JP2004059038A - 宇宙環境試験装置における扉の気密構造 - Google Patents

宇宙環境試験装置における扉の気密構造 Download PDF

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Toshiyuki Yoshida
吉田 俊之
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Japan Oxygen Co Ltd
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Japan Oxygen Co Ltd
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Abstract

【課題】扉や扉フランジにおける歪みの許容範囲を広くすることができ、扉等に多少の歪みが発生しても、真空容器内の真空排気を問題なく行うことができる宇宙環境試験装置における扉の気密構造を提供する。
【解決手段】宇宙環境試験装置を構成する真空容器10の開口部を閉塞する扉フランジ11,21における気密構造であって、前記扉フランジ11の座面12に同心円状に複数のリング状溝13,14を形成し、内周側のリング状溝13には、放出ガスの少ない高真空対応のパッキン15を装着し、外周側のリング状溝14には変形量が大きな高弾力性のパッキン16を装着する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、宇宙環境試験装置における扉の気密構造に関し、詳しくは、高真空状態を長時間維持する必要がある宇宙環境試験装置用真空容器の開口部を閉塞する扉と真空用器本体との間に設けられる扉フランジ部分の気密構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、真空容器の開口部を閉塞する扉や蓋の気密構造は、容器開口部外周と扉(蓋)外縁とに設けた扉フランジ(蓋フランジ)にパッキン(Oリング)を装着し、このパッキンを両扉フランジ間に挟み込んでシールする構造が採用されている。宇宙環境試験装置を構成する真空容器の気密構造も基本的には同一であり、相対向する扉フランジの一方にリング状溝を形成し、この溝内にパッキンを装着して扉フランジ間の気密性を得るようにしている。
【0003】
また、真空容器内を真空排気する場合、真空引き開始時に真空容器内が僅かに負圧になれば、容器内外の差圧が扉を締め付ける方向に作用するので、扉フランジに僅かな歪みがあっても、パッキンの変形によってこの歪みを吸収することができれば、十分な真空排気を行うことができる。したがって、一般的な真空容器では、変形量の大きなパッキンを使用して扉や蓋の歪みを吸収するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、宇宙環境試験装置では、パッキンとして高真空対応のパッキンを使用する必要があり、このパッキンの弾力性が汎用のパッキンに比べて小さいため、扉や蓋の歪みを吸収できるような十分な変形量を得ることはできない。また、直径が2mを超える大型の宇宙環境試験装置の場合は、加工精度や溶接による熱歪み、自重による撓み等の影響によって扉に歪みが発生し、扉フランジ間に隙間が発生してしまうことがある。このようなときには、クランプ等で扉フランジを挟み込むことにより、歪みを矯正して隙間を無くすようにしている。
【0005】
しかし、扉等に発生した歪みが大きい場合は、強力なクランプ等で締め付けても僅かな隙間が解消されずに残ってしまうことがある。このような大きな歪みが発生した場合は、扉や扉フランジの歪みを解消するための改修作業が必要となり、多大な費用と工期とが掛かってしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、扉や扉フランジにおける歪みの許容範囲を広くすることができ、扉等に多少の歪みが発生しても、真空容器内の真空排気を問題なく行うことができる宇宙環境試験装置における扉の気密構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の宇宙環境試験装置における扉の気密構造は、宇宙環境試験装置を構成する真空容器の開口部を閉塞する扉フランジにおける気密構造であって、前記扉フランジの座面に同心円状に複数のリング状溝を形成し、内周側のリング状溝には、放出ガスの少ない高真空対応のパッキンを装着し、外周側のリング状溝には変形量が大きな高弾力性のパッキンを装着したことを特徴とし、さらに、前記内外パッキン間の空間部を真空排気する手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の宇宙環境試験装置における扉の気密構造の一形態例を示す要部断面図、図2は外周側に装着するパッキンの変形状態を示す断面図、図3は宇宙環境試験装置を構成する真空容器の正面図、図4は本発明の気密構造の他の形態例を示す要部断面図である。
【0009】
この宇宙環境試験装置における扉の気密構造は、図3に示すような宇宙環境試験装置を構成する真空容器10と扉20との間をシールするためのものであって、真空容器10の容器開口部外周に設けられた容器側扉フランジ11と、扉20の外縁に設けられた扉側扉フランジ21との間を2種類の性質が異なるパッキンによりシールするようにしている。
【0010】
すなわち、図1に示すように、両扉フランジの一方の座面、例えば、容器側扉フランジ11の座面12に、同心円状に2条のリング状溝13,14を形成し、内周側のリング状溝13には、放出ガスの少ない高真空対応のパッキン15を装着し、外周側のリング状溝14には変形量が大きな高弾力性のパッキン16を装着している。なお、本例ではパッキン15として甲丸型Oリングを用いているが、角型Oリングを使用することもできる。
【0011】
内周側のパッキン15は、放出ガス量が少なく、かつ、ガス透過性も小さな材質からなるものが選定され、特に、フッ素ゴム性のOリングが好適である。このフッ素ゴム性のパッキン15は、高真空を維持する必要がある宇宙環境試験装置用のパッキンとして最適であるが、硬くて変形しにくいため、扉等に僅かな歪みが発生しても隙間が発生しやすいという特性を有している。
【0012】
一方、外周側のパッキン16は、内周側のパッキン15に比べて変形量が大きな高弾力性を有する材質からなるものが選定され、例えば、NBR(ニトリルゴム)等の汎用のOリングを使用することができ、パッキン16における放出ガス量やガス透過性は考慮する必要がない。
【0013】
このパッキン16は、真空容器10の真空排気を開始する際の初期のシール性を確保するためのものであって、扉等に歪みが発生していても、扉20を閉じたときに両扉フランジ11,21の座面全周をパッキン16で隙間無くシールできる形状を有している。すなわち、図1,図2に示すように、パッキン16は、リング状溝14に嵌め込まれるベース部17と、該ベース部17の外面内周端から外周方向に斜めに突出したバネ部18とを有しており、バネ部18の先端は、図2に示すように、扉20の正常な閉じ位置に対して扉側に所定の突出寸法S、例えば数mmの突出寸法で突出するように形成されている。
【0014】
したがって、扉等に歪みが発生し、扉20を閉じたときに扉側扉フランジ21の座面22が内周側のパッキン15に当接しなくなっても、その歪み量が前記突出寸法S以下ならば、バネ部18の先端が座面22に当接する状態になるので、初期のシール性を十分に確保することができ、容器内への大気の漏れ込みを防止して真空排気を進めていくことができる。このとき、バネ部18の先端と座面22との間に隙間が発生した場合でも、クランプで締め付けることによってこの隙間が解消されれば問題はなく、従来よりも軽い力で容易に隙間を解消することができる。
【0015】
そして、真空容器10内の真空排気の進行に伴って容器内が負圧になり、内外の差圧が上昇すると、外気圧によって扉20に閉じ方向の力が作用するので、扉等の歪みが解消されながら、かつ、バネ部18を変形させながら、扉側扉フランジ21の座面22が容器側扉フランジ11の座面12方向に移動し、座面22が内周側のパッキン15に当接した状態となる。
【0016】
このようにして座面22の全周がパッキン15に当接した状態になれば、歪みが無い状態のときと同様にして真空容器10内を高真空状態に排気することができ、しかも、内周側に放出ガス量やガス透過性を考慮したパッキン15を用いているので、真空容器10内の真空度が損なわれることもなくなる。
【0017】
なお、内外両パッキン15,16は、両方を同じ扉フランジに設ける必要はなく、例えば、内周側のパッキン15を容器側扉フランジ11に設け、外周側のパッキン16を扉側扉フランジ21に設けるようにすることもできる。また、外周側のパッキン16の形状は任意であり、対向する扉フランジの座面が内周側のパッキン15に接触する前に外周側のパッキン16に接触し、座面がパッキン15に接触するまでパッキン16の一部あるいは全体が変形可能な状態になっていればよい。
【0018】
図4に示す気密構造は、内外両パッキン15,16間の空間部31に連通する排気口32を容器側扉フランジ11に設け、この排気口32に排気管を介して真空ポンプを接続することにより、前記空間部31を真空排気するように形成した例を示している。このようにしてパッキン15,16間の空間部31を真空排気することにより、真空容器外側から容器内に侵入してくる空気量を減らすことができ、真空容器10内をより急速に真空排気することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の宇宙環境試験装置における扉の気密構造によれば、扉等に多少の歪みが発生しても真空容器内の真空排気を行うことができるので、強力なクランプや数多くのクランプを用いたりする必要もなく、歪みを解消するための改修作業の必要性も少なくなり、宇宙環境試験を安定した状態で確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の宇宙環境試験装置における扉の気密構造の一形態例を示す要部断面図である。
【図2】外周側に装着するパッキンの変形状態を示す断面図である。
【図3】宇宙環境試験装置を構成する真空容器の正面図である。
【図4】本発明の気密構造の他の形態例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10…真空容器、11…容器側扉フランジ、12…座面、13,14…リング状溝、15…高真空対応のパッキン、16…高弾力性のパッキン、17…ベース部、18…バネ部、20…扉、21…扉側扉フランジ、22…座面、31…空間部、32…排気口

Claims (2)

  1. 宇宙環境試験装置を構成する真空容器の開口部を閉塞する扉フランジにおける気密構造であって、前記扉フランジの座面に同心円状に複数のリング状溝を形成し、内周側のリング状溝には、放出ガスの少ない高真空対応のパッキンを装着し、外周側のリング状溝には変形量が大きな高弾力性のパッキンを装着したことを特徴とする宇宙環境試験装置における扉の気密構造。
  2. 前記内外パッキン間の空間部を真空排気する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の宇宙環境試験装置における扉の気密構造。
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