JP2004066499A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録装置において、環境温度が大きく変化しても安定した粒子化を実現でき、良好な印字を行う。
【解決手段】インクジェット記録装置では、インク補給経路26bから印字用インクの貯留容器1にインクが補給される。貯留容器には溶剤補給経路26aから溶剤が補給される。インクと溶剤を適宜混合して、インク温度に応じてインク濃度を変化させる。インクの温度域によりインク濃度を変化させると、どの温度範囲でもインクの粘度が、粒子化が良好になる粘度範囲200内となる。
【選択図】 図6
【解決手段】インクジェット記録装置では、インク補給経路26bから印字用インクの貯留容器1にインクが補給される。貯留容器には溶剤補給経路26aから溶剤が補給される。インクと溶剤を適宜混合して、インク温度に応じてインク濃度を変化させる。インクの温度域によりインク濃度を変化させると、どの温度範囲でもインクの粘度が、粒子化が良好になる粘度範囲200内となる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク粒子を連続的に噴出するインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェット記録装置の例が、特開2002−59563号公報に記載されている。この公報に記載のインクジェットプリンタでは、インクの粘度調整を迅速かつ正確に行い、安定した印字を行えるよう、インクタンク内のインクの温度の単位時間における変化率を算出する演算手段と、その変化率が所定範囲内に達したことを確認した後で、インクの粘度を調整し始める粘度調整手段を有している。
【0003】
インクジェット記録装置の他の例が、特開平11−20158号公報に記載されている。この公報に記載のインク噴射装置では、周囲温度の変化に応じてインク噴射装置の駆動波形を変化させ、周囲温度の変化にかかわらずほぼ一定の記録濃度で記録することを可能にしている。また、インクの粘度を一定に制御するインクジェット記録装置も知られており、温度が変化した時にインクの濃度を変化させて粘度を調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術に記載インクジェットプリンタにおいては、環境温度が変化しても印字に用いるインク濃度を一定に制御している。そのため、インク温度が異なるとインクの粘度が変化するので、インクジェット記録装置の置かれる環境温度により測定粘度値が異なってくる。そこで、温度に対する粘度の変化データを装置に記憶させ、所望の粘度となるように濃度を制御する。その際、インク濃度が設定値から変化していなければ、記憶したデータと検出値が一致するのでインクの調整を実行しない。
【0005】
安定した粒子化、すなわち良好に印字するためには、インク粘度が極端に変化することは望ましくない。上記従来技術においては、大きな温度変化が生じてもインク濃度を変化させないので、印字の品位を保つことができる。しかし、粘度が望ましい範囲を超えてしまうおそれがあり、良好な粒子化が行えず印字不良を発生する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものでありその目的は、インクジェット記録装置の使用環境温度が大きく変化しても、粒子化を安定させ良好に印字することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、記録媒体に記録するインクを振動させてインク粒子を発生し、このインク粒子を帯電および偏向させて記録媒体の所定の位置に到達させて記録するインクジェット記録装置において、インクの濃度を制御する制御手段を設け、この制御手段はインクの温度の変化に応じて制御濃度値を変化させるものである。
【0008】
そしてこの特徴において、制御手段に、インクの温度に応じた制御濃度値を記憶する手段を設けるのが望ましく、制御手段は、基準温度よりもインク温度が高いときには濃度を基準温度のときよりも濃く、基準温度よりもインク温度が低いときは濃度を基準温度時よりも薄く制御するのが望ましい。
【0009】
上記目的を達成するための本発明の他の特徴は、記録媒体に記録するインクを振動させてインク粒子を発生し、このインク粒子を帯電および偏向させて記録媒体の所定の位置に到達させて記録するインクジェット記録装置において、インクの濃度を制御する制御手段を設け、この制御手段はインクの温度の変化に応じて制御濃度値を変化させ、インクの使用温度範囲内ではその粘度変化曲線が滑らかになるよう制御するものである。
【0010】
この特徴において、制御手段は、インクの粘度がインクの使用温度範囲において粒子化良好粘度範囲となるようにインク濃度を制御するようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るインクジェット記録装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、インクジェット記録装置の概観斜視図であり、図2は図1に示したインクジェット記録装置の垂直断面図である。インクジェット記録装置の本体600には、制御基盤等の制御系やポンプユニット等のインクの循環系が収納されている。本体下部の裏面側には、ケーブル620が接続されており、ケーブル620の先端近くにはインクを噴出し粒子を形成するノズルを有するヘッド部610が取付けられている。インクジェットの本体600上部は、その一面が傾斜して形成され、この傾斜部には窓630が取付けられている。本体下部の前面側には開閉可能な扉670が取付けられている。
【0012】
図2に示すように、本体600内部の上部には、制御基盤640等の電気系部品が配置されている。本体600内部の下部背面側には、電磁弁650やポンプユニット655等の循環系制御部品が配置されている。本体600内部の下部前面側には、粘度計17やインクを貯めた容器(図示せず)、溶剤を貯めた容器(図示せず)が納められている。上述したように扉670は、下辺の回りに開閉可能になっている。扉670を開くことにより、インク容器や溶剤容器、粘度計を本体600の前方に引き出せるようになっており、インクや溶剤の補給と廃棄、および粘度計17のメンテナンスを容易にしている。
【0013】
インクジェット記録装置に用いるインク循環系の模式図を、図3に示す。インク供給経路21は、インクを貯めておく容器1と、この容器1に貯められたインクをノズル6まで圧送するポンプ2と、このポンプ2の下流側に設けられインクの圧力を調節する調圧弁3と、供給されるインクの圧力を計測する圧力計4と、ノズル6に供給する前に不純物を取り除くフィルタ5とを有している。ノズル6の下流側には平行平板状の帯電電極7が配置されている。この帯電電極7には図示しない記録信号源が接続されている。帯電電極7に記録信号電圧を印加すると、ノズル6から規則的に噴射されたインク粒子8が帯電される。
【0014】
帯電電極7の下流側には、平行平板を形成する下部偏向電極10と、この下部偏向電極10と帯電電極7側では平行平板を形成し、この平行部の下流側では傾斜平板部を形成する上部偏向電極9とが配置されている。上部偏向電極9には図示しない高電圧源が接続されている。一方、下部偏向電極10は接地されている。これにより、上部偏向電極9と下部偏向電極10との間に静電界を形成する。ノズル6から噴出されたインク粒子8は帯電電極7で帯電し、その帯電量に応じて上部偏向電極9と下部偏向電極10間で偏向され、図示しない記録媒体に印字される。
【0015】
印字に用いられなかったインク粒子8は、インク回収経路22からインク貯留容器1に回収される。インク回収経路22は、印字に用いられなかったインク粒子を受け止めるガター11と、このガター11で回収したインク粒子8に含まれる不純物を取り除くフィルタ12とフィルタリングされたインクを貯留容器1まで圧送するポンプ14とを備えている。これにより、帯電電極7で帯電されず記録に関与しなかったインク粒子8は、回収され再利用に供される。
【0016】
本インクジェット記録装置では、インクの粘度を検出するために、粘度計測経路24を有している。この粘度計測経路24は、粘度計17とインク貯留容器1との間でインクを循環させるポンプ32と、このポンプ32で圧送されたインクの粘度を計測する粘度計17と、粘度計17に流入するインクから不純物を取り除くフィルタ34と、粘度計17へのインクの流入を制御する電磁弁18とを有している。
【0017】
なお、インク濃度を最適にするために、インクは溶剤で希釈される。そこで本実施例では、インクを希釈するための溶剤補給経路26aを備えている。一方、インクをインク貯留容器1に補充するためにインク補給経路も設けられている。溶剤補給経路26aは、希釈液である溶剤を貯留する溶剤貯留容器30と、溶剤貯留容器30から容器1へ溶剤を圧送するポンプ31と、溶剤補給経路26aを開閉する電磁弁29とを有している。電磁弁29を開くと、溶剤が容器1に供給され、容器1のインク濃度が希釈される。インク補給経路26bは、100%濃度のインクもしくは濃縮したインクを貯留するインク貯留容器30bと、このインク貯留容器30bから容器1へインクを圧送するポンプ31bと、インク補給経路26bを開閉する電磁弁29bとを備えている。電磁弁29bを開くとインク貯留容器30b内のインクが容器1に供給され、容器1のインク濃度を増大させる。なお、インク濃度は、溶剤量を減らしても増大できる。例えば、溶剤を蒸発させれば高濃度にできるので、インク補給経路26aは必ずしも必要ではない。
【0018】
このように構成した本実施例に動作について、図4ないし図6を用いて説明する。図4に、インク温度を変化させたときのインク粘度の変化を示す。インク温度が低いときにはインクの粘度は高く、インク温度が上昇するにつれてインク粘度は低下する。図中200で示した範囲は、インクをジェット噴射したときに粒子化が良好であった領域である。なお、この図4ではインク濃度を一定にしている。
【0019】
従来のインクジェット記録装置においては、インク濃度を一定に保つよう制御していたので、粘度は図4のように変化していた。従来のインク粒子を連続的に噴出するインクジェット記録装置においては、高温域や低温域でインクの粒子化の点で不十分な範囲201、202があることがこの図4から知られる。
【0020】
ところで、インクの温度が一定でも、インクの濃度が変化すればインクの粘度は変化する。例えば、同じ温度30℃において、100%濃度のインクを90%に希釈すると、粘度は低下する。図5に、温度を変化させたときの粘度の変化を、濃度をパラメータにして示す。曲線203はインク濃度を100%にしたときのものであり、曲線204は高濃度インクでインク濃度を110%にしたときのものである。また、曲線205は低濃度インクの場合であり、インク濃度を90%にしたときのものである。どの濃度においてもインク温度が低いときは粘度が高く、また温度が高いときは粘度が低い。さらに、どの温度においても濃度が高いときは粘度が高く、濃度が低いときは粘度が低い。
【0021】
濃度も変化させたときに、良好に印字できないおそれのある高温側の範囲201を改善するためには、インク濃度を高濃度化すればよい。例えば110%濃度にインク濃度を変更するとインク粘度が矢印206方向に変化し、ほぼ温度50℃までインクの粒子化が良好な粘度範囲200に移すことができる。同様に低温側の良好に印字できないおそれのある範囲202を改善するためには、インクを低濃度化する。例えば90%濃度にインク濃度を変更すれば、インクの粘度は矢印207方向にシフトし、インク温度が0℃程度になってもインクの粒子化が良好な粘度範囲200になる。
【0022】
そこで、本実施例では図6に示すように、温度範囲を低温域、常温域、高温域に分割し、それぞれの範囲に応じたインク濃度とした。図6において、インク温度が10℃から40℃であれば常温域とし、10℃以下であれば低温域とし、40℃以上であれば高温域とした。低温域ではインク濃度を90%にし、高温域ではインク濃度を110%に制御した。常温域では、インク濃度を100%に設定した。なお、この温度範囲は、使用するインクに応じて設定すればよい。常温域を例えば20℃から30℃等に設定してもよい。インクの種類が異なれば温度に対する粘度変化の様子も異なるから、図6に示した変化よりも急激な変化が生じたり、図6に示したほどの変化が生じたりする。その場合には、インクの種類毎に常温域を設定してもよい。
【0023】
本実施例では温度範囲を3段階にステップ状に分けているが、更に細かく4段階以上に設定してもよい。その場合、最も低温側の温度域の設定インク濃度を、その隣の温度域の設定インク濃度よりも低濃度にする。例えば、インク温度が0℃〜5℃のときにはインクの設定濃度を90%にし、インク温度が5℃〜10℃のときにはインクの設定濃度を95%にする。同様に、最も高温側の温度域の設定インク濃度を、その隣の温度域の設定インク濃度よりも高濃度にする。例えばインク温度が45℃〜50℃のときには設定インク濃度を110%とし、インク温度が40℃〜45℃のときには、設定インク濃度を105%とする。温度の区画段階多くすれば、それだけ各温度に応じた濃度制御が可能になる。また、インクの粒子化が良好な粘度範囲200内で粘度変化の曲線を滑らかにすることも可能である。
【0024】
以上のようにインク濃度値を段階的に調整すれば、温度変化により著しく粘度が変化する領域でも安定してインクを粒子化できる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、温度変化に対して段階的に異なるインク濃度に調整するように制御すれば、安定してインク粒子化を行うことが出来、常に良好な印字を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一実施例の斜視図。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の垂直断面図。
【図3】図1に示したインクジェット記録装置に用いる循環系の模式図。
【図4】インクの温度と粘度の関係を説明する図。
【図5】インクの温度と粘度と濃度の関係を説明する図。
【図6】インクの状態を説明する図。
【符号の説明】
1…容器、2…ポンプ、3…調圧弁、4…圧力計、5…フィルタ、6…ノズル、7…帯電電極、8…インク粒子、9…上部偏向電極、10…下部偏向電極、11…ガター、12…フィルタ、14…ポンプ、17…粘度計、21…インク供給経路、22…インク回収経路、24…粘度計測経路、26a…溶剤補給経路、26b…インク補給経路、29a…電磁弁、29b…電磁弁、30a…容器、30b…容器、31a…ポンプ、31b…ポンプ200…粒子化良好粘度範囲、201…範囲、202…範囲、203…曲線、204…曲線、205…曲線、206…矢印、207…矢印、600…本体、610…ヘッド部、620…ケーブル、640…制御基板、650…電磁弁、655…ポンプユニット、670…扉。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク粒子を連続的に噴出するインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェット記録装置の例が、特開2002−59563号公報に記載されている。この公報に記載のインクジェットプリンタでは、インクの粘度調整を迅速かつ正確に行い、安定した印字を行えるよう、インクタンク内のインクの温度の単位時間における変化率を算出する演算手段と、その変化率が所定範囲内に達したことを確認した後で、インクの粘度を調整し始める粘度調整手段を有している。
【0003】
インクジェット記録装置の他の例が、特開平11−20158号公報に記載されている。この公報に記載のインク噴射装置では、周囲温度の変化に応じてインク噴射装置の駆動波形を変化させ、周囲温度の変化にかかわらずほぼ一定の記録濃度で記録することを可能にしている。また、インクの粘度を一定に制御するインクジェット記録装置も知られており、温度が変化した時にインクの濃度を変化させて粘度を調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術に記載インクジェットプリンタにおいては、環境温度が変化しても印字に用いるインク濃度を一定に制御している。そのため、インク温度が異なるとインクの粘度が変化するので、インクジェット記録装置の置かれる環境温度により測定粘度値が異なってくる。そこで、温度に対する粘度の変化データを装置に記憶させ、所望の粘度となるように濃度を制御する。その際、インク濃度が設定値から変化していなければ、記憶したデータと検出値が一致するのでインクの調整を実行しない。
【0005】
安定した粒子化、すなわち良好に印字するためには、インク粘度が極端に変化することは望ましくない。上記従来技術においては、大きな温度変化が生じてもインク濃度を変化させないので、印字の品位を保つことができる。しかし、粘度が望ましい範囲を超えてしまうおそれがあり、良好な粒子化が行えず印字不良を発生する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものでありその目的は、インクジェット記録装置の使用環境温度が大きく変化しても、粒子化を安定させ良好に印字することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、記録媒体に記録するインクを振動させてインク粒子を発生し、このインク粒子を帯電および偏向させて記録媒体の所定の位置に到達させて記録するインクジェット記録装置において、インクの濃度を制御する制御手段を設け、この制御手段はインクの温度の変化に応じて制御濃度値を変化させるものである。
【0008】
そしてこの特徴において、制御手段に、インクの温度に応じた制御濃度値を記憶する手段を設けるのが望ましく、制御手段は、基準温度よりもインク温度が高いときには濃度を基準温度のときよりも濃く、基準温度よりもインク温度が低いときは濃度を基準温度時よりも薄く制御するのが望ましい。
【0009】
上記目的を達成するための本発明の他の特徴は、記録媒体に記録するインクを振動させてインク粒子を発生し、このインク粒子を帯電および偏向させて記録媒体の所定の位置に到達させて記録するインクジェット記録装置において、インクの濃度を制御する制御手段を設け、この制御手段はインクの温度の変化に応じて制御濃度値を変化させ、インクの使用温度範囲内ではその粘度変化曲線が滑らかになるよう制御するものである。
【0010】
この特徴において、制御手段は、インクの粘度がインクの使用温度範囲において粒子化良好粘度範囲となるようにインク濃度を制御するようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るインクジェット記録装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、インクジェット記録装置の概観斜視図であり、図2は図1に示したインクジェット記録装置の垂直断面図である。インクジェット記録装置の本体600には、制御基盤等の制御系やポンプユニット等のインクの循環系が収納されている。本体下部の裏面側には、ケーブル620が接続されており、ケーブル620の先端近くにはインクを噴出し粒子を形成するノズルを有するヘッド部610が取付けられている。インクジェットの本体600上部は、その一面が傾斜して形成され、この傾斜部には窓630が取付けられている。本体下部の前面側には開閉可能な扉670が取付けられている。
【0012】
図2に示すように、本体600内部の上部には、制御基盤640等の電気系部品が配置されている。本体600内部の下部背面側には、電磁弁650やポンプユニット655等の循環系制御部品が配置されている。本体600内部の下部前面側には、粘度計17やインクを貯めた容器(図示せず)、溶剤を貯めた容器(図示せず)が納められている。上述したように扉670は、下辺の回りに開閉可能になっている。扉670を開くことにより、インク容器や溶剤容器、粘度計を本体600の前方に引き出せるようになっており、インクや溶剤の補給と廃棄、および粘度計17のメンテナンスを容易にしている。
【0013】
インクジェット記録装置に用いるインク循環系の模式図を、図3に示す。インク供給経路21は、インクを貯めておく容器1と、この容器1に貯められたインクをノズル6まで圧送するポンプ2と、このポンプ2の下流側に設けられインクの圧力を調節する調圧弁3と、供給されるインクの圧力を計測する圧力計4と、ノズル6に供給する前に不純物を取り除くフィルタ5とを有している。ノズル6の下流側には平行平板状の帯電電極7が配置されている。この帯電電極7には図示しない記録信号源が接続されている。帯電電極7に記録信号電圧を印加すると、ノズル6から規則的に噴射されたインク粒子8が帯電される。
【0014】
帯電電極7の下流側には、平行平板を形成する下部偏向電極10と、この下部偏向電極10と帯電電極7側では平行平板を形成し、この平行部の下流側では傾斜平板部を形成する上部偏向電極9とが配置されている。上部偏向電極9には図示しない高電圧源が接続されている。一方、下部偏向電極10は接地されている。これにより、上部偏向電極9と下部偏向電極10との間に静電界を形成する。ノズル6から噴出されたインク粒子8は帯電電極7で帯電し、その帯電量に応じて上部偏向電極9と下部偏向電極10間で偏向され、図示しない記録媒体に印字される。
【0015】
印字に用いられなかったインク粒子8は、インク回収経路22からインク貯留容器1に回収される。インク回収経路22は、印字に用いられなかったインク粒子を受け止めるガター11と、このガター11で回収したインク粒子8に含まれる不純物を取り除くフィルタ12とフィルタリングされたインクを貯留容器1まで圧送するポンプ14とを備えている。これにより、帯電電極7で帯電されず記録に関与しなかったインク粒子8は、回収され再利用に供される。
【0016】
本インクジェット記録装置では、インクの粘度を検出するために、粘度計測経路24を有している。この粘度計測経路24は、粘度計17とインク貯留容器1との間でインクを循環させるポンプ32と、このポンプ32で圧送されたインクの粘度を計測する粘度計17と、粘度計17に流入するインクから不純物を取り除くフィルタ34と、粘度計17へのインクの流入を制御する電磁弁18とを有している。
【0017】
なお、インク濃度を最適にするために、インクは溶剤で希釈される。そこで本実施例では、インクを希釈するための溶剤補給経路26aを備えている。一方、インクをインク貯留容器1に補充するためにインク補給経路も設けられている。溶剤補給経路26aは、希釈液である溶剤を貯留する溶剤貯留容器30と、溶剤貯留容器30から容器1へ溶剤を圧送するポンプ31と、溶剤補給経路26aを開閉する電磁弁29とを有している。電磁弁29を開くと、溶剤が容器1に供給され、容器1のインク濃度が希釈される。インク補給経路26bは、100%濃度のインクもしくは濃縮したインクを貯留するインク貯留容器30bと、このインク貯留容器30bから容器1へインクを圧送するポンプ31bと、インク補給経路26bを開閉する電磁弁29bとを備えている。電磁弁29bを開くとインク貯留容器30b内のインクが容器1に供給され、容器1のインク濃度を増大させる。なお、インク濃度は、溶剤量を減らしても増大できる。例えば、溶剤を蒸発させれば高濃度にできるので、インク補給経路26aは必ずしも必要ではない。
【0018】
このように構成した本実施例に動作について、図4ないし図6を用いて説明する。図4に、インク温度を変化させたときのインク粘度の変化を示す。インク温度が低いときにはインクの粘度は高く、インク温度が上昇するにつれてインク粘度は低下する。図中200で示した範囲は、インクをジェット噴射したときに粒子化が良好であった領域である。なお、この図4ではインク濃度を一定にしている。
【0019】
従来のインクジェット記録装置においては、インク濃度を一定に保つよう制御していたので、粘度は図4のように変化していた。従来のインク粒子を連続的に噴出するインクジェット記録装置においては、高温域や低温域でインクの粒子化の点で不十分な範囲201、202があることがこの図4から知られる。
【0020】
ところで、インクの温度が一定でも、インクの濃度が変化すればインクの粘度は変化する。例えば、同じ温度30℃において、100%濃度のインクを90%に希釈すると、粘度は低下する。図5に、温度を変化させたときの粘度の変化を、濃度をパラメータにして示す。曲線203はインク濃度を100%にしたときのものであり、曲線204は高濃度インクでインク濃度を110%にしたときのものである。また、曲線205は低濃度インクの場合であり、インク濃度を90%にしたときのものである。どの濃度においてもインク温度が低いときは粘度が高く、また温度が高いときは粘度が低い。さらに、どの温度においても濃度が高いときは粘度が高く、濃度が低いときは粘度が低い。
【0021】
濃度も変化させたときに、良好に印字できないおそれのある高温側の範囲201を改善するためには、インク濃度を高濃度化すればよい。例えば110%濃度にインク濃度を変更するとインク粘度が矢印206方向に変化し、ほぼ温度50℃までインクの粒子化が良好な粘度範囲200に移すことができる。同様に低温側の良好に印字できないおそれのある範囲202を改善するためには、インクを低濃度化する。例えば90%濃度にインク濃度を変更すれば、インクの粘度は矢印207方向にシフトし、インク温度が0℃程度になってもインクの粒子化が良好な粘度範囲200になる。
【0022】
そこで、本実施例では図6に示すように、温度範囲を低温域、常温域、高温域に分割し、それぞれの範囲に応じたインク濃度とした。図6において、インク温度が10℃から40℃であれば常温域とし、10℃以下であれば低温域とし、40℃以上であれば高温域とした。低温域ではインク濃度を90%にし、高温域ではインク濃度を110%に制御した。常温域では、インク濃度を100%に設定した。なお、この温度範囲は、使用するインクに応じて設定すればよい。常温域を例えば20℃から30℃等に設定してもよい。インクの種類が異なれば温度に対する粘度変化の様子も異なるから、図6に示した変化よりも急激な変化が生じたり、図6に示したほどの変化が生じたりする。その場合には、インクの種類毎に常温域を設定してもよい。
【0023】
本実施例では温度範囲を3段階にステップ状に分けているが、更に細かく4段階以上に設定してもよい。その場合、最も低温側の温度域の設定インク濃度を、その隣の温度域の設定インク濃度よりも低濃度にする。例えば、インク温度が0℃〜5℃のときにはインクの設定濃度を90%にし、インク温度が5℃〜10℃のときにはインクの設定濃度を95%にする。同様に、最も高温側の温度域の設定インク濃度を、その隣の温度域の設定インク濃度よりも高濃度にする。例えばインク温度が45℃〜50℃のときには設定インク濃度を110%とし、インク温度が40℃〜45℃のときには、設定インク濃度を105%とする。温度の区画段階多くすれば、それだけ各温度に応じた濃度制御が可能になる。また、インクの粒子化が良好な粘度範囲200内で粘度変化の曲線を滑らかにすることも可能である。
【0024】
以上のようにインク濃度値を段階的に調整すれば、温度変化により著しく粘度が変化する領域でも安定してインクを粒子化できる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、温度変化に対して段階的に異なるインク濃度に調整するように制御すれば、安定してインク粒子化を行うことが出来、常に良好な印字を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一実施例の斜視図。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の垂直断面図。
【図3】図1に示したインクジェット記録装置に用いる循環系の模式図。
【図4】インクの温度と粘度の関係を説明する図。
【図5】インクの温度と粘度と濃度の関係を説明する図。
【図6】インクの状態を説明する図。
【符号の説明】
1…容器、2…ポンプ、3…調圧弁、4…圧力計、5…フィルタ、6…ノズル、7…帯電電極、8…インク粒子、9…上部偏向電極、10…下部偏向電極、11…ガター、12…フィルタ、14…ポンプ、17…粘度計、21…インク供給経路、22…インク回収経路、24…粘度計測経路、26a…溶剤補給経路、26b…インク補給経路、29a…電磁弁、29b…電磁弁、30a…容器、30b…容器、31a…ポンプ、31b…ポンプ200…粒子化良好粘度範囲、201…範囲、202…範囲、203…曲線、204…曲線、205…曲線、206…矢印、207…矢印、600…本体、610…ヘッド部、620…ケーブル、640…制御基板、650…電磁弁、655…ポンプユニット、670…扉。
Claims (5)
- 記録媒体に記録するインクを振動させてインク粒子を発生し、このインク粒子を帯電および偏向させて記録媒体の所定の位置に到達させて記録するインクジェット記録装置において、
インクの濃度を制御する制御手段を設け、この制御手段はインクの温度の変化に応じて制御濃度値を変化させることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記制御手段に、インクの温度に応じた制御濃度値を記憶する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制御手段は、基準温度よりもインク温度が高いときには濃度を基準温度のときよりも濃く、基準温度よりもインク温度が低いときは濃度を基準温度時よりも薄く制御することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 記録媒体に記録するインクを振動させてインク粒子を発生し、このインク粒子を帯電および偏向させて記録媒体の所定の位置に到達させて記録するインクジェット記録装置において、インクの濃度を制御する制御手段を設け、この制御手段はインクの温度の変化に応じて制御濃度値を変化させ、インクの使用温度範囲内ではその粘度変化曲線が滑らかになるよう制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 前記制御手段は、インクの粘度がインクの使用温度範囲において粒子化良好粘度範囲となるようにインク濃度を制御することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
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