JP2004047512A - 吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置 - Google Patents
吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】静電吸着された被吸着物の吸着状態をリアルタイムで検出可能な、吸着状態判別方法および静電吸着構造、ならびに、汎用性の高い装置構成で、被処理体の吸着状態を高い信頼性で判別可能な吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着構造および処理装置を提供する。
【解決手段】制御装置100は、静電チャック21上のウェハWの温度プロファイルを、放射温度計35によって、リアルタイムでモニタしている。ウェハWは、ヒータ層19によって所定温度に加熱される。制御装置100は、ウェハWと誘電体28との吸着状態の変化に基づく温度プロファイルの変化から吸着状態を判別する。
【選択図】 図2
【解決手段】制御装置100は、静電チャック21上のウェハWの温度プロファイルを、放射温度計35によって、リアルタイムでモニタしている。ウェハWは、ヒータ層19によって所定温度に加熱される。制御装置100は、ウェハWと誘電体28との吸着状態の変化に基づく温度プロファイルの変化から吸着状態を判別する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被載置物を静電気力によって吸着保持する、吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、液晶表示装置等の製造工程において、半導体ウェハ等の被処理基板を所定の位置に保持する構造として、静電チャックが用いられている。静電チャックは、静電気力(クーロン力)を用いて基板を吸着保持する。静電チャックは、真空中でも利用可能であることなどから、プラズマエッチング等のプラズマ処理に好適に利用可能である。
【0003】
静電チャックは、誘電体と、電極と、から構成される。誘電体は、セラミック、樹脂等の絶縁性材料から構成される。基板は、誘電体に形成された載置面上に載置され、後述するように静電気力によって吸着される。また、電極は、誘電体の内部に埋め込まれている。電極は平板状に形成され、誘電体を介して基板に対向するようそれぞれ配置される。
【0004】
電極には直流電圧が印加される。直流電圧の印加により、電極と重なる誘電体の表面には、印加電圧の極性と逆極性の電荷がそれぞれ誘起される。誘電体表面に誘起された電荷により、基板の裏面にこれとは逆の極性の電荷が誘起される。これにより、基板の裏面と誘電体の載置面との間に静電気力が発生し、基板は誘電体表面に吸着保持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
静電チャックを用いて基板を吸着して所定の処理を行う場合、基板の吸着時と、基板の吸着解除時と、において、以下の(1)および(2)のような問題がある。
【0006】
(1)静電チャックへの吸着は、電極への電圧の印加を停止することにより解除される。しかし、電圧の印加を停止した後にも、基板および誘電体の表面には電荷が残留する。このような残留電荷は、基板と静電チャックとの間のいわゆる残留吸着力を形成する。基板の静電チャックからの離脱は、例えば、静電チャックを貫通するリフトピンの上昇により行われる。残留吸着力がリフトピンの突き上げ圧力よりも大きい場合などには、離脱時の基板の変形、離脱の失敗などが起きるおそれがある。
【0007】
このため、残留電荷は、電圧印加の停止の後、速やかに除去する(除電する)必要がある。除電は、例えば、誘電体および基板をアルゴンガス等のプラズマ(除電プラズマ)に曝露することにより行われる。
【0008】
除電は、残留吸着力が所定の力、例えば、リフトピンの突き上げ圧力よりも小さくなるように行われる。このため、基板の離脱タイミング(リフトピンの上昇タイミング)は、例えば、除電プラズマの生成後から所定時間後というように設定される。
【0009】
安定な基板の離脱を確保するため、離脱タイミングは、基板および静電チャックを十分に除電するためのマージンをとって設定されている。従って、設定された離脱タイミングは、基板等の実際の除電時間よりも大きく、マージンの分だけ実質的なスループットは低い。マージンを削減することにより、スループットは向上可能であるが、基板の安定な離脱が保証されなくなる。
【0010】
残留吸着力、すなわち、基板の吸着状態をリアルタイムで検出することにより、スループットと離脱安定性とを最適化させることができるが、除電時の基板の吸着状態をリアルタイムで検出する方法はこれまで開発されていない。このように、基板の静電チャックへの吸着状態をリアルタイムで検出して、速やかかつ安定な基板の離脱方法は、従来なかった。
【0011】
(2)基板が静電チャック上に載置された際、異物の存在などにより基板が正常な位置に吸着されなかった場合、基板が異常に加熱される場合がある。異常な加熱は、基板に形成された素子の破壊等をもたらし、歩留まりを低下させる。このため、基板が静電チャック上に正常な位置に吸着されているかどうかを確認する方法が必要とされる。基板の載置状態を確認する方法として、基板と静電チャックとの間に供給されたガスの漏れ量から判断する方法、または、処理後の基板を検査する方法が知られている。
【0012】
ガスの漏れ量を検出する方法において、ガスは、ヒータ構造の上に設けられた静電チャックの表面と、基板の裏面と、の間の熱伝導率を向上させる伝熱ガスとして供給される。ガスの漏れ量は、ガスの供給圧から求められる。しかし、この方法は、加熱構造が異なり、伝熱ガスを用いない装置構成では使用することができない。
【0013】
また、処理後の基板を検査する方法では、製造不良が基板の異常な載置に起因することをすぐに判別することはできず、複数枚の基板を不良としてしまう。このため、歩留まりおよびスループットが低下するおそれがある。
このように、汎用性の高い装置構成で、静電チャックによる基板の吸着状態をリアルタイムで検出可能な方法は、従来なかった。
【0014】
上記事情を鑑みて、本発明は、静電吸着された被吸着物の吸着状態をリアルタイムで検出可能な、吸着状態判別方法および静電吸着装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、静電吸着された被処理体の、速やかな離脱の可能な離脱方法、処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、汎用性の高い装置構成で、被処理体の吸着状態を高い信頼性で判別可能な吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る吸着状態判別方法は、
電極を内包する誘電体上に載置され、前記電極への直流電圧の印加により前記誘電体に静電気力によって吸着された被吸着物の吸着状態を判別する吸着状態判別方法であって、
前記直流電圧印加後の前記被吸着物の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記被吸着物の温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別する吸着状態判別工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0016】
上記吸着状態判別方法において、前記吸着状態判別工程では、前記被吸着物が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別してもよい。
【0017】
上記吸着状態判別方法において、さらに、前記誘電体上の前記被吸着物を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る離脱方法は、
電極を内包する誘電体上に載置され、前記電極への所定極性の直流電圧の印加により前記誘電体に静電気力によって吸着された被吸着物を、前記誘電体から離脱させる離脱方法であって、
前記電極への前記直流電圧の印加を停止する工程と、
前記直流電圧の印加停止後に前記被吸着物に残留する電荷を除去する電荷除去工程と、
前記電荷除去工程における前記被吸着物の温度プロファイルをモニタする工程と、
モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被吸着物を前記誘電体から離脱させるタイミングを決定する離脱タイミング決定工程と、
前記離脱タイミング決定工程で決定された前記離脱タイミングに、前記被吸着物を前記誘電体から離脱させる工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0019】
上記離脱方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別してもよい。
【0020】
上記離脱方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物と前記誘電体との間に、前記残留する電荷によって形成される静電気力が最も弱まる時点を、前記離脱タイミングとして決定してもよい。
【0021】
上記離脱方法は、さらに、前記誘電体上の前記被吸着物を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0022】
上記離脱方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物の温度が前記所定温度から最も変化した時点に基づいて前記離脱タイミングを決定してもよい。
【0023】
上記離脱方法において、前記電荷除去工程では、前記電極に、前記所定極性の前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加してもよい。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る処理方法は、
電極を内包する誘電体上に被処理体を載置する工程と、
前記電極に所定極性の直流電圧を印加して、前記被処理体を前記誘電体に静電気力によって吸着させる工程と、
前記誘電体に吸着された前記被処理体に所定の処理を施す工程と、
前記直流電圧印加後の前記被処理体の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記被処理体の温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記処理を制御する制御工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0025】
上記処理方法は、さらに、前記誘電体上の前記被処理体を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0026】
上記処理方法において、前記制御工程では、前記被処理体の前記誘電体上への載置状態を判別してもよい。
【0027】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係る処理方法は、
電極を内包する誘電体上に被処理体を載置する工程と、
前記電極に所定極性の直流電圧を印加して、前記被処理体を前記誘電体に静電気力によって吸着させる工程と、
前記誘電体に吸着された前記被処理体に所定の処理を施す工程と、
前記処理の後、前記電極への前記直流電圧の印加を停止する工程と、
前記被処理体および前記誘電体に残留した電荷を除去する電荷除去工程と、
前記電荷除去工程中の前記被処理体の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱タイミングを決定する離脱タイミング決定工程と、
前記離脱タイミング決定工程で決定された前記離脱タイミングに、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0028】
上記処理方法において、前記タイミング決定工程では、前記被処理体が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別してもよい。
【0029】
上記処理方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被処理体と前記誘電体との間に、前記残留する電荷によって形成される静電気力が最も弱まる時点を、前記離脱タイミングとして決定してもよい。
【0030】
上記処理方法は、さらに、前記誘電体上の前記被処理体を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0031】
上記処理方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被処理体の温度が前記所定温度から最も変化した時点に基づいて前記離脱タイミングを決定してもよい。
【0032】
上記処理方法において、前記電荷除去工程では、前記電極に、前記所定極性の前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加してもよい。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明の第5の観点に係る静電吸着装置は、
電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、被吸着物が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記被吸着物の温度を測定するための温度測定手段と、
前記温度測定手段が測定した前記被吸着物の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別する吸着状態判別手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0034】
上記目的を達成するため、本発明の第6の観点に係る処理装置は、
内部で被処理体に所定の処理が施されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、前記被処理体が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記誘電体上の前記被処理体の温度を測定するための温度測定手段と、
前記温度測定手段が測定した前記被処理体の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記処理を制御する制御手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0035】
上記目的を達成するため、本発明の第7の観点に係る処理装置は、
内部で被処理体に所定の処理が施されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、その表面に前記被処理体が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記電極への直流電圧の印加の開始と停止とを切り替える給電切替手段と、
前記誘電体上の前記被処理体の温度を測定するための温度測定手段と、
前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱手段と、
前記電極への前記直流電圧の印加停止後の前記被処理体の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱タイミングを決定し、前記離脱手段によって前記被処理体を離脱させる制御手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0036】
上記処理装置は、さらに、前記電極に印加される直流電圧の極性を切り替える極性切替手段を備えてもよく、
前記制御装置は、前記直流電圧の印加停止後の前記電極に、前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加してもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る処理装置について、以下図面を参照して説明する。第1の実施の形態は、本発明を、被処理体である半導体ウェハ(以下、ウェハW)にプラズマエッチングを施すプラズマエッチング装置に適用した例である。
【0038】
図1に、第1の実施の形態に係る処理装置11の構成を示す。図1に示す処理装置11の行う一連の動作は、制御装置100によって制御される。
【0039】
図1に示すように、第1の実施の形態の処理装置11は、略円筒形状のチャンバ12を備える。チャンバ12は、アルマイト処理されたアルミニウム等から構成されている。チャンバ12は、接地されている。
【0040】
チャンバ12の下部には、排気管13が接続されている。排気管13は、真空引き可能なポンプ14に接続され、チャンバ12内は、数Pa程度まで減圧可能となっている。
【0041】
チャンバ12の底部には、セラミック等の絶縁体からなる支持板15が設けられている。支持板15の上には、略円筒状のサセプタ16が設けられている。サセプタ16は、後述するように、ウェハWの載置台として、および、プラズマ生成用の下部電極として機能する。
【0042】
サセプタ16は、表面がアルマイト処理されたアルミニウム等から構成される。サセプタ16およびその周辺部分を拡大した図を図2に示す。図2に示すように、サセプタ16は、略円筒形状に形成されている。サセプタ16本体の上面には、平坦面が設けられている。
【0043】
サセプタ16には、その内部に冷媒流路17が形成されている。冷媒流路17には、チラー(冷媒)が導通可能であり、サセプタ16およびその近傍を所定の温度に調節する。また、サセプタ16には、これを上下に貫通する貫通孔18が設けられている。
【0044】
サセプタ16上には、ヒータ層19が設けられている。ヒータ層19は、抵抗体20が埋設された平板状の絶縁体層から構成されている。絶縁体層は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックから構成される。ヒータ層19により、サセプタ16上に載置されたウェハWは、所定温度に加熱される。
【0045】
ヒータ層19の上には、平板状の静電チャック21が設けられている。静電チャック21の上面は、ウェハWの載置面を構成する。また、後述するように、静電チャック21は、載置されたウェハWを静電気力で吸着し、保持する。静電チャック21は、ヒータ層19によって所定の温度に保持される。
【0046】
サセプタ16およびヒータ層19内には、例えば、ヘリウムガスなどの伝熱ガスの流路(図示せず)が形成されている。静電チャック21上に保持されたウエハWの裏面に伝熱ガスを供給することによって、ウエハWと静電チャック21との間の熱伝達は均一となり、伝熱効率が向上される。
【0047】
ヒータ層19および静電チャック21は、サセプタ16よりも小径に形成されている。サセプタ16上面の周縁には、ヒータ層19および静電チャック21を囲む、環状のフォーカスリングが設けられている。フォーカスリングは、内側フォーカスリング22と、外側フォーカスリング23と、から構成されている。
【0048】
内側フォーカスリング22は、単結晶シリコン等の導電性材料から構成されている。内側フォーカスリング22は静電チャック21の外径とほぼ同じ内径を有し、その外周を包囲する。内側フォーカスリング22は、プラズマ中のイオンを効果的にウエハWに入射させる機能を有している。
【0049】
外側フォーカスリング23は、石英等の絶縁性材料から構成されている。外側フォーカスリング23は、内側フォーカスリング22の外径とほぼ同じ内径を有し、その外周を包囲する。外側フォーカスリング23は、サセプタ16の上方のプラズマの拡散を抑制する。
【0050】
また、サセプタ16と、ヒータ層19と、静電チャック21と、には、これらを貫通するリフトピン孔24が設けられている。リフトピン孔24は、例えば、3つ設けられ、それぞれの内部をリフトピン25が進退可能となっている。
【0051】
複数のリフトピン25は、リング状の支持部材26によって固定され、シリンダ27によって、一体に昇降可能に構成されている。リフトピン25は、静電チャック21から突出し、かつ、埋没するように駆動する。リフトピン25の昇降動作によって、図3に示すように、ウェハWの静電チャック21上への載置および載置面からの離脱がなされる。
【0052】
ここで、図2に示す静電チャック21について詳述する。静電チャック21は、誘電体28と、一対の電極29a、29bと、から構成される。
【0053】
誘電体28は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミック、ポリイミド等の樹脂等から構成されている。誘電体28は、例えば、厚さ4mm程度の円板状に形成されている。誘電体28の一面(下面)は、ヒータ層19の上面に接合されている。また、誘電体28の他面(上面)は、ウェハWの載置面を構成する。
【0054】
一対の電極29a、29bは、誘電体28の内部に埋設されている。電極29a、29bは、例えば、タングステン等の高融点金属の薄板から構成されている。電極29a、29bは、例えば、図4に示すように、それぞれ半円状に形成されている。図2に戻り、一対の電極29a、29bは、貫通孔18を通る給電線30a、30bの一端にそれぞれ接続されている。給電線30a、30bの他端は、貫通孔18を介して引き出され、給電部31に接続されている。
【0055】
給電部31は、第1および第2の直流電源32a、32bと、給電スイッチ33と、極性切替スイッチ34と、を備える。給電部31は、制御装置100に接続されている。
【0056】
第1および第2の直流電源32a、32bは、それぞれ、正極または負極の直流電力、例えば、大きさ500V〜2kVの直流電力を供給する。
【0057】
給電スイッチ33は、第1および第2の直流電源32a、32bからの給電線30a、30bへの電力供給のオン/オフを切り替える。一対の電極29a、29bは、給電スイッチ33がオンのとき第1および第2の直流電源32a、32bに接続され、また、オフのとき接地される。制御装置100は、給電スイッチ33のオン/オフにより、ウェハWを静電チャック21上に静電吸着させ、また、吸着を解除する。
【0058】
上述のように、第1および第2の直流電源32a、32bと、一対の電極29a、29bと、は給電線30a、30bによってそれぞれ接続され、一対の電極29a、29bの双方には、それぞれ極性の異なる直流電圧が印加される。給電スイッチ33がオンとされ、一対の電極29a、29bに直流電圧が印加されると、各電極29a、29bの近傍の誘電体28表面には、それぞれ正電荷と負電荷とが誘起される。これらの電荷は、誘電体28上に載置されたウェハWの載置面に、それぞれ、これらと逆極性の電荷を誘起する。これにより、誘電体28表面とウェハWの裏面との間に静電気力(クーロン力)が形成され、ウェハWは誘電体28表面に静電吸着される。
【0059】
極性切替スイッチ34は、一対の電極29a、29bにそれぞれ接続された給電線30a、30bと、第1および第2の直流電源32a、32bと、の接続を切り換える。すなわち、極性切替スイッチ34は、一対の電極29a、29bに印加される直流電圧の極性を同時に切り替える。制御装置100は、後述するように、除電の際、極性切替スイッチ34によって、ウェハWの吸着時に印加する直流電圧(チャック電圧)とは逆の極性の直流電圧を電極29a、29bに印加する。
【0060】
また、図2に示すように、処理装置11は、静電チャック21上のウェハWの温度を検出するための放射温度計35を備える。放射温度計35は、光ファイバ等のケーブル36を介して、放射光または熱線を検出する検出子37に接続されている。検出子37は、例えば、透明な円柱状の石英ロッドから構成されている。
【0061】
検出子37およびケーブル36は、サセプタ16と、ヒータ層19と、誘電体28と、を貫通するガイド孔38を通され、誘電体28の表面付近に検出子37が露出するように配置される。検出子37は、静電チャック21上に載置されたウェハWの裏面に隣接して配置され、ウェハWの裏面から放射された光または熱線を捕捉する。検出子37が捕捉した放射光等は、ケーブル36を通って、放射温度計35へと送られる。
【0062】
放射温度計35は、フォトダイオード等の受光素子39を備える。受光素子39は、光を受けとり、受光した光の強度を示す電気信号に変換する。ここで、受光素子39が受け取る光は、図示しないフィルタを通過した所定波長域の光、例えば、赤外光であり、図示しないレンズによって集束されている。受光素子39が送出した強度信号は、ロックインアンプ等のアンプ40によって増幅され、A/Dコンバータ41によって、デジタル信号に変換される。
【0063】
光の強度を示すデジタル信号は、演算部42により、光の強度に対応する温度データに変換される。このようにして、放射温度計35はウェハWの温度を検出し、検出した温度情報をデジタルデータとして送出する。放射温度計35は、制御装置100に接続され、温度データを制御装置100に送出する。制御装置100は、後述するように、受信した温度データに基づいて、ウェハW載置後の静電チャック21への吸着状態、および、リフトピン25によるウェハWの離脱状況を判別する。
【0064】
図1に戻り、チャンバ12の上部には、上部電極43が設けられている。上部電極43は、絶縁性材料からなる絶縁支持体44によって、チャンバ12に支持されている。上部電極43は、電極支持体45と、拡散部材46と、電極板47と、を備える。
【0065】
電極支持体45は、アルミニウム等の導体から構成されている。電極支持体45の内部には、温調手段としての図示しない冷媒流路が形成され、電極支持体45およびその周辺は、所定の温度に維持される。
【0066】
拡散部材46は、電極支持体45の内部に、中空部を形成するように構成されている。拡散部材46はガス供給管48に接続され、ガス供給管48から供給された処理ガスは拡散部材46によって拡散される。処理ガスとしては、エッチングガスおよびその他のガス、例えば、四フッ化炭素と、窒素と、が用いられる。なお、複数のガス供給管48から各種ガスを混合して、あるいは、単独で供給する構成であってもよい。
【0067】
電極板47は、シリコン、炭化シリコン等から構成される円盤状部材から構成される。電極板47は、上部電極43の下面を構成し、サセプタ16(静電チャック21)上に載置されたウェハWと対向するように配置される。電極板47は、その周縁において、電極支持体45に図示しないねじによって係止されている。このねじ止め部分は、セラミック、フッ素樹脂等の絶縁性材料からなる環状のシールドリング49によって覆われている。
【0068】
電極板47には、多数のガス孔50が設けられている。ガス孔50は、拡散部材46の形成する中空部と連通している。拡散部材46にて拡散された処理ガスは、多数のガス孔50から均一に、チャンバ12内の空間、特に、ウェハWの上方の空間に吐出される。
【0069】
電極板47は、整合器51を介して高周波電源52に接続されている。上部電極43の電極板47には、1MHz以上の周波数、例えば、27.12MHzの高周波電力が印加される。
【0070】
一方、下部電極を構成するサセプタ16には、整合器53を介して高周波電源54が接続されている。サセプタ16には、周波数が数百kHz程度以上、例えば、800kHzの高周波電力が印加される。
【0071】
上部電極43と下部電極(サセプタ16)とに高周波電力を印加することにより、これらの間には、高周波電界が形成される。このように形成されたプラズマ空間において、電極板47のガス孔50より吐出された処理ガスはプラズマ状態とされる。プラズマ中に生成されたエッチング活性種(イオン等)によって、ウェハWの表面がエッチングされる。
【0072】
チャンバ12の側部には、ゲートバルブ55を介して、ロードロックチャンバ56が設けられている。ロードロックチャンバ56は、チャンバ12内にウェハWを搬入し、また、チャンバ12内から搬出するための、搬送用ポートとして機能する。ロードロックチャンバ56内には、ウェハWをチャンバ12とロードロックチャンバ56との間で搬送するための、搬送アーム等の搬送機構57が設けられている。
【0073】
以下、上記構成の処理装置11のエッチング動作について説明する。図5に、タイミングチャートの一例を示す。なお、以下では、シリコンのウェハWに形成されたシリコン酸化膜をエッチングする場合について説明する。また、以下に示す構成は一例であり、同様の結果が得られる構成であればいかなる構成であってもよい。
【0074】
まず、ゲートバルブ55が開放され、搬送機構57によってロードロックチャンバ56からチャンバ12内にウェハWが搬入される。このとき、リフトピン25は上昇位置にあり、静電チャック21の表面から突出している。搬送機構57は、ウェハWをリフトピン25上に載置する。その後、搬送機構57はチャンバ12外に退避し、ゲートバルブ55は閉鎖される。
【0075】
制御装置100は、シリンダ27を駆動してリフトピン25を下降させる。リフトピン25が、静電チャック21内に埋没することにより、ウェハWは静電チャック21の表面に載置される。
【0076】
次いで、制御装置100は、ポンプ14を作動させ、チャンバ12内を、所定の真空度とする。チャンバ12内は、例えば、0.001Pa(0.1mTorr)程度の圧力とされる。
【0077】
ここで、制御装置100は、給電スイッチ33をオンとする。静電チャック21の一対の電極29a、29bには、それぞれ極性の異なる直流電圧が印加される。一対の電極29a、29bには、例えば、500V〜2kVの大きさの正負いずれかの直流電圧がそれぞれ印加される。これにより、ウェハWは、上述したように、静電チャック21の表面に静電気力によって吸着される。
【0078】
次いで、制御装置100は、チャンバ12内にCF4ガスを導入し、チャンバ12内を、エッチング圧力、例えば、2Pa(20mTorr)とする。その後、上部電極43に、例えば、周波数27.12MHz、パワー2kWの高周波電力を供給する。また、下部電極としてのサセプタ16に、例えば、周波数800kHz、パワー1kWの高周波電力を供給する。
【0079】
高周波電力の供給により、上部電極43と、サセプタ16と、の間には、上記ガスのプラズマが生成する。ガスプラズマ中のエッチング活性種が、サセプタ16(静電チャック21)上に載置されたウェハWの表面に入射し、ウェハWの表面のシリコン酸化膜をエッチングする。
【0080】
上記のようにして、所定のエッチング工程を行った後、制御装置100は、ウェハWの吸着を解除するため、極性切替スイッチ34を切り替え、電極29a、29bにそれぞれ吸着時の電圧とは逆の極性の電圧を印加する。ここで、電極29a、29bに印加される逆極性電圧は、好ましくは、後述する除電プラズマとほぼ同電位、例えば、+100Vに設定される。
【0081】
一方で、制御装置100は、チャンバ12内に窒素ガス等の不活性ガスを導入する。このとき、チャンバ12内の圧力は、11Pa〜56Pa(100mTorr〜500mTorr)の圧力とされる。不活性ガスによりチャンバ12内からエッチングガスはパージされる。
【0082】
不活性ガスの導入後、上部電極43に最小限の電力を印加する。これにより、不活性ガスのプラズマが生起される。このプラズマは、いわゆる除電プラズマとして機能し、静電チャック21への吸着時に帯電していたウェハWおよび誘電体28の電荷は、プラズマ中のイオンを介して除去される。
【0083】
ここで、上記動作中、制御装置100は、放射温度計35が検出するウェハWの温度をモニタしている。制御装置100は、検出されるウェハWの温度プロファイルに基づいてウェハWの吸着状態を判別し、ウェハW等が十分に除電される、ウェハWの離脱タイミングを決定する。
【0084】
制御装置100は、例えば、以下のように、ウェハWの温度プロファイルからウェハWの静電チャック21への吸着状態を判別する。図6に、電極29a、29bへの印加電圧を変化させたときの、静電チャック21に吸着されたウェハWの温度を調べた結果を示す。図6において、−600Vの電圧が印加された状態は、ウェハWの処理状態を示し、その後は、除電状態を示す。なお、上部電極43には、常に2.5kV程度の高周波電力を供給している。
【0085】
図6に示すように、電極29a、29bに−600Vの電圧(チャック電圧)が印加された状態で、ウェハWは、ヒータにより390℃程度の温度に維持されている。この状態は、プラズマ生成時の状態に相当する。その後、電極29a、29bに逆極性(+極性)の電圧を印加する。この状態は、除電時の状態に相当する。逆電圧の印加により、ウェハWの温度は次第に上昇し、480℃程度まで上昇した後、逓減して再び390℃程度で一定となる。
【0086】
図6に示すような温度プロファイルは、ウェハWの静電チャック21への吸着状態に関係する。すなわち、チャック電圧の印加停止後、除電処理によって、ウェハWと静電チャック21とに残留する電荷が次第に減少していく。このとき、ウェハWと誘電体28との吸着力(残留吸着力)が弱まり、これらは互いに離間していく。これにより、ヒータ層19の温度調節効果は次第に弱まり、ウェハWの温度は増大していく。
【0087】
さらに除電が進み、完全に除電されると、電極29a、29bには電圧(正電圧)が印加されていることから、ウェハWは再び静電チャック21に吸着され始める。これにより、ウェハWと誘電体28とは次第に密着され、ヒータ層19の温度調節効果によりウェハWは再び一定温度に戻る。
【0088】
このように、図6に示す結果から、除電時のウェハWの温度プロファイルから、除電の終了時間を高精度に検知可能であることがわかる。従って、例えば、除電開始後のウェハWの温度プロファイルに極値が検出された時点(図6の極大値:480℃付近)を、除電終了タイミングとみなすことができる。極値が検出された時点とは、ウェハWが誘電体28に正常に吸着されたときにヒータ層19の温度調節機能によって保持される温度(図6の390℃付近)から、ウェハWの温度が最も変化した時点と設定できる。この時点で、電極29a、29bへの除電電圧の印加を停止すれば、再吸着が抑えられ、ウェハWの安定な離脱が行える。
【0089】
また、図6から、除電電圧を大きくすると(+50V〜+100V〜+150V)、ウェハWの温度変化が速くなることがわかる。これは、逆極性の印加電圧が大きいほど、除電速度が高いことを示す。このことから、チャック電圧の印加停止の後に、大きい逆極性電圧を印加するほど、速やかな除電およびウェハWの離脱が可能であることがわかる。
【0090】
図5に戻り、除電中のウェハWの温度をモニタしている制御装置100は、ウェハWの温度変化が極値を示した時点で電極29a、29bへの電圧印加を停止する。詳細には、制御装置100は、例えば、所定の微少時間における温度変化の微分値をモニタしており、微分値の符号(正または負)が、所定期間にわたって反対の符号を示した時点で、極値に達したと判別する。すなわち、図5の、ウェハWの温度が、最高値に到達し、その後、減少に転じた時点を極値とする。
【0091】
制御装置100は、極値を検出した時点で除電処理を終了する。制御装置100は、給電スイッチ33をオフとして電極29a、29bへの逆極性電圧の印加を停止し、シリンダ27によりリフトピン25を上昇させる。このとき、ウェハWと誘電体28との間の吸着力は弱く、ウェハWの安定な離脱が行われる。
【0092】
その後、ゲートバルブ55が開放され、リフトピン25上のウェハWは、搬送機構57によって、チャンバ12からロードロックチャンバ56に搬送される。その後、ゲートバルブ55は閉鎖され、以上で、処理は終了する。
【0093】
以上説明したように、第1の実施の形態では、ウェハWの温度プロファイルからその静電チャック21への吸着状態をリアルタイムで検出している。このように、吸着状態をリアルタイムで検出することにより、除電の終了タイミングを高精度に検出することができる。このようにして検出された除電終了タイミングに、ウェハWを静電チャック21から離脱させることにより、ウェハWの安定な離脱を行える。また、除電終了タイミングを所定のマージンをとって予め設定しておく場合と比べ、無駄のない、速やかなウェハWの離脱が図れ、スループットの向上が図れる。
【0094】
また、除電時に、チャック電圧とは逆の極性の電圧を印加することにより、除電速度を上昇させている。これにより、除電時間の短縮が図られ、高いスループットが得られる。
【0095】
上記第1の実施の形態では、制御装置100は、除電時のウェハWの温度プロファイルが極値を示した時点で電極29a、29bへの電圧印加を停止するものとした。しかし、除電の終了タイミングは、ウェハWと静電チャック21との吸着力が弱く、静電チャック21からの安定な離脱が可能な時点であれば、どのようなタイミングであってもよい。
【0096】
例えば、除電の終了タイミングは、温度プロファイルが極値を示した時点から所定時間後でもよい。また、ウェハWの温度が極値(最高温度)に達する直前を除電終了タイミングとしてもよい。この場合、例えば、温度変化の傾きが逓減して0に達する直前を除電終了タイミングとする。また、上記例では、吸着力の減少に伴いウェハWの温度が上昇する場合を例としたが、ウェハWの温度が減少する場合にも適用可能である。この場合、例えば、ウェハWの温度変化が極小となる時点を除電終了タイミングとすることができる。
【0097】
また、除電時の電極29a、29bへの印加電圧は、除電プラズマの電位とほぼ同電位としたがこれに限らず、どのような電圧であってもよい。しかし、図6に示すように、印加電圧が大きいほど速やかな除電が可能となるが、過大な電圧および急激な極性の変化は、素子破壊等を起こすおそれがある。また、温度変化が急峻過ぎる場合、所定の除電終了タイミングの検出から除電電圧を停止するまでの時間に、ウェハWが再吸着されてしまう可能性がある。従って、素子等に悪影響を与えず、温度プロファイルのモニタとこれに基づく離脱制御が高精度に行えるような電圧とすべきである。
【0098】
さらに、逆極性の印加電圧を、ウェハWの温度プロファイルに基づいてフィードバック制御するようにしてもよい。例えば、最初に比較的大きい逆電圧を印加し、ウェハWの温度が所定の値まで上昇したときに、先ほどよりも低い電圧を印加して温度変化を比較的緩やかなものとする。これにより、除電の終了タイミングの検出精度をより高めることができる。この場合、例えば、図7に示すように、−600Vのチャック電圧から、+200V、+100V、+50Vというように、ウェハWの温度に応じて多段に減衰するように逆極性電圧を印加し、最小の電圧を印加した状態で、ウェハWの温度変化の極値を検出する。
【0099】
さらにまた、除電時の印加電圧は、極性切替スイッチ34を周期的に切り替えて、交番電圧としてもよい。
【0100】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置11について説明する。第2の実施の形態の処理装置11について、図1および図2に示す構成を有するプラズマエッチング装置を例として説明する。
【0101】
第2の実施の形態では、静電チャック21上のウェハWの温度プロファイルに基づいて、その吸着状態を確認する。上記第1の実施の形態において説明したように、静電チャック21に吸着されたウェハWの温度は、ヒータの温度調節効果によって、ほぼ一定に保たれる。従って、ウェハWの温度プロファイルに基づいて、ウェハWの吸着状態についての知見が得られる。
【0102】
図8に、ウェハWが正常に静電チャック21に吸着された状態でプラズマを生成したときのウェハWの温度プロファイルを概略的に示す。また、図9に、断線により電極29a、29bに電圧が印加されない状態で、プラズマを生成したときのウェハWの温度プロファイルを概略的に示す。
【0103】
図8に示すように、ウェハWが静電チャック21に正常に吸着された状態では、プラズマの発生後(上下電極への高周波電力の供給後)、すぐに(theat時間後)ウェハWの温度は上昇を開始する。また、ウェハWの温度は、Tmaxで一定に保たれる。
【0104】
一方、図9に示すように、断線によりチャック電圧が印加されていない状態では、ウェハWの温度が上昇を開始するまでの時間theatは、図8に示す正常吸着時よりも遅い。これは、ウェハWが静電チャック21に吸着されていないため、ウェハWと誘電体28とが密着しておらず、ヒータからの熱の伝熱効率が低いためである。
【0105】
また、ウェハWの温度は、上昇を開始した後、一定には保たれず、プラズマの生成とともに増大し、最高温度Tmaxは、図8に示す正常状態におけるよりも高い。これは、ヒータからの伝熱効率が低いため、ヒータの温度調節効果が得られず、プラズマエネルギーによって加熱されていくからである。
【0106】
このように、図8および図9に示す結果から、プラズマ生成時の温度プロファイルに基づいて、ウェハWの吸着状態を知ることができることがわかる。すなわち、例えば、静電チャック21上への載置の際に位置ずれが生じた場合、静電チャック21上に異物が存在し吸着が不十分である場合、などでは、ウェハWに対する加熱および温度調整が正常吸着時とは異なったものとなる。従って、温度プロファイルに関する複数のパラメータ、例えば、ウェハWの昇温速度、最高到達温度、一定性に基づいて、ウェハWの吸着状態を判別することができる。
【0107】
以下、上記したパラメータからその吸着状態を判別する、第2の実施の形態の処理装置11の動作について説明する。図10に、判別方法を示すフローチャートの一例を示す。なお、以下に示す動作は、第1の実施の形態に示すものとほぼ同様であり、ここでは、相違する点について説明する。また、以下に示す動作は一例であり、同様の効果を奏する構成であればどのようなものでもよい。
【0108】
まず、静電チャック21上にウェハWが載置される。制御装置100は、チャンバ12内を所定の真空度まで減圧し、電極29a、29bにチャック電圧を印加してウェハWを吸着させる。次いで、チャンバ12内にエッチングガスを導入し、さらに減圧する。
【0109】
次いで、制御装置100は、上部電極43および下部電極への高周波電力の供給を開始する。これにより、チャンバ12内にプラズマが生成され、エッチング処理が開始される。制御装置100は、ソフトウェアタイマ等のタイマを備えている。
【0110】
制御装置100は、放射温度計35を介して、ウェハWの温度をモニタしている。エッチング処理の開始の初期に、制御装置100は、高周波電力の印加開始から所定時間内に所定の温度に到達しているかどうかを判別する。詳細には、制御装置100は、ウェハWが正常に吸着されている場合に一定の温度を示す時間に、ウェハWの温度がその温度に到達しているかどうかを判別する。
【0111】
高周波電力の供給から所定時間内に所定の到達温度(エッチング処理温度)に達していない場合、制御装置100は、異常状態にあると判別し、処理を中断する。一方、所定時間内に所望の温度に到達している場合、制御装置100は、正常状態にあると判別して処理を続行する。
【0112】
さらに、その後、制御装置100は、エッチング処理中にウェハWの温度が一定に保たれているかどうかをモニタしている。詳細には、制御装置100は、所定の微少時間内の温度変化率(微分)をモニタしている。温度変化率が所定回数連続して所定の値以上となったとき、制御装置100は、異常状態にあると判別して、処理を中断する。一方、そうでない場合、正常状態にあると判別して処理を続行する。
【0113】
また、同時に、制御装置100は、ウェハWの温度が所定温度以下にあるかどうかをモニタしている。制御装置100は、ウェハWの温度が所定温度に達すると、異常状態にあると判別して、処理を中断する。一方、ウェハWの温度が所定温度より低ければ、正常状態にあると判別して処理を続行する。
【0114】
制御装置100は、上記のようにウェハWの温度プロファイルをモニタしつつ、エッチング処理を行う。所定のエッチング工程が終了した後、制御装置100は、電極29a、29bへのチャック電圧の印加を停止し、または、逆極性の電圧を印加する。不活性ガスの導入および除電の後、リフトピン25を上昇させ、ウェハWは離脱される。その後、ゲートバルブ55が開放され、ウェハWは搬送機構57によってチャンバ12外に搬出される。以上で、処理は終了する。
【0115】
上記第2の実施の形態では、プラズマ処理時のウェハWの温度プロファイルに基づいて、ウェハWの吸着状態をリアルタイムで検出している。これにより、ウェハWの位置ずれ、異物の存在、断線等による、ウェハWの異常な加熱状態を高精度に検出することができる。従って、上記のような異常が発生した場合に、異常状態で複数枚のウェハWを処理することなく、被害を最小限とすることができる。よって、歩留まりおよびスループットの向上が図れる。
【0116】
上記第2の実施の形態では、制御装置100は、異常状態と判別した際に処理を中断するものとした。しかし、異常検出時の対処方法は、これに限られない。例えば、上記した処理工程を一旦終了し、ウェハWの搬出後に中断するようにしてもよい。
【0117】
また、上記第2の実施の形態では、ウェハWの温度プロファイルに関するパラメータとして、初期加熱に要する時間、最高到達温度、一定性を用いた。しかし、ウェハWの温度プロファイルからその吸着状態を検出する方法および用いるパラメータは上記例に限られない。例えば、正常加熱時の温度変化を記憶し、記憶した波形と検出された波形とが重なるかどうかを判別するようにしてもよい。
【0118】
上記第1および第2の実施の形態では、ウェハWの裏面に近接して配置した放射温度計35を用いてウェハWの温度を検出するものとした。上記例では、1つの検出子37を用いる構成としたが、ウェハWの複数の地点の温度を検出するよう、複数の検出子を用いてもよい。これにより、より信頼性の高い温度検出が可能となる。また、検出子37を設置する場所は、ウェハWから放射される光または熱線を捕捉可能な場所であれば、ウェハWの表面側等、どのような場所であってもよい。また、測定に用いる光は、赤外光に限らず、他の波長域の光でもよい。
【0119】
また、ウェハWの温度を検出する方法は、放射温度計35を用いるものに限られない。例えば、熱電対を用いて、ウェハWの温度を直接または間接的に測定するようにしてもよい。
【0120】
上記第1および第2の実施の形態では、一対の電極29a、29bを用いる双極式の静電チャック21を用いるものとした。しかし、本発明は、単極式、あるいは、3つ以上の電極を備える構造にも適用可能である。
【0121】
上記第1および第2の実施の形態では、ウェハWの離脱は、リフトピン25の上昇動作によって行うものとした。しかし、ウェハWの離脱方法は、これに限らず、例えば、リフトピンの位置を固定した状態で、ウェハWが載置されたサセプタ16が昇降して、リフトピン上にウェハWが支持されるようにしてもよい。
【0122】
上記第1及び第2の実施の形態では、シリコン半導体ウェハ表面のシリコン酸化膜をフッ素ガスを用いてエッチングするプラズマエッチング装置を例として説明した。しかし、上記例に限らず、エッチングする膜種、エッチングガス種等は上記のものに限られない。
【0123】
また、上記例では、いわゆる平行平板型のプラズマ処理装置を用いたが、誘導結合型、マイクロ波型、ECR型等の他のいかなるプラズマ処理装置に用いてもよい。また、プラズマエッチングに限らず、アッシング、スパッタリング、CVD等の他のプラズマ処理を行う装置にも適用可能である。また、プラズマ処理装置に限らず、熱処理装置、CVD装置、スパッタリング装置等のプラズマを用いない処理を行う処理装置にも用いることができる。すなわち、本発明は、被処理体を静電吸着させた状態で所定の処理を施すいかなる処理装置にも適用可能である。
【0124】
また、被処理体も、半導体ウェハに限らず、液晶表示装置基板にも適用可能であり、さらには、所定の処理が施されるものであればいかなるものであってもよい。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、静電吸着された被吸着物の吸着状態をリアルタイムで検出可能な、吸着状態判別方法および静電吸着装置が提供される。
また、本発明によれば、静電吸着された被処理体の、速やかな離脱の可能な離脱方法、処理方法および処理装置が提供される。
さらに、本発明によれば、汎用性の高い装置構成で、被処理体の吸着状態を高い信頼性で判別可能な吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる処理装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す処理装置の、サセプタ周辺の構成を示す図である。
【図3】リフトピンの上昇状態を示す図である。
【図4】電極の構成を示す図である。
【図5】タイミングチャートの一例を示す図である。
【図6】除電電圧印加時のウェハの温度プロファイルを示す図である。
【図7】除電電圧印加のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図8】正常吸着時のウェハの温度プロファイルを示す図である。
【図9】異常吸着時のウェハの温度プロファイルを示す図である。
【図10】判別方法を示すフローチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
11 処理装置
12 チャンバ
16 サセプタ
19 ヒータ層
21 静電チャック
25 リフトピン
27 シリンダ
28 誘電体
29a、29b 電極
31 給電部
35 放射温度計
37 検出子
43 上部電極
100 制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、被載置物を静電気力によって吸着保持する、吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、液晶表示装置等の製造工程において、半導体ウェハ等の被処理基板を所定の位置に保持する構造として、静電チャックが用いられている。静電チャックは、静電気力(クーロン力)を用いて基板を吸着保持する。静電チャックは、真空中でも利用可能であることなどから、プラズマエッチング等のプラズマ処理に好適に利用可能である。
【0003】
静電チャックは、誘電体と、電極と、から構成される。誘電体は、セラミック、樹脂等の絶縁性材料から構成される。基板は、誘電体に形成された載置面上に載置され、後述するように静電気力によって吸着される。また、電極は、誘電体の内部に埋め込まれている。電極は平板状に形成され、誘電体を介して基板に対向するようそれぞれ配置される。
【0004】
電極には直流電圧が印加される。直流電圧の印加により、電極と重なる誘電体の表面には、印加電圧の極性と逆極性の電荷がそれぞれ誘起される。誘電体表面に誘起された電荷により、基板の裏面にこれとは逆の極性の電荷が誘起される。これにより、基板の裏面と誘電体の載置面との間に静電気力が発生し、基板は誘電体表面に吸着保持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
静電チャックを用いて基板を吸着して所定の処理を行う場合、基板の吸着時と、基板の吸着解除時と、において、以下の(1)および(2)のような問題がある。
【0006】
(1)静電チャックへの吸着は、電極への電圧の印加を停止することにより解除される。しかし、電圧の印加を停止した後にも、基板および誘電体の表面には電荷が残留する。このような残留電荷は、基板と静電チャックとの間のいわゆる残留吸着力を形成する。基板の静電チャックからの離脱は、例えば、静電チャックを貫通するリフトピンの上昇により行われる。残留吸着力がリフトピンの突き上げ圧力よりも大きい場合などには、離脱時の基板の変形、離脱の失敗などが起きるおそれがある。
【0007】
このため、残留電荷は、電圧印加の停止の後、速やかに除去する(除電する)必要がある。除電は、例えば、誘電体および基板をアルゴンガス等のプラズマ(除電プラズマ)に曝露することにより行われる。
【0008】
除電は、残留吸着力が所定の力、例えば、リフトピンの突き上げ圧力よりも小さくなるように行われる。このため、基板の離脱タイミング(リフトピンの上昇タイミング)は、例えば、除電プラズマの生成後から所定時間後というように設定される。
【0009】
安定な基板の離脱を確保するため、離脱タイミングは、基板および静電チャックを十分に除電するためのマージンをとって設定されている。従って、設定された離脱タイミングは、基板等の実際の除電時間よりも大きく、マージンの分だけ実質的なスループットは低い。マージンを削減することにより、スループットは向上可能であるが、基板の安定な離脱が保証されなくなる。
【0010】
残留吸着力、すなわち、基板の吸着状態をリアルタイムで検出することにより、スループットと離脱安定性とを最適化させることができるが、除電時の基板の吸着状態をリアルタイムで検出する方法はこれまで開発されていない。このように、基板の静電チャックへの吸着状態をリアルタイムで検出して、速やかかつ安定な基板の離脱方法は、従来なかった。
【0011】
(2)基板が静電チャック上に載置された際、異物の存在などにより基板が正常な位置に吸着されなかった場合、基板が異常に加熱される場合がある。異常な加熱は、基板に形成された素子の破壊等をもたらし、歩留まりを低下させる。このため、基板が静電チャック上に正常な位置に吸着されているかどうかを確認する方法が必要とされる。基板の載置状態を確認する方法として、基板と静電チャックとの間に供給されたガスの漏れ量から判断する方法、または、処理後の基板を検査する方法が知られている。
【0012】
ガスの漏れ量を検出する方法において、ガスは、ヒータ構造の上に設けられた静電チャックの表面と、基板の裏面と、の間の熱伝導率を向上させる伝熱ガスとして供給される。ガスの漏れ量は、ガスの供給圧から求められる。しかし、この方法は、加熱構造が異なり、伝熱ガスを用いない装置構成では使用することができない。
【0013】
また、処理後の基板を検査する方法では、製造不良が基板の異常な載置に起因することをすぐに判別することはできず、複数枚の基板を不良としてしまう。このため、歩留まりおよびスループットが低下するおそれがある。
このように、汎用性の高い装置構成で、静電チャックによる基板の吸着状態をリアルタイムで検出可能な方法は、従来なかった。
【0014】
上記事情を鑑みて、本発明は、静電吸着された被吸着物の吸着状態をリアルタイムで検出可能な、吸着状態判別方法および静電吸着装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、静電吸着された被処理体の、速やかな離脱の可能な離脱方法、処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、汎用性の高い装置構成で、被処理体の吸着状態を高い信頼性で判別可能な吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る吸着状態判別方法は、
電極を内包する誘電体上に載置され、前記電極への直流電圧の印加により前記誘電体に静電気力によって吸着された被吸着物の吸着状態を判別する吸着状態判別方法であって、
前記直流電圧印加後の前記被吸着物の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記被吸着物の温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別する吸着状態判別工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0016】
上記吸着状態判別方法において、前記吸着状態判別工程では、前記被吸着物が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別してもよい。
【0017】
上記吸着状態判別方法において、さらに、前記誘電体上の前記被吸着物を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る離脱方法は、
電極を内包する誘電体上に載置され、前記電極への所定極性の直流電圧の印加により前記誘電体に静電気力によって吸着された被吸着物を、前記誘電体から離脱させる離脱方法であって、
前記電極への前記直流電圧の印加を停止する工程と、
前記直流電圧の印加停止後に前記被吸着物に残留する電荷を除去する電荷除去工程と、
前記電荷除去工程における前記被吸着物の温度プロファイルをモニタする工程と、
モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被吸着物を前記誘電体から離脱させるタイミングを決定する離脱タイミング決定工程と、
前記離脱タイミング決定工程で決定された前記離脱タイミングに、前記被吸着物を前記誘電体から離脱させる工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0019】
上記離脱方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別してもよい。
【0020】
上記離脱方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物と前記誘電体との間に、前記残留する電荷によって形成される静電気力が最も弱まる時点を、前記離脱タイミングとして決定してもよい。
【0021】
上記離脱方法は、さらに、前記誘電体上の前記被吸着物を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0022】
上記離脱方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物の温度が前記所定温度から最も変化した時点に基づいて前記離脱タイミングを決定してもよい。
【0023】
上記離脱方法において、前記電荷除去工程では、前記電極に、前記所定極性の前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加してもよい。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る処理方法は、
電極を内包する誘電体上に被処理体を載置する工程と、
前記電極に所定極性の直流電圧を印加して、前記被処理体を前記誘電体に静電気力によって吸着させる工程と、
前記誘電体に吸着された前記被処理体に所定の処理を施す工程と、
前記直流電圧印加後の前記被処理体の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記被処理体の温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記処理を制御する制御工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0025】
上記処理方法は、さらに、前記誘電体上の前記被処理体を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0026】
上記処理方法において、前記制御工程では、前記被処理体の前記誘電体上への載置状態を判別してもよい。
【0027】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係る処理方法は、
電極を内包する誘電体上に被処理体を載置する工程と、
前記電極に所定極性の直流電圧を印加して、前記被処理体を前記誘電体に静電気力によって吸着させる工程と、
前記誘電体に吸着された前記被処理体に所定の処理を施す工程と、
前記処理の後、前記電極への前記直流電圧の印加を停止する工程と、
前記被処理体および前記誘電体に残留した電荷を除去する電荷除去工程と、
前記電荷除去工程中の前記被処理体の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱タイミングを決定する離脱タイミング決定工程と、
前記離脱タイミング決定工程で決定された前記離脱タイミングに、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0028】
上記処理方法において、前記タイミング決定工程では、前記被処理体が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別してもよい。
【0029】
上記処理方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被処理体と前記誘電体との間に、前記残留する電荷によって形成される静電気力が最も弱まる時点を、前記離脱タイミングとして決定してもよい。
【0030】
上記処理方法は、さらに、前記誘電体上の前記被処理体を所定温度に保持する工程を備えてもよい。
【0031】
上記処理方法において、前記離脱タイミング決定工程では、前記被処理体の温度が前記所定温度から最も変化した時点に基づいて前記離脱タイミングを決定してもよい。
【0032】
上記処理方法において、前記電荷除去工程では、前記電極に、前記所定極性の前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加してもよい。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明の第5の観点に係る静電吸着装置は、
電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、被吸着物が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記被吸着物の温度を測定するための温度測定手段と、
前記温度測定手段が測定した前記被吸着物の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別する吸着状態判別手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0034】
上記目的を達成するため、本発明の第6の観点に係る処理装置は、
内部で被処理体に所定の処理が施されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、前記被処理体が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記誘電体上の前記被処理体の温度を測定するための温度測定手段と、
前記温度測定手段が測定した前記被処理体の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記処理を制御する制御手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0035】
上記目的を達成するため、本発明の第7の観点に係る処理装置は、
内部で被処理体に所定の処理が施されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、その表面に前記被処理体が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記電極への直流電圧の印加の開始と停止とを切り替える給電切替手段と、
前記誘電体上の前記被処理体の温度を測定するための温度測定手段と、
前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱手段と、
前記電極への前記直流電圧の印加停止後の前記被処理体の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱タイミングを決定し、前記離脱手段によって前記被処理体を離脱させる制御手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0036】
上記処理装置は、さらに、前記電極に印加される直流電圧の極性を切り替える極性切替手段を備えてもよく、
前記制御装置は、前記直流電圧の印加停止後の前記電極に、前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加してもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る処理装置について、以下図面を参照して説明する。第1の実施の形態は、本発明を、被処理体である半導体ウェハ(以下、ウェハW)にプラズマエッチングを施すプラズマエッチング装置に適用した例である。
【0038】
図1に、第1の実施の形態に係る処理装置11の構成を示す。図1に示す処理装置11の行う一連の動作は、制御装置100によって制御される。
【0039】
図1に示すように、第1の実施の形態の処理装置11は、略円筒形状のチャンバ12を備える。チャンバ12は、アルマイト処理されたアルミニウム等から構成されている。チャンバ12は、接地されている。
【0040】
チャンバ12の下部には、排気管13が接続されている。排気管13は、真空引き可能なポンプ14に接続され、チャンバ12内は、数Pa程度まで減圧可能となっている。
【0041】
チャンバ12の底部には、セラミック等の絶縁体からなる支持板15が設けられている。支持板15の上には、略円筒状のサセプタ16が設けられている。サセプタ16は、後述するように、ウェハWの載置台として、および、プラズマ生成用の下部電極として機能する。
【0042】
サセプタ16は、表面がアルマイト処理されたアルミニウム等から構成される。サセプタ16およびその周辺部分を拡大した図を図2に示す。図2に示すように、サセプタ16は、略円筒形状に形成されている。サセプタ16本体の上面には、平坦面が設けられている。
【0043】
サセプタ16には、その内部に冷媒流路17が形成されている。冷媒流路17には、チラー(冷媒)が導通可能であり、サセプタ16およびその近傍を所定の温度に調節する。また、サセプタ16には、これを上下に貫通する貫通孔18が設けられている。
【0044】
サセプタ16上には、ヒータ層19が設けられている。ヒータ層19は、抵抗体20が埋設された平板状の絶縁体層から構成されている。絶縁体層は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックから構成される。ヒータ層19により、サセプタ16上に載置されたウェハWは、所定温度に加熱される。
【0045】
ヒータ層19の上には、平板状の静電チャック21が設けられている。静電チャック21の上面は、ウェハWの載置面を構成する。また、後述するように、静電チャック21は、載置されたウェハWを静電気力で吸着し、保持する。静電チャック21は、ヒータ層19によって所定の温度に保持される。
【0046】
サセプタ16およびヒータ層19内には、例えば、ヘリウムガスなどの伝熱ガスの流路(図示せず)が形成されている。静電チャック21上に保持されたウエハWの裏面に伝熱ガスを供給することによって、ウエハWと静電チャック21との間の熱伝達は均一となり、伝熱効率が向上される。
【0047】
ヒータ層19および静電チャック21は、サセプタ16よりも小径に形成されている。サセプタ16上面の周縁には、ヒータ層19および静電チャック21を囲む、環状のフォーカスリングが設けられている。フォーカスリングは、内側フォーカスリング22と、外側フォーカスリング23と、から構成されている。
【0048】
内側フォーカスリング22は、単結晶シリコン等の導電性材料から構成されている。内側フォーカスリング22は静電チャック21の外径とほぼ同じ内径を有し、その外周を包囲する。内側フォーカスリング22は、プラズマ中のイオンを効果的にウエハWに入射させる機能を有している。
【0049】
外側フォーカスリング23は、石英等の絶縁性材料から構成されている。外側フォーカスリング23は、内側フォーカスリング22の外径とほぼ同じ内径を有し、その外周を包囲する。外側フォーカスリング23は、サセプタ16の上方のプラズマの拡散を抑制する。
【0050】
また、サセプタ16と、ヒータ層19と、静電チャック21と、には、これらを貫通するリフトピン孔24が設けられている。リフトピン孔24は、例えば、3つ設けられ、それぞれの内部をリフトピン25が進退可能となっている。
【0051】
複数のリフトピン25は、リング状の支持部材26によって固定され、シリンダ27によって、一体に昇降可能に構成されている。リフトピン25は、静電チャック21から突出し、かつ、埋没するように駆動する。リフトピン25の昇降動作によって、図3に示すように、ウェハWの静電チャック21上への載置および載置面からの離脱がなされる。
【0052】
ここで、図2に示す静電チャック21について詳述する。静電チャック21は、誘電体28と、一対の電極29a、29bと、から構成される。
【0053】
誘電体28は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミック、ポリイミド等の樹脂等から構成されている。誘電体28は、例えば、厚さ4mm程度の円板状に形成されている。誘電体28の一面(下面)は、ヒータ層19の上面に接合されている。また、誘電体28の他面(上面)は、ウェハWの載置面を構成する。
【0054】
一対の電極29a、29bは、誘電体28の内部に埋設されている。電極29a、29bは、例えば、タングステン等の高融点金属の薄板から構成されている。電極29a、29bは、例えば、図4に示すように、それぞれ半円状に形成されている。図2に戻り、一対の電極29a、29bは、貫通孔18を通る給電線30a、30bの一端にそれぞれ接続されている。給電線30a、30bの他端は、貫通孔18を介して引き出され、給電部31に接続されている。
【0055】
給電部31は、第1および第2の直流電源32a、32bと、給電スイッチ33と、極性切替スイッチ34と、を備える。給電部31は、制御装置100に接続されている。
【0056】
第1および第2の直流電源32a、32bは、それぞれ、正極または負極の直流電力、例えば、大きさ500V〜2kVの直流電力を供給する。
【0057】
給電スイッチ33は、第1および第2の直流電源32a、32bからの給電線30a、30bへの電力供給のオン/オフを切り替える。一対の電極29a、29bは、給電スイッチ33がオンのとき第1および第2の直流電源32a、32bに接続され、また、オフのとき接地される。制御装置100は、給電スイッチ33のオン/オフにより、ウェハWを静電チャック21上に静電吸着させ、また、吸着を解除する。
【0058】
上述のように、第1および第2の直流電源32a、32bと、一対の電極29a、29bと、は給電線30a、30bによってそれぞれ接続され、一対の電極29a、29bの双方には、それぞれ極性の異なる直流電圧が印加される。給電スイッチ33がオンとされ、一対の電極29a、29bに直流電圧が印加されると、各電極29a、29bの近傍の誘電体28表面には、それぞれ正電荷と負電荷とが誘起される。これらの電荷は、誘電体28上に載置されたウェハWの載置面に、それぞれ、これらと逆極性の電荷を誘起する。これにより、誘電体28表面とウェハWの裏面との間に静電気力(クーロン力)が形成され、ウェハWは誘電体28表面に静電吸着される。
【0059】
極性切替スイッチ34は、一対の電極29a、29bにそれぞれ接続された給電線30a、30bと、第1および第2の直流電源32a、32bと、の接続を切り換える。すなわち、極性切替スイッチ34は、一対の電極29a、29bに印加される直流電圧の極性を同時に切り替える。制御装置100は、後述するように、除電の際、極性切替スイッチ34によって、ウェハWの吸着時に印加する直流電圧(チャック電圧)とは逆の極性の直流電圧を電極29a、29bに印加する。
【0060】
また、図2に示すように、処理装置11は、静電チャック21上のウェハWの温度を検出するための放射温度計35を備える。放射温度計35は、光ファイバ等のケーブル36を介して、放射光または熱線を検出する検出子37に接続されている。検出子37は、例えば、透明な円柱状の石英ロッドから構成されている。
【0061】
検出子37およびケーブル36は、サセプタ16と、ヒータ層19と、誘電体28と、を貫通するガイド孔38を通され、誘電体28の表面付近に検出子37が露出するように配置される。検出子37は、静電チャック21上に載置されたウェハWの裏面に隣接して配置され、ウェハWの裏面から放射された光または熱線を捕捉する。検出子37が捕捉した放射光等は、ケーブル36を通って、放射温度計35へと送られる。
【0062】
放射温度計35は、フォトダイオード等の受光素子39を備える。受光素子39は、光を受けとり、受光した光の強度を示す電気信号に変換する。ここで、受光素子39が受け取る光は、図示しないフィルタを通過した所定波長域の光、例えば、赤外光であり、図示しないレンズによって集束されている。受光素子39が送出した強度信号は、ロックインアンプ等のアンプ40によって増幅され、A/Dコンバータ41によって、デジタル信号に変換される。
【0063】
光の強度を示すデジタル信号は、演算部42により、光の強度に対応する温度データに変換される。このようにして、放射温度計35はウェハWの温度を検出し、検出した温度情報をデジタルデータとして送出する。放射温度計35は、制御装置100に接続され、温度データを制御装置100に送出する。制御装置100は、後述するように、受信した温度データに基づいて、ウェハW載置後の静電チャック21への吸着状態、および、リフトピン25によるウェハWの離脱状況を判別する。
【0064】
図1に戻り、チャンバ12の上部には、上部電極43が設けられている。上部電極43は、絶縁性材料からなる絶縁支持体44によって、チャンバ12に支持されている。上部電極43は、電極支持体45と、拡散部材46と、電極板47と、を備える。
【0065】
電極支持体45は、アルミニウム等の導体から構成されている。電極支持体45の内部には、温調手段としての図示しない冷媒流路が形成され、電極支持体45およびその周辺は、所定の温度に維持される。
【0066】
拡散部材46は、電極支持体45の内部に、中空部を形成するように構成されている。拡散部材46はガス供給管48に接続され、ガス供給管48から供給された処理ガスは拡散部材46によって拡散される。処理ガスとしては、エッチングガスおよびその他のガス、例えば、四フッ化炭素と、窒素と、が用いられる。なお、複数のガス供給管48から各種ガスを混合して、あるいは、単独で供給する構成であってもよい。
【0067】
電極板47は、シリコン、炭化シリコン等から構成される円盤状部材から構成される。電極板47は、上部電極43の下面を構成し、サセプタ16(静電チャック21)上に載置されたウェハWと対向するように配置される。電極板47は、その周縁において、電極支持体45に図示しないねじによって係止されている。このねじ止め部分は、セラミック、フッ素樹脂等の絶縁性材料からなる環状のシールドリング49によって覆われている。
【0068】
電極板47には、多数のガス孔50が設けられている。ガス孔50は、拡散部材46の形成する中空部と連通している。拡散部材46にて拡散された処理ガスは、多数のガス孔50から均一に、チャンバ12内の空間、特に、ウェハWの上方の空間に吐出される。
【0069】
電極板47は、整合器51を介して高周波電源52に接続されている。上部電極43の電極板47には、1MHz以上の周波数、例えば、27.12MHzの高周波電力が印加される。
【0070】
一方、下部電極を構成するサセプタ16には、整合器53を介して高周波電源54が接続されている。サセプタ16には、周波数が数百kHz程度以上、例えば、800kHzの高周波電力が印加される。
【0071】
上部電極43と下部電極(サセプタ16)とに高周波電力を印加することにより、これらの間には、高周波電界が形成される。このように形成されたプラズマ空間において、電極板47のガス孔50より吐出された処理ガスはプラズマ状態とされる。プラズマ中に生成されたエッチング活性種(イオン等)によって、ウェハWの表面がエッチングされる。
【0072】
チャンバ12の側部には、ゲートバルブ55を介して、ロードロックチャンバ56が設けられている。ロードロックチャンバ56は、チャンバ12内にウェハWを搬入し、また、チャンバ12内から搬出するための、搬送用ポートとして機能する。ロードロックチャンバ56内には、ウェハWをチャンバ12とロードロックチャンバ56との間で搬送するための、搬送アーム等の搬送機構57が設けられている。
【0073】
以下、上記構成の処理装置11のエッチング動作について説明する。図5に、タイミングチャートの一例を示す。なお、以下では、シリコンのウェハWに形成されたシリコン酸化膜をエッチングする場合について説明する。また、以下に示す構成は一例であり、同様の結果が得られる構成であればいかなる構成であってもよい。
【0074】
まず、ゲートバルブ55が開放され、搬送機構57によってロードロックチャンバ56からチャンバ12内にウェハWが搬入される。このとき、リフトピン25は上昇位置にあり、静電チャック21の表面から突出している。搬送機構57は、ウェハWをリフトピン25上に載置する。その後、搬送機構57はチャンバ12外に退避し、ゲートバルブ55は閉鎖される。
【0075】
制御装置100は、シリンダ27を駆動してリフトピン25を下降させる。リフトピン25が、静電チャック21内に埋没することにより、ウェハWは静電チャック21の表面に載置される。
【0076】
次いで、制御装置100は、ポンプ14を作動させ、チャンバ12内を、所定の真空度とする。チャンバ12内は、例えば、0.001Pa(0.1mTorr)程度の圧力とされる。
【0077】
ここで、制御装置100は、給電スイッチ33をオンとする。静電チャック21の一対の電極29a、29bには、それぞれ極性の異なる直流電圧が印加される。一対の電極29a、29bには、例えば、500V〜2kVの大きさの正負いずれかの直流電圧がそれぞれ印加される。これにより、ウェハWは、上述したように、静電チャック21の表面に静電気力によって吸着される。
【0078】
次いで、制御装置100は、チャンバ12内にCF4ガスを導入し、チャンバ12内を、エッチング圧力、例えば、2Pa(20mTorr)とする。その後、上部電極43に、例えば、周波数27.12MHz、パワー2kWの高周波電力を供給する。また、下部電極としてのサセプタ16に、例えば、周波数800kHz、パワー1kWの高周波電力を供給する。
【0079】
高周波電力の供給により、上部電極43と、サセプタ16と、の間には、上記ガスのプラズマが生成する。ガスプラズマ中のエッチング活性種が、サセプタ16(静電チャック21)上に載置されたウェハWの表面に入射し、ウェハWの表面のシリコン酸化膜をエッチングする。
【0080】
上記のようにして、所定のエッチング工程を行った後、制御装置100は、ウェハWの吸着を解除するため、極性切替スイッチ34を切り替え、電極29a、29bにそれぞれ吸着時の電圧とは逆の極性の電圧を印加する。ここで、電極29a、29bに印加される逆極性電圧は、好ましくは、後述する除電プラズマとほぼ同電位、例えば、+100Vに設定される。
【0081】
一方で、制御装置100は、チャンバ12内に窒素ガス等の不活性ガスを導入する。このとき、チャンバ12内の圧力は、11Pa〜56Pa(100mTorr〜500mTorr)の圧力とされる。不活性ガスによりチャンバ12内からエッチングガスはパージされる。
【0082】
不活性ガスの導入後、上部電極43に最小限の電力を印加する。これにより、不活性ガスのプラズマが生起される。このプラズマは、いわゆる除電プラズマとして機能し、静電チャック21への吸着時に帯電していたウェハWおよび誘電体28の電荷は、プラズマ中のイオンを介して除去される。
【0083】
ここで、上記動作中、制御装置100は、放射温度計35が検出するウェハWの温度をモニタしている。制御装置100は、検出されるウェハWの温度プロファイルに基づいてウェハWの吸着状態を判別し、ウェハW等が十分に除電される、ウェハWの離脱タイミングを決定する。
【0084】
制御装置100は、例えば、以下のように、ウェハWの温度プロファイルからウェハWの静電チャック21への吸着状態を判別する。図6に、電極29a、29bへの印加電圧を変化させたときの、静電チャック21に吸着されたウェハWの温度を調べた結果を示す。図6において、−600Vの電圧が印加された状態は、ウェハWの処理状態を示し、その後は、除電状態を示す。なお、上部電極43には、常に2.5kV程度の高周波電力を供給している。
【0085】
図6に示すように、電極29a、29bに−600Vの電圧(チャック電圧)が印加された状態で、ウェハWは、ヒータにより390℃程度の温度に維持されている。この状態は、プラズマ生成時の状態に相当する。その後、電極29a、29bに逆極性(+極性)の電圧を印加する。この状態は、除電時の状態に相当する。逆電圧の印加により、ウェハWの温度は次第に上昇し、480℃程度まで上昇した後、逓減して再び390℃程度で一定となる。
【0086】
図6に示すような温度プロファイルは、ウェハWの静電チャック21への吸着状態に関係する。すなわち、チャック電圧の印加停止後、除電処理によって、ウェハWと静電チャック21とに残留する電荷が次第に減少していく。このとき、ウェハWと誘電体28との吸着力(残留吸着力)が弱まり、これらは互いに離間していく。これにより、ヒータ層19の温度調節効果は次第に弱まり、ウェハWの温度は増大していく。
【0087】
さらに除電が進み、完全に除電されると、電極29a、29bには電圧(正電圧)が印加されていることから、ウェハWは再び静電チャック21に吸着され始める。これにより、ウェハWと誘電体28とは次第に密着され、ヒータ層19の温度調節効果によりウェハWは再び一定温度に戻る。
【0088】
このように、図6に示す結果から、除電時のウェハWの温度プロファイルから、除電の終了時間を高精度に検知可能であることがわかる。従って、例えば、除電開始後のウェハWの温度プロファイルに極値が検出された時点(図6の極大値:480℃付近)を、除電終了タイミングとみなすことができる。極値が検出された時点とは、ウェハWが誘電体28に正常に吸着されたときにヒータ層19の温度調節機能によって保持される温度(図6の390℃付近)から、ウェハWの温度が最も変化した時点と設定できる。この時点で、電極29a、29bへの除電電圧の印加を停止すれば、再吸着が抑えられ、ウェハWの安定な離脱が行える。
【0089】
また、図6から、除電電圧を大きくすると(+50V〜+100V〜+150V)、ウェハWの温度変化が速くなることがわかる。これは、逆極性の印加電圧が大きいほど、除電速度が高いことを示す。このことから、チャック電圧の印加停止の後に、大きい逆極性電圧を印加するほど、速やかな除電およびウェハWの離脱が可能であることがわかる。
【0090】
図5に戻り、除電中のウェハWの温度をモニタしている制御装置100は、ウェハWの温度変化が極値を示した時点で電極29a、29bへの電圧印加を停止する。詳細には、制御装置100は、例えば、所定の微少時間における温度変化の微分値をモニタしており、微分値の符号(正または負)が、所定期間にわたって反対の符号を示した時点で、極値に達したと判別する。すなわち、図5の、ウェハWの温度が、最高値に到達し、その後、減少に転じた時点を極値とする。
【0091】
制御装置100は、極値を検出した時点で除電処理を終了する。制御装置100は、給電スイッチ33をオフとして電極29a、29bへの逆極性電圧の印加を停止し、シリンダ27によりリフトピン25を上昇させる。このとき、ウェハWと誘電体28との間の吸着力は弱く、ウェハWの安定な離脱が行われる。
【0092】
その後、ゲートバルブ55が開放され、リフトピン25上のウェハWは、搬送機構57によって、チャンバ12からロードロックチャンバ56に搬送される。その後、ゲートバルブ55は閉鎖され、以上で、処理は終了する。
【0093】
以上説明したように、第1の実施の形態では、ウェハWの温度プロファイルからその静電チャック21への吸着状態をリアルタイムで検出している。このように、吸着状態をリアルタイムで検出することにより、除電の終了タイミングを高精度に検出することができる。このようにして検出された除電終了タイミングに、ウェハWを静電チャック21から離脱させることにより、ウェハWの安定な離脱を行える。また、除電終了タイミングを所定のマージンをとって予め設定しておく場合と比べ、無駄のない、速やかなウェハWの離脱が図れ、スループットの向上が図れる。
【0094】
また、除電時に、チャック電圧とは逆の極性の電圧を印加することにより、除電速度を上昇させている。これにより、除電時間の短縮が図られ、高いスループットが得られる。
【0095】
上記第1の実施の形態では、制御装置100は、除電時のウェハWの温度プロファイルが極値を示した時点で電極29a、29bへの電圧印加を停止するものとした。しかし、除電の終了タイミングは、ウェハWと静電チャック21との吸着力が弱く、静電チャック21からの安定な離脱が可能な時点であれば、どのようなタイミングであってもよい。
【0096】
例えば、除電の終了タイミングは、温度プロファイルが極値を示した時点から所定時間後でもよい。また、ウェハWの温度が極値(最高温度)に達する直前を除電終了タイミングとしてもよい。この場合、例えば、温度変化の傾きが逓減して0に達する直前を除電終了タイミングとする。また、上記例では、吸着力の減少に伴いウェハWの温度が上昇する場合を例としたが、ウェハWの温度が減少する場合にも適用可能である。この場合、例えば、ウェハWの温度変化が極小となる時点を除電終了タイミングとすることができる。
【0097】
また、除電時の電極29a、29bへの印加電圧は、除電プラズマの電位とほぼ同電位としたがこれに限らず、どのような電圧であってもよい。しかし、図6に示すように、印加電圧が大きいほど速やかな除電が可能となるが、過大な電圧および急激な極性の変化は、素子破壊等を起こすおそれがある。また、温度変化が急峻過ぎる場合、所定の除電終了タイミングの検出から除電電圧を停止するまでの時間に、ウェハWが再吸着されてしまう可能性がある。従って、素子等に悪影響を与えず、温度プロファイルのモニタとこれに基づく離脱制御が高精度に行えるような電圧とすべきである。
【0098】
さらに、逆極性の印加電圧を、ウェハWの温度プロファイルに基づいてフィードバック制御するようにしてもよい。例えば、最初に比較的大きい逆電圧を印加し、ウェハWの温度が所定の値まで上昇したときに、先ほどよりも低い電圧を印加して温度変化を比較的緩やかなものとする。これにより、除電の終了タイミングの検出精度をより高めることができる。この場合、例えば、図7に示すように、−600Vのチャック電圧から、+200V、+100V、+50Vというように、ウェハWの温度に応じて多段に減衰するように逆極性電圧を印加し、最小の電圧を印加した状態で、ウェハWの温度変化の極値を検出する。
【0099】
さらにまた、除電時の印加電圧は、極性切替スイッチ34を周期的に切り替えて、交番電圧としてもよい。
【0100】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置11について説明する。第2の実施の形態の処理装置11について、図1および図2に示す構成を有するプラズマエッチング装置を例として説明する。
【0101】
第2の実施の形態では、静電チャック21上のウェハWの温度プロファイルに基づいて、その吸着状態を確認する。上記第1の実施の形態において説明したように、静電チャック21に吸着されたウェハWの温度は、ヒータの温度調節効果によって、ほぼ一定に保たれる。従って、ウェハWの温度プロファイルに基づいて、ウェハWの吸着状態についての知見が得られる。
【0102】
図8に、ウェハWが正常に静電チャック21に吸着された状態でプラズマを生成したときのウェハWの温度プロファイルを概略的に示す。また、図9に、断線により電極29a、29bに電圧が印加されない状態で、プラズマを生成したときのウェハWの温度プロファイルを概略的に示す。
【0103】
図8に示すように、ウェハWが静電チャック21に正常に吸着された状態では、プラズマの発生後(上下電極への高周波電力の供給後)、すぐに(theat時間後)ウェハWの温度は上昇を開始する。また、ウェハWの温度は、Tmaxで一定に保たれる。
【0104】
一方、図9に示すように、断線によりチャック電圧が印加されていない状態では、ウェハWの温度が上昇を開始するまでの時間theatは、図8に示す正常吸着時よりも遅い。これは、ウェハWが静電チャック21に吸着されていないため、ウェハWと誘電体28とが密着しておらず、ヒータからの熱の伝熱効率が低いためである。
【0105】
また、ウェハWの温度は、上昇を開始した後、一定には保たれず、プラズマの生成とともに増大し、最高温度Tmaxは、図8に示す正常状態におけるよりも高い。これは、ヒータからの伝熱効率が低いため、ヒータの温度調節効果が得られず、プラズマエネルギーによって加熱されていくからである。
【0106】
このように、図8および図9に示す結果から、プラズマ生成時の温度プロファイルに基づいて、ウェハWの吸着状態を知ることができることがわかる。すなわち、例えば、静電チャック21上への載置の際に位置ずれが生じた場合、静電チャック21上に異物が存在し吸着が不十分である場合、などでは、ウェハWに対する加熱および温度調整が正常吸着時とは異なったものとなる。従って、温度プロファイルに関する複数のパラメータ、例えば、ウェハWの昇温速度、最高到達温度、一定性に基づいて、ウェハWの吸着状態を判別することができる。
【0107】
以下、上記したパラメータからその吸着状態を判別する、第2の実施の形態の処理装置11の動作について説明する。図10に、判別方法を示すフローチャートの一例を示す。なお、以下に示す動作は、第1の実施の形態に示すものとほぼ同様であり、ここでは、相違する点について説明する。また、以下に示す動作は一例であり、同様の効果を奏する構成であればどのようなものでもよい。
【0108】
まず、静電チャック21上にウェハWが載置される。制御装置100は、チャンバ12内を所定の真空度まで減圧し、電極29a、29bにチャック電圧を印加してウェハWを吸着させる。次いで、チャンバ12内にエッチングガスを導入し、さらに減圧する。
【0109】
次いで、制御装置100は、上部電極43および下部電極への高周波電力の供給を開始する。これにより、チャンバ12内にプラズマが生成され、エッチング処理が開始される。制御装置100は、ソフトウェアタイマ等のタイマを備えている。
【0110】
制御装置100は、放射温度計35を介して、ウェハWの温度をモニタしている。エッチング処理の開始の初期に、制御装置100は、高周波電力の印加開始から所定時間内に所定の温度に到達しているかどうかを判別する。詳細には、制御装置100は、ウェハWが正常に吸着されている場合に一定の温度を示す時間に、ウェハWの温度がその温度に到達しているかどうかを判別する。
【0111】
高周波電力の供給から所定時間内に所定の到達温度(エッチング処理温度)に達していない場合、制御装置100は、異常状態にあると判別し、処理を中断する。一方、所定時間内に所望の温度に到達している場合、制御装置100は、正常状態にあると判別して処理を続行する。
【0112】
さらに、その後、制御装置100は、エッチング処理中にウェハWの温度が一定に保たれているかどうかをモニタしている。詳細には、制御装置100は、所定の微少時間内の温度変化率(微分)をモニタしている。温度変化率が所定回数連続して所定の値以上となったとき、制御装置100は、異常状態にあると判別して、処理を中断する。一方、そうでない場合、正常状態にあると判別して処理を続行する。
【0113】
また、同時に、制御装置100は、ウェハWの温度が所定温度以下にあるかどうかをモニタしている。制御装置100は、ウェハWの温度が所定温度に達すると、異常状態にあると判別して、処理を中断する。一方、ウェハWの温度が所定温度より低ければ、正常状態にあると判別して処理を続行する。
【0114】
制御装置100は、上記のようにウェハWの温度プロファイルをモニタしつつ、エッチング処理を行う。所定のエッチング工程が終了した後、制御装置100は、電極29a、29bへのチャック電圧の印加を停止し、または、逆極性の電圧を印加する。不活性ガスの導入および除電の後、リフトピン25を上昇させ、ウェハWは離脱される。その後、ゲートバルブ55が開放され、ウェハWは搬送機構57によってチャンバ12外に搬出される。以上で、処理は終了する。
【0115】
上記第2の実施の形態では、プラズマ処理時のウェハWの温度プロファイルに基づいて、ウェハWの吸着状態をリアルタイムで検出している。これにより、ウェハWの位置ずれ、異物の存在、断線等による、ウェハWの異常な加熱状態を高精度に検出することができる。従って、上記のような異常が発生した場合に、異常状態で複数枚のウェハWを処理することなく、被害を最小限とすることができる。よって、歩留まりおよびスループットの向上が図れる。
【0116】
上記第2の実施の形態では、制御装置100は、異常状態と判別した際に処理を中断するものとした。しかし、異常検出時の対処方法は、これに限られない。例えば、上記した処理工程を一旦終了し、ウェハWの搬出後に中断するようにしてもよい。
【0117】
また、上記第2の実施の形態では、ウェハWの温度プロファイルに関するパラメータとして、初期加熱に要する時間、最高到達温度、一定性を用いた。しかし、ウェハWの温度プロファイルからその吸着状態を検出する方法および用いるパラメータは上記例に限られない。例えば、正常加熱時の温度変化を記憶し、記憶した波形と検出された波形とが重なるかどうかを判別するようにしてもよい。
【0118】
上記第1および第2の実施の形態では、ウェハWの裏面に近接して配置した放射温度計35を用いてウェハWの温度を検出するものとした。上記例では、1つの検出子37を用いる構成としたが、ウェハWの複数の地点の温度を検出するよう、複数の検出子を用いてもよい。これにより、より信頼性の高い温度検出が可能となる。また、検出子37を設置する場所は、ウェハWから放射される光または熱線を捕捉可能な場所であれば、ウェハWの表面側等、どのような場所であってもよい。また、測定に用いる光は、赤外光に限らず、他の波長域の光でもよい。
【0119】
また、ウェハWの温度を検出する方法は、放射温度計35を用いるものに限られない。例えば、熱電対を用いて、ウェハWの温度を直接または間接的に測定するようにしてもよい。
【0120】
上記第1および第2の実施の形態では、一対の電極29a、29bを用いる双極式の静電チャック21を用いるものとした。しかし、本発明は、単極式、あるいは、3つ以上の電極を備える構造にも適用可能である。
【0121】
上記第1および第2の実施の形態では、ウェハWの離脱は、リフトピン25の上昇動作によって行うものとした。しかし、ウェハWの離脱方法は、これに限らず、例えば、リフトピンの位置を固定した状態で、ウェハWが載置されたサセプタ16が昇降して、リフトピン上にウェハWが支持されるようにしてもよい。
【0122】
上記第1及び第2の実施の形態では、シリコン半導体ウェハ表面のシリコン酸化膜をフッ素ガスを用いてエッチングするプラズマエッチング装置を例として説明した。しかし、上記例に限らず、エッチングする膜種、エッチングガス種等は上記のものに限られない。
【0123】
また、上記例では、いわゆる平行平板型のプラズマ処理装置を用いたが、誘導結合型、マイクロ波型、ECR型等の他のいかなるプラズマ処理装置に用いてもよい。また、プラズマエッチングに限らず、アッシング、スパッタリング、CVD等の他のプラズマ処理を行う装置にも適用可能である。また、プラズマ処理装置に限らず、熱処理装置、CVD装置、スパッタリング装置等のプラズマを用いない処理を行う処理装置にも用いることができる。すなわち、本発明は、被処理体を静電吸着させた状態で所定の処理を施すいかなる処理装置にも適用可能である。
【0124】
また、被処理体も、半導体ウェハに限らず、液晶表示装置基板にも適用可能であり、さらには、所定の処理が施されるものであればいかなるものであってもよい。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、静電吸着された被吸着物の吸着状態をリアルタイムで検出可能な、吸着状態判別方法および静電吸着装置が提供される。
また、本発明によれば、静電吸着された被処理体の、速やかな離脱の可能な離脱方法、処理方法および処理装置が提供される。
さらに、本発明によれば、汎用性の高い装置構成で、被処理体の吸着状態を高い信頼性で判別可能な吸着状態判別方法、離脱方法、処理方法、静電吸着装置および処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる処理装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す処理装置の、サセプタ周辺の構成を示す図である。
【図3】リフトピンの上昇状態を示す図である。
【図4】電極の構成を示す図である。
【図5】タイミングチャートの一例を示す図である。
【図6】除電電圧印加時のウェハの温度プロファイルを示す図である。
【図7】除電電圧印加のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図8】正常吸着時のウェハの温度プロファイルを示す図である。
【図9】異常吸着時のウェハの温度プロファイルを示す図である。
【図10】判別方法を示すフローチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】
11 処理装置
12 チャンバ
16 サセプタ
19 ヒータ層
21 静電チャック
25 リフトピン
27 シリンダ
28 誘電体
29a、29b 電極
31 給電部
35 放射温度計
37 検出子
43 上部電極
100 制御装置
Claims (22)
- 電極を内包する誘電体上に載置され、前記電極への直流電圧の印加により前記誘電体に静電気力によって吸着された被吸着物の吸着状態を判別する吸着状態判別方法であって、
前記直流電圧印加後の前記被吸着物の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記被吸着物の温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別する吸着状態判別工程と、
を備える、ことを特徴とする吸着状態判別方法。 - 前記吸着状態判別工程では、前記被吸着物が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別する、ことを特徴とする請求項2に記載の吸着状態判別方法。
- さらに、前記誘電体上の前記被吸着物を所定温度に保持する工程を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の吸着状態判別方法。
- 電極を内包する誘電体上に載置され、前記電極への所定極性の直流電圧の印加により前記誘電体に静電気力によって吸着された被吸着物を、前記誘電体から離脱させる離脱方法であって、
前記電極への前記直流電圧の印加を停止する工程と、
前記直流電圧の印加停止後に前記被吸着物に残留する電荷を除去する電荷除去工程と、
前記電荷除去工程における前記被吸着物の温度プロファイルをモニタする工程と、
モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被吸着物を前記誘電体から離脱させるタイミングを決定する離脱タイミング決定工程と、
前記離脱タイミング決定工程で決定された前記離脱タイミングに、前記被吸着物を前記誘電体から離脱させる工程と、
を備える、ことを特徴とする離脱方法。 - 前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別する、ことを特徴とする請求項4に記載の離脱方法。
- 前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物と前記誘電体との間に、前記残留する電荷によって形成される静電気力が最も弱まる時点を、前記離脱タイミングとして決定する、ことを特徴とする請求項4または5に記載の離脱方法。
- さらに、前記誘電体上の前記被吸着物を所定温度に保持する工程を備える、ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の離脱方法。
- 前記離脱タイミング決定工程では、前記被吸着物の温度が前記所定温度から最も変化した時点に基づいて前記離脱タイミングを決定する、ことを特徴とする請求項7項に記載の離脱方法。
- 前記電荷除去工程では、前記電極に、前記所定極性の前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加する、ことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の離脱方法。
- 電極を内包する誘電体上に被処理体を載置する工程と、
前記電極に所定極性の直流電圧を印加して、前記被処理体を前記誘電体に静電気力によって吸着させる工程と、
前記誘電体に吸着された前記被処理体に所定の処理を施す工程と、
前記直流電圧印加後の前記被処理体の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記被処理体の温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記処理を制御する制御工程と、
を備える、ことを特徴とする処理方法。 - さらに、前記誘電体上の前記被処理体を所定温度に保持する工程を備える、ことを特徴とする請求項10に記載の処理方法。
- 前記制御工程では、前記被処理体の前記誘電体上への載置状態を判別する、ことを特徴とする請求項10または11に記載の処理方法。
- 電極を内包する誘電体上に被処理体を載置する工程と、
前記電極に所定極性の直流電圧を印加して、前記被処理体を前記誘電体に静電気力によって吸着させる工程と、
前記誘電体に吸着された前記被処理体に所定の処理を施す工程と、
前記処理の後、前記電極への前記直流電圧の印加を停止する工程と、
前記被処理体および前記誘電体に残留した電荷を除去する電荷除去工程と、
前記電荷除去工程中の前記被処理体の温度プロファイルをモニタする工程と、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱タイミングを決定する離脱タイミング決定工程と、
前記離脱タイミング決定工程で決定された前記離脱タイミングに、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる工程と、
を備える、ことを特徴とする処理方法。 - 前記タイミング決定工程では、前記被処理体が前記誘電体に所定状態で吸着されたときの温度プロファイルと、モニタした前記温度プロファイルと、を比較して、前記吸着状態を判別する、ことを特徴とする請求項13に記載の処理方法。
- 前記離脱タイミング決定工程では、前記被処理体と前記誘電体との間に、前記残留する電荷によって形成される静電気力が最も弱まる時点を、前記離脱タイミングとして決定する、ことを特徴とする請求項13または14に記載の処理方法。
- さらに、前記誘電体上の前記被処理体を所定温度に保持する工程を備える、ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の処理方法。
- 前記離脱タイミング決定工程では、前記被処理体の温度が前記所定温度から最も変化した時点に基づいて前記離脱タイミングを決定する、ことを特徴とする請求項16項に記載の処理方法。
- 前記電荷除去工程では、前記電極に、前記所定極性の前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加する、ことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の処理方法。
- 電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、被吸着物が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記被吸着物の温度を測定するための温度測定手段と、
前記温度測定手段が測定した前記被吸着物の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被吸着物と前記誘電体との吸着状態を判別する吸着状態判別手段と、
を備える、ことを特徴とする静電吸着装置。 - 内部で被処理体に所定の処理が施されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、前記被処理体が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記誘電体上の前記被処理体の温度を測定するための温度測定手段と、
前記温度測定手段が測定した前記被処理体の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記処理を制御する制御手段と、
を備える、ことを特徴とする処理装置。 - 内部で被処理体に所定の処理が施されるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、電極を内包し、前記電極への直流電圧の印加により、その表面に前記被処理体が静電気力によって吸着される誘電体と、
前記電極への直流電圧の印加の開始と停止とを切り替える給電切替手段と、
前記誘電体上の前記被処理体の温度を測定するための温度測定手段と、
前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱手段と、
前記電極への前記直流電圧の印加停止後の前記被処理体の温度プロファイルをモニタし、モニタした前記温度プロファイルに基づいて、前記被処理体と前記誘電体との吸着状態を判別し、前記被処理体を前記誘電体から離脱させる離脱タイミングを決定し、前記離脱手段によって前記被処理体を離脱させる制御手段と、
を備える、ことを特徴とする処理装置。 - さらに、前記電極に印加される直流電圧の極性を切り替える極性切替手段を備え、
前記制御装置は、前記直流電圧の印加停止後の前記電極に、前記直流電圧とは逆の極性の電圧を印加する、ことを特徴とする請求項21に記載の処理装置。
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