肪族環状エ−テルを使用することができる。
【0026】
チタンおよびハロゲン元素は、ハロゲン化チタン化合物として用いることができる。
チタン、ハロゲン元素、またはハロゲン化チタン化合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラブロモチタン、トリクロロモノブトキシチタン、トリブロモモノエトキシチタン、トリクロロモノイソプロポキシチタン、ジクロロジエトキシチタン、ジクロロジブトキシチタン、モノクロロトリエトキシチタン、モノクロロトリブトキシチタンなどを挙げることができる。特に、テトラクロロチタン、トリクロロモノブトキシチタンが好ましい。
【0027】
α−オレフィンの重合触媒において、有機アルミニウム化合物成分[B]としては、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライドなどが使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、特に好ましいのはトリアルキルアルミニウムである。
有機アルミニウム化合物成分[B]の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。前記有機アルミニウム化合物成分は、単独で使用することもできるが、2種類以上混合させて使用することもできる。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって得られるポリアルミノキサンも使用することができる。
【0028】
α−オレフィンの重合触媒において、エーテル化合物成分[C]は、一般式(1)で表されるエーテル化合物成分である。
【化2】
Figure 2004066570
は炭素数1〜8の炭化水素基であり、炭素数1〜8の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはメチル基である。また、2個のRは互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0029】
は炭素数1〜24の炭化水素基であり、炭素数1〜24の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはメチル基、エチル基である。2個のRは互いに同じであっても良いし異なっていても良い。
【0030】
エーテル化合物成分[C]の具体的な化合物としては、2,2−ジメトキシプロパン、2−エトキシ−2−メトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、2−エトキシ−2−プロポキシジメトキシシラン、2,2−ジプロポキシプロパン、2−プロポキシ−2−ブトキシプロパン、2,2−ジブトキシプロパン、2,2−ジメトキシブタン、2−エトキシ−2−メトキシブタン、2,2−ジエトキシブタン、2−エトキシ−2−プロポキシブタン、2,2−ジプロポキシブタン、2−プロポキシ−2−ブトキシブタン、2,2−ジブトキシブタン、3,3−ジメトキシペンタン、3−エトキシ−3−メトキシペンタン、3,3−ジエトキシペンタン、3−エトキシ−3−プロポキシペンタン、3,3−ジプロポキシペンタン、3−プロポキシ−3−ブトキシペンタン、3,3−ジブトキシペンタン、3,3−ジメトキシヘキサン、3−エトキシ−3−メトキシヘキサン、3,3−ジエトキシヘキサン、3−エトキシ−3−プロポキシヘキサン、3,3−ジプロポキシヘキサン、3−プロポキシ−3−ブトキシヘキサン、3,3−ジブトキシヘキサン、4,4−ジメトキシヘプタン、4−エトキシ−4−メトキシヘプタン、4,4−ジエトキシヘプタン、4−エトキシ−4−プロポキシヘプタン、4,4−ジプロポキシヘプタン、4−プロポキシ−4−ブトキシヘプタン、4,4−ジブトキシヘプタンなどが挙げられ、特に2,2−ジメトキシプロパンが好ましい。
【0031】
一般式(1)で表されるエーテル化合物成分[C]は、たとえば、アルコールとケトンの当量反応により得られるものを用いることが出来る。
【0032】
α−オレフィンの重合触媒において、触媒固体成分[A]、有機アルミニウム化合物成分[B]およびエーテル化合物成分[C]の各成分の使用量は、α−オレフィンが重合可能であれば、どのような配合割合でもよい。
触媒固体成分[A]と有機アルミニウム化合物成分[B]との使用量は、例えば、触媒固体成分[A]中のチタンと有機アルミニウム化合物とのモル比([有機アルミニウム化合物]/[チタン])は、好ましくは1〜10000の範囲、、さらに好ましくは2〜8000の範囲、より好ましくは5〜5000の範囲、特に好ましくは10〜1000の範囲が好ましい。
エーテル化合物成分[C]と有機アルミニウム化合物成分[B]との使用量は、エーテル化合物量と有機アルミニウム化合物成分[B]とのモル比([エーテル化合物]/[有機アルミニウム化合物])が、好ましくは0.001〜1の範囲が好ましく、特に0.01〜0.3の範囲が好ましい。
【0033】
α−オレフィンの重合触媒において、α−オレフィンを重合する場合、水素などの連鎖移動剤を併せて使用することができる。所望の分子量を有する軟質オレフィン重合体を製造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件によって、適宜決定することができるが、通常、水素/α−オレフィン分圧比が0.001〜0.5の範囲が好ましい。
【0034】
α−オレフィンの重合触媒の製造方法として、触媒の各成分の接触順序について特に制限はないが、触媒固体成分[A]と有機アルミニウム化合物成分[B]をあらかじめ接触してから、エーテル化合物成分[C]を接触させることが好ましく、または有機アルミニウム化合物成分[B]とエーテル化合物成分[C]をあらかじめ接触してから、触媒固体成分[A]を接触させることが好ましい。
【0035】
α−オレフィンの重合触媒を用いる重合方法としては、公知の重合方法に用いることができる。重合方法の具体例として、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの無極性溶媒を使用するスラリ−重合法、モノマ−を気体状態で触媒と接触して重合を行う気相重合法、あるいは液化状態のモノマ−を溶媒としてその中で重合させるバルク重合法などを挙げることが出来、特にバルク重合が好ましい。
また、上記重合方法で、1段重合、2段重合などの多段重合、連続重合、バッチ重合のいずれを行ってもよい。
重合圧力は、重合可能であればどのような圧力でもよく、好ましくは0.1〜10MPa、さらに好ましくは1〜6MPaの範囲が好ましい。重合温度は、重合可能であればどのような温度でもよく、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは30〜100℃、特に好ましくは50〜90℃の範囲が好ましい。重合時間は、重合可能であればどのような時間でもよく、好ましくは0.1〜10時間、さらに好ましくは0.5〜7時間の範囲が好ましい。
【0036】
α−オレフィンの重合触媒は、重合活性が好ましくは5000g/(g・hr)以上、さらに好ましくは7000g/(g・hr)以上、より好ましくは12000g/(g・hr)以上、特に好ましくは15000g/(g・hr)以上が好ましい。
【0037】
成分(B)は、本発明で用いる非晶性ポリプロピレンを除く、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される樹脂成分であり、結晶性ポリプロピレンを1種又は2種以上、及び/又はポリエチレンを1種又は2種以上とを組合わせて用いることができる。
【0038】
成分(B)の結晶性ポリプロピレンは、
公知の方法で重合することができ、押出成形用、射出成形用、ブロー成形用などとして通常市販されている結晶性ポリプロピレンを用いることが出来、プロピレン単独重合体でもよく、また、プロピレンとプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィン50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下を含むブロック共重合体又はランダム共重合体を好ましく用いることができる。成分(B)の結晶性ポリプロピレンは、沸騰n−ヘプタン不溶分の量が35%以上、好ましくは37%以上、さらに好ましくは39%以上、特に好ましくは41重量%以上である。
成分(B)の結晶性ポリプロピレンの2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(230℃)が、好ましくは0.1〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分、特に好ましくは0.1〜20g/10分である。
【0039】
成分(B)のポリエチレンは、公知の方法で重合することができ、
低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのエチレンの単独重合体、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、及びそのアイオノマーなどのうちから選ばれた1つ又は2つ以上のモノマーとの共重合体又は多元共重合体などを用いることができる。
上記炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、シクロヘキセンなどが挙げられる。
上記エチレンとα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位は、通常、好ましくは15モル%以下の範囲、さらに好ましくは0.1〜10モル%の範囲で、特に好ましくは0.1〜8モル%の範囲で含まれている。α−オレフィンは、エチレン−α−オレフィン共重合体中に単独であっても、二種以上含まれていてもよい。
成分(B)のポリエチレンは、結晶性のポリエチレンが好ましく、密度0.90g/cm以上のポリエチレンが好ましい。
成分(B)のポリエチレンの2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(190℃)が、好ましくは0.1〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分、特に好ましくは0.1〜20g/10分である。
【0040】
本発明において、非晶性ポリプロピレンと、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)の樹脂成分の調製方法は、特に制限されるものではなく、一般にポリオレフィンの製法で慣用されている方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどの混練機、1軸押出機または2軸押出機などを用いて加熱溶融混練して行うことができる。
【0041】
非晶性ポリプロピレン、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンは、変性したものを使用することができる。上記非晶性ポリプロピレン、結晶性ポリプロピレン又はポリエチレンを、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸および/またはそれらのエステル、酸無水物、金属塩などのその誘導体、不飽和物のアミド、アミノ化合物、グリシジルメタアクリレート、ヒドロキシメタアクリレート、少なくとも1つの末端ビニル基を有するシラン化合物などで変性して用いることができる。これらの変性物のうち無水マレイン酸、無水イタコン酸により変性されたものが好適に用いられ、より好適には無水マレイン酸により変性されたものが用いられる。
【0042】
(X)層と(Y)層は、本発明に用いる非晶性ポリプロピレン、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンを除く他のオレフィン重合体、ゴム、エラストマーなどの熱可塑性樹脂などの樹脂成分とブレンドして使用することもできる。
【0043】
(X)層と(Y)層は、高級脂肪酸、高級脂肪族アミド、金属せっけん、グリセリンエステル等の滑剤;天然シリカ、合成シリカ、シリケート類、タルク、珪藻土等のアンチブロッキング剤;ビタミンB、フェノール系、りん系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸塩、ハイドロタルサイト類化合物等の触媒失活剤・酸中和剤;ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、HALS等の紫外線吸収剤;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、りん系、ハロゲン系等の難燃剤;マイカ、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、亜鉛華、ウォラストナイト、けい藻土、けい砂、硫酸アルミニウム、軽石粉、シリカ、炭酸カルシウム、、ガラス(繊維も含む)、炭素繊維、カーボンブラック等の無機・有機充填剤;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、酸化鉄、群青等の顔料;帯電防止剤;界面活性剤、増核剤、可塑剤、防曇剤、抗菌剤、セラミックス、油脂などの従来公知の一般的な添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。
【0044】
本発明の積層フィルムは、(X)層及び(Y)層を、通常、交互に積層して構成され、積層する(X)層及び(Y)層の積層数は特に制限されないが、少なくとも2層から構成され、最外層又はX層の両外面を形成する層の少なくとも1層が(Y)層で構成されることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、例えば、(Y)/(X)、(Y)/(X)/(Y)、(Y)/(X)/(Y)/(X)/(Y)、(Y)/(X)/(Z)、(Y)/(Z)/(X)、(Z)/(Y)/(X)/(Z)、(Z)/(Y)/(X)/(Y)/(Z)などのような積層組合わせで積層フィルムを構成することができる。
ここで(Z)層は、(X)層及び(Y)層を除く層である。
(X)層及び(Y)層の間又は外面に、他の熱可塑性樹脂層、例えば、ガスバリヤーを付与するためナイロン、エバール、ポリエステルなどを積層することができる。
(X)層及び(Y)層の間又は外面に、ナイロン、エバール、ポリエステルなど編織物や不織布、紙、クラフト、発泡樹脂などの緩衝体などを積層することができる。
本発明の積層フィルムは、(X)層の少なくとも片面に(Y)層を直接積層する積層フィルムが好ましく、さらに(X)層の両面に(Y)層を直接積層する積層フィルムが好ましい。
【0045】
本発明の積層フィルムにおいて、積層フィルムを構成する各層の厚さは、特に限定されるものでなく、任意に選択することができる。通常は、各層を約2〜1000μmの範囲に形成することが好ましい。また、(X)層と(Y)層との厚みの比率も、特に限定されるものでないが、好ましくは(X)層/(Y)層の厚み比が1/1〜20/1の範囲が好ましい。
本発明の積層フィルムの各層の厚さは、[(X)層≧(Y)層]の関係が、柔軟性に優れるために好ましい。
【0046】
本発明の積層フィルムの引張降伏強さは、好ましくは5〜60MPa、さらに好ましくは6〜40MPa、特に好ましくは8〜30MPaである。
本発明の積層フィルムの引張破壊強さは、好ましくは10〜100MPa、さらに好ましくは15〜80MPa、特に好ましくは20〜60MPaである。
本発明の積層フィルムの引張伸びは、好ましくは500%以上、さらに好ましくは 600%以上、特に好ましくは800%以上である。
本発明の積層フィルムの引張弾性率は、好ましくは60〜800MPa、さらに好ましくは80〜600MPa、特に好ましくは100〜500MPaである。
【0047】
本発明の積層フィルムにおいて、MD方向の引張降伏強さ(23℃)を、TD方向の引張降伏強さ(23℃)で除した値は、好ましくは0.9〜1.1、さらに好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.97〜1.03である。本発明の積層フィルムにおいて、MD方向の引張破壊強さ(23℃)を、TD方向の引張破壊強さ(23℃)で除した値は、好ましくは0.9〜1.1、さらに好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.97〜1.03である。本発明の積層フィルムにおいて、MD方向の引張弾性率(23℃)を、TD方向の引張弾性率(23℃)で除した値は、好ましくは0.9〜1.1、さらに好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.97〜1.03である。
本発明の積層フィルムにおいて、MD方向の引張伸び(23℃)を、TD方向の引張伸び(23℃)で除した値は、好ましくは0.8〜1.2、さらに好ましくは0.85〜1.15、特に好ましくは0.9〜1.1である。
【0048】
本発明の積層フィルムにおいて、X層とY層とは、共押出し又はラミネートにより、或いは接着剤など他の層を介して積層することができる。製造法の一例として、例えば、積層数に見合う押出機を用いて溶融押出し、Tダイ法又はインフレーション法等の公知の方法で溶融状態で積層した後、冷却ロール、水冷又は空冷で冷却する方法を用いて、積層フィルムとすることができる。
【0049】
本発明の積層フィルムは、印刷性、ラミネート、粘着剤塗布性を向上させるために表面処理を行うことができる。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理、マット処理、エンボス処理等が挙げられ、本発明においてはいずれの方法をも用いることができる。連続処理が可能であり、フィルムの製造過程の巻取り工程前に容易に実施可能であることから、プラズマ処理、火炎処理及びコロナ放電処理、マット処理、エンボス処理等が好ましく、これらの中でも簡便さの点からコロナ放電処理が最も好ましい。
また、本積層フィルムを一軸又は二軸延伸加工、圧空、真空成形等することもできる。
【0050】
本発明の積層フィルムは、上記のように積層、冷却、固化された後、必要に応じ上記のような処理をした後、巻き取られて次工程、例えば、印刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシール等の二次加工工程を経て目的とする用途に使用することができる。
【0051】
本発明の積層フィルムは上記のような特徴から、各種用途、例えば、食品包装、繊維包装等の各種の包装用フィルム、輸液バッグ、医療用テープ、医療用シート等のメディカル用途、金属保護フィルム、自動車・建築分野におけるカーペット裏打ち材、粘着テープの基材、土木・建築分野における建材用フィルムやシート、ケーブルの絶縁体、繊維、テープ用基材、コーティング材などに好適に用いられる材料である。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
以下に本発明の実施例を説明する。
【0053】
▲1▼溶融粘度(190℃): α−オレフィン重合体(8g)を採取し、ブルックフィールドRVT粘度計ModelDV−IIを用い、ASTM・D3236に準拠して190℃における粘度を測定する。ずり速度は、3.4sec−1(10回転)で行う。
【0054】
▲2▼非晶性ポリプロピレンのブテン含量の測定[重量%]: カトーテック株式会社製ホットプレスにて、100μm厚のスペーサーを用い、100μm厚のフィルムを作成する。このフィルムをパーキンエルマー製FT−IR1600シリーズを用いて4500〜400cm−1を走査し、ブテンに帰属する766cm−1のピーク面積とプロピレンに帰属する4320cm−1のピーク面積から、数式(1)によりブテン含量(重量%)を算出する。
ホットプレスは、予熱190℃設定:2分、加圧100kg/cmにて2分、冷却20℃で2分の条件で行う。
【数1】
Figure 2004066570
【0055】
▲3▼機械的特性の評価:
カトーテック株式会社製ホットプレスにて、1mm厚のスペーサーを用い、1mm厚のフィルムを作成する。ホットプレスは、予熱190℃設定:5分、加圧100kg/cmにて3分、加圧冷却20℃で100kg/cmにて2分の条件で行う。
この1mm厚のフィルムを、23℃の恒温室に48時間放置した後、ダンベル状1号形の打ち抜き型を用いて打ち抜き、さらに23℃の恒温室に1時間放置し、試験片とする。試験片の厚みは、Mitutoyoコーポレーション製厚み計タイプIDA−112M(0.001mm)を用いて測定する。
引張り試験は、テンシロン万能試験機(RTM−1T)を用い、23℃で引張り速度5mm/分、チャック間距離50mm、チャート送り速度500mm/分で測定する。
引張り弾性率は、引張応力−ひずみ曲線の最初の直線部分の延長線(接線)とチャートの10cmとの交点の応力(F)を測定し、数式(2)に従い算出する。
【数2】
Figure 2004066570
【0056】
▲4▼非晶性ポリプロピレンのブリードアウト: ブリードアウトは粘着性の評価である。 カトーテック株式会社製ホットプレスにて、1mm厚のスペーサーを用い、試料をテフロンシートに挟み、1mm厚のフィルムを作成する。ホットプレスは、予熱190℃設定:5分、加圧100kg/cmにて3分、加圧冷却20℃で100kg/cmにて2分の条件で行う。
ホットプレスで用いるテフロンシートから1mm厚のフィルムを剥がし、この1mm厚のフィルムを新たなテフロンフィルムに挟み、23℃の恒温室で1ヶ月放置した後、フィルムおよびテフロンフィルムの表面状態を目視ないし触手で観察し、以下の評価を行う。
評価は、
○:フィルム表面にブリードアウト成分が見られない状態で、フィルム表面がほとんど又は全くべたつきを感じない、
×:シート表面にブリードアウト成分が見られる状態で、テフロンフィルムが一部濡れている、
××:シート表面にブリードアウト成分が見られる状態で、テフロンフィルムが一面濡れている。
【0057】
▲5▼積層フィルムのブリードアウト: 100μm厚の積層体をテフロンフィルムに挟み、80℃の恒温室で30日放置した後、積層体及びテフロンフィルムの表面状態を目視ないし触手で観察する。
【0058】
▲6▼沸騰n−ヘプタン不溶分の測定:
α−オレフィン重合体約2gを乾燥した筒状ろ紙に入れて、その重量を測定した後、二重管式ソックスレー抽出器にセットした。n−ヘプタン150gをこのソックスレー容器に入れ、加熱して、10時間、沸騰還流させ、非晶性ポリプロピレン中の溶解成分を抽出する。その後、沸騰n−ヘプタン不溶分の残った筒状ろ紙を取出し、恒量になるまで減圧乾燥し、その重量を測定した。沸騰n−ヘプタン抽出前後の重量比から数式(3)により沸騰n−ヘプタン不溶分を算出する。
【数3】
Figure 2004066570
【0059】
▲7▼結晶化度の測定:広角X線回析反射測定により行う。測定条件は、装置:リガク社製 回転対陰極型X線回析装置RINT2500型、X線:CuKα、試料台:標準試料台、フィルタ:全自動モノクロメーター、カウンタ:シンチレーションカウンター、管電圧:40kV、管電流:130mA、走査速度:10°/分、走査範囲:3〜140°、スリット:DS/SS/RS=0.5°/0.5°/0.15mmで行い、解析は、Ruland法により結晶化度を算出する。
【0060】
[実験例1]
(1)触媒固体成分[A]の調製:
直径16mmのステンレスボール60個の入った内容積450mlの粉砕用ポットに窒素雰囲気下で、無水塩化マグネシウム10gおよび四塩化チタン2mlを入れ、振動ボールミルに装着して30時間粉砕した。粉砕終了後、粉砕物2gを窒素雰囲気下でスターラーピースおよびG4のガラスフィルターを備えた容量200mlの2連球に入れ、蒸留・脱水トルエン30ml、四塩化チタン20mlを順次導入し、90℃で2時間攪拌反応させた。その後、熱時ろ過し、蒸留・脱水ヘプタン50mlで5回、固形成分を洗浄した。その後、蒸留・脱水へプタン50mlでスラリー化した。得られた固形成分はTiを2.0wt%含有していた。
【0061】
(2)非晶性ポリプロピレンの重合
攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内を窒素で充分置換した後、蒸留・脱水へプタン10mlを入れ、触媒固体成分[A]のn−ヘプタンスラリ−を触媒固体成分として10mg(Ti=0.004mmol)、有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウム2.2mmol、エーテル化合物成分[C]として2,2−ジメトキシプロパン0.04mmolを仕込んだ。続いて、ゲージ圧で水素2.6kg/cm導入後、液化1−ブテン480ml、液化プロピレン720mlを順次導入してオ−トクレ−ブを振とうした。オ−トクレ−ブを68℃に昇温し、68℃で1時間重合を行った。
重合終了後、未反応モノマーを放出し、酸化防止剤(イルガノックス1010)0.5gおよびエタノール2mlを溶解したn−ヘプタン500mlをオートクレーブ内に注入し、引き続き68℃で30分攪拌を行った。その後オートクレーブを開放し、アルミニウム製のバットに溶解した重合体を取り出し、60℃で12時間真空乾燥した。得られた重合体Aの特性を表1に示す。
【0062】
[実験例2]
実験例1の(2)非晶性ポリプロピレンの重合において、エーテル化合物成分[C]を用いず、水素圧をゲージ圧で1.2kg/cm、液化1−ブテンを420ml、液化プロピレンを780ml仕込んだ以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた重合体Bの特性を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 2004066570
【0064】
[実施例1〜4]
(X)層を構成する樹脂組成物として、重合体A(非晶性ポリプロピレン)と、ランダムポリプロピレン[PP−1(三井住友ポリオレフィン社製、商品名ポリプロピレンF221、MFR(230℃):0.7g/10分、エチレン含有量:3.1重量%)]とを、50/50の重量比で混合し、温度200℃で30分間溶融混練して調製した樹脂組成物を用いた。得られた樹脂組成物の機械的特性(23℃)は、引張破断強さが23.1MPaであり、引張伸びが800%以上であり、引張弾性率が136MPaであった。
(Y)層として、ランダムポリプロピレン[PP−2(三井住友ポリオレフィン社製、商品名ポリプロピレンF239、MFR(230℃):9g/10分、エチレン含有量:4重量%)]を用いた。
プラスチック光学研究所製600mm巾の3層Tダイ成形機を用いて、表2に示すフィルム厚み、層構成及び層構成比を有するY層/X層/Y層の3層積層フィルムを作成した。得られた3層積層フィルムの特性を測定し、その結果を表2に示す。
表2において、積層フィルムの引取方向をMD、引取方向に対し垂直方向をTDとする。
【0065】
[比較例1〜4]
(X)層を構成する樹脂組成物として、重合体B(非晶性ポリプロピレン)と、ランダムポリプロピレン[PP−1(三井住友ポリオレフィン社製、商品名ポリプロピレンF221、MFR(230℃):0.7g/10分、エチレン含有量:3.1重量%)]とを、50/50の重量比で混合し、温度200℃で30分間溶融混練して調製した樹脂組成物を用いた。
(Y)層として、ランダムポリプロピレン[PP−2(三井住友ポリオレフィン社製、商品名ポリプロピレンF239、MFR(230℃):9g/10分、エチレン含有量:4重量%)]を用いた。
プラスチック光学研究所製600mm巾の3層Tダイ成形機を用いて、表2に示すフィルム厚み、層構成及び層構成比を有するY層/X層/Y層の3層積層フィルムを作成した。得られた3層積層フィルムの特性を測定し、その結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
Figure 2004066570
【0067】
【発明の効果】
本発明は、少なくとも2層からなる、軟質塩化ビニルフィルムやビニロンフィルムに匹敵し得る軟質フィルムとして、柔軟性、耐熱性、腰の強さ、機械的強度等を兼ね備えた積層フィルムを提供することが出来る。

Claims (2)

  1. 下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%とを含有してなる層(X)と、
    下記(A1)〜(A4)の特徴を有する非晶性ポリプロピレン(A)0〜100重量%(100重量%を除く)と、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)0〜100重量%(0重量%を除く)とを含有してなる層(Y)とが、少なくとも2層に積層され、
    (X)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量が(Y)層に含まれる非晶性ポリプロピレン(A)の含有量より大きいことを特徴とする積層フィルム。
    (A)非晶性ポリプロピレンの特徴
    (A1)非晶性ポリプロピレンは、プロピレン成分含有率が50重量%以上であり、1−ブテン成分含有率が0〜50重量%及び/又は炭素数2〜12のα−オレフィン(炭素数3と4を除く)成分含有率が0〜20重量%である。
    (A2)溶融粘度(190℃)が1000〜25000cps。
    (A3)沸騰n−ヘプタン不溶分が20%以下。
    (A4)結晶化度が11〜25%。
  2. (Y)層が、結晶性ポリプロピレン及びポリエチレンから選択される成分(B)からなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
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JP2018076127A (ja) * 2018-01-10 2018-05-17 昭和電工パッケージング株式会社 包装材及び成形ケース

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