JP2004063900A - 研磨ドラム - Google Patents
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Abstract
【課題】対向線を傾斜させて研磨パッドに貼り付けた研磨ドラムにおいて、尖端部から剥離が生じることを防止することを課題とするものである。
【解決手段】中心軸の周りで回転可能なドラム本体30と、ドラム本体30の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッド31とを備えた研磨ドラム3であって、研磨パッド31の端縁同士の対向線をドラム本体30の回転方向に対して傾斜(θ)させた研磨ドラム3において、対向線32の両端部近傍の尖端部39を表面外側から覆うように剥離防止に接着テープ51を巻回した。また、対向線32において、研磨パッド31の端縁間には間隙が設けられており、研磨パッド31の伸びを吸収する。
【選択図】 図5
【解決手段】中心軸の周りで回転可能なドラム本体30と、ドラム本体30の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッド31とを備えた研磨ドラム3であって、研磨パッド31の端縁同士の対向線をドラム本体30の回転方向に対して傾斜(θ)させた研磨ドラム3において、対向線32の両端部近傍の尖端部39を表面外側から覆うように剥離防止に接着テープ51を巻回した。また、対向線32において、研磨パッド31の端縁間には間隙が設けられており、研磨パッド31の伸びを吸収する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は研磨ドラム、特に半導体ウェハの周囲に形成されているベベル面及び円周端面を研磨するための研磨ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハは、図1に示すように、パターン形成面、円周ベベル面、円周端面及びパターン形成面の裏側の平面を備えており、さらに、その外周にはノッチが形成されている円形状の板である。ここで、図1(A)、(B)は、それぞれ、半導体ウェハの平面図、半導体ウェハWの部分断面図である。図2は拡大したノッチNの周辺を示す斜視図である。半導体ウェハのパターン形成面Sp、円周ベベル面Sb及び円周端面(外周をなす筒面)Scは、そのままでは後の工程における塵埃発生の原因となるため、パターン形成面だけでなく、ノッチNのノッチベベル面Sbn、ノッチ端面Scnを含めて、全ベベル面及び端面が鏡面加工される。このベベル面及び端面からなるエッジを鏡面研磨するために研磨ドラム、研磨ディスク、あるいは研磨ベルト等様々な工具が使用される。
【0003】
この内の研磨ドラムはノッチ部以外のベベル面及び端面を研磨するために使用され、図3に示すように、円筒状のドラム本体30の円筒面に研磨パッド31を貼り付けて形成されている。研磨パッド31の貼付には、通常、研磨パッド31の裏面とドラム本体30の外面との間に両面接着テープあるいは接着剤を介在させて接着し、研磨パッド31が摩耗あるいは劣化したときに研磨パッド31だけを新しいものと交換できるようになっている。
【0004】
研磨パッド31は研磨布原反を裁断して使用する。このために、貼り付けた研磨ドラム3には研磨パッド31の端縁同士が対向する対向線32が必ず現れる。研磨時には研磨ドラム3が回転駆動されるため、この対向線32が研磨部に周期的に巡ってくる。このとき対向線32近傍では衝撃的な研磨負荷が発生する。また、研磨時には半導体ウェハの方も回転駆動される。このため上記ノッチN部が周期的に研磨部にもたらされるので、このときにも衝撃的な負荷が生じる。ノッチN部と対向線32とが重なったときには、この衝撃は更に大きくなる。
【0005】
このように繰り返してかかる負荷によって対向線32近傍の貼り付け力は低下し、やがてそこから剥離が生じる。このため研磨パッド31の他の研磨面が劣化していない場合でも剥離によってこれを使用を続けることができなくなる。特開平10−296641号公報には、研磨パッドを貼り付けるに際し、対向線32を傾斜させ上記衝撃を緩和することによって、この問題に対処するようにした研磨ドラムが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記発明の傾斜角θ(図3)は小さいほど上記衝撃力を緩和できるため、研磨部の剥離防止には効果的であるが、今度は対向線32の端部に次のような問題が生じがちである。すなわち、研磨パッド31は一定程度の柔軟性を有してはいるものの、一方では一定の剛性(ある程度の腰の強さ)を有している。両面接着テープあるいは接着剤で貼り付けたとしても、この剛性は粘着力あるいは接着力で無理矢理押さえ込まれているだけであって、絶えず元の形に戻ろうとする復元力が働いている。
【0007】
対向線32の上下端近傍、つまり、傾斜角θによって作られる研磨パッドの尖端部39では、上記押さえ込む力が相対的に小さくなるため、復元力が勝るようになり尖端部39から剥離が生じやすい。図3には、このようにして生じた尖端部39の剥離の状況が点線で示されている。剥離した部分にはどうしてもスラリーが入り込むためここの接着力あるいは粘着力を失わせる。これに助長されて一旦生じた剥離は急速に広がる。このため、研磨作業を続けることができなくなる。
【0008】
更に、設置面積を少なくするために装置全体を小型化する必要が迫られるなか、研磨ドラムにも小型化が迫られている。ところが、上記剥離傾向は、研磨ドラム3が小径になるほど、つまり曲率大きくなるほど顕著になるため、この点からも上記問題が更に重要になってきた。
【0009】
半導体ウェハはもろく非常に破損しやすい。研磨パッド31の剥離が研磨部にまで及ぶと、その衝撃によって半導体ウェハは容易に破損する。また、衝撃によって半導体ウェハの把持が外れた場合、これが装置内構造に当たってやはり破損する。どちらにしても、破損した場合には、その半導体ウェハを失うだけでなく、その欠片が研磨装置内に飛び散り、これを清掃するため研磨作業を中断しなければならない。この点からも上記剥離の問題は解決されなければならない。
【0010】
本発明は、対向線32を傾斜させて研磨パッドに貼り付けた研磨ドラムにおいて、以上に説明したように尖端部から剥離が生じることを防止することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明の解決手段は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムにおいて、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0012】
第2番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムであって、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラムにおいて、上記対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0013】
第3番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムであって、上記研磨パッドの端縁同士が間隙を置いて対向する対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラムにおいて、上記対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0014】
第4番目の発明は、第1番目から第3番目までの研磨ドラムにおいて、上記剥離防止テープが接着テープであることを特徴とする研磨ドラムである。第5番目の発明は、第4番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記接着テープは研磨ドラムに巻回されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0015】
第6番目の発明は、第1番目から第3番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記剥離防止テープが、熱収縮性の環状テープ、弾性伸縮性の環状ゴムバンド、弾性伸縮性を有する面ファスナーテープ、及び、逆止爪を有する頭部とこの逆止爪に係合可能な複数の歯列を有する合成樹脂製の結束バンドのうちのいずれかであることを特徴とする研磨ドラムである。
【0016】
第7番目の発明は、第1番目から第6番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記研磨パッドは、基材層と樹脂加工した不織布からなる表面層を含む多層構造を有することを特徴とする研磨ドラムである。第8番目の発明は、第1番目から第6番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記研磨パッドは、樹脂加工した不織布であることを特徴とする研磨ドラムである。
【0017】
第9番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムのための研磨パッドの剥離防止方法であって、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍を剥離防止テープで表面外側から覆うことによって上記研磨パッドの剥離を防止することを特徴とする研磨ドラムの剥離防止方法である。
【0018】
第10番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムによって、研磨部にスラリーを供給しながら鏡面研磨を行う研磨方法において、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍を剥離防止テープで表面外側から覆うことによって上記研磨パッドの剥離を防止しながら鏡面研磨を行うことを特徴とする鏡面研磨方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る研磨ドラムの実施の形態について説明する前に、この研磨ドラムを用いたエッジポリッシング装置について簡単に説明する。図4は、このエッジポリッシング装置を示す正面図である。図4に示すように、このエッジポリッシング装置は機台4上に取り付けられたポリッシング部1とウエハ吸着部2とから成っている。
【0020】
ポリッシング部1は、昇降機11によって上下に移動するモータ10を有し、このモータ10の回転軸である中心軸10aに研磨ドラム3が取り付けられている。これにより、モータ10を駆動することで、研磨ドラム3が中心軸10aと一体に回転し、また、昇降機11を駆動させることで、研磨ドラム3が上、下動するようになっている。
【0021】
一方、ウエハ吸着部2は、ヒンジ20の周りで傾斜角を調整可能なブラケット21を有し、チャック22のホルダ23がブラケット21の前面板21aに回転自在に取り付けられている。このホルダ23の後部には、真空ポンプ25に連結した吸引管26が取り付けられている。また、ホルダ23は、後部のギアを介してモータ27の回転軸に連結されている。ブラケット21の下部には、レール28aに沿って左右にスライド可能なスライダ28が取り付けられており、このスライダ28がシリンダ29によって動かされるようになっている。
【0022】
研磨時には、真空ポンプ25を動作させて、半導体ウエハWをチャック22に吸着させた後、モータ27を駆動させて、ホルダ23を回転させることにより、チャック22に吸着された半導体ウエハWを中心軸の周りで回転させる。同時に、シリンダ29によってスライダ28を左方向に送るとともにモータ10によって研磨ドラム3を回転駆動する。半導体ウエハWのベベル面または端面が回転する研磨ドラム3に一定の力で押し付けられ、これよって研磨加工が行われる。このとき研磨部にはノズル24からスラリーが供給される。また、ブラケット21の傾斜は研磨する部位が端面かベベル面かに応じて、あるいは、ベベル面の傾きに応じて予め調整される。
【0023】
以下、本発明の研磨ドラムにかかる実施形態について説明する。図中の符号は上に説明した従来技術にかかるものと同じ符号を用いる。
【0024】
第1の実施形態
図5、図6、及び、図7は、研磨ドラムの説明図であって第1の実施形態にかかるものであり、図5は研磨ドラムの斜視図、図6は、研磨ドラムの要部拡大断面図、及び図7は、研磨布を裁断した研磨パッドの平面図である。
【0025】
研磨ドラム3は、中心軸10aを備えたドラム本体30とその円筒面に貼り付けられた研磨パッド31を有している。研磨パッド31の貼付は、円筒面と研磨パッド31の裏面の間に両面接着テープあるいは接着剤を介在させることにより行われる。研磨パッド31が貼り付けられる前、すなわち研磨布原反から裁断した状態では図7に示されるように両端縁が傾斜角θの角度を持ち、ドラム本体30の長さと実質的に等しい高さhの平行四辺形に裁断される。また、研磨布原反は、基材層と不織布に樹脂加工した表層から成る構造を有し、ドラム本体30に取り付けられたときには、基材層がドラム本体30側、不織布層が外側となる。この研磨パッド31は、樹脂加工した不織布単体とすることも可能であり、また、上記層構造が2以上の層構造であってもよい。上記表層あるいは単体の不織布には、例えば、ロデールニッタ社のSuba400、Suba400H、Suba600などの製品を使用することができる。
【0026】
研磨パッドの長さap(下辺あるいは上辺で測った長さ)は、基本的にドラム本体30の周長adと等しいが、この周長よりもわずかな長さΔa(=ad−ap)分だけ短く裁断される。これによって、研磨パッド31をドラム本体30に巻き付けたとき、研磨パッド31はドラム本体30をほぼ一周し、向かい合う両端に幅を持った対向線32が現れる。上記寸法関係からこの対向線32の幅(円周方向に沿った幅)は実質的に上記長さΔaであり、両端がこの長さに対応する間隙をもって向き合うことになる。
【0027】
上記研磨パッド31をドラム本体30に取り付けるには、両面接着テープを巻き付けたドラム本体30に裁断した研磨パッド31を巻回し、その後研磨ドラム3の上下端部近傍を接着テープ51を巻回して固定する。この実施形態では剥離防止テープとして片面接着テープが使用されている。接着テープ51を巻回する回数は、尖端部からの剥離を防止できれば任意である。研磨パッド31と研磨ドラム本体30の貼付に使用する両面接着テープに代えて接着剤を用いることも可能である。この場合、適宜の接着剤を塗布したドラム本体30に裁断した研磨パッド(あるいは接着剤を塗布した研磨パッド)を巻回し、その後研磨ドラム3の上下端部近傍を上と同様に剥離防止テープとして接着テープ51を巻回して固定するようにする。接着テープの巻数は上と同様に任意である。
【0028】
上記対向線32に長さΔaに対応する幅(間隙)を持たせた理由は、以下のとおりである。すなわち、研磨時には研磨パッド31に局部的な研磨圧が加わる。研磨ドラム3の回転につれて研磨パッド31には研磨圧が繰り返し加えられるため、研磨パッド31がわずかながら伸びてゆく。研磨パッド31が伸びたとき、上記対向線32の幅(間隙)が徐々に狭まることにより伸びの影響が吸収される。もし、この対向線32が幅(間隙)を持たない場合、伸びによって押し寄せる端縁部が互いにぶつかり合い、その部分に研磨パッド31の盛り上がりが生じる、あるいは、この部分から研磨パッド31の剥離が生じるおそれがある。このため、研磨性能を落とすだけでなく、上述のような半導体ウェハを破損させる原因となる。
【0029】
傾斜角θの大きさを45度より大きくすると、傾斜角θを付けたことによる衝撃緩和の能力が落ちるため、研磨ドラムの中央領域において対向線32近傍に剥離が発生しやすくなる。また、30度以下にすると、研磨パッドを巻き付けにくくなる。このため、傾斜角θは45度以下、30度以上とする方が好ましいが、傾斜角θをこれらの範囲を超えた値、たとえば、90度とすることを排除するものではない。なお、研磨ドラムの上下端近傍は研磨部として使用されない領域であるから、巻回した剥離防止テープ(この実施形態の場合には接着テープ、他の実施形態でも同様)は、幅が適宜の狭さのものを使用することにより、研磨作業の障害にならないようにすることができる。
【0030】
第2の実施形態
図8にはこの実施形態の研磨ドラムの斜視図を示す。この実施形態は、上記剥離防止テープとして熱収縮性の環状テープを使用したものである。熱収縮性環状テープ52は、加熱すると収縮する性質を持つ合成樹脂からできており、常温に戻してもこの収縮は元に戻らない。
【0031】
第1実施形態と同様にして、研磨パッドを巻回し両面接着テープあるいは接着剤によって仮止めしたドラム本体30の両端に、熱収縮性環状テープ52を嵌め、ヘアードライヤー等の加熱手段によってこのテープを加熱する。テープは熱収縮し尖端部39をドラム本体30に強固に押し付けるので、尖端部39からの剥離は発生しない。対向線32に幅(間隙)を持たせること、及び、その効果は第1実施形態と同様である。重複する説明を省略する。
【0032】
第3の実施形態
この実施形態は、図8と同じ斜視図によって示すことが可能であり(同じ図を用いて説明する)、上記剥離防止テープとして弾性伸縮性の環状ゴムバンドを使用したものである。第1実施形態と同様にして、研磨パッドを巻回し両面接着テープあるいは接着剤によって仮止めしたドラム本体30の両端に、この環状ゴムバンドを強い力で引き伸ばした状態で嵌める。力を取り去るとゴムバンドが収縮し、尖端部39をドラム本体30に強固に押し付けるので、尖端部39からの剥離は発生しない。対向線32に幅(間隙)を持たせること、及び、その効果は第1、第2実施形態と同様である。重複する説明を省略する。
【0033】
第4の実施形態
この実施形態は、図5と同じ斜視図によって示すことができ(接着テープ51を面ファスナーテープ53と読み替えることにより同じ図を用いて説明する)、上記剥離防止テープとして弾性伸縮性を有する面ファスナーテープを使用したものである。
【0034】
第1実施形態と同様にして、研磨パッドを巻回し両面接着テープあるいは接着剤によって仮止めしたドラム本体30の両端に、面ファスナーテープ53を巻き付ける。適宜の力で引き伸ばした状態で巻き付けると、その弾性伸縮性によって面ファスナーテープ53が尖端部39をドラム本体30に強固に押し付けるので、尖端部39からの剥離は発生しない。対向線32に幅(間隙)を持たせること、及び、その効果は第1乃至第3実施形態と同様である。重複する説明を省略する。
【0035】
以上いくつかの実施形態を用いて本発明を説明したが、これらの他に剥離防止テープとして、梱包用あるいは電気配線を結束するために広く用いられている逆止爪を有する頭部とこの逆止爪に係合可能な複数の歯列を有する合成樹脂製の結束バンドなどを用いることが可能である。あるいは第1実施形態における接着テープ51は、巻回する量を少なくし、図9に示すように、尖端部39とその近くを覆うだけとすることも可能である。また、接着テープ51は特に接着表面が片面だけに限られるものではなく、片面に接着能力があればよいので、あえて両面接着型のテープを使用することも可能である。
【0036】
このように、中心軸の周りで回転可能なドラム本体30と、このドラム本体30の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッド31とを備えた研磨ドラム3において、研磨パッド31の端縁同士が対向する対向線32の両端部近傍は表面外側から剥離防止テープによって覆われれているため、研磨パッド31の剥離が防止される。更に、研磨パッド31の端縁同士の対向線32をドラム本体30の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラム3の場合、非常に剥離しやすいため、剥離防止テープで尖端部39を覆うことによって剥離防止することは非常に効果的である。更に、尖端部39からの剥離が広がることに因ってウェハを破損するような事態は防止される。
【0037】
【発明の効果】
本発明の研磨ドラムは、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、このドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムにおいて、研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍は表面外側から剥離防止テープによって覆われれているため、本発明では、研磨パッドの剥離が防止される。更に、研磨パッドの端縁同士の対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラム3の場合、非常に剥離しやすいため、剥離防止テープで尖端部を覆うことによって剥離防止することは非常に効果的である。この結果尖端部からの剥離が広がることに因ってウェハを破損するような事態の発生は効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)、(B)は、それぞれ、半導体ウェハの平面図、半導体ウェハWの部分断面図である。
【図2】拡大したノッチNの周辺を示す斜視図である。
【図3】従来技術の研磨ドラムの斜視図である。
【図4】エッジポリッシング装置の主要部を示す正面図である。
【図5】本発明の第1(または、第4)実施形態の研磨ドラムの斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の研磨ドラムの要部拡大断面図である。
【図7】研磨布を裁断した研磨パッドの平面図である。
【図8】第2(または、第3)実施形態の研磨ドラムの斜視図である。
【図9】第1実施形態の変形例の研磨ドラムの斜視図である。
【符号の説明】
1 ポリッシング部
10 モータ
10a 中心軸
11 昇降機
2 ウエハ吸着部
20 ヒンジ
21 ブラケット
21a 前面板
22 チャック
23 ホルダ
24 ノズル
25 真空ポンプ
26 吸引管
27 モータ
28 スライダ
28a レール
29 シリンダ
3 研磨ドラム
30 ドラム本体
31 研磨パッド
32 対向線
39 尖端部
4 機台
51 接着テープ
52 熱収縮性環状テープ
53 面ファスナーテープ
N ノッチ
Sb 円周ベベル面
Sbn ノッチベベル面
Scn ノッチ端面
Sp パターン形成面
W 半導体ウェハ
【発明の属する技術分野】
本発明は研磨ドラム、特に半導体ウェハの周囲に形成されているベベル面及び円周端面を研磨するための研磨ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハは、図1に示すように、パターン形成面、円周ベベル面、円周端面及びパターン形成面の裏側の平面を備えており、さらに、その外周にはノッチが形成されている円形状の板である。ここで、図1(A)、(B)は、それぞれ、半導体ウェハの平面図、半導体ウェハWの部分断面図である。図2は拡大したノッチNの周辺を示す斜視図である。半導体ウェハのパターン形成面Sp、円周ベベル面Sb及び円周端面(外周をなす筒面)Scは、そのままでは後の工程における塵埃発生の原因となるため、パターン形成面だけでなく、ノッチNのノッチベベル面Sbn、ノッチ端面Scnを含めて、全ベベル面及び端面が鏡面加工される。このベベル面及び端面からなるエッジを鏡面研磨するために研磨ドラム、研磨ディスク、あるいは研磨ベルト等様々な工具が使用される。
【0003】
この内の研磨ドラムはノッチ部以外のベベル面及び端面を研磨するために使用され、図3に示すように、円筒状のドラム本体30の円筒面に研磨パッド31を貼り付けて形成されている。研磨パッド31の貼付には、通常、研磨パッド31の裏面とドラム本体30の外面との間に両面接着テープあるいは接着剤を介在させて接着し、研磨パッド31が摩耗あるいは劣化したときに研磨パッド31だけを新しいものと交換できるようになっている。
【0004】
研磨パッド31は研磨布原反を裁断して使用する。このために、貼り付けた研磨ドラム3には研磨パッド31の端縁同士が対向する対向線32が必ず現れる。研磨時には研磨ドラム3が回転駆動されるため、この対向線32が研磨部に周期的に巡ってくる。このとき対向線32近傍では衝撃的な研磨負荷が発生する。また、研磨時には半導体ウェハの方も回転駆動される。このため上記ノッチN部が周期的に研磨部にもたらされるので、このときにも衝撃的な負荷が生じる。ノッチN部と対向線32とが重なったときには、この衝撃は更に大きくなる。
【0005】
このように繰り返してかかる負荷によって対向線32近傍の貼り付け力は低下し、やがてそこから剥離が生じる。このため研磨パッド31の他の研磨面が劣化していない場合でも剥離によってこれを使用を続けることができなくなる。特開平10−296641号公報には、研磨パッドを貼り付けるに際し、対向線32を傾斜させ上記衝撃を緩和することによって、この問題に対処するようにした研磨ドラムが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記発明の傾斜角θ(図3)は小さいほど上記衝撃力を緩和できるため、研磨部の剥離防止には効果的であるが、今度は対向線32の端部に次のような問題が生じがちである。すなわち、研磨パッド31は一定程度の柔軟性を有してはいるものの、一方では一定の剛性(ある程度の腰の強さ)を有している。両面接着テープあるいは接着剤で貼り付けたとしても、この剛性は粘着力あるいは接着力で無理矢理押さえ込まれているだけであって、絶えず元の形に戻ろうとする復元力が働いている。
【0007】
対向線32の上下端近傍、つまり、傾斜角θによって作られる研磨パッドの尖端部39では、上記押さえ込む力が相対的に小さくなるため、復元力が勝るようになり尖端部39から剥離が生じやすい。図3には、このようにして生じた尖端部39の剥離の状況が点線で示されている。剥離した部分にはどうしてもスラリーが入り込むためここの接着力あるいは粘着力を失わせる。これに助長されて一旦生じた剥離は急速に広がる。このため、研磨作業を続けることができなくなる。
【0008】
更に、設置面積を少なくするために装置全体を小型化する必要が迫られるなか、研磨ドラムにも小型化が迫られている。ところが、上記剥離傾向は、研磨ドラム3が小径になるほど、つまり曲率大きくなるほど顕著になるため、この点からも上記問題が更に重要になってきた。
【0009】
半導体ウェハはもろく非常に破損しやすい。研磨パッド31の剥離が研磨部にまで及ぶと、その衝撃によって半導体ウェハは容易に破損する。また、衝撃によって半導体ウェハの把持が外れた場合、これが装置内構造に当たってやはり破損する。どちらにしても、破損した場合には、その半導体ウェハを失うだけでなく、その欠片が研磨装置内に飛び散り、これを清掃するため研磨作業を中断しなければならない。この点からも上記剥離の問題は解決されなければならない。
【0010】
本発明は、対向線32を傾斜させて研磨パッドに貼り付けた研磨ドラムにおいて、以上に説明したように尖端部から剥離が生じることを防止することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明の解決手段は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムにおいて、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0012】
第2番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムであって、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラムにおいて、上記対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0013】
第3番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムであって、上記研磨パッドの端縁同士が間隙を置いて対向する対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラムにおいて、上記対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0014】
第4番目の発明は、第1番目から第3番目までの研磨ドラムにおいて、上記剥離防止テープが接着テープであることを特徴とする研磨ドラムである。第5番目の発明は、第4番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記接着テープは研磨ドラムに巻回されていることを特徴とする研磨ドラムである。
【0015】
第6番目の発明は、第1番目から第3番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記剥離防止テープが、熱収縮性の環状テープ、弾性伸縮性の環状ゴムバンド、弾性伸縮性を有する面ファスナーテープ、及び、逆止爪を有する頭部とこの逆止爪に係合可能な複数の歯列を有する合成樹脂製の結束バンドのうちのいずれかであることを特徴とする研磨ドラムである。
【0016】
第7番目の発明は、第1番目から第6番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記研磨パッドは、基材層と樹脂加工した不織布からなる表面層を含む多層構造を有することを特徴とする研磨ドラムである。第8番目の発明は、第1番目から第6番目の発明の研磨ドラムにおいて、上記研磨パッドは、樹脂加工した不織布であることを特徴とする研磨ドラムである。
【0017】
第9番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムのための研磨パッドの剥離防止方法であって、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍を剥離防止テープで表面外側から覆うことによって上記研磨パッドの剥離を防止することを特徴とする研磨ドラムの剥離防止方法である。
【0018】
第10番目の発明は、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムによって、研磨部にスラリーを供給しながら鏡面研磨を行う研磨方法において、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍を剥離防止テープで表面外側から覆うことによって上記研磨パッドの剥離を防止しながら鏡面研磨を行うことを特徴とする鏡面研磨方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る研磨ドラムの実施の形態について説明する前に、この研磨ドラムを用いたエッジポリッシング装置について簡単に説明する。図4は、このエッジポリッシング装置を示す正面図である。図4に示すように、このエッジポリッシング装置は機台4上に取り付けられたポリッシング部1とウエハ吸着部2とから成っている。
【0020】
ポリッシング部1は、昇降機11によって上下に移動するモータ10を有し、このモータ10の回転軸である中心軸10aに研磨ドラム3が取り付けられている。これにより、モータ10を駆動することで、研磨ドラム3が中心軸10aと一体に回転し、また、昇降機11を駆動させることで、研磨ドラム3が上、下動するようになっている。
【0021】
一方、ウエハ吸着部2は、ヒンジ20の周りで傾斜角を調整可能なブラケット21を有し、チャック22のホルダ23がブラケット21の前面板21aに回転自在に取り付けられている。このホルダ23の後部には、真空ポンプ25に連結した吸引管26が取り付けられている。また、ホルダ23は、後部のギアを介してモータ27の回転軸に連結されている。ブラケット21の下部には、レール28aに沿って左右にスライド可能なスライダ28が取り付けられており、このスライダ28がシリンダ29によって動かされるようになっている。
【0022】
研磨時には、真空ポンプ25を動作させて、半導体ウエハWをチャック22に吸着させた後、モータ27を駆動させて、ホルダ23を回転させることにより、チャック22に吸着された半導体ウエハWを中心軸の周りで回転させる。同時に、シリンダ29によってスライダ28を左方向に送るとともにモータ10によって研磨ドラム3を回転駆動する。半導体ウエハWのベベル面または端面が回転する研磨ドラム3に一定の力で押し付けられ、これよって研磨加工が行われる。このとき研磨部にはノズル24からスラリーが供給される。また、ブラケット21の傾斜は研磨する部位が端面かベベル面かに応じて、あるいは、ベベル面の傾きに応じて予め調整される。
【0023】
以下、本発明の研磨ドラムにかかる実施形態について説明する。図中の符号は上に説明した従来技術にかかるものと同じ符号を用いる。
【0024】
第1の実施形態
図5、図6、及び、図7は、研磨ドラムの説明図であって第1の実施形態にかかるものであり、図5は研磨ドラムの斜視図、図6は、研磨ドラムの要部拡大断面図、及び図7は、研磨布を裁断した研磨パッドの平面図である。
【0025】
研磨ドラム3は、中心軸10aを備えたドラム本体30とその円筒面に貼り付けられた研磨パッド31を有している。研磨パッド31の貼付は、円筒面と研磨パッド31の裏面の間に両面接着テープあるいは接着剤を介在させることにより行われる。研磨パッド31が貼り付けられる前、すなわち研磨布原反から裁断した状態では図7に示されるように両端縁が傾斜角θの角度を持ち、ドラム本体30の長さと実質的に等しい高さhの平行四辺形に裁断される。また、研磨布原反は、基材層と不織布に樹脂加工した表層から成る構造を有し、ドラム本体30に取り付けられたときには、基材層がドラム本体30側、不織布層が外側となる。この研磨パッド31は、樹脂加工した不織布単体とすることも可能であり、また、上記層構造が2以上の層構造であってもよい。上記表層あるいは単体の不織布には、例えば、ロデールニッタ社のSuba400、Suba400H、Suba600などの製品を使用することができる。
【0026】
研磨パッドの長さap(下辺あるいは上辺で測った長さ)は、基本的にドラム本体30の周長adと等しいが、この周長よりもわずかな長さΔa(=ad−ap)分だけ短く裁断される。これによって、研磨パッド31をドラム本体30に巻き付けたとき、研磨パッド31はドラム本体30をほぼ一周し、向かい合う両端に幅を持った対向線32が現れる。上記寸法関係からこの対向線32の幅(円周方向に沿った幅)は実質的に上記長さΔaであり、両端がこの長さに対応する間隙をもって向き合うことになる。
【0027】
上記研磨パッド31をドラム本体30に取り付けるには、両面接着テープを巻き付けたドラム本体30に裁断した研磨パッド31を巻回し、その後研磨ドラム3の上下端部近傍を接着テープ51を巻回して固定する。この実施形態では剥離防止テープとして片面接着テープが使用されている。接着テープ51を巻回する回数は、尖端部からの剥離を防止できれば任意である。研磨パッド31と研磨ドラム本体30の貼付に使用する両面接着テープに代えて接着剤を用いることも可能である。この場合、適宜の接着剤を塗布したドラム本体30に裁断した研磨パッド(あるいは接着剤を塗布した研磨パッド)を巻回し、その後研磨ドラム3の上下端部近傍を上と同様に剥離防止テープとして接着テープ51を巻回して固定するようにする。接着テープの巻数は上と同様に任意である。
【0028】
上記対向線32に長さΔaに対応する幅(間隙)を持たせた理由は、以下のとおりである。すなわち、研磨時には研磨パッド31に局部的な研磨圧が加わる。研磨ドラム3の回転につれて研磨パッド31には研磨圧が繰り返し加えられるため、研磨パッド31がわずかながら伸びてゆく。研磨パッド31が伸びたとき、上記対向線32の幅(間隙)が徐々に狭まることにより伸びの影響が吸収される。もし、この対向線32が幅(間隙)を持たない場合、伸びによって押し寄せる端縁部が互いにぶつかり合い、その部分に研磨パッド31の盛り上がりが生じる、あるいは、この部分から研磨パッド31の剥離が生じるおそれがある。このため、研磨性能を落とすだけでなく、上述のような半導体ウェハを破損させる原因となる。
【0029】
傾斜角θの大きさを45度より大きくすると、傾斜角θを付けたことによる衝撃緩和の能力が落ちるため、研磨ドラムの中央領域において対向線32近傍に剥離が発生しやすくなる。また、30度以下にすると、研磨パッドを巻き付けにくくなる。このため、傾斜角θは45度以下、30度以上とする方が好ましいが、傾斜角θをこれらの範囲を超えた値、たとえば、90度とすることを排除するものではない。なお、研磨ドラムの上下端近傍は研磨部として使用されない領域であるから、巻回した剥離防止テープ(この実施形態の場合には接着テープ、他の実施形態でも同様)は、幅が適宜の狭さのものを使用することにより、研磨作業の障害にならないようにすることができる。
【0030】
第2の実施形態
図8にはこの実施形態の研磨ドラムの斜視図を示す。この実施形態は、上記剥離防止テープとして熱収縮性の環状テープを使用したものである。熱収縮性環状テープ52は、加熱すると収縮する性質を持つ合成樹脂からできており、常温に戻してもこの収縮は元に戻らない。
【0031】
第1実施形態と同様にして、研磨パッドを巻回し両面接着テープあるいは接着剤によって仮止めしたドラム本体30の両端に、熱収縮性環状テープ52を嵌め、ヘアードライヤー等の加熱手段によってこのテープを加熱する。テープは熱収縮し尖端部39をドラム本体30に強固に押し付けるので、尖端部39からの剥離は発生しない。対向線32に幅(間隙)を持たせること、及び、その効果は第1実施形態と同様である。重複する説明を省略する。
【0032】
第3の実施形態
この実施形態は、図8と同じ斜視図によって示すことが可能であり(同じ図を用いて説明する)、上記剥離防止テープとして弾性伸縮性の環状ゴムバンドを使用したものである。第1実施形態と同様にして、研磨パッドを巻回し両面接着テープあるいは接着剤によって仮止めしたドラム本体30の両端に、この環状ゴムバンドを強い力で引き伸ばした状態で嵌める。力を取り去るとゴムバンドが収縮し、尖端部39をドラム本体30に強固に押し付けるので、尖端部39からの剥離は発生しない。対向線32に幅(間隙)を持たせること、及び、その効果は第1、第2実施形態と同様である。重複する説明を省略する。
【0033】
第4の実施形態
この実施形態は、図5と同じ斜視図によって示すことができ(接着テープ51を面ファスナーテープ53と読み替えることにより同じ図を用いて説明する)、上記剥離防止テープとして弾性伸縮性を有する面ファスナーテープを使用したものである。
【0034】
第1実施形態と同様にして、研磨パッドを巻回し両面接着テープあるいは接着剤によって仮止めしたドラム本体30の両端に、面ファスナーテープ53を巻き付ける。適宜の力で引き伸ばした状態で巻き付けると、その弾性伸縮性によって面ファスナーテープ53が尖端部39をドラム本体30に強固に押し付けるので、尖端部39からの剥離は発生しない。対向線32に幅(間隙)を持たせること、及び、その効果は第1乃至第3実施形態と同様である。重複する説明を省略する。
【0035】
以上いくつかの実施形態を用いて本発明を説明したが、これらの他に剥離防止テープとして、梱包用あるいは電気配線を結束するために広く用いられている逆止爪を有する頭部とこの逆止爪に係合可能な複数の歯列を有する合成樹脂製の結束バンドなどを用いることが可能である。あるいは第1実施形態における接着テープ51は、巻回する量を少なくし、図9に示すように、尖端部39とその近くを覆うだけとすることも可能である。また、接着テープ51は特に接着表面が片面だけに限られるものではなく、片面に接着能力があればよいので、あえて両面接着型のテープを使用することも可能である。
【0036】
このように、中心軸の周りで回転可能なドラム本体30と、このドラム本体30の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッド31とを備えた研磨ドラム3において、研磨パッド31の端縁同士が対向する対向線32の両端部近傍は表面外側から剥離防止テープによって覆われれているため、研磨パッド31の剥離が防止される。更に、研磨パッド31の端縁同士の対向線32をドラム本体30の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラム3の場合、非常に剥離しやすいため、剥離防止テープで尖端部39を覆うことによって剥離防止することは非常に効果的である。更に、尖端部39からの剥離が広がることに因ってウェハを破損するような事態は防止される。
【0037】
【発明の効果】
本発明の研磨ドラムは、中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、このドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムにおいて、研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍は表面外側から剥離防止テープによって覆われれているため、本発明では、研磨パッドの剥離が防止される。更に、研磨パッドの端縁同士の対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラム3の場合、非常に剥離しやすいため、剥離防止テープで尖端部を覆うことによって剥離防止することは非常に効果的である。この結果尖端部からの剥離が広がることに因ってウェハを破損するような事態の発生は効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)、(B)は、それぞれ、半導体ウェハの平面図、半導体ウェハWの部分断面図である。
【図2】拡大したノッチNの周辺を示す斜視図である。
【図3】従来技術の研磨ドラムの斜視図である。
【図4】エッジポリッシング装置の主要部を示す正面図である。
【図5】本発明の第1(または、第4)実施形態の研磨ドラムの斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の研磨ドラムの要部拡大断面図である。
【図7】研磨布を裁断した研磨パッドの平面図である。
【図8】第2(または、第3)実施形態の研磨ドラムの斜視図である。
【図9】第1実施形態の変形例の研磨ドラムの斜視図である。
【符号の説明】
1 ポリッシング部
10 モータ
10a 中心軸
11 昇降機
2 ウエハ吸着部
20 ヒンジ
21 ブラケット
21a 前面板
22 チャック
23 ホルダ
24 ノズル
25 真空ポンプ
26 吸引管
27 モータ
28 スライダ
28a レール
29 シリンダ
3 研磨ドラム
30 ドラム本体
31 研磨パッド
32 対向線
39 尖端部
4 機台
51 接着テープ
52 熱収縮性環状テープ
53 面ファスナーテープ
N ノッチ
Sb 円周ベベル面
Sbn ノッチベベル面
Scn ノッチ端面
Sp パターン形成面
W 半導体ウェハ
Claims (10)
- 中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムにおいて、
上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていること
を特徴とする研磨ドラム。 - 中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムであって、上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラムにおいて、
上記対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていること
を特徴とする研磨ドラム。 - 中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムであって、上記研磨パッドの端縁同士が間隙を置いて対向する対向線をドラム本体の回転方向に対して傾斜させた研磨ドラムにおいて、
上記対向線の両端部近傍が表面外側から剥離防止テープによって覆われれていることによって、上記研磨パッドの剥離が防止されていること
を特徴とする研磨ドラム。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載された研磨ドラムにおいて、
上記剥離防止テープが接着テープであること
を特徴とする研磨ドラム。 - 請求項4に記載された研磨ドラムにおいて、
上記接着テープは研磨ドラムに巻回されていること
を特徴とする研磨ドラム。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載された研磨ドラムにおいて、
上記剥離防止テープが、熱収縮性の環状テープ、弾性伸縮性の環状ゴムバンド、弾性伸縮性を有する面ファスナーテープ、及び、逆止爪を有する頭部とこの逆止爪に係合可能な複数の歯列を有する合成樹脂製の結束バンドのうちのいずれかであること
を特徴とする研磨ドラム。 - 請求項1から請求項6までのいずれかに記載された研磨ドラムにおいて、
上記研磨パッドは、基材層と樹脂加工した不織布からなる表面層を含む多層構造を有すること
を特徴とする研磨ドラム。 - 請求項1から請求項6までのいずれかに記載された研磨ドラムにおいて、
上記研磨パッドは、樹脂加工した不織布であること
を特徴とする研磨ドラム。 - 中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムのための研磨パッドの剥離防止方法であって、
上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍を剥離防止テープで表面外側から覆うことによって上記研磨パッドの剥離を防止すること
を特徴とする研磨ドラムの剥離防止方法。 - 中心軸の周りで回転可能なドラム本体と、上記ドラム本体の周面に貼り付けられ、半導体ウェハのエッジを鏡面加工するための研磨パッドとを備えた研磨ドラムによって、研磨部にスラリーを供給しながら鏡面研磨を行う研磨方法において、
上記研磨パッドの端縁同士が対向する対向線の両端部近傍を剥離防止テープで表面外側から覆うことによって上記研磨パッドの剥離を防止しながら鏡面研磨を行うこと
を特徴とする鏡面研磨方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100858848B1 (ko) * | 2006-05-23 | 2008-09-17 | 한올제약주식회사 | 메트포르민 서방정 |
KR20190077307A (ko) | 2016-10-31 | 2019-07-03 | 니타 하스 인코포레이티드 | 연마 롤 |
JP2019118981A (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-22 | 富士紡ホールディングス株式会社 | 研磨パッド |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002221890A patent/JP2004063900A/ja not_active Withdrawn
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