JP2004047448A - 非水電解液二次電池用正極活物質 - Google Patents

非水電解液二次電池用正極活物質 Download PDF

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小林 謙一
Yoko Nakano
中野 陽子
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Abstract

【課題】少なくともスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、電池特性、特に、サイクル特性、負荷特性、保存特性等に優れ、かつ、電池の膨れが少ない正極活物質の提供。
【解決手段】少なくともスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子およびその凝集体である二次粒子の一方または両方からなる粒子の形態で存在し、前記各粒子に、前記各粒子における遷移金属およびリチウムに起因する発光電圧値の三乗根のそれぞれを座標成分とする二次元座標を与えて、座標平面上の点として表し、原点を通る一次回帰直線を求めたときに、前記一次回帰直線に対する前記各点の誤差の絶対偏差が0.25以下である非水電解液二次電池用正極活物質。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ともいう。)に関する。詳しくは、サイクル充放電特性(サイクル特性)、保存特性、負荷特性等に優れる、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する正極活物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、携帯電話やノート型パソコンに代表されるモバイル電子機器の電源として広く利用されている。また、最近では、電気自動車用バッテリー等の大容量の電源への応用が期待されている。
【0003】
現在、携帯電話等のモバイル電子機器には様々な機能が付与されており、これに伴い、電源となる非水電解液二次電池には、更なる負荷特性の向上が要求されている。
また、非水電解液二次電池を電気自動車に利用する場合、5年以上の電池寿命が要求されており、サイクル特性を改善する必要がある。更に、その場合、大電流を放電する必要があり、負荷特性の更なる向上が要求されている。
【0004】
非水電解液二次電池は、従来のニッケルカドミウム二次電池等に比べて作動電圧が高く、かつ、エネルギー密度が高いという特徴を有し、電子機器の電源として広く利用されている。この非水電解液二次電池の正極活物質としては、LiMn2 4 、LiCoO2 およびLiNiO2 に代表されるリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
【0005】
これらのうち、LiMn2 4 は、充放電に伴いガスが発生し、電池が膨れるという問題を有していた。また、実用レベルのサイクル特性が得られないという問題も有していた。これらの問題は高温度下において特に顕著に現れるため、例えば、高温度下での使用が予想されるモバイル機器等の用途については、実用化することができなかった。
【0006】
上記問題の原因の一つとして、充放電に伴い、LiMn2 4 の結晶構造からマンガンイオンが電解液に溶出することが挙げられる。以下、具体的に説明する。
電解液に溶出したマンガンイオンは、負極表面に析出し、リチウムイオンの負極材料への挿入および負極材料からの脱離の妨げとなり、内部抵抗の増加を招く。その結果、充放電を繰り返し行っていくと、放電容量の低下を引き起こすことになる。
また、正極を構成するLiMn2 4 結晶から電解液へのマンガンイオンの溶出は、正極および電解液の変質および劣化を伴う。このような電池を構成する各材料の変質および劣化は、サイクル特性の低下の原因となる。
更に、この電解液に溶出したマンガンイオンは、電解液中のエステル化合物の分解反応を促進するという説がある。このエステル化合物の分解によって、CO2 等のガスが発生し、電池の膨れが引き起こされる。
そして、このマンガンイオンの溶出は、充放電を行った場合に起きるだけでなく、単に放置しておいた場合にも起こることが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、LiMn2 4 を用いた正極活物質において、マンガンイオンの溶出を抑制することができれば、放電容量の向上、サイクル特性の向上および電池の膨れの防止を達成することができると考えた。
また、正極活物質としては、非水電解液二次電池の保存中にもマンガンイオンの溶出が起こらない、保存特性に優れるものが好ましい。
更に、上述したことは、遷移金属としてマンガンを用いたLiMn2 4 だけでなく、その他の遷移金属(例えば、チタン)を用いた、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物についても同様に言えることである。
したがって、本発明の目的は、少なくともスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、電池特性、特に、サイクル特性、負荷特性、保存特性等に優れ、かつ、電池の膨れが少ない正極活物質を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(9)を提供する。
【0009】
(1)少なくともスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子およびその凝集体である二次粒子の一方または両方からなる粒子の形態で存在し、
前記各粒子に、前記各粒子における遷移金属およびリチウムに起因する発光電圧値の三乗根のそれぞれを座標成分とする二次元座標を与えて、座標平面上の点として表し、原点を通る一次回帰直線を求めたときに、
前記一次回帰直線に対する前記各点の誤差の絶対偏差が0.25以下である非水電解液二次電池用正極活物質。
【0010】
換言すれば、少なくともスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の遷移金属に起因する発光電圧の三乗根をX値とし、リチウムに起因する発光電圧の三乗根をY値として、XとYを原点を通る直線に一次回帰したときの近似直線に対するリチウム遷移金属複合酸化物粒子群の誤差の絶対偏差が、0.25以下であるリチウム遷移金属複合酸化物である。
【0011】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子ごとの組成比のばらつきを少なくすることにより、遷移金属のイオンの溶出が抑制され、これにより、サイクル特性および保存特性が向上し、また、電池の膨れが抑制されることを見出した。
本発明者は、更に、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子ごとの組成比のばらつきは、各粒子に、前記各粒子における遷移金属およびリチウムに起因する発光電圧値の三乗根のそれぞれを座標成分とする二次元座標を与えて、座標平面上の点として表し、原点を通る一次回帰直線を求めたときに、前記一次回帰直線に対する前記各点の誤差の絶対偏差で表すことができること、および、前記誤差の絶対偏差が0.25以下であるときに、サイクル特性、保存特性および電池の膨れが実用的なものになる程度に、遷移金属のイオンの溶出が抑制されることを見出した。
そして、本発明者は、これらの知見に基づいて、上記(1)の正極活物質を完成させたのである。
【0012】
また、本発明者の知見によれば、粒子ごとの組成比のばらつきを少なくし、粒子レベルでの組成比の均一性を高めることにより、正極全体でのリチウムイオンの挿入および脱離が平均的に起こるようになるため、電流密度のむらが生じなくなり、負荷特性が向上すると考えられる。
更に、本発明者の知見によれば、粒子ごとの組成比のばらつきを抑え、粒子レベルでの組成比の均一性を高めることにより、負荷時の放電電位が高くなり、負荷時の容量維持率も向上するため、出力特性も向上すると考えられる。
【0013】
(2)前記粒子の粒度分布において、体積累積頻度が10%、50%および90%に達する粒径をそれぞれ、D10、D50およびD90としたとき、
0.1≦(D10/D50)<1、
1<(D90/D50)≦3および
5μm≦D50≦40μm
のすべてを満足する上記(1)に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0014】
本発明者は、粒子ごとの組成比のばらつきを少なくするだけでなく、更に、粒子ごとの大きさのばらつきを制御することにより、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性の向上を損なうことなく、かつ、電池の膨れの抑制を損なうことなく、本発明の正極活物質を正極板に塗布する場合の極板密度を向上させ、それにより、電池の単位体積あたりの充放電容量を向上させることができることを見出し、更に、粒度分布の体積累積頻度に関する特定の関係式を満足することにより、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性の向上と、極板密度の向上との両立を図ることができることを見出し、これらの知見に基づいて、上記(2)の正極活物質を完成させたのである。
【0015】
(3)前記粒子の粒度分布において、粒子径の標準偏差は0.4以下である上記(1)または(2)に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0016】
本発明者は、また、粒子径の標準偏差を0.4以下にすることによっても、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性の向上と、極板密度の向上との両立を図ることができることを見出し、上記(3)の正極活物質を完成させたのである。
【0017】
(4)前記遷移金属はマンガンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0018】
遷移金属がマンガンであると、本発明の正極活物質を用いた非水電解液二次電池がサイクル特性、保存特性および負荷特性に特に優れたものになるため、携帯電話、電動工具等の用途に特に好適に用いることができる。また、出力特性にも優れたものになるため、電気自動車の用途にも特に好適に用いることができる。
【0019】
(5)前記リチウム遷移金属複合酸化物は、アルミニウムおよび/またはマグネシウムと、ホウ素とを有するリチウムマンガン複合酸化物である上記(4)に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0020】
本発明者は、マンガン酸リチウムのマンガンの一部をアルミニウムおよび/またはマグネシウムで置換したリチウムマンガン複合酸化物を用いることにより、結晶構造の安定化を図ることができ、保存特性、負荷特性および出力特性を損なわずに、サイクル特性が更に向上すること、および、電池の膨れを更に抑制することができることを見出した。
また、本発明者は、ホウ素はフラックス(flux)として作用し結晶性が高まるため、ホウ素の添加により、保存特性、負荷特性および出力特性を損なわずに、サイクル特性が更に向上することを見出した。
本発明者は、これらの知見に基づいて、上記(5)の正極活物質を完成させた。
【0021】
(6)前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一般式Li1+a b Mn2−a−b c 4+d (Mはアルミニウムおよび/またはマグネシウムを表し、aは−0.2≦a≦0.2を満たす数を表し、bは0≦b≦0.2を満たす数を表し、cは0≦c≦0.02を満たす数を表し、dは−0.5≦d≦0.5を満たす数を表す。)で表される上記(4)に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0022】
更に、本発明者は、以下のことを見出した。
即ち、マンガンイオンの溶出を抑制するためには、Li/Mnモル比を大きくすることが効果的である。しかしながら、Li/Mnモル比を大きくしていくと、充放電容量が低下する。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子ごとの組成比のばらつきが大きいと、平均組成のLi/Mnモル比を大きくしても、Li/Mnモル比の小さい粒子からのマンガンイオンの溶出が起こる。
上記(1)の正極活物質においては、粒子ごとの組成比のばらつきを少なくすることで、遷移金属のイオンの溶出を抑制しているが、これにより、充放電容量が低下せず、かつ、マンガンイオンの溶出を効果的に抑制することができる範囲にLi/Mnモル比を調整することができる。
本発明者は、これらの知見に基づいて、Li/Mnモル比の好適範囲を決定し、上記(6)の正極活物質を完成させたのである。したがって、上記(6)の正極活物質は、サイクル特性、負荷特性、保存特性および充放電容量に優れ、かつ、電池の膨れが少ない。
【0023】
(7)前記リチウム遷移金属複合酸化物の(400)結晶子径は600〜1200オングストロームである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0024】
(400)結晶子径が600〜1200オングストロームであると、保存特性、負荷特性および出力特性を損なうことなく、より優れたサイクル特性を実現することができる。
【0025】
(8)比表面積は0.2〜1.2m2 /gである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0026】
比表面積が0.2〜1.2m2 /gであると、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性を損なうことなく、電池の膨張率を更に抑制することができる。
【0027】
(9)前記粒子の粒度分布において、体積基準の粒子径が50μm以上である粒子の割合は、全粒子の10体積%以下である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
【0028】
粒子の粒度分布において、体積基準の粒子径が50μm以上である粒子の割合が、全粒子の10体積%以下であると、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性を損なうことなく、平滑性に優れた正極塗布面を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の正極活物質を、実施の形態、実施例および図1〜図10を用いて説明する。ただし、本発明は、この実施の形態、実施例および図1〜図10に限定されない。
【0030】
(非水電解液二次電池用正極活物質)
本発明の正極活物質は、少なくともスピネル構造(スピネル型の結晶構造)のリチウム遷移金属複合酸化物を有する。「スピネル構造」とは、複酸化物でAB2 4 型の化合物(AとBは金属元素)にみられる代表的結晶構造型の一つである。
図4は、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造を示す模式図である。図4において、リチウム原子1は8aサイトの四面体サイトを占有し、酸素原子2は32eサイトを占有し、遷移金属原子3(および、場合により過剰のリチウム原子)は16dサイトの八面体サイトを占有している。
【0031】
スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物としては、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物等が挙げられる。中でも、リチウムマンガン複合酸化物が好ましい。
【0032】
本発明の正極活物質においては、上記リチウム遷移金属複合酸化物が、一次粒子およびその凝集体である二次粒子の一方または両方からなる粒子の形態で存在する。即ち、リチウム遷移金属複合酸化物は、粒子の形態で存在し、その粒子は、一次粒子のみからなっていてもよく、一次粒子の凝集体である二次粒子のみからなっていてもよく、一次粒子と二次粒子の両者からなっていてもよい。
【0033】
本発明の正極活物質においては、上記各粒子に、各粒子における遷移金属およびリチウムに起因する発光電圧値の三乗根のそれぞれを座標成分とする二次元座標を与えて、座標平面上の点として表し、原点を通る一次回帰直線を求めたときに、一次回帰直線に対する各点の誤差の絶対偏差が0.25以下となる。以下、詳細に説明する。
「発光電圧値」は、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子をマイクロ波プラズマ中に導入して、前記粒子を原子状に分解させて励起させ、励起された原子の発する発光スペクトルを電圧として検出したときの値である。本発明においては、リチウム遷移金属複合酸化物の各粒子において、遷移金属原子およびリチウム原子に起因する発光電圧値を求める。
【0034】
以下、本発明者が、実際に行った方法を例に挙げて具体的に説明する。まず、微粒子成分分析装置(パーティクルアナライザPT1000、横河電気(株)製)を用いて、後述する実施例1および比較例1の正極活物質の数千から数万個の粒子について、マンガンおよびリチウムの元素分析を実施した。マンガンについては、上記装置の検出器のチャンネルを2とし、発光波長257.610nmの発光スペクトルを高圧電源倍率1.00で測定した。リチウムについては、上記装置の検出器のチャンネルを3とし、発光波長670.780nmの発光スペクトルを高圧電源倍率0.75で測定した。なお、本発明においては、上記装置に限定されず、マイクロ波プラズマを利用して各元素の発光電圧により各粒子の元素分析を行う装置を用いることができる。
【0035】
各粒子について、得られたマンガン原子に起因する発光電圧値の三乗根をX値とし、得られたリチウム原子に起因する発光電圧値の三乗根をY値とし、各粒子にそれぞれを座標成分とする二次元座標(X,Y)を与えて、座標平面上の点として表した。図1は実施例1についての(X,Y)の分布を表す散布図であり、図2は比較例1についての(X,Y)の分布を表す散布図である。なお、Y=0および/またはX=0の粒子については測定限界以下の粒子であるとして除外した。各点におけるX値とY値の比は、リチウムマンガン複合酸化物の各粒子におけるリチウムとマンガンの含有量の比を表している。
ついで、Y=aX(aは定数)で表される原点を通る一次回帰直線(近似直線)を最小二乗法により求め、図1および図2中に表した。
【0036】
更に、以下のようにして、一次回帰直線に対する各点の誤差の絶対偏差を求めた。図1および図2中、各点と、各点から下ろした垂線と近似直線との交点との有向距離(点が近似直線の上にある場合を正とし、下にある場合を負とする。)をdとし、前記交点と、前記交点から下ろした垂線とX軸との交点との距離をHとする。このとき、誤差eは、下記式(1)で表される。
【0037】
e=d/H  (1)
【0038】
図3は、一次回帰直線に対する各点の誤差の具体的な求め方の説明図である。図3中、点Aおよび点Bと、点Aおよび点Bから下ろした垂線と近似直線との交点との距離をそれぞれd1 (>0)およびd2 (<0)とし、前記近似直線と前記垂線との交点からX軸に下ろした垂線の長さをそれぞれH1 およびH2 とする。このとき、誤差e1 およびe2 は、それぞれe1 =d1 /H1 (>0)およびe2 =d2 /H2 (<0)で表される。
ここで、誤差の絶対偏差Eは、下記式(2)で表される。
【0039】
E=1/n・Σ|e−e′|  (2)
【0040】
上記式(2)中、nは測定した粒子の個数を表し、e′は誤差の平均値を表す。誤差の絶対偏差Eは、0≦E≦1の範囲で変動する。
【0041】
本発明の正極活物質においては、上述した誤差の絶対偏差が0.25以下、好ましくは0.22以下である。誤差の絶対偏差が上記範囲であると、Li/Mnモル比を過剰に高めなくても、サイクル特性、負荷特性、保存特性および充放電容量が優れたものとなり、また、電池の膨れが抑制される。
一方、誤差の絶対偏差が大きすぎると、リチウムマンガン複合酸化物の粒子ごとの組成比にばらつきが大きくなり、Li/Mnモル比の小さい粒子からのマンガンイオンの溶出が起こりやすくなる。この結果、サイクル特性、保存特性が低下し、電池の膨れも生じる場合がある。
本発明においては、各粒子における組成比を、誤差の絶対偏差により制御することにより、上記各効果を実現している。
【0042】
本発明においては、粒子の粒度分布において、体積累積頻度が10%、50%および90%に達する粒径をそれぞれ、D10、D50およびD90としたとき、
0.1≦(D10/D50)<1、
1<(D90/D50)≦3および
5μm≦D50≦40μm
のすべてを満足するのが好ましい。
D10、D50およびD90が上記関係式を満足することにより、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性の向上を損なうことなく、かつ、電池の膨れの抑制を損なうことなく、更に、極板密度を向上させることができる。
【0043】
また、D10、D50およびD90は、目的および用途に応じて更に好適な関係式で表される。例えば、更に、極板密度を向上させるためには、
0.2≦(D10/D50)≦0.9、
1.2≦(D90/D50)≦2および
7μm≦D50≦30μm
のすべてを満足するのが好ましい。
【0044】
また、本発明の正極活物質を用いた非水電解液二次電池が住宅用、家庭用等の定置用に好適に用いられるためには、
0.7≦(D10/D50)<1、
1<(D90/D50)≦1.3および
7μm≦D50≦15μm
のすべてを満足するのが好ましい。この場合、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性に特に優れる。
【0045】
更に、本発明の正極活物質を用いた非水電解液二次電池が携帯電話、電動工具、電気自動車等の用途に好適に用いられるためには、
0.2≦(D10/D50)≦0.7、
1.3≦(D90/D50)≦2および
15μm≦D50≦36μm
のすべてを満足するのが好ましい。この場合、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性に優れ、かつ、極板密度にもより優れる。
【0046】
本発明において、粒子の粒度分布を測定する方法としては、例えば、ふるい分け法、画像解析法、沈降法、レーザー回折散乱法、電気的検知法が挙げられる。
【0047】
本発明の正極活物質は、粒子の粒度分布において、粒子径の標準偏差が0.4以下であるのが好ましく、0.36以下であるのがより好ましく、また、0.07以上であるのが好ましい。上記範囲であると、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性を損なうことなく、極板密度をより高くすることができる。
【0048】
本発明の正極活物質は、遷移金属がマンガンであるのが好ましい。遷移金属がマンガンであると、本発明の正極活物質を用いた非水電解液二次電池がサイクル特性、保存特性および負荷特性に特に優れたものになるため、携帯電話、電動工具等の用途に特に好適に用いることができる。また、出力特性にも優れたものになるため、電気自動車の用途にも特に好適に用いることができる。
【0049】
本発明の正極活物質においては、リチウム遷移金属複合酸化物の好適な態様として、以下の(i)〜(viii)が挙げられる。
【0050】
(i)リチウム遷移金属複合酸化物が、アルミニウムおよび/またはマグネシウムと、ホウ素とを有するリチウムマンガン複合酸化物である態様。
【0051】
態様(i)は、サイクル特性、負荷特性、保存特性および充放電容量に優れ、かつ、電池の膨れが少ない。理由を以下に述べる。
アルミニウムおよび/またはマグネシウムを有すると、結晶構造が安定化するため、保存特性、負荷特性および出力特性を損なわずに、サイクル特性が優れたものになり、かつ、電池の膨れを更に抑制することができる。更に、ホウ素はフラックスとして作用し、結晶成長を促進させ、更に、サイクル特性および保存特性を向上させる。
【0052】
態様(i)においては、リチウムマンガン複合酸化物のLi、MnおよびOの組成比を一般式Li1+a Mn2−a 4+d で表したときに、aが−0.2≦a≦0.2を満たす数を表し、dが−0.5≦d≦0.5を満たす数を表すのが好ましい。後述する態様(iii)、態様(v)および態様(vii)においても同様である。
aは、0より大きいのが好ましく、また、0.15以下であるのが好ましい。化学量論比よりも過剰量のリチウムと、アルミニウムおよび/またはマグネシウムとの相乗効果によって、更に、結晶構造の安定化が図られ、更に、サイクル特性が向上すると考えられる。
【0053】
(ii)リチウム遷移金属複合酸化物が、一般式Li1+a b Mn2−a−b c 4+d (Mはアルミニウムおよび/またはマグネシウムを表し、aは−0.2≦a≦0.2を満たす数を表し、bは0≦b≦0.2を満たす数を表し、cは0≦c≦0.02を満たす数を表し、dは−0.5≦d≦0.5を満たす数を表す。)で表される態様。
【0054】
態様(ii)は、サイクル特性、負荷特性、保存特性および充放電容量に優れ、かつ、電池の膨れが少ない。
態様(ii)において、aは、0より大きいのが好ましい。リチウムでマンガンの一部を置換することにより、サイクル特性が向上すると考えられる。
態様(ii)において、bは、0より大きいのが好ましく、0.05以上であるのがより好ましい。アルミニウムおよび/またはマグネシウムを有すると、結晶構造が安定化するため、保存特性、負荷特性および出力特性を損なわずに、サイクル特性が優れたものになり、かつ、電池の膨れを更に抑制することができる。bは0.15以下であるのが好ましい。bが大きすぎると、放電容量が低下する。
態様(ii)において、cは、0より大きいのが好ましく、0.001以上であるのがより好ましい。ホウ素はフラックスとして作用し、結晶成長を促進させ、更に、サイクル特性および保存特性を向上させる。cは0.01以下であるのが好ましい。cが大きすぎると、サイクル特性が低下する。
【0055】
(iii)リチウム遷移金属複合酸化物が、アルミニウムおよび/またはマグネシウムと、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種と、ホウ素とを有するリチウムマンガン複合酸化物である態様。
【0056】
ハロゲン元素はリチウムマンガン複合酸化物の粉末を球状で粒度の揃った粉末にする効果がある。これにより、サイクル特性、保存特性、負荷特性および出力特性を損なうことなく、表面の平滑性に優れ、内部抵抗が低く、かつ、結着性に優れる正極塗布面を形成させることができる。ハロゲン元素としては、フッ素および/または塩素が好ましい。
【0057】
(iv)リチウム遷移金属複合酸化物が、一般式Li1+a c Mn2−a−c 4 ・Lib d e f (Mはアルミニウムおよび/またはマグネシウムを表し、Xはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を表し、aは0<a≦0.1を満たす数を表し、bは0≦b≦0.1を満たす数を表し、cは0<c≦0.2を満たす数を表し、dは0<d≦0.05を満たす数を表し、eは0<e≦0.02を満たす数を表し、fは0≦f<0.1を満たす数を表す。)で表される態様。
【0058】
態様(iv)においては、リチウム遷移金属複合酸化物が、Li1+a c Mn2−a−c 4 で表される立方晶スピネル型リチウムマンガン複合酸化物と、Lib d e f で表される、1類以上の化合物からなる不純物相とで構成されるのが好ましい。
態様(iv)において、aは、0.02以上であるのが好ましく、また、0.08以下であるのが好ましい。態様(ii)の場合と同様の理由による。
態様(iv)において、Xは、フッ素および/または塩素であるのが好ましい。dは、0.01以上であるのが好ましく、また、0.03以下であるのが好ましい。態様(iii)の場合と同様の理由による。
態様(iv)において、eは0.001以上であるのが好ましく、また、0.01以下であるのが好ましい。態様(ii)の場合と同様の理由による。
【0059】
(v)リチウム遷移金属複合酸化物が、アルミニウムおよび/またはマグネシウムと、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種と、ホウ素と、硫黄とを有するリチウムマンガン複合酸化物である態様。
【0060】
態様(v)においては、硫黄の存在により電子の通りやすさが向上するため、更に、サイクル特性および負荷特性が向上すると考えられる。
硫黄の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫黄の合計に対して、0.03〜0.3重量%であるのが好ましい。0.03重量%より少ないと、電子の移動抵抗が低減しにくい場合がある。0.3重量%より多いと、水分吸着により電池の膨れが生じる場合がある。
【0061】
硫黄はどのような形で存在していてもよい。例えば、硫酸根の形で存在していてもよい。
硫酸根は、硫酸イオン、硫酸イオンからその電荷を除いた原子の集団およびスルホ基を含む。アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩、有機硫酸塩ならびに有機スルホン酸およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種に基づくのが好ましい。
中でも、アルカリ金属の硫酸塩およびアルカリ土類金属の硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種に基づくのが好ましく、アルカリ金属の硫酸塩に基づくのがより好ましい。これらは、強酸強塩基の結合からなるため、化学的に安定だからである。
【0062】
態様(v)において、硫黄以外の元素を有する理由は、態様(i)〜(iv)と同様である。
態様(v)においては、上記各元素を有することで、各元素の相乗効果により、高い充放電容量を有し、かつ、結着性および表面の平滑性に優れる正極板を得ることができる。
【0063】
(vi)リチウム遷移金属複合酸化物が、一般式Li1+a b Mn2−a−b c d e 4+f (Mはアルミニウムおよび/またはマグネシウムを表し、Xはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を表し、aは−0.2≦a≦0.2を満たす数を表し、bは0<b≦0.2を満たす数を表し、cは0≦c≦0.05を満たす数を表し、dは0<d≦0.02を満たす数を表し、eは0≦e≦0.1を満たす数を表し、fは−0.5≦f≦0.5を満たす数を表す。)で表される態様。
【0064】
態様(vi)において、eは、0より大きいのが好ましい。態様(v)の場合と同様の理由による。
また、eは、0.0017以上であるのがより好ましく、また、0.02以下であるのが好ましい。eが小さすぎると、電子の移動抵抗が低くなる場合がある。eが大きすぎると、水分吸着により電池の膨れが生じる場合がある。
その他の点については、態様(v)の場合と同様である。
【0065】
(vii)リチウム遷移金属複合酸化物が、アルミニウムおよび/またはマグネシウムと、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種と、ホウ素と、硫黄と、ナトリウムおよび/またはカルシウムとを有するリチウムマンガン複合酸化物である態様。
【0066】
態様(vii)においては、ナトリウムおよび/またはカルシウムを有することにより、ホウ素(好ましくは、ホウ素と硫黄)との相乗効果により、マンガンイオンの溶出を更に抑制することができ、実用レベルの優れたサイクル特性を実現することができる。
態様(vii)において、ナトリウムおよび/またはカルシウム以外の元素を有する理由は、態様(i)〜(vi)と同様である。
【0067】
(viii)リチウム遷移金属複合酸化物が、一般式Li1+a b Mn2−a−b c d e g 4+f (Mはアルミニウムおよび/またはマグネシウムを表し、Xはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を表し、Aはナトリウムおよび/またはカルシウムを表し、aは−0.2≦a≦0.2を満たす数を表し、bは0<b≦0.2を満たす数を表し、cは0≦c≦0.05を満たす数を表し、dは0<d≦0.02を満たす数を表し、eは0≦e≦0.1を満たす数を表し、fは−0.5≦f≦0.5を満たす数を表し、gは0.00004≦g≦0.015を満たす数を表す。)で表される態様。
【0068】
態様(viii)が好ましい理由は、態様(vii)と同様である。
態様(viii)において、eは、0.0017以上であるのが好ましく、また、0.02以下であるのが好ましい。eが小さすぎると、電子の移動抵抗が低くなる場合がある。eが大きすぎると、水分吸着により電池の膨れが生じる場合がある。
その他の点については、態様(vii)の場合と同様である。
【0069】
リチウム遷移金属複合酸化物は、鉄の含有量が25ppm以下であるのが好ましく、20ppm以下であるのがより好ましく、18ppm以下であるのが更に好ましい。鉄の含有量が多すぎると、電池の内部短絡の原因になる場合がある。
【0070】
リチウム遷移金属複合酸化物は、マグネシウムを有する場合、粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合が20%以上であるのが好ましい。粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合は、40%以上であるのがより好ましく、60%以上であるのが更に好ましく、80%以上であるのが更に好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合が上記範囲であると、粒子の表面においてマグネシウムが均一に存在するため、遷移金属のイオンの溶出を抑制する効果に優れる。
本発明において、粒子の表面におけるマグネシウムの存在状態は、特に限定されない。
【0071】
本発明において、「リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合」は、以下のようにして求められる。
まず、波長分散型X線分光装置(WDX)を装備した電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子群について、粒子の表面のマグネシウムの存在状態を観察する。ついで、観察視野中、単位面積あたりのマグネシウム量が最も多い部分(マグネシウムのピークが最も大きい部分)を選択し、この部分を通過する線分(例えば、長さ300μmの線分)に沿ってライン分析を行う。ライン分析において、上記単位面積あたりのマグネシウム量が最も多い部分におけるピークの値を100%としたときのピークが4%以上の部分の長さの合計を、上記線分の長さで除した商を、「リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合」とする。なお、ライン分析を複数回(例えば、10回)行うことによって、「リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合」の平均値を用いるのが好ましい。
上記方法においては、マグネシウムのピークが4%未満の部分は、マグネシウム量が最も多い部分との差が大きいため、マグネシウムが存在しない部分とみなす。
【0072】
上述した「リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合」により、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面において、マグネシウムが均一に存在しているか、偏って存在しているかを表すことができる。
【0073】
本発明の正極活物質においては、リチウム遷移金属複合酸化物の(400)結晶子径((400)ベクトル方向の結晶子径)が600〜1200オングストロームであるのが好ましい。(400)結晶子径は、700オングストローム以上であるのがより好ましく、また、1100オングストローム以下であるのがより好ましい。
【0074】
ここで、「結晶子」は、単結晶と考えられる最大限の集合を意味し、「結晶子径」とは、結晶子の大きさを意味する。
したがって、結晶子径が大きいほど、結晶性に優れ、結晶構造の歪みが少ないことになる。なお、本発明に用いられるような、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物においては、以下に示す(400)結晶子径により、単位格子の配列の規則性の程度を示すことができる。
【0075】
リチウム遷移金属複合酸化物の(400)結晶子径は、例えば、X線回折法により求めることができる。X線回折法は、例えば、管電流100mA、管電圧40kVの条件で行うことができる。X線回折法で求められた(400)面に起因する回折ピークより、下記式(3)で表されるシェラーの式によって、結晶子径が算出される。
【0076】
D=Kλ/(βcosθ)  (3)
【0077】
上記式中、Dは結晶子の大きさ(Å)を表し、Kはシェラー定数(βを積分幅より算出した場合は、1. 05)を表し、λはX線源の波長(CuKα1の場合は、1. 540562Å)を表し、βは結晶子の大きさによる回折線の広がりの幅(radian)を表し、θは回折角(degree)を表す。
【0078】
本発明の正極活物質においては、比表面積が0.2〜1.2m2 /gであるのが好ましい。比表面積は、0.25m2 /g以上であるのがより好ましく、また、0.9m2 /g以下であるのがより好ましい。比表面積が小さすぎると、放電容量が低下する。比表面積が大きすぎると、サイクル特性が優れたものにならない。比表面積は、窒素ガス吸着法により測定することができる。
【0079】
本発明の正極活物質においては、粒子の粒度分布において、体積基準の粒子径が50μm以上である粒子の割合が、全粒子の10体積%以下であるのが好ましく、7体積%以下であるのがより好ましい。
上記のように粒子の粒度分布を制御することによって、二次凝集体からなる粗大粒子が含まれないようにすることができるため、平滑性に優れた正極塗布面を得ることができる。
【0080】
本発明の正極活物質は、製造方法を特に限定されないが、例えば、以下の(1)および(2)のようにして製造することができる。
【0081】
(1)原料混合物の作製
後述する化合物を各構成元素が所定の組成比となるように混合して、原料混合物を得る。原料混合物に用いられる化合物は、目的とする組成を構成する元素に応じて選択される。
混合の方法は、特に限定されず、例えば、粉末状の化合物をそのまま混合して原料混合物とする方法;水および/または有機溶媒を用いてスラリー状として混合した後、乾燥させて原料混合物とする方法;上述した化合物の水溶液を混合して沈殿させ、得られた沈殿物を乾燥させて原料混合物とする方法;これらを併用する方法が挙げられる。
【0082】
以下に、原料混合物に用いられる化合物を例示する。
リチウム化合物は、特に限定されないが、例えば、Li2 CO3 、LiOH、LiOH・H2 O、Li2 O、LiCl、LiNO3 、Li2 SO4 、LiHCO3 、Li(CH3 COO) 、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過酸化リチウムが挙げられる。中でも、Li2 CO3 、LiOH、LiOH・H2 O、Li2 O、LiCl、LiNO3 、Li2 SO4 、LiHCO3 、Li(CH3 COO) が好ましい。
【0083】
マンガン化合物は、特に限定されないが、例えば、マンガンメタル、酸化物(例えば、MnO2 、Mn2 3 、Mn3 4 )、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩(MnCO3 )、塩化物塩(例えば、MnCl2 )、ヨウ化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン(例えば、MnSO4 )が挙げられる。中でも、マンガンメタル、MnCO3 、MnSO4 、MnCl2 が好ましい。
マンガン化合物は、粒子の粒度分布において、体積累積頻度が10%、50%および90%に達する粒径をそれぞれ、d10、d50およびd90としたとき、d10が5〜25μm、d50が7〜40μm、d90が10〜60μmのものを用いるのが好ましい。このような粒度分布を有するマンガン化合物を得るために、らいかい乳鉢、ボールミル、振動ミル、ジェットミル等を使用することができる。また、種々の分級装置を使用することもできる。
【0084】
マグネシウム化合物は、特に限定されないが、例えば、MgO、MgCO3 、Mg(OH)2 、MgCl2 、MgSO4 、Mg(NO3 2 、Mg(CH3 COO)2 、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウムが挙げられる。中でも、MgSO4 、Mg(NO3 2 が好ましい。
アルミニウム化合物は、特に限定されないが、例えば、Al2 3 、Al(NO3 3 、Al2 (SO4 3 、Al2 (CO3 3 、Al(CH3 COO)3 が挙げられる。
【0085】
ホウ素化合物は、特に限定されないが、例えば、B2 3 (融点460℃)、H3 BO3 (分解温度173℃)、リチウムホウ素複合酸化物、オルトホウ酸、酸化ホウ素、リン酸ホウ素が挙げられる。中でも、H3 BO3 、B2 3 が好ましい。
ハロゲン化合物は、特に限定されないが、例えば、NH4 F、NH4 Cl、NH4 Br、NH4 I、LiF、LiCl、LiBr、LiI、MnF2 、MnCl2 、MnBr2 、MnI2 、フッ化水素、フッ化酸素、フッ化水素酸、塩化水素、塩酸、酸化塩素、フッ化酸化塩素、酸化臭素、フルオロ硫酸臭素、ヨウ化水素、酸化ヨウ素、過ヨウ素酸が挙げられる。中でも、NH4 F、NH4 Cl、NH4 Br、NH4 I、LiF、LiCl、LiBr、LiI、MnF2 、MnCl2 、MnBr2 、MnI2 が好ましい。
【0086】
硫黄化合物は、特に限定されないが、例えば、Li2 SO4 、MnSO4 、(NH4 2 SO4 、Al2 (SO4 3 、MgSO4 、硫化物、ヨウ化硫黄、硫化水素、硫酸とその塩、硫化窒素が挙げられる。中でも、Li2 SO4 、MnSO4 、(NH4 2 SO4 、Al2 (SO4 3 、MgSO4 が好ましい。
【0087】
ナトリウム化合物は、特に限定されないが、例えば、Na2 CO3 、NaOH、Na2 O、NaCl、NaNO3 、Na2 SO4 、NaHCO3 、CH3 COONaが挙げられる。
【0088】
カルシウム化合物は、特に限定されないが、例えば、CaO、CaCO3 、Ca(OH)2 、CaCl2 、CaSO4 、Ca(NO3 2 、Ca(CH3 COO)2 が挙げられる。
また、上述した各元素の2種以上を含有する化合物を用いてもよい。
【0089】
以下に、原料混合物を得る好適な方法を、マグネシウムとホウ素とを有するリチウムマンガン複合酸化物である正極活物質を例に挙げて、具体的に説明する。
上述したマンガン化合物およびマグネシウム化合物から調製した、所定の組成比のマンガンイオンおよびマグネシウムイオンを含有する水溶液を、かくはんしている純水中に滴下する。
ついで、炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下し、マンガンおよびマグネシウムを沈殿させ、マンガンおよびマグネシウムの塩を得る。なお、炭酸水素アンモニウム水溶液の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等のアルカリ溶液を用いることもできる。
【0090】
つぎに、水溶液をろ過して沈殿物を採取し、採取した沈殿物を水洗し、熱処理した後、上述したリチウム化合物およびホウ素化合物と混合して、原料混合物を得る。
【0091】
(2)原料混合物の焼成および粉砕
ついで、原料混合物を焼成する。焼成の温度、時間、雰囲気等は、特に限定されず、目的に応じて適宜決定することができる。
焼成温度は、650℃以上であるのが好ましく、700℃以上であるのがより好ましい。焼成温度が低すぎると、未反応の原料が正極活物質に残留し、正極活物質の本来の特徴を生かせない場合がある。また、焼成温度は、1100℃以下であるのが好ましく、950℃以下であるのがより好ましい。焼成温度が高すぎると、正極活物質の粒径が大きくなり過ぎて電池特性が低下する場合がある。また、Li2 MnO3 、LiMnO2 等の副生成物が生成しやすくなり、単位重量あたりの放電容量の低下、サイクル特性の低下、動作電圧の低下を招く場合がある。
焼成時間は、一般に、1〜24時間であるのが好ましく、6〜12時間であるのがより好ましい。焼成時間が短すぎると、原料粒子間の拡散反応が進行しない。焼成時間が長すぎると、拡散反応がほぼ完了した後の焼成が無駄となり、また、焼結による粗大粒子が形成されてしまう場合がある。
【0092】
焼成の雰囲気は、例えば、大気、酸素ガス、これらと窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスとの混合ガス、酸素濃度(酸素分圧)を制御した雰囲気、弱酸化雰囲気が挙げられる。中でも、酸素濃度を制御した雰囲気が好ましい。
酸素濃度を制御した雰囲気中で焼成を行うと、結晶構造中の酸素欠損の発生を抑制することができ、結晶の歪みがほとんどなく、(400)結晶子径が大きい、リチウム遷移金属複合酸化物の粉末を製造することができる。
【0093】
中でも、酸素濃度10体積%以上の酸化雰囲気が好ましい。酸素濃度が10体積%以上の酸化雰囲気中で焼成を行うと、(400)結晶子径が600オングストローム以上の粉末が得られる。
特に、酸素濃度18体積%以上の酸化雰囲気が好ましい。酸素濃度が18体積%以上の酸化雰囲気中で焼成を行うと、結晶構造中に十分な酸素が供給され、(400)結晶子径が600〜1200オングストロームの粉末が得られる。
【0094】
焼成後、所望により、らいかい乳鉢、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル等を用いて粉砕し、目的とする粒度の粉体とすることもできる。このように、焼成後粉砕することによって、比表面積を上述した好適範囲とすることができる。
【0095】
上述した製造方法により、本発明の正極活物質を得ることができる。
【0096】
本発明の正極活物質は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等の非水電解液二次電池に好適に用いられる。
非水電解液二次電池は、従来公知の非水電解液二次電池において、正極活物質の少なくとも一部として本発明の正極活物質を用いればよく、他の構成は特に限定されない。以下、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明する。
【0097】
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、またはリチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物を使用することができる。リチウム合金としては、例えば、LiAl合金、LiSn合金、LiPb合金が挙げられる。リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物としては、例えば、グラファイト、黒鉛等の炭素材料;酸化スズ、酸化チタン等の酸化物が挙げられる。
【0098】
電解液としては、作動電圧で変質したり、分解したりしない化合物であれば特に限定されない。
溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルホルメート、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の有機溶媒が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0099】
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、四フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタン酸リチウム等のリチウム塩が挙げられる。
上述した溶媒と電解質とを混合して電解液とする。ここで、ゲル化剤等を添加し、ゲル状として使用してもよい。また、吸湿性ポリマーに吸収させて使用してもよい。更に、無機系または有機系のリチウムイオンの導電性を有する固体電解質を使用してもよい。
【0100】
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製等の多孔性膜等が挙げられる。
【0101】
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0102】
本発明の正極活物質と、上述した負極活物質、電解液、セパレーターおよび結着剤を用いて、定法に従い、リチウムイオン二次電池とすることができる。
【0103】
本発明の正極活物質を用いて正極を製造する好ましい方法を以下に説明する。
本発明の正極活物質の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛等のカーボン系導電剤、結着剤および結着剤の溶媒または分散媒とを混合することにより正極合剤を調製する。得られた正極合剤をスラリーまたは混練物とし、アルミニウム箔等の集電体に塗布し、または担持させ、プレス圧延して正極活物質層を集電体に形成させる。
図5は、正極の模式的な断面図である。図5に示されているように、正極13は、正極活物質5を結着剤4により集電体12上に保持させてなる。
【0104】
本発明の正極活物質は、導電剤粉末との混合性に優れ、電池の内部抵抗が小さいと考えられる。したがって、充放電特性、特に放電容量に優れる。
また、本発明の正極活物質は、結着剤と混練するときも、流動性に優れ、また、結着剤の高分子と絡まりやすく、優れた結着性を有する。
更に、本発明の正極活物質は、粗大粒子を含まず、球状であるため、作製した正極の塗膜面の表面が平滑性に優れたものになる。このため、正極板の塗膜面は結着性に優れ、はがれにくくなる。また、表面が平滑で充放電に伴う塗膜面表面のリチウムイオンの出入りが均一に行われるため、サイクル特性において顕著な改善がみられる。
【0105】
リチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型等とすることができる。
図6は、円筒型電池の模式的な断面図である。図6に示されるように、円筒型電池20においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、集電体12上に負極活物質層を形成させた負極11とが、セパレーター14を介して、繰り返し積層されている。
図7は、コイン型電池の模式的な部分断面図である。図7に示されるように、コイン型電池30においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、負極11とが、セパレーター14を介して、積層されている。
図8は、角型電池の模式的な斜視図である。図8に示されるように、角型電池40においては、集電体12上に正極活物質層を形成させた正極13と、集電体12上に負極活物質層を形成させた負極11とが、セパレーター14を介して、繰り返し積層されている。
【0106】
本発明の正極活物質を用いた非水電解液二次電池の用途は特に限定されない。例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、ポケットパソコン、ノート型ワープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤ、携帯電話、コードレスフォン子機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、電気シェーバ、電動工具、電子翻訳機、自動車電話、携帯プリンタ、トランシーバ、ページャ、ハンディターミナル、携帯コピー、音声入力機器、メモリカード、バックアップ電源、テープレコーダ、ラジオ、ヘッドホンステレオ、ハンディクリーナ、ポータブルコンパクトディスク(CD)プレーヤ、ビデオムービ、ナビゲーションシステム等の機器の電源として用いることができる。
また、照明機器、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、冷蔵庫、オーブン電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥器、ゲーム機器、玩具、ロードコンディショナ、医療機器、自動車、電気自動車、ゴルフカート、電動カート、電力貯蔵システム等の電源としても用いることができる。
更に、用途は、民生用に限定されず、軍需用または宇宙用とすることもできる。
【0107】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0108】
1.正極活物質の作製
〔実施例1〕
粒子の粒度分布における体積累積頻度が10%、50%および90%に達する粒径(d10、d50およびd90)が、それぞれ11μm、14μmおよび18μmである、マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩を水洗し、乾燥させた後、オルトホウ酸および炭酸リチウムと混合させた。得られた混合物を約800℃で約10時間焼成した。得られた焼成物を粉砕して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.09Mn1.94Mg0.010.008 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.5重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して7ppmであった。
【0109】
〔実施例2〕
マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩と、オルトホウ酸と、炭酸リチウムとの混合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.08Mn1.94Mg0.010.005 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.4重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して2ppmであった。
【0110】
〔実施例3〕
マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩と、オルトホウ酸と、炭酸リチウムとの混合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.05Mn1.95Mg0.010.005 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.4重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して2ppmであった。
【0111】
〔実施例4〕
マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩と、オルトホウ酸と、炭酸リチウムとの混合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成はLi1.05Mn1.95Mg0.010.008 4 であった。
【0112】
〔実施例5〕
d10、d50およびd90が、それぞれ23μm、31μmおよび48μmである、マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩を水洗し、乾燥させた後、オルトホウ酸および炭酸リチウムと混合させた。得られた混合物を約800℃で約10時間焼成した。得られた焼成物を粉砕して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.08Mn1.95Mg0.010.00024 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.5重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して8ppmであった。
【0113】
〔実施例6〕
マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩と、オルトホウ酸と、炭酸リチウムとの混合比を変更した以外は、実施例5と同様の方法により、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.08Mn1.95Mg0.010.003 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.5重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して5ppmであった。
【0114】
〔実施例7〕
d10、d50およびd90が、それぞれ20μm、29μmおよび41μmである、マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩を水洗し、乾燥させた後、オルトホウ酸および炭酸リチウムと混合させた。得られた混合物を約800℃で約10時間焼成した。得られた焼成物を粉砕して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.08Mn1.94Mg0.010.005 4 であった。
【0115】
〔実施例8〕
d10、d50およびd90が、それぞれ10μm、13μmおよび18μmである、マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩を水洗し、乾燥させた後、オルトホウ酸および炭酸リチウムと混合させた。得られた混合物を約800℃で約10時間焼成した。得られた焼成物を粉砕して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.08Mn1.94Mg0.010.005 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.4重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して5ppmであった。
【0116】
〔実施例9〕
d10、d50およびd90が、それぞれ9μm、12μmおよび16μmであるマンガンの炭酸塩を水洗し、乾燥させた後、オルトホウ酸、炭酸リチウムおよび水酸化アルミニウムと混合させた。得られた混合物を約800℃で約10時間焼成した。得られた焼成物を粉砕して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.08Mn1.94Al0.040.005 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.4重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して2ppmであった。
【0117】
〔実施例10〕
マンガンおよびマグネシウムの炭酸塩と、オルトホウ酸と、炭酸リチウムとの混合比を変更した以外は、実施例8と同様の方法により、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.07Mn1.94Mg0.040.005 4 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して0.4重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して16ppmであった。
【0118】
〔比較例1〕
d10、d50およびd90が、それぞれ0.4μm、9.6μmおよび28.3μmである二酸化マンガンと、炭酸リチウムと、炭酸マグネシウムと、オルトホウ酸とを乾式混合して原料混合物の粉末を得た。得られた原料混合物を大気雰囲気中で830℃で11時間焼成した。得られた焼成物を粉砕して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成は、Li1.10Mn1.93Mg0.010.00834 であった。硫酸根の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物と硫酸根の合計に対して1.2重量%であった。Fe含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物とFeの合計に対して40ppmであった。
【0119】
なお、上述した実施例および比較例において、正極活物質の組成は、誘導結合高周波プラズマ分光分析法(ICP分光分析法)により求めた。また、硫酸根およびFeの含有量は、ICP分光分析法により求めた。
【0120】
2.正極活物質の性状
(1)正極活物質の構成
実施例1および比較例1で得られた正極活物質について、WDXを装備したEPMAを用いて、上述した方法により、長さ300μmの線分に沿ってライン分析を行った。結果を図9および図10に示す。
図9より、実施例1で得られた正極活物質においては、表面に存在するマグネシウムの存在状態が均一であることが分かる。リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合は、84.5%であった。
図10より、比較例1で得られた正極活物質においては、表面に存在するマグネシウムの存在状態が不均一である(偏っている)ことが分かる。リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の表面におけるマグネシウムの存在割合は、2.0%であった。
【0121】
(2)誤差の絶対偏差
得られた正極活物質の元素分析を、各元素の発光電圧により元素分析を行うパーティクルアナライザ「PT−1000」(横河電気(株)製)を用いて、実施した。上記式(1)および(2)から、遷移金属およびリチウムに起因する発光電圧に基づく誤差の絶対偏差を求めた。
【0122】
(3)正極活物質の比表面積および粒度分布
得られた正極活物質の比表面積を、窒素ガスを用いた定圧式BET吸着法により測定した。
また、得られた正極活物質の粒度分布を、レーザー回折散乱法により測定し、D10、D50、D90、粒子径の標準偏差、および、体積基準の粒子径が50μm以上である粒子の割合を求めた。
【0123】
(4)正極活物質の(400)結晶子径
得られた正極活物質についてX線回折法を行った。X線回折法は、X線回折装置(RINT2500V、理学電気社製)を用い、X線源としてCuKα1を用い、管電流100mA、管電圧40kVの条件で行った。X線回折法により得られたX線回折パターンを基に、上記式(3)で表されるシェラーの式から、正極活物質の(400)結晶子径を求めた。
【0124】
(5)正極活物質のMn溶出試験
得られた正極活物質を110℃で15時間乾燥させた後、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=3/7の混合溶媒にLiPF6 を1mol/Lの濃度で溶解した電解液と混合させて85℃で48日間保存した。これをフィルターろ過により正極活物質を取り除いた後、ICP分光分析法によりMnの溶出量(電解液の重量に対するMn元素の重量)を測定した。Mnの溶出量が少ないほど保存特性に優れると言える。
【0125】
(6)正極活物質の極板密度
正極活物質粉末95重量部およびポリフッ化ビニリデンのノルマルメチルピロリドン溶液(ポリフッ化ビニリデン量として5重量部)を混練してペーストを調製し、これをドクターブレード法にてアルミニウム極板に塗布し、乾燥させて正極板とした。正極板を所定の大きさ(5cm2 )に裁断した後、一軸プレス機にて極板を加圧した。加圧後の極板の厚さと重量から極板密度を算出した。
【0126】
結果を第1表に示す。なお、表中、「−」は、該当する項目を測定していないことを示す。
第1表から明らかなように、本発明の正極活物質は、比較例1の正極活物質に比べて、Mnの溶出量が低く、保存特性に優れていた。また、本発明の正極活物質は、比較例1の正極活物質に比べて、極板密度が同等であった。
【0127】
【表1】
Figure 2004047448
【0128】
3.正極活物質の評価
上記で得られた各正極活物質を用いて、負極がリチウム金属である試験用二次電池、負極がカーボンである試験用二次電池および円筒電池を作製して、以下のようにして評価した。
【0129】
A.負極がリチウム金属である試験用二次電池を用いた評価
負極がリチウム金属である試験用二次電池は以下のように作製した。
正極活物質の粉末90重量部と、導電剤となる炭素粉末5重量部と、ポリフッ化ビニリデンのノルマルメチルピロリドン溶液(ポリフッ化ビニリデン量として5重量部)とを混練してペーストを調製し、これを正極集電体に塗布し乾燥させて正極板とした。得られた正極板を用い、負極がリチウム金属である試験用二次電池を作製した。
【0130】
(1)初期放電容量
充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷0.2C(なお、1Cは、1時間で放電が終了する電流負荷である。以下、同じ。)の条件で、負極がリチウム金属である試験用二次電池を放電させた。このときの放電容量を0.2C初期放電容量とした。
また、充電電位4.3V、放電電位3.0V、放電負荷0.24Cの条件で、負極がリチウム金属である試験用二次電池を放電させた。このときの放電容量を0.24C初期放電容量とした。
【0131】
(2)放電末期の膨れの評価
0.2C初期放電容量の測定時に、3.3Vから2.85Vまで放電する間の容量変化を測定し、放電末期の膨れを評価した。放電末期の膨れが小さいほどサイクル特性に優れると言える。
【0132】
(3)初期効率
充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷0.2Cの条件で、負極がリチウム金属である試験用二次電池を放電させた。このとき、放電容量の値を初期放電容量とし、充電容量の値を初期充電容量とした。得られた初期放電容量の値を初期充電容量で除して、初期効率を求めた。
【0133】
(4)負荷放電容量
充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷2.0Cの条件で、負極がリチウム金属である試験用二次電池を放電させた。このときの放電容量を負荷放電容量とした。
【0134】
(5)負荷効率(負荷容量維持率)
負極がリチウム金属である試験用二次電池を用いて、充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷0.2Cの条件で、初期放電容量を測定した後、充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷2.0Cの条件で、負荷放電容量を測定した。得られた負荷放電容量の値を初期放電容量で除して、放電負荷2.0Cのときの負荷効率を求めた。
【0135】
また、負極がリチウム金属である試験用二次電池を用いて、充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷0.24Cの条件で、初期放電容量を測定した後、充電電位4.3V、放電電位2.85V、放電負荷3.5Cの条件で、負荷放電容量を測定した。得られた負荷放電容量の値を初期放電容量で除して、放電負荷3.5Cのときの負荷効率を求めた。
【0136】
結果を第2表に示す。なお、表中、「−」は、該当する項目を測定していないことを示す。
第2表から明らかなように、本発明の正極活物質は、初期放電容量および負荷放電容量のいずれにも優れ、初期効率および負荷効率のいずれにも優れ、かつ、サイクル特性に優れていた。
【0137】
【表2】
Figure 2004047448
【0138】
B.負極がカーボンである試験用二次電池を用いた評価
負極がリチウム金属である試験用二次電池の場合と同様の方法により、正極板を得た。得られた正極板を用い、負極がカーボンである試験用二次電池を作製した。
【0139】
(1)放電容量
充電電位4.2V、放電電位2.75V、放電負荷0.2Cの条件で、負極がカーボンである試験用二次電池の充放電を43サイクル行った。43サイクル後の放電容量を測定した。
【0140】
(2)放電末期膨れ
43サイクル後の放電容量の測定時に、3.3Vから2.85Vまで放電する間の容量変化を測定し、放電末期の膨れを評価した。放電末期の膨れが小さいほどサイクル特性に優れると言える。
【0141】
(3)Mn溶出量
43サイクル充放電を行った後、負極がカーボンである試験用二次電池を分解し、負極およびセパレーターを取り出し、負極およびセパレーターに付着したMnを溶解させて濃縮し、ICP分光分析法によりMn溶出量(負極およびセパレーターから溶解させたMn元素の重量)を測定した。Mn溶出量が少なければ、サイクル特性および保存特性に優れると言える。
【0142】
(4)43サイクル後の放電容量維持率
充電電位4.2V、放電電位2.75V、放電負荷1.0Cの条件で充放電を繰り返し行い、43サイクル後の放電容量を測定した。得られた43サイクル後の放電容量の値を1サイクル後の放電容量の値で除して、43サイクル後の放電容量維持率を求め、サイクル特性を評価した。
【0143】
結果を第3表に示す。なお、表中、「−」は、該当する項目を測定していないことを示す。
第3表から明らかなように、本発明の正極活物質は、サイクル特性および保存特性に優れていた。
【0144】
【表3】
Figure 2004047448
【0145】
C.円筒電池を用いた評価
円筒電池は、以下のようにして作製した。
負極がリチウム金属である試験用二次電池の場合と同様の方法により、正極板を得た。また、負極活物質として炭素材料を用い、正極板の場合と同様にして負極集電体に塗布し乾燥させて負極板とした。セパレーターには多孔性プロピレンフィルムを用いた。電解液には、エチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート=3/7(体積比)の混合溶媒にLiPF6 を1mol/Lの濃度になるように溶解させた溶液を用いた。正極板、負極板およびセパレーターを薄いシート状に成形し、これを巻回させて金属円筒形の電池ケースに収納し、電池ケース内に電解液を注入して、リチウムイオン電池の円筒電池を得た。
【0146】
(1)200サイクル後の放電容量維持率
充電電位4.2V、放電電位2.75V、放電負荷2Cの条件で充放電を繰り返し行い、200サイクル後の放電容量を測定した。得られた200サイクル後の放電容量の値を1サイクル後の放電容量の値で除して、200サイクル後の放電容量維持率を求め、サイクル特性を評価した。
【0147】
(2)高温放電容量維持率
60℃において、充電電位4.2V、放電電位2.75V、放電負荷2Cの条件で充放電を繰り返し行い、200サイクル後の放電容量を測定した。得られた200サイクル後の放電容量の値を1サイクル後の放電容量の値で除して、高温放電容量維持率を求め、高温サイクル特性を評価した。
【0148】
(3)負荷効率(負荷容量維持率)
充電電位4.2V、放電電位2.75V、放電負荷0.2Cの条件で、初期放電容量を測定した後、充電電位4.2V、放電電位2.75V、放電負荷2.0Cの条件で、負荷放電容量を測定した。得られた負荷放電容量の値を初期放電容量で除して、放電負荷2.0Cのときの負荷効率を求めた。
【0149】
(4)平均電位
充電電位4.2V、放電電圧2.75V、放電負荷0.2Cの条件で、初期放電容量および電力量を測定した。得られた電力量の値を初期放電容量で除して、平均電位を求めた。
【0150】
結果を第4表に示す。なお、表中、「−」は、該当する項目を測定していないことを示す。
第4表から明らかなように、本発明の正極活物質は、サイクル特性および高温サイクル特性のいずれにも優れ、かつ、負荷時の平均電位が高く、負荷容量維持率に優れていた。
【0151】
【表4】
Figure 2004047448
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の正極活物質を用いることにより、非水電解液二次電池のサイクル特性、負荷特性、保存特性等の電池特性を向上させることができる。これにより従来達成できなかった優れた電池特性の非水電解液二次電池を実用化することができ、種々の分野への応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の正極活物質(実施例1)において、リチウムマンガン複合酸化物粒子のマンガン原子に起因する発光電圧値の三乗根をX値とし、リチウム原子に起因する発光電圧値の三乗根をY値としたときの(X,Y)の分布を表す散布図である。
【図2】図2は、従来のリチウムイオン二次電池用正極活物質(比較例1)において、リチウムマンガン複合酸化物粒子のマンガン原子に起因する発光電圧値の三乗根をX値とし、リチウム原子に起因する発光電圧値の三乗根をY値としたときの(X,Y)の分布を表す散布図である。
【図3】図3は、一次回帰直線に対する各点の誤差の具体的な求め方の説明図である。
【図4】図4は、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造を示す模式図である。
【図5】図5は、正極の模式的な断面図である。
【図6】図6は、円筒型電池の模式的な断面図である。
【図7】図7は、コイン型電池の模式的な部分断面図である。
【図8】図8は、角型電池の模式的な斜視図である。
【図9】実施例1で得られた正極活物質についてEPMAによるライン分析をして得られた、マグネシウムの存在状態を示すチャートである。
【図10】比較例1で得られた正極活物質についてEPMAによるライン分析をして得られた、マグネシウムの存在状態を示すチャートである。
【符号の説明】
1 8aサイト
2 32eサイト
3 16dサイト
4 結着剤
5 正極活物質
11 負極
12 集電体
13 正極
14 セパレーター
20 円筒型電池
30 コイン型電池
40 角型電池

Claims (9)

  1. 少なくともスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解液二次電池用正極活物質であって、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子およびその凝集体である二次粒子の一方または両方からなる粒子の形態で存在し、
    前記各粒子に、前記各粒子における遷移金属およびリチウムに起因する発光電圧値の三乗根のそれぞれを座標成分とする二次元座標を与えて、座標平面上の点として表し、原点を通る一次回帰直線を求めたときに、
    前記一次回帰直線に対する前記各点の誤差の絶対偏差が0.25以下である非水電解液二次電池用正極活物質。
  2. 前記粒子の粒度分布において、体積累積頻度が10%、50%および90%に達する粒径をそれぞれ、D10、D50およびD90としたとき、
    0.1≦(D10/D50)<1、
    1<(D90/D50)≦3および
    5μm≦D50≦40μm
    のすべてを満足する請求項1に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  3. 前記粒子の粒度分布において、粒子径の標準偏差は0.4以下である請求項1または2に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  4. 前記遷移金属はマンガンである請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  5. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、アルミニウムおよび/またはマグネシウムと、ホウ素とを有するリチウムマンガン複合酸化物である請求項4に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  6. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一般式Li1+a b Mn2−a−b c 4+d (Mはアルミニウムおよび/またはマグネシウムを表し、aは−0.2≦a≦0.2を満たす数を表し、bは0≦b≦0.2を満たす数を表し、cは0≦c≦0.02を満たす数を表し、dは−0.5≦d≦0.5を満たす数を表す。)で表される請求項4に記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  7. 前記リチウム遷移金属複合酸化物の(400)結晶子径は600〜1200オングストロームである請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  8. 比表面積は0.2〜1.2m2 /gである請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
  9. 前記粒子の粒度分布において、体積基準の粒子径が50μm以上である粒子の割合は、全粒子の10体積%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の非水電解液二次電池用正極活物質。
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