JP2004056271A - 画像処理装置およびその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリンタ組込用のディスティネーションプロファイルとして、トナーの使用量が400%のパッチ情報を300%に制限してカラーチャートを作成し、色変換テーブルを作成すれば、カラーマッチング精度の問題が残る。
【解決手段】複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づきカラーチャートを作成し(S2)、そのカラーパッチを測色し(S3)、測色結果の色度値と、画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する(S4)。
【選択図】 図8
【解決手段】複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づきカラーチャートを作成し(S2)、そのカラーパッチを測色し(S3)、測色結果の色度値と、画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する(S4)。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置およびその方法に関し、例えば、複数の色材を用いて画像を形成する画像処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、電子写真方式のプリンタやカラー複写機が出力する画像の画質は飛躍的に向上し、オフセット印刷の画質に匹敵するまでに達した。これは帯電、現像、転写、定着およびクリーニングなどの画像形成プロセスの向上、さらに、トナーの彩度方向の色再現範囲を広げた結果によるものである。
【0003】
一方、プリンタやカラー複写機をネットワークに接続して、マルチ機能プリンタ(MFP: Multi Function Printer)として利用する傾向が強まった。このため、ネットワークを介して、様々なデバイスからプリンタやカラー複写機へ画像が入力されるようになり、それら画像の色を合わせることは困難な状態になった。このような不都合を解決するために、様々なカラーマネージメント手法が提案されている。その一つに、デファクトスタンダードになりつつある、ICC (International Color Consortium)プロファイルを使うカラーマネージメントシステム(CMS)がある。
【0004】
今日、ユーザが独自にプリンタのICCプロファイルを作成して、コンピュータ機器(PC)で色変換を行った画像をプリンタに出力させる、あるいは、作成したICCプロファイルをプリンタまたはRIP (Raster Image Processor)にダウンロードして色を合わせを行わせることが可能になり、ユーザがプロファイルを作成するためのソフトウェアおよび測色器が市販されている。従って、ある程度の知識があるユーザであれば、目的の色にカラーマッチングさせ得る環境が整いつつある。
【0005】
また、本発明者が提案した、その装置内で完結するICCプロファイル作成機能を備える画像形成装置によれば、ユーザは、ICCプロファイルを作成せずに、容易にカラーマネージメント環境を整えることが可能になる。
【0006】
また、ICCプロファイルを作成したプリンタをターゲットに使用するか、ディスティネーションに使用するかは不明であるから、ICCプロファイルは、ターゲットおよびディスティネーション用の変換テーブル(CMYK→L*a*b*およびL*a*b*→CMYK変換テーブル)を備えることが望ましく、多くのプロファイル作成アプリケーションはそのような構成をとる。上記構成のICCプロファイルを作成するには、CMYK信号を網羅したパッチ、例えばISO 12642が規定する928パッチを出力し、各パッチを測色し、CMYK画像信号と色度値(測色値)との関係から、ソース側およびディスティネーション側の色変換テーブルを作成する。
【0007】
特開平5−127551号公報に記載されているように、ISO 12642のテストフォームのような、各色網点%の合計が350%を超えるようなパッチを良好に印刷できない機種も存在する。具体的には、感光体に供給されるトナーの量(以下「のり量」と呼ぶ)が多くなり、感光体や転写体周辺へのトナーの飛散、定着部の熱容量不足によるトナーの定着不良、記録紙が定着ローラへ巻き付く、などの不具合が発生する。これらの不具合は、単位面積当りののり量が所定量を超えたときに発生し易く、各濃度信号の最大濃度値を100%とすると、濃度信号の和(以下「信号和」と呼ぶ)が300%を超えると多くの機種で発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ディスティネーション側のICCプロファイルを考えると、各色網点%の合計が350%以上の画像を形成しても色変換性能が向上するわけでもなく、視覚的に判別することはできない。また、のり量が多いトナーパッチを形成すると、定着不良、トナーの飛散、転写効率の低下などが生じることが多く、そのようなトナーパッチに基づきICCプロファイルを作成しても精度がよいICCプロファイルは得られない。
【0009】
さらに、のり量が多い画像を出力することはトナー消費量の観点からも好ましくないので、プロファイ作成アプリケーションの作成フローは、のり量が300%以下になるように最大色数を設定している。ソースおよびディスティネーションを両立させるため、さらに、ユーザによるのり量の設定には、のり量を300%以下に抑える方法が望ましい。しかし、プリンタに組み込むディスティネーションプロファイルでは、のり量400%のパッチ情報を300%に制限して色変換テーブルを作成することになり、補間するにしても精度の問題が残る。
【0010】
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、 出力プロファイルのカラーマッチング精度を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0012】
本発明にかかる画像処理装置は、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、前記カラー画像を測色する測色手段と、測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する作成手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、前記カラー画像の測色結果を入力する入力手段と、前記測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する作成手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、外部機器に前記画像データを供給して、前記画像データと、前記カラー画像の測色結果の色度値との関係に基づく色変換情報を前記外部機器から受信する通信手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる画像処理方法は、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、前記カラー画像を測色し、測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成することを特徴とする。
【0016】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、前記カラー画像の測色結果を入力し、前記測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成することを特徴とする。
【0017】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、外部機器に前記画像データを供給して、前記画像データと、前記カラー画像の測色結果の色度値との関係に基づく色変換情報を前記外部機器から受信することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる一実施形態の画像処理装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
なお、下記の構成要素の相対的な配置および表示画面などは、とくに限定的に記載しない限り、本発明の範囲を、それらに限定する趣旨のものではない。
【0020】
【第1実施形態】
以下、本発明にかかる画像処理装置の実施形態として、カラー複写機を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
実施形態のカラー複写機は、トナーが定着された記録紙が排出される排紙トレイの手前にカラーセンサを内蔵し、記録紙上に形成された画像を測色し、測定した色度値に基づき色変換プロファイルを作成する機能を有する。そして、作成した色変換プロファイルを用いて、カラー複写機内の色変換処理を行う。
【0022】
なお、優れた色再現性を実現するプロファイルとして近年市場で受け入れられているICC (International Color Consortium)プロファイルを用いる例を説明する。ICCプロファイル以外の色変換テーブルには、Adobe社が提唱するPostScript(R)のレベル2から採用されているCRD (Color Rendering Dictionary)やPhotoshop(R)内の色分解テーブル、墨版情報を維持するEFI社のColorWise内のCMYKシミュレーションなどがあり、これらを応用することも可能である。
【0023】
[構成]
図1はカラー複写機の概略構成を示す図である。
【0024】
カラー複写機は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)およびブラック(K)の各色画像を形成する四つの画像形成ステーションを備える。各画像形成ステーションの構成は略同一であるから、以下、マゼンタ用の画像形成ステーションの構成を説明して、他色の画像形成ステーションの説明は省略する。
【0025】
画像形成ステーションは、像但持体である電子写真感光体(以下「感光ドラム」と呼ぶ)1aの周囲に、帯電器、クリーナ4aおよび現像器2aなどを備える。感光ドラム1aは回転自在に支持され、各感光ドラム1aの下方、現像装置2aとクリーナ4aとの間には転写部が配置されている。転写部は、各画像形成ステーションに共通の転写ベルト31、および、転写用帯電器3aから構成される。
【0026】
複数の給紙カセット61または引き出し可能な手差給紙トレイ61aなどから供給される記録紙は、転写ベルト31によって各画像形成ステーション下を搬送され、各感光ドラム上に形成された各色のトナー像が順次転写され、トナー像を重畳した画像が形成される。トナー像が重畳された記録紙Pは、転写ベルト31から分離され、搬送ベルト62によって定着部5に搬送される。
【0027】
定着部5は、回転自在に支持された定着ローラ51、定着ローラ51に圧接しながら回転する加圧ローラ52、潤滑剤塗布器53およびローラクリーナ54、55などを備える。定着ローラ51および加圧ローラ52の内側にはそれぞれハロゲンランプなどのヒータ56、57が、定着ローラ51および加圧ローラ52の表面近傍にはサーミスタなどの温度センサ58、59が配置されている。従って、温度センサによって検出される定着ローラ51および加圧ローラ52の温度は温度調節器60へ供給され、温度調節器60がヒータ56、57へ加える電力を制御することで、定着ローラ51および加圧ローラ52の表面温度が調節される。
【0028】
潤滑剤塗布器53は、記録紙が定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過する際に、トナーが定着ローラ51の表面に付着しないように、定着ローラ51の表面にシリコンオイルを潤滑剤として塗布する。また、潤滑剤塗布器53には、塗布するシリコンオイルの量を制御するための塗布量制御部63が接続されている。
【0029】
定着ローラ51および加圧ローラ52を駆動する図示しない駆動モータには、記録紙の搬送速度、すなわち定着ローラ51および加圧ローラ52の回転速度を制御する速度制御部64が接続されている。
【0030】
定着部5のこれらの構成により、記録紙の表面に重畳された各色のトナーは溶融され、記録紙に定着されて、記録紙上にフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が定着された記録紙は、分離爪68によって加圧ローラ52から分離され、装置外へ排出される。
【0031】
[測色]
加圧ローラ52から分離された記録紙上の画像は、必要に応じて、排紙トレイの直前に設置されたカラーセンサ71によって測色される。
【0032】
図2はカラーセンサ71周辺の構成例を示す図である。
【0033】
カラーセンサ71の主走査方向の解像度は100dpiと比較的低い。その理由は、測色対象が数mm単位のカラーパッチであり、カラー複写機のスキャナのようにスキャニングした画像を再生するわけではないからである。従って、100dpi程度の低解像度でも充分にカラーパッチを測色可能で、600dpiのセンサなどに比べて生産性がよく、コストを抑えることもできる。
【0034】
カラーセンサ71は、記録紙に赤緑青の光を照射するRGB三色のLED群72と、記録紙からの反射光を結像するための円柱状のレンズアレイ73、受光センサ部(CCD)74、および、回路基板75から構成されている。なお、カラーセンサ71と記録紙との間の光路長を一定にするため記録面ガラス76を設置して、記録面ガラス76の下を記録紙が通過するようにしてある。
【0035】
[カラーマッチング精度の検証]
のり量400%の画像信号を含むISO 12642のテストフォームのCMYKカラーチャートと、最大のり量300%の画像信号としたカラーチャート(以下「300%カラーチャート」と呼ぶ)を用意して、カラーマッチング精度を検証した。
【0036】
ISO 12642のテストフォームに関して詳細な説明は省略するが、300%カラーチャートは、図3に示す格子点のカラーパッチを含む。なお、図3には色立体の下部(黒側)の格子点だけを示すが、省略した上部(白側)にも下部と同じ構成で格子点が存在する。図3に示すように、最低明度点(4K)ののり量を300%最大に設定して、最低明度点から白点へ13階調分の格子点を用意する。
【0037】
図3に示す各格子点は、以下の関係をもち、信号上ではリニアな格子点になる。そしてCMYが等量の七階調、並びに、黒(K)単色の七階調で、合計880パッチの構成になる。
【0038】
例えば一次色のマゼンタ(M)から最低明度点(4K)へ向かう格子点は下記のようになる。
【0039】
また、二次色の青(B)から最低明度点(4K)へ向かう格子点は下記のようになる。
【0040】
なお、単色の階調数は256階調(0〜255)であり、信号値ではC=170、M=170、Y=170およびK=255(合計値765)でのり量300%になる。なお、単色の階調特性は、画像信号に対しのり量がリニアなるような特性を採用するため、画像信号値はのり量の換算値といえる。
【0041】
ISO 12642テストフォームおよび300%カラーチャートをそれぞれ出力し、カラーセンサ71で測色して、実施形態のカラー複写機に搭載されたICCプロファイル作成ツールを用いてICCプロファイルを作成した。このときの最大色数は、カラー複写機ののり量の制限値300%に基づく。この二つのICCプロファイルをディスティネーションとし、ターゲット(ソース)をDDCP (Direct Digital Color Proofer)、CMM (Color Matching Module)をApple社のColorSync 2.0、色変換手法をAbsolute Colorimetric(相対的色域の保持)として、カラーマッチング精度を検証した。
【0042】
つまり、ISO 12642テストフォームをDDCPで出力し、その測色結果の色度(L1a1b1)値をターゲットとして、ISO 12642テストフォームのCMYK信号をターゲットICCプロファイルを使って色度(L2a2b2)値に変換する。そして、このL2a2b2値を、上記の二つのディスティネーションプロファイルを用いてCMYK値に変換して、カラー複写機に供給し、出力されるテストフォームの測色結果の色度(L3a3b3)値を得る。
【0043】
二つのディスティネーションプロファイルに対応する色度値をそれぞれ、L3a3b3(400%)およびL3a3b3(300%)として、下式により、ターゲットのL1a1b1値との色差ΔEを算出する。
ΔE = √{(L1 − L3)2 + (a1 − a3)2 + (b1 − b3)2}
【0044】
得られた色差ΔEに基づき、平均色差および色再現指数を求めたところ、図4に示すように、300%カラーチャートを用いてプロファイルを作成した方がカラーマッチング精度が高いことがわかった。
【0045】
図4の横軸は色差ΔE、縦軸は累積発生頻度で928パッチすべてで色差が発生した場合は100%になる。また、図4の凡例中に示す平均色差は928パッチの平均色差、色再現指数は色差ΔE≦10で発生する累積色差の関係を表す。例えば、すべてのパッチで色差ΔE = 0であれば色再現指数100%になるが、すべてのパッチで色差ΔE > 10の場合は色再現指数0%となる。図4では、カーブで区切られた下側の面積が、色差ΔE = 0の場合に比べて、どの程度の精度が得られるかを表す指標になる。なお、色再現指数から、平均色差ではわからない色差の発生度合い(分布)を判断することができる。
【0046】
300%カラーチャートの方がカラーマッチング精度が向上する理由は、のり量400%のISO 12642テストフォームの画像信号によってカラーパッチを形成する際、制限によってのり量が300%に抑えられるためで、(測色結果の色度情報がない)のり量300%のカラーパッチを形成し、補間演算によってのり量400%相当の色度値を予測してプロファイルを作成するためである。これに対して、300%カラーチャートの場合は、補間演算に依存する部分を最小限に抑えているので、ほとんどの測色結果の色度情報をそのままプロファイルの格子点情報に用いることができる。
【0047】
以上の検証結果は、ディスティネーションプロファイルのみを作成するのであれば、カラー複写機が保証するのり量に対応するカラーチャートを形成し、プロファイルを作成した方がカラーマッチング精度が向上することを示唆する。
【0048】
[プロファイルの作成]
次に、上記の構成を有するカラー複写機におけるプロファイルの作成について説明する。
【0049】
サービスマンによる部品交換時、カラーマッチング精度が要求されるジョブの前、あるいは、デザインの構想段階などで最終出力物の色味を知りたい場合など、サービスマンやユーザは操作部を操作して、カラー複写機を多次色キャリブレーション(以下「多次色CAL」と呼ぶ)モードに設定すると、プロファイルの作成が実行される。
【0050】
図5はプロファイルの作成を実行する画像処理部101の構成例を示すブロック図である。
【0051】
多次色CALモードへの移行指示は、操作部91からプロファイル作成部122に入力される。プロファイル作成部122は、300%カラーチャートを色変換せずに出力するよう指示するとともに、300%カラーチャートのCMYK情報をプリンタ部201に送る。また、カラーセンサ制御部123に測色を指示する。
【0052】
電子写真プロセスを経て出力される300%カラーチャートは、カラーセンサ71によって測色され、測色された880パッチのRGBデータは画像処理部101に入力される。RGBデータは、色変換部121により、カラーセンサ71の入力プロファイルに基づきLabデータに変換されて、プロファイル作成部122に入力される。つまり、カラーセンサ71の入力プロファイルを用いて、入力デバイス(カラーセンサ71)に依存するRGBデータを、デバイスに依存しないCIE(国際照明委員会) Labデータに変換する。なお、デバイスに依存しない色空間としてCIE 1931 XYZ表色系を用いてもよい。
【0053】
プロファイル作成部122は、出力したCMYK情報と、入力されるLabデータとの関係により、出力プロファイルを作成し、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイル(ICCプロファイル)を更新する。
【0054】
なお、300%カラーチャートは、のり量の制限を加味した、カラー複写機が出力可能な色再現域を網羅する色パッチに対応するCMYK情報を含み、各CMYK情報(色信号値)と、測色されたLab値との関係から色変換テーブルを作成する。つまり、入力される色信号(Labデータ)に基づき、どのようなCMYK情報を出力すればよいかを示す色変換テーブルを作成する。
【0055】
[ICCプロファイルの構造]
図6はICCプロファイルの構造を示す図で、ヘッダ39およびタグテーブル40の二つの基本要素を含む。ヘッダ39は、ICCプロファイルに従い入力画像データを処理するために、ColorSync(Apple社の色変換エンジン)などのCMM (Color Management Module)によって使用される情報を含む。
【0056】
ICCプロファイルには、通常の色変換時に使用されるリカードパブリックタグ(required public tag)、付加変換を行うために使用することができるオプショナルパブリックタグ(optional public tag)、および、個々の開発者がそのICCプロファイルに専用の値を追加するためにカスタマイズ可能なプライベートタグを含んでよい。ハードコピー用の出力色変換を行うには、プロファイル記述タグ、デバイスメーカタグ、デバイスモデル名タグ、AtoBxタグ、BtoAxタグ、ガマット(gamut)タグ、XYZメディア白色点タグ(XYZ medium white point tag)、測定タグ、並びに、著作権タグなどが必要である。AtoBxタグは、ICC lut8Type、または、ICC lut16Type構造の何れかを有する。ICC lut8Type、または、ICC lut16Type構造の汎用モデルは次のとおりである。
マトリクス → 一次元LUT → 多次元LUT → 一次元LUT
【0057】
タグがlut8Type構造の場合、入力および出力LUT、並びに、カラーLUTは8ビット符号なし値のアレイである。各入力テーブルは、1バイト整数から構成される。また、入力テーブルのエントリは、それぞれ0から255の範囲に適切に標準化されている。
【0058】
出力デバイス用のICCプロファイルに含まれるAtoBxタグは、CMYK色空間から他の色空間へ変換するための色変換テーブルを含み、所謂ソース(ターゲットともいう)プロファイルとして使用される。
【0059】
一方、出力デバイス用のBtoAxタグは色変換が逆になり、Lab色空間からCMYK色空間に変換するための情報を含み、主に、ディスティネーションプロファイルとして使用される際に参照される。
【0060】
AtoB0およびBtoA0のタグは、知覚的(Perceptual)な色変換を行うためのタグで、主に、階調(グラデーション)再現を重視する写真画像に適した色変換を行う、明度保存を前提にしたカラーマッチング用である。
【0061】
AtoB1およびBtoA1のタグは、色差を最小とする色変換を行うためのタグで、出力デバイスの色再現域がターゲットのそれよりもすべての領域で広い場合、並びに、高彩度領域に画像が存在しないときなどに有効である。また、社章などのロゴマークの色再現には、色の規定が厳しいことから、このカラーマッチングが採用される。
【0062】
AtoB2およびBtoA2のタグは、彩度を保存する色変換を行うためのタグで、階調再現には向かないが、主に、ビジネスグラフィック画像のカラーマッチングに使用される。
【0063】
AtoB0タグと同じフォーマットを有するガマットタグには、入力チャネル(L*a*b*)に対して、その出力デバイスが色を再現可能か否かが記述されている。
【0064】
図7はICCプロファイルの詳細例を示す図で、ヘッダ39およびタグテーブル40に下記の項目が記述される。
Size:プロファイルのサイズを定義する。
CMM Type:複数のCMMを組み込んだコンピュータが、どのCMMをデフォルトとして使用するかを記述する。例えば「Appl」または「ACMS」は上述したColorSyncを、「KCMS」はKodakCMS(Kodak社の色変換エンジン)を意味する。
Version: プロファイルのバージョンを示す。
Profile Clas: プロファイルの種類を定義する。パラメータは下記の何れか一つであればよい。
output … プリンタなどの出力デバイス
input … スキャナやディジタルカメラなどの入力デバイス
display … CRTや液晶などの表示デバイス
device link … 複数のプロファイルの組み合わせ構造
color space conversion … 非デバイス型プロファイル間、例えばLab/XYZなどの色空間変換
abstract … PCS(Profile Connection Space)間でカラーデータを変換するための固有の方法
Color Space:プロファイルに基づきカラー画像データを変換する際のカラーフォーマットを定義し、RGB、XYZ、GRAY(グレイスケール)、CMY、Luv、HSV、CMYK、YCbr、HLS、LabおよびYxyの何れか一つであればよい。
Connection Space:プロファイル結合空間を定義し、LabまたはXYZの何れかであればよい。
Creation Date:プロファイルの作成日時を定義する。
CS2 Signature:プロファイルのファイルシグネチャを定義し、プロファイルを使用するデバイスのオペレーティングシステム(OS)がアイコンを作成するために使用する。
Prim platform:プロファイルが作成されたプラットフォームまたはOSを定義する。そのパラメータは下記の何れかであればよい。
Appl … AppleのOS
MSFT … MicrosoftのOS
SGI … Silicon Graphics
SUNW … Sun
TGNT … Taligent
Flags:CMMのためのヒント情報が含まれる。「embedded/not embedded」を示せば、画像ファイルなどに埋め込まれたプロファイル/独立したファイルを表し、「embedded only/use anywhere」を示せば、埋め込まれた状態でのみ使用可能/切り離しても使用可能を表す。
deviceManufacturer:プロファイルの作成者を記述する。
deviceModel:プロファイルが使用されるべきデバイスのモデル番号または名称を定義する。なお、deviceModelのパラメータは、ICC、AppleのColorSyncおよびMicrosoftのICMの規定に準拠する必要がある。とくに、モデル番号または名称は「A」から「Z」までの文字(大文字のみ)および「0」から「9」の文字を使用する4バイトのASCII文字列でなければならない。
deviceAttributes:プロファイル作成時の透過性や表面の光沢性を記述する。「Reflective/Transparency」(反射色/透過色)、「Glossy/Matte」(光沢あり/艶消し)などが記述される。
Intent:プロファイルの設計趣旨(intent)、つまり知覚的(perceptual)、色差最小(relative colorimetricまたはabsolute colorimetric)、彩度重視(saturation)を定義する。
White XYZ:PCSのXYZ色度値を定義し、白色XYZを正規化した値が記述
される。
【0065】
このようにヘッダ39は、ヘッダに格納可能なすべての情報を隈なく含むリストではなく、単に、ヘッダに格納可能な情報の一例を示しているのに過ぎない。このようなICCプロファイルを作成するためには、ISO 12642のテストフォームなど、CMYK信号を網羅した画像をプリンタに出力させる必要がある。
【0066】
なお、実施形態のカラー複写機に色変換情報を組み込む場合、とくにICCに準拠したファイル形式でなくても構わない。測色条件、作成者、作成日時および白色点情報などは不要または既知の情報で、カラー複写機内部における色変換には必要ない。より詳細には、カラー複写機内部の色変換に必要なタグはBtoA0、BtoA1およびBtoA2タグだけである。一方、コンピュータ機器(PC)など、外部装置からプロファイルの作成やダウンロードを要請された場合は、上記のヘッダ39およびタグテーブル40を加えたICC準拠のプロファイルとして送信する。このような構成にすれば、カラー複写機内部の色変換用のプロファイルを更新する処理の簡略化、処理時間の短縮が期待される。
【0067】
[多次色CAL]
図8は多次色CALを説明するフローチャートで、多次色CALモードに移行したカラー複写機が実行する処理である。
【0068】
多次色CALモードに移行したカラー複写機は、表面電位センサによって検出される感光ドラムの感光面の帯電状態と、フォトセンサによって検出される感光ドラムに形成されたトナーパッチ像の濃度とに基づきコントラスト電位を決定し、最大濃度を決定(保証)するDmax制御を行う。その後、感光ドラムにハーフトーンのトナーパッチを形成して、単色の階調を補正するハーフトーン補正を行い、階調補正用のガンマ補正テーブルを更新する(S1)。
【0069】
次に、図示しないROMなどに保持されている、のり量の制限に応じた300%カラーチャートを、ガンマ補正テーブルを用いて階調補正し、電子写真プロセスによって記録紙上に形成する(S2)。そして、カラーセンサ71によって300%カラーチャートの各カラーパッチを読み取り、色変換部121によって各カラーパッチの色度情報を得る(S3)。
【0070】
次に、300%カラーチャートのCMYK信号と、測色結果の色度情報(Lab値)との関係から出力プロファイル用の色変換テーブルを作成し(S4)、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルを更新する(S5)。
【0071】
もし、多次色CALが外部のコンピュータ機器などから要求され、ICCプロファイルのアップロードが要求された場合は、ステップS6の判断に基づき、ステップS4で作成した色変換テーブルにヘッダ39およびタグテーブル40を追加してICCプロファイル化し(S7)、そのICCプロファイルをアップロードする(S8)。
【0072】
[色変換処理]
次に、カラー画像を出力する際の色変換処理を図5を参照して説明する。なお、図5は、本実施形態に関わる構成を説明するための図で、全ての構成を網羅しているわけではない。
【0073】
画像処理部101は、インタフェイス(I/F)92を介して、スキャナからRGBデータが入力される場合、RGBデータを入力色変換部111へ送る。入力色変換部111は、保持するスキャナのプロファイル(入力プロファイル)に基づきRGBデータをLabデータに変換し、CMM 112に入力する。画像処理部101は、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルに記述された色変換手法からPerceptualと呼ばれる明度保存型の色変換手法を選択して、CMM 112にLabデータをCMYKデータに変換させる。sRGBなどのRGB色空間と、カラー複写機のCMYKやJapanColor(印刷標準)などのCMYK色空間とは色再現範囲(color gamut)が著しく異なるため、通常、視覚特性を考慮して、階調性が保持され、写真画像に適する明度保存型の色変換を行う。
【0074】
一方、外部のコンピュータ機器などからLabデータが入力される場合は、忠実な色再現が望まれる場合が多い。この場合、画像処理部101は、入力されるLabデータをCMM 112へ送り、Colorimetricと呼ばれる色度保存型の色変換手法を選択して、CMM 112にLabデータをCMYKデータに変換させる。
【0075】
また、外部のコンピュータ機器などからCMYKデータが入力される場合は、ユーザが任意の色変換を行った可能性が高い。そこで、画像処理部101は、新たな色変換を施さずに、入力されるCMYKデータをプリンタ部201へ送る。
【0076】
勿論、色変換手法は、操作部91や外部のコンピュータ機器などの指示に基づき変更することが可能である。また、外部のスキャナからネットワークを介してRGBデータが入力される場合は、そのスキャナから入力プロファイルをダウンロードして入力色変換部111に設定することが好ましい。
【0077】
このように、カラーチャートを出力し、そのカラーパッチを測色して出力プロファイルを作成する機能をもつカラー複写機により、プロファイル作成用の機材(ソフトウェアおよび測色器)がなくても、容易に出力プロファイルを作成することができる。加えて、カラーチャートは、カラー複写機ののり量の制限に適合した状態で出力されるので、そのカラーパッチの測色結果(色度値)から作成される出力プロファイルのカラーマッチング精度を向上することができる。
【0078】
なお、多次色CALは、ユーザなどの指示に応じて行えばよいが、所定のタイミングで自動実行するようにしてもよい。つまり、カラー複写機の色再現性が不安定になる状況(温度・湿度の変化など)を検知して、そのタイミングで多次色CALを実行すればよい。色再現性が低下する要因として、各色のトナー像を形成する四つのステーションのうち、一部のステーションのユニットを交換するメンテナンス、長期間電源がオフされた後の電源オン時、現像剤が耐久劣化したときなども考えられる。そこで、例えば「電源オン時」「電源オンから100枚出力した後」「装置の前扉が開閉された時」「トータル枚数が40000枚を経過した後は1000枚ごと」などの実行タイミングが考えられるが、この四つのタイミングに限定されるわけではない。
【0079】
【第2実施形態】
以下、本発明にかかる第2実施形態の画像処理装置を説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0080】
第2実施形態は、市販の色度計を使って、カラー複写機のコスト削減およびカラーマッチング精度のより高精度化を達成しようとするものである。つまり、第2実施形態は、カラー複写機から第1実施形態で説明した測色機能を削除し、市販の測色器から色度情報を入力してプロファイルを作成する。
【0081】
図9は第2実施形態の画像処理部101の構成例を示すブロック図である。
【0082】
カラーパッチの色度情報は、外部の測色器(色度計)94から例えばRS232Cのような汎用インタフェイスを介して色度入力部124に入力される。プロファイル作成部122は、色度入力部124に入力された色度情報に基づき、出力プロファイルまたはダウンロード用のICCプロファイルを作成する。
【0083】
市販の測色器を用いる背景として、高いカラーマッチング精度を要求するユーザは、ICCプロファイルなどを独自に作成し、ICCプロファイルをプリンタのコントローラやコンピュータ機器に組み込んで色変換した画像をカラー複写機に形成させる。このようなユーザは、高精度の測色器を所有していて、カラー複写機が測色機能を有する必要はなく、測色機能を削除したより低コストの製品を提供する方が望ましい。さらに、測色器にも個体差があるため、ターゲットの色を測色した機器の測色値を用いてプロファイルを作成する方が、カラーマッチング精度が向上する。
【0084】
また、市販の測色器は分光反射率からLabデータを算出するので、図5の色変換部121によってRGBデータからダイレクトマッピングによって得られるLabデータよりも精度が高い。なお、分光反射率データからL*a*b*データを算出する方法は、CIEで規定されていて、以下のとおりである。
(1) 試料の分光反射率R(λ)を求める(380〜780nm)。
(2) 等色関数x(λ)、y(λ)およびz(λ)、並びに、標準光分光分布SD50(λ)を用意する。
(3) 各波長の計算を行い、それらを積算する。
ΣX(λ) = Σ{R(λ)×SD50(λ)×x(λ)}
ΣY(λ) = Σ{R(λ)×SD50(λ)×y(λ)}
ΣZ(λ) = Σ{R(λ)×SD50(λ)×z(λ)}
積算範囲は380〜780nm
(4) 各波長の等色関数y(λ)と標準光分光分布SD50(λ)との積を積算する。
Σ{SD50(λ)×y(λ)}
積算範囲は380〜780nm
(5) XYZ値を算出する。
X = 100・Σ{SD50(λ)×y(λ)}/ΣX(λ)
Y = 100・Σ{SD50(λ)×y(λ)}/ΣY(λ)
Z = 100・Σ{SD50(λ)×y(λ)}/ΣZ(λ)
(6) L*a*b*データに変換する。
L* = 116・(Y/Yn)1/3 − 16
a* = 500・{(X/Xn)1/3 − (Y/Yn)1/3}
b* = 200・{(Y/Yn)1/3 − (Z/Zn)1/3}
ここで、Xn、YnおよびZnは標準光三刺激値
Y/Yn > 0.008856の場合は
(X/Xn)1/3 = 7.78(X/Xn)1/3 + 16/116
(Y/Yn)1/3 = 7.78(Y/Yn)1/3 + 16/116
(Z/Zn)1/3 = 7.78(Z/Zn)1/3 + 16/116
【0085】
図10は第2実施形態の多次色CALを説明するフローチャートで、多次色CALモードに移行したカラー複写機が実行する処理である。
【0086】
第1実施形態と同様に、ステップS2で300%カラーチャートを出力した後、色度計94から色度入力部124へ各カラーパッチの色度情報(Lab値)が入力されるのを待つ(S11)。そして、色度情報が入力されると、第1実施形態と同様に、ステップS4からS8の処理を行う。
【0087】
なお、測色器は、各カラーパッチの色度情報を出力できるものであれば、自動走査型でも、ハンディタイプ、X−Yテーブル式自動測色器でもかまわない。
【0088】
【第3実施形態】
以下、本発明にかかる第3実施形態の画像処理装置を説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0089】
第3実施形態は、市販の測色器を使ってコストの削減および高精度化を達成しようとする第2実施形態を継承して、さらに、プロファイルの作成を外部のコンピュータ機器などに任せるものである。
【0090】
図11は第3実施形態の画像処理部101の構成例を示すブロック図である。
【0091】
プロファイル制御部125は、第1、第2実施形態のプロファイル作成部122が担当した、のり量の制限に基づく300%カラーチャートの出力、並びに、外部のコンピュータ機器からI/F 93を介してICCプロファイルを受信して、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルを更新する機能などを担当する。また、300%カラーチャートのCMYKデータをI/F 93を介して外部の機器に送信する機能も備える。
【0092】
外部のコンピュータ機器などを利用してプロファイルを作成する背景は、第1、第2実施形態のカラー複写機は、多次色CALを実行中、300%カラーチャートの出力、測色およびプロファイルの作成演算などにある程度の時間(例えば数分間)がかかり、この間、他のクライアントの画像出力に応じることができない。そこで、測色およびプロファイルの作成演算を外部のコンピュータ機器に任せて、カラー複写機が多次色CALに専有される時間を短縮することができる。
【0093】
図12は第3実施形態の多次色CALを説明するフローチャートで、多次色CALモードに移行したカラー複写機が実行する処理である。
【0094】
第1実施形態と同様に、ステップS2で300%カラーチャートを出力した後、外部のコンピュータ機器からICCプロファイルがダウンロードされるのを待つ(S21)。そして、ICCプロファイルがダウンロードされると、ステップS5で出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルを更新する。なお、ICCプロファイルのダウンロードを待つ間、カラー複写機は通常のスキャン、プリントおよび複写動作を実行することができ、もし、ダウンロードが終了する前にそれら動作を開始した場合、それらの動作が終了した後、出力プロファイルの更新を行う。
【0095】
一方、プロファイル作成用のアプリケーションがインストールされた外部のコンピュータ機器は、色度計から各カラーパッチの色度情報(Lab値)が入力されると(S22)、カラー複写機から300%カラーチャートのCMYKデータを取得し(S23)、ディスティネーション側の色変換情報が記述されたICCプロファイルを作成する(S24)。このようにして作成されたICCプロファイルは、コンピュータ機器などにおいてカラーシミュレーションに利用可能であり、カラー複写機の色変換プロファイルとしての利用も可能である。そこで、コンピュータ機器は、作成したICCプロファイルをカラー複写機にダウンロードする(S25)。
【0096】
なお、300%カラーチャートは、アプリケーションのインストール内容に含めてもよい。その場合、カラー複写機はプロファイルのアップロードのみに対応する。
【0097】
【変形例】
第1実施形態ではカラーパッチを測色するカラーセンサを用いてプロファイルを自動的に作成する例を、第2実施形態は外部の測色器を利用してより精度の高いプロファイルを作成する例を、第3実施形態では外部のコンピュータ機器などを利用してプロファイルを作成する例を説明した。さらに、例えば、第1実施形態のカラーパッチセンサを改良して分光反射率から色度情報を得るようにしてもよいし、第1実施形態においてプロファイルを作成する機能だけを外部のコンピュータ機器に移して、色度情報をカラー複写機からコンピュータ装置へ送信して、プロファイルを作成させてもよい。
【0098】
さらに、上記の各実施形態で説明したプロファイルは、ディスティネーション側(BtoAx)タグのみに300%カラーチャートの測色結果を反映させるものであるが、AtoBxタグには予めカラー複写機のメーカなどから供給されるプロファイルのデータを記載し、測色結果に基づく色変換テーブルはリカードパブリックダグとしてもよい。このような構成にした背景は、AtoBxタグにはCMYK→Lab情報があり、補間も含めて400%の全てのCMYK信号に対応しなければならない。上記実施形態の300%カラーチャートでは不足する組み合せがあり、AtoBxタグを作成できないためである。
【0099】
また、上記では、のり量と画像信号との関係がリニアである場合を想定して説明したが、プリンタののり量と画像信号との関係がリニアではない場合にも対応可能である。例えば、画像信号に対するのり量の換算テーブルを各色成分ごとに用意し、あるトナーののり量に対し、画像信号がどのようなるかを示すテーブルを介すことで、のり量と画像信号との関係をリニアにして最大のり量の計算を行えばよい。例えば、画像信号に対するのり量の換算テーブルを単色ごとに用意し、最大許容のり量が1.5mg/cm2のとき、画像信号は320%(のり量リニア時は300%)となるといった関係を導くことができる。
【0100】
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0101】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0103】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、出力プロファイルのカラーマッチング精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー複写機の概略構成を示す図、
【図2】カラーセンサ周辺の構成例を示す図、
【図3】格子点とカラーパッチとの関係を説明する図、
【図4】カラーマッチング精度の検証結果を示す図、
【図5】プロファイルの作成を実行する画像処理部の構成例を示すブロック図、
【図6】ICCプロファイルの構造を示す図、
【図7】ICCプロファイルの詳細例を示す図、
【図8】多次色CALを説明するフローチャート、
【図9】第2実施形態の画像処理部の構成例を示すブロック図、
【図10】多次色CALを説明するフローチャート、
【図11】第3実施形態の画像処理部の構成例を示すブロック図、
【図12】多次色CALを説明するフローチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置およびその方法に関し、例えば、複数の色材を用いて画像を形成する画像処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、電子写真方式のプリンタやカラー複写機が出力する画像の画質は飛躍的に向上し、オフセット印刷の画質に匹敵するまでに達した。これは帯電、現像、転写、定着およびクリーニングなどの画像形成プロセスの向上、さらに、トナーの彩度方向の色再現範囲を広げた結果によるものである。
【0003】
一方、プリンタやカラー複写機をネットワークに接続して、マルチ機能プリンタ(MFP: Multi Function Printer)として利用する傾向が強まった。このため、ネットワークを介して、様々なデバイスからプリンタやカラー複写機へ画像が入力されるようになり、それら画像の色を合わせることは困難な状態になった。このような不都合を解決するために、様々なカラーマネージメント手法が提案されている。その一つに、デファクトスタンダードになりつつある、ICC (International Color Consortium)プロファイルを使うカラーマネージメントシステム(CMS)がある。
【0004】
今日、ユーザが独自にプリンタのICCプロファイルを作成して、コンピュータ機器(PC)で色変換を行った画像をプリンタに出力させる、あるいは、作成したICCプロファイルをプリンタまたはRIP (Raster Image Processor)にダウンロードして色を合わせを行わせることが可能になり、ユーザがプロファイルを作成するためのソフトウェアおよび測色器が市販されている。従って、ある程度の知識があるユーザであれば、目的の色にカラーマッチングさせ得る環境が整いつつある。
【0005】
また、本発明者が提案した、その装置内で完結するICCプロファイル作成機能を備える画像形成装置によれば、ユーザは、ICCプロファイルを作成せずに、容易にカラーマネージメント環境を整えることが可能になる。
【0006】
また、ICCプロファイルを作成したプリンタをターゲットに使用するか、ディスティネーションに使用するかは不明であるから、ICCプロファイルは、ターゲットおよびディスティネーション用の変換テーブル(CMYK→L*a*b*およびL*a*b*→CMYK変換テーブル)を備えることが望ましく、多くのプロファイル作成アプリケーションはそのような構成をとる。上記構成のICCプロファイルを作成するには、CMYK信号を網羅したパッチ、例えばISO 12642が規定する928パッチを出力し、各パッチを測色し、CMYK画像信号と色度値(測色値)との関係から、ソース側およびディスティネーション側の色変換テーブルを作成する。
【0007】
特開平5−127551号公報に記載されているように、ISO 12642のテストフォームのような、各色網点%の合計が350%を超えるようなパッチを良好に印刷できない機種も存在する。具体的には、感光体に供給されるトナーの量(以下「のり量」と呼ぶ)が多くなり、感光体や転写体周辺へのトナーの飛散、定着部の熱容量不足によるトナーの定着不良、記録紙が定着ローラへ巻き付く、などの不具合が発生する。これらの不具合は、単位面積当りののり量が所定量を超えたときに発生し易く、各濃度信号の最大濃度値を100%とすると、濃度信号の和(以下「信号和」と呼ぶ)が300%を超えると多くの機種で発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ディスティネーション側のICCプロファイルを考えると、各色網点%の合計が350%以上の画像を形成しても色変換性能が向上するわけでもなく、視覚的に判別することはできない。また、のり量が多いトナーパッチを形成すると、定着不良、トナーの飛散、転写効率の低下などが生じることが多く、そのようなトナーパッチに基づきICCプロファイルを作成しても精度がよいICCプロファイルは得られない。
【0009】
さらに、のり量が多い画像を出力することはトナー消費量の観点からも好ましくないので、プロファイ作成アプリケーションの作成フローは、のり量が300%以下になるように最大色数を設定している。ソースおよびディスティネーションを両立させるため、さらに、ユーザによるのり量の設定には、のり量を300%以下に抑える方法が望ましい。しかし、プリンタに組み込むディスティネーションプロファイルでは、のり量400%のパッチ情報を300%に制限して色変換テーブルを作成することになり、補間するにしても精度の問題が残る。
【0010】
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、 出力プロファイルのカラーマッチング精度を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0012】
本発明にかかる画像処理装置は、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、前記カラー画像を測色する測色手段と、測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する作成手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、前記カラー画像の測色結果を入力する入力手段と、前記測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する作成手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、外部機器に前記画像データを供給して、前記画像データと、前記カラー画像の測色結果の色度値との関係に基づく色変換情報を前記外部機器から受信する通信手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる画像処理方法は、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、前記カラー画像を測色し、測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成することを特徴とする。
【0016】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、前記カラー画像の測色結果を入力し、前記測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成することを特徴とする。
【0017】
また、複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、外部機器に前記画像データを供給して、前記画像データと、前記カラー画像の測色結果の色度値との関係に基づく色変換情報を前記外部機器から受信することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる一実施形態の画像処理装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
なお、下記の構成要素の相対的な配置および表示画面などは、とくに限定的に記載しない限り、本発明の範囲を、それらに限定する趣旨のものではない。
【0020】
【第1実施形態】
以下、本発明にかかる画像処理装置の実施形態として、カラー複写機を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
実施形態のカラー複写機は、トナーが定着された記録紙が排出される排紙トレイの手前にカラーセンサを内蔵し、記録紙上に形成された画像を測色し、測定した色度値に基づき色変換プロファイルを作成する機能を有する。そして、作成した色変換プロファイルを用いて、カラー複写機内の色変換処理を行う。
【0022】
なお、優れた色再現性を実現するプロファイルとして近年市場で受け入れられているICC (International Color Consortium)プロファイルを用いる例を説明する。ICCプロファイル以外の色変換テーブルには、Adobe社が提唱するPostScript(R)のレベル2から採用されているCRD (Color Rendering Dictionary)やPhotoshop(R)内の色分解テーブル、墨版情報を維持するEFI社のColorWise内のCMYKシミュレーションなどがあり、これらを応用することも可能である。
【0023】
[構成]
図1はカラー複写機の概略構成を示す図である。
【0024】
カラー複写機は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)およびブラック(K)の各色画像を形成する四つの画像形成ステーションを備える。各画像形成ステーションの構成は略同一であるから、以下、マゼンタ用の画像形成ステーションの構成を説明して、他色の画像形成ステーションの説明は省略する。
【0025】
画像形成ステーションは、像但持体である電子写真感光体(以下「感光ドラム」と呼ぶ)1aの周囲に、帯電器、クリーナ4aおよび現像器2aなどを備える。感光ドラム1aは回転自在に支持され、各感光ドラム1aの下方、現像装置2aとクリーナ4aとの間には転写部が配置されている。転写部は、各画像形成ステーションに共通の転写ベルト31、および、転写用帯電器3aから構成される。
【0026】
複数の給紙カセット61または引き出し可能な手差給紙トレイ61aなどから供給される記録紙は、転写ベルト31によって各画像形成ステーション下を搬送され、各感光ドラム上に形成された各色のトナー像が順次転写され、トナー像を重畳した画像が形成される。トナー像が重畳された記録紙Pは、転写ベルト31から分離され、搬送ベルト62によって定着部5に搬送される。
【0027】
定着部5は、回転自在に支持された定着ローラ51、定着ローラ51に圧接しながら回転する加圧ローラ52、潤滑剤塗布器53およびローラクリーナ54、55などを備える。定着ローラ51および加圧ローラ52の内側にはそれぞれハロゲンランプなどのヒータ56、57が、定着ローラ51および加圧ローラ52の表面近傍にはサーミスタなどの温度センサ58、59が配置されている。従って、温度センサによって検出される定着ローラ51および加圧ローラ52の温度は温度調節器60へ供給され、温度調節器60がヒータ56、57へ加える電力を制御することで、定着ローラ51および加圧ローラ52の表面温度が調節される。
【0028】
潤滑剤塗布器53は、記録紙が定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過する際に、トナーが定着ローラ51の表面に付着しないように、定着ローラ51の表面にシリコンオイルを潤滑剤として塗布する。また、潤滑剤塗布器53には、塗布するシリコンオイルの量を制御するための塗布量制御部63が接続されている。
【0029】
定着ローラ51および加圧ローラ52を駆動する図示しない駆動モータには、記録紙の搬送速度、すなわち定着ローラ51および加圧ローラ52の回転速度を制御する速度制御部64が接続されている。
【0030】
定着部5のこれらの構成により、記録紙の表面に重畳された各色のトナーは溶融され、記録紙に定着されて、記録紙上にフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が定着された記録紙は、分離爪68によって加圧ローラ52から分離され、装置外へ排出される。
【0031】
[測色]
加圧ローラ52から分離された記録紙上の画像は、必要に応じて、排紙トレイの直前に設置されたカラーセンサ71によって測色される。
【0032】
図2はカラーセンサ71周辺の構成例を示す図である。
【0033】
カラーセンサ71の主走査方向の解像度は100dpiと比較的低い。その理由は、測色対象が数mm単位のカラーパッチであり、カラー複写機のスキャナのようにスキャニングした画像を再生するわけではないからである。従って、100dpi程度の低解像度でも充分にカラーパッチを測色可能で、600dpiのセンサなどに比べて生産性がよく、コストを抑えることもできる。
【0034】
カラーセンサ71は、記録紙に赤緑青の光を照射するRGB三色のLED群72と、記録紙からの反射光を結像するための円柱状のレンズアレイ73、受光センサ部(CCD)74、および、回路基板75から構成されている。なお、カラーセンサ71と記録紙との間の光路長を一定にするため記録面ガラス76を設置して、記録面ガラス76の下を記録紙が通過するようにしてある。
【0035】
[カラーマッチング精度の検証]
のり量400%の画像信号を含むISO 12642のテストフォームのCMYKカラーチャートと、最大のり量300%の画像信号としたカラーチャート(以下「300%カラーチャート」と呼ぶ)を用意して、カラーマッチング精度を検証した。
【0036】
ISO 12642のテストフォームに関して詳細な説明は省略するが、300%カラーチャートは、図3に示す格子点のカラーパッチを含む。なお、図3には色立体の下部(黒側)の格子点だけを示すが、省略した上部(白側)にも下部と同じ構成で格子点が存在する。図3に示すように、最低明度点(4K)ののり量を300%最大に設定して、最低明度点から白点へ13階調分の格子点を用意する。
【0037】
図3に示す各格子点は、以下の関係をもち、信号上ではリニアな格子点になる。そしてCMYが等量の七階調、並びに、黒(K)単色の七階調で、合計880パッチの構成になる。
【0038】
例えば一次色のマゼンタ(M)から最低明度点(4K)へ向かう格子点は下記のようになる。
【0039】
また、二次色の青(B)から最低明度点(4K)へ向かう格子点は下記のようになる。
【0040】
なお、単色の階調数は256階調(0〜255)であり、信号値ではC=170、M=170、Y=170およびK=255(合計値765)でのり量300%になる。なお、単色の階調特性は、画像信号に対しのり量がリニアなるような特性を採用するため、画像信号値はのり量の換算値といえる。
【0041】
ISO 12642テストフォームおよび300%カラーチャートをそれぞれ出力し、カラーセンサ71で測色して、実施形態のカラー複写機に搭載されたICCプロファイル作成ツールを用いてICCプロファイルを作成した。このときの最大色数は、カラー複写機ののり量の制限値300%に基づく。この二つのICCプロファイルをディスティネーションとし、ターゲット(ソース)をDDCP (Direct Digital Color Proofer)、CMM (Color Matching Module)をApple社のColorSync 2.0、色変換手法をAbsolute Colorimetric(相対的色域の保持)として、カラーマッチング精度を検証した。
【0042】
つまり、ISO 12642テストフォームをDDCPで出力し、その測色結果の色度(L1a1b1)値をターゲットとして、ISO 12642テストフォームのCMYK信号をターゲットICCプロファイルを使って色度(L2a2b2)値に変換する。そして、このL2a2b2値を、上記の二つのディスティネーションプロファイルを用いてCMYK値に変換して、カラー複写機に供給し、出力されるテストフォームの測色結果の色度(L3a3b3)値を得る。
【0043】
二つのディスティネーションプロファイルに対応する色度値をそれぞれ、L3a3b3(400%)およびL3a3b3(300%)として、下式により、ターゲットのL1a1b1値との色差ΔEを算出する。
ΔE = √{(L1 − L3)2 + (a1 − a3)2 + (b1 − b3)2}
【0044】
得られた色差ΔEに基づき、平均色差および色再現指数を求めたところ、図4に示すように、300%カラーチャートを用いてプロファイルを作成した方がカラーマッチング精度が高いことがわかった。
【0045】
図4の横軸は色差ΔE、縦軸は累積発生頻度で928パッチすべてで色差が発生した場合は100%になる。また、図4の凡例中に示す平均色差は928パッチの平均色差、色再現指数は色差ΔE≦10で発生する累積色差の関係を表す。例えば、すべてのパッチで色差ΔE = 0であれば色再現指数100%になるが、すべてのパッチで色差ΔE > 10の場合は色再現指数0%となる。図4では、カーブで区切られた下側の面積が、色差ΔE = 0の場合に比べて、どの程度の精度が得られるかを表す指標になる。なお、色再現指数から、平均色差ではわからない色差の発生度合い(分布)を判断することができる。
【0046】
300%カラーチャートの方がカラーマッチング精度が向上する理由は、のり量400%のISO 12642テストフォームの画像信号によってカラーパッチを形成する際、制限によってのり量が300%に抑えられるためで、(測色結果の色度情報がない)のり量300%のカラーパッチを形成し、補間演算によってのり量400%相当の色度値を予測してプロファイルを作成するためである。これに対して、300%カラーチャートの場合は、補間演算に依存する部分を最小限に抑えているので、ほとんどの測色結果の色度情報をそのままプロファイルの格子点情報に用いることができる。
【0047】
以上の検証結果は、ディスティネーションプロファイルのみを作成するのであれば、カラー複写機が保証するのり量に対応するカラーチャートを形成し、プロファイルを作成した方がカラーマッチング精度が向上することを示唆する。
【0048】
[プロファイルの作成]
次に、上記の構成を有するカラー複写機におけるプロファイルの作成について説明する。
【0049】
サービスマンによる部品交換時、カラーマッチング精度が要求されるジョブの前、あるいは、デザインの構想段階などで最終出力物の色味を知りたい場合など、サービスマンやユーザは操作部を操作して、カラー複写機を多次色キャリブレーション(以下「多次色CAL」と呼ぶ)モードに設定すると、プロファイルの作成が実行される。
【0050】
図5はプロファイルの作成を実行する画像処理部101の構成例を示すブロック図である。
【0051】
多次色CALモードへの移行指示は、操作部91からプロファイル作成部122に入力される。プロファイル作成部122は、300%カラーチャートを色変換せずに出力するよう指示するとともに、300%カラーチャートのCMYK情報をプリンタ部201に送る。また、カラーセンサ制御部123に測色を指示する。
【0052】
電子写真プロセスを経て出力される300%カラーチャートは、カラーセンサ71によって測色され、測色された880パッチのRGBデータは画像処理部101に入力される。RGBデータは、色変換部121により、カラーセンサ71の入力プロファイルに基づきLabデータに変換されて、プロファイル作成部122に入力される。つまり、カラーセンサ71の入力プロファイルを用いて、入力デバイス(カラーセンサ71)に依存するRGBデータを、デバイスに依存しないCIE(国際照明委員会) Labデータに変換する。なお、デバイスに依存しない色空間としてCIE 1931 XYZ表色系を用いてもよい。
【0053】
プロファイル作成部122は、出力したCMYK情報と、入力されるLabデータとの関係により、出力プロファイルを作成し、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイル(ICCプロファイル)を更新する。
【0054】
なお、300%カラーチャートは、のり量の制限を加味した、カラー複写機が出力可能な色再現域を網羅する色パッチに対応するCMYK情報を含み、各CMYK情報(色信号値)と、測色されたLab値との関係から色変換テーブルを作成する。つまり、入力される色信号(Labデータ)に基づき、どのようなCMYK情報を出力すればよいかを示す色変換テーブルを作成する。
【0055】
[ICCプロファイルの構造]
図6はICCプロファイルの構造を示す図で、ヘッダ39およびタグテーブル40の二つの基本要素を含む。ヘッダ39は、ICCプロファイルに従い入力画像データを処理するために、ColorSync(Apple社の色変換エンジン)などのCMM (Color Management Module)によって使用される情報を含む。
【0056】
ICCプロファイルには、通常の色変換時に使用されるリカードパブリックタグ(required public tag)、付加変換を行うために使用することができるオプショナルパブリックタグ(optional public tag)、および、個々の開発者がそのICCプロファイルに専用の値を追加するためにカスタマイズ可能なプライベートタグを含んでよい。ハードコピー用の出力色変換を行うには、プロファイル記述タグ、デバイスメーカタグ、デバイスモデル名タグ、AtoBxタグ、BtoAxタグ、ガマット(gamut)タグ、XYZメディア白色点タグ(XYZ medium white point tag)、測定タグ、並びに、著作権タグなどが必要である。AtoBxタグは、ICC lut8Type、または、ICC lut16Type構造の何れかを有する。ICC lut8Type、または、ICC lut16Type構造の汎用モデルは次のとおりである。
マトリクス → 一次元LUT → 多次元LUT → 一次元LUT
【0057】
タグがlut8Type構造の場合、入力および出力LUT、並びに、カラーLUTは8ビット符号なし値のアレイである。各入力テーブルは、1バイト整数から構成される。また、入力テーブルのエントリは、それぞれ0から255の範囲に適切に標準化されている。
【0058】
出力デバイス用のICCプロファイルに含まれるAtoBxタグは、CMYK色空間から他の色空間へ変換するための色変換テーブルを含み、所謂ソース(ターゲットともいう)プロファイルとして使用される。
【0059】
一方、出力デバイス用のBtoAxタグは色変換が逆になり、Lab色空間からCMYK色空間に変換するための情報を含み、主に、ディスティネーションプロファイルとして使用される際に参照される。
【0060】
AtoB0およびBtoA0のタグは、知覚的(Perceptual)な色変換を行うためのタグで、主に、階調(グラデーション)再現を重視する写真画像に適した色変換を行う、明度保存を前提にしたカラーマッチング用である。
【0061】
AtoB1およびBtoA1のタグは、色差を最小とする色変換を行うためのタグで、出力デバイスの色再現域がターゲットのそれよりもすべての領域で広い場合、並びに、高彩度領域に画像が存在しないときなどに有効である。また、社章などのロゴマークの色再現には、色の規定が厳しいことから、このカラーマッチングが採用される。
【0062】
AtoB2およびBtoA2のタグは、彩度を保存する色変換を行うためのタグで、階調再現には向かないが、主に、ビジネスグラフィック画像のカラーマッチングに使用される。
【0063】
AtoB0タグと同じフォーマットを有するガマットタグには、入力チャネル(L*a*b*)に対して、その出力デバイスが色を再現可能か否かが記述されている。
【0064】
図7はICCプロファイルの詳細例を示す図で、ヘッダ39およびタグテーブル40に下記の項目が記述される。
Size:プロファイルのサイズを定義する。
CMM Type:複数のCMMを組み込んだコンピュータが、どのCMMをデフォルトとして使用するかを記述する。例えば「Appl」または「ACMS」は上述したColorSyncを、「KCMS」はKodakCMS(Kodak社の色変換エンジン)を意味する。
Version: プロファイルのバージョンを示す。
Profile Clas: プロファイルの種類を定義する。パラメータは下記の何れか一つであればよい。
output … プリンタなどの出力デバイス
input … スキャナやディジタルカメラなどの入力デバイス
display … CRTや液晶などの表示デバイス
device link … 複数のプロファイルの組み合わせ構造
color space conversion … 非デバイス型プロファイル間、例えばLab/XYZなどの色空間変換
abstract … PCS(Profile Connection Space)間でカラーデータを変換するための固有の方法
Color Space:プロファイルに基づきカラー画像データを変換する際のカラーフォーマットを定義し、RGB、XYZ、GRAY(グレイスケール)、CMY、Luv、HSV、CMYK、YCbr、HLS、LabおよびYxyの何れか一つであればよい。
Connection Space:プロファイル結合空間を定義し、LabまたはXYZの何れかであればよい。
Creation Date:プロファイルの作成日時を定義する。
CS2 Signature:プロファイルのファイルシグネチャを定義し、プロファイルを使用するデバイスのオペレーティングシステム(OS)がアイコンを作成するために使用する。
Prim platform:プロファイルが作成されたプラットフォームまたはOSを定義する。そのパラメータは下記の何れかであればよい。
Appl … AppleのOS
MSFT … MicrosoftのOS
SGI … Silicon Graphics
SUNW … Sun
TGNT … Taligent
Flags:CMMのためのヒント情報が含まれる。「embedded/not embedded」を示せば、画像ファイルなどに埋め込まれたプロファイル/独立したファイルを表し、「embedded only/use anywhere」を示せば、埋め込まれた状態でのみ使用可能/切り離しても使用可能を表す。
deviceManufacturer:プロファイルの作成者を記述する。
deviceModel:プロファイルが使用されるべきデバイスのモデル番号または名称を定義する。なお、deviceModelのパラメータは、ICC、AppleのColorSyncおよびMicrosoftのICMの規定に準拠する必要がある。とくに、モデル番号または名称は「A」から「Z」までの文字(大文字のみ)および「0」から「9」の文字を使用する4バイトのASCII文字列でなければならない。
deviceAttributes:プロファイル作成時の透過性や表面の光沢性を記述する。「Reflective/Transparency」(反射色/透過色)、「Glossy/Matte」(光沢あり/艶消し)などが記述される。
Intent:プロファイルの設計趣旨(intent)、つまり知覚的(perceptual)、色差最小(relative colorimetricまたはabsolute colorimetric)、彩度重視(saturation)を定義する。
White XYZ:PCSのXYZ色度値を定義し、白色XYZを正規化した値が記述
される。
【0065】
このようにヘッダ39は、ヘッダに格納可能なすべての情報を隈なく含むリストではなく、単に、ヘッダに格納可能な情報の一例を示しているのに過ぎない。このようなICCプロファイルを作成するためには、ISO 12642のテストフォームなど、CMYK信号を網羅した画像をプリンタに出力させる必要がある。
【0066】
なお、実施形態のカラー複写機に色変換情報を組み込む場合、とくにICCに準拠したファイル形式でなくても構わない。測色条件、作成者、作成日時および白色点情報などは不要または既知の情報で、カラー複写機内部における色変換には必要ない。より詳細には、カラー複写機内部の色変換に必要なタグはBtoA0、BtoA1およびBtoA2タグだけである。一方、コンピュータ機器(PC)など、外部装置からプロファイルの作成やダウンロードを要請された場合は、上記のヘッダ39およびタグテーブル40を加えたICC準拠のプロファイルとして送信する。このような構成にすれば、カラー複写機内部の色変換用のプロファイルを更新する処理の簡略化、処理時間の短縮が期待される。
【0067】
[多次色CAL]
図8は多次色CALを説明するフローチャートで、多次色CALモードに移行したカラー複写機が実行する処理である。
【0068】
多次色CALモードに移行したカラー複写機は、表面電位センサによって検出される感光ドラムの感光面の帯電状態と、フォトセンサによって検出される感光ドラムに形成されたトナーパッチ像の濃度とに基づきコントラスト電位を決定し、最大濃度を決定(保証)するDmax制御を行う。その後、感光ドラムにハーフトーンのトナーパッチを形成して、単色の階調を補正するハーフトーン補正を行い、階調補正用のガンマ補正テーブルを更新する(S1)。
【0069】
次に、図示しないROMなどに保持されている、のり量の制限に応じた300%カラーチャートを、ガンマ補正テーブルを用いて階調補正し、電子写真プロセスによって記録紙上に形成する(S2)。そして、カラーセンサ71によって300%カラーチャートの各カラーパッチを読み取り、色変換部121によって各カラーパッチの色度情報を得る(S3)。
【0070】
次に、300%カラーチャートのCMYK信号と、測色結果の色度情報(Lab値)との関係から出力プロファイル用の色変換テーブルを作成し(S4)、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルを更新する(S5)。
【0071】
もし、多次色CALが外部のコンピュータ機器などから要求され、ICCプロファイルのアップロードが要求された場合は、ステップS6の判断に基づき、ステップS4で作成した色変換テーブルにヘッダ39およびタグテーブル40を追加してICCプロファイル化し(S7)、そのICCプロファイルをアップロードする(S8)。
【0072】
[色変換処理]
次に、カラー画像を出力する際の色変換処理を図5を参照して説明する。なお、図5は、本実施形態に関わる構成を説明するための図で、全ての構成を網羅しているわけではない。
【0073】
画像処理部101は、インタフェイス(I/F)92を介して、スキャナからRGBデータが入力される場合、RGBデータを入力色変換部111へ送る。入力色変換部111は、保持するスキャナのプロファイル(入力プロファイル)に基づきRGBデータをLabデータに変換し、CMM 112に入力する。画像処理部101は、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルに記述された色変換手法からPerceptualと呼ばれる明度保存型の色変換手法を選択して、CMM 112にLabデータをCMYKデータに変換させる。sRGBなどのRGB色空間と、カラー複写機のCMYKやJapanColor(印刷標準)などのCMYK色空間とは色再現範囲(color gamut)が著しく異なるため、通常、視覚特性を考慮して、階調性が保持され、写真画像に適する明度保存型の色変換を行う。
【0074】
一方、外部のコンピュータ機器などからLabデータが入力される場合は、忠実な色再現が望まれる場合が多い。この場合、画像処理部101は、入力されるLabデータをCMM 112へ送り、Colorimetricと呼ばれる色度保存型の色変換手法を選択して、CMM 112にLabデータをCMYKデータに変換させる。
【0075】
また、外部のコンピュータ機器などからCMYKデータが入力される場合は、ユーザが任意の色変換を行った可能性が高い。そこで、画像処理部101は、新たな色変換を施さずに、入力されるCMYKデータをプリンタ部201へ送る。
【0076】
勿論、色変換手法は、操作部91や外部のコンピュータ機器などの指示に基づき変更することが可能である。また、外部のスキャナからネットワークを介してRGBデータが入力される場合は、そのスキャナから入力プロファイルをダウンロードして入力色変換部111に設定することが好ましい。
【0077】
このように、カラーチャートを出力し、そのカラーパッチを測色して出力プロファイルを作成する機能をもつカラー複写機により、プロファイル作成用の機材(ソフトウェアおよび測色器)がなくても、容易に出力プロファイルを作成することができる。加えて、カラーチャートは、カラー複写機ののり量の制限に適合した状態で出力されるので、そのカラーパッチの測色結果(色度値)から作成される出力プロファイルのカラーマッチング精度を向上することができる。
【0078】
なお、多次色CALは、ユーザなどの指示に応じて行えばよいが、所定のタイミングで自動実行するようにしてもよい。つまり、カラー複写機の色再現性が不安定になる状況(温度・湿度の変化など)を検知して、そのタイミングで多次色CALを実行すればよい。色再現性が低下する要因として、各色のトナー像を形成する四つのステーションのうち、一部のステーションのユニットを交換するメンテナンス、長期間電源がオフされた後の電源オン時、現像剤が耐久劣化したときなども考えられる。そこで、例えば「電源オン時」「電源オンから100枚出力した後」「装置の前扉が開閉された時」「トータル枚数が40000枚を経過した後は1000枚ごと」などの実行タイミングが考えられるが、この四つのタイミングに限定されるわけではない。
【0079】
【第2実施形態】
以下、本発明にかかる第2実施形態の画像処理装置を説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0080】
第2実施形態は、市販の色度計を使って、カラー複写機のコスト削減およびカラーマッチング精度のより高精度化を達成しようとするものである。つまり、第2実施形態は、カラー複写機から第1実施形態で説明した測色機能を削除し、市販の測色器から色度情報を入力してプロファイルを作成する。
【0081】
図9は第2実施形態の画像処理部101の構成例を示すブロック図である。
【0082】
カラーパッチの色度情報は、外部の測色器(色度計)94から例えばRS232Cのような汎用インタフェイスを介して色度入力部124に入力される。プロファイル作成部122は、色度入力部124に入力された色度情報に基づき、出力プロファイルまたはダウンロード用のICCプロファイルを作成する。
【0083】
市販の測色器を用いる背景として、高いカラーマッチング精度を要求するユーザは、ICCプロファイルなどを独自に作成し、ICCプロファイルをプリンタのコントローラやコンピュータ機器に組み込んで色変換した画像をカラー複写機に形成させる。このようなユーザは、高精度の測色器を所有していて、カラー複写機が測色機能を有する必要はなく、測色機能を削除したより低コストの製品を提供する方が望ましい。さらに、測色器にも個体差があるため、ターゲットの色を測色した機器の測色値を用いてプロファイルを作成する方が、カラーマッチング精度が向上する。
【0084】
また、市販の測色器は分光反射率からLabデータを算出するので、図5の色変換部121によってRGBデータからダイレクトマッピングによって得られるLabデータよりも精度が高い。なお、分光反射率データからL*a*b*データを算出する方法は、CIEで規定されていて、以下のとおりである。
(1) 試料の分光反射率R(λ)を求める(380〜780nm)。
(2) 等色関数x(λ)、y(λ)およびz(λ)、並びに、標準光分光分布SD50(λ)を用意する。
(3) 各波長の計算を行い、それらを積算する。
ΣX(λ) = Σ{R(λ)×SD50(λ)×x(λ)}
ΣY(λ) = Σ{R(λ)×SD50(λ)×y(λ)}
ΣZ(λ) = Σ{R(λ)×SD50(λ)×z(λ)}
積算範囲は380〜780nm
(4) 各波長の等色関数y(λ)と標準光分光分布SD50(λ)との積を積算する。
Σ{SD50(λ)×y(λ)}
積算範囲は380〜780nm
(5) XYZ値を算出する。
X = 100・Σ{SD50(λ)×y(λ)}/ΣX(λ)
Y = 100・Σ{SD50(λ)×y(λ)}/ΣY(λ)
Z = 100・Σ{SD50(λ)×y(λ)}/ΣZ(λ)
(6) L*a*b*データに変換する。
L* = 116・(Y/Yn)1/3 − 16
a* = 500・{(X/Xn)1/3 − (Y/Yn)1/3}
b* = 200・{(Y/Yn)1/3 − (Z/Zn)1/3}
ここで、Xn、YnおよびZnは標準光三刺激値
Y/Yn > 0.008856の場合は
(X/Xn)1/3 = 7.78(X/Xn)1/3 + 16/116
(Y/Yn)1/3 = 7.78(Y/Yn)1/3 + 16/116
(Z/Zn)1/3 = 7.78(Z/Zn)1/3 + 16/116
【0085】
図10は第2実施形態の多次色CALを説明するフローチャートで、多次色CALモードに移行したカラー複写機が実行する処理である。
【0086】
第1実施形態と同様に、ステップS2で300%カラーチャートを出力した後、色度計94から色度入力部124へ各カラーパッチの色度情報(Lab値)が入力されるのを待つ(S11)。そして、色度情報が入力されると、第1実施形態と同様に、ステップS4からS8の処理を行う。
【0087】
なお、測色器は、各カラーパッチの色度情報を出力できるものであれば、自動走査型でも、ハンディタイプ、X−Yテーブル式自動測色器でもかまわない。
【0088】
【第3実施形態】
以下、本発明にかかる第3実施形態の画像処理装置を説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0089】
第3実施形態は、市販の測色器を使ってコストの削減および高精度化を達成しようとする第2実施形態を継承して、さらに、プロファイルの作成を外部のコンピュータ機器などに任せるものである。
【0090】
図11は第3実施形態の画像処理部101の構成例を示すブロック図である。
【0091】
プロファイル制御部125は、第1、第2実施形態のプロファイル作成部122が担当した、のり量の制限に基づく300%カラーチャートの出力、並びに、外部のコンピュータ機器からI/F 93を介してICCプロファイルを受信して、出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルを更新する機能などを担当する。また、300%カラーチャートのCMYKデータをI/F 93を介して外部の機器に送信する機能も備える。
【0092】
外部のコンピュータ機器などを利用してプロファイルを作成する背景は、第1、第2実施形態のカラー複写機は、多次色CALを実行中、300%カラーチャートの出力、測色およびプロファイルの作成演算などにある程度の時間(例えば数分間)がかかり、この間、他のクライアントの画像出力に応じることができない。そこで、測色およびプロファイルの作成演算を外部のコンピュータ機器に任せて、カラー複写機が多次色CALに専有される時間を短縮することができる。
【0093】
図12は第3実施形態の多次色CALを説明するフローチャートで、多次色CALモードに移行したカラー複写機が実行する処理である。
【0094】
第1実施形態と同様に、ステップS2で300%カラーチャートを出力した後、外部のコンピュータ機器からICCプロファイルがダウンロードされるのを待つ(S21)。そして、ICCプロファイルがダウンロードされると、ステップS5で出力プロファイル格納部113に格納された出力プロファイルを更新する。なお、ICCプロファイルのダウンロードを待つ間、カラー複写機は通常のスキャン、プリントおよび複写動作を実行することができ、もし、ダウンロードが終了する前にそれら動作を開始した場合、それらの動作が終了した後、出力プロファイルの更新を行う。
【0095】
一方、プロファイル作成用のアプリケーションがインストールされた外部のコンピュータ機器は、色度計から各カラーパッチの色度情報(Lab値)が入力されると(S22)、カラー複写機から300%カラーチャートのCMYKデータを取得し(S23)、ディスティネーション側の色変換情報が記述されたICCプロファイルを作成する(S24)。このようにして作成されたICCプロファイルは、コンピュータ機器などにおいてカラーシミュレーションに利用可能であり、カラー複写機の色変換プロファイルとしての利用も可能である。そこで、コンピュータ機器は、作成したICCプロファイルをカラー複写機にダウンロードする(S25)。
【0096】
なお、300%カラーチャートは、アプリケーションのインストール内容に含めてもよい。その場合、カラー複写機はプロファイルのアップロードのみに対応する。
【0097】
【変形例】
第1実施形態ではカラーパッチを測色するカラーセンサを用いてプロファイルを自動的に作成する例を、第2実施形態は外部の測色器を利用してより精度の高いプロファイルを作成する例を、第3実施形態では外部のコンピュータ機器などを利用してプロファイルを作成する例を説明した。さらに、例えば、第1実施形態のカラーパッチセンサを改良して分光反射率から色度情報を得るようにしてもよいし、第1実施形態においてプロファイルを作成する機能だけを外部のコンピュータ機器に移して、色度情報をカラー複写機からコンピュータ装置へ送信して、プロファイルを作成させてもよい。
【0098】
さらに、上記の各実施形態で説明したプロファイルは、ディスティネーション側(BtoAx)タグのみに300%カラーチャートの測色結果を反映させるものであるが、AtoBxタグには予めカラー複写機のメーカなどから供給されるプロファイルのデータを記載し、測色結果に基づく色変換テーブルはリカードパブリックダグとしてもよい。このような構成にした背景は、AtoBxタグにはCMYK→Lab情報があり、補間も含めて400%の全てのCMYK信号に対応しなければならない。上記実施形態の300%カラーチャートでは不足する組み合せがあり、AtoBxタグを作成できないためである。
【0099】
また、上記では、のり量と画像信号との関係がリニアである場合を想定して説明したが、プリンタののり量と画像信号との関係がリニアではない場合にも対応可能である。例えば、画像信号に対するのり量の換算テーブルを各色成分ごとに用意し、あるトナーののり量に対し、画像信号がどのようなるかを示すテーブルを介すことで、のり量と画像信号との関係をリニアにして最大のり量の計算を行えばよい。例えば、画像信号に対するのり量の換算テーブルを単色ごとに用意し、最大許容のり量が1.5mg/cm2のとき、画像信号は320%(のり量リニア時は300%)となるといった関係を導くことができる。
【0100】
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0101】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0103】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、出力プロファイルのカラーマッチング精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー複写機の概略構成を示す図、
【図2】カラーセンサ周辺の構成例を示す図、
【図3】格子点とカラーパッチとの関係を説明する図、
【図4】カラーマッチング精度の検証結果を示す図、
【図5】プロファイルの作成を実行する画像処理部の構成例を示すブロック図、
【図6】ICCプロファイルの構造を示す図、
【図7】ICCプロファイルの詳細例を示す図、
【図8】多次色CALを説明するフローチャート、
【図9】第2実施形態の画像処理部の構成例を示すブロック図、
【図10】多次色CALを説明するフローチャート、
【図11】第3実施形態の画像処理部の構成例を示すブロック図、
【図12】多次色CALを説明するフローチャートである。
Claims (10)
- 複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、
前記カラー画像を測色する測色手段と、
測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する作成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、
前記カラー画像の測色結果を入力する入力手段と、
前記測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成する作成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させる形成手段と、
外部機器に前記画像データを供給して、前記画像データと、前記カラー画像の測色結果の色度値との関係に基づく色変換情報を前記外部機器から受信する通信手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - さらに、画像データを色変換する色変換手段を有し、
前記色変換情報によって前記色変換手段の色変換テーブルを更新することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載された画像処理装置。 - 前記色変換情報には、色度値を前記複数の色材の使用量に対応するデータに変換するテーブルが含まれることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載された画像処理装置。
- 複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、
前記カラー画像を測色し、
測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成することを特徴とする画像処理方法。 - 複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、
前記カラー画像の測色結果を入力し、
前記測色結果の色度値と、前記画像データとの関係に基づき、色変換情報を作成することを特徴とする画像処理方法。 - 複数の色材の使用量の制限を考慮した画像データに基づき、記録媒体上に色変換情報を作成するためのカラー画像を、画像形成部に形成させ、
外部機器に前記画像データを供給して、前記画像データと、前記カラー画像の測色結果の色度値との関係に基づく色変換情報を前記外部機器から受信することを特徴とする画像処理方法。 - 画像処理装置を制御して、請求項6から請求項8の何れかに記載された画像処理を実行することを特徴とするプログラム。
- 請求項9に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002208337A JP2004056271A (ja) | 2002-07-17 | 2002-07-17 | 画像処理装置およびその方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002208337A JP2004056271A (ja) | 2002-07-17 | 2002-07-17 | 画像処理装置およびその方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN102668533A (zh) * | 2009-10-19 | 2012-09-12 | Gmg有限两合公司 | 生成优化的打印机校正的方法 |
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2002
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