JP2004048978A - 渦電流減速装置 - Google Patents

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Kenji Imanishi
今西 憲治
Yasutaka Noguchi
野口 泰隆
Shinichiro Hiramatsu
平松 慎一朗
Yasutoku Tani
谷 泰徳
Hiroyuki Yamaguchi
山口 博行
Masahira Tasaka
田坂 誠均
Akira Saito
齋藤 晃
Mitsuo Miyahara
宮原 光雄
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】簡素な構造でありながら、制動効率に優れた渦電流減速装置を提供すること。また、切換ストロークが小さく高速切換が可能な渦電流減速装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る渦電流減速装置は、回転軸に連結された制動ディスクと;磁極面が前記制動ディスクに対面するように配置された複数の永久磁石と;前記永久磁石を前記制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させる駆動機構とを備えている。好ましくは、前記回転軸に連結されない非回転構造部に支持され、前記保持リングを収容し、前記制動ディスクに対向して配置された案内筒を更に備える。そして、前記案内筒において、前記制動ディスクに対面する位置に強磁性材を設ける。あるいは、前記案内筒の前記永久磁石と対向する端面を含む全体が非磁性材で構成する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に装備される主ブレーキを補助する渦電流減速装置に関し、さらに詳しくは、ディスクタイプの制動部材を用いた渦電流減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラックやバス等の自動車用の制動装置には、主ブレーキであるフットブレーキ、補助ブレーキである排気ブレーキの他に長い坂道の降坂等において安定した減速を行い、さらにフットブレーキの焼損を防止するために、渦電流減速装置が使用される。
【0003】
図4は、特公平6−81486号公報で提案された渦電流式減速装置の構成を示す図であり、回転ドラムを用いて永久磁石の極面(磁極面)を制動部材に対向させた方式の構成例が示されている。本明細書の記載において、永久磁石の極面(磁極面)を制動部材に対向させた方式を単に「磁石極面対向方式」と記載する場合がある。
【0004】
【特許文献1】特公平6−81486号公報
【0005】
図4に示す構成例では、永久磁石7を環状に配列する保持リング4と、保持リング4を回転ドラム11の内周面へ接近させる駆動機構5とを回転ドラムの内部に配設している。そして、保持リング4を回転ドラム11の内周面へ接近させることにより、回転ドラムに制動トルクを発生させている。
【0006】
この減速装置の具体的な構成は、回転ドラム11の内部に非磁性環12が結合され、その周方向に複数の強磁性材8が配設される。非磁性環12の内部に半円弧状の保持リング4が径方向移動可能に案内支持されている。保持リング4には、強磁性材8に対向して永久磁石7が結合され、1対の流体圧アクチュエータ5に取り付けられているピストンロッド6によって、弧状の保持リング4の各端部が連結される。そして、上下1対のアクチュエータ5が作動すると、永久磁石7が強磁性材8へ接近し、回転ドラム11の内周面に磁力線を及ぼし、制動トルクを発生する。
【0007】
ところが、図4に示す渦電流減速装置では、多くの問題点を内包しており、これらは回転ドラムを用いることによる問題点と「磁石極面対向方式」を採用したことによる問題点とに区分される。まず、回転ドラムを用いることによる重要な問題は、永久磁石等を収容するステータ(案内筒)が回転ドラムの内周面に覆われているため、放熱性が悪く、制動時の発熱に伴って膨張が著しいことである。この要因による問題の詳細については、後述する。
【0008】
一方、「磁石極面対向方式」を採用したことによる問題としては、流体圧アクチュエータを用いて永久磁石を配列する保持リングを回転ドラムの内周面へ接近させることに起因している。すなわち、提案の減速装置では、回転ドラムの内周の一部に永久磁石を配置できない構造であり、必要な制動力を確保することが困難であり、さらに、永久磁石が形成する磁気回路長が長くなったり、内周面の一部で磁気回路が分断されるため、磁気効率が低下する。また、回転ドラムに対して永久磁石を垂直に、かつ均等に離隔できる機構ではないため、永久磁石を非制動の位置まで後退させるために、大きなストロークを取らなければならない。
【0009】
前述の通り、回転ドラムを採用した渦電流式減速装置では、その構造上、制動時における放熱性の問題がある。具体的には、制動時に回転ドラムが発熱すると外周部が膨張する。これを吸収するためには、複雑なドラム支持の設計が必要となり、ドラム構造が複雑となる。さらに、回転重量が半径方向の外周側に集中するため、回転バランスの調整が難しく、遠心力による過大な応力により耐久性が低下したり、寸法変動が生じ易いという問題がある。
【0010】
ところで、永久磁石と回転ドラム内周面との距離を調整することによって、制動トルクの調整が可能になるが、エアギャップを調整するためには回転ドラムの内径を拡大及び縮小する必要がある。そうなると、回転ドラム構成部品の共通化が損なわれてしまう。
【0011】
このため、近年では、回転ドラムを用いたドラムタイプに替え、ディスクタイプの渦電流減速装置が多数提案されている(例えば、特開2000−35835号公報、特開2001−28876号公報)。
【0012】
【特許文献2】特開2000−35835号公報
【特許文献3】特開2001−28876号公報
【0013】
図5は、特開2001−28876号公報で提案されたディスクタイプ渦電流減速装置の実施例を示す。同図に示すように、この減速装置では、永久磁石7を磁石支持輪4の側面に配置し、その磁極の方向を径方向に沿うようにしている。永久磁石7の外面の極性は、周方向に交互に異なるように配設される。各永久磁石7の外面と内面とに1対の磁極部材8の基端面が対向しており、磁極部材8の先端は斜めに屈曲され、側面が制動ディスク2に対向している。そして、永久磁石7からの磁界による渦電流が制動ディスク2で発生して、制動力が生じる。一方、非制動時には、永久磁石7は後退し、永久磁石7を挟む短絡筒10の間に短絡的磁気回路が生じ、制動ディスク2には磁界を及ぼさない構造となっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す渦電流減速装置では、制動時の磁気回路が斜めになっているため、磁気回路が長くなり、磁気の短絡も生じ易くなる。その結果、磁気効率が悪化することになる。さらに、永久磁石7の両極面と対向する磁極部材8との間に所定の隙間が必要となり、磁気回路上のエアーギャップが大きくなると同時に、制動ディスクに作用する磁気が半径方向に分散される。これによっても、磁気効率が悪化することになる。
【0015】
さらに、上述の渦電流減速装置では、非制動時には、永久磁石7を短絡筒10まで後退して、磁極部材8から完全に離脱しなければならない。このため、大きな制動力を得るために永久磁石の寸法を大きくしたような場合には、制動時から非制動時への切換に際し、永久磁石を後退させるストローク(以下、単に「切換ストローク」という)を大きくする必要がある。その結果、減速装置自体が大型化するとともに、制動の切換に長時間を要することになる。
【0016】
本発明は、上述のような状況に鑑みてなされたものであり、簡素な構造でありながら、制動効率に優れた渦電流減速装置を提供することを目的とする。
【0017】
また、切換ストロークが小さく高速切換が可能な渦電流減速装置を提供することを他の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る渦電流減速装置は、回転軸に連結された制動ディスクと;磁極面が前記制動ディスクに対面するように配置された複数の永久磁石と;前記永久磁石を前記制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させる駆動機構とを備えている。
【0019】
上記のように、永久磁石を制動ディスクに対向させて接近させ、ディスク自体に制動トルクを発生させる方式であるため、永久磁石の磁力線を短い磁路長さで制動ディスクに付加できる。これにより、磁気回路の磁気抵抗が小さくなり、制動トルクの発生効率が向上する。制動効率の向上の結果として、比較的小型の永久磁石が採用でき、軽量化、コンパクト化、さらに低コスト化が図れる。
【0020】
好ましくは、非回転構造部に支持され、前記保持リングを収容し、前記制動ディスクに対向して配置された案内筒を更に備える。そして、案内筒において、前記制動ディスクに対面する位置に強磁性材を設けることができる。あるいは、前記案内筒の前記永久磁石と対向する端面を含む全体を非磁性材で構成する。
【0021】
【発明の実施の形態】
ドラムタイプまたはディスクタイプの減速装置に拘わらず種々の検討を加えた結果、軽量でコンパクトな渦電流減速装置としては、下記の(a)〜(c)の知見を得た。
【0022】
(a)ディスクタイプでは、案内筒(ステータ)を発熱部であるディスクの外部に露出した構造にできるので、放熱性に優れている。従って、案内筒内の磁石温度の上昇による制動力の低下が生じにくいという利点を有する。また、冷却フインも平板上のディスクに取り付けられるため、その形状設計も容易である。
【0023】
(b)制動時に渦電流減速装置が高温になった場合、ドラムタイプではドラムが半径方向に膨張し、永久磁石または強磁性材(ポールピース)とドラムの距離が拡大する。すなわち、エアギャップが拡大し、その結果制動力が低下する。これに対して、ディスクタイプの渦電流減速装置は、ディスクが半径方向に膨張しても、エアギャッブは変動しないため、フェード特性(制動時間に伴って制動力が低下する現象)に優れる。また、初期のエアギャップの増減によって制動力を調整する場合、ドラム式ではドラムの機械加工(内径の拡大によるエアギャッブの増加)や再作製が必要である。それに対して、ディスクタイプは、ディスクの回転軸方向の位置を調整するだけで、エアギャップを増減することができ、構成部品をほとんど変更せずに制動力の調整が容易である。
【0024】
(c)ディスクは耐久性(耐バースト強度)を有し、加熱面の点検、整備が容易であリ、メンテナンス性にも優れる。すなわち、ディスクが疲労等により補修する必要が生じた場合でも、簡単なメンテナンス、例えばディスク面の面削等によって再使用が可能になるなど、リサイクル性にも優れる。
【0025】
そこで、本発明の渦電流減速装置では、ディスクタイプを採用することにした。それによって本発明は、放熱性に優れるとともに、制動トルクの調整が簡易で、メンテナンス性やリサイクル性にも優れた装置構成とすることができる。
【0026】
また、ディスクタイプの渦電流減速装置を対象に「磁石極面対向方式」を採用した。これにより本発明の装置は、磁石からの磁力線を短い磁路長さで、直接、制動ディスクに付加できるので、制動トルクの発生効率が向上する。
【0027】
図3は、本発明における制動ディスクの非回転時(制動時)の磁石吸引力と切換ストロークとの関係を示す図である。切換ストロークは、永久磁石の制動ディスクに対面する磁極面と、この磁極面に対向する案内筒の端面との距離から算出している。吸引力を測定する為のロードセルを、シリンダのロッド先端部と磁石保持リングとの締結部の間に設ける。そして、シリンダにシムを装入して前記の切換ストロークを変えて前記のロードセルで吸引力を求めている。
【0028】
図3に示すように、磁石吸引力は、前記の案内筒の端面からの距離の(−n)乗曲線に沿って減衰する。従って、切換ストロークを10〜30mm確保すれば、制動時と非制動時の切換ができる。換言すれば、制動時の吸引力は約2000kgfであるが、切換ストロークを10〜30mm確保することによって、永久磁石の磁力線が制動ディスクに及ばなくなると同時に、磁気漏れが問題にならなくなる。つまり本発明は、永久磁石を制動ディスクに対向近接させて制動可能な位置から、制動ディスクと離間させて非制動となる位置までの切換ストロークを短くできる。このように本発明の渦電流減速装置では、切換ストロークを10〜30mm程度まで短くできるので、これにより装置の小型化及び切換速度の高速化が図れる。
【0029】
そこで、本発明の第1の態様は、例えば次の様な構成としている。回転軸に取り付けられた制動ディスクと、非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と、この案内筒の内部に収容され、回転軸方向に移動可能な保持リングと、この保持リングの周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石と、この永久磁石と対向するように前記案内筒の端面に配設された強磁性材とを設け、前記永久磁石を制動ディスクに対向近接させて制動可能な位置から制動ディスクと離間させて非制動となる位置まで移動が自由にできる構成の渦電流減速装置である。
【0030】
永久磁石を用いた渦電流減速装置であっても、案内筒が発熱源であるドラムに覆われたドラムタイプに比べディスクタイプであれば、案内筒を発熱部である制動ディスクの外部に露出した構造にできるので、案内筒そのものの放熱性が優れる。すなわち、案内筒への入熱量が同等であるとしても、ディスクタイプの案内筒では、外気と直接接する構造にでき、積極的に放冷可能な面積を増加させているので、ドラムタイプに比べ案内筒内の温度上昇を抑制できる。
【0031】
さらに、装置の構造をディスクタイプにすることによって、ドラムタイプに比べ、冷却フインを取り付けることが容易となり、発熱源である制動ディスクの放熱能力を増大させることができる。そこで、本発明者らは、ディスクタイプである「磁石極面対向方式」の案内筒を対象として、その内部に収容されている永久磁石温度の時間的な変化について調べた。
【0032】
図7は、ドラムタイプとディスクタイプでの制動時における案内筒内部での温度の時間的な変化を比較した図である。温度は、永久磁石のドラムあるいはディスクと対向する面上で測定した。同図の結果は、ドラムタイプ及びディスクタイプともに、同等の制動トルク、すなわち、同等の発熱量を有する渦電流減速装置について比較したものである。図中の記号は、To:永久磁石の初期温度、T:永久磁石の内部温度、Tdmax:ドラムタイプでの永久磁石最高温度、t:制動時間、及びtend:制動終了時間を示している。
【0033】
図7に示す結果から、両者の制動トルクに差がないとしても、ディスクタイプの案内筒であれば、外気と接し積極的に放冷可能な構造を確保できることから、永久磁石の温度上昇を抑制できることが分かる。その結果、永久磁石と制動ディスクとの距離を小さくすることが可能になり、強磁性体(ポールピース)を用いずに磁気回路を構成したとしても、十分な制動トルクを確保することができる。
【0034】
そこで本発明の第2の態様は、例えば、次のような構造としている。回転軸に取り付けられた制動ディスクと、非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と、この案内筒の内部に収容され、前記制動ディスクの回転軸方向に移動可能な保持リングと、この保持リングの周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石とを設け、この永久磁石を回転軸方向に移動自在とした渦電流減速装置であって、前記案内筒の永久磁石と対向する端面を含む全体を非磁性材で構成している。
【0035】
ここで、「制動ディスクの側方に配置」とは、「制動ディスクに対向して配置」と同義であり、制動ディスクの制動面(主面)に対面する状態を言う。
【0036】
本発明の第2の態様に係る渦電流減速装置では、永久磁石と対向する端面を含む案内筒により永久磁石を覆うようにしているので、永久磁石の磁極面が異物によって損傷し、または湿気によって錆が生じる恐れがない。本発明では、案内筒に用いる非磁性材として、アルミニウム、ステンレス鋼、樹脂等を選択することができる。
【0037】
さらに、本発明の渦電流減速装置では、案内筒を薄肉材で構成してもよい。それにより案内筒全体の軽量化が出来るので、小型、軽量型の装置を実現できる。この場合、案内筒を部分的に補強すると、その強度を維持することができる。
【0038】
【実施例】
本発明の渦電流減速装置の構成を、以下、図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施例に係る渦電流減速装置を示す。図1は、制動時における渦電流減速装置の構成を示す断面図であり、図2は、非制動時における渦電流減速装置の構成を示す断面図である。
【0039】
本実施例の渦電流減速装置では、回転軸1に取り付けられた制動ディスク2と、この制動ディスク2の側方に配置された非磁性体からなる案内筒3を含む。案内筒3は車両等の非回転部分に支持されている。その内部には、制動ディスク2の制動面に対し垂直方向に前後進可能な、つまり制動ディスク2に近づく方向と離れる方向とに移動可能な強磁性体からなる保持リング4が収容される。さらに、案内筒3には保持リング4を前後進させるシリンダ5が設けられている。一方、案内筒3の制動ディスクと対向する端面には、強磁性体からなるポールピース8が配置される。
【0040】
図6に示すように、保持リング4の制動ディスク2と向き合う面には、複数の永久磁石7が周方向に等間隔で配置されている。磁石7の磁極面は制動ディスク2の制動面に対向している。隣接する永久磁極の磁極面の磁極(極性)が互いに逆向きになるように配置されている。各永久磁石7の磁極面に対向するポールピース8は、周方向に永久磁石と対をなすように複数配置される。ポールピースの厚さは特に規定されないが、薄い方が望ましく、例えばポールピースの厚さを3mmで構成する。具体的なポールピースの取り付けは、例えば、アルミニウムからなる案内筒3を鋳造する際に、強磁性材を一体として鋳込むことで可能である。
【0041】
永久磁石の駆動機構としては、案内筒3の外端壁にはシリンダ5が配置される。シリンダ5からピストンロッド6が、案内筒3の外端壁を貫通して保持リング4に結合している。このように構成することによって、シリンダ5の作動により制動ディスク2に対し垂直方向に、保持リング4を前後進させることができる。
【0042】
次に、本実施例の渦電流減速装置の作動について説明する。制動時には、図1の矢印で示すように、シリンダ5のピストン6が右方へ移動し、保持リングが制動ディスク2に対し垂直方向に前進し、永久磁石7が制動ディスクに対向して接近する。図1の構成では、永久磁石7とポールピース8の間隔は0.5mmを想定している。
【0043】
このとき、各永久磁石7が、ポールピース8を経て制動ディスク2の制動面に磁力線を及ぼす。回転する制動ディスク2が、この磁力線を横切る時、磁気誘導により制動ディスク2に渦電流が流れ、制動トルクが発生する。
【0044】
非制動に切り換える際には、シリンダ5の作動を切り換えて、図2の矢印で示すように、ピストン6に直結された保持リング4を左方へ移動させる。永久磁石7がポールピース8から離れ、永久磁石7が制動ディスク2へ及ぼす磁力線は弱くなる。本発明の構成であれば、切換ストロークSを10〜30mm確保すれば、制動ディスクには殆ど制動トルクが発生せず、また、磁気漏れは問題にならない。
【0045】
図1及び図2に示す実施例では、保持リングをシリンダで移動させる構造としたが、本発明の装置ではこれに限定されるものではなく、他に保持リングを移動可能な駆動装置を用いてもよい。
【0046】
上述のように本発明の第1の実施例に係る渦電流滅速装置によれば、ディスクタイプの減速装置を対象として「磁石極面対向方式」を採用するので、直接、磁石から制動ディスクに磁力線を与えることができ、制動効率に優れる。また、シンプルな構造設計から部品点数が少なく、製造コストが安価となる。しかも、切換ストロークが小さく高速切換が可能であることから、軽量化及びコンパクト化が図れ、小型車にも搭載が可能になる。
【0047】
永久磁石は温度依存性が強く、一定温度以上になると磁力が低下し、制動トルクが低減される。そこで、永久磁石の昇温を抑制するため、永久磁石と発熱源である制動ディスク間に適当な距離を設ける必要がある。しかし、永久磁石の磁極面と制動ディスクとの距離が拡大すると制動トルクが低下するので、強磁性材(ポールピース)を両者の間に介在させて、磁気回路上の磁気抵抗を小さくし、制動効率を低下させないように調整することが必要となる。
【0048】
永久磁石の磁極面が露出していると、異物による損傷や湿気による錆が生じる恐れがある。強磁性材(ポールピース)は、永久磁石を覆っているので、磁極面の損傷や発錆等を排除している。このことから、図1及び図2に示す渦電流減速装置において、永久磁石と対向するように案内筒の端面に強磁性材(ポールピース)を設けている。
【0049】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は、永久磁石を収容する案内筒の全体を非磁性材で構成する。本実施例は、強磁性材(ポールピース)を設けなくとも、永久磁石からの磁力線を短い磁路長さで、直接、制動ディスクに付加できるので、制動トルクの発生効率を向上させることができる。
【0050】
図8は、本発明の第2の実施例に係る渦電流減速装置の構成を説明する図である。この渦電流減速装置では、回転軸1に取り付けられた制動ディスク2と、この制動ディスク2の側方に配置された非磁性体からなる案内筒3を含む。案内筒3は車両等の非回転部分に支持されている。その内部には、制動ディスク2の回転軸方向に前後進可能な、つまり制動ディスク2に近づく方向と離れる方向とに移動可能な強磁性体からなる保持リング4が収容される。さらに、案内筒3には保持リング4を前後進させるシリンダ5が設けられている。一方、案内筒3はその制動ディスクと対向する端面に、強磁性体(ポールピース)が配置されることなく、非磁性材で構成されている。
【0051】
保持リング4の制動ディスク2と向き合う面には、複数の永久磁石7が周方向に配置されている。磁石7の磁極面は制動ディスク2の制動面に対向しており、隣接する永久磁石の磁極面の磁極(極性)が互いに逆向きに配置されている。保持リング4及び永久磁石7を収容する案内筒は、アルミニウム、ステンレス鋼、樹脂等非磁性材で構成される。その厚さは特に規定されないが、案内筒の永久磁石と対向する端面は薄い方が望ましく、例えば実施例2では案内筒端面の厚さをlmm程度と想定している。
【0052】
永久磁石の駆動機構は、案内筒3の外端壁にシリンダ5が配置される。シリンダ5からピストンロッド6が、案内筒3の外端壁を貫通して保持リング4に結合したものである。このように構成することによって、シリンダ5の作動により制動ディスク2の回転軸方向に、保持リング4を前後進させることができる。
【0053】
図9は、本発明の第3の実施例に係る渦電流減速装置を示す。装置の小型、軽量化を達成するため、本実施例は、永久磁石7と対向する端面に限らず、案内筒3全体を非磁性材からなる薄肉材で構成している。例えば、実施例2では案内筒3の厚さを2mm程度と想定している。
【0054】
第3の実施例における他の装置構成及び作用は、第2の実施例の場合と同様である。第3の実施例では、案内筒3全体を薄肉材で構成したため、案内筒3の端面外周部に補強部材3aを配置し、案内筒3全体の強度を維持するようにしている。
【0055】
図10は、本発明の第4の実施例に係る渦電流減速装置を示す。本実施例は、案内筒3全体を薄肉材で構成する。そして、案内筒3の内部に内部補強および保持リングのガイドを兼ね備えたガイドチューブ3bを設けて、それを二重管構造にしている。このように案内筒を二重管構造にすることによって、案内筒をさらに薄肉化することが可能になり、装置の小型化、軽量化を達成することができる。
【0056】
第4の実施例においても、案内筒3の端面外周部に補強部材3aを配置し、案内筒3全体の強度を維持するようにしてもよい。
【0057】
本発明に係る渦電流減速装置では、磁石とディスクの距離を小さくしても、永久磁石温度の上昇を抑制できる。また本発明は、永久磁石からの磁束を充分に制動ディスクに付加でき、制動トルクの発生効率を向上させることができる。すなわち、本発明は、制動時の磁気効率を損なうことないので、強磁性体(ポールピース)を用いなくとも良い。これにより、簡易な構造で、装置の小型化、軽量化が図れ、車両への搭載性及び経済性に優れた渦電流減速装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例に係る渦電流減速装置の構成を示す断面図であり、制動時の状態を示す。
【図2】図2は、第1の実施例に係る渦電流減速装置の構成を示す断面図であり、非制動時の状態を示す。
【図3】図3は、制動ディスクの非回転時(制動時)における磁石吸引力と切換ストロークとの関係を示す図である。
【図4】図4は、先願の公報で提案された、回転ドラムを用いた「磁石極面対向方式」の渦電流式減速装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、先願の公報で提案されたディスクタイプ渦電流減速装置の実施例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施例の要部の構造を示す図であり、(A)が平面図(側面図)であり、(B)が(A)のA−A‘方向の断面を示す。
【図7】図7は、ドラムタイプとディスクタイプでの制動時における案内筒内部での温度上昇状況を比較した図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施例に係る渦電流減速装置を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施例に係る渦電流減速装置を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4の実施例に係る渦電流減速装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1:回転軸
2:制動ディスク
3:案内筒
3a:補強部材
3b:ガイドチューブ
4:保持リング
5:シリンダ、駆動装置(アクチュエータ)
6:ピストンロッド
7:永久磁石
8:強磁性材、磁極部材、ポールピース
10:短絡筒
11:回転ドラム
12:非磁性環

Claims (9)

  1. 回転軸に連結された制動ディスクと;
    磁極面が前記制動ディスクに対面するように配置された複数の永久磁石と;
    前記永久磁石を前記制動ディスクに近づく方向と離れる方向とに移動させる駆動機構とを備えたことを特徴とする渦電流減速装置。
  2. 前記複数の永久磁石は、隣り合う永久磁石の磁極面の磁極が逆向きになるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の渦電流減速装置。
  3. 前記駆動機構は、前記永久磁石を保持して移動可能な保持リングを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の渦電流減速装置。
  4. 前記回転軸に連結されない非回転構造部に支持され、前記保持リングを収容し、前記制動ディスクに対向して配置された案内筒を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の渦電流減速装置。
  5. 前記案内筒において、前記制動ディスクに対面する位置に強磁性材を設けたことを特徴とする請求項4に記載の渦電流減速装置。
  6. 前記案内筒の前記永久磁石と対向する端面を含む全体が非磁性材で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の渦電流減速装置。
  7. 前記案内筒は、アルミニウム、ステンレス鋼又は樹脂で成形されることを特徴とする請求項6に記載の渦電流減速装置。
  8. 回転軸に取り付けられた制動ディスクと;
    非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と;
    この案内筒の内部に収容され、回転軸方向に移動可能な保持リングと;
    この保持リングの周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石と;
    この永久磁石と対向するように前記案内筒の端面に配設された強磁性材とを設け、
    前記永久磁石を制動ディスクに対向近接させて制動可能な位置から制動ディスクと離間させて非制動となる位置まで移動自在にすることを特徴とする渦電流減速装置。
  9. 回転軸に取り付けられた制動ディスクと;
    非回転部分に支持されて前記制動ディスクの側方に配置された案内筒と;
    この案内筒の内部に収容され、前記制動ディスクの回転軸方向に移動可能な保持リングと;
    この保持リングの周方向に前記制動ディスクに対向して、隣接する磁極が互いに逆向きに配した複数の永久磁石とを設け、
    この永久磁石を回転軸方向に移動自在とした渦電流減速装置であって、
    前記案内筒の永久磁石と対向する端面を含む全体が非磁性材で構成されていることを特徴とする渦電流減速装置。
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