JP2004063513A - 半導体基板の洗浄乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワンバス方式の洗浄乾燥装置を用いながらもパーティクルの付着やウォーターマークの発生を防止できる半導体基板の洗浄乾燥方法を提供する。
【解決手段】チャンバー1内に設置された洗浄槽2で半導体ウェハ3を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体ウェハ3をチャンバー1内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう洗浄乾燥方法において、前記基板洗浄工程に先だって、前記洗浄槽2を過酸化水素水などの酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なう。これによれば、洗浄槽2を高い清浄度に保つことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】チャンバー1内に設置された洗浄槽2で半導体ウェハ3を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体ウェハ3をチャンバー1内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう洗浄乾燥方法において、前記基板洗浄工程に先だって、前記洗浄槽2を過酸化水素水などの酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なう。これによれば、洗浄槽2を高い清浄度に保つことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置が形成される半導体基板の洗浄乾燥方法に関し、特に単一の洗浄槽で薬液洗浄および水洗を行なう半導体基板の洗浄乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置が形成される半導体基板の洗浄は、複数の洗浄槽を備えた多槽式装置で行なうのが主流であった。しかし、半導体装置の素子パターンの微細化が進行し、一つの素子の動作に係わる電荷量が小さくなるにしたがって、金属汚染の影響が特性に顕著に現れるようになった。そのため、たとえば0.25μm程度の設計ルール以降のプロセスでは、表面の清浄化が目的の場合、1010atoms/cm2 以下の清浄度が求められるようになった。そこで、より高い清浄度を目指して提案されたのが、単一の洗浄槽で薬液洗浄と水洗とを実施するワンバス方式の洗浄方法である。この洗浄方法は薬液が使い捨てであるためクロスコンタミネーションがなく、高い清浄度を実現可能にした。
【0003】
その他に半導体装置の基板の洗浄で大きな課題とされてきたのは、乾燥工程で基板表面に現れるウォーターマークである。ウォーターマークは乾燥不良を意味するものであるが、その発生数はパターン依存性があり、特に表面の親水/疎水面のパターンに依存する。このようなウォーターマークの解決策として近年、イソプロピルアルコールを用いたマランゴニ乾燥、すなわちイソプロピルアルコールの蒸気を基板に吹き付ける直接置換乾燥や、減圧乾燥が採用されてきている。
【0004】
ワンバス方式の洗浄とイソプロピルアルコール,減圧乾燥とを組み合わせて行なうことも提案されている。たとえば特開平05−294765号公報には、ウェハをワンバス方式で薬液洗浄し水洗した後、アルコールを含んだ雰囲気中に引き上げて表面の水分を除去し、続いて減圧乾燥を行う洗浄乾燥方法および装置が開示されている。
【0005】
この種の洗浄乾燥装置の構成を図6に示す。図中、1はチャンバー、2はチャンバー1の内部に設置された洗浄槽、3は洗浄対象の半導体ウェハ(たとえば各種エッチング工程を含むリソグラフィ工程等にあるもの)、4は半導体ウェハ3(以下、ウェハという)を上下移動させるためのリフターである。5,6,7はそれぞれ、洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の下部に連通する純水ライン,フッ酸(50wt%HF)ライン,洗浄槽第1ドレイン,9は同じく洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の上部に連通する洗浄槽第2ドレイン,10,11はそれぞれ、チャンバーバルブボックス12のバルブを介してチャンバー1の下部に連通するチャンバードレイン,真空ポンプであり、13はチャンバー1の上部に連通するガスラインである。図示を省略するが、チャンバー1の上部には、ウェハ3のための開閉可能な搬入搬出口が設けられている。
【0006】
この洗浄乾燥装置における洗浄/乾燥の動作を説明する。
比抵抗15MΩ以上の脱イオン水(以下、超純水という)を満たした洗浄槽2に、所定のピッチで配列した複数枚のウェハ3を挿入する。次に、純水ライン5,フッ酸ライン6より同時に超純水,フッ酸を供給することにより、前記超純水が満たされた洗浄槽2に下部からフッ酸/超純水の混合液を導入し、所定の時間の後に混合液の導入を停止してから、プロセスの要求に応じて予め決定された所定の時間だけ放置して静止状態を保つ。その間、ウェハ3は超純水、次いでフッ酸/超純水の混合液中に保持されることになり、フッ酸の作用で洗浄される。
【0007】
このとき洗浄槽2に導入されるフッ酸/超純水の混合液はいわゆる希フッ酸であるが、フッ酸の濃度が高くなると後段のリンス処理に時間がかかるので、通常、HF濃度0.05〜0.30wt%(洗浄槽内での濃度)で用いられる。導入されたフッ酸/超純水の混合液は、洗浄槽2の容量に依存するが、通常は導入停止後2〜3分で定常状態、すなわちHF濃度が安定した状態に達する。
【0008】
その後に、純水ライン5より超純水を供給して洗浄槽2に導入しながら、洗浄槽第2ドレイン9から排液することにより、洗浄槽2内のウェハ3をリンスする。この際の超純水の流量は洗浄槽2の容量とウェハ3間のピッチとに応じて決められるが、通常15〜30l/minとされる。リンスの時間は希フッ酸のHF濃度に依存するが、HF濃度が0.10wt%程度であれば10〜20分とされる。
【0009】
リンスが終了したら、ガスライン13によってチャンバー1に、イソプロピルアルコール(IPA)を含んだ窒素ガス(N2 )を導入する。その後に、ウェハ3をリフター4によって洗浄槽2から引き上げて、チャンバー雰囲気中のIPAに曝し、ウェハ上の水分をIPAによって置換させる。ウェハをIPAに曝す時間は50〜300秒とされる。その間に洗浄槽2内の超純水を洗浄槽第1ドレイン7より排液する。
【0010】
その後に、洗浄槽バルブボックス8のバルブをすべて閉じ、チャンバーバルブボックス12のバルブを開き、真空ポンプ11を動作させることにより、チャンバー1内の気圧を10torr以下に低下させ、その気圧を120〜180秒保持して完全にウェハ3を乾燥させる。次いでガスライン13よりN2を供給してチャンバー1内を大気圧に戻し、大気圧となったチャンバー1からウェハ3を取り出す。
【0011】
このような洗浄乾燥方式であるため、薬液たるフッ酸/超純水の混合液は1回限りで使い捨てられ、クロスコンタミネーションは少なく、また、ウェハ3は乾燥時以外に気相に曝されることなく、水面から引き上げられると直ちにIPAが付着し水分置換される。その結果、高い清浄度、かつウォーターマークのない洗浄乾燥が実現される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような洗浄乾燥方法では、洗浄に際にはHF洗浄が行なわれるだけであるため、ウェハ3から除去されたパーティクルなどの汚染物が洗浄槽2に残留し、処理回数に比例して蓄積することになり、この汚染物がウェハ3表面に付着してウォーターマークの発生を誘発する、という問題があった。
【0013】
また乾燥の際に、ウェハ3にSi酸化膜とSi面とが混在するとパーティクルが付着しやすいという問題があった。これは、HF洗浄時に発生した反応生成物(H2SiF6)がリンス時にウェハ3表面に付着し、引き上げの際に水面部分のIPA層を通過する時に凝集することが原因であると考えられる。
【0014】
このように、ワンバス方式の洗浄乾燥装置を用いる半導体基板の洗浄乾燥工程は、従来とは異なるメカニズムでウオータマークの発生やパーティクルの付着を招き、最終的に、サブミクロンといった微細パターンを有する高密度半導体集積回路装置の製造歩留まりを低下させることになる。
【0015】
本発明は上記問題を解決するもので、ワンバス方式の洗浄乾燥装置を用いながらもパーティクルの付着やウォーターマークの発生を防止できる半導体基板の洗浄乾燥方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、チャンバー内に設置された洗浄槽で半導体基板を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体基板をチャンバー内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう半導体基板の洗浄乾燥方法において、前記基板洗浄工程に先だって、前記洗浄槽を酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なうことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、チャンバー内に設置された洗浄槽で半導体基板を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体基板をチャンバー内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう半導体基板の洗浄乾燥方法において、前記基板乾燥工程において、前記水洗液から半導体基板を引き上げた後、チャンバー内にイソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスを導入し、このイソプロピルアルコール雰囲気を所定時間だけ保持することを特徴とする。
【0018】
さらに本発明は、上記半導体基板の洗浄乾燥方法において、基板洗浄工程に先だって、洗浄槽を酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なうことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、半導体基板の洗浄乾燥の前に洗浄槽を洗浄するので、洗浄槽を高い清浄度に保つことができる。また、半導体基板を水洗液から引上げた後にIPAを導入するので、IPA雰囲気の中にウェハを引上げる従来法のような基板表面での汚染物の凝集は起こりにくい。これらの結果、半導体基板へのパーティクル付着、ウォーターマーク発生を大幅に低減することができ、半導体基板の汚染による洗浄槽のクロスコンタミネーションも大幅に低減できる。
【0020】
好ましくは、チャンバー内にイソプロピルアルコール雰囲気を100〜180秒間保持する。このことにより、欠陥数(パーティクルおよびウォーターマークの数)を抑えることができる。また、チャンバー内にイソプロピルアルコール雰囲気を保持した後、1〜10Torrの減圧状態を150〜300秒間保持する。このことにより、チャンバーからの取り出し前に半導体基板を完全に乾燥させることができる。また、チャンバー内のイソプロピルアルコールの濃度を3.0wt%以上とする。このことにより、欠陥数を安定して抑えることができる。
【0021】
また好ましくは、イソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスを、導入開始後60秒以内にチャンバー内のイソプロピルアルコールの濃度が3.0〜3.5wt%の範囲に達するように導入する。このようにしてできるだけ置換を早めることにより、ウォーターマークを低減できる。また、イソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスの温度を、置換により適した140〜160℃の範囲とする。
【0022】
洗浄液中の酸化剤は、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、オゾンの内から選択することができる。これらの酸化剤であれば、エッチング後の洗浄で付着しやすいAl配線などに由来する金属汚染物を除去可能であり、欠陥の発生が金属汚染物に起因する場合に有効である。
【0023】
好ましくは、洗浄液中の酸化剤濃度は、酸化剤が塩酸のとき0.1〜1.0wt%、硝酸のとき0.1〜1.0wt%、硫酸のとき0.1〜1.0wt%、過酸化水素水のとき0.5〜2.0wt%、オゾンのとき1〜50ppmとする。また、洗浄液の温度を20〜30℃の範囲とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における半導体基板の洗浄乾燥方法を実施する洗浄乾燥装置の断面図である。この洗浄乾燥装置は、先に図6を用いて説明した従来の洗浄乾燥装置とほぼ同様の構成を有している。
【0025】
図中、1はチャンバー、2はチャンバー1の内部に設置された洗浄槽、3は洗浄対象の半導体ウェハ(以下、ウェハという)、4はウェハ3を上下移動させるためのリフターである。5,6,7はそれぞれ、洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の下部に連通する純水ライン,フッ酸(50wt%HF)ライン,洗浄槽第1ドレイン,9は同じく洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の上部に連通する洗浄槽第2ドレイン,10,11はそれぞれ、チャンバーバルブボックス12のバルブを介してチャンバー1の下部に連通するチャンバードレイン,真空ポンプであり、13はチャンバー1の上部に連通するガスラインである。図示を省略するが、チャンバー1の上部には、ウェハ3のための開閉可能な搬入搬出口が設けられている。
【0026】
この洗浄乾燥装置が従来の洗浄乾燥装置と相違するのは、洗浄槽2の洗浄機構としての過酸化水素水(29wt%H2O2)ライン14が、洗浄槽バルブボックス8を介して洗浄槽2の下部に連通して設けられている点である。
【0027】
以下、この洗浄装置における洗浄/乾燥の動作を説明する。
まず、洗浄槽2を洗浄する。
そのために、純水ライン5,過酸化水素水ライン14より同時に純水と酸化剤としての過酸化水素水とを供給することにより、洗浄槽2をその洗浄液としての純水:過酸化水素水(容量比率20:0.30〜1.40)の混合液で満たし、その状態で約5〜20分放置した後、洗浄槽第1ドレイン7を通じて排液する。
【0028】
次に、ウェハ3を洗浄する。
そのために、前述した従来の方法と同様に、洗浄槽2に純水ライン5によって比抵抗15MΩ以上の脱イオン水(以下、超純水という)を満たし、所定のピッチで配列した複数枚のウェハ3をリフター4にて挿入する。そして、純水ライン5,フッ酸ライン6によりフッ酸/超純水の混合液を最終HF濃度0.05〜0.30wt%となるように槽下部から120〜180秒間導入し、その後にプロセスの要求に応じて予め決定された所定の時間だけ放置して静止状態を保つことにより、ウェハ3をフッ酸の作用で洗浄する。そして、純水ライン5により超純水を流量20〜30l/minにて15〜25分間導入することにより、洗浄槽2内のウェハ3をリンス(水洗)する。
【0029】
次に、ウェハ3を乾燥させる。
リンスが終了したウェハ3をリフター4によって洗浄槽2内の超純水から引上げ(引上げ速度4.8〜6.0mm/min)、引上げ完了後にガスライン13によってチャンバー1にイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気を含んだ窒素ガス(N2)を所定時間だけ導入することにより、ウェハ3をチャンバー内雰囲気中のIPAに曝し、ウェハ3上の水分をIPAによって置換させる。このときには、キャリアガスとして用いるN2は、チャンバー1への導入口付近で温度140〜160℃、流量40〜60l/minとし、IPAは、導入後60秒以内にチャンバー1内濃度が3.0〜3.5wt%以上に達するようにN2中に含ませるのが望ましい。IPAの導入時間は120〜180秒間が望ましい。IPAの導入の間に、リンスに使用した洗浄槽2内の超純水を洗浄槽第1ドレイン7により排液する。
【0030】
IPAの導入が終了したら、洗浄槽バルブボックス8のバルブをすべて閉じ、チャンバーバルブボックス12のバルブを開き、真空ポンプ11によりチャンバー1内の圧力を1〜10Torrまで減圧し、圧力安定後にその状態を120〜240秒間維持することにより、ウェハ3を完全に乾燥させる。次いで、ガスライン13よりN2を導入してチャンバー1内を大気圧に戻し、大気圧となったチャンバー1からウェハ3を取り出す。
【0031】
その後は、上記したような、洗浄槽2を洗浄する工程と、ウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させる工程とを交互に繰り返す。
このような方法によれば、ウェハ3の洗浄開始前に毎回必ず洗浄槽2を洗浄するので、洗浄槽2を常に高い清浄度に保つことができ、しかもウェハ3を超純水から引上げた後にIPAに曝すので、引き上げの際のウェハ3表面での汚染物の凝集は起こりにくい。よって、ウェハ3におけるパーティクル付着、ウォーターマーク発生を大幅に低減することが、ウェハ3の汚染による洗浄槽2のクロスコンタミネーションも大幅に低減できる。
【0032】
しかし、洗浄槽2のクリーニングを、上記したようにウェハ3の洗浄開始前に毎回行うのでなく、洗浄槽2の汚れの程度に応じて実施するようにしてもよい。洗浄槽2の汚れの判定は、パターン欠陥検査によって実施するのが望ましい。
【0033】
図2に、ウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させる工程を繰り返し行なう間の欠陥数(パーティクルおよびウォーターマークの数)の推移を示す。ただし、ウェハ引上げ後にチャンバー内にIPAを導入した場合である。破線はレーザー散乱方式の異物検査装置で検査した結果、実線はCRTなどに表示される光学画像を比較するパターン欠陥検査装置(KLAテンコール社)で検査した結果を示す。図2によれば、異物検査装置で検出される欠陥数がほぼ一定であるのに対し、パターン欠陥検査装置で検出される欠陥数はある時期(ここでは30数日)より急激に増加しており、このことは、パターン欠陥検査装置が汚れに対する感度がより高いことを意味している。
【0034】
このため、パターン欠陥検査装置を用いて欠陥数をモニターし、モニター結果に基づいて洗浄槽クリーニングを実施するのである。図示した例では、欠陥数の急激な増加が検出された後に、矢印で示した時点で洗浄槽クリーニングを実施しており、その結果、欠陥数が急激に低下している。しかし、プロセスの要求を勘案しつつ、モニター結果に基づいて洗浄槽クリーニングの頻度を予め決定し、所定枚数の基板の洗浄乾燥処理毎に実施するようにしてもよい。
【0035】
図3は、表面にSi酸化膜とSi面とが混在するウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させ、乾燥したウェハ3の表面に付着したパーティクルの分布をレーザー散乱方式の異物検査装置で測定した結果を示すマップ写真である。図3(a) は、ウェハ引上げ前にチャンバー内にIPAを導入した場合、図3(b)は、ウェハ引上げ後にチャンバー内にIPAを導入した場合を示す。図3(a)(b)の結果から、表面にSi酸化膜とSi面とが混在するウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させる時には、ウェハ引上げ後にチャンバーにIPAを導入することが、ウェハ引上げ前にチャンバーにIPAを導入するよりも、パーティクル付着を低減できることがわかる。
【0036】
しかし、洗浄槽2を高い頻度で洗浄して常に高い清浄度に保っている場合には、槽内の汚染物自体が少ないため、ウェハ引上げ前にチャンバー内にIPAを導入してもパーティクルの付着は少なく、したがってウォーターマークの発生も少なくなり、プロセスの要求を満たすことも可能である。
【0037】
図4は、IPA導入開始から60秒後のIPA濃度と欠陥数との関係をパターン欠陥検査装置で調べた結果を示す。この図4によれば、IPA濃度2.0から3.0wt%の間で欠陥数が急激に減少し、3.0wt%以上で安定しており、IPA濃度3.0wt%以上が望ましいことがわかる。
【0038】
図5は、IPAの導入時間と欠陥数との関係をパターン欠陥検査装置で調べた結果を示す。この図5によれば、導入開始してから80秒程度後まで欠陥数が急激に減少するものの、200秒程度後から欠陥数が増大しており、100〜180秒の範囲が望ましいことがわかる。
【0039】
なお、洗浄槽のクリーニングのための洗浄液としては、上記した実施の形態で用いた過酸化水素水に代えて、塩酸0.1〜1.0wt%、または硝酸0.1〜1.0wt%、または硫酸0.1〜1.0wt%、またはオゾン1〜50ppmなどの酸化剤を純水に混合した混合液を使用してもよい。これらの酸化剤であれば、欠陥(パーティクル、ウオータマーク)の発生が金属汚染に起因する場合に、過酸化水素水と同等に金属汚染物を除去可能である。これらの洗浄液の温度は20〜30℃の範囲が望ましい。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の半導体基板の洗浄乾燥方法は、洗浄槽のクリーニングを実施し、ウェハを液から引き上げた後にIPAに曝すとともに、IPA濃度と導入時間とを最適化するようにしたため、洗浄槽の汚染によるウォーターマークの誘発や、Si酸化膜とSi表面とが混在するウェハへのパーティクルの付着の問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体基板の洗浄乾燥方法を実施するための装置の断面図
【図2】異物検査装置およびパターン欠陥検査装置によってそれぞれ測定した欠陥数と日数との関係を示すグラフ
【図3】異物検査装置およびパターン欠陥検査装置によってそれぞれ測定したパーティクルのマップ図
【図4】IPA濃度と欠陥数との関係を示すグラフ
【図5】IPA導入時間と欠陥数との関係を示すグラフ
【図6】従来の半導体基板の洗浄乾燥方法を実施するための装置の断面図
【符号の説明】
1 チャンバー
2 洗浄槽
3 ウェハ
5 純水ライン
6 フッ酸ライン
11 真空ポンプ
13 ガスライン
14 過酸化水素水ライン
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置が形成される半導体基板の洗浄乾燥方法に関し、特に単一の洗浄槽で薬液洗浄および水洗を行なう半導体基板の洗浄乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置が形成される半導体基板の洗浄は、複数の洗浄槽を備えた多槽式装置で行なうのが主流であった。しかし、半導体装置の素子パターンの微細化が進行し、一つの素子の動作に係わる電荷量が小さくなるにしたがって、金属汚染の影響が特性に顕著に現れるようになった。そのため、たとえば0.25μm程度の設計ルール以降のプロセスでは、表面の清浄化が目的の場合、1010atoms/cm2 以下の清浄度が求められるようになった。そこで、より高い清浄度を目指して提案されたのが、単一の洗浄槽で薬液洗浄と水洗とを実施するワンバス方式の洗浄方法である。この洗浄方法は薬液が使い捨てであるためクロスコンタミネーションがなく、高い清浄度を実現可能にした。
【0003】
その他に半導体装置の基板の洗浄で大きな課題とされてきたのは、乾燥工程で基板表面に現れるウォーターマークである。ウォーターマークは乾燥不良を意味するものであるが、その発生数はパターン依存性があり、特に表面の親水/疎水面のパターンに依存する。このようなウォーターマークの解決策として近年、イソプロピルアルコールを用いたマランゴニ乾燥、すなわちイソプロピルアルコールの蒸気を基板に吹き付ける直接置換乾燥や、減圧乾燥が採用されてきている。
【0004】
ワンバス方式の洗浄とイソプロピルアルコール,減圧乾燥とを組み合わせて行なうことも提案されている。たとえば特開平05−294765号公報には、ウェハをワンバス方式で薬液洗浄し水洗した後、アルコールを含んだ雰囲気中に引き上げて表面の水分を除去し、続いて減圧乾燥を行う洗浄乾燥方法および装置が開示されている。
【0005】
この種の洗浄乾燥装置の構成を図6に示す。図中、1はチャンバー、2はチャンバー1の内部に設置された洗浄槽、3は洗浄対象の半導体ウェハ(たとえば各種エッチング工程を含むリソグラフィ工程等にあるもの)、4は半導体ウェハ3(以下、ウェハという)を上下移動させるためのリフターである。5,6,7はそれぞれ、洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の下部に連通する純水ライン,フッ酸(50wt%HF)ライン,洗浄槽第1ドレイン,9は同じく洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の上部に連通する洗浄槽第2ドレイン,10,11はそれぞれ、チャンバーバルブボックス12のバルブを介してチャンバー1の下部に連通するチャンバードレイン,真空ポンプであり、13はチャンバー1の上部に連通するガスラインである。図示を省略するが、チャンバー1の上部には、ウェハ3のための開閉可能な搬入搬出口が設けられている。
【0006】
この洗浄乾燥装置における洗浄/乾燥の動作を説明する。
比抵抗15MΩ以上の脱イオン水(以下、超純水という)を満たした洗浄槽2に、所定のピッチで配列した複数枚のウェハ3を挿入する。次に、純水ライン5,フッ酸ライン6より同時に超純水,フッ酸を供給することにより、前記超純水が満たされた洗浄槽2に下部からフッ酸/超純水の混合液を導入し、所定の時間の後に混合液の導入を停止してから、プロセスの要求に応じて予め決定された所定の時間だけ放置して静止状態を保つ。その間、ウェハ3は超純水、次いでフッ酸/超純水の混合液中に保持されることになり、フッ酸の作用で洗浄される。
【0007】
このとき洗浄槽2に導入されるフッ酸/超純水の混合液はいわゆる希フッ酸であるが、フッ酸の濃度が高くなると後段のリンス処理に時間がかかるので、通常、HF濃度0.05〜0.30wt%(洗浄槽内での濃度)で用いられる。導入されたフッ酸/超純水の混合液は、洗浄槽2の容量に依存するが、通常は導入停止後2〜3分で定常状態、すなわちHF濃度が安定した状態に達する。
【0008】
その後に、純水ライン5より超純水を供給して洗浄槽2に導入しながら、洗浄槽第2ドレイン9から排液することにより、洗浄槽2内のウェハ3をリンスする。この際の超純水の流量は洗浄槽2の容量とウェハ3間のピッチとに応じて決められるが、通常15〜30l/minとされる。リンスの時間は希フッ酸のHF濃度に依存するが、HF濃度が0.10wt%程度であれば10〜20分とされる。
【0009】
リンスが終了したら、ガスライン13によってチャンバー1に、イソプロピルアルコール(IPA)を含んだ窒素ガス(N2 )を導入する。その後に、ウェハ3をリフター4によって洗浄槽2から引き上げて、チャンバー雰囲気中のIPAに曝し、ウェハ上の水分をIPAによって置換させる。ウェハをIPAに曝す時間は50〜300秒とされる。その間に洗浄槽2内の超純水を洗浄槽第1ドレイン7より排液する。
【0010】
その後に、洗浄槽バルブボックス8のバルブをすべて閉じ、チャンバーバルブボックス12のバルブを開き、真空ポンプ11を動作させることにより、チャンバー1内の気圧を10torr以下に低下させ、その気圧を120〜180秒保持して完全にウェハ3を乾燥させる。次いでガスライン13よりN2を供給してチャンバー1内を大気圧に戻し、大気圧となったチャンバー1からウェハ3を取り出す。
【0011】
このような洗浄乾燥方式であるため、薬液たるフッ酸/超純水の混合液は1回限りで使い捨てられ、クロスコンタミネーションは少なく、また、ウェハ3は乾燥時以外に気相に曝されることなく、水面から引き上げられると直ちにIPAが付着し水分置換される。その結果、高い清浄度、かつウォーターマークのない洗浄乾燥が実現される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような洗浄乾燥方法では、洗浄に際にはHF洗浄が行なわれるだけであるため、ウェハ3から除去されたパーティクルなどの汚染物が洗浄槽2に残留し、処理回数に比例して蓄積することになり、この汚染物がウェハ3表面に付着してウォーターマークの発生を誘発する、という問題があった。
【0013】
また乾燥の際に、ウェハ3にSi酸化膜とSi面とが混在するとパーティクルが付着しやすいという問題があった。これは、HF洗浄時に発生した反応生成物(H2SiF6)がリンス時にウェハ3表面に付着し、引き上げの際に水面部分のIPA層を通過する時に凝集することが原因であると考えられる。
【0014】
このように、ワンバス方式の洗浄乾燥装置を用いる半導体基板の洗浄乾燥工程は、従来とは異なるメカニズムでウオータマークの発生やパーティクルの付着を招き、最終的に、サブミクロンといった微細パターンを有する高密度半導体集積回路装置の製造歩留まりを低下させることになる。
【0015】
本発明は上記問題を解決するもので、ワンバス方式の洗浄乾燥装置を用いながらもパーティクルの付着やウォーターマークの発生を防止できる半導体基板の洗浄乾燥方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、チャンバー内に設置された洗浄槽で半導体基板を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体基板をチャンバー内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう半導体基板の洗浄乾燥方法において、前記基板洗浄工程に先だって、前記洗浄槽を酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なうことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、チャンバー内に設置された洗浄槽で半導体基板を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体基板をチャンバー内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう半導体基板の洗浄乾燥方法において、前記基板乾燥工程において、前記水洗液から半導体基板を引き上げた後、チャンバー内にイソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスを導入し、このイソプロピルアルコール雰囲気を所定時間だけ保持することを特徴とする。
【0018】
さらに本発明は、上記半導体基板の洗浄乾燥方法において、基板洗浄工程に先だって、洗浄槽を酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なうことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、半導体基板の洗浄乾燥の前に洗浄槽を洗浄するので、洗浄槽を高い清浄度に保つことができる。また、半導体基板を水洗液から引上げた後にIPAを導入するので、IPA雰囲気の中にウェハを引上げる従来法のような基板表面での汚染物の凝集は起こりにくい。これらの結果、半導体基板へのパーティクル付着、ウォーターマーク発生を大幅に低減することができ、半導体基板の汚染による洗浄槽のクロスコンタミネーションも大幅に低減できる。
【0020】
好ましくは、チャンバー内にイソプロピルアルコール雰囲気を100〜180秒間保持する。このことにより、欠陥数(パーティクルおよびウォーターマークの数)を抑えることができる。また、チャンバー内にイソプロピルアルコール雰囲気を保持した後、1〜10Torrの減圧状態を150〜300秒間保持する。このことにより、チャンバーからの取り出し前に半導体基板を完全に乾燥させることができる。また、チャンバー内のイソプロピルアルコールの濃度を3.0wt%以上とする。このことにより、欠陥数を安定して抑えることができる。
【0021】
また好ましくは、イソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスを、導入開始後60秒以内にチャンバー内のイソプロピルアルコールの濃度が3.0〜3.5wt%の範囲に達するように導入する。このようにしてできるだけ置換を早めることにより、ウォーターマークを低減できる。また、イソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスの温度を、置換により適した140〜160℃の範囲とする。
【0022】
洗浄液中の酸化剤は、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、オゾンの内から選択することができる。これらの酸化剤であれば、エッチング後の洗浄で付着しやすいAl配線などに由来する金属汚染物を除去可能であり、欠陥の発生が金属汚染物に起因する場合に有効である。
【0023】
好ましくは、洗浄液中の酸化剤濃度は、酸化剤が塩酸のとき0.1〜1.0wt%、硝酸のとき0.1〜1.0wt%、硫酸のとき0.1〜1.0wt%、過酸化水素水のとき0.5〜2.0wt%、オゾンのとき1〜50ppmとする。また、洗浄液の温度を20〜30℃の範囲とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における半導体基板の洗浄乾燥方法を実施する洗浄乾燥装置の断面図である。この洗浄乾燥装置は、先に図6を用いて説明した従来の洗浄乾燥装置とほぼ同様の構成を有している。
【0025】
図中、1はチャンバー、2はチャンバー1の内部に設置された洗浄槽、3は洗浄対象の半導体ウェハ(以下、ウェハという)、4はウェハ3を上下移動させるためのリフターである。5,6,7はそれぞれ、洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の下部に連通する純水ライン,フッ酸(50wt%HF)ライン,洗浄槽第1ドレイン,9は同じく洗浄槽バルブボックス8のバルブを介して洗浄槽2の上部に連通する洗浄槽第2ドレイン,10,11はそれぞれ、チャンバーバルブボックス12のバルブを介してチャンバー1の下部に連通するチャンバードレイン,真空ポンプであり、13はチャンバー1の上部に連通するガスラインである。図示を省略するが、チャンバー1の上部には、ウェハ3のための開閉可能な搬入搬出口が設けられている。
【0026】
この洗浄乾燥装置が従来の洗浄乾燥装置と相違するのは、洗浄槽2の洗浄機構としての過酸化水素水(29wt%H2O2)ライン14が、洗浄槽バルブボックス8を介して洗浄槽2の下部に連通して設けられている点である。
【0027】
以下、この洗浄装置における洗浄/乾燥の動作を説明する。
まず、洗浄槽2を洗浄する。
そのために、純水ライン5,過酸化水素水ライン14より同時に純水と酸化剤としての過酸化水素水とを供給することにより、洗浄槽2をその洗浄液としての純水:過酸化水素水(容量比率20:0.30〜1.40)の混合液で満たし、その状態で約5〜20分放置した後、洗浄槽第1ドレイン7を通じて排液する。
【0028】
次に、ウェハ3を洗浄する。
そのために、前述した従来の方法と同様に、洗浄槽2に純水ライン5によって比抵抗15MΩ以上の脱イオン水(以下、超純水という)を満たし、所定のピッチで配列した複数枚のウェハ3をリフター4にて挿入する。そして、純水ライン5,フッ酸ライン6によりフッ酸/超純水の混合液を最終HF濃度0.05〜0.30wt%となるように槽下部から120〜180秒間導入し、その後にプロセスの要求に応じて予め決定された所定の時間だけ放置して静止状態を保つことにより、ウェハ3をフッ酸の作用で洗浄する。そして、純水ライン5により超純水を流量20〜30l/minにて15〜25分間導入することにより、洗浄槽2内のウェハ3をリンス(水洗)する。
【0029】
次に、ウェハ3を乾燥させる。
リンスが終了したウェハ3をリフター4によって洗浄槽2内の超純水から引上げ(引上げ速度4.8〜6.0mm/min)、引上げ完了後にガスライン13によってチャンバー1にイソプロピルアルコール(IPA)の蒸気を含んだ窒素ガス(N2)を所定時間だけ導入することにより、ウェハ3をチャンバー内雰囲気中のIPAに曝し、ウェハ3上の水分をIPAによって置換させる。このときには、キャリアガスとして用いるN2は、チャンバー1への導入口付近で温度140〜160℃、流量40〜60l/minとし、IPAは、導入後60秒以内にチャンバー1内濃度が3.0〜3.5wt%以上に達するようにN2中に含ませるのが望ましい。IPAの導入時間は120〜180秒間が望ましい。IPAの導入の間に、リンスに使用した洗浄槽2内の超純水を洗浄槽第1ドレイン7により排液する。
【0030】
IPAの導入が終了したら、洗浄槽バルブボックス8のバルブをすべて閉じ、チャンバーバルブボックス12のバルブを開き、真空ポンプ11によりチャンバー1内の圧力を1〜10Torrまで減圧し、圧力安定後にその状態を120〜240秒間維持することにより、ウェハ3を完全に乾燥させる。次いで、ガスライン13よりN2を導入してチャンバー1内を大気圧に戻し、大気圧となったチャンバー1からウェハ3を取り出す。
【0031】
その後は、上記したような、洗浄槽2を洗浄する工程と、ウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させる工程とを交互に繰り返す。
このような方法によれば、ウェハ3の洗浄開始前に毎回必ず洗浄槽2を洗浄するので、洗浄槽2を常に高い清浄度に保つことができ、しかもウェハ3を超純水から引上げた後にIPAに曝すので、引き上げの際のウェハ3表面での汚染物の凝集は起こりにくい。よって、ウェハ3におけるパーティクル付着、ウォーターマーク発生を大幅に低減することが、ウェハ3の汚染による洗浄槽2のクロスコンタミネーションも大幅に低減できる。
【0032】
しかし、洗浄槽2のクリーニングを、上記したようにウェハ3の洗浄開始前に毎回行うのでなく、洗浄槽2の汚れの程度に応じて実施するようにしてもよい。洗浄槽2の汚れの判定は、パターン欠陥検査によって実施するのが望ましい。
【0033】
図2に、ウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させる工程を繰り返し行なう間の欠陥数(パーティクルおよびウォーターマークの数)の推移を示す。ただし、ウェハ引上げ後にチャンバー内にIPAを導入した場合である。破線はレーザー散乱方式の異物検査装置で検査した結果、実線はCRTなどに表示される光学画像を比較するパターン欠陥検査装置(KLAテンコール社)で検査した結果を示す。図2によれば、異物検査装置で検出される欠陥数がほぼ一定であるのに対し、パターン欠陥検査装置で検出される欠陥数はある時期(ここでは30数日)より急激に増加しており、このことは、パターン欠陥検査装置が汚れに対する感度がより高いことを意味している。
【0034】
このため、パターン欠陥検査装置を用いて欠陥数をモニターし、モニター結果に基づいて洗浄槽クリーニングを実施するのである。図示した例では、欠陥数の急激な増加が検出された後に、矢印で示した時点で洗浄槽クリーニングを実施しており、その結果、欠陥数が急激に低下している。しかし、プロセスの要求を勘案しつつ、モニター結果に基づいて洗浄槽クリーニングの頻度を予め決定し、所定枚数の基板の洗浄乾燥処理毎に実施するようにしてもよい。
【0035】
図3は、表面にSi酸化膜とSi面とが混在するウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させ、乾燥したウェハ3の表面に付着したパーティクルの分布をレーザー散乱方式の異物検査装置で測定した結果を示すマップ写真である。図3(a) は、ウェハ引上げ前にチャンバー内にIPAを導入した場合、図3(b)は、ウェハ引上げ後にチャンバー内にIPAを導入した場合を示す。図3(a)(b)の結果から、表面にSi酸化膜とSi面とが混在するウェハ3を洗浄しリンスし乾燥させる時には、ウェハ引上げ後にチャンバーにIPAを導入することが、ウェハ引上げ前にチャンバーにIPAを導入するよりも、パーティクル付着を低減できることがわかる。
【0036】
しかし、洗浄槽2を高い頻度で洗浄して常に高い清浄度に保っている場合には、槽内の汚染物自体が少ないため、ウェハ引上げ前にチャンバー内にIPAを導入してもパーティクルの付着は少なく、したがってウォーターマークの発生も少なくなり、プロセスの要求を満たすことも可能である。
【0037】
図4は、IPA導入開始から60秒後のIPA濃度と欠陥数との関係をパターン欠陥検査装置で調べた結果を示す。この図4によれば、IPA濃度2.0から3.0wt%の間で欠陥数が急激に減少し、3.0wt%以上で安定しており、IPA濃度3.0wt%以上が望ましいことがわかる。
【0038】
図5は、IPAの導入時間と欠陥数との関係をパターン欠陥検査装置で調べた結果を示す。この図5によれば、導入開始してから80秒程度後まで欠陥数が急激に減少するものの、200秒程度後から欠陥数が増大しており、100〜180秒の範囲が望ましいことがわかる。
【0039】
なお、洗浄槽のクリーニングのための洗浄液としては、上記した実施の形態で用いた過酸化水素水に代えて、塩酸0.1〜1.0wt%、または硝酸0.1〜1.0wt%、または硫酸0.1〜1.0wt%、またはオゾン1〜50ppmなどの酸化剤を純水に混合した混合液を使用してもよい。これらの酸化剤であれば、欠陥(パーティクル、ウオータマーク)の発生が金属汚染に起因する場合に、過酸化水素水と同等に金属汚染物を除去可能である。これらの洗浄液の温度は20〜30℃の範囲が望ましい。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の半導体基板の洗浄乾燥方法は、洗浄槽のクリーニングを実施し、ウェハを液から引き上げた後にIPAに曝すとともに、IPA濃度と導入時間とを最適化するようにしたため、洗浄槽の汚染によるウォーターマークの誘発や、Si酸化膜とSi表面とが混在するウェハへのパーティクルの付着の問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体基板の洗浄乾燥方法を実施するための装置の断面図
【図2】異物検査装置およびパターン欠陥検査装置によってそれぞれ測定した欠陥数と日数との関係を示すグラフ
【図3】異物検査装置およびパターン欠陥検査装置によってそれぞれ測定したパーティクルのマップ図
【図4】IPA濃度と欠陥数との関係を示すグラフ
【図5】IPA導入時間と欠陥数との関係を示すグラフ
【図6】従来の半導体基板の洗浄乾燥方法を実施するための装置の断面図
【符号の説明】
1 チャンバー
2 洗浄槽
3 ウェハ
5 純水ライン
6 フッ酸ライン
11 真空ポンプ
13 ガスライン
14 過酸化水素水ライン
Claims (11)
- チャンバー内に設置された洗浄槽で半導体基板を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体基板をチャンバー内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう半導体基板の洗浄乾燥方法において、
前記基板洗浄工程に先だって、前記洗浄槽を酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なう
ことを特徴とする半導体基板の洗浄乾燥方法。 - チャンバー内に設置された洗浄槽で半導体基板を薬液洗浄し水洗する基板洗浄工程と、洗浄された半導体基板をチャンバー内で乾燥させる基板乾燥工程とを行なう半導体基板の洗浄乾燥方法において、
前記基板乾燥工程において、前記水洗液から半導体基板を引き上げた後、チャンバー内にイソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスを導入し、このイソプロピルアルコール雰囲気を所定時間だけ保持する
ことを特徴とする半導体基板の洗浄乾燥方法。 - 基板洗浄工程に先だって、洗浄槽を酸化剤を含んだ洗浄液により洗浄する洗浄槽洗浄工程を行なう
ことを特徴とする請求項2記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。 - チャンバー内にイソプロピルアルコール雰囲気を100〜180秒間保持することを特徴とする請求項2記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- チャンバー内にイソプロピルアルコール雰囲気を保持した後、1〜10Torrの減圧状態を150〜300秒間保持することを特徴とする請求項2または請求項4のいずれかに記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- チャンバー内のイソプロピルアルコールの濃度が3.0wt%以上であることを特徴とする請求項2記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- イソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスを、導入開始後60秒以内にチャンバー内のイソプロピルアルコールの濃度が3.0〜3.5wt%の範囲に達するように導入することを特徴とする請求項2または請求項6のいずれかに記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- イソプロピルアルコールを含んだ不活性ガスの温度が140〜160℃の範囲であることを特徴とする請求項2記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- 洗浄液中の酸化剤が、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、オゾンのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- 洗浄液中の酸化剤濃度が、酸化剤が塩酸のとき0.1〜1.0wt%、硝酸のとき0.1〜1.0wt%、硫酸のとき0.1〜1.0wt%、過酸化水素水のとき0.5〜2.0wt%、オゾンのとき1〜50ppmであることを特徴とする請求項9記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
- 洗浄液の温度が20〜30℃の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載の半導体基板の洗浄乾燥方法。
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