JP2004058409A - 抗菌性木質系複合成形材料及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性木質系複合成形材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒノキやヒバのような樹木の廃材を、できるだけ自然の状態に保ったまま、その中に存在する生理活性物質を有効利用する技術を提供する。
【解決手段】ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とのメカノケミカル反応生成物及び熱可塑性樹脂の複合体からなる抗菌性木質系複合成形材料とする。これはヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とを、弱塩基性物質の中から選ばれた少なくとも1種の安定化剤の存在下でメカノケミカル反応させたのち、その生成物を熱可塑性樹脂と混合することにより製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌作用を有する木質系複合成形材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヒノキ科に属する樹木、例えばヒノキやヒバなどは、ヒノキチオールを含有し、それから抽出される精油成分は、芳香を有し、抗菌性、防虫性、防ばい性を示すことが知られている。
【0003】
そのため、これらの樹木から製材される木材は、建材をはじめ、家具、浴槽などの高級材料として利用されているが、その加工時に発生する端材やおが屑などは大部分なんら利用されることなく、木材廃棄物として焼却されたり、せいぜい埋め立てに用いられていたにすぎなかった。その後、これらの廃棄物から水蒸気蒸留や溶剤抽出により生理活性物質や芳香性精油を採取することも試みられたが、操作が煩雑なために、収集や運搬に経費がかかり、コスト高になるのを免れず、工業的には実用化されなかった。
【0004】
ところで、ヒノキチオール(4‐イソプロピル‐2‐ヒドロキシ‐2,4,6‐シクロヘプタトリエン‐1‐オン)は、台湾ヒノキ油、青森産ヒバ油及びウエスタン・レッド・セダー・オイル(western red ceder oil)などの中に存在する結晶性物質であるが、現在は合成品として入手でき、化粧品、養毛剤、歯磨きなどの添加剤として用いられている。また、このヒノキチオールは、ヒノキ特有の木香を有することから香料としても注目されているほか、腸チフス菌、大腸菌、赤痢菌、ブドウ状球菌、真菌、虫歯菌などの細菌に対し、抗菌作用を有し、またガンや白血病の治療に対しても有効であることが報告されている(「フレグランス・ジャーナル」,第17巻,第2号,第74〜79ページ、「バイオロジカル・アンド・ファーマシューティカル・ビュレタン(Biol.Pharm.Bull)」,第16巻(5),第521〜523ページ)。
【0005】
このため、ヒノキチオールをプラスチックに混合し、保存容器、包装用フィルム、繊維製品などに加工して利用することが考えられるが、ヒノキチオールは、融点が52〜53℃と低く、昇華性がある上に、各種プラスチックとの混和性を欠くため、熱可塑性樹脂中に配合して加熱成形することが困難であり、したがって所望の形状の成形品や合成繊維としてヒノキチオールのもつ望ましい性質を利用することができなかった。
【0006】
他方、一般に天然の動植物中に存在する生理活性物質は、通常多数の物質の混合物であり、環境や生物に対して強力な作用を与えることがないように自然の調和が保たれているので、その中から特定の有効成分を単一の化合物として分解すると、生理活性作用が強くなりすぎて、自然界における調和が乱されるおそれがあるため、これらの生理活性物質は、本来の混合物の状態のままで利用するのが望ましい。
【0007】
したがって、ヒノキやヒバなどの廃材も、これらから生理活性物質を抽出単離することなく、木材の状態でその生理活性物質が本来有している活性を利用するのが有利であるが、これまで、このような利用方法としては、廃材を粉末化して浴用剤として利用すること以外、特に注目しうる方法は知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、ヒノキやヒバのような樹木の廃材を、できるだけ自然の状態に保ったまま、その中に存在する生理活性物質を有効利用する技術を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒノキ科に属する樹木に由来する木質粉を、その中に含まれる有効成分の有用な物性をそこなうことなく、熱可塑性樹脂に配合して、熱成形可能な成形材料とする技術を開発するために鋭意研究を重ねた結果、上記の木質粉を、ある種の弱塩基性物質の存在下で木質用接着成分とメカノケミカル反応させると、木質粉が含有している有機酸類が部分的に中和され、加熱時の有機酸類に起因する木質部分の加水分解や変性が抑制されること及び木質の主成分であるセルロース結晶が破壊されてアモルファス化して高分子鎖の中間で部分的に分子配列が乱れ、この際にヒノキチオールのような生理活性物質が乱れたセルロース分子鎖中に包接され、熱や光に対し、安定化することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とのメカノケミカル反応生成物及び熱可塑性樹脂の複合体からなる抗菌性木質系複合成形材料、及びヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とを、弱塩基性物質の中から選ばれた少なくとも1種の安定化剤の存在下でメカノケミカル反応させたのち、その生成物を熱可塑性樹脂と混合することを特徴とする抗菌性木質系複合成形材料の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の成形材料は、ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とのメカノケミカル反応生成物及び熱可塑性樹脂の複合体からなるが、原料のヒノキチオール含有木質粉としては、ヒノキ科に属する樹木、例えばヒノキやヒバの粉末が用いられる。そして、木質粉としては、端材や鋸屑やおが屑のような加工に際して発生する廃材や、枝おろし廃材を利用するのが好ましい。
【0012】
通常の加工直後に得られる鋸屑やおが屑は10質量%以上の水分を含んでおり、このためメカノケミカル反応中に加水分解や発泡を生じるので、使用に際しては、水分が1質量%以下になるように乾燥するのが好ましい。この乾燥は、例えば熱風乾燥、真空乾燥、減圧乾燥により、60〜120℃の温度で、できるだけ短時間で行う。また、木質粉の粒径が大きい場合には、後続のメカノケミカル反応や押出成形を容易にするために、粒径1mm以下、好ましくは0.5mm以下に細断するのが好ましい。この細断は、例えばウイレーミル、カッターミルが用いられる。
【0013】
このヒノキチオール含有木質粉と併用される木質用接着成分としては、木質を構成するセルロースが多数のヒドロキシル基を有することから、このヒドロキシル基に対し、反応性を有する官能基をもつものが好ましい。このような木質用接着成分としては、例えばマレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンのような熱可塑性樹脂が好ましい。
【0014】
このポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソプレンのような単独重合体や、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとブチレンとの共重合体、エチレンと他の炭素数5以上のα‐オレフィンとの共重合体、すなわち低密度線状ポリエチレンのような共重合体などが用いられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上の混合物として用いてもよい。さらに、これらのポリオレフィンの代りに、オレフィンのオリゴマーを用いることもできる。
【0015】
また、マレイン酸又は無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンにマレイン酸又は無水マレイン酸をグラフト共重合させたものが用いられる。ポリエチレンやポリプロピレンは、マレイン酸又は無水マレイン酸と容易にグラフト共重合して変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンを形成する。この変性ポリオレフィンは、カルボキシル基や酸無水物基を有するので、これらの部分は、木質粉中の水酸基をもつ成分と容易に反応して親和性を発現する。
【0016】
そのほか、木質用接着剤として慣用されている酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のような熱可塑性樹脂や、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、水性高分子−イソシアネートプレポリマーなどの熱硬化性樹脂も用いることができる。
【0017】
上記のヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とは、質量比で100:1ないし100:40、好ましくは100:5ないし100:20の範囲の割合で用いられる。この木質用接着成分の量がこれよりも少ないと成形材料の強度が不十分になるし、これよりも多いとメカノケミカル反応過程で温度が上昇し、溶融したときに塊を形成するおそれがある。
【0018】
本発明においては、ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とを所定の割合で混合し、安定化剤の存在下でメカノケミカル反応させることにより、先ずマスターバッチを調製する。
【0019】
この際、木質用接着成分として、ペレット状のものを用いる場合は、迅速に複合化させるために、あらかじめ粒径1mm以下に粉砕して用いるのが好ましい。特にメカノケミカル反応を行うのに使用される粉砕機の圧力、せん断力が小さい場合には、より微粉化するのが好ましい。
【0020】
この木質用接着成分が、熱可塑性の場合は、必要に応じその融点近くまで加温して行うこともできるし、また熱硬化性の場合は、硬化温度まで昇温しながら粉砕することが必要である。
【0021】
次に、本発明におけるメカノケミカル反応は、弱塩基性物質の存在下で行うことが必要である。この弱塩基性物質は、木質中に存在する有機酸などの酸性物質の作用を抑制し、安定化するために加えられるものである。そして、この弱塩基性物質としては、亜硫酸、炭酸、リン酸のような無機酸の水素アルカリ塩、例えば亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウムなどが好ましいが、酢酸、乳酸のような有機酸のアルカリ塩などを用いることもできる。
【0022】
この弱塩基性物質は、その種類により若干異なるが、通常ヒノキチオール含有木質粉100質量部当り1〜7質量部、好ましくは2〜5質量部の割合で用いられる。この量がこれよりも少ないと、木質中の酸性物質の中和が不十分になり、変性を完全に抑制することができないし、またこれよりも多くなると、形成される形成材料の物性の低下をもたらす。
【0023】
本発明におけるメカノケミカル反応は、乾式条件下、すなわち溶媒の不存在下に機械的エネルギーを加えながら、ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分と安定化剤とを粉砕処理することによって行われる。この機械的エネルギーは、通常、ボールミル、ロールミル、ジェットミル、アトリションミル又は高速ミキサーを用いて加えられる。この際、粉砕処理に伴って温度は150〜200℃まで上昇する。このメカノケミカル反応に要する時間は、温度条件、加えられる機械的エネルギー量に左右されるが、通常40〜100分間の範囲である。
【0024】
このメカノケミカル反応は、最初にヒノキチオール含有木質粉と安定化剤との間で行い、両者の複合体を形成させたのち、木質用接着成分を加えて反応を継続してこれを複合させてもよいし、最初からヒノキチオール含有木質粉に安定化剤と木質用接着成分とを同時に加えて反応させ、複合化してもよい。
また、このメカノケミカル反応は、反応生成物の酸化による変質を避けるために、非酸化雰囲気中、例えば窒素雰囲気中で行うのが有利である。
【0025】
この反応過程において、木質用接着成分は、ヒノキチオール含有木質粉、又はこれと安定化剤との複合体に分子レベルで接近するとともに、木質粉粒子の周囲を被覆し、複合化する。そして、これにより木質粉は、木質用接着成分の内部に閉じ込められ安定化する。
【0026】
本発明におけるメカノケミカル反応は、添加した木質用接着成分の形状が認められなくなり、木質粉が溶融し、微粒子化した木質用接着成分により均一に濡れ、湿った状態になった時点で終了する。この際、溶融液中に塊を形成することがあるが、このときは粉砕機を冷却したり切断刃の回転数又は圧力を低下させることにより、せん断力を調整し、塊を消失させる。
【0027】
本発明の成形材料は、このようにして得られたメカノケミカル反応生成物をマスターバッチとし、これを熱可塑性樹脂と混合することによって製造される。
この際の熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、これまで汎用されていた熱可塑性樹脂の中から、使用目的に応じ、任意に選ぶことができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ABS樹脂、AES樹脂、ポリ(メタ)アクリレート及びポリカーボネートなどがあるが、このほかケイ素樹脂、フッ素樹脂なども所望に応じ用いることができる。
【0028】
本発明の成形材料は、最終的なメカノケミカル反応生成物の含有量が全質量に基づき、1〜90%、好ましくは10〜50%になるようにメカノケミカル反応生成物と熱可塑性樹脂とを混合し、100〜250℃の温度で混練して各成分を均一に分散させる。この際、安定化剤の存在により、上記のような高い温度を用いても、有機酸に起因する木質成分の分解や加熱による木質成分の炭化を防止することができる。
このようにして得られた混練物は、次に所望に応じ混練押出成形機を用いてペレット化することができる。
【0029】
次に、本発明の製造方法を添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の製造方法の1例の工程図であって、原料のヒバ木粉を粒径0.5mm以下に粉砕し、水分量1質量%以下に乾燥する。
次いで、安定化剤を加えて、メカノケミカル反応させたのち、木質用接着成分を加えて、さらにメカノケミカル反応を行って、マスターバッチを調製する。
【0030】
次に、このマスターバッチに熱可塑性樹脂を配合して抗菌性木質系複合成形材料を製造後、所望に応じ、混練り押出成形してペレット化する。
上記の2回にわたるメカノケミカル反応は、場合により安定化剤と木質用接着成分とを同時に配合して1回のメカノケミカル反応とすることができる。
【0031】
このようにして得られる木質系複合成形材料には、所望に応じ、通常の熱可塑性樹脂成形材料に慣用されている添加剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛のような可塑剤、ゼオライトのような充填剤、ユーメックス(三洋化成工業社製)のような相溶化剤、樹脂改質剤、フィラー分散剤のほか、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などを配合することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の成形材料は、ヒノキチオール特有の木香を有し、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母菌、カビ類に対し、広い抗菌、防カビ性を示し、さらに、シロアリ、ダニ、ゴキブリなどに対する防虫性を示す上、長期間にわたってその効力を持続するので、抗菌用、防腐用、防虫用容器、包装材の製造用材料として好適である。
【0033】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが,本発明はこれらの例によりなんら限定されるものではない。
【0034】
なお、各例中の機械的性質は以下の方法により測定した。
(1)引張強さ;
JIS R1606に従い、ダンベル型試験片を作製し、JIS K6200に準じる方法に従って測定した。
(2)弾性率;
(1)と同じ試験片を用い、JIS K6900に準じる方法に従って測定した。
(3)破断伸び;
(1)と同じ試験片を用い、JIS G0202に準じる方法に従って測定した。
【0035】
実施例1
ヒバ木材の加工に際し発生する鋸屑を、カッターミルを用いて粒径500μm以下になるまで粉砕したのち、熱風乾燥機により100℃で30分間乾燥した。これによりヒバ木粉の水分含有量は1質量%以下になった。
このようにして得た乾燥ヒバ木粉100質量部に対し、炭酸水素ナトリウム2.5質量部及びリン酸二水素アンモニウム2.5質量部を加え、この混合物を高速ミキサー(2000rpm)を用いて、窒素を通じながら室温で30分間メカノケミカル反応を行わせた。
【0036】
次いで、ミキサー容器の周囲を150℃に加温し、粉末状無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンオリゴマー(三洋化成工業社製,商品名「ユーメックスCA60」5質量部を添加し、さらに同じ条件下で60分間メカノケミカル反応を継続した。この際の窒素ガス流量は、1分間当り、毎分高速ミキサーの内容物の体積の5分の1に相当する割合とした。
【0037】
このようにして得たマスターバッチにポリプロピレンを加えて、ヒバ木粉の含有量が50質量%の混合物を調製し、二軸混練り押出機及び水冷式ペレタイザーを用いて常法により170℃でペレット化した。
このペレットを150℃で60分間熱風乾燥したのち、正方形金型(150×150×1mm)に充填し、加熱プレス成形機を用いて、180℃において4分間プレス成形し、板状成形体を作製した。この板状成形体をダンベル状に打ち抜いて試験片を作製し、その機械的性質すなわち引張強さ、弾性率及び破断伸びを測定した。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1で用いたのと同じヒバ木粉100質量部に対し、炭酸水素ナトリウム2.5質量部、リン酸二水素アンモニウム2.5質量部及び実施例1で用いたのと同じ粉末状無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンオリゴマー5質量部を加えて混合したのち、メカノケミカル反応を行わずにマスターバッチを調製した。
次いで、このマスターバッチにポリプロピレンを加えて、ヒバ木粉含有量50質量%の混合物を調製し、実施例1と同様にして板状成形体を作製し、その機械的性質を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 2004058409
【0040】
この表から分るように、メカノケミカル反応を行わせることにより、引張強さは99%、弾性率は27%、破断伸びは13%向上する。
【0041】
実施例2〜6、比較例2
実施例1と同様にして、160℃又は190℃でメカノケミカル反応させることにより、表2に示す組成の木質系複合成形体を調製し、これを用いて実施例1と同様にして、板状成形体を作製した。
この板状成形体の機械的性質を測定し、表2示す。
【0042】
【表2】
Figure 2004058409
1)酸変性低分子ポリプロピレン系樹脂(三洋化成工業社製、分子量40000)
2)酸変性低分子ポリプロピレン系樹脂(三洋化成工業社製、分子量30000)
3)低密度ポリエチレン「L502」(三菱化学社製、メルトインデックス:1.0)
4)ポリプロピレン「MG05BS」(日本ポリケム社製、メルトインデックス:45)
5)セルロース「W400G」(日本製紙社製)
6)ゼオライト(和光純薬工業社製)
【0043】
この表から分るように、メカノケミカル反応生成物を用いることにより、機械的性質の良好な複合体が得られる。
【0044】
参考例1
実施例1で作製した板状成形体を50mm四方の正方形に裁断したのち、オートクレーブ処理により滅菌して試験片(以下Aという)3枚を準備した。
また、比較のためにポリピロピレンのみで板状成形体を作製し、同じく50mm四方の正方形に裁断したのち、オートクレーブ処理により滅菌して試験片(以下Bという)6枚を準備した。
【0045】
次に、大腸菌(Escherichia coli IFO3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)をそれぞれ、普通寒天培地に接種し、35℃で24時間前々培養したのち、これを普通ブイヨン培地に移し、35℃で20時間前培養した。
【0046】
このようにして培養した菌液0.5mlを、前記3枚の試験片A及び6枚の試験片Bにそれぞれ接種し、試験片Bの中の3枚については、直ちに接種菌液を洗い落として、この接種菌液中の菌数を測定した。
残りの試験片Aの3枚と試験片Bの3枚については、菌液接種後、35℃、相対湿度90%で24時間培養したのち、接種菌液を洗い落して、この中における菌数を測定した。
このようにして得た各試験片3枚についての平均菌数を求め、表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 2004058409
【0048】
この表から分るように、本発明の木質系複合材料は、大腸菌、黄色ブドウ球菌のいずれに対しても抗菌効果を示す。
【0049】
参考例2
実施例1におけるポリプロピレンの代りに、同量の低密度ポリエチレンを用いた場合について、参考例1と同様の試験を行った結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
Figure 2004058409
【0051】
この表から分るように、本発明の木質系複合材料は大腸菌、黄色ブドウ球菌のいずれに対しても抗菌効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の1例の工程図。

Claims (12)

  1. ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とのメカノケミカル反応生成物及び熱可塑性樹脂の複合体からなる抗菌性木質系複合成形材料。
  2. ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分の含有割合が質量比で100:1ないし100:40である請求項1記載の抗菌性木質系複合成形材料。
  3. ヒノキチオール含有木質粉がヒノキ科に属する樹木の粉末である請求項1又は2記載の抗菌性木質系複合成形材料。
  4. 木質用接着成分が、ヒドロキシル基に対し、反応性を有する官能基をもつ接着性樹脂である請求項1、2又は3記載の抗菌性木質系複合成形材料。
  5. ヒドロキシル基に対し、反応性を有する官能基をもつ接着性樹脂が無水マレイン酸変性ポリオレフィンである請求項4記載の抗菌性木質系複合成形材料。
  6. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ABS樹脂、AES樹脂、ポリ(メタ)アクリレート及びポリカーボネートの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれかに記載の抗菌性木質系複合成形材料。
  7. メカノケミカル反応生成物の含有量が、全質量に基づき1〜90%の範囲である請求項1ないし6のいずれかに記載の抗菌性木質系複合成形材料。
  8. ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分とを、弱塩基性物質の中から選ばれた少なくとも1種の安定化剤の存在下でメカノケミカル反応させたのち、その生成物を熱可塑性樹脂と混合することを特徴とする抗菌性木質系複合成形材料の製造方法。
  9. 非酸化雰囲気中でメカノケミカル反応を行う請求項8記載の抗菌性木質系複合成形材料の製造方法。
  10. ヒノキチオール含有木質粉と木質用接着成分の使用割合が、質量比で100:1ないし100:40である請求項8又は9記載の抗菌性木質系複合成形材料の製造方法。
  11. 安定化剤の使用割合がヒノキチオール含有木質粉100質量部当り、1〜7質量部である請求項8、9又は10記載の抗菌性木質系複合成形材料の製造方法。
  12. 安定化剤が亜硫酸塩、炭酸塩及びリン酸塩の中から選ばれた少なくとも1種の弱アルカリ性塩である請求項8ないし11のいずれかに記載の抗菌性木質系複合成形材料の製造方法。
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JP2008195600A (ja) * 2007-01-17 2008-08-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を層間担持した有機無機複合体とその製造方法
KR101386893B1 (ko) 2013-12-11 2014-04-18 마준식 피톤치드가 발산되는 가구용 에이비에스 엣지 마감재 제조방법
JP2020158606A (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 古河電気工業株式会社 木粉含有ポリオレフィン樹脂組成物
CN114670519A (zh) * 2022-04-19 2022-06-28 安徽科居新材料科技有限公司 抗菌pvc木塑多层复合材料及其制备方法

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