JP2004060096A - 不織布及びその製造方法 - Google Patents
不織布及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004060096A JP2004060096A JP2002219437A JP2002219437A JP2004060096A JP 2004060096 A JP2004060096 A JP 2004060096A JP 2002219437 A JP2002219437 A JP 2002219437A JP 2002219437 A JP2002219437 A JP 2002219437A JP 2004060096 A JP2004060096 A JP 2004060096A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nonwoven fabric
- fiber
- spinning nozzle
- silicon carbide
- spinning
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Filtering Materials (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
Abstract
【解決手段】メルトブロー法により製造されてなる不織布であって、該不織布が、炭化ケイ素系無機繊維により構成されてなることを特徴とする不織布。前記不織布は、メルトブロー法を用いて、有機ケイ素重合体を溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させ、次いで、該不織布を不融化処理後、加熱焼成することにより得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化ケイ素系無機繊維から構成されてなり、メルトブロー法により製造された不織布及びその製造方法に関する。さらに詳しくは引張強度が2N以上と高く優れた加工性を有する、炭化ケイ素系無機繊維から構成されてなる不織布及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、環境保全に対する関心の高まりとともに、自動車や工業プラント等から発生する窒素酸化物等の有害物質を浄化する触媒やフィルターが求められており、炭化ケイ素系無機繊維からなるフィルターが実用化されている。
しかしながら、前記炭化ケイ素系無機繊維からニードルパンチ法によって不織布を作製しようとする場合、繊維の寸断が起こるなどして必ずしも充分な強度を有する不織布が得られなかったり、目付けが不均一になるという問題があった。特に不織布をフィルター等に加工する際に、優れた加工性が要求される。
一方、従来、前記炭化ケイ素系無機繊維は、溶融紡糸により製造されており、その繊維径は8〜15μm程度であり、それより細い繊維を従来の方法で製造することは困難であった。
これは、溶融紡糸法では紡糸用ポリマーをノズルから吐出し、それを高速で巻き取ることによって繊維の細化が行われるが、紡糸された繊維自体の強度が低く、さらに径が細くなるにつれて繊維一本当たりの強さは極めて小さなものとなる。一方、紡糸時の張力は繊維径が細くなるにつれて、即ち、巻き取り速度が速くなるにつれて増加するので、ついには張力が繊維の強度を上回って糸切れが発生し、このため安定した紡糸ができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、メルトブロー法により製造された繊維径8μm以下の炭化ケイ素系無機繊維から構成されてなり、優れた加工性を有する不織布及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、メルトブロー法により製造されてなる不織布であって、該不織布が、炭化ケイ素系無機繊維により構成されてなることを特徴とする不織布に関するものである。
【0005】
また、本発明は、メルトブロー法を用いて、有機ケイ素重合体を溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させ、次いで、該不織布を不融化処理後、加熱焼成することを特徴とする上記不織布の製造方法に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における不織布は、炭化ケイ素系無機繊維により構成されてなる。
炭化ケイ素系無機繊維としては、例えば、ニカロン(日本カ−ボン製、登録商標)に代表されるSi−C−O繊維又はチラノ繊維(宇部興産製、登録商標)に代表されるSi−Ti又はZr−C−O繊維と同様の組成を有する炭化ケイ素系無機繊維が挙げられる。
【0007】
また、本発明における炭化ケイ素系無機繊維として、2族、3族及び4族の金属原子からなる群から選択され、その酸化物の炭素還元反応における自由エネルギー変化が負の値になる温度が、酸化ケイ素の炭素還元反応における自由エネルギー変化が負になる温度に比較して高温である金属元素を含有し、かつ酸素含有量が1〜13重量%の範囲内である炭化ケイ素系繊維を用いることもできる。前記炭化ケイ素系繊維は優れた耐熱性を有するので、不織布が高温で使用される場合に適している。
【0008】
前記炭化ケイ素系繊維における構成元素の重量割合は、酸素原子が1〜13%であり、ケイ素原子は通常35〜70%、炭素原子は通常20〜40%である。前記金属原子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Th、U、Al、Zr及びHfが挙げられる。
【0009】
また、金属原子の含有割合は、金属の配位数により異なるが、繊維中に含有される酸素の少なくとも5%以上を捕獲できる量であることが好ましい。この割合の金属原子の量の計算方法をつぎに記載する。
金属原子をM、その配位数をWとし、
Si:C:O:M=a:b:c:d(モル比)とした場合、繊維中の酸素全量の少なくとも5%以上を捕獲するに足る金属原子の量はつぎの式で算出することができる。
d≧c×0.05/W(但し、d≦c/Wである。)
ここで、Mの原子量をmとすると、Mの重量割合は下式で表される。
M(重量%)=(d×m)/(a×28.09+b×12.01+c×16.00+d×m)
【0010】
本発明における炭化ケイ素系無機繊維は、メルトブロー法により製造されることから、平均繊維径が1〜20μm、好ましくは、1〜8μm、より好ましくは、2〜6μmと、従来の溶融紡糸法で製造される繊維に比べてより細いものとすることができる。これにより、繊維の表面積も従来の繊維に比べて大きくなるため、フィルターとして用いた場合には、捕集効率が増加する。
【0011】
さらに、本発明の不織布は、メルトブロー法により製造されることから、従来の溶融紡糸法で製造された長さ40〜50μm程度の短繊維をニードルパンチ法で不織布としたものに比べて、繊維が長いものとなる。その結果、不織布は強度が高く、フィルター等に加工する際に、十分なプリーツ加工性を有する。具体的には、ニードルパンチ法で得られる不織布がせいぜい1N程度の引張強度しかないのに対し、本発明の不織布は、引張強度が2N以上と高い。
なお、前記引張強度は、幅5cm、長さ20cmの試験片について、長さ方向に引張試験を行い、不織布が破断するまでの荷重を測定したものである。
【0012】
次に、本発明の不織布の製造方法について説明する。
本発明においては、メルトブロー法を用いて、有機ケイ素重合体を溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させ、次いで、該不織布を不融化処理後、加熱焼成することにより、不織布が得られる。
【0013】
有機ケイ素重合体(以下前駆体ポリマーという)としては、特に制限はなく、ポリカルボシラン、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリシラスチレン、メチルクロロポリシラン等が用いられる。また、前記有機ケイ素重合体中に、ホウ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の金属元素を含有するものでもよい。
【0014】
例えば、前記した2族、3族及び4族の金属原子からなる群から選択され、その酸化物の炭素還元反応における自由エネルギー変化が負の値になる温度が、酸化ケイ素の炭素還元反応における自由エネルギー変化が負になる温度に比較して高温である金属元素を含有し、かつ酸素含有量が1〜13重量%の範囲内である炭化ケイ素系繊維の場合には、前駆体ポリマーは以下のようにして製造される。
【0015】
有機ケイ素重合体は、不活性ガス中、ポリシラン100重量部にフェニル基含有ポリボロシロキサン15重量部以下を添加し、あるいはポリシランをそのまま通常2〜25時間加熱することにより、調製することができる。加熱温度は通常250〜500℃の範囲であり、有機ケイ素重合体は、カルボシラン(−Si−CH2 −)結合単位、及びポリシラン(−Si−Si−)結合単位から主としてなり、ケイ素の側鎖に水素原子、低級アルキル基、アリ−ル基、フェニル基及びシリル基からなる群から選択される基を有している。有機ケイ素重合体におけるカルボシラン単位とポリシラン単位との比は通常100:5〜2000である。有機ケイ素重合体の数平均分子量は通常200〜10000である。
【0016】
上記のポリシランは、例えば「有機ケイ素化合物の化学」化学同人(1972年)の記載の方法に従って、1種類以上のジクロロシランをナトリウムによって脱塩素反応させることによって得られる、鎖状又は環状の重合体である。ポリシランの数平均分子量は通常300〜1000である。本明細書において、ポリシランは、上記鎖状又は環状のポリシランを400〜700℃の範囲の温度に加熱して得られる、一部にカルボシラン結合を有するポリシランを包含する。
【0017】
フェニル基含有ポリボロシロキサンは、特公昭53−42330号公報及び同53−50299号公報に記載の方法に従い、例えば、ホウ酸と1種類以上のジオルガノクロロシランとの脱塩酸縮合反応によって調製することができる。フェニル基含有ポリボロシロキサンの数平均分子量は一般には500〜10000である。
【0018】
この有機ケイ素重合体に、前述した金属のアルコキシド、アセチルアセトキシ化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物及びアミン化合物から選択される化合物の1種類以上を添加し、不活性ガス中で加熱反応させて前駆体ポリマーを調製する。金属化合物の添加量は、前述した計算式に基づいて当業者が容易に決定することができる。加熱温度は通常250〜350℃、加熱時間は一般に1〜10時間である。
【0019】
本発明においては、前記前駆体ポリマーからメルトブロー法を用いて紡糸繊維を得る。
すなわち、メルトブロー法により、前駆体ポリマーを溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させる。
【0020】
紡糸ノズルの直径は通常100〜500μm程度のものを用いる。窒素ガス噴出速度は30〜300m/sの程度であり、速度が速いほど細い繊維が得られる。また、窒素ガスの加熱温度は、所望の紡糸繊維が得られれば、特に制限はないが、通常500℃程度に加熱した窒素ガスを噴出させる。
従来、一般的なメルトブロー法では、噴出ガスとして空気が用いられているが、本発明の前駆体ポリマーを紡糸するには窒素を用いる必要がある。噴出ガスとして窒素を用いることにより、安定して紡糸を行うことができる。
【0021】
また、本発明においては、前記前駆体ポリマーを紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集する際、吸引可能な受器を用いて、受器の下側から吸引しながら行うことが好ましい。吸引することにより、繊維が効果的にからまり、高強度の不織布が得られる。吸引速度は2〜10m/s程度の範囲が好ましい。
【0022】
次に、得られた紡糸繊維を不融化処理して不融化繊維を調製する。
不融化処理は通常酸素含有雰囲気中で行う。酸素含有雰囲気を構成するガスとしては、空気、酸素、オゾンが例示される。不融化温度は50〜300℃であり、不融化時間は不融化温度に依存するが、通常、数分から30時間である。
また、電子線あるいはγ線を用いた不融化方法を採用してもよい。
【0023】
次に、不融化繊維を不活性雰囲気中で予備加熱して予備加熱繊維を調製する。不活性雰囲気を構成するガスとしては、窒素、アルゴンなどを例示することができる。加熱温度は通常150〜800℃であり、加熱時間は数分ないし20時間である。不融化繊維を不活性雰囲気中で予備加熱することによって、繊維への酸素の取り込みを防止しつつ、繊維を構成するポリマ−の橋かけ反応をより進行させ、不融化繊維の優れた伸びを維持しつつ、強度をより向上させることができる、これにより、最終工程における焼成を作業性よく安定に行うことができる。
【0024】
最後に、予備加熱繊維を、アルゴンのような不活性ガス雰囲気中、あるいは水素のような還元性ガス雰囲気中、1000〜1900℃の範囲内の温度で加熱処理することによって、炭化ケイ素系無機繊維により構成されてなる不織布が得られる。
【0025】
本発明の不織布の目付けや厚みについては特に限定は無いが通常、目付けが50〜500g/m2、厚みが0.5〜20mmのものが用いられるが、必要に応じてこの不織布を必要な厚みになるように積層しても良い。
本発明の不織布は引張強度が2N以上と高く、フィルター等に加工する際に、十分なプリーツ加工性を有するので、所望の形状に成形することができる。本発明の不織布は、例えば、有害物質除去フィルターとして使用される。この不織布の目付けを調整することにより濾過性能を調整することができる。フィルター形状は、平面状でも良いし、また円筒状、封筒状、円錐状等の種々の形態でもよい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
参考例1
5リットルの三口フラスコに無水トルエン2.5リットルと金属ナトリウム400gとを入れ窒素ガス気流下でトルエンの沸点まで加熱し、ジメチルジクロロシラン1リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10時間加熱還流し沈殿物を生成させた。この沈殿をろ過し、まずメタノールで洗浄した後、水で洗浄して、白色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
参考例2
ジフェニルジクロロシラン750部及びホウ酸124部を窒素ガス雰囲気下にn−ブチルエ−テル中、100〜120℃で加熱し、生成した白色樹脂状物をさらに真空中400℃で1時間加熱することによって、フェニル基含有ポリボロシロキサン530部を得た。
【0027】
実施例1
参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン1部を添加し、窒素ガス雰囲気中380℃で10時間熱縮合して、数平均分子量1700の有機ケイ素重合体を得た。この有機ケイ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にテトラブトキシチタン10部を加え、窒素ガス気流下に320℃で架橋反応させて、ポリチタノカルボシランを得た。
このポリチタノポリカルボシランを紡糸装置に仕込み、225℃に溶融させた後、直径300μmの紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から500℃に加熱した窒素ガスを約50m/sの速度で噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に、受器の下側から約5m/sの吸引速度で吸引しながら紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させた。
得られた不織布を、空気中170℃で1時間加熱処理して不融化させた後、さらに、窒素中300℃で10時間加熱して予備加熱し、次いで窒素中1300℃で加熱処理して、炭化珪素系無機繊維からなる不織布を得た。
【0028】
得られた不織布を構成する無機繊維(平均直径:5μm)の化学組成は、Si:54%、C:31%、O:12.6%、Ti:2%であり、原子比で示すと、Si:C:O:Ti=1:1.34:0.41:0.02であった。
また、得られた不織布の目付けは100g/m2、厚さ1mmであった。この不織布から幅5cm、長さ20cmの試験片を切り取り、長さ方向に引張試験を行ったところ、引張強度は5Nであった。
【0029】
比較例1
実施例1で得られたポリチタノカルボシランを225℃で溶融紡糸した後、空気中170℃で1時間加熱処理して不融化繊維を調製し、この不融化繊維を、さらに、窒素中300℃で10時間加熱して予備加熱繊維を得た。この予備加熱繊維を窒素中1300℃で加熱処理して無機繊維を調製した。
【0030】
得られた無機繊維(平均直径:10μm)の化学組成は、Si:54%、C:31%、O:12.6%、Ti:2%であり、原子比で示すと、Si:C:O:Ti=1:1.34:0.41:0.02であった。
【0031】
得られた無機繊維を長さ50mmの短繊維にした後、ニードルパンチを行うことにより目付け100g/m2、厚さ1mmの無機繊維製不織布を得た。
この不織布から幅5cm、長さ20cmの試験片を切り取り、長さ方向に引張試験を行ったところ、引張強度は1Nであった。
【0032】
実施例2
参考例1で得られたポリジメチルシラン100部に参考例2で得られたフェニル基含有ポリボロシロキサン10部を添加し、窒素ガス雰囲気中、350℃で熱縮合して、カルボシラン単位とシロキサン単位との比が100:0.93である有機ケイ素重合体を得た。この有機ケイ素重合体100部を溶解したキシレン溶液にジルコニウム(4価)アセチルアセトネ−ト3.5部を加え、窒素ガス気流下に320℃で架橋反応させることによって、ポリジルコノカルボシランを調製した。
このポリジルコノカルボシランを紡糸装置に仕込み、240℃に溶融させた後、直径300μmの紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から500℃に加熱した窒素ガスを約50m/sの速度で噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に、受器の下側から約5m/sの吸引速度で吸引しながら紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させた。
得られた不織布を、空気中160℃で1時間加熱処理して不融化させた後、さらに、窒素中300℃で10時間加熱して予備加熱し、次いで窒素中1450℃で加熱処理して、炭化珪素系無機繊維からなる不織布を得た。
【0033】
得られた不織布を構成する無機繊維(平均直径:5μm)の化学組成は、Si:55.5%、O:9.8%、C:34.1%、Zr:0.6%であった。
また、得られた不織布の目付けは100g/m2、厚さ1mmであった。この不織布から幅5cm、長さ20cmの試験片を切り取り、長さ方向に引張試験を行ったところ、引張強度は5Nであった。
【0034】
比較例2
実施例2で得られたポリジルコノカルボシランを240℃で溶融紡糸した後、空気中160℃で1時間加熱処理して不融化繊維を調製し、この不融化繊維を、さらに、窒素中300℃で10時間加熱して予備加熱繊維を得た。この予備加熱繊維を窒素中1450℃で加熱処理して無機繊維を調製した。
【0035】
得られた無機繊維(平均直径:10μm)の化学組成は、Si:55.5%、O:9.8%、C:34.1%、Zr:0.6%であった。
【0036】
得られた無機繊維を長さ50mmの短繊維にした後、ニードルパンチを行うことにより目付け100g/m2、厚さ1mmの無機繊維製不織布を得た。
この不織布から幅5cm、長さ20cmの試験片を切り取り、長さ方向に引張試験を行ったところ、引張強度は1Nであった。
【0037】
実施例3
実施例2におけると同様にして得た有機ケイ素重合体100部のキシレン溶液にアルミニウムトリブトキシド8部を加え、窒素ガス気流下に290℃で架橋反応させて、ポリアルミノカルボシランを得た。
このポリジルコノカルボシランを紡糸装置に仕込み、255℃に溶融させた後、直径300μmの紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から500℃に加熱した窒素ガスを約50m/sの速度で噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に、受器の下側から約5m/sの吸引速度で吸引しながら紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させた。
得られた不織布を、空気中160℃で1時間加熱処理して不融化させた後、さらに、窒素中300℃で10時間加熱して予備加熱し、次いで窒素中1300℃で加熱処理して、炭化珪素系無機繊維からなる不織布を得た。
【0038】
得られた不織布を構成する無機繊維(平均直径:5μm)の化学組成は、Si:55.2%、O:9.8%、C:34.3%、Al:0.55%であった。
また、得られた不織布の目付けは100g/m2、厚さ1mmであった。この不織布から幅5cm、長さ20cmの試験片を切り取り、長さ方向に引張試験を行ったところ、引張強度は5Nであった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の不織布は、メルトブロー法により製造されることから、従来の溶融紡糸法で製造された長さ40〜50μm程度の短繊維をニードルパンチ法で不織布としたものに比べて、繊維が長いものとなる。その結果、不織布は引張強度が2N以上と高く、フィルター等に加工する際に、優れた加工性を有するので、所望の形状に成形することができる。
また、本発明の不織布を構成する炭化ケイ素系無機繊維は、メルトブロー法により製造されることから、平均繊維径が1〜8μmと、従来の溶融紡糸法で製造される繊維に比べて細いものとすることができる。これにより、繊維の表面積も従来の繊維に比べて大きくなるため、フィルターとして用いた場合には、捕集効率が増加する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明におけるメルトブロー法による不織布の製造に用いられる紡糸装置の概略図である。
Claims (7)
- メルトブロー法により製造されてなる不織布であって、該不織布が、炭化ケイ素系無機繊維により構成されてなることを特徴とする不織布。
- 不織布の引張強度が2N以上である請求項1記載の不織布。
- 炭化ケイ素系無機繊維の平均繊維径が1〜8μmである請求項1〜2記載の不織布。
- 炭化ケイ素系無機繊維が、2族、3族及び4族の金属原子からなる群から選択され、その酸化物の炭素還元反応における自由エネルギー変化が負の値になる温度が、酸化ケイ素の炭素還元反応における自由エネルギー変化が負になる温度に比較して高温である金属元素を含有し、かつ酸素含有量が1〜13重量%の範囲内である炭化ケイ素系繊維であることを特徴とする請求項1〜3記載の不織布。
- メルトブロー法を用いて、有機ケイ素重合体を溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させ、次いで、該不織布を不融化処理後、加熱焼成することにより得られたものである請求項1記載の不織布。
- メルトブロー法を用いて、有機ケイ素重合体を溶融し、溶融物を紡糸ノズルから吐出すると共に、前記紡糸ノズルの周囲から加熱窒素ガスを噴出させて紡糸し、紡糸ノズルの下部に配置した受器に紡糸繊維を捕集することにより不織布を形成させ、次いで、該不織布を不融化処理後、加熱焼成することを特徴とする請求項1記載の不織布の製造方法。
- 紡糸繊維を受器に捕集する際、受器の下側から吸引しながら行うことを特徴とする請求項6記載の不織布の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002219437A JP3815393B2 (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 不織布及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002219437A JP3815393B2 (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 不織布及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004060096A true JP2004060096A (ja) | 2004-02-26 |
JP3815393B2 JP3815393B2 (ja) | 2006-08-30 |
Family
ID=31940341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002219437A Expired - Fee Related JP3815393B2 (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 不織布及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3815393B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006001403A1 (ja) * | 2004-06-23 | 2006-01-05 | Teijin Limited | 無機系繊維、繊維構造体およびその製造方法 |
JP2007009398A (ja) * | 2005-06-16 | 2007-01-18 | Korea Inst Of Science & Technology | 酸化チタンナノロッド及びその製造方法 |
JP2008081396A (ja) * | 2006-09-01 | 2008-04-10 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 非晶質無機セラミック物質及びその製造方法 |
US7662473B2 (en) | 2006-09-01 | 2010-02-16 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Amorphous inorganic ceramic material and method of producing same |
KR101110353B1 (ko) * | 2008-01-28 | 2012-04-05 | 한국세라믹기술원 | 멜트블로운법을 이용한 실리콘카바이드 매트 제조장치 및그 제조방법 |
JP2013522002A (ja) * | 2010-03-12 | 2013-06-13 | マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | フィルタエレメントのフィルタ媒体、フィルタエレメント及びフィルタ媒体の製造方法 |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219437A patent/JP3815393B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006001403A1 (ja) * | 2004-06-23 | 2006-01-05 | Teijin Limited | 無機系繊維、繊維構造体およびその製造方法 |
JPWO2006001403A1 (ja) * | 2004-06-23 | 2008-04-17 | 帝人株式会社 | 無機系繊維、繊維構造体およびその製造方法 |
US7709088B2 (en) | 2004-06-23 | 2010-05-04 | Teijin Limited | Inorganic fibers, fiber structure and process for their production |
KR101169622B1 (ko) | 2004-06-23 | 2012-07-30 | 데이진 가부시키가이샤 | 무기계 섬유, 섬유 구조체 및 그 제조 방법 |
JP2007009398A (ja) * | 2005-06-16 | 2007-01-18 | Korea Inst Of Science & Technology | 酸化チタンナノロッド及びその製造方法 |
JP4607825B2 (ja) * | 2005-06-16 | 2011-01-05 | コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー | 酸化チタンナノロッド及びその製造方法 |
JP2008081396A (ja) * | 2006-09-01 | 2008-04-10 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 非晶質無機セラミック物質及びその製造方法 |
US7662473B2 (en) | 2006-09-01 | 2010-02-16 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Amorphous inorganic ceramic material and method of producing same |
KR101110353B1 (ko) * | 2008-01-28 | 2012-04-05 | 한국세라믹기술원 | 멜트블로운법을 이용한 실리콘카바이드 매트 제조장치 및그 제조방법 |
JP2013522002A (ja) * | 2010-03-12 | 2013-06-13 | マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | フィルタエレメントのフィルタ媒体、フィルタエレメント及びフィルタ媒体の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3815393B2 (ja) | 2006-08-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3815393B2 (ja) | 不織布及びその製造方法 | |
WO2011114810A1 (ja) | 繊維束用無機繊維及びその製造方法、その繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料 | |
US5945362A (en) | Silicon carbide fiber having excellent alkali durability | |
EP1300491B1 (en) | Process for the production of a silicon carbide fiber having boron nitride layer in fiber surface | |
JP2016188439A (ja) | 結晶性炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法 | |
EP1431431B1 (en) | Zirconia-containing inorganic fiber and method for production thereof | |
US6582650B1 (en) | Organic silicon polymer, inorganic fiber with silicon carbide base, and method of manufacture thereof | |
JP3436267B2 (ja) | 浄化装置及び光触媒カートリッジ | |
JP3815392B2 (ja) | 不織布及びその製造方法 | |
CN1142332C (zh) | 一种制备碳化硅纤维或织物的方法 | |
JP2523147B2 (ja) | 無機質繊維の製造方法 | |
JPH01156510A (ja) | シリコンカーバイド繊維の製造法 | |
JP3279126B2 (ja) | 無機繊維及びその製造方法 | |
JP3417459B2 (ja) | 耐アルカリ性の良好な結晶性炭化ケイ素繊維及びその製造方法 | |
JP3381589B2 (ja) | 結晶性炭化ケイ素繊維及びその製造方法 | |
JP4081752B2 (ja) | ヒドラジン分解触媒 | |
JPH11171658A (ja) | 結晶性炭化ケイ素系繊維強化セラミック複合材料 | |
US7005184B2 (en) | Silicon carbide fiber having boron nitride layer in fiber surface and process for the production thereof | |
JP3381575B2 (ja) | 結晶性炭化ケイ素系繊維の不織布又は織物及びその製造方法 | |
JPH0978359A (ja) | 無機繊維及びフェルト | |
JPH06146115A (ja) | 無機長繊維 | |
JP6046267B2 (ja) | セラミック成型体製造のためのセラミック前駆体無塩素ポリマーの合成方法 | |
JPH11286833A (ja) | 結晶性炭化ケイ素系繊維の製造方法 | |
JP4082062B2 (ja) | ジルコニア含有無機繊維及びその製造方法 | |
JP2012214914A (ja) | 繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040819 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051013 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060307 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060426 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060516 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060529 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3815393 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100616 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110616 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110616 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130616 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130616 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130616 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |