JP2004046148A - 静電潜像現像用トナーと現像剤及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナーと現像剤及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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松本 好康
Tatsuya Nagase
長瀬 達也
Kaori Soeda
添田 香織
Takeshi Omura
大村 健
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Abstract

【課題】湿度などの環境によらず転写性に優れ、解像度がとりわけ高く、クリーナーレスプロセスをも可能にする静電潜像現像用トナーと現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】トナー中間体粒子の表面に、フェレ径が110〜160nmである無機酸化物粒子を、5〜50個/μmの表面存在密度で存在させたことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター等に用いられる静電潜像現像用トナー(単にトナーと言うことがある)と現像剤及びそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法に代表される静電潜像現像法を利用した画像形成方法としては、最も代表的なものに米国特許2,297,691号及び同2,357,809号等の明細書に記載されているものがある。
【0003】
これらは感光体表面に静電潜像を形成し、該静電潜像を少なくとも静電潜像現像用トナーを含む乾式現像剤によりトナー像とする現像工程と、次に紙などの記録材料に前記トナー像を転写する転写工程、さらに続いて加熱や加圧などにより記録材料上にトナー像を定着させる定着工程により最終画像を形成する。
【0004】
この方式において、最終画像が良好な画質で長期にわたり形成されるためには、トナーが高い流動性を有し、安定した帯電性を維持することが必要である。トナーの流動性を向上させる技術としては、シリカ微粒子などの流動化剤を外添剤として添加混合するものが知られている。
【0005】
前述のごとく、現像工程において静電潜像の現像が行われてトナー像が形成されるが、このトナー像を形成する全てのトナーが記録材料(転写材、画像支持体等ともいう)に転写されるわけではなく、通常は感光体上にトナーの一部が残留する。
【0006】
従来、この残留したトナーはクリーニング器により回収され廃棄されていたが、近年、経済性、環境安全性の面から回収されたトナーをトナー搬送スクリュー等により、再び現像器中に戻して再度現像用トナーとして利用する、いわゆるトナーリサイクルシステム、あるいは、残留トナーを次の画像形成時に現像器に回収するクリーニングレスシステムを採用した画像形成装置が注目されている。
【0007】
しかしながら、従来のような粒子径の小さい流動化剤を含有してなるトナーを用いて、トナーリサイクルシステムやクリーニングレスシステムを採用した画像形成装置により画像を形成した場合、トナーはトナー搬送スクリューなどによる過大な物理的圧縮力を受ける。このため、着色樹脂粒子の表面に存在すべき流動化剤(外添剤)が着色樹脂粒子中に埋め込まれて、次第にトナーの流動性が低下するとともにトナーの帯電量が変化し、トナー飛散や、カブリが発生したり、画像濃度が低下するという問題点がある。
【0008】
上記、トナーの流動化剤がトナー粒子中に埋め込まれ、トナーの流動性が低下する現象を抑制するために、例えば、特開平9−211883号、特開平10−104869号及び特開平10−198063号の各公報に記載された技術が提案されている。また、大粒径外添剤と小粒径外添剤を併用し現像剤に適用した技術として、特開平5−224456号公報及び特開2000−298372号公報記載の技術がある。
【0009】
しかし、未だ何れの技術も十分な問題解決策になっていないのが現状である。特に、近年、画像形成装置のデジタル化に伴い、画質の向上のためトナーの小径化、なかでも重合トナーが注目を浴びている。そして、さらなる画質向上のためには、転写性を改良し、感光体上で現像されたトナー像をいかに忠実に、乱れなく転写するがが課題となってきた。
【0010】
特に、いわゆる重合法で造られたトナーは、粒度分布、ひいては帯電量分布がシャープであり、転写性に優れているというメリットがあることが知られている。クリーニング装置を設けないで画像形成する技術も実用化されつつあるが、あらゆる温湿度で転写残トナーを一切残さないことは困難であり、信頼性に欠くものであった。
【0011】
トナーの転写性を向上させるには、大粒径の外添剤を添加する技術が知られている(例えば、特開平11−38668号公報参照)。大粒径の外添剤はトナーと感光体の付着力を低減する効果があるが、トナーに固着させることが困難であり、脱離した外添剤が感光体に転写し蓄積していく問題があった。特に低温低湿環境では、遊離した外添剤の帯電量が高く、感光体に蓄積し、最終的には感光体傷として画像欠陥を生じさせることになった。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−298372号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平10−198063号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平11−38668号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、湿度などの環境によらず転写性に優れ、解像度がとりわけ高く、クリーナーレスプロセスをも可能にする静電潜像現像用トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成されることがわかった。
【0017】
本発明の構成の一つは、トナー中間体粒子表面にフェレ径が110〜160nmである無機酸化物粒子を5〜50個/μmの表面存在密度で存在させた静電潜像現像用トナーである。
【0018】
本発明の別の構成は、前記静電潜像現像用トナーを用いた現像剤である。
本発明の更に別の構成は、静電潜像が形成された感光体上に、現像器から前記の現像剤を供給してトナー像を形成する現像工程、記録材料上に前記トナー像を転写する転写工程、前記転写工程において転写されなかった感光体上の残存トナーを回収し、前記現像部に戻す回収工程、及び、前記記録材料上に転写されたトナー像を定着する定着工程、を有することを特徴とする画像形成方法である。
【0019】
即ち、より具体的には、本発明は下記の如き構成を採る。
〔1〕 トナー中間体粒子の表面に、フェレ径が110〜160nmである無機酸化物粒子を、5〜50個/μmの表面存在密度で存在させたことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【0020】
〔2〕 無機酸化物粒子の表面存在密度が、10〜30個/μmであることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0021】
〔3〕 無機酸化物粒子の水分量が4〜12質量%で、且つ前記静電潜像現像用トナー全体としての水分量が0.2〜2質量%であることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0022】
〔4〕 水分量が0.6〜1.5質量%であることを特徴とする〔3〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0023】
〔5〕 水分量が0.7〜1.2質量%であることを特徴とする〔4〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0024】
〔6〕 BET比表面積値が1.1〜4.2m/gであることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0025】
〔7〕 BET比表面積値が1.1〜4.2m/gであることを特徴とする〔3〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0026】
〔8〕 BET比表面積値が1.3〜1.9m/gであることを特徴とする〔4〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0027】
〔9〕 フェレ径の平均値が110〜160nmであり、70個数%以上がフェレ径の平均値±10%の粒径を有する無機酸化物粒子をトナー中間体粒子に添加混合して調製したことを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0028】
〔10〕 フェレ径の平均値が110〜160nmであり、70個数%以上がフェレ径の平均値±10%の粒径を有する無機酸化物粒子をトナー中間体粒子に添加混合して調製したことを特徴とする〔5〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0029】
〔11〕 個数平均粒径が2〜9μmであることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0030】
〔12〕 個数平均粒径が2〜9μmであることを特徴とする〔7〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0031】
〔13〕 個数平均粒径が2〜9μmであることを特徴とする〔8〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0032】
〔14〕 形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が、全トナー粒子の65個数%以上を占め、且つ形状係数の変動係数が4〜16%であることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0033】
〔15〕 形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が、全トナー粒子の65個数%以上を占め、且つ形状係数の変動係数が4〜16%であることを特徴とする〔11〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0034】
〔16〕 個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%であることを特徴とする〔11〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0035】
〔17〕 個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%であることを特徴とする〔12〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0036】
〔18〕 個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%であることを特徴とする〔13〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0037】
〔19〕 無機酸化物粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする〔1〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0038】
〔20〕 無機酸化物粒子が、疎水性シリカ粒子であることを特徴とする〔19〕に記載の静電潜像現像用トナー。
【0039】
〔21〕 〔1〕に記載の静電潜像現像用トナーを含むことを特徴とする現像剤。
【0040】
〔22〕 現像器から〔1〕に記載のトナーを供給して感光体上に形成された静電潜像を現像しトナー像を形成する工程、
記録材料上に前記トナー像を転写する転写工程、
前記転写工程において転写されなかった感光体上の残存トナーを回収する工程、
前記残存トナーを前記現像器に戻す工程、
及び前記記録材料上に転写されたトナー像を定着する工程、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明において、トナー中間体粒子とは、樹脂と着色剤を含む粒子であり、無機酸化物粒子等の外添剤を加える処理を施す前の粒子を意味する。前記トナー中間体粒子に対して外添剤を加える処理を施したものをトナー粒子といい、前記トナー粒子から構成される粉体(トナー粒子の集合)を静電潜像現像用トナー若しくは単にトナーいう。
【0042】
本発明に用いることが出来る無機酸化物は、特に限定はないが、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、ジルコニア、及び酸化セリウムが好ましく、シリカ、酸化チタン、アルミナ及び酸化鉄が更に好ましく、中でもシリカが特に好ましい。シリカからなる無機酸化物粒子としては、疎水性シリカ粒子が最も好ましい。
【0043】
フェレ径及びフェレ径の個数平均値の測定は、透過型電子顕微鏡で無機酸化物粒子の粒子撮影を行い、画像解析装置でフェレ水平径を測定し算出する。この場合、無機酸化物粒子はフェレ径の平均値±10%に70個数%以上が入る、粒径の揃ったものが好ましい。尚、本発明で用いられる無機酸化物粒子のフェレ水平径とは、上記電子顕微鏡で撮影された複数の無機酸化物粒子において、各無機酸化物粒子の任意の一方向における最大長さを表す。最大長さとは、上記任意の一方向に対して垂直で、粒子の外径に接する2本の平行線を引く場合の平行線間の距離をいう。
【0044】
例えば、図4において、電子顕微鏡による無機酸化物粒子200の撮影写真300について任意の一方向201を定める。前記任意の一方向201に対して垂直で各無機酸化物粒子200に接する2本の直線202の間の距離がフェレ径203である。
【0045】
又、無機酸化物粒子の表面存在密度とは、フェレ径が110〜160nmの無機酸化物粒子がトナー中間体粒子表面1μm×1μmに存在する個数を言い、トナー粒子表面を金パラジウムを7nm蒸着後、電界効果型走査電子顕微鏡にて、加速電圧5kVで観察し、画像解析装置で計数して求める。
【0046】
本発明において、無機酸化物粒子の表面存在密度の調整方法については特に限定はないが、トナー中間体粒子の表面積を求め、それに応じて前記の粒径を有する無機酸化物粒子の添加量を調整することで表面存在密度を調整することができる。
【0047】
本発明のトナーに添加される無機酸化物粒子のフェレ径の平均値が、110〜160nmであり、また、フェレ径が110〜160nmの無機酸化物粒子のトナー中間体粒子表面における表面存在密度が5〜50個/μmの範囲であることにより、トナーの転写率は向上しクリーナーレスプロセス等への優れた適性を示す。なお表面存在密度は10〜30個/μmの範囲内であるのがより好ましい。
【0048】
トナー及び無機酸化物粒子の水分量は、カールフィッシャー型水分量測定装置で測定したものをいう。試料は、20℃、50%RHの環境に4時間放置した後、測定用サンプル管に封入して測定した。
【0049】
トナーとしての水分量は0.2〜2質量%、無機酸化物粒子としては4〜12質量%含有するものが好ましい。トナーの水分量は、更に0.6〜1.5質量%であることが好ましく、0.7〜1.2質量%であることがより好ましい。
【0050】
更に、BET値(BET比表面積)の測定に当たっては、島津製作所社製「ジェミニ2360」を用い試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法で測定を行った。この値は転写率の向上等の観点より1.1〜4.2m/g、より好ましくは1.3〜1.9m/gがよい。
【0051】
尚、好ましい無機酸化物粒子の作製方法、本発明のトナー粒子の形状係数、その変動係数、本発明に係わる転写残トナーの回収方法や現像器及び画像形成方法等については後段で説明する。
【0052】
本発明に用いられる化合物、トナー及び現像剤、機器、画像形成方法や画像形成装置等につき更に説明する。
【0053】
〔1〕無機酸化物粒子の合成
無機酸化物粒子の一合成例として、疎水性シリカ微粒子の製法を下記に記す。
【0054】
まず、
一般式(I)  Si(OR
(但し、Rは同一または異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基)
で示されるシラン化合物またはその加水分解物から選択される化合物をメタノールやエタノールなどの親水性溶媒、水およびアンモニア或いは有機アミンなどの塩基性化合物の混合溶液中で加水分解、縮合することによって親水性シリカ微粒子分散液を得る工程;得られた親水性シリカ微粒子分散液に水を添加し親水性溶媒を留去し水性分散液に変換し微粒子表面に残存するアルコキシ基を完全に加水分解する工程がある。
【0055】
このようにして処理された親水性シリカ微粒子水性分散液に
一般式(II) RSi(OR
(但し、Rは炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、Rは同一または異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基)
で示されるシラン化合物またはその加水分解物から選択される1種または2種以上の化合物を添加し親水性シリカ微粒子表面をコーティングし、疎水性シリカ微粒子を得る工程;該疎水性シリカ微粒子水性分散液にケトン系溶媒を添加し水を留去し疎水性シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液に変換する工程;並びに、該疎水性シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液に、
一般式(III) R SiNHSiR
(但し、Rは同一または異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基)
で示されるシラザン化合物、および、
一般式(IV): R SiX
(但し、Rは一般式(III)に同じ。XはOH基または加水分解性基)
で示されるシラン化合物から選ばれる化合物を添加し、反応させてシリカ微粒子表面に残存するシラノール基をトリアルキルシリル化しさらに高度に疎水化する工程によって得られる。
【0056】
一般式(I)で示される4官能性シラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。また、一般式(I)で示される4官能性シラン化合物の部分加水分解縮合物の具体例としては、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。
【0057】
親水性有機溶媒は一般式(I)の化合物またはその部分加水分解縮合物および水を溶解するものであれば特に制限はなく、アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられ、好ましくはアルコール類が良い。アルコール類としては、
一般式(V):ROH
(但し、Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基)
で示されるアルコール溶媒が挙げられ、具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールの炭素原子数が増すと生成するシリカ微粒子の粒径が大きくなるため目的とするシリカ微粒子の粒径によりアルコールの種類を選択することが望ましい。
【0058】
又、上記の塩基性化合物としては、アンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられ、好ましくはアンモニアである。これら塩基性化合物は水に所要量溶解したのち、得られた水溶液(塩基性の水)を親水性有機溶媒と混合すればよい。
【0059】
このとき使用される水の量は一般式(I)のシラン化合物またはその部分加水分解縮合物に含まれるアルコキシ基1モル当り0.5〜5モル量であることが好ましく、水と親水性有機溶媒の比率は質量比で0.5〜10であることが好ましく、塩基性化合物の量は一般式(I)のシラン化合物またはその部分加水分解縮合物に含まれるアルコキシ基1モル当り0.01〜1モルであることが好ましい。
【0060】
一般式(I)の4官能性シラン化合物等の加水分解、縮合は塩基性化合物を含む親水性有機溶媒と水の混合物中へ一般式(I)の4官能性シラン化合物を滴下する周知の方法よって行われる。
【0061】
シリカ微粒子混合溶液分散液の分散媒を水に変換するには、例えば、該分散液に水を添加し親水性有機溶媒を留去する操作(必要に応じこの操作を繰り返す)により行うことができる。このときに添加される水量は、使用した親水性有機溶媒および生成したアルコール量の合計に対して質量比で0.5〜2倍量、好ましくはほぼ1倍量用いるのが良い。
【0062】
一般式(II)で示される3官能性シラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランが挙げられ、また、これらの部分加水分解縮合物を用いてもよい。
【0063】
一般式(II)で示される3官能性シラン化合物の添加量は、使用された親水性シリカ微粒子が含有するSiO単位1モル当たり1〜0.001モル、好ましくは0.1〜0.01モル用いるのが良い。
【0064】
疎水性シリカ微粒子水性分散液の分散媒をケトン系溶媒に変換する工程では、該分散液にケトン系溶媒を添加し水を留去する操作(必要に応じこの操作を繰り返す)が行われる。このとき添加されるケトン系溶媒量は、使用した親水性シリカ微粒子に対して質量比で0.5〜5倍量、好ましくは1〜2倍量用いるのが良い。ここで用いられるケトン系溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等が挙げられ、好ましくはメチルイソブチルケトンが良い。
【0065】
一般式(III)で示されるシラザン化合物の具体例としては、ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、一般式(IV)で示される1官能性シラン化合物の具体例としては、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール等のモノシラノール化合物、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等のモノクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン、トリメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルジエチルアミン等のモノアミノシラン、トリメチルアセトキシシラン等のモノアシロキシシランが挙げられる。
【0066】
これらの使用量は、使用した親水性シリカ微粒子が含有するSiO単位1モル当り0.1〜0.5モル、好ましくは0.2〜0.3モル用いるのがよい。
【0067】
このようにして製造された疎水性シリカ微粒子は、常法によって粉体として得ることができる。
【0068】
〔2〕本発明のトナー形状、変動係数と粒径分布
次に、本発明で好ましく用いられるトナーについて説明する。
【0069】
まず、本発明に係るトナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が4〜16%で、かつ、個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%のものであることが好ましい。ここで、本発明に係るトナー粒子の形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0070】
形状係数=((最大径/2)×π)/投影面積
ここで、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線で挟んだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0071】
本発明のトナーにおける「トナー粒子の形状係数の変動係数」は下記式から算出される。
【0072】
形状係数の変動係数(%)=(S/K)×100
式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。
【0073】
この形状係数の変動係数は好ましくは4〜16%であり、更に好ましくは6〜14%である。
【0074】
形状係数の変動係数が4〜16%であることにより、帯電量分布がシャープとなり画質が向上する。
【0075】
トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
本発明に係るトナー粒子の個数変動係数は好ましくは8〜27%であり、更に好ましくは10〜25%である。個数変動係数が8〜27%であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、転写効率が高くなって画質が向上する。
【0076】
本発明の個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー中間体粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー中間体粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー中間体粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0077】
ここで、本発明に係るトナー粒子の個数粒度分布および個数変動係数について説明する。本発明に係るトナー粒子の個数粒度分布および個数変動係数とは、コールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェイス(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて2μm以上の体積粒径、個数粒径を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0078】
個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布における累積50%の径、すなわちDn50を表すものである。
【0079】
本発明に係るトナー粒子の粒径は、個数平均粒径で2〜9μmが好ましく、3〜6.5μmであることが更に好ましく、より好ましくは3.5〜6μmである。
【0080】
この範囲の粒径はトナーの製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成により制御可能なもので、更に、個数平均粒径が2〜9μmという小径化されたものであることにより、転写効率を高めハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質向上に寄与する。
【0081】
次に本発明に用いられるトナーの製造法について記載する。
〔3〕トナー製造法
特に限定されるものではなく、公知の方法、例えばいわゆる粉砕法、重合法等を何れも用いることが出来る。
【0082】
しかし、好ましくは、本発明のトナーは懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるいはミニエマルジョン重合して微粒の樹脂粒子を調製し、その後に、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造するのがよい。
【0083】
(懸濁重合法)
重合性単量体中に荷電制御性樹脂を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構を有する反応装置(撹拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0084】
(乳化重合法)
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で塩析、凝集、融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0085】
(具体的な製造方法)
次に、重合法による具体的な製造例を挙げて説明する。
【0086】
多段重合法により得られる複合樹脂粒子
複合樹脂粒子の最外層以外の領域に離型剤が含有されている例を示す。
【0087】
トナーの製造工程は、主に、以下に示す工程より構成されている。
1:離型剤が最外層以外の領域(中心部または中間層)に含有されている複合樹脂粒子を得るための多段重合工程(I)
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー中間体粒子を得る塩析/融着工程(II)
3:トナー中間体粒子の分散系から当該トナー中間体粒子を濾別し、トナー中間体粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー中間体粒子を乾燥する乾燥工程
5:乾燥処理されたトナー中間体粒子に外添剤を添加しトナーとする工程
から構成される。
【0088】
以下、各工程について、詳細に説明する。
多段重合工程(I)
多段重合工程(I)は、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成する多段重合法により、複合樹脂粒子を製造する工程である。
【0089】
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
【0090】
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
【0091】
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0092】
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体Kに溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
【0093】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Kとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体Kを重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Kの重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0094】
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0095】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(単量体Mの重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0096】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Kとを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体Kを重合処理(第3段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Kの重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0097】
本発明に係るトナーの製造方法においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが好ましい。すなわち、離型剤を含有する樹脂粒子(核粒子)または被覆層(中間層)を形成する際に、離型剤を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
【0098】
本発明でいう水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0099】
又、機械的に油滴を形成する方法(ミニエマルジョン法)によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
【0100】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
【0101】
なお、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤を含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0102】
この重合工程(I)で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0103】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
【0104】
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
塩析/融着工程(II)
この塩析/融着工程(II)は、前記多段重合工程(I)によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナー中間体粒子を得る工程である。
【0105】
本発明でいう塩析/融着とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0106】
この塩析/融着工程(II)では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0107】
着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0108】
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0109】
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0110】
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10℃)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15℃)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行わせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0111】
濾過・洗浄工程
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー中間体粒子の分散系から当該トナー中間体粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー中間体粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0112】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0113】
乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナー中間体粒子を乾燥処理する工程である。
【0114】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0115】
乾燥処理されたトナー中間体粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0116】
なお、乾燥処理されたトナー中間体粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0117】
本発明のトナーは、上記の如く着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。
【0118】
また、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー中間体粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
【0119】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
〔重合性単量体〕
本発明に用いられる結着樹脂を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有するモノマーを少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0120】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0121】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0122】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0123】
アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0124】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0125】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0126】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0127】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0128】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0129】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0130】
(a)のカルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0131】
(b)のスルホン基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0132】
(4)塩基性極性基を有する単量体
塩基性極性基を有する単量体(モノマー)としては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物、及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーとして好ましい。
【0133】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0134】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0135】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0136】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0137】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0138】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50〜90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれより幾らか高い温度で重合する事も可能である。
【0139】
〔連鎖移動剤〕
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れるため好ましく用いられ、好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合物を挙げることができる。このうち、トナー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルが、特に好ましい。
【0140】
〔界面活性剤〕
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0141】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0142】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0143】
本発明において、これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または他の目的で使用してもよい。
【0144】
〔樹脂粒子、トナーの分子量分布〕
本発明のトナーは、分子量分布においてピークまたは肩が100,000〜1,000,000、および1,000〜50,000に存在することが好ましく、さらにピークまたは肩が100,000〜1,000,000、25,000〜150,000及び1,000〜50,000に存在することがさらに好ましい。
【0145】
樹脂粒子の分子量は、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から50,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好ましい。さらに好ましくは、分子量分布で15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0146】
トナーあるいは樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSKguard columnの組合せなどを挙げることができる。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0147】
〔凝集剤〕
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0148】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0149】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0150】
本発明で言う臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0151】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0152】
本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0153】
〔着色剤〕
本発明のトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0154】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0155】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0156】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0157】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0158】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0159】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0160】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0161】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0162】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0163】
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0164】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0165】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0166】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0167】
〔離型剤〕
本発明に使用されるトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
【0168】
本発明のトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0169】
−(OCO−R
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0170】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0171】
【化1】
Figure 2004046148
【0172】
【化2】
Figure 2004046148
【0173】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0174】
本発明のトナーでは、ミニエマルジョン法により樹脂粒子中に上記離型剤を内包させ、着色剤粒子とともに塩析、融着させて調製することが好ましい。
【0175】
〔4〕電子写真感光体
次に、本発明に用いられる電子写真感光体(単に感光体ともいう)は有機感光体が最もよく用いられる。
【0176】
本発明において、有機電子写真感光体(有機感光体)とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味する。例えば、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0177】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
(導電性支持体)
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置を小さく設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0178】
本発明の円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真円度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0179】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ω・cm以下が好ましい。
【0180】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0181】
(中間層)
本発明においては導電性支持体と前記感光層との接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。また、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0182】
本発明に最も好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0183】
(感光層)
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0184】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
(電荷発生層)
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0185】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加を小さくすることができる。
【0186】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0187】
(電荷輸送層)
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0188】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0189】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0190】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0191】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0192】
(保護層)
感光体の保護層として、各種樹脂層を設けることができる。特に架橋系の樹脂層を設けることにより、本発明の機械的強度の強い有機感光体を得ることができる。
【0193】
本発明の中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0194】
次に本発明の有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0195】
〔5〕画像形成方法に用いられる画像形成装置
本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置を図1、図2を用いて説明する。
【0196】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、100は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(感光体ドラム)を表す。ここで、感光体ドラム100は負帯電性・電荷注入帯電性のOPC感光体(有機光導電性感光体)であり、矢示の時計方向に100〜550mm/秒のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0197】
20は感光体ドラム100の表面を予め決められた極性・電位に一様に帯電処理する接触帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置(帯電器)である。回転する感光体ドラム100の表面は、磁気ブラシ帯電装置20によりほぼ−700Vに電荷注入帯電方式で一様に帯電処理される。
【0198】
12は画像情報書き込み手段としてのレーザービームスキャナーである。このレーザービームスキャナー12はホスト装置(図示していない)から入力された画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光Lを射出して、回転している感光体ドラム100の一様帯電処理面をレーザー光走査露光する。このレーザー光走査露光により回転している感光体ドラム100の周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。また、レーザービームスキャナーとしては、市販のものを入手し、使用することが出来る。
【0199】
30は、非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した二成分現像剤を用いる現像装置(現像器)を表し、回転している感光体ドラム100の表面の静電潜像をトナー画像として反転現像を行う、更に詳しくは、30は固定磁石体32と、その外周を感光体ドラム100より速い周速で順方向に回転するスリーブ31から成る現像ローラーと撹拌器33A及び33Bを有する構成が好ましい。
【0200】
上記で得られたトナー画像は、給紙カセット40から給紙ローラー41及びタイミングローラー42により給送された転写紙P上に、電圧が印加された転写ローラー13等の転写手段により転写される。トナー像を担持した転写紙Pは搬送手段80により定着装置に搬送されてトナー像が定着される。
【0201】
尚、前記画像形成装置において、正または負の放電開始電圧(VTH)の測定は、磁気ブラシ帯電装置20の直後に表面電位測定装置60を配置して行なわれることが好ましい。即ち前記電位測定装置60の電位計プローブ61を磁気ブラシ帯電装置20の直後に配置し、感光体ドラム100の表面電位を電位計62で読み取り、検出電位を増幅器63で増幅してレコーダー64で記録する。測定に際しては、現像器、転写手段等を不作動とし、磁気ブラシ帯電部材(図示していない)に正又は負の逓増する直流電圧を印加し、回転する感光体ドラム100上に前記磁気ブラシ帯電部材による接触帯電を行ない、印加する正又は負の直流の昇圧に伴って感光体ドラム100上に初めて正又は負の表面電位が検出されるに到ったときの印加直流電圧値を前記感光体ドラム100に対する正又は負の放電開始電圧(VTH)とする。
【0202】
本発明の画像形成装置の特徴はクリーナーレスプロセスが採用されていることである。転写ローラー13等の転写手段(転写装置ともいう)により転写紙Pに転写されずに、回転している感光体ドラム100の表面に残ったトナーを除去する為には、専用のクリーニング手段(クリーニング装置ともいう)が配設されているのが通常である。
【0203】
上記記載の専用のクリーニング手段(クリーニング装置)を持たない本発明の画像形成装置においては、転写残トナーは引き続く感光体ドラム100の回転で、感光体ドラム100に接触している磁気ブラシ帯電装置20の位置に至り、感光体ドラム100に接触している磁気ブラシ帯電部材24の磁気ブラシ部(図示していない)に一時的に回収され、その回収トナーが再び感光体ドラム100の表面上に吐き出されて最終的に現像装置30に現像同時クリーニングで回収され、感光体ドラム100は繰り返して画像形成に供される。
【0204】
ここで、現像装置がクリーニング手段を兼ねるとは、転写後に感光体ドラム上に若干残留したトナーを現像バイアス(現像スリーブに印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差)によって回収する方法である。
【0205】
上記記載の現像同時クリーニングにより、転写残トナーは以降の現像手段に回収されて次工程以後用いられるため、廃トナーをなくし、メンテナンスフリーとなり、且つ、クリーナーレスシステムになるため、スペース面での利点も際だって大きく、画像形成装置を大幅に小型化することが可能になる。
【0206】
図2は、図1に記載の磁気ブラシ帯電装置20の構成模式図である。
本発明に用いられる磁気ブラシ帯電装置20は、磁気ブラシ帯電部材24、層厚規制部材26及び撹拌部材27等をケーシング25内に一体的に内包する構成のものである。また前記磁気ブラシ帯電部材24は、N、S交互の複数の磁極を有する磁石ローラー23と、その外周を感光体ドラム100に対して順または逆の方向に回転するスリーブ22と、その外周に磁性粒子層から成る磁気ブラシ21とを有し、該磁気ブラシ21が、移動する感光体ドラム100に対して移動・摺擦し、前記感光体ドラム100上に帯電が付与される。
【0207】
上記記載の帯電付与の態様においては、前記磁気ブラシ帯電部材24に保護抵抗28を介して電圧印加手段である電源29から電圧が印加される。しかしながら印加される電圧が直流電圧のみでは均一帯電が付与されない場合があり、本発明では交流電圧が前記直流電圧に重畳して印加される。この場合、直流電圧の絶対値は300V〜1000Vの範囲が好ましく、前記交流電圧は、そのpeakto peak値(Vp−p)が上記記載の放電開始電圧(VTH)の2倍以上であることが好ましく、更に好ましくは、2倍〜3倍の範囲である。Vp−p値は、500〜3000Vの交流電圧が印加されることが好ましい。
【0208】
また、前記交流電圧の周波数f(ヘルツ)は100Hz〜5000Hzの範囲が好ましい。
【0209】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、上記の如く、感光体ドラム上の転写残トナーを現像装置が回収するクリーニング手段を有し、且つ、同時に新規に静電潜像をトナー画像に可視化するという現像を同時に行う画像形成装置を用いることが好ましい。
【0210】
本発明に係るトナーを画像形成に用いることにより、本発明に記載の効果、即ち、クリーナーレスシステムにおいてトナー微粉(1μm以下の微粉)が発生せず、画像上の白スジ欠陥が低減し、トナー飛散が抑制され、現像剤寿命が向上し、且つ、画像の定着性が向上した画像形成方法を得ることが出来る。
【0211】
また、図3は、本発明の画像形成方法に用いられる定着装置の一例を示す概略断面図である。
【0212】
図3において、定着装置400は、加熱ローラー71と、これに当接する加圧ローラー72とを備えている。なお、図3において、Tは転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像である。
【0213】
加熱ローラー71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
【0214】
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
【0215】
芯金81の肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
【0216】
被覆層82を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
【0217】
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
【0218】
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することができない。一方、500μmを超える被覆層の表面には紙粉によるキズがつきやすく、当該キズ部にトナーなどが付着し、これに起因する画像汚れを発生する問題がある。
【0219】
また、被覆層82を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
【0220】
被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
【0221】
また、弾性体からなる被覆層82の厚みは0.1〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
【0222】
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラー72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げることができ、被覆層82を構成するものとして例示したシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
【0223】
被覆層84を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは70°未満、更に好ましくは60°未満とされる。
【0224】
また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
【0225】
芯金83を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
【0226】
加熱ローラー71と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nとされ、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nとされる。この当接荷重は、加熱ローラー71の強度(芯金81の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
【0227】
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105Pa〜1.5×105Paであることが好ましい。
【0228】
図3に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー71の表面温度)が150〜210℃とされ、定着線速が230〜900mm/secとされる。
【0229】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0230】
なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。更に、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0231】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施態様とその効果を示して更に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。尚、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0232】
〔1〕無機酸化物微粒子の作製
球状疎水性シリカ微粒子を下記のごとくして作製した。
【0233】
無機酸化物粒子1
(工程1)
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3L(リットル)のガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g、28%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し撹拌しながらテトラメトキシシラン1163.7gおよび5.4%アンモニア水418.1gを同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も1時間撹拌を続け加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。
【0234】
ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管を取り付け、60〜70℃に加熱しメタノール1132gを留去したところで、水1200gを添加し、次いでさらに70〜90℃に加熱しメタノール273gを留去し、シリカ微粒子の水性懸濁液を得た。ついで、水性懸濁液を5000rpmで遠心分離し、粗大粒子である沈殿物を除去した水性懸濁液得た。
【0235】
(工程2)
この水性懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン11.6g(テトラメトキシシラン1モル当り0.01モル量)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌しシリカ微粒子表面の処理を行った。
【0236】
(工程3)
こうして得られた分散液にメチルイソブチルケトン1440gを添加した後、80〜110℃に加熱しメタノール水1163gを7時間かけて留去した。得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し120℃に加熱し3時間反応させシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して球状疎水性シリカ微粒子342gを得た。
【0237】
無機酸化物粒子2
球状疎水性シリカ微粒子の合成の際にテトラメトキシシランの加水分解温度を35℃の代わりに48℃とし、ヘキサメチルジシラザン357.6gを添加したところを184.4gとした以外は無機酸化物1と同様にして球状疎水性シリカ微粒子431gを得た。
【0238】
無機酸化物粒子3
球状疎水性シリカ微粒子の合成の際にテトラメトキシシランの加水分解温度を35℃の代わりに28℃とし、ヘキサメチルジシラザン添加後の反応時間を3時間から12時間とした以外無機酸化物1と同様にして平均粒径0.30μmの球状疎水性シリカ微粒子460gを得た。
【0239】
無機酸化物粒子4〜7
前記テトラメトキシシランの加水分解温度、ヘキサメチルジシラザンの反応時間を適宜変更し、無機酸化物粒子4〜7を得た。
【0240】
無機酸化物粒子1〜7の特性については、トナー中間体粒子の特性と併せて後記表2に示す。
【0241】
〔2〕トナー中間体粒子の製造例
トナー中間体粒子1
トナー用樹脂粒子の製造例
〔ラテックス1HML〕
(1)核粒子の調製(第一段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコにアニオン系界面活性剤
(101) C1021(OCHCHOSONa
7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
【0242】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。
(2)中間層の形成(第二段重合)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、結晶性物質として、化2記載の化合物19)で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」という)98.0gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0243】
一方、アニオン系界面活性剤(上記式(101))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を8時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
【0244】
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
(3)外層の形成(第三段重合)
上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物(19)が含有されている複合樹脂粒子)の分散液を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
【0245】
このラテックス(1HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は122nmであった。
【0246】
〔トナー中間体粒子の作製〕
アニオン系界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)59.0gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック420.0gを徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。
【0247】
ラテックス(1HML)420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8に調製した。
【0248】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を30分間かけて90℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールターカウンター TA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6.4μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度98℃にて2時間加熱撹拌することにより、粒子の融着を完結させた。
【0249】
その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.5に調整したのち、60倍量のイオン交換水で洗浄を繰り返し、デカンタ式遠心分離機で固液分離した後、気流乾燥機で乾燥してトナー中間体粒子1を得た。
【0250】
トナー中間体粒子2
例示化合物(19)30部を酢酸エチル250部に加熱溶解させた後、液体窒素で急激に冷却析出させて離型剤の酢酸エチル分散液を得た。離型剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所社製)で測定したところ、0.6μmだった。ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、およびテレフタル酸誘導体からなるポリエステル樹脂(Mw:20000,Tg:66℃,Tm:106℃)100部、カーボンブラックを8部、酢酸エチル80部をボールミルで10時間混合分散後、例示化合物(19)の酢酸エチル分散液36部を加え、均一になるまでよく撹拌した。この液をA液とする。
【0251】
一方、炭酸カルシウム60部、水40部をボールミルで10時間混合分散後、炭酸カルシウム分散液7部とセロゲンBS−H(第一工業製薬社製)の2%水溶液100部をクッキングミキサーMX−915C(松下電器社製)にいれて、5分間撹拌した。この液をB液とする。
【0252】
撹拌機を用いて前記B液50部と前記A液50部を撹拌混合し、懸濁液とした。その後、減圧下で溶媒を除去した。次に6モル/L(リットル)塩酸を100部加えて、炭酸カルシウムを溶解除去し、濾過と洗浄を繰り返したのち、気流乾燥機で乾燥しトナー中間体粒子2を得た。
【0253】
トナー中間体粒子3
着色剤としてカーボンブラック25.6kgに対してドデシル硫酸ナトリウム11.98kg、イオン交換水265Lを混和した後、日本精機製作所社製加圧分散式ホモジナイザー(NPH−70)を用い、着色剤分散液を調製した。
【0254】
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた500LのGL反応釜に脱気済みイオン交換蒸留水250Lに上記着色剤分散液16Lを添加し、更にスチレン27.86kg、アクリル酸ノルマルブチル5.22kg、メタクリル酸1.16kg、t−ドデシルメルカプタン0.3kgを加え、窒素気流下500rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を75℃に昇温させた。内温が75℃になった時点で、過硫酸カリウム0.82kgを脱気済みイオン交換蒸留水60Lに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、7時間重合させた後室温まで冷却した。生成した粒子を電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。上記方法により粒径170nmの着色剤複合重合体粒子分散液1を得た。
【0255】
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた500Lのアンカー撹拌翼を装着したステンレス反応釜に上記着色剤複合重合体粒子分散液1を150l入れ、室温下100rpmで撹拌する。ここに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)1.35kgを加え撹拌した後、5モル/L塩酸液をpHが9.60になるまで滴下する。ここに塩化カリウム12.66kgを70Lのイオン交換水に溶解した塩化カリウム水溶液を添加し、次いでイソプロパノール37L、ニューコール565Cを1.00kgをイオン交換水30Lに溶解した液を添加した。添加終了時の液温は29.0℃であった。この混合液を85℃まで昇温した。その後、液温85℃(変動±3℃以下であった)で6時間反応を行い室温(40℃以下)まで冷却した。更に、非球形粒子を濾過後、蒸留水に懸濁分散後、1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13まで調整しカルボン酸を完全解離状態にした後、200Lの水で2回洗浄し、さらに水/メタノール=7/3の混合溶媒200Lにより7回洗浄し、イオン性界面活性剤等の夾雑物を有る程度除去した後、濾過、乾燥を行いトナー中間体粒子3を得た。
【0256】
トナー中間体粒子4
トナー中間体粒子1の製造で、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を使用したところを塩化マグネシウム・6水和物40.6gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を使用し、洗浄するイオン交換水を12倍量とした以外は同様にしてトナー中間体粒子4を得た。
【0257】
トナー中間体粒子5
酸性極性基含有重合樹脂の調製
スチレンモノマー(ST)                  60部
アクリル酸ブチル(BA)                  40部
アクリル酸(AA)                      8部
以上のモノマー(単量体)混合物を水100部、ノニオン乳化剤(エマルゲン950)1部、アニオン乳化剤(ネオゲンR)1.5部、過硫酸カリウム0.5部の水溶液混合物に添加し、撹拌下70℃で8時間重合させて固形分50%の酸性極性基含有樹脂粒子のトナー中間体粒子5を得た。
【0258】
トナー中間体粒子の調製
酸性極性基含有樹脂粒子                  120部
カーボンブラック(ダイヤブラック#100)         12部
例示化合物(19)の分散液                 15部
水                            380部
以上の混合物をスラッシャーで分散撹拌しながら約30℃に2時間保持した。その後、さらに撹拌しながら70℃に加温して3時間保持した。冷却して得られた液状分散物を濾過、水洗し、40℃真空乾燥を10時間させた。
【0259】
この得られた会合粒子100部にシランカップリング剤A−143(日本ユニカー社製)の10%エタノール溶液5部を噴霧添加し、40℃で50時間表面カップリングし、トナー中間体粒子5を得た。
【0260】
トナー中間体粒子6
トナー中間体粒子3の製造に於いて、塩化カリウム12.66kgを70Lのイオン交換水に溶解した塩化カリウム水溶液を添加したころを、210Lのイオン交換水に溶解した塩化カリウム水溶液を添加した以外は同様にしてトナー中間体粒子6を得た。
【0261】
トナー中間体粒子7
トナー中間体粒子5の製造において樹脂粒子を冷却したところを、約1.5μmに成長したところで、冷却し、水/メタノール混合物で洗浄したこと以外は同様にして比較用トナー中間体粒子7を得た。
【0262】
トナー中間体粒子8
トナー中間体粒子8において、シランカップリング剤A−143(日本ユニカー社製)のエタノール溶液を噴霧しなかった以外は同様にしてトナー中間体粒子8を得た。
【0263】
〔3〕トナーの調製
得られた各トナー中間体粒子100部に対して、平均粒子径14nmの疎水性シリカ(シリコーンオイル処理)1部と本発明の無機酸化物粒子2部を下記表1の組み合わせで混合した。混合条件はヘンシェルミキサーの回転翼の周速を30m/sに設定し25分間とした。
【0264】
トナー中間体粒子と無機酸化物粒子を下記表1の如く組み合わせてトナー1〜8、比較例用トナー1〜4を調製した。
【0265】
【表1】
Figure 2004046148
【0266】
また、各トナーのトナー中間体粒子と無機酸化物粒子の特性を表2に示す。
【0267】
【表2】
Figure 2004046148
【0268】
〔4〕実写評価
評価機として、図1に記載の画像形成装置構成を有するデジタル複写機(コロナ帯電、レーザ露光、二成分反転現像、ローラー転写、クリーニングレスシステム)にて評価した。上記デジタル複写機には、下記に記載の感光体を搭載し、次いで、後述する帯電、露光、現像条件に設定し評価を行った。
【0269】
《感光体の作製》
下記のように感光体1を作製した。
【0270】
(中間層塗布液の調製)
ポリアミド樹脂(アミランCM−8000:東レ社製)     60g
メタノール                      1600ml
1−ブタノール                     400ml
上記の材料を混合、溶解して中間層塗布液を調製した。
【0271】
この塗布液を円筒状アルミニウム支持体(基体)上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.3μmの中間層を形成した。
【0272】
(電荷発生層塗布液の調製)
チタニルフタロシアニン                   60g
シリコーン樹脂溶液(KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液
:信越化学社製)                    700g
2−ブタノン                     2000ml
上記の材料を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。
【0273】
この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0274】
(電荷輸送層塗布液の調製)
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)
トリフェニルアミン)                  200g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)        300g
1,2−ジクロロエタン                2000ml
上記の材料を混合、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。
【0275】
この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0276】
(樹脂層塗布液の調製)
メチルシロキサン単位80モル%、メチル−フェニルシロキサン単位20モル%からなるポリシロキサン樹脂10部にモレキュラーシーブ4Aを添加し、15時間静置し脱水処理した。
【0277】
この樹脂をトルエン10部に溶解し、これにメチルトリメトキシシラン5部、ジブチル錫アセテート0.2部を加え均一な溶液を調製した。この溶液にジヒドロキシメチルトリフェニルアミン6部、ヒンダードアミン0.3部を加えて混合し、樹脂層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層上に塗布した後、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚2μmの樹脂層を有する感光体を作製した。
【0278】
《帯電、露光、現像条件》
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
露光部電位を−50Vにする露光量に設定
現像条件
DCバイアス;−550V
転写極;コロナ帯電方式
また、定着装置としては、図3に記載のような構成を用い、具体的な構成としては、芯金として鉄を使用し、表面を厚さ25μmのPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で被覆された表面粗さRaが0.8μmの加熱ローラーを使用し、加圧ローラーとして鉄の芯金を使用し、HTVシリコーンゴムの上に厚み120μmのPFAチューブを被覆した表面粗さRaが0.8μmの加圧ローラーを用いた。なお、ニップ幅は3.8mmであり、線速は420mm/secである。
【0279】
なお、定着装置のクリーニング機構及びシリコーンオイル供給機構は装着していない。定着の温度は加熱ローラーの表面温度で制御し、165℃の設定温度とした。
【0280】
上記で得られたトナー1〜8、比較用トナー1〜4の各々について、上記記載の本発明の画像形成装置を用い、複写条件としては、高温高湿環境(30℃、85%RH)にて連続60万プリントを行い、その後低温低湿環境(10℃、20%RH)にて連続60万プリントを行って、下記項目を評価した。
【0281】
(1)クリーナーレス転写性
感光体上のべた画像のトナー付着量が0.8mg/cmに現像条件(現像ロール回転数)を調整し、画像前面に5.6ポイントの文字を20枚連続で印字した。
【0282】
印字後、クリーニング不良による文字の残像を評価した。
◎:感光体上にも、転写紙上にも全く文字残像がない
○:感光体上にかすかな残像があるものの転写紙上は全く文字残像がなく、実用上問題はない
×:転写紙上に文字残像が読める
(2)濃度ムラ
前述の連続50万コピー後の感光体フィルミング、転写性変動によるハーフトーン画像の均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0283】
◎:ムラの無い均一な画像
○:スジ状の極めて薄いムラが存在
△:スジ状の薄いムラが数本存在するが実用上問題ないレベル
×:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在
評価ランクは、◎〜○を合格、△〜×を不合格とした。
【0284】
(3)文字チリ
画像全面に10%網点画像を形成し、ルーペにてドット周辺のチリを観察した。チリがほとんど検知できないモノを「◎」、微かにチリがあるが、注視しなければ気づかない程度を「○」、チリが容易に検知できるものを「×」とした。
【0285】
評価結果を表3に示した。
【0286】
【表3】
Figure 2004046148
【0287】
表3から明かな如く、本発明内の実施例1〜8は、何れの特性も実用化可能な評価が得られるが、本発明外の比較例1〜4はいずれも実用化には問題な評価しか得られないことがわかる。
【0288】
【発明の効果】
本発明により、湿度などの環境によらず転写性に優れ、解像度がとりわけ高く、クリーナーレスプロセスをも可能にする静電潜像現像用トナーと現像剤及び画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることができる画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明で用いることができる画像形成装置に用いられる磁気ブラシ帯電装置の一例を示す構成模式図。
【図3】本発明で用いることができる画像形成装置に用いられる定着装置の一例を示す概略断面図。
【図4】本発明における、無機酸化物粒子のフェレ径の測定方法を表す概念図。
【符号の説明】
12 レーザービームスキャナー
20 磁気ブラシ帯電装置(帯電器)
24 磁気ブラシ帯電部材
25 ケーシング
26 層厚規制部材
27 撹拌部材
30 現像装置(現像器)
31 スリーブ
32 固定磁石体
40 給紙カセット
41 給紙ローラー
60 電位測定装置
61 電位計プローブ
100 電子写真感光体(感光体ドラム)

Claims (22)

  1. トナー中間体粒子の表面に、フェレ径が110〜160nmである無機酸化物粒子を、5〜50個/μmの表面存在密度で存在させたことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 無機酸化物粒子の表面存在密度が、10〜30個/μmであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 無機酸化物粒子の水分量が4〜12質量%で、且つ前記静電潜像現像用トナー全体としての水分量が0.2〜2質量%であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 水分量が0.6〜1.5質量%であることを特徴とする請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 水分量が0.7〜1.2質量%であることを特徴とする請求項4に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. BET比表面積値が1.1〜4.2m/gであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  7. BET比表面積値が1.1〜4.2m/gであることを特徴とする請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
  8. BET比表面積値が1.3〜1.9m/gであることを特徴とする請求項4に記載の静電潜像現像用トナー。
  9. フェレ径の平均値が110〜160nmであり、70個数%以上がフェレ径の平均値±10%の粒径を有する無機酸化物粒子をトナー中間体粒子に添加混合して調製したことを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  10. フェレ径の平均値が110〜160nmであり、70個数%以上がフェレ径の平均値±10%の粒径を有する無機酸化物粒子をトナー中間体粒子に添加混合して調製したことを特徴とする請求項5に記載の静電潜像現像用トナー。
  11. 個数平均粒径が2〜9μmであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  12. 個数平均粒径が2〜9μmであることを特徴とする請求項7に記載の静電潜像現像用トナー。
  13. 個数平均粒径が2〜9μmであることを特徴とする請求項8に記載の静電潜像現像用トナー。
  14. 形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が、全トナー粒子の65個数%以上を占め、且つ形状係数の変動係数が4〜16%であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  15. 形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が、全トナー粒子の65個数%以上を占め、且つ形状係数の変動係数が4〜16%であることを特徴とする請求項11に記載の静電潜像現像用トナー。
  16. 個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%であることを特徴とする請求項11に記載の静電潜像現像用トナー。
  17. 個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%であることを特徴とする請求項12に記載の静電潜像現像用トナー。
  18. 個数粒度分布における個数変動係数が8〜27%であることを特徴とする請求項13に記載の静電潜像現像用トナー。
  19. 無機酸化物粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  20. 無機酸化物粒子が、疎水性シリカ粒子であることを特徴とする請求項19に記載の静電潜像現像用トナー。
  21. 請求項1に記載の静電潜像現像用トナーを含むことを特徴とする現像剤。
  22. 現像器から請求項1に記載のトナーを供給して感光体上に形成された静電潜像を現像しトナー像を形成する工程、
    記録材料上に前記トナー像を転写する転写工程、
    前記転写工程において転写されなかった感光体上の残存トナーを回収する工程、
    前記残存トナーを前記現像器に戻す工程、
    及び前記記録材料上に転写されたトナー像を定着する工程、
    を有することを特徴とする画像形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012150172A (ja) * 2011-01-17 2012-08-09 Canon Inc トナー

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