JP2004052963A - 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品 - Google Patents

熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品 Download PDF

Info

Publication number
JP2004052963A
JP2004052963A JP2002213689A JP2002213689A JP2004052963A JP 2004052963 A JP2004052963 A JP 2004052963A JP 2002213689 A JP2002213689 A JP 2002213689A JP 2002213689 A JP2002213689 A JP 2002213689A JP 2004052963 A JP2004052963 A JP 2004052963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
tube
resin
heat
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002213689A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Higaki
檜垣 裕二
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2002213689A priority Critical patent/JP2004052963A/ja
Publication of JP2004052963A publication Critical patent/JP2004052963A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
  • Securing Globes, Refractors, Reflectors Or The Like (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Abstract

【課題】ポリエチレンテレフタレート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂から主としてなる熱可塑性樹脂とある特定範囲の粒径を有した大粒径粒子よりなる樹脂組成物から形成された熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを電気、電子部品に被覆後、耐衝撃性、透明性に優れ且つ収縮特性および機械加工性に優れた汎用電気絶縁材料や発熱体被覆材料等の利用価値を有する熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを提供することを目的とする。
【解決手段】下記A成分、B成分およびC成分の合計を100重量%とした時、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A成分)99〜20重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)1〜60重量%およびポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)0〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部と、粒径が4〜30μmの大粒径粒子(D成分)0.05〜4重量部とから形成された樹脂組成物からなる熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂から主としてなる熱可塑性樹脂とある特定範囲の粒径を有した大粒径粒子よりなる樹脂組成物から形成された熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ、およびその利用に関する。さらに詳しくは、未延伸チューブを延伸することにより得られた延伸チューブであって、かかるチューブを電気、電子部品などに被覆する際、収縮特性や機械加工性に優れると共に耐衝撃性、透明性に優れた熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ、およびかかるチューブにより表面が被覆された無機材料製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、蛍光灯の割れによる飛散防止向けの熱収縮性チューブ状材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)チューブを高延伸させた熱収縮性チューブがよく知られている。ポリエチレンテレフタレートチューブは、高延伸することにより強度、耐衝撃性および耐熱性に優れた熱収縮性チューブになる。しかしながら該チューブは、蛍光灯に被覆した後高温処理をすると2次収縮を引き起こすため肩はずれを引き起こしやすい。また径方向および長さ方向ともに高延伸していることから径方向および長さ方向ともにかなり収縮するため位置あわせが難しく、安定して被覆することが困難となる。よって製品の歩留まりが大幅に低下してしまう。したがって、実際に蛍光灯にチューブを被覆させるときには、肩はずれなどを防止するため被覆に要するサイズよりもやや長めのサイズにカットしたものを使用している。したがって蛍光灯に被覆させた後は、末端余剰部をカッターなどで切り取るといった別工程が必要となる。また切り取ったものについては、廃棄処理を要するといったことも指摘されており、更なる改善が要求されている。
【0003】
蛍光灯の割れによる飛散防止に用いる被覆用熱収縮性チューブには、主に次のような特性が要求される。第1には熱収縮性チューブの被覆加工性が良好であることが挙げられる。第2には熱収縮性チューブの機械加工性が良好なことが挙げられる。第3には、被覆したチューブの耐衝撃性が良好なことが挙げられる。第4には、被覆したチューブの透明性が良好なことが挙げられる。
【0004】
ポリエステル樹脂製の熱収縮性チューブにおいて、上記第1の特性を改良するものとして、特開平3−224723号公報には、チューブの結晶化度が4〜20%である熱収縮性ポリエステルチューブが提案されている。また上記第2の特性を改良するものとしては特開平4−303620号公報に、微粒子を含有せしめた共重合ポリエステルチューブの製造方法および特定の特性を有する熱収縮性ポリエステルチューブが提案されている。
【0005】
しかしながら殊に蛍光灯の割れによる飛散防止向け熱収縮性チューブとしては、上記に提案されたチューブでは衝撃強度が未だ十分ではなかった。すなわち蛍光灯にチューブを被覆した後、熱処理に長時間曝された場合、落下テストを行うとチューブが脆化しているため飛散防止効果が十分ではない。したがって、被覆加工性および機械加工性が良好でかつ耐衝撃性に優れ、高温時に膨れや透明性が損なわれない熱収縮性チューブの出現が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂からなる主として熱可塑性樹脂とある特定範囲の粒径を有した大粒径粒子および所望により有機滑剤とよりなる樹脂組成物から形成された熱収縮性熱可塑性樹脂チューブであり、電気、電子部品に被覆したとき、耐衝撃性、透明性に優れた被覆物品を提供することができる、収縮特性および機械加工性に優れた汎用電気絶縁材料や発熱体被覆材料等への利用価値を有する熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを提供することを目的とする。
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、PET樹脂に比べ二次転移点が高く相溶性に優れるポリカーボネート樹脂を添加することにより、高温時の膨れがなく耐衝撃性および透明性にも優れた樹脂組成物となることを見出した。さらにある特定範囲の粒径を有した大粒径粒子を少量含有することにより、チューブの開口性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記A成分、B成分および、C成分の合計を100重量%としたとき、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A成分)99〜20重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)1〜60重量%およびポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)0〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部と、粒径が4〜30μmの大粒径粒子(D成分)0.05〜4重量部とからなる樹脂組成物から形成された熱収縮性熱可塑性樹脂チューブに係るものである。
【0009】
さらに本発明は好適には、樹脂組成物が前記A成分、B成分およびC成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、粒径が4〜30μmの大粒径粒子(D成分)0.05〜4重量部および有機滑剤(E成分)0.02〜4重量部を含んでなる樹脂組成物である上記熱収縮性熱可塑性樹脂チューブに係るものである。
【0010】
さらに本発明は好適には、100℃の熱水中30秒間浸漬したときの熱収縮率が径方向で10〜70%、長さ方向で0〜40%である熱収縮性熱可塑性樹脂チューブに係るものである。
【0011】
さらに本発明は好適には、下記A成分、B成分およびC成分の合計を100重量%としたとき、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A成分)99〜20重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)1〜60重量%およびポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)0〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部と、粒径が4〜30μmの大粒径粒子(D成分)0.05〜4重量部とからなる樹脂組成物から形成された未延伸熱可塑性樹脂チューブを、径方向に1.2〜3.0倍、長さ方向に1.0〜2.0倍に延伸させることを特徴とする熱収縮性熱可塑性樹脂チューブの製造方法に係るものである。
【0012】
さらに本発明は好適には、上記の熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを用いて表面を被覆された無機材料製品に係るものである。
【0013】
さらに本発明は好適には、熱収縮性熱可塑性樹脂チューブは蛍光灯の被覆用である熱収縮性熱可塑性樹脂チューブに係るものである。
【0014】
以下本発明についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の熱収縮性熱可塑性樹脂チューブの熱収縮性は、100℃の熱水中30秒間浸漬したときの熱収縮率が径方向で10〜70%、長さ方向で0〜40%、好ましくは径方向で15〜50%、長さ方向で1〜20%、特に好ましくは径方向で18〜45%、長さ方向で3〜10%である。
【0016】
上記チューブを構成する熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A成分)99〜20重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)1〜60重量%およびポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)0〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であるが、本発明でいうポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と略称することがある。)は、ジカルボン酸成分として主としてテレフタル酸を使用し、ジオール成分としてエチレングリコールを使用して製造したものであり、若干量の他の成分を共重合してもよい。その中でもPET樹脂中にジエチレングリコール成分(副生する成分も含む)を含有したものが好ましく、その含有量は、ジオール成分100モル%中、0.8〜20.0モル%であり、1.0〜9.0モル%が好ましく、1.2〜7.5モル%がより好ましく、2.0〜5.0モル%がさらに好まく、最も好ましくは3.0〜5.0モル%である。また、含有させるジエチレングリコール成分量を上記範囲にコントロールするために、予め重合前に若干量のジエチレングリコール添加して重合することも可能である。さらに重合時に本発明を損わない範囲で少量の好ましくは1モル%以下のポリエチレングリコール等のジオール成分を共重合してもよい。
【0017】
上記PET樹脂のジエチレングリコール成分の含有量は、ジオール成分100モル%中、0.8モル%未満では低温時の収縮性が不十分なことから被覆加工時の生産性が低下し易く、さらに結晶化しやすい為機械加工時のカッティング不良によって被覆加工後にカッティング面がギザギザになりやすい。一方20.0モル%を超えると、押し出し生産時、PET樹脂の固有粘度が低下しやすい為、チューブの機械特性、破断強度、伸度が低下しやすい。
【0018】
本発明に使用されるPET樹脂の末端基構造は特に限定されるものではなく、末端基における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量の場合以外に、一方の割合が多い場合であってもよい。またかかる末端基に対して反応性を有する化合物を反応させる等により、それらの末端基が封止されているものであってもよい。
【0019】
本発明に使用されるPET樹脂の製造方法については、常法に従い、ゲルマニウム、アンチモン、チタン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出することにより行われる。例えば、ゲルマニウム系重合触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、さらに具体的には、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムおよびテトラメトキシゲルマニウムが例示できまたアンチモン系重合触媒としては三酸化アンチモンが例示できる。
【0020】
また本発明では、従来公知の重縮合の前段階であるエステル交換反応において使用される、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せて使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させて重縮合することも可能である。
【0021】
PET樹脂の製造方法は、バッチ式、連続重合式のいずれの方法をとることも可能である。
【0022】
上記PET樹脂の固有粘度[η]は、o−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定した固有粘度において、0.4〜1.5が好ましく、0.5〜1.0がより好ましく、0.55〜0.95がさらに好ましく、0.6〜0.9が特に好ましい。固有粘度[η]が0.4未満ではチューブの機械特性、破断強度、伸度が低くなり、また1.5を超えるとチューブの溶融加工性が劣り好ましくない。
【0023】
上記PET樹脂は、1種であってもよく、また2種以上混合してもよい。
【0024】
したがって本発明におけるPET樹脂の好適な態様としては、o−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定した固有粘度において0.5〜1.0である実質的にジカルボン酸成分としてテレフタル酸とジオール成分としてエチレングリコールからなる樹脂であり、そのジオール成分として副生するジエチレングリコール成分をジオール成分100モル%中、0.8モル%以上、かつ20.0モル%以下含有したPET樹脂を挙げることができる。
【0025】
かかるPET樹脂の含有量は、A成分、B成分およびC成分の合計100重量%中、ポリエチレンテレフタレート樹脂20〜99重量%の範囲であり、好ましく50〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%である。20重量%より少なくと、被覆加工性が低下する。また99重量%より多いと、耐衝撃性が低下する。
【0026】
本発明でいうB成分で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0027】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特に限定されない。好ましくは粘度平均分子量(M)で10,000〜40,000である。さらに12,000〜30,000がより好ましく、15,000〜25,000がさらに好ましく、16,500〜23,500が特に好ましい。粘度平均分子量(M)で10,000〜40,000のポリカーボネート樹脂は良好な強度と良好な成形加工性を有する。また、分子量の異なるポリカーボネート樹脂を2種以上混合して使用することもできる。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求める。
【0028】
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0029】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどがあげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0030】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましい。さらに、ビスフェノールAの単独重合体、並びに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選択される1種以上のモノマーとの共重合体が好ましく使用され、特にビスフェノールAの単独重合体、または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましい。
【0031】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
【0032】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤などを使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0033】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノールなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0034】
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
【0035】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドなどの第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0036】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
【0037】
かかるポリカーボネート樹脂(B成分)の含有量は、A成分、B成分およびC成分の合計100重量%中、1〜60重量%の範囲であり、好ましく3〜40重量%、さらに好ましくは5〜35重量%である。60重量%より多くなると、被覆加工性や延伸安定性が低下する。
【0038】
本発明でいうC成分すなわちポリエステル系エラストマー樹脂(以下TPEE樹脂と略称することがある。)は、ハードセグメントに高融点高結晶性の芳香族ポリエステルをソフトセグメントに非晶性ポリエーテルや非晶性ポリエステルを使用した樹脂であり、前者がポリエーテルエステル樹脂であり、後者がポリエステルエステル樹脂である。
【0039】
かかるポリエーテルエステル樹脂は、ポリエーテルエステル樹脂100重量%としたとき、ハードセグメント5〜95重量%、ソフトセグメント5〜95重量%であり、その固有粘度は0.4〜2.0の範囲である。
【0040】
前記ポリエーテルエステル樹脂のハードセグメントの芳香族ポリエステルは、前述の芳香族ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸およびジオール成分を用いることができ、このセグメントの融点は100℃以上が好ましい。
【0041】
具体的には1,4−ブタンジオールとテレフタル酸またはナフタレンジカル
ボン酸から実質的なるポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートが好ましい。かかるポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートには、1,4−ブタンジオール以外の他のジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等を全ジオール成分100モル%中5モル%以下共重合することができ、またテレフタル酸以外の他のジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等、好ましくはイソフタル酸を全ジカルボン酸成分100モル%以下10モル%以下共重合することができる。最も好ましくは1,4−ブタンジオールとテレフタル酸のみからなるポリブチレンテレフタレートである。
【0042】
前記ポリエーテルエステル樹脂のソフトセグメントは、そのアルキレン部分が炭素数3〜12個のアルキレンかまたは炭素数4〜10個のシクロアルキレンであるポリエーテルグリコールで主として構成されている。このようなポリエーテルグリコールの代表例としては、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルグリコールまたはコポリエチレン−プロピレングリコール、コポリエチレン−テトラメチレングリコール[但し、エチレンオキサイド単位はコポリエーテルグリコールの50重量%以下からなる]、コポリテトラメチレン−1,2−シクロヘキシレンジメチレングリコール[但し、1,2−シクロヘキシレンジメチレンオキサイド単位は、コポリエーテルグリコールの1〜20モル%からなる]等のコポリエーテルグリコールがある。これらのうちポリテトラメチレンが好ましい。
【0043】
また、ポリエステルエステル樹脂は、ポリエステルエステル樹脂100重量%としたとき、ハードセグメント5〜95重量%、ソフトセグメント5〜95重量%であり、その固有粘度は0.4〜2.0の範囲である。
【0044】
前記ポリエステルエステル樹脂のハードセグメントの芳香族ポリエステルは、前述の芳香族ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸およびジオール成分を用いることができこのセグメントの融点は100℃以上が好ましい。
【0045】
具体的には1,4−ブタンジオールとテレフタル酸から実質的なるポリブチレンテレフタレートが好ましい。かかるポリブチレンテレフタレートには、1,4−ブタンジオール以外の他のジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等を全ジオール成分100モル%中5モル%以下共重合することができ、またテレフタル酸以外の他のジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等、好ましくはイソフタル酸を全ジカルボン酸成分100モル%以下10モル%以下共重合することができる。最も好ましくは1,4−ブタンジオールとテレフタル酸のみからなるポリブチレンテレフタレートである。
【0046】
前記ポリエステルエステル樹脂のソフトセグメントは、ポリカプロラクタム、前記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールからの例えばポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステルやジカルボン酸成分の主成分が芳香族ジカルボン酸であり、アルキレン部分が炭素数3〜12個のアルキレンかまたは炭素数4〜10個のシクロアルキレンであるポリエーテルグリコールで主として構成されているジオール成分とのポリエステルエーテル(以下、芳香族ポリエステルエーテルと略称することがある。)である。中でも芳香族ポリエステルエーテルが好ましい。
【0047】
このような芳香族ポリエステルエーテルのジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸成分100モル%中芳香族ジカルボン酸70モル%以上が好ましく、より好ましくは80〜99モル%、最も好ましくは90〜98モル%である。かかる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸が好ましく、イソフタル酸が最も好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸としてはアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等、好ましくはアジピン酸を30モル%未満、より好ましくは1〜20モル%、最も好ましくは2〜10モル%共重合することができる。一方、この芳香族ポリエステルエーテルのジオール成分の代表例としては、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルグリコールまたはコポリエチレン―プロピレングリコール、コポリエチレン−テトラメチレングリコール[但し、エチレンオキサイド単位はコポリエーテルグリコールの50重量%以下からなる]、コポリテトラメチレン−1,2−シクロヘキシレンジメチレングリコール[但し、1,2−シクロヘキシレンジメチレンオキサイド単位は、コポリエーテルグリコールの1〜20モル%からなる]等のコポリエーテルグリコールがある。これらのうちポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0048】
かかるポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)の含有量は、A成分、B成分およびC成分の合計100重量%中、0〜20重量%の範囲であり、好ましく3〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。20重量%より多くなると、被覆加工性が低下し、さらに高温時膨れやすくなる。
【0049】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、滑り性を付与して、良好な開口性および被覆した際の良好な仕上がり特性を得るため、無機や有機の粒子を含有させることができる。無機の粒子としては、例えば、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テレフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、フッ化リチウム等の無機粒子が挙げられる。無機粒子の平均粒径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは4〜10μmである。ここで無機粒子の平均粒径は、レーザー回折法(島津製作所製 SALD−1100)を用いて測定した重量分布の累積重量分布が50%になるときの粒径である。その粒径分布としては粒径4〜30μmの範囲の大粒径無機粒子を含有することが極めて好ましい。かかる範囲は厚みが薄いチューブであってもチューブに欠陥が生じることがなく、良好な開口性などを達成できる。この大粒径無機粒子の含有量として、全無機粒子100重量%中2〜80重量%が好ましく、より好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは20〜60重量%である。
【0050】
大粒径無機粒子の含有効果は、特に延伸による大粒径無機粒子の突起が起こりにくい低延伸倍率のチューブに著しい。またこれらのチューブは未延伸チューブに内圧をかけ膨張させ延伸管で径を規制するため、延伸管と接触する外部表面は大粒径無機粒子の突起が小さくなり印刷性が良好となる。それに対し延伸管と接触しないチューブ内面は大粒径無機粒子の突起が発現しやすく、そのため開口性も向上する。
【0051】
大粒径粒子の含有量は、樹脂組成物100重量部に対し、0.05〜4重量部であり、好ましくは、0.1〜2.5重量部である。
【0052】
有機滑剤としてはパラフィン、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸系滑剤、モンタン酸ワックス等のエステル系滑剤、ベンゾグアナミン、ポリメチルメタアクリレートを主成分とした架橋アクリル樹脂等の有機微粒子があげられる。特に無機滑剤との相乗効果をもたらす有機滑剤は外部滑性を向上させ、且つ樹脂との相溶性の良いものが最適である。このほかに押し出し時の熱安定性を持つ等の条件を満たす必要性があり、ポリエステル樹脂を70重量%以上である樹脂組成物にとってはモンタン酸ワックスがとくに好ましい。
【0053】
このモンタン酸ワックスとは、褐炭の溶剤抽出によって得られる炭素数21〜34の脂肪酸及ぶ脂肪アルコールを主に含有する化石ろうのモンタンワックス、およびこのモンタンワックスをエステル化や部分鹸化したワックスである。具体的には、モンタンワックスを酸化したHoechst WAX S(Hoechst社製)、モンタンワックスをエチレングリコールでエステル化したモンタン酸ジエステルであるHoechst WAX E(Hoechst社製)、モンタンワックスをグリセリンでエステル化したモンタン酸ジエステルであるHostalubWE40(Hoechst社製)、モンタンワックスをブチレングリコールで部分的にエステル化し、残りが水酸化カルシウムで鹸化されている部分鹸化モンタン酸エステルであるHoechst WAX OP(Hoechst社製)が挙げられ、中でもHoechst WAX E、HostalubWE40が好ましい。
【0054】
有機滑剤の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し、0.02〜4重量部が好ましく、0.1〜2.5重量部がより好ましい。さらに好ましい態様は、樹脂組成物100重量部に対し、大粒径粒子0.05〜1重量部および有機滑剤0.05〜1重量部を含んでなる樹脂組成物である。
【0055】
有機滑剤と無機滑剤とを組み合わせることにより耐熱性低下などの問題もなく有効な粒子突起形成と表面滑性が改善され、開口性の向上が図られる。さらに自動装着機でチューブの切断、被覆、収縮加工を行う際、切断部の密着が低減され、また被覆体のチューブへの挿入性が良くなり、安定した加工を行うことが可能となる。
【0056】
またこのような熱収縮チューブは一般的にテープ状に折り畳み、リールに巻き取られてから製品として出荷されることが多いが、このときチューブ表面の滑性が悪いとポリエステルフィルムなどでしばしば発生するブロッキング現象を起こし、チューブ同士が密着し剥がれなくなることがあるが、本発明の樹脂組成物ではこのような問題の改善も図れる。
【0057】
本発明のチューブの製造方法としては、リングダイを用いて未延伸チューブを押出し、ついで延伸して熱収縮性チューブとする方法が最も好ましい態様として挙げられる。その他、TダイやIダイを用いて押出・延伸したフィルムを融着、溶着または接着により貼合せてチューブとする方法、さらに前記チューブまたはフィルムをスパイラル状に貼合せてチューブとする方法などがある。
【0058】
ここで、リングダイを用いて未延伸チューブを押出し、ついで延伸して熱収縮性チューブとする方法をさらに詳細に説明する。前記した樹脂組成物は、溶融押出装置により融点以上の温度に加熱溶融され、リングダイから連続的に押し出した後、強制的に冷却され未延伸チューブに成型される。強制冷却の手段としては、低温の水に浸漬する方法、冷却風による方法等を用いることができる。中でも低温の水に浸漬する方法が冷却効率が高く有効である。この未延伸チューブを連続的に次の延伸工程に供給してもよく、また一度ロール状に巻き取った後、この未延伸ロールを次の延伸工程の原反として用いてもよい。製造効率や熱効率の点から未延伸チューブを連続的に次の延伸工程に供給する方法が好ましい。
【0059】
このようにして得られた未延伸チューブは、チューブ内側より圧縮気体で加圧し、二軸延伸する。延伸法は特に限定されるものではないが、例えば未延伸チューブの一方の端から圧縮気体による圧力を管の内側に加えつつ一定速度で送り出し、次いで温水または赤外線ヒーター等により予熱し、径方向の延伸倍率を規制する延伸温度に加熱した延伸管の中に入れ二軸延伸を行う。延伸管の適当な位置で延伸される様に温度条件等を設定する。延伸後冷却し、一対のニップロールで挟んで延伸圧力を保持しながら延伸チューブとして引き取り巻取られる。延伸は、長さ方向または径方向のいずれの順序でもよいが、同時に行なうのが好ましい。
【0060】
長さ方向の延伸倍率は、未延伸チューブの送り速度と延伸後のニップロール速度との比で決められ、径方向の延伸倍率は未延伸外径と延伸チューブ外径の比で決められる。これ以外の延伸加圧方法として、未延伸チューブ送り出し側と延伸チューブ引き取り側双方をニップロールに挟み封入した圧縮気体の内圧を維持する方法も採用できる。
【0061】
延伸条件は、使用するポリマーの性質および目的のチューブの熱収縮性により異なるが、通常延伸温度はガラス転移温度以上〜140℃、好ましくは70〜100℃である。
【0062】
本発明の熱収縮性チューブは、未延伸チューブをその径方向に1.2〜3.0倍、およびその長さ方向に1.0〜2.0倍延伸させて得られたものが好ましい。さらにチューブの径方向の延伸倍率は1.3〜2.5倍が好ましく、1.4〜2.0倍がより好ましい。チューブの長さ方向の延伸倍率は1.02〜1.5倍が好ましく、1.02〜1.2倍がより好ましい。
【0063】
チューブの径方向の延伸倍率を1.2倍未満とすると十分な収縮量が得られない場合がある。また3倍を超えると高温時にチューブに膨れ、割れが発生しやすくなる。さらにチューブの長さ方向における延伸倍率の制御も困難となりやすい。
【0064】
チューブの長さ方向の延伸倍率が2.0倍を超えると、長さ方向の収縮量が大きくなり、電子部品などに安定して被覆することが困難となり、電子部品の歩留まりが低下する場合がある。
【0065】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の延伸チューブは、100℃の熱水に30秒間浸漬した時の熱収縮率が、チューブの径方向で10〜70%、チューブの長さ方向で40%以下である熱収縮性チューブが本発明の好適な態様としてあげられる。かかる収縮率範囲は、被覆される電気、電子部品などに良好な被覆と耐熱性の両立をもたらす。より好ましい範囲としては、上記熱収縮率がチューブの径方向で15〜50%、チューブの長さ方向で1〜20%である。これら延伸チューブの寸法は特に限定されないが、例えば内径3〜100mmであり、肉厚20〜500μmの熱収縮チューブである。
【0066】
本発明の樹脂組成物は、予め上記各成分をタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押し出し機などの混合機により混合して使用してもよく、また未延伸チューブを押出す押出機の供給口に計量した各成分を直接供給したり、さらには2ケ所以上の供給口を有する押出機の各供給口に別々に計量した成分を供給してもよい。
【0067】
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、その効果が発現する量の各種添加剤、無機充填剤を添加してもよい。各種添加剤としては、上記熱可塑性樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を含有することができる。かかる熱可塑性樹脂以外の他の熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、および各種熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン系、塩化ビニル系、フッ素系[フッ素ゴム]、アイオノマー樹脂、塩素化ポリエチレン、シリコーン系等)などがあげられる。さらにIPN(Interpenetrating Polymer Networks=相互貫通網目構造)技術を使ったアクリルゴムとシリコンゴムの複合ゴム例えば、三菱レイヨン(株)商品名メタブレンS−2001等がある。これらポリエステル樹脂以外の他の熱可塑性樹脂は、1種または2種以上用いることができる。また難燃剤(臭素化ビスフェノール、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノールAのカーボネートオリゴマー、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、赤リンなど)、難燃助剤(アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモンなど)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンなど)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系化合物など)、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、着色剤等が挙げられる。また無機充填剤としては、ガラスビーズ、タルク、マイカなどが挙げられる。
【0068】
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂の加水分解をさける為に、予め水分が0.05重量%以下、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.01重量%以下になる様に乾燥する。例えば、170℃で3時間、150℃で12時間、真空下120℃で24時間等の条件で乾燥する。
【0069】
かくして本発明によれば、上記熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを使用して各種無機材料製品の表面を被覆した製品も提供される。表面の被覆の対象となる製品としては、主成分であるポリエチレンテレフタレート樹脂の特性(絶縁性、耐熱性、耐薬品性、高弾性率等の機械特性)を利用しうるものであればよく、例えば金属材料製品およびガラス製品が挙げられる。具体的には、電球、蛍光灯が示され、殊にファクシミリやイメージスキャナーの蛍光灯被覆チューブとしても利用可能である。また金属材料製品としては、コンデンサ、電線(丸線、角線)、乾電池、リチウムイオン電池等の2次電池、鋼管または電気機器が例示され、この電気機器としてはモーターコイルエンド、トランス、口出線を含み、また小型モーターの全体を被覆することもできる。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。尚、実施例中の代表的な物性は下記の方法で測定した。
【0071】
(1)熱収縮率
長さ10cmの熱収縮チューブを100℃の熱水に30秒間浸漬した前後の長さ、および外径をデジタルノギスにより測定し、下記式より計算した。5サンプルの測定を行いその平均値を算出した。
【0072】
熱収縮率(%)=[[(熱水浸漬前の長さ)−(熱水浸漬後の長さ)]/(熱水浸漬前の長さ)]×100
【0073】
(2)耐衝撃性
熱収縮性チューブに外径18mmのガラス管を挿入し、200℃×20秒で被覆加工した後、この熱収縮したチューブで被覆されたガラス管を3mの高さからコンクリート面に落下させる。その時、チューブにクラックが発生しガラスが飛散していないかどうかを目視で評価する。評価は、それぞれのサンプルにつき10個で行った。
(評価)
○:落下試験後、チューブにクラックの発生がなく、すべてのガラス管においしてガラスの飛散が見られない。
△:落下試験後、チューブにクラックが発生しているが、ガラス管においてガラスの飛散が見られない。
×:落下試験後、チューブにクラックが発生し、ガラス管においてガラスの飛散が見られる。
【0074】
(3)破断伸度
熱収縮性チューブに外径18mmのアルミパイプ管を挿入し、200℃×20秒で被覆加工した後、80℃で2000時間の乾熱処理を行う。その後、そのサンプルをカッターで切り開き、破断伸度をASTM−D638に準拠し測定した。
【0075】
(4)全光線透過率
熱収縮性チューブに外径18mmのアルミパイプ管を挿入し、200℃×20秒で被覆加工した後、80℃で2000時間の乾熱処理を行う。その後、そのサンプルをカッターで切り開き、全光線透過率をJIS K 7105に準拠し測定した。
測定サンプルの厚みは、100μm。
【0076】
(5)開口性
延伸チューブの内面に空気が残らないようにロールにて圧着後、巻き取ったチューブを長さ方向と平行に折り曲げ、下記のように評価した。
○;1回折り曲げただけで口が開き、開口性が良好
△;2回折り返し口が開く
×;3回以上折り返しても口が開かず、開口性が悪い。
【0077】
実施例1〜5および比較例1〜2
表1記載の樹脂組成物を、シリンダー温度280℃に設定した押出し機で溶融しリングダイを通して押出し、水に浸漬、冷却固化して得た未延伸チューブをそのまま98℃温水中、内径18.8mmφの延伸管を使用し、4.9×10Pa(0.5kg/cm)の圧空によりチューブに内圧をかけ表1に示す条件にて延伸後水にて冷却し、表1記載の延伸熱収縮性チューブを得た。得られた熱収縮性チューブの形状および特性を表1に示した。
【0078】
(A成分)芳香族ポリエステル樹脂
PET−1:酸成分がテレフタル酸100モル%、ジオール成分がエチレングリコール96.6モル%、ジエチレングリコール含有量が3.4モル%からなり、[η]=0.85のポリエチレンテレフタレート樹脂
PET−2:酸成分がテレフタル酸100モル%、ジオール成分がエチレングリコール88モル%、ネオペンチルグリコール12モル%からなり、[η]=0.71のネオペンチル共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂
PET−3:酸成分がテレフタル酸98.5モル%、イソフタル酸1.5モル%、ジオール成分がエチレングリコール98モル%、ジエチレングリコール含有量が2モル%からなり、[η]=0.7のポリエチレンテレフタレート樹脂
【0079】
(B成分)芳香族ポリカーボネート樹脂
粘度平均分子量 20,000のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂
【0080】
(C成分)ポリエステル系エラストマー樹脂
TPEE:ハードセグメントが、ポリブチレンテレフタレートで且つソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールからなるポリエーテルエステル樹脂。
【0081】
(D成分)大粒径粒子
粒子−1:平均粒径4.8μm、粒径4.0〜5.3μmの大粒径粒子を13.4重量%、5.3〜7.5μmを16.2重量%、7.5〜11.0μmを15.0重量%、11〜16μmを10.4重量%、16〜22μmを2.6重量%、22〜30μmを0.2重量%含有しているカオリン。(全粒子100重量%中4〜30μmの大粒径粒子を57.8重量%含有)
【0082】
(D成分以外)
粒子−2:平均粒径0.65μm、最大粒径3μmのカオリン
【0083】
(D)有機滑剤
有機滑剤;モンタン酸をエチレングリコールでエステル化したモンタン酸ジエステルであるHoechst社製 Hoechst WAX E
【0084】
【表1】
Figure 2004052963
【0085】
【発明の効果】
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂とある特定範囲の粒径を有した大粒径粒子よりなる樹脂組成物から形成された熱収縮性熱可塑性樹脂チューブは、芳香族ポリカーボネート樹脂を含有させることで、高温時の膨れがなく耐衝撃性、透明性にも優れると共に被覆加工後の外観が良好であることを見出し、さらにある範囲の粒径を有した大粒径粒子を少量含有することによりチューブの開口性にも優れたものである。さらに上記樹脂組成物が有している耐燃焼性、電気特性、耐薬品性を生かすことができかつこれら特性を被覆材料あるいは保護材料として利用することができる熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを提供し、また、上記チューブの工業的に有利な製造方法と前記熱収縮性を利用して種々の製品を被覆あるいは保護した無機材料製品を提供する。
従って従来の塩化ビニル系熱収縮チューブやポリエチレンテレフタレート系チューブで用いられているコンデンサやリチウムイオン電池等の2次電池の絶縁被覆だけでなく、蛍光灯の保護被覆や鋼管の被覆などの用途にも有用である。

Claims (6)

  1. 下記A成分、B成分およびC成分の合計を100重量%としたとき、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A成分)99〜20重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)1〜60重量%およびポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)0〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部と、粒径が4〜30μmの大粒径粒子(D成分)0.05〜4重量部とからなる樹脂組成物から形成された熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ。
  2. 該樹脂組成物がさらに有機滑剤(E成分)0.02〜4重量部を含有する請求項1記載の熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ。
  3. 100℃の熱水中30秒間浸漬した時の熱収縮率が径方向で10〜70%、長さ方向で0〜40%である請求項1または2記載の熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ。
  4. 下記A成分、B成分およびC成分の合計を100重量%としたとき、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A成分)99〜20重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)1〜60重量%およびポリエステル系エラストマー樹脂(C成分)0〜20重量%からなる熱可塑性樹脂組成物100重量部と、粒径が4〜30μmの大粒径粒子(D成分)0.05〜4重量部とからなる樹脂組成物から形成された未延伸熱可塑性樹脂チューブを、径方向に1.2〜3.0倍、長さ方向に1.0〜2.0倍に延伸させることを特徴とする、熱収縮性熱可塑性樹脂チューブの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱収縮性熱可塑性樹脂チューブを用いて表面を被覆した無機材料製品。
  6. 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブは、蛍光灯の被覆用である請求項1記載の熱収縮性熱可塑性樹脂チューブ。
JP2002213689A 2002-07-23 2002-07-23 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品 Withdrawn JP2004052963A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002213689A JP2004052963A (ja) 2002-07-23 2002-07-23 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002213689A JP2004052963A (ja) 2002-07-23 2002-07-23 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004052963A true JP2004052963A (ja) 2004-02-19

Family

ID=31936220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002213689A Withdrawn JP2004052963A (ja) 2002-07-23 2002-07-23 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004052963A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101103030B1 (ko) * 2011-04-29 2012-01-05 (주)폴리텍 이종 재질의 전기 융착식 이음관
CN105400038A (zh) * 2015-11-13 2016-03-16 太仓荣中机电科技有限公司 一种电子产品外壳材料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101103030B1 (ko) * 2011-04-29 2012-01-05 (주)폴리텍 이종 재질의 전기 융착식 이음관
CN105400038A (zh) * 2015-11-13 2016-03-16 太仓荣中机电科技有限公司 一种电子产品外壳材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100225145B1 (ko) 금속판 접합용 적층 폴리에스테르 필름(laminated polyester film to be laminated on metal plate)
US5780158A (en) Biaxially oriented film to be laminated on a metal
JP4306820B2 (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブ、その製造方法およびその利用
JP2000006346A (ja) 多層ポリエステルシート
JP2004052963A (ja) 熱収縮性熱可塑性樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品
JP3856628B2 (ja) 共重合ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる延伸フィルム
JP3323399B2 (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブ、その製造方法およびその利用
JP2002264213A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブおよびかかるチューブにより表面を被覆させた無機材料製品
JP4647120B2 (ja) 熱収縮性ポリエチレンテレフタレートチューブおよびかかるチューブにより表面を被覆された無機材料製品
JP2002264215A (ja) リチウムイオン電池被覆用熱収縮性ポリエチレンテレフタレートチューブ
JP2004189975A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステル樹脂チューブ、その製法および被覆された無機材料製品
JP2002020470A (ja) 共重合ポリエステル樹脂
JP2001233950A (ja) 共重合ポリエステルエーテル及びそれからなるフィルム
JPH1046014A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブ、その製造方法およびその利用
JP2004189974A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステル樹脂チューブ、その製造方法および被覆無機材料製品
JP2005105119A (ja) 熱収縮特性に優れる熱収縮性芳香族ポリエステル樹脂チューブ
JP2002264214A (ja) アルミ電解コンデンサ被覆用熱収縮性ポリエチレンテレフタレートチューブ
JP2004042306A (ja) 熱収縮性非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品
GB2425127A (en) Resin blend composition, sheet and heat-shrinkable sheet comprising the resin blend composition, and shrink label and package
JPH11172020A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブ、その製造方法およびその利用
JP2002264212A (ja) 熱収縮性ポリエチレンテレフタレートチューブおよびかかるチューブにより表面を被覆された無機材料製品
JPH09277478A (ja) 金属ラミネート用2軸延伸フィルム
JP2002264210A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブおよびかかるチューブにより表面を被覆された無機材料製品
JP2004043550A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステル樹脂チューブおよび被覆された無機材料製品
JP2002337230A (ja) 熱収縮性芳香族ポリエステルチューブおよびかかるチューブにより表面を被覆された無機材料製品

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20051004